圧電振動片集合体および圧電振動片集合体の膜厚制御方法
【課題】 効率的な膜厚制御を行うことができる圧電振動片集合体と当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 基部3と、当該基部3から一方向に伸びる一対の腕部21,22とからなる音叉型圧電振動片2が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部21,22の先端付近の膜付加領域に1回以上のめっきによって、金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体1であって、前記圧電振動片集合体1には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片Mが少なくとも1個以上形成されている。
【解決手段】 基部3と、当該基部3から一方向に伸びる一対の腕部21,22とからなる音叉型圧電振動片2が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部21,22の先端付近の膜付加領域に1回以上のめっきによって、金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体1であって、前記圧電振動片集合体1には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片Mが少なくとも1個以上形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電振動デバイスに内部搭載される個体の圧電振動片の集合体である圧電振動片集合体と、当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子に代表される圧電振動デバイスは、携帯電話など移動体通信機等に広く用いられている。前記水晶振動子に用いられる水晶振動片は、人工水晶インゴットから所定の切断角度で切り出された後、多くの工程を経て所望の周波数になるように機械的および化学的加工が施される。音叉型水晶振動片は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉形状の水晶振動片であり、当該音叉型水晶振動片を使用した表面実装型振動子は、時計のクロック源として広く使用されている。
【0003】
前記音叉型水晶振動片は、1枚の大判ウエハの状態からエッチングによって、多数個の音叉型水晶振動片が成形される。前記音叉振動片の表面にはフォトリソグラフィ技術によって、所定の電極パターンが転写されており、前記一対の腕部の先端付近の膜付加領域に金属膜を付加する(以下重み付けと略記)ことで発振周波数を低下させ、目標周波数よりも低くなるように調整が行われる(前記目標周波数には規格が設定される)。そして、重み付け時には真空蒸着法が用いられている。重み付け時には金属膜の形成不可領域をマスキングするために蒸着マスクと呼ばれる治具が使用されるが、近年の水晶振動片のさらなる小型化によって、蒸着マスクの成形精度が限界に近づいており、真空蒸着法による金属膜の付加が困難になってきている。
【0004】
真空蒸着法以外に、めっきによって圧電体の表面に金属膜を付加する方法がある。例えばセラミック振動子に対して、めっきによって金属膜を付加することで当該セラミック振動子の周波数調整を行う方法が特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−190388号
【0006】
しかし、特許文献1においてベース(容器体)はセラミックで形成されており、電子部品素子の小型化が進行するとセラミックパッケージ(セラミックベース)での対応が限界に近づき、小型化対応が困難になってくる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多数個の音叉型水晶振動片が成形された1枚の大判ウエハを用いて(図11参照)、めっきで重み付けを行って音叉型水晶振動片の周波数を調整する場合、重み付けを行う領域以外(前記腕部の先端付近の膜付加領域以外)をフォトレジストなどで被覆する必要があり、例えば電解めっきで重み付けを行った後、前記ウエハ内の各振動片の周波数を測定するには、フォトレジストを剥離して、測定対象の振動片を非導通状態にしてからでないと当該振動片の周波数を測定することができなかった。そして前記振動片の周波数が周波数規格にまで到達していない場合、追加で調整(めっき)を行う必要があり、追加調整のためには、重み付けを行う領域以外に再度フォトレジストを塗布(さらに露光工程等もあり)する必要があり、上記作業を複数回行う場合は工数が増えて非常に煩雑となり、作業効率を低下させる要因となる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、効率的な膜厚制御を行うことができる圧電振動片集合体と当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、平面視矩形状の圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成された圧電振動片集合体であって、前記圧電振動片の表裏面に形成される励振電極は、少なくとも上層に膜付加領域を備えているとともに、前記膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加され、前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする。このような圧電振動片集合体の場合、例えば付加される金属膜厚みと圧電振動片の周波数の相関関係を取得しておき、モニタ用圧電振動片に付加された金属膜についてのみ周波数を測定することで、圧電振動片集合体に付加された金属膜の概厚を間接的に確認することができる。したがって、圧電振動片集合体に形成される全ての圧電振動片の周波数を測定する必要がなくなる。これは、1回のめっきで全ての圧電振動片に所定の厚みの金属膜が付加されず、追加でめっきを行う必要が有る場合、特に効果的であり、効率的なめっきによる膜付加を行うことができる。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項2の発明は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体であって、前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする圧電振動片集合体であるので、前記圧電振動片集合体の各音叉型圧電振動子の非膜付加領域に形成されるフォトレジスト(以下レジストと略記)を全て剥離することなく、前記音叉型圧電振動片の膜厚を間接的に確認することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、請求項3の発明によると、前記モニタ用圧電振動片は前記膜付加領域以外の領域にも、めっきが施されている。従来の方法では、前記圧電振動片集合体内の全ての音叉型圧電振動片の腕部の先端付近の膜付加領域だけに、めっきによって金属膜を付加する必要があることから、前記膜付加領域以外の領域にはレジストが形成されている。しかし、レジストが存在することで、めっき後に各音叉型圧電振動片の周波数の測定を行うことができなかった。このような問題に対し、請求項3の発明のように、前記モニタ用圧電振動片の膜付加領域以外の領域もレジストを塗布しないようにしておけば、めっきを行うことで当該モニタ用圧電振動片の前記腕部先端付近の膜付加領域以外の領域にも金属膜が付加される。このようなモニタ用圧電振動片は、めっき後においても周波数の測定を行うことが可能となる。したがって、圧電振動片集合体内の全てのレジストを剥離する必要が無くなる。また、めっきによる膜付加量が不十分なために、圧電振動片集合体内の音叉型圧電振動片が所定の周波数規格に到達していない場合、複数の前記モニタ用圧電振動片を振動片集合体内に形成しておけば、追加のめっきを行う際の再レジスト塗布以降の工程を行う必要がなくなる。これにより、大幅に工数を削減することが可能となる。
【0012】
また、前記追加のめっきを行うために、再度レジストを塗布し再露光を行う際にパターンのズレが発生するおそれがあるが、本発明によれば、追加めっき時に再露光を行う必要がなくなるので、パターンずれを防止でき、パターンずれによる周波数のバラツキを抑制することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項4の発明によると、前記モニタ用圧電振動片は、めっき後に前記圧電振動片集合体から分離可能となっている。このような構成によると、前記モニタ用圧電振動片も含め、圧電振動片集合体内の全ての音叉型振動片の金属膜(各種電極)上にレジストを塗布して、一括的にめっきを行ったとしても、モニタ用圧電振動片だけは圧電振動片集合体から分離可能であり、分離されたモニタ用圧電振動片に形成されたレジストを剥離することによって周波数を確認することができる。よって、圧電振動片集合体内の全ての音叉型振動片に形成されたレジストを剥離して周波数を確認する必要がなくなるため、追加めっきが必要な場合のレジスト塗布以降の工程が不要となり、効率的な金属膜の膜付加を行うことが可能となる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項5の発明によると、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、前記圧電振動片集合体には電解めっきによって、前記膜付加領域以外の領域にも金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、電解めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、前記膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法である。
【0015】
