説明

地図表示装置

【課題】ユーザは、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる。
【解決手段】 地図表示装置は、地図情報を記憶する記憶手段と、表示領域に前記地図情報を表示する表示手段と、前記表示領域の範囲外にある駅を特定する駅特定手段と、を備える。また、前記表示手段は、特定された駅に関する情報を前記地図情報と共に前記表示領域に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、ディスプレイに表示されている地図情報をスクロールさせることができるナビゲーション装置がある。このようなナビゲーション装置では、例えば、周辺にある駅を探す場合、ユーザは、駅があると思われる方向に地図情報をスクロールさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−029382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、初めて訪れた地域では土地勘がないため、ユーザは、どちらの方面に駅があるのかを直感的に把握することができない。そのため、ユーザは、周辺の駅を探すのに手間取ってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザが、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる地図表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る地図表示装置は、地図情報を記憶する記憶手段と、表示領域に前記地図情報を表示する表示手段と、前記表示領域の範囲外にある駅を特定する駅特定手段と、を備え、前記表示手段は、特定された駅に関する情報を前記地図情報と共に前記表示領域に表示する、という構成を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザは、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の表示領域および駅の探索領域を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る駅情報を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るタッチパネルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の機能ブロックを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る駅情報の表示処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る駅の探索領域の変化を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の画面例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の表示領域および探索領域の変化を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の画面例の変化を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の画面例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の画面例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る地図表示装置の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る地図表示装置100について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る地図表示装置100の概略構成を示した図である。地図表示装置100は、演算処理装置101、記憶装置102と、ディスプレイ103と、入力装置104と、各種センサ105と、GPS受信装置106と、データ送受信装置107と、を備えている。また、これらの各装置やセンサは、バス108によって電気的に接続され、相互にデータの受け渡しが可能な構成となっている。なお、地図表示装置100は、地図情報、交通情報の表示、推奨経路の探索、経路誘導などのナビゲーション機能を有するナビゲーション装置により実現される。
【0011】
演算処理装置101は、地図表示装置100の様々な処理を行う中心的なユニットである。例えば、演算処理装置101は、地図情報や交通情報などの諸情報をディスプレイ103の表示領域201に表示させる。また、演算処理装置101は、表示領域201の外側に設定される所定の領域内から検出した駅に関する情報を表示領域201に表示させる。また、演算処理装置101は、ユーザからの指示またはユーザの現在地の移動に基づき、地図上における表示領域201の位置を変更する。
【0012】
また、演算処理装置101は、車速センサ、ジャイロセンサといった各種センサ105、および、GPS受信装置106などから出力される情報を用いて、車両の現在地を特定する。また、演算処理装置101は、記憶装置102から読み出された地図情報や交通情報などの情報を用いて、出発地および目的地を結ぶ推奨経路を探索する。また、演算処理装置101は、経路誘導を行うための音声情報を生成し、これをスピーカー(図示せず)に出力する。
【0013】
図2は、ディスプレイ103の表示領域201および表示領域201の外側に設定される駅の探索領域206を示した図である。同図に示すように、表示領域201は、地図全体202の中の所定の範囲を表示するために予め設定されている領域のことである。また、表示領域201は、各頂点付近に引かれる対角線204、205により、分割表示領域a、b、c、dに4分割される。
【0014】
また、表示領域201の外側には、駅の探索領域206が設定されている。探索領域206とは、駅が存在しているか否かが探索される領域のことである。また、探索領域206は、表示領域201の四方を囲む地図上の領域に所定の大きさで設定される。具体的には、表示領域201の周囲5Km四方を囲む地図上の領域が探索領域206に設定される。また、同図に示すように、探索領域206は、表示領域201を分割した対角線の延長線207、208により、分割探索領域a1、b1、c1、d1に4分割される。
【0015】
また、表示領域201には、探索領域206内から検出された駅に関する情報が表示される。具体的には、分割探索領域a1内から検出された駅に関する情報は、かかる領域a1に対応付けられている分割表示領域a内に表示される。同様に、分割探索領域b1、c1、d1内から検出された駅に関する情報は、各分割探索領域b1、c1、d1に各々対応付けられている分割表示領域b、c、d内に表示される。
【0016】
なお、演算処理装置101は、数値演算、各装置およびセンサの制御など、様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)109と、プログラムやデータなどを格納するROM(Read Only Memory)110と、プログラムやデータ、演算結果などを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)111と、を有している。また、CPU109、ROM110、RAM111は、バス112によって相互に電気的に接続されている。
【0017】
図1に戻って説明を続ける。記憶装置102は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記録媒体で構成される。記憶装置102には、例えば、ナビゲーション機能に用いられる地図情報、交通情報、経路情報、区間情報、辞書データなどの情報が格納されている。なお、地図情報には、リンク情報、施設情報、駅情報といった情報が含まれている。また、地図情報は、地図上の各地点を一意に特定するため、XY座標で示される地点座標を有している。
【0018】
図3は、駅情報を示した図である。駅情報300には、駅に関する情報が登録されている。同図に示すように、駅情報は、各駅を識別するための駅ID301と、地図上における駅の位置を特定するXY座標が登録されている位置情報302と、駅の名称が登録されている駅名情報303と、を有している。なお、後述するように、演算処理装置は、駅の位置情報302を用いて、探索領域206に駅が存在しているか否かを判定する。
【0019】
ディスプレイ103は、演算処理装置101で生成されたグラフィックス情報を表示領域201に表示させる装置である。ディスプレイ103は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0020】
入力装置104は、ユーザから所定の指示を受け付ける装置である。具体的には、方向キー、ダイヤルスイッチ、タッチパネル120などで構成される。
【0021】
タッチパネル120は、表示画面を透視可能にディスプレイ103の表面側に搭載され、指やタッチペンによるディスプレイ103へのタッチを検知する。また、タッチパネル120は、検知したタッチ位置をディスプレイ103上に設定されるXY座標に変換し、これを信号として演算処理装置101に出力する。なお、タッチパネル120は、例えば、静電容量方式による入力検出素子などで構成される。
【0022】
図4に示すように、例えば、タッチパネル120には、地図のスクロール指示、すなわち、地図上の表示領域201を変更させる指示をスクロールの方向とともにユーザから受け付けるための受付範囲401〜408が定められている。タッチパネル120は、各受付範囲へのタッチを検知すると、各受付範囲に対応付けられている矢印の向きにスクロール指示を受け付けたことを示す信号を生成し、演算処理装置101に出力する。例えば、タッチパネル120は、受付範囲407へのタッチを検知すると、表示領域201内の地図情報を左方向に移動させる指示を受け付けたことを示す信号を生成し、演算処理装置101に出力する。
【0023】
各種センサ105には、車速センサやジャイロセンサなどが含まれる。車速センサは、検出した車輪の回転数をパルス信号に変換し、所定の時間内におけるパルス信号数から車両の車速を算出する。また、ジャイロセンサは、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、車両の回転による角速度を検出する。
【0024】
