圧電デバイス
【課題】 圧電振動素子の発振周波数の変動を低減することができる圧電デバイスを提供することを課題とする。
【解決手段】 圧電デバイス100は、圧電振動子10と、前記圧電振動子10に設けられた複数の端子部材150と、前記複数の端子部材150の少なくとも2つに固定されており、該端子部材150と電気的に接続された電子部品140と、を備えることを特徴とするものである。これにより、圧電デバイス100の発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【解決手段】 圧電デバイス100は、圧電振動子10と、前記圧電振動子10に設けられた複数の端子部材150と、前記複数の端子部材150の少なくとも2つに固定されており、該端子部材150と電気的に接続された電子部品140と、を備えることを特徴とするものである。これにより、圧電デバイス100の発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電デバイスは、その例として素子搭載部材、圧電振動素子、電子部品とから主に構成されている構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。素子搭載部材に設けられた1つの凹部空間内に圧電振動素子と電子部品が搭載されている。電子部品としては、サーミスタ素子がある。サーミスタ素子は、圧電振動素子の温度情報を得るために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−205938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の圧電デバイスにおいては、圧電振動素子とサーミスタ素子とが1つの凹部空間内に搭載され、凹部空間が気密封止されているものであった。そのため、例えば、圧電デバイスを実装基板に実装する際のリフロー加熱等の加熱処理工程を圧電デバイスに対して行うと、サーミスタ素子に設けられている接続電極から発生したガスが圧電振動素子に付着し、圧電デバイスの発振周波数が変動してしまう場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、発振周波数の変動を低減することができる圧電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、圧電デバイスは、圧電振動子と、圧電振動子に設けられた複数の端子部材と、複数の端子部材の少なくとも2つに固定されており、端子部材と電気的に接続された電子部品と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様による圧電デバイスは、圧電振動子に設けられた複数の端子部材に固定されており、端子部材と電気的に接続された電子部品とを備えていることによって、圧電振動素子と電子部品は、それぞれ圧電振動子の凹部空間内と圧電振動子の凹部空間外に設けられた端子部材とに別々に搭載されているため、圧電デバイスを実装する際のリフロー加熱処理等の加熱処理工程を行っても、電子部品に設けられている接続電極から発生したガスが圧電振動素子に付着することがなくなる。よって、圧電デバイスの発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図2】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は、図1のB−B断面図である。
【図3】(a)は、実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の第1の主面からみた平面図であり、(b)は、実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の基板部の第1の主面からみた平面図であり、(c)は、実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の第2の主面からみた平面図である。
【図4】第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図である。
【図5】第3の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図7】(a)は図6のC−C断面図であり、(b)は、図6のD−D断面図である。
【図8】第5の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図9】第5の実施形態に係る圧電デバイスを構成する端子部材を接合面からみた平面図である。
【図10】第6の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図11】(a)は図10のE−E断面図であり、(b)は、図10のF−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る圧電デバイス100は、圧電振動子10と端子部材150及び電子部品140で主に構成されている。圧電振動子10の第2の主面に複数の端子部材150が接合され、複数の端子部材150の少なくとも2つに電子部品140が固定されて電気的に接続されている。
【0011】
圧電振動子10は、素子搭載部材110と圧電振動素子120と蓋体130で構成されている。素子搭載部材110に形成されている凹部空間K1内に圧電振動素子120が搭載され、凹部空間K1は蓋体130で気密封止されている。
【0012】
素子搭載部材110は、図1及び図2に示すように、基板部110aと、基板部110aの第1の主面に設けられた枠部110bとで主に構成されており、基板部110aの第1の主面と枠部110bとで凹部空間K1が形成されている。
【0013】
基板部110aは、例えば、平面視で矩形状の平板状であり、アルミナセラミックス、ガラス−セラミックス等のセラミック材料からなる。基板部の110aの第1の主面には、外周縁部に枠状の封止用導体膜HBが設けられ、封止用導体膜HBの内側には一対の圧電振動素子搭載パッド111が設けられている。
【0014】
基板部110aの第2の主面の4角には、図3に示すように、端子部材接続用電極Gが設けられている。端子部材接続用電極Gは、一対の圧電振動素子用電極G1と一対の電子部品用電極G2とによって構成される。一対の圧電振動素子用電極G1は、素子搭載部材110の基板部110aの第2の主面の短辺の両端の角部に設けられている。また、一対の電子部品用電極G2は、圧電振動素子用電極G1が設けられている短辺とは異なる基板部110aの短辺の両端の角部に設けられている。
【0015】
圧電振動素子搭載パッド111と圧電振動素子用電極G1とは、基板部110aの内部に形成された第1のビア導体112により電気的に接続されている。
【0016】