このような膜厚制御方法によると、例えば電解めっきの場合、前記膜厚モニタ用圧電振動片は前記膜付加領域以外の領域、つまり音叉型振動片に形成されている各種電極にも金属膜が形成される。しかし、前記膜厚モニタ用圧電振動片にレジストは形成されていないため周波数を確認することができる。これにより、従来のように圧電振動片集合体内の全ての音叉型振動片に形成されたレジストを剥離してから音叉型振動片の周波数を確認する必要がなくなる。つまり、膜厚モニタ用圧電振動片の周波数を測定することで、圧電振動片集合体に1回のめっきで付加された金属膜の概厚を確認することができる。したがって、1回のめっきで所定の膜厚が得られなかったため、追加めっきを行う必要がある場合でも、再度レジスト塗布以降の工程を繰り返し行う必要が無くなり、効率的な金属膜の膜付加を行うことができる。
【0016】
また、上記目的を達成するために、請求項6の発明によると、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、前記圧電振動片集合体には、電解めっきによって前記膜付加領域のみに金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、膜付加工程の後に、前記膜厚モニタ用圧電振動片を圧電振動片集合体から分離した後に当該膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法である。
【0017】
このような周波数調整では、前記膜厚モニタ用圧電振動片がめっき後に圧電振動片集合体から分離可能であるため、分離された膜厚モニタ用圧電振動片のレジストを剥離することで容易に当該モニタ用圧電振動片の周波数を測定することができる。そして、モニタ用圧電振動片で測定した周波数に基づき、目標周波数までの必要な追加めっき時間を算出して追加めっきを行うことができるので、効率的な膜厚制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、効率的な膜厚制御を行うことができる圧電振動片集合体と当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
−第1の実施形態−
以下、圧電振動片として音叉型水晶振動片を例に挙げて、本発明による第1の実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図である。なお、図1において音叉型水晶振動片の腕部および基部に形成される各種金属膜の記載は省略している。
【0020】
本実施形態で使用される水晶振動片は、当該水晶振動片を搭載するための凹部を備えた、セラミック等の絶縁材料からなる容器体の内部に搭載され、前記凹部を板状の蓋体で封止することによって、音叉型水晶振動子として使用される。本実施形態では音叉型水晶振動子の公称周波数は32.768kHzとなっている。なお、前記公称周波数は一例であり、本周波数に限定されるものではなく、他の周波数にも適用可能である。
【0021】
本実施形態で適用される圧電振動片集合体1は、図1に示すように平面視矩形状の1枚の水晶ウエハ(以下ウエハと略記)に、多数個の音叉型圧電振動片2,2・・・(以下、音叉振動片と略記)が形成されている。前記音叉振動片はフォトリソグラフィ技術を用いて、レジストまたは金属膜をマスクとして音叉外形が一括的に成形されている。また図1では図示していないが、各音叉振動片の腕部および基部に形成される各種電極は真空蒸着法によって成膜され、前記音叉振動片と同様にフォトリソグラフィ技術を用いて、所定パターンが一括成形される。なお、点線部Aで示す複数の膜厚モニタ用水晶振動片M,M・・・(以下、モニタ用振動片と略記)も前記音叉振動片と同様に一括的に形成されている。図1に示す多数個の音叉振動片2,2・・・と、モニタ用水晶振動片とは後述する測定パッド部(詳細は後述)を除き、同一の構造となっている。音叉振動片2は基部3と、当該基部の一端側から一方向に伸びる一対の腕部21、22とからなり、前記基部3の他端側(振動腕21、22と対向する側)から水晶枠部6にかけてブリッジ4(接続部)が延出されている。モニタ用振動片Mも前記音叉振動片2と同様に、基部3の一端側には水晶枠部6に繋がったブリッジ4が形成されている。なお、本実施形態における圧電振動片集合体1に形成される振動片の数は、例えば図1ではモニタ用振動片Mは4個×2列で計8個が、その他の音叉振動片2は4個×10列で計44個で、合計52個の振動片が形成されている。ここで、前記形成数は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、1枚のウエハ(圧電振動片集合体1)に数百個あるいは数千個形成することも可能である。
【0022】
音叉振動片2とモニタ用振動片Mの表面には、前記ウエットエッチングによって振動片外形を成形時には各種金属膜(図1では図示せず)が形成されている。前記各種金属膜については図2乃至図5を用いて説明する。なお、説明にはモニタ用振動片Mを例として挙げている。図2は図1のA部の一部拡大平面図で、図3は図1のA部の一部拡大斜視図であり、図4は図3のB−B線における断面図、図5は図3のC−C線における断面図である。前述の各種金属膜は具体的には、モニタ用振動片M(音叉振動片も同様)の腕部および基部周辺に形成される金属膜のことであり、図2に示すように、一対の腕部21,22には第1および第2の励振電極23,24が形成されている。そして図3乃至図4に示すように、第1の励振電極23は、一方の腕部21の表裏主面励振電極23a,23bと、他方の腕部22の両側面励振電極23c,23dとから構成されており、これらの23a,23b,23c,23dは電気的に接続されている。同様に、第2の励振電極24は、他方の腕部22の表裏主面励振電極24a,24bと、一方の腕部21の両側面励振電極24c,24dとから構成されており、これらの24a,24b,24c,24dは電気的に接続されている。なお、前記第1および第2の励振電極23,24は、クロム(Cr)0.5〜10nmを下地とし、その上層にフォトリソグラフィ等の技術によって金(Au)10〜500nmが形成された薄膜である。
【0023】
図3に示すように、腕部21,22の各々の先端部には、周波数調整錘としての腕先部金属膜25,26が形成されている。そして、図5に示すように腕先部金属膜25は、表面の表主面金属膜25b、裏面の裏主面金属膜25c、外側面の外側面金属膜25a、内側面の内側面金属膜25dとで構成されている。同様に、腕先部金属膜26は表面の表主面金属膜26b、裏面の裏主面金属膜26c、外側面の外側面金属膜26a、内側面の内側面金属膜26dとで構成されている。前記腕先部金属膜25,26はそれぞれ、前記第1の励振電極(側面励振電極)24c,24dと、前記第2の励振電極(側面励振電極)23c,23dとに接続されている。本実施形態では腕先部金属膜25,26は、クロム(Cr)を下地とし、その上層にフォトリソグラフィ等の技術によって金(Au)が、積層された構成となっている。
【0024】
圧電振動片集合体1の水晶枠部6の表裏面には金が成膜されている。そして、前記多数個の音叉振動片2,2・・・の測定パッド部5を囲繞する一定領域は、水晶素地が露出した状態となっており、これによって多数個の音叉振動片2,2・・・と水晶枠部6の表裏面に成膜された金とは電気的接続が絶たれた状態となっている。つまり非導通状態となっている。一方、モニタ用振動片Mの基部3と接続している測定パッド51は、架橋部8(詳細は後述)を介して水晶枠部6と電気的に繋がった状態となっている。
【0025】
基部3の表裏面には前記第1および第2の励振電極と接続した複数の引出電極(図示せず)が配設されている。そして本実施形態において、前記引出電極は基部3の一主面側に2つ並列配置されるように導出されている。なお、基部における前記引出電極の配設状態は、多数個の音叉振動片2,2・・・と、モニタ用振動片Mともに共通である。
【0026】
次に前述した測定パッド部について、多数個の音叉振動片2,2・・・と、モニタ用振動片Mとに分けて説明する。まず、音叉振動片2に形成される測定パッド部5は、基部3に配設された前記2本の引出電極の末端が最終的に、ブリッジ4の一主面上を経由して水晶枠部6の一主面上に左右に分割して導出されている。すなわち測定パッドが2つ並列して配置された状態となっている。そして、一対の測定パッド5の周囲の水晶素地部分によって、水晶枠部6の表裏面に形成された金と、当該測定パッドとが一定の隔たりを経て電気的に独立した状態となっている。
【0027】
一方、モニタ用振動片Mに形成される測定パッド51は、前記音叉振動片2と同様に、基部3に配設された前記2本の引出電極の末端がブリッジ4の一主面上を経由して水晶枠部6の一主面上に左右に分割して導出され、測定パッドが2つ並列して配置された状態となっている。そして、測定パッド51の周囲の水晶素地部分によって、水晶枠部6の表裏面に形成された金と、当該測定パッドとが一定の隔たりを有している。
そして、図3に示すように一対の測定パッド51の一部(一端側)から、水晶枠部6の金の部分へ架橋する架橋部8が形成されている。前記架橋部8は水晶からなり、当該架橋部の両側には空隙部7が、水晶振動片の外形を成形する時に同時に形成されている。架橋部の上面には測定パッド51の一部(一端側)から、水晶枠部6の金の部分へ電気的に接続するための引出導体10が形成されている。なお、本実施形態では、音叉振動片2およびモニタ用振動片Mの各々に接続している測定パッドは水晶枠部6の一主面上に集約されて形成されているが、本形態に限定されるものではなく、基部の両主面(表裏面)の各々に引出電極を配設して水晶枠部6の両主面(表裏面)の各々に測定パッドを配置した形態であってもよい。また、本実施形態では架橋部8は図2で示すように左右に分割された一対の測定パッド51の下方向に形成されているが、本位置に限定されるものではない。例えば、上下方向に分割された一対の測定パッドの各々から横方向(腕部延出方向に対して直交する方向)に延出するように架橋部を形成することも可能である。
【0028】
