説明

埋め込み型医療デバイスからの薬剤の制御放出のためのコーティングとしての改変ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)ポリマー

改変ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)を含む埋め込み型医療デバイスのコーティング。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
[0001]本発明は、有機化学、医学、薬理学、ポリマー科学及び医療デバイスの分野に関する。特に、本発明は、埋め込み型医療デバイスからの薬剤の局所制御送達に有用なポリマーコーティング及びこのようなコーティングを含む医療デバイスに関する。
【0002】
[背景技術]
[0002]ステントは、それを配置する管腔の開存性を機械的に保持するために使用される管状骨組みを含む埋め込み型医療デバイスである。ステントは、埋め込み部位で治療剤を提供するために、改変することができる。即ち、ステントは、薬剤を含浸させたポリマーでコーティングすることができ、ステントが配置されると、その薬剤がポリマーから溶出する。ステントをコーティングするために、様々なポリマーを使用することができる。ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)は、この目的に有用であることが見出されている市販のポリマーである。
【0003】
[0003]EVALは、酸素への相対的不透過性、生体適合性、及びそれに制限されるものではないがステンレス鋼などの様々な基板への接着性などの望ましいコーティング特性を有する。しかし、有機溶媒への可溶性に限界があり、かなりの親水性を有するなどの欠点もある。可溶性に限界があることによって、EVALを溶解するために、ジメチルアセトアミド(DMAC)又はジメチルスルホキシド(DMSO)などの強い極性溶媒の使用が必要とされる。これらの溶媒は、高い沸点を有し、コーティングプロセスの乾燥ステップ中に除去することが困難である。EVALの親水性も、効果的な薬剤担体としての使用に関連して問題を生じ得る。例えば、約44モルパーセントのエチレン基を有する一般に使用されるグレードのEVALは、5質量パーセントの水を吸収することができる。このことがポリマーの膨潤をもたらし、それによってポリマーの細孔が増加し、結果としてポリマーからの薬剤の拡散率が変わる。
【0004】
[0004]EVALの好ましい特性を保持しつつも、製造により適するように有機溶媒に溶けやすく、薬剤のin vivo制御放出により有用となるように親水性が低いポリマーが必要とされる。本発明はこのようなポリマーを提供する。
【0005】
[発明の概要]
[0005]したがって一態様では、本発明は、化学式
[−CHCH−/−CHCH(R)−/−CHCH(OH)−](m,n,o)を有する埋め込み型医療デバイスのコーティングに関し、式中、Rは、アルキル−O−、アルキルスルホニル−O−、アルキル−C(O)O−、−NHR、フェニル、アルキルフェニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロアルキル、NHC(O)−、RHNC(O)−、RHNC(O)O−、及び高分子からなる群から選択され、アルキル−O−、アルキルスルホニル−O−、アルキル−C(O)O−、又はアルキルフェニルのアルキル基は、非置換であるか、一部分フッ素化又は完全にフッ素化されており、Rは、モノメチル化ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、リン脂質、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒアルロン酸、及びアルブミンからなる群から選択され、高分子は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、リン脂質、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒアルロン酸、アルブミン、及びポリシロキサンからなる群から選択され、mは、ポリマー内の−CHCH−のモルパーセントであって、約20〜約80であり、nは、ポリマー内の−CHCH(R)−のモルパーセントであって、約1〜約40であり、oは、ポリマー内の−CHCH(OH)−のモルパーセントであって、(100−(m+n))であり、pは、約20,000Da〜約500,000Daである。
【0006】
[0006]本発明の一態様では、Rは、(C〜C12)アルキル−O−、(C〜C12)アルキルスルホニル−O−、及び(C〜C12)アルキル−C(O)O−からなる群から選択され、前記群のアルキル部分は、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されている。
【0007】
[0007]本発明の一態様では、Rは、(C〜C)アルキル−O−、(C〜C)アルキルスルホニル−O−、及び(C〜C)アルキルC(O)O−からなる群から選択され、前記群のアルキル部分は、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されている。
【0008】
[0008]本発明の一態様では、Rは、モノメチル化ポリ(エチレングリコール)類からなる群から選択される。
