説明

圧電ポンプ

【課題】 本発明は、限られた小さなスペースに収めることができ、ポンプの向きなど姿勢に制約がなく、内部に気泡も溜まりにくい圧電ポンプを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明は、略直方体状の本体内部に、圧電素子を振動板に貼り付けることによりダイヤフラムが形成された長円状又は楕円状のポンプ室と、前記ポンプ室に連設された長円状又は楕円状の弁室とを設け、前記ポンプ室に本体外部から管状の吸込口を接続、及び前記弁室に本体外部から管状の吐出口を接続し、前記吸込口とポンプ室との間にセラミック又は金属のボールを薄い金属の弁押さえ板で押さえた吸込側逆止弁、及び前記ポンプ室と弁室との間にセラミック又は金属のボールを薄い金属の弁押さえ板で押さえた吐出側逆止弁を設けたことを特徴とする圧電ポンプの構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子の振動を利用して液体の吸込み及び吐出を行う小型の圧電ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプは、圧力の作用を利用して液体や気体を吸い上げたり送ったりする機器であり、様々な種類のポンプが存在するが、圧電素子を使用することにより、非常に小さなポンプを作ることができる。
【0003】
尚、圧電素子は、圧電効果を得ることができるセラミックス系又は高分子系の物質を板状に成形し、両面に電極を設けたものである。電極に電気を流すことにより、圧電素子を振動させることができる。
【0004】
圧電素子を利用して小型化した圧電ポンプは、ノート型のパーソナルコンピュータの冷却装置やインクジェットプリンタのインクトジェットなど、小型化が要求される機器の部材として応用される。
【0005】
特許文献1に記載されているように、ポンプ室が柔軟性物質からなる壁面と吸込用逆止弁及び吐出用逆止弁とを有し、圧電振動子によってポンプ室の柔軟性物質を駆動することで、給液供給量を精密に一定にできる定量送給ポンプという発明も公開されている。
【特許文献1】特開平08−193579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の圧電ポンプでは、逆止弁にゴム、樹脂又は金属等の弾性体を使っており、同じ部品により、弾性を利用して押える仕事と、液体をシールする弁としての仕事の両方をさせている。
【0007】
しかしながら、シール性を良くする為に軟らかい材料を使うと、圧力変化で弁材料が変形し、一回の吐出量の精度が悪くなるし、逆に金属のフート弁のようにゴムや樹脂より硬い材料を使うと、板状の弁が孔に密着されづらく、シール部の逆止効果が低くなる。
【0008】
また、開放圧力を調整する為にコイルスプリングでボールを押さえる逆止弁を使用している場合は、コイルスプリングのサイズを小さくすることが難しく、特に薄いポンプを作ることが困難である。
【0009】
弁の閉塞を重力に頼っている場合は、液体を下から上に流す必要があり、ポンプの姿勢が制限され、小型化するのが難しい。更に、弁に弾性体を使用したポンプ室の形状は円形であることが多く、内部の気泡が抜けにくい。
【0010】
そこで、本発明は、限られた小さなスペースに収めることができ、ポンプの向きなど姿勢に制約がなく、内部に気泡も溜まりにくい圧電ポンプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、略直方体状の本体2内部に、表面3a及び裏面3bに電極を設けた圧電素子3を振動板3cに貼り付けることによりダイヤフラムが形成された、内部が中空で長円状又は楕円状のポンプ室6と、前記ポンプ室6に連設され、内部が中空で弁室蓋2aにより密閉された、長円状又は楕円状の弁室8とを設け、前記ポンプ室6に本体2外部から管状の吸込口4を接続、及び前記弁室8に本体2外部から管状の吐出口9を接続し、前記吸込口4とポンプ室6との間に真円度及び面粗度を高精度に加工したバルブシート5bにより弁座面を形成し、真球度及び面粗度を高精度に加工しシール性を高めたセラミック又は金属のボール5aを薄い金属の弁押さえ板6aでバネ状に押さえた吸込側逆止弁5、及び前記ポンプ室6と弁室8との間に真円度及び面粗度を高精度に加工したバルブシート7bにより弁座面を形成し、真球度及び面粗度を高精度に加工しシール性を高めたセラミック又は金属のボール7aを薄い金属の弁押さえ板8aでバネ状に押さえた吐出側逆止弁7を設けた、前記圧電素子3を振動させることにより前記吸込側逆止弁5及び吐出側逆止弁7を制御して、前記吸込口4からの液体の吸込み11及び前記吐出口9への液体の吐出12を行うことを特徴とする圧電ポンプ1の構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、ボールを弁押さえ板で押さえる逆止弁とすることにより、全体の寸法を薄くすることが可能となり、サイズを小さくしても極微量の吐出を確実に行うことができる。
【0013】
また、ボールの自重で弁を閉めていないので、圧電ポンプの姿勢を自由にすることができるし、振動衝撃で弁が開くこともない。逆止弁のシール部には精密なボールと、精密なバルブシート(弁座)とを使用するため、一回の吐出精度も良くなる。
【0014】
更に、吐出側が負圧になる場合や、吸込側の圧力が高くなる場合でも、弁押さえ板を状況に合わせたものにすることで、液体の垂れ流しを防止し、サイフォンの原理が働くことも防止することができる。
【0015】
第2に、吸込側のポンプ室及び吐出側の弁室の形状を、長円形又は楕円形にすることにより、内部に気泡が停滞するのを防止することができる。尚、ポンプ室及び弁室の形状に沿わせた方向に弁押さえ板を設置すれば、面積的に小さくすることも可能である。
【0016】
第3に、吐出側の弁室蓋に圧電センサー、歪センサー又は変位センサー等を設けて、弁室内の変化を検出することにより、液体の吐出が確実に行われているかどうかを確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
圧電ポンプのサイズを小さくし、姿勢を変えても吐出精度に問題がなく、内部に気泡も溜まりにくくするという目的を、ボールを弁押さえ板で押さえる逆止板を採用することにより実現した。
【実施例1】
【0018】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である圧電ポンプについて詳細に説明する。図1は、本発明である圧電ポンプの斜視図であり、図2は、本発明である圧電ポンプの正面図の断面であり、図3は、本発明である圧電ポンプの平面図であり、図4は、本発明である圧電ポンプの底面図であり、図5は、本発明である圧電ポンプの左側面図である。
【0019】
圧電ポンプ1は、略直方体状の本体2内部に、表面3a及び裏面3bに電極を設けた圧電素子3を振動板3cに貼り付けることによりダイヤフラムが形成された、内部が中空で長円状又は楕円状のポンプ室6と、前記ポンプ室6に連設され、内部が中空で弁室蓋2aにより密閉された、長円状又は楕円状の弁室8とを設け、前記ポンプ室6に本体2外部から管状の吸込口4を接続、及び前記弁室8に本体2外部から管状の吐出口9を接続し、前記吸込口4とポンプ室6との間に真円度及び面粗度を高精度に加工したバルブシート5bにより弁座面を形成し、真球度及び面粗度を高精度に加工しシール性を高めたセラミック又は金属のボール5aを薄い金属の弁押さえ板6aでバネ状に押さえた吸込側逆止弁5、及び前記ポンプ室6と弁室8との間に真円度及び面粗度を高精度に加工したバルブシート7bにより弁座面を形成し、真球度及び面粗度を高精度に加工しシール性を高めたセラミック又は金属のボール7aを薄い金属の弁押さえ板8aでバネ状に押さえた吐出側逆止弁7を設けた、前記圧電素子3を振動させることにより前記吸込側逆止弁5及び吐出側逆止弁7を制御して、前記吸込口4からの液体の吸込み11及び前記吐出口9への液体の吐出12を行うことを特徴とする。
【0020】
圧電ポンプ1は、圧電素子3を使用した非常に小型のポンプであり、液体等を吸い込んで、他の機器等に供給する機能を有する。圧電ポンプ1の本体2は、略直方体状に成形したプラスチック又は金属等である。
【0021】
本体2の内部には、ポンプ室6及び弁室8の2つの部屋が設けられ、ポンプ室6と弁室8とは吐出側逆止弁7を介して繋げられる。更に、ポンプ室6には、本体2の外部から吸込口4が接続され、弁室8には、本体2の外部から吐出口9が接続される。
【0022】