GPS受信装置106は、GPS衛星からの信号を受信して、車両とGPS衛星間の距離と、距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、車両の現在地、進行速度および進行方位を算出する。
【0025】
データ送受信装置107は、地図表示装置100に内蔵される各装置以外の装置との間で所定の情報を送受信するための装置である。例えば、データ送受信装置107は、最新の交通情報の提供を要求する信号を演算処理装置101から取得し、情報配信センタに出力する。また、データ送受信装置107は、情報配信センタから送信されてくる所定の情報を受信し、演算処理装置101に出力する。なお、このような情報の送受信には、最寄りの無線基地局を介したインターネット網などのデジタル通信回線網による無線通信技術が利用される。
【0026】
次に、本実施形態に係る地図表示装置100の機能ブロックについて説明する。なお、地図表示装置100の各機能ブロックは、演算処理装置101に実装されるCPU109が読み込んだ所定のプログラムを実行することにより構築される。そのため、各ROM110には、各機能部の処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0027】
また、地図表示装置100の各機能ブロックは、本実施形態において実現される地図表示装置100の各機能を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。また、各機能の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。なお、地図表示装置100の各構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、一つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0028】
また、地図表示装置100の機能部は、ハードウェア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0029】
図5は、地図表示装置100の機能ブロックを示した図である。地図表示装置100は、情報制御部501と、駅探索部502と、表示情報生成部503と、を有している。そして、地図表示装置100は、これらの各機能部、他の装置、センサとの協働により所定の処理を実行する。
【0030】
情報制御部601は、他の機能部、装置、センサから所定の情報や指示を受け付ける機能部である。また、情報制御部601は、取得した情報や受け付けた指示を、これらの情報や指示の種類または内容に応じて、所定のセンサ、装置、機能部に出力する機能部である。具体的には、情報制御部601は、タッチパネル120などの入力装置104から、ユーザのスクロール指示およびスクロールの方向を示す信号を取得し、これを表示情報生成部503に出力する。
【0031】
駅探索部502は、探索領域206内に駅があるか否かを探索する機能部である。駅探索部502は、分割探索領域a1、b1、c1、d1の各々について、かかる領域内に駅があるか否かを分割探索領域206ごとに判定する。具体的には、駅探索部502は、駅の位置情報302を用いて、分割探索領域ごとに、かかる領域内に含まれる位置情報302を有する駅があるか否かを判定する。すなわち、駅探索部502は、分割探索領域a1内に駅があるか否かを判定すると、次に、分割探索領域b1内に駅があるか否かの判定を行い、このような判定を分割探索領域c1およびd1についても同様に行う。
【0032】
また、駅探索部502は、分割探索領域206内に駅があると判定すると、すなわち、分割探索領域206から駅を検出すると、検出した駅の駅名情報303を駅情報300から特定する。また、駅探索部502は、駅が検出された分割探索領域と、特定した駅名情報303と、を対応付けて表示情報生成部503に出力する。
【0033】
また、駅探索部502は、全ての分割探索領域から駅を検出できない場合、すなわち、駅がないと判定した分割探索領域が一つでもある場合、探索領域206の範囲を拡大する。具体的には、地図上における表示領域201の周囲5km四方に探索領域206が設定されている場合、駅探索部502は、表示領域201の周囲10km四方に探索領域206を拡大する。また、駅探索部502は、拡大した探索領域206の各分割探索領域内に駅があるか否かを判定し、全ての分割探索領域から駅が検出されるまで、探索領域206を拡大して駅の探索を行う。具体的には、駅探索部502は、全ての分割探索領域から駅が検出されるまで、例えば、5km四方ずつ探索領域206を拡大し、その都度、駅を検出したか否かの判定を行う。
【0034】
なお、駅探索部502は、探索領域206の範囲が所定の閾値に達しているか否かを判定し、達している場合は、それ以上探索領域206を拡大する処理を実行しない。具体的には、表示領域201から所定の距離(例えば、表示領域から20km)以内の範囲(例えば、表示領域の周囲20km四方の範囲)に駅を検出できない分割探索領域がある場合、すなわち、探索領域206を表示領域の周囲20km四方の範囲まで拡大しても駅を検出できない場合、それ以上探索領域206を拡大せず、駅に関する所定のメッセージを生成する指示を表示情報生成部503に出力する。具体的には、駅探索部502は、かかる分割表示領域について「20km先まで駅はありません」といったメッセージの生成を表示情報生成部503に指示する。
