説明

地理情報システム

【課題】利用者独自の空間データを地図データに重ね合わせて利用者に提供する際に、当該空間データの機密を保持する。
【解決手段】情報端末20が必要に応じて空間データを地理データ作成サーバ30に送信し、地理データ作成サーバ30はこの空間データを受信して地理データを作成する。すなわち、情報端末20の空間データは地理データ作成サーバ30に保持されず、この結果、地理データ作成サーバ30に空間データが保持され続けることによる第三者に漏洩する危険性を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地理情報システムに関し、特に、地理情報システムの利用者の持つコンテンツ情報の機密を保持する場合に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地図上の位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする地理情報システム(特許文献1参照)があり、様々な分野で用いられている。
【0003】
このような地理情報システムには次のような応用例がある。すなわち或る地域に拠点を有する営業員が、空間データとして市町村毎の年齢別人口データを地理情報システムに入力し、このデータと地図とを重ね合わせた結果として地域毎の年齢別の人口分布の出力を得て、営業活動の参考とする場合である。
【0004】
このように、通常数値で表される空間データを地図データに反映させて、空間データが地図上に表されることにより、利用者は視覚的に空間データを捉える事ができる。これにより、例えば若年層が多くすむ地域には、若年層の嗜好に応じた製品を当該地域で重点的に広告するなどの営業活動を効果的に行うことができる。
【0005】
また、地理情報システムでは、有償又は無償で頒布される各種空間データを用いる他に、地理情報システムの利用者が独自に持つデータを所定のフォーマットに変換した上で、空間データとして用いることもできる。これにより、利用者が営業活動等を通して蓄積したデータ、いわゆるノウハウを視覚的に捉えて新たな知見を得る事が可能となり、この知見を生かした営業戦略を立案して他者との差別化を図ることができる。
【0006】
一方、営業活動等様々な分野で地理情報システムの利用が図られるにつれて、地理情報システムサービスを提供する形態も多様化している。
【0007】
この形態の一つに、利用者が地図データ,空間データやコンピュータ等を含めた地理情報システム一式を導入する形態がある。他に、利用者が地理情報システムの機能を提供する事業者と契約し、独自の空間データがある場合はそれを事業者に預け、インターネット等の通信回線を介して地理情報システムの機能を利用する形態がある。
【0008】
前者の形態では、地理情報システムを利用する一連の処理は利用者側だけで行われるため、利用者の所望に応じて自由に利用することができる。しかし、地図データの更新等に掛かる費用やコンピュータを維持管理する専門の人員を配する等、運用面での負担が増大する不利益が生じる。
【0009】
後者の形態では、かかる負担を削減できるものの、事業者に預けられた利用者独自の空間データが長期間に亘り事業者側の地理情報システムに保持されるため、この空間データが第三者へ漏洩する危険性が高まり、機密保持の観点から望ましい形態であるとは言えない。
【0010】
【特許文献1】特開2001−134595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑み、利用者独自の空間データを地図データに重ね合わせて利用者に提供する際に、当該空間データの機密を保持する地理情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
所定の通信路を介して情報の授受するための通信手段と、
地図データへの表示位置を表す表示位置情報を含む空間データを前記通信手段を介して送信する空間データ送信手段を有する情報端末と、
前記通信手段を介して前記情報端末より取得した空間データの表示位置情報に基づいて、地図データの特定位置に前記空間データを描画して地理データを作成する地理データ作成手段、及び作成された地理データを前記通信手段を介して前記情報端末に送信する地理データ送信手段を有する地理データ作成サーバと、
を具備することを特徴とする地理情報システムにある。
【0013】
かかる第1の態様では、情報端末が必要に応じて空間データを地理データ作成サーバに送信し、地理データ作成サーバはこの空間データを受信して地理データを作成する。すなわち、情報端末の空間データは地理データ作成サーバに保持されず、この結果、地理データ作成サーバ側に空間データが保持され続けることによる第三者に漏洩する危険性を抑制することができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する地理情報システムにおいて、
前記通信手段は、前記情報端末と前記地理データ作成サーバとの間に設けられた専用回線である
ことを特徴とする地理情報システムにある。
【0015】
かかる第2の態様では、情報端末と地理データ作成サーバとの間の通信路に専用回線を用いることにより、情報端末から送信中の空間データが第三者に傍受されることを防ぐことができる。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1の態様に記載する地理情報システムにおいて、
