地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置
【課題】便宜上定められた行政区画ではなく、使用者にとって違和感がない地域を示す地域データを作成する。
【解決手段】交差点(ノード)近傍の道路(リンク)に設置した方面案内標識に記載の情報を記憶する方面案内地図データベース12から、同一名称選択手段3で、地域を示す名称Aを選択し、方面案内標識に名称Aを持つ全てのノード・リンク情報を集め、同一名称追跡手段4で、あるノードから開始して道路ネットワーク上のリンクをたどって名称Aを持つノードを順次追跡し、名称Aを持たないノードに到達すると、該ノードを名称中絶点保持手段5で名称中絶点として保持し、別のノードに切り替えて再び追跡を繰り返す。集めたノード全ての追跡終了時点で、名称中絶点保持手段5に保持した各名称中絶点の分布範囲を全てまたは所定の割合で包含する幾何図形を、点群図形近似手段7で名称Aの地域領域として作成し、地域データ記憶手段8に記憶する。
【解決手段】交差点(ノード)近傍の道路(リンク)に設置した方面案内標識に記載の情報を記憶する方面案内地図データベース12から、同一名称選択手段3で、地域を示す名称Aを選択し、方面案内標識に名称Aを持つ全てのノード・リンク情報を集め、同一名称追跡手段4で、あるノードから開始して道路ネットワーク上のリンクをたどって名称Aを持つノードを順次追跡し、名称Aを持たないノードに到達すると、該ノードを名称中絶点保持手段5で名称中絶点として保持し、別のノードに切り替えて再び追跡を繰り返す。集めたノード全ての追跡終了時点で、名称中絶点保持手段5に保持した各名称中絶点の分布範囲を全てまたは所定の割合で包含する幾何図形を、点群図形近似手段7で名称Aの地域領域として作成し、地域データ記憶手段8に記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置に関し、特に、車載ナビゲーション装置など車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図を作成する際に、前記電子地図上の各地域を示す地域名称・地域領域として、使用者にとって違和感のない地域データを作成する地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載ナビゲーション装置やパソコンの地図ビューアソフトなどに使用される電子地図においては、各地域を参照するための地域名称や地域領域は、行政区画に準拠して設定されるように構成されていた。例えば、特許文献1に示す特開2002−122435号公報に開示されている「車載用ナビゲーション装置の経路案内方法」によれば、車両の現在位置より一定距離以上離れた行政区画の名称を、各地域を示す地域名称として、電子地図データから抽出して、各行政区画の名称をそれぞれボタン形状のインタフェースを用いて表示画面上に配することにより、目的とする方面に該当する行政区画への経路を簡単に探索して、案内させるようにしている。
【特許文献1】特開2002−122435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1のような従来技術にあっては、抽出する名称の対象となるのは、前述したように、行政上定められた都道府県、市区町村などの行政区画に限られることになるが、このような行政区画名の指す地域と、我々が日常、慣用的に参照したり言及したりする地域とでは、その参照の仕方や参照範囲などに食い違いがあって、画面表示された行政区画名について、次に示すような違和感を生じることが少なくない。
【0004】
第1に、行政区画名と慣用的に使用する地域名との間では、名称自体が異なっている場合がある。例えば、東京の「下北沢」、「市ヶ谷」といった名称は、ごく普通に参照・言及される地名であるが、行政区画名(住所表示)としては、東京に「下北沢」という町名は存在しないし、また、「市谷○○町」という町名は存在していても、「市ヶ谷」という町名はやはり存在しない。
【0005】
第2に、行政区画名と慣用的に使用する地域名とが同じ名称であったとしても、地域として参照される領域範囲に差異が生じている場合がある。例えば、慣用的には、東京の「品川」という地名が参照する領域範囲の中には、品川駅も品川税務署も含まれるものと考えて何の違和感もないが、行政区画名としては、品川駅も品川税務署も行政区画名の「東京都港区」に所在するものであり、「品川」に相当する行政区画名の「東京都品川区」の範囲外とされている。
【0006】
第3に、行政区画で定めている階層構成は、ある一律の基準を設けて地域名を仕分けする場合には便利な指標ではあるが、我々が通常参照したり言及したりする要求頻度は、行政区画上では同じ階層内に属する複数の地域名についてであっても必ずしも均等ではない。例えば、「○○郡」内の「A町」、「B町」は、山林が多く訪問者もあまり多くなく、一方、同じ「○○郡」内の「C町」や「D町」には、集落やキャンプ場などの施設があって訪問者も多い、という場合には、「A町」、「B町」は道路案内用としての地図上には表示しないで、使用者が参照する可能性が高いと思われる「C町」、「D町」を選択的に地図上に表示すれば、表示情報量を抑え、かつ、使用者の要求にある程度沿った地図表示を実現することができる。
【0007】
しかし、行政区画で定めている階層構成のように、便宜上定められたある一定の基準の階層構成に基づいて、地図の表示基準を一律に定めるようにした場合、ある階層内の地名を全て表示したり、その上の階層の地名の表示のみにとどめたり、という表示にせざるを得ず、表示が煩雑になりすぎたり、逆に、欲しい情報が得られなかったりすることになる。
【0008】
一方、我々が日常、慣用的に参照したり言及したりする地域名は、車両の運転者や通行人などの道路利用者に対する道路の案内情報として設置されている方面案内標識に表記される方面名称に広く採用されており、通常、我々が各地域を特定する地域名称として、違和感なく広く利用されるようになっている。
【0009】
本発明は、かくのごとき問題点に鑑みてなされたものであり、道路の方面案内標識に表記された情報を利用して、電子地図上の地域データを自動的に作成することにより、便宜上定められた行政区画の名称、領域とは異なり、日常的、慣用的に参照・言及され、使用者にとって違和感がない地域名称、地域領域を用いた地域データを作成する地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置は、便宜上定められた行政区画とは異なる、日常的、慣用的に参照・言及される地域名、地域領域を用いた地域データを形成するために、道路の方面案内標識に表記された情報を記憶した方面案内地図データベースを利用して、電子地図上の地域データを自動的に作成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。すなわち、道路の交差点付近に設置されて、比較的入手しやすく、かつ、整備された道路の方面案内標識に表記された情報に基づいて、使用者にとって自然で違和感のない地域データを作成することができ、さらに、一定の手順に従って人手によらず自動的に作成することができるので、同様の地域データを人手に任せて作成する場合に比べて、地域データの作成やメンテナンスの時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明による地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置の最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(方面案内標識に表記される情報)
まず、本発明において、電子地図上の地域データを作成する際に利用する道路の方面案内標識の情報について、図10、図11を用いて説明する。図10は、道路の方面案内標識の一例を示す模式図であり、図10(A)、図10(B)のいずれも交差点の直前の位置に設置された方面案内標識の一例を示している。図10(A)、図10(B)に示すように、方面案内標識に記されている方面名称(すなわち、本発明における地域名称)は、例えば「市ヶ谷」、「国分寺」などと概ね慣用的な名称で表現されている。また、方面案内標識に用いられる方面名称(地域名称)としては、「案内標識の表示地名に関する基準(案)について」(昭61.7.23発行)にも記載されているように、「地方生活圏の中心都市」、「二次生活圏の中心地」が選定基準として挙げられていることから、ある程度、使用者からの参照要求頻度が高いものが選択されていると考えることができる。
【0014】
加えて、方面案内標識に表記される方面名称(地域名称)は、一般的に、当該方面名称により特定される地域領域内においては、表示されることはなく、現在位置からある程度離れた地域に関する地域名称が表示されるように構成されている。すなわち、道路上を移動中に、今まで方面案内標識に表記されていた方面名称が、表記されていない方面案内標識の設置位置まで移動した場合、通常、当該方面名称(地域名称)に該当する地域領域に到達していることを示している。言い換えると、ある地域名称により特定される地域領域は、方面案内標識に表記される方面名称の有無を判定することにより略近似することができる。
【0015】
さらに、現行の車載用ナビゲーション装置においては、図11に示すように、経路案内(道路案内)機能の一つとして、誘導すべき交差点へ接近した時に、該交差点の直前の設置場所に設置されている方面案内標識を地図情報に重畳させて表示装置に図示し、さらには、誘導方向を示す案内矢印まで地図情報上や方面案内標識内に示す機能を有しているものも急速に増加してきている。したがって、ナビゲーション用電子地図データの構築においても、今後、方面案内標識に関する情報がより整備され、かつ、充実されていくことは疑う余地がない。図11は、現行の車載用ナビゲーション装置における方面案内表示の一例を示す模式図である。
【0016】
本発明は、車両の道路案内用のカーナビゲーションなど各種用途に使用される電子地図上の各地域を示す地域データについて、道路に設置されたかくのごとき方面案内標識に記された方面名称、地域領域などに関する方面案内情報を積極的に利用するとともに、さらに、人手を介することなく、道路の方面案内標識の方面案内情報に対して自動的にデータ加工処理を施すことによって、使用者にとって違和感のない地域データを自動的に作成するようにしている。
【0017】
(第1の実施形態)
次に、本発明による地域データ作成装置における第1の実施形態について説明する。
【0018】
(地域データ作成装置の構成例)
図1は、本発明による地域データ作成装置の構成の一例を示すブロック構成図である。
【0019】
図1に示す地域データ作成装置10は、道路ネットワーク記憶手段1、方面名称記憶手段2を少なくとも含む方面案内地図データベース12、同一名称選択手段3、同一名称追跡手段4、名称中絶点保持手段5、名称追跡処理制御手段6、点群図形近似手段7、および、地域データ記憶手段8を少なくとも含んで構成されている。
【0020】
ここで、道路ネットワーク記憶手段1および方面名称記憶手段2すなわち方面案内地図データベース12と、地域データ記憶手段8とは、例えばDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体と該記憶媒体の制御を行うドライバから構成され、その他の構成要素は、CPU、内部メモリ等からなる制御装置、もしくは、コンピュータ上に登録された実行形式のプログラムで構成されるようにしても良い。以下の説明においては、地域データ作成装置10が、DVDなどの記憶媒体を装着したコンピュータシステムにより実現されている場合について説明する。
【0021】
図1において、方面案内地図データベース12は、道路ネットワークと、道路に設置されている方面案内標識に表記された方面名称・方面方向を含む案内情報と、を記憶するものであり、前述のように、道路ネットワーク記憶手段1と方面名称記憶手段2とを少なくとも含んで構成されている。
【0022】
ここで、道路ネットワーク記憶手段1は、道路の接続位相構造を表現した道路ネットワークデータを記憶するものであり、該道路ネットワークデータを、交差点を示すノードと該交差点間を接続した道路セグメントを示すリンクとを組にしたノード・リンクデータにより表現している。また、方面名称記憶手段2は、市井の道路に設けられた方面案内標識に掲示されている方面名称を当該方面案内標識の方面方向に対応付けて記憶するものであり、道路ネットワーク上の各交差点近傍に設置された方面案内標識に表記された方面名称、方面方向を、当該交差点を示すノードと、当該ノードからの各方面方向を示すリンクと、を組にしたノード・リンクデータ、に対応付けて記憶している。
【0023】
また、同一名称選択手段3は、方面案内地図データベース12の方面名称記憶手段2に記憶された方面名称の中から一つの名称を、電子地図上の地域データを構成する地域名称の一つとして選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上のノード・リンクデータ(すなわちノードとそこから当該方面名称が示す方面(地域)に進むリンクとの組)を、方面名称記憶手段2から全て集めて保持するものである。
【0024】
また、同一名称追跡手段4は、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータの中からいずれか一つのノードを選択し、道路ネットワーク上で、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象として、選択された当該ノードから検索を開始して、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを順次検索してたどるように追跡していくものである。
【0025】
すなわち、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータの中からいずれか一つのノード・リンクデータを選択し、選択された当該ノードのリンクの他端点方向に前記道路ネットワーク上をたどり、たどった先の他端点側のノードに接続されたいずれかのリンクに、検索対象の当該方面名称と同一の名称が対応付けられているものが存在すれば、さらに、同一名称が対応付けられた該リンクを先にたどる、という形で、道路ネットワーク上で同一名称を次々に追跡していく名称追跡処理を実行するものである。
【0026】
また、名称中絶点保持手段5は、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行中に、追跡した先のノードに接続されている全てのリンクについて、現在追跡中の検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられていないノードに到達した場合、当該ノードを名称中絶点として保持するものである。
【0027】
また、名称追跡処理制御手段6は、あらかじめ定められた所定の条件を満たした場合に、同一名称追跡手段4において現在実行中の名称追跡処理を終了したり、新たな名称追跡処理を開始するなど、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行を制御するものである。
【0028】
すなわち、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に達した場合、もしくは、既に追跡済みのノードに達した場合、現在実行中の名称追跡処理を終了し、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータのうち他の未追跡のノードを選択して新たに同一名称追跡手段4の名称追跡処理を開始するように、同一名称追跡手段4の実行を制御するものである。
【0029】
また、点群図形近似手段7は、同一名称追跡手段4により得られた一群の名称中絶点に対し、それらの分布範囲をカバーする円、楕円などの形状を含む任意の形状の幾何図形を生成することにより、検索対象の当該方面名称と同一の名称が付与される前記地域名称の地域領域を特定する地域データとして近似するものである。
【0030】
すなわち、同一名称選択手段3に保持された全てのノード・リンクデータに対して同一名称追跡手段4における名称追跡処理が終了した時点で、名称中絶点保持手段5に保持された一群の名称中絶点に対し、それらの分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合(例えば8割など)で包含する円、楕円などを含む任意形状の幾何図形を、検索対象の当該方面名称すなわち地域名称が示す地域領域として近似するものである。
【0031】
また、地域データ記憶手段8は、点群図形近似手段7によって得られた幾何図形を当該方面名称すなわち地域名称の指す地域領域と定め、当該方面名称すなわち地域名称とともに、地域データとして記憶するものである。
【0032】
(地域データの作成例)
次に、図1に示す地域データ作成装置10における地域データの作成例について説明する。図2は、図1に示す地域データ作成装置10の方面案内地図データベース12に記憶されている道路ネットワークと方面案内標識が設置された交差点と方面名称との一例を模式的に示す模式図であり、リンクaに該当する道路セグメントを進行している車両の進行方向にあるノード1(交差点)には、リンクa(道路セグメント)から進入するノード1(交差点)の直前に設置されている方面案内標識の方面案内情報として、左折が上大岡、直進が杉田、右折が金沢の方面である旨が記憶されている例を示している。
【0033】
すなわち、方面案内地図データベース12の道路ネットワーク記憶手段1に記憶される道路ネットワークデータは、図2に例示するように、道路セグメントを表現するリンクと交差点を表現するノードとを組にしたノード・リンクデータによって構成されている。ここで、リンクは、ノード間の接続という位相的な関係を示しており、道路セグメント自体がカーブしているなどのような具体的な形状を示す必要はない。一方、ノードに関しては、ノードの具体的な座標位置(すなわち緯度・経度)が記憶される。
【0034】
また、方面名称記憶手段2に記憶される方面名称は、ノード(交差点)に進入する各リンクの直前に実際に設置された方面案内標識に基づき、各方面名称について、どの交差点(ノード)からどの分岐路(リンク)に向かうものであるか、すなわち、起点ノードと方向リンクとを組にしたノード・リンクデータに対応付けて記憶される。図2の例では、リンクaからノード1に到達しようとしている場合、到達したノード1からさらに先に進むリンクa以外の各リンク(リンクb、リンクc、リンクd)に「上大岡」、「杉田」、「金沢」がそれぞれ対応付けられることになる。
【0035】
実際の道路の交差点には、該交差点に進入してくる各道路セグメント(リンク)に対応付けて、別々の方面案内標識が設置されている。図3は、図1に示す地域データ作成装置10の方面案内地図データベース12に一つのノード1(交差点)に進入する複数のリンクそれぞれについて記憶されている道路ネットワークと方面案内標識の設置位置と方面名称との一例を説明するための説明図であり、一つのノード1(交差点)に進入してくるリンク(道路セグメント)ごとに設置されている別個の方面案内標識それぞれに表記された方面名称すなわち地域名称を記憶している例を示している。
【0036】
図3(A)では、ノード1は、リンクa,b,c,dの4つのリンクの接続点を形成していて、ノード1に該当する交差点に進入してくる各リンクa,b,c,d(道路セグメント)にそれぞれ対応付けて標識a,b,c,dに示す方面案内標識が設置されている例を模式的に示しており、図3(B)では、ノードNoが「1」の交差点において、リンクNo「a」、「b」、「c」、「d」のそれぞれの方面方向に存在する地域の方面名称を対応付けて記憶している例を示している。
【0037】
すなわち、図3(A)、(B)に示すように、実際の交差点では、複数の進入方向それぞれに方面案内標識が別個に設置されている。ここで、同じ起点ノードと方向リンクに対して複数の方面名称が対応付けられる場合、複数の方面名称それぞれが個別に記憶される。図3(A)、(B)に示す例においては、例えば、ノード1からリンクaに進む方面名称として「港南台」、「戸塚」、リンクbに進む方面名称として「上大岡」、「関内」、また、リンクdに進む方面名称として「横須賀」、「金沢」というように2つの名称が個別に記憶されている。
【0038】
なお、図3(A)の標識aに記載されている「国道16号」(道路名称)のように、地域名称ではない名称については、方面名称記憶手段2には記憶されないものとする。ただし、駅名は、行政区画としての地域名称とは一致しないものの、通常、駅周辺の地域と同じ地域名称として参照されることが多いため、本実施例においては、「○○駅」の「駅」を除いた名称「○○」も含めて記憶するものとする。
【0039】
(本実施形態における作用)
次に、図1に示した地域データ作成装置10によって作成した地域データに関する作用について説明する。図4は、本発明による地域データ作成装置10において、道路ネットワークに対応付けて方面案内地図データベース12に記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の一例を模式的に説明した説明図である。
【0040】
図4に示すように、今、道路ネットワークのいくつかのノードを起点ノードとして、例えば「金沢」という方面名称が記憶されているものとする。このうち、ある一つの起点ノード例えばノードa1を例にとって、その「金沢」を指す方向(図3中に実線矢印で示した方向)にリンクa1をたどると、別の第2の起点ノードa2(実線、点線いずれかの矢印の起点となっているノード)に到達する。もし、この第2の起点ノードa2に対して、さらに、「金沢」方面に対応付けられるリンクa2(実線矢印)が存在するならば、「金沢」地域にはまだ到達していないものと見なして、さらに先のリンクa2をたどる。
【0041】
その結果、別の第3の起点ノードa3(点線の矢印のみの起点となっているノード)に到達する。図4に示すように、第3の起点ノードa3は他の方面に向かうリンク(点線矢印)を有しているにもかかわらず、「金沢」方面を指すリンク(実線矢印)は接続されていない。したがって、第3の起点ノードa3に到達するまで「金沢」を指す方向に道路ネットワークを順次たどった結果、ここに至って、「金沢」方面を示す必要がなくなった、すなわち、第3の起点ノードa3の位置が、検索対象とした目的地を示す「金沢」という地域の中に既に到達していると考えても良いことを意味している。
【0042】
かくのごとく、ある方面名称を指す方向に道路ネットワークを順次たどる過程において、当該方面名称を指す方面が示されなくなるノードが出現した場合、当該方面名称の地域に到達していることを示しているものとして、当該ノードのことを、以降の説明においては、「名称中絶点」と呼ぶことにする。本発明の基本的な考え方は、このような名称中絶点が存在する範囲をその方面名称すなわち地域名称が示す「地域領域」として定義しようというものである。
【0043】
図4の場合、図示した中央付近にノードa3、ノードb2、ノードc3という3点の名称中絶点を検出することができ、この3点を包含する領域を円や楕円などを含む任意の図形形状(図4では、破線で示すような楕円)で囲むことによって求めるべき地域名称の地域領域として近似して、これを「金沢」という地域名称の地域領域として特定するための地域データを作成することができる。
【0044】
(本実施形態の動作例)
次に、図1に示した地域データ作成装置10の動作の一例について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図5は、本発明による地域データ作成装置10の地域データ作成処理におけるメイン動作の一例を説明するフローチャートであり、本発明による地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの一例を示すものである。
【0045】
図5のフローチャートの処理が起動されると、まず、図1の同一名称選択手段3において、方面案内地図データベース12の方面名称記憶手段2に記憶されている方面名称の中から、これから地域データを作成しようとする地域名称として一つの方面名称を選択し(その名称をAとする)、名称Aに対応付けられた道路ネットワーク上の起点ノードNと方向リンクLとの組すなわちノード・リンクデータ(N、L)を方面名称記憶手段2の中から全て集めて、名称Aに対応付けられた全てのノード・リンクデータ(N、L)の集合を、名称Aの地域領域を算出するための処理対象データ集合Sとする(ステップS501)。
【0046】
ここで、名称Aとして例えば「金沢」という名称を選んだ場合、仮にノード・リンクデータ(N、L)を全国規模の道路ネットワーク上から集めたとすると、その中には、例えば「横浜市金沢区」近辺を示すものと「石川県金沢市」近辺を示すものとが混在する可能性がある。しかし、この両者は、かなり離れた場所に存在している地域名であり、それぞれの地域を方面として示す方面案内標識も、混乱を招かない程度に離れて設置されているものと考えても良い。
【0047】
