圧電駆動体及び圧電ブロア
【課題】量産性の高い矩形状の圧電素子を用いながらも、変位が大きく、且つ、圧電素子の角部の剥がれやダイヤフラムの疲労などの問題を解消した圧電駆動体及びそれを備えた圧電ブロアを構成する。
【解決手段】円板状の中間板53の表面に矩形板状の圧電素子52を貼り付け、振動部が円形のダイヤフラム51の中央に中間板53を貼り付けて、これら圧電素子52、中間板53、及びダイヤフラム51はそれぞれ同心軸関係に配置する。ダイヤフラム51と中間板53の間で円形状に剛性差が与えられ、ダイヤフラム51に直接矩形圧電体を貼り合わせた場合に比べて変位の状態を均一にして変位が低下するのを防止できる。また矩形板状圧電素子52の角部に応力が集中するのを防ぐことができ、信頼性を高めることができる。さらに矩形板状の圧電素子を使用できるため、製造が容易で低コスト化が図れる。
【解決手段】円板状の中間板53の表面に矩形板状の圧電素子52を貼り付け、振動部が円形のダイヤフラム51の中央に中間板53を貼り付けて、これら圧電素子52、中間板53、及びダイヤフラム51はそれぞれ同心軸関係に配置する。ダイヤフラム51と中間板53の間で円形状に剛性差が与えられ、ダイヤフラム51に直接矩形圧電体を貼り合わせた場合に比べて変位の状態を均一にして変位が低下するのを防止できる。また矩形板状圧電素子52の角部に応力が集中するのを防ぐことができ、信頼性を高めることができる。さらに矩形板状の圧電素子を使用できるため、製造が容易で低コスト化が図れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電素子によって屈曲変形するダイヤフラムを有する圧電駆動体、及びそれを備えた圧電ブロアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポンプ、アクチュエータ、スピーカ、ブザー等の駆動体として、圧電素子を利用した小型且つ低消費電力の圧電駆動体が知られている。
【0003】
圧電駆動体としては、圧電素子単体でも駆動可能であるが、圧電素子の変位はあまり大きくないので、圧電素子よりも大面積の例えば金属薄板からなるダイヤフラムに圧電素子を貼り付けて、ダイヤフラムを大きく変位させる構成が知られている。
【0004】
圧電駆動体には、ユニモルフやバイモルフ構造などがあるが、いずれの場合も、一般的には円形の金属ダイヤフラムに円形の圧電板を貼り合わせて周辺を環状に保持し、変位状態が同心円状に均一になるように駆動される。
【0005】
このような構造の圧電駆動体は、圧電材料を成形し、焼成して圧電体を得、得られた圧電体を必要に応じて表面の平行度を出すためにラップ加工し、洗浄乾燥して表裏面に電極形成し、両電極間に電圧を印加して分極し、そして金属ダイヤフラムに貼り合わせる、という工程で製造される。
【0006】
圧電体を円形にするために、焼成後に外周研磨して加工する方法もあるが、これは非常に手間がかかると同時に研磨時のダメージによりクラックが発生してしまうため、初めから円形の圧電体として焼き上げるのが好ましい。
【0007】
ところが、そうすると、上記の加工の流れにおいて圧電体を1つ1つ個別に取り扱って加工せざるを得ず、加工の手間とコストが掛かってしまう。このことは製品の小型化に伴なって顕著になり、特に加工の取り扱いが非常に難しくなってしまう。
【0008】
さらには、後から圧電体の外形形状を加工できないため、分極して特性を確認した後に共振周波数を所望の値に調整することや、その他の金属部材の厚みがずれた場合に圧電体の寸法で調整するといったことは困難である。
【0009】
一方、例えば、特許文献1では、方形板状の圧電素子またはその四隅を切り落とした形状の圧電素子が金属薄板に貼り付けられた圧電振動子が開示されている。
【0010】
図1(A)は、特許文献1に示されている圧電振動子の平面図、図1(B)はその正面図である。この例では、両面に電極5A,5Bを形成した方形板圧電素子6を、方形板状の金属板4に貼り付けている。
【特許文献1】実開昭60−114499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的に圧電フィルタや発振子などで用いられる手法として、圧電体形状を矩形板状として、大基板(マザー基板)で加工を進めておいて完成品に組み込む前に個別の圧電素子に切り出す方法が考えられる。この方法によれば加工が容易になるとともに取り個数を多くすることでコストが下がり、またカット寸法を変えることで周波数の調整も可能である。
【0012】
しかし、このような矩形圧電体のベンディング状態は、角部は変位が大きいが辺中央部は変位が小さい状態になって、変位が不均一になってしまう。
【0013】
図2は、圧電素子を圧電素子と同じ寸法の金属ダイヤフラムに貼り合わせた場合の変位状態を示す図である。図2(A)は円板状圧電素子の変位状態、図2(B)は矩形(方形)圧電素子の変位状態をそれぞれFEM解析した結果である。円板状圧電素子では、図2(A)に示すように、ベンディング振動によって中心点を垂直に通る直線を中心とする回転対称形で均一に振動する。矩形圧電素子では図2(B)に示すように、圧電素子の角部での変位は大きいが、圧電素子の辺中央部での変位は小さくなってしまい、ダイヤフラムに対して変位が均一に伝わらず、ダイヤフラム内で均一な変位状態にならない。その結果、圧電駆動体としての効率が低く、変位も小さなものとなってしまう。また、圧電素子の角部に応力が集中して、圧電素子の角部がダイヤフラムから剥がれたり、ダイヤフラムと圧電素子の角部との接触部に疲労破壊が生じたりする問題がある。
【0014】
この発明の目的は、量産性の高い矩形状の圧電素子を用いながらも、変位が大きく、且つ、圧電素子角部の剥がれやダイヤフラムの疲労などの問題を解消した圧電駆動体及びそれを備えた圧電ブロアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、この発明は次のように構成する。
(1)ダイヤフラムと、当該ダイヤフラムを振動させる圧電素子とを備えた圧電駆動体において、
前記圧電素子は矩形板状を成し、
前記ダイヤフラムの振動部は前記圧電素子より大きな面積を有し、
前記ダイヤフラムの振動部と前記圧電素子との間に少なくとも平面外形が円形である中間板を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、ダイヤフラムと中間板との間で円形状に剛性差ができるため、剛性差が生じている部分で、ダイヤフラムが変形し易くなり、ダイヤフラムとして均一な変位が得られ、大きな変位を維持できる。また、円形の中間板内は均一な変位状態となるので、圧電素子の角部に応力が集中しなくなり、圧電素子の角部がダイヤフラムから剥がれたり、ダイヤフラムが疲労破壊したりするという問題が生じない。
【0017】
(2)前記ダイヤフラムの振動部は円形とし、前記中間板は前記ダイヤフラムの振動部に対して同軸関係に配置する。
【0018】
これにより、矩形状の圧電素子の変位がダイヤフラムに対して、その中から放射方向に均一に伝わるため、より大きな変位が得られる。
【0019】
(3)前記中間板は円環状であり、
前記中間板の中心に対して等角度間隔で等距離位置に前記圧電振動子を複数個配置する。
【0020】
この構成により、最も変位の大きい中央部分に圧電素子が構成されないため、ダイヤフラムの振幅を大きくできるとともに圧電素子の破損が防止できる。
【0021】
(4)また、この発明の圧電ブロアは、前記のいずれかに記載の圧電駆動体と、そのダイヤフラムを一方の壁部とし、他方の壁部に流体の流路を設けたブロア室とを備えたものとする。
【0022】
