説明

圧電駆動装置

【課題】小型かつ軽量で、駆動特性に優れ、汎用性も高い圧電駆動装置を提供する。
【解決手段】圧電駆動装置10は、弾性を有する固定フレーム12,駆動素子30,ロッド40,ロータ50により構成される。ロッド40は外周面に鍔部46を有しており、一端が駆動素子30の主面略中央に固定される。ロータ50は、筒部52とディスク部56から形成されており、ロッド40に対して回転可能となっている。固定フレーム12の上面部16の内側には、ディスク部56に押圧をかける突起22が設けられる。駆動素子30は、素子の中心を原点として分割された4つの素子構造を組み込んだ構成となっている。駆動素子30に、対角の変位素子部分同士が逆位相,隣接の素子部分間の位相差が90°の交番電場を印加するとロッド40が傾きながら回転し、鍔部46との面接触による摩擦によってロータ50が回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電駆動素子を用いて被駆動体ないし被変位体を駆動するための圧電駆動装置に関し、更に具体的には、ロータを回転駆動するための圧電駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラの撮影レンズやオーバーヘッドプロジェクタなどの投影レンズ,双眼鏡のレンズ,複写機のレンズなど、光学装置におけるレンズの駆動のほか、プロッタやX−Y駆動テーブルのような装置など、駆動部を有する装置一般の駆動技術としては、以下の特許文献1〜8などのインパクト式アクチュエータがある。これらは、圧電素子をゆっくり伸ばし、素早く縮ませる,あるいは、素早く伸ばして、ゆっくり縮ませることにより、慣性力と摩擦力を交互に作用させてリニア駆動させる技術である。特許文献1は、上述したアクチュエータ方式の基本技術であり、他の特許文献2〜8は、前記方式をどのように使うかを示す文献である。
【特許文献1】特開平4−069070号公報
【特許文献2】特開平11−18447号公報
【特許文献3】特開平11−44899号公報
【特許文献4】特開平11−75382号公報
【特許文献5】特開2000−19376公報
【特許文献6】特開2003−141827公報
【特許文献7】特開2003−317410公報
【特許文献8】特開2004−56951公報
【0003】
図24を参照して、上述したアクチュエータ方式の機構を説明する。図24(A)は駆動装置の概略図,図24(B)及び(C)は圧電素子の変位量と時間の関係を示す図である。図24(A)に示すアクチュエータは、圧電素子500,シャフト502,スライダ504,レンズ506により構成されている。前記圧電素子500は、一方の面が前記シャフト502と連結し、もう一方の面が本体508に固定されている。前記スライダ504は、前記シャフト502が貫通しており、図示しない付勢手段によって、シャフト502を押さえつけるように付勢されている。そして、前記付勢手段によるスライダ504とシャフト502間の摩擦力を介して、前記スライダ504が、シャフト502に沿って変位する。スライダ504が変位すると、該スライダ504の先に取り付けられたレンズ506が矢印F24a又はF24b方向に変位する。なお、シャフト502の先端側は、バネで抑えられているのみであって固定されていない。
【0004】
前記圧電素子500に、図24(B)に示すように、圧電素子がゆっくり伸びて素早く縮むように、時間に対して非対称の電気信号を入力して駆動させると、前記圧電素子500がゆっくり伸びるときに、シャフト502が矢印F24aの方向に動く。このとき、前記スライダ504は、摩擦力によりシャフト502と一緒に動く。次に、圧電素子500が素早く縮むと、前記スライダ504は、慣性力によってその場に留まり、シャフト502だけが矢印F24b方向に引き寄せられるため、スライダ504がシャフト502に対して矢印F24a方向に移動することになる。以上の動作を繰り返すことにより、スライダ504は、矢印F24a方向にリニア駆動する。一方、図24(C)に示すように、圧電素子500を、素早く伸びてゆっくり縮むように時間に対して非対称の電気信号を入力して駆動させると、上記と逆の作用により、スライダ504が矢印F24b方向にリニア駆動する。以上のようなアクチュエータの駆動方式は、構造がシンプルなため、携帯電話用のデジタルカメラモジュールの自動焦点用のアクチュエータなどとして実用化されている。
【0005】
また、下記特許文献9には、4つの積層圧電素子を利用した駆動機構が開示されている。図25を参照して前記特許文献9の技術を説明する。前記駆動機構は、4つの積層型圧電素子604A〜604Dの上に、ステータ600の円形平板600Bを固定し、該円形平板600Bの中央の円柱600Aが、略円筒形状のロータ602の硬質ゴムなどの弾性体603に嵌合された構成となっている。前記積層型圧電素子604A〜604Dはベース606に固定されており、各々の積層型圧電素子604A〜604Dには、駆動回路605A〜605Dが接続されている。そして、前記積層型圧電素子604A〜604Dに、隣接素子間で位相の90°異なる交番電場を印加することで、前記ステータ600の円柱600Aが傾いて回転運動をし、弾性体603からの摩擦力によりロータ602が円柱600Aの回転方向に沿って回転する。
【特許文献9】特開平3−74180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、携帯電話用のデジタルカメラ用のレンズモジュールは、光学素子の高画素化,ズーム,オートフォーカス,手ぶれ防止などの高機能化を低コストで達成することが求められるようになってきている。電磁式では磁気結合が必要なため更なる小型化が困難であること、静電式では高い電圧が必要であることに対して、上述した圧電方式は、小型化するとエネルギー密度が高くなるため、小型アクチュエータとして注目されている。
【0007】
しかしながら、前記図24に示す背景技術では、スライダ504とシャフト502が摩擦力を介して接しているため、固着が生じやすい。特に、圧電素子500の変位方向と固着力の作用する方向が直交しており、圧電素子500の変位が固着力の切断(ないし抑制)に直接作用しないため、スライダ504を駆動させるためには圧電素子500を大きく変位させる必要があり、駆動効率が低く、低電圧での駆動が困難である。
【0008】
また、前記図25に示す背景技術では、ロータ602とステータ600の接触が、円柱600Aの端部角の最大変位の箇所,すなわち、1点での接触で駆動する構造であるため、安定した駆動力が得られにくい。また、ロータ602のステータ600への押圧が調整し難いということもある。更に、ロータ602の底部がステータ600の円形平板600Bと接触する構造のため、回転を抑止する場合もある。また、積層圧電素子を4つ配置するため、回転振動の対称性が崩れやすく振動制御が難しくなるとともに、構造が複雑となって組立に工数が必要となる。
【0009】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、小型かつ軽量で、駆動特性に優れ、汎用性も高い圧電駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明の圧電駆動装置は、少なくとも一方に主面を有する圧電駆動素子と、該圧電駆動素子の一方の主面に一端が固定されるとともに、上方に延びる軸部を有し、該軸部の外周面に鍔部を有するロッドと、該ロッドの鍔部より先端側の軸部が挿通可能であって、前記鍔部に面接触するとともに、前記ロッドに対して回転可能なロータと、前記ロッドの鍔部に対して、前記ロータを押圧する予圧手段とを備えるとともに、前記圧電駆動素子によって前記ロッドに回転力を発生させることにより、前記ロータを回転駆動させることを特徴とする。
