説明

垂直型磁気記録ディスクおよび垂直型磁気記録ディスクの製造方法

【課題】 秩序立った核形成層を有する垂直型磁気記録ディスクおよび垂直型磁気記録ディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】 基板と、基板上の下層と、下層の上に設けられ、粒状強磁性Co合金とSi、Ta、Ti、およびNbの1つ以上の1つ以上の酸化物との連続層を備える垂直型磁気記録層と、下層と記録層との間に設けられ、記録層のCo合金からなるアレイを備えた核形成層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気記録ハードディスクドライブにおいて用いるための垂直型磁気記録ディスクなどの垂直型磁気記録媒体に関し、より詳細には、制御された粒度を有する粒状コバルト合金記録層を有する連続的媒体タイプの垂直型磁気記録ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
記録ビットが記録層において垂直または面外の配向で格納される垂直型磁気記録は、磁気記録ハードディスクドライブにおいて超高記録密度を得るための有望な道筋である。1つの一般的なタイプの垂直型磁気記録システムは、「二重層」媒体を用いる。単一書き込みポールタイプの記録ヘッドを有するこの種のシステムを図1に示す。二重層媒体は、「軟磁性」または比較的低保磁力の透磁性下層(SUL)上に形成された垂直型磁気データ記録層(RL)を含む。SULは、記録ヘッドの書き込みポールからリターンポールまでのフィールドのための磁束リターン経路として供される。図1において、RLは、垂直に記録または磁化された領域として示され、隣接する領域は、矢印により表すように反対の磁化方向を有している。隣接する反対方向の磁化領域間の磁気転移は、読み取り要素またはヘッドにより記録ビットとして検出可能である。他の提案されているタイプの垂直型磁気記録システムは、サーマルまたは熱アシスト磁気記録(TAMRまたはHAMR)およびマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)などの書き込みアシスト方法を用い、SULを有する媒体は必要としない。
【0003】
図1のディスクは「連続的媒体」ディスクであり、かかるディスクにおいて、RLは、書き込みヘッドが磁性材料上に書き込みすると、磁気的に記録されたデータビットを含む同心データトラックに形成される粒状コバルト合金磁性材料の連続層である。連続的媒体ディスクの変形には「離散トラック媒体」ディスクがあり、これは、RLが連続的磁性材料で形成された同心データトラックにパターン化されるが、データトラックが同心非磁性ガードバンドにより互いに径方向に隔てられていることを意味する。本発明の対象となる連続的媒体ディスクは、データ密度を増加させるように提案されている「ビットパターン化媒体」(BPM)ディスクとは区別されるべきものである。BPMディスクでは、ディスク上の磁化可能な材料が、各アイランドまたは「ビット」に単一の磁区が存在するように、隔離された小データアイランドにパターン化される。単一の磁区は、単一の粒子であってもよいし、単一の磁性量として協調して磁性状態を切り替えるいくつかの強く結合された粒子で構成してもよい。この点は、単一の「ビット」が磁壁により隔てられた多数の磁区を有し得る連続的媒体ディスクと対照的である。
【0004】
図2は、従来技術の垂直型磁気記録連続的媒体ディスクの概略断面図であり、記録層RLに対して作用する書き込みフィールドHを示している。また、ディスクは、ハードディスク基板と、SULを成長させるためのシードまたはオンセット層(OL)と、SULとRLとの間の中間層(IL)と、保護オーバーコート(OC)とを含む。ILは、SULおよびRLの透磁性膜間の磁気交換結合をブレークし、RLのエピタキシャル成長を容易にする、「交換ブレーク層」またはEBLとも呼ばれる非磁性層または多層構造である。図2には図示しないが、ILの成長を容易にするため、SUL上に直接、シード層(SL)を堆積させるのが典型的である。図2に示すように、RLは、「見掛けの」記録ヘッド(ARH)の間隙の内側に配置され、それにより、長手方向または面内の記録と比べてはるかに高い書き込みフィールドを可能にしている。ARHは、ディスク上方の実際の書き込みヘッド(RWH)である書き込みポール(図1)と、RL下方の有効二次書き込みポール(SWP)とを備える。SWPは、ILによりRLから分離されるとともに、その高い透磁性により書き込みプロセス中にRWHの磁気鏡像を生じさせるSULにより実現される。これにより、RLを効果的にARHの間隙内に移動させ、RL内に大きい書き込みフィールドHを可能にする。
【0005】
RLの材料の一種には、c軸が実質的に面外またはRLに対して垂直に配向された六方最密(hcp)結晶構造を有する、CoPtCr合金などの粒状強磁性コバルト(Co)合金がある。粒状コバルト合金RLは、また、高保磁力(H)の媒体を生じさせ、高い固有媒体ノイズの原因となる粒間交換結合を低減する良好に隔離された微粒子構造を有する。コバルト合金RLにおける粒子偏析の拡張は、Si、Ta、Ti、およびNbの酸化物を含む酸化物の添加により達成される。これらの酸化物は、粒界に沈殿する傾向があり、コバルト合金の元素とともに非磁性粒間物質を形成する。SiOが添加されたCoPtCr粒状合金のRLを有する垂直型磁気記録媒体が、(非特許文献1)に記載されている。Taが添加されたCoPt粒状合金のRLを有する垂直型磁気記録媒体が、(非特許文献2)に記載されている。図2に示すように、RLの粒子の粒間結合を仲介するため、酸化物が添加されていないまたはRLよりも少量の酸化物を有する粒状Co合金などのキャッピング層(CP)を、RL上に堆積させるのが典型的である。
【0006】
Co合金RLは、そのhcp結晶構造のc軸が、堆積中に層の平面に対して実質的に垂直に成長するように誘導される結果、実質的に面外または垂直な磁気異方性を有する。hcpのRLのこのような成長を誘導するため、RLがその上に形成されるILもhcp材料である。ILに用いられる非磁性hcp材料には、ルテニウム(Ru)およびRuCrなどの特定のRu合金がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,686,070B1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,835,475B2号明細書