この構成により、ダイヤフラムの変位が大きくなり、流量の大きな圧電ブロアが得られる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、ダイヤフラムと中間板との間で円形状に剛性差ができるため、剛性差が生じている部分で、ダイヤフラムが変形し易くなり、ダイヤフラムとして均一な変位が得られ、大きな変位を維持できる。また、円形の中間板内は均一な変位状態となるので、圧電素子の角部に応力が集中しなくなり、圧電素子の角部がダイヤフラムから剥がれたり、ダイヤフラムが疲労破壊したりするという問題が生じない。その結果、矩形状の圧電素子を駆動部に用いることができるので、製造が容易で低コスト化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
《第1の実施形態》
図3は第1の実施形態に係る圧電駆動体50の構成を示す図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は正面図である。
【0025】
円板状の中間板53の表面には矩形板状の圧電素子52を貼り付けている。また、中間板53は振動部が円形のダイヤフラム51に貼り付けている。これら圧電素子52、中間板53、及びダイヤフラム51はそれぞれ同心軸関係に配置している。なお、ダイヤフラム51は矩形でもよいが、例えば外周が固定されるなどして、実質的に振動する振動部が円形状であればよい。
【0026】
この圧電駆動体50は次のようにして製造した。まず、一辺5.3mm、厚さ0.1mmの矩形板状の圧電素子52を、Fe−42%Ni合金(42アロイ)からなり、外径φ7.8mm、厚さ0.05mmの円板状の中間板53に接着した。次に、中間板53を、Fe−42%Ni合金(42アロイ)からなり、厚さ0.05mmのダイヤフラムの中央に接着し、ダイヤフラムの振動部の直径を11mmとして、その外周の環状部(拘束部)を保持した。図3ではダイヤフラム51については、その振動部のみを表している。
【0027】
第1の実施形態に係る圧電駆動体50はユニモルフ構造であるが、この場合ベンディング振動の効率を考えると、ダイヤフラムの剛性、中間板の剛性、圧電体の剛性に関して、以下のような関係にするとより好ましい。
【0028】
圧電体の剛性が、ダイヤフラムの剛性と中間板の剛性との合計の剛性よりも大きい場合、圧電体の一部が屈曲動作に対して逆に動作するため駆動体の変位が小さくなったり、消費電力が増えたりする。
【0029】
つまりダイヤフラムの曲げ剛性をSd、中間板の曲げ剛性をSi、圧電体の曲げ剛性をSpとすると、
Sd+Si ≧ Sp の関係とするのが好ましい。
ここで「曲げ剛性」は、材質のヤング率と、主に平面・断面の形状、寸法で定まる係数との積に比例したものである。
【0030】
また、中間板の曲げ剛性Siは圧電体の曲げ剛性Spより小さい方が望ましい。中間板の曲げ剛性Siが大きすぎると、圧電体が十分な屈曲動作をすることができないため変位が減少する。
【0031】
つまり Si ≦ Sp とするのが好ましい。
【0032】
また、圧電素子52が矩形板状であるので、その矩形に内接する円の内部(圧電素子52が載っている部分)はどの位置においても剛性の関係は同じであるので均一にベンディング振動しようとする。しかし上記内接円の外側(圧電素子52が載っていない領域)では、圧電素子52の各部付近はベンディング振動しようとするが、圧電体のない部分はベンディングしないことになり、変位状態に差が生じる。
【0033】
そこで、確実に、円形状の中間板によって均一に変位させることを考えると、ダイヤフラムと中間板との間で剛性差をつけて中間板の剛性を大きくすればよい。また、ダイヤフラムの剛性が大きいと駆動体としての変位が阻害されやすいので、
Sd ≦ Si とするとよい。
【0034】
よって、ここでダイヤフラム51の曲げ剛性をSd、圧電素子52の曲げ剛性をSp、中間板53の曲げ剛性をSiで表した場合、ベンディング振動の効率を高めるために、
Sd + Si ≧ Sp ≧ Si
また円形中間板によって均一に変位させダイヤフラムの変位を大きくするために、
Sd ≦ Si
とするのが好ましい。
【0035】
この圧電駆動体50の特性を求めるために、比較例として、次の2つの圧電駆動体を作成した。
【0036】
[比較例1:圧電素子・中間板がともに円板状であるもの]
外径φ7.6mm、厚さ0.1mmの円板状圧電素子と、Fe−42%Ni合金からなり、外径φ7.8、厚さ0.05mmの円板状中間板と、Fe−42%Ni合金からなり、厚さ0.05mmのダイヤフラムの中央に接着した。そして、枠体でダイヤフラムの外周を保持して、ダイヤフラムの振動部の直径を11mmとした。
【0037】
[比較例2:圧電素子・中間板がともに矩形板状であるもの]
□一辺が5.3mm、厚さ0.1mmの矩形板状圧電素子と、Fe−42%Ni合金からなり、一辺5.5mm、厚さ0.05mmの矩形状中間板と、Fe−42%Ni合金(42アロイ)からなり、厚さ0.05mmのダイヤフラムの中央に接着した。そして、枠体でダイヤフラムの外周を保持して、ダイヤフラムの振動部の直径を11mmとした。
【0038】
なお、矩形板状圧電素子の一辺を5.3mmとしたのは、対向する頂点間の距離が約7.5mmと円の直径に近いためである。また、矩形板状中間板の材質及び大きさ(一辺及び厚み)を第1実施形態と同じにしたのは、圧電駆動体としての厚みや、圧電素子との厚みの比率が変わることにより、周波数や変位状態が異なってしまうためである。
【0039】
図4(A)は、第1の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性、図4(B)は比較例1の圧電駆動体の変位特性、図4(C)は比較例2の圧電駆動体の変位特性である。
いずれも、3次モードの共振周波数で駆動させた。
【0040】
図4において、横軸はダイヤフラムの振動部の所定方向の径上の位置であり、中央がダイヤフラムの中心位置である。縦軸はダイヤフラムの変位量(振幅)である。現れている4本の曲線は、図3に示した0度方向の直径(a−a)、45度方向の直径(b−b)、90度方向の直径(c−c)、135度方向の直径(d−d)についての変位をそれぞれ表している。
【0041】
図4(A)に示したように、第1の実施形態に係る圧電駆動体は、矩形板状圧電体を使用しているにもかかわらず、円板状圧電体を用いた場合に図4(B)と同様に、上記4本の曲線は左右対称形で揃っていて殆ど重なっている。このことからダイヤフラムの振動部の変位分布の形状が均一な同心円状になっていることが分かる。また、ダイヤフラムの中央の振幅についても、図4(B)とほぼ同等の振幅が得られることが分かる。
【0042】
これに対して、圧電素子・中間板がともに矩形状である比較例2の圧電駆動体では、図4(C)に示したように、上記4本の曲線は左右非対称形で不揃いになっている。このことからダイヤフラムの振動部の変位分布の形状が不均一になっていることが分かる。また、ダイヤフラムの中央の振幅は図4(A)に比べて1/5程度にしかならないことが分かる。
【0043】
ダイヤフラム上に矩形板状の圧電素子を配すると、ダイヤフラムの振動部に矩形状に剛性差ができてしまい、その矩形の角部で変位状態が均一でなくなってしまうが、圧電素子とダイヤフラムとの間に円形の中間板を配することによって、ダイヤフラムと中間板との間でまず円形状に剛性差がつき、より剛性の低いダイヤフラムと円形中間板の境界部で変形しやすくなる。その結果、図4(A)に示したように、矩形板状圧電素子を使用しても、矩形板状圧電素子の変位の不均一さの影響を受けずに、ダイヤフラム全体がより均一な状態で変位することができる。
【0044】
なお、圧電素子52の面積は中間板53の面積より大きく、平面視状態で圧電素子52の角部が中間板53よりもはみ出ていてもよい。この構造により、大きな圧電素子が利用できるので、変位をより大きくすることができる。さらに、圧電素子52の角部が中間板53の周縁よりも外側にはみ出すことになるので、例えば、ダイヤフラム51に中間板53及び圧電素子52を貼り付けた後、すなわち圧電駆動体の完成後でも、圧電素子の角部を削って周波数を容易に調整・変更することができる。
【0045】