前記通信手段は、前記情報端末と前記地理データ作成サーバとの間に設けられた公衆通信網であり、
前記空間データ送信手段は、空間データを暗号化して前記公衆通信網に送信し、
前記地理データ作成手段は、受信した前記空間データを復号化する
ことを特徴とする地理情報システムにある。
【0017】
かかる第3の態様では、情報端末と地理データ作成サーバとの間の通信路に公衆通信網を用いることで、通信に掛かる費用の低減を可能とすると共に、送信する空間データを暗号化することにより、空間データが第三者に傍受されることを実質的に防ぐことができる。
【0018】
本発明の第4の態様は、第1乃至3の何れかの態様に記載する地理情報システムにおいて、
前記情報端末は、
所望の条件に該当する空間データを取得するための検索キーワードを入力する検索キーワード入力手段と、
前記検索キーワード入力手段により入力された検索キーワードに該当する空間データを検索する空間データ検索手段とを更に備え、
前記検索キーワードに該当した空間データを前記空間データ送信手段により前記地理データ作成サーバに送信する
ことを特徴とする地理情報システムにある。
【0019】
かかる第4の態様では、情報端末側で所定の条件に該当する空間データ検索して、地理データ作成サーバへ送信することにより、空間データを送信する時間を削減できる。更に利用者が必要とする空間データのみが反映された地理データを取得できる。これにより、利用者は利用者の所望する空間データが反映された地理データを検討することで、より効果的な知見等を得ることができる。
【0020】
本発明の第5の態様は、第1乃至4の何れかの態様に記載する地理情報システムにおいて、
前記地理データ作成サーバは、
前記情報端末より取得した空間データを暗号化してデータベースに格納する暗号化手段と、
前記データベースより空間データを読み出すと共に復号化を行う復号化手段を更に備え、
前記通信手段を介して前記情報端末から空間データを受信した際には、前記暗号化手段により前記空間データを暗号化してデータベースに格納し、前記通信手段を介して前記情報端末から地理データ作成要求を受信した際には、前記復号化手段により復号化した空間データに基づいて地理データ作成をするよう構成した
ことを特徴とする地理情報システムにある。
【0021】
かかる第5の態様では、地理データ作成サーバは、情報端末より受信した空間データを暗号化してデータベースに保存する。これにより、利用者が地理データを所望するたびに空間データを送信することが不要となるため、より短時間で地理データを作成することができる。更にこの空間データは暗号化されているため、空間データが第三者に漏洩することを実質的に防ぐことができる。
【0022】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載する地理情報システムにおいて、
前記情報端末は、
前記暗号化手段及び前記復号化手段に用いられる鍵データを保持すると共に、前記空間データ又は前記地理データ作成要求を送信する際に、前記鍵データを伴に送信する鍵データ管理手段を更に備える
ことを特徴とする地理情報システムにある。
【0023】
かかる第6の態様では、データベースに格納されている空間データとこの空間データを暗号化又は復号化する鍵データとを、地理データ作成サーバと情報端末とで別々に保持し、必要に応じて鍵データを授受する。これにより、暗号化された空間データと鍵データとが同時に漏洩して、第三者に空間データを復号化されることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、利用者の要求毎に、利用者の所持する空間データを取得して地図データに重ね合わせて利用者に提供する。すなわち、空間データが二次記憶装置などに永続的に保存されないため、空間データが利用者の組織外に保持され続けることによる第三者へ漏洩の危険性を抑制することができる。更に利用者は、空間データと地図データとの重ね合せ処理等を実現するための各種機器や地図データ等を導入し運用するための負担を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0026】
〈実施形態1〉
実施形態1では、或る事業を営む者が営業所周辺で営業・販売活動をした結果、製品の販売実績データを有していることを前提に、この販売実績データが第三者へ漏洩する危険性を抑制すると共に、販売実績データと地図上の位置との関連を表す地理データを作成する地理情報システムを実現する。これにより、事業を営む者は、独自に有する販売実績データが第三者へ漏洩する危険性を抑制しつつ、取得した地理データを検討して効率的な営業活動を行うことができる。
【0027】
以下、この「事業を営む者」を地理情報システムの「利用者」と、この地理情報データを作成するサービスを提供する者を「事業者」と称する。
【0028】
図1は、実施形態1に係る地理情報システムの機能ブロック図である。図示するように、地理情報システム1は、利用者施設2に設置された情報端末20と、地理データを作成するサービスを実施する事業者の事業者施設3に設置された地理データ作成サーバ30とを備えており、それぞれ通信手段であるインターネット10を介して相互に通信可能に接続されている。なお、通信手段には情報端末20と地理データ作成サーバ30との間に専用回線を用いてもよい。これにより、通信路にある送受信中の各種データの傍受を防止することができる。
【0029】