【0009】
[0009]本発明の一態様では、モノメチル化ポリ(エチレングリコール)は、約300Da〜約20,000Daの分子量を有する。
【0010】
[0010]本発明の一態様では、高分子はポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0011】
[0011]本発明の一態様では、ポリ(ジメチルシロキサン)は、約100Da〜約10,000Daの分子量を有する。
【0012】
[0012]本発明の一態様では、高分子はポリ(エチレングリコール)である。
【0013】
[0013]本発明の一態様では、ポリ(エチレングリコール)高分子は、約300Da〜約20,000Daの分子量を有する。
【0014】
[0014]本発明の一態様では、コーティングは、薬剤をさらに含む。
【0015】
[0015]本発明の一態様では、薬剤は、ダクチノマイシンとしても知られているアクチノマイシンD、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンC;以下に限定されるものではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、及びマイトマイシンなどの抗腫瘍薬及び/又は抗有糸分裂薬;以下に限定されるものではないが、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリンデキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、及びトロンビンなどの抗血小板薬、抗凝血剤、抗フィブリン剤、及び抗トロンビン剤;以下に限定されるものではないがアンジオペプチンなどの細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤;カプトプリル、シラザプリル、又はリシノプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害剤;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト;魚油(ω3−脂肪酸);ヒスタミンアンタゴニスト;ロバスタチン、以下に限定されるものではないが、血小板由来成長因子(PDGF)受容体に特異なものなどのモノクローナル抗体;ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、及び酸化窒素;以下に限定されるものではないが、ペミロラストカリウムなどの抗アレルギー薬;以下に限定されるものではないが、αインターフェロン、遺伝子組換え上皮細胞、タクロリムス、クロベタゾール、デキサメタゾン及びその誘導体、並びにラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(EVEROLIMUS(登録商標))、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシンなどのラパマイシンの誘導体及び類似体などの他の治療剤からなる群から選択される。
【0016】
[0016]本発明の一態様では、埋め込み型医療デバイスは、ステント、ステントグラフト、開存性卵円孔用閉鎖デバイス、心臓弁、脳脊髄液シャント、血管グラフト、動脈穿刺閉鎖デバイス、及びペースメーカーリードからなる群から選択される。
【0017】
[0017]本発明の一態様では、埋め込み型医療デバイスはステントである。
【0018】
[0018]本発明の一態様では、ポリマーは、5質量%以下の水を吸収する。
【0019】
[0019]本発明の一態様は、上記の化学式を有するポリマーを含むコーティングを含む、埋め込み型医療デバイスである。
【0020】
[詳細な説明]
定義
[0020]本明細書では、m及びnが整数である「(C〜C)」は、アルキル、アルケニル、アルキニルの炭素原子、及びシクロアルキル基の環の炭素原子の数を表す。即ち、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はシクロアルキルの環は、m〜n個の、包括的な、炭素原子を含有することができる。本明細書においてm及びnが指定されない場合、これらの定義で記載される最も広い範囲が想定されるべきである。したがって「アルキル」単独では、(C〜C20)アルキルを意味する。一方、(C〜C)アルキルは、1〜4個の炭素を有する全てのアルキル基、即ちCH−、CHCH−、CHCHCH−、CHCH(CH)−、CHCHCHCH−、CHCHCH(CH)−、及び(CHCH−を表し、(C〜C)シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを表す。
【0021】
[0021]本明細書では、「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の、完全に飽和した(二重結合又は三重結合がない)炭化水素(全ての炭素骨格)基を表す。本発明のアルキル基は、1〜20個の炭素原子、即ち、m=1であり、n=20である炭素原子を含むことができる。目下、アルキルは(C〜C12)アルキルであることが好ましく、(C〜C)アルキルであることがより好ましい。
【0022】