《第2の実施形態》
第2の実施形態は、第1の実施形態とは異なる大きさの矩形板状圧電素子を用いた例である。
第1の実施形態では、一辺が5.3mmの矩形板状圧電素子を用いたが、第2の実施形態では、一辺が4.3mmの矩形板状圧電素子を用いた。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。但し、圧電素子が小さくなることで、第1の実施形態での共振周波数が24.8kHzであったのに対し、第2の実施形態では共振周波数は24.3kHzに変化した。
【0046】
図5は第2の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性である。図4(A)に示した第1の実施形態の場合と同様に、ダイヤフラムの振動部の変位分布の形状が均一な同心円状になっていることが分かる。また、ダイヤフラムの中央の振幅についても、圧電素子・中間板がともに円板状である圧電駆動体とほぼ同等の振幅が得られることが分かる。また、図4(A)に示した例より大きな振幅が得られている。これは、圧電素子の一辺の大きさが小さくなったことで、圧電素子の端部が圧電駆動体の振動の腹の位置から離れて、屈曲しやすくなったためと考えられる。
【0047】
以上のことから、矩形板状圧電素子の一辺の長さを変えることにより、周波数を容易に変更することができるとともに、第1の実施形態と同等の効果が得られるのがわかる。
【0048】
《第3の実施形態》
図6は第3の実施形態に係る圧電駆動体の構成を示す図であり、図6(A)は平面図、図6(B)は正面図である。
【0049】
第1・第2の実施形態では、円板状の中間板を用い、その中央に圧電素子を貼り付けたが、第3の実施形態では円環状の中間板54を用い、圧電素子52a,52bを中間板54の中心に対して対称な位置に配置し、中間板54をダイヤフラム51の中央に貼り付けている。図6においては、ダイヤフラムは、その円形の振動部のみを表している。ここでは圧電素子を中間板54の円環状部分の幅よりも小さな辺を有する大きさにしている。二つの圧電素子52a,52bは同相で駆動する。
【0050】
この構成により、第1・第2の実施形態の場合と同様の効果を奏する。また圧電素子52a,52bをダイヤフラムの駆動部の周辺部位に配置したことにより、最も変位の大きな中央部分に圧電素子がなく、ダイヤフラムの振幅を大きくできるとともに圧電素子の破損が防止できる。
【0051】
特に圧電駆動体を3次共振モードで駆動させ、かつダイヤフラムの中央部分の固有振動周波数を圧電駆動体の駆動周波数と合わせるような内径とすると、ダイヤフラムの中央部分の変位が大きくなるため好ましい。
【0052】
図7は第3の実施形態に係る別の圧電駆動体の構成を示す平面図である。この例では圧電素子52a,52b,52c,52dを中間板54の中心に対して等角度間隔で等距離位置に配置し、中間板54をダイヤフラム51の中央に貼り付けている。この実施形態における圧電素子52a,52b,52c,52dは、円環状中間板54の円環状部分の幅よりも小さな辺を有するように構成されている。
【0053】
このように4つの圧電素子を設けた場合にも第1・第2の実施形態の場合と同様の効果を奏する。さらに、同様に3つの圧電素子を120度角度間隔で配置してもよい。
【0054】
なお、第3の実施形態において、圧電素子は中間板の円環状部分の幅よりも小さな辺を有する圧電素子を用いているが、中間板の中心部分において圧電素子が相互に重なりあわなければ、圧電素子は円環状部分の幅よりも大きな辺を有していてもよい。
【0055】
《第4の実施形態》
第4の実施形態に係る圧電ブロアについて、図8〜図11を参照して説明する。
図8は第4の実施形態に係る圧電ブロアの外観斜視図、図9はその分解斜視図、図10はその断面図である。
【0056】
この圧電ブロア100は、電子機器の空冷用ブロアとして用いる例であり、天板(第2壁部)10、流路形成板20、セパレータ(第1壁部)30、ブロア枠体40、ダイヤフラム51及び底板60が上方から順に積層固定されている。
【0057】
ダイヤフラム51の外周部は、ブロア枠体40と底板60との間で接着固定されている。ダイヤフラム51を除く部品10,20,30,40,60はブロア本体1を構成している。
【0058】
天板10は四角形平板で形成されていて、その中心部には表裏に貫通する第2開口部11が形成されている。
【0059】
流路形成板20も天板10と同一外形を有する平板であり、その中央部には第2開口部11より大径な中央孔21が形成されている。中央孔21から4つのコーナ部に向かつて放射方向に延びる4本の流入通路22が形成されている。
【0060】
セパレータ30も天板10と同一外形を有する平板であり、その中心部には第2開口部11と対向する位置に、第2開口部11とほぼ同一径の第1開口部31が形成されている。4つのコーナ部近傍には、流入通路22の外側端部と対応する位置に流入孔32が形成されている。天板10と流路形成板20とセパレータ30とを接着することにより、第2開口部11と中央孔21と第1開口部31とが同一軸線上に並び、後述するダイヤフラム51の中心部と対応している。なお、セパレータ30の中央孔21と対応する部分をダイヤフラム51と共振させるため、セパレータ30を薄肉金属板で形成するのが望ましい。
【0061】
ブロア枠体40も天板10と同一外形を有する平板であり、その中心部には大径なブロア室41が形成されている。4つのコーナ部近傍には、前記流入孔32と対応する位置に流入孔42が形成されている。ブロア枠体40を間にしてセパレータ30とダイヤフラム51とを接着することにより、ブロア枠体40のブロア室41によってブロア室41が形成される。なお、ブロア室4は閉鎖された空間である必要はなく、一部開放されていてもよい。すなわち、ブロア室4はセパレータ30とダイヤフラム51とで挟まれ区画された空間であればよい。
【0062】
底板60も天板10と同一外形を有する平板であり、その中心部にはブロア室41とほぼ同形の空洞部61が形成されている。底板60は、ダイヤフラム51の下面に貼り付けられている中間板および圧電素子の合計厚みとダイヤフラム51の変位量との合計より厚肉に形成されていて、圧電ブロア100を基板などに搭載した場合でも、圧電素子が基板と接触するのを防止する。前記空洞部61は後述するダイヤフラム51の振動部である空洞部を形成している。底板60の4つのコーナ部近傍には、前記流入孔32,42と対応する位置に流入孔62が形成されている。
【0063】
ダイヤフラム51に中間板53を介して貼着した圧電素子52の表裏の電極間に交番電圧(正弦波または矩形波)を印加することにより、圧電素子52が平面方向に伸縮するので、ダイヤフラム51全体が板厚方向にベンディング振動(屈曲変形)する。
【0064】
ダイヤフラム51の4つのコーナ部近傍には、流入孔32,42,62と対応する位置に流入孔51aが形成されている。これらの流入孔32,42,62,51aによって、一端が下方に開口し、他端が流入通路22へ通じる流入孔62が形成される。
【0065】
圧電ブロア100の流入孔62はブロア本体1の下方に向かつて開口していて、第2開口部11は上面側に開口している。圧縮性流体を圧電ブロア100の裏側の流入孔62から吸い込み、表側の第2開口部11からり吐出することができるので、燃料電池の空気供給用ブロアやCPUの空冷用ブロアとして好適な構造となる。
【0066】
図11は、圧電ブロア100の動作を説明する主要部の模式断面図である。図中の矢印は気体の流れを示す。
同図(A)は、圧電体素子への交番電圧の非印加時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51はほぼ平坦である。
同図(B)は、交番電圧の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は下に凸に屈曲するのでダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が大きくなるので、開口部31を介してポンプ室41内に流入通路22から気体が吸い込まれる。
