説明

地域別選曲候補提示システム

【課題】
車載カラオケ装置にて有効に採用でき、観光バス等の移動体空間という外部環境に直接接している独特な雰囲気などを鑑み、好適に地域と楽曲との関連付けを行い得ると共に、移動体が所定の地域に入った際にて、自動的かつ効率的に乗客に好んで歌える地域別の選曲候補を推奨することができるシステムの提供を課題とする。
【解決手段】
利用者が選曲した楽曲をカラオケ装置に予約登録し、所定の位置検知装置を用いて、楽曲を予約登録した時点で、取得した移動体の位置情報から現地域を特定し、選曲され予約登録した楽曲と特定された現地域とを紐付け、その楽曲の選曲頻度を含めて記録する。この記録に基づき、位置検知装置を利用して、移動体が所定の地域に入ったことを検知した場合、当該地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に設置された車載カラオケ装置において、移動体の位置情報に基づき選曲候補を提示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なカラオケ装置の設置場所とは、スナックやバー等のナイト店舗や、カラオケ装置が複数設置されるカラオケボックス等といった店舗内である。しかしながら、現在は前記ナイト店舗やカラオケボックスに限らず、利用者が長時間の移動を快適に過ごす目的で、移動体である車両や船舶等にもカラオケ装置が設置されるようになった。特に観光バスの需要は大きく、このような観光バス、すなわち車両等の移動体に設置される車載カラオケ装置について、従来、様々なアイデアが想到された。例えば、特許文献1では、GPS等により知得した車両の位置情報を用いて、車両が所定の位置範囲に入っている場合には、知得した位置の地域に合わせた観光情報あるいはお奨めのカラオケ曲リストを表示する技術が開示されている。なお、移動体に限らず、位置情報(地域情報)とカラオケ楽曲とを関連付けた発明としては、例えば、特許文献2では、カラオケリモコン装置にて、地域別に人気のあった楽曲を選定、年代別に区分けして管理することにより、特定された年代および地域から楽曲を検索する技術が開示されている。
【0003】
そして、位置情報(地域情報)とカラオケ楽曲とを関連付けた従来の技術では、その関連付けを人為的な操作に頼っていた。例えば、「ご当地ソング」なるものを対応付けるものである。上記特許文献1でも、車両が所定の位置範囲に入った場合に、予め位置情報と対応付けられている楽曲リストおよび観光情報を表示するものであるが、特に楽曲リスト作成の根拠については明示がないものの、観光情報と絡めて考えると、曲名や歌詞の内容と当該地域とが関連する楽曲があれば、これを人為的に採用しているものと想到できる。また、特許文献2でも、地域別かつ年代別に人気のあったカラオケ楽曲のリストを表示させることも可能ではあるが、これについても地域別年代別のカラオケ楽曲リスト作成の根拠については、その地域と所定の年代において、レコードやCD売り上げ、カラオケや有線放送のリクエスト頻度などを総合的に勘案して人為的に採用しているものである。
【特許文献1】特開平9−2992247号公報
【特許文献2】特開2006−154272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、位置情報(地域情報)とカラオケ楽曲との関連付けを人為的な操作に頼っていると、本当に、観光バス等の移動体を利用している人(乗客)が、その地域に入った場合に好んで歌う楽曲かどうかが不確定であり、特に、移動体での歌唱は、乗客にとって、普段生活している地域とは異なる地域に足を踏み入れることになり、また、移動体空間という移動しながら外部環境に直接接している独特な雰囲気もあり、その地域にて歌いたいという楽曲の傾向は、単純に、その地域で地元の人が良く歌う楽曲の傾向とは必ずしも一致せず、従来のように、選択者の主観を伴う人為的な採用では、とても正確にはその傾向が計れないという不都合がある。具体的には、例えば、地域として「海」を設定した場合、「海」という言葉を含んだ曲名や歌詞のある楽曲を単純に採用して表示しても、実際、海辺に移動した際、乗客はその条件にて採用された楽曲を本当に歌いたくなるという確証はどこにもないのが現実である。
【0005】