本実施形態では、音叉振動片2の一対の腕部21,22の先端付近の膜付加領域への重み付けを電解めっきによって行っている。電解めっきによって重み付けをする前に、金が表裏面に成膜された水晶枠部6と電気的に独立した状態である多数個の音叉振動片2,2・・・を導通状態にしておく必要がある。そこで、本実施形態では図6(音叉振動片2に形成される各種金属膜の記載は省略している)に示すように銀(Ag)からなる複数の接続導体Lによって、各音叉振動片2,2・・・の測定パッド5,5・・・を接続している。これにより、前記各音叉振動片2,2・・・と水晶枠部6の表裏面に形成された金とが電気的に接続した状態となる。また、同時に各音叉振動片2,2・・・とモニタ用振動片Mも電気的に接続した状態となっている。なお、前記接続導体Lは真空蒸着法によって成膜されている。
【0029】
前述のように、全ての音叉振動片2とモニタ用振動片Mと水晶枠部6とが電気的に接続された圧電振動片集合体1を用いてマスキング処理が行われる。具体的には、多数個の音叉振動片2,2・・・については、重み付けを行う領域、つまり音叉振動片の腕部の先端付近の膜付加領域(腕部21,22の先端部の全周領域)だけが露出するようにレジストが塗布される。一方、モニタ用振動片Mについては前記腕部先端領域以外も露出するようにレジストが塗布される。すなわち、第1および第2の励振電極、金属膜(表主面,裏主面,外側面,内側面)、測定パッドが露出するようにレジストが塗布される。以上のようにしてレジストが塗布された後、露光等の処理を経てレジストによるマスキングが行われる。なお、後述する電解めっき前の状態では音叉振動片2の発振周波数は、めっき後の目標周波数(公称周波数よりも低い周波数)よりも高い周波数(公称周波数よりも高い周波数)となっている。
【0030】
前記マスキング処理が施された圧電振動片集合体1は所定条件に設定された,めっき浴中に浸漬され、所定時間だけ電流が印加されて金の電解めっきが行われる。本めっきによって、音叉振動片2の腕部21,22の先端付近の膜付加領域および、モニタ用振動片Mの金属部分(非マスキング領域)へ金(調整用金属膜9)が付加される。この状態を図7に示す。図7に示すように、音叉振動片2,2・・・については、当該振動片の腕部先端領域の膜付加領域だけに金が膜付加されている。一方、モニタ用振動片Mは腕部先端領域の膜付加領域と、当該膜付加領域以外の領域、すなわちモニタ用振動片に形成される各種電極にも金が膜付加されている。なお、図7では前記各種金属の一部だけを表示しているとともに、レジストの記載は省略している(前記膜付加領域に金が付加された状態の腕部先端方向から見た断面図は図8に示す)。前記電解めっきで、圧電振動片集合体1の全ての膜付加領域に一括的に金属膜を付加することによって、音叉振動片2の周波数が低下することになる(膜付加工程)。なお、前記所定時間は、電解めっき前に各音叉振動片2,2・・・の周波数を予め測定しておき、電解めっき後の音叉振動片の目標周波数までの周波数差に応じて予め算出されている。
【0031】
次に、所定時間だけ電解めっきされた圧電振動片集合体内の、多数個の音叉型水晶振動子2,2・・・の周波数確認を行う。まず、モニタ用振動片Mの測定パッドから延出している架橋部8の任意の箇所に外力を加えて、当該架橋部8を破断させる。前記破断によって架橋部8に形成されていた金が断線し、当該モニタ用振動片Mだけが電気的に独立した状態となる。前記モニタ用振動片Mは、第1および第2の励振電極、金属膜(表主面,裏主面,外側面,内側面)、測定パッドの各表面に金が成膜された状態になっているが、レジストでは被覆されていないため、測定パッドに測定プローブを当接して交流電圧を印加し、当該モニタ用振動片Mの周波数を測定することができる(周波数確認工程)。このとき、前記金属膜(励振電極,各種金属膜,測定パッド)には電解めっきによって、さらに金の厚みが加わっているので、腕部の先端領域だけに電解めっきによって金が重み付けされた場合に比べて、僅かに周波数は低くなっている。しかしながら、モニタ用振動片の前記周波数を、腕部の先端領域だけに金が重み付け(めっき)された場合の周波数として近似する(あるいは差異データを予め取得しておいて相関を採り、差異分をオフセットする)ことによって、目標周波数(周波数規格)までの周波数差を算出することができる。これにより、1回のめっきで圧電振動片集合体の全ての振動片の膜厚が所定の膜厚に到達しておらず、追加でめっきを行う必要が有る場合、目標周波数に未到達の振動片について、目標周波数との差、つまり追加でどれだけの厚みの金を膜付加すればよいのかを求めることによって、追加めっき時間を算出することができる。なお、本実施形態では前記電解めっきにおいて、めっき膜厚の管理は、単位膜厚(μm)あたりのめっき時間(分)で行っている。なお、1回のめっきで圧電振動片集合体の全ての振動片の膜厚が所定の膜厚に到達した場合は、膜付加工程は終了となる。
【0032】
以上のようにして求めた追加めっき時間だけ、さらに電解めっきを行う(追加めっき工程)。なお、前記追加めっき時には、前回めっきによって目標周波数に到達した振動片に対しても金属膜がさらに付加される。前記追加めっき工程後に、先ほど測定したモニタ用振動片とは別のモニタ用振動片の架橋部を断線させて、当該モニタ用振動片の周波数を測定する。そして測定周波数と目標周波数との差を確認し、目標周波数に到達していない振動片が存在する場合は、前述の手順を繰り返し行う。このようにして全ての圧電振動片集合体1の音叉振動片2,2・・・の周波数が、周波数規格(公称周波数以下で、ある範囲までの厚みまでの規格)に到達するように追加めっきを施していく。ここで補足しておくと、本めっき工程以降に、重み付けした領域に対してレーザービームを照射することによって金の厚みを削減させて、音叉振動片2の発振周波数を公称周波数に近づけていく“微調整工程”が存在する。前記レーザービームで金の厚みを削減する厚み(量)以上に、膜厚(最低厚み)を確保しておく必要があるために前記周波数規格が設定されている。つまり、最終的に追加めっき工程完了後には、圧電振動片集合体1の全ての音叉振動片は、腕部の先端付近の膜付加領域に前記最低厚み以上の膜厚で金属膜が形成された状態となっている。なお、モニタ用振動片の配置数は必要に応じて増減させることが可能であり、本実施形態の説明で示す配置数に限定されるものではない。
【0033】
上記構成により、めっき後に圧電振動片集合体1に形成されるレジストを全て剥離する必要が無くなり、モニタ用振動片Mの周波数を測定することで、音叉型圧電振動片2の周波数を概ね知ることができる。つまり、めっき後のモニタ用振動片の周波数から、めっきで付加された金属膜のおよその厚みを確認することができるため、音叉型圧電振動片2,2・・・に付加された金属膜の厚みも概ね把握することができる。したがって、めっきによる膜付加量が不十分で、圧電振動片集合体内の音叉型圧電振動片が所定の周波数規格に到達していない状態であっても、複数の前記モニタ用振動片を振動片集合体内に形成して、1回のめっき毎に前記モニタ用振動片の周波数を確認することにより、レジストを剥離することなく追加めっきを行うことができる。したがって、従来行っていた再レジスト塗布以降の工程を実施する必要が無くなり、大幅に工数を削減することが可能となる。
【0034】
また、前記追加めっきを行うために、従来のように再度レジストを塗布して再露光を行う際に発生していたパターンのズレを防止することが可能となるので、周波数のバラツキを抑制することができる。
【0035】
なお、1回のめっき毎に、周波数を測定するモニタ用振動片の数は1個に限定されるものではなく、複数のモニタ用振動片の周波数を測定してもよい。この場合、圧電振動片集合体1の多数個の音叉振動片の形成位置の相違による周波数の差異を考慮して隣接するモニタ用振動片ではなく、離間したモニタ用振動片の周波数を測定することで、より効率的な膜付加を行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、音叉振動片2,2・・・の測定パッド5,5・・・は、周囲の水晶枠部6の金とは電気的に独立した状態であったため、レジストを塗布する前に銀蒸着によって接続導体Lを形成したが、変形例として、初めから前記測定パッド5,5・・・が周囲の水晶枠部6の金と電気的に接続された状態であってもよい(図示せず)。つまり、圧電振動片集合体1の全ての音叉振動片2,2・・・およびモニタ用振動片M,M・・・が電気的に繋がっている状態であってもよく、このような場合も、モニタ用振動片だけを電気的に独立した状態として当該モニタ用振動片の周波数を測定することで、他の音叉振動片2,2・・・のおよその周波数を知ることができる。つまり圧電振動片集合体1の多数個の振動片のめっきによる膜厚管理を行うことができる。
【0037】
−第2の実施形態−
本実施形態における第2の実施形態を、図9乃至図10を用いて説明する。図9は本発明の第2の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図で、図10は図9のD部の一部拡大平面図ある。なお、図9において音叉振動片に形成される各種金属膜の記載は省略している。また、前述の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明の一部を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。
【0038】
本実施形態において音叉振動片2は第1の実施形態と同一の形態であるので説明は割愛する。モニタ用振動片Mについては、図9に図示するように、第1の実施形態におけるモニタ用振動片よりも外形寸法が大きく、構造も異なったものとなっている。具体的には図10に示すように、モニタ用振動片Mは、基部3の一端側から延出した第1ブリッジ41と接続し、腕部21,22および基部3を包囲する囲繞体31を具備している。そして、囲繞体31の,第1ブリッジ41と接続している側の部分(一主面)には、基部3から第1ブリッジ41を経由して延出された引出電極と接続した一対の測定パッド51が形成されている。さらに前記測定パッド51の一端側(第1ブリッジと対向する側)には第2ブリッジ42が接続されており、第2ブリッジ42によって囲繞体31と水晶枠部6とが接続された構造となっている。なお、空隙部7は第1の実施形態と同様に、ウエットエッチングによって空洞化されている。そして一対の測定パッド51の各々の一端側からは、第2ブリッジ42の一主面上を経由して水晶枠部6の一主面に引出導体10が導出されている。前記引出導体10は水晶枠部6の最上面に成膜される金と電気的に接続した状態となっている。前記モニタ用振動片Mは矩形状の圧電振動片集合体1の二短辺の周縁寄りの位置に複数形成されている(点線部D)。なお、図9に示す圧電振動片集合体1に形成される振動片(2,M)の数は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0039】