【特許文献3】米国特許第7,347,953B2号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H.Uwazumiら著「CoPtCr−SiO2 Granular Media for High−Density Perpendicular Recording」(IEEE Transactions on Magnetics,Vol.39,No.4,July 2003,pp.1914−1918)
【非特許文献2】T.Chibaら著「Structure and magnetic properties of Co−Pt−Ta2O5 film for perpendicular magnetic recording media」(Journal of Magnetism and Magnetic Materials,Vol.287,February 2005,pp.167−171)
【非特許文献3】Kimら著「Rapid Directed Self−Assembly of Lamellar Microdomains from a Block Copolymer Containing Hybrid」(Proc.of SPIE Vol.6921,692129(2008))
【非特許文献4】Kimら著「Device−Oriented Directed Self−Assembly of Lamella Microdomains from a Block Copolymer Containing Hybrid」(Proc.of SPIE Vol.6921,69212B(2008))
【非特許文献5】Kimら著「Self−Aligned,Self−Assembled Organosilicate Line Patterns of 〜20nm Half−Pitch from Block Copolymer Mediated Self−Assembly」(Proc.of SPIE Vol.6519,65191H(2007))
【非特許文献6】Black,C.T.、Ruiz,R.ら著「Polymer self assembly in semiconductor microelectronics」(IBM Journal of Research and Development,Volume 51,Number 5,Page 605(2007))
【非特許文献7】Thurn−Albrecht,T.ら著「Nanoscopic Templates from Oriented Block Copolymer Films」(Advanced Materials 2000,12,787)
【非特許文献8】PRL 99,226105(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
添加酸化物によるRLにおける磁性粒子の偏析の拡張は、高いエリア密度および記録性能を達成するために重要である。粒間酸化物材料は、粒間交換を分離させるだけでなく、RLにおける磁性粒子のサイズおよび分布に対する制御も行う。現在のディスク製作方法は、この偏析されたRLを、RuまたはRu合金の粒子の柱状成長を示すRuまたはRu合金のIL上にRLを成長させることにより達成している。ILの柱状成長は、比較的高いスパッタリング圧力でILをスパッタ堆積させることにより果たされる。図3は、RuのIL上に形成されたCoPtCr−SiOのRLの表面の一部の透過電子顕微鏡(TEM)画像である。図3は、粒間SiOにより隔てられた良好に偏析されたCoPtCr磁性粒子を示している。しかし、図3から明らかなように、磁性粒子のサイズは、比較的大きく変動している。粒度分布が大きいことは、結果的にディスクにわたって磁気記録特性が変動するため、また、小さい粒子は熱的に不安定であることがあり、結果的にデータを喪失する可能性があるため、望ましくない。
【0010】
実質的に同じサイズ、すなわち、粒度分布が極小の、良好に偏析された磁性粒子を有する添加酸化物を有する粒状コバルト合金RLを有する連続的媒体垂直型磁気記録ディスクが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、粒度分布が極小の粒状Co合金記録層(RL)を有する連続的媒体垂直型磁気記録ディスク、および同ディスクを作製するための方法に関する。酸化物含有粒状強磁性Co合金RLの下方に、秩序立った核形成層(ONL)を形成する。ONLは、下部と、RLがその上に堆積される略平坦な表面を有する上部とを有する。ONLの上部は、RLのCo合金磁性粒子の成長を容易にする略反復パターンに編成された秩序立った核形成層を有する。ONLの核形成部位は、核形成部位と異なる材料の非核形成領域により略囲まれている。従って、層の上部は、RLの材料に対して「化学的コントラスト」をなす2つの異質な領域を提供し、核形成部位上には、後に堆積されるRLのCo合金磁性粒子が成長し、非核形成領域上には、RLの酸化物が略偏析される。秩序立った核形成部位はRu含有材料で形成してもよく、非核形成領域は酸化物または窒化物で形成してもよい。Ru含有核形成部位は、RLの粒状Co合金におけるhcp結晶配向を制御するための六方最密(hcp)結晶構造を有する。核形成部位は、RLのhcp粒状Co合金の成長を、そのc軸が実質的に垂直に配向され、その結果、垂直な磁気異方性が得られるように促進させる。
【0012】
ONLは、本発明の方法によりナノインプリントリソグラフィを用いて、好ましくは周期的なナノメートルスケールのフィーチャを形成するための自己集合ブロックコポリマーを用いる方法で製作されたマスタ型により、形成される。
【0013】
別の実施形態では、ONLが分子ナノ構造の規則的な周期的パターンである。分子ナノ構造は、ナノ結晶および分子超構造を含む。ナノ結晶は、コアがCdSe、CdTe、PbSe、FePt、FeO、およびSiなどの1つ以上の材料で構成されたサブ100nmサイズの小結晶粒子を含む。分子超構造は、基板上に分子膜を堆積させることにより形成された構造である。この目的に使用可能な分子クラスの例には、フラーレン(例えばC60)、多環式芳香族炭化水素(例えばペンタセン)、およびシアニン(例えばポリフィリン)がある。Ru含有層の下方には、分子ナノ構造の層を配置し、Ru含有層上には、酸化物含有粒状強磁性Co合金RLを堆積させる。ONLにおける分子ナノ構造は、Ru含有含有層およびRLにおいて略規則的なパターンを形成する核形成部位として供される。
【0014】
本発明の性質および利点をより深く理解するため、下記の詳細な説明を添付の図面とともに参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術の垂直型磁気記録システムの概略図である。
【図2】従来技術による垂直型磁気記録ディスクの概略断面図であり、書き込みフィールドを示している。
【図3】RuのIL上に形成された従来技術のCoPtCr−SiOのRLの表面の一部の透過電子顕微鏡(TEM)画像である。
【図4】本発明による記録層(RL)の下方の秩序立った核形成層(ONL)を有する連続的媒体垂直型磁気記録ディスクの側断面図である。
【図5A】本発明の秩序立った核形成層を形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。
【図5B】本発明の秩序立った核形成層を形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。
【図5C】本発明の秩序立った核形成層を形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。
【図5D】本発明の秩序立った核形成層を形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。
【図5E】本発明の秩序立った核形成層を形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。
【図5F】本発明の秩序立った核形成層を形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。
【図6A】自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型を製作する方法を示す。
【図6B】自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型を製作する方法を示す。
【図6C】自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型を製作する方法を示す。
【図6D】自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型を製作する方法を示す。
【図6E】自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型を製作する方法を示す。
【図6F】自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型を製作する方法を示す。
【図7】分子ナノ構造を用いる本発明の実施形態による記録層(RL)の下方の秩序立った核形成層(ONL)を有する連続的媒体垂直型磁気記録ディスクの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図4は、本発明による連続的媒体タイプの垂直型磁気記録ディスク10の側断面図である。図2の従来技術のディスクの非磁性中間層(IL)は、秩序立った核形成層(ONL)11に形成されたILに置換されている。ONL11は、下部12と、RLがその上に堆積される実質的に平坦な表面15を有する上部14とを有する。RLは、一つまたは複数の酸化物を有する粒状Co合金の連続層である。ONL11の上部14は、略反復パターンに編成された秩序立った核形成部位16を有する。核形成部位16により、RLのCo合金磁性粒子の成長が容易になる。核形成部位16は、核形成部位16と異なる材料の非核形成領域18により略囲まれている。従って、ONL11の上部14は、RLの材料に対して「化学的コントラスト」をなす2つの異質な領域を提供し、核形成部位16上には、後に堆積されるRLのCo合金磁性粒子が成長し、非核形成領域18上には、RLの酸化物が略偏析される。好適な実施形態では、秩序立った核形成部位16がRu含有材料で形成され、非核形成領域18が酸化物または窒化物で形成される。Ru含有核形成部位16は、RLの粒状Co合金におけるhcp結晶配向を制御するための六方最密(hcp)結晶構造を有する。核形成部位16は、RLのhcp粒状Co合金の成長を、そのc軸が実質的に垂直に配向され、その結果、垂直な磁気異方性が得られるように促進させる。Ruは、図2の従来技術における従来のILに一般的に用いられる材料であるが、他の好適な材料には、Ti、Re、およびOsから選択される金属、ならびにTi、Re、Ru、およびOsから選択される少なくとも1つの元素を含有する合金(RuCr合金等のRuベース合金を含む)が含まれる。従って、これらの材料のいずれも、核形成部位16の材料として用いるのに好適である。ONL11の下部12は、以下で説明するONL11の製作方法によって、核形成部位16(図4に示すように)と同じ材料、または非核形成領域18と同じ材料で形成されるのが好ましい。下部12は、本質的に、上部14の製作後に残る元のILの部分である。
【0017】
また、図4は、ディスク10を構成する他の層も示している。ディスク10を構成する各種の層は、ハードディスク基板上に配置される。基板は、いずれの市販のガラス基板でもよいが、NiPもしくは他の既知の表面被覆を有する従来のアルミニウム合金、またはシリコン、カナサイト、もしくは炭化ケイ素などの代替の基板であってもよい。基板上には、SULが基板上に直接、または接着層もしくはオンセット層(OL)上に配置される。OLは、SULの成長を容易にし、約2〜5ナノメートル(nm)の厚さを有するAlTi合金または同様の材料であってもよい。SULは、2層間の反強磁性交換結合を仲介する反強磁性(AF)結合膜として作用する中間層膜(Ru、Ir、またはCr等)により隔てられた多数の軟磁性層で形成された多層SULであってもよい。この種のAF結合SULは、(特許文献1)および(特許文献2)に記載されている。しかし、AF結合SULの代わりに、SULは、単層SUL(図4に示すように)であってもよいし、炭素もしくはSiNの膜またはAlもしくはCoCrの導電性膜などの非磁性膜により隔てられた多数の軟磁性膜で形成された非AF結合積層または多層SULであってもよい。一つまたは複数のSUL層は、CoNiFe、FeCoB、CoCuFe、NiFe、FeAlSi、FeTaN、FeN、FeTaC、CoTaZr、CoFeB、およびCoZrNbの合金などの非晶質透磁性材料で形成される。SULの厚さは、概ね50〜400nmの範囲であるのが典型的である。ONLの下部12の成長を容易にするため、SUL上にオプションのシード層(SL)を配置してもよい。下部12がRu含有材料である場合、SLは、NiFeまたはNiWの層で形成してもよい。