また、電子部品用電極G2の内の1つは、基板部110aの内部に形成された第2のビア導体113により封止用導体膜HBに接続されていてもよい。電子部品用電極G2は後述する端子部材150と接続され、この端子部材150は、実装基板上のグランドと接続されている実装パッドと接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。そのため、封止用導体膜HBにろう材を介して接合される金属製の枠部110b、および枠部110bに接合される蓋体130がグランドに接続されることとなり、枠部110bおよび蓋体130による凹部空間K1内のシールド性が向上する。
【0017】
素子搭載部材110は、例えば、アルミナセラミックスから成る場合、まず、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合してセラミックグリーンシートを形成し、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して穿設した貫通孔内に第1のビア導体112、第2のビア導体113等となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、表面に圧電振動素子搭載パッド111、封止用導体膜HB、端子部材接続用電極端子G等となる導体ペーストをこれらの形状に印刷塗布し、これを所定の枚数積層して圧着した後、高温で焼成することにより製作される。
【0018】
枠部110bは、例えば枠状のFe−Ni−Co合金等の金属から成り、基板部110aの第1の主面に設けられた封止用導体膜HB上にろう付けなどにより接合される。
【0019】
枠部110bを基板部110aの第1の主面に設けることにより、基板部110aと枠部体110bの内壁とで囲まれる領域に凹部空間K1が形成され、凹部空間K1に圧電振動素子120が収容される。
【0020】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。励振用電極122は、水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。また、両主面に被着されている励振用電極122それぞれに接続されて、水晶素板121の端部へ延出する引き出し電極123が形成されている。
【0021】
このような圧電振動素子120は、引き出し電極123と凹部空間K1内底面に形成されている圧電振動素子搭載パッド111とを、導電性接着剤DSを介して電気的且つ機械的に接続することによって凹部空間K1に搭載される。そして、枠部110bに蓋体130が接合されることによって凹部空間K1内の圧電振動素子120が気密封止され、圧電振動子10となる。
【0022】
導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0023】
蓋体130は、例えば、矩形状のFe−Ni合金やFe−Ni−Co合金などからなる平板状のものである。このような蓋体130は、真空状態にある凹部空間K1または窒素ガスなどが充填された凹部空間K1を気密的に封止するためのものである。例えば、蓋体130は、所定雰囲気中で素子搭載部材110の枠部110b上に載置され、シーム溶接を行うことにより枠部110bに接合される。
【0024】
このような圧電振動子10の素子搭載部材110の第2主面に複数の端子部材150が接合され、複数の端子部材150の少なくとも2つに電子部品140が固定されて電気的に接続されることで圧電デバイス100となる。
【0025】
端子部材150は、電子部品140を搭載するための電子部品用電極端子と圧電デバイス100の外部接続用電極端子として機能するものである。圧電振動子10の素子搭載部材110に形成された端子部材接続用電極Gにはんだ等の導電性接合材HDを介して接合されている。
【0026】
端子部材150は、例えば、銅等の導電性が比較的高い金属材料により形成されており、実装基板等に接続される側の接続部151と圧電振動子10に接続される側の電極部152とで構成されていて、平面視の大きさの異なる接続部151と電極部152とによって段部が形成されている。本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、接続部151が電極部152より大きく、これらが重なっていない部分が、電子部品140が接合される接合部154となる。電子部品140は圧電振動子10側に位置する接合部154の段部主面に接続されるが、隣接する2つの端子部材150の接合部154にまたがって搭載されている。
【0027】
また、端子部材150の表面には、例えば、Niめっきからなる金属膜および金めっきからなる金属膜が順次被着されて構成されている電極膜153が設けられている。これにより、端子部材150の腐食を防止するとともに、導電性接合材HDと端子部材150との接続強度を維持することができる。
【0028】
電子部品140は、例えばサーミスタ素子が用いられる。サーミスタ素子140は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された抵抗値を電圧に換算することで、換算して得られた電圧から温度情報を得ることができる。サーミスタ素子140は、抵抗値が、端子部材150を介して圧電デバイス100の外へ出力されることにより、例えば、電子機器等のメインIC(図示せず)で出力された抵抗値を電圧に換算することで温度情報を得ることができる。このようなサーミスタ素子140を圧電振動子10の近くに配置して、これによって得られた圧電振動子10の温度情報に応じて、ICにより圧電振動子を駆動する電圧を制御し、いわゆる温度補償をすることができる。
【0029】
電子部品140は接続電極141を有しており、図2に示すように、電子部品140の第1の接続電極141aが第1の端子部材150aに設けられた段部主面(接合部154)にはんだ等の導電性接合材HDを介して接続され、電子部品140の第2の接続電極141bが、第1の端子部材150aと隣接する第2の端子部材150bに設けられた段部主面(接合部154)にはんだ等の導電性接合材HDを介して接続されることで、電子部品140が隣接する2つの端子部材150にまたがって搭載されている。
【0030】
端子部材150を圧電振動子10に接合した後に電子部品140を端子部材150に接続してもよいが、電子部品140を予め接続しておいた端子部材150を圧電振動子10に接合してもよく、本実施例の場合は、後者の方が容易である。
【0031】
