説明

埋め込み型センサーの校正方法

【課題】密閉されたハウジング内に位置する種類の圧力センサーを校正するシステム及びその方法を提供する。
【解決手段】インプラントは、プロセッサー、高周波通信回路、光通信回路、電源及びメモリーを含み、制御回路における全てが、透明な窓を有するハウジング内に密封されている。読取り器からの問い合わせ信号を受信後、センサーの測定値が、高周波通信回路を使用した高周波によって遠隔読取り器に伝送される。センサーの校正過程において、実際のセンサーの圧力の測定値を既知の圧力の測定値と比較することによって、補正係数が計算される。変調された光がハウジングの透明な窓を通って光検出器に伝送される光通信を利用して、補正係数が制御回路のメモリーに伝送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーを校正するシステム及びその方法に関し、特に、密閉されたハウジング内に位置する種類の圧力センサーを校正するシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の考察)
人間の体内の標的部位において圧力、流量、又は温度などの様々なパラメーターを測定し記録する、様々な種類の埋め込み型装置が存在する。
【0003】
これら埋め込み型装置の内の最も成功を収めているものが心臓ペースメーカーで、心臓に関連した幾つかの疾患の治療に役立っているだけではなく、その他の埋め込み型システムに広く使用されることとなった多くの技術の開発に道を開いた。これらの技術開発としては、低電力電子機器、無線遠隔測定法、及び生体組織とインターフェースする信頼性の高いセンサーが挙げられる。
【0004】
埋め込み型マイクロシステム装置のパッケージングの主要な技術的要求の中には、トランスデューサーの封入(保護)及び通信が含まれる。
【0005】
トランスデューサーの封入:
埋め込み型装置の最も困難かつ取り組みがいのある観点の1つであったのが、これらが存在する比較的過酷な生体内環境から内部構成要素を保護するのみならず、同時に遠隔読み取り装置を使用して内部構成要素と外界との間のある程度の有意味な通信を提供するためのパッケージング及び封入である。
【0006】
埋め込み型装置内に位置するセンサーは、しばしば、繊細な電子機器、気圧機器(pneumatics)、機構、及び場合によっては光学機器(optics)を含む。これらシステムの各々は、大抵の場合、過剰な水分又は液体、塩分、酸、及び高温度を含む、試験環境に見られる特定条件による損傷を受けやすい。このようなセンサーが患者の体内に埋め込まれた場合、適切に保護されていなければ、センサー(その補助的構成要素を含む)の動作可能な電子機器及びその他の繊細な構成要素は、有害な成分に急速に接してしまう。時間の経過と共に、これら成分は、オンボードの構成要素又は電気的接続部を容易に腐食させ、あるいは劣化させ、特定のセンサーの動作及び信頼性に直接影響を与えかねない。
【0007】
このために、人間の患者の体内を含む有害な環境内に存在することとなるセンサーは、通常、封止されたハウジング内で保護されている。
【0008】
主としてその強度対重量比、製造可能性、及び生体適合性の観点から、チタン、選択されたプラスチック、ステンレススチール及びガラスが、これらハウジングに一般的に使用される材料である。ハウジングの接合部は、製造過程で、センサー、補助回路、及び多くの場合、電源(電池又は誘導電源の構成要素)を封入し、密封される。ハウジング材料は、それが動作することとなる特定の環境、並びにその環境内で意図された稼動すべき寿命、寸法制限及びコストを含む、その他の要件にあわせて選択される。チタン、ステンレススチール及びガラス製のハウジングは、過酷な環境から長期に亘って効果的に保護することが証明されており、生体適合性があるので、長期間人間に埋め込む装置として一般的である。
【0009】
インプラントのハウジングの接合部を密閉するために使用する方法は、使用される特定の材料による。例えば、ステンレススチール及びチタン製のハウジングの接合部は、相互に溶接し、又は硬ろう付けし、若しくは嵌め合い部品上に熱収縮した後に硬ろう付け封止することができる。ガラス部品は、硬ろう付けでき、プラスチックハウジングは適切な超音波溶接技術、又は接合部の境界面で密封接着を形成する適切な接着剤を使用して溶接密閉できる。
【0010】
インプラントのハウジング内に位置する特定のセンサーの応答は、センサーの特性に強く依存するが、センサーによって検出される環境的及び機械的条件にもまた依存する。密封するために熱を要するハウジングのための任意の材料(特に金属又はプラスチック)を使用する上での1つの問題点は、加熱及びその後の冷却中にハウジング材料が膨張し収縮することである。この温度勾配によって、通常、ハウジング内の容量及び圧力が変化し、繊細なオンボードセンサーの何れかに機械的応力を発生させる可能性がある。この機械的応力によって、センサーの応答特性が変わることがある。これは用途によっては許容できることもあるが、例えば、ハウジングが圧力測定センサーを収容している場合、ハウジング材料の予測不可能な膨張及び機械的応力の発生は、圧力センサーの完全な状態及び精度に確実に影響を与える。例えば、容量性圧力センサーは、静電容量を使用してコンデンサーを構成するプレート間の僅かな変化を検出する。センサーは、底板に接着されている。コンデンサーのプレート上に作用する機械的応力は、圧力の関数としてのコンデンサーの変化の仕方に影響することがある。周囲圧力の一切の変化が、プレートを僅かに変形させ、その結果、コンデンサー構造体の静電容量を変化させる。静電容量の僅かな変化を測定することにより、圧力の僅かな変化を計算することができる。センサーの組立工程が、センサー内の残留機械的応力の1つの潜在的発生源である。カプセル(埋め込まれたセンサーの容器)の内部の圧力又は温度などの他の物理的パラメーターが、センサーの応答に影響することがある。
【0011】