垂直型磁性RLは、粒間酸化物(Si、Ta、Ti、およびNbの1つ以上の酸化物を含む)を有する粒状強磁性コバルト(Co)合金(CoPtCr合金またはCoPtCrB合金等)の連続層として、ONLに直接接触してONL上に形成される。Co合金は、c軸が実質的に面外またはRLに対して垂直に配向された六方最密(hcp)結晶構造を有する。RL上には、キャッピング層(CP)が堆積される。CPは、RLにおける粒間交換結合を仲介または制御するための強磁性粒状Co合金(CoPtCrまたはCoPtCrB合金等)で構成されるのが典型的である。従って、CPは、RLよりも多量のCrおよび/またはBを有してもよいし、RLよりも少量の酸化物を有してもよい。例えば、CPは、RLと実質的に同じCo合金組成を有してもよいが、酸化物を有さなくてもよい。その結果、CPの個々のCo合金粒子は、RLのCo合金粒子よりも大きく、CPにおける破線により示すように、RLの多数の粒子に略重なる。RL上に形成されたOCは、非晶質「ダイヤモンド状」炭素膜であってもよいし、他の既知の保護オーバーコート(窒化ケイ素(SiN)等)であってもよい。
【0018】
本発明において、ONLは、ナノインプリントリソグラフィにより、好ましくは周期的なナノメートル(nm)スケールのフィーチャを形成するための自己集合ブロックコポリマーを用いる方法で製作されたマスタ型により、形成される。図5A〜図5Fは、ONLを形成する方法の一実施形態におけるステップを示す側断面図である。まず、ONLの下部12として供される材料の層までを含む各層を、磁気記録ディスクを製作する従来の方法で(典型的にはスパッタ堆積により)堆積させる。この例では、下部12の材料はRuである。次いで、図5Aに示すように、スパッタリング装置から構造を除去し、下部12上にナノインプリント液体レジスト20の層を堆積させ、ナノインプリントマスタ型30の下方に構造を配置する。この例では、ナノインプリントマスタ型30が穴31の周期的パターンを含んでいる。ナノインプリントレジストは、紫外線(UV)放射により硬化可能なレジストであるのが好ましい。図5Bにおいて、ナノインプリントマスタ型30をナノインプリント液体レジスト20上に押圧し、ナノインプリント液体レジスト20を穴31に押し込み、次いでレジストをUV放射に露出させてレジストを硬化させる。図5Cでは、ナノインプリントマスタ型30が除去され、下部12上にレジスト材料のピラー22の周期的パターンが残されている。図5Dにおいて、下部12におけるRuの露出部分を概ね5〜20Åだけエッチングまたは切削して凹領域17を形成すると、レジスト材料のピラー22の下方に隆起したRuからなる核形成部位16が残る。次いで、図5Eにおいて、ピラー22および下層の核形成部位16上に、非核形成領域18を形成する材料を、凹部と実質的に同じ厚さ(すなわち5〜20Å)まで堆積させ、実質的に平坦な表面を得る。この例では、非核形成領域18の材料が酸化ケイ素、例えばSiOである。次に、レジスト材料のピラー22をドライまたはウエットエッチングにより除去すると、ONLの上部14が後に残る。上部14は、SiOの非核形成領域18に囲まれるとともに略隣接するRuからなる核形成部位16の秩序立ったアレイまたは周期的パターンである。図5Fに示すように、核形成部位16および略隣接する非核形成領域18により、実質的に平坦な表面15が形成される。本明細書で用いる「実質的に平坦」とは、核形成部位の表面の高さと、核形成部位を囲む領域、例えば図5Fにおける非核形成領域18の高さとが、互いに少なくとも3nm以内、好ましくは互いに1nm以内であることを意味する。核形成部位16は、横方向または面内の幅寸法が約4〜25nmの範囲であるのが好ましく、横方向または面内の中心間距離が約8〜50nmの範囲であるのが好ましい。
【0019】
図5A〜図5Fの方法に対する第1の代替では、ナノインプリント液体レジスト20(図5A参照)の堆積前に、Ru層の上部に、非核形成材料(SiO等)の非常に薄い(例えば3nm以下、好ましくは1nm以下)膜を堆積させる。この例では、レジスト層に、インプリントされたパターンがレジストにおいて穴を形成するようにインプリントを行う。次いで、図5Dのように、レジストの穴のマトリクスをマスクとして用いて穴を通じてSiOの薄膜をエッチングし、露出領域におけるSiOのみを除去すると、Ruの核形成部位が残る。次いで、レジストのマトリクスを除去すると、レジストの下方にあったSiOの非核形成領域が残る。SiOの膜は厚さがたった1nmであるのが好ましいため、結果的に得られる隣接する核形成部位および非核形成領域の面は、実質的に平坦である。図5Cのようなピラートーンレジストパターンを用いる場合は、まず、SiO膜を堆積させ、続いて非常に薄い(3nm以下、好ましくは1nm以下)Ru膜を堆積させる。次いで、レジスト材料のピラー22を通じてRu膜をエッチングし、SiO非核形成領域により囲まれたRu核形成部位を生成させる。
【0020】
図5A〜図5Fの方法に対する第2の代替では、図5Cにおけるレジスト材料のピラー22上に、非核形成材料(SiO等)の非常に薄い(例えば3nm以下、好ましくは1nm以下)膜を堆積させ、露出領域に薄い非核形成領域を形成する。この方法では、エッチングを必要としない。次いで、レジスト材料のピラー22を除去すると、それらの下方にあったRuの核形成部位が残る。SiOの膜は厚さがたった1nmであるのが好ましいため、結果的に得られる隣接する核形成部位および非核形成領域の面は、実質的に平坦である。代替として、図5Aにおける基板(すなわち、Ru層の代わりに)の上部にSiO膜を堆積させ、ピラー22の代わりにレジストの穴のマトリクスを形成するようにレジストパターンにインプリントを行う。次いで、レジストのマトリクスの上部および穴の内部に、非常に薄い(3nm以下、好ましくは1nm以下)Ru膜を堆積させる。次いで、ウエットまたはドライプロセスによりレジストを除去すると、SiO非核形成領域により囲まれたRu核形成部位のアレイが後に残る。
【0021】
次いで、図5Fに示す構造をスパッタリング装置に戻し、RLおよびOCを堆積させる。RLは、CoPtCrまたはCoPtCrBなどのCo合金ターゲットおよびSiOなどの酸化物ターゲットから同時スパッタリングされるのが典型的である。すると、ONLの上部14は、化学的コントラストをなす2つの領域を有している。従って、ONLの上部14上でRLが成長するにつれ、Ruからなる核形成部位16上ではCo合金粒子が成長し、非核形成領域18上ではSiOが粒間材料として形成する。この結果、図4に概略的に示すように、粒間酸化物材料により良好に偏析された、略均一サイズ、すなわち粒度分布が極小のCo合金粒子を有するRLが得られる。
