説明

圧電素子の製造方法

【課題】温度変化による伸縮が十分に抑えられる圧電素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】圧電基板1は、基材11と、基材11の一方の主面上に形成された膜12とから主に構成されている。基材11において、膜12を形成する主面は、粗面化された主面11aである。この圧電基板1は、基材11の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜12を、粗面化された主面11a上に溶射法により形成することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電素子の製造方法に関し、特に、弾性表面波デバイスなどに使用する圧電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイスは、タンタル酸リチウム(LiTaO3)(LT)基板やニオブ酸リチウム(LiNbO3)(LN)基板などの圧電基板上にくし型電極を形成してなるデバイスである。このデバイスは、圧電体の電気機械的な性質を利用した超小型のバンドパスフィルタの機能を有する。SAWデバイスにおいては、くし型電極のミクロンオーダーのピッチが敏感にフィルタ特性に反映される。LTやLNの熱膨張係数は、シリコンの6倍程度(シリコン約2.6×10-6/Kに対してLT約16×10-6/K、LN約15×10-6/K)と大きいため、LT基板やLN基板をSAWデバイスに用いる場合には、温度変化によるフィルタ特性の変化が大きな問題となる。このため、このような圧電基板の大きな熱伸縮を抑え込む、又はその他の方法で温度補償を行うことが行われている。
【0003】
例えば、SAWデバイスを製造する際に、圧電基板に熱膨張係数の小さい基板を貼り合わせて圧電基板の温度変化による伸縮を抑制することが行われている。特許文献1には、直接接合法を用いてLT基板とサファイア基板とを貼り合わせることが開示されている。また、特許文献2には、固層反応による接合を用いて圧電基板と単結晶基板とを接合することが開示されている。また、特許文献3には、親水化処理及び熱処理による接合を用いてLT(LN)基板とシリコン基板とを接合することが開示されている。
【特許文献1】特開2004−343359号公報
【特許文献2】特開平9−208399号公報
【特許文献3】特許第2607199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、SAWデバイスが搭載される携帯電話などにおいては、多くのシステムが並存する状態になっており、それらのシステムにおいて使用する周波数帯域が互いに隣接することが想定される。このような場合においては、周波数シフトをできるだけ小さくする(数MHzオーダー)ことが要求される。したがって、圧電基板に対しては、温度変化によるフィルタ特性ができるだけ変化しないことが要求される。しかしながら、従来技術のように、熱膨張係数の小さい基板を貼り合わせる方法で得られた圧電基板では、上記のように周波数シフトをより小さくするという要求に対応することができない。したがって、周波数シフトをより小さくするという要求に対応できる圧電基板が存在していないのが現状である。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、温度変化による伸縮が十分に抑えられる圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧電素子の製造方法は、10×10-6/K〜20×10-6/Kの線膨張係数を有し、粗面化された主面を有する基材を準備する工程と、前記粗面化された主面と反対側の主面上に素子を形成する工程と、素子形成された基材の前記粗面化された主面上に、前記基材の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
【0007】
上記圧電素子の製造方法において、前記素子がくし型電極であることが好ましい。
【0008】
上記圧電素子の製造方法において、前記膜を溶射法により形成することが好ましい。
【0009】
上記圧電素子の製造方法において、前記材料は、Ti、W、Mo、Ta、Si及びこれらの合金、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及びこれらの化合物の固溶体、並びにこれら金属及び化合物の混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つであることが好ましい。
【0010】
上記圧電素子の製造方法において、前記基材は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムで構成されていることが好ましい。
【0011】
上記圧電素子の製造方法において、前記膜に充填材料を充填する工程をさらに具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、10×10-6/K〜20×10-6/Kの線膨張係数を有し、粗面化された主面を有する基材を準備する工程と、前記粗面化された主面と反対側の主面上に素子を形成する工程と、素子形成された基材の前記粗面化された主面上に、前記基材の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜を形成する工程と、を具備するので、温度変化による伸縮が十分に抑えられる圧電基板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧電基板を示す断面図である。図1に示す圧電基板1は、基材11と、基材11の一方の主面上に形成された膜12とから主に構成されている。基材11において、膜12を形成する主面は、粗面化された主面11aである。