【0035】
また、駅探索部502は、ユーザの現在地209から探索領域206内にある駅までの距離を算出する機能部である。具体的には、駅探索部502は、情報制御部501を介して、GPS受信装置106から出力される現在地209を示す情報を取得する。また、駅探索部502は、探索領域206内から検出した駅の位置情報302を駅情報300から取得する。また、駅探索部502は、これらの情報を用いて、ユーザの現在地209から探索領域206内にある駅までの直線距離を算出する。なお、算出される距離は直線距離でなくてもよい。例えば、ユーザの現在地209を仮の出発地に、また、探索領域206内の駅の位置302を仮の目的地に設定し、ダイクストラ法により、出発地から目的地までの移動距離(道路長)が最小となる推奨経路を探索する。そして、探索された推奨経路の移動距離を、ユーザの現在地209から検出された駅までの距離としてもよい。また、駅探索部502は、検出した駅の駅名情報303と、かかる駅が検出された分割探索領域と、に対応付けて、現在地209から駅までの距離を示す距離情報を表示情報生成部503に出力する。
【0036】
また、駅探索部502は、一つの分割探索領域(a1、b1、c1、d1のいずれか一つ)内に2以上の駅が存在する場合、ユーザの現在地209から最も近い駅を特定し、特定した駅に関する情報を表示情報生成部503に出力する。例えば、図2に示すように、一つの分割探索領域a1内にA駅およびE駅の2つの駅がある場合、駅探索部502は、ユーザの現在地209から、A駅およびE駅までの直線距離を各々算出する。ここで、例えば、A駅までの距離が2.2kmであり、D駅までの距離が4.0kmである場合、駅探索部502は、算出した距離を比較し、ユーザの現在地209から最も近い駅がA駅であることを特定する。また、駅探索部502は、特定したA駅の駅名情報303と、A駅が検出された分割探索領域と、現在地209からA駅までの距離を示す距離情報と、を表示情報生成部503に出力する。
【0037】
表示情報生成部503は、ユーザからのスクロール指示に基づいて表示領域201を変更させる機能部である。具体的には、表示情報生成部503は、情報制御部501を介して、ユーザからスクロール指示を受け付けたか否かを判定する。また、表示情報生成部503は、ユーザからスクロール指示を受け受けると、指示されたスクロールの方向に地図上の表示領域201を移動させる。
【0038】
また、表示情報生成部503は、ユーザの現在地209が移動すると、表示領域201を変更させる機能部である。具体的には、表示情報生成部503は、GPS受信装置106や各種センサ105から出力される情報により、ユーザの現在地209が移動したか否かを判定する。また、表示情報生成部503は、ユーザの現在地209が移動したこと検出すると、ユーザの移動方向に地図上の表示領域201を移動させる。
【0039】
なお、表示領域201が変更されると、それに伴って、表示領域201の四方を囲んで設定されている駅の探索領域206も変更されることになる。
【0040】
また、表示情報生成部503は、移動後の表示領域201内に含まれる地図情報をグラフィックス変換し、ディスプレイ103に出力する。このように、地図情報のスクロールは、ユーザからスクロール指示を受け付けている間、または、ユーザの現在地が移動している間、地図上の表示領域201を徐々に移動させ、変更後の表示領域201に含まれる地図情報を順次表示させることにより実現される。
【0041】
また、表示情報生成部503は、表示領域201に表示させる駅に関する情報を生成する機能部である。具体的には、表示情報生成部503は、駅探索部502から取得した駅名情報303および距離情報を表示領域201に表示させるための情報を生成する。また、表示情報生成部503は、探索領域206の範囲を所定の閾値(例えば、表示領域の周囲20km四方の範囲)まで拡大しても駅を検出できなかった場合に駅探索部502から指示される所定のメッセージを生成する。具体的には、表示情報生成部503は、「20km先まで駅はありません」といったメッセージを表示領域201に表示させるための情報を生成する。
【0042】
なお、表示情報生成部503は、駅名情報303および距離情報を表示させる分割表示領域201を決定する。例えば、表示情報生成部503は、駅が検出された分割探索領域がa1であることを示す情報を駅探索部502から取得すると、かかる駅の駅名情報303および距離情報を、分割探索領域a1に対応付けられている分割表示領域aに表示させることを決定する。なお、駅が検出された分割探索領域がb1、c1、d1である場合、かかる駅の駅名情報303および距離情報を、これらの分割探索領域に各々対応付けられている分割表示領域b、c、dに表示させることを決定する。
【0043】
また、表示情報生成部503は、表示領域201に表示するためのグラフィックス情報を生成する機能部である。具体的には、表示情報生成部503は、表示領域201に表示する地図情報を記憶装置102から抽出し、これをグラフィックス変換する。また、表示情報生成部503は、表示領域201に表示させるため、各機能部で生成された情報をグラフィックス変換する。また、表示情報生成部503は、生成したグラフィックス情報をディスプレイ103に出力する。
【0044】
以上、地図表示装置100の機能ブロックについて説明した。