そこで、このような「同名異地域」の問題を解決するために、必要に応じて、処理対象データ集合S内に集められた各ノード・リンクデータ(N、L)のノード位置を比較して、あらかじめ定められた距離以内に近接するノード同士をグループごとにまとめるグルーピング処理(クラスタリング処理)を行う(ステップS502)。グルーピング処理(クラスタリング処理)を行うには、例えば「最短距離法」などのクラスタリング手法として知られている公知技術を用いれば良い。
【0048】
すなわち、同一名称選択手段3では、処理対象データ集合S内に集められたノード・リンクデータのノード位置の分布に基づいて、必要に応じて、あらかじめ定められた距離以内に近接するノード同士をまとめるグルーピング処理(クラスタリング処理)を行い、グルーピング処理(クラスタリング処理)が実施された場合は、その中のいずれか対象とすべき一つのグループ(クラスタ)に対するノード・リンクデータ(N、L)の集合を改めて処理対象データ集合Sと設定すれば良い。
【0049】
この結果、同一名称追跡手段4における名称追跡処理として、同一名称選択手段3におけるグルーピング処理として改めてまとめられた各クラスタに属するノード・リンクデータごとに、個別に、地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称の追跡処理を行うことが可能となり、名称Aが「金沢」であっても、「横浜市金沢区」近辺を示すものと「石川県金沢市」近辺を示すものとを、それぞれ別個に追跡することができる。
【0050】
次に、図1の同一名称追跡手段4において、処理対象データ集合Sの中でまだ追跡処理を行っていないノード・リンクデータ(N、L)を任意に一つ選択し、そのノードNをこれから名称Aの追跡処理を開始する起点ノードすなわち追跡対象ノードNpとして初期化する。また、追跡対象ノードNpへの進入リンクLoは、最初の追跡対象ノードNpの設定時点では未定義として初期化する(ステップS503)。続くステップS504、S505、S506の3つの判断処理は、いずれも繰り返し処理の初回、すなわち、ステップS503から引き続く処理の場合では、判定結果は自明であるが、以下では、2回目以降の繰り返し処理で問題となる点も踏まえて説明することとする。
【0051】
まず、追跡対象ノードNpに対して何らかの方面名称(今、処理中の名称Aとは限らない)が、対応付けられて記憶されているか否かを調べる(ステップS504)。この判断処理を実行するのは、道路ネットワーク記憶手段1に記憶された道路ネットワークデータの全てのノードに対して、必ずしも常に方面名称が対応付けられているわけではないためである。言い換えれば、ノードに相当する全ての交差点に、必ずしも、方面名称が表記された方面案内標識が設置されているわけではない、という前提を置いているためである。
【0052】
すなわち、ある方面名称を追跡していく処理過程において、当該方面名称が掲示されている交差点で中絶したとしても、その交差点が例えばあまり規模の大きい交差点ではなく、元々、方面案内標識が設置されていない交差点であったとした場合、そのような交差点をもって、追跡している方面名称(地域名称)を指す地域の中に入ったと見なすには根拠が薄弱である。
【0053】
名称追跡処理制御手段6は、地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において、方面案内標識を有していない交差点に到達した場合、すなわち、いかなるノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した場合、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を終了することなく、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクとなる道なりのリンクに対して、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するように制御すべきである。
【0054】
また、名称中絶点保持手段5は、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において到達した、いかなるノード・リンクデータにも対応付けられていない当該ノードを、名称中絶点として登録しないようにすべきである。
【0055】
さらに言えば、何らかの方面案内標識が設置されている交差点であるにも関わらず、該方面案内標識内にはそれまで追跡してきた方面名称(地域名称)に対する案内が記されていない、という条件が成立した場合に、初めて、追跡している方面名称(地域名称)が指す地域領域の中に入っていると判断する方がより確実である。すなわち、検索対象の方面名称(地域名称)の表記がなされていない方面案内標識が設置されている当該交差点(ノード)を、当該方面名称(地域名称)が指す地域領域の中に入っていることを意味する名称中絶点であると見なすべきである。
【0056】
そのため、方面案内標識が設置されていないノードに到達した場合は、名称中絶点としての処理を見合わせて、さらに追跡を継続することとしている。その処理の詳細については、以降の名称追跡を継続するリンクとしてあらかじめ定められた道なりのリンク(追跡方向のリンク)についての説明とともに後述する。
【0057】
ステップS504において、方面案内標識が設置されていなく、相当する方面名称が何もない場合、すなわち、追跡対象ノードNpを起点とする方面案内が何もないノードであった場合は(ステップS504のNO)、後述するステップS512以下の別処理に進む。
【0058】
一方、方面案内標識が設置されていて、相当する方面名称が存在している場合、すなわち、追跡対象ノードNpを起点とする何らかの方面名称が存在しているノードであった場合は(ステップS504のYES)、次に、追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在するか否かを調べる(ステップS505)。検索対象の名称Aを指す方向リンクが存在しているならば(ステップS505のYES)、そのリンクLを追跡リンクLpとする。
【0059】
ここで、名称Aに対応付けられたノード・リンクデータ(N、L)は、あらかじめ処理対象データ集合Sに全て集められているはずであるので、ステップS505の処理は、処理対象データ集合S内のノード・リンクデータ(N、L)の中に、追跡対象ノードNpに一致するNを有するものが存在しているか否かを調べていることに他ならない。ステップS505でYESとなった場合のように、存在しているならば、同時に、ノード・リンクデータ(N、L)として名称Aに対応付けられたリンクLがすなわち追跡リンクLpとなる。
【0060】
このようにして、ノード・リンクデータ(Np、Lp)が処理対象データ集合S内の一要素として定まったならば(すなわち、ステップS505のYESの場合)、次に、この(Np、Lp)というノード・リンクデータに対して、追跡済みのフラグが既に設定されているか否かをチェックする(ステップS506)。
【0061】
追跡済みのフラグが既に設定されていた場合は(ステップS506のNO)、それ以降の名称Aの追跡は意味がないので、後述のステップS510に処理を移し、処理対象データ集合S内に未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在しているか否かをチェックする(ステップS510)。未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS510のYES)、ステップS503の処理に復帰して、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)のノードを改めて起点ノードすなわち追跡対象ノードNpとして、当該追跡対象ノードNpからの追跡を再び開始する。
【0062】
一方、追跡済みのフラグがまだ設定されておらず、未追跡のノード・リンクデータであった場合は(ステップS506のYES)、次のステップS507に移る。なお、ステップS503においては、「追跡対象ノードNpとした起点ノードNには名称Aが対応付けられていて」、「処理対象データ集合S内における」「未追跡の」ノード・リンクデータ(N、L)を繰り返し処理の初期状態として選んでいるのであるから、繰り返し処理の最初の処理では、以上のステップS504、S505、S506の3つの判断処理はいずれも「YES」となり、ステップS507まで進むことは自明である。
【0063】
ステップS507に到達すると、現在追跡の対象としているノード・リンクデータ(Np、Lp)に対して、追跡済みのフラグを設定する(ステップS507)。しかる後、名称Aの追跡処理をさらにその先に進めるために、追跡対象ノードNpから追跡リンクLp方向へ進んだ先のノードN(追跡リンクLpの追跡対象ノードNpとは反対側に位置する他端点ノードN)を求め、この他端点ノードNを改めて追跡対象ノードNpと設定する。さらに、新たな追跡対象ノードNpへの進入リンクLoとして、これまでの追跡リンクLpを設定する(ステップS508)。しかる後、名称Aのさらなる追跡処理を継続するために、ステップS504に処理を戻す。
【0064】
また、ステップS505において、名称Aを指す方向リンクが存在していなかった場合(ステップS505のNO)、現在の追跡対象ノードNpに相当するノード・リンクデータ(N、L)が処理対象データ集合S内に見つからない場合であり、前段のステップS504において、方面案内標識が設置されていて、何らかの方面名称が対応付けられていることが証明されたにもかかわらず、方面名称としてその先に名称Aを追跡する情報が存在していない場合に該当しているので、当該追跡対象ノードNpを名称中絶点であると見なし、ステップS509に処理を移す。
【0065】
したがって、図1に示す名称中絶点保持手段5において、追跡対象ノードNpを名称Aに関する名称中絶点として登録して(ステップS509)、ステップS510の処理に進み、前述したように、処理対象データ集合S内に未だ追跡していないノード・リンクデータ(N、L)が存在するか否かを調べる(ステップS510)。未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS510のYES)、ステップS503の処理に復帰して、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)からの追跡を再び開始する。
【0066】
一方、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他には残っていなければ(ステップS510のNO)、ステップS511に進み、図1の点群図形近似手段7において、名称中絶点保持手段5に登録されている一群の名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合(例えば8割程度など)で包含する円形領域や楕円領域などの任意形状の幾何図形によって、地域名称が名称Aに関する地域領域を近似する地域データとして決定する。名称Aの地域領域として近似された幾何図形を、名称Aとともに地域データとして地域データ記憶手段8に記憶して、地域名称Aに関する地域データの作成処理を終了する(ステップS511)。
【0067】
また、点群図形近似手段7において、地域名称Aに関する地域領域を近似する最も簡単な処理としては、例えば、次のような円形領域を作成するようにしても良い。すなわち、名称中絶点保持手段5に保持された一群の名称中絶点の分布として与えられた点群に対する重心位置G0を求めて、さらに、重心位置G0から最も離れた最遠距離の名称中絶点までの距離R0を求め、重心位置G0を中心とし、距離R0を半径とする円形領域によって近似する方法を採用しても良い。かかる近似処理により、登録された全ての名称中絶点を包含する最小の大きさの円形領域を地域名称Aの地域領域として簡単に定義することができる。
【0068】
なお、地域名称Aに関する地域領域を図形近似する方法としては、このような場合のみに限るものではなく、例えば、重心位置G0を中心とする円の半径として、前述のごとく、点群のあらかじめ定められた割合例えば8割が包含される程度にまで短縮した半径R1を用いて近似したり、あるいは、他の図形(二次元に分布する点群の回帰直線を長軸方向とする楕円、など)によって近似したりしても良い。
【0069】
また、ステップS504において、現在の追跡対象ノードNpに相当する方面名称が何もない場合、すなわち、追跡対象ノードNpを起点とする方面名称が何も存在していないノードであった場合は(ステップS504のNO)、現在の追跡対象ノードNpには方面案内標識が設定されていなく、方面名称が特に対応付けられていない場合であり、前述したように、この追跡対象ノードNpを名称中絶点と即座に見なすことなく、名称中絶点との判断を見合わせて、名称追跡処理を継続することにする。
【0070】
すなわち、ステップS512に進み、名称追跡処理制御手段6は、いかなるノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した以後も、地域名称Aとして選択された当該方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するために用いる追跡方向のリンクLpの存在を確認するために、追跡対象ノードNpと該追跡対象ノードNpへの進入リンクLoとから、進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに先に進む道なりリンクLをあらかじめ定められた追跡方向のリンクLpとして求められるか否かを調べる(ステップS512)。
【0071】
ここで、「道なりリンク」の要件は、追跡方向のリンクとしてあらかじめ定義しておくものであり、例えば、次のような要件をあらかじめ定義するようにしても良い。ただし、道なりリンクの定義は、このような要件のみに限るものではなく、必要に応じて追加することも可能である。
【0072】
(1)当該追跡対象ノードNpへの進入リンクLoと同じ路線番号(例えば国道1号など)または路線名称(例えば鎌倉街道など)に属するリンクを道なりリンク(追跡リンク)Lpとする。
【0073】
(2)または、当該追跡対象ノードNpへの進入リンクLoと同じ路線番号、路線名称のリンクが全く存在していない場合、もしくは、2つ以上存在している場合は、進入リンクLoとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内であって、かつ、進入リンクLoとの角度が最も直線に近いすなわち180度に最も近いリンクを道なりリンク(追跡リンク)Lpとする。
【0074】
ここで、要件(1)、(2)に照らしてみても、進入リンクLoから道なりに続く道なりリンクが求まらない場合、例えば追跡対象ノードNpがT字交差点であって、かつ、進入リンクLoがT字交差点の突き当たり方向に侵入するリンクであり、さらに、各リンクに路線番号や路線名称も定められていないような場合、すなわち、ステップS512において、進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに先に進む追跡リンクLpを求めることができない場合(ステップS512のNO)、さらなる先のリンクへと名称Aを追跡する手段が存在していないため、この追跡対象ノードNpを改めて名称中絶点と見なすこととして、ステップS509に処理を進める。
【0075】
一方、進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに先に進む追跡リンクLpが求めることができる場合(ステップS512のYES)、さらに名称Aの追跡処理を続けるため、ステップS508に処理を移し、追跡リンクLpの先に接続されたノードNを求める処理を繰り返す。
【0076】
(本実施形態における効果)
以上の本発明の第1の実施形態の詳細な説明から明らかなように、本発明においては、次のような効果を奏することができる。すなわち、道路の交差点付近に設置されて、比較的入手しやすく、かつ、整備された道路の方面案内標識に表記された方面案内情報に基づいて、使用者にとって自然で違和感のない地域データを作成することができ、さらに、一定の手順に従って人手によらず自動的に作成することができるので、同様のデータを人手に任せて作成する場合に比べて、地域データの作成やメンテナンスの時間を大幅に短縮することができる。
【0077】
また、名称中絶点の分布として与えられた点群の重心位置G0を求めて、さらに、重心位置G0から最も離れた名称中絶点までの距離R0を求め、重心位置G0を中心とし、距離R0を半径とする円形領域によって地域領域を近似する、あるいは、あらかじめ定められた割合の名称中絶点の点群が包含される半径R1を求め、重心位置G0を中心とし、距離R1を半径とする円形領域によって地域領域を近似する方法を採用することによって、非常に簡単な計算を用いて、使用者にとって違和感がない地域名称、地域領域からなる地域データを自動的に作成することができるので、その作成やメンテナンスに要する時間をさらに短縮することができる。
【0078】
さらには、同名で異なる地域を表す方面案内標識のデータが混在している場合であっても、あらかじめ定められた距離以上に離れているか否かに基づいて、クラスタリング処理を施すことにより、それぞれの地域名称に関する地域データを、個別に、自動的に作成することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、本発明による地域データ作成装置における第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態においては、道路ネットワーク上での名称追跡処理において、方面案内標識は存在しているものの、追跡対象とする名称に対応付けられていないノードを検出した時点で、直ちに、該ノードを名称中絶点として、当該名称の地域領域に属するものと見なしていた。しかし、実際に、道路に設置された方面案内標識を順次追っていった場合、当該名称が付与された地域領域に到達するまで、必ずしも、当該名称が道路の各方面案内標識に連続して表記されている、という保証はない。
【0080】
例えば、国土交通省の「わかりやすい道路案内標識に関する検討会」の提言によれば、方面案内標識に標記する方面名称(地名)については「表示の連続性・一貫性を確保する」ために、「表示地名の乱れの点検を行い、早急に是正する」ことが謳われており、将来的には、連続性が保証されていく方向にあるとはいうものの、現実には、方面案内標識に表記されている方面名称には乱れがあり、目標の地域領域に到達するまで、同じ方面名称が連続して表記されていないことを物語っている。
【0081】
本発明の第2の実施形態においては、第1の実施形態の図1に示した地域データ作成装置10のブロック構成をそのまま適用することができるが、前述したように、たとえ、方面名称の連続性が保証されていない場合であっても、確実に、地域データを自動作成する方法について説明するものである。第2の実施形態の概略を説明すると、次の通りである。
【0082】
まず、地域名称として選択された方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において、ノード・リンクデータは存在しているものの、検索対象の当該方面名称に対応付けられていないノードに到達した場合、第1の実施形態における同一名称追跡手段4における名称追跡処理を停止する場合とは異なり、名称追跡処理制御手段6は、当該ノード(第1の実施形態における名称中絶点に相当するノード)に到達した以後も、あらかじめ定められた停止条件が満たされるまで、さらに、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクとなる道なりリンクに対して、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するように制御する。
【0083】
また、名称中絶点保持手段5は、当該ノードに到達した時点では、第1の実施形態のように、名称中絶点として正式に登録する場合とは異なり、名称中絶点に該当する当該ノードを仮の名称中絶点として仮登録するにとどめる。
【0084】
次に、同一名称追跡手段4は、仮の名称中絶点として登録された当該ノードの先に、あらかじめ定められた追跡方向のリンクとして、道なりに進む進路(道なりリンク)があれば、その方向の道なりリンクに進んで当該方面名称の追跡を継続する。その結果、以降継続される同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行中に、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを再び検出した場合は、先に仮登録していた名称中絶点のノード位置では、結局のところ、まだ、検索対象の当該方面名称が示す地域領域には到達していなかったものと判定して、仮登録していた仮の名称中絶点を破棄する。
【0085】
なお、名称追跡処理制御手段6が、地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行の継続を停止させるための前記停止条件としては、例えば次の条件を少なくとも含むように設定されているものとする。
【0086】
(a)同一名称追跡手段4における名称追跡処理があらかじめ定めた所定の追跡範囲の境界域まで到達して該追跡範囲より外のノード・リンクデータへ移動しようとしてしまった際に、今までの追跡方向に対して逆向きに戻る方向にリンクを遡って、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続し、逆向きの追跡方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを検出した場合、つまり、今までの追跡方向に対して逆向きにたどったノードに当該方面名称が表記された方面案内標識を検出した場合。
【0087】
(b)あるいは、仮の名称中絶点として登録された当該ノードに接続されたリンクのいずれもあらかじめ定めた追跡方向のリンクすなわち道なりリンクに該当していない場合、つまり、仮登録した名称中絶点として登録された当該ノードから先に道なりの進路(道なりリンク)が存在していなかった場合。
【0088】
ここに、名称追跡処理制御手段6が、仮の名称中絶点として登録されるノードに到達した以後も、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するために用いる追跡方向のリンクすなわち道なりリンクを定義する要件としては、第1の実施形態における場合と同様であり、例えば、次のような要件を少なくとも含むリンクである。
【0089】
(1)当該ノードNへの進入リンクLoと同じ路線番号(例えば国道1号など)または路線名称(例えば鎌倉街道など)に属するリンク。
【0090】
(2)または、当該ノードNへの進入リンクLoと同じ路線番号、路線名称のリンクが全く存在していない場合、もしくは、2つ以上存在している場合は、進入リンクLoとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内であって、かつ、進入リンクLoとの角度が最も直線に近いすなわち180度に最も近いリンク。
【0091】
一方、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の過程で、名称追跡処理制御手段6においてあらかじめ定めた前記停止条件が満たされた場合、名称中絶点保持手段5は、その時点までに、仮の名称中絶点として登録されていたノードを正式の名称中絶点として本登録し直す。
【0092】
このような処理を全てのノード・リンクデータ(N、L)について繰り返すことにより、正式に本登録された一群の名称中絶点を取得し、取得した一群の名称中絶点から当該名称が示す地域領域を求めることとする。
【0093】
(本実施形態の動作例)
次に、図1に示した地域データ作成装置10の動作の図5のフローチャートとは異なる例について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。図6は、本発明による地域データ作成装置10の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5と異なる例を説明するフローチャートであり、本発明による地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの図5とは異なる例を示すものである。
【0094】
図6のフローチャートにおいて、まず、ステップS601、S602は、第1の実施形態における図5のフローチャートのステップS501、S502と同様の処理であり、地域名称として選択された名称Aを方面名称として対応付けられたノード・リンクデータ(N、L)を全て集め、処理対象データ集合Sとするとともに(ステップS601)、同名異地域に対応するために、必要に応じて、あらかじめ定められた距離以内に近接したノード同士をまとめるグルーピング処理(クラスタリング処理)を施す(ステップS602)。しかる後、名称追跡を際限なく続けることを避けるため、処理対象データ集合Sに集められたノードNの分布から追跡範囲ARをあらかじめ定めておく(ステップS603)。
【0095】
