説明

地面に基づく画像と上からとられた画像の組み合わせに基づく三次元モデル法

本発明は、地面に基づく画像(54)と上からとられた画像(44)の組み合わせに基づいた三次元モデル法に関する。本発明によれば、上からとられた画像(44)に基づく存在する3Dモデル(46)は、地面レベルからとられた画像(54)と突き合わされ、全ての画像は、地面レベルからの画像(54)及び上からとられた画像(44)がとられるときのカメラの位置及び姿勢、及び各画素の方向についての情報を含む。方法は、閉塞問題を解決するか又は少なくとも緩和する自動的に実施される撮像を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に基づく画像と上からとられた画像の組み合わせに基づく三次元モデル法に関する。
【0002】
この関連において、地面に基づく画像は、地面から直接とられた画像、並びに例えば低空飛行のヘリコプターによって低い高さからとられた画像を含むものである。
【背景技術】
【0003】
地面に基づく装置からとられた画像を例えば飛行機によって空からとられた画像と組み合わせる基本的なアイディアは、特にUS2008/0221843A1から、また2003 IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR‘03)の手続においてFruhe C他による論文「Constructing 3D City Models by Merging Ground−Based and Airborn views」から知られている。
【0004】
地面に基づく装置からとられた画像を空からとられた画像と組み合わせるというこれらの二つの文献による解決策は、かなり複雑であり、画像情報の手による処理を伴なう。さらに、閉塞(occlusion)によって起こる問題の複雑性について全く述べられていない。不明瞭化(obscuration)として閉塞を起こす物体の例は、木、照明用ポール、車などからの不明瞭化である。
【0005】
街路からとられた画像からの眺め(「ストリートビュー」と称されることが多い)を作り上げるために今日利用可能な解決策があることも注意される。これらの解決策は、既知の方向を有する既知の地理参照位置からとられた360度カバーすることが多い画像に基づく。例えばマップ上で特定の地点を選択することによって、この地点から周囲を眺めることが可能である。観察者の目でなされた解釈以外の他の三次元モデルは作られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、実施するには複雑でなく、自動的に実施でき、閉塞複雑性の問題を処理することができ、現実的な又は実際的な三次元世界の詳細なモデルを作ることができる、三次元モデル法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、第1パラグラフに記載の三次元モデル法において、上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルが、地面レベルからとられた画像に基づく3Dモデルと突き合わされ、3Dモデル全体を改良することを特徴とする方法によって得られる。
【0008】
地面からとられた画像は、地面レベルからの画像がとられるときのカメラの位置及び姿勢、及び各画素の方向についての情報を含むことが好ましい。
【0009】
上からとられた画像に基づく三次元モデル、及び地面レベルからとられた画像との突き合わせは、地面に基づくシステムから見た多重深さの取り扱いを可能にし、例えば木が建物の前に位置されるときに木と建物の観察を分割することによって可能にする。
【0010】
好ましくは、地面レベルからとられた画像に基づく3Dモデルは、上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルによって制御される。
【0011】
好ましい方法によれば、高解像テクスチャーを有する地面レベルからとられた情報は、本質的に垂直及び下方に傾斜した表面を地面レベルからとられた画像に基づく画像で置換することによって上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルの画像の質を高めるために使用される。全体モデルにおけるテクスチャーとして地面からとられた高解像画像の使用は、全体モデルの画像品質の向上をもたらす。
【0012】
さらに好ましい方法によれば、上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルを地面レベルからとられた画像と突き合わせることは、とられた画像の位置及び姿勢情報に基づく。
【0013】
別の好ましい方法によれば、地面レベルから利用可能な全ての画像及び上からとられた画像は、ジオメトリー及びテクスチャーの両方に関して三次元モデルを推定するために考慮される。この方法は、最終三次元モデルの作成における最大の画像情報を利用する。
【0014】
有利には、屋根のような高いレベルの表面が、上からとられた画像から推定されかつテクスチャー化され、家の正面のような垂直面が、地面レベルからとられた利用可能な画像から推定され、これらの画像からテクスチャー化される。この推定方法は、高品質画像情報が最終三次元モデルの作成に使用されることを確実にする。
【0015】
地面レベルから及び上から画像をとるとき、画像の正確な位置と正確な姿勢の間の幾つかのずれが起こりやすい。かかるずれを最小化するためには、地面からとられた画像が位置及び姿勢のずれを補償するために相互に関連させられることが提案される。さらに、位置及び姿勢のずれを補償するために3Dモデルにおける地面からとられた画像が3Dモデルにおける上からとられた画像と関連させられることが提案される、地面レベルから並びに上からの画像と組み合わせた相互画像のためのフィッティング手順が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、添付図面を参照してより詳細に記載されるだろう。
【0017】
図1a−1dは、不明瞭を含む閉塞問題を概略的に示す。
【0018】
【図1a−1b】図1aは、地面に基づくカメラによる撮像を示す上からの家の眺めである。図1bは、図1aの家の地面に基づく眺めである。