ポンプ室6は、長円状又はフットボールのような楕円状など細長い形状の部屋であり、内部は液体等が入るため中空である。ポンプ機能を働かせるため、ポンプ室6の下面は、圧電素子3を固定した振動板3cを、本体2に接着又は蝋付けすることによりダイヤフラムが形成される。
【0023】
ダイヤフラムとは、弾性のある隔膜のことで、ダイヤフラムを膨らませたり、へこましたりすることにより、ポンプ室6の容積を増減させる。逆止弁と組み合わせて、液体を一定方向に押し出すことができる。
【0024】
圧電素子3は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛などのセラミック系、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの高分子有機系の物質を薄い板状に成形したものである。
【0025】
圧電素子3の表面3a及び裏面3bには、銀、ニッケル、クロム、パラジウム、白金、又はクロムを下地としたニッケルにより電極を設ける。表面3aの電極と裏面3bの電極に電力を供給すると逆圧電効果により振動させることができる。
【0026】
圧電素子3への電力供給は、電線10を圧電素子3の表面3aの電極に接続し、電線10aを振動板3cに接続することにより行う。圧電素子3に印加する電圧の極性を変えることで、圧電素子3の変形方向を変えることができる。
【0027】
振動板3cは、圧電素子3がポンプ室6内の液体と直に触れないようにするために、圧電素子3と貼り合わせる金属等の導電材料で出来た薄い板である。振動板3cと圧電素子3の裏面3bの電極とは電気的に繋がるように接着してあるので、振動板3cを介して圧電素子3の裏面3bに導通が可能である。
【0028】
ポンプ室6の入口及び出口は、長円又は楕円の長手方向の両端に形成され、流れを入口側から出口側の一方向にすることでに内部に気泡が溜まりにくい。入口側には吸込口4との間の管に吸込側逆止弁5が設けられ、出口側にはポンプ室6との間の管に吐出側逆止弁7が設けられ、液体の流れが制御される。
【0029】
吸込口4は、液体をポンプ室6に吸い込むための管状の部材である。吸込口4は、本体2の側面に孔を空けてポンプ室6に接続するが、本体2に対して接着又は蝋付け等することにより固定する。
【0030】
吸込側逆止弁5は、ボール5a及びバルブシート5bにより吸込口4からポンプ室6への液体の流れを制御する弁である。ボール5aが下がるとバルブシート5bに隙間が生じ、液体が吸込口4からポンプ室6へ流れ込み、ボール5aが元の位置に戻るとバルブシート5bに隙間が無くなり、液体が吸込口4からポンプ室6へ流れ込むのを防ぐ。
【0031】
ボール5aは、セラミック又は金属を球状に成形したものであり、バルブシート5b(弁座)は、真円度及び面粗度を高精度に仕上げたものである。尚、バルブシート5bとしてセラミック又は金属の板に円形の孔を空けた別の部品を組み込むこともできる。開くための圧力等が働かないときは、ボール5aが弁押さえ板6aの弾力によりバルブシート5bに押さえ付けられ閉じた状態である。
【0032】
ボール5aは、真球度及び面粗度を高精度に精密加工し、バルブシート5bは、真円度及び面粗度を高精度に精密加工することにより、ボール5aがバルブシート5bに密着して隙間を塞ぐ部分のシール性を高める。
【0033】
弁押さえ板6aは、金属を薄い板状にした弾性のある部材で、一端を弁押さえ板固定ネジ6bで留めることにより、他端側において、弾力を利用してボール5aを押さえ付ける。材質や形状を変えることで、ボール5aを押さえる力を調整することができる。
【0034】
弁押さえ板固定ネジ6bは、ポンプ室6の上面に弁押さえ板6aの一端をネジ留めする。尚、弁押さえ板固定ネジ6bを使用せずに、溶接などネジ留め以外の接合方法により固定しても良い。
【0035】
弁室8は、長円状又はフットボールのような楕円状など細長い形状の部屋であり、内部は液体等が入るため中空である。弁室8の上面は、弁室蓋2aを本体2に接着又は蝋付けすることにより、内部の液体が漏れないように密閉される。
【0036】
弁室8の入口及び出口は、長円又は楕円の長手方向の両端に形成され、流れを入口側から出口側の一方向にすることで内部に気泡が溜まりにくい。出口側の吐出口9から液体は出ていくが、入口側にはポンプ室6との間の管に吐出側逆止弁7が設けられ、液体の流れが制御される。