【0022】
図5A〜図5Fに示す方法の例では、下部12が、核形成部位16と同じ材料であるRuである。しかし、ONLは、SiOで形成された下部12で開始しても製作可能である。この例では、マスタ型が図5Aにおけるナノインプリントマスタ型30に対する反転像を有するため、レジスト硬化およびマスタ型除去後、レジスト層は「穴」のパターンとなる。次いで、下部12におけるSiOの露出部分を、穴を通じてエッチングまたは切削すると、レジスト層の穴にSiOの凹部が残る。次いで、エッチングまたは切削されたSiOの厚さと同じ厚さまで、穴をRuで再充填する。レジスト除去後、ONLの下部12が非核形成領域18と同じ材料(この例ではSiO)で形成されている点を除き、構造は、図5Fに示す構造と本質的に同一である。
【0023】
図6A〜図6Fを参照して、自己集合ブロックコポリマーを用いてナノインプリントマスタ型30を製作するための方法を説明する。ナノインプリントマスタ型30は、単結晶Si、非晶質Si、シリカ、石英、窒化ケイ素、炭素、タンタル、モリブデン、クロム、アルミナ、またはサファイアなどの好適な基板材料から形成される。図6Aにおいて、後にブロックコポリマー膜の配向に影響を与えるため、ナノインプリントマスタ型30となる基板の表面を好適なポリマーブラシ層50で処理してもよい。続いて、自己集合ブロックコポリマー材料の薄膜52を堆積させる。自己集合ブロックコポリマーは、互いに混和しない2つ以上の異なるポリマーブロック成分(例えば成分AおよびB)を含むのが典型的である。好適な条件下で、2つ以上の混和しないポリマーブロック成分は、ナノメートルスケールで2つ以上の異なる相またはミクロドメインに分離し、それにより、隔離されたナノサイズ構造単位の秩序立ったパターンを形成する。図6Bでは、ブロックコポリマーのミクロ相を、材料Aのマトリクスに埋め込まれた垂直に配向された材料Bの円筒磁区のナノメートルスケールの規則的なアレイに分離させるように、ブロックコポリマー材料の薄膜52がアニーリングされている。図6Cは、アニーリング後のブロックコポリマー膜の上面図の走査電子顕微鏡画像(SEM)であり、材料Aのマトリクスに埋め込まれた材料Bの円筒を示している。次いで、図6Dにおいて、A材料を選択的に除去すると、B材料の円筒ピラーの周期的パターンを有するテンプレートが残る。次いで、図6Eにおいて、材料Bのピラーを通じて、露出したポリマーブラシ層50および下層の基板(ナノインプリントマスタ型30)を、マスタ型の穴に所望される深さまでエッチングする。図6Fにおいて、ポリマーブラシ層50の残りの部分およびB材料のピラーを除去すると、穴31のパターンを有するナノインプリントマスタ型30が残る。次いで、図5Aに示すように、このナノインプリントマスタ型30を用いてONLを製作する。
【0024】
図6Cに示す自己集合周期的パターンを形成するために使用可能な多くの種類のブロックコポリマーが存在する。成分AまたはBの一方を、他方を除去する必要なく選択的に除去することにより、秩序立てて編成された非除去成分の構造単位が得られる。自己集合ブロックコポリマーについて記載した無数の文献が存在し、それらには、(特許文献3);(非特許文献3);および(非特許文献4);および(非特許文献5)などがある。
【0025】
自己集合周期的パターンを形成するために使用可能な好適なブロックコポリマーの具体例は、以下を含むがそれらに限定されない:ポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PS−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−イソプレン)(PEO−b−PI)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−ブタジエン)(PEO−b−PBD)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−スチレン)(PEO−b−PS)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−メチルメタクリレート)(PEO−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−エチルエチレン)(PEO−b−PEE)、ポリ(スチレン−ブロック−ビニルピリジン)(PS−b−PVP)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン)(PS−b−PI)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン)(PS−b−PBD)、ポリ(スチレン−ブロック−フェロセニルジメチルシラン)(PS−b−PFS)、ポリ(ブタジエン−ブロック−ビニルピリジン)(PBD−b−PVP)、ポリ(イソプレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PI−b−PMMA)、およびポリ(スチレン−ブロック−ジメチルシロキサン)(PS−b−PDMS)。
【0026】
ブロックコポリマーにより形成される具体的な自己集合周期的パターンは、第1および第2のポリマーブロック成分AおよびB間の分子容比により決定される。第1のポリマーブロック成分Aの分子容に対する第2のポリマーブロック成分Bの分子容の比が約80:20よりも小さく約60:40よりも大きいとき、ブロックコポリマーは、第2のポリマーブロック成分Bで構成されたマトリクスにおいて第1のポリマーブロック成分Aで構成された円筒の秩序立ったアレイを形成する。第2のポリマーブロック成分Bの分子容に対する第1のポリマーブロック成分Aの分子容の比が約60:40よりも小さく約40:60よりも大きいとき、ブロックコポリマーは、第1および第2のポリマーブロック成分AおよびBで構成された交互のラメラを形成する。本発明では、図6Dに示されるように、非除去成分がエッチングマスクとして用いられるので、交互のラメラおよび交互の円筒の秩序立ったアレイが対象物となる。
【0027】
