説明

圧電発振器及びその製造方法。

【課題】 本発明の目的は、基板の上面側に圧電振動素子を実装し、下面側に集積回路素子を実装した圧電発振器であって、集積回路素子の搭載に際し、高精度のマウンタ装置を必要としない簡易な製造方法で製造可能な圧電発振器を提供することにある。
【解決手段】空間部内には圧電振動素子が搭載されおり、更に蓋体により空間部を気密封止した圧電振動子部と、集積回路素子とが、機械的及び電気的に接続された圧電発振器において、基板の他方の主面に形成された集積回路素子接続用電極パッドには集積回路素子が接合固着されており、基板の他方の主面の、集積回路素子の少なくとも対角に位置する2つの角部付近には、位置決め用基体が形成されている圧電発振器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる圧電発振器及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯用通信機器等の電子機器には、電子部品の一つである圧電発振器が、搭載される電子機器における、基準信号発生源又はクロック信号発生源などとして用いられている。
【0003】
かかる従来の圧電発振器としては、例えば図6に示す如く、主面の形状が矩形状の基板101の上下主面に、基板101と同材の側壁体でそれぞれ囲繞された第1の空間部102、第2の空間部103を有する容器体104の上面側(便宜上、発振器本体の実装面方向を下として説明する)の第1の空間部102内には、圧電振動素子105が実装されており、蓋体106により圧電振動素子105が内部に搭載された第1の空間部102が気密封止されている。また、第2の空間部103内には、圧電振動素子105を励振させ出力信号を得る発振回路、及びこの出力信号を受信し信号に対し温度補償を行なうための温度補償回路等を内蔵した集積回路素子107が収容してなる圧電発振器であって、第2の空間部103の内表面に、集積回路素子107の回路形成面を保護するための樹脂108が充填されている圧電発振器100が開示してある。図6はその断面図である。
【0004】
このような形態により、基板101の上面に圧電振動素子105を実装し、下面に集積回路素子107を実装しているため、容積の小さい小型の圧電発振器ができる。また、圧電振動素子105と集積回路素子107とを全く異なる空間に収容することができるため、圧電振動素子105に他の素子等からの影響(熱や揮発ガスなど)が加わるのを防止でき、圧電振動素子105の発振動作を長期にわたり安定化させることができる。また、上述したような形態の圧電発振器のでは、蓋体106で気密封じされた状態での圧電振動素子112の発振特性の不良を、集積回路素子107の搭載前工程中に簡単に検出できるため、その製造工程において、不良な圧電振動素子が搭載された容器体へ集積回路素子を搭載することが無くなり、集積回路素子107の無駄な消費、無駄な製造工程の未実施により、安価な圧電発振器となる。また、上述したように基板101の表面に圧電振動素子105を実装した後に、集積回路素子107を実装する工程を用いているため、圧電振動素子105の周波数安定化のために行なう加熱処理を集積回路素子107搭載前に行うことができ、この加熱処理のための熱が集積回路素子107に印加されず、集積回路素子107の動作信頼性や接続信頼性を高めることができる。
【0005】
尚、上述したような圧電発振器に関する情報は、下記の先行技術文献に開示されている。
【特許文献1】特開2000−138533号公報
【特許文献2】特開1999−333858号公報
【0006】
なお、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような形態の従来の圧電発振器の場合、集積回路素子を第2の空間部内に実装後、集積回路素子と第2の空間部内底面との間に保護樹脂を塗布する必要があり、その保護樹脂を塗布するために集積回路素子の側面と第2の空間部内側面との間に、樹脂塗布のための工具(シリンジなど)が挿入できる隙間が必要となる。圧電発振器の小型化が進みにつれ、搭載する集積回路素子も小型化する。この集積回路素子の小型化が進むと、この保護樹脂塗布のための隙間の間隔が集積回路素子の大きさに比して大きくなるため、集積回路素子107の搭載の際には、所定の位置に集積回路素子を搭載するための高精度の位置合わせ必要となる。