ここで、追跡範囲ARの決め方はどのようなものであっても良いが、処理対象データ集合S内の全ノードを含む範囲で、かつ、なるべく小さい領域となることが望ましい。例えば、処理対象データ集合S内の全てのノードの緯度・経度のうち、緯度・経度の最大値、最小値から定まる矩形領域とすれば良い。
【0096】
次に、図5のフローチャートのステップS503と同様に、処理対象データ集合Sの中でまだ追跡処理を行っていないノード・リンクデータ(N、L)を任意に一つ選択し、そのノードNをこれから名称Aの追跡処理を開始する起点ノードすなわち追跡対象ノードNpとして初期化する。また、追跡対象ノードNpへの進入リンクLoは未定義として初期化する(ステップS604)。
【0097】
続いて、追跡対象ノードNpが、先にステップS603にて定めた追跡範囲ARの中に存在しているか否かをチェックする(ステップS605)。追跡対象ノードNpが、追跡範囲ARの中にはなく外に出てしまう場合は(ステップS605のNO)、検索対象の方面名称のそれ以上の追跡処理を中止し、後述するステップS612以下の名称中絶点の本登録処理に移る。
【0098】
一方、追跡対象ノードNpが、まだ追跡範囲ARの中に存在している場合(ステップS605のYES)、次に、図5のフローチャートのステップS505と同様に、追跡対象ノードNpが名称Aに対応付けられた起点ノードとして記憶されているか、言い換えれば、処理対象データ集合S内のノード・リンクデータ(N、L)の中に、追跡対象ノードNpと一致するノードNを持つものとして、現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在しているか否かを調べる(ステップS606)。追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在しているならば(ステップS606のYES)、そのリンクLを追跡リンクLpとする。
【0099】
一方、追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在していない場合、すなわち、追跡対象ノードNpに対してこれを起点ノードとした名称Aが記憶されていない場合(ステップS606のNO)、後述するステップS618の処理に移り、追跡対象ノードNpを名称中絶点として仮登録する処理を行う。
【0100】
このようにして、処理対象データ集合S内に追跡中の名称Aを持つノード・リンクデータ(Np、Lp)が存在する場合、すなわち、ノード・リンクデータ(Np、Lp)が処理対象データ集合S内の一要素として定まった場合(すなわち、ステップS606のYESの場合)、次に、名称Aの方面を示す方向が、今までの追跡方向と逆向きになっているか否かを調べる(ステップS607)。
【0101】
本実施形態においては、前述したように、たとえ、ノード・リンクデータは存在しているものの、検索対象の当該方面名称に対応付けられていないノードに到達した後であっても、仮の名称中絶点として登録するにとどめて、引き続き、その道なり方向の進路について名称追跡を続ける。この結果、いずれ、名称Aの示す地域の外側に出てしまった場合は、逆に戻る方向に遡ってたどっていくこととし、逆方向の追跡処理で名称Aの方面名称を再び検出するという処理を行っている。この結果、逆方向の追跡処理で名称Aの方面名称を再び検出した時点で、名称Aに関する地域領域に確実に到達したものと見なして、名称Aに関する追跡処理を中断し、そこまでに仮登録されていた名称中絶点を本登録してやれば良い。
【0102】
ここで、名称Aに関する追跡方向とA方面を示す方向との逆転を判断するためには、具体的には、ステップS607に示すように、A方面を示している追跡リンクLpがそれ以前の追跡過程で追跡対象ノードNpに進入したリンクLoと同じであるか否かを調べることにすればよい。名称Aに関する名称追跡方向が逆転していて、A方面を示す追跡リンクLpが進入リンクLoと同じ場合(ステップS607のYES)、当該ノード・リンクデータ(Np、Lp)に対して追跡済みを示す追跡済みフラグを設定した後(ステップS617)、後述するステップS612以下の名称中絶点の本登録処理に移行する。
【0103】
一方、追跡方向とA方面を示す方向とが逆転していなく、追跡リンクLpがリンクLoと同じでない場合には(ステップS607のNO)、たとえ、それまでに仮登録された仮の名称中絶点が存在していたとしても、A方面を示すリンクが再度現れた場合であるとして、それまでに仮登録されていた仮の名称中絶点は実際には名称Aが示す地域領域内には存在していなかったものと見なして、これら仮登録されていたノードに関する仮の名称中絶点をすべて破棄する(ステップS608)。
【0104】
次いで、当該ノード・リンクデータ(Np、Lp)が未追跡であるか否かを調べる(ステップS609)。すでに追跡済みの場合は(ステップS609のNO)、後述するステップS615に進んで、処理対象データ集合S内に未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在しているか否かをチェックし(ステップS615)、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS615のYES)、ステップS604の処理に復帰して、新たに追跡処理を開始する。
【0105】
一方、ノード・リンクデータ(Np、Lp)が未追跡であった場合は(ステップS609のYES)、図5のフローチャートのステップS507、S508と同様に、現在追跡対象としているノード・リンクデータ(Np、Lp)に追跡済みのフラグを設定し(ステップS610)、追跡対象ノードNpから追跡リンクLp方向へ進んだ先のノードN(追跡リンクLpの追跡対象ノードNpとは反対側に位置する他端点ノードN)を求め、この他端点ノードNを改めて追跡対象ノードNpと設定し、さらに、これまでの追跡リンクLpを新たな追跡対象ノードNpへの進入リンクLoとした後(ステップS611)、名称Aのさらなる追跡処理を継続するため、ステップS605に処理を戻す。
【0106】
また、ステップS605において追跡対象ノードNpが追跡範囲ARの外に出てしまった場合(ステップS605のNO)、あるいは、ステップS607において追跡方向と名称Aの方面を指す方向との逆転が起きていて(ステップS607のYES)、当該ノード・リンクデータ(Np、Lp)に対して追跡済みを示す追跡済みフラグを設定した場合には(ステップS617)、その時点で仮登録されている名称中絶点が存在するか否かをチェックする(ステップS612)。
【0107】
仮登録されている仮の名称中絶点が存在している場合は(ステップS612のYES)、仮登録されていた仮の名称中絶点を正式の名称中絶点として本登録する(ステップS613)。
【0108】
しかし、場合によっては、ステップS612においては、その時点で仮登録された仮の名称中絶点が一つも存在しない場合もあり得る。例えば、名称追跡を繰り返す前段の処理において名称Aを示す追跡対象ノードNp、追跡リンクLpが見つかったにもかかわらず、それに隣接する新たな追跡対象Np(すなわち現在の追跡対象ノードNpに対応する進行方向の追跡リンクLpのもう一方の他端点ノードN)において、再び逆向きに戻る方向のリンクが名称Aに対応付けられていた場合、すなわち、前の追跡リンクLpが名称Aに対応付けられていた場合である。つまり、一本の追跡リンクLpの両側で互いに反対方向を名称Aの方面として指している場合である。このような場合、結果として、仮登録される仮の名称中絶点が一つも存在しないことになる。
【0109】
このような場合には、実際には、当該追跡リンクLp上のどこかの地点を名称Aの地域領域内の地点と見なすべきであろうが、本実施形態では、追跡リンクLpをこれ以上に細分割することができない。しかがって、ステップS612において、仮登録中の名称中絶点が一つも存在しない場合は(ステップS612のNO)、名称中絶点保持手段5は、便宜的に、追跡リンクLpの両端のノードすなわち追跡対象ノードNp、他端点ノードNのいずれか一方または両方(図6の例では追跡対象ノードNpのみの場合を例示している)を、名称中絶点として本登録することとする(ステップS614)。
【0110】
つまり、名称中絶点保持手段5は、地域名称として選択された当該方面名称Aと同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが、同一リンクすなわち追跡リンクLpの両端に位置する2つのノードすなわち追跡対象ノードNp、他端点ノードNにおいて当該追跡リンクLpの互いに相反する方向にそれぞれ存在していた場合、当該方面名称Aに関する名称中絶点として、当該追跡リンクLpの両端に位置する2つの前記ノードすなわち追跡対象ノードNp、他端点ノードNのいずれか一方もしくは両者を本登録することにしている。
【0111】
以上のようにして、名称中絶点としての本登録が終了したら、図5のフローチャートのステップS510、S511と同様に、処理対象データ集合S内に未だ追跡していないノード・リンクデータ(N、L)が存在するか否かを調べ(ステップS615)、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS615のYES)、ステップS604の処理に復帰する。
【0112】
一方、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に残っていなければ(ステップS615のNO)、ステップS616に進み、本登録されている一群の名称中絶点の分布範囲を円や楕円などの任意の幾何形状によって、名称Aに関する地域領域として近似して、名称Aに関する地域領域として近似された幾何図形を、名称Aとともに地域データとして地域データ記憶手段8に記憶して、地域名称Aに関する地域データの作成処理を終了する(ステップS616)。
【0113】
また、ステップS606において、追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在していない、すなわち、追跡対象ノードNpに対してこれを起点ノードとして対応付けられて名称Aが記憶されていないならば(ステップS606のNO)、追跡対象ノードNpは、とりあえずの名称中絶点ということになる。そこで、追跡対象ノードNpを仮の名称中絶点として仮登録する(ステップS618)。
【0114】
しかる後、さらに先に名称Aに関する名称追跡処理を継続するために、追跡対象ノードNpへの進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに続く道なりリンクLpを求める(ステップS619)。ここで、道なりリンクLpの判断基準は、前述した通り、第1の実施形態において説明したものと同一の要件として良い。追跡対象ノードNpへの進入リンクLoから道なりに続く道なりリンクLpを決定することができる場合は(ステップS619のYES)、さらに追跡処理を継続するために、ステップS611に処理を移す。
【0115】
一方、道なりリンクLpを決定することができない場合は(ステップS619のNO)、ここまでに仮登録された名称中絶点が、名称Aの地域内に存在しているものと見なして、ステップS613に移行して、以下の名称中絶点の本登録処理に移行する。
【0116】
(本実施形態における効果)
以上の本発明の第2に実施形態の詳細な説明から明らかなように、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態における効果に加えて、さらに、次のような効果を奏することができる。
【0117】
実際の方面案内標識において、一つの方面名称の案内表示としての連続性がたとえ保証されていない場合であっても、道路の方面案内標識に記された方面名称に基づいて、電子地図上の地域データとなる地域名称、地域領域を自動的に取得することができ、使用者にとって自然で違和感のない地域データを信頼度高く自動的に作成することができる。
【0118】
また、例えば、互いに相反する方向のリンクに対して同一名称が対応付けられていた場合のように、例外的に、本実施形態のメイン処理に示すような自動作成アルゴリズムを適用することができないような特殊な事例が発生する場合であっても、互いに相反する方向に同一名称が対応付けられた1本のリンクと該リンクの2端点(2ノード)について、当該名称の名称中絶点として、該2端点のいずれか一方もしくは両者を登録することにより、前記自動作成アルゴリズムを大きく変更して対処することなしに、わずかな手順の追加・変更によって次善の結果を取得することができ、使用者にとって自然で違和感のない地域データを確実に自動作成することができる。
【0119】
(第3の実施形態)
次に、本発明による地域データ作成装置における第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2の実施形態における地域領域の決定方法とは異なる決定方法を説明するものである。
【0120】
前述した第1、第2の実施形態においては、地域データを作成するための地域名称例えば名称Aに関する地域領域を例えば最も簡単に近似する例として、検出された一群の名称中絶点の分布の重心位置G0から最も離れた遠距離の名称中絶点までの距離R0を半径として、重心位置G0を中心とする円形領域によって近似する場合を説明した。言い換えれば、第1、第2の実施形態においては、名称Aに関する名称追跡結果として名称Aが検出されなくなったノードすなわち名称Aに対応付けられていないノードとして登録された名称中絶点全てをあるいはあらかじめ定められた割合で包含する大きさの領域を地域名称Aに関する地域領域として定義する場合を説明した。
【0121】
一方、本実施形態においては、地域データを作成するための地域名称例えば名称Aに関する地域領域として最も広い範囲をカバーした領域を簡単に近似しようとするものであり、地域名称として選択された方面名称例えば名称Aと同一名称に対応付けられた道路ネットワーク上のノードNを全て集め、集められたノードNが分布する領域の内側にあって、ノードNそれぞれの所在位置そのものを含まない最大の領域を取得することによって、目的とする方面名称例えば名称Aに関する地域領域を簡単に求めようとするものである。
【0122】
例えば、第1の実施形態における図4に示すような道路ネットワークを参照して、電子地図の地域データとして、「金沢」という地域名称の地域領域を簡単に近似する本実施形態の基本的な考え方について説明すると、次の通りである。
【0123】
すなわち、本実施形態では、少なくとも次の2つの要件を満たす範囲で、できるだけ大きな最大領域を求め、求めた該領域を「金沢」という地域名称が示す「地域領域」として定義しようというものである。
【0124】
(A)道路ネットワーク上でいくつかのノード(図4の例では、ノードa1,a2,b1,c1,c2など)を起点ノードとして、「金沢」という方面名称が記憶されているものとし、「金沢」という名称が示す地域の存在をその周囲から指し示しているものとすれば、「金沢」という地域名称の地域領域範囲は、これら起点ノードの分布範囲よりも内側にあるものと考えて良い。
【0125】
(B)ただし、各起点ノードは、「金沢」という地域名称の地域領域の範囲外にあるものとすれば、求めるべき地域領域には、それら各起点ノードの所在位置そのものを含むことはなく、言わば、各起点ノードの間隙を縫った領域すなわち間隙領域であると考えることができる。
【0126】
(地域データ作成装置の構成例)
図7は、本発明による地域データ作成装置の構成の図1と異なる例を示すブロック構成図であり、第3の実施形態に適用する地域データ作成装置の一構成例を示すものである。
【0127】
図7に示す地域データ作成装置10Aは、第1の実施形態に示した図1の道路案内表示装置10における、道路ネットワーク記憶手段1、方面名称記憶手段2を少なくとも含む方面案内地図データベース12、同一名称選択手段3、および、地域データ記憶手段8を少なくとも備え、さらに、図1の道路案内表示装置10と異なり、前述の要件(A)、(B)を満たす最大領域を、各ノードの所在位置を含まない最大間隙領域として、求める最大間隙領域決定手段9を備えるように構成されており、図1の道路案内表示装置10よりも簡素化を図ることができる。
【0128】
すなわち、最大間隙領域決定手段9は、地域データの検索対象の地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称Aに対応付けられたノード・リンクデータとして、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータのノードNそれぞれの分布領域よりも内側の領域であって、かつ、該ノードNそれぞれの所在位置を包含しない範囲で最大となる最大領域を求めるものであり、同一名称Aを有するノードとして集められた各ノードの分布する領域の内側にあって、各ノードそれぞれの所在位置を含まない最大間隙領域を、地域名称Aの地域領域として近似するものである。
【0129】
次に、図7に示す地域データ作成装置10Aの動作を説明する。地域データ作成装置10Aにおいては、方面案内地図データベース12の方面名称記憶手段2に記憶されている方面名称から、同一名称選択手段3により目的とする地域名称を示す名称Aと同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを順次選択して、名称Aに対応付けられた全てのノード・リンクデータを集めることにより、最大間隙領域決定手段9によって取得された最大間隙領域を、電子地図における地域名称として選択された名称Aが示す地域領域と定めて、地域名称Aとともに、地域データとして地域データ記憶手段8に記憶するように構成されている。
【0130】
(本実施形態における作用)
次に、本実施形態における地域データ作成装置10Aの作用について説明する。図8は、本発明による地域データ作成装置10Aにおいて、道路ネットワークに対応付けて方面案内地図データベース12に記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の図4とは異なる例を模式的に説明した説明図であり、図4の道路ネットワークと同じノードN、リンクLによって構成されている。
【0131】
本実施形態に示す図8においては、地域名称A例えば「金沢」の地域領域を近似する最大領域を簡単に取得する一例として、対象とする地域名称と同一の方面名称A例えば「金沢」に対応付けられた各ノードNの分布に関する重心位置Gを中心として各ノードNの分布位置を含まない最大の半径Rを有する円形領域を、名称A例えば「金沢」の地域領域として求めることにする。
【0132】
まず、方面名称「金沢」に対応付けられた道路ネットワーク上の起点ノードNを全て集め、集められた一群の起点ノードNの分布に関する重心位置Gを求める。図8のように、道路ネットワークのいくつかのノードを起点ノードとして、「金沢」という方面名称が、起点ノードa1,a2、起点ノードb1、起点ノードc1,c2、起点ノードd1、起点ノードe1の7つの起点ノードNに記憶されていたものとした場合、これらの7つの起点ノードNの分布に関する重心位置Gが、「×」印の位置に求められる。
【0133】
次に、「金沢」に対応付けられた7つの起点ノードNのうち、重心位置Gから最も近距離にある起点ノードN(例えば図8の場合はノードa2)と重心位置Gとの間の距離Rを算出し、重心位置Gを中心とし、半径を距離Rとする円を、図8の破線で示したように作成する。かくして、作成した当該円の内側領域が、「金沢」という地域領域を示すものとして簡単に近似することができる。
【0134】
すなわち、方面案内情報は、「金沢」という名称の地域の存在をその周囲から指し示しているものとして、「金沢」という当該地域の最大領域範囲が、「金沢」という方面名称に対応付けられた起点ノードの分布範囲の内側で、かつ、該起点ノードの位置そのものを含まない領域であるとして近似するものである。このような基本的な考え方から、例えば、「金沢」に対応付けられた一群のノードNの分布に関する重心位置Gから、一群のノードN中の最短ノードまでの距離Rを半径とする円を、重心位置Gを中心にして作成することにより、「金沢」という地域名称の地域領域を最も大きな領域として近似した地域データを簡単に作成することができる。
【0135】
なお、名称A例えば「金沢」に関する地域データを図形近似する方法としては、このような場合のみに限るものではなく、例えば、重心位置Gを求める際に、「金沢」という名称に対応付けられた一群のノードの8割程度(例えば重心位置Gから遠方に存在する2割程度のノードを除去したもの)を用いてより精度よく近似したり、あるいは、円形ではなく他の任意の幾何図形(二次元に分布する点群の回帰直線を長軸方向とする楕円、など)によって近似したりしても良い。
【0136】
(本実施形態の動作例)
次に、第3の実施形態における地域データの作成処理について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。図9は、本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5とは更に異なる例を説明するフローチャートであり、本発明の第3の実施形態として、本発明による地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの図5とはさらに異なる例を示すものである。
【0137】
まず、図9に示すフローチャートにおいて、図7の同一名称選択手段3において、方面名称記憶手段2に記憶されている方面名称の中から、これから地域データを作成しようとする地域の名称Aと同じ名称を持つ方面名称を一つ選択して、名称Aに対応付けられた道路ネットワーク上の起点ノードNを全て集め、処理対象データ集合Sとする(ステップS801)。
【0138】
続いて、図7の最大間隙領域決定手段9において、処理対象データ集合Sの全要素、すなわち、一群の起点ノードNの分布位置に対する重心位置Gを求める(ステップS802)。さらに、求めた重心位置Gから最も近距離にある処理対象データ集合Sの要素すなわち起点ノードNi(図8の場合、ノードa2)を求め、重心位置Gと起点ノードNiとの間の距離Rを求める(ステップS803)。
【0139】
しかる後、重心位置Gを中心にして、距離Rを半径とする円の内側領域を、地域名称Aが示す地域の地域領域として近似し、地域名称Aとともに、地域名称Aに関する地域データとして地域データ記憶手段8に記憶して、地域名称Aに関する地域データ作成処理を終了する(ステップS804)。
【0140】
(本実施形態における効果)
以上の本発明の第3の実施形態の詳細な説明から明らかなように、本第3の実施形態においては、次のような効果を奏することができる。すなわち、第1、第2の実施形態と同様、道路の交差点付近に設置されて、比較的入手しやすく、かつ、整備された道路の方面案内標識に表記された情報に基づいて、使用者にとって自然で違和感のない地域データを作成することができ、さらに、一定の手順に従って人手によらず自動的に作成することができるので、同様のデータを人手に任せて作成する場合に比べて、地域データの作成やメンテナンスの時間を大幅に短縮することができる。
【0141】
また、目的とする地域名称と同一の名称に対応付けられたノード全てあるいは大半のノードの分布として与えられた点群の重心位置Gを求めて、さらに、これらのノードのうち、重心位置Gに最も近接したノードNiを選択して、選択したノードNiと重心位置Gとの間の距離Rを求め、重心位置Gを中心とし、距離Rを半径とする円を作成して、作成した円の内側領域を当該名称に関する地域領域として近似する方法を採用することによって、第1の実施形態と同様に、非常に簡単な計算により、使用者にとって違和感がない地域名称、地域領域からなる地域データを自動的に作成することができるので、その作成やメンテナンスに要する時間をさらに短縮することができる。
【0142】
また、目的とする地域名称と同じ方面名称に対応付けられたノードよりも内側の領域を、当該地域名称の地域データとみなすので、第1の実施形態において求められる地域領域に比し、より広い範囲の地域領域を定義することができ、より確実に当該地域名称が示す地域領域をカバーすることができる。
【0143】
なお、以上に説明した各実施形態は、本発明による地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの一例を説明したものであり、本発明はかかる場合のみに限るものではなく、以上に説明した本発明の趣旨を逸脱しない限り、如何なる形態で実現するようにしてもかまわない。
【0144】
例えば、図5などで説明したフローチャートに示す各処理をプログラム論理としてではなく、ハードウェア論理やファームウェア論理を用いて実現するようにしても良いし、あるいは、図5などで説明したフローチャートに示す各処理を実現する地域データ作成プログラムを、複数のプログラムモジュールに分割して、それぞれに固有のコンピュータ上で分散して実行するようにしても良い。
【0145】
さらには、図5などで説明したフローチャートに示す各処理を実現する地域データ作成プログラムを、インターネットなどの通信ネットワークを介して配信するようにしても良いし、あるいは、コンピュータにより読み取り可能なプログラム記録媒体に記録して提供するようにしても良い。
【0146】