ガラス製ハウジングは、このような加熱過程においてより安定していることから、特定の圧力関連用途にはより適切であることが知られている。ハウジングとしてホウケイ酸ガラス製の構成要素を使用する場合、2つの部品の接合部に適切な中間材料を配置し、次に超高温及び強電界を印加する、周知の陽極接合技術を使用して、特定の検出機能構成要素をガラス製ハウジングの一部に直接接着できる。陽極接合の過程に必要な超高温の故に、ガラス製ハウジングの接合部は、先ず金属被覆され、次に、通常、はるかに低い温度(内部電子的構成要素にとって安全である温度)を要する硬ろう付け法を使用して相互に接着される。残念ながら、これら低温でさえ、及び上述の陽極接合技術は、しばしば、センサー膜内に残留機械的応力を閉じ込める結果を招きかねない。少なくともこの理由により、インプラント装置は、ガラス製ハウジングが密封された後に校正を必要とする。
【0012】
殆どの場合、圧力センサーインプラント(又はその他の種類のインプラント装置)の製造過程において、センサーに隣接して位置する種々の部品、又はセンサー構造体自体が、高温の影響を受けることがある。少なくともこの理由により、ハウジングが密封された後、閉じ込められたトランスデューサー及びそれに関連した構成要素は、トランスデューサーの出力によって読み取られた測定値と選択的入力のための実際の既知の値との間のデータセットを生成することによって、校正されなければならない。
【0013】
通信及び制御:
好結果のインプラント装置の開発において重要な要件は、隔離された装置が外界と通信する方法である。埋め込まれた超小型電子機械装置を収容するために必要なパッケージングは、従来のマイクロ電子構成要素を収容するために使用するパッケージングとは異なる。これは、インプラント装置は、その性質上、周囲環境とのある程度の相互作用を必要とするためである。この結果、インプラント装置は、その環境から完全に隔離できない。インプラントの少なくとも検出機能の構成要素又は操作機能の構成要素には、選択的なアクセスが提供される必要がある。
【0014】
このアクセス又は通信を達成する1つの方法は、所謂フィードスルー(ワイヤーポート及び電気的ビア(wire-port and electrical vias)とも呼ばれる)を使用することである。フィードスルーとは、ハウジング内の回路に適切な電線管の直接的アクセスを提供する、それ以外は密封されたハウジング内に形成された穿孔である。遠隔電源を使用する場合は給電線として、センサー出力を読み取る通信用として、又はハウジングがそれ以外は密封された後の製造過程での装置内のセンサーを校正する手段として、配線を使用できる。残念ながら、この直接接続法によって提供される通信リンクは通常非常に効果的であるものの、電線管の周りの穿孔内に信頼性の高い効果的な封止を提供することは、非常に困難であることが証明されている。インプラントの耐用年数に達する前に、この穿孔がインプラント全体の故障の発端となるのが普通である。これら封止の困難性から、このようなフィードスルーの使用は、完全に回避することが好ましい。
【0015】
少なくともこの理由により、従来のインプラント装置は、通常、可能な限り独立して動作する。インプラントは、好ましくは、その独自の内部電源を収容する(又は高周波誘導結合を介して受信した高周波エネルギー信号からその電力を得る)であろうし、高周波(radio frequency:RF)などの適切な無線遠隔測定法を使用して、外界と通信するであろう。
【0016】
残念ながら、遠隔読取り器と埋め込まれた装置との間に双方向無線通信を提供するには、比較的高価で、追加的電力を消費し、ハウジング内の貴重な空間を占めてしまう遠隔測定回路が必要である。読取り器とインプラントとの間の双方向通信は、インプラント装置の製造過程でインプラントのハウジングの接合部を密閉した直後の、インプラント装置の初期の校正過程においてのみ必要であるので、この追加的な遠隔測定回路は、特に無駄である。例えば、受動型の埋め込み型圧力センサーが、外部読取り器によって問い合わせられる。上述のように、高周波信号が装置に電力を供給するが、インプラントと読取り器との間のデータ通信は片方向通信のみが行われ、データは、読取り器からインプラントに流れる必要はない。一旦、従来のインプラント装置が校正され、患者の中に外科的に埋め込まれると、従来の双方向遠隔測定回路の幾つかの構成要素は、それ以後使用されず、「死んだ構成要素」として装置内に永遠に残り、容積を占めながら、有限のオンボード電力から、小さいとはいえ測定可能な量を消費し続ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠陥を克服するインプラントを提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、埋め込み後にインプラント内に残る必要のある構成要素が少数で、比較的安価である、埋め込み型装置の校正プロトコルを提供することにある。
【0019】
本発明の更に別の目的は、初期校正過程において効果的な双方向通信を可能とし、必要とする構成要素が安価で少数である、インプラント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
インプラントは、プロセッサー、高周波通信回路、フォトダイオード又はフォトトランジスターなどの光検出器を含む光通信回路、電源、及びメモリーを含み、制御回路における全てが、透明な窓を有する又はガラスなどの透明な部品を含むハウジング内に密封されている。読取り器からの問い合わせ信号を受信後、センサーの測定値が、高周波通信回路を使用した高周波によって遠隔読取り器に伝送される。センサーの校正プロセス中に、コンピューターを使用して実際のセンサーの圧力測定値を既知の圧力測定値と比較することによって、補正係数が計算される。次に、変調された光がハウジングの透明な窓又は透明な部分を通って光検出器に伝送される光通信を利用して、補正係数がオンボード制御回路のメモリーに伝送される。これ以後、インプラント内の任意の圧力センサーの測定値は、遠隔高周波読取り器に伝送される前に、メモリー内に位置する補正係数を使用して自動的に調節される。
【0021】