通常、このような高精度の位置合わせを必要とする搭載手段としては、高精度の位置合わせ機能を有するマウンタ装置が必要となるため、圧電発振器の製造機器への高額の投資が必要であり、且つ高精度の位置合わせが必要なため、集積回路素子の搭載は高精度マウンタ装置により1つ1つ行う必要があり、圧電発振器としての製造工数の削減についても限界があった。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み考え出されたものであり、従ってその目的は、基板の上面側に圧電振動素子を実装し、下面側に集積回路素子を実装した圧電発振器であって、集積回路素子の搭載に際し、高精度のマウンタ装置を必要としない工程で製造可能な形態の圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る圧電発振器は上記課題を解決するためになされたものであり、絶縁性の基板の一方の矩形状の主面には凹形状の空間部が形成され、この空間部内には圧電振動素子が搭載されおり、更に蓋体がこの空間部を囲繞する側壁部の空間部開口側端面に、空間部開口部を塞ぐ形態で配置固着されて、空間部を気密封止した圧電振動子部と、少なくとも内部に発振回路が形成された集積回路素子とが、機械的及び電気的に接続されており、且つ少なくともこの圧電振動子部と集積回路素子が合体で構成される圧電発振器において、
上記圧電振動子部を構成する基板の他方の矩形状の主面には、複数個の集積回路素子接続用電極パッドが形成されており、この集積回路素子接続用電極パッドには、導電性接合材により上記集積回路素子が接合固着されており、又、集積回路素子を搭載した基板の他方の主面の、集積回路素子の少なくとも対角に位置する2つの角部付近には、少なくとも内側面の一部を集積回路素子の側面形状に沿った形態の位置決め用基体が形成されていることを特徴とする圧電発振器である。
【0010】
又、上記位置決め用基体の形態が、この位置決め用基体の内側面が集積回路素子の側面全周に沿って集積回路素子を囲繞する形態であることを特徴とする圧電発振器でもある。
【0011】
更に、上記位置決め用基体の外形形状が円柱状であり、且つ円柱状の位置決め用基体が、基板の他方の主面上の、集積回路素子の少なくとも対角に位置する2つの角部を構成する各側面の外側に、円柱側面の一部を集積回路素子の側面に相対向した形態で、少なくとも集積回路素子の各側面に対し1つ以上形成されていることを特徴とする圧電発振器でもある。
【0012】
又、本発明に係る圧電発振器の製造方法は上記課題を解決するためになされたものであり、絶縁性の基板の一方の矩形状の主面には凹形状の空間部を形成し、この空間部内には圧電振動素子を搭載し、更に蓋体をこの空間部を囲繞する側壁部の空間部開口側端面に、この空間部開口部を塞ぐ形態で配置固着して空間部を気密封止した圧電振動子部と、少なくとも発振回路を形成した集積回路素子とを、機械的及び電気的に接続し、圧電振動子部と集積回路素子を合体で形成する圧電発振器の製造方法において、
上記基板の他方の矩形状の主面に、複数個の集積回路素子接続用電極パッドを形成し、基板の他方の主面上の、後の工程で搭載する集積回路素子の少なくとも対角に位置する2つの角部付近に、少なくとも内側面の一部を集積回路素子の側面形状に沿った形態の位置決め用基体を形成した基板により形成した圧電振動子部を用意する工程と、
少なくともこの集積回路素子接続用電極パッド上に導電性接合材を塗布する工程と、
上記位置決め用基体の内側面に沿って集積回路素子を嵌め込み、集積回路素子接続用電極パッド上に導電性接合材を介して集積回路素子を配置し、圧電振動子部に形成した集積回路素子接続用電極パッドと、集積回路素子とを導電性接合材により機械的且つ電気的に接続固着する工程と、
を具備することを特徴とする圧電発振器の製造方法である。
【0013】
上記導電性接合材を、全ての集積回路素子接続用電極パッド上及び集積回路素子接続用電極パッド間の基板の他方の主面上に一様に塗布することを特徴とする圧電発振器の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る圧電発振器及びその製造方法によれば、圧電発振器を構成する集積回路素子の高精度の搭載位置合わせを、位置決め基体により簡易に(例えば、手作業による投入配置や位置合わせ精度の低い簡易マウンタ装置による配置等)行うことができ、高精度な位置合わせ機能を有するマウンタ装置を必要としなくなるため、圧電発振器の製造機器への高額の投資を行うことなく、且つ高精度マウンタ装置による位置合わせが不必要なため、集積回路素子の搭載は複数個同時に行うことができ、圧電発振器としての製造工数の削減も可能となる。