また、車両の道路案内などを含む各種用途に使用される電子地図を作成する電子地図作成装置において、電子地図上の各地域を示す地域データを作成するための手段を前述した各実施形態に示したような地域データ作成装置によって構成するようにしても良く、例えば、電子地図作成手段そのものと一体化して構成することももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明による地域データ作成装置の構成の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示す地域データ作成装置10の方面案内地図データベース12に記憶されている道路ネットワークと方面案内標識が設置された交差点と方面名称との一例を模式的に示す模式図である。
【図3】図1に示す地域データ作成装置の方面案内地図データベースに一つのノードに進入する複数のリンクそれぞれについて記憶されている道路ネットワークと方面案内標識の設置位置と方面名称との一例を説明するための説明図である。
【図4】本発明による地域データ作成装置において、道路ネットワークに対応付けて方面案内データベースに記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の一例を模式的に説明した説明図である。
【図5】本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5と異なる例を説明するフローチャートである。
【図7】本発明による地域データ作成装置の構成の図1と異なる例を示すブロック構成図である。
【図8】本発明による地域データ作成装置において、道路ネットワークに対応付けて方面案内データベースに記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の図4とは異なる例を模式的に説明した説明図である。
【図9】本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5とはさらに異なる例を説明するフローチャートである。
【図10】道路の方面案内標識の一例を示す模式図である。
【図11】現行の車載用ナビゲーション装置における方面案内表示の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0148】
1…道路ネットワーク記憶手段、2…方面名称記憶手段、3…同一名称選択手段、4…同一名称追跡手段、5…名称中絶点保持手段、6…名称追跡処理制御手段、7…点群図形近似手段、8…地域データ記憶手段、9…最大間隙領域決定手段、10,10A…地域データ作成装置、12…方面案内地図データベース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置に関し、特に、車載ナビゲーション装置など車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図を作成する際に、前記電子地図上の各地域を示す地域名称・地域領域として、使用者にとって違和感のない地域データを作成する地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載ナビゲーション装置やパソコンの地図ビューアソフトなどに使用される電子地図においては、各地域を参照するための地域名称や地域領域は、行政区画に準拠して設定されるように構成されていた。例えば、特許文献1に示す特開2002−122435号公報に開示されている「車載用ナビゲーション装置の経路案内方法」によれば、車両の現在位置より一定距離以上離れた行政区画の名称を、各地域を示す地域名称として、電子地図データから抽出して、各行政区画の名称をそれぞれボタン形状のインタフェースを用いて表示画面上に配することにより、目的とする方面に該当する行政区画への経路を簡単に探索して、案内させるようにしている。
【特許文献1】特開2002−122435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1のような従来技術にあっては、抽出する名称の対象となるのは、前述したように、行政上定められた都道府県、市区町村などの行政区画に限られることになるが、このような行政区画名の指す地域と、我々が日常、慣用的に参照したり言及したりする地域とでは、その参照の仕方や参照範囲などに食い違いがあって、画面表示された行政区画名について、次に示すような違和感を生じることが少なくない。
【0004】
第1に、行政区画名と慣用的に使用する地域名との間では、名称自体が異なっている場合がある。例えば、東京の「下北沢」、「市ヶ谷」といった名称は、ごく普通に参照・言及される地名であるが、行政区画名(住所表示)としては、東京に「下北沢」という町名は存在しないし、また、「市谷○○町」という町名は存在していても、「市ヶ谷」という町名はやはり存在しない。
【0005】
第2に、行政区画名と慣用的に使用する地域名とが同じ名称であったとしても、地域として参照される領域範囲に差異が生じている場合がある。例えば、慣用的には、東京の「品川」という地名が参照する領域範囲の中には、品川駅も品川税務署も含まれるものと考えて何の違和感もないが、行政区画名としては、品川駅も品川税務署も行政区画名の「東京都港区」に所在するものであり、「品川」に相当する行政区画名の「東京都品川区」の範囲外とされている。
【0006】
第3に、行政区画で定めている階層構成は、ある一律の基準を設けて地域名を仕分けする場合には便利な指標ではあるが、我々が通常参照したり言及したりする要求頻度は、行政区画上では同じ階層内に属する複数の地域名についてであっても必ずしも均等ではない。例えば、「○○郡」内の「A町」、「B町」は、山林が多く訪問者もあまり多くなく、一方、同じ「○○郡」内の「C町」や「D町」には、集落やキャンプ場などの施設があって訪問者も多い、という場合には、「A町」、「B町」は道路案内用としての地図上には表示しないで、使用者が参照する可能性が高いと思われる「C町」、「D町」を選択的に地図上に表示すれば、表示情報量を抑え、かつ、使用者の要求にある程度沿った地図表示を実現することができる。
【0007】
しかし、行政区画で定めている階層構成のように、便宜上定められたある一定の基準の階層構成に基づいて、地図の表示基準を一律に定めるようにした場合、ある階層内の地名を全て表示したり、その上の階層の地名の表示のみにとどめたり、という表示にせざるを得ず、表示が煩雑になりすぎたり、逆に、欲しい情報が得られなかったりすることになる。
【0008】
一方、我々が日常、慣用的に参照したり言及したりする地域名は、車両の運転者や通行人などの道路利用者に対する道路の案内情報として設置されている方面案内標識に表記される方面名称に広く採用されており、通常、我々が各地域を特定する地域名称として、違和感なく広く利用されるようになっている。
【0009】
本発明は、かくのごとき問題点に鑑みてなされたものであり、道路の方面案内標識に表記された情報を利用して、電子地図上の地域データを自動的に作成することにより、便宜上定められた行政区画の名称、領域とは異なり、日常的、慣用的に参照・言及され、使用者にとって違和感がない地域名称、地域領域を用いた地域データを作成する地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置は、便宜上定められた行政区画とは異なる、日常的、慣用的に参照・言及される地域名、地域領域を用いた地域データを形成するために、道路の方面案内標識に表記された情報を記憶した方面案内地図データベースを利用して、電子地図上の地域データを自動的に作成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。すなわち、道路の交差点付近に設置されて、比較的入手しやすく、かつ、整備された道路の方面案内標識に表記された情報に基づいて、使用者にとって自然で違和感のない地域データを作成することができ、さらに、一定の手順に従って人手によらず自動的に作成することができるので、同様の地域データを人手に任せて作成する場合に比べて、地域データの作成やメンテナンスの時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明による地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラム、プログラム記録媒体、および、電子地図作成装置の最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(方面案内標識に表記される情報)
まず、本発明において、電子地図上の地域データを作成する際に利用する道路の方面案内標識の情報について、図10、図11を用いて説明する。図10は、道路の方面案内標識の一例を示す模式図であり、図10(A)、図10(B)のいずれも交差点の直前の位置に設置された方面案内標識の一例を示している。図10(A)、図10(B)に示すように、方面案内標識に記されている方面名称(すなわち、本発明における地域名称)は、例えば「市ヶ谷」、「国分寺」などと概ね慣用的な名称で表現されている。また、方面案内標識に用いられる方面名称(地域名称)としては、「案内標識の表示地名に関する基準(案)について」(昭61.7.23発行)にも記載されているように、「地方生活圏の中心都市」、「二次生活圏の中心地」が選定基準として挙げられていることから、ある程度、使用者からの参照要求頻度が高いものが選択されていると考えることができる。
【0014】
加えて、方面案内標識に表記される方面名称(地域名称)は、一般的に、当該方面名称により特定される地域領域内においては、表示されることはなく、現在位置からある程度離れた地域に関する地域名称が表示されるように構成されている。すなわち、道路上を移動中に、今まで方面案内標識に表記されていた方面名称が、表記されていない方面案内標識の設置位置まで移動した場合、通常、当該方面名称(地域名称)に該当する地域領域に到達していることを示している。言い換えると、ある地域名称により特定される地域領域は、方面案内標識に表記される方面名称の有無を判定することにより略近似することができる。
【0015】
さらに、現行の車載用ナビゲーション装置においては、図11に示すように、経路案内(道路案内)機能の一つとして、誘導すべき交差点へ接近した時に、該交差点の直前の設置場所に設置されている方面案内標識を地図情報に重畳させて表示装置に図示し、さらには、誘導方向を示す案内矢印まで地図情報上や方面案内標識内に示す機能を有しているものも急速に増加してきている。したがって、ナビゲーション用電子地図データの構築においても、今後、方面案内標識に関する情報がより整備され、かつ、充実されていくことは疑う余地がない。図11は、現行の車載用ナビゲーション装置における方面案内表示の一例を示す模式図である。
【0016】
本発明は、車両の道路案内用のカーナビゲーションなど各種用途に使用される電子地図上の各地域を示す地域データについて、道路に設置されたかくのごとき方面案内標識に記された方面名称、地域領域などに関する方面案内情報を積極的に利用するとともに、さらに、人手を介することなく、道路の方面案内標識の方面案内情報に対して自動的にデータ加工処理を施すことによって、使用者にとって違和感のない地域データを自動的に作成するようにしている。
【0017】
(第1の実施形態)
次に、本発明による地域データ作成装置における第1の実施形態について説明する。
【0018】
(地域データ作成装置の構成例)
図1は、本発明による地域データ作成装置の構成の一例を示すブロック構成図である。
【0019】
図1に示す地域データ作成装置10は、道路ネットワーク記憶手段1、方面名称記憶手段2を少なくとも含む方面案内地図データベース12、同一名称選択手段3、同一名称追跡手段4、名称中絶点保持手段5、名称追跡処理制御手段6、点群図形近似手段7、および、地域データ記憶手段8を少なくとも含んで構成されている。
【0020】
ここで、道路ネットワーク記憶手段1および方面名称記憶手段2すなわち方面案内地図データベース12と、地域データ記憶手段8とは、例えばDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体と該記憶媒体の制御を行うドライバから構成され、その他の構成要素は、CPU、内部メモリ等からなる制御装置、もしくは、コンピュータ上に登録された実行形式のプログラムで構成されるようにしても良い。以下の説明においては、地域データ作成装置10が、DVDなどの記憶媒体を装着したコンピュータシステムにより実現されている場合について説明する。
【0021】
図1において、方面案内地図データベース12は、道路ネットワークと、道路に設置されている方面案内標識に表記された方面名称・方面方向を含む案内情報と、を記憶するものであり、前述のように、道路ネットワーク記憶手段1と方面名称記憶手段2とを少なくとも含んで構成されている。
【0022】
ここで、道路ネットワーク記憶手段1は、道路の接続位相構造を表現した道路ネットワークデータを記憶するものであり、該道路ネットワークデータを、交差点を示すノードと該交差点間を接続した道路セグメントを示すリンクとを組にしたノード・リンクデータにより表現している。また、方面名称記憶手段2は、市井の道路に設けられた方面案内標識に掲示されている方面名称を当該方面案内標識の方面方向に対応付けて記憶するものであり、道路ネットワーク上の各交差点近傍に設置された方面案内標識に表記された方面名称、方面方向を、当該交差点を示すノードと、当該ノードからの各方面方向を示すリンクと、を組にしたノード・リンクデータ、に対応付けて記憶している。
【0023】
また、同一名称選択手段3は、方面案内地図データベース12の方面名称記憶手段2に記憶された方面名称の中から一つの名称を、電子地図上の地域データを構成する地域名称の一つとして選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上のノード・リンクデータ(すなわちノードとそこから当該方面名称が示す方面(地域)に進むリンクとの組)を、方面名称記憶手段2から全て集めて保持するものである。
【0024】
また、同一名称追跡手段4は、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータの中からいずれか一つのノードを選択し、道路ネットワーク上で、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象として、選択された当該ノードから検索を開始して、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを順次検索してたどるように追跡していくものである。
【0025】
すなわち、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータの中からいずれか一つのノード・リンクデータを選択し、選択された当該ノードのリンクの他端点方向に前記道路ネットワーク上をたどり、たどった先の他端点側のノードに接続されたいずれかのリンクに、検索対象の当該方面名称と同一の名称が対応付けられているものが存在すれば、さらに、同一名称が対応付けられた該リンクを先にたどる、という形で、道路ネットワーク上で同一名称を次々に追跡していく名称追跡処理を実行するものである。
【0026】
また、名称中絶点保持手段5は、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行中に、追跡した先のノードに接続されている全てのリンクについて、現在追跡中の検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられていないノードに到達した場合、当該ノードを名称中絶点として保持するものである。
【0027】
また、名称追跡処理制御手段6は、あらかじめ定められた所定の条件を満たした場合に、同一名称追跡手段4において現在実行中の名称追跡処理を終了したり、新たな名称追跡処理を開始するなど、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行を制御するものである。
【0028】
すなわち、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に達した場合、もしくは、既に追跡済みのノードに達した場合、現在実行中の名称追跡処理を終了し、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータのうち他の未追跡のノードを選択して新たに同一名称追跡手段4の名称追跡処理を開始するように、同一名称追跡手段4の実行を制御するものである。
【0029】
また、点群図形近似手段7は、同一名称追跡手段4により得られた一群の名称中絶点に対し、それらの分布範囲をカバーする円、楕円などの形状を含む任意の形状の幾何図形を生成することにより、検索対象の当該方面名称と同一の名称が付与される前記地域名称の地域領域を特定する地域データとして近似するものである。
【0030】
すなわち、同一名称選択手段3に保持された全てのノード・リンクデータに対して同一名称追跡手段4における名称追跡処理が終了した時点で、名称中絶点保持手段5に保持された一群の名称中絶点に対し、それらの分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合(例えば8割など)で包含する円、楕円などを含む任意形状の幾何図形を、検索対象の当該方面名称すなわち地域名称が示す地域領域として近似するものである。
【0031】
また、地域データ記憶手段8は、点群図形近似手段7によって得られた幾何図形を当該方面名称すなわち地域名称の指す地域領域と定め、当該方面名称すなわち地域名称とともに、地域データとして記憶するものである。
【0032】
(地域データの作成例)
次に、図1に示す地域データ作成装置10における地域データの作成例について説明する。図2は、図1に示す地域データ作成装置10の方面案内地図データベース12に記憶されている道路ネットワークと方面案内標識が設置された交差点と方面名称との一例を模式的に示す模式図であり、リンクaに該当する道路セグメントを進行している車両の進行方向にあるノード1(交差点)には、リンクa(道路セグメント)から進入するノード1(交差点)の直前に設置されている方面案内標識の方面案内情報として、左折が上大岡、直進が杉田、右折が金沢の方面である旨が記憶されている例を示している。
【0033】
すなわち、方面案内地図データベース12の道路ネットワーク記憶手段1に記憶される道路ネットワークデータは、図2に例示するように、道路セグメントを表現するリンクと交差点を表現するノードとを組にしたノード・リンクデータによって構成されている。ここで、リンクは、ノード間の接続という位相的な関係を示しており、道路セグメント自体がカーブしているなどのような具体的な形状を示す必要はない。一方、ノードに関しては、ノードの具体的な座標位置(すなわち緯度・経度)が記憶される。
【0034】
また、方面名称記憶手段2に記憶される方面名称は、ノード(交差点)に進入する各リンクの直前に実際に設置された方面案内標識に基づき、各方面名称について、どの交差点(ノード)からどの分岐路(リンク)に向かうものであるか、すなわち、起点ノードと方向リンクとを組にしたノード・リンクデータに対応付けて記憶される。図2の例では、リンクaからノード1に到達しようとしている場合、到達したノード1からさらに先に進むリンクa以外の各リンク(リンクb、リンクc、リンクd)に「上大岡」、「杉田」、「金沢」がそれぞれ対応付けられることになる。
【0035】
実際の道路の交差点には、該交差点に進入してくる各道路セグメント(リンク)に対応付けて、別々の方面案内標識が設置されている。図3は、図1に示す地域データ作成装置10の方面案内地図データベース12に一つのノード1(交差点)に進入する複数のリンクそれぞれについて記憶されている道路ネットワークと方面案内標識の設置位置と方面名称との一例を説明するための説明図であり、一つのノード1(交差点)に進入してくるリンク(道路セグメント)ごとに設置されている別個の方面案内標識それぞれに表記された方面名称すなわち地域名称を記憶している例を示している。
【0036】
図3(A)では、ノード1は、リンクa,b,c,dの4つのリンクの接続点を形成していて、ノード1に該当する交差点に進入してくる各リンクa,b,c,d(道路セグメント)にそれぞれ対応付けて標識a,b,c,dに示す方面案内標識が設置されている例を模式的に示しており、図3(B)では、ノードNoが「1」の交差点において、リンクNo「a」、「b」、「c」、「d」のそれぞれの方面方向に存在する地域の方面名称を対応付けて記憶している例を示している。
【0037】
すなわち、図3(A)、(B)に示すように、実際の交差点では、複数の進入方向それぞれに方面案内標識が別個に設置されている。ここで、同じ起点ノードと方向リンクに対して複数の方面名称が対応付けられる場合、複数の方面名称それぞれが個別に記憶される。図3(A)、(B)に示す例においては、例えば、ノード1からリンクaに進む方面名称として「港南台」、「戸塚」、リンクbに進む方面名称として「上大岡」、「関内」、また、リンクdに進む方面名称として「横須賀」、「金沢」というように2つの名称が個別に記憶されている。
【0038】
なお、図3(A)の標識aに記載されている「国道16号」(道路名称)のように、地域名称ではない名称については、方面名称記憶手段2には記憶されないものとする。ただし、駅名は、行政区画としての地域名称とは一致しないものの、通常、駅周辺の地域と同じ地域名称として参照されることが多いため、本実施例においては、「○○駅」の「駅」を除いた名称「○○」も含めて記憶するものとする。
【0039】
(本実施形態における作用)
次に、図1に示した地域データ作成装置10によって作成した地域データに関する作用について説明する。図4は、本発明による地域データ作成装置10において、道路ネットワークに対応付けて方面案内地図データベース12に記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の一例を模式的に説明した説明図である。
【0040】
図4に示すように、今、道路ネットワークのいくつかのノードを起点ノードとして、例えば「金沢」という方面名称が記憶されているものとする。このうち、ある一つの起点ノード例えばノードa1を例にとって、その「金沢」を指す方向(図3中に実線矢印で示した方向)にリンクa1をたどると、別の第2の起点ノードa2(実線、点線いずれかの矢印の起点となっているノード)に到達する。もし、この第2の起点ノードa2に対して、さらに、「金沢」方面に対応付けられるリンクa2(実線矢印)が存在するならば、「金沢」地域にはまだ到達していないものと見なして、さらに先のリンクa2をたどる。
【0041】
その結果、別の第3の起点ノードa3(点線の矢印のみの起点となっているノード)に到達する。図4に示すように、第3の起点ノードa3は他の方面に向かうリンク(点線矢印)を有しているにもかかわらず、「金沢」方面を指すリンク(実線矢印)は接続されていない。したがって、第3の起点ノードa3に到達するまで「金沢」を指す方向に道路ネットワークを順次たどった結果、ここに至って、「金沢」方面を示す必要がなくなった、すなわち、第3の起点ノードa3の位置が、検索対象とした目的地を示す「金沢」という地域の中に既に到達していると考えても良いことを意味している。
【0042】
かくのごとく、ある方面名称を指す方向に道路ネットワークを順次たどる過程において、当該方面名称を指す方面が示されなくなるノードが出現した場合、当該方面名称の地域に到達していることを示しているものとして、当該ノードのことを、以降の説明においては、「名称中絶点」と呼ぶことにする。本発明の基本的な考え方は、このような名称中絶点が存在する範囲をその方面名称すなわち地域名称が示す「地域領域」として定義しようというものである。
【0043】
図4の場合、図示した中央付近にノードa3、ノードb2、ノードc3という3点の名称中絶点を検出することができ、この3点を包含する領域を円や楕円などを含む任意の図形形状(図4では、破線で示すような楕円)で囲むことによって求めるべき地域名称の地域領域として近似して、これを「金沢」という地域名称の地域領域として特定するための地域データを作成することができる。
【0044】
(本実施形態の動作例)
次に、図1に示した地域データ作成装置10の動作の一例について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図5は、本発明による地域データ作成装置10の地域データ作成処理におけるメイン動作の一例を説明するフローチャートであり、本発明による地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの一例を示すものである。
【0045】
図5のフローチャートの処理が起動されると、まず、図1の同一名称選択手段3において、方面案内地図データベース12の方面名称記憶手段2に記憶されている方面名称の中から、これから地域データを作成しようとする地域名称として一つの方面名称を選択し(その名称をAとする)、名称Aに対応付けられた道路ネットワーク上の起点ノードNと方向リンクLとの組すなわちノード・リンクデータ(N、L)を方面名称記憶手段2の中から全て集めて、名称Aに対応付けられた全てのノード・リンクデータ(N、L)の集合を、名称Aの地域領域を算出するための処理対象データ集合Sとする(ステップS501)。