添付の図面は、本発明の実施形態の例を示す。これらは、本発明が上述の利点及び目的を達成する様を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】例示的なインプラント装置の側面断面図、及びそれに隣接した、本発明によるインプラント装置の校正に使用する校正システムを表す結線図。
【図2】本発明による、発光装置及び光変調回路を含む校正回路の動作及び接続の概略ブロック図。
【図3】本発明による、光検出器の構成要素を有する通信回路を含むオンボード制御回路の、動作及び接続の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
概観及び序論として、本発明は、体内の特定の部位のパラメーターを測定する目的で、人間の患者内に埋め込まれる装置の校正に関する。これら埋め込まれた装置は、これら埋め込まれた装置が遠隔読取り器によって問い合わせられたときに、読取り器にこの情報を伝送するように設計されている。上述のように、このようなセンサーは、ハウジング内に密封されていなければならず、製造過程で通常発生する比較的高温が、オンボードセンサー及び繊細な補助構成要素の性能及び応答特性を変化させかねない。このため、インプラント装置のセンサー及び電気的補助構成要素が封止され、物理的にアクセス不可能となった後に、これらの固有の応答特性が理解され、これらから得られる測定値が正確かつ有意味であり続けるように、これらを校正しなければならない。
【0024】
校正とは、インプラント装置内に位置する圧力センサーなどの測定装置の信号出力と、例えば圧力、液体の流量、又は温度に関連した、既知かつ一般的に認められた応答特性を有する物理的規格の値との間の補正関係を確立するプロセスである。通常、インプラント装置の製造過程に行われるこのプロセスによって、校正される個々のセンサーに固有の校正係数(又は補正データ)のセットが得られる。この校正係数のセットは、一般的にはインプラント内に位置する電子メモリーに格納され、センサーの動作中の定められた時間に使用される。埋め込まれたセンサーの問い合わせ時(例えば、外部読取り器によって高周波を使用して)に、埋め込み型電子機器は、センサーによって読み取られた生の測定値をインプラント内に格納された補正データと関連づけることによって、センサーの信号出力(センサー応答)の補正値を自動的に計算することとなる。
【0025】
従来の製造過程において、及びインプラントの封入後、封入されたセンサーは、通常以下の工程を使用して校正される。
A)インプラントが(封入されたセンサーと共に)、圧力制御され温度制御された気密チャンバー内に配置され、未校正の封入されたセンサーが「特徴化」される。
B)次に、遠隔制御ユニットによってインプラントが無線で問い合わせられる。
C)チャンバー内の圧力(P−ref)及び温度(T−ref)が制御された既知の方法で変化する。このプロセスの過程で、オンボードセンサーの応答が、変化するT−ref及びP−refの関数として継続的に読み取られ、記録される。
この特徴化工程の出力が、Sensor−Raw−Data(未校正センサーからのデータ)であり、Sensor−Raw−Dataは、各測定値に関するチャンバーの圧力及び温度の関数である。
Sensor−Raw−Data=f(P−ref,T−ref)
D)インプラントが、高周波リンクを使用してセンサーの生データを遠隔制御装置に送信する。
E)遠隔制御装置内のコンピューターベースアルゴリズムがこの情報を使用して関数(f)からセンサー校正係数を計算する。
F)コンピューターが高周波通信を利用して、インプラント内のオンボード回路に計算された校正係数を伝送し、次に、これらがインプラント内に位置するオンボード不揮発性メモリー内に格納される。
【0026】
これ以降、インプラントが特定の圧力及び温度を有する環境内で問い合わせられると、オンボードセンサーの出力は、メモリーからの校正係数によって自動的に調節され、遠隔読取り器に返信される信号は、正確な(校正された)圧力の測定値、Calibrated−Sensor−Output=g(p,T)(但し、関数gは、校正されたf関数)となる。電子的に格納されたこの校正係数データのおかげで、読取り器は、インプラントから補正されたデータのみを受信することとなる。
【実施例】
【0027】
実施例1:
圧力チャンバー内で、圧力センサーが校正されている。チャンバーに既知の圧力及び温度が印加される一方、センサーの出力信号は、異なる圧力値で読取られる。センサーの出力信号、並びにチャンバー内の既知の圧力及び温度の値が、異なる圧力で比較され、両者の値に差がある場合は、それが記録される。
【0028】
下表に例示したように、特定のセンサーの校正プロセスの過程で、既知の圧力が3.45kPa(0.5PSI)であるとき、センサーは、2.76kPa(0.4PSI)の圧力値を出力すると判定される。そして、既知の3.72kPa(0.54PSI)の圧力値では、センサーの測定値は3.45kPa(0.5PSI)丁度である。センサーから4.14kPa(0.6PSI)を得たときは、チャンバー内の既知の圧力値は4.0kPa(0.58PSI)である。これら3つの単純なデータ点から、この特定のセンサーの補正係数データセットが生成でき、センサーが任意の環境内で動作中となった後、例えば、センサーからの2.76kPa(0.4PSI)という測定値は、0.69kPa(0.1PSI)を加算することで自動的に調節され、「補正され」、一般に認められた値を得ることができる。
【表1】

【0029】
勿論、使用する試験点が多いほど、補正係数データセットがより正確となるであろうし、患者内に埋め込まれた試験部位における圧力の測定で得られる出力信号がより有用となるであろう。試験点当たり1つの補正係数を確立するよりも、以下の等式を満足させる次数nを有する多項式関数pを確立する方が好ましい。
P−ref=p(Sensor−Raw−Data(P−ref,T−ref))
【0030】
当業者には周知の通り、関数pは、試験点からカーブフィッティング手法を実行することによって確立できる。結果として得られる校正係数の数は、(n+1)となる。例えば、多項式関数pは、次数3を有し、関数y=a3+b2+cx+dを表す4つの校正係数、a、b、c、dを使用して満足する。