本実施形態においても、電解めっきによって音叉振動片2の腕部21,22の先端付近の膜付加領域に金が膜付加され、音叉振動片2の周波数の調整が行われる。多数個の音叉振動片2,2・・・は、第1の実施形態と同様に電気的に独立しているため、レジストを塗布する前に銀(Ag)からなる複数の接続導体(図示せず)によって、各音叉振動片2,2・・・の測定パッド5,5・・・を接続する。これにより、前記各音叉振動片2,2・・・と水晶枠部6の表裏面に形成された金とが電気的に接続された状態となる。また、同時に各音叉振動片2,2・・・とモニタ用振動片Mも電気的に接続された状態となっている。なお、前記接続導体は真空蒸着法によって成膜されている。
【0040】
本実施形態では、多数個の音叉振動片2,2・・・は、重み付けを行う領域、つまり音叉振動片の腕部の先端付近の膜付加領域(腕部21,22の先端部の全周領域)だけが露出するようにレジストが塗布される。一方、モニタ用振動片Mについても同様に腕部21,22の先端部の全周領域だけが露出するようにレジストが塗布される。以上のようにしてレジストが塗布された後、露光等の処理を経てレジストによるマスキングが行われる。
【0041】
前記マスキング処理が施された圧電振動片集合体1を所定条件に設定された,めっき浴中に浸漬され、所定時間だけ電流が印加されて金の電解めっきが行われる。本めっきによって、音叉振動片2とモニタ用振動片Mの各々の腕部21,22の先端付近の膜付加領域に金(調整用金属膜)が付加される。つまり、本めっきで圧電振動片集合体1の全ての膜付加領域に一括的に金属膜を付加することによって、圧電振動片集合体1の全ての振動片の周波数が低下することになる(膜付加工程)。なお、前記所定時間は、電解めっき前に各音叉振動片2,2・・・の周波数を予め測定しておき、電解めっき後の音叉振動片の目標周波数までの周波数差に応じて予め算出されている。
【0042】
次に、所定時間だけ電解めっきされた圧電振動片集合体1内の、多数個の音叉型水晶振動子2,2・・・の周波数確認を行う。本実施形態では、モニタ用振動片Mの第2ブリッジ42の部分に外力を加えて、第2ブリッジ42を破断させる。これによりモニタ用振動片Mは圧電振動片集合体1から分離される。分離されたモニタ用振動片Mは、腕部の先端付近の膜付加領域だけに金が膜付加された状態となっており、前記膜付加領域以外にはレジストが塗布されている。そして、当該モニタ用振動片Mのレジストを剥離してから測定パッド51に測定プローブを当接して、モニタ用振動片Mの周波数を測定する(周波数確認工程)。このとき、個片状態のモニタ用振動片Mは、囲繞体31によって、腕部および基部の周囲が包囲されているので、測定時に腕部あるいは基部が、他の物体と接触することによる破損や欠損を防止することができる。また取り扱いの点でも機械的強度を向上させることができる。また、レジストを剥離してからモニタ用振動片Mの周波数の測定を行っているので、モニタ用以外の他の音叉振動片2のめっき後の周波数により近い周波数を取得することが可能となる。このようなモニタ用第1および第2の励振電極、金属膜(表主面,裏主面,外側面,内側面)、測定パッドの各表面に金が成膜された状態になっているが、レジストでは被覆されていないため、測定パッドに測定プローブを当接して交流電圧を印加し、当該モニタ用振動片Mの周波数を測定することができる(周波数確認工程)
【0043】
以上のようにして測定したモニタ用振動片Mの周波数から、目標周波数(周波数規格)までの周波数差を算出し、追加でめっきが必要な振動片について、目標周波数に到達させるのに必要な周波数(追加付加する膜厚)を求めることによって、追加めっき時間を算出することができる。
【0044】
そして、上記で求めた追加めっき時間だけ、さらに電解めっきを行う(追加めっき工程)。前記追加めっき工程後には、分離されずに残存しているモニタ用振動片Mの一つを用いて、前述と同様の手順でモニタ用振動片Mを圧電振動片集合体1から分離し、レジストを剥離した後、当該モニタ用振動片の周波数を測定する。そして、測定周波数と目標周波数との差を確認して、目標周波数に未到達の振動片が存在する場合は、前述の手順を繰り返して追加めっきを繰り返し行う。このようにして全ての圧電振動片集合体1の音叉振動片2,2・・・の周波数が、周波数規格内に収まるように追加めっきを施していく。なお、前記追加めっき時には、前回めっきによって目標周波数に到達した振動片に対しても金属膜がさらに付加される。
【0045】
上記構成により、モニタ用圧電振動片が、めっき後に圧電振動片集合体から分離可能であるため、分離されたモニタ用圧電振動片のレジストを剥離することで容易に当該モニタ用圧電振動片の周波数を測定することができる。そして、モニタ用圧電振動片で測定した周波数に基づき、目標周波数までの必要な追加めっき時間を算出して追加めっきを行うことができるので、効率的なめっきによる周波数調整を行うことができる。
【0046】
また、本発明によるとめっき後の周波数確認のために圧電振動片集合体に形成された全てのレジストを剥離する必要が無いので、追加めっき時に従来のように再度レジストを塗布して再露光を行う際の電極パターンのズレを防止することが可能となり、周波数のバラツキ低減に繋がる。
【0047】
本発明の実施形態では表面実装型の音叉型水晶振動子を例にしているが、音叉型水晶振動子以外にATカット水晶振動子や、水晶フィルタ、水晶発振器などの電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスの製造方法にも適用可能である。
【0048】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【図2】図1のA部の一部拡大平面図。
【図3】図1のA部の一部拡大斜視図。
【図4】図3のB−B線における断面図。
【図5】図3のC−C線における断面図。
【図6】図1において接続導体が形成された状態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【図7】図6においてめっきによる膜付加が行われた状態を示す平面図
【図8】図5においてめっきによる膜付加が行われた状態を示す断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【図10】図9のD部の一部拡大平面図。
【図11】従来の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【符号の説明】
【0051】
1 圧電振動片集合体
2 音叉型圧電振動片
21、22 腕部
23 第1の励振電極
24 第2の励振電極
25、26 腕先部金属膜
3 基部
31 囲繞体
4 ブリッジ
41 第1ブリッジ
42 第2ブリッジ
5、51 測定パッド
6 水晶枠部
7 空隙部
8 架橋部
9 調整金属膜
10 引出導体
L 接続導体
M 膜厚モニタ用水晶振動片
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電振動デバイスに内部搭載される個体の圧電振動片の集合体である圧電振動片集合体と、当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子に代表される圧電振動デバイスは、携帯電話など移動体通信機等に広く用いられている。前記水晶振動子に用いられる水晶振動片は、人工水晶インゴットから所定の切断角度で切り出された後、多くの工程を経て所望の周波数になるように機械的および化学的加工が施される。音叉型水晶振動片は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉形状の水晶振動片であり、当該音叉型水晶振動片を使用した表面実装型振動子は、時計のクロック源として広く使用されている。
【0003】
前記音叉型水晶振動片は、1枚の大判ウエハの状態からエッチングによって、多数個の音叉型水晶振動片が成形される。前記音叉振動片の表面にはフォトリソグラフィ技術によって、所定の電極パターンが転写されており、前記一対の腕部の先端付近の膜付加領域に金属膜を付加する(以下重み付けと略記)ことで発振周波数を低下させ、目標周波数よりも低くなるように調整が行われる(前記目標周波数には規格が設定される)。そして、重み付け時には真空蒸着法が用いられている。重み付け時には金属膜の形成不可領域をマスキングするために蒸着マスクと呼ばれる治具が使用されるが、近年の水晶振動片のさらなる小型化によって、蒸着マスクの成形精度が限界に近づいており、真空蒸着法による金属膜の付加が困難になってきている。
【0004】
真空蒸着法以外に、めっきによって圧電体の表面に金属膜を付加する方法がある。例えばセラミック振動子に対して、めっきによって金属膜を付加することで当該セラミック振動子の周波数調整を行う方法が特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−190388号
【0006】