【0046】
ここで、名称Aとして例えば「金沢」という名称を選んだ場合、仮にノード・リンクデータ(N、L)を全国規模の道路ネットワーク上から集めたとすると、その中には、例えば「横浜市金沢区」近辺を示すものと「石川県金沢市」近辺を示すものとが混在する可能性がある。しかし、この両者は、かなり離れた場所に存在している地域名であり、それぞれの地域を方面として示す方面案内標識も、混乱を招かない程度に離れて設置されているものと考えても良い。
【0047】
そこで、このような「同名異地域」の問題を解決するために、必要に応じて、処理対象データ集合S内に集められた各ノード・リンクデータ(N、L)のノード位置を比較して、あらかじめ定められた距離以内に近接するノード同士をグループごとにまとめるグルーピング処理(クラスタリング処理)を行う(ステップS502)。グルーピング処理(クラスタリング処理)を行うには、例えば「最短距離法」などのクラスタリング手法として知られている公知技術を用いれば良い。
【0048】
すなわち、同一名称選択手段3では、処理対象データ集合S内に集められたノード・リンクデータのノード位置の分布に基づいて、必要に応じて、あらかじめ定められた距離以内に近接するノード同士をまとめるグルーピング処理(クラスタリング処理)を行い、グルーピング処理(クラスタリング処理)が実施された場合は、その中のいずれか対象とすべき一つのグループ(クラスタ)に対するノード・リンクデータ(N、L)の集合を改めて処理対象データ集合Sと設定すれば良い。
【0049】
この結果、同一名称追跡手段4における名称追跡処理として、同一名称選択手段3におけるグルーピング処理として改めてまとめられた各クラスタに属するノード・リンクデータごとに、個別に、地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称の追跡処理を行うことが可能となり、名称Aが「金沢」であっても、「横浜市金沢区」近辺を示すものと「石川県金沢市」近辺を示すものとを、それぞれ別個に追跡することができる。
【0050】
次に、図1の同一名称追跡手段4において、処理対象データ集合Sの中でまだ追跡処理を行っていないノード・リンクデータ(N、L)を任意に一つ選択し、そのノードNをこれから名称Aの追跡処理を開始する起点ノードすなわち追跡対象ノードNpとして初期化する。また、追跡対象ノードNpへの進入リンクLoは、最初の追跡対象ノードNpの設定時点では未定義として初期化する(ステップS503)。続くステップS504、S505、S506の3つの判断処理は、いずれも繰り返し処理の初回、すなわち、ステップS503から引き続く処理の場合では、判定結果は自明であるが、以下では、2回目以降の繰り返し処理で問題となる点も踏まえて説明することとする。
【0051】
まず、追跡対象ノードNpに対して何らかの方面名称(今、処理中の名称Aとは限らない)が、対応付けられて記憶されているか否かを調べる(ステップS504)。この判断処理を実行するのは、道路ネットワーク記憶手段1に記憶された道路ネットワークデータの全てのノードに対して、必ずしも常に方面名称が対応付けられているわけではないためである。言い換えれば、ノードに相当する全ての交差点に、必ずしも、方面名称が表記された方面案内標識が設置されているわけではない、という前提を置いているためである。
【0052】
すなわち、ある方面名称を追跡していく処理過程において、当該方面名称が掲示されている交差点で中絶したとしても、その交差点が例えばあまり規模の大きい交差点ではなく、元々、方面案内標識が設置されていない交差点であったとした場合、そのような交差点をもって、追跡している方面名称(地域名称)を指す地域の中に入ったと見なすには根拠が薄弱である。
【0053】
名称追跡処理制御手段6は、地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において、方面案内標識を有していない交差点に到達した場合、すなわち、いかなるノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した場合、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を終了することなく、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクとなる道なりのリンクに対して、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するように制御すべきである。
【0054】
また、名称中絶点保持手段5は、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において到達した、いかなるノード・リンクデータにも対応付けられていない当該ノードを、名称中絶点として登録しないようにすべきである。
【0055】
さらに言えば、何らかの方面案内標識が設置されている交差点であるにも関わらず、該方面案内標識内にはそれまで追跡してきた方面名称(地域名称)に対する案内が記されていない、という条件が成立した場合に、初めて、追跡している方面名称(地域名称)が指す地域領域の中に入っていると判断する方がより確実である。すなわち、検索対象の方面名称(地域名称)の表記がなされていない方面案内標識が設置されている当該交差点(ノード)を、当該方面名称(地域名称)が指す地域領域の中に入っていることを意味する名称中絶点であると見なすべきである。
【0056】
そのため、方面案内標識が設置されていないノードに到達した場合は、名称中絶点としての処理を見合わせて、さらに追跡を継続することとしている。その処理の詳細については、以降の名称追跡を継続するリンクとしてあらかじめ定められた道なりのリンク(追跡方向のリンク)についての説明とともに後述する。
【0057】
ステップS504において、方面案内標識が設置されていなく、相当する方面名称が何もない場合、すなわち、追跡対象ノードNpを起点とする方面案内が何もないノードであった場合は(ステップS504のNO)、後述するステップS512以下の別処理に進む。
【0058】
一方、方面案内標識が設置されていて、相当する方面名称が存在している場合、すなわち、追跡対象ノードNpを起点とする何らかの方面名称が存在しているノードであった場合は(ステップS504のYES)、次に、追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在するか否かを調べる(ステップS505)。検索対象の名称Aを指す方向リンクが存在しているならば(ステップS505のYES)、そのリンクLを追跡リンクLpとする。
【0059】
ここで、名称Aに対応付けられたノード・リンクデータ(N、L)は、あらかじめ処理対象データ集合Sに全て集められているはずであるので、ステップS505の処理は、処理対象データ集合S内のノード・リンクデータ(N、L)の中に、追跡対象ノードNpに一致するNを有するものが存在しているか否かを調べていることに他ならない。ステップS505でYESとなった場合のように、存在しているならば、同時に、ノード・リンクデータ(N、L)として名称Aに対応付けられたリンクLがすなわち追跡リンクLpとなる。
【0060】
このようにして、ノード・リンクデータ(Np、Lp)が処理対象データ集合S内の一要素として定まったならば(すなわち、ステップS505のYESの場合)、次に、この(Np、Lp)というノード・リンクデータに対して、追跡済みのフラグが既に設定されているか否かをチェックする(ステップS506)。
【0061】
追跡済みのフラグが既に設定されていた場合は(ステップS506のNO)、それ以降の名称Aの追跡は意味がないので、後述のステップS510に処理を移し、処理対象データ集合S内に未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在しているか否かをチェックする(ステップS510)。未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS510のYES)、ステップS503の処理に復帰して、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)のノードを改めて起点ノードすなわち追跡対象ノードNpとして、当該追跡対象ノードNpからの追跡を再び開始する。
【0062】
一方、追跡済みのフラグがまだ設定されておらず、未追跡のノード・リンクデータであった場合は(ステップS506のYES)、次のステップS507に移る。なお、ステップS503においては、「追跡対象ノードNpとした起点ノードNには名称Aが対応付けられていて」、「処理対象データ集合S内における」「未追跡の」ノード・リンクデータ(N、L)を繰り返し処理の初期状態として選んでいるのであるから、繰り返し処理の最初の処理では、以上のステップS504、S505、S506の3つの判断処理はいずれも「YES」となり、ステップS507まで進むことは自明である。
【0063】
ステップS507に到達すると、現在追跡の対象としているノード・リンクデータ(Np、Lp)に対して、追跡済みのフラグを設定する(ステップS507)。しかる後、名称Aの追跡処理をさらにその先に進めるために、追跡対象ノードNpから追跡リンクLp方向へ進んだ先のノードN(追跡リンクLpの追跡対象ノードNpとは反対側に位置する他端点ノードN)を求め、この他端点ノードNを改めて追跡対象ノードNpと設定する。さらに、新たな追跡対象ノードNpへの進入リンクLoとして、これまでの追跡リンクLpを設定する(ステップS508)。しかる後、名称Aのさらなる追跡処理を継続するために、ステップS504に処理を戻す。
【0064】
また、ステップS505において、名称Aを指す方向リンクが存在していなかった場合(ステップS505のNO)、現在の追跡対象ノードNpに相当するノード・リンクデータ(N、L)が処理対象データ集合S内に見つからない場合であり、前段のステップS504において、方面案内標識が設置されていて、何らかの方面名称が対応付けられていることが証明されたにもかかわらず、方面名称としてその先に名称Aを追跡する情報が存在していない場合に該当しているので、当該追跡対象ノードNpを名称中絶点であると見なし、ステップS509に処理を移す。
【0065】
したがって、図1に示す名称中絶点保持手段5において、追跡対象ノードNpを名称Aに関する名称中絶点として登録して(ステップS509)、ステップS510の処理に進み、前述したように、処理対象データ集合S内に未だ追跡していないノード・リンクデータ(N、L)が存在するか否かを調べる(ステップS510)。未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS510のYES)、ステップS503の処理に復帰して、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)からの追跡を再び開始する。
【0066】
一方、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他には残っていなければ(ステップS510のNO)、ステップS511に進み、図1の点群図形近似手段7において、名称中絶点保持手段5に登録されている一群の名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合(例えば8割程度など)で包含する円形領域や楕円領域などの任意形状の幾何図形によって、地域名称が名称Aに関する地域領域を近似する地域データとして決定する。名称Aの地域領域として近似された幾何図形を、名称Aとともに地域データとして地域データ記憶手段8に記憶して、地域名称Aに関する地域データの作成処理を終了する(ステップS511)。
【0067】
また、点群図形近似手段7において、地域名称Aに関する地域領域を近似する最も簡単な処理としては、例えば、次のような円形領域を作成するようにしても良い。すなわち、名称中絶点保持手段5に保持された一群の名称中絶点の分布として与えられた点群に対する重心位置G0を求めて、さらに、重心位置G0から最も離れた最遠距離の名称中絶点までの距離R0を求め、重心位置G0を中心とし、距離R0を半径とする円形領域によって近似する方法を採用しても良い。かかる近似処理により、登録された全ての名称中絶点を包含する最小の大きさの円形領域を地域名称Aの地域領域として簡単に定義することができる。
【0068】
なお、地域名称Aに関する地域領域を図形近似する方法としては、このような場合のみに限るものではなく、例えば、重心位置G0を中心とする円の半径として、前述のごとく、点群のあらかじめ定められた割合例えば8割が包含される程度にまで短縮した半径R1を用いて近似したり、あるいは、他の図形(二次元に分布する点群の回帰直線を長軸方向とする楕円、など)によって近似したりしても良い。
【0069】
また、ステップS504において、現在の追跡対象ノードNpに相当する方面名称が何もない場合、すなわち、追跡対象ノードNpを起点とする方面名称が何も存在していないノードであった場合は(ステップS504のNO)、現在の追跡対象ノードNpには方面案内標識が設定されていなく、方面名称が特に対応付けられていない場合であり、前述したように、この追跡対象ノードNpを名称中絶点と即座に見なすことなく、名称中絶点との判断を見合わせて、名称追跡処理を継続することにする。
【0070】
すなわち、ステップS512に進み、名称追跡処理制御手段6は、いかなるノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した以後も、地域名称Aとして選択された当該方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するために用いる追跡方向のリンクLpの存在を確認するために、追跡対象ノードNpと該追跡対象ノードNpへの進入リンクLoとから、進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに先に進む道なりリンクLをあらかじめ定められた追跡方向のリンクLpとして求められるか否かを調べる(ステップS512)。
【0071】
ここで、「道なりリンク」の要件は、追跡方向のリンクとしてあらかじめ定義しておくものであり、例えば、次のような要件をあらかじめ定義するようにしても良い。ただし、道なりリンクの定義は、このような要件のみに限るものではなく、必要に応じて追加することも可能である。
【0072】
(1)当該追跡対象ノードNpへの進入リンクLoと同じ路線番号(例えば国道1号など)または路線名称(例えば鎌倉街道など)に属するリンクを道なりリンク(追跡リンク)Lpとする。
【0073】
(2)または、当該追跡対象ノードNpへの進入リンクLoと同じ路線番号、路線名称のリンクが全く存在していない場合、もしくは、2つ以上存在している場合は、進入リンクLoとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内であって、かつ、進入リンクLoとの角度が最も直線に近いすなわち180度に最も近いリンクを道なりリンク(追跡リンク)Lpとする。
【0074】
ここで、要件(1)、(2)に照らしてみても、進入リンクLoから道なりに続く道なりリンクが求まらない場合、例えば追跡対象ノードNpがT字交差点であって、かつ、進入リンクLoがT字交差点の突き当たり方向に侵入するリンクであり、さらに、各リンクに路線番号や路線名称も定められていないような場合、すなわち、ステップS512において、進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに先に進む追跡リンクLpを求めることができない場合(ステップS512のNO)、さらなる先のリンクへと名称Aを追跡する手段が存在していないため、この追跡対象ノードNpを改めて名称中絶点と見なすこととして、ステップS509に処理を進める。
【0075】
一方、進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに先に進む追跡リンクLpが求めることができる場合(ステップS512のYES)、さらに名称Aの追跡処理を続けるため、ステップS508に処理を移し、追跡リンクLpの先に接続されたノードNを求める処理を繰り返す。
【0076】
(本実施形態における効果)
以上の本発明の第1の実施形態の詳細な説明から明らかなように、本発明においては、次のような効果を奏することができる。すなわち、道路の交差点付近に設置されて、比較的入手しやすく、かつ、整備された道路の方面案内標識に表記された方面案内情報に基づいて、使用者にとって自然で違和感のない地域データを作成することができ、さらに、一定の手順に従って人手によらず自動的に作成することができるので、同様のデータを人手に任せて作成する場合に比べて、地域データの作成やメンテナンスの時間を大幅に短縮することができる。
【0077】
また、名称中絶点の分布として与えられた点群の重心位置G0を求めて、さらに、重心位置G0から最も離れた名称中絶点までの距離R0を求め、重心位置G0を中心とし、距離R0を半径とする円形領域によって地域領域を近似する、あるいは、あらかじめ定められた割合の名称中絶点の点群が包含される半径R1を求め、重心位置G0を中心とし、距離R1を半径とする円形領域によって地域領域を近似する方法を採用することによって、非常に簡単な計算を用いて、使用者にとって違和感がない地域名称、地域領域からなる地域データを自動的に作成することができるので、その作成やメンテナンスに要する時間をさらに短縮することができる。
【0078】
さらには、同名で異なる地域を表す方面案内標識のデータが混在している場合であっても、あらかじめ定められた距離以上に離れているか否かに基づいて、クラスタリング処理を施すことにより、それぞれの地域名称に関する地域データを、個別に、自動的に作成することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、本発明による地域データ作成装置における第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態においては、道路ネットワーク上での名称追跡処理において、方面案内標識は存在しているものの、追跡対象とする名称に対応付けられていないノードを検出した時点で、直ちに、該ノードを名称中絶点として、当該名称の地域領域に属するものと見なしていた。しかし、実際に、道路に設置された方面案内標識を順次追っていった場合、当該名称が付与された地域領域に到達するまで、必ずしも、当該名称が道路の各方面案内標識に連続して表記されている、という保証はない。
【0080】
例えば、国土交通省の「わかりやすい道路案内標識に関する検討会」の提言によれば、方面案内標識に標記する方面名称(地名)については「表示の連続性・一貫性を確保する」ために、「表示地名の乱れの点検を行い、早急に是正する」ことが謳われており、将来的には、連続性が保証されていく方向にあるとはいうものの、現実には、方面案内標識に表記されている方面名称には乱れがあり、目標の地域領域に到達するまで、同じ方面名称が連続して表記されていないことを物語っている。
【0081】
本発明の第2の実施形態においては、第1の実施形態の図1に示した地域データ作成装置10のブロック構成をそのまま適用することができるが、前述したように、たとえ、方面名称の連続性が保証されていない場合であっても、確実に、地域データを自動作成する方法について説明するものである。第2の実施形態の概略を説明すると、次の通りである。
【0082】
まず、地域名称として選択された方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行において、ノード・リンクデータは存在しているものの、検索対象の当該方面名称に対応付けられていないノードに到達した場合、第1の実施形態における同一名称追跡手段4における名称追跡処理を停止する場合とは異なり、名称追跡処理制御手段6は、当該ノード(第1の実施形態における名称中絶点に相当するノード)に到達した以後も、あらかじめ定められた停止条件が満たされるまで、さらに、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクとなる道なりリンクに対して、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するように制御する。
【0083】
また、名称中絶点保持手段5は、当該ノードに到達した時点では、第1の実施形態のように、名称中絶点として正式に登録する場合とは異なり、名称中絶点に該当する当該ノードを仮の名称中絶点として仮登録するにとどめる。
【0084】
次に、同一名称追跡手段4は、仮の名称中絶点として登録された当該ノードの先に、あらかじめ定められた追跡方向のリンクとして、道なりに進む進路(道なりリンク)があれば、その方向の道なりリンクに進んで当該方面名称の追跡を継続する。その結果、以降継続される同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行中に、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを再び検出した場合は、先に仮登録していた名称中絶点のノード位置では、結局のところ、まだ、検索対象の当該方面名称が示す地域領域には到達していなかったものと判定して、仮登録していた仮の名称中絶点を破棄する。
【0085】
なお、名称追跡処理制御手段6が、地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の実行の継続を停止させるための前記停止条件としては、例えば次の条件を少なくとも含むように設定されているものとする。
【0086】
(a)同一名称追跡手段4における名称追跡処理があらかじめ定めた所定の追跡範囲の境界域まで到達して該追跡範囲より外のノード・リンクデータへ移動しようとしてしまった際に、今までの追跡方向に対して逆向きに戻る方向にリンクを遡って、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続し、逆向きの追跡方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを検出した場合、つまり、今までの追跡方向に対して逆向きにたどったノードに当該方面名称が表記された方面案内標識を検出した場合。
【0087】
(b)あるいは、仮の名称中絶点として登録された当該ノードに接続されたリンクのいずれもあらかじめ定めた追跡方向のリンクすなわち道なりリンクに該当していない場合、つまり、仮登録した名称中絶点として登録された当該ノードから先に道なりの進路(道なりリンク)が存在していなかった場合。
【0088】
ここに、名称追跡処理制御手段6が、仮の名称中絶点として登録されるノードに到達した以後も、同一名称追跡手段4における名称追跡処理を継続するために用いる追跡方向のリンクすなわち道なりリンクを定義する要件としては、第1の実施形態における場合と同様であり、例えば、次のような要件を少なくとも含むリンクである。
【0089】
(1)当該ノードNへの進入リンクLoと同じ路線番号(例えば国道1号など)または路線名称(例えば鎌倉街道など)に属するリンク。
【0090】
(2)または、当該ノードNへの進入リンクLoと同じ路線番号、路線名称のリンクが全く存在していない場合、もしくは、2つ以上存在している場合は、進入リンクLoとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内であって、かつ、進入リンクLoとの角度が最も直線に近いすなわち180度に最も近いリンク。
【0091】
一方、同一名称追跡手段4における名称追跡処理の過程で、名称追跡処理制御手段6においてあらかじめ定めた前記停止条件が満たされた場合、名称中絶点保持手段5は、その時点までに、仮の名称中絶点として登録されていたノードを正式の名称中絶点として本登録し直す。
【0092】
このような処理を全てのノード・リンクデータ(N、L)について繰り返すことにより、正式に本登録された一群の名称中絶点を取得し、取得した一群の名称中絶点から当該名称が示す地域領域を求めることとする。
【0093】
(本実施形態の動作例)
次に、図1に示した地域データ作成装置10の動作の図5のフローチャートとは異なる例について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。図6は、本発明による地域データ作成装置10の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5と異なる例を説明するフローチャートであり、本発明による地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの図5とは異なる例を示すものである。
【0094】