そこで、本発明は、本当に歌いたくなるという確証のない従来の位置情報(地域情報)とカラオケ楽曲との人為的な関連付けを行うことなく、観光バス等の移動体空間という外部環境に直接接している独特な雰囲気などを鑑み、好適に地域と楽曲との関連付けを行い得ると共に、移動体が所定の地域に入った際にて、自動的かつ効率的に乗客に好んで歌える地域別の選曲候補を推奨することができるシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を鑑み、本発明の地域別選曲候補提示システムとは、車両等の移動体に設置された車載カラオケ装置において、当該移動体の位置情報に基づき、好適な選曲候補を提示するためのシステムであって、利用者が選曲した楽曲をカラオケ装置に予約登録し、所定の位置検知装置を用いて、楽曲を予約登録した時点での移動体の位置情報を取得し、選曲され予約登録した楽曲とその取得した位置情報が分類された地域とを紐付け、その楽曲の選曲頻度を含めて記録する。そして、この記録に基づき、位置検知装置を利用して、移動体が所定の地域に入ったことを検知した場合、当該地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を提示し、好ましくは、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を提示する際、それぞれの楽曲が属するジャンル別に提示することを特徴とし、これらの構成により上記課題を解決した。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1記載の地域別選曲候補提示システムとは、車両等の移動体に設置された車載カラオケ装置において、当該移動体の位置情報に基づき、好適な選曲候補を提示するためのシステムであって、楽曲予約登録手段と、現地域特定手段と、地域別選曲頻度管理手段と、地域別選曲候補提示手段とを有し、
(ア)楽曲予約登録手段とは、利用者が選曲した楽曲をカラオケ装置に予約登録し、
(イ)現地域特定手段とは、所定の位置検知装置を用いて、予め設定された地域別に分類された位置情報が管理されてなる地域別位置情報管理テーブルに基づき、移動体が現にいる地域を特定し、
(ウ)地域別選曲頻度管理手段とは、任意の楽曲を予約登録した時点で、前記特定された地域と当該楽曲とを紐付け、その楽曲の選曲頻度を含めて、所定の地域別楽曲管理テーブルに記録し、
(エ)地域別選曲候補提示手段とは、前記現地域特定手段が、移動体が所定の地域に現に入ったことを特定した場合、前記地域別楽曲管理テーブルに記録された当該地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を提示する、
ことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の請求項2記載の地域別選曲候補提示システムとは、請求項1記載の地域別選曲候補提示システムにおいて、
(オ)前記地域別選曲候補提示手段とは、前記現地域特定手段が、移動体が所定の地域に現に入ったことを特定した場合、前記地域別楽曲管理テーブルに記録された当該地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を、それぞれの楽曲が属するジャンル別に提示する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1記載の地域別選曲候補提示システムによれば、移動体に設置された車載カラオケ装置において、位置検知装置を用いて乗客が楽曲を予約登録した時点での位置情報を取得して収集し、予約登録された楽曲と取得した位置情報とを紐付け記録することにより、移動体が所定領域に入ったことを位置検知装置が検知した場合には、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の地域楽曲を提示する。すなわち、実際に移動体に設置された車載カラオケ装置が走行中の地域にて、どのような楽曲が予約登録されているのかが統計的に確定され、これに基づき選曲候補を提示する。
したがって、観光バス等の移動体空間という外部環境に直接接している独特な雰囲気などを鑑みながら、その雰囲気の中での選曲傾向を好適に収集でき、地域と楽曲との関連付けを人為的操作に頼らずに行い得ると共に、移動体が所定の地域に入った際、効率的に乗客に好んで歌える地域別の選曲候補を推奨することができるといった効果を奏する。
【0010】
本発明の請求項2記載の地域別選曲候補提示システムによれば、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を提示する際、それぞれの楽曲が属するジャンル別に提示することから、上記効果に加え、地域別のジャンル嗜好も判別され、ジャンルから選曲する際には非常に参考になる。例えば、乗客が演歌を歌唱したくなるような地域では、演歌の楽曲を中心に選曲候補として提示することで、「演歌」というジャンルからの選曲を促すこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の地域別選曲候補提示システムについて適切な実施例を挙げ、先ず、図1に示す「本発明のシステムを組み込んだ車載カラオケ装置のブロック構成図」について説明する。
【0012】