【0014】
基材11の一方の主面(裏面:膜12との界面)は粗面化された表面である。圧電基板を例えばSAWデバイスに用いた場合、バルク波の反射による表面での定在波が表面波と干渉を起こす。このため、バルク波を乱反射させるために、膜12との界面を粗面化しておく。これにより、定在波と表面波が干渉することを抑制することができる。また、基材11と後述する膜12との密着性を向上させるためにも、基材11の一方の主面は粗面化された表面であることが好ましい。なお、主面11aの粗さとしては、定在波と表面波の干渉の抑制効果や基材11に対する膜12の密着性を考慮すると、Ra=0.1μm〜3μmであることが好ましい。
【0015】
基材11としては、線膨張係数が10×10-6/K〜20×10-6/Kのものを選択する。基材11を構成する材料としては、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リチウム、酸化亜鉛などを挙げることができる。また、圧電基板1をSAWデバイスに用いる場合には、SAWデバイスとしての特性を発揮させるために、基材11を薄くする必要がある。基材11の厚さt2は、10μm〜100μm程度、特に、20μm〜60μmであることが好ましい。
【0016】
膜12は、基材11の粗面化された主面11a上に直接形成されており、基材11の線膨張係数よりも小さく、−1×10-6/K〜10×10-6/Kの線膨張係数を有する材料で構成されている。このような基材の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料としては、Ti、W、Mo、Ta、Si及びこれらの合金などの金属;酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素及びこれらの化合物の固溶体などのセラミックスなどが挙げられ、これら金属及び化合物の混合物でも良い。また、酸化による経時変化がなく、電気絶縁性が良く、線膨張係数が小さいことなどを考慮すると、アルミナ系の材料(例えば、アルミナ及びアルミナ−シリカ系)が好ましい。
【0017】
本発明の圧電基板1においては、膜12は、溶融又は未溶融の粒子の積層体で構成されていることが好ましい。膜12がこのような構造を有することにより、後述する気孔率を実現することが容易となる。この場合において、粒子のサイズは5μm〜300μmであることが好ましい。特に、粒子のサイズは10μm〜100μmであることが好ましい。
【0018】
本発明の圧電基板1においては、基材11の厚さt2が非常に薄いので、膜12が圧電基板1の剛性を保つ働きをする。したがって、基材11に対する剛性などを考慮して、膜12の厚さt1を相対的に厚くする、例えば、基材11及び膜12の全体の厚さとして0.05mm〜2mm、特に、0.2mm〜0.5mmにすることが好ましい。このため、膜12は、基材11の熱膨張を抑えると共に、圧電基板1の土台、すなわち基材11の支持部材としての役割を果たす。
【0019】
圧電基板1において膜12は、基材11の熱膨張を抑える温度補償効果を発揮すると共に、割れや反りのない状態で厚膜で形成される必要がある。例えば、CVD法やPVD法で形成された膜は、温度補償効果は発揮するが、成膜温度が比較的高いために、反りや割れを生じて不良率が大きくなってしまう。また、これらの方法による膜は、成膜時の応力が大きいので基板の土台としての役目を果たすほど厚く形成することはできない。このように、温度補償効果と膜の応力との間にはトレードオフの関係があり、この関係は基材の厚さに影響される。
【0020】
本発明者らは、上記の点に着目し、膜の気孔率を調整することにより温度補償効果と膜の応力抑制(割れ不良率)とを両立させることができることを見出し本発明をするに至った。図2は、膜の気孔率に対する基板の温度補償効果と割れ不良率との関係を示す特性図である(ここではアルミナ−シリカ系を例とする)。図2においては、実線が温度補償効果を示し、破線が割れ不良率を示す。図2から分かるように、Aの範囲の気孔率では、割れ不良率が小さく、温度補償効果が大きい(後述するTCFが小さい)温度補償効果と割れ不良率低減効果とが両立できている。このような結果から、膜12は、5%〜40%の気孔率を有することが好ましい。特に、膜12は、成膜性を考慮すると、気孔率10%〜20%であることが好ましい。なお、温度補償効果は、SAWデバイスの周波数温度特性(TCF:Temperature Coefficient of Frequency)を調べることにより求めた。また、膜の応力は、基板の反り量測定値から計算にて算出した。
【0021】
膜12がポーラスである場合においては、その剛性(ヤング率)が相対的に小さいので、膜12に充填材料を充填させて、その剛性を高めるようにしても良い。例えば、膜12を基材11上に成膜した後に、SOG(感光性塗布ガラス材料)や樹脂などを膜12に含浸させて硬化する。これにより、膜12の剛性を高めることができると共に、膜12に洗浄液などの不要物が侵入することも防止できる。
【0022】
図1において、膜12は1層で構成されているが、複数層で構成しても良い。このように複数層で膜12を構成することにより、種々の材料を組み合わせることができるので、膜12の線膨張係数を容易に調整することが可能となる。
【0023】
図1に示す圧電基板1においては、基材11上に直接膜12を形成した態様を示しているが、本発明においては、基材11に対してアンダーコート(中間膜)を、基材11と膜12との間に設けて、膜12の密着力を向上させても良い。また、基材11の粗さを調整して膜12の密着力を向上させても良い。なお、この場合におけるアンダーコートを構成する材料としては、膜12の密着力を向上させる効果を発揮するものであれば、特に制限されない。
