説明

地図表示装置、地図表示方法、ならびに、プログラム

【課題】文字情報を適切に画面に表示する。
【解決手段】地図情報取得部11は、文字列を含む地図情報を取得する。文字列抽出部12は、取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する。文字列判別部13は、抽出された文字列のそれぞれについて、画面内における文字列の表示予定位置と画面内における注目位置との位置関係と、文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、文字列を画面に表示するか否かを判別する。画像生成部14は、画面に表示すると判別された文字列が、画面内における文字列の表示予定位置に表示されるように、画面に表示される地図を表す画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置、地図表示方法、ならびに、これらをコンピュータ上で実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
視認性を確保したり、システム負荷を軽減したりするために、画面に表示する文字情報やランドマークを制限する地図表示装置が知られている。例えば、特許文献1には、設定された表示縮尺に応じて、表示すべき文字列数の上限値が予め設定されているナビゲーションシステムの地図表示方法が開示されている。また、特許文献2には、表示画面を、予め定められた数の小領域に分割し、小領域ごとに、表示文字数を予め定められた数を超えないように調整する、車載ナビゲーションシステムが開示されている。そして、特許文献3には、自車両の進行方向を考慮することによって選択されたランドマークを表示部に表示し、他のランドマークの表示を制限する車載ナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−103783号公報
【特許文献2】特開平6−103496号公報
【特許文献3】特開2001−116565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された技術においては、画面に表示されることが望まれる文字列が、画面に表示される文字列として、適切に選択されないことがある。例えば、特許文献1や特許文献2に開示された技術においては、互いに同じ属性の対象物を表す文字列には、互いに同じ表示の優先度が与えられるが、互いに異なる表示の優先度が与えられることが望ましい場合もある。一方、特許文献3に開示された技術は、ランドマークの表示を制限する技術であるが、ランドマークの表示を制限するよりも、文字列の表示を制限した方がわかりやすく表示できる場合もある。このように、地図を表示する際に、文字列を適切に選択して、ユーザが真に必要とする文字情報を見やすく或いは分かり易く表示したいという要望が強い。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、文字情報を適切に画面に表示するのに好適な地図表示装置、地図表示方法、ならびに、これらをコンピュータ上で実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る地図表示装置は、
文字列を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する文字列抽出部と、
前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を前記画面に表示するか否かを判別する文字列判別部と、
前記画面に表示すると判別された文字列が、前記画面内における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、前記画面に表示される地図を表す画像を生成する画像生成部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0007】
前記文字列判別部は、前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との距離が、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度に応じて設定される閾距離よりも短い場合に、当該文字列を前記画面に表示すると判別してもよい。
【0008】
前記閾距離は、前記表示優先度が高いほど長く設定されてもよい。
【0009】
前記注目位置は、自地図表示装置の現在位置であり、
前記現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記現在位置検出部により検出された現在位置の履歴に基づいて、前記自地図表示装置の移動方向を検出する移動方向検出部と、をさらに備え、
前記文字列判別部は、前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における前記検出された現在位置から前記画面内における当該文字列の表示予定位置に向かう方向と、前記画面内における前記検出された移動方向とのなす角度が、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度に応じて設定される閾角度よりも小さい場合に、当該文字列を前記画面に表示すると判別してもよい。
【0010】
前記閾角度は、前記表示優先度が高いほど大きく設定されてもよい。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る地図表示方法は、
地図情報取得部、文字列抽出部、文字列判別部、画像生成部を備える地図表示装置が実行する地図表示方法であって、
前記地図情報取得部が、文字列を含む地図情報を取得する地図情報取得工程と、
前記文字列抽出部が、前記取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する文字列抽出工程と、
前記文字列判別部が、前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を前記画面に表示するか否かを判別する文字列判別工程と、
前記画像生成部が、前記画面に表示すると判別された文字列が、前記画面内における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、前記画面に表示される地図を表す画像を生成する画像生成工程と、を備える、
ことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