図6のフローチャートにおいて、まず、ステップS601、S602は、第1の実施形態における図5のフローチャートのステップS501、S502と同様の処理であり、地域名称として選択された名称Aを方面名称として対応付けられたノード・リンクデータ(N、L)を全て集め、処理対象データ集合Sとするとともに(ステップS601)、同名異地域に対応するために、必要に応じて、あらかじめ定められた距離以内に近接したノード同士をまとめるグルーピング処理(クラスタリング処理)を施す(ステップS602)。しかる後、名称追跡を際限なく続けることを避けるため、処理対象データ集合Sに集められたノードNの分布から追跡範囲ARをあらかじめ定めておく(ステップS603)。
【0095】
ここで、追跡範囲ARの決め方はどのようなものであっても良いが、処理対象データ集合S内の全ノードを含む範囲で、かつ、なるべく小さい領域となることが望ましい。例えば、処理対象データ集合S内の全てのノードの緯度・経度のうち、緯度・経度の最大値、最小値から定まる矩形領域とすれば良い。
【0096】
次に、図5のフローチャートのステップS503と同様に、処理対象データ集合Sの中でまだ追跡処理を行っていないノード・リンクデータ(N、L)を任意に一つ選択し、そのノードNをこれから名称Aの追跡処理を開始する起点ノードすなわち追跡対象ノードNpとして初期化する。また、追跡対象ノードNpへの進入リンクLoは未定義として初期化する(ステップS604)。
【0097】
続いて、追跡対象ノードNpが、先にステップS603にて定めた追跡範囲ARの中に存在しているか否かをチェックする(ステップS605)。追跡対象ノードNpが、追跡範囲ARの中にはなく外に出てしまう場合は(ステップS605のNO)、検索対象の方面名称のそれ以上の追跡処理を中止し、後述するステップS612以下の名称中絶点の本登録処理に移る。
【0098】
一方、追跡対象ノードNpが、まだ追跡範囲ARの中に存在している場合(ステップS605のYES)、次に、図5のフローチャートのステップS505と同様に、追跡対象ノードNpが名称Aに対応付けられた起点ノードとして記憶されているか、言い換えれば、処理対象データ集合S内のノード・リンクデータ(N、L)の中に、追跡対象ノードNpと一致するノードNを持つものとして、現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在しているか否かを調べる(ステップS606)。追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在しているならば(ステップS606のYES)、そのリンクLを追跡リンクLpとする。
【0099】
一方、追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在していない場合、すなわち、追跡対象ノードNpに対してこれを起点ノードとした名称Aが記憶されていない場合(ステップS606のNO)、後述するステップS618の処理に移り、追跡対象ノードNpを名称中絶点として仮登録する処理を行う。
【0100】
このようにして、処理対象データ集合S内に追跡中の名称Aを持つノード・リンクデータ(Np、Lp)が存在する場合、すなわち、ノード・リンクデータ(Np、Lp)が処理対象データ集合S内の一要素として定まった場合(すなわち、ステップS606のYESの場合)、次に、名称Aの方面を示す方向が、今までの追跡方向と逆向きになっているか否かを調べる(ステップS607)。
【0101】
本実施形態においては、前述したように、たとえ、ノード・リンクデータは存在しているものの、検索対象の当該方面名称に対応付けられていないノードに到達した後であっても、仮の名称中絶点として登録するにとどめて、引き続き、その道なり方向の進路について名称追跡を続ける。この結果、いずれ、名称Aの示す地域の外側に出てしまった場合は、逆に戻る方向に遡ってたどっていくこととし、逆方向の追跡処理で名称Aの方面名称を再び検出するという処理を行っている。この結果、逆方向の追跡処理で名称Aの方面名称を再び検出した時点で、名称Aに関する地域領域に確実に到達したものと見なして、名称Aに関する追跡処理を中断し、そこまでに仮登録されていた名称中絶点を本登録してやれば良い。
【0102】
ここで、名称Aに関する追跡方向とA方面を示す方向との逆転を判断するためには、具体的には、ステップS607に示すように、A方面を示している追跡リンクLpがそれ以前の追跡過程で追跡対象ノードNpに進入したリンクLoと同じであるか否かを調べることにすればよい。名称Aに関する名称追跡方向が逆転していて、A方面を示す追跡リンクLpが進入リンクLoと同じ場合(ステップS607のYES)、当該ノード・リンクデータ(Np、Lp)に対して追跡済みを示す追跡済みフラグを設定した後(ステップS617)、後述するステップS612以下の名称中絶点の本登録処理に移行する。
【0103】
一方、追跡方向とA方面を示す方向とが逆転していなく、追跡リンクLpがリンクLoと同じでない場合には(ステップS607のNO)、たとえ、それまでに仮登録された仮の名称中絶点が存在していたとしても、A方面を示すリンクが再度現れた場合であるとして、それまでに仮登録されていた仮の名称中絶点は実際には名称Aが示す地域領域内には存在していなかったものと見なして、これら仮登録されていたノードに関する仮の名称中絶点をすべて破棄する(ステップS608)。
【0104】
次いで、当該ノード・リンクデータ(Np、Lp)が未追跡であるか否かを調べる(ステップS609)。すでに追跡済みの場合は(ステップS609のNO)、後述するステップS615に進んで、処理対象データ集合S内に未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在しているか否かをチェックし(ステップS615)、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS615のYES)、ステップS604の処理に復帰して、新たに追跡処理を開始する。
【0105】
一方、ノード・リンクデータ(Np、Lp)が未追跡であった場合は(ステップS609のYES)、図5のフローチャートのステップS507、S508と同様に、現在追跡対象としているノード・リンクデータ(Np、Lp)に追跡済みのフラグを設定し(ステップS610)、追跡対象ノードNpから追跡リンクLp方向へ進んだ先のノードN(追跡リンクLpの追跡対象ノードNpとは反対側に位置する他端点ノードN)を求め、この他端点ノードNを改めて追跡対象ノードNpと設定し、さらに、これまでの追跡リンクLpを新たな追跡対象ノードNpへの進入リンクLoとした後(ステップS611)、名称Aのさらなる追跡処理を継続するため、ステップS605に処理を戻す。
【0106】
また、ステップS605において追跡対象ノードNpが追跡範囲ARの外に出てしまった場合(ステップS605のNO)、あるいは、ステップS607において追跡方向と名称Aの方面を指す方向との逆転が起きていて(ステップS607のYES)、当該ノード・リンクデータ(Np、Lp)に対して追跡済みを示す追跡済みフラグを設定した場合には(ステップS617)、その時点で仮登録されている名称中絶点が存在するか否かをチェックする(ステップS612)。
【0107】
仮登録されている仮の名称中絶点が存在している場合は(ステップS612のYES)、仮登録されていた仮の名称中絶点を正式の名称中絶点として本登録する(ステップS613)。
【0108】
しかし、場合によっては、ステップS612においては、その時点で仮登録された仮の名称中絶点が一つも存在しない場合もあり得る。例えば、名称追跡を繰り返す前段の処理において名称Aを示す追跡対象ノードNp、追跡リンクLpが見つかったにもかかわらず、それに隣接する新たな追跡対象Np(すなわち現在の追跡対象ノードNpに対応する進行方向の追跡リンクLpのもう一方の他端点ノードN)において、再び逆向きに戻る方向のリンクが名称Aに対応付けられていた場合、すなわち、前の追跡リンクLpが名称Aに対応付けられていた場合である。つまり、一本の追跡リンクLpの両側で互いに反対方向を名称Aの方面として指している場合である。このような場合、結果として、仮登録される仮の名称中絶点が一つも存在しないことになる。
【0109】
このような場合には、実際には、当該追跡リンクLp上のどこかの地点を名称Aの地域領域内の地点と見なすべきであろうが、本実施形態では、追跡リンクLpをこれ以上に細分割することができない。しかがって、ステップS612において、仮登録中の名称中絶点が一つも存在しない場合は(ステップS612のNO)、名称中絶点保持手段5は、便宜的に、追跡リンクLpの両端のノードすなわち追跡対象ノードNp、他端点ノードNのいずれか一方または両方(図6の例では追跡対象ノードNpのみの場合を例示している)を、名称中絶点として本登録することとする(ステップS614)。
【0110】
つまり、名称中絶点保持手段5は、地域名称として選択された当該方面名称Aと同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが、同一リンクすなわち追跡リンクLpの両端に位置する2つのノードすなわち追跡対象ノードNp、他端点ノードNにおいて当該追跡リンクLpの互いに相反する方向にそれぞれ存在していた場合、当該方面名称Aに関する名称中絶点として、当該追跡リンクLpの両端に位置する2つの前記ノードすなわち追跡対象ノードNp、他端点ノードNのいずれか一方もしくは両者を本登録することにしている。
【0111】
以上のようにして、名称中絶点としての本登録が終了したら、図5のフローチャートのステップS510、S511と同様に、処理対象データ集合S内に未だ追跡していないノード・リンクデータ(N、L)が存在するか否かを調べ(ステップS615)、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に存在している場合は(ステップS615のYES)、ステップS604の処理に復帰する。
【0112】
一方、未追跡のノード・リンクデータ(N、L)が他に残っていなければ(ステップS615のNO)、ステップS616に進み、本登録されている一群の名称中絶点の分布範囲を円や楕円などの任意の幾何形状によって、名称Aに関する地域領域として近似して、名称Aに関する地域領域として近似された幾何図形を、名称Aとともに地域データとして地域データ記憶手段8に記憶して、地域名称Aに関する地域データの作成処理を終了する(ステップS616)。
【0113】
また、ステップS606において、追跡対象ノードNpの接続リンクの中に現在追跡中の名称Aを指す方向リンクが存在していない、すなわち、追跡対象ノードNpに対してこれを起点ノードとして対応付けられて名称Aが記憶されていないならば(ステップS606のNO)、追跡対象ノードNpは、とりあえずの名称中絶点ということになる。そこで、追跡対象ノードNpを仮の名称中絶点として仮登録する(ステップS618)。
【0114】
しかる後、さらに先に名称Aに関する名称追跡処理を継続するために、追跡対象ノードNpへの進入リンクLoから追跡対象ノードNpを経て道なりに続く道なりリンクLpを求める(ステップS619)。ここで、道なりリンクLpの判断基準は、前述した通り、第1の実施形態において説明したものと同一の要件として良い。追跡対象ノードNpへの進入リンクLoから道なりに続く道なりリンクLpを決定することができる場合は(ステップS619のYES)、さらに追跡処理を継続するために、ステップS611に処理を移す。
【0115】
一方、道なりリンクLpを決定することができない場合は(ステップS619のNO)、ここまでに仮登録された名称中絶点が、名称Aの地域内に存在しているものと見なして、ステップS613に移行して、以下の名称中絶点の本登録処理に移行する。
【0116】
(本実施形態における効果)
以上の本発明の第2に実施形態の詳細な説明から明らかなように、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態における効果に加えて、さらに、次のような効果を奏することができる。
【0117】
実際の方面案内標識において、一つの方面名称の案内表示としての連続性がたとえ保証されていない場合であっても、道路の方面案内標識に記された方面名称に基づいて、電子地図上の地域データとなる地域名称、地域領域を自動的に取得することができ、使用者にとって自然で違和感のない地域データを信頼度高く自動的に作成することができる。
【0118】
また、例えば、互いに相反する方向のリンクに対して同一名称が対応付けられていた場合のように、例外的に、本実施形態のメイン処理に示すような自動作成アルゴリズムを適用することができないような特殊な事例が発生する場合であっても、互いに相反する方向に同一名称が対応付けられた1本のリンクと該リンクの2端点(2ノード)について、当該名称の名称中絶点として、該2端点のいずれか一方もしくは両者を登録することにより、前記自動作成アルゴリズムを大きく変更して対処することなしに、わずかな手順の追加・変更によって次善の結果を取得することができ、使用者にとって自然で違和感のない地域データを確実に自動作成することができる。
【0119】
(第3の実施形態)
次に、本発明による地域データ作成装置における第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2の実施形態における地域領域の決定方法とは異なる決定方法を説明するものである。
【0120】
前述した第1、第2の実施形態においては、地域データを作成するための地域名称例えば名称Aに関する地域領域を例えば最も簡単に近似する例として、検出された一群の名称中絶点の分布の重心位置G0から最も離れた遠距離の名称中絶点までの距離R0を半径として、重心位置G0を中心とする円形領域によって近似する場合を説明した。言い換えれば、第1、第2の実施形態においては、名称Aに関する名称追跡結果として名称Aが検出されなくなったノードすなわち名称Aに対応付けられていないノードとして登録された名称中絶点全てをあるいはあらかじめ定められた割合で包含する大きさの領域を地域名称Aに関する地域領域として定義する場合を説明した。
【0121】
一方、本実施形態においては、地域データを作成するための地域名称例えば名称Aに関する地域領域として最も広い範囲をカバーした領域を簡単に近似しようとするものであり、地域名称として選択された方面名称例えば名称Aと同一名称に対応付けられた道路ネットワーク上のノードNを全て集め、集められたノードNが分布する領域の内側にあって、ノードNそれぞれの所在位置そのものを含まない最大の領域を取得することによって、目的とする方面名称例えば名称Aに関する地域領域を簡単に求めようとするものである。
【0122】
例えば、第1の実施形態における図4に示すような道路ネットワークを参照して、電子地図の地域データとして、「金沢」という地域名称の地域領域を簡単に近似する本実施形態の基本的な考え方について説明すると、次の通りである。
【0123】
すなわち、本実施形態では、少なくとも次の2つの要件を満たす範囲で、できるだけ大きな最大領域を求め、求めた該領域を「金沢」という地域名称が示す「地域領域」として定義しようというものである。
【0124】
(A)道路ネットワーク上でいくつかのノード(図4の例では、ノードa1,a2,b1,c1,c2など)を起点ノードとして、「金沢」という方面名称が記憶されているものとし、「金沢」という名称が示す地域の存在をその周囲から指し示しているものとすれば、「金沢」という地域名称の地域領域範囲は、これら起点ノードの分布範囲よりも内側にあるものと考えて良い。
【0125】
(B)ただし、各起点ノードは、「金沢」という地域名称の地域領域の範囲外にあるものとすれば、求めるべき地域領域には、それら各起点ノードの所在位置そのものを含むことはなく、言わば、各起点ノードの間隙を縫った領域すなわち間隙領域であると考えることができる。
【0126】
(地域データ作成装置の構成例)
図7は、本発明による地域データ作成装置の構成の図1と異なる例を示すブロック構成図であり、第3の実施形態に適用する地域データ作成装置の一構成例を示すものである。
【0127】
図7に示す地域データ作成装置10Aは、第1の実施形態に示した図1の道路案内表示装置10における、道路ネットワーク記憶手段1、方面名称記憶手段2を少なくとも含む方面案内地図データベース12、同一名称選択手段3、および、地域データ記憶手段8を少なくとも備え、さらに、図1の道路案内表示装置10と異なり、前述の要件(A)、(B)を満たす最大領域を、各ノードの所在位置を含まない最大間隙領域として、求める最大間隙領域決定手段9を備えるように構成されており、図1の道路案内表示装置10よりも簡素化を図ることができる。
【0128】
すなわち、最大間隙領域決定手段9は、地域データの検索対象の地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称Aに対応付けられたノード・リンクデータとして、同一名称選択手段3に保持されたノード・リンクデータのノードNそれぞれの分布領域よりも内側の領域であって、かつ、該ノードNそれぞれの所在位置を包含しない範囲で最大となる最大領域を求めるものであり、同一名称Aを有するノードとして集められた各ノードの分布する領域の内側にあって、各ノードそれぞれの所在位置を含まない最大間隙領域を、地域名称Aの地域領域として近似するものである。
【0129】
次に、図7に示す地域データ作成装置10Aの動作を説明する。地域データ作成装置10Aにおいては、方面案内地図データベース12の方面名称記憶手段2に記憶されている方面名称から、同一名称選択手段3により目的とする地域名称を示す名称Aと同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを順次選択して、名称Aに対応付けられた全てのノード・リンクデータを集めることにより、最大間隙領域決定手段9によって取得された最大間隙領域を、電子地図における地域名称として選択された名称Aが示す地域領域と定めて、地域名称Aとともに、地域データとして地域データ記憶手段8に記憶するように構成されている。
【0130】
(本実施形態における作用)
次に、本実施形態における地域データ作成装置10Aの作用について説明する。図8は、本発明による地域データ作成装置10Aにおいて、道路ネットワークに対応付けて方面案内地図データベース12に記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の図4とは異なる例を模式的に説明した説明図であり、図4の道路ネットワークと同じノードN、リンクLによって構成されている。
【0131】
本実施形態に示す図8においては、地域名称A例えば「金沢」の地域領域を近似する最大領域を簡単に取得する一例として、対象とする地域名称と同一の方面名称A例えば「金沢」に対応付けられた各ノードNの分布に関する重心位置Gを中心として各ノードNの分布位置を含まない最大の半径Rを有する円形領域を、名称A例えば「金沢」の地域領域として求めることにする。
【0132】
まず、方面名称「金沢」に対応付けられた道路ネットワーク上の起点ノードNを全て集め、集められた一群の起点ノードNの分布に関する重心位置Gを求める。図8のように、道路ネットワークのいくつかのノードを起点ノードとして、「金沢」という方面名称が、起点ノードa1,a2、起点ノードb1、起点ノードc1,c2、起点ノードd1、起点ノードe1の7つの起点ノードNに記憶されていたものとした場合、これらの7つの起点ノードNの分布に関する重心位置Gが、「×」印の位置に求められる。
【0133】
次に、「金沢」に対応付けられた7つの起点ノードNのうち、重心位置Gから最も近距離にある起点ノードN(例えば図8の場合はノードa2)と重心位置Gとの間の距離Rを算出し、重心位置Gを中心とし、半径を距離Rとする円を、図8の破線で示したように作成する。かくして、作成した当該円の内側領域が、「金沢」という地域領域を示すものとして簡単に近似することができる。
【0134】
すなわち、方面案内情報は、「金沢」という名称の地域の存在をその周囲から指し示しているものとして、「金沢」という当該地域の最大領域範囲が、「金沢」という方面名称に対応付けられた起点ノードの分布範囲の内側で、かつ、該起点ノードの位置そのものを含まない領域であるとして近似するものである。このような基本的な考え方から、例えば、「金沢」に対応付けられた一群のノードNの分布に関する重心位置Gから、一群のノードN中の最短ノードまでの距離Rを半径とする円を、重心位置Gを中心にして作成することにより、「金沢」という地域名称の地域領域を最も大きな領域として近似した地域データを簡単に作成することができる。
【0135】
なお、名称A例えば「金沢」に関する地域データを図形近似する方法としては、このような場合のみに限るものではなく、例えば、重心位置Gを求める際に、「金沢」という名称に対応付けられた一群のノードの8割程度(例えば重心位置Gから遠方に存在する2割程度のノードを除去したもの)を用いてより精度よく近似したり、あるいは、円形ではなく他の任意の幾何図形(二次元に分布する点群の回帰直線を長軸方向とする楕円、など)によって近似したりしても良い。
【0136】
(本実施形態の動作例)
次に、第3の実施形態における地域データの作成処理について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。図9は、本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5とは更に異なる例を説明するフローチャートであり、本発明の第3の実施形態として、本発明による地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの図5とはさらに異なる例を示すものである。
【0137】
まず、図9に示すフローチャートにおいて、図7の同一名称選択手段3において、方面名称記憶手段2に記憶されている方面名称の中から、これから地域データを作成しようとする地域の名称Aと同じ名称を持つ方面名称を一つ選択して、名称Aに対応付けられた道路ネットワーク上の起点ノードNを全て集め、処理対象データ集合Sとする(ステップS801)。
【0138】
続いて、図7の最大間隙領域決定手段9において、処理対象データ集合Sの全要素、すなわち、一群の起点ノードNの分布位置に対する重心位置Gを求める(ステップS802)。さらに、求めた重心位置Gから最も近距離にある処理対象データ集合Sの要素すなわち起点ノードNi(図8の場合、ノードa2)を求め、重心位置Gと起点ノードNiとの間の距離Rを求める(ステップS803)。
【0139】
しかる後、重心位置Gを中心にして、距離Rを半径とする円の内側領域を、地域名称Aが示す地域の地域領域として近似し、地域名称Aとともに、地域名称Aに関する地域データとして地域データ記憶手段8に記憶して、地域名称Aに関する地域データ作成処理を終了する(ステップS804)。
【0140】
(本実施形態における効果)
以上の本発明の第3の実施形態の詳細な説明から明らかなように、本第3の実施形態においては、次のような効果を奏することができる。すなわち、第1、第2の実施形態と同様、道路の交差点付近に設置されて、比較的入手しやすく、かつ、整備された道路の方面案内標識に表記された情報に基づいて、使用者にとって自然で違和感のない地域データを作成することができ、さらに、一定の手順に従って人手によらず自動的に作成することができるので、同様のデータを人手に任せて作成する場合に比べて、地域データの作成やメンテナンスの時間を大幅に短縮することができる。
【0141】
また、目的とする地域名称と同一の名称に対応付けられたノード全てあるいは大半のノードの分布として与えられた点群の重心位置Gを求めて、さらに、これらのノードのうち、重心位置Gに最も近接したノードNiを選択して、選択したノードNiと重心位置Gとの間の距離Rを求め、重心位置Gを中心とし、距離Rを半径とする円を作成して、作成した円の内側領域を当該名称に関する地域領域として近似する方法を採用することによって、第1の実施形態と同様に、非常に簡単な計算により、使用者にとって違和感がない地域名称、地域領域からなる地域データを自動的に作成することができるので、その作成やメンテナンスに要する時間をさらに短縮することができる。
【0142】
また、目的とする地域名称と同じ方面名称に対応付けられたノードよりも内側の領域を、当該地域名称の地域データとみなすので、第1の実施形態において求められる地域領域に比し、より広い範囲の地域領域を定義することができ、より確実に当該地域名称が示す地域領域をカバーすることができる。
【0143】
なお、以上に説明した各実施形態は、本発明による地域データ作成装置、地域データ作成方法、地域データ作成プログラムの一例を説明したものであり、本発明はかかる場合のみに限るものではなく、以上に説明した本発明の趣旨を逸脱しない限り、如何なる形態で実現するようにしてもかまわない。
【0144】
例えば、図5などで説明したフローチャートに示す各処理をプログラム論理としてではなく、ハードウェア論理やファームウェア論理を用いて実現するようにしても良いし、あるいは、図5などで説明したフローチャートに示す各処理を実現する地域データ作成プログラムを、複数のプログラムモジュールに分割して、それぞれに固有のコンピュータ上で分散して実行するようにしても良い。
【0145】
