地中への管設置方法及び掘削装置
【課題】地中が、硬質・レキ混じりである場合でも、管を地中においてスムーズに推進させることができる地中への管設置方法及び掘削装置を提供する。
【解決手段】断面矩形状の管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中に入れる管2の先頭開口側の内側に掘削機械26を設置し、管2を押圧するとともに掘削機械で地中10を掘削することにより、管2を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械26として、管2の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械26を用いた。
【解決手段】断面矩形状の管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中に入れる管2の先頭開口側の内側に掘削機械26を設置し、管2を押圧するとともに掘削機械で地中10を掘削することにより、管2を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械26として、管2の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械26を用いた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面矩形状の管を地中に設置する管設置方法及び掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面矩形状の管を地中に設置する方法が知られている。
例えば、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、真っ直ぐに延長する断面矩形状の管(管の中心軸が直線である管)を地中に設置する場合、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に、高圧水を噴射する噴射装置を設置したり、管の中心軸を回転中心としてビットを回転させることにより地中を掘削する回転掘削体を有した掘削機械を設置し、かつ、回転掘削体で掘削されない管の内側の角部付近の土を掘削するための噴射装置を設置し、管を押圧するとともに、高圧水で地中を掘削したり、掘削機械及び高圧水で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−83007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合、高圧水では地中を掘削できないという問題点があった。
また、上述した掘削機械を用いる場合は、地中が、硬質・レキ混じりの地中であっても掘削可能である。しかしながら、当該掘削機械の回転掘削体の回転中心線と管の推進方向とが同じであるため、回転掘削体の掘削によって、推進方向に向けて延長する円筒状の空洞部を形成できるだけであり、回転掘削体の掘削によって形成できる円筒状の空洞部と断面矩形状の管の断面形状とが一致しないので、硬質・レキ混じりの地中の場合は、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を掘削できず、管を地中においてスムーズに推進させることができないという欠点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合でも、管を地中においてスムーズに推進させることができる地中への管設置方法及び掘削装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る地中への管設置方法は、断面矩形状の管を、地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたので、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合でも、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体で掘削できるようになるので、管を地中においてスムーズに推進させることができるようになる。
本発明に係る地中への管設置方法は、断面矩形状の管を、地中に形成された一方の空洞部と他方の空洞部との間に連続して跨るように、あるいは、地中に形成された空洞部を出発して空洞部に戻るように、当該地中に設置して支保工を構築する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたので、地中が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体で掘削できるようになるので、管を地中においてスムーズに推進させることができ、一方の空洞部と他方の空洞部との間に連続して跨る支保工を容易に構築できるようになる。
管として、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管を用いたので、曲管を地中においてスムーズに推進させることができるようになる。
先に地中に入れる管としての先頭管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより先頭管を推進させ、かつ、先頭管の後端に後続管を順次連結して先頭管を推進させることによって、複数の管を地中に設置したので、中心軸に沿った方向の長さの短い管を用いて中心軸に沿った方向の長さの長い支保工を容易に構築できるようになる。
回転掘削体として、先に地中に入れる管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を用いたので、推進方向と直交する面内における回転掘削体の掘削幅を大きくでき、掘削幅に応じた矩形幅の管を容易に地中に設置できるようになる。
回転掘削体に設けられた掘削刃の先端が先に地中に入れる管の先端に設置された案内刃管の刃先よりも後方側に位置するようにしたので、地中に突刺された案内刃管の刃先の内側に入り込んだ地中部分のみが掘削刃により掘削され、地中の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。
互いに隣り合う外側面同士が接触し合うように複数の管を地中に設置したので、隣り合う管同士の接触面積が大きくなり、隣り合う管で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入り込むのを遮断しやすくなって、領域外の地盤の沈下などを防止できる。
本発明に係る掘削装置は、地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に先に地中に入れる断面矩形状の管の先頭開口側の内側に設置され、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えたので、地中が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体で掘削できるようになるので、管を地中においてスムーズに推進させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
【図2】管設置装置の断面図(実施形態1)。
【図3】先頭管と案内刃管とを分解して示した分解斜視図(実施形態1)。
【図4】案内刃管の刃先側から管の内部の掘削機械を見た図(実施形態1)。
【図5】曲管の形状、設置形態を示す斜視図(実施形態1)。
【図6】曲管により構築された支保工の断面図(実施形態1)。
【図7】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図8】真っ直ぐに延長する管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図9】真っ直ぐに延長する管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す斜視図(実施形態1)。
【図10】管設置装置の断面図(実施形態2)。
【図11】先頭管と案内刃管とを分解して示した分解斜視図(実施形態2)。
【図12】案内刃管の刃先側から管の内部の掘削機械を見た図(実施形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図2に示すように、実施形態1による地中への管設置方法を実現するための管設置装置1は、複数の管2と、掘削装置3と、推進装置4と、推進力伝達板5とを備える。尚、以下、図2における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図2における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図2における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図2の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。図3に管2や管設置装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を明記した。
【0008】
管2は、図5乃至図7に示すような、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、図8;図9に示すような、真っ直ぐに延長する管(管の中心軸が直線である管(以下、直管という))であって、管の中心軸と直交する面で管を切断した場合の断面形状が矩形状の管により形成される。管2としては例えば鋼製の管が用いられる。
そして、図7に示すように、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工11が地中10に構築されたり、図8;図9に示すように、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工11が地中10に構築される。
図7乃至図9に示すように、実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中に構築される支保工11は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。
例えば、図5;図6に示すように、先頭に位置される曲管である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される支保工11は、互いに隣り合うように設けられる。即ち、支保工11は、先頭管6を矢印F方向に進行させることと、先頭管6の後に後続管7を順次繋いで行くことを繰り返すことにより、地中10に構築される。
支保工11としては、図7(a)に示すように、地中10に形成された一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図7(b)に示すように、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図8に示すように、一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11や、図9に示すように、トンネルを掘る部分においてトンネルの延長方向に延長するように管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11などがある。