周期的パターンにおける反復する構造単位の周期またはバルク周期(L)は、重合度Nおよびフローリ・ハギンズの相互作用パラメータχなどの固有ポリマー特性により決定される。Lは重合度Nに対応し、重合度Nは分子量Mと相関する。約8〜50nmのLを達成可能なブロックコポリマーが入手可能である。このため、本発明のブロックコポリマーの総分子量を調整することにより、反復する構造単位のバルク周期(L)を選択可能である。ブロックコポリマー材料は、ジブロックコポリマーのポリスチレン−ブロック−ポリメチルメタクリレート(PS−b−PMMA)であってもよい。例えば、Mw=46Kg/molの総分子量を有する対称PS−b−PMMAは、概ね32nmのLを示すが、Mw=36Kg/molであるものは、概ね27nmのLを示す。他のL値が既知であり、(非特許文献6)に記載されている。ブロックコポリマー材料が(PS−b−PMMA)である場合、(非特許文献7)に記載されているように、例えば紫外線(UV)放射を使用し、続いて、選択溶媒中ですすぐことにより、PMMAを選択的に除去可能である。
【0028】
自己集合周期的パターンを形成するため、まず、ブロックコポリマーを好適な溶媒系に溶解させてブロックコポリマー溶液を形成し、次いで、かかるブロックコポリマー溶液を表面に塗布して薄いブロックコポリマー膜を形成し、続いて、薄いブロックコポリマー層をアニーリングして、ブロックコポリマーに含まれる、異なるポリマーブロック成分間で相分離を生じさせる。ブロックコポリマーの溶解およびブロックコポリマー溶液の形成に用いられる溶媒系は、以下を含むがそれらに限定されないいずれの好適な溶媒を含んでもよい:トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、およびアセトン。ブロックコポリマー溶液は、以下を含むがそれらに限定されないいずれの好適な手法によっても基板表面に塗布可能である:スピン塗布、被覆、噴霧、インク被覆、浸漬被覆など。好ましくは、ブロックコポリマー溶液を基板表面にスピン塗布することにより、薄いブロックコポリマー層を形成する。基板表面上に薄いブロックコポリマー層を塗布した後、基板全体をアニーリングして、ブロックコポリマーに含まれる、異なるブロック成分のミクロ相分離をもたらし、それにより、構造単位が反復する周期的パターンを形成する。ポリマーブラシ層50は、ポリマーブロックの一方に対して他方に対するよりも強い親和性を示さない材料の中立層であってもよい。中立層の目的は、表面エネルギーを適切に調整することにより、所望のドメイン配向(垂直なラメラまたは平行な円筒)を促進するとともに、適切な濡れ状態を提供することである。中立層は、例えば、用いられるブロックコポリマーよりも低分子量のヒドロキシル末端ポリスチレンブラシであってもよい。ポリマーブラシ層50は、ナノインプリントマスタ型30となる基板上に約1〜10nm(6nm未満が好ましい)の厚さにスピン被覆される。
【0029】
上記手法におけるブロックコポリマー膜は、何らの方向付けも誘導もなく自己集合する。この無方向性自己集合は、軽微な欠陥を有するパターンを生じさせるので、長距離にわたる精密な秩序付けを要求する用途には実用的でない。このような長距離にわたる精密な秩序付けの欠如は、図6CのSEMに見られる。しかし、ONLにおける核形成部位の長距離にわたる精密な秩序付けは、マスタ型で製作されたONL上に粒間酸化物を有する連続的粒状Co合金を堆積させる本発明には必要ない。
【0030】
化学的コントラストパターンを有するONLを形成する方法の別の実施形態では、イオン注入が用いられる。この方法は、図5Cの構造から説明可能である。ピラー22の秩序立ったアレイを有するこのレジスト層をマスクとして用いて、ONLの下部12のRuの露出領域に高エネルギーイオンを注入する。例えば、高エネルギー酸素原子を注入して、ルテニウム酸化物の非核形成領域18を形成可能である。レジスト除去後、ONLの上部14は、ルテニウム酸化物の非核形成領域18により囲まれたRuからなる核形成部位16の秩序立ったアレイである。イオン注入は材料を除去しないため、エッチングおよびそれに続く再充填を行う必要はなく、ONLの上部14は、その固有の実質的に平坦な表面15を保持する。
【0031】
化学的コントラストパターンを有するONLを形成する方法の別の実施形態では、分子ナノ構造が用いられる。分子ナノ構造は、ナノ結晶および分子超構造を含む。
【0032】
ナノ結晶は、コアがCdSe、CdTe、PbSe、FePt、FeO、およびSiなどの1つ以上の材料で構成されたサブ100nmサイズの小結晶粒子を含む。ナノ結晶は、様々なサイズにおいて狭いサイズ分布で合成可能である。例えば、2〜7nmの直径および10%未満の直径分布を有するCdSeナノ結晶が市販されている。ナノ結晶は、スピン被覆および浸漬などのいくつかの十分に確立された手法により、良好に秩序立った膜に分散させることが可能である。
【0033】
分子超構造は、基板上に分子膜を堆積させることにより形成された構造である。この目的に使用可能な分子クラスの例には、フラーレン(例えばC60)、多環式芳香族炭化水素(例えばペンタセン)、およびシアニン(例えばポリフィリン)がある。基板は、磁気スタックの成分であるか、貴金属(例えばAu)または無機質(例えばSi)薄膜で構成されたシード層であることが可能である。C60は、金属膜と強く相互作用することが可能な球状分子である。金(Au)膜に対するC60金属の相互作用により、例えば、5nmの周期を有する超構造が形成され、かかる周期は、0.7nmであるC60の直径よりもほぼ一桁大きい(非特許文献8)。分子超構造は、熱蒸発により中サイズ(0.5〜1nm)の分子の膜を堆積させることにより形成可能である。分子のサイズは、秩序立った膜についての重要な長さのスケールであるが、分子膜は、分子−表面間の相互作用から得られる超構造を形成することが頻繁にある。本発明におけるONLの一実施形態では、C60単分子層と、SULの上部のC60単分子層のためのAuシード層とが用いられる。
【0034】
分子ナノ構造を有するONLを作製する方法では、SULおよび分子ナノ構造がその上に堆積される層までを含むディスクのすべての層を、スパッタ堆積などの従来の方法で堆積させる。次いで、スピン被覆または液体浸漬が要求される場合は、分子ナノ構造を堆積させるためスパッタリング装置から構造を除去する。分子ナノ構造は、用いる分子によって、蒸気曝露、熱蒸発、スピン被覆、または液体浸漬などの各種の標準的な分子堆積手法を用いて堆積させることが可能である。分子ナノ構造を堆積させた後、残りの磁気スタック成分の堆積を再開させる前に、必要に応じて熱アニーリングまたはさらなる接着/シード層の堆積などの追加プロセスを行ってもよい。ナノ結晶を秩序付け層として用いるための手順は、分子超構造の手順と同様である。しかし、ナノ結晶は、通常、スピン被覆または液体浸漬を用いてのみ堆積させることが可能である。かかる堆積手法には、これらの堆積専用の別の機械が要求される。