本発明の一つの態様による圧電デバイス100は、複数の端子部材150の少なくとも2つに固定されており、端子部材150と電気的に接続された電子部品140とを備えていることによって、圧電振動素子120と電子部品140とが素子搭載部材110の凹部空間K1の内と外の別々に搭載されているため、凹部空間K1が気密封止されている状態で圧電デバイス100に電子装置等の実装基板に実装する際にリフロー処理等の熱を加える工程を行っても、電子部品140に設けられている接続電極141から発生したガスが圧電振動素子120に付着することがなくなる。よって、圧電デバイス100の発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【0032】
また、電子部品140は圧電振動子10の外面に設けられた端子部材150に搭載されるので、電子部品140を搭載するための端子等を備えた素子搭載部材110を新たに設計する必要がない。また、第1の実施形態に係る圧電デバイス100によれば、端子部材150と圧電振動子140の間に電子部品140が配置されていることにより、電子部品140が蓋体130とグランド端子である端子部材150とで挟まれることになるので、電子部品140に対する外部からのノイズ等による影響を緩和することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係る圧電デバイス200について説明する。第2の実施形態に係る圧電デバイス200は、図4に示すように、電子部品140が圧電振動子10と接している点で第1の実施形態とは異なる。
【0034】
第2の実施形態に係る圧電デバイス200によれば、電子部品140が圧電振動子10と接していることによって、圧電振動子10を構成する素子搭載部材110から熱が直接伝わることにより、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とが近似した値になる、すなわちより正確な圧電振動素子120の温度情報を得ることができるのでより正確な温度補償が可能な圧電デバイス200となる。
【0035】
電子部品140を圧電振動子10と接して配置するには、端子部材250(250aおよび250b)の電極部252の厚み、電子部品140の厚み、端子部材250と圧電振動子10との間の導電性接合材HD厚みおよび電子部品140と端子部材250との間の導電性接合材HDの厚みを調整すればよい。具体的には、端子部材250の電極部252の厚みに端子部材150と圧電振動子10との間の導電性接合材HD厚みを加えた厚みと、電子部品140の厚みに電子部品140と端子部材250との間の導電性接合材HDの厚みを加えた厚みとが等しくなるようにすればよい。
【0036】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態に係る圧電デバイス300について説明する。第3の実施形態に係る圧電デバイス300は、電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360が設けられている点で第1の実施形態とは異なる。
【0037】
電子部品140は、図5に示すように、複数の端子部材350の少なくとも2つに導電性接合材HDを介して固定されており、端子部材350と電気的に接続され、電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360が設けられている。
【0038】
伝熱部材360は、例えばエポキシ系樹脂、シリコーン樹脂、ポリアルファオレフィンをベースとしたグリースなどの樹脂にアルミニウム、銅等の金属フィラー、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の無機フィラーを混合させたもの等が用いられる。伝熱部材360が絶縁性であると、伝熱部材360によって2つの接続電極141間で短絡することがないので好ましい。
【0039】
第3の実施形態に係る圧電デバイス300によれば、電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360が設けられていることによって、圧電振動子10を構成する素子搭載部材110から電子部品140への熱伝導性がさらに向上されたものとなるので、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とがさらに近似した値になり、さらに正確な温度補償が可能な圧電デバイス200となる。
【0040】
このような圧電デバイス300は、例えば、圧電振動子10への端子部材350の接合および端子部材350への電子部品140の接合の後に、電子部品140と圧電振動子10との間の隙間に液状の伝熱部材360を注入することで作製することができる。伝熱部材360が熱硬化性エポキシ樹脂とフィラーとからなる場合であれば、エポキシ樹脂が液状の状態で伝熱部材360を電子部品140と圧電振動子10との間の隙間に注入した後に、加熱して硬化させればよい。
【0041】
図5に示す例では、電子部品140と圧電振動子10との間の空間の一部に伝熱部材360が設けられているが、電子部品140と圧電振動子10との間の空間を伝熱部材360で充填してもよいし、さらには、電子部品140の側方の、圧電振動子10と電子部品140の側面と端子部材350の電極部352および接続部351とで囲まれる空間も伝熱部材360で充填してもよい。このようにすることで、圧電振動子10から電子部品140への伝熱経路をより大きくすることができる。
【0042】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態に係る圧電デバイス400について説明する。第4の実施形態に係る圧電デバイス400は、図6及び図7に示すように、平面視の大きさが電極部452より接続部451の方が大きい端子部材450を備えており、接合部454が圧電振動子10側に設けられ、電子部品140が搭載される段部主面が圧電振動子10とは反対側に向いている点で第1の実施形態とは異なる。
【0043】
第4の実施形態に係る圧電デバイス400によれば、圧電振動素子120から電子部品140への伝熱経路は、電極部452を介しておらず、圧電振動素子120と電子部品140との間で直線的になって短くなるので、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とがより近似した値になるようにすることが可能となる。
【0044】
また、第4の実施形態に係る圧電デバイス400によれば、端子部材450を圧電振動子10に接合した後においても、電子部品140が搭載される接合部454の段部主面が露出しているので、電子部品140の端子部材450の接合部454への搭載が容易となる。また、より低温での導電性接合材HDによる電子部品140の接合も可能となる。
【0045】
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態に係る圧電デバイス500について説明する。第5の実施形態に係る圧電デバイス500は、圧電振動子10の素子搭載部材110の対角に配置された端子部材550に電子部品140が搭載されている点で第1の実施形態と異なる。