【0009】
図2;図3;図4に示すように、先頭管6の先端には案内刃管9を備える。案内刃管9は、管の一方の開口端縁13が鋭利に形成された刃部14を備えた管である。案内刃管9の他方の開口端部と先頭管6の先端の開口端部8とが接続される。
この場合、例えば、案内刃管9の管の外径寸法が先頭管6の管の外径寸法よりも大きく、案内刃管9の他方の開口端面15側には、開口端面15における管の内周面側が削られて、段差が設けられることで、先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成とする。そして、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込み、かつ、これら両者が、ボルト接合,溶接などの図外の接続手段によって接続されることで、案内刃管9の他方の開口端部と先頭管6の先端の開口端部8とが接続された構成とする。このように、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込んで、案内刃管9が先頭管6の先端開口縁面18を覆うように取付けられた構成としたことで、先頭管6の推進の際に、先頭管6の先端開口縁面18が地中10の抵抗を受けず、推進抵抗を少なくできる。また、先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成としたことで、先頭管6の先端に容易に案内刃管9を設置でき、先頭管6と案内刃管9との組み立てを容易とすることができる。
【0010】
先頭管6の管の内面20において、管の延長方向(管の中心軸に沿った方向)の中央部よりも先頭側の位置には、管側推進力受け部21が設けられる。管側推進力受け部21は、後述する掘削装置3に設けられた基板を介して推進装置4からの推進力を受けて先頭管6を推進させる。管側推進力受け部21は、先頭管6の断面(先頭管の管の中心軸と直交する面で先頭管を切断した場合の断面)の内面を一周した矩形形状に対応した矩形枠外周寸法に形成された矩形枠体22により形成され、矩形枠体22の外周面23と先頭管6の管の内周面20aとが対応するように設置された状態で矩形枠体22が先頭管6の管の内周面20aに溶接,ボルト接合などにより固定される。
【0011】
掘削装置3は、基板25と、掘削機械26と、駆動源27と、排土管28と、推進力伝達管29とを備える。
基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に接触可能に形成される。尚、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32との間には例えば弾性体により形成された水密維持材35(パッキン)が設けられる。水密維持材35は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33、又は、管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に取付けられる矩形枠体36により形成される。
基板25の前面39fの中央部には、後述する掘削機械26の支持体の一端が固定される。
基板25は、前面39fと後面39とに貫通する排土孔38及び耐圧ホース引き出し孔38aとを備える。基板25の後面39には、排土孔38と連通可能なように排土管28が連結される。基板25の後面39の中央には、推進力伝達管29が連結される。
【0012】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とにより形成される。支柱42の一端部には例えば図外の取付フランジが設けられ、この取付フランジがボルト及びナットのような固定具などによって基板25の前面39fの中央に着脱可能に固定されることによって支柱42の一端が基板25の前面39fの中央に固定され、支柱42が基板25の前面39fに対して直交する方向に延長する。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。分岐支柱43の先端には、それぞれモータマウント44を備える。
【0013】
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。
2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
回転掘削体46は、一端開口他端閉塞の筐体50と、筐体50の外周面51に設けられた複数の掘削ビット52(掘削刃)とを備える。
【0014】
例えば、回転掘削体46の筐体50の他端閉塞内面53(筐体の内底面)の中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、筐体50の他端閉塞内面53とモータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。
即ち、2つの回転掘削体46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。つまり、先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備える。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備えた所謂ツインヘッダを用いた場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくできるので、掘削幅に応じた矩形幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
【0015】
尚、回転掘削体46;46の前後位置は、管側推進力受け部21の設置位置を前後に変えることにより適宜調整すればよい。
例えば、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも後方側に位置するようにすることで、地中10に突刺された案内刃管9の刃先の内側に入り込んだ地中部分のみが掘削ビット52により掘削されるので、地中の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。
【0016】
モータ47は、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば、油圧モータ(以下、油圧モータ47とする)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。油圧モータ47は、ケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
【0017】
推進力伝達板5は、先頭管6の後端開口8aを塞ぐとともに先頭管6の後端面8bと接触するように、ボルトのような連結具58によって先頭管6の後端部に着脱可能に連結される。推進力伝達板5には、前面59と後面67とに貫通する排土管通孔60と耐圧ホース引き出し孔61とが形成される。
【0018】
基板25の後面39に連結される推進力伝達管29は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密維持材35を介して突き付けられた状態における基板25の後面39と、先頭管6の後端部に連結された推進力伝達板5の前面59との間の最短距離Xに対応した長さの鋼管が用いられる。
排土管28は、例えば、上記最短距離Xよりも長くて後端が推進力伝達板5の排土管通孔60を貫通する長さのものを用いる。
【0019】
推進装置4は、例えば、油圧ジャッキ62により構成される。油圧ジャッキ62のピストンロッド63の先端には押圧板64が設けられる。矩形板30の後部に図外の箱体を設け、図外の箱体の側面にパッキンを取付けることにより、水密性を向上させてもよい。
【0020】
次に、図1を参照して管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。
基板25に掘削機械26と排土管28と推進力伝達管29とを備えた掘削装置3を先頭管6の内側に設置する。つまり、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、先頭管6の内側に管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密維持材35を介して突き付けられた状態となるように設置する。これにより、管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中10に入れる先頭管6の先頭開口側の内側に掘削機械26が設置される。
そして、排土管28の後端を推進力伝達板5の排土管通孔60に通し、かつ、油圧モータ47のケーシング48内と連通するように一端が繋がれた圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56の他端を推進力伝達板5の耐圧ホース引き出し孔61に通して推進力伝達板5の後方に引き出しておいてから、先頭管6の後端部102に推進力伝達板5を連結する。そして、耐圧ホース56の他端を油圧源55に接続する。
先頭管6の先端の案内刃管9の刃先81を地中面101に押し付けた状態で油圧ジャッキ62を設置し、縮退したピストンロッド63の先端に設けられた押圧板64を推進力伝達板5の後面67の中央に位置させる。
制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばして押圧板64で推進力伝達板5の後面67の中央を押圧する。
これにより、推進力伝達板5、先頭管6の後端面8bを介して先頭管6に伝達される推進力によって先頭管6が前方に推進し、かつ、推進力伝達板5、推進力伝達管29、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達される推進力によって案内刃管9及び先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
推進力伝達板5と先頭管6の後端面8bとにより推進力を先頭管6の後端面8bから先頭管6に伝える第1の推進力伝達部が構成され、推進力伝達板5と推進力伝達管29と基板25と管側推進力受け部21とにより推進力を管2の内周面20aから先頭管6に伝える第2の推進力伝達部が構成される。先頭管6の後端面8bを介して先頭管6に推進力が伝達されないように先頭管6の後端面8bに接しない大きさの推進力伝達板5を用いたり等、第1の推進力伝達部と第2の推進力伝達部のいずれかの推進力伝達部のみで先頭管6を押圧してもよい。
これにより、回転掘削体46;46が地中10を掘削し、掘削された土砂が、排土管28の後端に接続された吸引装置(バキューム装置)により吸引されることで、排土管28を介して排土される。
この場合、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中10部分を2つの回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、先頭管6を地中10においてスムーズに推進させることができる。
【0021】
