説明

基体の製造方法、TFT基板の製造方法、多層構造基板の製造方法、表示装置の製造方法

【課題】基体をハンドリングする時の基体の耐衝撃性を向上させ、基体コーナ部分のチッピングの発生を抑制することによって、歩留まりを向上させることが可能な基体の製造方法を提供する。
【解決手段】基体としての基板Pの製造方法は、レーザ光45を基体としての基板Pに照射させて分割片Q1を形成する基板Pの製造方法であって、基板Pの表面Puに対してレーザ光45を斜めに照射させて、材料変質部47を形成する工程と、基板Pに応力Fを加えて、分割片Q1を形成する工程と、を備え、基板Pに傾斜した面Mを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光による基体の製造方法、TFT基板の製造方法、および多層構造基板の製造方法、並びに表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体材料基板、圧電材料基板、ガラス基板などの基板を切断する場合、基板にレーザ光を照射させて、切断・分割する方法があった。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、半導体材料基板、圧電材料基板、ガラス基板などの基板を切断・分割する方法では、その切断予定ラインに沿って基板が吸収するレーザ光を照射し、多光子吸収による改質領域部を基板の表面から裏面に向けて形成し、この改質領域部に沿って切断・分割することで分割片を形成する方法が提案されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−192371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の方法では、基板をハンドリングするときの取り扱い時の衝撃力が基板に加わることによって、基板のコーナ部分にチッピング(欠け)が生じてしまうことがあった。特に、半導体材料基板や、ガラス基板などでは、基板の剛性や、厚さなどによっても異なるが、取り扱い時のチッピングが発生しやすく、基板の厚さがより薄くなればなるほどチッピングが多くなる傾向にあった。これら半導体材料基板や、ガラス基板にチッピングが生じてしまうと、チッピングの大きさにもよるが、その基板は、不良になってしまうことがあり、歩留まり低下の要因となってしまうので、基板を切断・分割する上では好ましいとはいえない。
【0006】
本発明の目的は、基体をハンドリングする時の基体の耐衝撃性を向上させ、基体コーナ部分のチッピングの発生を抑制することによって、歩留まりを向上させることが可能な基体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基体の製造方法は、レーザ光を基体に照射させて分割片を形成する基体の製造方法であって、前記基体の表面に対して前記レーザ光を斜めに照射させて、材料変質部を形成する材料変質部形成工程と、前記基体に応力を加えて、分割片を形成する工程と、を備え、前記基体に傾斜した面を形成することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、基体の表面に対してレーザ光を斜めに照射するから、基体の表面に対して斜めに傾斜した材料変質部を形成することができるので、形成されたこの材料変質部に沿って基体を切断・分割すれば、基体の表面と側面とを結ぶように傾斜した面を形成することができる。基体に傾斜した面を形成することができれば、取り扱い時の衝撃によって発生しやすいチッピングを抑制することができる。
【0009】
本発明の基体の製造方法は、前記材料変質部形成工程では、前記基体の表面と、前記基体の側面とを通過するように前記レーザ光を照射させて、前記材料変質部を形成することが望ましい。
【0010】
この発明によれば、基体の表面と、基体の側面とを通過するようにレーザ光を照射することで材料変質部を斜めに形成することができるから、基体が薄くなったとしても基体に傾斜した面を形成することができる。
【0011】
本発明の基体の製造方法は、前記材料変質部形成工程では、前記レーザ光の照射角度を変えて前記レーザ光を複数回照射させて、複数の前記材料変質部を形成することが望ましい。
【0012】
この発明によれば、レーザ光の照射角度を変えて基体にレーザ光を複数回照射することで、基体の表面と、側面とを通過するように複数の材料変質部を形成することができる。形成された複数の材料変質部に沿って基体を切断・分割すれば、基体に多角形状の面を形成することができる。基体に多角形状の面を形成することができれば、取り扱い時の衝撃によって発生しやすいチッピングをより抑制することができる。
【0013】