【0046】
端子部材550は、図8及び図9に示すように、接続部551と電極部552とで構成され、端子部材550の平面視における1つの角部に段部主面、すなわち接合部が設けられており、その形状は三角形状に設けられている。そして、この接合部を内側にして端子部材550が配置されて、素子搭載部材110の基板部110aの第2の主面の4角に接合されている。4つの端子部材550のうち、対角に配置された一対の端子部材550が、電子部品140が搭載される電子部品用電極端子となり、他の対角に配置された一対の端子部材550が、圧電デバイス500の外部接続用電極端子となる。
【0047】
第5の実施形態に係る圧電デバイス500によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。そして、圧電デバイス500を大型化することなくより大型の電子部品140を搭載することが可能となる。
【0048】
第5の実施形態においても、第2の実施形態のように電子部品140を圧電振動子10と接するように搭載したり、第3の実施形態のように電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360を設けたりしてもよい。また、第4の実施形態のように平面視の大きさが電極部552より接続部551の方が大きい端子部材550としてもよい。このような場合に、電子部品140が大型であれば圧電振動素子120から電子部品140への伝熱経路を大きくすることができる。
【0049】
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態に係る圧電デバイス600について説明する。第6の実施形態に係る圧電デバイス600は、圧電振動素子120が接続されている部分の端子部材接続用電極Gの下に設けられた端子部材650に電子部品140が固定されている点で第1の実施形態とは異なる。
【0050】
図10及び図11に示すように、端子部材650は、一対の圧電デバイス100の外部接続用電極端子と一対の電子部品140が搭載される電子部品用電極端子を有しており、電子部品用電極端子が、圧電振動素子120が接続されている圧電振動素子搭載パッド111の下に設けられている。
【0051】
端子部材650は、素子搭載部材110の基板部110aの第2の主面の4角に設けられた端子部材接続用電極Gにはんだ等の導電性接合材HDを介して接合されている。端子部材接続用電極Gは、一対の圧電振動素子用電極と一対の電子部品用電極とによって構成される。一対の電子部品用電極は、圧電振動素子搭載パッド111が設けられている側の短辺の両端の角部に設けられている。また、一対の圧電振動素子用電極は、電子部品用電極が設けられている短辺とは異なる基板部110aの短辺の両端の角部に設けられている。言い換えれば、圧電振動素子120の自由端である先端部の下に設けられている。
【0052】
第6の実施形態に係る圧電デバイス600によれば、圧電振動子10は圧電振動素子120が素子搭載部材110に接続されており、圧電振動素子120が接続されている部分の端子部材接続用電極Gの下に設けられた端子部材650に電子部品140が固定されていることによって、圧電振動素子120と電子部品140との距離が小さくなってこれらの間の熱伝導が良好になるので、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とがより近似した値になるようにすることが可能となる。
【0053】
尚、本発明は上記のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、上記の実施形態では、圧電振動素子120を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【0054】
また、前記実施形態では、枠部110bが金属製である場合を説明したが、基板部110aと同様にセラミック材で形成しても構わない。この場合、枠部110bの開口側頂面の全周には、環状の封止用導体パターンが形成され、蓋体は、この封止用導体パターン上に配置接合される。この際の蓋体は、素子搭載部材の凹部空間を囲むように設けられた封止用導体パターンに相対する箇所に封止部材が設けられている。また、このとき端子部材接続用電極端子Gの電子部品用電極G2の内の1つは、基板部110aの内部に形成された第2のビア導体113および枠部110の内部に形成された第3のビア導体により封止用導体パターンに接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
110・・・素子搭載部材
110a・・・基板部
110b・・・枠部
111・・・圧電振動素子搭載パッド
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・引き出し電極
130・・・蓋体
10・・・圧電振動子
140・・・電子部品(サーミスタ素子)
141・・・接続電極
150、250、350、450、550、650・・・端子部材
151、251、351、451、551、661・・・接続部
152、252、352、452、552、652・・・電極部
154、254、354、454、654・・・接合部
100、200、300、400、500、600・・・圧電デバイス
K1・・・凹部空間
DS・・・導電性接着剤
HD・・・導電性接合材
HB・・・封止用導体膜
G・・・端子部材接続用電極端子
G1・・・圧電振動素子用接続端子
G2・・・電子部品用接続端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電デバイスは、その例として素子搭載部材、圧電振動素子、電子部品とから主に構成されている構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。素子搭載部材に設けられた1つの凹部空間内に圧電振動素子と電子部品が搭載されている。電子部品としては、サーミスタ素子がある。サーミスタ素子は、圧電振動素子の温度情報を得るために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−205938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の圧電デバイスにおいては、圧電振動素子とサーミスタ素子とが1つの凹部空間内に搭載され、凹部空間が気密封止されているものであった。