先頭管6の後端部102を残して先頭管6が地中10に設置された後、推進力伝達板5を取り外して、排土管28の後端に延長排土管28aを接続させ、かつ、推進力伝達管29の後端に延長推進力伝達管29aを接続するとともに、耐圧ホース56の他端に延長耐圧ホース56dを接続する。
そして、先頭管6の後端に後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続する。延長排土管28aの後端を推進力伝達板5の排土管通孔60に通すとともに、延長耐圧ホース56dの他端を推進力伝達板5の耐圧ホース引き出し孔61に通して推進力伝達板5の後方に引き出しておいてから、後続管7の後端部に推進力伝達板5を連結する。そして、延長耐圧ホース56dの他端を油圧源55に接続する。
以後、上記と同様に、油圧ジャッキ62を設置し、縮退したピストンロッド63の先端に設けられた押圧板64を推進力伝達板5の後面67の中央に位置させた後、回転掘削体46;46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばして押圧板64で推進力伝達板5の後面67の中央を押圧する。これにより、先頭管6及び先頭管6が前方に推進するともに回転掘削体46;46が前方に推進しながら回転して地中を掘削するので、先頭管6の後端に接続された後続管7が地中10に設置される。以後、順次、前の後続管7の後端部に後の後続管7を連結して地中10に設置していくことで、図7に示すような支保工11を構築できる。このように、先に地中10に入れる管としての先頭管6を押圧するとともに掘削機械26で地中10を掘削することにより先頭管6を推進させ、かつ、先頭管6の後端に後続管7を順次連結して先頭管6を推進させることによって、複数の管2を地中10に設置したので、中心軸に沿った方向の長さの短い管2を用いて中心軸に沿った方向の長さの長い支保工11を容易に構築できる。例えば、トンネル空洞部100の内部空間が狭い場合でも、複数の管2を順次繋いでいくことにより、長さの長い支保工11を容易に構築できるようになる。また、管2を短くできるので、管2の取り扱いも容易になり、作業も容易に行えるようになる。
支保工11を構築した後は、掘削始点となったトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収する。実施形態1によれば、推進力伝達管29の後に延長推進力伝達管29aを順次継ぎ足していくことから、掘削機械26を回収する際には、最後尾の延長推進力伝達管29a側から延長推進力伝達管29aの1個長さ分ずつトンネル空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭の推進力伝達管29まで順番に延長推進力伝達管29a;推進力伝達管29を取り外していくことにより、掘削機械26を容易に回収できる。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を掘削始点となるトンネル空洞部100内にのみ設置すれば良いので、装置コストを低減できる。
尚、到達側のトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収するようしてもよい。この場合、掘削機械26を掘削始点となったトンネル空洞部100内に引き戻す作業よりも掘削機械26を到達側のトンネル空洞部100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26の回収作業が容易となる。例えば、図7(a)や図8のように、左右のトンネル空洞部100間に支保工11を構築する場合、掘削機械26を到達側のトンネル空洞部100内に回収して、左右のトンネル空洞部100から交互に掘削するようにしてもよい。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を左右のトンネル空洞部100にそれぞれ設置する必要があるが、掘削機械26の回収作業は容易となる。図7(b)のように、地中10に形成された1つの空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように支保工11を構築する場合には、掘削機械26が1つの空洞部100の到達口に到達したならば掘削機械26を到達口から当該トンネル空洞部100内に押し出すようにして回収すれば、掘削機械26の回収作業が容易となるとともに、油圧ジャッキ62を当該1つのトンネル空洞部100内にのみ設置すれば良いので装置コストも低減できる。
【0022】
支保工11を構築する場合、本発明においては、図5;6に示すように、断面矩形状の複数の管2の外側面7a;7a同士が接触し合うように管2を地中に設置してもよい。このように、断面矩形の管2の外側面7a;7a同士を接触させた場合、隣り合う管2;2同士の接触面積が大きくなるので、図7乃至図9の支保工11で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入り込むのを遮断しやすくなり、領域外の地盤の沈下などを防止できる。
【0023】
実施形態1による管設置方法によれば、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、管2を地中10においてスムーズに推進させることができるようになり、支保工11を容易に構築できるようになる。
【0024】
実施形態2
図10乃至図12に示すように、実施形態2の管設置装置1Aは、実施形態1の管設置装置1の推進力伝達板5及び推進力伝達管29の代わりに推進力伝達部70を備え、また、水供給機構75と排泥機構76とを備え、さらに、ツインヘッダを構成する回転掘削体46;46の間に固定の掘削刃部77を備えた構成とした。尚、実施形態2において特に説明しない部分は実施形態1と同じである。
【0025】
推進力伝達部70は、推進力伝達棒状体71と推進力伝達用の当て材72とを備える。
推進力伝達棒状体71は、一端71aから他端71bまでの長さが基板25の後面39と先頭管6の後端縁102eとの間の最短距離よりも長い寸法の棒状体71xと、棒状体71xの他端71b側より突出させた傾き防止部71cとを備える。棒状体71xは例えばH形鋼を用い、傾き防止部71cは例えば棒状体71xを形成するH形鋼に溶接又はボルトなどの接続手段で結合された鋼材を用いる。尚、傾き防止部71cは、先頭管6の左内側面6aや右内側面6bに面接触する面を有した面体71dを備える。
推進力伝達棒状体71は、棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、面体71dの面と先頭管6の左内側面6aや右内側面6bとが面接触するように、一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
即ち、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、左の推進力伝達棒状体71Aの面体71dの面と先頭管6の左内側面6aとが面接触するように、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。同様に右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの一端71a;71aは、基板25の上下縁間の中央部に結合される。
そして、当て材72を、先頭管6の後端縁102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して他端71b;71bに図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62の押圧板64で押圧することにより、油圧ジャッキ62による押圧力が、当て材72、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、案内刃管9及び先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
即ち、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して管2を推進させる構成としたので、管2の左右に均等に押圧力を加えることができるようになる。
【0026】
水供給機構75は、水貯留タンク75aと、基板25の前面39fと後面39とに貫通する水供給孔75bと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された水供給管75cと、送水用のポンプ75d、連結管75eとを備える。
基板25の前面39fと先頭管6の内面20とで囲まれた空間69内に水供給管75cの一端開口が連通するように、例えば、水供給孔75bの内側に水供給管75cの一端がねじ嵌合されることによって水供給孔75bと水供給管75cの一端とが結合される。そして、水供給管75cの他端開口と送水用のポンプ75dの吐出口とが連通可能に連結され、送水用のポンプ75dの吸込口と水貯留タンク75aとが連結管75eにより連通可能に連結される。
排泥機構76は、基板25の前面39fと後面39とに貫通する排泥孔76aと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された排泥管76bと、排泥用のポンプ76cと、排泥タンク76dと、連結管76eとを備える。
空間69内に排泥管76bの一端開口が連通するように、例えば、排泥孔76aの内側に排泥管76bの一端がねじ嵌合されることによって排泥孔76aと排泥管76bの一端とが結合される。そして、排泥管76bの他端開口と排泥用のポンプ76cの吸込口とが連通可能に連結され、排泥用のポンプ76cの吐出口と排泥タンク76dとが連結管76eにより連通可能に連結される。
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76dは、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76dとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に水を圧送すると、空間69内に圧送された水と掘削機械26により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76cを駆動することにより、空間69内の泥水が排泥タンク76dに排出される。排泥タンク76dに排出された泥水中の泥が排泥タンク76dの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75によって空間69内に圧送される。即ち、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を空間69内に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。また、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
また、水供給孔75bと水供給管75cの一端との結合構造、排泥孔76aと排泥管76bの一端との結合構造は、次のような結合構造であってもよい。