[0022]本明細書では、「部分的にフッ素化された」は、基の炭素原子と結合した水素原子の全てではなくその幾つかが、フッ素原子で置換される基を表す。本明細書では、わずか1個の水素原子及び(h−1)個もの水素原子(但し、hは、基の炭素原子と結合した水素原子の総数)を、フッ素で置換することができ、その基は、部分的にフッ素化されたとみなされる。
【0023】
[0023]本明細書では、「完全にフッ素化された」は、基の炭素原子と結合した水素原子の全てが、フッ素原子で置換される基を表す。
【0024】
[0024]本明細書では、「アルケニル」は、直鎖又は分岐の炭化水素鎖中に、1個又は複数の二重結合を含有するアルキル基を表す。
【0025】
[0025]本明細書では、「アルキニル」は、直鎖又は分岐の炭化水素鎖中に、1個又は複数の三重結合を含有するアルキル基を表す。
【0026】
[0026]本明細書では、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合がない)炭化水素環を表す。本発明のシクロアルキル基は、C〜C10、好ましくは現在C〜Cの範囲であり得る。
【0027】
[0027]本明細書では、「アリール」は、(全て炭素の)炭素環、又は完全に非局在化したπ電子系を有する2個以上の縮合環(2個の隣接した炭素原子を共有する環)を表す。アリール基の例には、以下に限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、及びアズレニルが含まれる。
【0028】
[0028]本明細書では、「アルキルスルホニル」は、アルキル−SO−基を表す。
【0029】
[0029]本明細書では、「トリフルオロメチル」は、FC−基を表す。
【0030】
[0030]本明細書では、「ペルフルオロアルキル」は、炭素に結合した水素原子の全てが、フッ素原子で置換されるアルキル基を表す。ペルフルオロアルキルは、「完全にフッ素化された」アルキルと同義である。
【0031】
[0031]本明細書では、「モノメチル化ポリ(エチレングリコール)」は、一般化学構造CHO−(−CHCHO−)CHCHO−を有する分子を表す。
【0032】
[0032]本明細書では、「ポリマーの類似変換」は、反応物質の少なくとも1つがポリマーであるけれども、小分子化学に通常関連する有機反応を使用するポリマーの化学変換を表す。
【0033】
[0033]本明細書では、式[−U−/−V−/−W−/…](m,n,o,…)の化合物は、U、V、W等が、各モノマーから誘導される単位である構成単位を表し、m、n、o等が、化合物中でのそれらの出現順における各構成単位のモル又は単にモルパーセントを表すポリマーである。即ち、mは、Uのモルパーセントであり、nは、Vのモルパーセント等である。記載される式は、明示的に別段に指定されない限り、規則性交互ポリマー、ランダム交互ポリマー、規則性ブロックポリマー、ランダムブロックポリマー、又は純粋ランダムポリマー(purely random polymer)のいずれか1種を表す。規則性交互ポリマーは、一般構造U−V−W−U−V−W−U−V−W−…を有する。ランダム交互ポリマーは、一般構造U−V−W−W−U−V−W−U−W−U−V−…を有し、様々な構成単位の正確な並置は、変わり得ることを理解されたい。規則性ブロックポリマーは、ブロックの並列、各ブロックの構成単位の数、及びブロックの数が変わり得るという条件で、一般構造U−U−U−V−V−V−W−W−W−…を有し、ランダムブロックポリマーは、前述の条件がはやり適用される場合、一般構造U−U−U−W−W−U−U−V−V−V−V−W−W−W−U−U−W−W−W−…を有する。
【0034】
[0034]本明細書では、「低分子量ヘパリン」は、未分画ヘパリンの断片を表す。未分画ヘパリンが、分子量約3,000〜約30,000DAの範囲の高度に硫酸化された多糖類鎖の異種混合物であるのに対して、低分子量ヘパリンは、約4,000及び約6,000DAの間の分子量を有する。用語「低分子量ヘパリン」及びその用語が表す分子量は、医療分野の技術者に周知である。
【0035】
[0035]本明細書では、「ヘパリノイド」は、構造上ヘパリンに類似の、天然に存在する高度硫酸化多糖類及び合成の高度硫酸化多糖類を表す。ヘパリノイドの例は、以下に限定されるものではないが、ダナパロイドナトリウム、フォンダパリヌクス、及びイドラパリナックスである。低分子量ヘパリンと同様に、ヘパリノイドは医療分野の技術者に周知である。
考察
【0036】
[0036]本発明は、ポリマーが埋め込み型医療デバイス上にコーティングされ、そのデバイスが患者に埋め込まれるときにポリマーが埋め込み部位で薬剤(複数可)の制御放出に関与するように、1種又は複数の薬剤と共に使用することができる改変されたEVALポリマーに関する。EVALは、その望ましい特性を保持し、望ましくない特性を低減する又は排除するために改変される。即ち、以下に限定されるものではないが、生体適合性、酸素への不透過性、及び接着性を維持するとともに、有機溶媒への溶解性を高め、吸水性を低減する。EVALの改変は、ポリマーの類似変換によって、或いはエチレン、酢酸ビニル(ポリマーのビニルアルコール部分を提供するために、最終的に加水分解される)、及び得られるポリマー製品に所望の特性を付与するように選択された1種又は複数の追加ビニルモノマーのab initio共重合化によって達成される。
【0037】