本発明の基体の製造方法は、前記基体が、前記レーザ光に対して透過性を有する材料で構成されており、前記材料変質部形成工程では、前記基体に前記レーザ光を集光素子で集光して照射させて、前記材料変質部を形成することが望ましい。
【0014】
この発明によれば、レーザ光を集光素子で集光して基体に照射させるから、基体の所定の位置に材料変質部を形成することができる。
【0015】
本発明の基体の製造方法は、前記材料変質部形成工程では、前記レーザ光が、チタンサファイヤレーザ、またはYAGレーザのうちのいずれかであり、前記チタンサファイヤレーザ、または前記YAGレーザの基本波を照射させて、前記材料変質部を形成すること望ましい。
【0016】
この発明によれば、チタンサファイヤレーザ、またはYAGレーザの基本波を基体に照射させると、チタンサファイヤレーザ、またはYAGレーザの基本波が、基体に対して透過性を有している波長であるので、基体の所定の位置に材料変質部を形成することができる。
【0017】
本発明の基体の製造方法は、レーザ光を基体に照射させて分割片を形成する基体の製造方法であって、前記基体の表面から裏面に向けて略垂直に前記レーザ光を照射させて、第1の材料変質部を形成する工程と、前記第1の材料変質部に接続するように前記基体の表面に対して斜めに前記レーザ光を照射させて、第2の材料変質部を形成する工程と、前記基体に応力を加えて、分割片を形成する工程と、を備え、前記分割片に傾斜した面を形成することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、基体の表面に対して略直角に形成された第1の材料変質部に接続するように第2の材料変質部を斜めに形成することができるから、第1の材料変質部および第2の材料変質部に沿って基体を分割すれば、傾斜した面を備えた分割片を形成することができる。
【0019】
本発明の基体の製造方法は、前記分割片を形成する工程では、前記基体に曲げ応力または引っ張り応力のうち、いずれか一方の応力を加えて、前記分割片を形成することが望ましい。
【0020】
この発明によれば、基体に応力を加えるだけで基体を切断・分割することができるので、分割片を簡単に形成することができる。
【0021】
本発明のTFT基板の製造方法は、前述に記載の基体の製造方法で形成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、TFT基板が、前述に記載の基体の製造方法で形成されているから、チッピングの少ないTFT基板を製造できる。
【0023】
本発明の多層構造基板の製造方法は、前述に記載の基体の製造方法で形成されていることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、多層構造基板が、前述に記載の基体の製造方法で形成されているから、チッピングの少ない多層構造基板を製造できる。
【0025】
本発明の表示装置の製造方法は、前述に記載の基体の製造方法で形成されていることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、表示装置が、前述に記載の基体の製造方法で形成されているから、チッピングの少ない表示装置を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の基体の製造方法について実施形態を挙げ、添付図面に沿って詳細に説明する。なお、本発明の特徴的な製造方法について説明する前に、本実施形態で使用する基板、および基板内部に材料変質部を形成する形成方法について説明する。
<基体>
【0028】
本実施形態で用いうる基板は、その材料にガラス、石英、水晶、シリコン、などの材料(主に、セラミックス材料)を用いることができる。なお、ここでは、基板材料として石英を用いた。
<材料変質部の形成方法>
【0029】
基板にレーザ光を照射して基板内部に材料変質部を形成する形成方法について説明する。
【0030】
図1は、レーザ光による改質層としての材料変質部の形成方法を説明するための説明図である。
【0031】
図1において、基板Pの内部にレーザ光45を集光して照射させて、スキャン方向X(分割方向)に、レーザ光45をスキャンする。レーザ光45は集光素子としてのレンズ46で集光されるから、基板Pの内部に焦点を合わせることができる。スキャン方向X(分割方向)に、レーザ光45をスキャンさせると、基板Pの内部に改質層としての材料変質部47を形成できる。なお、レーザ光45のスキャン方向Xにおける移動速度は、100mm/secである。基板Pの厚さは約200μmである。
【0032】