しかし、特許文献1においてベース(容器体)はセラミックで形成されており、電子部品素子の小型化が進行するとセラミックパッケージ(セラミックベース)での対応が限界に近づき、小型化対応が困難になってくる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多数個の音叉型水晶振動片が成形された1枚の大判ウエハを用いて(図11参照)、めっきで重み付けを行って音叉型水晶振動片の周波数を調整する場合、重み付けを行う領域以外(前記腕部の先端付近の膜付加領域以外)をフォトレジストなどで被覆する必要があり、例えば電解めっきで重み付けを行った後、前記ウエハ内の各振動片の周波数を測定するには、フォトレジストを剥離して、測定対象の振動片を非導通状態にしてからでないと当該振動片の周波数を測定することができなかった。そして前記振動片の周波数が周波数規格にまで到達していない場合、追加で調整(めっき)を行う必要があり、追加調整のためには、重み付けを行う領域以外に再度フォトレジストを塗布(さらに露光工程等もあり)する必要があり、上記作業を複数回行う場合は工数が増えて非常に煩雑となり、作業効率を低下させる要因となる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、効率的な膜厚制御を行うことができる圧電振動片集合体と当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、平面視矩形状の圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成された圧電振動片集合体であって、前記圧電振動片の表裏面に形成される励振電極は、少なくとも上層に膜付加領域を備えているとともに、前記膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加され、前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする。このような圧電振動片集合体の場合、例えば付加される金属膜厚みと圧電振動片の周波数の相関関係を取得しておき、モニタ用圧電振動片に付加された金属膜についてのみ周波数を測定することで、圧電振動片集合体に付加された金属膜の概厚を間接的に確認することができる。したがって、圧電振動片集合体に形成される全ての圧電振動片の周波数を測定する必要がなくなる。これは、1回のめっきで全ての圧電振動片に所定の厚みの金属膜が付加されず、追加でめっきを行う必要が有る場合、特に効果的であり、効率的なめっきによる膜付加を行うことができる。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項2の発明は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体であって、前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする圧電振動片集合体であるので、前記圧電振動片集合体の各音叉型圧電振動子の非膜付加領域に形成されるフォトレジスト(以下レジストと略記)を全て剥離することなく、前記音叉型圧電振動片の膜厚を間接的に確認することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、請求項3の発明によると、前記モニタ用圧電振動片は前記膜付加領域以外の領域にも、めっきが施されている。従来の方法では、前記圧電振動片集合体内の全ての音叉型圧電振動片の腕部の先端付近の膜付加領域だけに、めっきによって金属膜を付加する必要があることから、前記膜付加領域以外の領域にはレジストが形成されている。しかし、レジストが存在することで、めっき後に各音叉型圧電振動片の周波数の測定を行うことができなかった。このような問題に対し、請求項3の発明のように、前記モニタ用圧電振動片の膜付加領域以外の領域もレジストを塗布しないようにしておけば、めっきを行うことで当該モニタ用圧電振動片の前記腕部先端付近の膜付加領域以外の領域にも金属膜が付加される。このようなモニタ用圧電振動片は、めっき後においても周波数の測定を行うことが可能となる。したがって、圧電振動片集合体内の全てのレジストを剥離する必要が無くなる。また、めっきによる膜付加量が不十分なために、圧電振動片集合体内の音叉型圧電振動片が所定の周波数規格に到達していない場合、複数の前記モニタ用圧電振動片を振動片集合体内に形成しておけば、追加のめっきを行う際の再レジスト塗布以降の工程を行う必要がなくなる。これにより、大幅に工数を削減することが可能となる。
【0012】
また、前記追加のめっきを行うために、再度レジストを塗布し再露光を行う際にパターンのズレが発生するおそれがあるが、本発明によれば、追加めっき時に再露光を行う必要がなくなるので、パターンずれを防止でき、パターンずれによる周波数のバラツキを抑制することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項4の発明によると、前記モニタ用圧電振動片は、めっき後に前記圧電振動片集合体から分離可能となっている。このような構成によると、前記モニタ用圧電振動片も含め、圧電振動片集合体内の全ての音叉型振動片の金属膜(各種電極)上にレジストを塗布して、一括的にめっきを行ったとしても、モニタ用圧電振動片だけは圧電振動片集合体から分離可能であり、分離されたモニタ用圧電振動片に形成されたレジストを剥離することによって周波数を確認することができる。よって、圧電振動片集合体内の全ての音叉型振動片に形成されたレジストを剥離して周波数を確認する必要がなくなるため、追加めっきが必要な場合のレジスト塗布以降の工程が不要となり、効率的な金属膜の膜付加を行うことが可能となる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項5の発明によると、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、前記圧電振動片集合体には電解めっきによって、前記膜付加領域以外の領域にも金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、電解めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、前記膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法である。
【0015】
このような膜厚制御方法によると、例えば電解めっきの場合、前記膜厚モニタ用圧電振動片は前記膜付加領域以外の領域、つまり音叉型振動片に形成されている各種電極にも金属膜が形成される。しかし、前記膜厚モニタ用圧電振動片にレジストは形成されていないため周波数を確認することができる。これにより、従来のように圧電振動片集合体内の全ての音叉型振動片に形成されたレジストを剥離してから音叉型振動片の周波数を確認する必要がなくなる。つまり、膜厚モニタ用圧電振動片の周波数を測定することで、圧電振動片集合体に1回のめっきで付加された金属膜の概厚を確認することができる。したがって、1回のめっきで所定の膜厚が得られなかったため、追加めっきを行う必要がある場合でも、再度レジスト塗布以降の工程を繰り返し行う必要が無くなり、効率的な金属膜の膜付加を行うことができる。
【0016】
また、上記目的を達成するために、請求項6の発明によると、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、前記圧電振動片集合体には、電解めっきによって前記膜付加領域のみに金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、膜付加工程の後に、前記膜厚モニタ用圧電振動片を圧電振動片集合体から分離した後に当該膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法である。
【0017】
このような周波数調整では、前記膜厚モニタ用圧電振動片がめっき後に圧電振動片集合体から分離可能であるため、分離された膜厚モニタ用圧電振動片のレジストを剥離することで容易に当該モニタ用圧電振動片の周波数を測定することができる。そして、モニタ用圧電振動片で測定した周波数に基づき、目標周波数までの必要な追加めっき時間を算出して追加めっきを行うことができるので、効率的な膜厚制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、効率的な膜厚制御を行うことができる圧電振動片集合体と当該圧電振動片集合体の膜厚制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
−第1の実施形態−
以下、圧電振動片として音叉型水晶振動片を例に挙げて、本発明による第1の実施形態について図を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図である。なお、図1において音叉型水晶振動片の腕部および基部に形成される各種金属膜の記載は省略している。
【0020】
本実施形態で使用される水晶振動片は、当該水晶振動片を搭載するための凹部を備えた、セラミック等の絶縁材料からなる容器体の内部に搭載され、前記凹部を板状の蓋体で封止することによって、音叉型水晶振動子として使用される。本実施形態では音叉型水晶振動子の公称周波数は32.768kHzとなっている。なお、前記公称周波数は一例であり、本周波数に限定されるものではなく、他の周波数にも適用可能である。
【0021】
本実施形態で適用される圧電振動片集合体1は、図1に示すように平面視矩形状の1枚の水晶ウエハ(以下ウエハと略記)に、多数個の音叉型圧電振動片2,2・・・(以下、音叉振動片と略記)が形成されている。前記音叉振動片はフォトリソグラフィ技術を用いて、レジストまたは金属膜をマスクとして音叉外形が一括的に成形されている。また図1では図示していないが、各音叉振動片の腕部および基部に形成される各種電極は真空蒸着法によって成膜され、前記音叉振動片と同様にフォトリソグラフィ技術を用いて、所定パターンが一括成形される。なお、点線部Aで示す複数の膜厚モニタ用水晶振動片M,M・・・(以下、モニタ用振動片と略記)も前記音叉振動片と同様に一括的に形成されている。図1に示す多数個の音叉振動片2,2・・・と、モニタ用水晶振動片とは後述する測定パッド部(詳細は後述)を除き、同一の構造となっている。音叉振動片2は基部3と、当該基部の一端側から一方向に伸びる一対の腕部21、22とからなり、前記基部3の他端側(振動腕21、22と対向する側)から水晶枠部6にかけてブリッジ4(接続部)が延出されている。モニタ用振動片Mも前記音叉振動片2と同様に、基部3の一端側には水晶枠部6に繋がったブリッジ4が形成されている。なお、本実施形態における圧電振動片集合体1に形成される振動片の数は、例えば図1ではモニタ用振動片Mは4個×2列で計8個が、その他の音叉振動片2は4個×10列で計44個で、合計52個の振動片が形成されている。ここで、前記形成数は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、1枚のウエハ(圧電振動片集合体1)に数百個あるいは数千個形成することも可能である。