【0011】
主要な形態の一つは、前記ロッドは、その先端が該ロッドの中心軸に対して垂直な面内で回転するように、傾きながら回転する。すなわち、その先端側が軸心に対して旋回することを特徴とする。他の形態は、前記ロータが、前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が貫通可能であって、前記ロッドの鍔部の平面に接触可能な平面を有するロータ本体と、該ロータ本体に連続形成されており、前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が挿通可能な中空の筒部とを含むことを特徴とする。
【0012】
更に他の形態は、前記予圧手段が、前記圧電駆動素子の他方の主面が上側に固定される第1の面部と、該第1の面部と対向する第2の面部と、これら第1及び第2の面部を結合する側面部とによって、断面が略コ字状に形成された弾性を有する固定フレームと、前記第1の面部に固定された圧電駆動素子に一端が固定されたロッドの鍔部平面に、前記固定フレームの弾性力によって、前記ロータ本体の平面を圧接させるように、前記第2の面部の下側の複数個所に等間隔で設けられた突起とを含むことを特徴とする。更に他の形態は、前記第2の面部が、前記ロータの筒部が貫通可能な溝によって、前記筒部の両側を支持する一対のアームに分割されており、該一対のアームのそれぞれに、前記突起を設けたことを特徴とする。
【0013】
更に他の形態は、前記固定フレームの第1及び第2の面部を外側から挟み込み可能な略L字ないし略コ字状であって、前記第2の面部又は前記一対のアームとの接触ないし係合によって、前記固定フレームによる押圧を調整する予圧調整フレーム,を備えたことを特徴とする。更に他の形態は、前記突起が、点又は線で前記ロータ本体の平面に接触することを特徴とする。
【0014】
更に他の形態は、前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が、前記ロータの筒部よりも短く設定されており、前記予圧手段が、前記圧電駆動素子の他方の主面が上側に固定される第1の面部と、該第1の面部と対向する第2の面部と、これら第1及び第2の面部を結合する側面部とによって、断面が略コ字状に形成された弾性を有する固定フレームと、前記第1の面部に固定された圧電駆動素子に一端が固定されたロッドの鍔部平面に、前記固定フレームの弾性力によって、前記ロータ本体の平面を圧接させるように、前記第2の面部の下側の中央に配置されており、表面の一部が前記筒部の先端に嵌るとともに、前記ロータを押圧する略球状体とを含むことを特徴とする。更に他の形態は、前記固定フレームの第2の面部の法線と前記ロッドの軸線のなす角度が5°以内となるように、前記第2の面部に傾きを設けたことを特徴とする。更に他の形態は、前記固定フレームの第2の面部の厚みが、他の部分よりも薄く形成されていることを特徴とする。
【0015】
更に他の形態は、前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が、前記ロータの筒部よりも短く設定されており、前記予圧手段が、前記圧電駆動素子の他方の主面が固定される固定用フレームと、前記ロッドの先端に軸方向に形成された嵌合穴と、該嵌合穴に嵌合可能な軸部と、前記ロータの筒部の内側に収納可能な頭部を有する固定ピンと、前記ロータの筒部の内周面に突出形成されており、前記固定ピンの軸部が貫通可能であるとともに、該固定ピンの頭部と係合可能な係合部と、該係合部と前記固定ピンの頭部の間に配置されており、前記固定ピンを介して前記ロータを押圧する弾性体とを含むことを特徴とする。
【0016】
更に他の形態は、前記圧電駆動素子は、該素子の中心を原点として分割された複数の領域を有するとともに、前記複数の領域は、隣接する領域間で厚み方向の変位が異なることを特徴とする。更に他の形態は、前記複数の領域が、前記ロッドに対して対称な形状の2つないし4つの領域であることを特徴とする。更に他の形態は、前記圧電駆動素子が、圧電体と複数の内部電極が交互に積層した積層構造を有するとともに、前記内部電極の少なくとも一部を、前記圧電駆動素子の中心を原点として複数に分割形成したことを特徴とする。
【0017】
更に他の形態は、前記圧電駆動素子の主面と前記鍔部の間のロッドの軸部の高さ,該軸部の半径,前記鍔部の半径の少なくともいずれかの調整によって、回転速度又はトルクを制御可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記軸部の半径を、前記圧電駆動素子の主面の幅の半分に設定したことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭にしていく。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、圧電駆動素子の主面に一端が固定されたロッドの外周面に鍔部を設け、押圧手段によって前記鍔部に面接触するロータに予圧をかけ、1つの圧電駆動素子で前記ロッドに回転力を発生させてロータを回転駆動する構造としたので、小型かつ軽量でありながら、駆動特性に優れ、汎用性が高い圧電駆動装置が得られるという効果がある。また、前記ロッドの軸高(圧電駆動素子の主面と鍔部の間の高さ),軸半径,鍔半径を適切に設計することにより、用途に合わせて特性を制御した小型の駆動装置が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
最初に、図1〜図6を参照しながら本発明の実施例1を説明する。本実施例は、本発明の圧電駆動装置を超音波モータに適用した例である。図1(A)は外観斜視図,図1(B)は前記(A)を矢印F1方向から見た側面図,図1(C)は変形例の側面図であり、図2は、本実施例の分解斜視図である。図3は、本実施例の駆動素子及びロッドを示す図であり、(A)は斜視図,(B)は前記(A)を矢印F3方向から見た平面図である。図4は、本実施例の駆動素子を示す図であり、(A)は積層構造を示す分解斜視図,(B)は前記(A)を#4−#4線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は厚み方向の変位分布を示す模式図である。図5は、前記駆動素子の斜視図であり、(A-1)及び(A-2)は内部電極の引出部を示す図,(B-1)及び(B-2)は外部電極の配置を示す図である。図6は、本実施例の駆動電圧を変えた場合の回転速度及びトルクの関係を示す図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、本実施例の圧電駆動装置10は、固定フレーム12,圧電駆動素子(以下「駆動素子」)30,ロッド40,ロータ50により構成されている。なお、前記駆動素子30にロッド40を固定した構造体をステータ(固定子)振動子と表現する場合もある。前記固定フレーム12は、圧電駆動装置10の構造を保持するほか、前記ロータ50を前記ステータ振動子に対して圧接する予圧手段を兼ねている。前記固定フレーム12は、前記駆動素子30の一方の主面が固定される底面部14と、前記ロータ50の筒部52が貫通可能な開口部20を有する上面部16と、側面部18によって構成された略コ字状であって、弾性を有する材料によって形成されている。本実施例では、前記底面部14,上面部16,側面部18は、ほぼ厚みが同じになっている。前記上面部16の内側には、前記ロータ50のディスク部56の平面部分と接触可能な複数(図示の例では3つ)の突起22が設けられており、前記固定フレーム12の弾性力によって、前記突起22が前記ディスク部56の平面部分を押圧する。このように押圧することによって、駆動する前から予め圧力をかけ、ロータ50が回転するように予圧手段を構成させる。従って、固定フレーム12は、例えば、ステンレスなどによって形成されている。なお、前記底面部14,上面部16,側面部18は一体に形成してもよいし別体に形成してもよい。