【0045】
次に、地図表示装置100で実行される駅情報の表示処理について説明する。図6は、駅情報の表示処理を示したフロー図である。地図表示装置100は、駅に関する情報をディスプレイ103に表示させるモードが設定されると、本フローを開始する。
【0046】
ステップS001において、駅探索部502は、分割探索領域の各々について、かかる領域内に駅があるか否かを分割探索領域ごとに判定する。具体的には、駅探索部502は、駅の位置情報302を用いて、分割探索領域ごとに、かかる領域内に含まれる位置情報302を有する駅があるか否かを判定する。そして、駅探索部502は、全ての分割探索領域から駅を検出すると(ステップS001でYes)、処理をステップS002に移行する。
【0047】
一方で、全ての分割探索領域から駅を検出できない場合(ステップS001でNo)、すなわち、駅がないと判定した分割探索領域が一つでもある場合、駅探索部502は、現在設定されている探索領域206の範囲が所定の閾値(例えば、表示領域の周囲20km四方の範囲)に達しているか否かを判定する(ステップS003)。そして、現在設定されている探索領域206の範囲が、既に所定の閾値に達していると判定した場合(ステップS003でYes)、処理をステップS002に移行する。一方で、探索領域206の範囲が、所定の範囲に達していないと判定した場合(ステップS003でNo)、駅探索部502は、処理をステップS004に移行し、探索領域206の範囲を拡大する。
【0048】
例えば、図7(a)に示す探索領域206の範囲は、表示領域201の周囲5km四方に設定されている。ここで、分割探索領域b1、d1には駅が存在しない(ステップS001でNo)。すなわち、全ての分割探索領域から駅を検出できないため(ステップS001でNo)、駅探索部502は、現在設定されている探索領域206の範囲が所定の閾値(例えば、表示領域の周囲20km四方の範囲)に達しているか否かを判定する(ステップS003)。ここで、探索領域206の範囲は表示領域201の周囲5km四方に設定されているため、駅探索部502は、所定の閾値に達していないと判定し(ステップS003でNo)、探索領域206を拡大する(ステップS004)。図7(b)は、表示領域201の周囲10km四方に探索領域210を拡大した図である。そして、駅探索部502は、処理をステップS001に戻し、拡大した探索領域210の各分割探索領域内に駅があるか否かを再び判定する。
【0049】
ステップS002において、駅探索部502は、一つの分割探索領域内に2以上の駅が存在する場合、ユーザの現在地209から最も近い駅を特定し、特定した駅に関する情報を表示情報生成部503に出力する。例えば、図2に示すように、一つの分割探索領域a1内にA駅およびE駅の2つの駅がある場合、駅探索部502は、ユーザの現在地209から、A駅およびE駅までの直線距離を各々算出する。具体的には、駅探索部502は、情報制御部501を介して、GPS受信装置106から出力される現在地209を示す情報を取得する。また、駅探索部502は、分割探索領域a1内にあるA駅およびE駅の位置情報302を駅情報から取得する。また、駅探索部502は、これらの情報を用いて、ユーザの現在地209からA駅およびE駅までの直線距離を算出する。そして、駅探索部502は、算出した距離を比較し、ユーザの現在地209から最も近い駅を特定する。なお、図2に示すような場合、分割探索領域b1、c1、d1には、各々、検出される駅が一つずつしかないため、駅探索部502は、各駅を各分割探索領域におけるユーザの現在地209から最も近い駅として特定する。そして、駅探索部502は、処理をステップS005に移行する。
【0050】
ステップS005において、駅探索部502は、ユーザの現在地から各分割探索領域内にある駅までの距離を算出する。具体的には、駅探索部502は、ステップS002と同様の算出方法により、ユーザの現在地から各分割探索領域内にある駅までの距離を算出する。そして、駅探索部502は、ステップS002で特定した駅の駅名情報303と、特定した各駅がある分割探索領域を示す情報と、ステップS005で算出した距離情報と、を表示情報生成部503に出力し、処理をステップS006に移行する。なお、ステップS002において、距離情報が既に算出されている場合、駅探索部502は、ステップS005で改めて距離情報の算出処理を実行せず、既に算出されている距離情報を表示情報生成部503に出力する。
【0051】
ステップS006において、表示情報生成部503は、表示領域201に表示させる駅に関する情報を生成する。具体的には、表示情報生成部503は、駅探索部502から取得した駅名情報303および距離情報を表示領域201に表示させるための情報を生成する。また、表示情報生成部503は、駅名情報303および距離情報を表示させる分割表示領域を決定する。例えば、表示情報生成部503は、駅が検出された分割探索領域がa1であることを示す情報を駅探索部502から取得すると、かかる駅の駅名情報303および距離情報を、分割探索領域a1に対応付けられている分割表示領域aに表示させることを決定する。なお、駅が検出された分割探索領域がb1、c1、d1である場合、かかる駅の駅名情報303および距離情報を、これらの分割探索領域に各々対応付けられている分割表示領域b、c、dに表示させることを決定する。