文字列を含む地図情報を取得する地図情報取得部、
前記取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する文字列抽出部、
前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を前記画面に表示するか否かを判別する文字列判別部、
前記画面に表示すると判別された文字列が、前記画面内における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、前記画面に表示される地図を表す画像を生成する画像生成部、として機能させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、文字情報を適切に画面に表示するのに好適な地図表示装置、地図表示方法、ならびに、これらをコンピュータ上で実現するためのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る地図表示装置の物理的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る地図表示装置の機能を説明するためのブロック図である。
【図3】文字列属性と表示優先度との関係を示す図である。
【図4】位置関係と表示可能優先度との関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る地図表示装置による文字列の間引きの判定結果を示す図である。
【図6】文字列が間引きされずに表示された画面を示す図である。
【図7】文字列を間引きする手法を説明するための図である。
【図8】文字列が間引きされて表示された画面を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る地図表示装置が実行する画面表示処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る地図表示装置による文字列の間引きの判定結果を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る地図表示装置による文字列の間引き方法を説明するための図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る地図表示装置による文字列の間引きの判定結果を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る地図表示装置による文字列の間引き方法を説明するための図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る地図表示装置によって表示される画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る地図表示装置について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態においては、本発明を、車載用のカーナビゲーションシステムに適用する例を示す。まず、図1を参照して、本実施形態に係る地図表示装置100の外観について説明する。
【0017】
図1に示すように、地図表示装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、GPS(Global Positioning System)モジュール104、アンテナ105、音声処理部106、スピーカ107、マイクロフォン108、操作部108、ハードディスク110、モニター111、を備える。地図表示装置100が備えるこれらの構成要素は、バスにより相互に接続される。
【0018】
CPU101は、地図表示装置100の全体の動作を制御する。なお、CPU101は、RAM102に格納されているプログラムに従って動作し、RAM103をワークエリアとして使用する。
【0019】
ROM102には、地図表示装置100の全体の動作を制御するためのプログラムやデータが記憶される。
【0020】
RAM103は、CPU101のワークエリアとして機能する。つまり、CPU101は、RAM103にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
【0021】
GPSモジュール104は、アンテナ105により受信されたGPS電波を電気信号に変換し、CPU101に供給する。従って、CPU101は、GPSモジュール104を制御して、地図表示装置100の現在位置を取得できる。現在位置は、例えば、緯度と経度とを用いて表現される。
【0022】
GPSモジュール104は、複数のGPS衛星から送信されたGPS電波を受信する。
【0023】
音声処理部106は、CPU101から供給されたディジタルオーディオ信号をD/A(Digital/Analog)コンバータ(図示せず)でアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ107に出力する。また、音声処理部106は、マイクロフォン108から供給されたアナログオーディオ信号をA/D(Analog/Digital)コンバータ(図示せず)でディジタルオーディオ信号に変換して、CPU101に供給する。CPU101に供給されたディジタルオーディオ信号は、公知の音声認識技術により音声認識処理が行われる。これにより、ユーザは、ナビゲーション等の音声を聞いたり、地図表示装置100に向かって発声することにより、当該地図表示装置100に対して、種々の指示を与えることができる。
【0024】
スピーカ107は、音声処理部106から供給されたアナログオーディオ信号を音声に変換して、出力する。
【0025】
マイクロフォン108は、音声をアナログオーディオ信号に変換して、音声処理部106に供給する。
【0026】
操作部109は、ボタン、キー、レバー、ボリュームスイッチなどから構成される。操作部109は、ボタン、キー、レバー、ボリュームスイッチなどにより受け付けられた操作に基づいて、当該操作に基づく信号を生成し、CPU101に供給する。
【0027】
ハードディスク110には、地図情報や各種の設定情報などが記憶される。
【0028】
モニター111は、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成される。モニター111は、CPU101によって生成された画像を表示する。
【0029】
ここで、図2を参照して、地図表示装置100が備える機能について説明する。