なお、情報端末20及び地理データ作成サーバ30は、例えば、CPU,ROM,ハードディスク,RAM,通信インタフェース,キーボードマウス等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置(何れも図示せず。)を主なハードウェアとして具備すると共に、これらのハードウェアを機能させるオペレーティングシステム(OS)が搭載されており、このOS上で所定の処理が実行される。
【0030】
情報端末20は、検索キーワード入力手段22,空間データ検索手段23,空間データ送信手段24,及び空間データを格納するデータベースである利用者側データベース21を含み構成されている。
【0031】
ここで、空間データは、地図データへの表示位置を表す表示位置情報を少なくとも含む各種属性から構成されている。また、地図データは、道路,河川,行政区画,建物等を情報端末20の出力装置に表示できるようラスタ形式又はベクトル形式で表されたものであり、且つ緯度経度や住所等により道路等の所在を表す。例えば、利用者は、各種属性として顧客の氏名及び顧客に対して製品を販売した際の販売額,表示位置情報として顧客の住所を用いて、表1に示す空間データを作成することができる。
【0032】
【表1】

【0033】
なお、これらの空間データを格納する利用者側データベース21は、情報端末20で実行される場合に限定されず、他のコンピュータで実行され、必要に応じてLANを介して空間データを取得できるよう構成してもよい。
【0034】
検索キーワード入力手段22は、利用者の所望する条件に該当する空間データを検索するための検索キーワードを取得する。具体的には、情報端末20の入力装置により、空間データの各種属性毎の条件を取得する。例えば、「販売額が1,000,000以上」や、「表示位置情報(住所)がW市X町1丁目」等の検索キーワードを取得する。
【0035】
空間データ検索手段23は、利用者側データベース21に格納される空間データから、検索キーワード入力手段22により取得した検索キーワードに該当する空間データを検索する。例えば、検索キーワードが「販売額が1,000,000以上」である場合、表1の空間データから、この検索キーワードに該当するものとして空間データ番号「2」を得ることができる。
【0036】
したがって、利用者の所望する空間データのみを地理データ作成サーバ30へ送信することにより、利用者の所望する空間データのみが反映された地理データを取得できる。利用者はこの地理データを検討することで、より効果的な知見等を得ることが可能となる。なお、地理データの作成については後述する。
【0037】
空間データ送信手段24は、検索キーワードに該当した空間データをインターネット10を介して地理データ作成サーバ30に送信する。
【0038】
一方、地理データ作成サーバ30は、地理データ送信手段32,地理データ作成手段33,及び地図データを格納するデータベースである事業者側データベース31を含み構成されている。
【0039】
地理データ作成手段33は、インターネット10を介して情報端末20より取得した空間データの表示位置情報に基づいて、地理データを作成する。ここで地理データとは地図データの特定位置に空間データを描画した情報端末20で表示可能な画像データである。例えば、地図データ上の行政区画毎に空間データの販売額に応じて色分けした地理データを作成することができる。
【0040】
なお、地図データを格納する事業者側データベース31は、地理データ作成サーバ30で実行される場合に限定されず、他のコンピュータで実行され、必要に応じてLANを介して地図データを取得できるよう構成してもよい。
【0041】
図2は、空間データ及び地図データから作成した地理データを例示する図である。図示するように、情報端末20の表示装置に表示された地理データ40には、利用者の営業所41の周囲の行政区画42が表示されている。更に、この区画に住む顧客の販売額に応じて色分けされて表示される。
【0042】
このように、利用者は顧客の住む区画と販売額との関連を視覚的に捉える事ができる。利用者はこの地理データを検討することにより、例えば、平均的に高額の製品を購入している人が多く住む区画には、高額の製品を重点的に広告するなど効果的な営業活動を計画することができる。
【0043】
地理データ送信手段32は、地理データ作成手段33により作成された地理データをインターネット10を介して情報端末20へ送信する。
【0044】
なお、空間データ又は地理データをインターネット10を介して授受する際には、空間データを暗号化して送信してもよい。これにより、空間データ又は地理データがインターネット10に送受信されている際に、第三者に傍受されることを実質的に防ぐことができる。この暗号化して通信する際には、SSL(Secure Socket Layer)を好適に用いることができる。
【0045】
上述のごとく構成される地理情報システム1において、利用者が有する空間データより地理データを作成する一連の処理について説明をする。
【0046】
図3は、実施形態1に係る地理情報システムの処理のフローを示す図である。この図を用いて、空間データ及び地図データから地理データが作成される一連の処理を説明する。
【0047】
まず、情報端末20において、検索キーワード入力手段22が主体となって、検索キーワードの入力処理を行い(S1)、空間データ検索手段23が主体となって、入力された検索キーワードに基づいて、該当する空間データの検索処理を行う(S2)。次に、空間データ送信手段24が主体となって、検索キーワードに該当した空間データの送信処理が行われる(S3)。