【0052】
また、表示情報生成部503は、分割表示領域の各々に、対応する駅名情報303および距離情報を表示するためのグラフィックス情報を生成し、ディスプレイ103に出力する。そして、表示情報生成部503は、処理をステップS007に移行する。
【0053】
なお、探索領域206の範囲を所定の閾値(例えば、表示領域の周囲20km四方の範囲)まで拡大しても駅を検出できなかった場合、表示情報生成部503は、駅探索部502から指示された所定のメッセージを生成する。具体的には、表示情報生成部503は、「20km先まで駅はありません」といったメッセージを駅が検出されなかった分割探索領域に表示するためのグラフィックス情報を生成する。また、表示情報生成部503は、かかるグラフィックス情報をディスプレイ103に出力する。
【0054】
図8は、駅に関する情報が表示された表示領域201を示した図である。画面例601は、図2の表示領域201に表示されている情報を拡大したものである。図8に示すように、分割表示領域aには、分割探索領域a1内から検出された駅であって、ユーザの現在地209から最も近いA駅の駅名と、ユーザの現在地209からA駅までの距離とを表示した駅情報ボックス602が表示されている。また、同様に、分割表示領域b、c、dには、各々、分割探索領域b1、c1、d1内から検出されたB駅、C駅、D駅の駅名と、各々の駅までの距離と、を表示した駅情報ボックス602、603、604が表示される。
【0055】
ステップS007において、表示情報生成部503は、ユーザからスクロール指示を受け付けたか、または、ユーザの現在地209が移動したか否かを判定する。そして、ユーザからスクロール指示を受け付けた場合、または、ユーザの現在地209が移動したことを検出した場合(ステップS007でYes)、表示情報生成部503は、指示されたスクロールの方向、または、ユーザの移動方向に表示領域201を変更し(ステップS008)、処理をステップS001に戻す。
【0056】
一方で、ユーザからスクロール指示を受け付けていない場合、または、ユーザの現在地209が移動したことを検出していない場合(ステップS007でNo)、表示情報生成部503は、ステップS007の処理を繰り返し実行する。
【0057】
なお、ステップS007の処理を繰り返し実行している間、すなわち、表示領域201が変更されていない間は、ステップS006の処理で表示した駅に関する情報が継続して表示領域201に表示されていることになる。
【0058】
図9は、表示領域201の変更の前後を示した図である。図9(a)は変更前の表示領域201を示した図である。同図に示すように、分割探索領域a1には、A駅およびE駅がある。また、分割探索領域b1、c1、d1には、各々、B駅、C駅、D駅がある。この場合の表示領域201には、図10(a)に示す情報が表示されている。すなわち、分割探索領域a1で特定されたA駅(E駅よりもユーザの現在地に近いため)の駅名と、ユーザの現在地からの距離と、が分割表示領域aの駅情報ボックス612に表示されている。また、分割探索領域b1、c1、d1から検出されたB駅、C駅、D駅の駅名および現在地からの距離が、各々、分割表示領域b、c、dの駅情報ボックス613、614、615に表示されている。
【0059】
ここで、図9(b)に示すように、表示領域201が変更されると、図10(b)に示す情報が表示領域201に表示される。なお、表示領域201が変更されると、表示領域201の四方を囲んで設定されている駅の探索領域206も変更されることになる。例えば、図9(b)に示す分割探索領域a1内からは、新たにE駅が検出される。また、変更前の分割探索領域b1から検出されたB駅は、変更後の分割探索領域c1内から検出されることになる。また、変更後の分割探索領域b1からは、新たにF駅が検出される。また、変更前の分割探索領域a1にあったE駅は、変更後の分割探索領域d1から検出されることになる。また、検出されたこれらの駅に関する情報について、図10(b)の画面例621に示す。
【0060】
図10(b)に示すように、分割表示領域aには、変更後の分割探索領域a1から検出されたE駅に関する情報が表示される。また、分割表示領域cには、変更後の分割探索領域c1から検出されたB駅およびC駅のうち、ユーザの現在地に最も近いC駅に関する情報が表示される。また、分割表示領域b、dには、変更後の分割探索領域b1、d1から各々検出されたF駅およびD駅に関する情報が表示される。
【0061】
以上、駅情報の表示処理について説明した。
【0062】
このような本実施形態によれば、ユーザは、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる。
【0063】
なお、前述の実施形態では、全ての分割探索領域から駅を検出できない場合、探索領域の範囲を所定の範囲まで拡大したが、本発明は本実施形態に限られるものではない。第一変形例では、駅を検出できない分割探索領域がある場合でも、探索領域を拡大せず、検出できる駅がない旨を示すメッセージを分割探索領域に対応する分割表示領域に表示する。例えば、図7(a)に示すように、分割探索領域b1、d1には検出できる駅が存在していない。第一変形例では、このような場合に、探索領域を拡大する処理を実行せず、図11に示す画面例631を表示する。同図に示すように、分割探索領域b1、d1に各々対応する分割表示領域b、dの駅情報ボックス633、635には、検出できる駅が存在しない旨が表示される。
