説明

圧電セラミックトランスを用いる光源装置

【課題】高電力駆動を行っても発煙や発火の危険性がなく、圧電セラミックトランスを破壊に至らしめることのなく、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、放電管、特に複数の放電管を発光させることができる小型から大型の液晶表示装置の面状照明装置として適用可能な光源装置を提供する。
【解決手段】1次側交流信号に基づいて2次側交流信号を出力する圧電セラミックトランスと、1次側交流信号を入力する駆動部と、放電管を備える発光部と、インピーダンスマッチング用のバラストコンデンサと、管電流を検出する管電流検出回路を備えるバランサ部とを有し、駆動部は、管電流に応じて制御された発振周波数の基本波を発生する電圧制御発振回路と、基本駆動信号を発生する駆動信号生成回路と、事前に昇圧駆動信号を生成するプレ昇圧回路と、矩形波状昇圧駆動信号を正弦波状1次側交流信号に変換するLCフィルタとを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電セラミックトランスを用いる光源装置に係り、詳しくは、圧電セラミックトランスを用い、ハイパワー(高電力)駆動を行っても、圧電セラミックトランスを破壊に至らしめることがなく、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、放電管を発光させることができ、特に、複数の放電管に流れる電流を均一にして複数の放電管を同時に均一に、かつ効率よく、しかも安定して、発光させることができる小型から大型の液晶表示装置の面状照明装置として適用できる光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶テレビやコンピュータの表示装置として用いられる液晶ディスプレイ等のように、自己発光しない装置では、その表示面の裏面側から照明する面状照明装置、いわゆるバックライト装置が用いられている。このような面状照明装置では、面状照明光源として、冷陰極放電管または冷陰極蛍光管(以下、単に冷陰極管という;CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が用いられる場合が多い。そして、従来は、この冷陰極管を点灯させるための冷陰極管用インバータの昇圧トランスとして、巻線トランスが用いられている。
【0003】
近年、冷陰極管点灯用インバータの昇圧トランスとして、圧電セラミックスを用いた圧電セラミックトランス(以下、単に圧電トランスという)も用いられるようになってきている。これは、圧電トランスは、大電流(ハイパワー)が取れないことや、駆動時の周波数制御が困難であるなどの短所もあるが、巻線トランスに比べて、厚みを薄くできるし、変換効率が高いし、2次側の絶縁が取りやすく構造が簡単になり、昇圧比を高くできるなどの長所が多いことにある。
ところが、圧電トランスが始めて実用化されたのは、モバイルコンピュータなどの小型コンピュータの液晶表示装置のバックライト装置の放電管点灯用圧電インバータとしてであった。このことからも分かるように、従来の圧電トランスは、2〜3Wの駆動能力しかないため、小型の冷陰極放電管を1〜2本程度光らせることしかできず、その用途は、特殊な小型コンピュータの液晶表示装置に用いられるバックライト装置の小型の冷陰極放電管を点灯する用途に限られているのが現状である。
【0004】
ところで、巻線トランスは、2次側、すなわち出力側の負荷、例えば、冷陰極放電管に異常が生じ、2次側が短絡(ショート)などのアブノーマル状態になると、トランスの巻線に大電流が流れ、巻線の温度上昇とともに、巻線の絶縁被覆が溶け、最後には巻線間で短絡(ショート)が発生する結果、巻線などから発煙や発火が生じる可能性がある。
これに対し、圧電トランスも、同様に、2次側に異常が生じ、2次側が開放または短絡などアブノーマルの状態になると熱暴走するが、ついには、割れて、破壊されてしまうので、1次側も2次側も、電流が流れなくなる。このために、たとえ、異常が生じ、熱暴走しても、発煙や発火をもたらす危険性がない、もしくはそのような危険性はまれであり、圧電トランスは、巻線トランスに比べて安全であるという長所がある。
その結果、比較的小型のコンピュータのバックライト装置のインバータとしては、小出力(低電力)の圧電トランスを用いる圧電インバータが急速に用いられるようになってきている。
【0005】
しかしながら、近年では、液晶表示装置の大画面化が進んでおり、バックライト装置の画面サイズも大きくなってきているため、使用される冷陰極管の長さが長くなり、その本数も多くなってきている。このように、多数本の冷陰極管を使用する場合、冷陰極管のそれぞれの輝度ばらつきは、面光源、すなわち、バックライト装置の面状の光射出面での輝度ムラを発生させるため無視できない。このため、多数本の冷陰極管を使用するバックライト装置では、各々の冷陰極管に流れる管電流をほぼ均一にして、その輝度ばらつきを抑制する必要がある。このため、複数本の冷陰極管を同時に、かつ均一に、安定して点灯するためのインバータが必要となっている。
このため、複数本の冷陰極管を点灯するのに適したインバータおよびこれらを用いる照明装置や面光源システムなどが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1には、インバータによって、近接して配置された冷陰極管が略同位相、略同電圧および略同周波数の駆動電圧により駆動されること、および、冷陰極管の両電極に位相が略180°異なる駆動電圧を入力するように制御されること、ならびに、複数本の冷陰極管毎に設けられた圧電トランスにより構成されるインバータによって複数本の冷陰極管が略同駆動周波数で駆動されることにより、リーク電流が低減され、冷陰極管の長寿命化およびインバータの高効率化が可能となり、冷陰極管の輝度の均一化を図ることができるインバータ、これを用いる照明装置、バックライト装置および液晶表示装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献1には、インバータとして、巻線トランスを用いる電磁トランス式インバータが用いられる場合には、冷陰極管に流れ込む電流を制限するためのバラストコンデンサが、非漏洩磁束性巻線昇圧トランスの2次側に冷陰極管と直列に接続されている通常の電磁式インバータ、または、漏洩磁束性巻線昇圧トランスの漏れインダクタンスと巻線トランスの2次側において冷陰極管に並列に接続されたコンデンサとの共振を利用する共振型の電磁式インバータが開示され、さらに、圧電トランスを用い、バラストコンデンサや共振用コンデンサを用いない圧電インバータが開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、昇圧トランスの二次側において2つのコイルを接続し、これら2つのコイルがそれぞれに発生する磁束が対向し、磁束が相殺されるように磁気的に結合された電流の分流トランスを構成し、2つのコイルのそれぞれに放電管を接続し、各放電管に流れる管電流が均衡する放電管用インバータ回路において、分流トランスの均衡に関わるインダクタンスのインバータ回路動作周波数におけるリアクタンスが放電管の負性抵抗を上回るようにすることにより、過剰なリアクタンスの設定を排除し、小型かつ高性能な分流特性を得ることができ、複数の放電管に流れる電流を均衡させて全灯を平均的にかつ均一に点灯させることができる多灯点灯の放電管用インバータ回路およびこれを用いる面光源システムが開示されている。
また、昇圧トランスとして、非漏洩磁束性昇圧トランス、漏洩磁束性昇圧トランスおよび圧電トランスを、インバータとして、特許文献1と同様に、通常の電磁式インバータ、共振型の電磁式インバータおよび圧電インバータを用いることができることが開示されている。
【0009】
また、特許文献2に開示の複数の冷陰極管を使用する放電管用インバータ回路では、保護手段として、分流トランスの各巻線に対して並列に適宜ダイアックを配置し、不点灯等を含む冷陰極管の異常が発生した場合に、巻線の電流がダイアックの方に流れて巻線を保護することによって分流トランスを保護している。
また、特許文献2に開示のインバータ回路では、冷陰極管に異常が発生した場合に、それを検出するために、分流トランスの各巻線に対して設けられたダイオードを介して各巻線に発生する電圧を一つに束ねて、ツェナー・ダイオードに入力し、異常の発生のために電圧がツェナー・ダイオードZdの降伏電圧を超えたときに流れる電流をフォトカプラを用いて検出する異常検出回路を設けることにより、インバータ回路の保護を行っている。
さらに、特許文献2には、その従来の公知技術として、一つの放電管が不点灯になるなどして電流バランサの電流が偏った際の飽和を、分流トランスに新たな巻線を設け、電流バランサに発生する磁束波形の変形を検出することで検出し、インバータ回路の異常検出を行って回路の動作を遮断することを開示している。
【0010】
【特許文献1】特開2002−164185号公報
【特許文献2】特開2004−335443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1および特許文献2は、いずれも巻線トランスを用いる電磁式インバータでは、バラストコンデンサや共振用コンデンサが用いられることを開示するものではあるが、バラストコンデンサや共振用コンデンサが用いない圧電トランスを用いる圧電インバータを開示するものに過ぎない。
また、特許文献1では、基本的に、圧電インバータは、冷陰極管ごとに設けられるものであり、実施形態では、照明装置の表示画面のサイズは、15インチ程度であり、また、冷陰極管を点灯させるのに必要な入力電力は、10W程度であることを開示しているに過ぎない。このため、特許文献1には、表示画面のサイズがさらに大きくなり、多数本の冷陰極管を点灯させるのに必要な入力電力としてさらに高電力が要求される場合に、圧電トランスを用いる圧電インバータにおいて、多数本の冷陰極管を同時、均一かつ安定して点灯させるのに必要となる回路構成および冷陰極管に不点灯等の異常が発生した場合の保護回路については全く考慮されていないという問題があった。
【0012】
また、特許文献2では、冷陰極管に不点灯等の異常が発生した場合の分流トランスの保護や異常検出およびインバータ回路の保護を開示するものではあるが、インバータ回路および面光源システムの複数の様々な異常に対応したそれぞれに適した異常検出手段や保護手段を備えているわけではないので、インバータ回路の負荷である冷陰極管などの様々な異常時に適切なるシステム保護が行われるわけではないという問題があった。
【0013】