【0048】
これまでの処理により、情報端末20の利用者の所望する空間データが地理データ作成サーバ30へ送信される。
【0049】
空間データを取得した地理データ作成サーバ30は、地理データの作成処理(S4)を行う。具体的には、事業者側データベース31より地図データを取得し、空間データに含まれる表示位置情報と該当する地図データ上の特定位置に空間データの各種属性を適宜描画して地理データを作成する。
【0050】
最後に、作成した地理データをインターネット10を介して情報端末20へ送信し(S5)、情報端末20は受信した地理データを表示する(S6)。
【0051】
以上に説明したように、地理データ作成サーバ30は、利用者から空間データを受信した時に地理データを作成するため、事業者側には空間データが永続的に保持されない。従って、利用者独自の空間データが事業者側の者や第三者等により漏洩する危険性を抑制することができる。
【0052】
〈実施形態2〉
実施形態2では、実施形態1と同様に利用者の有する空間データを、地図データに反映させて地理データを作成すると共に、事業者側が安全に空間データを保持する場合の地理情報システム100の実施の態様を説明する。
【0053】
図4は、実施形態2に係る地理情報システムの機能ブロック図である。実施形態2の地理情報システム100の構成のうち、実施形態1に説明した地理情報システム1と同一の符号を付したものについての説明は省略する。
【0054】
地理情報システム1に対する地理情報システム100の相違は、利用者が独自に持つ空間データを事業者側に保持すると共に、この保持される空間データを暗号化し、利用者からの地理データ作成要求に応じて、空間データを復号化して地理データを作成することにある。具体的な相違を以下に説明する。
【0055】
地理データ作成サーバ30は暗号化手段34と、復号化手段35とを更に備え、情報端末20は鍵データ管理手段25を更に備えている。
【0056】
暗号化手段34は、インターネット10を介して情報端末20より取得した空間データを、鍵データを用いて暗号化して事業者側データベース31に格納する。このように空間データを事業者側データベース31に保持することにより、地理データを作成する毎に情報端末20から空間データを受信する時間を削減することが可能となり、地理データを作成するまでの全体に要する時間を短縮できる。更に、保持するデータは暗号化されるため、万が一、第三者が事業者側データベース31にアクセスできたとしても、空間データの内容を知得することを回避することができる。
【0057】
なお、空間データは、インターネット10を介して情報端末20より取得する場合に限定されず、例えばCD−ROMやDVD−ROM等の媒体を介して事前に取得してもよい。
【0058】
復号化手段35は、事業者側データベース31の暗号化された空間データを読み出すと共に、鍵データを用いて復号化する。すなわち、利用者の必要に応じて空間データを復号化するため、復号化された空間データが第三者に漏洩する機会を削減することができる。
【0059】
なお、これらの暗号化及び復号化には、共通鍵暗号方式の暗号アルゴリズムを好適に用いることができる。例えばDES,Blowfish等を用いることができる。
【0060】
鍵データ管理手段25は、暗号化手段34及び復号化手段35に用いられる鍵データを保持すると共に、利用者の地理データ作成要求と伴に鍵データを送信する。このように、暗号化された空間データと、これを復号化する鍵データとを情報端末20及び地理データ作成サーバ30のごとく物理的に分離された計算機に保持することで、暗号化された空間データ及び鍵データの双方が同時に漏洩して別の場所で空間データを復号化される危険性を回避することができる。すなわち、暗号化された空間データ又は鍵データの何れか一つが、万が一漏洩しても、即時に利用者独自の空間データを知得されることを回避できる。
【0061】
なお鍵データはインターネット10を介して送受信する場合に限定されず、地理データ作成サーバ30で保持してもよい。
【0062】
図5は、実施形態2に係る地理情報システムの処理のフローを示す図である。この図を用いて、事業者側データベース31に空間データを安全に保持し、地理データを作成する処理に関して説明をする。なお、実施形態1の図3と同一の符号が付してあるものに関しては同様の処理を行うため、説明は省略する。
【0063】
事前に、情報端末20は、空間データ及びこの空間データの暗号化に用いる鍵データを地理データ作成サーバ30に送信し(S10)、暗号化手段34が主体となって、これらのデータを受信した地理データ作成サーバ30は、鍵データを用いて空間データを暗号化し、事業者側データベース31に格納する(S11)。
【0064】
利用者の必要に応じて、地理データを作成する際には次の処理が順次行われる。
【0065】
情報端末20において、検索キーワード入力手段22が主体となって、検索キーワードの入力処理を行い(S1)、入力された検索キーワード,鍵データ,及び地理データ作成要求を地理データ作成サーバ30に送信する(S12)。
【0066】
次に、地理データ作成サーバ30において、復号化手段35が主体となって、空間データの復号化処理及び検索処理を行う(S13)。具体的には、事業者側データベース31から事前に格納され暗号化された空間データを読出し、受信した鍵データを用いて復号化する。更に、受信した検索キーワードに該当する空間データを抽出する。