【0067】
同図(C)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は平坦に戻り、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が小さくなる。このため、ポンプ室41内の気体は開口部31,11を通って押し出される。この開口部11から流出する気流には、流入通路22の気体が巻き込まれ、また、開口部11の外側でも、開口部11周囲の気体が巻き込まれる。
【0068】
同図(D)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は上に凸に屈曲し、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が小さくなる。このため、ポンプ室41内の気体は、開口部31,11を通って押し出される。この開口部11から流出する気流には、流入通路22の気体が巻き込まれ、また、開口部11の外側でも、開口部11周囲の気体が巻き込まれる。
【0069】
同図(E)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は平坦に戻り、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が大きくなる。このため、流入通路22を流れる気体の一部は、開口部31を通じてポンプ室41内に吸い込まれる。しかしながら、流入通路22を流れる気体のほとんどは、慣性により開口部11から流出し続ける。
【0070】
以上の変形をダイヤフラム51は周期的に繰り返す。ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離の増大により、中央孔21、流入通路22、流入孔32、流入孔42、流入孔51a、および、流入孔62を介して、ポンプ室41の内部に気体が流入し、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離の減少により、ポンプ室41、開口部31、中央孔21、および開口部11を介して、圧電ブロアの外部に気体が流出する。圧電体素子を高い周波数で振動させることにより、流入通路22を流れる気体の慣性が終息することなく、開口部11から気体を連続して流出させられる。
【0071】
第4の実施形態に係る圧電ブロア100の特性を求めるために、圧電ブロア100とその2つの比較例の圧電ブロアをそれぞれ次の条件で作成した。
【0072】
[共通項目]
セパレータ30:SUS板
天板10:SUS板
第2開口部11:φ0.8mm
第1開口部31:φ0.6mm
中央孔21:φ6mm、高さ0.5mm
ブロア室41:高さ0.2mm、φ11mm
圧電ブロア全体の寸法:縦15mm×横15mm×高さ1.4mm
駆動:15Vppのsin波
[第4の実施形態の圧電ブロア100]
中間板53:φ7.8mmの円板状
圧電素子52:一辺5.3mmの矩形板状
[比較例1:圧電素子・中間板がともに円板状である圧電ブロア]
中間板:φ7.8mmの円板状
圧電素子:φ7.6mmの円板状
[比較例2:圧電素子・中間板がともに矩形板状である圧電ブロア]
中間板:一辺5.5mmの矩形板状
圧電素子:φ5.3mmの矩形板状
この圧電ブロア100及び比較例の圧電ブロアを、それぞれの振動部の共振周波数に合わせて駆動して特性を測定したところ次の結果を得た。
【0073】
[第4の実施形態の圧電ブロア100]
流量:0.17L/min
[比較例1の圧電ブロア]
流量:0.19L/min
[比較例2の圧電ブロア]
流量:0L/min
このように、矩形板状の圧電素子を用いたとしても、同程度の駆動周波数において、円板状圧電素子を用いた従来構造の圧電ブロアと同等の流量が得られることが分かる。
【0074】
また、圧電素子も中間板も矩形板状にした場合には変位状態が悪くてブロアとして動作しないこと、すなわち、円板状の中間板が非常に大きな作用効果を奏することが分かる。
【0075】
以上に示したとおり、この発明によれば、矩形板状圧電素子とダイヤフラムとの間に円板状の中間板を配して貼り合わせ、ダイヤフラムと中間板の間で円形状に剛性差を与えることによって、ダイヤフラムに直接矩形圧電体を貼り合わせた場合に比べて変位の状態を均一にして変位が低下するのを防止でき、さらに矩形板状圧電素子の角部に応力が集中するのを防ぐことができ、信頼性を高めることができる。さらに矩形板状の圧電素子を使用できるため、製造が容易でコスト化が図れる。
【0076】
なお、ダイヤフラムの材料としては、42%Ni合金以外にSUS、黄銅等の種々の金属材料を用いることができる他、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる樹脂板を用いることもできる。また、中間板には42%Ni合金以外にSUS等の金属板を利用することができる他、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる樹脂板を用いることができる。また、圧電駆動体の構成として、実施形態ではユニモルフ構造としたが、バイモルフ構造としてもよい。また、圧電体としては単板だけでなく、積層体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(A)は、特許文献1に示されている圧電振動子の平面図、(B)はその正面図である。
【図2】円板状圧電素子と矩形板状圧電素子をベンディング振動ダイヤフラムにそれぞれ適用したときの振動状態の様子を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る圧電駆動体50の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図4】(A)は、第1の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性、(B)は比較例1の圧電駆動体の変位特性、(C)は比較例2の圧電駆動体の変位特性である。
【図5】第2の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性である。
【図6】第3の実施形態に係る圧電駆動体の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図7】第3の実施形態に係る別の圧電駆動体の構成を示す平面図である。
【図8】第4の実施形態に係る圧電ブロアの外観斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係る圧電ブロアの分解斜視図である。
【図10】第4の実施形態に係る圧電ブロアの断面図である。
【図11】圧電ブロアの動作を説明する主要部の模式断面図である。
【符号の説明】
【0078】
11…第2開口部
20…流路形成板
21…中央孔
22…流入通路
30…セパレータ
31…第1開口部
32,42,62,51a…流入孔
40…ブロア枠体
41…ブロア室
42…流入孔
50…圧電駆動体
51…ダイヤフラム
51a…流入孔
52…圧電素子
52a,52b,52c,52d…圧電素子
53…中間板
54…円環状中間板
60…底板
61…空洞部
62…流入孔
100…圧電ブロア
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電素子によって屈曲変形するダイヤフラムを有する圧電駆動体、及びそれを備えた圧電ブロアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポンプ、アクチュエータ、スピーカ、ブザー等の駆動体として、圧電素子を利用した小型且つ低消費電力の圧電駆動体が知られている。