[0037]本発明のポリマーの改変ビニルアルコールの量は、約1モルパーセント〜約40モルパーセント、好ましくは1モルパーセント〜約25モルパーセント、目下最も好ましくは約2モルパーセント〜約10モルパーセントであり得る。
【0038】
[0038]ポリマーは、以下に限定されるものではないが、スプレー、エレクトロスプレー、浸漬、成形、ロールコーティング、スピンコーティング、直接分注、及び圧電による液滴分注などの当業者に周知の方法によって埋め込み型医療デバイス上にコーティングすることができる。薬剤は、コーティングの中に組み込み、コーティングの下の別の層として塗布し、又はコーティングの表面上に吸収させることができる。ポリマーは、その上の層の接着の助けとするために、埋め込み型医療デバイス上のプライマー層として使用することができ、及び/又はその下の層を保護するトップコーティング層として使用することもできる。
【0039】
[0039]いかなるタイプの埋め込み型デバイスも、本発明のポリマーでコーティングすることができる。そのようにコーティングされた埋め込み型医療デバイスは、このようなデバイスが通常使用される体内のどこでも使用することができる。特に目下、以下に限定されるものではないが、神経、頸動脈、冠状、腎臓、大動脈、腸骨、又は大腿骨の血管系を含めた中枢又は周辺血管系での使用が指定されているものなどの埋め込み型デバイスを使用することができる。以下に限定されるものではないが、埋め込み型デバイスは、例えば自己拡張性ステント、バルーン拡張性ステント、ステントグラフト、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、冠状動脈シャント、ペースメーカー電極、或いは心内膜用リード(例えば、Guidant Corporation社から入手可能なFINELINE及びENDOTAK)であってもよい。埋め込み型医療デバイスは、実質的にいかなる設計のものでもよく、現在公知の任意の材料、又はこのような使用に将来的に開発することができる任意の材料から製造することができる。例えば、以下に限定されるものではないが、現在利用可能な埋め込み型医療デバイスは、金属製材料、或いは以下に限定されるものではないがコバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレス鋼(316L)、「MP35N」、「MP20N」、ELASTINITE(ニチノール)、タンタル、ニッケル−チタン合金、プラチナ−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はそれらの組合せなどの合金から製造することができる。「MP35N」及び「MP20N」は、standard Press Steel Co.社、Jenkintown,PAから入手可能なコバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金の商品名である。「MP35N」は、コバルト35%、ニッケル35%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。「MP20N」は、コバルト50%、ニッケル20%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。生体適合性、生体吸収性、及び/又は生体安定性ポリマーから製造されたデバイスも、本発明のポリマーでコーティングすることができる。
【0040】
[0040]本発明のコーティングと共に使用することができる薬剤には、限定されるわけではないが、以下のものが含まれる。アクチノマイシンD又はそれらの誘導体若しくは類似体などの抗増殖剤。ダクチノマイシンとしても知られるアクチノマイシンD、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンC;以下に限定されるものではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、及びマイトマイシンなどの抗腫瘍薬及び/又は抗有糸分裂薬;以下に限定されるものではないが、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリンデキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、及びトロンビンなどの抗血小板薬、抗凝固剤、抗フィブリン剤、及び抗トロンビン剤;以下に限定されるものではないがアンジオペプチンなどの細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤;カプトプリル、シラザプリル、又はリシノプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害剤;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト;魚油(ω3−脂肪酸);ヒスタミンアンタゴニスト;ロバスタチン、以下に限定されるものではないが、血小板由来成長因子(PDGF)受容体に特異的なものなどのモノクローナル抗体;ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、及び酸化窒素;以下に限定されるものではないが、ペミロラストカリウムなどの抗アレルギー薬;以下に限定されるものではないが、αインターフェロン、遺伝子組換え上皮細胞、タクロリムス、クロベタゾール、デキサメタゾン及びその誘導体、並びにラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(EVEROLIMUS(登録商標))、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシンなどのラパマイシンの誘導体及び類似体などの他の治療剤。