【0037】
吐出側逆止弁7は、ボール7a及びバルブシート7bによりポンプ室6から弁室8への液体の流れを制御する弁である。ボール7aが上がるとバルブシート7bに隙間が生じ、液体がポンプ室6から弁室8へ流れ込み、ボール7aが元の位置に戻るとバルブシート7bに隙間が無くなり、液体がポンプ室6から弁室8へ流れ込むのを防ぐ。
【0038】
ボール7aは、セラミック又は金属を球状に成形したものであり、バルブシート7b(弁座)は、真円度及び面粗度を高精度に仕上げたものである。尚、バルブシート7bとしてセラミック又は金属の板に円形の孔を空けた別の部品を組み込むこともできる。開くための圧力等が働かないときは、ボール7aが弁押さえ板8aの弾力によりバルブシート7bに押さえ付けられ閉じた状態である。
【0039】
ボール7aは、真球度及び面粗度を高精度に精密加工し、バルブシート7bは、真円度及び面粗度を高精度に精密加工することにより、ボール7aがバルブシート7bに密着して隙間を塞ぐ部分のシール性を高める。
【0040】
弁押さえ板8aは、金属を薄い板状にした弾性のある部材で、一端を弁押さえ板固定ネジ8bで留めることにより、他端側において、弾力を利用してボール7aを押さえ付ける。材質や形状を変えることで、ボール7aを押さえる力を調整することができる。
【0041】
弁押さえ板固定ネジ8bは、弁室8の下面に弁押さえ板8aの一端をネジ留めする。尚、弁押さえ板固定ネジ8bを使用せずに、溶接などネジ留め以外の接合方法により固定しても良い。
【0042】
ポンプ室6と弁室8とを向かい合わせの位置に配置し、弁押さえ板6a及び弁押さえ板8aもポンプ室6及び弁室8内の流路に沿って配置することで余計なスペースを取らずに済み、小型化を図れる。
【0043】
弁押さえ板6aと弁押さえ板8aとは180度反対方向を向き、流れが下側から上側を回るような流路とすることで、コンパクトに収めることができる。尚、ポンプ室6と弁室8とを一直線上にして、同じ向きに流れるような配置にしても良い。
【0044】
吐出口9は、液体を弁室8から吐き出すための管状の部材である。吐出口9は、本体2の側面に孔を空けて弁室8に接続するが、本体2に対して接着又は蝋付け等することにより固定する。
【0045】
図6は、本発明である圧電ポンプの吸込み手段を示す図であり、図7は、本発明である圧電ポンプの吐出手段を示す図である。
【0046】
圧電ポンプ1は、吐出側逆止弁7が弁押さえ板8aの弾力により閉じた状態で、圧電素子3に印加して振動板3cを下変位11aさせ、負圧により吸込側逆止弁5のボール5aを下降11bさせることで前記吸込側逆止弁5を開き、吸込口4からポンプ室6に液体を吸い込む吸込み11手段と、前記吸込み11手段後に、負圧が開放されて前記吸込側逆止弁5が弁押さえ板6aの弾力により閉じた状態で、圧電素子3に印加する電圧極性を変えて振動板3cを上変位12aさせ、圧力により吐出側逆止弁7のボール7aを上昇12bさせることで前記吐出側逆止弁7を開き、ポンプ室6から弁室8に液体を送り出して前記弁室8に接続された吐出口9から液体を吐き出す吐出12手段とからなることを特徴とする。
【0047】
吸込み11は、圧電素子3に印加して振動板3cによるダイヤフラムを外側へ下変位11aさせることにより、ポンプ室6内の容積が大きくなって圧力が下がり、負圧が弁押さえ板6aの弾力に勝ることで、ボール5aが下降11bする。
【0048】
ボール5aが下降11bしてバルブシート5bに隙間が生じることで、吸込側逆止弁5が開いて吸込口4からポンプ室6内に液体が流れ込む。尚、ボール7aはバルブシート7bに密着したままで吐出側逆止弁7は閉じているので、弁室8から液体が逆流して来ることはない。
【0049】
液体がポンプ室6内に流れ込み、吸込み11が終了すると、負圧状態が解除され、弁押さえ板6aの弾力によりボール5aも元の位置に戻り、吸込側逆止弁5が閉じる。
【0050】
吐出12は、圧電素子3の下変位11が終了し元に戻り始めるときから開始され、元に戻った後に圧電素子3に印加する電圧極性を変えて振動板3cによるダイヤフラムを内側へ上変位12aさせる一連の動作により、ポンプ室6内の容積が小さくなって圧力が上がり、圧力が弁押さえ板8aの弾力に勝ることで、ボール7aが上昇12bする。
【0051】