特に、上述したように、危険度の高い高圧発生部に発煙や発火の危険性のある巻線トランスを用いる電磁式インバータに比べて、安全性の高い圧電トランスを用いる圧電インバータにおいて、圧電トランスを、さらに高電力化していった時に必要となる駆動回路の構成や、高電力化に伴って不可避的に生じる、圧電トランスの負荷、すなわち冷陰極管の異常、例えば、圧電トランスの2次側の開放または短絡などの異常状態における1次側インピーダンスの低下による1次側電流の増加や、その結果としての圧電トランスの熱暴走や破損などの問題は、圧電トランスの駆動が高電力になるに従って大きくなるが、特許文献1および特許文献2では、十分に対処しえていないという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、ハイパワー(高電力)駆動を行っても、発煙や発火の危険性のない圧電セラミックトランスを破壊に至らしめることがなく、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、放電管を発光させることができ、特に、複数の放電管に流れる電流を均一にして複数の放電管を同時に均一に、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、発光させることができる小型から大型の液晶表示装置の面状照明装置として適用できる、圧電セラミックトランスを用いる光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、入力された1次側交流信号に基づいて2次側交流信号を出力する圧電セラミックトランスと、前記圧電セラミックトランスに前記1次側交流信号を入力する駆動部と、前記圧電セラミックトランスの出力側に接続され、前記圧電セラミックトランスの駆動によって発光する放電管を備える発光部と、前記圧電セラミックトランスと前記発光部との間に接続され、前記圧電セラミックトランスの出力インピーダンスと前記発光部の前記放電管の負性抵抗とのマッチング用のバラストコンデンサと、前記発光部の前記放電管に流れる管電流を検出する管電流検出回路を備えるバランサ部とを有し、前記駆動部は、前記バランサ部の前記管電流検出回路によって検出された前記管電流に応じて制御された発振周波数の基本波を発生する電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振回路から出力される前記基本波に基づいて前記圧電セラミックトランスを駆動する矩形波状の基本駆動信号を発生する駆動信号生成回路と、前記駆動信号生成回路の出力側に接続され、前記駆動信号生成回路から出力される前記基本駆動信号の電圧を、前記圧電セラミックトランスを駆動するのに要求される前記1次側交流信号の電圧まで事前に昇圧して、矩形波状第2駆動信号を生成するプレ昇圧回路と、前記プレ昇圧回路から出力される前記矩形波状第2駆動信号を正弦波状の前記1次側交流信号に変換するLCフィルタとを有することを特徴とする圧電セラミックトランスを用いる光源装置を提供するものである。
【0016】
ここで、前記駆動部は、さらに、前記駆動信号生成回路による前記基本駆動信号の発生を制限するものである保護回路とを有するのが好ましい。
また、前記保護回路は、前記駆動信号生成回路に流れる電流値が所定電流値を超えた時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものであるのが好ましい。
また、さらに、前記圧電セラミックトランスと前記バラストコンデンサとの間に接続され、前記圧電セラミックトランスの出力側の電圧を監視する電圧監視部を有し、前記保護回路は、前記電圧監視部が、所定の第1電圧値より高い過電圧を検知した時、または、所定の第2電圧値より低い電圧を検知した時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものであるのが好ましい。
また、前記保護回路は、前記管電流検出回路によって検出された前記管電流が所定設定範囲から外れた時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものであるのが好ましい。
【0017】
また、前記発光部は、前記放電管として、複数の冷陰極放電管を備え、前記管電流検出回路は、発光している前記複数の冷陰極放電管に流れる前記管電流の合計電流を検出するものであるのが好ましい。
また、前記複数の冷陰極放電管は、並列に配置された2本の冷陰極放電管の同じ方向の一方の端子を直列に接続した、複数組の2管直列光源からなり、前記管電流検出回路は、同極性の1対の巻線数の等しいコイルと前記複数組の2管直列光源の前記合計電流を取り出すためのコイルとを1つの第1のコアに巻き付けたものであるのが好ましい。
【0018】
また、前記バランサ部は、さらに、前記管電流検出回路の直列に接続され、前記発光部の前記複数の冷陰極放電管に流れる各管電流を等しくするようにバランスを取るバランス回路を有するのが好ましい。
また、前記複数の冷陰極放電管は、並列に配置された2本の冷陰極放電管の同じ方向の一方の端子を直列に接続した複数組の2管直列光源からなり、前記バランス回路は、隣接する2組の2管直列光源それぞれの冷陰極放電管同士の接続部間において、それぞれ極性が逆向きの1対の巻線数の等しいコイルを1つの第2のコアに巻き付けたバランスコイルによって構成されているものであるのが好ましい。
【0019】
また、前記バランサ部は、さらに、前記管電流検出回路の直列に接続され、前記複数の冷陰極放電管に流れる各管電流の差である電流差を取り出す電流差検出回路を有するのが好ましい。
また、前記複数の冷陰極放電管は、並列に配置された2本の冷陰極放電管の同じ方向の一方の端子を直列に接続した複数組の2管直列光源からなり、前記電流差検出回路は、逆極性の1対の巻線数の等しいコイルと前記複数組の2管直列光源の電流差を取り出すためのコイルとを第3のコアに巻き付けたものであるのが好ましい。
また、前記保護回路は、前記電流差検出回路によって検出された前記電流差が所定の電流差より大きくなった時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものであるのが好ましい。
また、前記2次側交流信号が、略180度位相の異なる2相の交流信号であるのが好ましい。
また、前記光源装置が、面状の光射出面を持つ面状照明装置として機能するのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、発煙や発火の危険性のない圧電セラミックトランスを破壊に至らしめることなく、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、駆動、特に、ハイパワー駆動を行うことができ、したがって、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、放電管を発光させることができ、特に、複数の放電管に流れる電流を均一にして複数の放電管を同時に均一に、安全に、かつ効率よく、しかも安定して、発光させることができる小型から大型の液晶表示装置の面状照明装置として適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る、圧電セラミックトランスを用いる光源装置を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は、本発明に係る、圧電セラミックトランスを用いる光源装置の一実施形態の概略を示すブロック図である。図2は、図1に示す光源装置の駆動部の一実施形態の回路ブロック図である。図3は、図1に示す光源装置の駆動部を除く部分の一実施形態の回路ブロック図である。図4(a)は、図1に示す光源装置の実施形態の概略構成を部分的に示す模式的回路ブロック図であり、(b)は、本発明の光源装置の別の実施形態の概略構成を部分的に示す模式的回路ブロック図である。図5は、図1に示す光源装置に用いられる圧電セラミックトランスの一実施形態の模式的斜視図である。
【0022】
同図に示すように、本発明の光源装置10は、電源12と、駆動部14と、圧電セラミックトランス(以下、単に、圧電トランスという)16、電圧監視部17aおよびバラストコンデンサ部17bを備える圧電セラミックインバータ部(以下、単に、圧電インバータ部という)17と、放電管、図示例では、4本の冷陰極放電管または冷陰極蛍光管(CCFL;以下、単に冷陰極管という)18aを備える発光部18と、バランス回路19、合計電流検出回路20および電流差検出回路21を備えるバランサ部22とを有する。
また、駆動部14は、第1電圧制御発振回路24および第2電圧制御発振回路25を備える発振部26と、駆動信号生成回路27a、プレ昇圧部27b、LCフィルタ部27cおよび保護回路28を備える駆動回路30とを備える。
【0023】
電源12は、DC24Vの直流電圧を出力する直流電源である。この直流電圧DC24Vは駆動回路14に供給される。なお、電源12が出力する直流電圧は、DV24Vに限定されない。
続いて、駆動部14は、圧電インバータ部17の圧電トランス16を駆動するための駆動信号、すなわち、圧電トランス16に入力する1次側交流信号を生成するものである。
駆動部14の発振部26は、1次側交流信号を生成するための所定周波数のクロック(基本波および長周期波)を発振するものであり、図1および図2に示すように、基本波(約40KHz)を発振する第1電圧制御発振回路24および長周期のパルス幅変調(PWM)波(約100〜200Hz)を発振する第2電圧制御発振回路25を備える。
【0024】
ここで、第1電圧制御発振回路(VCO)24は、バランサ部22の合計電流検出回路20から供給される発光部18の放電管(4本の冷陰極管18a)の管電流の合計電流値に応じて、その発振周波数が変化する初期周波数、例えば、約40KHzの基本波を発生する。すなわち、図2に示すように、発振部26では、バランサ部22の合計電流検出回路20から出力される管合計電流は、発振部26の整流部24aを経て直流に変換された後、発振部26のアナログスイッチ(SW)回路24bを経由し、発振部26の積分回路24cを兼ねたコンパレータ24dにて基準電流量を決める電圧値24eと比較され、その差分量の電圧を第1電圧制御発振回路24に戻して、基本波の周波数をコントロールして、管合計電流が常に一定になるようにしている。ここで、管合計電流が経由するアナログSW24bは、詳細は後述する第2電圧制御発振回路25の出力によって制御されるもので、第2電圧制御発振回路25が発生するPWM波のオフ(OFF)期間では正確な比較ができないため、このPWM波のオン(ON)期間のみ電流比較するために設けられている。
【0025】
図示例においては、管合計電流を基本波の周波数で制御する方法を採っているので、第1電圧制御発振回路24は、例えば、管合計電流が基準電流量よりも少ない場合には基本波の周波数を初期周波数よりも低くする方向に制御し、逆に管合計電流が基準電流量よりも多い場合には基本波の周波数を初期周波数よりも高くする方向に制御する。なお、基準電流量、すなわち、基準電流量を決める電圧値24eは、外部から制御可能であり、必要に応じて可変できる。
この基本波は、同じく駆動部14の駆動回路30に供給される。
【0026】
次に、第2電圧制御発振回路(VCO)25は、調光を可能とする基本波より長周期のパルス幅変調(PWM)波(約100〜200Hz)を発生する。この第2電圧制御発振回路(VCO)25から出力されるPWM波は、矩形波であり、直流電圧の値25aにより矩形波のオンデューティ(ON−DUTY)を変えることが可能であり、この直流電圧の値25aも、外部からコントロール可能であり、必要に応じて可変できる。
このPWM波も、同じく駆動部14の駆動回路30に供給される。