基板25の後面39に孔(水供給孔75b、排泥孔76a)に連通する図外の管部を形成しておいて、当該管部の開口端面と管(水供給管75c、排泥管76b)の一端開口端面とを互いに突き合わせた状態で環状ジョイント部材を当該突合せ部分に被せることにより管部と管とを結合したり、管の一端開口を介して管内に管部を嵌め込んだ状態で管の一端開口部の外周面を環状クリップ部材で締め付けることにより管部と管とを結合する。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるようにしてもよい。
【0027】
実施形態2においては、先頭管6の後端部102を残して先頭管6が地中10に設置された後(図1参照)、先頭管6の後端縁102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続するとともに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足す。また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76bの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。
そして、当て材72を、後続管7の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して、当て材72における後続管7の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62のピストンロッド63で押圧する。
以後、同様に、前の後続管7の後端縁に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、図7乃至図9に示すような支保工11を構築できる。
尚、支保工11を構築した後は、掘削始点となったトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収する。実施形態2によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつトンネル空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26を容易に回収できるようになる。この場合も、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を掘削始点となるトンネル空洞部100内にのみ設置すれば良いので、装置コストを低減できる。
尚、実施形態1で説明したように、到達側のトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収するようにすれば、実施形態1と同じように、掘削機械26の回収作業が容易となる。
【0028】
実施形態2によれば、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら先頭に位置する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して先頭管6を推進させる構成とし、さらに、先頭の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bに後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを順次継ぎ足していって、これら後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で順次押圧して後続管7を順次推進させる構成としたので、先頭管6及び後続管7の左右に均等に押圧力を加えることができるようになり、先頭管6及び後続管7を予定の推進方向にまっすぐに正確に推進させることができる。
また、推進力伝達棒状体71は、先頭管6や後続管7の左内側面や右内側面に面接触する面体71dを持つ傾き防止部71cを備えているので、推進力伝達棒状体71に油圧ジャッキ62からの押圧力が加わった場合に、推進力伝達棒状体71が先頭管6や後続管7の左内側面側や右内側面側に傾くことを防止でき、油圧ジャッキ62からの押圧力を基板25に確実に伝達できるようになる。
【0029】
尚、実施形態2においては、2つの油圧ジャッキ62;62を用いてもよい。この場合、当て材72における他端71b;71bの後方位置をそれぞれ個別に油圧ジャッキ62で押圧したり、あるいは、当て材72を用いないで、左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71bをそれぞれ個別に油圧ジャッキ62で直接に押圧するようにしてもよい。
【0030】
また、実施形態2によれば、空間69内に水を供給するための水供給機構75と空間69内の泥水を排出するための排泥機構76とを備え、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xを使用したので、管2を推進させる場合、図外の制御装置によって送水用のポンプ75dと排泥用のポンプ76cとを駆動させることにより、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができ、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができ、しかも、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなるという効果が得られる。
【0031】
また、実施形態2の管設置装置1Aにおいては、図10乃至図12に示すように、回転掘削体46;46の間に固定の掘削刃部77を設けた構成とした。掘削刃部77は分岐支柱43の先端よりも前方に突出するように設けられる。このように構成したことで、先頭管6の推進に伴って掘削刃部77で回転掘削体46;46間の地盤を掘削できるようになり、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
【0032】
尚、筐体50は案内刃管9の左右の内面と接触しないように案内刃管9の左右の内面から離れて設置されるので、筐体50と案内刃管9の左右の内面との間の地盤が掘削されにくい可能性がある。そこで、実施形態2では、先頭管6の中央側に位置される掘削ビット52を筐体50の中心軸(中心線L)と直交する方向に延長するように設け、かつ、図10に示すように、先頭管6の左側に位置される掘削ビット52a(52)をできるだけ案内刃管9の左の内面に近付く位置まで先頭管6の左側に延長させて設け、さらに、先頭管6の右側に位置される掘削ビット52をできるだけ案内刃管9の右の内面に近付く位置まで先頭管6の右側に延長させて設けることによって、先頭管6の左右側に位置される掘削ビット52a;52bで先頭管6の左右の角部に位置する地盤をより効果的に掘削できるようにした。
【0033】
また、実施形態1では、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも後方側に位置するように回転掘削体46;46を設置したが、実施形態2では、図10に示すように、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出するように回転掘削体46;46を設置した。このようにすれば、案内刃管9の刃先よりも前方に位置する地盤を掘削ビット52により確実に掘削できるので、案内刃管9の刃先81が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を少なくできる。また、掘削ビット52の先端80と案内刃管9の刃先81とが案内刃管9の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように回転掘削体46;46を設置してもよい。即ち、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の内側に位置するように回転掘削体46;46を設置してもよいし、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出するように回転掘削体46;46を設置してもよい。
【0034】
尚、回転掘削体46を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてよい。また、掘削機械26は、回転掘削体46;46の地中側に接する筐体50の側面に掘削ビット52を設けて、回転掘削体46;46が管2の開口端部8内を掘削できれば、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を備えたものであればよい。
【0035】
尚、案内刃管9は先頭管6と一体の管により形成されてもよい。例えば、先頭管6の先端8Aの内面に刃部14のような傾斜面を形成し、傾斜面により案内刃管9を構成してもよい。
また、案内刃管9と先頭管6との外径寸法を同径とし、案内刃管9の後端縁面と先頭管6の先端開口縁面18とを全周溶接、又は、点溶接してもよい。
【0036】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、地中に形成された空洞部から先に地中に入れる管のみを地中に設置して当該先に地中に入れる管のみによる支保工を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
2 管、10 地中、26 掘削機械、46 回転掘削体、100 空洞部、
L 回転中心線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面矩形状の管を地中に設置する管設置方法及び掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面矩形状の管を地中に設置する方法が知られている。
例えば、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、真っ直ぐに延長する断面矩形状の管(管の中心軸が直線である管)を地中に設置する場合、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に、高圧水を噴射する噴射装置を設置したり、管の中心軸を回転中心としてビットを回転させることにより地中を掘削する回転掘削体を有した掘削機械を設置し、かつ、回転掘削体で掘削されない管の内側の角部付近の土を掘削するための噴射装置を設置し、管を押圧するとともに、高圧水で地中を掘削したり、掘削機械及び高圧水で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−83007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合、高圧水では地中を掘削できないという問題点があった。