図1は、本発明のシステムを組み込んだ車載カラオケ装置(1)における主要構成部のブロック構成図であり、この車載カラオケ装置(1)とは、観光バス等の移動体に設置されているカラオケ装置である。この車載カラオケ装置(1)は各種機能手段などから構成され、さらに、所定のGPS等の位置検知装置(G)が接続されている。まず、車載カラオケ装置(1)の中央制御手段(2)は、リモコン装置等により、乗客である利用者が検索して選曲した楽曲の予約登録の指示がなされると、楽曲予約登録手段(5)にてハードディスク(3)(以下HDD)の楽曲DB(DB)から、当該選曲された楽曲IDをRAM(4)の予約待ち行列管理テーブル(Q)に選曲の順序に従い順番に登録する。
【0013】
そして、中央制御手段(2)は、当該予約待ち行列管理テーブル(Q)に楽曲が予約登録されたタイミングにて、位置検知装置(G)に接続されている現地域特定手段(6)を用いて、当該地域別位置情報が管理されている地域別位置情報管理テーブル(T1)に基づき移動体の現地域を特定し、特定された地域と当該予約楽曲とを紐付けして記録するが、この際、以前に記録された選曲回数に「1」を上乗せして、所定期間中の選曲回数をカウントしてなる選曲頻度を含めて、地域別選曲頻度管理手段(7)を用いて、所定の地域別楽曲管理テーブル(T2)に記録する。
【0014】
次に、現地域特定手段(6)にて、移動体が移動したことにより、地域別位置情報管理テーブル(T1)に記録されている別の地域に入ったことを特定した場合には、地域別楽曲管理テーブル(T2)に記録されている現地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲、もしくは、この選曲頻度の降順に基づく所定順位以上の楽曲、好ましくは、それぞれの楽曲をジャンル別にしたものを、RAM(4)の現地域別楽曲表示リスト(L)に記憶し、このリスト(L)を映像制御手段(9)およびモニター(10)を用いて利用者に選曲候補として提示する。
【0015】
そして、提示された選曲候補から利用者は所望の楽曲の選曲をもって予約登録を行うと、通常の処理工程であるように、HDD(3)の楽曲DB(DB)より楽曲データを読み出し、読み出された楽曲データと、利用者がマイク(12)を用いて入力する歌唱音をミキシングアンプ(11)にてミックスし、スピーカー(13)から出力するものである。
【0016】
次に、図2に示す「予約待ち行列管理テーブルおよび地域別位置情報管理テーブルの概略図」について説明する。
【0017】
図2の(a)予約待ち行列管理テーブルの概略図は、利用者が楽曲予約登録手段をもって登録した楽曲の曲名および、楽曲ID、ジャンルとそのIDなどを記録したものである。すなわち、この予約待ち行列管理テーブル(Q)の構成要件としては、予約待ち行列に登録されている楽曲の演奏順番を示す「演奏順番」フィールド(f1)と、登録した楽曲の曲名を示す「曲名」フィールド(f2)と、楽曲を特定する選曲番号である楽曲IDを示す「楽曲ID」フィールド(f3)と、予め定められている楽曲のジャンルを示す「ジャンル名」フィールド(f4)および、そのジャンルを特定するための「ジャンルID」フィールド(f5)などから構成されている。なお、本実施例では、ジャンルに関するフィールドを設けているが、本発明では、これに限定されることなく、必ずしも、このフィールドを設けなくても構わない。
【0018】
そして、図2の(b)地域別位置情報管理テーブルの概略図とは、予め定められた地域別に分類された位置情報の集合体である、例えば、カーナビゲーションシステムでも適用されている地図座標データを記録したものである。この地域別位置情報管理テーブル(T1)の構成要件として、管理番号を示す「管理番号」フィールド(f1)と、予め定められている地域を示す「地域」フィールド(f2)と、定められている地域に割り当てられている識別コードを示す「地域コード」フィールド(f3)と、定められた地域のGPS等によって得られる、複数位置情報の集合体を示す「地図座標データ」フィールド(f4)から構成されており、当該分類された地域に紐付けられている位置情報すなわち地図座標データにより、移動体が現にいる地域を特定する。なお、本実施例では、地域を「都道府県」に設定しているが、本発明では、これに限定されず、例えば、「東日本」と「西日本」、あるいは、「海辺」、「山間部」、「草原」、「田舎」、「都市」などといった地域の設定を行っても構わない。
【0019】
次に、図3に示す「地域別楽曲管理テーブルの概略図」について説明する。
【0020】