【0030】
図2に示すように、地図表示装置100は、地図情報取得部11、文字列抽出部12、文字列判定部13、画像生成部14、現在位置検出部15、移動方向検出部16、地図情報記憶部17、画像表示部18、を備える。
【0031】
地図情報取得部11は、地図情報記憶部117などから、文字列を含む地図情報を取得する。地図情報は、所定の地域の地図を生成するために必要な情報を含む。地図情報は、例えば、地形や建造物を表す画像情報(アイコン)、地形や建築物の名称を表す画像情報(文字列)、アイコンや文字列の配置情報(座標)、などを含む。地形は、例えば、山、谷、河川、海、森、平地などである。また、建造物は、例えば、道路、線路、橋、施設、住宅、店などである。地図情報取得部11は、例えば、CPU11とRAM13とにより構成される。
【0032】
文字列抽出部12は、取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する。例えば、文字列抽出部12は、地図情報に含まれる全ての文字列のうち、画面に表示される地図により表される地域に存在する地形や建造物に対応づけられた文字列であって、当該地図の縮尺に適合する文字列を抽出する。地図の縮尺に適合する文字列のみが抽出されるのは、例えば、縮尺が小さい場合(例えば、一般的な大きさの画面に、日本全体の地図を表す場合)に、画面に表示される候補の文字列として、店に対応付けられた文字列(店名)が抽出される必要性に欠けるためである。文字列抽出部12は、例えば、CPU11とRAM13とにより構成される。
【0033】
文字列判別部13は、抽出された文字列のそれぞれについて、画面内における当該文字列の表示予定位置と当該画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を当該画面に表示するか否かを判別する。文字列の表示予定位置は、例えば、当該文字列に対応付けられた地形や建造物が表示される位置の近傍の位置である。文字列と当該文字列の表示予定位置とは、互いに対応付けられており、地図情報に含まれているものとする。また、本実施形態では、注目位置は、地図表示装置100の現在位置である。表示予定位置と注目位置との位置関係は、例えば、表示予定位置と注目位置との距離や、表示予定位置から見た注目位置の方向である。
【0034】
表示優先度は、当該表示優先度に対応付けられる属性の文字列が、画面に優先して表示される度合である。高い表示優先度に対応付けられる属性の文字列は、画面に優先して表示される(画面に表示されやすくなる)。低い表示優先度に対応付けられる属性の文字列は、画面に優先して表示されない(画面に表示されにくくなる)。文字列の属性は、当該文字列により名称が表される対象の種別であり、例えば、区画名、施設名、交差点名、店名である。文字列判別部13は、例えば、CPU11とRAM13とにより構成される。
【0035】
画像生成部14は、画面に表示すると判別された文字列が、当該画面における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、当該画面に表示される地図を表す画像を生成する。つまり、画面に表示しないと判別された文字列は、当該画面に表示されない。生成された画像を表す画像信号は、画像表示部18に供給される。画像生成部14は、例えば、CPU11とRAM13とにより構成される。
【0036】
現在位置検出部15は、地図表示装置100の現在位置を検出する。現在位置検出部15は、例えば、GPSモジュール104とアンテナ105とにより構成される。
【0037】
移動方向検出部16は、現在位置検出部15により検出された現在位置の履歴に基づいて、地図表示装置100の移動方向を検出する。本実施形態では、地図表示装置100は車載用カーナビゲーションシステムであるため、車両の移動方向が検知される。移動方向検出部16は、例えば、CPU11とRAM13とにより構成される。
【0038】
地図情報記憶部17には、地図情報が記憶される。地図情報記憶部17は、例えば、ハードディスク110により構成される。
【0039】
画像表示部18は、画像生成部14から供給される画像信号に基づいて、地図を表す画像を画面に表示する。画像表示部18は、例えば、CPU101、RAM103、モニター111により構成される。
【0040】
ここで、図3を参照して、文字列属性と表示優先度との関係について説明する。
【0041】
まず、文字列は、当該文字列によりいかなる種類の地図要素の名称を表すかによって、分類されているものとする。本明細書において、この分類を、文字列属性という。文字列属性には、区画名、施設名、交差点名、店名などがある。文字列がいかなる文字列属性を有するかは、地図情報によって判別可能であるものとする。つまり、地図情報には、文字列と当該文字列の文字列属性とを対応付ける情報が含まれているものとする。
【0042】
区画名は、「東京都」、「新宿区」のような行政区画の名称である。施設名は、官公庁やショッピングモールのような比較的大きな施設の名称である。交差点名は、交差点の名称である。店名は、コンビニエンスストアや小売店など比較的小さな店の名称である。
【0043】
ここで、図3に示すように、文字列属性には、表示優先度が対応付けられているものとする。表示優先度は、当該表示優先度に対応付けられる文字列属性を有する文字列が、どの程度優先されて画面に表示されるかの度合を示す。つまり、表示優先度が高い文字列属性を有する文字列は画面表示の際に間引きされにくく、表示優先度が低い文字列属性を有する文字列は画面表示の際に間引きされやすい。
【0044】
図3に示すように、区画名の表示優先度が1で最も高く、施設名の表示優先度が2で次に高く、交差点名の表示優先度が3で次に高く、店名の表示優先度が4で最も低いものとする。このように、表示優先度を示す数値が小さいほど、文字列が画面表示の際に間引きされにくい。なお、文字列属性と表示優先度との関係は、例えば、ハードディスク110にあらかじめ記憶されている。
【0045】
次に、図4を参照して、画面内における文字列の表示予定位置と画面内における現在位置との位置関係と、表示可能優先度と、の関係について説明する。
【0046】
画面内における文字列の表示予定位置は、当該文字列により表される地図要素が画面内において表示される位置の近傍の位置とすることができる。なお、文字列と画面内における当該文字列の表示予定位置とを対応付ける情報は、地図情報に含まれているものとする。
【0047】