そのため、例えば、圧電デバイスを実装基板に実装する際のリフロー加熱等の加熱処理工程を圧電デバイスに対して行うと、サーミスタ素子に設けられている接続電極から発生したガスが圧電振動素子に付着し、圧電デバイスの発振周波数が変動してしまう場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、発振周波数の変動を低減することができる圧電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、圧電デバイスは、圧電振動子と、圧電振動子に設けられた複数の端子部材と、複数の端子部材の少なくとも2つに固定されており、端子部材と電気的に接続された電子部品と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様による圧電デバイスは、圧電振動子に設けられた複数の端子部材に固定されており、端子部材と電気的に接続された電子部品とを備えていることによって、圧電振動素子と電子部品は、それぞれ圧電振動子の凹部空間内と圧電振動子の凹部空間外に設けられた端子部材とに別々に搭載されているため、圧電デバイスを実装する際のリフロー加熱処理等の加熱処理工程を行っても、電子部品に設けられている接続電極から発生したガスが圧電振動素子に付着することがなくなる。よって、圧電デバイスの発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図2】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は、図1のB−B断面図である。
【図3】(a)は、実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の第1の主面からみた平面図であり、(b)は、実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の基板部の第1の主面からみた平面図であり、(c)は、実施形態に係る圧電デバイスを構成する素子搭載部材の第2の主面からみた平面図である。
【図4】第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図である。
【図5】第3の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図7】(a)は図6のC−C断面図であり、(b)は、図6のD−D断面図である。
【図8】第5の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図9】第5の実施形態に係る圧電デバイスを構成する端子部材を接合面からみた平面図である。
【図10】第6の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図11】(a)は図10のE−E断面図であり、(b)は、図10のF−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る圧電デバイス100は、圧電振動子10と端子部材150及び電子部品140で主に構成されている。圧電振動子10の第2の主面に複数の端子部材150が接合され、複数の端子部材150の少なくとも2つに電子部品140が固定されて電気的に接続されている。
【0011】
圧電振動子10は、素子搭載部材110と圧電振動素子120と蓋体130で構成されている。素子搭載部材110に形成されている凹部空間K1内に圧電振動素子120が搭載され、凹部空間K1は蓋体130で気密封止されている。
【0012】
素子搭載部材110は、図1及び図2に示すように、基板部110aと、基板部110aの第1の主面に設けられた枠部110bとで主に構成されており、基板部110aの第1の主面と枠部110bとで凹部空間K1が形成されている。
【0013】
基板部110aは、例えば、平面視で矩形状の平板状であり、アルミナセラミックス、ガラス−セラミックス等のセラミック材料からなる。基板部の110aの第1の主面には、外周縁部に枠状の封止用導体膜HBが設けられ、封止用導体膜HBの内側には一対の圧電振動素子搭載パッド111が設けられている。
【0014】
基板部110aの第2の主面の4角には、図3に示すように、端子部材接続用電極Gが設けられている。端子部材接続用電極Gは、一対の圧電振動素子用電極G1と一対の電子部品用電極G2とによって構成される。一対の圧電振動素子用電極G1は、素子搭載部材110の基板部110aの第2の主面の短辺の両端の角部に設けられている。また、一対の電子部品用電極G2は、圧電振動素子用電極G1が設けられている短辺とは異なる基板部110aの短辺の両端の角部に設けられている。
【0015】
圧電振動素子搭載パッド111と圧電振動素子用電極G1とは、基板部110aの内部に形成された第1のビア導体112により電気的に接続されている。
【0016】
また、電子部品用電極G2の内の1つは、基板部110aの内部に形成された第2のビア導体113により封止用導体膜HBに接続されていてもよい。電子部品用電極G2は後述する端子部材150と接続され、この端子部材150は、実装基板上のグランドと接続されている実装パッドと接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。そのため、封止用導体膜HBにろう材を介して接合される金属製の枠部110b、および枠部110bに接合される蓋体130がグランドに接続されることとなり、枠部110bおよび蓋体130による凹部空間K1内のシールド性が向上する。
【0017】
素子搭載部材110は、例えば、アルミナセラミックスから成る場合、まず、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合してセラミックグリーンシートを形成し、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して穿設した貫通孔内に第1のビア導体112、第2のビア導体113等となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、表面に圧電振動素子搭載パッド111、封止用導体膜HB、端子部材接続用電極端子G等となる導体ペーストをこれらの形状に印刷塗布し、これを所定の枚数積層して圧着した後、高温で焼成することにより製作される。
【0018】
枠部110bは、例えば枠状のFe−Ni−Co合金等の金属から成り、基板部110aの第1の主面に設けられた封止用導体膜HB上にろう付けなどにより接合される。
【0019】
枠部110bを基板部110aの第1の主面に設けることにより、基板部110aと枠部体110bの内壁とで囲まれる領域に凹部空間K1が形成され、凹部空間K1に圧電振動素子120が収容される。
【0020】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。励振用電極122は、水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。また、両主面に被着されている励振用電極122それぞれに接続されて、水晶素板121の端部へ延出する引き出し電極123が形成されている。