【0031】
上述の校正プロセスに使用される従来のインプラントは、双方向高周波通信リンクを含み、センサーの生データを遠隔制御装置/読取り器に送信すると共に、遠隔制御装置/読取り器から校正係数を受信してそのメモリーに格納する。本願の背景の項で述べた通り、双方向高周波リンクの内の一方は、校正過程でのみ使用され、その後は、「死んだ構成要素」としてインプラント内に閉じ込められたままとなる。一方、本発明によれば、本インプラントは、インプラントと遠隔制御装置/読取り器との間の一方向高周波通信リンクを使用して、遠隔制御装置/読取り器にセンサーの生データを送信し、光通信リンクを使用して、遠隔制御装置/読取り器から校正係数又は一般に認められた値の何れかを受信してそのメモリーに格納する。
【0032】
本発明によれば、校正プロセスは、以下の工程を含む。
A)インプラントが(封入されたセンサーと共に)、圧力制御され温度制御された気密チャンバー内に配置され、未校正の封入されたセンサーが「特徴化」される。
B)次に、遠隔制御ユニットによってインプラントが無線で問い合わせられる。インプラントが高周波エネルギーを検出し、エネルギーを変換してインプラント内のオンボードの電気的構成要素への電力の供給に役立て、オンボードのメモリー内に格納された命令のセットを起動する。
C)チャンバー内の圧力(P−ref)及び温度(T−ref)が制御された既知の方法で変化する。プロセスの過程で、オンボードセンサーの応答が、変化するT−ref及びP−refの関数として継続的に読み取られ、記録される。
この特徴化工程の出力が、Sensor−Raw−Data(未校正センサーからのデータ)であり、Sensor−Raw−Dataは、各測定値に関するチャンバーの圧力及び温度の関数である。
Sensor−Raw−Data=f(P−ref,T−ref)
D)次に、インプラントが高周波通信リンクを使用して、遠隔制御装置にセンサーの生データを送信する。
E)遠隔制御装置内のコンピューターベースアルゴリズムがこの情報を使用して関数(f)からセンサーの校正係数を計算する。
F)コンピューターが光通信リンクを使用して、インプラント内のオンボード回路に計算された校正係数を送信し、次に、これらがインプラント内に位置するオンボード不揮発性メモリー内に格納される。
【0033】
校正プロセスの終了後、インプラント内に位置する光通信用の構成要素は、これ以降使用されることはない。校正後、インプラントと外界(読取り器)との間の唯一の通信は、インプラントから読取り器への一方向となり、これは、一方向高周波無線用の構成要素を使用して行われることとなる。
【0034】
光結合器対(発光器及び光検出器)を使用して、ハウジングの障壁を越えて外部装置からインプラントへと一方向通信を提供する1つの明らかな利益は、単一の光検出器の構成要素(フォトダイオード)は、インプラントと外部装置との間の双方向高周波通信の実施に必要となる電子機器よりもかなり安価で、小型であることである。
【0035】
ここで図1を参照すると、カバー14及び底板16から構成されるハウジング12を有するインプラント10が示されている。以下により詳細に説明するように、カバー14は、底板16の上面に気密的に固定され、内部空洞18が形成されている。図に示すインプラントのハウジング10は、本発明を図示するために使用される。勿論、本発明は、幾つかの部分から作られているハウジングを含む、任意の形状又は寸法のインプラントのハウジングに適用できる。図1のインプラント10の下に示し、図2にも参照しているのは、本発明による校正装置20である。校正装置は、高周波ループアンテナ22、発光器24、電気光学変調回路26、マイクロプロセッサー28及び高周波通信回路30を含む。
【0036】
空洞18内には、埋め込み型センサー32が位置し、これはインプラントの特定の種類及び用途次第で、多くの異なるセンサーの種類の内の何れであってもよい。センサー32は、温度を測定する熱電対、圧力変換器、体液の流量を測定する流量計又は別の種類であってもよい。センサー32はまた、作動時に、機械的な動き、光、超音波エネルギー、電磁エネルギー、熱エネルギー又はその他を供給する駆動装置であってもよい。本願の図に示した例示的なセンサー32は、圧力変換器である。本発明は、ハウジング内に密封され、使用前、又はその有効寿命のある時点で校正を必要とする任意の種類のセンサーに適用できる。
【0037】
ここで図1及び3を参照すると、ハウジング12の空洞18内には、マイクロプロセッサー34、電子メモリー36、高周波通信回路38、ループアンテナ40、光検出器42及び電池(図示せず)又は誘導コイル46の何れかを含む、種々の補助電子構成要素を含む、動作回路33もまた位置している。下記の通り、ループアンテナ40及び誘導コイル46は、一般のコイルを使用でき、ループアンテナによって受信された高周波エネルギーを使用して、オンボード回路に電力を供給することができる。
【0038】
高周波通信回路38は、高周波/直流変換回路48、高周波検波回路50及び整合回路網52を含む。高周波/直流変換回路48は、高周波エネルギーを直流電力に変換するために使用される周知の回路である。ループアンテナ40は、整合回路網ブロック52を介して高周波/直流変換回路48に接続され、入力高周波エネルギーはデータを伝達せずに、その代わり、直流電源に変換されてオンボードの電気的構成要素に電力を供給することができるエネルギー源として(to as ame)使用される。適切な既知の電圧調整回路及び整流回路(図示ないしは説明せず)を提供してこの直流電力を「きれいに」することで、これを使用して、構成要素を損傷せずにインプラントのオンボード回路を効果的に「目覚め」させ、それに電力を供給できる。
【0039】