現在位置は、例えば、GPSモジュール104により取得される。表示可能優先度は、表示優先度がいかなる文字列属性の文字列まで画面内に表示されるかの閾値を示す。つまり、文字列の表示予定位置と現在位置との位置関係に対応付けられた表示可能優先度が低い文字列ほど画面表示の際に間引きされにくく、文字列の表示予定位置と現在位置との位置関係に対応付けられた表示可能優先度が低い文字列ほど画面表示の際に間引きされやすい。なお、現在位置は、ユーザが着目している着目点、もしくは、ユーザが注目している注目位置と考えることができる。
【0048】
本実施形態では、位置関係は、文字列の表示予定位置と現在位置との画面内における距離や、現在位置からみた文字列の表示予定位置の画面内における方向により決定される。なお、地図表示装置100が搭載された車両の進行方向は、画面内において、当該画面の下方から上方に向かう方向であるものとする。つまり、画面には、当該車両が画面に表示された地図上を、下方から上方に向かって進んでいる様子が示される。
【0049】
図4には、位置関係は、単純に、近距離、中距離、遠距離、自車後方の4つに分類される例を示している。近距離の表示可能優先度が4で最も低く、中距離の表示可能優先度が3で次に低く、遠距離の表示可能優先度と自車後方の表示可能優先度とが2で最も高い。このように、表示可能優先度を示す数値が大きいほど、文字列が画面表示の際に間引きされにくい。なお、位置関係と表示可能優先度との関係は、例えば、ハードディスク110にあらかじめ記憶されている。
【0050】
次に、図5を参照して、文字列属性の表示優先度と位置関係の表示可能優先度と文字列の間引き結果との関係について説明する。
【0051】
文字列属性が区画名である場合、表示優先度は1であるので、表示可能優先度が1以上である全ての位置関係にある文字列が表示される。文字列属性が施設名である場合、表示優先度は2であるので、表示可能優先度が2以上である全ての位置関係にある文字列が表示される。文字列属性が交差点名である場合、表示優先度は3であるので、表示可能優先度が3以上である、近距離の位置関係にある文字列と中距離の位置関係にある文字列とが表示される。文字列属性が店名である場合、表示優先度は4であるので、表示可能優先度が4以上である近距離の位置関係にある文字列のみが表示される。
【0052】
以下、図6〜8を参照して、文字列属性の表示優先度と、表示予定位置と現在位置との位置関係と、によって、文字列が表示されるか否かが決定される手法について説明する。
【0053】
まず、図6に、表示することが予定される全ての文字列が間引きされずに表示された画面の様子を示す。このように、全ての文字列が画面に表示されると、画面が煩雑になり、視認性が損なわれる可能性がある。従って、本実施形態では、間引き処理により画面内に表示される文字列の数が抑制される。なお、画面内に表示される予定の全ての文字列が同列に扱われるのではなく、文字列属性に応じた表示優先度、ならびに、文字列の表示予定位置と注目位置との位置関係に従って間引き処理がなされる。
【0054】
文字列311〜313は、文字列属性が区画名である文字列、つまり、区画名を表す文字列を示す。文字列311は「区画名1」という文字列であり、文字列312は「区画名2」という文字列であり、文字列313は「区画名3」という文字列である。文字列311〜313は、いずれも、表示予定位置に表示されている。
【0055】
文字列321〜324は、文字列属性が施設名である文字列、つまり、施設名を表す文字列を示す。文字列321は「施設名1」という文字列であり、文字列322は「施設名2」という文字列であり、文字列323は「施設名3」という文字列であり、文字列324は「施設名4」という文字列である。文字列321〜324は、いずれも、表示予定位置に表示されている。
【0056】
文字列331〜333は、文字列属性が交差点名である文字列、つまり、交差点名を表す文字列を示す。文字列331は「交差点名1」という文字列であり、文字列332は「交差点名2」という文字列であり、文字列333は「交差点名3」という文字列である。文字列331〜333は、いずれも、表示予定位置に表示されている。
【0057】
文字列341〜347は、文字列属性が店名である文字列、つまり、店名を表す文字列を示す。文字列341は「店名1」という文字列であり、文字列342は「店名2」という文字列であり、文字列343は「店名3」という文字列であり、文字列344は「店名4」という文字列であり、文字列345は「店名5」という文字列であり、文字列346は「店名6」という文字列であり、文字列347は「店名7」という文字列である。文字列341〜347は、いずれも、表示予定位置に表示されている。
【0058】
マーク351は、地図表示装置100の画面内における現在位置と進行方向とを示す画像である。本実施形態では、マーク351は、地図表示装置100の画面内における位置が画面内の下方であり、地図表示装置100が画面内において、画面の下方から上方に向かって進んでいる様子を示している。
【0059】
ここで、図7を参照して、文字列の表示予定位置と現在位置との位置関係がどのように決定されるかについて説明する。
【0060】
線361は、マーク351を中心とする第1の円の外周を表す線である。
【0061】
線362は、マーク351を中心とする第2の円の外周を表す線である。ここで、第1の円と第2の円とは同心円であり、第1の円の半径よりも第2の円の半径の方が大きい。
【0062】
線363は、画面の左下隅とマーク351とを結ぶ線分と、画面の右下隅とマーク351とを結ぶ線分と、から構成される折れ線である。
【0063】
ここで、画面内における文字列の表示予定位置と線361〜363の位置との関係に基づいて、以下の(1)〜(4)に示すように位置関係ならびに表示可能優先度が決定される。
【0064】
(1)表示予定位置が線363よりも下方にある文字列は、位置関係が自車後方であり、表示可能優先度が2と決定される。
(2)(1)に該当しない文字列であり、表示予定位置が線361の内部にある文字列は、位置関係が近距離であり、表示可能優先度が4と決定される。
(3)(1)または(2)のうちのいずれにも該当しない文字列であり、表示予定位置が線362の内部にある文字列は、位置関係が中距離であり、表示可能優先度が3と決定される。
(4)(1)〜(3)のうちのいずれにも該当しない文字列は、位置関係が遠距離であり、表示可能優先度が2と決定される。
【0065】
ここで、決定された位置関係の表示可能優先度と、文字列属性の表示優先度と、に基づいて、文字列を画面に表示するか否か、つまり、文字列を間引くか否かが決定される。図8に、文字列の間引き結果を示す。