【0022】
次に、駆動素子30は、4つの変位素子を1つにしたアレイ形の素子であって、一方の主面に前記ロッド40の一端が固定され、他方の主面が前記固定フレーム12の底面部14の上面側に固定されている。前記駆動素子30と固定フレーム12の固定,前記駆動素子30とロッド40の固定には、例えば、エポキシ系の接着剤などが用いられる。そして、対角の変位素子部分同士が逆位相、隣接の素子部分同士の位相差が90°の交番電場を印加することによって、片持ちはりの屈曲2重モードを発生させる構造となっている。該駆動素子30は、非共振状態でもサブミクロンの変位を得るために、電極を介した積層構造となっている。
【0023】
図4及び図5を参照して、駆動素子30の詳細な構造を説明すると、該駆動素子30は、複数の圧電体70A〜70Lと、複数の内部電極EA1,EA2,EB1,EB2,EGが積層した構造となっている。圧電体70Aは、最上層に配置され、該圧電体70Aとその下層の圧電体70Bの間には、分割形成された内部電極EA1,EA2,EB1,EB2が設けられている。これらのうち、内部電極EA1とEA2は、素子の中心に対して点対称の形状となっており、内部電極EB1とEB2も、素子の中心に対して点対称の形状となっている。すなわち、EA1→EB1→EA2→EB2→EA1・・・の順序で素子の中心の周りに配置されている。前記内部電極EA1,EB2は、−Y方向に延長した引出部72,78を備えており、電極EB1,EA2は、Y方向に延長した引出部76,74を備えている。なお、前記引出部72〜78の延長方向は、前記駆動素子30を図4及び図5に示す向きに設置した場合である。
【0024】
次に、圧電体70Bと70Cの間には、対向電極となる内部電極EGが設けられている。該内部電極EGは、前記内部電極EA1,EA2,EB1,EB2と位置が対応するように、4つに分割形成されており、それぞれ電極の引出部80を備えている。前記内部電極EA1,EB1と重なる内部電極EGについては、前記引出部80は、−X方向に延長しており、内部電極EB2,EA2と重なる内部電極EGについては、その引出部80はX方向に延長している。以降の圧電体70C〜70Lの間に挟まれる内部電極は、(EA1,EA2,EB1,EB2)→EG→(EA1,EA2,EB1,EB2)→EG→・・・の繰り返しであり、これによって積層体32が得られる。
【0025】
前記積層体32は、図5(A-1),(A-2),(B-1),(B-2)に示すように、対向する一対の側面に、内部電極EGの引出部80が並んで出ており、そこに外部電極38が接続される。本実施例の場合は、4つの外部電極38が接続されることになる。また、前記積層体32の他の側面には、内部電極EA1の引出部72と、内部電極EB2の引出部78が並んで出ており、それぞれに外部電極34,37が接続される。前記積層体32の更に他の側面には、内部電極EA2の引出部74と、内部電極EB1の引出部76が並んで出ており、それぞれに外部電極35,36が接続される。前記圧電体70A〜70Lとしては、例えば、Pb(Zr,Ti)Oを主成分とする材料が用いられ、前記内部電極EA1,EA2,EB1,EB2,EG,外部電極34,35,36,37,38としては、例えば、Ag−Pdなどが用いられる。
【0026】
前記駆動素子30の主面の略中央には、図3(A)に示すように、ロッド40の軸部42の一端側に設けられており、該軸部42よりも径が大きい底板44が接着剤等の手段で接着される。また、図3(B)に示すように、前記駆動素子30の外部電極34及び38の間には駆動電源60(インプットA)が接続され、外部電極35及び38の間には駆動電源62(インプット−A)が接続され、外部電極36及び38の間には駆動電源64(インプットB)が接続され、外部電極37及び38の間には駆動電源66(インプット−B)が接続される。そして、内部電極EGに対して、内部電極EA1及びEA2と、電極EB1及びEB2に位相の異なる信号を入力すると、素子の厚み変位が異なる4つの領域が、駆動素子30の中心を原点として形成される。ここでは、内部電極EA1,EA2,EB1,EB2は、全て同方向に分極されている。また、隣接する分布間は、位置位相が90°ずれているため、内部電極EA1及びEA2と、内部電極EB1及びEB2に時間位相の90°ずれた信号を入力すると、1つの駆動素子30の中の4分割した部分が、ロッド40の軸を中心に変位して進行波が立つ。すなわち、図4(C)に示すように、駆動素子30は、厚み方向の変位量が異なる4つの領域P,Q,R,Sを有することになる。これによって、図1(A)及び図3(A)に矢印Faで示すように、片持ちはりの屈曲2重モードで励振されるロッド40が傾きながら回転運動する。
【0027】
次に、前記ロッド40について説明する。ロッド40は、軸部42の一方の端部に底板44を有するとともに、前記軸部42の外周面の適宜位置に、軸方向と略直交する鍔部46が設けられている。前記鍔部46より上方の先端側48は、前記底板44と鍔部46間の部分よりも径が小さく、端部へ向かうほど細くなっており、後述するロータ50に挿通可能となっている。また、前記底板44は、前記駆動素子30の縦振動で屈曲振動を励振するためのもので、略円板状となっている。そして、該底板44が、接着剤などによって前記駆動素子30の主面に接着固定されている。このようなロッド40は、例えば、黄銅などの金属により形成されている。
【0028】
前記ロータ50は、前記ロッド40の先端側48が貫通する開口部(図示せず)が略中央に形成されており前記ロッド40の鍔部46と面接触するディスク部56と、前記先端側48が挿通可能な中空部54を有する略円筒状の筒部52が連続形成した構造となっている。図示の例では、前記ロッド40の先端側48は、前記筒部52の中空部54に完全に収納されている。このようなロータ50は、前記ディスク部56で摩擦による駆動力を受けて回転し、筒部52から出力を取り出すことができる。すなわち、前記筒部52は、超音波モータのシャフトとして作用する。前記ロータ50としては、例えば、ステンレスなどが用いられる。
【0029】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、前記駆動素子30の一方の主面を前記固定フレーム12の底面部14の上面に固定し、他方の主面に前記ロッド40の底板44を固定し、該ロッド40に前記ロータ50を取り付ける。続いて、前記ロータ50の筒部52を前記固定フレーム12の上面部16の開口部20に差し込むと、固定フレーム12の弾性力によって、一定間隔に設けられた例えば3個の突起22を介してロータ50のディスク部56の平面部分を押圧する。この押圧は、駆動素子30が駆動される前から予め押圧される構成になっているので予圧手段とされている。このような予圧手段により、ロッド40の鍔部46の上面とロータ50のディスク部56の下側平面とが面接触し、ロッド40の先端側48が軸心に対し旋回するような回転がかかると、押圧されているロータ50のディスク部56下側平面に回転する力が加わるようになる。この結果、ロータ50が回転する仕組みになっている。
【0030】