また、レーザ光45を1回スキャンさせるだけでは、改質層としての材料変質部47のできる量が数十μmであるので、基板Pの深さ方向全域に材料変質部47を形成するためには、レーザ光45を何回かスキャン方向X(分割方向)にスキャンさせる必要がある。そして、レーザ光45をスキャンさせるごとに、集光素子としてのレンズ46の焦点位置を基板Pの下面から上面に向かって上昇させる。ここで、基板Pの下面から上面に向けてレーザ光45の焦点位置を上昇させるのは、先に形成された材料変質部47によってレーザ光45が散乱してしまい、基板Pの深さ方向全域にわたって材料変質部47を形成することができなくなることを避けるためである。
【0033】
(第1実施形態)
本実施形態では、基体の表面から側面に向けてレーザ光を斜めに照射して、基体内部に材料変質部を形成し、基体の外部から応力を加えて基体を切断・分割して分割片を製造する基体の製造方法について説明する。
【0034】
図2は、本実施形態におけるレーザ加工装置の概略図であり、図3は、レーザ加工装置の制御系のブロック図である。
【0035】
図2および図3を参照して、レーザ加工装置について説明する。
【0036】
図2に示すように、レーザ加工装置100は、レーザ光45を射出するレーザ光源101と、レーザ光源101から射出されたレーザ光45を反射する反射板としてのダイクロイックミラー102とを、備えている。また、ダイクロイックミラー102は、入射したレーザ光45の光量を反射させる機能を有している。そして、ダイクロイックミラー102は、同図に示すように、レーザ光45が基板Pの表面に対して照射できるように配置されている。
【0037】
レーザ加工装置100は、ダイクロイックミラー102で反射したレーザ光45を集光する集光素子としてのレンズ46を備えている。そして、レンズ46は、同図に示すように、レーザ光45が基板Pの表面に対して照射できるように配置されている。
【0038】
また、加工対象物である基板Pを載置するステージ107と、ステージ107を集光素子としてのレンズ46に対して、X軸方向、Y軸方向へ移動させるX軸スライド部110およびY軸スライド部108を、備えている。
【0039】
なお、レーザ加工装置100は、ステージ107を任意の角度に傾斜させて基板Pを傾斜させる機能を有している(図示省略)。
【0040】
また、ステージ107に載置された基板Pに対して集光素子としてのレンズ46のZ軸方向の位置を変えてレーザ光45の集光点の位置を調整するZ軸スライド機構104を備えている。集光素子としてのレンズ46は、Z軸スライド機構104から延びたスライドアーム104aによって支持されている。集光素子としてのレンズ46は、倍率が50倍、開口数が0.8、WD(Working Distance)が3mmの対物レンズである。
【0041】
さらに、レーザ加工装置100は、ダイクロイックミラー102を挟んで集光素子としてのレンズ46の反対側に位置する撮像装置112を備えている。撮像装置112は、同軸落射型光源(図示省略)と、CCD(Charge Coupled Device)(図示省略)とが、組み込まれたものである。撮像装置112は、画像を撮像することができ、撮像した画像データは、画像処理部124に取り込まれるように構成されている。そして、同軸落射型光源(図示省略)から射出した可視光は、集光素子としてのレンズ46を透過して焦点を結ぶ。
【0042】
ここで、レーザ光45は、基板Pに対して透過性を有するものが採用される。本実施形態では、レーザ光源101から射出されるレーザ光には、半導体レーザを励起するYAGレーザを採用した。YAGレーザは、ナノ秒のパルス幅で射出するいわゆるナノ秒レーザである。レーザ光45の詳細な条件は以下のとおりである。レーザ光源101は、半導体レーザを励起するものである。レーザ媒質:Nd:YAG。レーザ波長:1064nm。レーザ光スポット断面積:3.14×10-8cm2。発振形態:Qスイッチパルス。繰り返し周波数:100KHz。パルス幅:30ns。出力:20μJ/パルス。レーザ光品質:TEM00。偏光特性:直線偏光(C)。集光用レンズ倍率:50倍。NA:0.55。レーザ光波長に対する透過率:60%(D)。移動速度:100mm/secである。
【0043】
YAGレーザのレーザ波長は、1064nmにこだわることはなく、例えばYAGレーザの第2高調波を用いてもよい。第2高調波のレーザ波長は、532nmである。また、レーザ光45は、YAGレーザでなくてもよく、例えばチタンサファイヤレーザに代表される超短パルスレーザを採用してもよい。超短パルスレーザであるチタンサファイヤレーザを使用すれば、収差の影響でビーム径が多少大きくなったとしても、問題なく内部加工ができ、材料変質部47(図1参照)を形成することができる。この場合のレーザ光45の詳細な条件は以下のとおりである。レーザ波長:約800nm。パルス幅:約300fs(フェムト秒)。パルス周期:1kHzである。出力:約700mWである。
【0044】
レーザ光45を射出するレーザ光源101は、レーザ制御部121によって所定の条件で制御されている。