【0067】
以降、実施形態1と同様に、地理データの作成処理(S4)を行い、作成した地理データをインターネット10を介して情報端末20へ送信し(S5)、情報端末20は受信した地理データを表示する(S6)。
【0068】
以上に説明したように、地理データ作成サーバ30は、情報端末20より受信した空間データを暗号化して事業者側データベース31に保存する。これにより、利用者が地理データを所望する毎に空間データを送信することが不要となるため、より短時間で地理データを作成することができる。更にこの空間データは暗号化されているため、空間データが第三者に漏洩することを実質的に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、互いに関連する2つのデータを必要に応じて合成して1つのデータを作成するサービスを提供する場合に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施形態1に係る地理情報システムの機能ブロック図である。
【図2】空間データ及び地図データから作成した地理データを例示する図である。
【図3】実施形態1に係る地理情報システムの処理のフローを示す図である。
【図4】実施形態2に係る地理情報システムの機能ブロック図である。
【図5】実施形態2に係る地理情報システムの処理のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1,100 地理情報システム
2 利用者施設
3 事業者施設
10 インターネット
20 情報端末
21 利用者側データベース
22 検索キーワード入力手段
23 空間データ検索手段
24 空間データ送信手段
25 鍵データ管理手段
30 地理データ作成サーバ
31 事業者側データベース
32 地理データ送信手段
33 地理データ作成手段
34 暗号化手段
35 復号化手段
40 地理データ
41 営業所
42 行政区画

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信路を介して情報の授受するための通信手段と、
地図データへの表示位置を表す表示位置情報を含む空間データを前記通信手段を介して送信する空間データ送信手段を有する情報端末と、
前記通信手段を介して前記情報端末より取得した空間データの表示位置情報に基づいて、地図データの特定位置に前記空間データを描画して地理データを作成する地理データ作成手段、及び作成された地理データを前記通信手段を介して前記情報端末に送信する地理データ送信手段を有する地理データ作成サーバと、
を具備することを特徴とする地理情報システム。
【請求項2】
請求項1に記載する地理情報システムにおいて、
前記通信手段は、前記情報端末と前記地理データ作成サーバとの間に設けられた専用回線である
ことを特徴とする地理情報システム。
【請求項3】
請求項1に記載する地理情報システムにおいて、
前記通信手段は、前記情報端末と前記地理データ作成サーバとの間に設けられた公衆通信網であり、
前記空間データ送信手段は、空間データを暗号化して前記公衆通信網に送信し、
前記地理データ作成手段は、受信した前記空間データを復号化する
ことを特徴とする地理情報システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載する地理情報システムにおいて、
前記情報端末は、
所望の条件に該当する空間データを取得するための検索キーワードを入力する検索キーワード入力手段と、
前記検索キーワード入力手段により入力された検索キーワードに該当する空間データを検索する空間データ検索手段とを更に備え、
前記検索キーワードに該当した空間データを前記空間データ送信手段により前記地理データ作成サーバに送信する
ことを特徴とする地理情報システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載する地理情報システムにおいて、
前記地理データ作成サーバは、
前記情報端末より取得した空間データを暗号化してデータベースに格納する暗号化手段と、
前記データベースより空間データを読み出すと共に復号化を行う復号化手段を更に備え、
前記通信手段を介して前記情報端末から空間データを受信した際には、前記暗号化手段により前記空間データを暗号化してデータベースに格納し、前記通信手段を介して前記情報端末から地理データ作成要求を受信した際には、前記復号化手段により復号化した空間データに基づいて地理データ作成をするよう構成した
ことを特徴とする地理情報システム。
【請求項6】
請求項5に記載する地理情報システムにおいて、
前記情報端末は、
前記暗号化手段及び前記復号化手段に用いられる鍵データを保持すると共に、前記空間データ又は前記地理データ作成要求を送信する際に、前記鍵データを伴に送信する鍵データ管理手段を更に備える
ことを特徴とする地理情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−280225(P2007−280225A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108047(P2006−108047)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(591260672)中電技術コンサルタント株式会社 (58)
【Fターム(参考)】