【0021】
このような圧電振動素子120は、引き出し電極123と凹部空間K1内底面に形成されている圧電振動素子搭載パッド111とを、導電性接着剤DSを介して電気的且つ機械的に接続することによって凹部空間K1に搭載される。そして、枠部110bに蓋体130が接合されることによって凹部空間K1内の圧電振動素子120が気密封止され、圧電振動子10となる。
【0022】
導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0023】
蓋体130は、例えば、矩形状のFe−Ni合金やFe−Ni−Co合金などからなる平板状のものである。このような蓋体130は、真空状態にある凹部空間K1または窒素ガスなどが充填された凹部空間K1を気密的に封止するためのものである。例えば、蓋体130は、所定雰囲気中で素子搭載部材110の枠部110b上に載置され、シーム溶接を行うことにより枠部110bに接合される。
【0024】
このような圧電振動子10の素子搭載部材110の第2主面に複数の端子部材150が接合され、複数の端子部材150の少なくとも2つに電子部品140が固定されて電気的に接続されることで圧電デバイス100となる。
【0025】
端子部材150は、電子部品140を搭載するための電子部品用電極端子と圧電デバイス100の外部接続用電極端子として機能するものである。圧電振動子10の素子搭載部材110に形成された端子部材接続用電極Gにはんだ等の導電性接合材HDを介して接合されている。
【0026】
端子部材150は、例えば、銅等の導電性が比較的高い金属材料により形成されており、実装基板等に接続される側の接続部151と圧電振動子10に接続される側の電極部152とで構成されていて、平面視の大きさの異なる接続部151と電極部152とによって段部が形成されている。本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、接続部151が電極部152より大きく、これらが重なっていない部分が、電子部品140が接合される接合部154となる。電子部品140は圧電振動子10側に位置する接合部154の段部主面に接続されるが、隣接する2つの端子部材150の接合部154にまたがって搭載されている。
【0027】
また、端子部材150の表面には、例えば、Niめっきからなる金属膜および金めっきからなる金属膜が順次被着されて構成されている電極膜153が設けられている。これにより、端子部材150の腐食を防止するとともに、導電性接合材HDと端子部材150との接続強度を維持することができる。
【0028】
電子部品140は、例えばサーミスタ素子が用いられる。サーミスタ素子140は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された抵抗値を電圧に換算することで、換算して得られた電圧から温度情報を得ることができる。サーミスタ素子140は、抵抗値が、端子部材150を介して圧電デバイス100の外へ出力されることにより、例えば、電子機器等のメインIC(図示せず)で出力された抵抗値を電圧に換算することで温度情報を得ることができる。このようなサーミスタ素子140を圧電振動子10の近くに配置して、これによって得られた圧電振動子10の温度情報に応じて、ICにより圧電振動子を駆動する電圧を制御し、いわゆる温度補償をすることができる。
【0029】
電子部品140は接続電極141を有しており、図2に示すように、電子部品140の第1の接続電極141aが第1の端子部材150aに設けられた段部主面(接合部154)にはんだ等の導電性接合材HDを介して接続され、電子部品140の第2の接続電極141bが、第1の端子部材150aと隣接する第2の端子部材150bに設けられた段部主面(接合部154)にはんだ等の導電性接合材HDを介して接続されることで、電子部品140が隣接する2つの端子部材150にまたがって搭載されている。
【0030】
端子部材150を圧電振動子10に接合した後に電子部品140を端子部材150に接続してもよいが、電子部品140を予め接続しておいた端子部材150を圧電振動子10に接合してもよく、本実施例の場合は、後者の方が容易である。
【0031】
本発明の一つの態様による圧電デバイス100は、複数の端子部材150の少なくとも2つに固定されており、端子部材150と電気的に接続された電子部品140とを備えていることによって、圧電振動素子120と電子部品140とが素子搭載部材110の凹部空間K1の内と外の別々に搭載されているため、凹部空間K1が気密封止されている状態で圧電デバイス100に電子装置等の実装基板に実装する際にリフロー処理等の熱を加える工程を行っても、電子部品140に設けられている接続電極141から発生したガスが圧電振動素子120に付着することがなくなる。よって、圧電デバイス100の発振周波数が変動してしまうことを低減することができる。
【0032】
また、電子部品140は圧電振動子10の外面に設けられた端子部材150に搭載されるので、電子部品140を搭載するための端子等を備えた素子搭載部材110を新たに設計する必要がない。また、第1の実施形態に係る圧電デバイス100によれば、端子部材150と圧電振動子140の間に電子部品140が配置されていることにより、電子部品140が蓋体130とグランド端子である端子部材150とで挟まれることになるので、電子部品140に対する外部からのノイズ等による影響を緩和することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係る圧電デバイス200について説明する。第2の実施形態に係る圧電デバイス200は、図4に示すように、電子部品140が圧電振動子10と接している点で第1の実施形態とは異なる。
【0034】
第2の実施形態に係る圧電デバイス200によれば、電子部品140が圧電振動子10と接していることによって、圧電振動子10を構成する素子搭載部材110から熱が直接伝わることにより、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とが近似した値になる、すなわちより正確な圧電振動素子120の温度情報を得ることができるのでより正確な温度補償が可能な圧電デバイス200となる。
【0035】
電子部品140を圧電振動子10と接して配置するには、端子部材250(250aおよび250b)の電極部252の厚み、電子部品140の厚み、端子部材250と圧電振動子10との間の導電性接合材HD厚みおよび電子部品140と端子部材250との間の導電性接合材HDの厚みを調整すればよい。具体的には、端子部材250の電極部252の厚みに端子部材150と圧電振動子10との間の導電性接合材HD厚みを加えた厚みと、電子部品140の厚みに電子部品140と端子部材250との間の導電性接合材HDの厚みを加えた厚みとが等しくなるようにすればよい。