合成
【0041】
[0041]本発明のポリマーの以下の合成経路を、単に例示的なものとして提供するが、いかなる方法でも本発明の範囲を制限するものとされず、そのように解釈されるものでもない。
ポリマー類似変換(polymer−analogous transformation)によるEVAL改変(アルキル化)
【0042】
[0042]EVALのビニルアルコール構成単位のヒドロキシルのアルキル化は、分子内及び分子間水素結合を減少させ、したがって有機溶媒へのポリマーの溶解性を高め、ポリマーが水を吸収し膨張する傾向を低減する。ポリマー類似アルキル化(polymer−analogous alkylation)は、以下に限定されるものではないが、塩基の存在下でのポリマーとハロゲン化アルキルとの反応など、当業者に知られている任意の手段によって実施することができる。
[−CHCH−/−CHCH(OH)−](m,o)+RX→[−CHCH−/−CHCH(OR)−/−CHCH(OH)−]p’(m,n,o’)
式中、Rは、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されていてもよいアルキル基であり、Xは、塩素、臭素、又はヨウ素である。整数m、n、o、及びo’は、出発EVAL及び改変EVAL生成物の各構成要素のモルパーセントを表す。整数mは、出発EVALの約20〜約80パーセントであり、oは、(100−m)である。整数nは、約1モルパーセント〜約40モルパーセント、現在好ましくは約1モルパーセント〜約25モルパーセント、現在最も好ましくは約2〜約10モルパーセントである。また整数o’は、(100−(m+n))である。整数pは、出発EVALの平均分子量を表し、現在好ましくは約20,000Da及び約500,000Daの間である。整数p’は、改変EVAL生成物の分子量を表し、およそ(p+Rの分子量×改変EVAL分子中のR単位の平均数)となる。
【0043】
[0043]EVALのビニルアルコール部分のヒドロキシル基のアルキル化をもたらす任意のアルキル化法を使用することができ、全てのこのような方法が本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記の反応に加えて、EVALを、以下に限定されるものではないが、塩基の存在下でのアルキル硫酸塩で、以下に限定されるものではないがHBF又はBFなどのルイス酸の存在下のジアゾメタンでメチル誘導体を形成することで、又は強酸の存在下でのオレフィンで、アルキル化することができる。
【0044】
[0044]アルキル化EVALは、親EVALより疎水性が高く、有機溶媒により溶けやすく、それにより薬物放出特性の改善を示す埋め込み型医療デバイスの薬剤含有コーティングが提供されるはずである。
ポリマー類似変換によるEVAL改変(フルオロアルキルスルホニル化)
【0045】
[0045]EVALは、塩基の存在下での適切なハロゲン化フルオロアルキルスルホニルとの反応によって、フルオロアルキルスルホニル化することができる。
[−CHCH−/−CHCH(OH)−](m,o)+RSOX→[−CHCH−/−CHCH(OSOR)−/−CHCH(OH)−]p’(m,n,o’)
式中、Rは、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されていてもよいアルキル基であり、Xは、塩素、臭素、又はヨウ素である。整数m、n、o、o’、p、及びp’は、上記と同じ意味である。
【0046】
[0046]改変EVALのフッ素含有量が増加するにつれて、以下に限定されるものではないがステンレス鋼などの、ある種の材料へのポリマーの接着能が、悪影響を受け得る。したがって、有機溶媒の可溶性の増大及び親水性の低減と、接着性の低減との間の適切なバランスを実現しなければならない。当業者は、必要以上の実験なしにこのようなバランスの特性を決定することができ、改変EVALの全てのこのような組成物が本発明の範囲に含まれる。
ポリマー類似変換によるEVAL改変(シリル化)
【0047】
[0047]EVALは、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)の低分子量オリゴマーを使用して改変することができる。このような機能化は、EVALに改善された疎水性、表面不活性、及び血液相溶性を付与すべきである。ケイ素基を導入するためのEVALの改変は、以下に限定されるものではないが、市販のエポキシ末端化PDMSとの反応によって実施することができる。
【化1】

【0048】
[0048]この反応は一般に、エポキシドをプロトン化する酸の存在下で実施される。シロキサンオリゴマーが約300〜約3,000ダルトンの分子量を有することが、即ちオリゴマーの繰り返し単位の数を表すrが、約4〜約40であることが目下好ましい。整数m、n、o、o’、p、及びp’は、本明細書に先に示したのと同じ意味である。