また、上述した掘削機械を用いる場合は、地中が、硬質・レキ混じりの地中であっても掘削可能である。しかしながら、当該掘削機械の回転掘削体の回転中心線と管の推進方向とが同じであるため、回転掘削体の掘削によって、推進方向に向けて延長する円筒状の空洞部を形成できるだけであり、回転掘削体の掘削によって形成できる円筒状の空洞部と断面矩形状の管の断面形状とが一致しないので、硬質・レキ混じりの地中の場合は、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を掘削できず、管を地中においてスムーズに推進させることができないという欠点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合でも、管を地中においてスムーズに推進させることができる地中への管設置方法及び掘削装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る地中への管設置方法は、断面矩形状の管を、地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたので、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合でも、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体で掘削できるようになるので、管を地中においてスムーズに推進させることができるようになる。
本発明に係る地中への管設置方法は、断面矩形状の管を、地中に形成された一方の空洞部と他方の空洞部との間に連続して跨るように、あるいは、地中に形成された空洞部を出発して空洞部に戻るように、当該地中に設置して支保工を構築する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたので、地中が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体で掘削できるようになるので、管を地中においてスムーズに推進させることができ、一方の空洞部と他方の空洞部との間に連続して跨る支保工を容易に構築できるようになる。
管として、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管を用いたので、曲管を地中においてスムーズに推進させることができるようになる。
先に地中に入れる管としての先頭管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより先頭管を推進させ、かつ、先頭管の後端に後続管を順次連結して先頭管を推進させることによって、複数の管を地中に設置したので、中心軸に沿った方向の長さの短い管を用いて中心軸に沿った方向の長さの長い支保工を容易に構築できるようになる。
回転掘削体として、先に地中に入れる管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を用いたので、推進方向と直交する面内における回転掘削体の掘削幅を大きくでき、掘削幅に応じた矩形幅の管を容易に地中に設置できるようになる。
回転掘削体に設けられた掘削刃の先端が先に地中に入れる管の先端に設置された案内刃管の刃先よりも後方側に位置するようにしたので、地中に突刺された案内刃管の刃先の内側に入り込んだ地中部分のみが掘削刃により掘削され、地中の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。
互いに隣り合う外側面同士が接触し合うように複数の管を地中に設置したので、隣り合う管同士の接触面積が大きくなり、隣り合う管で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入り込むのを遮断しやすくなって、領域外の地盤の沈下などを防止できる。
本発明に係る掘削装置は、地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に先に地中に入れる断面矩形状の管の先頭開口側の内側に設置され、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えたので、地中が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体で掘削できるようになるので、管を地中においてスムーズに推進させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
【図2】管設置装置の断面図(実施形態1)。
【図3】先頭管と案内刃管とを分解して示した分解斜視図(実施形態1)。
【図4】案内刃管の刃先側から管の内部の掘削機械を見た図(実施形態1)。
【図5】曲管の形状、設置形態を示す斜視図(実施形態1)。
【図6】曲管により構築された支保工の断面図(実施形態1)。
【図7】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図8】真っ直ぐに延長する管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図9】真っ直ぐに延長する管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す斜視図(実施形態1)。
【図10】管設置装置の断面図(実施形態2)。
【図11】先頭管と案内刃管とを分解して示した分解斜視図(実施形態2)。
【図12】案内刃管の刃先側から管の内部の掘削機械を見た図(実施形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図2に示すように、実施形態1による地中への管設置方法を実現するための管設置装置1は、複数の管2と、掘削装置3と、推進装置4と、推進力伝達板5とを備える。尚、以下、図2における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図2における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図2における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図2の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。図3に管2や管設置装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を明記した。
【0008】
管2は、図5乃至図7に示すような、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、図8;図9に示すような、真っ直ぐに延長する管(管の中心軸が直線である管(以下、直管という))であって、管の中心軸と直交する面で管を切断した場合の断面形状が矩形状の管により形成される。管2としては例えば鋼製の管が用いられる。
そして、図7に示すように、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工11が地中10に構築されたり、図8;図9に示すように、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工11が地中10に構築される。
図7乃至図9に示すように、実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中に構築される支保工11は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。
例えば、図5;図6に示すように、先頭に位置される曲管である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される支保工11は、互いに隣り合うように設けられる。即ち、支保工11は、先頭管6を矢印F方向に進行させることと、先頭管6の後に後続管7を順次繋いで行くことを繰り返すことにより、地中10に構築される。
支保工11としては、図7(a)に示すように、地中10に形成された一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図7(b)に示すように、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図8に示すように、一方のトンネル空洞部100と他方のトンネル空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11や、図9に示すように、トンネルを掘る部分においてトンネルの延長方向に延長するように管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11などがある。
【0009】
図2;図3;図4に示すように、先頭管6の先端には案内刃管9を備える。案内刃管9は、管の一方の開口端縁13が鋭利に形成された刃部14を備えた管である。案内刃管9の他方の開口端部と先頭管6の先端の開口端部8とが接続される。
この場合、例えば、案内刃管9の管の外径寸法が先頭管6の管の外径寸法よりも大きく、案内刃管9の他方の開口端面15側には、開口端面15における管の内周面側が削られて、段差が設けられることで、先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成とする。そして、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込み、かつ、これら両者が、ボルト接合,溶接などの図外の接続手段によって接続されることで、案内刃管9の他方の開口端部と先頭管6の先端の開口端部8とが接続された構成とする。このように、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込んで、案内刃管9が先頭管6の先端開口縁面18を覆うように取付けられた構成としたことで、先頭管6の推進の際に、先頭管6の先端開口縁面18が地中10の抵抗を受けず、推進抵抗を少なくできる。また、先頭管6の先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成としたことで、先頭管6の先端に容易に案内刃管9を設置でき、先頭管6と案内刃管9との組み立てを容易とすることができる。
【0010】
先頭管6の管の内面20において、管の延長方向(管の中心軸に沿った方向)の中央部よりも先頭側の位置には、管側推進力受け部21が設けられる。管側推進力受け部21は、後述する掘削装置3に設けられた基板を介して推進装置4からの推進力を受けて先頭管6を推進させる。管側推進力受け部21は、先頭管6の断面(先頭管の管の中心軸と直交する面で先頭管を切断した場合の断面)の内面を一周した矩形形状に対応した矩形枠外周寸法に形成された矩形枠体22により形成され、矩形枠体22の外周面23と先頭管6の管の内周面20aとが対応するように設置された状態で矩形枠体22が先頭管6の管の内周面20aに溶接,ボルト接合などにより固定される。
【0011】
掘削装置3は、基板25と、掘削機械26と、駆動源27と、排土管28と、推進力伝達管29とを備える。
基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に接触可能に形成される。尚、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32との間には例えば弾性体により形成された水密維持材35(パッキン)が設けられる。水密維持材35は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33、又は、管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に取付けられる矩形枠体36により形成される。