なお、発振部26、第1電圧制御発振回路24および第1電圧制御発振回路25、さらには、整流部24a、アナログSW回路24bおよび積分回路24cなどの具体的な構成は、何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。
駆動部14の発振部26は、基本的に以上のように構成される。
【0027】
駆動部14の駆動回路30は、電源12から供給される直流電圧、例えば、DC24Vと、第1電圧制御発振回路24から供給される基本波および第2電圧制御発振回路25から供給されるPWM波とに基づいて、圧電インバータ部17の圧電トランス16を駆動する2相の駆動信号、すなわち、1次側交流信号を生成する。また、圧電トランス16に入力する1次側の交流信号は、詳細は後述するが、片側を接地(GND)とした単相であっても良い(図4(b)参照)。本実施形態の場合、2相(2種)の駆動信号は、例えば約650Vp−p(ピークツーピーク)、約40KHzで、180度逆位相の交流信号(正弦波)である。第1電圧制御発振回路24から供給される基本波の周波数に応じて駆動信号の周波数が変化し、発光部18の4本の冷陰極管18aの管電流、すなわち発光部18の輝度が、常に同じ一定値に保たれる。
【0028】
駆動回路30は、具体的には、図2に示すように、分周用D型フリップフロップ(D−FF)30a、波形整形部30bおよび保護回路28を構成するゲート部30cならびに上述した駆動信号生成回路27a、プレ昇圧部27b、LCフィルタ部27cおよび保護回路28を備える。なお、D−FF30aおよび波形整形部30bは、断続波生成部30dを構成する。
駆動回路30の断続波生成部30dにおいて、D−FF30aは、第1電圧制御発振回路24からの基本波を互いに逆位相の2種の基本波(Q出力とQバー出力と)に分周し、波形整形部30bは、D−FF30aで分周された2種の基本波と第2電圧制御発振回路25からのPWM波とをそれぞれ乗じた互いに逆位相の2種の断続波を生成する。なお、PWM波のオンデューティ(ON−DUTY)が広ければ、断続波生成部30dで生成された断続波のオン(ON)区間が多くなり、発光部18の冷陰極管18aに流れる平均電流が多くなり、明るくする方向に制御できる。逆に、PWM波のON−DUTYが狭ければ、断続波のオン(ON)区間が少なくなり、発光部18の冷陰極管18aに流れる平均電流が少なくなり、暗くする方向に制御できる。
【0029】
断続波生成部30dにおいて、これらの2種の基本波とPWM波との乗算により発生した駆動のための互いに逆位相の2種の断続波は、ゲート部30cのゲート回路を経て、後段の駆動信号生成回路27a(ドライブ回路)へ注入される。ゲート部30cは、後述する保護回路28からの保護信号を受けて、断続波生成部30dで生成された駆動用断続波の駆動信号生成回路27aへの注入を停止するためのものである。すなわち、ゲート部30cのゲート回路は、保護回路28によって保護をかけるための論理回路であり、圧電トランス16の2次側の負荷(例えば、CCFL18a)の開放(オープン)や短絡(ショート)などの様々なアブノーマルモードから本システム(圧電インバータ部17や光源装置10)を守る。
【0030】
次に、ゲート部30cを通過した2種の駆動用断続波は、駆動回路30の駆動信号生成回路27aに注入される。駆動信号生成回路27aは、図2および図4に示すように、複数のFETを使ったブリッジ回路からなり、断続波生成部30dからゲート部30cを介して入力された駆動用断続波に基づいて、低インピーダンスの負荷(例えば、CCFL)を十分に駆動できるような互いに逆位相の2種の駆動信号を生成するためのものである。すなわち、上述したように、駆動用断続波は、前段の断続波生成部30dのD−FF30aにより位相が180度異なる2つの信号に生成された後、各々波形整形部30bの波形整形回路を通過し、駆動信号生成回路27aに入る。なお、上述した波形整形部30bの波形整形回路の目的は、駆動信号生成回路27aのブリッジ回路の上側のFETと下側のFETが同時にオン(ON)し、貫通電流が流れることを防止するためである。
また、駆動信号生成回路27aには、駆動信号生成回路27aにおける過電流検出のための出力があり、その出力は、保護回路28に入り、前述のゲート部30cのゲート回路に向かうが、詳細は後述する。
【0031】
次に、駆動信号生成回路27aで生成された互いに逆位相の2種の駆動信号は、図1、図2および図4(a)示すようにそれぞれプリ昇圧部27bに注入される。プリ昇圧部27bは、駆動信号を、圧電インバータ部17の圧電トランス16を駆動するのに十分な電圧に昇圧するためのものである。すなわち、各駆動信号は、プリ昇圧部27bにおいて、圧電トランス16を駆動するのに十分な電圧にするために、例えば48Vp−pを260Vp−pに昇圧される。この部分には巻線型トランスを用いることができるが、この部分において扱う電圧は低圧(商用電源程度のもの)であり、また、昇圧率も高くないため、細い巻き線を使用せずにすむ。よって、このプリ昇圧部27bのトランスにおいて、巻線間ショートが発生することは無く、安全である。
なお、プリ昇圧部27bを設けることによるメリットは、圧電トランス16の仕様変更等で入力インピーダンスが変化したときでもプリ昇圧部27bのトランスの巻線比の変更で、容易に対応可能であること、および駆動部14に供給される電源12の直流電源電圧が変更されても、プリ昇圧部27bのトランスの巻線比の変更で容易に対応可能なことである。
【0032】
次に、プリ昇圧部27bを経た互いに逆位相の2種の駆動信号は、LCフィルタ部27cへ注入される。プリ昇圧部27bで予め所定の昇圧率で昇圧された駆動信号は、その波形が矩形波となっている。LCフィルタ部27cは、それぞれ直列に接続されるコイル等のインダクターと並列に接続され、他端が接地されるコンデンサ等のキャパシタとから構成される2組のLC(インダクタンス・キャパシタンス)フィルタを有し、その波形が矩形波である駆動信号の波形を正弦波に変換するためのものである。なお、矩形波のまま圧電トランス16を駆動しようとすると、圧電トランス16において高次振動が発生して圧電トランス16での効率が低下してしまうため、LCフィルタ部27cのLCフィルタを通して矩形波を正弦波に変換しているのである。
正弦波に変換された互いに逆位相の2種の駆動信号は、LCフィルタ部27cから圧電インバータ部17の圧電トランス16に注入される。
【0033】
ところで、上述した例では、図4(a)に示すように、駆動信号生成回路27aで生成され、プリ昇圧部27bおよびLCフィルタ部27cを通過した互いに略逆位相の2相の駆動信号を、1次側交流信号として圧電トランス16に入力しているが、本発明ではこれに限定されず、前述の通り、図4(b)に示すように、圧電トランス16に入力される1次側交流信号を、片側で接地とし、駆動信号生成回路27aからプリ昇圧部27bおよびLCフィルタ部27c’を通過した単相の駆動信号としても良い。
ここで、図4(a)は、図1に示す光源装置10の部分的に示すもので、互いに略逆位相の2相の駆動信号を、1次側交流信号として圧電トランス16に入力する場合の概略構成、具体的には、駆動部14の駆動回路30の駆動信号生成回路27a、プリ昇圧部27bおよびLCフィルタ部27cの構成、圧電インバータ部17の圧電トランス16およびバラストコンデンサ17bの構成、4本のCCFL18aを備える発光部18、およびバランス回路19(合計電流検出回路20および電流差検出回路21は省略)を備えるバランサ部22を示すものである。
【0034】
これに対し、図4(b)は、本発明の光源装置の別の実施形態を部分的に示すもので、図4(a)に示す光源装置10において、プリ昇圧部27b〜圧電トランス16の入力までの構成が異なる別の実施形態を示すものである。
図4(b)に示す光源装置11は、駆動信号生成回路27aから出力された互いに略逆位相の2相の駆動信号を、プリ昇圧部27bに入力し、プリ昇圧部27bで昇圧された駆動信号を一方の出力のみから取り出し、他方の出力は接地する。次に、プリ昇圧部27bから一方のみから出力される単相の駆動信号は、1組のみのLCフィルタを備えるLCフィルタ部27c’に入力される。続いて、入力された単相の駆動信号は、LCフィルタ部27c’において、矩形波信号から正弦波信号に変換される。この後、正弦波信号に変換された単相の駆動信号は、LCフィルタ部27c’から圧電トランス16の一方(片側、図示例では上側)の入力電極に入力される。ここで、圧電トランス16の他方(片側、図示例では下側)の入力電極は接地される。
【0035】
また、プリ昇圧部27bは、以下の理由により、LCフィルタ部27cの前段に配置するのが好ましい。
LCフィルタ部27cのLC直列共振回路は、共振周波数付近では合成インピーダンスが非常に小さくなり、大電流が流れる。一方、LCフィルタ部27cのLおよびCの両端電圧は、印加電圧よりはるかに大きな電圧が発生する。したがって、LC共振回路では、印加電圧の20〜30倍程度の電圧を容易に発生できる。また、理想的なLおよびCの場合は、大電流となっても電力の損失はない。このことを利用して矩形波・正弦波変換と昇圧とを同時に実現できる。よって、LCフィルタ部27cのLC共振回路だけでも、圧電トランス16を十分に駆動できるが、LおよびCに流れる電流を大きくしなければならないため、L、Cおよびスイッチング回路の電力損失が大きくなり高効率が達成できない。
【0036】
したがって、高効率にするためには、LCフィルタ部27cのLC共振回路における昇圧は、電力損失が大きくならない範囲にとどめて、プリ昇圧部27bの昇圧コイルを併用して、必要な電圧まで昇圧するほうが回路効率が良い。また、圧電トランス16の共振特性の高次成分との影響により、LCフィルタ部27cをプリ昇圧部27bの前段に設置した場合、異常振動(高次振動)が発生するため、この課題解決のためには、プリ昇圧部27bは、LCフィルタ部27cの前段に設置するのが良い。
【0037】
また、図1、図2および図3に示すように、駆動回路30が備える保護回路28は、駆動信号生成回路27aにおける回路過電流保護、詳細は後述する電圧監視部17aで監視されている検知電圧による圧電トランス16の出力側の過電圧検知(オープン保護)および低電圧検知(ショート保護)、詳細は後述する合計電流検出回路20からの管合計電流による管電流制御保護および詳細は後述する電流差検出回路21からの電流差による管電流差保護を行うもので、それぞれの電流や電圧が許容値を超えた場合や許容範囲から外れた場合には、駆動回路30から駆動信号の出力を停止するように制御するものである。
【0038】
すなわち、保護回路28を備えることにより、発光部18の冷陰極管18a等に何らかの異常(例えば、開放や短絡)が発生した場合に、例えば、圧電トランス16の1次側のインピーダンスが低下し、圧電トランス16を流れる電流が増加し、圧電トランス16の振動が大きくなり、圧電トランス16の温度が上昇したとしても、電流値や電圧値が許容値を超えた場合や許容範囲から外れた時点で保護回路28が圧電トランス16の駆動信号を停止するので、圧電トランス16の駆動が停止され、電流も流れなくなり、圧電トランス16の振動も停止するので、圧電トランス16が熱暴走し、破壊されるのを未然に防止することができる。