【0066】
図8に示すように、文字列属性の表示優先度が、位置関係の表示可能優先度以上の文字列のみが、間引かれずに画面に表示される。具体的には、表示予定位置が自車後方の文字列は、表示優先度が1もしくは2の場合に限り表示され、表示予定位置が近距離の文字列は、全て表示され、表示予定位置が中距離の文字列は、表示優先度が1、2もしくは3の場合に限り表示され、表示予定位置が遠距離の文字列は、表示優先度が1もしくは2の場合に限り表示される。
【0067】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、地図表示装置100が実行する画面表示処理について説明する。地図表示装置100は、操作部109などの操作により、ナビゲーションモードに設定されると、図9に示す画面表示処理を実行する。
【0068】
まず、CPU101は、自車位置を取得する(ステップS101)。具体的には、CPU101は、GPSモジュール104を制御して、地図表示装置100の現在位置を示す緯度ならびに経度を取得する。取得された自車位置は、例えば、RAM103に記憶される。
【0069】
CPU101は、ステップS101の処理を終了すると、自車の進行方向を取得する(ステップS102)。自車の進行方向は、自車位置の履歴に基づいて計算される。従って、CPU101は、RAM103に記憶されている自車位置の履歴を参照して、自車の進行方向を計算する。例えば、直前に取得された第1の自車位置と、さらにその前に取得された第2の自車位置と、が異なる場合、第2の自車位置を基準としたときの第1の自車位置が、自車の進行方向に設定される。取得された自車の進行方向は、例えば、RAM103に記憶される。
【0070】
CPU101は、ステップS102の処理を終了すると、表示エリアに未判定の文字列が存在するか否かを判別する(ステップS103)。つまり、ステップS103においては、地図情報に含まれる文字列のうち、表示予定位置が画面内である文字列が抽出され、抽出された文字列のうち、間引くか否かが決定されていない文字列が1つ以上あるか否かが判別される。なお、表示予定位置は、地図の縮尺毎に、文字列に対応付けられているものとする。ここで、文字列により表される地図要素が画面内に含まれる場合であっても、表示予定位置がない場合もある。例えば、日本全土の様子を表す地図が画面に表示される場合、ある店の地図上での座標が画面の表示範囲内にあるときでも、当該店の店名を表す文字列の表示予定位置はないものとされる。
【0071】
CPU101は、表示エリアに未判定の文字列があると判別すると(ステップS103:YES)、未判定の文字列を取得する(ステップS104)。具体的には、CPU101は、地図情報に含まれる文字列のうち、表示予定位置が画面内である文字列であって、未判定の文字列を1つ抽出する。
【0072】
CPU101は、ステップS104の処理を終了すると、自車位置から表示予定位置までの距離を算出する(ステップS105)。なお、自車位置は、ステップS101で取得された自車位置の画面内における座標である。一方、表示予定位置は、ステップS104で選択された文字列の画面内における表示予定の座標である。算出された距離は、例えば、RAM103に記憶される。
【0073】
CPU101は、ステップS105の処理を終了すると、自車位置から表示予定位置へ向かう方向と自車の進行方向との角度を算出する(S106)。ステップS106では、自車位置を表す画面内の座標から表示予定位置を表す画面内の座標へ向かう第1のベクトルと、画面内における自車の進行方向を示す第2のベクトルと、のなす角度が算出される。算出された角度は、例えば、RAM103に記憶される。
【0074】
CPU101は、ステップS106の処理を終了すると、表示可能優先度を取得する(ステップS107)。具体的には、ステップS105において算出された距離と、ステップS106において算出された角度と、に基づいて、現在位置とステップS104において取得された文字列の表示予定位置との位置関係に対応づけられている表示可能優先度が取得される。
【0075】
例えば、算出された角度が所定の閾角度よりも大きい場合、位置関係が自車後方と決定され、表示可能優先度が2に決定される。そして、位置関係が自車後方と決定されない場合において、算出された距離が所定の第1閾距離よりも小さい場合、位置関係が近距離と決定され、表示可能優先度が4に決定される。また、位置関係が自車後方と決定されず、位置関係が近距離と決定されない場合において、算出された距離が第1の閾距離よりも長い所定の第2閾距離よりも小さい場合、位置関係が中距離と決定され、表示可能優先度が3に決定される。位置関係が自車後方、近距離、中距離のいずれにも決定されない場合、位置関係が遠距離と決定され、表示可能優先度が2に決定される。取得された表示可能優先度は、例えば、RAM103に記憶される。
【0076】
CPU101は、ステップS107の処理を終了すると、文字列の表示優先度が表示可能優先度以上であるか否かを判別する(ステップS108)。なお、文字列の表示優先度が表示可能優先度以上である場合、当該文字列は間引きされずに画面に表示される。一方、文字列の表示優先度が表示可能優先度未満である場合、当該文字列は間引きされて画面に表示されない。
【0077】
CPU101は、文字列の表示優先度が表示可能優先度以上であると判別すると(ステップS108:YES)、文字列を表示対象に追加する(ステップS109)。表示対象に追加される文字列は、例えば、RAM103に記憶される。
【0078】
CPU101は、文字列の表示優先度が表示可能優先度以上ではないと判別した場合(ステップS108:NO)、もしくは、ステップS109の処理を終了した場合、ステップS103に処理を戻す。そして、CPU101は、ステップS103において、さらに、表示エリアに未判定の文字列が存在するか否かを判別する。
【0079】
ここで、CPU101は、表示エリアに未判定の文字列が存在しないと判別した場合(ステップS103:NO)、表示対象に追加された文字列を含む画像を生成する(ステップS110)。つまり、ステップS110において生成される画像には、ステップS109において表示対象に追加されなかった文字列が含まれない。ステップS110において生成される画像は、地図を表す画像であり、例えば、図8に示す画像である。
【0080】