そして、前記駆動素子30に、以下の表1に示すように、対角の変位素子部分同士が逆位相,隣接の素子部分間の位相差が90°の交番電場を印加すると、片持ちはりの屈曲2重モードが発生する。すると、ロッド40の鍔部46とロータ50のディスク部56との面接触による摩擦によって、前記ロータ50が回転する。このときのロータ50の回転方向(図1(A)の矢印Fb方向)は、前記ロッド40の回転方向(矢印Fa方向)と逆になっている。すなわち、ロッド40が反時計回り(CCW)に回転すると、ロータ50が時計回り(CW)に回転し、ロッド40がCWに回転すると、ロータ50がCCWに回転するという具合である。なお、前記位相差が90°の場合に、ロータ50が時計回り(CW)に回転し、位相差が−90°の場合に、円板90が反時計回り(CCW)に回転する。以上のように前記ロータ50が回転することにより、その筒部52から従来の電磁モータと同様に駆動力を取り出すことが可能となる。
【表1】

【0031】
図6には、駆動電圧を変えて測定した場合の、モータの回転速度とトルクの関係が示されている。図6(A)は、横軸が駆動電圧[Vp−p]を表し、縦軸の一方(左側)がモータの回転速度[rpm]を表し、縦軸の他方(右側)がトルク[gfcm]を表している。図6(B)は、横軸が回転速度[rpm]を表し、縦軸がトルク[gfcm]を表している。この結果が示すように、本実施例のモータは、0.2Vp−pという低い電圧で駆動し始め、3Vp−pで最大回転速度3500rpm,最大トルク0.4gfcmと優れた駆動特性が得られる。なお、駆動素子30にロッド40を接着したステータ振動子の外形は、直径が3mm,長さが8mmであり、小型で駆動特性に優れた圧電駆動装置が得られることが確認された。
【0032】
このように、実施例1によれば、1つの駆動素子30に4つの素子構造を組み込むことによって、前記駆動素子30の主面に一端が固定されたロッド40の先端側48に旋回するような回転力を発生させ、該ロッド40の鍔部46の上面側の平面と面接触するロータ50のディスク部56の下側平面に、固定フレーム12の弾性力によって突起22を介して予圧をかける。そして、上記片持ちはり構造によって、一般的に逆圧電効果で発生力が最も高い縦振動を屈曲振動に変位増幅することで、構造が単純で、駆動しないときにもロータ50と鍔部46の静摩擦により保持力が得られ、回転速度が高く、トルクの大きい小型モータが実現できる。従って、本実施例によれば、小型かつ軽量でありながら、駆動特性に優れ、汎用性が高い圧電駆動装置10を得ることができる。
【0033】
なお、上述した例では、固定フレーム12として、底面部14,上面部16,側面部18の厚みがほぼ同じものを利用したが、図1(C)に示す例のように、上面部16Aが、底面部14A及び側面部18Aと比べて薄く形成されている固定フレーム12Aを用いるようにしてもよい。このように底面部14Aと側面部18Aが、上面部16Aよりも厚い固定フレーム12Aを利用することにより、片持ちはりとして、支点となる素子の底面部をより強く固定することが可能となり、その結果、ロッド40の変位が大きくなるため、特性の低下の抑制(もしくは特性の向上)が可能となる。
【実施例2】
【0034】
次に、図7及び図8を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。図7(A)は、本実施例の斜視図,図7(B)は前記(A)を矢印F7方向から見た側面図,図7(C)は変形例を示す側面図である。図8は、本実施例の他の変形例を示す側面図である。上述した実施例1は、略コ字状の固定フレームの内面に設けた突起によって、ロータに予圧をかける構成としたが、本実施例は、固定フレームと略球状体を利用して予圧をかける例である。
【0035】
まず、図7(A)及び(B)に示す構造について説明する。圧電駆動装置100は、固定フレーム102,駆動素子30,ロッド40,ロータ110,ボール118によって構成されている。前記固定フレーム102は、底面部104,上面部106,底面部104と上面部106とを弾性的に連結する側面部108からなる略コ字形状であって、前記実施例1と同様に弾性を有する材料によって形成されている。前記ロータ110は、前記ロッド40の先端側48が貫通するとともに、前記ロッド40の鍔部46と面接触するピニオンギア114と、前記先端側48が挿通可能な中空部113を有する略円筒状の筒部112が連続形成した構造となっている。図示の例では、前記ロッド40の先端側48と、前記ロータ110の筒部112の開口した上端116の間には、所定の間隔が設けられている。
【0036】
前記ボール118は、前記固定フレーム102の上面部106の内側と、前記ロータ110の筒部112の上端116との間に配置されており、その表面の一部を、前記上端116の開口に嵌めることが可能となっている。該ボール118としては、耐磨耗性に優れているという観点から、例えば、アルミナやジルコニアなどのセラミックが利用されるが、これに限定されるものではなく金属などを用いるようにしてもよい。前記駆動素子30及びロッド40については、上述した実施例1と同様の構成となっている。
【0037】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、前記駆動素子30の一方の主面を前記固定フレーム102の底面部104の内側に固定し、他方の主面に前記ロッド40の底板44を接着し、該ロッド40に前記ロータ110を取り付ける。続いて、前記ロータ110の筒部112の上端116と固定フレーム上面部106の間に前記ボール118を挟み、該ボール118の表面の一部を、前記筒部112の上端116に嵌めると、前記固定フレーム102の弾性力によって、前記ボール118を介してロータ110を押圧し予圧がかかる。そして、前記駆動素子30に、前記実施例1と同様の交番電場を印加すると、ロッド40の鍔部46とロータ110のピニオンギア114の底面部115との面接触による摩擦によって前記ロータ110が回転し、ピニオンギア114から振動軸と直交する方向に駆動力を出力することができる。本実施例によれば、回転数を下げてトルクを取り出すことができるため、汎用性が高く、小型で高い駆動効率の駆動装置が得られる。
【0038】
次に、本実施例の変形例について説明する。図7(C)に示す変形例の圧電駆動装置100Aでは、ロータ110Aは、筒部112Aとピニオンギア114Aを有しており、該ピニオンギア114Aは、前記ロッド40の大部分を覆い隠す長さに設定されている。前記ロータ110Aの内側には、前記ロッド40の先端側48が挿通可能な中空部113Aと、該中空部113Aよりも径が大きく前記ロッド40の鍔部46を収納可能な中空部117が連続形成されている。そして、前記中空部113A及び117の境界面115Aと、前記鍔部46との面接触による摩擦によって前記ロータ110Aが回転し、ピニオンギア114Aから振動軸と直交する方向に駆動力を出力することができる。
【0039】
図8(A)に示す変形例の圧電駆動装置120では、ロータ122は、筒部124とウォームギア126を有しており、前記図7(A)及び(B)に示す例と同様に、ウォームギア126の底面部127と鍔部46との面接触によって回転力を出力する構成となっている。本変形例では、前記ロータ122が回転すると、振動軸(ロッド40)の軸方向に沿って駆動力を取り出すことが可能となる。また、図8(B)に示す圧電駆動装置120Aでは、ロータ122Aは、筒部124Aと前記ロッド40の大部分を覆うウォームギア126Aによって形成されており、前記図7(C)に示す例と同様の内部形状によって、ロッド40の鍔部46と面接触することによって、振動軸の軸方向に沿った駆動力を出力することができる。
【実施例3】
【0040】