なお、保護回路28の具体的構成および作用や保護回路28による保護モードの詳細については後述する。
【0039】
なお、駆動部14、駆動回路30、断続波生成部30d、D−FF30a、波形整形部30b、駆動信号生成回路27a、プレ昇圧部27b、LCフィルタ部27cまたは27c’および保護回路28などの具体的な回路構成は、何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。
駆動部14およびその駆動回路30は、基本的に以上のように構成される。
【0040】
次に、駆動部14の駆動回路30のLCフィルタ部27cにおいて正弦波に変換された駆動信号、例えば、互いに逆位相の2種(2相)の駆動信号(図1、図2、図4(a)参照)、または単相の駆動信号(図4(b)参照)が入力される圧電インバータ部17について説明する。
ここで、圧電インバータ部17は、図1、および図3に示すように、圧電トランス16と、電圧監視部17aと、バラストコンデンサ部17bとを備える。
まず、圧電トランス16は、図1に示すように、入力された1次側交流信号に基づいて2次側交流信号を出力するものであるが、本実施形態においては、例えば、本出願人の一人に係る特開2005−129475号公報に開示されたハイパワー圧電トランスを用いることができる。なお、その構成および作用は、同公報によって詳細に説明されているので、以下に、簡単に説明する。
【0041】
圧電トランス16は、図5に示すように、所定厚さを持つ長方形の平板形状の圧電セラミックス32と、第1入力電極34a、34bと、第2入力電極36a、36bと、第1出力電極38と、第2出力電極40とから構成され、入力される駆動信号を圧電セラミックス32を、その厚み方向に挟むように、設けられた入力電極対である第1入力電極34a、34bおよび第2入力電極36a、36bに印加し、それから発生する振動を利用して長さ方向に取り付けられた出力電極対である第1および第2出力電極38および40から電力として取り出すものである。
【0042】
圧電セラミックス32は、所定厚さを持つ長方形の平板形状の圧電セラミックス素子であり、例えば、その長さ方向の寸法L:80mm、幅方向の寸法W:18mm、厚さ方向の寸法t:4mmとすることができる。圧電セラミックス32は、本実施形態の場合、長さ方向の寸法Lと幅方向の寸法Wとの比W/Lが0.2前後となるように構成され、長さ方向の2次振動モード(λモード)で振動する。従って、振動の中心周波数を決定するのは長さ方向の寸法Lであり、電圧増幅率は、長さ方向の寸法Lと厚さ方向の寸法tとの比L/tで決定される。なお、本実施形態では、長さ方向の2次振動モード(λモード)を用いているが、本発明はこれには限定されず、幅方向の振動モード、または、厚さ方向の振動モードを用いるようにしても良い。
【0043】
圧電セラミックス32は、図5に示すように、長さ方向の一方(図5中左側)の端部から他方(図5中右側)の端部まで、第1領域32a、第2領域32b、第3領域32c、第4領域32dおよび第5領域32eに5分割され、それぞれの領域の長さ方向の長さの割合は、約2:2:1:2:2である。第2領域32bおよび第4領域32dは入力電圧(駆動回路30のLCフィルタ部27cから入力される駆動信号)の入力部であり、第1領域32aおよび第5領域32eは,出力電圧(高圧信号)の出力部、第3領域32cは剛体部である。
【0044】
第1入力電極34a、34b、第2入力電極36a、36b、第1出力電極38および第2出力電極40は焼成銀で形成されている。
第1入力電極34a、34bは、圧電セラミックス32の第2領域32bの厚さ方向の両面(図5中上下面)に、それぞれ配置されている。第2入力電極36a、36bは、同様に、圧電セラミックス32の第4領域32dの厚さ方向の両面に、それぞれ配置されている。ここで、第1入力電極34aの入力端子42aと第2入力電極36aの入力端子44aとは、互いに接続され、第1入力電極34bの入力端子42bと第2入力電極36bの入力端子44bとは、互いに接続される。
また、第1出力電極38は、圧電セラミックス32の長さ方向の一方の端面(図5中左面)に配置され、同様に、第2出力電極40は、同他方の端面(図5中右面)に配置されている。
【0045】
また、図5中矢印で示すように、第1領域32aは、第2領域32b側から圧電セラミックス32の長さ方向の一方の端面側に向かって分極されており、同様に、第5領域32eは、第4領域32d側から圧電セラミックス32の長さ方向の他方の端面側に向かって分極されている。また、第2領域32bは、上述したように、圧電セラミックス32の厚さ方向の下面側から上面側、すなわち、下面の第1入力電極34b側から、上面の第1入力電極34a側に向かって分極されており、逆に、第4領域32dは、圧電セラミックス32の厚さ方向の上面側から下面側、すなわち、上面の第2入力電極36a側から、下面の第2入力電極36b側に向かって分極されている。すなわち、圧電セラミックス32において、第2領域32bと第4領域32dとは、互いに逆方向に分極されている。なお、第3領域32cは、未分極状態である。
【0046】
前述の通り、圧電セラミックス32の第2領域32bおよび第4領域32dの厚さ方向に、それぞれ第1入力電極34a、34bおよび第2入力電極36a、36bという2組の入力電極が取り付けられているが、第2領域32bおよび第4領域32dでは、それぞれ厚さ方向に対する分極の方向が約180度異なる。例えば、第2領域32bでは、上面の第1入力電極34a側ではプラス、下面の第1入力電極34b側ではマイナスになり、第4領域32dでは、上面の第2入力電極36a側ではマイナス、下面の第2入力電極36a側ではプラスに分極するように構成されている。
圧電トランス16には、駆動部14の駆動回路30のLCフィルタ部27cから、厚み方向に、すなわち第1入力電極34aおよび第2入力電極36aと、第1入力電極34bおよび第2入力電極36bとに、入力電圧として、それぞれ180度位相が異なる2相の駆動信号(正弦波の交流信号)が入力され、または、その一方に単相の駆動信号が入力され、その他方が接地される。
【0047】
具体的には、互いに逆位相の2相の駆動信号が入力される場合には、図4(a)に示すように、図5中上面側の各入力端子42aおよび44aが互いに接続された第1入力電極34aおよび第2入力電極36aには、一方の駆動信号が入力され、図5中下面側の各入力端子42bおよび44bが互いに接続された第1入力電極34bおよび第2入力電極36bには、他方の駆動信号が入力される。
一方、単相の駆動信号が入力される場合には、図4(b)に示すように、図5中上面側の各入力端子42aおよび44aが互いに接続された第1入力電極34aおよび第2入力電極36aに、単相の駆動信号が入力され、図5中下面側の各入力端子42bおよび44bが互いに接続された第1入力電極34bおよび第2入力電極36bは、接地される。
【0048】
入力電圧として、2相または単相の駆動信号が与えられると、逆圧電効果により、圧電セラミックス32に応力が生じて振動し、第2領域32bおよび第4領域32dは、厚さ方向に機械的歪みを生じる。すると、第1領域32aおよび第5領域32eには、圧電効果により、その分極方向に電位差が生じる。その結果、第1出力電極38および第2出力電極40からは、駆動信号とほぼ等しい周波数で、駆動信号よりも高い電圧の180度位相が異なる2相の高圧信号(正弦波の交流信号)が、各々の出力端子46および48を通って同時に出力される。
なお、圧電セラミックス32の中央部に未分極の第3領域32cが設けられていることにより、この未分極部分が振動しない強固な剛体部として機能し、ハイパワー(高電力)の出力時に発生する捩り方向の振動モードや、蛇行方向の振動モードをより好適に抑制することができる。
【0049】
本実施形態では、駆動回路30から入力される駆動信号の、例えば650Vp−pの入力電圧が、例えば、約10倍に昇圧され、6500Vp−pの出力電圧が得られる。例えば、発光部18に使用される冷陰極管(CCFL)18aが、管長527mm、管外形φ2.6mm程度であれば、1本当たり電圧1000〜1200Vrmsで点灯可能であるが、例えば、発光部18内に冷陰極管18aが2本ずつ直列に接続されている場合には、2本分の冷陰極管18aを点灯させるために必要な電圧2000〜2400Vrmsまで昇圧する。
【0050】
なお、本実施形態では、昇圧用圧電トランス16として、30W級のハイパワー出力が可能な圧電セラミックトランスを使用しているが、これに限定されず、光源装置10の用途に応じて、例えば、通常の3W級のローパワー出力の圧電トランスを使用してもよいし、逆に、圧電セラミックス32の厚みを厚くして、さらには、断面を矩形化し、あるいは、圧電セラミック32の断面を円形または楕円形化して、さらに、ハイパワー化した圧電トランス用いても良い。要するに、発光部18が必要とする電圧を出力可能な圧電トランスを使用すればよい。なお、前述したとおり、圧電トランス16に入力する1次側交流信号は、片側を接地(グランド;GND)とした単相であっても良いのはもちろんである。
【0051】
圧電トランス16で昇圧された出力電圧信号は、図1および図3に示すように、圧電トランス16の出力側に設けられている電圧監視部17aに入力される。
電圧監視部17aは、圧電トランス16の出力側に設けられ、発光部18のCCFL18aのオープン保護のために、圧電トランス16の出力側の過電圧を検知し、また、発光部18のCCFL18aのショート保護のために、圧電トランス16の出力側の低電圧を検知するためのものである。すなわち、電圧監視部17aは、圧電トランス16の出力側の過電圧検知部および低電圧検知部としての両方の機能を持つ。このため、電圧監視部17aは、図3に示すように、圧電トランス16から出力される両端の電圧を監視できるように、それぞれを抵抗分圧した後、整流素子で整流し、合成し、さらに、その電流を抵抗で受けて検出用電圧に変換している。すなわち、電圧監視部17aは、両方の出力端を図示例では、4つの抵抗で接続し、その中間を接地し、両出力端と接地との間の2つの抵抗の中間から出力を取り出し、整流後、合成し、変換後、検出用電圧を出力している。
電圧監視部17aの検出用電圧の出力は、駆動部14の駆動回路30の保護回路28にフィードバックされ、その保護回路セクション74および保護回路セクション76に入力される。
【0052】
電圧監視部17aは、発光部18のCCFL18a等の破損により、圧電トランス16の出力がオープン(OPEN)、あるいは軽負荷になった場合(圧電トランス16の負荷が無負荷あるいは軽負荷(例えば、複数のCCFL18a中の1本が破損した場合等を含む)となった場合)には、通常の出力電圧に比べて高電圧が発生するので、その状態を検知し、保護回路28にフィードバックし、保護回路28によって駆動回路30の駆動信号生成回路27aのドライブを停止し、圧電トランス16からの高電圧出力を停止させ、高電圧出力による危険から使用者等を保護すると共に、発光部18のCCFL18aの故障等により、圧電トランス16の出力がショート(SHORT)になった場合(圧電トランス16の負荷が重負荷または過負荷となった場合)には、通常の出力電圧に比べて低電圧が発生するので、その状態を検知し、保護回路28にフィードバックし、保護回路28によって駆動回路30の駆動信号生成回路27aのドライブを停止し、圧電トランス16からの低電圧出力を停止させ、重負荷または過負荷によって圧電トランス16の許容電力をオーバーし、破壊に至らしめる危険を保護する。