【0036】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態に係る圧電デバイス300について説明する。第3の実施形態に係る圧電デバイス300は、電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360が設けられている点で第1の実施形態とは異なる。
【0037】
電子部品140は、図5に示すように、複数の端子部材350の少なくとも2つに導電性接合材HDを介して固定されており、端子部材350と電気的に接続され、電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360が設けられている。
【0038】
伝熱部材360は、例えばエポキシ系樹脂、シリコーン樹脂、ポリアルファオレフィンをベースとしたグリースなどの樹脂にアルミニウム、銅等の金属フィラー、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の無機フィラーを混合させたもの等が用いられる。伝熱部材360が絶縁性であると、伝熱部材360によって2つの接続電極141間で短絡することがないので好ましい。
【0039】
第3の実施形態に係る圧電デバイス300によれば、電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360が設けられていることによって、圧電振動子10を構成する素子搭載部材110から電子部品140への熱伝導性がさらに向上されたものとなるので、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とがさらに近似した値になり、さらに正確な温度補償が可能な圧電デバイス200となる。
【0040】
このような圧電デバイス300は、例えば、圧電振動子10への端子部材350の接合および端子部材350への電子部品140の接合の後に、電子部品140と圧電振動子10との間の隙間に液状の伝熱部材360を注入することで作製することができる。伝熱部材360が熱硬化性エポキシ樹脂とフィラーとからなる場合であれば、エポキシ樹脂が液状の状態で伝熱部材360を電子部品140と圧電振動子10との間の隙間に注入した後に、加熱して硬化させればよい。
【0041】
図5に示す例では、電子部品140と圧電振動子10との間の空間の一部に伝熱部材360が設けられているが、電子部品140と圧電振動子10との間の空間を伝熱部材360で充填してもよいし、さらには、電子部品140の側方の、圧電振動子10と電子部品140の側面と端子部材350の電極部352および接続部351とで囲まれる空間も伝熱部材360で充填してもよい。このようにすることで、圧電振動子10から電子部品140への伝熱経路をより大きくすることができる。
【0042】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態に係る圧電デバイス400について説明する。第4の実施形態に係る圧電デバイス400は、図6及び図7に示すように、平面視の大きさが電極部452より接続部451の方が大きい端子部材450を備えており、接合部454が圧電振動子10側に設けられ、電子部品140が搭載される段部主面が圧電振動子10とは反対側に向いている点で第1の実施形態とは異なる。
【0043】
第4の実施形態に係る圧電デバイス400によれば、圧電振動素子120から電子部品140への伝熱経路は、電極部452を介しておらず、圧電振動素子120と電子部品140との間で直線的になって短くなるので、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とがより近似した値になるようにすることが可能となる。
【0044】
また、第4の実施形態に係る圧電デバイス400によれば、端子部材450を圧電振動子10に接合した後においても、電子部品140が搭載される接合部454の段部主面が露出しているので、電子部品140の端子部材450の接合部454への搭載が容易となる。また、より低温での導電性接合材HDによる電子部品140の接合も可能となる。
【0045】
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態に係る圧電デバイス500について説明する。第5の実施形態に係る圧電デバイス500は、圧電振動子10の素子搭載部材110の対角に配置された端子部材550に電子部品140が搭載されている点で第1の実施形態と異なる。
【0046】
端子部材550は、図8及び図9に示すように、接続部551と電極部552とで構成され、端子部材550の平面視における1つの角部に段部主面、すなわち接合部が設けられており、その形状は三角形状に設けられている。そして、この接合部を内側にして端子部材550が配置されて、素子搭載部材110の基板部110aの第2の主面の4角に接合されている。4つの端子部材550のうち、対角に配置された一対の端子部材550が、電子部品140が搭載される電子部品用電極端子となり、他の対角に配置された一対の端子部材550が、圧電デバイス500の外部接続用電極端子となる。
【0047】
第5の実施形態に係る圧電デバイス500によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。そして、圧電デバイス500を大型化することなくより大型の電子部品140を搭載することが可能となる。
【0048】
第5の実施形態においても、第2の実施形態のように電子部品140を圧電振動子10と接するように搭載したり、第3の実施形態のように電子部品140と圧電振動子10との間に伝熱部材360を設けたりしてもよい。また、第4の実施形態のように平面視の大きさが電極部552より接続部551の方が大きい端子部材550としてもよい。このような場合に、電子部品140が大型であれば圧電振動素子120から電子部品140への伝熱経路を大きくすることができる。
【0049】
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態に係る圧電デバイス600について説明する。第6の実施形態に係る圧電デバイス600は、圧電振動素子120が接続されている部分の端子部材接続用電極Gの下に設けられた端子部材650に電子部品140が固定されている点で第1の実施形態とは異なる。
【0050】
図10及び図11に示すように、端子部材650は、一対の圧電デバイス100の外部接続用電極端子と一対の電子部品140が搭載される電子部品用電極端子を有しており、電子部品用電極端子が、圧電振動素子120が接続されている圧電振動素子搭載パッド111の下に設けられている。