【0022】
音叉振動片2とモニタ用振動片Mの表面には、前記ウエットエッチングによって振動片外形を成形時には各種金属膜(図1では図示せず)が形成されている。前記各種金属膜については図2乃至図5を用いて説明する。なお、説明にはモニタ用振動片Mを例として挙げている。図2は図1のA部の一部拡大平面図で、図3は図1のA部の一部拡大斜視図であり、図4は図3のB−B線における断面図、図5は図3のC−C線における断面図である。前述の各種金属膜は具体的には、モニタ用振動片M(音叉振動片も同様)の腕部および基部周辺に形成される金属膜のことであり、図2に示すように、一対の腕部21,22には第1および第2の励振電極23,24が形成されている。そして図3乃至図4に示すように、第1の励振電極23は、一方の腕部21の表裏主面励振電極23a,23bと、他方の腕部22の両側面励振電極23c,23dとから構成されており、これらの23a,23b,23c,23dは電気的に接続されている。同様に、第2の励振電極24は、他方の腕部22の表裏主面励振電極24a,24bと、一方の腕部21の両側面励振電極24c,24dとから構成されており、これらの24a,24b,24c,24dは電気的に接続されている。なお、前記第1および第2の励振電極23,24は、クロム(Cr)0.5〜10nmを下地とし、その上層にフォトリソグラフィ等の技術によって金(Au)10〜500nmが形成された薄膜である。
【0023】
図3に示すように、腕部21,22の各々の先端部には、周波数調整錘としての腕先部金属膜25,26が形成されている。そして、図5に示すように腕先部金属膜25は、表面の表主面金属膜25b、裏面の裏主面金属膜25c、外側面の外側面金属膜25a、内側面の内側面金属膜25dとで構成されている。同様に、腕先部金属膜26は表面の表主面金属膜26b、裏面の裏主面金属膜26c、外側面の外側面金属膜26a、内側面の内側面金属膜26dとで構成されている。前記腕先部金属膜25,26はそれぞれ、前記第1の励振電極(側面励振電極)24c,24dと、前記第2の励振電極(側面励振電極)23c,23dとに接続されている。本実施形態では腕先部金属膜25,26は、クロム(Cr)を下地とし、その上層にフォトリソグラフィ等の技術によって金(Au)が、積層された構成となっている。
【0024】
圧電振動片集合体1の水晶枠部6の表裏面には金が成膜されている。そして、前記多数個の音叉振動片2,2・・・の測定パッド部5を囲繞する一定領域は、水晶素地が露出した状態となっており、これによって多数個の音叉振動片2,2・・・と水晶枠部6の表裏面に成膜された金とは電気的接続が絶たれた状態となっている。つまり非導通状態となっている。一方、モニタ用振動片Mの基部3と接続している測定パッド51は、架橋部8(詳細は後述)を介して水晶枠部6と電気的に繋がった状態となっている。
【0025】
基部3の表裏面には前記第1および第2の励振電極と接続した複数の引出電極(図示せず)が配設されている。そして本実施形態において、前記引出電極は基部3の一主面側に2つ並列配置されるように導出されている。なお、基部における前記引出電極の配設状態は、多数個の音叉振動片2,2・・・と、モニタ用振動片Mともに共通である。
【0026】
次に前述した測定パッド部について、多数個の音叉振動片2,2・・・と、モニタ用振動片Mとに分けて説明する。まず、音叉振動片2に形成される測定パッド部5は、基部3に配設された前記2本の引出電極の末端が最終的に、ブリッジ4の一主面上を経由して水晶枠部6の一主面上に左右に分割して導出されている。すなわち測定パッドが2つ並列して配置された状態となっている。そして、一対の測定パッド5の周囲の水晶素地部分によって、水晶枠部6の表裏面に形成された金と、当該測定パッドとが一定の隔たりを経て電気的に独立した状態となっている。
【0027】
一方、モニタ用振動片Mに形成される測定パッド51は、前記音叉振動片2と同様に、基部3に配設された前記2本の引出電極の末端がブリッジ4の一主面上を経由して水晶枠部6の一主面上に左右に分割して導出され、測定パッドが2つ並列して配置された状態となっている。そして、測定パッド51の周囲の水晶素地部分によって、水晶枠部6の表裏面に形成された金と、当該測定パッドとが一定の隔たりを有している。
そして、図3に示すように一対の測定パッド51の一部(一端側)から、水晶枠部6の金の部分へ架橋する架橋部8が形成されている。前記架橋部8は水晶からなり、当該架橋部の両側には空隙部7が、水晶振動片の外形を成形する時に同時に形成されている。架橋部の上面には測定パッド51の一部(一端側)から、水晶枠部6の金の部分へ電気的に接続するための引出導体10が形成されている。なお、本実施形態では、音叉振動片2およびモニタ用振動片Mの各々に接続している測定パッドは水晶枠部6の一主面上に集約されて形成されているが、本形態に限定されるものではなく、基部の両主面(表裏面)の各々に引出電極を配設して水晶枠部6の両主面(表裏面)の各々に測定パッドを配置した形態であってもよい。また、本実施形態では架橋部8は図2で示すように左右に分割された一対の測定パッド51の下方向に形成されているが、本位置に限定されるものではない。例えば、上下方向に分割された一対の測定パッドの各々から横方向(腕部延出方向に対して直交する方向)に延出するように架橋部を形成することも可能である。
【0028】
本実施形態では、音叉振動片2の一対の腕部21,22の先端付近の膜付加領域への重み付けを電解めっきによって行っている。電解めっきによって重み付けをする前に、金が表裏面に成膜された水晶枠部6と電気的に独立した状態である多数個の音叉振動片2,2・・・を導通状態にしておく必要がある。そこで、本実施形態では図6(音叉振動片2に形成される各種金属膜の記載は省略している)に示すように銀(Ag)からなる複数の接続導体Lによって、各音叉振動片2,2・・・の測定パッド5,5・・・を接続している。これにより、前記各音叉振動片2,2・・・と水晶枠部6の表裏面に形成された金とが電気的に接続した状態となる。また、同時に各音叉振動片2,2・・・とモニタ用振動片Mも電気的に接続した状態となっている。なお、前記接続導体Lは真空蒸着法によって成膜されている。
【0029】
前述のように、全ての音叉振動片2とモニタ用振動片Mと水晶枠部6とが電気的に接続された圧電振動片集合体1を用いてマスキング処理が行われる。具体的には、多数個の音叉振動片2,2・・・については、重み付けを行う領域、つまり音叉振動片の腕部の先端付近の膜付加領域(腕部21,22の先端部の全周領域)だけが露出するようにレジストが塗布される。一方、モニタ用振動片Mについては前記腕部先端領域以外も露出するようにレジストが塗布される。すなわち、第1および第2の励振電極、金属膜(表主面,裏主面,外側面,内側面)、測定パッドが露出するようにレジストが塗布される。以上のようにしてレジストが塗布された後、露光等の処理を経てレジストによるマスキングが行われる。なお、後述する電解めっき前の状態では音叉振動片2の発振周波数は、めっき後の目標周波数(公称周波数よりも低い周波数)よりも高い周波数(公称周波数よりも高い周波数)となっている。
【0030】
前記マスキング処理が施された圧電振動片集合体1は所定条件に設定された,めっき浴中に浸漬され、所定時間だけ電流が印加されて金の電解めっきが行われる。本めっきによって、音叉振動片2の腕部21,22の先端付近の膜付加領域および、モニタ用振動片Mの金属部分(非マスキング領域)へ金(調整用金属膜9)が付加される。この状態を図7に示す。図7に示すように、音叉振動片2,2・・・については、当該振動片の腕部先端領域の膜付加領域だけに金が膜付加されている。一方、モニタ用振動片Mは腕部先端領域の膜付加領域と、当該膜付加領域以外の領域、すなわちモニタ用振動片に形成される各種電極にも金が膜付加されている。なお、図7では前記各種金属の一部だけを表示しているとともに、レジストの記載は省略している(前記膜付加領域に金が付加された状態の腕部先端方向から見た断面図は図8に示す)。前記電解めっきで、圧電振動片集合体1の全ての膜付加領域に一括的に金属膜を付加することによって、音叉振動片2の周波数が低下することになる(膜付加工程)。なお、前記所定時間は、電解めっき前に各音叉振動片2,2・・・の周波数を予め測定しておき、電解めっき後の音叉振動片の目標周波数までの周波数差に応じて予め算出されている。
【0031】
次に、所定時間だけ電解めっきされた圧電振動片集合体内の、多数個の音叉型水晶振動子2,2・・・の周波数確認を行う。まず、モニタ用振動片Mの測定パッドから延出している架橋部8の任意の箇所に外力を加えて、当該架橋部8を破断させる。前記破断によって架橋部8に形成されていた金が断線し、当該モニタ用振動片Mだけが電気的に独立した状態となる。前記モニタ用振動片Mは、第1および第2の励振電極、金属膜(表主面,裏主面,外側面,内側面)、測定パッドの各表面に金が成膜された状態になっているが、レジストでは被覆されていないため、測定パッドに測定プローブを当接して交流電圧を印加し、当該モニタ用振動片Mの周波数を測定することができる(周波数確認工程)。このとき、前記金属膜(励振電極,各種金属膜,測定パッド)には電解めっきによって、さらに金の厚みが加わっているので、腕部の先端領域だけに電解めっきによって金が重み付けされた場合に比べて、僅かに周波数は低くなっている。しかしながら、モニタ用振動片の前記周波数を、腕部の先端領域だけに金が重み付け(めっき)された場合の周波数として近似する(あるいは差異データを予め取得しておいて相関を採り、差異分をオフセットする)ことによって、目標周波数(周波数規格)までの周波数差を算出することができる。これにより、1回のめっきで圧電振動片集合体の全ての振動片の膜厚が所定の膜厚に到達しておらず、追加でめっきを行う必要が有る場合、目標周波数に未到達の振動片について、目標周波数との差、つまり追加でどれだけの厚みの金を膜付加すればよいのかを求めることによって、追加めっき時間を算出することができる。なお、本実施形態では前記電解めっきにおいて、めっき膜厚の管理は、単位膜厚(μm)あたりのめっき時間(分)で行っている。なお、1回のめっきで圧電振動片集合体の全ての振動片の膜厚が所定の膜厚に到達した場合は、膜付加工程は終了となる。