基板25の前面39fの中央部には、後述する掘削機械26の支持体の一端が固定される。
基板25は、前面39fと後面39とに貫通する排土孔38及び耐圧ホース引き出し孔38aとを備える。基板25の後面39には、排土孔38と連通可能なように排土管28が連結される。基板25の後面39の中央には、推進力伝達管29が連結される。
【0012】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とにより形成される。支柱42の一端部には例えば図外の取付フランジが設けられ、この取付フランジがボルト及びナットのような固定具などによって基板25の前面39fの中央に着脱可能に固定されることによって支柱42の一端が基板25の前面39fの中央に固定され、支柱42が基板25の前面39fに対して直交する方向に延長する。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。分岐支柱43の先端には、それぞれモータマウント44を備える。
【0013】
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。
2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
回転掘削体46は、一端開口他端閉塞の筐体50と、筐体50の外周面51に設けられた複数の掘削ビット52(掘削刃)とを備える。
【0014】
例えば、回転掘削体46の筐体50の他端閉塞内面53(筐体の内底面)の中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、筐体50の他端閉塞内面53とモータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。
即ち、2つの回転掘削体46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。つまり、先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備える。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備えた所謂ツインヘッダを用いた場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくできるので、掘削幅に応じた矩形幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
【0015】
尚、回転掘削体46;46の前後位置は、管側推進力受け部21の設置位置を前後に変えることにより適宜調整すればよい。
例えば、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも後方側に位置するようにすることで、地中10に突刺された案内刃管9の刃先の内側に入り込んだ地中部分のみが掘削ビット52により掘削されるので、地中の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。
【0016】
モータ47は、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば、油圧モータ(以下、油圧モータ47とする)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。油圧モータ47は、ケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
【0017】
推進力伝達板5は、先頭管6の後端開口8aを塞ぐとともに先頭管6の後端面8bと接触するように、ボルトのような連結具58によって先頭管6の後端部に着脱可能に連結される。推進力伝達板5には、前面59と後面67とに貫通する排土管通孔60と耐圧ホース引き出し孔61とが形成される。
【0018】
基板25の後面39に連結される推進力伝達管29は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密維持材35を介して突き付けられた状態における基板25の後面39と、先頭管6の後端部に連結された推進力伝達板5の前面59との間の最短距離Xに対応した長さの鋼管が用いられる。
排土管28は、例えば、上記最短距離Xよりも長くて後端が推進力伝達板5の排土管通孔60を貫通する長さのものを用いる。
【0019】
推進装置4は、例えば、油圧ジャッキ62により構成される。油圧ジャッキ62のピストンロッド63の先端には押圧板64が設けられる。矩形板30の後部に図外の箱体を設け、図外の箱体の側面にパッキンを取付けることにより、水密性を向上させてもよい。
【0020】
次に、図1を参照して管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。
基板25に掘削機械26と排土管28と推進力伝達管29とを備えた掘削装置3を先頭管6の内側に設置する。つまり、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、先頭管6の内側に管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密維持材35を介して突き付けられた状態となるように設置する。これにより、管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中10に入れる先頭管6の先頭開口側の内側に掘削機械26が設置される。
そして、排土管28の後端を推進力伝達板5の排土管通孔60に通し、かつ、油圧モータ47のケーシング48内と連通するように一端が繋がれた圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56の他端を推進力伝達板5の耐圧ホース引き出し孔61に通して推進力伝達板5の後方に引き出しておいてから、先頭管6の後端部102に推進力伝達板5を連結する。そして、耐圧ホース56の他端を油圧源55に接続する。
先頭管6の先端の案内刃管9の刃先81を地中面101に押し付けた状態で油圧ジャッキ62を設置し、縮退したピストンロッド63の先端に設けられた押圧板64を推進力伝達板5の後面67の中央に位置させる。
制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばして押圧板64で推進力伝達板5の後面67の中央を押圧する。
これにより、推進力伝達板5、先頭管6の後端面8bを介して先頭管6に伝達される推進力によって先頭管6が前方に推進し、かつ、推進力伝達板5、推進力伝達管29、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達される推進力によって案内刃管9及び先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
推進力伝達板5と先頭管6の後端面8bとにより推進力を先頭管6の後端面8bから先頭管6に伝える第1の推進力伝達部が構成され、推進力伝達板5と推進力伝達管29と基板25と管側推進力受け部21とにより推進力を管2の内周面20aから先頭管6に伝える第2の推進力伝達部が構成される。先頭管6の後端面8bを介して先頭管6に推進力が伝達されないように先頭管6の後端面8bに接しない大きさの推進力伝達板5を用いたり等、第1の推進力伝達部と第2の推進力伝達部のいずれかの推進力伝達部のみで先頭管6を押圧してもよい。
これにより、回転掘削体46;46が地中10を掘削し、掘削された土砂が、排土管28の後端に接続された吸引装置(バキューム装置)により吸引されることで、排土管28を介して排土される。
この場合、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中10部分を2つの回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、先頭管6を地中10においてスムーズに推進させることができる。
【0021】
先頭管6の後端部102を残して先頭管6が地中10に設置された後、推進力伝達板5を取り外して、排土管28の後端に延長排土管28aを接続させ、かつ、推進力伝達管29の後端に延長推進力伝達管29aを接続するとともに、耐圧ホース56の他端に延長耐圧ホース56dを接続する。
そして、先頭管6の後端に後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続する。延長排土管28aの後端を推進力伝達板5の排土管通孔60に通すとともに、延長耐圧ホース56dの他端を推進力伝達板5の耐圧ホース引き出し孔61に通して推進力伝達板5の後方に引き出しておいてから、後続管7の後端部に推進力伝達板5を連結する。そして、延長耐圧ホース56dの他端を油圧源55に接続する。
以後、上記と同様に、油圧ジャッキ62を設置し、縮退したピストンロッド63の先端に設けられた押圧板64を推進力伝達板5の後面67の中央に位置させた後、回転掘削体46;46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばして押圧板64で推進力伝達板5の後面67の中央を押圧する。これにより、先頭管6及び先頭管6が前方に推進するともに回転掘削体46;46が前方に推進しながら回転して地中を掘削するので、先頭管6の後端に接続された後続管7が地中10に設置される。以後、順次、前の後続管7の後端部に後の後続管7を連結して地中10に設置していくことで、図7に示すような支保工11を構築できる。このように、先に地中10に入れる管としての先頭管6を押圧するとともに掘削機械26で地中10を掘削することにより先頭管6を推進させ、かつ、先頭管6の後端に後続管7を順次連結して先頭管6を推進させることによって、複数の管2を地中10に設置したので、中心軸に沿った方向の長さの短い管2を用いて中心軸に沿った方向の長さの長い支保工11を容易に構築できる。例えば、トンネル空洞部100の内部空間が狭い場合でも、複数の管2を順次繋いでいくことにより、長さの長い支保工11を容易に構築できるようになる。また、管2を短くできるので、管2の取り扱いも容易になり、作業も容易に行えるようになる。
支保工11を構築した後は、掘削始点となったトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収する。実施形態1によれば、推進力伝達管29の後に延長推進力伝達管29aを順次継ぎ足していくことから、掘削機械26を回収する際には、最後尾の延長推進力伝達管29a側から延長推進力伝達管29aの1個長さ分ずつトンネル空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭の推進力伝達管29まで順番に延長推進力伝達管29a;推進力伝達管29を取り外していくことにより、掘削機械26を容易に回収できる。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を掘削始点となるトンネル空洞部100内にのみ設置すれば良いので、装置コストを低減できる。