【0015】
因って、本発明により、製造方法が簡易であり且つ安価な圧電発振器を提供できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る圧電発振器の一実施形態を示した図であり、(a)は(b)に記載の仮想切断線A1−A2で切断した場合の断面図であり、(b)は外部基板との実装面側から見た平面図である。図2は、図1に記載の圧電発振器を、外部基板との実装面を斜め上方より示した一部分解した部分斜視図である。図3は、本発明に係る圧電発振器の他の実施形態を、外部基板との実装面側から示した平面図である。図4も、本発明に係る圧電発振器の他の実施形態を、外部基板との実装面側から示した平面図である。図5は、本発明に係る圧電発振器の製造方法を、各工程の圧電発振器の形態を概略断面図で示した工程図である。尚、各図において同じ符号を付した構造部品は同じものを示している。又、各図では、説明を明りょうにするため構造体の一部を図示せず、また寸法も一部誇張して図示している。特に各図の厚み方向寸法は誇張して図示している。
【0017】
即ち、図1乃至図4に図示する圧電発振器は大略的に言って、基板12と枠体13から構成される容器体11、圧電振動素子14、バンプ15、集積回路素子16、位置決め用基体17とで構成されている。図1に図示する圧電発振器10では、基板12の一方の主面(以下、上面という)上に枠体13を配置結合させて、基板12の上面に形成した空間部18に圧電振動素子12を収容し、基板12の他方の主面(以下、下面という)の四隅角部には、この圧電発振器10を搭載する電子機器のマザーボード等の外部基板へ電気的に接続するための外部接続用電極端子19が設けられている。
【0018】
容器体11は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板12、基板12と同様のセラミック材料から成る枠体13から構成されており、基板12の上面に枠体13を取着させることにより、基板12の上面上に枠体13により囲繞された空間部18が形成されている。又、基板12と枠体13により構成される空間部18内には、空間部18の底面上(基板12の上面と同意)に形成した圧電振動素子接続用電極パッドに導電性接合材21を介して圧電振動素子12が実装されている。圧電振動素子12が内部に搭載された空間部18は、枠体13の環状露出側の面上に空間部18の開口部を被覆するように載置固着した、42アロイやコパール、リン青銅等から成る矩形平板状の蓋体20により気密封止されている。この各種電極端子類を形成した容器体11、圧電振動素子12及び蓋体20で構成された部分を便宜上圧電振動子部と言う。
【0019】
尚、空間部18内に搭載される圧電振動素子12は、主構造材を圧電材よりなる矩形平板状の個片であり、例えば、圧電材として水晶を用いた圧電振動素子は、人工水晶体より所定のカットアングルで切り出した水晶素板に外形加工を施し、所望の平板矩形状の水晶片を形成し、その水晶片の表裏両主面で対向する一対の励振用電極を被着形成することにより成り、外部からの変動電圧が一対の励振用電極を介して水晶片に印加されると、所定の周波数で所定の振動モードの振動を起こす。
【0020】
また一方で図1乃至図4に図示するように、上述した容器体11を構成する基板12の下面には、所定の位置に複数個の集積回路素子接続用電極パッド22が形成されており、その集積回路素子接続用電極パッド22の上には、導電性接着材、半田又は金などのバンプなどの導電性接合材23を介して集積回路素子16が配置されている。この集積回路素子16は導電性接合材23により集積回路素子接続用電極パッド22に機械的及び電気的に接続固着されている。
【0021】