【0045】
図3に示すように、レーザ加工装置100(図2参照)は、上記各構成を制御することができるメインコンピュータ120を備えている。メインコンピュータ120には、CPU127(Central Processing Unit)と、RAM128(Random Access Memory)と、画像処理部124とを、備えている。CPU127は、加工異常が発生したら、その判定をすることができる機能を有している。RAM128は、切断予定ラインの座標位置を記憶しておくことができる機能を有している。
【0046】
メインコンピュータ120は、入力部125と、表示部126と、接続されている。入力部125は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力することができる。表示部126は、レーザ加工時の各種情報を表示することができる。
【0047】
レーザ制御部121は、I/F131を介して、バッファ129によってメインコンピュータ120と接続されており、レーザ光源101の出力や、パルス幅、パルス周期などを制御することができる。
【0048】
レンズ制御部122は、I/F131を介して、バッファ129によってメインコンピュータ120と接続されている。レンズ制御部122には、移動距離を検出することが可能な位置センサ(図示省略)が内蔵されている。そして、この位置センサの出力を検出することにより、図2に示すZ軸スライド機構104を駆動して集光素子としてのレンズ46のZ軸方向の位置を制御することができる。
【0049】
ステージ制御部123は、I/F131を介して、バッファ129によってメインコンピュータ120と接続されている。ステージ制御部123は、図2に示すX軸スライド部110と、Y軸スライド部108とを、それぞれレール111、109(図2参照)に沿って移動させるサーボモータ(図示省略)を駆動することができる。
【0050】
画像処理部124は、撮像装置112(図2参照)と接続されている。画像処理部124は、撮像装置112で取得された画像情報の撮像データに基づいて、集光素子としてのレンズ46のZ軸方向の位置を確認することや、集光素子としてのレンズ46の焦点位置を調整する処理を行うことができる。さらに、画像処理部124は、基板Pにおける切断予定ラインの位置を確認することや、その位置を調整する処理を行うこともできる。
【0051】
レーザ加工装置100は、これら、レーザ制御部121と、レンズ制御部122と、ステージ制御部123と、画像処理部124とを、制御することができる制御部としてのメインコンピュータ120を備えている。
【0052】
図4は、本実施形態における基板の図であり、図(a)は、レーザ光を照射して材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(b)は、分割片を示す図であり、図(c)は、レーザ光を照射して材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(d)は、分割状態を示す概略斜視図である。図5は、本実施形態における基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャートである。
【0053】
図4および図5を参照して、基体の製造方法について説明する。より、具体的には、基板の表面に対して材料変質部を基板内部に斜めに形成して、分割片を除去する基板の製造方法について説明する。
【0054】
図5のステップS1では、図4(a)に示すように、内部加工を行う(内部加工1)。この内部加工では、レーザ光45を集光素子としてのレンズ46で集光して基板Pに対して照射して、基板Pの内部に材料変質部47を形成する。照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して傾斜させて照射され、その照射角度θは、約45度である。基板Pの表面Puに照射されたレーザ光45は、基板Pの側面Psへ射出される。そして、約45度傾いた材料変質部47を形成することができる。なお、ここで射出されるレーザ光45は、YAGレーザを採用したナノ秒レーザである。
【0055】
図5のステップS2では、図4(b)に示すように、分割を行う(加圧・分割1)。ここでの分割方法は、基板Pの上面側から基板Pに対して応力Fを加える。基板Pの外部から応力Fを加える方法としては、例えば材料変質部47が形成された切断予定ラインに沿って基板Pに曲げや、せん断応力を加えることである。また、基板Pに温度差を与えることによって熱応力を発生させることでもできる。材料変質部47を有する基板Pに対して外部から応力Fを加えると、材料変質部47に沿って基板Pが割れ、分割片Q1を形成することができる。
【0056】