【0024】
本発明の圧電基板の製造方法においては、粗面化された主面を有する基材を準備し、基材の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜を前記主面上に直接形成する。すなわち、図3(a)に示すように、まず、粗面化された主面11aを有する基材11を準備する。基材11の主面を粗面化する方法としては、ブラスト、ラッピングなどを挙げることができる。
【0025】
次いで、図3(b)に示すように、粗面化された主面11a上に上記膜12、すなわち基材11の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜12を形成する。膜12を基材11の主面11a上に形成する方法としては、スクリーン印刷法のようなスラリーを用いたコーティング法、溶射法などを挙げることができる。また、必要に応じて、膜12にSOGや樹脂を含浸して硬化させて、膜12の剛性を向上させる。
【0026】
膜12を基材11の主面11a上に形成する方法においては、基材温度を比較的低温(例えば100℃以下)にすることができるので、溶射法が好ましい。溶射法は、電気エネルギー(アーク、プラズマ)や燃焼エネルギーを熱源とし、この中に被着材料の粉末又は棒状材料を投入して、溶融又は半溶融状態の微粒子として基材の表面に吹き付け、皮膜を形成する方法である。溶射法を採用することにより、成膜中の基材11への熱影響を極力抑えることが可能となる。
【0027】
溶射法による成膜では、溶融又は半溶融状態の微粒子が基材に到達すると、基材上で急冷凝固され、微粒子に微細な割れが生じる。そして、このような微細な割れを有する微粒子が積層されて膜を構成する。したがって、溶射法により成膜された膜は、比較的ポーラスな状態であり、このため成膜後の応力が小さい。このため、基材から剥離することなく、厚い膜(数百μm程度)を成膜することが可能となる。その結果、基材上に、反りのない、厚い膜を形成することができる。
【0028】
次いで、成膜された膜に研削処理を施して膜の厚さを調整した後に、基材11の表面(粗面化された主面と反対側の主面)側から研削処理及び/又は研磨処理を行って、圧電基板1の厚さや表面粗さを調整する。これにより、熱伸縮による圧電基板の反りなどを防止する。このようにして、図1に示すような本発明に係る圧電基板1を作製する。
【0029】
このようにして得られた圧電基板1は、基材11の粗面化された主面11a上に、基材11の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜(温度補償膜)12が形成されているので、膜12が温度補償機能を発揮する。したがって、温度変化による圧電基板1の伸縮を十分に抑えることができる。その結果、圧電基板1を、例えばSAWデバイスに使用したときでも、温度変化によるフィルタ特性の変化を極力小さくすることができ、周波数シフトをより小さくすることが可能となる。このような方法によれば、前記特性を有する圧電基板を安価にしかも簡易に製造することができる。
【0030】
上記圧電基板1を用いてデバイスを作製する場合には、基材の裏面(粗面化された主面)に温度補償膜を成膜した後に、基材の表面にデバイス(素子)を形成しても良く、基材の表面(粗面化された主面と反対側の主面)上にデバイス(素子)形成した後に、粗面化された主面上に温度補償膜を形成しても良い。
【0031】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例)
線膨張係数が16.1×10-6/Kであり、直径4インチ、厚さ0.25mmのタンタル酸リチウム製基板(LT基板)21の一方の主面(裏面)をラッピングにより粗面化した。なお、粗面化処理は、GC#2500の砥粒を用いて研磨機により行った。線膨張係数は、サーモプラス2(株式会社リガク社製)のシステムの熱機械分析装置(TMA−8310)の示差膨張モードにおいて測定した(於工業技術センター)。
【0032】
次いで、図4(a)に示すように、この粗面化処理した主面上に、ムライト(アルミナ−シリカ)の粉末を溶射法により吹き付けて、LT基板21の裏面に厚さ0.5mmの温度補償膜22を形成した。なお、溶射処理は、直流プラズマ溶射装置を用いて、ArとH2のプラズマガスを使用し、電源出力40kWで行った。この温度補償膜22の気孔率を測定したところ、9%であった。なお、温度補償膜22の気孔率は、一般的によく利用される皮膜の断面観察による手法により測定した。すなわち、温度補償膜22の断面を電子顕微鏡(SEM)により観察し、空隙(空孔)部分に対して画像処理を施して断面積に対する空隙(空孔)部分の占める割合を気孔率として算出した。また、気孔率は、数箇所にわたって測定して、得られた値の平均を温度補償膜22の気孔率とした。
【0033】
次いで、図4(b)に示すように、LT基板21の表面(粗面化された主面と反対側の主面)側から研削処理及び/又は研磨処理を行って、LT基板21の厚さを20μmに調整し、また、表面粗さをRa=0.2μmに調整した。このとき、溶射法により成膜された温度補償膜22は、割れもなく、LT基板21からの剥離もなかった。
【0034】
次いで、図4(c)に示すように、LT基板21の表面上にアルミニウム膜を成膜し、このアルミニウム膜にSAWデバイス用のパターニング(素子形成)を行ってパターン23を形成した。その後、図4(d)に示すように、LT基板21をダイシングして、くし型電極24aを有するSAWデバイスチップ24を作製した。
【0035】