本発明の範囲外と考えられるものの、出願人は、1対の結合コイル(single mated coil pair)から埋め込まれた装置にデータを送信すると同時に誘導電力を伝送する、幾つかの既知の変調スキームが存在することを、指摘したい。これらのスキームには、負荷偏移キーイング、位相偏移キーイング、周波数偏移キーイング及び振幅偏移キーイングが含まれる。これら及びその他の変調方式については、Zhengnian Tang,Brian Smith,John H.Schild及びP.Hunter Peckhamによって、1995年5月刊のIEEE Transaction on Biomedical Engineering,Volume 42,No.5に発表された、「Data Transmission from an Implantable Biotelemeter by Load−Shift Keying Using Circuit Configuration Modulator」と題された論文に説明されている。この論文の内容は、この参照により本明細書内に組み込まれる。このような偏移キーイング変調は、埋め込まれたトランスポンダーへの電力供給又は通電、及び同一の高周波(radio frequency:RF)誘導結合を介したトランスポンダーからのデータ伝送を同時に可能とする。インプラント装置の殆どの用途について、誘導コイルを使用したインプラントのオンボード構成要素への電力供給は、オンボードの電池を不要とし、これによって、本装置の耐用年数が効果的に延び、より小型のインプラントアセンブリーが作られる。
【0040】
高周波遠隔測定システムの効率を改善するために、当業者には周知のように、整合回路網52を提供して、発信器のインピーダンスを受信器のそれと合わせることに役立てるのが好ましい。高周波通信回路38並びに整合回路網52の詳細及び構成要素の説明は、本発明の範囲外であり、したがって、本願では特に綿密な説明は行わない。本発明を説明する目的で、高周波通信回路38は整合回路網52と共に、読取り器60から高周波エネルギー信号を受信し(図1を参照)、高周波信号の少なくとも一部を有用な直流電力に変換してオンボードの電気的構成要素に電力を供給し、データ信号を高周波上の搬送信号として読取り器11に返信するために必要な構成要素を含むことを理解されたい。
【0041】
また、高周波伝送が、インプラントから隣接した読取り器にデータを送る好ましい方法であるものの、埋め込まれた装置の場所及びアクセシビリティー次第では、その他の方法も使用できる。
【0042】
上記に紹介したように、本発明の重要な態様は、校正プロセスの過程で光学的構成要素を使用してインプラントと通信をすることである。そのためには、密封されたハウジング12を構成する底板16又はカバー14の何れかの一部が、半透明又は透明な材料から作られる必要がある。これによって、校正アセンブリー20の発光器24からハウジング12を通って動作回路33の光検出器42に至る変調光の通路が可能となる。このために、ハウジング12の少なくとも一部は、ガラス、透明若しくは半透明なプラスチック、又は、石英などの適切な透明若しくは半透明な鉱物でさえから作られている。底板は、適切な圧力センサーを底板16に陽極接合できるように、ホウケイ酸ガラス(耐熱衝撃性のPyrex(登録商標)ガラスなど)から作られることが好ましい。カバー14は、ガラス製底板に密閉できる任意の適切な材料であってよい。本願の背景の項に上述したように、ハウジングとして使用されるホウケイ酸ガラス製の構成要素は、周知の硬ろう付け技術を使用して相互に融着させることができる。
【0043】
インプラントの校正過程において、インプラントと外部装置との間に双方向無線リンクが確立される。本発明によれば、無線リンクは、高周波搬送信号を利用してインプラントから読取り器にデータを転送し、光を利用して外部校正装置及びインプラントからデータを転送する。本発明の第1の実施形態によれば、インプラントによる読取り器からの高周波無変調エネルギーの受け取りに応答してインプラントが実行する負荷変調(又は吸収変調)に基づいて、遠隔測定の受動通信技術を使用してインプラントから近傍の読取り器にデータが転送される。この構成では、インプラントからは実際には能動伝送は行われない(したがって、能動変調又は高周波伝送は行われない)。下記の本発明の第2の実施形態に説明した能動変調ではなく、インプラントは、入力高周波エネルギーの「後方散乱変調」(「負荷変調」又は「吸収変調」とも呼ぶ)を実行して、インプラントから読取り器にデータを効果的に転送する。この第1の実施形態において、本発明及び上述によれば、校正中に、光を利用して外部校正装置からインプラントにデータが転送される。
【0044】
第2の実施形態によれば、インプラント10は、能動遠隔測定システムの一部として2つのアンテナを含む。ここでは、第1のアンテナを使用して外部読取り器から誘導結合を介してエネルギーを収集し(周知かつよく理解された技術である)、第2のアンテナを能動高周波発信器に接続し、これを使用してインプラントから変調高周波信号を放出して読取り器に返す。ここでも、校正中に、光を利用して外部校正装置からインプラントにデータが転送される。
【0045】
光は、発光器24によって生成され、レーザーダイオードが好ましいが、適切なLEDであってもよい。放射光線は、放射光線を脈動させることによってインプラントにデータを伝送できるように、電気光学変調回路26によって変調される。この変調は、変調された光線の位相、周波数、振幅又は方向に対して実施される。ギガヘルツの範囲に及ぶ変調帯域幅は、レーザー制御された変調器の使用によって可能となる。
【0046】
発光器24によって生成された光の固有の波長及び輝度を選択することによって、埋め込み後にセンサー32が迷光によって偶発的に再プログラムされるであろう危険が緩和される。この場合、インプラントは、例えばMRI、防犯ゲート、携帯電話、産業用電磁環境など、様々な高周波源にさらされているので、この危険は、実際には標準遠隔測定リンクの方が高いといえる。したがって、インプラントのソフトウェアがこのような偶発的な再プログラミングを防止する比較的複雑な安全対策を含まない場合、高周波を利用して校正を行う従来のインプラントは、偶発的に再プログラムされる可能性がある。一方、光リンク本来の信頼度のおかげで、本発明のインプラントは、複雑な動作ソフトウェアを必要とせず、かなり単純化できる。