【0019】
【図1c−1d】図1cは、上から撮像される図1a及び1bの家の上からの眺めである。図1dは、上から撮像するカメラによる撮像を示す家の地面に基づく眺めである。
【0020】
【図2】図2は、上からの画像の取り込みを概略的に示す。
【0021】
【図3a−3b】図3aは、データを収集するために使用される既知の立体写真法の一例を示す。図3bは、データを収集するために使用されるべき提案される立体写真法を示す。
【0022】
【図4】図4は、地面に基づく画像と上からとられた画像の組み合わせに基づくモデル法の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
不明瞭化問題は、家1の前に木2を有する家1を示す図1a−1dを参照して記載されるだろう。図1aによれば、カメラは位置3.1−3.4で画像をとるために配置され、画像の視界は角度表示4.1−4.4によって示される。これらの画像は、三次元の地面に基づくモデルを形成するために使用される。示された角度表示から、木2は、特にその樹冠8によって家の正面9を隠す部分であることが明らかである。さらに、光条件に依存して、木2は家の正面9に影(図示せず)を作るだろう。
【0024】
図1c及び1dによれば、上からの撮像が示される。再び四つのカメラ位置5.1〜5.4は、とられた画像に対する画像の視界を示す対応する角度表示6.1〜6.4で示されている。これらの画像は、上からとられた三次元モデルを形成するために使用される。空輸システムから上から撮像するとき、現実的な周囲のある部分が撮像から除外される。この場合において、木2の幹7は目に見えない。
【0025】
しかしながら、地面に基づく画像及び空輸システムからの画像からの画像情報を組み合わせることによって、閉塞及び不明瞭化問題のほとんどが対処される。もし空からの画像に基づく三次元モデルが利用可能であるなら、この先駆的な知識は木2の不明瞭化を取り扱うために使用されることができる。即ち、幾つかの異なる深さが観察方向で取り扱わなければならない。他方、上からとられた三次元モデルは木の幹7を観察することができず、それは地面に基づく三次元モデルからモデル化されることができる。
【0026】
立体撮像のために使用される画像を収集するための原理が述べられる。図2によれば、カメラ12を与えられた飛行機11が第一位置では破断していない線によって示され、第二位置では破線によって地形13上に示されている。図に示されるように、地形は高さが異なり、家のような切り立った構成14及び波状の丘のような波状構成15がある。第一位置におけるカメラの位置はx,y,zによって示され、姿勢はα,β,γによって示される。従って、全て六つの回転度及び位置が利用可能である。示された第二カメラ位置に対する対応する位置及び姿勢はx′,y′,z′及びα′,β′,γ′によって示される。カメラ12による地形のカバー範囲は第一位置に対しては線16,17によって示され、第二位置に対しては線16′,17′によって示される。第一位置からとられた地形の画像を第二位置からとられた画像と比較するとき、重複部分18が同定されることができる。もし重複部分18が観察されるなら、第一位置からとられた画像が切り立った構成14の垂直な右部分14.1についての画像情報を欠き、一方、同じ垂直右部分14.1が第二位置から容易に撮像されることがわかる。従って、同じ領域位置をカバーする複数の画像を持っているので、現実の世界に密接に一致する三次元画像を作り上げる可能性を増加する。
【0027】
図3aは、既知の立体写真法の一例を示す。かかる方法は、飛行方向に約50〜60%の重複があり、隣接飛行に対しては主に重複はないが、実際には穴を避けるために約10%の重複があるように、地形の上で下方に向けたカメラを与えられた飛行機又は他の飛行物体を飛ばすことによって得られる。図では、上部灰色ストリップ19は第一飛行の足跡を示し、下部灰色ストリップ20は第二飛行の足跡を示す。ストリップ19,20では、一つおきの画像からの足跡が立体矩形23−30として示され、一方、それらの間の一つおきの画像からの足跡が飛行方向22に垂直な破線によって画定される矩形31−36として示されている。示された方法によって地面上の各地点は二つの画像でカバーされ、これらの画像から立体的な推定値が計算されることができる。
【0028】
図3bは、使用されることができる立体写真法の別の提案される例を示す。提案される方法では、上部及び下部ストリップ19,20は飛行方向22において80%の重複を示し、隣接飛行間で60%の重複を示す。飛行方向における好適な提案される重複は約60〜90%であり、隣接飛行間では約60〜80%である。異なるストリップ19,20では、飛行方向に沿って繰り返し存在する五つの連続する足跡を示す五つの異なる矩形37〜41を同定することができる。五つの矩形は、飛行方向に垂直な五つの異なる境界線(実線、ダッシュドット線、短いダッシュ線、長いダッシュ線、及びダッシュダブルドット線)によって示される。示されかつ図3bを参照して記載された方法によって、地面上の各地点は少なくとも10個の画像でカバーされ、全てのこれらの画像は、領域の各地点に対する立体的な推定値に寄与することができる。
【0029】
本発明の3Dモデル法に関係する画像処理は、図4を参照して記載される。
【0030】
図2,3a及び3bを参照して上記に従って収集されかつ記憶ユニット45で利用可能であることができる画像44は、同じ領域位置をカバーする各可能な画像対nに対するステレオ視差を計算するステレオ視差ブロック42に適用される。関係する各画像に対して画像がとられる位置x,y,z及び姿勢α,β,γが知られている。即ち、全ての六つの回転度及び位置が知られている。さらに、各ステレオ視差の確実性の程度が推定される。この確実性の程度は局所コントラスト、可視性及び/又は解像度に基づくことができる。
【0031】