【0049】
[0049]フルオロアルキル化及びアルキルスルホニル化に関して、機能化の度合いが高すぎると、埋め込み型医療デバイスへのポリマーの接着性が悪影響を受けることがあり、したがって有機溶媒への可溶性、親水性の低減、及び埋め込み型デバイスへの接着性の間の適切なバランスを実現しなければならない。やはり、適切なバランスの決定は、不必要な実験なしに、本明細書の開示に基づいて当業者によって実現することができ、全てのこのような成分バランスの取れたポリマーが本発明の範囲に含まれる。
ポリマー類似変換によるEVAL改変(エステル化)
【0050】
[0050]EVALのビニルアルコール基を、当業者に周知の方法によってエステル化することができる。例えば、以下に限定されるものではないが、EVALを、以下に限定されるものではないがジメチルアセトアミドなどの溶媒中で、ハロゲン化アシル又は無水物を使用して、やはり以下に限定されるものではないがトリエチルアミンなどの塩基の存在下でエステル化することができる。
[−CHCH−/−CHCH(OH)−](m,o)+RC(O)X→[−CHCH−/−CHCH(OC(O)R)−/−CHCH(OH)−]p’(m,n,o’)
【0051】
[0051]上記の反応で、Rは本明細書に定義されるアルキル基である。アルキル基は、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されていてもよい。Xは、以下に限定されるものではないが、塩素又は臭素などの脱離基である。またXは、RC(O)O−であってもよく、RC(O)Xは酸無水物である。エステル化に一般に有用な数々の他の脱離基及び反応物は、本明細書の開示に基づいて当業者に明らかとなろう。全てのこのような脱離基及び反応物は、本発明の範囲に含まれる。整数m、n、o、o’、p、及びp’は、上記と同じ意味である。
ポリマー類似変換によるEVAL改変(PEGとの反応)
【0052】
[0052]EVALは、しばしば「ペグ化」と呼ばれるプロセスで、ポリ(エチレングリコール)(PEG)と反応して、本質的にグラフトコポリマーを提供する。
【化2】

【0053】
[0053](示すように)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)は、一般化学式HO−[CH−CH−O]−Hを有し、通常、他の部分との機能化及び反応の前にモノメチル化される。MPEGとして知られるモノメチル誘導体は、以下に限定されるものではないが、メトキシドアニオン(CH)で開始されるエチレンオキシドのアニオン開環重合によって得ることができる。次いで、残りの末端ヒドロキシル基は、EVALのヒドロキシアニオンと反応する効果的な脱離基に変換することができ、以下に限定されるものではないがt−ブトキシドなどの強塩基との反応によって形成することができる。一方、EVALのヒドロキシル基は、PEG−AとのEVALの反応に関して以下に論ずるように、まず脱離基に変換することができ、次いで機能化EVALは、MPEGの末端ヒドロキシル基のアニオンと反応することができる。上記の反応順序において、整数m、n、o、o’、p、及びp’は、上記の意味を有する。整数qは、MPEG中の−CHCHO−基の反復単位の数を表す。整数qは、約300DA〜約20,000Daであってもよい。
ポリマー類似変換によるEVAL改変(PEG−Aとの反応)
【0054】
[0054]以下に限定されるものではないが、CHO−[−CH−CHO]−CHCHNHなどのポリ(エチレングリコール)−アミン付加物(PEG−A)は、EVALを改変するために使用することができる。PEG−Aでは、整数qは、PEG−A中の−CHCHO−構成単位の数であり、約7〜約227であってもよく、約300Da〜約10,000Daの分子量に相当し得る。
【0055】
[0055]EVAL/PEG付加物を調製するためには、まずEVALのビニルアルコールヒドロキシル基を、当業者に周知の方法で脱離基に変換する。例えば、以下に限定されるものではないが、ヒドロキシル基を、以下に限定されるものではないがトリエチルアミンなどの塩基の存在下で、塩化トシル、CH−C−SOClと反応させて、トシラートエステル、CH−C−SO−O−EVALを形成することができ、トルエンスルホン酸、C−SOOHは、容易に脱離する基である。トシラートとPEG−Aの遊離アミンとの反応によって、所望の付加物が産出される。脱離基の別の例は、EVALのトレシレートエステル、CF−CH−SOO−EVALであり、EVALのビニルアルコール基と、塩化トレシル、CF−CH−SOClとの反応によって得ることができる。上記のように、このような多くの脱離基は、本明細書の開示に基づいて当業者に明らかとなるであろうし、このような全ての脱離基及びそれらの反応が本発明の範囲に含まれる。
【0056】
[0056]本発明の一態様では、EVALのヒドロキシル基は、カルボニルジイミダゾールで活性化することができる。その後のモノメチル化ポリ(エチレングリコール)アミン(mPEGNH)との誘導体化EVALの反応によって、ウレタン部分で共役結合したmPEG−EVALが得られる。
アルキル化モノマーを使用する共重合化によるEVAL改変
【0057】