ボール7aが上昇12bしてバルブシート7bに隙間が生じることで、吐出側逆止弁7が開いてポンプ室6から弁室8内に液体が流れ込む。尚、ボール5aはバルブシート5bに密着したままで吸込側逆止弁5は閉じているので、吸込口4から液体が逆流して来ることはない。
【0052】
液体がポンプ室6の外に流れ、吐出12が終了すると、圧力が掛かった状態が解除され、弁押さえ板8aの弾力によりボール7aも元の位置に戻り、吐出側逆止弁7が閉じる。
【0053】
弁室8に流れ込んだ液体は、吐出口9から外部へ液体が送り出される。更に、圧電素子3へ印加する電圧極性を変えることにより再び吸込み11が行われ、吸込み11と吐出12の工程を繰り返すことで、ポンプ機能が実現される。
【実施例2】
【0054】
図8は、本発明である圧電ポンプの弁室に圧電センサー等を設けた場合の正面図の断面であり、図9は、本発明である圧電ポンプの弁室に圧電センサー等を設けた場合の平面図である。
【0055】
圧電ポンプ1aは、弁室蓋2aに圧電センサー13又は歪センサーを装着し、弁室8の圧力変化を検出することを特徴とする。
【0056】
圧電センサー13は、圧電素子を利用したセンサーで、圧電センサー13に圧力が加わると、圧電効果により応力に比例して電圧が発生する。電圧を検出するとコード13a及びコード13bにより伝達される。
【0057】
コード13aは、圧電センサー13の表面の電極に取り付け、コード13bは、弁室蓋2aの代わりに金属等で出来た電極板2bを設けて取り付ける。圧電センサー13の裏面の電極とは電極板2bを介して導通が取られる。
【0058】
圧電センサー13を取り付けて、弁室8内の圧力変化を検出することで、圧電ポンプ1aが確実に液体を送っているかどうかを確認することができ、ポンプ機能に異常が発生してもすぐに検知することができる。
【0059】
また、圧電センサー13の代わりに歪センサーなど他のセンサーを取り付けて、弁室8内の圧力変化を検出することも可能である。
【実施例3】
【0060】
図10は、本発明である圧電ポンプの弁室に変位センサーを設けた場合の正面図の断面であり、図11は、本発明である圧電ポンプの弁室に変位センサーを設けた場合の底面図である。
【0061】
圧電ポンプ1bは、弁室蓋2aに変位センサー14を装着し、弁押さえ板8aの変形を検出することを特徴とする。
【0062】
変位センサー14は、物体の変位を検出するセンサーである。変位センサー14を、弁室蓋2aの弁押さえ板8aの上方に該当する位置に取り付け、弁室8の弁押さえ板8aの動作を検出する
【0063】
ポンプ室6から弁室8に液体が流れる際に、弁押さえ板8aの動作を検知すると、コード14a及びコード14bにより伝達され、圧電ポンプ1bが確実に液体を送っているかどうかを確認することができる。
【0064】
以上のように、本発明である圧電ポンプ1は、ボール5a、7aを弁押さえ板6a、8aで押さえる逆止弁5、7とすることにより、全体の寸法を薄くすることが可能となり、サイズを小さくしても極微量の吐出を確実に行うことができる。
【0065】
また、ボール5a、7aの自重で弁を閉めていないので、圧電ポンプ1の姿勢を自由にすることができるし、振動衝撃で弁が開くこともない。逆止弁5、7のシール部には精密なボール5a、7aと、精密なバルブシート5b、7b(弁座)とを使用するため、一回の吐出精度も良くなる。
【0066】
更に、吐出側が負圧になる場合や、吸込側の圧力が高くなる場合でも、弁押さえ板6a、8aを状況に合わせたものにすることで、液体の垂れ流しを防止し、サイフォンの原理が働くことも防止することができる。
【0067】
吸込側のポンプ室6及び吐出側の弁室8の形状を、長円形又は楕円形にすることにより、内部に気泡が停滞するのを防止することができる。尚、ポンプ室6及び弁室8の形状に沿わせた方向に弁押さえ板6a、8aを設置すれば、面積的に小さくすることも可能である。
【0068】
吐出側の弁室蓋2aに圧電センサー13、歪センサー又は変位センサー14等を設けて、弁室8内の変化を検出することにより、液体の吐出が確実に行われているかどうかを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明である圧電ポンプの斜視図である。
【図2】本発明である圧電ポンプの正面図の断面である。