CPU101は、ステップS110の処理を終了すると、生成された画像に基づいて画面を更新する(ステップS111)。つまり、CPU101は、生成した画像を表す画像信号を生成し、モニター111に供給する。一方、モニター111は、供給された画像信号に基づいて、地図を表す画像を画面に表示する。なお、モニター111は、次の画面更新周期まで待機してから画面を更新する。CPU101は、ステップS111の処理を終了すると、ステップS101に処理を戻す。
【0081】
本実施形態に係る地図表示装置100によれば、ユーザが最も注目する位置であると考えられる現在位置を中心とした狭いエリア(線361の内部)については、文字列情報が詳細に表示される。これにより、ユーザは、正確な現在位置を把握することができる。また、自車から離れたエリア(線362の外部)は、自車から見えない場所であるため、文字列情報が詳細に表示されず、必要最低限の文字列情報のみが表示される。
【0082】
また、自車の前方(線363の上方)の文字列情報は、次に曲がるべき交差点や目的地の場所を確認するために必要である。一方、自車が過ぎ去った方向(線363の下方)の文字列情報は、それほど重要ではない。従って、自車の前方の近い場所については詳細な文字列情報を表示し、自車から離れるのに従って、表示される文字列情報が少なくなるように文字列が間引かれる。
【0083】
本実施形態に係る地図表示装置100によれば、有名施設や大型ショッピングモールなどの目立つ物件の名前を表す施設名は、表示優先度が相対的に高く設定されるため、画面内の注目位置から離れていても表示される。一方、小さな店舗などの物件の名前を表す店名は、表示優先度が相対的に低く設定されるため、画面内の注目位置から離れているときは表示されないが、注目位置に近くなると表示されるようになる。また、自車の後方にある物件の名前を表す文字列は、表示の際に優先して間引きされる。
【0084】
このように、本実施形態に係る地図表示装置100によれば、地図表示装置100の現在位置と表示予定位置との位置関係に基づいて、表示されることが適当ではないと推定される文字列が間引かれて地図が表示される。つまり、重要度の高い文字列から優先的に選択された適切な数の文字列のみが画面に表示されるため、画面が見にくくならないように画面に表示される文字列の数が抑えられながらも、重要な文字列の表示が欠落されることを防止することができる。従って、本実施形態に係る地図表示装置100によれば、ユーザにとって重要な文字列が画面に表示されながらも、視認性が確保される。
【0085】
また、本実施形態に係る地図表示装置100によれば、間引きの対象が文字列のみであるため、ランドマーク(アイコン)については間引きされないまま表示される。従って、画面に表示する情報が過度に削られることを防止することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、地図表示装置100の現在位置と文字列の表示予定位置との位置関係が、当該現在位置と当該表示予定位置との距離と、地図表示装置100の進行方向に対する、当該現在位置から見た当該表示予定位置の方向の角度と、の双方により決定される例を示した。しかし、本発明において、当該位置関係が、当該現在位置と当該表示予定位置との距離とにより決定されてもよい。
【0087】
この場合、文字列属性の表示優先度と位置関係の表示可能優先度と文字列の間引き結果との関係は、図10に示すようになる。図10に、位置関係から自車後方が除外される例を示す。
【0088】
以下、図11を参照して、文字列属性の表示優先度と、表示予定位置と現在位置との位置関係と、によって、文字列が表示されるか否かが決定される手法について説明する。なお、図11には、文字列345が表示されるか否かが判別される際に必要な情報のみを示している。従って、当該判別と無関係な文字列などは、図11からは省略されている。
【0089】
線361は、マーク351を中心とする第1の円の外周を表す線である。ここで、第1の円の半径をDth1とする。
【0090】
線362は、マーク351を中心とする第2の円の外周を表す線である。ここで、第1の円と第2の円とは同心円であり、第1の円の半径よりも第2の円の半径の方が大きい。また、第2の円の半径をDth2とする。つまり、Dth1<Dth2である。
【0091】
また、画面内における文字列345の表示予定位置と画面内における現在位置との距離をDxとする。
【0092】
ここで、画面内における文字列の表示予定位置と線361、362の位置との関係に基づいて、以下の(11)〜(13)に示すように位置関係ならびに表示可能優先度が決定される。
【0093】
(11)表示予定位置が線361の内部にある文字列、つまり、Dx<Dth1を満たす文字列は、位置関係が近距離であり、表示可能優先度が4と決定される。
(12)(11)に該当しない文字列であり、表示予定位置が線362の内部にある文字列、つまり、Dth1≦Dx<Dth2を満たす文字列は、位置関係が中距離であり、表示可能優先度が3と決定される。
(13)(11)もしくは(12)のうちのいずれにも該当しない文字列、つまり、Dx≧Dth2を満たす文字列は、位置関係が遠距離であり、表示可能優先度が2と決定される。
【0094】
本実施形態に係る地図表示装置100によれば、地図表示装置100の現在位置と表示予定位置との距離が短い文字列が優先して画面に表示され、当該距離が長い文字列が表示対象から除外されやすくなる。従って、本実施形態に係る地図表示装置100によれば、ユーザのいる場所に比較的近い場所に存在する対象物を表す文字列が画面に表示されながらも、視認性が確保される。
【0095】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、地図表示装置100の現在位置と文字列の表示予定位置との位置関係が、当該現在位置と当該表示予定位置との距離と、地図表示装置100の進行方向に対する、当該現在位置から見た当該表示予定位置の方向の角度と、の双方により決定される例を示した。しかし、本発明において、当該位置関係が、地図表示装置100の進行方向に対する、当該現在位置から見た当該表示予定位置の方向の角度、により決定されてもよい。
【0096】
この場合、文字列属性の表示優先度と位置関係の表示可能優先度と文字列の間引き結果との関係は、図12に示すようになる。図12に、位置関係から、近距離、中距離、遠距離が除外され、位置関係に、自車横方向、自車前方が追加される例を示す。
【0097】