図5のステップS3では、図4(c)に示すように、内部加工を行う(内部加工2)。この内部加工では、基板Pを裏返しにして、基板Pの裏面Pdに対してレーザ光45を傾斜させて照射する。基板Pの裏面Pdに照射されたレーザ光45は、基板Pの側面Psへ射出される。このときの内部加工方法は、図5のステップS1と同様であるので説明を省略する。
【0057】
図5のステップS4では、図4(d)に示すように、分割を行う(加圧・分割2)。そして、材料変質部47に沿って基板Pが割れ、分割片Q1を形成することができる。同時に、基板Pに面Mを形成することができ、この面Mは約45度傾いている。ここでの分割方法は、図5のステップS2と同様であるので説明を省略する。
【0058】
以上のような第1実施形態の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)基体としての基板Pの表面Puに対してレーザ光45を斜めに照射するから、基板Pの表面Puに対して斜めに傾斜した材料変質部47を形成することができるので、形成されたこの材料変質部47に沿って基板Pを切断・分割すれば、基板Pの表面Puと側面Psとを結ぶように傾斜した面Mを形成することができる。基板Pに傾斜した面Mを形成することができれば、取り扱い時の衝撃によって発生しやすいチッピングを抑制することができる。
(2)基板Pの表面Puと側面Psとを通過するようにレーザ光45を照射することで材料変質部47を斜めに形成することができるから、基板Pが薄くなったとしても基板Pに傾斜した面Mを形成することができる。
(3)レーザ光45を集光素子としてのレンズ46で集光して基板Pに照射させるから、基板Pの所定の位置に材料変質部47を簡単に形成することができる。
(4)チタンサファイヤレーザ、またはYAGレーザの基本波を基板Pに照射させると、チタンサファイヤレーザ、またはYAGレーザの基本波が、基板Pに対して透過性を有している波長であるので、基板Pの所定の位置に材料変質部47を簡単に形成することができる。
(5)基板Pに応力Fを加えるだけで基板Pを切断・分割することができるので、分割片Q1を簡単に形成することができ、基板Pに新たな面Mを斜めに形成することができる。
【0059】
(第2実施形態)
本実施形態では、基体の表面から基体の側面に向けてレーザ光を斜めに複数回照射して、基体内部に材料変質部を複数形成し、基体の外部から応力を加えて基体を切断・分割して、分割片を製造する基体の製造方法について説明する。前述の第1実施形態と異なる点は、レーザ光の照射角度を複数回変えて材料変質部を複数形成したことである。ここで用いるレーザ加工装置は、第1実施形態で採用したものと同じである。なお、前述の第1実施形態と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一記号を付し、説明を省略する。
【0060】
図6は、本実施形態における基板の図であり、図(a)〜図(c)は、レーザ光を照射して複数の材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(d)は、分割状態を示す概略斜視図である。図7は、本実施形態における基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図7のステップS11では、図6(a)に示すように、内部加工を行う(内部加工1)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して傾斜させて照射され、その照射角度θ1は、約60度である。表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの側面Psへ射出される。そして、表面Puに対して約60度傾いた材料変質部47aを形成する。
【0062】
図7のステップS12では、図6(b)に示すように、内部加工を行う(内部加工2)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して傾斜させて照射され、その照射角度θ2は、約45度である。表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの側面Psへ射出される。そして、表面Puに対して約45度傾いた材料変質部47bを形成する。なお、このときの内部加工方法は、図7のステップS11と同様であるので説明を省略する。
【0063】
図7のステップS13では、図6(c)に示すように、内部加工を行う(内部加工3)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して傾斜させて照射され、その照射角度θ3は、約30度である。表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの側面Psへ射出される。そして、表面Puに対して約30度傾いた材料変質部47cを形成する。なお、このときの内部加工方法は、図7のステップS11と同様であるので説明を省略する。以上により、傾きを有する複数の材料変質部47a、47b、47cを形成することができる。