【図3】本発明である圧電ポンプの平面図である。
【図4】本発明である圧電ポンプの底面図である。
【図5】本発明である圧電ポンプの左側面図である。
【図6】本発明である圧電ポンプの吸込み手段を示す図である。
【図7】本発明である圧電ポンプの吐出手段を示す図である。
【図8】本発明である圧電ポンプの弁室に圧電センサー等を設けた場合の正面図の断面である。
【図9】本発明である圧電ポンプの弁室に圧電センサー等を設けた場合の平面図である。
【図10】本発明である圧電ポンプの弁室に変位センサーを設けた場合の正面図の断面である。
【図11】本発明である圧電ポンプの弁室に変位センサーを設けた場合の底面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 圧電ポンプ
1a 圧電ポンプ
1b 圧電ポンプ
2 本体
2a 弁室蓋
2b 電極板
3 圧電素子
3a 表面
3b 裏面
3c 振動板
4 吸込口
5 吸込側逆止弁
5a ボール
5b バルブシート
6 ポンプ室
6a 弁押さえ板
6b 弁押さえ板固定ネジ
7 吐出側逆止弁
7a ボール
7b バルブシート
8 弁室
8a 弁押さえ板
8b 弁押さえ板固定ネジ
9 吐出口
10 電線
10a 電線
11 吸込み
11a 下変位
11b 下降
12 吐出
12a 上変位
12b 上昇
13 圧電センサー
13a コード
13b コード
14 変位センサー
14a コード
14b コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体状の本体内部に、表面及び裏面に電極を設けた圧電素子を振動板に貼り付けることによりダイヤフラムが形成された、内部が中空で長円状又は楕円状のポンプ室と、前記ポンプ室に連設され、内部が中空で弁室蓋により密閉された、長円状又は楕円状の弁室とを設け、前記ポンプ室に本体外部から管状の吸込口を接続、及び前記弁室に本体外部から管状の吐出口を接続し、前記吸込口とポンプ室との間に真円度及び面粗度を高精度に加工したバルブシートにより弁座面を形成し、真球度及び面粗度を高精度に加工しシール性を高めたセラミック又は金属のボールを薄い金属の弁押さえ板でバネ状に押さえた吸込側逆止弁、及び前記ポンプ室と弁室との間に真円度及び面粗度を高精度に加工したバルブシートにより弁座面を形成し、真球度及び面粗度を高精度に加工しシール性を高めたセラミック又は金属のボールを薄い金属の弁押さえ板でバネ状に押さえた吐出側逆止弁を設けた、前記圧電素子を振動させることにより前記吸込側逆止弁及び吐出側逆止弁を制御して、前記吸込口からの液体の吸込み及び前記吐出口への液体の吐出を行うことを特徴とする圧電ポンプ。
【請求項2】
吐出側逆止弁が弁押さえ板の弾力により閉じた状態で、圧電素子に印加して振動板を下変位させ、負圧により吸込側逆止弁のボールを下降させることで前記吸込側逆止弁を開き、吸込口からポンプ室に液体を吸い込む吸込み手段と、前記吸込み手段後に、負圧が開放されて前記吸込側逆止弁が弁押さえ板の弾力により閉じた状態で、圧電素子に印加する電圧極性を変えて振動板を上変位させ、圧力により吐出側逆止弁のボールを上昇させることで前記吐出側逆止弁を開き、ポンプ室から弁室に液体を送り出して前記弁室に接続された吐出口から液体を吐き出す吐出手段とからなることを特徴とする請求項1に記載の圧電ポンプ。
【請求項3】
弁室蓋に圧電センサー又は歪センサーを装着し、弁室の圧力変化を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電ポンプ。
【請求項4】
弁室蓋に変位センサーを装着し、弁押さえ板の変形を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電ポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−274891(P2006−274891A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94076(P2005−94076)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000153214)株式会社日本計器製作所 (31)
【Fターム(参考)】