尚、到達側のトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収するようしてもよい。この場合、掘削機械26を掘削始点となったトンネル空洞部100内に引き戻す作業よりも掘削機械26を到達側のトンネル空洞部100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26の回収作業が容易となる。例えば、図7(a)や図8のように、左右のトンネル空洞部100間に支保工11を構築する場合、掘削機械26を到達側のトンネル空洞部100内に回収して、左右のトンネル空洞部100から交互に掘削するようにしてもよい。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を左右のトンネル空洞部100にそれぞれ設置する必要があるが、掘削機械26の回収作業は容易となる。図7(b)のように、地中10に形成された1つの空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように支保工11を構築する場合には、掘削機械26が1つの空洞部100の到達口に到達したならば掘削機械26を到達口から当該トンネル空洞部100内に押し出すようにして回収すれば、掘削機械26の回収作業が容易となるとともに、油圧ジャッキ62を当該1つのトンネル空洞部100内にのみ設置すれば良いので装置コストも低減できる。
【0022】
支保工11を構築する場合、本発明においては、図5;6に示すように、断面矩形状の複数の管2の外側面7a;7a同士が接触し合うように管2を地中に設置してもよい。このように、断面矩形の管2の外側面7a;7a同士を接触させた場合、隣り合う管2;2同士の接触面積が大きくなるので、図7乃至図9の支保工11で囲まれた領域内に領域外からの地下水が入り込むのを遮断しやすくなり、領域外の地盤の沈下などを防止できる。
【0023】
実施形態1による管設置方法によれば、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中部分を回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、管2を地中10においてスムーズに推進させることができるようになり、支保工11を容易に構築できるようになる。
【0024】
実施形態2
図10乃至図12に示すように、実施形態2の管設置装置1Aは、実施形態1の管設置装置1の推進力伝達板5及び推進力伝達管29の代わりに推進力伝達部70を備え、また、水供給機構75と排泥機構76とを備え、さらに、ツインヘッダを構成する回転掘削体46;46の間に固定の掘削刃部77を備えた構成とした。尚、実施形態2において特に説明しない部分は実施形態1と同じである。
【0025】
推進力伝達部70は、推進力伝達棒状体71と推進力伝達用の当て材72とを備える。
推進力伝達棒状体71は、一端71aから他端71bまでの長さが基板25の後面39と先頭管6の後端縁102eとの間の最短距離よりも長い寸法の棒状体71xと、棒状体71xの他端71b側より突出させた傾き防止部71cとを備える。棒状体71xは例えばH形鋼を用い、傾き防止部71cは例えば棒状体71xを形成するH形鋼に溶接又はボルトなどの接続手段で結合された鋼材を用いる。尚、傾き防止部71cは、先頭管6の左内側面6aや右内側面6bに面接触する面を有した面体71dを備える。
推進力伝達棒状体71は、棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、面体71dの面と先頭管6の左内側面6aや右内側面6bとが面接触するように、一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
即ち、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、左の推進力伝達棒状体71Aの面体71dの面と先頭管6の左内側面6aとが面接触するように、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。同様に右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの一端71a;71aは、基板25の上下縁間の中央部に結合される。
そして、当て材72を、先頭管6の後端縁102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して他端71b;71bに図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62の押圧板64で押圧することにより、油圧ジャッキ62による押圧力が、当て材72、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、案内刃管9及び先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
即ち、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して管2を推進させる構成としたので、管2の左右に均等に押圧力を加えることができるようになる。
【0026】
水供給機構75は、水貯留タンク75aと、基板25の前面39fと後面39とに貫通する水供給孔75bと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された水供給管75cと、送水用のポンプ75d、連結管75eとを備える。
基板25の前面39fと先頭管6の内面20とで囲まれた空間69内に水供給管75cの一端開口が連通するように、例えば、水供給孔75bの内側に水供給管75cの一端がねじ嵌合されることによって水供給孔75bと水供給管75cの一端とが結合される。そして、水供給管75cの他端開口と送水用のポンプ75dの吐出口とが連通可能に連結され、送水用のポンプ75dの吸込口と水貯留タンク75aとが連結管75eにより連通可能に連結される。
排泥機構76は、基板25の前面39fと後面39とに貫通する排泥孔76aと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された排泥管76bと、排泥用のポンプ76cと、排泥タンク76dと、連結管76eとを備える。
空間69内に排泥管76bの一端開口が連通するように、例えば、排泥孔76aの内側に排泥管76bの一端がねじ嵌合されることによって排泥孔76aと排泥管76bの一端とが結合される。そして、排泥管76bの他端開口と排泥用のポンプ76cの吸込口とが連通可能に連結され、排泥用のポンプ76cの吐出口と排泥タンク76dとが連結管76eにより連通可能に連結される。
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76dは、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76dとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に水を圧送すると、空間69内に圧送された水と掘削機械26により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76cを駆動することにより、空間69内の泥水が排泥タンク76dに排出される。排泥タンク76dに排出された泥水中の泥が排泥タンク76dの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75によって空間69内に圧送される。即ち、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を空間69内に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。また、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
また、水供給孔75bと水供給管75cの一端との結合構造、排泥孔76aと排泥管76bの一端との結合構造は、次のような結合構造であってもよい。
基板25の後面39に孔(水供給孔75b、排泥孔76a)に連通する図外の管部を形成しておいて、当該管部の開口端面と管(水供給管75c、排泥管76b)の一端開口端面とを互いに突き合わせた状態で環状ジョイント部材を当該突合せ部分に被せることにより管部と管とを結合したり、管の一端開口を介して管内に管部を嵌め込んだ状態で管の一端開口部の外周面を環状クリップ部材で締め付けることにより管部と管とを結合する。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるようにしてもよい。
【0027】
実施形態2においては、先頭管6の後端部102を残して先頭管6が地中10に設置された後(図1参照)、先頭管6の後端縁102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続するとともに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足す。また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76bの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。
そして、当て材72を、後続管7の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して、当て材72における後続管7の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62のピストンロッド63で押圧する。
以後、同様に、前の後続管7の後端縁に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、図7乃至図9に示すような支保工11を構築できる。
尚、支保工11を構築した後は、掘削始点となったトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収する。実施形態2によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつトンネル空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26を容易に回収できるようになる。この場合も、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を掘削始点となるトンネル空洞部100内にのみ設置すれば良いので、装置コストを低減できる。
尚、実施形態1で説明したように、到達側のトンネル空洞部100内に掘削機械26を回収するようにすれば、実施形態1と同じように、掘削機械26の回収作業が容易となる。
【0028】
実施形態2によれば、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら先頭に位置する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して先頭管6を推進させる構成とし、さらに、先頭の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bに後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを順次継ぎ足していって、これら後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で順次押圧して後続管7を順次推進させる構成としたので、先頭管6及び後続管7の左右に均等に押圧力を加えることができるようになり、先頭管6及び後続管7を予定の推進方向にまっすぐに正確に推進させることができる。