図1及び図2では、この集積回路素子16の外周側面に沿って集積回路素子16を囲繞する形態の位置決め基体17が、基板12の下面上に形成されている。この位置決め基体17は、その内周面が位置決め基体17の内側に搭載する集積回路素子16の外周側面にほぼ接する形態である。又、位置決め基体17の高さ寸法は、集積回路素子16が集積回路素子接続用電極パッド22上に搭載したときの集積回路素子16搭載部分の高さ寸法よりも低く、且つ集積回路素子16が集積回路素子接続用電極パッド22上に搭載したときの集積回路素子16本体側面の基板12側端部より高い範囲内に形成されている。尚、この位置決め基体17は、容器体11を形成時に同時に形成するものであり、その構造材は容器体11を構成する各部材と同じものが用いられる。
【0022】
又、図3には、他の形態の位置決め基体を形成した圧電発振器を示した。即ち、図3に開示の圧電発振器30では、集積回路素子16の対向する2つの角部付近のみの集積回路素子16の外周側面に沿って位置決め基体31が基板12の下面上に形成されている。図3では、集積回路素子16の対角に対向する2つの角部付近にのみ位置決め基体31を形成する形態を開示したが、これは集積回路素子16の搭載位置を決めるのに必要な最も簡易な形態であり、図3に記載のような位置決め基体31を、集積回路素子16の対角に対向する2つの角部以外の角部にも形成した形態でも良い。
【0023】
又、図4には、更に他の形態の位置決め基体を形成した圧電発振器を示した。即ち、図4に開示の圧電発振器40では、位置決め用基体41の外形形状が円柱状であり、且つ円柱状の位置決め用基体41が、基板12の他方の主面上の、集積回路素子16の少なくとも対角に位置する2つの角部を構成する各側面の外側に沿って、円柱側面の一部を集積回路素子16の側面に相対向した形態で、少なくとも集積回路素子16の各側面に対し1個ずつ形成されている。図4に示した位置決め基体41の配置形態(集積回路素子16の各辺に沿って1個ずつ)は、集積回路素子16の搭載位置を決めるのに必要な最も簡易な形態であり、他の配置形態として、集積回路素子16の各辺に沿って複数個の位置決め基体41を形成した形態でも良い。
【0024】
尚、集積回路素子16はその回路形成面に、周囲の温度状態を検知する感温素子、圧電振動素子14の温度特性を補償する温度補償データを収納したメモリを有し、温度補償データに基づいて圧電振動素子14の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられており、発振回路で生成された発振出力は、圧電発振器外部に出力された後、例えばクロック信号等の基準信号として利用されることとなる。
【0025】
上記基板12の下面四隅部に形成された外部接続用電極端子19上には、外部接続用電極端子19と、外部基板に形成された圧電発振器搭載用電極端とを、機械的及び電気的に接続することで外部基板に圧電発振器を搭載するためのバンプ15が形成されている。又、基体12の下面の対向する2辺の外部接続用電極端子19間には各辺2個のデータ書込用電極端子24が形成されている。ここで、バンプ15は金属材料からなる金属バンプにより形成されており、その形成した際のバンプ15の高さ寸法は、集積回路素子16が集積回路素子接続用電極パッド22上に搭載したときの集積回路素子16搭載部分の高さ寸法よりも高くなっており、バンプ15を介して圧電発振器を外部基板に搭載した場合、集積回路素子16が外部基板表面に接触しない形態でバンプ15は形成されている。尚、圧電振動素子14,集積回路素子16,外部接続用電極端子19及びデータ書込用電極端子24とは、基板12の表面及び内部に設けられたメタライズ配線やビアホールにより所定の端子又は素子間で電気的に接続されている。
【0026】
次に上述した圧電発振器の製造方法について、本発明の一実施形態である図1に開示の圧電発振器の形態を用いた場合を説明する。
まず、図5(a)に図示するように、配列集合された複数個の容器体形成領域A及びその周囲に形成した捨代領域Bからなる集合基体51を準備する。尚、製造方法を明りょうに説明するために、便宜上、図1に記載の圧電発振器とは上下逆になるように示している。図示するように集合基体51は、圧電発振器の容器体を構成する基板(図1では基板12)を集合配列してなる第1のシート状集合基板52の一方の主面(以下、図5に合わせて下面という)に、容器体形成領域Aに合わせた形態の枠体(図1では枠体13)の形成領域を配列集合した第2のシート上基板53を結合し、各容器体形成領域A内に空間部18を形成する。この各空間部18内には前もって圧電振動素子14が搭載されており、圧電振動素子14が内部に搭載された空間部18は各々蓋体20によって気密に封じされている。