次に、図9〜図13を参照しながら本発明の実施例3を説明する。図9(A)は、本実施例の側面図,図9(B)は、前記(A)の一部を#9−#9線に沿って切断し矢印方向に見た縦断面図である。本実施例の圧電駆動装置200は、固定フレーム202,駆動素子30,ロッド210,ロータ230,固定ピン240により構成されている。前記固定フレーム202は、前記駆動素子30の一方の主面が固定される底面部204と側面部206によって略L字状に形成されている。本実施例では、前記固定フレーム202は、圧電駆動装置200の構造保持のみを行うものであって、予圧手段は別途設けられている。
【0041】
また、前記ロッド210は、軸部212の一端に底板214が設けられており、前記軸部212の適宜位置には、前記ロータ230と面接触する鍔部216が設けられている。また、前記鍔部216よりも上方の先端側218には、前記固定ピン240が嵌合する嵌合穴220が形成されている。前記先端側218は、前記鍔部214及び216の間の部分よりも径が小さく設定されており、前記ロータ230内に収納可能となっている。
【0042】
次に、前記ロータ230は、略円筒状の筒部232と、前記ロッド210の鍔部216と面接触するディスク部234が連続形成されており、前記筒部232の中空部233には、前記ロッド210の先端側218が挿通可能となっている。前記筒部232は、前記先端側218よりも長く設定されており、該先端側218が完全に収納される。また、前記筒部232の内周面には、前記先端側218を完全に収納したときに接触しない位置に、内側に向けて突出したフランジ状の係合部236が設けられている。該係合部236には、固定ピン240の軸部242が貫通可能な開口部238が形成されている。
【0043】
前記固定ピン240は、軸部242と頭部244を有しており、前記軸部242は、前記ロータ230の開口部238を貫通するとともに、前記ロッド210の嵌合穴220に嵌合可能となっている。また、前記頭部244は、弾性体246を介して前記係合部236と係合可能となっている。前記弾性体246は、その弾性力によって、前記ロータ230に予圧をかけるためのものであって、例えば、エンジニアプラスチックやテフロン(登録商標)などが用いられる。なお、前記固定ピン240の軸部242と、前記ロッド210の嵌合穴220の断面形状は特に制限されず、前記固定ピン240がロッド210に対して回転してもよいし、回転不能であってもよい。このような固定ピン240としては、例えば、黄銅などが用いられる。
【0044】
本実施例の圧電駆動装置200に、上述した実施例1と同様の交番電場を印加すると、固定ピン240によって予圧をかけられたロータ230のディスク部234が、前記ロッド210の鍔部216と面接触し、ロッド210と反対方向にロータ230が回転する。以上のように前記ロータ230が回転することにより、その筒部232から従来の電磁モータと同様に駆動力を取り出すことが可能となる。本実施例によれば、ロッド210の軸心近傍で予圧をかけることができるため、効率的な回転が可能になるという効果がある。他の基本的効果は、上述した実施例1と同様である。
【0045】
次に、本実施例の変形例を説明する。以下に説明する変形例では、ロータ以外の部分は、前記圧電駆動装置200と同様の構成となっている。まず、図10に示す圧電駆動装置250のロータ252は、筒部254とピニオンギア256が連続形成されており、内側の中空部258にロッド210の先端側218が収納されている。また、前記中空部258の内面には、弾性体246を介して固定ピン240の頭部244と係合可能な係合部255が形成されている。本例では、前記ピニオンギア256の底面部257が、ロッド210の鍔部216と面接触することによってロータ252が回転し、ピニオンギア256から図示していないラックギアとの組み合わせで振動軸と直交する方向に回転を出力することが可能となっている。図11に示す圧電駆動装置250Aは、ロータ252Aが筒部254Aとピニオンギア256Aにより形成されている。前記ピニオンギア256Aは、前記ロッド210の大部分を覆う程度の長さに設定されており、該ピニオンギア256Aの内側には、中空部258Aと260が連続形成されている。そして、前記中空部258Aと260の境界面262が、前記ロッド210の鍔部216と面接触することにより、ピニオンギア256Aから振動軸と直交する方向の回転を取り出すことができる。
【0046】
更に、図12に示す圧電駆動装置280のロータ282は、筒部284とウォームギア286が連続形成されており、内側の中空部288にロッド210の先端側218が収納されている。また、前記中空部288の内面には、弾性体246を介して固定ピン240の頭部244と係合可能な係合部285が形成されている。本例では、前記ウォームギア286の底面部287が、ロッド210の鍔部216と面接触することによってロータ282が回転し、ウォームギア286から振動軸の軸方向に沿った駆動力を取り出すことが可能となっている。図13に示す圧電駆動装置280Aは、ロータ282Aが筒部284Aとウォームギア286Aにより形成されている。前記ウォームギア286Aは、前記ロッド210の大部分を覆う程度の長さに設定されており、該ウォームギア286Aの内側には、中空部288Aと290が連続形成されている。そして、前記中空部288Aと290の境界面292が、前記ロッド210の鍔部216と面接触することにより、ウォームギア286Aから図示されていないウォームギアと組み合わせることにより振動軸の軸方向に沿った駆動力を取り出すことができる。
【実施例4】
【0047】
次に、図14及び図15を参照して本発明の実施例4を説明する。本実施例は、上述した実施例2の応用例であって、ボールを利用して予圧を行う構成となっている。図14(A)は本実施例の側面図であり、図14(B),図15(A),図15(B)は本実施例の変形例である。まず、図14(A)に示す例について説明する。圧電駆動装置300は、固定フレーム302,駆動素子30,ロッド40,ロータ110,ボール118により構成されている。前記固定フレーム302は、前記駆動素子30を固定する底面部304と、前記ロータ110の筒部112との間にボール118を挟み込む上面部306と、側面部308を有しており、弾性を有する材料によって略コ字状に形成されている。本実施例では、前記上面部306は、底面部304及び側面部308よりも薄く形成されるとともに、該上面部306の法線が前記ロッド40の軸線と交わる角度αが5°以内となるように傾きが設けられている。駆動素子30,ロッド40,ロータ110,ボール118については、上述した実施例2と同様の構成である。本実施例の圧電駆動装置300の駆動原理は、前記実施例2と基本的に同様であるが、本実施例では、固定フレーム302の上面部306に5°以内の傾きを設けているため、ロータ110の回転がスムースである。また、前記底面部304及び側面部308が、上面部306よりも厚く形成されているため、片持ちはりとして、支点となる素子の底面をより強く固定することが可能となり、その結果、ロッド40の変位が大きくなるため、特性低下の抑制ないし特性の向上が可能となる。
【0048】
図14(B)に示す圧電駆動装置300Aは、上述した実施例2の変形例の圧電駆動装置100A(図7(C)参照)に、前記固定フレーム302を適用した例であって、傾いた上面部306でボール118を介してロータ110Aを予圧し、ロータ110Aを回転する構成となっている。前記ロータ110Aは、筒部112Aと、ロッド40の大部分を覆う長さのピニオンギア114Aを有しており、該ピニオンギア114Aから振動軸と直交する方向に回転を取り出すことができる。図15(A)に示す圧電駆動装置310は、前記実施例2の変形例の圧電駆動装置120(図8(A)参照)に、前記固定フレーム302を適用した例であって、ウォームギア126の回転により振動軸の軸方向に沿った駆動力を取り出すことができる。図15(B)に示す圧電駆動装置310Aは、前記実施例2の変形例の圧電駆動装置120A(図8(B)参照)に、前記固定フレーム302を適用した例であって、ロータ122Aの回転により、ロッド40の大部分を覆う長さのウォームギア126Aから振動軸の軸方向に沿った駆動力を取り出す構成となっている。