なお、保護回路28の具体的構成および作用や保護回路28による保護モードの詳細については後述する。
【0053】
次に、図1および図3に示すように、圧電トランス16から出力され、電圧監視部17aを経た2相(2種)の駆動高圧信号は、バラストコンデンサ部17bを介して発光部18に入力される。
バラストコンデンサ部17bは、圧電トランス16の出力インピーダンスと発光部18の冷陰極管18aの負性抵抗とのマッチング用のバラストコンデンサを備えるもので、図3に示すように、電圧監視部17aの2つの出力にそれぞれ接続される2つのバラストコンデンサを備え、それぞれ電圧監視部17aからの2種の駆動信号に作用する。具体的には、圧電トランス16から出力される一方の高圧信号が、図3中上側のバラストコンデンサを介して発光部18の上側2本の冷陰極管18aに入力され、他方の高圧信号が、下側のバラストコンデンサを介して発光部18の下側2本の冷陰極管18aに入力されている。
【0054】
従来の3W級以下のローパワー出力の圧電トランスと冷陰極管との組合せでは、圧電トランスの出力インピーダンスが大きいため、バラストコンデンサを使用せずとも、冷陰極管を駆動できていた。しかし、本発明において好ましく用いられる圧電トランス16のように、30W級のハイパワー出力の圧電トランス16の場合、その厚さが従来よりも厚いために出力インピーダンスが小さくなり、冷陰極管18aの負性抵抗とのバランスがとれずに安定点灯しにくくなる。
これは、負荷側(冷陰極管18a側)の負性抵抗よりも、入力側(圧電トランス16側)の出力インピーダンスの方が大きくないと、発光部18の冷陰極管18aが安定点灯しないという理由による。すなわち、本実施形態のように、ハイパワー化した圧電トランス16と冷陰極管18aとの組合せにおいては、圧電トランス16と発光部18との間にバラストコンデンサ部17bを初めて設けて、圧電トランス16の出力側と冷陰極管18aとの間にバラストコンデンサを介在させることにより、冷陰極管18aを初めて安定点灯させることが可能となる。
【0055】
なお、前述の通り、例えば、3W級以下のローパワー出力の圧電トランスのように、その出力インピーダンスが大きい圧電トランスを用いる場合には、バラストコンデンサは必ずしも必要ではないが、このような場合にも、本発明を適用することができるのはもちろんであり、圧電トランスの出力側と冷陰極管との間にバラストコンデンサを介在させても良いのはもちろんである。
また、圧電インバータ部17、圧電トランス16、電圧監視部17aおよびバラストコンデンサ部17bなどの具体的な回路構成は、何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。
圧電インバータ部17は、基本的に以上のように構成される。
【0056】
次に、圧電インバータ部17のバラストコンデンサ部17bを経た2相(2種)の駆動高圧信号は、発光部18の冷陰極管18aに入力される。
本実施形態の発光部18は、冷陰極管(CCFL)18a、好ましくは、図1、図3および図4に示すように、複数の冷陰極管(CCFL)18aを配置したものである。例えば、発光部18では、4本の冷陰極管18aを、図3に示すように結線して、4本同時点灯を可能としている。図示例では、発光部18は、2本の冷陰極管18aを直列に接続した2管直列光源を2組使用して、好ましくは、それぞれ、2系統が交差しないように、一方の2本の冷陰極管18aの2管直列光源の周囲を囲むように他方の2管直列光源を並列に配置し、複数同時点灯を可能にしている。すなわち、それぞれの2管直列光源は、2本の冷陰極管18aを並列に配置し、その同じ方向の一方の端子(図3および図4中右側の端子)が直列に接続されている。また、2組の2管直列光源は、一方(図3および図4中外側)の2管直列光源の2本の冷陰極管18aが、他方(図3中内側)の2管直列光源の2本の冷陰極管18aと並列に、その両側を挟むように配置されているのが好ましい。
この場合には、図示例の4本の各冷陰極管18aは、その仕様も含め、特に制限されるわけではないが、一例として、例えば、その仕様が、管長527mm、管外形φ2.6mm、管内径φ2.0mm、色温度6500K前後、Ni電極、ガス圧70Torr、輝度約30000cd/mであるものを用いることができる。
【0057】
なお、発光部18は、4本の冷陰極管18aを使用するものに限定されず、4本以上の複数本の冷陰極管18aを同時点灯するように構成してもよい。例えば、6本の冷陰極管18aを同様に結線して3組の2管直列光源を使用する場合、1組目の2管直列光源の2本の冷陰極管18aと並列に、その両側を挟むように、(図中において上下に配置する)2組目の2管直列光源の2本の冷陰極管18aを配置し、さらに2組目の2管直列光源の2本の冷陰極管18aと並列に、その両側を挟むように3組目の2管直列光源の2本の冷陰極管18aを配置する。4組以上の2管直列光源を使用する場合も同様である。
【0058】
続いて、発光部18は、図1、図3および図4に示すように、バランサ部22に接続されている。ここで、図示例のバランサ部22は、バランス回路19、合計電流検出回路20および電流差検出回路21を備えている。すなわち、図3に示すように、発光部18の2組の2管直列光源のそれぞれの冷陰極管18aの接続部間には、バランス回路19と、合計電流検出回路20と、電流差検出回路21とが直列に挿入され、バランサ部22を構成している。なお、本発明においては、発光部18は、直接合計電流検出回路20に接続されていれば良く、バランサ部22は、合計電流検出回路20のみを有していれば良く、バランス回路19および電流差検出回路21を有していなくても良いが、好ましくは、これらの2つの回路のいずれか1つまたは両方とも備えているのが良い。例えば、図4に示すように、バランサ部22は、バランス回路19のみでも良い。
【0059】
バランサ部22のバランス回路19は、発光部18のそれぞれの冷陰極管18aに流れる管電流(交流電流値)を常にほぼ均一に揃えるものである。バランス回路19は、図3に示すように、冷陰極管18aの冷陰極側において、隣接する2組の2管直列光源それぞれの冷陰極管18a同士の接続部間において、極性の異なるコイルを配置した、すなわち、それぞれ極性(コイルを巻く方向)が逆向きの1対の巻線数の等しいコイルを1つのコアに巻き付けた非常に構成が単純なバランスコイル(カレントトランス)によって構成されている。
ここで、図3に示すバランスコイルにおいて、1対のコイル近傍に示すドット‘・’が同じ側にある場合、その極性が同じであることを表し、違う側にある場合、その極性が逆であることを表す。他の図面においても同様である。
【0060】
ここで、バランス回路19の動作原理としては、次のように説明することができる。
バランス回路19のバランスコイルにおいて、1対のコイル間に電流差が発生すると、両者は互いに逆向きの電圧を発生する。電流の大きい方は電圧を下げる向きに、電流の小さい方は電圧を上げる向きに作用する。その結果、大きい方の電流が小さくなる方向に、かつ、小さい方の電流が大きくなる方向に制御され、両者は、ほぼ一致するところで安定して平衡する。このような動作原理で、図示例の2組の2管直列光源の冷陰極管18aの管電流が揃えられる。こうして、図示例の4本の冷陰極管18aの各々に流れる交流電流値を常にほぼ均一に揃えることができる。
これにより、それぞれV(電圧)−I(電流)特性が異なる冷陰極管18aであっても、4本の冷陰極管18aの管電流をほぼ均一に揃えることができ、輝度ばらつきを2〜3%以内と大幅に低減することができ、また、輝度ばらつきをなくすことができる。
【0061】
本実施形態の光源装置10では、バランス回路19によって、2組の2管直列光源のそれぞれの冷陰極管18aの管電流のバランスをとりつつ、4本の冷陰極管18aの同時点灯を実現している。前出の特許文献2に開示の多灯点灯技術では、複数の冷陰極管の管電流をバランスさせるために、各段分岐点に各々のバランサ(分流トランス)を挿入しているため、分流トランスを冷陰極管の高圧部に設置せざるを得なかった。このため、リーケージ等の影響を受けやすく、また、効率低下を招いていた。また、他に各冷陰極管各々にバラストコンデンサを挿入するといった方法もあるが、バラストコンデンサで分圧される分の電圧ロスが大きく、効率低下を招いていた。
【0062】
これに対し、本実施形態のバランス回路19では、上記構成によって、電流バランスをとりつつ、同時に多灯点灯を実現するが、2組の2管直列光源それぞれの冷陰極管18aの接続部間において、すなわち、各組の2管直列光源の逆相駆動される中点同士においてバランスコイルを挿入することから、したがって、低圧部にバランスコイルを挿入することになるので、リーケージ等の影響を受けにくく、効率低下しないという特徴がある。
なお、2組以上の複数組の2管直列光源を使用する場合には、バランスコイルを多段接続することも可能である。
【0063】
続いて、合計電流検出回路20は、発光部18に配置されているの冷陰極管に18aに流れる管電流を検出する本発明の管電流検出回路であって、図1および図3に示す例においては、バランス回路19に直列接続され、複数本(4本)の冷陰極管18aに流れる管電流の合計電流、すなわち、2組の2管直列光源の合計電流を出力(ピックアップ)するものである。合計電流検出回路20は、図3では概念的に示しているが、本実施形態の場合、リング状のコアに、3つのコイルを巻きつけたトロイダル型コイルが用いられている。2つのコイルは、お互いに同相となるよう巻きつけてある1対のコイル、すなわち、2系統の2管直列光源に各々直列に接続されたバランス回路19の一対のコイルに各々直列に接続された同極性の1対の巻線数の等しいコイルであって、2系統の2管直列光源に流れ、バランス回路19に流れる管電流の合計電流を算出(ピックアップ)する。もう一つのコイルは、その合計電流を取り出す(出力する)ためのコイルである。
【0064】
図1および図3に示すように、合計電流検出回路20から出力される合計電流は、前述の駆動部14の発振部26の第1電圧制御発振回路24にフィードバックされる。フィードバックされた合計電流が供給された場合の発振部26の第1電圧制御発振回路24の動作は前述の通りである。
また、発光部18の冷陰極管18aの異常時(過電流防止等)に備え、図1および図3に示すように、合計電流検出回路20から出力される合計電流は、前述の駆動部14の駆動回路30内の保護回路28にもフィードバックされる。フィードバックされた合計電流が供給された場合の保護回路28の動作および作用や、保護回路28の具体的構成および保護回路28による保護モードの詳細については後述する。
なお、本実施形態では、2組の2管直列光源の合計電流を求めているが、例えば、1つのコアに、3組の2管直列光源それぞれの冷陰極管18aの接続部に接続された同極性の巻線数の同じコイルを巻き付けることによって、3組の2管直列光源の合計電流を求めることも可能である。同様にして、4組以上の2管直流光源の合計電流を求めることもできる。
【0065】