【0051】
端子部材650は、素子搭載部材110の基板部110aの第2の主面の4角に設けられた端子部材接続用電極Gにはんだ等の導電性接合材HDを介して接合されている。端子部材接続用電極Gは、一対の圧電振動素子用電極と一対の電子部品用電極とによって構成される。一対の電子部品用電極は、圧電振動素子搭載パッド111が設けられている側の短辺の両端の角部に設けられている。また、一対の圧電振動素子用電極は、電子部品用電極が設けられている短辺とは異なる基板部110aの短辺の両端の角部に設けられている。言い換えれば、圧電振動素子120の自由端である先端部の下に設けられている。
【0052】
第6の実施形態に係る圧電デバイス600によれば、圧電振動子10は圧電振動素子120が素子搭載部材110に接続されており、圧電振動素子120が接続されている部分の端子部材接続用電極Gの下に設けられた端子部材650に電子部品140が固定されていることによって、圧電振動素子120と電子部品140との距離が小さくなってこれらの間の熱伝導が良好になるので、圧電振動素子120の温度と電子部品140の温度とがより近似した値になるようにすることが可能となる。
【0053】
尚、本発明は上記のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、上記の実施形態では、圧電振動素子120を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【0054】
また、前記実施形態では、枠部110bが金属製である場合を説明したが、基板部110aと同様にセラミック材で形成しても構わない。この場合、枠部110bの開口側頂面の全周には、環状の封止用導体パターンが形成され、蓋体は、この封止用導体パターン上に配置接合される。この際の蓋体は、素子搭載部材の凹部空間を囲むように設けられた封止用導体パターンに相対する箇所に封止部材が設けられている。また、このとき端子部材接続用電極端子Gの電子部品用電極G2の内の1つは、基板部110aの内部に形成された第2のビア導体113および枠部110の内部に形成された第3のビア導体により封止用導体パターンに接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
110・・・素子搭載部材
110a・・・基板部
110b・・・枠部
111・・・圧電振動素子搭載パッド
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・引き出し電極
130・・・蓋体
10・・・圧電振動子
140・・・電子部品(サーミスタ素子)
141・・・接続電極
150、250、350、450、550、650・・・端子部材
151、251、351、451、551、661・・・接続部
152、252、352、452、552、652・・・電極部
154、254、354、454、654・・・接合部
100、200、300、400、500、600・・・圧電デバイス
K1・・・凹部空間
DS・・・導電性接着剤
HD・・・導電性接合材
HB・・・封止用導体膜
G・・・端子部材接続用電極端子
G1・・・圧電振動素子用接続端子
G2・・・電子部品用接続端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子と、
前記圧電振動子に設けられた複数の端子部材と、
前記複数の端子部材の少なくとも2つに固定されており、該端子部材と電気的に接続された電子部品と、を備えることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記電子部品が前記圧電振動子と接していることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記電子部品と前記圧電振動子との間に伝熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記端子部材は前記電子部品が接合される接合部を有しており、該接合部と前記圧電振動子の間に前記電子部品が配置されている請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記端子部材は前記電子部品が接合される接合部を有しており、該接合部が前記圧電振動子と前記電子部品との間に配置されている請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記圧電振動子は圧電振動素子が素子搭載部材に接続されており、前記圧電振動素子が接続されている部分の端子部材接続用電極の下に設けられた端子部材に前記電子部品が固定されていることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項1】
圧電振動子と、
前記圧電振動子に設けられた複数の端子部材と、
前記複数の端子部材の少なくとも2つに固定されており、該端子部材と電気的に接続された電子部品と、を備えることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記電子部品が前記圧電振動子と接していることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記電子部品と前記圧電振動子との間に伝熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記端子部材は前記電子部品が接合される接合部を有しており、該接合部と前記圧電振動子の間に前記電子部品が配置されている請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記端子部材は前記電子部品が接合される接合部を有しており、該接合部が前記圧電振動子と前記電子部品との間に配置されている請求項1記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記圧電振動子は圧電振動素子が素子搭載部材に接続されており、前記圧電振動素子が接続されている部分の端子部材接続用電極の下に設けられた端子部材に前記電子部品が固定されていることを特徴とする請求項1記載の圧電デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51612(P2013−51612A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189430(P2011−189430)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
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