【実施例5】
【0049】
次に、図16及び図17を参照して本発明の実施例5を説明する。図16(A)は外観斜視図,図16(B)は前記(A)を矢印F16方向から見た側面図,図16(C)は固定フレーム上面の平面図,図16(D-1)及び(D-2)は変形例を示す斜視図及び平面図である。図17(A)は変形例の外観斜視図,図17(B)は前記(A)を矢印F17方向から見た側面図である。本実施例の圧電駆動装置350は、固定フレーム352,駆動素子30,ロッド40,ロータ50によって構成されており、前記固定フレーム352以外の構成要素は、上述した実施例1と同様となっている。前記固定フレーム352は、駆動素子30を固定する底面部354と、一対の略平行なアーム356A,356Bからなる上面部と、側面部360によって略コ字状に形成されている。言い換えれば、固定フレーム352の上面部を、ロータ50の筒部52が貫通可能な溝357によって、一対のアーム356A,356Bに分割した形状となっている。
【0050】
前記アーム356A,356Bの略中央には、断面略半円状の湾曲部358A,358Bが形成されており、該湾曲部358A,358Bの中央部が前記ロータ50のディスク部56に接触する。このとき、図16(C)に点線で示すように、湾曲部358A,358Bとディスク部56は線で接している。このような固定フレーム352は、前記実施例1と同様に弾性を有する材料により形成されており、前記アーム356A,356Bは、底面部354よりも薄く設定されている。本実施例によれば、上面のアーム356A,356Bの間に溝357が設けられているため、圧電駆動素子350の組立が容易となる。他の作用及び効果は、上述した実施例1と同様である。なお、図16(D-1)及び(D-2)に示すように、一対のアーム356A,356Bの裏面に、略半球状の突起362A,362Bを設け、その頂部によって、図16(D-2)に示すように、前記ロータ50のディスク部56と点接触して予圧をかけるようにしてもよい。
【0051】
次に、図17に示す変形例の圧電駆動装置380について説明する。圧電駆動装置380は、前記図16に示す圧電駆動装置350に予圧調整用の補助フレーム382を設けた構造となっている。前記補助フレーム382は、底面部384,一対のアーム386A及び386B,側面部390によって略L字状に形成されており、前記側面部390が前記固定フレーム352の側面部360と対向するように配置されている。前記一対のアーム386A,386Bの先端には、前記固定フレーム352の湾曲部358A,358Bの一部と係合する爪388A,388Bが設けられている。このような補助フレーム382は、前記固定フレーム352と同様に弾性を有する材料によって形成してもよいし、弾性がない材料を利用してもよい。前記爪388A,388Bが、前記固定フレーム352の湾曲部358A,358Bに係合するように補助フレーム382を固定フレーム352に取り付けると、前記補助フレーム382によって、前記曲面部358A,358Bがロータ50の鍔部56にかける予圧を調整することができる。なお、予圧の調整具合は、補助フレーム382のアーム386A,386Bの高さを変えることにより任意に変更可能である。
【実施例6】
【0052】
次に、図18〜図23を参照しながら、本発明の実施例6を説明する。上述した実施例1〜5では、いずれも単純な構造で、駆動しないときにもロータと鍔部の静摩擦により保持力が得られ、回転速度が高くトルクが大きい、汎用性の高い小型モータが実現できることを示した(例えば、前記図6(A)及び(B)に示す実施例1)。本実施例では、回転重視型,トルク重視型のように、必要とされるモータ駆動特性に合わせて、ステータ振動子のロッドの設計を行った例である。なお、ステータ振動子とは、上述した実施例1で示したように、圧電駆動素子にロッドを固定した構造体のことを示している。
【0053】
本実施例では、まず、前記図9と同じ構造のステータ振動子(圧電素子30及びロッド210)及び圧電駆動装置200の特性について、図18に示すステータ振動子の各部の寸法を、以下の表2に示す範囲内で変えた場合の相関を検討した。前記表2中、下線で示した数値は基本寸法を示しており、寸法を変える一カ所以外は、全て前記基本寸法に統一して測定を行った。
【表2】

【0054】
ステータ振動子の評価項目は、「共振周波数:f」と「電気機械結合係数:kvn」とした。前記機械結合係数kvnは、インピーダンスの周波数特性から、前記fと反共振周波数fを求めて、以下の数1式によって算出した。
【数1】

【0055】
また、モータの特性の評価項目は、「最大回転速度:Ω」,「最大トルク:T」,「出力密度(単位質量当たりの出力電力):p」とした。前記出力密度pは高いほうがよく、最大回転速度Ωと最大トルクTを求めた後、質量Mとして以下の数2式から算出した。
【数2】

【0056】
なお、上記表2には多数のパラメータ(ロッド210の先高h,軸高h,鍔厚t,底板厚t,軸半径r,鍔半径r,底板半径r,圧電素子30の幅w,厚みt)を示したが、ここでは、試験結果をまとめた以下の表3に示すように、モータ特性と相関性の高いロッドの軸高h,軸半径r,鍔半径rについての試験結果を、図19〜図21に示す。図19は軸高h[mm],図20は軸半径r[mm],鍔半径r[mm]についての結果を示している。また、図19〜図21において、(A)の縦軸左側は共振周波数f[kHz],右側は電気機械結合係数kvn,(B)の縦軸左側は最大回転速度Ω(相対値),右側は最大トルクT(相対値),(C)の縦軸は出力密度p(相対値)を示している。
【表3】

【0057】
まず、図19に示すように、軸高hの結果についてみると、基本寸法(図中点線で囲った印)よりも短くすることで、トルクが大きくなっていることが分かる。また、図20に示すように、軸半径rは、素子幅wの半分(素子幅wの基本寸法が2.5mmのため、素子幅wの半分は1.25mm)のところで、特性が安定していることが確認できた。更に、鍔半径rは、図21に示すように、大きくすることで回転速度が下がり、トルクがリニアに上昇し、反対に、鍔半径rを小さくすることで回転速度が上昇し、トルクがリニアに低下する関係が成り立つことが分かった。
【0058】
以上の結果から、前記表3に示すように、ロッド210の軸高h,軸半径r,鍔半径rがモータ特性の制御因子であり、その値を以下の表4に示す通りに設計することにより、モータ(圧電駆動装置200)の特性を最適化するとともに、回転重視型やトルク重視型というように、モータ特性を用途に合わせて設計できることが確認された。
【表4】

【0059】
次に、前記鍔半径r以外を上述した試験結果に基づいて下記表5に示す寸法に設計し、前記鍔半径rを変えたモータを試作して、モータ特性と鍔半径rの関係を調べた。なお、試験は、表5に示すように、前記ロッド210の鍔部216よりも先端側218の高さ(先高h)を3mm(サンプルA),1mm(サンプルB)とした2種類について行った。
【表5】

【0060】