また、電流差検出回路21は、図1および図3に示すように、発光部18の複数(4本)の冷陰極管に18aに流れる管電流の差分電流、すなわち、図3に示す例では、2組の2管直列光源の電流差(差分電流)をコイルによってピックアップし、出力するものである。電流差検出回路21は、図3に示すように、合計電流検出回路20の1対のコイルに各々直列に接続された逆極性の、1対の巻線数の等しいコイルをコアに巻き付け、すなわち、コアを通して巻き付けた極性の異なるコイルを2組の2管直列光源の直列接続部間に配置し、さらに、同じコアにもう1つの電流差を取り出すためのコイルを巻き付け、検出用コイルを設けたものである。
【0066】
電流差検出回路21から出力される電流差は、前述の駆動部14の駆動回路30内の保護回路28にフィードバックされる。
発光部18の冷陰極管18a等に異常が発生した場合、例えば、図3に示す2組の2管直列光源のうちの1組の2管直列光源の1本の冷陰極管18aに異常が発生し、電流過多となった場合でも、前述のバランス回路19により、2組の2管直列光源の管電流をほぼ均一に揃えようと働く。このように、2組の2管直列光源の管電流が揃えられた結果、合計電流が多くなれば、合計電流検出回路20によって異常が検知される。しかし、バランス回路19により、2組の2管直列光源の管電流が、通常時ほど、揃えられなかった場合に、合計電流が、設定されている基準値(電流量)から大きく外れない場合がある。その場合には、これで異常を検出することはできない。従って、各組の2管直列光源の管電流のそれぞれを監視する手段が必要となる。
【0067】
一般的には、絶縁を確保するために、フォトカプラ等でそれぞれの電流を駆動部14の駆動回路30内の保護回路28にフィードバックする方法が考えられる。このため、本実施形態では、巻線型の電流差検出回路21を設け、2組の2管直列光源それぞれの冷陰極管18aの接続部間の電流差を検出することを可能にしている。この電流差は、保護回路28に供給され、保護回路28において異常を検知することが可能となり、異常が検出されると、保護回路28によって駆動回路30から駆動信号の出力が停止される。
またさらに、合計電流と電流差という相対的な情報をもとに、多数本の冷陰極管18aに流れている電流の絶対量を特定し、各冷陰極管18aの異常の有無を判定しても良い。この2つの情報の合成から、各冷陰極管18aの状態を判定する部分は、オペアンプと、ウインドコンパレータを組み合わせた回路を保護回路28内に入れれば良く、異常が検出された場合には、駆動信号の出力を停止する。
なお、従来の合計電流検出回路では、冷陰極管1本づつにカレントトランスを挿入し、そのトランス出力をオペアンプ(OP−AMP)等の回路で合計していたため、回路規模が大きくなり、小型化が困難であったが、上述したように、本実施形態の合計電流検出回路20では、2本直列接続した冷陰極管の中点に同相とした巻き線を、同じコアに巻いたカレントトランスを挿入することにより、巻き線自身で合計を出せるため、回路規模を小さくすることができる。また、本実施形態の電流差保護回路21では、カレントトランスを逆相にすることにより、巻き線自身で差を検出することが可能にしている。
【0068】
なお、上記バランス回路19、合計電流検出回路20および電流差検出回路21は、図3に示す回路構成には限定されず、同様の機能を果たす別のどのような構成の回路でも実現可能である。また、図1および図3においては、バランス回路19、合計電流検出回路20、電流差検出回路21の順に直列に接続されているが、その配置順序は、何ら限定されない。また、図示例のバランサ部22では、上記の3つのバランス回路19、合計電流検出回路20および電流差検出回路21をそれぞれ設けているが、本発明はこれに限定されず、これらの3つの回路をまとめて1つのバランサ部(バランサ回路)として構成しても良いし、同様の機能を実現できるのであれば、いかなる他の構成の各種の回路を採用することも可能である。
【0069】
続いて、図1、図2および図3を参照して、保護回路28について詳細に説明する。
本実施形態では、負荷(冷陰極管18a等)が、異常(アブノーマル)状態となったことを検知して、駆動部14内の駆動回路30のゲート部30cの保護ゲートを制御するため、様々な保護をかけるための保護手段を設けている。それらの詳細について説明する。
上述したように、本実施形態において、保護回路28が行う保護は、駆動回路30の駆動信号生成回路27a(ドライブ段)での回路過電流保護、圧電トランス16の出力側の過電圧検知(オープン保護)、圧電トランス16の出力側の低電圧検知(ショート保護)、合計電流検出回路20からの管合計電流による管電流制御保護および電流差検出回路21からの電流差による管電流差保護の5つの保護である。
【0070】
そもそも、本発明では、危険率や危険度の高い高圧発生部に発煙や発火の危険性のある巻線トランスを使用せず、圧電トランス16を用いているので、安全性が高いのは前述のとおりである。しかしながら、圧電インバータに対する負荷(冷陰極管18a等)の異常時に、自らのシステムを停止できるような保護も併せて、より安全性の高いものとしている。
なお、発光部18の冷陰極管18aにおいて、想定しうる異常(アブノーマルモード)としては、異常発熱による近接導体とのショート(過電流)、破損による不灯(オープン)、ガス等の消耗で管電圧や点灯開始電圧の上昇(不灯やオープン)等がある。したがって、本実施形態のシステムとして求められるのは、過電流保護、オープン(OPEN)検出(電流検出)、開放保護である。
【0071】
ここで、図2にしめすように、保護回路28は、上述した5つの保護を行うために、駆動回路30の駆動信号生成回路27a(ドライブ段)での回路過電流保護を行うための保護回路セクション72と、圧電トランス16の出力側の過電圧検知によるオープン保護を行うための保護回路セクション74と、圧電トランス16の出力側の低電圧検知によるショート保護を行うための保護回路セクション76と、合計電流検出回路20からの管合計電流による管電流制御保護を行うための保護回路セクション78と、電流差検出回路21からの電流差による管電流差保護を行うための保護回路セクション80とを有する。
【0072】
まず、保護回路セクション72は、駆動回路30の駆動信号生成回路27aでの回路過電流保護を行うためのもので、圧電トランス16を駆動している駆動信号生成回路27aのFET構成によるドライブ段での電流の監視を行っている。発光部18の冷陰極管18aがアブノーマル状態に入り、ショートとなった時には、圧電トランス16の負荷が増えて破壊に至る。また、駆動信号生成回路27a(ドライブ段)へもダメージを与える。保護回路セクション72は、この異常状態に入ったときに機能する。
駆動信号生成回路27aは、図2に示すように、複数のFETによりブリッジ回路を構成されており、このFET構成の設置(GND)リターン側に電流検出用の抵抗72aが挿入されており、扱う電流を電圧に変換している。扱う電流が多くなった場合には抵抗72aの両端の電圧が大きく上昇する。この抵抗端は、コンパレータ72bにつながっており、コンパレータ72bで基準電圧72cと比較される。コンパレータ72bでは、設定したドライブ段電流と、実際のドライブ電流を比較し、設定より大きいと検知された場合には、異常とされ、比較結果を保護が必要な保護信号(エラー信号)であることを示すハイ(H)として出力し、保護をかけ、設定より大きくなければ保護が不要な正常信号ロウ(L)として出力とし、保護をかけない。また、基準電流量を決める基準電圧72cの電圧値は、外部からコントロール可能であり、必要に応じて可変できる。
【0073】
コンパレータ72bの出力は、時定数をもったタイマ回路72dにつながっている。このタイマ回路72dは、突入電流などの瞬間的な過電流に反応しないようにするため、約10msecの無反応期間を持たせている。タイマ回路72dは、駆動部14の駆動回路30内のゲート部30cに接続され、タイマ回路72dを通過した信号としては、異常時には保護信号(H)がゲート部30cに入力され、その内部のゲート回路をオフさせ、断続波生成部30dの波形整形部30bから駆動信号生成回路27aへの駆動信号(断続波)の伝送を停止させる。こうして、本システムはシャットダウンされる。
一方、正常時にはタイマ回路72dから正常信号(L)がゲート部30cに入力され、その内部のゲート回路をオンの状態で維持し、断続波生成部30dから駆動信号生成回路27aへの駆動信号(断続波)を伝送させる。
【0074】
次に、保護回路セクション74は、圧電トランス16の出力側の過電圧検知でのオープン保護を行うためのもので、電圧監視部17aによって圧電トランス16の出力側の過電圧を検知している。発光部18の冷陰極管18aがオープンとなる異常状態になった時に、圧電トランス16の負荷が軽くなり、圧電トランス16は、通常の出力電圧より高い電圧を出力する。その高電圧が回路内あるいは金属近接物にリークすると、使用者に危険を及ぼす。この異常状態に入った時に、保護回路セクション74は機能する。
前述したように、圧電トランス16の出力側に設けられている電圧監視部17aは、圧電トランス16から出力される両端の電圧を監視し、検出用電圧を出力している。圧電インバータ部17の圧電トランス16圧電インバータの出力電圧が大きくなった場合には、電圧監視部17aの抵抗端の検出用電圧が大きく上昇する。この電圧監視部17aの抵抗端は、コンパレータ74aに接続されており、このコンパレータ74aは、電圧監視部17aの抵抗端の検出用電圧を基準電圧74bと比較する。すなわち、保護回路セクション74では、設定された圧電トランス16の出力側電圧(基準電圧74bで表される)と、実際の圧電トランス16の出力側電圧(電圧監視部17aの検出用電圧)とを比較し、設定値より大きいと検知された場合に、異常とされ、比較結果を保護が必要な保護信号(エラー信号)であることを示すハイ(H)として出力し、保護をかける。また、基準電流量を決める基準電圧74bの電圧値は、外部からコントロール可能であり、必要に応じて可変できる。
【0075】
コンパレータ74aの出力は、駆動回路30内のゲート部30cに接続され、コンパレータ74aの出力信号は、ゲート部30c内のゲート回路に入力され、異常時には、入力された保護信号(H)がゲート回路をオフさせ、断続波生成部30dから駆動信号生成回路27aへの駆動信号(断続波)の伝送を停止させる。こうして、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の入力が遮断され、本システムはシャットダウンされる。
なお、保護回路セクション74では、実際の圧電トランス16の出力側電圧が設定値より大きくなければ、コンパレータ74aから保護が不要な正常信号ロウ(L)が出力され、その後、ゲート部30cに入力され、その内部のゲート回路をオンの状態で維持し、駆動信号生成回路27aに駆動信号を入力させる。
【0076】
次に、保護回路セクション76は、圧電トランス16の出力側の低電圧検知でのショート保護を行うためのもので、電圧監視部17aによって圧電トランス16の出力側の低電圧を検知している。発光部18の冷陰極管18aがショートとなる異常状態になった時に、圧電トランス16の負荷が重くなるとともに、その出力電圧は通常時より低い電圧となる。このままの状態が続くと、負荷が重くなったのが原因して圧電トランス16の許容電力を超過(オーバー)し、ついには破壊に至る。この異常状態に入った時に、保護回路セクション76は機能する。