さらには、図5などで説明したフローチャートに示す各処理を実現する地域データ作成プログラムを、インターネットなどの通信ネットワークを介して配信するようにしても良いし、あるいは、コンピュータにより読み取り可能なプログラム記録媒体に記録して提供するようにしても良い。
【0146】
また、車両の道路案内などを含む各種用途に使用される電子地図を作成する電子地図作成装置において、電子地図上の各地域を示す地域データを作成するための手段を前述した各実施形態に示したような地域データ作成装置によって構成するようにしても良く、例えば、電子地図作成手段そのものと一体化して構成することももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明による地域データ作成装置の構成の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示す地域データ作成装置10の方面案内地図データベース12に記憶されている道路ネットワークと方面案内標識が設置された交差点と方面名称との一例を模式的に示す模式図である。
【図3】図1に示す地域データ作成装置の方面案内地図データベースに一つのノードに進入する複数のリンクそれぞれについて記憶されている道路ネットワークと方面案内標識の設置位置と方面名称との一例を説明するための説明図である。
【図4】本発明による地域データ作成装置において、道路ネットワークに対応付けて方面案内データベースに記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の一例を模式的に説明した説明図である。
【図5】本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5と異なる例を説明するフローチャートである。
【図7】本発明による地域データ作成装置の構成の図1と異なる例を示すブロック構成図である。
【図8】本発明による地域データ作成装置において、道路ネットワークに対応付けて方面案内データベースに記憶された方面名称、方面情報に基づいて、地域データが決定される様子の図4とは異なる例を模式的に説明した説明図である。
【図9】本発明による地域データ作成装置の地域データ作成処理におけるメイン動作の図5とはさらに異なる例を説明するフローチャートである。
【図10】道路の方面案内標識の一例を示す模式図である。
【図11】現行の車載用ナビゲーション装置における方面案内表示の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0148】
1…道路ネットワーク記憶手段、2…方面名称記憶手段、3…同一名称選択手段、4…同一名称追跡手段、5…名称中絶点保持手段、6…名称追跡処理制御手段、7…点群図形近似手段、8…地域データ記憶手段、9…最大間隙領域決定手段、10,10A…地域データ作成装置、12…方面案内地図データベース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図上の各地域を示す地域データを作成する地域データ作成装置において、道路ネットワークと、道路に設置されている方面案内標識に表記された方面名称、方面方向を含む案内情報と、を記憶する方面案内地図データベースを少なくとも備え、前記電子地図における前記地域データを構成する地域名称に、前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称と同一の名称を用い、前記電子地図における前記地域名称が示す地域領域を、前記方面案内地図データベースに記憶された前記道路ネットワークと前記方面案内標識の前記案内情報とを利用して作成することを特徴とする地域データ作成装置。
【請求項2】
前記方面案内地図データベースとして、道路の接続位相構造を、道路ネットワーク上の交差点を示すノードと該交差点間を接続した道路セグメントを示すリンクとをノード・リンクデータとして記憶する道路ネットワーク記憶手段と、道路ネットワーク上の各交差点近傍に設置された前記方面案内標識に表記された前記方面名称、方面方向を、当該交差点を示す前記ノードと当該ノードからの各方面方向を示す前記リンクとに対応付けて記憶する方面名称記憶手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項1に記載の地域データ作成装置。
【請求項3】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択手段と、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータの中からいずれか一つのノードを選択し、前記道路ネットワーク上で、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象として、選択された前記ノードから検索を開始して、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを、順次たどるように追跡していく同一名称追跡手段と、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、追跡した先のノードに接続されている全てのリンクについて、現在追跡中の検索対象の当該方面名称と同一の名称が対応付けられていない場合、当該ノードを名称中絶点として保持する名称中絶点保持手段と、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、もしくは、既に追跡済みのノードに到達した場合、現在実行中の名称追跡処理を終了し、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータのうち他の未追跡のノードを選択して新たに前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を開始するように、前記同一名称追跡手段の実行を制御する名称追跡処理制御手段と、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータ全てに対して前記同一名称追跡手段における名称追跡処理が終了した時点で、前記名称中絶点保持手段に保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する幾何図形を、検索対象の当該方面名称と同一の名称となる前記地域名称が示す地域領域として近似する点群図形近似手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項2に記載の地域データ作成装置。
【請求項4】
前記同一名称選択手段は、集められた前記ノード・リンクデータのノード位置の分布に基づいて、必要に応じて、近接するノード同士をまとめる処理を行い、前記同一名称追跡手段は、前記同一名称選択手段においてまとめられたノード・リンクデータごとに、個別に、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称の追跡処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の地域データ作成装置。
【請求項5】
前記名称追跡処理制御手段は、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した場合、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を終了することなく、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持手段は、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において到達した、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードを、仮の名称中絶点として登録することを特徴とする請求項3または4に記載の地域データ作成装置。
【請求項6】
前記名称追跡処理制御手段が、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードに到達した以後も、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項5に記載の地域データ作成装置。
【請求項7】
前記名称追跡処理制御手段は、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を終了する代わりに、前記名称中絶点に到達した以後も、あらかじめ定められた停止条件が満たされるまで、前記名称中絶点に接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持手段は、前記名称中絶点に到達した時点では、当該名称中絶点に該当するノードを仮の名称中絶点として登録するにとどめ、以降継続される前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行中に、あらかじめ定めた前記追跡方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが再び検出された場合、登録されていた前記仮の名称中絶点を破棄することを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項8】
前記名称追跡処理制御手段が、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行の継続を停止させるための前記停止条件として、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理があらかじめ定めた所定の追跡範囲の境界域まで到達して該追跡範囲より外のノード・リンクデータへ移動しようとしてしまった場合、今までの追跡方向に対して逆方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを検出した場合、あるいは、仮の名称中絶点として登録された前記ノードに接続されたリンクのいずれもあらかじめ定めた追跡方向の前記リンクに該当していない場合、のいずれかを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項7に記載の地域データ作成装置。
【請求項9】
前記名称中絶点保持手段は、前記名称追跡処理制御手段において前記停止条件が満たされた場合、前記仮の名称中絶点として登録されていたノードを前記名称中絶点として本登録することを特徴とする請求項7または8に記載の地域データ作成装置。
【請求項10】
前記名称追跡処理制御手段が、前記仮の名称中絶点として登録されるノードに到達した以後も、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項11】
前記名称中絶点保持手段は、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが、同一リンクの両端に位置する2つのノードにおいて当該リンクの互いに相反する方向にそれぞれ存在していた場合、当該方面名称に関する前記名称中絶点として、当該リンクの両端に位置する2つの前記ノードのいずれか一方もしくは両者を登録することを特徴とする請求項3ないし10のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項12】
前記点群図形近似手段は、前記地域名称の地域領域を示す地域データとして近似する幾何図形として、前記名称中絶点保持手段に保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項3ないし11のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項13】
前記点群図形近似手段は、前記名称中絶点保持手段に保持された一群の前記名称中絶点それぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記名称中絶点保持手段に保持された各前記名称中絶点のうち前記重心位置から最も遠距離にある前記名称中絶点と前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円形領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項3ないし11のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項14】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択手段と、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布領域よりも内側の領域であって、かつ、該ノードそれぞれの所在位置を包含しない範囲で最大の領域となる最大間隙領域を求める最大間隙領域決定手段と、を少なくとも備え、前記最大間隙領域決定手段によって求められた前記最大間隙領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項2に記載の地域データ作成装置。
【請求項15】
前記最大間隙領域決定手段は、前記同一名称選択手段に保持された各前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記同一名称選択手段に保持された各前記ノード・リンクデータのノードのうち前記重心位置から最も近距離にあるノードと前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円の内側領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似する前記最大間隙領域とすることを特徴とする請求項14に記載の地域データ作成装置。
【請求項16】
車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図を作成する電子地図作成装置において、前記電子地図上の各地域を示す地域データを作成するための手段として、請求項1ないし15のいずれかに記載の地域データ作成装置を用いることを特徴とする電子地図作成装置。
【請求項17】
車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図上の各地域を示す地域データを作成する地域データ作成方法において、道路ネットワークと、道路に設置されている方面案内標識に表記された方面名称、方面方向を含む案内情報と、を記憶する方面案内地図データベースを少なくとも備え、前記電子地図における前記地域データを構成する地域名称に、前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称と同一の名称を用い、前記電子地図における前記地域名称が示す地域領域を、前記方面案内地図データベースに記憶された前記道路ネットワークと前記方面案内標識の前記案内情報とを利用して作成することを特徴とする地域データ作成方法。
【請求項18】
前記方面案内地図データベースとして、道路の接続位相構造を、道路ネットワーク上の交差点を示すノードと該交差点間を接続した道路セグメントを示すリンクとをノード・リンクデータとして記憶する道路ネットワーク記憶ステップと、道路ネットワーク上の各交差点近傍に設置された前記方面案内標識に表記された前記方面名称、方面方向を、当該交差点を示す前記ノードと当該ノードからの各方面方向を示す前記リンクとに対応付けて記憶する方面名称記憶ステップと、を少なくとも有していることを特徴とする請求項17に記載の地域データ作成方法。
【請求項19】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択ステップと、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータの中からいずれか一つのノードを選択し、前記道路ネットワーク上で、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象として、選択された前記ノードから検索を開始して、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを、順次たどるように追跡していく同一名称追跡ステップと、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、追跡した先のノードに接続されている全てのリンクについて、現在追跡中の検索対象の当該方面名称と同一の名称が対応付けられていない場合、当該ノードを名称中絶点として保持する名称中絶点保持ステップと、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、もしくは、既に追跡済みのノードに到達した場合、現在実行中の名称追跡処理を終了し、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータのうち他の未追跡のノードを選択して新たに前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を開始するように、前記同一名称追跡ステップの実行を制御する名称追跡処理制御ステップと、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータ全てに対して前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理が終了した時点で、前記名称中絶点保持ステップにより保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する幾何図形を、検索対象の当該方面名称と同一の名称となる前記地域名称が示す地域領域として近似する点群図形近似ステップと、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項18に記載の地域データ作成方法。
【請求項20】
前記同一名称選択ステップは、集められた前記ノード・リンクデータのノード位置の分布に基づいて、必要に応じて、近接するノード同士をまとめる処理を行い、前記同一名称追跡ステップは、前記同一名称選択ステップによりまとめられたノード・リンクデータごとに、個別に、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称の追跡処理を行うことを特徴とする請求項19に記載の地域データ作成方法。
【請求項21】
前記名称追跡処理制御ステップは、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した場合、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を終了することなく、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持ステップは、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において到達した、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードを、仮の名称中絶点として登録することを特徴とする請求項19または20に記載の地域データ作成方法。
【請求項22】
前記名称追跡処理制御ステップが、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードに到達した以後も、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項21に記載の地域データ作成方法。
【請求項23】
前記名称追跡処理制御ステップは、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を終了する代わりに、前記名称中絶点に到達した以後も、あらかじめ定められた停止条件が満たされるまで、前記名称中絶点に接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持ステップは、前記名称中絶点に到達した時点では、当該名称中絶点に該当するノードを仮の名称中絶点として登録するにとどめ、以降継続される前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行中に、あらかじめ定めた前記追跡方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが再び検出された場合、登録されていた前記仮の名称中絶点を破棄することを特徴とする請求項19ないし22のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項24】
前記名称追跡処理制御ステップが、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行の継続を停止させるための前記停止条件として、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理があらかじめ定めた所定の追跡範囲の境界域まで到達して該追跡範囲より外のノード・リンクデータへ移動しようとしてしまった場合、今までの追跡方向に対して逆向きのリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを検出した場合、あるいは、仮の名称中絶点として登録された前記ノードに接続されたリンクのいずれもあらかじめ定めた追跡方向の前記リンクに該当していない場合、のいずれかを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項23に記載の地域データ作成方法。
【請求項25】
前記名称中絶点保持ステップは、前記名称追跡処理制御ステップにおいて前記停止条件が満たされた場合、前記仮の名称中絶点として登録されていたノードを前記名称中絶点として本登録することを特徴とする請求項23または24に記載の地域データ作成方法。
【請求項26】
前記名称追跡処理制御ステップが、前記仮の名称中絶点として登録されるノードに到達した以後も、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項23ないし25のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項27】
前記名称中絶点保持ステップは、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが、同一リンクの両端に位置する2つのノードにおいて当該リンクの互いに相反する方向にそれぞれ存在していた場合、当該方面名称に関する前記名称中絶点として、当該リンクの両端に位置する2つの前記ノードのいずれか一方もしくは両者を登録することを特徴とする請求項19ないし26のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項28】
前記点群図形近似ステップは、前記地域名称の地域領域を示す地域データとして近似する幾何図形として、前記名称中絶点保持ステップにより保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項19ないし27のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項29】
前記点群図形近似ステップは、前記名称中絶点保持ステップにより保持された一群の前記名称中絶点それぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記名称中絶点保持手段に保持された各前記名称中絶点のうち前記重心位置から最も遠距離にある前記名称中絶点と前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円形領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項19ないし27のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項30】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択ステップと、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布領域よりも内側の領域であって、かつ、該ノードそれぞれの所在位置を包含しない範囲で最大の領域となる最大間隙領域を求める最大間隙領域決定ステップと、を少なくとも有し、前記最大間隙領域決定ステップによって求められた前記最大間隙領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項17または18に記載の地域データ作成方法。
【請求項31】
前記最大間隙領域決定ステップは、前記同一名称選択ステップにより保持された各前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記同一名称選択ステップに保持された各前記ノード・リンクデータのノードのうち前記重心位置から最も近距離にあるノードと前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円の内側領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似する前記最大間隙領域とすることを特徴とする請求項30に記載の地域データ作成方法。