以下、図13を参照して、文字列属性の表示優先度と、表示予定位置と現在位置との位置関係と、によって、文字列が表示されるか否かが決定される手法について説明する。なお、図13には、文字列322が表示されるか否かが判別される際に必要な情報のみを示している。従って、当該判別と無関係な文字列などは、図13からは省略されている。
【0098】
線363は、画面の左下隅とマーク351(図示せず)とを結ぶ線分と、画面の右下隅とマーク351とを結ぶ線分と、から構成される折れ線である。ここで、地図表示装置100の進行方向と、線363を構成する線分と、のなす角度をθth1とする。
【0099】
線364は、画面の左側中央とマーク351とを結ぶ線分と、画面の右側中央とマーク351とを結ぶ線分と、から構成される折れ線である。ここで、地図表示装置100の進行方向と、線364を構成する線分と、のなす角度をθth2とする。ここで、θth1>θth2である。
【0100】
また、地図表示装置100の進行方向と、マーク351と画面内における文字列322の表示予定位置とを結ぶ線分と、のなす角度をθthxとする。
【0101】
ここで、画面内における文字列の表示予定位置と線363、364の位置との関係に基づいて、以下の(21)〜(23)に示すように位置関係ならびに表示可能優先度が決定される。
【0102】
(21)表示予定位置が線363よりも下方にある文字列、つまり、θthx>θth1を満たす文字列は、位置関係が自車後方であり、表示可能優先度が2と決定される。
(22)(21)に該当しない文字列であり、表示予定位置が線364よりも下方にある文字列、つまり、θth2<θthx≦θth1を満たす文字列は、位置関係が自車横方向であり、表示可能優先度が3と決定される。
(23)(21)もしくは(22)のうちのいずれにも該当しない文字列、つまり、θthx≦θth2を満たす文字列は、位置関係が自車前方であり、表示可能優先度が4と決定される。
【0103】
本実施形態に係る地図表示装置100によれば、表示予定位置が進行方向に近い文字列ほど優先して画面に表示され、表示予定位置が進行方向から離れた文字列ほど表示対象から除外されやすくなる。従って、本実施形態に係る地図表示装置100によれば、ユーザの向かう方向に比較的近い方向に存在する対象物を表す文字列が画面に表示されながらも、視認性が確保される。
【0104】
(第4の実施形態)
第1〜3の実施形態では、注目位置が地図表示装置100の現在位置である例を示した。しかし、本発明において、注目位置がユーザなどにより指定された任意の位置であってもよい。典型的には、画面の中心を注目位置とすることができる。この場合、画面の中心と文字列の表示予定位置との位置関係により、文字列が表示されるか否かが決定される。以下、図14を参照して、本実施形態に係る地図表示装置100について説明する。
【0105】
マーク352は、画面の中心を表す画像である。
【0106】
線361は、マーク352を中心とする第1の円の外周を表す線である。
【0107】
線362は、マーク352を中心とする第2の円の外周を表す線である。ここで、第1の円と第2の円とは同心円であり、第1の円の半径よりも第2の円の半径の方が大きい。
【0108】
なお、文字列の表示予定位置と線361、362の位置との関係に基づいて、位置関係ならびに表示可能優先度を決定する手法は、第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0109】
本実施形態に係る地図表示装置100によれば、注目位置と表示予定位置との距離が短い文字列が優先して画面に表示され、当該距離が長い文字列が表示対象から除外されやすくなる。従って、本実施形態に係る地図表示装置100によれば、ユーザが注目している場所に比較的近い場所に存在する対象物を表す文字列が画面に表示されながらも、視認性が確保される。
【0110】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に開示したものに限られない。
【0111】
第1〜4の実施形態では、表示優先度が、区画名、施設名、交差点名、店名の順に低くなる例を示した。しかし、表示優先度は、どのように設定されてもよい。なお、表示優先度は、縮尺などに応じて設定されてもよい。例えば、縮尺が小さくなるほど、区画名の表示優先度が高くなり、店名の表示優先度が低くなるように設定することができる。また、表示優先度は、ハードディスク110などにあらかじめ記憶されていても良いし、ユーザが操作部109を操作することにより、適宜変更されるものでもよい。
【0112】
また、図3に示す文字列属性や図4に示す自車からの距離は、さらに細分化されてもよいし、反対に、大まかに設定されてもよい。そして、これらの設定を表す値は、ハードディスク110などにあらかじめ記憶されているものでもよいし、ユーザによって設定されるものでもよい。
【0113】
第1〜4の実施形態では、画面内に表示される文字列の数の上限値や下限値が考慮されない例を示したが、当該文字列の数の上限値や下限値が考慮されて文字列が表示されるか否かが判別されてもよい。例えば、表示されると判別された文字列の数が当該上限値を超える場合、表示可能優先度を一律に引き上げて、再度判別することにより、表示されると判別される文字列の数を減らすことができる。これに対し、表示されると判別された文字列の数が当該下限値を超えない場合、表示可能優先度を一律に引き下げて、再度判別することにより、表示されると判別される文字列の数を増やすことができる。かかる構成によれば、画面内に表示される文字列の数を適切な範囲に収めることができる。視認性と情報の欠落とのバランスを調整することができる。
【0114】
第1〜4の実施形態では、本発明を、車載用のカーナビゲーションシステムに適用する例を示した。しかし、本発明は、地図を表示可能な任意の装置に適用することができる。例えば、本発明は、携帯電話などの端末装置に適用することができる。
【0115】
第1〜4の実施形態では、文字列属性の表示優先度が考慮されて文字列が表示されるか否かが判別される例を示した。しかし、文字列属性の表示優先度が考慮されず、表示予定位置と注目位置との位置関係のみにより文字列が表示されるか否かが判別されてもよい。なお、文字列属性の表示優先度が考慮されないようにするため、全ての文字列属性について互いに同じ表示優先度が設定されてもよい。
【0116】