ステレオ視差ブロック42で計算されたステレオ視差は、推定された確実性の程度に注目して重み付けブロック43において重み付け工程に供される。重み付け後に重み付けブロック43の出力として利用可能なものは、格子として視覚化されることができる高さモデル46である。この第一モデルから、元の立体的な推定値が、可視性、局所コントラスト、解像度のような情報及び不明瞭性のような可視性を考慮して、推定された3Dモデルの法線ベクトルに基づいて自動的にかつ適応して再重み付けされる。この関連において、例えば建物の上にまっすぐとられた画像は屋根構造(建物の側面ではない)を推定するために使用される。別の例は、建物の前側及び後側の混合を避けることであることができる。そばからの画像及び接続された測定を利用する反復法によって、隠された部分を明らかにする信頼性のある3Dモデルが得られる。重み付け法では、アウトライアーは区別されることができ、簡単な例として領域に対して残っているステレオ視差は、同様のステレオ視差の集中を見い出すために平均化又は他の算術的方法によって一緒に重み付けされる。
【0032】
より簡単な計算では、同じ領域の二つの画像だけを要求する一つだけの立体写真対で十分であり、重み付けは簡略化されることができ、又は省略されることさえできる。
【0033】
重み付けブロック43の出力の3Dモデル46に基づいて、三角形のワイヤーモデル47が作り上げられ、三角形は、観察方向に適合する画像で覆われる。
【0034】
同様の撮像が地面レベルからとられ、立体処理のための画像54が記憶ユニット55に記憶され、ステレオブロック52で処理される。関係する各画像に対して、上からの撮像に関する場合と同様に、画像がとられる位置x,y,z及び姿勢α,β,γは知られている。即ち、六つの回転度及び位置が知られている。ステレオ視差は、次いで三次元格子モデル56が作り上げられる前に重み付けブロックで重み付けに供されることができる。地面に基づく画像を上からとられた画像と組み合わせるとき、画像情報が、上からとられた画像に対する画像モデルからの要求で格子モデル56から取り出され、高解像テクスチャーが、地面に基づく格子モデルからとられた覆いを有する三角形のワイヤーモデル47を完了するために地面に基づく格子モデルから取り出される。地面に基づくモデルと上からとられた画像に基づくモデルからのテクスチャーの全ての組み合わせは、画像がとられる位置x,y,z及び姿勢α,β,γに関する完全な情報が全ての画像について知られていることを利用する。
【0035】
図4では、画像処理は、上からとられた画像及び地面レベルからとられた画像について異なる処理チャネルによって示される。しかしながら、含まれるブロックの少なくとも一部が両チャネルに対して共通であることが可能である。
【0036】
本発明は、上で例示した方法に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に基づく画像と上からとられた画像との組み合わせに基づく三次元モデル法において、上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルが、地面レベルからとられた画像に基づく3Dモデルと突き合わされ、3Dモデル全体を改良することを特徴とする方法。
【請求項2】
地面レベルからとられた画像に基づく3Dモデルが、上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルによって制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
地面レベルから利用可能な全ての画像及び上からとられた画像が、ジオメトリー及びテクスチャーの両方に関して三次元モデルを推定するために考慮されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルと地面レベルからとられた画像の突き合わせが、とられた画像の位置及び姿勢情報に基づくことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
高解像テクスチャーを有する地面レベルからとられた画像情報が、本質的に垂直及び下方に傾斜された表面を地面レベルからとられた画像に基づく画像で置換することによって上からとられた画像に基づく存在する3Dモデルの画像の質を向上するために使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
屋根のような高いレベルの表面が、上からとられた画像から推定されかつテクスチャー化されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
家の正面のような垂直面が、地面レベルからとられた利用可能な画像から推定され、これらの画像からテクスチャー化されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
地面からとられた画像が、位置及び姿勢のずれを補償するために相互に関連させられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
3Dモデルにおける地面からとられた画像が、位置及び姿勢のずれを補償するために3Dモデルにおける上からとられた画像と関連させられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。

【図1a−1b】
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【図1c−1d】
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【図2】
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【図3a−3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518339(P2013−518339A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551119(P2012−551119)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/SE2010/000014
【国際公開番号】WO2011/093751
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500387249)サーブ アクティエボラーグ (8)
【Fターム(参考)】