【0047】
圧力変換器(センサー32)が、必要に応じてインプラント10のハウジング12の外側に位置する環境の圧力を読み取ることができるように、図1に示した穿孔54は、ハウジング12の一部の中(好ましくは底板18を通って)に形成されている。このインプラントが脳内インプラントである場合、患者の頭蓋内に位置する脳脊髄液(CSF)が穿孔54内に浸入し、必要に応じて圧力変換器32と直接相互作用することができるが、それ以外では、陽極接合などの適切な周知の封止技術を使用して、ハウジング12内のその他の構成要素から封止されている。
【0048】
動作において、インプラント10が正しく校正され、患者内に埋め込まれた後、アンテナ62を有する適切な読取り器60を使用して、インプラント10を「目覚め」させ、それに電力を供給し、それからリアルタイムでセンサーのデータを抽出することを共に行うことができる。高周波/直流変換回路38を使用して上述のようにオンボード構成要素に電力を供給するために、読取り器60からの高周波エネルギーがインプラント10のループアンテナ40に達すると、高周波エネルギーは直流電源に変換される。高周波検波回路50が問い合わせの高周波入力信号を検出し、プロセッサー34を起動して不揮発性メモリー36内に位置する定められたプログラムの命令を実行させる。このプログラムは、自動的に、プロセッサー34にセンサー32の出力を読み取らせ、メモリー36内に格納された校正係数を使用して校正されたセンサーのデータセットを計算させる。次に、調節され又は校正されたセンサーのデータ(例えば圧力値)が、生成された高周波エネルギー波上の搬送信号として患者の体外に位置する待ち状態の読取り器60に返信される(アンテナ62によって捕捉される)ように、プロセッサー34が、高周波通信回路38を使用してこれを外部読取り器に送信する。
【0049】
インプラント10の動作回路は、通常、センサー32からの出力信号をより効率的かつより確実に取り扱うことができ伝送できる形態に変更するのに役立つ、アナログ/デジタル調整回路(analog to digital conditioning circuitry)(図示せず)などの他の構成要素を含む。また、プロセッサーに接続してプロセッサーの動作に必要なクロック信号を供給する発信回路(図示せず)を含んでもよい。更に、伝送前に高周波上の搬送信号としてデータを多重化し符号化する適切な回路(図示せず)は全て、当業者には周知の技術であり、ここでは、これらのタスクを達成するために必要な回路の詳細については、ここでは特に綿密な説明はしない。
【0050】
インプラント10のループアンテナ40は、金属電線、炭素繊維電線、導電性インク、導電性エラストマー材又はその他従来のインダクター材料などの導電性材料から作られているコイルで形成されることが好ましい。
【0051】
本発明の例示的な実施形態を示し、説明したものの、当業者には、本明細書内で説明した本発明に、本発明の趣旨を逸脱しない、多くの変更、修正、改良又は改造を施すことができることは、明白となるであろう。したがって、このような全ての変更、修正及び改造は、本発明の範囲内であるとみなすべきである。よって、添付の請求項の規定を除けば、前述の説明及び添付の図面によって、本発明を限定する意図はない。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) データ収集型インプラントであって、前記インプラントによる問い合わせ信号の受信に応答して出力データを生成することのできるセンサーを有する、インプラントにおいて、
前記センサーの収容に使用され、透明な窓を含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に位置し、前記インプラントと遠隔制御装置との間に高周波通信リンクを選択的に作り出す電気的構成要素であって、前記インプラントが、前記高周波通信リンクを使用して前記センサーの前記出力データを前記遠隔制御装置に選択的に伝送する、電気的構成要素と、
前記遠隔制御装置から前記ハウジングの前記透明な窓を通って前記センサーに、校正データを光学的に伝送できるように、前記遠隔制御装置と前記センサーとの間に光通信リンクを選択的に作り出す、電気的構成要素と、
を含む、インプラント。
(2) 前記ハウジングが、少なくとも2つの部品から作られており、これらの部品の内の少なくとも1つは、透明な材料から作られている、実施態様1に記載のデータ収集型インプラント。
(3) 前記光通信リンクが、定められた間隔で光を生成することができる発光器、及び前記発光器からの前記光を検出可能であり、それに応答して電気信号を生成した光検出器を含む、実施態様2に記載のデータ収集型インプラント。
(4) 前記発光器が前記ハウジングの外側に位置し、前記光検出器が前記ハウジングの内側に位置し、前記発光器によって生成された前記光が前記ハウジングの前記透明な部分を通過することによって前記光検出器に到達する、実施態様2に記載のデータ収集型インプラント。
(5) インプラントのセンサーを校正する方法であって、前記センサーが制御回路に接続され、前記制御回路が、プロセッサー、高周波通信回路、受光装置を含む光通信回路、電源、及びメモリーを含み、前記制御回路における全てがハウジング内に密封されている、校正する方法において、
前記インプラントを制御された環境内に配置する工程と、
遠隔制御装置と前記制御回路の前記高周波通信回路との間に高周波通信リンクを作り出す工程と、
前記制御された環境の少なくとも1つの観点を第1の既知の値に調節する工程と、
前記センサーが、前記制御された環境の前記少なくとも1つの観点を測定し、第1のセンサーの測定値を生成することを可能とする工程と、
前記高周波通信リンクを使用して、前記インプラントからの前記第1のセンサーの測定値を前記遠隔制御装置に伝送する工程と、
受信された前記第1のセンサーの測定値を前記制御された環境の前記少なくとも1つの観点の前記第1の既知の値と比較して、第1の補正係数を生成する工程と、
前記遠隔制御装置と前記インプラントの前記制御回路との間に光通信リンクを作り出す工程と、