[0057]ポリマー類似変換によって上のように調製した同じアルキル化EVALは、エチレン、ビニルアセテート、及び適切なビニルエーテルを共重合化し、次いでビニルアセテート部分を加水分解することによって調製することもできる。
【0058】
[0058]共重合化は、当業者に周知の任意の方法によって実施することができる。例えば、以下に限定されるものではないが、触媒としてアゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)を使用するフリーラジカル重合化を用いることができる。
【実施例】
【0059】
実施例1:ポリマーコーティングされた埋め込み可能な医療デバイスのプライマー層の製造
[0059]ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(エチレン44モルパーセント/ビニルアルコール56モルパーセント)を、1:1(重量)のDMSO:DMACに溶かして、2重量%の溶液を得る。EFD,Inc.社、East Providence,Rhode Island製のVALVEMATE7040制御システムを備えるEFG780S噴霧ノズルを使用して、ポリマー溶液をステント上に噴霧する。組成物の塗布のプロセス中、随意に、長手方向軸を中心に50〜約150rpmの速度でステントを回転させることができる。ステントは、塗布中、同じ軸に沿って直線的に移動することもできる。
【0060】
[0060]ポリマーの2%溶液を、1回10秒の一連の通過で13mmTETRAステント(Guidant Corporation社から入手可能)に塗布して、1回の噴霧を通過させるにつき10μgのコーティングを付着させる。噴霧の通過と通過の間に、80℃の空気流を使用して、ステントを10秒間乾燥させる。5回の噴霧通過を施して、50μgのプライマー層を形成し、その後プライマー層を140℃で1時間焼成する。
薬剤含有層
【0061】
[0061]ポリ(エチレン−co−ブチルビニルエーテル−co−ビニルアルコール)(エチレン44モルパーセント/ブチルビニルエーテル10モルパーセント/ビニルアルコール46モルパーセント)2重量%、エベロリムス1.33重量%、ラパマイシンの誘導体、及び1:1(重量)のDMSO:DMAC96.67重量%からなる混合物を調製する。ステント上へのプライマー層の噴霧に使用したのと同じ装置を使用して、薬剤層を塗布する。70回の噴霧通過を実施して、700μgの薬剤ポリマー層を形成し、次いで薬剤ポリマー層を50℃で2時間乾燥させる。
トップコーディング層
【0062】
[0062]次に、プライマー層及び薬剤含有層のコーティングに使用したのと同じ装置を使用して、ポリ(エチレン−co−ブチルビニルエーテル−co−ビニルアルコール)(エチレン44モルパーセント/ブチルビニルエーテル10モルパーセント/ビニルアルコール46モルパーセント)2重量%及び4:1のDMAC:ペンタン98重量%を含むトップコーディング層を、薬剤含有層上に塗布する。15回の噴霧通過を実施して、150μgのトップコーティング層を形成し、次いで50℃で2時間乾燥させる。
仕上げコーティング層
【0063】
[0063]ポリ(エチレン−co−mPEG(560)ウレタン−co−ビニルアルコール)(エチレン44モルパーセント/mPEG(560)ウレタン3モルパーセント/ビニルアルコール53モルパーセント)2重量%及び5:3:2のDMAC:エタノール:DMSO98重量%を含む仕上げコーティング層。前記3つの層の塗布と同じ方法で、35回の噴霧通過を実施して、350μgの仕上げコーティング層を形成し、次いで50℃で2時間乾燥させる。
【0064】
[0064]以上、本発明の特定の実施形態を記載してきたが、本発明の範囲から逸脱せずに、変形形態及び改変形態を実施できることが、当業者には明らかとなろう。このような変形形態及び改変形態は、本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式
[−CHCH−/−CHCH(R)−/−CHCH(OH)−](m,n,o)
を有するポリマーを含む埋め込み型医療デバイスのコーティング。
(式中、Rは、アルキル−O−、アルキルスルホニル−O−、アルキル−C(O)O−、−NHR、フェニル、アルキルフェニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロアルキル、NHC(O)−、RHNC(O)−、RHNC(O)O−及び高分子からなる群から選択され、
アルキル−O−、アルキルスルホニル−O−、又はアルキル−C(O)O−の前記アルキル基は、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されており、
は、モノメチル化ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、リン脂質、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒアルロン酸、及びアルブミンからなる群から選択され、
前記高分子は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、リン脂質、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒアルロン酸、アルブミン、及びポリシロキサンからなる群から選択され、
mは、ポリマー内の−CHCH−のモルパーセントであり、約20〜約80であり、