【0064】
このような第一変形例によっても、ユーザは、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる。しかも、駅の探索領域を拡大する処理を行わないことから、比較的に現在地から近い駅がある方面のみを迅速に表示することができる。
【0065】
また、前述の実施形態では、一つの分割探索領域内に2以上の駅が検出された場合、ユーザの現在地から最も近い距離にある駅を特定し、特定した駅に関する情報を表示領域に表示した。しかしながら、本発明は本実施形態に限られるものではない。第二変形例では、一つの分割探索領域から複数の駅が探索された場合、その全ての駅に関する情報を表示領域に表示する。例えば、図2に示すように、分割探索領域a1からはA駅とE駅の2つの駅が検出される。第二変形例では、このような場合、2つの駅情報を対応する分割表示領域に表示させる。図12は、一つの分割表示領域に複数の駅に関する情報が表示されている画面例641を示した図である。同図に示すように、2つの駅が検出された分割探索領域a1に対応する分割表示領域aには、A駅およびE駅に関する情報を表示する駅情報ボックス642、643が表示されることになる。
【0066】
このような第二変形例によっても、ユーザは、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる。しかも、ユーザは、同一方面にある複数の駅に関する情報を把握できる。したがって、例えば、現在地から遠い方の駅であっても、ユーザは、路線の種類に応じて、遠い方の駅を移動先の目標にすることもできる。すなわち、ユーザの駅を選択する幅を広げることができる。
【0067】
また、前述の実施形態では、駅名と、現在地から駅までの距離と、を表示領域に表示したが、本発明は本実施形態に限られない。第三変形例では、駅名および駅までの距離と共に、駅のある方位についても表示する。具体的には、地図表示装置は、GPS受信装置やジャイロセンサなどの各種センサから出力される情報を用いて、ユーザの現在地および進行方向と、検出した駅の位置と、を特定する。そして、地図表示装置は、特定した情報に基づいて、ユーザから見た場合の駅のある方位を算出し、駅名および現在地から駅までの距離と共に、駅のある方位に関する情報を表示領域に表示させる。図13は、駅名と、ユーザの現在地から駅までの距離と、ユーザから見た場合の駅のある方位と、が表示されている画面例651を示した図である。同図に示すように、表示領域の駅情報ボックス652、653、654、655には、各々、駅名と、ユーザの現在地から駅までの距離と、ユーザから見た場合の駅のある方位(例えば、北東や南東など)と、が表示される。
【0068】
このような第三変形例によっても、ユーザは、周辺にある駅に関する情報を常に把握することができる。しかも、駅名などの表示に加えて、現在地から見た場合の駅のある方位も併せて表示することから、駅の位置をより正確に認識させることができる。
【符号の説明】
【0069】
100・・・地図表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する記憶手段と、
表示領域に前記地図情報を表示する表示手段と、
前記表示領域の範囲外にある駅を特定する駅特定手段と、を備え、
前記表示手段は、
特定された駅に関する情報を前記地図情報と共に前記表示領域に表示する
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
ユーザが指定した地図上の地点を特定する地点特定手段と、
特定した前記地点を基準に、前記表示領域に表示する前記地図情報の表示範囲を変更する表示範囲変更手段と、
を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記駅に関する情報には、前記駅特定手段により特定された駅の名称が含まれる
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記駅に関する情報には、現在地と特定された前記駅との位置関係を示す情報が含まれる
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記駅特定手段は、
現在地から所定の範囲内にある駅を特定する
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記駅特定手段は、
前記表示領域内に設定される所定の基準点から放射状に分割された前記地図上の領域であって、該表示領域の外側に設定される分割地図領域に駅があるか否かを検索し、
駅が検出された場合、前記表示手段は、
検出された駅がある分割地図領域に隣接する表示領域内の所定位置に、該駅名および現在地から該駅までの距離を表示する
ことを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−220588(P2012−220588A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84017(P2011−84017)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】