また、推進力伝達棒状体71は、先頭管6や後続管7の左内側面や右内側面に面接触する面体71dを持つ傾き防止部71cを備えているので、推進力伝達棒状体71に油圧ジャッキ62からの押圧力が加わった場合に、推進力伝達棒状体71が先頭管6や後続管7の左内側面側や右内側面側に傾くことを防止でき、油圧ジャッキ62からの押圧力を基板25に確実に伝達できるようになる。
【0029】
尚、実施形態2においては、2つの油圧ジャッキ62;62を用いてもよい。この場合、当て材72における他端71b;71bの後方位置をそれぞれ個別に油圧ジャッキ62で押圧したり、あるいは、当て材72を用いないで、左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71bをそれぞれ個別に油圧ジャッキ62で直接に押圧するようにしてもよい。
【0030】
また、実施形態2によれば、空間69内に水を供給するための水供給機構75と空間69内の泥水を排出するための排泥機構76とを備え、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xを使用したので、管2を推進させる場合、図外の制御装置によって送水用のポンプ75dと排泥用のポンプ76cとを駆動させることにより、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができ、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができ、しかも、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなるという効果が得られる。
【0031】
また、実施形態2の管設置装置1Aにおいては、図10乃至図12に示すように、回転掘削体46;46の間に固定の掘削刃部77を設けた構成とした。掘削刃部77は分岐支柱43の先端よりも前方に突出するように設けられる。このように構成したことで、先頭管6の推進に伴って掘削刃部77で回転掘削体46;46間の地盤を掘削できるようになり、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
【0032】
尚、筐体50は案内刃管9の左右の内面と接触しないように案内刃管9の左右の内面から離れて設置されるので、筐体50と案内刃管9の左右の内面との間の地盤が掘削されにくい可能性がある。そこで、実施形態2では、先頭管6の中央側に位置される掘削ビット52を筐体50の中心軸(中心線L)と直交する方向に延長するように設け、かつ、図10に示すように、先頭管6の左側に位置される掘削ビット52a(52)をできるだけ案内刃管9の左の内面に近付く位置まで先頭管6の左側に延長させて設け、さらに、先頭管6の右側に位置される掘削ビット52をできるだけ案内刃管9の右の内面に近付く位置まで先頭管6の右側に延長させて設けることによって、先頭管6の左右側に位置される掘削ビット52a;52bで先頭管6の左右の角部に位置する地盤をより効果的に掘削できるようにした。
【0033】
また、実施形態1では、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも後方側に位置するように回転掘削体46;46を設置したが、実施形態2では、図10に示すように、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出するように回転掘削体46;46を設置した。このようにすれば、案内刃管9の刃先よりも前方に位置する地盤を掘削ビット52により確実に掘削できるので、案内刃管9の刃先81が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を少なくできる。また、掘削ビット52の先端80と案内刃管9の刃先81とが案内刃管9の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように回転掘削体46;46を設置してもよい。即ち、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の内側に位置するように回転掘削体46;46を設置してもよいし、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出するように回転掘削体46;46を設置してもよい。
【0034】
尚、回転掘削体46を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてよい。また、掘削機械26は、回転掘削体46;46の地中側に接する筐体50の側面に掘削ビット52を設けて、回転掘削体46;46が管2の開口端部8内を掘削できれば、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を備えたものであればよい。
【0035】
尚、案内刃管9は先頭管6と一体の管により形成されてもよい。例えば、先頭管6の先端8Aの内面に刃部14のような傾斜面を形成し、傾斜面により案内刃管9を構成してもよい。
また、案内刃管9と先頭管6との外径寸法を同径とし、案内刃管9の後端縁面と先頭管6の先端開口縁面18とを全周溶接、又は、点溶接してもよい。
【0036】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、地中に形成された空洞部から先に地中に入れる管のみを地中に設置して当該先に地中に入れる管のみによる支保工を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
2 管、10 地中、26 掘削機械、46 回転掘削体、100 空洞部、
L 回転中心線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面矩形状の管を、地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたことを特徴とする地中への管設置方法。
【請求項2】
断面矩形状の管を、地中に形成された一方の空洞部と他方の空洞部との間に連続して跨るように、あるいは、地中に形成された空洞部を出発して空洞部に戻るように、当該地中に設置して支保工を構築する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたことを特徴とする地中への管設置方法。
【請求項3】
管は、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地中への管設置方法。
【請求項4】
先に地中に入れる管としての先頭管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより先頭管を推進させ、かつ、先頭管の後端に後続管を順次連結して先頭管を推進させることによって、複数の管を地中に設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項5】
回転掘削体として、先に地中に入れる管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項6】
回転掘削体に設けられた掘削刃の先端が先に地中に入れる管の先端に設置された案内刃管の刃先よりも後方側に位置するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項7】
互いに隣り合う外側面同士が接触し合うように複数の管を地中に設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項8】
地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に先に地中に入れる断面矩形状の管の先頭開口側の内側に設置され、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えたことを特徴とする掘削装置。
【請求項1】
断面矩形状の管を、地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたことを特徴とする地中への管設置方法。
【請求項2】
断面矩形状の管を、地中に形成された一方の空洞部と他方の空洞部との間に連続して跨るように、あるいは、地中に形成された空洞部を出発して空洞部に戻るように、当該地中に設置して支保工を構築する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する地中への管設置方法において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用いたことを特徴とする地中への管設置方法。
【請求項3】
管は、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地中への管設置方法。
【請求項4】
先に地中に入れる管としての先頭管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより先頭管を推進させ、かつ、先頭管の後端に後続管を順次連結して先頭管を推進させることによって、複数の管を地中に設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項5】
回転掘削体として、先に地中に入れる管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項6】
回転掘削体に設けられた掘削刃の先端が先に地中に入れる管の先端に設置された案内刃管の刃先よりも後方側に位置するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項7】
互いに隣り合う外側面同士が接触し合うように複数の管を地中に設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の地中への管設置方法。
【請求項8】
地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に先に地中に入れる断面矩形状の管の先頭開口側の内側に設置され、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えたことを特徴とする掘削装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−52528(P2011−52528A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172800(P2010−172800)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】
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