nは、ポリマー内の−CHCH(R)−のモルパーセントであり、約1〜約40であり、
oは、ポリマー内の−CHCH(OH)−のモルパーセントであり、(100−(m+n))であり、
pは、約20,000Da〜約500,000Daである)。
【請求項2】
Rが、(C〜C12)アルキル−O−、(C〜C12)アルキルスルホニル−O−、及び(C〜C12)アルキル−C(O)O−からなる群から選択され、前記群のアルキル部分は、非置換であるか、部分的にフッ素化又は完全にフッ素化されている、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
Rが、(C〜C)アルキル−O−、(C〜C)アルキルスルホニル−O−、及び(C〜C)アルキルC(O)O−からなる群から選択され、前記群のアルキル部分は、非置換であるか、一部分フッ素化又は完全にフッ素化されている、請求項1に記載のコーティング。
【請求項4】
が、モノメチル化ポリ(エチレングリコール)類からなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
前記モノメチル化ポリ(エチレングリコール)が、約300Da〜約20,000Daの分子量を有する、請求項4に記載のコーティング。
【請求項6】
前記高分子が、ポリ(ジメチルシロキサン)である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
前記ポリ(ジメチルシロキサン)が、約100Da〜約10,000Daの分子量を有する、請求項6に記載のコーティング。
【請求項8】
前記高分子が、モノメチル化ポリ(エチレングリコール)である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項9】
前記モノメチル化ポリ(エチレングリコール)が、約300Da〜約20,000Daの分子量を有する、請求項8に記載のコーティング。
【請求項10】
薬剤をさらに含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項11】
前記薬剤が、アクチノマイシンD;以下に限定されるものではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、及びマイトマイシンなどの抗腫瘍薬及び/又は抗有糸分裂薬;以下に限定されるものではないが、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリンデキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、及びトロンビンなどの抗血小板薬、抗凝血剤、抗フィブリン剤、及び抗トロンビン剤;以下に限定されるものではないがアンジオペプチンなどの細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤;カプトプリル、シラザプリル、又はリシノプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害剤;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト;魚油(ω3−脂肪酸);ヒスタミンアンタゴニスト;ロバスタチン、以下に限定されるものではないが、血小板由来成長因子(PDGF)受容体に特異なものなどのモノクローナル抗体;ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、及び酸化窒素;以下に限定されるものではないが、ペミロラストカリウムなどの抗アレルギー薬;以下に限定されるものではないが、αインターフェロン、遺伝子組換え上皮細胞、タクロリムス、クロベタゾール、デキサメタゾン及びその誘導体、並びにラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(EVEROLIMUS(登録商標))、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシンなどのラパマイシンの誘導体及び類似体などの他の治療剤からなる群から選択される、請求項10に記載のコーティング。
【請求項12】
前記埋め込み型医療デバイスが、ステント、ステントグラフト、開存性卵円孔用閉鎖デバイス、心臓弁、脳脊髄液シャント、血管グラフト、動脈穿刺閉鎖デバイス及びペースメーカーリードからなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項13】
前記埋め込み型医療デバイスがステントである、請求項12に記載のコーティング。
【請求項14】
前記ポリマーが、5重量%以下の水を吸収する、請求項1に記載のコーティング。

【公表番号】特表2008−534056(P2008−534056A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503071(P2008−503071)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/010069
【国際公開番号】WO2006/102247
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】