【0027】
又、集合基体51を構成する第1のシート状基板52の各容器体形成領域A上面には、個々に複数個の集積回路素子接続用電極パッド22を形成し、この各容器体形成領域A内に形成した集積回路素子接続用電極パッドの周囲には、後の工程でこの集積回路素子接続用電極パッド22上に搭載する集積回路素子16の外周側面に沿って集積回路素子16を囲繞する形態の位置決め基体17が形成されている。更に、集合基体11の上面の各容器体形成領域Aの四隅角部に、集積回路素子接続用電極パッド22のうちの所定のものと電気的に接続する外部接続用電極端子19が形成されている。
【0028】
このような第1のシート状基板52、第2のシート基板53及び各位置決め基体17等からなる集合基体11は、例えば、アルミナセラミックス等から成るセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加し更に混合して得たセラミックグリーンシートの表面等に、集積回路素子接続用電極パッド22や外部接続用電極端子19等となる導体ペーストを所定のパターンに印刷して塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することによって製作される。
【0029】
尚、図5(a)では、各空間部18を気密封止する蓋体の形態として、個片化した蓋体を各々の空間部18開口部に配置し固着した形態を示したが、他の形態として、集合基体51の各空間部18と1対1に対応する複数個の蓋体形成領域を有する集合金属板を、空間部18内に搭載された圧電振動素子12が気密封止されるように第2のシート基板上に載置接合する形態でも良い。蓋体20又は集合金属板の主構成材としては、例えば、42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成る厚みが60μm〜100μmの金属板が用いられる。尚、集合金属板にも、先に述べた集合基体51と同様に、各蓋体形成領域間に所定の捨代領域が設けられている。
【0030】
次に図5(b)に示すように、集合基体51の各容器体形成領域内の上面に形成した各集積回路素子接続用電極パッド22上に半田を形成する。尚、本実施例では、導電性接合材として半田を用いたものを開示したが、半田の他に導電性接着材又はバンプなどの導電性接合材を使用しても良い。
【0031】
次に図5(c)に示すように、各容器体形成領域内に搭載した圧電振動素子の発振周波数値やクリスタルインピーダンス値などの各種特性値を測定し、その良否を判定した後、良品の圧電振動素子14が搭載された集合基体51の容器体形成領域A上面に形成されている個々の位置決め用基体17の内側面に沿って集積回路素子16を嵌め込み、集積回路素子接続用電極パッド22上に半田を介して集積回路素子16を配置し、集積回路素子接続用電極パッド22と集積回路素子16とを、半田により機械的且つ電気的に接続固着する。この際、集積回路素子16は位置決め基体17により、集積回路素子接続用電極パッド22上の所定の位置に精確に配置され、且つ集合基体51の上面に平行方向の動きを止める。又、集積回路素子16の導通固着は、各集積回路素子を配置した集合基体51を、リフロー炉(加熱炉)を通過させることにより、半田を加熱溶融した後冷却固化することで行う。尚、本実施例では集積回路素子接続用電極パッド22上に半田等の導電性接合材を形成し、その上に集積回路素子16を配置する形態を開示したが、他に、集積回路素子16の容器体実装面に形成されている電極パッド上に導電性接合材を形成し、その集積回路素子16を集積回路素子接続用電極パッド22上に配置する形態でも良い。
【0032】
次に図5(d)に示すように、集合基体51の各容器体形成領域の四隅角部に形成してある外部接続用電極端子19上に金属バンプ15を各個搭載する。このバンプ15は、集積回路素子16が集積回路素子接続用電極パッド22上に搭載したときの集積回路素子16搭載部分の高さ寸法よりも、バンプ15の高さ寸法が高くなるように形成する。尚、本実施例ではバンプ15の形成を集積回路素子搭載後に行っているが、他に、集積回路素子接続用電極パッド22への半田形成前、或いは集積回路素子16の搭載前の工程においてバンプ15を形成しても良い。