【0003】
圧電駆動体としては、圧電素子単体でも駆動可能であるが、圧電素子の変位はあまり大きくないので、圧電素子よりも大面積の例えば金属薄板からなるダイヤフラムに圧電素子を貼り付けて、ダイヤフラムを大きく変位させる構成が知られている。
【0004】
圧電駆動体には、ユニモルフやバイモルフ構造などがあるが、いずれの場合も、一般的には円形の金属ダイヤフラムに円形の圧電板を貼り合わせて周辺を環状に保持し、変位状態が同心円状に均一になるように駆動される。
【0005】
このような構造の圧電駆動体は、圧電材料を成形し、焼成して圧電体を得、得られた圧電体を必要に応じて表面の平行度を出すためにラップ加工し、洗浄乾燥して表裏面に電極形成し、両電極間に電圧を印加して分極し、そして金属ダイヤフラムに貼り合わせる、という工程で製造される。
【0006】
圧電体を円形にするために、焼成後に外周研磨して加工する方法もあるが、これは非常に手間がかかると同時に研磨時のダメージによりクラックが発生してしまうため、初めから円形の圧電体として焼き上げるのが好ましい。
【0007】
ところが、そうすると、上記の加工の流れにおいて圧電体を1つ1つ個別に取り扱って加工せざるを得ず、加工の手間とコストが掛かってしまう。このことは製品の小型化に伴なって顕著になり、特に加工の取り扱いが非常に難しくなってしまう。
【0008】
さらには、後から圧電体の外形形状を加工できないため、分極して特性を確認した後に共振周波数を所望の値に調整することや、その他の金属部材の厚みがずれた場合に圧電体の寸法で調整するといったことは困難である。
【0009】
一方、例えば、特許文献1では、方形板状の圧電素子またはその四隅を切り落とした形状の圧電素子が金属薄板に貼り付けられた圧電振動子が開示されている。
【0010】
図1(A)は、特許文献1に示されている圧電振動子の平面図、図1(B)はその正面図である。この例では、両面に電極5A,5Bを形成した方形板圧電素子6を、方形板状の金属板4に貼り付けている。
【特許文献1】実開昭60−114499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的に圧電フィルタや発振子などで用いられる手法として、圧電体形状を矩形板状として、大基板(マザー基板)で加工を進めておいて完成品に組み込む前に個別の圧電素子に切り出す方法が考えられる。この方法によれば加工が容易になるとともに取り個数を多くすることでコストが下がり、またカット寸法を変えることで周波数の調整も可能である。
【0012】
しかし、このような矩形圧電体のベンディング状態は、角部は変位が大きいが辺中央部は変位が小さい状態になって、変位が不均一になってしまう。
【0013】
図2は、圧電素子を圧電素子と同じ寸法の金属ダイヤフラムに貼り合わせた場合の変位状態を示す図である。図2(A)は円板状圧電素子の変位状態、図2(B)は矩形(方形)圧電素子の変位状態をそれぞれFEM解析した結果である。円板状圧電素子では、図2(A)に示すように、ベンディング振動によって中心点を垂直に通る直線を中心とする回転対称形で均一に振動する。矩形圧電素子では図2(B)に示すように、圧電素子の角部での変位は大きいが、圧電素子の辺中央部での変位は小さくなってしまい、ダイヤフラムに対して変位が均一に伝わらず、ダイヤフラム内で均一な変位状態にならない。その結果、圧電駆動体としての効率が低く、変位も小さなものとなってしまう。また、圧電素子の角部に応力が集中して、圧電素子の角部がダイヤフラムから剥がれたり、ダイヤフラムと圧電素子の角部との接触部に疲労破壊が生じたりする問題がある。
【0014】
この発明の目的は、量産性の高い矩形状の圧電素子を用いながらも、変位が大きく、且つ、圧電素子角部の剥がれやダイヤフラムの疲労などの問題を解消した圧電駆動体及びそれを備えた圧電ブロアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、この発明は次のように構成する。
(1)ダイヤフラムと、当該ダイヤフラムを振動させる圧電素子とを備えた圧電駆動体において、
前記圧電素子は矩形板状を成し、
前記ダイヤフラムの振動部は前記圧電素子より大きな面積を有し、
前記ダイヤフラムの振動部と前記圧電素子との間に少なくとも平面外形が円形である中間板を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、ダイヤフラムと中間板との間で円形状に剛性差ができるため、剛性差が生じている部分で、ダイヤフラムが変形し易くなり、ダイヤフラムとして均一な変位が得られ、大きな変位を維持できる。また、円形の中間板内は均一な変位状態となるので、圧電素子の角部に応力が集中しなくなり、圧電素子の角部がダイヤフラムから剥がれたり、ダイヤフラムが疲労破壊したりするという問題が生じない。
【0017】
(2)前記ダイヤフラムの振動部は円形とし、前記中間板は前記ダイヤフラムの振動部に対して同軸関係に配置する。
【0018】
これにより、矩形状の圧電素子の変位がダイヤフラムに対して、その中から放射方向に均一に伝わるため、より大きな変位が得られる。
【0019】
(3)前記中間板は円環状であり、
前記中間板の中心に対して等角度間隔で等距離位置に前記圧電振動子を複数個配置する。
【0020】
この構成により、最も変位の大きい中央部分に圧電素子が構成されないため、ダイヤフラムの振幅を大きくできるとともに圧電素子の破損が防止できる。
【0021】
(4)また、この発明の圧電ブロアは、前記のいずれかに記載の圧電駆動体と、そのダイヤフラムを一方の壁部とし、他方の壁部に流体の流路を設けたブロア室とを備えたものとする。
【0022】
この構成により、ダイヤフラムの変位が大きくなり、流量の大きな圧電ブロアが得られる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、ダイヤフラムと中間板との間で円形状に剛性差ができるため、剛性差が生じている部分で、ダイヤフラムが変形し易くなり、ダイヤフラムとして均一な変位が得られ、大きな変位を維持できる。また、円形の中間板内は均一な変位状態となるので、圧電素子の角部に応力が集中しなくなり、圧電素子の角部がダイヤフラムから剥がれたり、ダイヤフラムが疲労破壊したりするという問題が生じない。その結果、矩形状の圧電素子を駆動部に用いることができるので、製造が容易で低コスト化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
《第1の実施形態》
図3は第1の実施形態に係る圧電駆動体50の構成を示す図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は正面図である。
【0025】
円板状の中間板53の表面には矩形板状の圧電素子52を貼り付けている。また、中間板53は振動部が円形のダイヤフラム51に貼り付けている。これら圧電素子52、中間板53、及びダイヤフラム51はそれぞれ同心軸関係に配置している。なお、ダイヤフラム51は矩形でもよいが、例えば外周が固定されるなどして、実質的に振動する振動部が円形状であればよい。
【0026】
この圧電駆動体50は次のようにして製造した。まず、一辺5.3mm、厚さ0.1mmの矩形板状の圧電素子52を、Fe−42%Ni合金(42アロイ)からなり、外径φ7.8mm、厚さ0.05mmの円板状の中間板53に接着した。次に、中間板53を、Fe−42%Ni合金(42アロイ)からなり、厚さ0.05mmのダイヤフラムの中央に接着し、ダイヤフラムの振動部の直径を11mmとして、その外周の環状部(拘束部)を保持した。図3ではダイヤフラム51については、その振動部のみを表している。
【0027】
第1の実施形態に係る圧電駆動体50はユニモルフ構造であるが、この場合ベンディング振動の効率を考えると、ダイヤフラムの剛性、中間板の剛性、圧電体の剛性に関して、以下のような関係にするとより好ましい。