【0032】
以上のようにして求めた追加めっき時間だけ、さらに電解めっきを行う(追加めっき工程)。なお、前記追加めっき時には、前回めっきによって目標周波数に到達した振動片に対しても金属膜がさらに付加される。前記追加めっき工程後に、先ほど測定したモニタ用振動片とは別のモニタ用振動片の架橋部を断線させて、当該モニタ用振動片の周波数を測定する。そして測定周波数と目標周波数との差を確認し、目標周波数に到達していない振動片が存在する場合は、前述の手順を繰り返し行う。このようにして全ての圧電振動片集合体1の音叉振動片2,2・・・の周波数が、周波数規格(公称周波数以下で、ある範囲までの厚みまでの規格)に到達するように追加めっきを施していく。ここで補足しておくと、本めっき工程以降に、重み付けした領域に対してレーザービームを照射することによって金の厚みを削減させて、音叉振動片2の発振周波数を公称周波数に近づけていく“微調整工程”が存在する。前記レーザービームで金の厚みを削減する厚み(量)以上に、膜厚(最低厚み)を確保しておく必要があるために前記周波数規格が設定されている。つまり、最終的に追加めっき工程完了後には、圧電振動片集合体1の全ての音叉振動片は、腕部の先端付近の膜付加領域に前記最低厚み以上の膜厚で金属膜が形成された状態となっている。なお、モニタ用振動片の配置数は必要に応じて増減させることが可能であり、本実施形態の説明で示す配置数に限定されるものではない。
【0033】
上記構成により、めっき後に圧電振動片集合体1に形成されるレジストを全て剥離する必要が無くなり、モニタ用振動片Mの周波数を測定することで、音叉型圧電振動片2の周波数を概ね知ることができる。つまり、めっき後のモニタ用振動片の周波数から、めっきで付加された金属膜のおよその厚みを確認することができるため、音叉型圧電振動片2,2・・・に付加された金属膜の厚みも概ね把握することができる。したがって、めっきによる膜付加量が不十分で、圧電振動片集合体内の音叉型圧電振動片が所定の周波数規格に到達していない状態であっても、複数の前記モニタ用振動片を振動片集合体内に形成して、1回のめっき毎に前記モニタ用振動片の周波数を確認することにより、レジストを剥離することなく追加めっきを行うことができる。したがって、従来行っていた再レジスト塗布以降の工程を実施する必要が無くなり、大幅に工数を削減することが可能となる。
【0034】
また、前記追加めっきを行うために、従来のように再度レジストを塗布して再露光を行う際に発生していたパターンのズレを防止することが可能となるので、周波数のバラツキを抑制することができる。
【0035】
なお、1回のめっき毎に、周波数を測定するモニタ用振動片の数は1個に限定されるものではなく、複数のモニタ用振動片の周波数を測定してもよい。この場合、圧電振動片集合体1の多数個の音叉振動片の形成位置の相違による周波数の差異を考慮して隣接するモニタ用振動片ではなく、離間したモニタ用振動片の周波数を測定することで、より効率的な膜付加を行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、音叉振動片2,2・・・の測定パッド5,5・・・は、周囲の水晶枠部6の金とは電気的に独立した状態であったため、レジストを塗布する前に銀蒸着によって接続導体Lを形成したが、変形例として、初めから前記測定パッド5,5・・・が周囲の水晶枠部6の金と電気的に接続された状態であってもよい(図示せず)。つまり、圧電振動片集合体1の全ての音叉振動片2,2・・・およびモニタ用振動片M,M・・・が電気的に繋がっている状態であってもよく、このような場合も、モニタ用振動片だけを電気的に独立した状態として当該モニタ用振動片の周波数を測定することで、他の音叉振動片2,2・・・のおよその周波数を知ることができる。つまり圧電振動片集合体1の多数個の振動片のめっきによる膜厚管理を行うことができる。
【0037】
−第2の実施形態−
本実施形態における第2の実施形態を、図9乃至図10を用いて説明する。図9は本発明の第2の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図で、図10は図9のD部の一部拡大平面図ある。なお、図9において音叉振動片に形成される各種金属膜の記載は省略している。また、前述の実施形態と同様の構成については、同番号を付して説明の一部を割愛するとともに、前述の実施形態と同様の効果を有する。
【0038】
本実施形態において音叉振動片2は第1の実施形態と同一の形態であるので説明は割愛する。モニタ用振動片Mについては、図9に図示するように、第1の実施形態におけるモニタ用振動片よりも外形寸法が大きく、構造も異なったものとなっている。具体的には図10に示すように、モニタ用振動片Mは、基部3の一端側から延出した第1ブリッジ41と接続し、腕部21,22および基部3を包囲する囲繞体31を具備している。そして、囲繞体31の,第1ブリッジ41と接続している側の部分(一主面)には、基部3から第1ブリッジ41を経由して延出された引出電極と接続した一対の測定パッド51が形成されている。さらに前記測定パッド51の一端側(第1ブリッジと対向する側)には第2ブリッジ42が接続されており、第2ブリッジ42によって囲繞体31と水晶枠部6とが接続された構造となっている。なお、空隙部7は第1の実施形態と同様に、ウエットエッチングによって空洞化されている。そして一対の測定パッド51の各々の一端側からは、第2ブリッジ42の一主面上を経由して水晶枠部6の一主面に引出導体10が導出されている。前記引出導体10は水晶枠部6の最上面に成膜される金と電気的に接続した状態となっている。前記モニタ用振動片Mは矩形状の圧電振動片集合体1の二短辺の周縁寄りの位置に複数形成されている(点線部D)。なお、図9に示す圧電振動片集合体1に形成される振動片(2,M)の数は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0039】
本実施形態においても、電解めっきによって音叉振動片2の腕部21,22の先端付近の膜付加領域に金が膜付加され、音叉振動片2の周波数の調整が行われる。多数個の音叉振動片2,2・・・は、第1の実施形態と同様に電気的に独立しているため、レジストを塗布する前に銀(Ag)からなる複数の接続導体(図示せず)によって、各音叉振動片2,2・・・の測定パッド5,5・・・を接続する。これにより、前記各音叉振動片2,2・・・と水晶枠部6の表裏面に形成された金とが電気的に接続された状態となる。また、同時に各音叉振動片2,2・・・とモニタ用振動片Mも電気的に接続された状態となっている。なお、前記接続導体は真空蒸着法によって成膜されている。
【0040】
本実施形態では、多数個の音叉振動片2,2・・・は、重み付けを行う領域、つまり音叉振動片の腕部の先端付近の膜付加領域(腕部21,22の先端部の全周領域)だけが露出するようにレジストが塗布される。一方、モニタ用振動片Mについても同様に腕部21,22の先端部の全周領域だけが露出するようにレジストが塗布される。以上のようにしてレジストが塗布された後、露光等の処理を経てレジストによるマスキングが行われる。
【0041】
前記マスキング処理が施された圧電振動片集合体1を所定条件に設定された,めっき浴中に浸漬され、所定時間だけ電流が印加されて金の電解めっきが行われる。本めっきによって、音叉振動片2とモニタ用振動片Mの各々の腕部21,22の先端付近の膜付加領域に金(調整用金属膜)が付加される。つまり、本めっきで圧電振動片集合体1の全ての膜付加領域に一括的に金属膜を付加することによって、圧電振動片集合体1の全ての振動片の周波数が低下することになる(膜付加工程)。なお、前記所定時間は、電解めっき前に各音叉振動片2,2・・・の周波数を予め測定しておき、電解めっき後の音叉振動片の目標周波数までの周波数差に応じて予め算出されている。
【0042】
次に、所定時間だけ電解めっきされた圧電振動片集合体1内の、多数個の音叉型水晶振動子2,2・・・の周波数確認を行う。本実施形態では、モニタ用振動片Mの第2ブリッジ42の部分に外力を加えて、第2ブリッジ42を破断させる。これによりモニタ用振動片Mは圧電振動片集合体1から分離される。分離されたモニタ用振動片Mは、腕部の先端付近の膜付加領域だけに金が膜付加された状態となっており、前記膜付加領域以外にはレジストが塗布されている。そして、当該モニタ用振動片Mのレジストを剥離してから測定パッド51に測定プローブを当接して、モニタ用振動片Mの周波数を測定する(周波数確認工程)。このとき、個片状態のモニタ用振動片Mは、囲繞体31によって、腕部および基部の周囲が包囲されているので、測定時に腕部あるいは基部が、他の物体と接触することによる破損や欠損を防止することができる。また取り扱いの点でも機械的強度を向上させることができる。また、レジストを剥離してからモニタ用振動片Mの周波数の測定を行っているので、モニタ用以外の他の音叉振動片2のめっき後の周波数により近い周波数を取得することが可能となる。このようなモニタ用第1および第2の励振電極、金属膜(表主面,裏主面,外側面,内側面)、測定パッドの各表面に金が成膜された状態になっているが、レジストでは被覆されていないため、測定パッドに測定プローブを当接して交流電圧を印加し、当該モニタ用振動片Mの周波数を測定することができる(周波数確認工程)
【0043】
以上のようにして測定したモニタ用振動片Mの周波数から、目標周波数(周波数規格)までの周波数差を算出し、追加でめっきが必要な振動片について、目標周波数に到達させるのに必要な周波数(追加付加する膜厚)を求めることによって、追加めっき時間を算出することができる。