【0033】
そして、その回路形成面に周囲の温度状態を検知する感温素子や、圧電振動素子14の温度特性を補償する温度補償データを収納したメモリを有し、温度補償データに基づいて圧電振動素子14の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路を有する集積回路素子16へ、圧電発振器の特性仕様を所望の数値となるように、集合基体51の各容器体形成領域Aの上面に形成されたデータ書込用電極端子24よりビットデータを入力し温度補償データの書き込みを行う。
【0034】
次に図5(e)に示すように、集合基体51を各容器形成領域Aの外周に沿って一括的に分割切断(ダイシング)し、これによって複数個の図1に記載のような圧電発振器が同時に製作される。また、集合基体51の切断は、例えば、ダイサー等を用いて、これらの部材を一括的に切断することによって行われ、これによって複数個の圧電発振器が同時に得られる。
【0035】
尚、上記実施例では図5(b)に示した製造工程において、各集積回路素子接続用電極パッド22上に、半田を各々形成する形態を開示したが、他の半田塗布形態として、位置決め基体17で囲繞された集合基体51の各容器体形成領域Aの上面及び全ての集積回路素子接続用電極パッド上に一様に半田を塗布し、その上に集積回路素子16を嵌め込み配置する。その後、各集積回路素子16を配置した集合基体51を、リフロー炉(加熱炉)を通過させることにより、半田を加熱溶融すると、集積回路素子接続用電極パッド22と集積回路素子側の接続用電極パッドによるセルフアライメント作用により、相対向する集積回路素子接続用電極パッド22と集積回路素子側の接続用電極パッドの間のみに半田が集まり、その後冷却固化することで、相対向する集積回路素子接続用電極パッド22と集積回路素子側の接続用電極パッドの間のみが導通する形態を得ることができる。
【0036】
又、図1、図2及び図5に開示した形態の圧電発振器及びその製造方法では、集積回路素子16の側面全周を囲繞する形態で位置決め基体17を形成しているので、集積回路素子16の回路形成面へ外部からのゴミやはんだ等の不具合要因物の浸入を防止できるので、従来の圧電発振器にある保護樹脂の形成を省くことが出来る。尚、図3及び図4に開示のような形態の圧電発振器では、保護樹脂の形成は必要となるが、各図に示したように搭載した集積回路素子16の下部側面が大きく外部に露出しているため、従来の圧電発振器に比べ容易に保護樹脂を形成することが可能である。
【0037】
なお、上述したもの以外にも、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、本実施例に開示の圧電発振器の製造方法では、圧電発振器を構成する容器体を形成する領域部を配列集合した集合基体を用いて圧電発振器を製造する形態の製造方法を開示したが、圧電発振器を製造する前に集合基体を分割切断し個々の容器体を形成し、この容器体に各構成部材を本発明の要旨に合う方法で組み込み、本発明に係る圧電発振器を製造する方法を用いても構わない。又、上記実施例では外部接続用電極端子と外部基板との機械的及び電気的接続はバンプ15により行われているが、他に金属柱体や、外部接続用電極端子及び外部基板に対向する面に電極端子を形成し且つ電極端子間を導通した柱体を用いても良い。或いは、基板四隅より一体で延設した柱体を形成し、その先端面に集積回路素子と電気的に接続した外部接続用電極端子を形成した形態でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明に係る圧電発振器の一実施形態を示した説明図であり、(a)は同図(b)に記載の圧電発振器を仮想切断線A1−A2で切断した場合の断面図であり、(b)は外部基板との実装面側から見た平面図である。
【図2】図2は、図1に記載の圧電発振器を、外部基板との実装面を斜め上方より示した一部分解した部分斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係る圧電発振器の他の実施形態を、外部基板との実装面側から示した平面図である。
【図4】図4は、本発明に係る圧電発振器の他の実施形態を、外部基板との実装面側から示した平面図である。