図22及び図23には、モータ特性と鍔半径rの関係を示す評価結果が示されている。図22は、前記先高hが3mmの場合,図23は、先高hが1mmの場合である。また、前記図22及び図23において、(A)の縦軸左側は共振周波数f[kHz],右側は電気機械結合係数kvn,(B)の縦軸左側は最大回転速度Ω(相対値),右側は最大トルクT(相対値),(C)の縦軸は出力密度p(相対値)を示している。サンプルA及びBの両モータにおいて、鍔半径rvにより、モータを回転速度重視型,トルク重視型と用途に着目して設計できることが確認できた。先高3mm(サンプルA)のモータでは、基本寸法に対して、回転速度が1.5倍,トルクが4倍に向上し、先高1mm(サンプルB)のモータでは、回転速度が2.3倍,トルクが4倍で、かつ、モータの全高を6.5mmに下げられることが確認できた。このように、本実施例によれば、ロッド210の寸法を適切な値に設定することによって、汎用性が高く、駆動特性が優れ、用途に合わせて特性を制御した小型の駆動装置が提供できる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例に示した材料,形状,寸法は一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更可能である。例えば、前記実施例3の弾性体246にテーパを設けるようにしてもよい。
(2)前記実施例1で示した内部電極や外部電極の配置や分割数も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更可能である。例えば、前記実施例1では、4つの領域を形成することとしたが、必要に応じて更に多数の分布を形成するような構成としてもよい。
(3)積層型の駆動素子(圧電駆動素子)の積層構造や電極引き出し構造も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(4)前記実施例の駆動装置は一例であり、本発明は、例えば、カメラの撮影レンズやオーバーヘッドプロジェクタなどの投影レンズ,双眼鏡のレンズ,複写機のレンズなど、光学装置におけるレンズの駆動のほか、プロッタやX−Y駆動テーブルのような装置など、駆動部を有する装置一般に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、圧電駆動素子の主面に一端が固定されたロッドの外周面に鍔部を設け、予圧機構によって前記鍔部に面接触するロータに予圧をかけ、1つの圧電駆動素子で前記ロッドに回転力を発生させてロータを回転駆動する構造としたので、優れた駆動特性や高い汎用性が必要とされる駆動装置の用途に好適である。特に、小型化,軽量化,薄型化が要求される超音波モータや、他の駆動装置の用途に好適である。更に、用途に合わせた特性制御が望まれる場合にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は外観斜視図,(B)は前記(A)を矢印F1方向から見た側面図,(C)は変形例の側面図である。
【図2】前記実施例1の分解斜視図である。
【図3】前記実施例1の駆動素子とロッドを示す図であり、(A)は斜視図,(B)は前記(A)を矢印F3から見た平面図である。
【図4】前記実施例1の駆動素子を示す図であり、(A)は積層構造を示す分解斜視図,(B)は前記(A)を#4−#4線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は厚み方向の変位分布を示す模式図である。
【図5】前記実施例1の駆動素子の斜視図であり、(A-1)及び(A-2)は内部電極の引出部を示す図,(B-1)及び(B-2)は外部電極の配置を示す図である。
【図6】前記実施例1の駆動電圧を変えた場合の回転速度及びトルクの関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は斜視図,(B)は前記(A)を矢印F7方向から見た側面図,(C)は変形例を示す側面図である。
【図8】前記実施例2の変形例を示す側面図である。
【図9】本発明の実施例3を示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#9−#9線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図10】前記実施例3の変形例を示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#10−#10線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図11】前記実施例3の変形例を示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#11−#11線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図12】前記実施例3の変形例を示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#12−#12線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図13】前記実施例3の変形例を示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#13−#13線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図14】本発明の実施例4及びその変形例を示す側面図である。
【図15】前記実施例4の変形例を示す側面図である。
【図16】本発明の実施例5を示す図であり、(A)は外観斜視図,(B)は前記(A)を矢印F16方向から見た側面図,(C)は固定フレーム上面の平面図,(D-1)及び(D-2)は変形例を示す図である。
【図17】前記実施例5の変形例を示す図であり、(A)は外観斜視図,(B)は前記(A)を矢印F17方向から見た側面図である。
【図18】本発明の実施例6のステータ振動子の構造を示す図である。
【図19】前記実施例6のステータ振動子及びモータ特性と、ロッドの軸高の関係を示す図である。
【図20】前記実施例6のステータ振動子及びモータ特性と、ロッドの軸半径の関係を示す図である。
【図21】前記実施例6のステータ振動子及びモータ特性と、ロッドの鍔半径の関係を示す図である。
【図22】前記実施例6のステータ振動子及びモータ特性と、ロッドの鍔半径の関係を示す図である。
【図23】前記実施例6のステータ振動子及びモータ特性と、ロッドの鍔半径の関係を示す図である。
【図24】背景技術の一例を示す図である。
【図25】背景技術の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10:圧電駆動装置(超音波モータ)
12,12A:固定フレーム
14,14A:底面部
16,16A:上面部
18,18A:側面部
20:開口部
22:突起
30:圧電駆動素子(駆動素子)
32:積層体
34,35,36,37,38:外部電極
40:ロッド
42:軸部
44:底板
46:鍔部
48:先端側
50:ロータ
52:筒部
54:中空部
56:ディスク部
60,62,64,66:駆動電源
70A〜70L:圧電体
72,74,76,78,80:引出部
100,100A,120,120A:圧電駆動装置
102:固定フレーム
104:底面部
106:上面部
108:側面部
110,110A,122,122A:ロータ
112,112A,124,124A:筒部
113,113A,117:中空部
114,114A:ピニオンギア
115,127:底面部
115A:境界面
116:上端
118:ボール
126,126A:ウォームギア
200:圧電駆動装置
202:固定フレーム
204:底面部
206:側面部
210:ロッド
212:軸部
214:底板
216:鍔部
218:先端側
220:嵌合穴
230:ロータ
232:筒部
233:中空部
234:ディスク部
236:係合部