前記光通信リンクを使用して、前記第1の補正係数を前記制御回路の前記メモリーに伝送する工程と、
前記インプラントの前記制御回路が前記第1の補正係数を使用して、将来の測定値のために、前記第1のセンサーの測定値を調節して前記第1の既知の値とそろえることを可能とする工程と、
を含む、校正する方法。
(6) 前記少なくとも1つの観点が、圧力、温度、湿度、酸度、酸素、ブドウ糖、及び流量のリストから選択される、実施態様5に記載の校正する方法。
(7) 前記ハウジングが、透明な領域を含み、前記透明な領域を通って前記光通信が起こり得る、実施態様5に記載の校正する方法。
(8) 前記ハウジングが、ガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、実施態様7に記載の校正する方法。
(9) 前記ハウジングが、陽極接合に好適なガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、実施態様7に記載の校正する方法。
(10) インプラントの圧力センサーを校正する方法であって、前記センサーが制御回路に接続され、前記制御回路が、プロセッサー、高周波通信回路、光検出器を含む光通信回路、電源、及びメモリーを含み、前記制御回路における全てが、透明な窓を有するハウジング内に密封されている、校正する方法において、
前記インプラントを圧力チャンバー内に配置する工程と、
遠隔制御装置と前記制御回路の前記高周波通信回路との間に高周波通信リンクを作り出す工程と、
前記チャンバー内の圧力を既知の第1の圧力値に調節する工程と、
前記センサーが、前記チャンバーの前記既知の第1の圧力を測定し、第1のセンサーの圧力の測定値を生成することを可能とする工程と、
前記高周波通信リンクを使用して、前記インプラントからの前記第1のセンサーの圧力の測定値を前記遠隔制御装置に伝送する工程と、
受信した前記第1のセンサーの圧力の測定値を前記既知の第1の圧力値と比較して、第1の補正係数を生成する工程と、
前記透明な窓を通って、前記遠隔制御装置と前記インプラントの前記制御回路との間に光通信リンクを作り出す工程と、
前記光通信リンクを使用して前記第1の補正係数を前記制御回路の前記メモリーに伝送する工程と、
前記制御回路が、前記第1の補正係数を使用して、将来の測定値のために、前記第1のセンサーの圧力の測定値を調節して前記既知の第1の圧力の測定値とそろえることを可能とする工程と、
を含む、校正する方法。
【0053】
(11) 前記第2の伝送する工程は、変調された光が前記透明な窓を通過でき、前記フォトダイオードによって受信され、前記制御回路によって復調されることができるように、前記ハウジングの外側の発光器の変調を含む、実施態様10に記載の校正する方法。
(12) 前記ハウジングが、ガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、実施態様10に記載の校正する方法。
(13) 前記ハウジングが、陽極接合に好適なガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、実施態様12に記載の校正する方法。
(14) 前記第2の伝送する工程は、変調された光が前記透明な窓を通過でき、前記受光装置によって受信され、前記制御回路によって復調されることができるように、前記ハウジングの外側の発光器の変調を含む、実施態様5に記載の校正する方法。
(15) 前記ハウジングが、ガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、実施態様14に記載の校正する方法。
(16) 前記ガラス部品が、陽極接合に適切なガラスから作られる、実施態様15に記載の校正する方法。
(17) 前記受光装置が、光検出器である、実施態様14に記載の校正する方法。
(18) 前記高周波通信リンク及び前記光通信リンクが、同時に動作する、実施態様1に記載のデータ収集型インプラント。
(19) 前記光検出器が、フォトトランジスター又はフォトダイオードの何れかである、実施態様17に記載の校正する方法。
(20) 前記光検出器が、フォトトランジスター又はフォトダイオードの何れかである、実施態様3に記載のデータ収集型インプラント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ収集型インプラントであって、前記インプラントによる問い合わせ信号の受信に応答して出力データを生成することのできるセンサーを有する、インプラントにおいて、
前記センサーの収容に使用され、透明な窓を含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に位置し、前記インプラントと遠隔制御装置との間に高周波通信リンクを選択的に作り出す電気的構成要素であって、前記インプラントが、前記高周波通信リンクを使用して前記センサーの前記出力データを前記遠隔制御装置に選択的に伝送する、電気的構成要素と、
前記遠隔制御装置から前記ハウジングの前記透明な窓を通って前記センサーに、校正データを光学的に伝送できるように、前記遠隔制御装置と前記センサーとの間に光通信リンクを選択的に作り出す、電気的構成要素と、
を含む、インプラント。
【請求項2】
前記ハウジングが、少なくとも2つの部品から作られており、これらの部品の内の少なくとも1つは、透明な材料から作られている、請求項1に記載のデータ収集型インプラント。
【請求項3】
前記光通信リンクが、定められた間隔で光を生成することができる発光器、及び前記発光器からの前記光を検出可能であり、それに応答して電気信号を生成した光検出器を含む、請求項2に記載のデータ収集型インプラント。
【請求項4】
前記発光器が前記ハウジングの外側に位置し、前記光検出器が前記ハウジングの内側に位置し、前記発光器によって生成された前記光が前記ハウジングの前記透明な部分を通過することによって前記光検出器に到達する、請求項2に記載のデータ収集型インプラント。
【請求項5】