【図5】図5は、本発明に係る圧電発振器の製造方法を、各工程の圧電発振器となる部材の形成形態を概略断面図で示した工程図である。
【図6】図6は、従来の圧電発振器の形態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10、30、40・・・圧電発振器
11・・・容器体
12・・・基板
13・・・枠体
14・・・圧電振動素子
16・・・集積回路素子
17、31、41・・・位置決め基体
18・・・空間部
19・・・外部接続用電極端子
20・・・蓋体
22・・・集積回路素子接続用電極パッド
23・・・導電性接合材
51・・・集合基体
52・・・第1のシート状基板
53・・・第2のシート状基板
A・・・容器体基板領域
B・・・捨代領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基板の一方の矩形状の主面には凹形状の空間部が形成され、該空間部内には圧電振動素子が搭載されおり、更に蓋体が、該空間部を囲繞する側壁部の該空間部開口側端面に、該空間部開口部を塞ぐ形態で配置固着されて、該空間部を気密封止した圧電振動子部と、少なくとも発振回路が形成された集積回路素子とが、機械的及び電気的に接続されており、且つ少なくともこの該圧電振動子部と該集積回路素子が合体で構成される圧電発振器において、
該圧電振動子部を構成する該基板の他方の矩形状の主面には、複数個の集積回路素子接続用電極パッドが形成されており、該集積回路素子接続用電極パッドには、導電性接合材により該集積回路素子が接合固着されており、又、該集積回路素子を搭載した該基板の他方の主面の、該集積回路素子外周の少なくとも対角に位置する2つの角部付近には、少なくとも内側面の一部を該集積回路素子の側面形状に沿った形態の位置決め用基体が形成されていることを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
該位置決め用基体の形態が、該位置決め用基体の内側面が該集積回路素子の側面全周に沿って該集積回路素子を囲繞する形態であることを特徴とする請求項1記載の圧電発振器。
【請求項3】
該位置決め用基体の外形形状が円柱状であり、且つ円柱状の該位置決め用基体が、該基板の他方の主面上の、該集積回路素子の少なくとも対角に位置する2つの角部を構成する各側面の外側に、円柱側面の一部を該集積回路素子の側面に対向した形態で、少なくとも該集積回路素子の各側面に対し1つ以上形成されていることを特徴とする請求項1記載の圧電発振器。
【請求項4】
絶縁性の基板の一方の矩形状の主面には凹形状の空間部を形成し、該空間部内には圧電振動素子を搭載し、更に蓋体を、該空間部を囲繞する側壁部の該空間部開口側端面に、該空間部開口部を塞ぐ形態で配置固着して該空間部を気密封止した圧電振動子部と、少なくとも発振回路を形成した集積回路素子とを、機械的及び電気的に接続し、該圧電振動子部と集積回路素子を合体で形成する圧電発振器の製造方法において、
該基板の他方の矩形状の主面に、複数個の集積回路素子接続用電極パッドを形成し、該他方の主面上の、後の工程で搭載する該集積回路素子の少なくとの対角に位置する2つの角部付近に、少なくとも内側面の一部を該集積回路素子の側面形状に沿った形態の位置決め用基体を形成した該基板により形成した該圧電振動子部を用意する工程と、
少なくとも該集積回路素子接続用電極パッド上に導電性接合材を塗布する工程と、
該位置決め用基体の内側面に沿って該集積回路素子を嵌め込み、該集積回路素子接続用電極パッド上に該導電性接合材を介して配置し、該圧電振動子部に形成した該集積回路素子接続用電極パッドと、該集積回路素子とを該導電性接合材により機械的且つ電気的に接続する工程と、
を具備することを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項5】
該導電性接合材を、全ての集積回路素子接続用電極パッド上及び集積回路素子接続用電極パッド間の該基板の他方の主面上に一様に塗布することを特徴とする請求項1記載の圧電発振器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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