238:開口部
240:固定ピン
242:軸部
244:頭部
246:弾性体
250,250A,280,280A:圧電駆動装置
252,252A,282,282A:ロータ
254,254A,284,284A:筒部
255,285,285A:係合部
256,256A:ピニオンギア
257,287:底面部
258,258A,260,288,288A,290:中空部
262,292:境界面
286,286A:ウォームギア
300,300A,310,310A:圧電駆動装置
302:固定フレーム
304:底面部
306:上面部
308:側面部
350:圧電駆動装置
352:固定フレーム
354:底面部
356A,356B:アーム
357:溝
358A,358B:湾曲部
360:側面部
362A,362B:突起
380:圧電駆動装置
382:補助フレーム
384:底面部
386A,386B:アーム
388A,388B:爪
390:側面部
500:圧電素子
502:シャフト
504:スライダ
506:レンズ
508:本体
600:ステータ
600A:円柱
600B:円形平板
602:ロータ
603:弾性体
604A〜604D:積層型圧電素子
605A〜605D:駆動回路
606:ベース
EA1,EA2,EB1,EB2,EG:内部電極
P,Q,R,S:領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に主面を有する圧電駆動素子,
該圧電駆動素子の一方の主面に一端が固定されるとともに、上方に延びる軸部を有し、該軸部の外周面に鍔部を有するロッド,
該ロッドの鍔部より先端側の軸部が挿通可能であって、前記鍔部に面接触するとともに、前記ロッドに対して回転可能なロータ,
前記ロッドの鍔部に対して、前記ロータを押圧する予圧手段,
を備えるとともに、
前記圧電駆動素子によって前記ロッドに回転力を発生させることにより、前記ロータを回転駆動させることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
前記ロッドは、その先端側が軸心に対して旋回することを特徴とする請求項1記載の圧電駆動装置。
【請求項3】
前記ロータが、
前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が貫通可能であって、前記ロッドの鍔部の平面に接触可能な平面を有するロータ本体,
該ロータ本体に連続形成されており、前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が挿通可能な中空の筒部,
を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の圧電駆動装置。
【請求項4】
前記予圧手段が、
前記圧電駆動素子の他方の主面が上側に固定される第1の面部と、該第1の面部と対向する第2の面部と、これら第1及び第2の面部を結合する側面部とによって、断面が略コ字状に形成された弾性を有する固定フレーム,
前記第1の面部に固定された圧電駆動素子に一端が固定されたロッドの鍔部平面に、前記固定フレームの弾性力によって、前記ロータ本体の平面を圧接させるように、前記第2の面部の下側の複数個所に等間隔で設けられた突起,
を含むことを特徴とする請求項3記載の圧電駆動装置。
【請求項5】
前記第2の面部が、前記ロータの筒部が貫通可能な溝によって、前記筒部の両側を支持する一対のアームに分割されており、該一対のアームのそれぞれに、前記突起を設けたことを特徴とする請求項4記載の圧電駆動装置。
【請求項6】
前記固定フレームの第1及び第2の面部を外側から挟み込み可能な略L字ないし略コ字状であって、前記第2の面部又は前記一対のアームとの接触ないし係合によって、前記固定フレームによる押圧を調整する予圧調整フレーム,
を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の圧電駆動装置。
【請求項7】
前記突起が、点又は線で前記ロータ本体の平面に接触することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項8】
前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が、前記ロータの筒部よりも短く設定されており、
前記予圧手段が、
前記圧電駆動素子の他方の主面が上側に固定される第1の面部と、該第1の面部と対向する第2の面部と、これら第1及び第2の面部を結合する側面部とによって、断面が略コ字状に形成された弾性を有する固定フレーム,
前記第1の面部に固定された圧電駆動素子に一端が固定されたロッドの鍔部平面に、前記固定フレームの弾性力によって、前記ロータ本体の平面を圧接させるように、前記第2の面部の下側の中央に配置されており、表面の一部が前記筒部の先端に嵌るとともに、前記ロータを押圧する略球状体,
を含むことを特徴とする請求項3記載の圧電駆動装置。
【請求項9】
前記固定フレームの第2の面部の法線と前記ロッドの軸線のなす角度が5°以内となるように、前記第2の面部に傾きを設けたことを特徴とする請求項8記載の圧電駆動装置。
【請求項10】
前記固定フレームの第2の面部の厚みが、他の部分よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項11】
前記ロッドの鍔部より先端側の軸部が、前記ロータの筒部よりも短く設定されており、
前記予圧手段が、
前記圧電駆動素子の他方の主面を固定させた固定用フレーム,
前記ロッドの先端に軸方向に形成された嵌合穴,
該嵌合穴に嵌合可能な軸部と、前記ロータの筒部の内側に収納可能な頭部を有する固定ピン,
前記ロータの筒部の内周面に突出形成されており、前記固定ピンの軸部が貫通可能であるとともに、該固定ピンの頭部と係合可能な係合部,
該係合部と前記固定ピンの頭部の間に配置されており、前記固定ピンを介して前記ロータを押圧する弾性体,
を含むことを特徴とする請求項3記載の圧電駆動装置。
【請求項12】
前記圧電駆動素子は、該素子の中心を原点として分割された複数の領域を有するとともに、前記複数の領域は、隣接する領域間で厚み方向の変位が異なることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項13】
前記複数の領域が、前記ロッドに対して対称な形状の2つないし4つの領域であることを特徴とする請求項12記載の圧電駆動装置。
【請求項14】
前記圧電駆動素子が、圧電体と複数の内部電極が交互に積層した積層構造を有するとともに、
前記内部電極の少なくとも一部を、前記圧電駆動素子の中心を原点として複数に分割形成したことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項15】
前記圧電駆動素子の主面と前記鍔部の間のロッドの軸部の高さ,該軸部の半径,前記鍔部の半径の少なくともいずれかの調整によって、回転速度又はトルクを制御可能であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の圧電駆動装置。
【請求項16】
前記軸部の半径を、前記圧電駆動素子の主面の幅の半分に設定したことを特徴とする請求項15記載の圧電駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−136135(P2009−136135A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203657(P2008−203657)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】