【0044】
そして、上記で求めた追加めっき時間だけ、さらに電解めっきを行う(追加めっき工程)。前記追加めっき工程後には、分離されずに残存しているモニタ用振動片Mの一つを用いて、前述と同様の手順でモニタ用振動片Mを圧電振動片集合体1から分離し、レジストを剥離した後、当該モニタ用振動片の周波数を測定する。そして、測定周波数と目標周波数との差を確認して、目標周波数に未到達の振動片が存在する場合は、前述の手順を繰り返して追加めっきを繰り返し行う。このようにして全ての圧電振動片集合体1の音叉振動片2,2・・・の周波数が、周波数規格内に収まるように追加めっきを施していく。なお、前記追加めっき時には、前回めっきによって目標周波数に到達した振動片に対しても金属膜がさらに付加される。
【0045】
上記構成により、モニタ用圧電振動片が、めっき後に圧電振動片集合体から分離可能であるため、分離されたモニタ用圧電振動片のレジストを剥離することで容易に当該モニタ用圧電振動片の周波数を測定することができる。そして、モニタ用圧電振動片で測定した周波数に基づき、目標周波数までの必要な追加めっき時間を算出して追加めっきを行うことができるので、効率的なめっきによる周波数調整を行うことができる。
【0046】
また、本発明によるとめっき後の周波数確認のために圧電振動片集合体に形成された全てのレジストを剥離する必要が無いので、追加めっき時に従来のように再度レジストを塗布して再露光を行う際の電極パターンのズレを防止することが可能となり、周波数のバラツキ低減に繋がる。
【0047】
本発明の実施形態では表面実装型の音叉型水晶振動子を例にしているが、音叉型水晶振動子以外にATカット水晶振動子や、水晶フィルタ、水晶発振器などの電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスの製造方法にも適用可能である。
【0048】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【図2】図1のA部の一部拡大平面図。
【図3】図1のA部の一部拡大斜視図。
【図4】図3のB−B線における断面図。
【図5】図3のC−C線における断面図。
【図6】図1において接続導体が形成された状態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【図7】図6においてめっきによる膜付加が行われた状態を示す平面図
【図8】図5においてめっきによる膜付加が行われた状態を示す断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【図10】図9のD部の一部拡大平面図。
【図11】従来の実施形態を示す圧電振動片集合体の平面図。
【符号の説明】
【0051】
1 圧電振動片集合体
2 音叉型圧電振動片
21、22 腕部
23 第1の励振電極
24 第2の励振電極
25、26 腕先部金属膜
3 基部
31 囲繞体
4 ブリッジ
41 第1ブリッジ
42 第2ブリッジ
5、51 測定パッド
6 水晶枠部
7 空隙部
8 架橋部
9 調整金属膜
10 引出導体
L 接続導体
M 膜厚モニタ用水晶振動片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状の圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成された圧電振動片集合体であって、
前記圧電振動片の表裏面に形成される励振電極は、少なくとも上層に膜付加領域を備えているとともに、前記膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加され、
前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする圧電振動片集合体。
【請求項2】
基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体であって、
前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする圧電振動片集合体。
【請求項3】
前記モニタ用圧電振動片は前記膜付加領域以外の領域にも、めっきが施されていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の圧電振動片集合体。
【請求項4】
前記モニタ用圧電振動片は、めっき後に前記圧電振動片集合体から分離可能であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の圧電振動片集合体。
【請求項5】
基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、
前記圧電振動片集合体には電解めっきによって、前記膜付加領域以外の領域にも金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、
圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、電解めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、
前記膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法。
【請求項6】
基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、
前記圧電振動片集合体には、電解めっきによって前記膜付加領域のみに金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、
圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、
膜付加工程の後に、前記膜厚モニタ用圧電振動片を圧電振動片集合体から分離した後に当該膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法。
【請求項1】
平面視矩形状の圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成された圧電振動片集合体であって、
前記圧電振動片の表裏面に形成される励振電極は、少なくとも上層に膜付加領域を備えているとともに、前記膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加され、
前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする圧電振動片集合体。
【請求項2】
基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上のめっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体であって、
前記圧電振動片集合体には、前記めっき後における前記金属膜の膜厚を管理するためのモニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されていることを特徴とする圧電振動片集合体。
【請求項3】
前記モニタ用圧電振動片は前記膜付加領域以外の領域にも、めっきが施されていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の圧電振動片集合体。
【請求項4】
前記モニタ用圧電振動片は、めっき後に前記圧電振動片集合体から分離可能であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の圧電振動片集合体。
【請求項5】
基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、
前記圧電振動片集合体には電解めっきによって、前記膜付加領域以外の領域にも金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、
圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、電解めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、
前記膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法。
【請求項6】
基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の腕部とからなる音叉型圧電振動片が、マトリクス状に多数個整列して一体形成され、前記腕部の先端付近の膜付加領域に1回以上の電解めっきによって金属膜が一括的に付加される圧電振動片集合体の膜厚制御方法であって、
前記圧電振動片集合体には、電解めっきによって前記膜付加領域のみに金属膜が付加される膜厚モニタ用圧電振動片が少なくとも1個以上形成されているとともに、
圧電振動片集合体の全ての膜付加領域に、めっきによって一括的に金属膜を付加して音叉型圧電振動片の周波数を低下させる膜付加工程と、
膜付加工程の後に、前記膜厚モニタ用圧電振動片を圧電振動片集合体から分離した後に当該膜厚モニタ用圧電振動片の周波数測定を行う周波数確認工程と、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していなければ、さらにめっきを行う追加めっき工程とを有し、
周波数確認工程で測定した周波数が目標周波数に到達していれば膜付加工程を終了することを特徴とする圧電振動片集合体の膜厚制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−159517(P2009−159517A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337944(P2007−337944)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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