【0028】
圧電体の剛性が、ダイヤフラムの剛性と中間板の剛性との合計の剛性よりも大きい場合、圧電体の一部が屈曲動作に対して逆に動作するため駆動体の変位が小さくなったり、消費電力が増えたりする。
【0029】
つまりダイヤフラムの曲げ剛性をSd、中間板の曲げ剛性をSi、圧電体の曲げ剛性をSpとすると、
Sd+Si ≧ Sp の関係とするのが好ましい。
ここで「曲げ剛性」は、材質のヤング率と、主に平面・断面の形状、寸法で定まる係数との積に比例したものである。
【0030】
また、中間板の曲げ剛性Siは圧電体の曲げ剛性Spより小さい方が望ましい。中間板の曲げ剛性Siが大きすぎると、圧電体が十分な屈曲動作をすることができないため変位が減少する。
【0031】
つまり Si ≦ Sp とするのが好ましい。
【0032】
また、圧電素子52が矩形板状であるので、その矩形に内接する円の内部(圧電素子52が載っている部分)はどの位置においても剛性の関係は同じであるので均一にベンディング振動しようとする。しかし上記内接円の外側(圧電素子52が載っていない領域)では、圧電素子52の各部付近はベンディング振動しようとするが、圧電体のない部分はベンディングしないことになり、変位状態に差が生じる。
【0033】
そこで、確実に、円形状の中間板によって均一に変位させることを考えると、ダイヤフラムと中間板との間で剛性差をつけて中間板の剛性を大きくすればよい。また、ダイヤフラムの剛性が大きいと駆動体としての変位が阻害されやすいので、
Sd ≦ Si とするとよい。
【0034】
よって、ここでダイヤフラム51の曲げ剛性をSd、圧電素子52の曲げ剛性をSp、中間板53の曲げ剛性をSiで表した場合、ベンディング振動の効率を高めるために、
Sd + Si ≧ Sp ≧ Si
また円形中間板によって均一に変位させダイヤフラムの変位を大きくするために、
Sd ≦ Si
とするのが好ましい。
【0035】
この圧電駆動体50の特性を求めるために、比較例として、次の2つの圧電駆動体を作成した。
【0036】
[比較例1:圧電素子・中間板がともに円板状であるもの]
外径φ7.6mm、厚さ0.1mmの円板状圧電素子と、Fe−42%Ni合金からなり、外径φ7.8、厚さ0.05mmの円板状中間板と、Fe−42%Ni合金からなり、厚さ0.05mmのダイヤフラムの中央に接着した。そして、枠体でダイヤフラムの外周を保持して、ダイヤフラムの振動部の直径を11mmとした。
【0037】
[比較例2:圧電素子・中間板がともに矩形板状であるもの]
□一辺が5.3mm、厚さ0.1mmの矩形板状圧電素子と、Fe−42%Ni合金からなり、一辺5.5mm、厚さ0.05mmの矩形状中間板と、Fe−42%Ni合金(42アロイ)からなり、厚さ0.05mmのダイヤフラムの中央に接着した。そして、枠体でダイヤフラムの外周を保持して、ダイヤフラムの振動部の直径を11mmとした。
【0038】
なお、矩形板状圧電素子の一辺を5.3mmとしたのは、対向する頂点間の距離が約7.5mmと円の直径に近いためである。また、矩形板状中間板の材質及び大きさ(一辺及び厚み)を第1実施形態と同じにしたのは、圧電駆動体としての厚みや、圧電素子との厚みの比率が変わることにより、周波数や変位状態が異なってしまうためである。
【0039】
図4(A)は、第1の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性、図4(B)は比較例1の圧電駆動体の変位特性、図4(C)は比較例2の圧電駆動体の変位特性である。
いずれも、3次モードの共振周波数で駆動させた。
【0040】
図4において、横軸はダイヤフラムの振動部の所定方向の径上の位置であり、中央がダイヤフラムの中心位置である。縦軸はダイヤフラムの変位量(振幅)である。現れている4本の曲線は、図3に示した0度方向の直径(a−a)、45度方向の直径(b−b)、90度方向の直径(c−c)、135度方向の直径(d−d)についての変位をそれぞれ表している。
【0041】
図4(A)に示したように、第1の実施形態に係る圧電駆動体は、矩形板状圧電体を使用しているにもかかわらず、円板状圧電体を用いた場合に図4(B)と同様に、上記4本の曲線は左右対称形で揃っていて殆ど重なっている。このことからダイヤフラムの振動部の変位分布の形状が均一な同心円状になっていることが分かる。また、ダイヤフラムの中央の振幅についても、図4(B)とほぼ同等の振幅が得られることが分かる。
【0042】
これに対して、圧電素子・中間板がともに矩形状である比較例2の圧電駆動体では、図4(C)に示したように、上記4本の曲線は左右非対称形で不揃いになっている。このことからダイヤフラムの振動部の変位分布の形状が不均一になっていることが分かる。また、ダイヤフラムの中央の振幅は図4(A)に比べて1/5程度にしかならないことが分かる。
【0043】
ダイヤフラム上に矩形板状の圧電素子を配すると、ダイヤフラムの振動部に矩形状に剛性差ができてしまい、その矩形の角部で変位状態が均一でなくなってしまうが、圧電素子とダイヤフラムとの間に円形の中間板を配することによって、ダイヤフラムと中間板との間でまず円形状に剛性差がつき、より剛性の低いダイヤフラムと円形中間板の境界部で変形しやすくなる。その結果、図4(A)に示したように、矩形板状圧電素子を使用しても、矩形板状圧電素子の変位の不均一さの影響を受けずに、ダイヤフラム全体がより均一な状態で変位することができる。
【0044】
なお、圧電素子52の面積は中間板53の面積より大きく、平面視状態で圧電素子52の角部が中間板53よりもはみ出ていてもよい。この構造により、大きな圧電素子が利用できるので、変位をより大きくすることができる。さらに、圧電素子52の角部が中間板53の周縁よりも外側にはみ出すことになるので、例えば、ダイヤフラム51に中間板53及び圧電素子52を貼り付けた後、すなわち圧電駆動体の完成後でも、圧電素子の角部を削って周波数を容易に調整・変更することができる。
【0045】
《第2の実施形態》
第2の実施形態は、第1の実施形態とは異なる大きさの矩形板状圧電素子を用いた例である。
第1の実施形態では、一辺が5.3mmの矩形板状圧電素子を用いたが、第2の実施形態では、一辺が4.3mmの矩形板状圧電素子を用いた。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。但し、圧電素子が小さくなることで、第1の実施形態での共振周波数が24.8kHzであったのに対し、第2の実施形態では共振周波数は24.3kHzに変化した。
【0046】
図5は第2の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性である。図4(A)に示した第1の実施形態の場合と同様に、ダイヤフラムの振動部の変位分布の形状が均一な同心円状になっていることが分かる。また、ダイヤフラムの中央の振幅についても、圧電素子・中間板がともに円板状である圧電駆動体とほぼ同等の振幅が得られることが分かる。また、図4(A)に示した例より大きな振幅が得られている。これは、圧電素子の一辺の大きさが小さくなったことで、圧電素子の端部が圧電駆動体の振動の腹の位置から離れて、屈曲しやすくなったためと考えられる。
【0047】
以上のことから、矩形板状圧電素子の一辺の長さを変えることにより、周波数を容易に変更することができるとともに、第1の実施形態と同等の効果が得られるのがわかる。
【0048】
《第3の実施形態》
図6は第3の実施形態に係る圧電駆動体の構成を示す図であり、図6(A)は平面図、図6(B)は正面図である。
【0049】
第1・第2の実施形態では、円板状の中間板を用い、その中央に圧電素子を貼り付けたが、第3の実施形態では円環状の中間板54を用い、圧電素子52a,52bを中間板54の中心に対して対称な位置に配置し、中間板54をダイヤフラム51の中央に貼り付けている。図6においては、ダイヤフラムは、その円形の振動部のみを表している。ここでは圧電素子を中間板54の円環状部分の幅よりも小さな辺を有する大きさにしている。二つの圧電素子52a,52bは同相で駆動する。