図3は、各地域に紐付けられている楽曲を記録した、地域別楽曲管理テーブル(T2)である。すなわち、予約待ち行列管理テーブルに記録されている楽曲が予約待ち行列管理テーブル(Q)に予約登録された時点での移動体の現地域を、地域別位置情報管理テーブルの地図座標データにより特定し記録したものである。この地域別楽曲管理テーブル(T2)の構成要件として、予め定めされている地域を示す「地域」フィールド(f1)と、地域に割り当てられている識別コードを示す「地域コード」フィールド(f2)と、当該地域で予約登録された楽曲の選曲頻度の順位を示す「頻度順位」フィールド(f3)と、選曲された楽曲の曲名を示す「曲名」フィールド(f4)と、楽曲の楽曲IDを示す「楽曲ID」フィールド(f5)と、楽曲に予め定められているジャンルのジャンルIDを示す「ジャンルID」フィールド(f6)と、選曲して予約登録された楽曲の選曲頻度を示す「選曲頻度」(f7)から構成されている。なお、本実施例では、(a)「北海道」地域のレコードテーブル、(b)「青森県」地域のレコードテーブル、(c)「東京都」地域のレコードテーブルの3つを示しているが、これに限らず、地域別位置情報管理テーブル(T1)にて記録されている地域分のレコードを地域別楽曲管理テーブル(T2)として記録している。
【0021】
次に図4に示す、「現地域別楽曲表示リストの例」について説明する。
【0022】
図4は、「北海道」地域の表示リストの提示例であり、地域別楽曲管理テーブルに記録されている、「北海道」地域に紐付けられている楽曲の提示基準として、(a)所定頻度以上および(b)所定頻度以上の楽曲をジャンル別に示したものである。まず、(a)選曲頻度順に楽曲表示リストとは、提示基準を「選曲頻度を100曲以上、かつ、頻度順位5位以上」と定め、当該提示基準に該当した5曲の「北海道」地域の楽曲を、選曲頻度の順位に従い表示したものである。具体的には、選曲頻度順の楽曲リスト表示(Da)には、選曲頻度220曲であり、頻度順位1位の選曲番号「*****l」から、選曲頻度118曲であり、頻度順位が5位の選曲番号「*****g」までが表示リストとして提示され、選曲頻度98曲、頻度順位6位の選曲番号「*****e」は、予め定められた選曲頻度以下および頻度順位以下であるため提示されない。なお、本実施例では、提示基準として、所定頻度以上かつ頻度順位以上としたが、所定頻度以上のみ、選曲順位以上のみと個別に設定しても、あるいは、所定頻度以上または選曲順位以上と設定しても構わない。
【0023】
次に(b)ジャンル別の楽曲表示リストとは、地域別楽曲管理テーブルに記録されている、「北海道」地域に紐付けられている楽曲の内、予め定められた提示基準として、上記と同様に「選曲頻度を100曲以上、かつ、頻度順位5位以上」と定め、該当する楽曲をジャンル別に提示するものである。具体的には、ジャンル別の楽曲表示リスト(Db)には、選曲頻度220曲であり、選曲頻度1位の選曲番号「*****l」のジャンルIDに従い、「演歌」が提示され、次に同一ジャンルで、次に選曲頻度が165曲と多い選曲番号「*****f」を提示、次に選曲番号「*****k」の楽曲が提示される。そして、「演歌」ジャンルの提示の次のジャンルとして、選曲頻度が185曲と多い、「Jポップス」の楽曲である選曲番号「*****n」が提示され、引き続き「Jポップス」のジャンルで次に選曲頻度が多い選曲番号「*****g」が提示され、各楽曲のジャンルを含めた「北海道」地域の楽曲表示リストとして提示することが可能となる。
【0024】
次に図5に示す、「地域別選曲候補提示システムの流れを示す図」について説明する。
【0025】
図5は、地域別選曲候補提示システムの流れを示す図であり、(a)は移動体である観光バスが北海道地域を走行中の時の提示される選曲候補の楽曲を示したものである。位置検知装置を用いてこの観光バスが北海道地域を走行中と特定された場合には、地域楽曲管理テーブルに記録されている北海道地域に紐付けられている楽曲の内、予め設定された提示基準として「選曲頻度を100曲以上、かつ、頻度順位5位以上」に該当する楽曲リストが提示される。
【0026】
そして、(b)に示すように、観光バスが北海道地域から隣県である青森県地域に入って、位置検知装置を用いて、青森県地域を走行中と特定された場合には、北海道地域の楽曲リストから青森県地域の楽曲リストに変更され提示されることになる。本実施例では、提示基準を全国一律に「選曲頻度を100曲以上、かつ、頻度順位5位以上」としているが、本発明はこれに限らず、各地域毎に提示基準を個別に定めても良い。これは、例えば、観光バスであれば、観光が盛んな地域では選曲頻度が高くなり、そうでない地域では選曲頻度が低くなってしまうため、基準を上げすぎると全く該当するものがなかったり、基準を下げすぎると、大量に該当してしまったりする地域が現れたりする。すなわち、すべての地域を同じ尺度で設定すると地域毎の特色がうまく反映されずに不合理となるからである。
【0027】
次に図6に示す、「地域別楽曲の記録処理と提示処理を示すフロー」を用いて、地域別に選曲された楽曲の記録処理および記録した地域別楽曲の提示処理についての説明を行う。
【0028】