インプラントのセンサーを校正する方法であって、前記センサーが制御回路に接続され、前記制御回路が、プロセッサー、高周波通信回路、受光装置を含む光通信回路、電源、及びメモリーを含み、前記制御回路における全てがハウジング内に密封されている、校正する方法において、
前記インプラントを制御された環境内に配置する工程と、
遠隔制御装置と前記制御回路の前記高周波通信回路との間に高周波通信リンクを作り出す工程と、
前記制御された環境の少なくとも1つの観点を第1の既知の値に調節する工程と、
前記センサーが、前記制御された環境の前記少なくとも1つの観点を測定し、第1のセンサーの測定値を生成することを可能とする工程と、
前記高周波通信リンクを使用して、前記インプラントからの前記第1のセンサーの測定値を前記遠隔制御装置に伝送する工程と、
受信された前記第1のセンサーの測定値を前記制御された環境の前記少なくとも1つの観点の前記第1の既知の値と比較して、第1の補正係数を生成する工程と、
前記遠隔制御装置と前記インプラントの前記制御回路との間に光通信リンクを作り出す工程と、
前記光通信リンクを使用して、前記第1の補正係数を前記制御回路の前記メモリーに伝送する工程と、
前記インプラントの前記制御回路が前記第1の補正係数を使用して、将来の測定値のために、前記第1のセンサーの測定値を調節して前記第1の既知の値とそろえることを可能とする工程と、
を含む、校正する方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの観点が、圧力、温度、湿度、酸度、酸素、ブドウ糖、及び流量のリストから選択される、請求項5に記載の校正する方法。
【請求項7】
前記ハウジングが、透明な領域を含み、前記透明な領域を通って前記光通信が起こり得る、請求項5に記載の校正する方法。
【請求項8】
前記ハウジングが、ガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、請求項7に記載の校正する方法。
【請求項9】
前記ハウジングが、陽極接合に好適なガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、請求項7に記載の校正する方法。
【請求項10】
インプラントの圧力センサーを校正する方法であって、前記センサーが制御回路に接続され、前記制御回路が、プロセッサー、高周波通信回路、光検出器を含む光通信回路、電源、及びメモリーを含み、前記制御回路における全てが、透明な窓を有するハウジング内に密封されている、校正する方法において、
前記インプラントを圧力チャンバー内に配置する工程と、
遠隔制御装置と前記制御回路の前記高周波通信回路との間に高周波通信リンクを作り出す工程と、
前記チャンバー内の圧力を既知の第1の圧力値に調節する工程と、
前記センサーが、前記チャンバーの前記既知の第1の圧力を測定し、第1のセンサーの圧力の測定値を生成することを可能とする工程と、
前記高周波通信リンクを使用して、前記インプラントからの前記第1のセンサーの圧力の測定値を前記遠隔制御装置に伝送する工程と、
受信した前記第1のセンサーの圧力の測定値を前記既知の第1の圧力値と比較して、第1の補正係数を生成する工程と、
前記透明な窓を通って、前記遠隔制御装置と前記インプラントの前記制御回路との間に光通信リンクを作り出す工程と、
前記光通信リンクを使用して前記第1の補正係数を前記制御回路の前記メモリーに伝送する工程と、
前記制御回路が、前記第1の補正係数を使用して、将来の測定値のために、前記第1のセンサーの圧力の測定値を調節して前記既知の第1の圧力の測定値とそろえることを可能とする工程と、
を含む、校正する方法。
【請求項11】
前記第2の伝送する工程は、変調された光が前記透明な窓を通過でき、前記フォトダイオードによって受信され、前記制御回路によって復調されることができるように、前記ハウジングの外側の発光器の変調を含む、請求項10に記載の校正する方法。
【請求項12】
前記ハウジングが、ガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、請求項10に記載の校正する方法。
【請求項13】
前記ハウジングが、陽極接合に好適なガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、請求項12に記載の校正する方法。
【請求項14】
前記第2の伝送する工程は、変調された光が前記透明な窓を通過でき、前記受光装置によって受信され、前記制御回路によって復調されることができるように、前記ハウジングの外側の発光器の変調を含む、請求項5に記載の校正する方法。
【請求項15】
前記ハウジングが、ガラスから作られた少なくとも1つの部品を含む、請求項14に記載の校正する方法。
【請求項16】
前記ガラス部品が、陽極接合に適切なガラスから作られる、請求項15に記載の校正する方法。
【請求項17】
前記受光装置が、光検出器である、請求項14に記載の校正する方法。
【請求項18】
前記高周波通信リンク及び前記光通信リンクが、同時に動作する、請求項1に記載のデータ収集型インプラント。
【請求項19】
前記光検出器が、フォトトランジスター又はフォトダイオードの何れかである、請求項17に記載の校正する方法。
【請求項20】
前記光検出器が、フォトトランジスター又はフォトダイオードの何れかである、請求項3に記載のデータ収集型インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−25041(P2011−25041A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−166846(P2010−166846)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(509041876)コドマン・ニューロサイエンシズ・エスエイアールエル (2)
【氏名又は名称原語表記】Codman Neurosiences Sarl
【住所又は居所原語表記】Rue Girardet 29,Case Postale,2400 Le Locle,Switzerland
【Fターム(参考)】