【0050】
この構成により、第1・第2の実施形態の場合と同様の効果を奏する。また圧電素子52a,52bをダイヤフラムの駆動部の周辺部位に配置したことにより、最も変位の大きな中央部分に圧電素子がなく、ダイヤフラムの振幅を大きくできるとともに圧電素子の破損が防止できる。
【0051】
特に圧電駆動体を3次共振モードで駆動させ、かつダイヤフラムの中央部分の固有振動周波数を圧電駆動体の駆動周波数と合わせるような内径とすると、ダイヤフラムの中央部分の変位が大きくなるため好ましい。
【0052】
図7は第3の実施形態に係る別の圧電駆動体の構成を示す平面図である。この例では圧電素子52a,52b,52c,52dを中間板54の中心に対して等角度間隔で等距離位置に配置し、中間板54をダイヤフラム51の中央に貼り付けている。この実施形態における圧電素子52a,52b,52c,52dは、円環状中間板54の円環状部分の幅よりも小さな辺を有するように構成されている。
【0053】
このように4つの圧電素子を設けた場合にも第1・第2の実施形態の場合と同様の効果を奏する。さらに、同様に3つの圧電素子を120度角度間隔で配置してもよい。
【0054】
なお、第3の実施形態において、圧電素子は中間板の円環状部分の幅よりも小さな辺を有する圧電素子を用いているが、中間板の中心部分において圧電素子が相互に重なりあわなければ、圧電素子は円環状部分の幅よりも大きな辺を有していてもよい。
【0055】
《第4の実施形態》
第4の実施形態に係る圧電ブロアについて、図8〜図11を参照して説明する。
図8は第4の実施形態に係る圧電ブロアの外観斜視図、図9はその分解斜視図、図10はその断面図である。
【0056】
この圧電ブロア100は、電子機器の空冷用ブロアとして用いる例であり、天板(第2壁部)10、流路形成板20、セパレータ(第1壁部)30、ブロア枠体40、ダイヤフラム51及び底板60が上方から順に積層固定されている。
【0057】
ダイヤフラム51の外周部は、ブロア枠体40と底板60との間で接着固定されている。ダイヤフラム51を除く部品10,20,30,40,60はブロア本体1を構成している。
【0058】
天板10は四角形平板で形成されていて、その中心部には表裏に貫通する第2開口部11が形成されている。
【0059】
流路形成板20も天板10と同一外形を有する平板であり、その中央部には第2開口部11より大径な中央孔21が形成されている。中央孔21から4つのコーナ部に向かつて放射方向に延びる4本の流入通路22が形成されている。
【0060】
セパレータ30も天板10と同一外形を有する平板であり、その中心部には第2開口部11と対向する位置に、第2開口部11とほぼ同一径の第1開口部31が形成されている。4つのコーナ部近傍には、流入通路22の外側端部と対応する位置に流入孔32が形成されている。天板10と流路形成板20とセパレータ30とを接着することにより、第2開口部11と中央孔21と第1開口部31とが同一軸線上に並び、後述するダイヤフラム51の中心部と対応している。なお、セパレータ30の中央孔21と対応する部分をダイヤフラム51と共振させるため、セパレータ30を薄肉金属板で形成するのが望ましい。
【0061】
ブロア枠体40も天板10と同一外形を有する平板であり、その中心部には大径なブロア室41が形成されている。4つのコーナ部近傍には、前記流入孔32と対応する位置に流入孔42が形成されている。ブロア枠体40を間にしてセパレータ30とダイヤフラム51とを接着することにより、ブロア枠体40のブロア室41によってブロア室41が形成される。なお、ブロア室4は閉鎖された空間である必要はなく、一部開放されていてもよい。すなわち、ブロア室4はセパレータ30とダイヤフラム51とで挟まれ区画された空間であればよい。
【0062】
底板60も天板10と同一外形を有する平板であり、その中心部にはブロア室41とほぼ同形の空洞部61が形成されている。底板60は、ダイヤフラム51の下面に貼り付けられている中間板および圧電素子の合計厚みとダイヤフラム51の変位量との合計より厚肉に形成されていて、圧電ブロア100を基板などに搭載した場合でも、圧電素子が基板と接触するのを防止する。前記空洞部61は後述するダイヤフラム51の振動部である空洞部を形成している。底板60の4つのコーナ部近傍には、前記流入孔32,42と対応する位置に流入孔62が形成されている。
【0063】
ダイヤフラム51に中間板53を介して貼着した圧電素子52の表裏の電極間に交番電圧(正弦波または矩形波)を印加することにより、圧電素子52が平面方向に伸縮するので、ダイヤフラム51全体が板厚方向にベンディング振動(屈曲変形)する。
【0064】
ダイヤフラム51の4つのコーナ部近傍には、流入孔32,42,62と対応する位置に流入孔51aが形成されている。これらの流入孔32,42,62,51aによって、一端が下方に開口し、他端が流入通路22へ通じる流入孔62が形成される。
【0065】
圧電ブロア100の流入孔62はブロア本体1の下方に向かつて開口していて、第2開口部11は上面側に開口している。圧縮性流体を圧電ブロア100の裏側の流入孔62から吸い込み、表側の第2開口部11からり吐出することができるので、燃料電池の空気供給用ブロアやCPUの空冷用ブロアとして好適な構造となる。
【0066】
図11は、圧電ブロア100の動作を説明する主要部の模式断面図である。図中の矢印は気体の流れを示す。
同図(A)は、圧電体素子への交番電圧の非印加時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51はほぼ平坦である。
同図(B)は、交番電圧の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は下に凸に屈曲するのでダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が大きくなるので、開口部31を介してポンプ室41内に流入通路22から気体が吸い込まれる。
【0067】
同図(C)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は平坦に戻り、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が小さくなる。このため、ポンプ室41内の気体は開口部31,11を通って押し出される。この開口部11から流出する気流には、流入通路22の気体が巻き込まれ、また、開口部11の外側でも、開口部11周囲の気体が巻き込まれる。
【0068】
同図(D)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は上に凸に屈曲し、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が小さくなる。このため、ポンプ室41内の気体は、開口部31,11を通って押し出される。この開口部11から流出する気流には、流入通路22の気体が巻き込まれ、また、開口部11の外側でも、開口部11周囲の気体が巻き込まれる。
【0069】
同図(E)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は平坦に戻り、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離が大きくなる。このため、流入通路22を流れる気体の一部は、開口部31を通じてポンプ室41内に吸い込まれる。しかしながら、流入通路22を流れる気体のほとんどは、慣性により開口部11から流出し続ける。
【0070】