また、本発明が適用される地図表示装置100は、図1に示す構成に限られない。例えば、地図表示装置100は、ハードディスク110の代わりに、地図情報などが記憶されているDVD−ROMが装着されるDVD−ROMドライブを備えていても良い。もしくは、地図表示装置100は、ハードディスク110の代わりに、地図情報などが記憶されているメモリカードが装着されるメモリカードリーダライタを備えていても良い。さらに、地図表示装置100は、ハードディスク110の代わりに、外部装置から地図情報などを受信することが可能な通信装置を備えていても良い。また、地図表示装置100は、操作部108とモニター110とが一体化された、タッチスクリーンを備えてもよい。
【0117】
なお、本発明に係る地図表示装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いても実現可能である。例えば、コンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read−Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶して配布し、これをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する地図表示装置を構成しても良い。
【0118】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを記憶しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
11 地図情報取得部
12 文字列抽出部
13 文字列判別部
14 画像生成部
15 現在位置検出部
16 移動方向検出部
17 地図情報記憶部
18 画像表示部
100 地図表示装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 GPSモジュール
105 アンテナ
106 音声処理部
107 スピーカ
108 マイクロフォン
109 操作部
110 ハードディスク
111 モニター
311〜313、321〜324、331〜333、341〜347 文字列
351、352 マーク
361〜364 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する文字列抽出部と、
前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を前記画面に表示するか否かを判別する文字列判別部と、
前記画面に表示すると判別された文字列が、前記画面内における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、前記画面に表示される地図を表す画像を生成する画像生成部と、を備える、
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記文字列判別部は、前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との距離が、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度に応じて設定される閾距離よりも短い場合に、当該文字列を前記画面に表示すると判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記閾距離は、前記表示優先度が高いほど長く設定される、
ことを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記注目位置は、自地図表示装置の現在位置であり、
前記現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記現在位置検出部により検出された現在位置の履歴に基づいて、前記自地図表示装置の移動方向を検出する移動方向検出部と、をさらに備え、
前記文字列判別部は、前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における前記検出された現在位置から前記画面内における当該文字列の表示予定位置に向かう方向と、前記画面内における前記検出された移動方向とのなす角度が、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度に応じて設定される閾角度よりも小さい場合に、当該文字列を前記画面に表示すると判別する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記閾角度は、前記表示優先度が高いほど大きく設定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項6】
地図情報取得部、文字列抽出部、文字列判別部、画像生成部を備える地図表示装置が実行する地図表示方法であって、
前記地図情報取得部が、文字列を含む地図情報を取得する地図情報取得工程と、
前記文字列抽出部が、前記取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する文字列抽出工程と、
前記文字列判別部が、前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を前記画面に表示するか否かを判別する文字列判別工程と、
前記画像生成部が、前記画面に表示すると判別された文字列が、前記画面内における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、前記画面に表示される地図を表す画像を生成する画像生成工程と、を備える、
ことを特徴とする地図表示方法。
【請求項7】
コンピュータを、
文字列を含む地図情報を取得する地図情報取得部、
前記取得された地図情報に含まれる文字列のうち、画面内に表示する候補の文字列を抽出する文字列抽出部、
前記抽出された文字列のそれぞれについて、前記画面内における当該文字列の表示予定位置と前記画面内における注目位置との位置関係と、当該文字列の属性に対応付けられている表示優先度と、に基づいて、当該文字列を前記画面に表示するか否かを判別する文字列判別部、
前記画面に表示すると判別された文字列が、前記画面内における当該文字列の表示予定位置に表示されるように、前記画面に表示される地図を表す画像を生成する画像生成部、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−48068(P2012−48068A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191379(P2010−191379)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】