【0035】
SULの上部に分子ナノ構造を堆積させる場合は、分子ナノ構造の堆積に先立って、SULの上部にAu、Ta、またはNiWなどの接着層またはシード層を堆積させることが可能である。接着層またシード層の組成および厚さは、ONLにおける適正な秩序付けを促進するとともに分子ナノ構造の堆積中にSULを損傷から保護するように選択する。
【0036】
図7は、分子超構造(例えばC60分子の層)を用いる本発明の実施形態による記録層(RL)の下方の秩序立った核形成層(ONL)を有する連続的媒体垂直型磁気記録ディスクの側断面図である。ナノ結晶を有する実施形態は同様であるが、分子層がナノ結晶層に置換されている。SUL上に、SULのための保護層および/またはC60層のためのシード層(SL)を堆積させる。ONL上に、後に堆積されるRuまたはRu含有層のためのシード層(Ru−SL)を堆積させる。Ru−SLは、約1〜5nmの厚さを有するAu/NiW二重層であってもよい。次いで、Ru−SL上に、Ru層またはRu含有層を約10〜25nmの厚さに堆積させる。次いで、Ru層上に、従来のRL、CP、およびOCを従来の方法で堆積させる。ONLにおけるC60分子により、トポグラフィックフィーチャおよび核形成中心のより均一な分布が促進される。次いで、ONLにより、Ruシード層において略規則的なパターンが形成され、それにより、Ru層およびRLにおいてより均質な粒子形成が誘導される。
【0037】
本発明を好ましい実施形態を参照して特に図示し、説明したが、本発明の要旨および範囲を逸脱することなく形態および詳細における様々な変更を行ってもよいことが当業者には理解されよう。そのため、開示された発明は、例示的なものにすぎず、添付の特許請求の範囲において特定される範囲にのみ限定されるものと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0038】
10 ディスク
11 核形成層(ONL)
12 下部
14 上部
15 表面
16 核形成部位
17 凹領域
18 非核形成領域
20 ナノインプリント液体レジスト
22 ピラー
30 ナノインプリントマスタ型
31 穴
50 ポリマーブラシ層
52 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の下層と、
前記下層上に設けられ、粒状強磁性Co合金と、Si、Ta、Ti、およびNbの1つ以上の酸化物と、を含む垂直型磁気記録層と、
前記下層と前記垂直型磁気記録層との間に設けられ、前記粒状強磁性Co合金を選択的に成長させるための金属又は合金が配列した核形成部を備える核形成層と、
を備える垂直型磁気記録ディスク。
【請求項2】
前記核形成層は、平坦な表面を有する、
請求項1に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項3】
前記核形成層は、前記核形成部の前記配列した金属又は合金の間に位置する非核形成部をさらに備える、
請求項1に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項4】
前記非核形成部および前記核形成部の表面高さは、互いに1nm以内である、
請求項3に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項5】
前記非核形成部は、酸化物または窒化物で形成されている、
請求項3に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項6】
前記非核形成部は、Siの酸化物または窒化物で形成されている、
請求項5に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項7】
前記垂直型磁気記録層はSi酸化物を含み、
前記核形成部は、Ruを含有し、Si酸化物により囲まれており、
前記垂直型磁気記録層に含まれる前記粒状強磁性Co合金は、前記核形成層の前記核形成部と接触し、
前記垂直型磁気記録層に含まれる前記Si酸化物は、前記核形成層の前記Si酸化物と接触している、
請求項1に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項8】
前記核形成部は、Ruを含有する、
請求項1に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項9】
前記核形成層は、前記核形成部の前記配列した金属又は合金の間に位置する非核形成部をさらに備え、
前記非核形成部はルテニウム酸化物を含有する、
請求項8に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項10】
前記核形成部は、分子ナノ構造である、
請求項1に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項11】
前記分子ナノ構造は、CdSe、CdTe、PbSe、FePt、FeO、およびSiからなる群から選択されるナノ結晶である、
請求項10に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項12】
前記分子ナノ構造は、フラーレン、多環式芳香族炭化水素、およびシアニンから選択される分子の分子超構造である、
請求項10に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項13】
前記分子超構造はC60分子である、
請求項12に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項14】
前記下層は、透磁性材料の軟磁性下層であり、
前記核形成層は、前記軟磁性下層と前記垂直型磁気記録層との間の磁気交換結合を防止するための、前記軟磁性下層と前記垂直型磁気記録層との間の交換ブレーク層である、
請求項1に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項15】
前記軟磁性下層と前記核形成層との間のシード層をさらに備える、
請求項14に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項16】
基板と、
前記基板上の下層と、
前記下層上に設けられ、粒状強磁性Co合金と、Si、Ta、Ti、およびNbの1つ以上の1つ以上の酸化物と、を含む垂直型磁気記録層と、