以上の変形をダイヤフラム51は周期的に繰り返す。ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離の増大により、中央孔21、流入通路22、流入孔32、流入孔42、流入孔51a、および、流入孔62を介して、ポンプ室41の内部に気体が流入し、ダイヤフラム51とセパレータ30の開口部31との距離の減少により、ポンプ室41、開口部31、中央孔21、および開口部11を介して、圧電ブロアの外部に気体が流出する。圧電体素子を高い周波数で振動させることにより、流入通路22を流れる気体の慣性が終息することなく、開口部11から気体を連続して流出させられる。
【0071】
第4の実施形態に係る圧電ブロア100の特性を求めるために、圧電ブロア100とその2つの比較例の圧電ブロアをそれぞれ次の条件で作成した。
【0072】
[共通項目]
セパレータ30:SUS板
天板10:SUS板
第2開口部11:φ0.8mm
第1開口部31:φ0.6mm
中央孔21:φ6mm、高さ0.5mm
ブロア室41:高さ0.2mm、φ11mm
圧電ブロア全体の寸法:縦15mm×横15mm×高さ1.4mm
駆動:15Vppのsin波
[第4の実施形態の圧電ブロア100]
中間板53:φ7.8mmの円板状
圧電素子52:一辺5.3mmの矩形板状
[比較例1:圧電素子・中間板がともに円板状である圧電ブロア]
中間板:φ7.8mmの円板状
圧電素子:φ7.6mmの円板状
[比較例2:圧電素子・中間板がともに矩形板状である圧電ブロア]
中間板:一辺5.5mmの矩形板状
圧電素子:φ5.3mmの矩形板状
この圧電ブロア100及び比較例の圧電ブロアを、それぞれの振動部の共振周波数に合わせて駆動して特性を測定したところ次の結果を得た。
【0073】
[第4の実施形態の圧電ブロア100]
流量:0.17L/min
[比較例1の圧電ブロア]
流量:0.19L/min
[比較例2の圧電ブロア]
流量:0L/min
このように、矩形板状の圧電素子を用いたとしても、同程度の駆動周波数において、円板状圧電素子を用いた従来構造の圧電ブロアと同等の流量が得られることが分かる。
【0074】
また、圧電素子も中間板も矩形板状にした場合には変位状態が悪くてブロアとして動作しないこと、すなわち、円板状の中間板が非常に大きな作用効果を奏することが分かる。
【0075】
以上に示したとおり、この発明によれば、矩形板状圧電素子とダイヤフラムとの間に円板状の中間板を配して貼り合わせ、ダイヤフラムと中間板の間で円形状に剛性差を与えることによって、ダイヤフラムに直接矩形圧電体を貼り合わせた場合に比べて変位の状態を均一にして変位が低下するのを防止でき、さらに矩形板状圧電素子の角部に応力が集中するのを防ぐことができ、信頼性を高めることができる。さらに矩形板状の圧電素子を使用できるため、製造が容易でコスト化が図れる。
【0076】
なお、ダイヤフラムの材料としては、42%Ni合金以外にSUS、黄銅等の種々の金属材料を用いることができる他、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる樹脂板を用いることもできる。また、中間板には42%Ni合金以外にSUS等の金属板を利用することができる他、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる樹脂板を用いることができる。また、圧電駆動体の構成として、実施形態ではユニモルフ構造としたが、バイモルフ構造としてもよい。また、圧電体としては単板だけでなく、積層体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(A)は、特許文献1に示されている圧電振動子の平面図、(B)はその正面図である。
【図2】円板状圧電素子と矩形板状圧電素子をベンディング振動ダイヤフラムにそれぞれ適用したときの振動状態の様子を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る圧電駆動体50の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図4】(A)は、第1の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性、(B)は比較例1の圧電駆動体の変位特性、(C)は比較例2の圧電駆動体の変位特性である。
【図5】第2の実施形態に係る圧電駆動体の変位特性である。
【図6】第3の実施形態に係る圧電駆動体の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図7】第3の実施形態に係る別の圧電駆動体の構成を示す平面図である。
【図8】第4の実施形態に係る圧電ブロアの外観斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係る圧電ブロアの分解斜視図である。
【図10】第4の実施形態に係る圧電ブロアの断面図である。
【図11】圧電ブロアの動作を説明する主要部の模式断面図である。
【符号の説明】
【0078】
11…第2開口部
20…流路形成板
21…中央孔
22…流入通路
30…セパレータ
31…第1開口部
32,42,62,51a…流入孔
40…ブロア枠体
41…ブロア室
42…流入孔
50…圧電駆動体
51…ダイヤフラム
51a…流入孔
52…圧電素子
52a,52b,52c,52d…圧電素子
53…中間板
54…円環状中間板
60…底板
61…空洞部
62…流入孔
100…圧電ブロア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムと、当該ダイヤフラムを振動させる圧電素子とを備えた圧電駆動体において、
前記圧電素子は矩形板状を成し、
前記ダイヤフラムの振動部は前記圧電素子より大きな面積を有し、
前記ダイヤフラムの振動部と前記圧電素子との間に少なくとも平面外形が円形である中間板を備えたことを特徴とする圧電駆動体。
【請求項2】
前記ダイヤフラムの振動部は円形であり、前記中間板は前記ダイヤフラムの振動部に対して同心軸関係に配置された、請求項1に記載の圧電駆動体。
【請求項3】
前記中間板は円環状であり、
前記中間板の中心に対して等角度間隔で等距離位置に前記圧電素子を複数個配置した、請求項1に記載の圧電駆動体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の圧電駆動体と、当該圧電駆動体の前記ダイヤフラムを一方の壁部とし、他方の壁部に流体の流路を設けたブロア室とを備えた圧電ブロア。
【請求項1】
ダイヤフラムと、当該ダイヤフラムを振動させる圧電素子とを備えた圧電駆動体において、
前記圧電素子は矩形板状を成し、
前記ダイヤフラムの振動部は前記圧電素子より大きな面積を有し、
前記ダイヤフラムの振動部と前記圧電素子との間に少なくとも平面外形が円形である中間板を備えたことを特徴とする圧電駆動体。
【請求項2】
前記ダイヤフラムの振動部は円形であり、前記中間板は前記ダイヤフラムの振動部に対して同心軸関係に配置された、請求項1に記載の圧電駆動体。
【請求項3】
前記中間板は円環状であり、
前記中間板の中心に対して等角度間隔で等距離位置に前記圧電素子を複数個配置した、請求項1に記載の圧電駆動体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の圧電駆動体と、当該圧電駆動体の前記ダイヤフラムを一方の壁部とし、他方の壁部に流体の流路を設けたブロア室とを備えた圧電ブロア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−293566(P2009−293566A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149653(P2008−149653)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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