図6の(a)地域別楽曲の記録処理を示すフローとは、移動体にて予約登録された時点での地域を、上記した現地域特定手段をもって特定し、特定された地域と予約登録楽曲を紐付け記録するものである。まず、現に利用されている車載カラオケ装置が、乗客から楽曲の予約登録を受け付けたか否かが判断され(S1)、予約登録されたと判断された場合には、位置検知装置を用いて予約登録された時点での位置情報を取得して地域を特定し(S2)、特定された後に当該予約登録楽曲と地域を紐付け記録し(S3)、再び、予約登録されたか否かの判断処理(S1)から繰り返しなされる。
【0029】
次に(b)地域別楽曲の提示処理を示すフローとは、移動体がある地域から別の地域に入ったことが特定された場合に、記録されている地域に紐付けられている楽曲を提示するまでの処理を示したものである。まず、現地域特定手段をもって、移動体がある地域から別の地域に入ったことが特定されたか否かが判断され(S4)、別の地域に入ったと判断された場合には、当該地域に紐付けられている楽曲の内、予め定められた所定頻度以上、もしくは順位以上の楽曲、または、楽曲が属するジャンル別に地域別楽曲表示リストを提示する(S5)。そして、再び移動体の別の地域に入ったことが特定されたかの判断処理(S4)から繰り返しなされる。
【0030】
以上のように、本発明の地域別選曲候補提示システムとは、実際に移動体に設置された車載カラオケ装置が走行中の地域にて、どのような楽曲が予約登録されているかが統計的に確定され、これに基づき地域別の選曲候補を自動的に提示するため、観光バス等の移動体空間という外部環境に直接接している独特な雰囲気などを鑑みながら、その雰囲気の中での選曲傾向を好適に収集でき、地域と楽曲との関連付けを人為的操作に頼らずに行い得ると共に、移動体が所定の地域に入った際、効率的に乗客に好んで歌える地域別の選曲候補を推奨することができる。さらに、地域別の選曲候補の楽曲を提示する際、その楽曲が属するジャンル別に提示すると、地域別のジャンル嗜好も判別され、ジャンルから選曲する際には非常に参考になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のシステムを組み込んだ車載カラオケ装置のブロック構成図
【図2】予約待ち行列管理テーブルおよび地域別位置情報管理テーブルの概略図
【図3】地域別楽曲管理テーブルの概略図
【図4】現地域別楽曲表示リストの例
【図5】地域別選曲候補提示システムの流れを示す図
【図6】地域別楽曲の記録処理と提示処理を示すフロー
【符号の説明】
【0032】
1 車載カラオケ装置
2 中央制御装置
3 HDD
4 RAM
5 楽曲予約登録手段
6 現地域特定手段
7 地域別選曲頻度管理手段
8 地域別選曲候補提示手段
T1 地域別位置情報管理テーブル
T2 地域別楽曲管理テーブル
G 位置検知装置
Q 予約待ち行列管理テーブル
L 現地域別楽曲表示リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両等の移動体に設置された車載カラオケ装置において、当該移動体の位置情報に基づき、好適な選曲候補を提示するためのシステムであって、楽曲予約登録手段と、現地域特定手段と、地域別選曲頻度管理手段と、地域別選曲候補提示手段とを有し、
(ア)楽曲予約登録手段とは、利用者が選曲した楽曲をカラオケ装置に予約登録し、
(イ)現地域特定手段とは、所定の位置検知装置を用いて、予め設定された地域別に分類された位置情報が管理されてなる地域別位置情報管理テーブルに基づき、移動体が現にいる地域を特定し、
(ウ)地域別選曲頻度管理手段とは、任意の楽曲を予約登録した時点で、前記特定された地域と当該楽曲とを紐付け、その楽曲の選曲頻度を含めて、所定の地域別楽曲管理テーブルに記録し、
(エ)地域別選曲候補提示手段とは、前記現地域特定手段が、移動体が所定の地域に現に入ったことを特定した場合、前記地域別楽曲管理テーブルに記録された当該地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を提示する、
ことを特徴とする地域別選曲候補提示システム。
【請求項2】
(オ)前記地域別選曲候補提示手段とは、前記現地域特定手段が、移動体が所定の地域に現に入ったことを特定した場合、前記地域別楽曲管理テーブルに記録された当該地域に紐付けられた楽曲の内、予め設定された提示基準として、所定頻度以上の楽曲もしくは当該頻度に基づく所定順位以上の楽曲を、それぞれの楽曲が属するジャンル別に提示する、
ことを特徴とする請求項1記載の地域別選曲候補提示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−128304(P2010−128304A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304481(P2008−304481)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】