保護回路セクション76も、保護回路セクション74と同様に、圧電トランス16の出力側における電圧監視部17aの検出用電圧を利用するものであるので、電圧監視部17aの検知出力端は、コンパレータ76aに接続されており、このコンパレータ76aは、電圧監視部17aの検知出力端の検出用電圧を基準電圧76bと比較する。すなわち、保護回路セクション76では、設定された圧電トランス16の出力側電圧(基準電圧76bで表される)と、実際の圧電トランス16の出力側電圧(電圧監視部17aの検出用電圧)とを比較し、設定値より小さいと検知された場合に、異常とされ、比較結果を保護が必要な保護信号(エラー信号)であることを示すハイ(H)として出力し、保護をかける。なお、基準電流量を決める基準電圧76bの電圧値は、外部からコントロール可能であり、必要に応じて可変できる。
【0077】
コンパレータ76bの出力は、タイマ回路76cを介して駆動回路30内のゲート部30cに接続され、コンパレータ76bの出力信号は、タイマ回路76c経由してゲート部30c内のゲート回路に入力される。保護回路セクション76においても、保護回路セクション74と同様に、異常時には、入力された保護信号(H)がゲート回路をオフさせ、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の伝送を停止させる。こうして、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の入力が遮断され、本システムはシャットダウンされる。
なお、このタイマ回路76cは、第2電圧制御発振回路25の出力(PWM波)によって制御される。したがって、タイマ回路76cには、低周波でPWM制御している最中の、オン期間での基準電圧との比較結果のみ通過させる機能と、システム起動時における突入電流等の瞬間的な過電流には反応しないようにするために、無反応期間を持たせるための機能がある。この理由は、PWM波のオフ期間では、圧電トランス16にかけられている駆動信号もオフであり、このオフ期間の圧電トランス16の出力を検出してしまうと、正常状態にあるにもかかわらず、異常状態として判断されてしまうからである。また、システム起動時における突入電流等の瞬間的な過電流には反応しないようにするため、管電流制御が安定するまでの間、例えば、約100msec無反応とする期間を持たせるためである。
なお、保護回路セクション76も、保護回路セクション74と同様に、実際の圧電トランス16の出力側電圧が設定値より小さくなければ、コンパレータ76aから正常信号ロウ(L)が出力され、タイマ回路76cを経由してゲート部30cに入力され、その内部のゲート回路をオンの状態で維持し、駆動信号生成回路27aに駆動信号を入力させる。
【0078】
続いて、保護回路セクション78は、合計電流検出回路20からの管合計電流による管電流制御保護を行うためのもので、合計電流検出回路20の検出結果である管合計電流の状態を検知している。
本実施形態では、バランサ部22内の合計電流検出回路20と、駆動部14の発振部26内の第1電圧制御発振回路24において管電流が一定となるように定常的に制御がかけられているが、発光部18内の冷陰極管18aが異常状態(オープンまたはショート)に入った場合、バランサ部22のバランス回路19が、冷陰極管18aに流れる電流のバランスを取ろうとする結果、通常時よりも電流値が極端に大きくなったり小さくなったりする場合もある。この異常状態を検知した時に、保護回路セクション78は機能する。なお、この保護回路セクション78の機能が無い場合、第1電圧制御発振回路24を極端に変化させて、出力される周波数が大幅に低くしたり高くしたりされてしまうため、圧電トランス16への負担が大きく、圧電トランス16が破壊に至るケースもあるので、これはその防止にもなっている。
【0079】
本実施形態の保護回路セクション78においては、合計電流検出回路20から、発信部26の管電流フィードバック制御側の整流部24aに入力され、次いで、そのアナログSW回路24bを経由し、積分回路24cを兼ねたコンパレータ24dから出力される管合計電流値(出力信号)を、ウインドコンパレータ78aに入力し、設定された管電流値と実際の管電流値を比較し、設定範囲より外れたものと検知された場合に、異常とされ、比較結果を、保護が必要な保護信号(エラー信号)であることを示すハイ(H)として出力し、保護をかける。ここで、ウインドコンパレータ78aは、設定した2つの電圧範囲内にあるかどうかを比較するコンパレータである。なお、基準管電流範囲量を決める電圧範囲値は、外部からコントロール可能であり、必要に応じて可変できる。
次に、このウインドコンパレータ78aの出力は、タイマ回路78bを介して駆動回路30内のゲート部30cに接続され、ウインドコンパレータ78aの出力信号は、タイマ回路78bを経由してゲート部30c内のゲート回路に入力される。保護回路セクション78においても、保護回路セクション76と同様に、異常時には、入力された保護信号(H)がゲート回路をオフさせ、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の伝送を停止させる。こうして、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の入力が遮断され、本システムはシャットダウンされる。
【0080】
なお、このタイマ回路78bも、保護回路セクション76のタイマ回路76cと全く同様に、第2電圧制御発振回路25の出力(PWM波)によって制御され、PWM制御中の、オン期間での基準電圧との比較結果のみ通過させる機能と、システム起動時の無反応期間を持たせるための機能とを備える。その理由も、保護回路セクション76のタイマ回路76cの場合と全く同様であるが、保護回路セクション78のタイマ回路78bでは、システム起動時の無反応期間を約1secとしている点で異なる。
なお、保護回路セクション78においても、実際の管電流値が設定範囲から外れていなければ、保護回路セクション76と同様に、ウインドコンパレータ78aから正常信号ロウ(L)が出力され、タイマ回路78bを経由してゲート部30cに入力され、その内部のゲート回路をオンの状態で維持し、駆動信号生成回路27aに駆動信号を入力させる。
【0081】
また、保護回路セクション80は、電流差検出回路21からの電流差による管電流差保護を行うためのもので、本実施形態では、電流差検出回路21によって、2組の2管直列光源(2本直列接続された冷陰極管)の、それぞれに流れる管電流の各々の組の差を検出し、各組の管電流をそれぞれ監視している。
発光部18の冷陰極管18a等に異常が発生した場合、例えば2組の2本直列に接続された冷陰極管18aの内の1組の2本の冷陰極管18aの内の1本に異常があり、電流過多となった場合でも、前述したバランス回路19により2組の2管直列光源の管電流を均等に揃えようと働く。また、このように、2組の2管直列光源の管電流が揃えられた結果、合計電流が多くなれば、合計電流検出回路20によって異常が検知される。しかし、バランス回路19により、2組の2管直列光源の管電流が、通常時ほど、揃えられなかった場合に、合計電流が設定されている基準値(電流量)から大きく外れない場合がある。その場合には、これで異常を検出することはできない。したがって、2組の2管直列光源の各組の管電流をそれぞれ監視する手段が必要となる。
本実施形態では、フォトカプラの代わりに巻線型の電流差検知回路21を設けて、2組の直列接続された2本の冷陰極管の接続部間の電流差を検出することを可能とし、駆動部14の駆動回路30内の保護回路28に、その情報を伝え、異常を検知することを可能としている。
【0082】
保護回路セクション80では、電流差検知回路21のコイルによってピックアップされた管電流の差分信号は、整流部80aにおいて整流され、直流に変換された後、基準電圧と比較するコンパレータ80bに入る。このコンパレータ80bにおいて基準電圧80cによって設定された電流差より大きいと判断された場合には、異常とされ、比較結果を、保護が必要な保護信号(エラー信号)であることを示すハイ(H)として出力し、保護をかける。なお、基準電流量を決める基準電圧80cの電圧値は、外部からコントロール可能であり、必要に応じて可変できる。
コンパレータ80bの出力は、タイマ回路80dを介して駆動回路30内のゲート部30cに接続され、コンパレータ80bの出力信号は、タイマ回路80cを経由してゲート部30c内のゲート回路に入力される。保護回路セクション80においても、保護回路セクション78と同様に、異常時には、入力された保護信号(H)がゲート回路をオフさせ、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の伝送を停止させる。こうして、駆動信号生成回路27aへの駆動信号の入力が遮断され、本システムはシャットダウンされる。
【0083】
なお、このタイマ回路80cは、システム起動時の突入電流などの過電流に反応しないようにするため、システム起動後の約1secの無反応期間を持たせている。
なお、保護回路セクション80においても、実際の管電流の差分信号が設定電流差より大きくなければ、保護回路セクション78と同様に、コンパレータ80bから正常信号ロウ(L)が出力され、タイマ回路80cを経由してゲート部30cに入力され、その内部のゲート回路をオンの状態で維持し、駆動信号生成回路27aに駆動信号を入力させる。
【0084】
次に、バランサ部およびこれに対応する保護回路の保護モードについて説明する。
図6は、バランス回路19、合計電流検出回路20および電流差検出回路21をまとめて1つのバランサ回路として構成した別の実施形態を示す。
図6に示すバランサ部60においては、図6中左側の2管直列光源の冷陰極管18aの接続部間には2つの同極性のコイルが直列に接続されている。それぞれのコイルはコアに巻き付けられ、それぞれ同極性の巻線数の等しいコイルが同じコアに巻き付けられて、それぞれカレントトランス62、64が構成されている。同様に、右側の2管直列光源の冷陰極管18aの接続部間にも2つの同極性のコイルが直列に接続されている。それぞれのコイルはコアに巻き付けられ、それぞれ同極性の巻線数の等しいコイルが同じコアに巻き付けられて、それぞれカレントトランス66、68が構成されている。
【0085】
上側の左右2つのカレントトランス62、66を構成する内側の2つのコイルは、その一方の端子(図6中下側の端子)が互いに接続され、他方の端子(図6中上側の端子)は、それぞれ「差」と記載されている部分に接続されている。一方、下側の左右2つのカレントトランス64、68を構成する内側の2つのコイルは、右側のコイルの一方の端子(図6中下側の端子)と左側のコイルの他方の端子(図6中上側の端子)が互いに接続され、右側のコイルの他方の端子(図6中上側の端子)と左側のコイルの一方の端子(図6中下側の端子)は、それぞれ「和」と記載されている部分に接続されている。