【請求項32】
請求項17ないし31のいずれかに記載の地域データ作成方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実現していることを特徴とする地域データ作成プログラム。
【請求項33】
請求項32に記載の地域データ作成プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。
【請求項1】
車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図上の各地域を示す地域データを作成する地域データ作成装置において、道路ネットワークと、道路に設置されている方面案内標識に表記された方面名称、方面方向を含む案内情報と、を記憶する方面案内地図データベースを少なくとも備え、前記電子地図における前記地域データを構成する地域名称に、前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称と同一の名称を用い、前記電子地図における前記地域名称が示す地域領域を、前記方面案内地図データベースに記憶された前記道路ネットワークと前記方面案内標識の前記案内情報とを利用して作成することを特徴とする地域データ作成装置。
【請求項2】
前記方面案内地図データベースとして、道路の接続位相構造を、道路ネットワーク上の交差点を示すノードと該交差点間を接続した道路セグメントを示すリンクとをノード・リンクデータとして記憶する道路ネットワーク記憶手段と、道路ネットワーク上の各交差点近傍に設置された前記方面案内標識に表記された前記方面名称、方面方向を、当該交差点を示す前記ノードと当該ノードからの各方面方向を示す前記リンクとに対応付けて記憶する方面名称記憶手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項1に記載の地域データ作成装置。
【請求項3】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択手段と、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータの中からいずれか一つのノードを選択し、前記道路ネットワーク上で、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象として、選択された前記ノードから検索を開始して、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを、順次たどるように追跡していく同一名称追跡手段と、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、追跡した先のノードに接続されている全てのリンクについて、現在追跡中の検索対象の当該方面名称と同一の名称が対応付けられていない場合、当該ノードを名称中絶点として保持する名称中絶点保持手段と、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、もしくは、既に追跡済みのノードに到達した場合、現在実行中の名称追跡処理を終了し、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータのうち他の未追跡のノードを選択して新たに前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を開始するように、前記同一名称追跡手段の実行を制御する名称追跡処理制御手段と、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータ全てに対して前記同一名称追跡手段における名称追跡処理が終了した時点で、前記名称中絶点保持手段に保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する幾何図形を、検索対象の当該方面名称と同一の名称となる前記地域名称が示す地域領域として近似する点群図形近似手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項2に記載の地域データ作成装置。
【請求項4】
前記同一名称選択手段は、集められた前記ノード・リンクデータのノード位置の分布に基づいて、必要に応じて、近接するノード同士をまとめる処理を行い、前記同一名称追跡手段は、前記同一名称選択手段においてまとめられたノード・リンクデータごとに、個別に、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称の追跡処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の地域データ作成装置。
【請求項5】
前記名称追跡処理制御手段は、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した場合、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を終了することなく、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持手段は、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において到達した、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードを、仮の名称中絶点として登録することを特徴とする請求項3または4に記載の地域データ作成装置。
【請求項6】
前記名称追跡処理制御手段が、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードに到達した以後も、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項5に記載の地域データ作成装置。
【請求項7】
前記名称追跡処理制御手段は、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を終了する代わりに、前記名称中絶点に到達した以後も、あらかじめ定められた停止条件が満たされるまで、前記名称中絶点に接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持手段は、前記名称中絶点に到達した時点では、当該名称中絶点に該当するノードを仮の名称中絶点として登録するにとどめ、以降継続される前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行中に、あらかじめ定めた前記追跡方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが再び検出された場合、登録されていた前記仮の名称中絶点を破棄することを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項8】
前記名称追跡処理制御手段が、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理の実行の継続を停止させるための前記停止条件として、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理があらかじめ定めた所定の追跡範囲の境界域まで到達して該追跡範囲より外のノード・リンクデータへ移動しようとしてしまった場合、今までの追跡方向に対して逆方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを検出した場合、あるいは、仮の名称中絶点として登録された前記ノードに接続されたリンクのいずれもあらかじめ定めた追跡方向の前記リンクに該当していない場合、のいずれかを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項7に記載の地域データ作成装置。
【請求項9】
前記名称中絶点保持手段は、前記名称追跡処理制御手段において前記停止条件が満たされた場合、前記仮の名称中絶点として登録されていたノードを前記名称中絶点として本登録することを特徴とする請求項7または8に記載の地域データ作成装置。
【請求項10】
前記名称追跡処理制御手段が、前記仮の名称中絶点として登録されるノードに到達した以後も、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項11】
前記名称中絶点保持手段は、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが、同一リンクの両端に位置する2つのノードにおいて当該リンクの互いに相反する方向にそれぞれ存在していた場合、当該方面名称に関する前記名称中絶点として、当該リンクの両端に位置する2つの前記ノードのいずれか一方もしくは両者を登録することを特徴とする請求項3ないし10のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項12】
前記点群図形近似手段は、前記地域名称の地域領域を示す地域データとして近似する幾何図形として、前記名称中絶点保持手段に保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項3ないし11のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項13】
前記点群図形近似手段は、前記名称中絶点保持手段に保持された一群の前記名称中絶点それぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記名称中絶点保持手段に保持された各前記名称中絶点のうち前記重心位置から最も遠距離にある前記名称中絶点と前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円形領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項3ないし11のいずれかに記載の地域データ作成装置。
【請求項14】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択手段と、前記同一名称選択手段に保持された前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布領域よりも内側の領域であって、かつ、該ノードそれぞれの所在位置を包含しない範囲で最大の領域となる最大間隙領域を求める最大間隙領域決定手段と、を少なくとも備え、前記最大間隙領域決定手段によって求められた前記最大間隙領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項2に記載の地域データ作成装置。
【請求項15】
前記最大間隙領域決定手段は、前記同一名称選択手段に保持された各前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記同一名称選択手段に保持された各前記ノード・リンクデータのノードのうち前記重心位置から最も近距離にあるノードと前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円の内側領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似する前記最大間隙領域とすることを特徴とする請求項14に記載の地域データ作成装置。
【請求項16】
車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図を作成する電子地図作成装置において、前記電子地図上の各地域を示す地域データを作成するための手段として、請求項1ないし15のいずれかに記載の地域データ作成装置を用いることを特徴とする電子地図作成装置。
【請求項17】
車両の道路案内用を含む各種用途に使用される電子地図上の各地域を示す地域データを作成する地域データ作成方法において、道路ネットワークと、道路に設置されている方面案内標識に表記された方面名称、方面方向を含む案内情報と、を記憶する方面案内地図データベースを少なくとも備え、前記電子地図における前記地域データを構成する地域名称に、前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称と同一の名称を用い、前記電子地図における前記地域名称が示す地域領域を、前記方面案内地図データベースに記憶された前記道路ネットワークと前記方面案内標識の前記案内情報とを利用して作成することを特徴とする地域データ作成方法。
【請求項18】
前記方面案内地図データベースとして、道路の接続位相構造を、道路ネットワーク上の交差点を示すノードと該交差点間を接続した道路セグメントを示すリンクとをノード・リンクデータとして記憶する道路ネットワーク記憶ステップと、道路ネットワーク上の各交差点近傍に設置された前記方面案内標識に表記された前記方面名称、方面方向を、当該交差点を示す前記ノードと当該ノードからの各方面方向を示す前記リンクとに対応付けて記憶する方面名称記憶ステップと、を少なくとも有していることを特徴とする請求項17に記載の地域データ作成方法。
【請求項19】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択ステップと、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータの中からいずれか一つのノードを選択し、前記道路ネットワーク上で、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象として、選択された前記ノードから検索を開始して、検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを、順次たどるように追跡していく同一名称追跡ステップと、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、追跡した先のノードに接続されている全てのリンクについて、現在追跡中の検索対象の当該方面名称と同一の名称が対応付けられていない場合、当該ノードを名称中絶点として保持する名称中絶点保持ステップと、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、もしくは、既に追跡済みのノードに到達した場合、現在実行中の名称追跡処理を終了し、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータのうち他の未追跡のノードを選択して新たに前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を開始するように、前記同一名称追跡ステップの実行を制御する名称追跡処理制御ステップと、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータ全てに対して前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理が終了した時点で、前記名称中絶点保持ステップにより保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する幾何図形を、検索対象の当該方面名称と同一の名称となる前記地域名称が示す地域領域として近似する点群図形近似ステップと、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項18に記載の地域データ作成方法。
【請求項20】
前記同一名称選択ステップは、集められた前記ノード・リンクデータのノード位置の分布に基づいて、必要に応じて、近接するノード同士をまとめる処理を行い、前記同一名称追跡ステップは、前記同一名称選択ステップによりまとめられたノード・リンクデータごとに、個別に、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称の追跡処理を行うことを特徴とする請求項19に記載の地域データ作成方法。
【請求項21】
前記名称追跡処理制御ステップは、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていないノードに到達した場合、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を終了することなく、当該ノードに接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持ステップは、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において到達した、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードを、仮の名称中絶点として登録することを特徴とする請求項19または20に記載の地域データ作成方法。
【請求項22】
前記名称追跡処理制御ステップが、いかなる前記ノード・リンクデータにも対応付けられていない前記ノードに到達した以後も、前記同一名称追跡手段における名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項21に記載の地域データ作成方法。
【請求項23】
前記名称追跡処理制御ステップは、前記地域名称として選択された当該方面名称を検索対象とする、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行において、前記名称中絶点に到達した場合、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を終了する代わりに、前記名称中絶点に到達した以後も、あらかじめ定められた停止条件が満たされるまで、前記名称中絶点に接続されたリンクのうちあらかじめ定められた追跡方向のリンクに対して、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を継続するように制御し、前記名称中絶点保持ステップは、前記名称中絶点に到達した時点では、当該名称中絶点に該当するノードを仮の名称中絶点として登録するにとどめ、以降継続される前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行中に、あらかじめ定めた前記追跡方向のリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが再び検出された場合、登録されていた前記仮の名称中絶点を破棄することを特徴とする請求項19ないし22のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項24】
前記名称追跡処理制御ステップが、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理の実行の継続を停止させるための前記停止条件として、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理があらかじめ定めた所定の追跡範囲の境界域まで到達して該追跡範囲より外のノード・リンクデータへ移動しようとしてしまった場合、今までの追跡方向に対して逆向きのリンクにおいて検索対象の当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータを検出した場合、あるいは、仮の名称中絶点として登録された前記ノードに接続されたリンクのいずれもあらかじめ定めた追跡方向の前記リンクに該当していない場合、のいずれかを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項23に記載の地域データ作成方法。
【請求項25】
前記名称中絶点保持ステップは、前記名称追跡処理制御ステップにおいて前記停止条件が満たされた場合、前記仮の名称中絶点として登録されていたノードを前記名称中絶点として本登録することを特徴とする請求項23または24に記載の地域データ作成方法。
【請求項26】
前記名称追跡処理制御ステップが、前記仮の名称中絶点として登録されるノードに到達した以後も、前記同一名称追跡ステップにおける名称追跡処理を継続するために用いる前記追跡方向のリンクとして、当該ノードへの進入リンクと同じ路線番号または同じ路線名称に属するリンク、あるいは、当該ノードへの進入リンクとの接続角度があらかじめ定めた所定範囲内にあって、前記進入リンクとの角度が180度に最も近いリンク、を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項23ないし25のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項27】
前記名称中絶点保持ステップは、前記地域名称として選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられたノード・リンクデータが、同一リンクの両端に位置する2つのノードにおいて当該リンクの互いに相反する方向にそれぞれ存在していた場合、当該方面名称に関する前記名称中絶点として、当該リンクの両端に位置する2つの前記ノードのいずれか一方もしくは両者を登録することを特徴とする請求項19ないし26のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項28】
前記点群図形近似ステップは、前記地域名称の地域領域を示す地域データとして近似する幾何図形として、前記名称中絶点保持ステップにより保持された一群の前記名称中絶点の分布範囲を全てあるいはあらかじめ定められた割合で包含する領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項19ないし27のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項29】
前記点群図形近似ステップは、前記名称中絶点保持ステップにより保持された一群の前記名称中絶点それぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記名称中絶点保持手段に保持された各前記名称中絶点のうち前記重心位置から最も遠距離にある前記名称中絶点と前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円形領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項19ないし27のいずれかに記載の地域データ作成方法。
【請求項30】
前記方面案内地図データベースに記憶された前記方面名称の中からいずれか一つの方面名称を、前記地域データを構成する地域名称として選択し、選択された当該方面名称と同一の名称に対応付けられた道路ネットワーク上の前記ノード・リンクデータを、前記方面案内地図データベースから全て集めて保持する同一名称選択ステップと、前記同一名称選択ステップにより保持された前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布領域よりも内側の領域であって、かつ、該ノードそれぞれの所在位置を包含しない範囲で最大の領域となる最大間隙領域を求める最大間隙領域決定ステップと、を少なくとも有し、前記最大間隙領域決定ステップによって求められた前記最大間隙領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似することを特徴とする請求項17または18に記載の地域データ作成方法。
【請求項31】
前記最大間隙領域決定ステップは、前記同一名称選択ステップにより保持された各前記ノード・リンクデータのノードそれぞれの分布位置に対する重心位置を求め、さらに、前記同一名称選択ステップに保持された各前記ノード・リンクデータのノードのうち前記重心位置から最も近距離にあるノードと前記重心位置との間の距離を算出して、前記重心位置を中心とし、算出された前記距離を半径とする円の内側領域を、前記地域名称が示す地域領域として近似する前記最大間隙領域とすることを特徴とする請求項30に記載の地域データ作成方法。
【請求項32】
請求項17ないし31のいずれかに記載の地域データ作成方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実現していることを特徴とする地域データ作成プログラム。
【請求項33】
請求項32に記載の地域データ作成プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−248769(P2007−248769A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71374(P2006−71374)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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