このようにして得られたSAWデバイスチップ(実施例)について、上述した方法により温度補償効果を調べたところ、TCFは約30ppm/℃であり、LT単体のTCF(約45ppm/℃)に比べて大幅に改善された。また、このSAWデバイスチップ(実施例)について、温度変化による周波数シフトを調べた。その結果を図4(e)に示す。なお、温度変化による周波数シフトの評価は、SAWデバイスチップについて、−30℃〜+85℃の温度範囲における周波数帯域(中心周波数2000MHz)の減衰プロファイルを調べることにより行った。図4(e)から分かるように、本発明に係る圧電基板を用いたSAWデバイスは、温度変化があっても周波数シフトがほとんどなかった。これは、圧電基板の線膨張係数が極力小さく抑えられて、圧電基板の伸縮が抑えられているからであると考えられる。
【0036】
(比較例)
図5(a)に示すように、直径4インチ、厚さ約0.5mmのLT基板31の一方の主面(裏面)に直径4インチ、厚さ0.4mmのサファイア基板32を常温接合した。なお、常温接合の際には、LT基板31及びサファイア基板32の接合面をアルゴンイオンビームにより活性化した。次いで、図5(b)に示すように、LT基板31の表面側から研削処理及び/又は研磨処理を行って、LT基板31の厚さを20μmに調整し、また、表面粗さをRa=0.2μmに調整した。
【0037】
次いで、図5(c)に示すように、LT基板31の表面上にアルミニウム膜を成膜し、このアルミニウム膜にSAWデバイス用のパターニングを行ってパターン33を形成した。その後、図5(d)に示すように、LT基板31をダイシングして、くし型電極34aを有するSAWデバイスチップ34を作製した。
【0038】
このようにして得られたSAWデバイスチップ(比較例)について、実施例と同様にして、温度補償効果を調べたところ、TCFは約40ppm/℃であり、あまり改善がなされていなかった。また、このSAWデバイスチップ(比較例)について、温度変化による周波数シフトを調べた。その結果を図5(e)に示す。図5(e)から分かるように、従来の圧電基板を用いたSAWデバイスは、温度変化があると、10MHz程度の周波数シフトΔFが生じた。これは、圧電基板の線膨張係数が抑えられずに、圧電基板が伸縮したからであると考えられる。
【0039】
本発明は上記実施の形態に限定されず種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態においては、成膜後の膜の応力を低く抑えることができる成膜方法として、溶射法を挙げているが、本発明においては、溶射法以外にスラリーを用いたコーティング法などを挙げることができる。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧電基板を示す断面図である。
【図2】膜の気孔率に対する基板の温度補償効果及び割れ不良率の応力の関係を示す特性図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の実施の形態に係る圧電基板の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の圧電基板の製造方法を説明するための断面図であり、(e)は、本発明の圧電基板の周波数特性を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は、従来の圧電基板の製造方法を説明するための断面図であり、(e)は、従来の圧電基板の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 圧電基板
11 基材
11a 主面
12 膜
21 LT基板
22 温度補償膜
23 パターン
24 SAWデバイスチップ
24a くし型電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10×10-6/K〜20×10-6/Kの線膨張係数を有し、粗面化された主面を有する基材を準備する工程と、前記粗面化された主面と反対側の主面上に素子を形成する工程と、素子形成された基材の前記粗面化された主面上に、前記基材の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料で構成された膜を形成する工程と、を具備することを特徴とする圧電素子の製造方法。
【請求項2】
前記素子がくし型電極であることを特徴とする請求項1記載の圧電素子の製造方法。
【請求項3】
前記膜を溶射法により形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧電素子の製造方法。
【請求項4】
前記材料は、Ti、W、Mo、Ta、Si及びこれらの合金、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及びこれらの化合物の固溶体、並びにこれら金属及び化合物の混合物からなる群より選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
【請求項5】
前記基材は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
【請求項6】
前記膜に充填材料を充填する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−11004(P2009−11004A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262369(P2008−262369)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【分割の表示】特願2007−45044(P2007−45044)の分割
【原出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(502210068)株式会社コイケ (7)
【出願人】(000109875)トーカロ株式会社 (127)
【Fターム(参考)】