図6中右側の2管直列光源と左側の2管直列光源とは、各々のカレントトランス62、64、66、68を介して互いに接続されることによって、左右両方の2管直列光源に流れる管電流はほぼ均一となるように制御される。つまり、図3に示すバランス回路19と同様の機能が実現されている。
【0086】
また、図6中下側の左右のカレントトランス64、68を構成する内側の2つのコイルの端子は互いに交差するように接続されているので、下側の「和」と記載されている部分からは、インピーダンス素子を介して、図3に示す合計電流検出回路20から出力される合計電流と等しい合計電流を取り出すことができる。つまり、図3に示す合計電流検出回路20と同様の機能が実現されている。
一方、上側の左右のカレントトランス62、66を構成する内側の2つのコイルの端子は互いに交差しないように接続されているので、上側の「差」と記載されている部分からは、同じくインピーダンス素子を介して、図3に示す電流差検出回路21から出力される電流差と等しい電流差を取り出すことができる。つまり、図3に示す電流差検出回路21と同様の機能が実現されている。
【0087】
次に、図6に示すバランサ部60に対応する保護回路28の保護回路セクション78および80の保護モードについて説明する。
具体的には、バランサ部60の(和)と(差)に流れる電流をインピーダンス素子で受け、その結果を、電流差検出の場合は、保護回路セクション80において、整流部80a、コンパレータ80b、タイマ回路80cおよびゲート部30cのゲート回路を経由するルートで管電流差保護回路セクションを形成し、合計電流検出の場合は 保護回路セクション78において、整流部24a、アナログスイッチ回路24bおよび積分回路24cを兼ねたコンパレータ24dを経由した後、一方は、発振部26の第1電圧制御発振回路24へ行き、電流量を一定に機能させ、もう一方は ウインドコンパレータ78a、タイマ回路78bおよびゲート部30cのゲート回路へ向かい、保護回路28を機能させる。
【0088】
なお、保護回路28およびこれを構成する保護回路セクション72、74、76、78および80、バランサ部22および60などの具体的な回路構成は、何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を使用することができる。
なお、本実施形態の保護回路28および本発明の光源装置10は、基本的に以上のように構成される。
【0089】
また、上記各実施形態は、本発明の光源装置の一例を示すものであり、本発明は、上記構成に限定されない。また、本発明の光源装置は、例えば、図1〜図6に示す各構成要素以外の各種の構成要素を含んでいてもよい。また、本発明の光源装置は、液晶テレビやコンピュータの表示装置として用いられる液晶ディスプレイなどのバックライト装置として好適に利用可能であるが、これに限らず、各種の光源装置としても利用可能である。
【0090】
以上、本発明の光源装置について種々の実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る、圧電セラミックトランスを用いる光源装置の一実施形態の概略を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光源装置の駆動部の一実施形態の回路ブロック図である。
【図3】図1に示す光源装置の駆動部を除く部分の一実施形態の回路ブロック図である。
【図4】(a)は、図1に示す光源装置の構成の概略を部分的に示す模式的回路ブロック図であり、(b)は、本発明の光源装置の別の実施形態の構成の概略を部分的に示す模式的回路ブロック図である。
【図5】図1に示す光源装置に用いられる圧電セラミックトランスの一実施形態の模式的斜視図である。
【図6】図1に示す光源装置に用いられるバランサ部の別の実施形態の模式的回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
10,11 光源装置
12 電源
14 駆動部
16 圧電セラミックトランス(圧電トランス)
17 圧電セラミックインバータ部(圧電インバータ部)
17a 電圧監視部
17b バラストコンデンサ部
18 発光部
18a 冷陰極放電管、冷陰極蛍光管(CCFL;冷陰極管)
19 バランス回路
20 合計電流検出回路
21 電流差検出回路
22 バランサ部
24 第1電圧制御発振回路
24a 整流部
24b アナログSW回路
24c積分回路
25 第2電圧制御発振回路
26 発振部
27a 駆動信号生成回路
27b プレ昇圧部
27c,27c’ LCフィルタ部
28 保護回路
30 駆動回路
30a 分周用D型フリップフロップ(D−FF)
30b 波形整形部
30c ゲート部
30d 断続波生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された1次側交流信号に基づいて2次側交流信号を出力する圧電セラミックトランスと、
前記圧電セラミックトランスに前記1次側交流信号を入力する駆動部と、
前記圧電セラミックトランスの出力側に接続され、前記圧電セラミックトランスの駆動によって発光する放電管を備える発光部と、
前記圧電セラミックトランスと前記発光部との間に接続され、前記圧電セラミックトランスの出力インピーダンスと前記発光部の前記放電管の負性抵抗とのマッチング用のバラストコンデンサと、
前記発光部の前記放電管に流れる管電流を検出する管電流検出回路を備えるバランサ部とを有し、
前記駆動部は、
前記バランサ部の前記管電流検出回路によって検出された前記管電流に応じて制御された発振周波数の基本波を発生する電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振回路から出力される前記基本波に基づいて前記圧電セラミックトランスを駆動する矩形波状の基本駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、
前記駆動回路の出力側に接続され、前記駆動信号生成回路から出力される前記基本駆動信号の電圧を、前記圧電セラミックトランスを駆動するのに要求される前記1次側交流信号の電圧まで事前に昇圧して、矩形波状第2駆動信号を生成するプレ昇圧回路と、
前記プレ昇圧回路から出力される前記矩形波状第2駆動信号を正弦波状の前記1次側交流信号に変換するLCフィルタとを有することを特徴とする圧電セラミックトランスを用いる光源装置。
【請求項2】
前記駆動部は、さらに、前記駆動信号生成回路による前記基本駆動信号の発生を制限するものである保護回路とを有する請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記保護回路は、前記駆動信号生成回路に流れる電流値が所定電流値を超えた時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものである請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
さらに、前記圧電セラミックトランスと前記バラストコンデンサとの間に接続され、前記圧電セラミックトランスの出力側の電圧を監視する電圧監視部を有し、
前記保護回路は、前記電圧監視部が所定の第1電圧値より高い過電圧を検知した時に、または所定の第2電圧値より低い電圧を検知した時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものである請求項2または3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記保護回路は、前記管電流検出回路によって検出された前記管電流が所定設定範囲から外れた時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものである請求項2〜4のいずれかに記載の光源装置。
【請求項6】
前記発光部は、前記放電管として、複数の冷陰極放電管を備え、
前記管電流検出回路は、発光している前記複数の冷陰極放電管に流れる前記管電流の合計電流を検出するものである請求項1〜5のいずれかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記複数の冷陰極放電管は、並列に配置された2本の冷陰極放電管の同じ方向の一方の端子を直列に接続した複数組の2管直列光源からなり、
前記管電流検出回路は、同極性の1対の巻線数の等しいコイルと前記複数組の2管直列光源の前記合計電流を取り出すためのコイルとを1つの第1のコアに巻き付けたものである請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記バランサ部は、さらに、前記管電流検出回路に直列に接続され、前記発光部の前記複数の冷陰極放電管に流れる各管電流を等しくするようにバランスを取るバランス回路を有する請求項6または7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記複数の冷陰極放電管は、並列に配置された2本の冷陰極放電管の同じ方向の一方の端子を直列に接続した複数組の2管直列光源からなり、
前記バランス回路は、隣接する2組の2管直列光源それぞれの冷陰極放電管同士の接続部間において、それぞれ極性が逆向きの1対の巻線数の等しいコイルを1つの第2のコアに巻き付けたバランスコイルによって構成されているものである請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記バランサ部は、さらに、前記管電流検出回路に直列に接続され、前記複数の冷陰極放電管に流れる各管電流の差である電流差を取り出す電流差検出回路を有する請求項6〜9のいずれかに記載の光源装置。
【請求項11】
前記複数の冷陰極放電管は、並列に配置された2本の冷陰極放電管の同じ方向の一方の端子を直列に接続した複数組の2管直列光源からなり、
前記電流差検出回路は、逆極性の1対の巻線数の等しいコイルと前記複数組の2管直列光源の電流差を取り出すためのコイルとを第3のコアに巻き付けたものである請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記保護回路は、前記電流差検出回路によって検出された前記電流差が、所定の電流差より大きくなった時に、前記駆動信号生成回路における前記基本駆動信号の発生を停止するものである請求項10または11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記2次側交流信号が、略180度位相の異なる2相の交流信号である請求項1〜12のいずれかに記載の光源装置。
【請求項14】
前記光源装置が、面状の光射出面を持つ面状照明装置として機能する請求項1〜13のいずれかに記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−280876(P2007−280876A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108708(P2006−108708)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【出願人】(501488594)京都技術研究所株式会社 (8)
【Fターム(参考)】