前記垂直型磁気記録層と接触する、前記下層と前記垂直型磁気記録層との間の核形成層と、
を備え、
前記核形成層は、前記粒状強磁性Co合金を選択的に成長させるための金属又は合金が配列した核形成部と、前記核形成部の前記配列した金属又は合金の間に位置する非核形成部と、
を備える垂直型磁気記録ディスク。
【請求項17】
前記核形成層は、平坦な表面を有する、
請求項16に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項18】
前記垂直型磁気記録層はSi酸化物を含み、
前記核形成部は、Ruを含有し、Si酸化物により囲まれており、
前記垂直型磁気記録層に含まれる前記粒状強磁性Co合金は、前記核形成層の前記核形成部と接触し、
前記垂直型磁気記録層に含まれる前記Si酸化物は、前記核形成層の前記Si酸化物と接触している、
請求項16に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項19】
前記垂直型磁気記録層と接触する、前記垂直型磁気記録層上の粒状強磁性Co合金からなるキャッピング層をさらに備える、
請求項18に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項20】
前記核形成部は、4〜25nmの面内幅と、8〜50nmの面内中心間距離と、を有する、
請求項16に記載の垂直型磁気記録ディスク。
【請求項21】
粒状コバルト合金および粒間酸化物材料を含む記録層を有する垂直型磁気記録ディスクの製造方法であって、
基板上に設けられた下層上に非磁性の中間層を堆積させるステップと、
前記中間層上にナノインプリント用のレジスト層を堆積させるステップと、
ナノインプリントマスタ型を用いて前記レジスト層にナノインプリントを行って、前記中間層上にパターン化レジスト層を形成するステップであって、前記ナノインプリントマスタ型は周期的パターンを有する、ステップと、
前記パターン化レジスト層を通じて前記中間層の露出した部分をエッチングして、前記中間層において凹領域を形成するステップと、
前記中間層の前記凹領域を前記中間層の材料以外の材料で充填するステップと、
前記パターン化レジスト層を除去し、前記記録層の前記粒状コバルト合金を選択的に成長させるための核形成部のパターンを有する前記中間層を残すステップと、
前記中間層上に前記粒状コバルト合金および前記粒間酸化物材料をスパッタ堆積させるステップと、
を含む製造方法。
【請求項22】
前記中間層は、RuまたはRu合金を含み、
前記中間層の材料以外の前記材料は、酸化物または窒化物を含む、
請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記ナノインプリントマスタ型の前記周期的パターンは、自己集合ブロックコポリマーの周期的パターンを表す請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
粒状コバルト合金および粒間酸化物材料を含む記録層を有する垂直型磁気記録ディスクの製造方法であって、
基板上に設けられた下層上に非磁性の中間層を堆積させるステップと、
前記中間層上に前記中間層の材料以外の材料の薄膜を堆積させるステップと、
前記薄膜上にナノインプリント用のレジストの層を堆積させるステップと、
ナノインプリントマスタ型を用いて前記レジスト層にナノインプリントを行って、前記薄膜上にパターン化レジスト層を形成するステップであって、前記ナノインプリントマスタ型は周期的パターンを有する、ステップと、
前記パターン化レジスト層を通じて前記薄膜の露出した部分をエッチングして、下層の前記中間層を露出させるステップと、
前記パターン化レジスト層を除去し、前記薄膜の領域と、前記記録層の前記粒状コバルト合金を選択的に成長させるための核形成部のパターンを有する前記中間層の領域と、を残すステップと、
前記薄膜の領域と、前記中間層の領域との上に前記粒状コバルト合金および前記粒間酸化物材料をスパッタ堆積させるステップと、
を含む製造方法。
【請求項25】
前記中間層は、RuまたはRu合金を含み、前記中間層の材料以外の前記材料は、酸化物または窒化物を含む、
請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記ナノインプリントマスタ型の前記周期的パターンは、自己集合ブロックコポリマーの周期的パターンを表す、
請求項24に記載の製造方法。
【請求項27】
粒状コバルト合金および粒間酸化物材料を含む記録層を有する垂直型磁気記録ディスクの製造方法であって、
基板上に設けられた下層上に非磁性の中間層を堆積させるステップと、
前記中間層上にナノインプリント用のレジスト層を堆積させるステップと、
ナノインプリントマスタ型を用いて前記レジスト層にナノインプリントを行って、前記中間層上にパターン化レジスト層を形成するステップであって、前記ナノインプリントマスタ型は周期的パターンを有する、ステップと、
前記パターン化レジスト層上に前記中間層の材料以外の材料の薄膜を堆積させるステップと、
前記パターン化レジスト層を除去し、前記薄膜の領域と、前記記録層の前記粒状コバルト合金を選択的に成長させるための核形成部のパターンを有する前記中間層の領域と、を残すステップと、
前記薄膜の領域と、前記中間層の領域との上に前記粒状コバルト合金および前記粒間酸化物材料をスパッタ堆積させるステップと、
を含む製造方法。
【請求項28】
前記中間層はRuまたはRu合金を含み、
前記中間層の材料以外の前記材料は、酸化物または窒化物を含む、
請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
前記ナノインプリントマスタ型の前記周期的パターンは、自己集合ブロックコポリマーの周期的パターンを表す、
請求項27に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【図3】
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【図6C】
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【公開番号】特開2011−129241(P2011−129241A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270905(P2010−270905)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】