【0064】
図7のステップS14では、図6(d)に示すように、分割を行う。ここでの分割方法は、材料変質部47a、47b、47cが形成された切断予定ラインに沿って外部から応力Fを加えると、材料変質部47a、47b、47cに沿って基板Pが割れ、分割片Q1を形成することができる。そして、基板Pに多角形状の面M(M1、M2、M3)を形成することができる。ここで、本実施形態では、材料変質部47a、47b、47cを3箇所形成したが、これにこだわることはなく、レーザ光45の照射角度を色々な角度に設定して基板Pに照射させて、より多く形成してもよい。このようにすれば、より多くの面M(M1、M2、M3、・・・Mn)を有する基板Pを形成することができ、面M(M1、M2、M3、・・・Mn)を多く形成できれば、チッピングの発生をより低減させることができる。また、レーザ加工装置100(図2参照)がレーザ光45の照射角度θを制御できる機能を有しているので、より多くの数量の材料変質部47(47a、47b、47c、・・・47n)を形成できることもできるから、例えば材料変質部47(47a、47b、47c、・・・47n)を半円状(R状)に分布させて形成することもできる。材料変質部47(47a、47b、47c、・・・47n)を半円状(R状)に分布させることができれば、半円状(R状)の面M(M1、M2、M3、・・・Mn)を有する基板Pを形成することもできる。
【0065】
以上のような第2実施形態の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(6)レーザ光45の照射角度を変えて基体としての基板Pにレーザ光45を複数回照射することで、基板Pの表面Puと側面Psとを通過するように複数の材料変質部47(47a、47b、47c)を形成することができる。形成された複数の材料変質部47(47a、47b、47c)に沿って基板Pを切断・分割すれば、基板Pに多角形状の面M(M1、M2、M3)を形成することができる。基板Pに多角形状の面M(M1、M2、M3)を形成することができれば、取り扱い時の衝撃によって発生しやすいチッピングをより抑制することができる。
【0066】
(第3実施形態)
本実施形態では、基体の表面に対して略直角な方向と、斜め方向との両方向からレーザ光を照射して、基体内部に材料変質部を形成し、基体の外部から応力を加えて基体を切断・分割する基体の製造方法について説明する。前述の第1実施形態および第2実施形態と異なる点は、基体の厚さの全域までレーザ光を照射して第1の材料変質部を形成し、さらに基体の斜め方向からレーザ光を複数回照射して第2の材料変質部を形成したことである。ここで用いるレーザ加工装置は、第1実施形態で採用したものと同じである。なお、前述の第1実施形態および第2実施形態と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一記号を付し、説明を省略する。
【0067】
図8は、本実施形態における基板の図であり、図(a)〜図(c)は、レーザ光を複数回照射して複数の材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(d)は、分割状態を示す概略斜視図である。図9は、本実施形態における基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャートである。
【0068】
図9のステップS21では、図8(a)に示すように、内部加工を行う(内部加工1)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して略直角に照射され、表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの裏面Pdへ射出される。そして、基板Pの表面Puに対して略直角な方向に第1の材料変質部47aを形成する。
【0069】
図9のステップS22では、図8(b)に示すように、内部加工を行う(内部加工2)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して傾斜させて照射され、その照射角度θは、約45度である。表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの裏面Pdへ射出される。そして、約45度傾いた第2の材料変質部47bを形成する。同図に示すように、第2の材料変質部47bは2箇所形成される。なお、このときの内部加工方法は、図9のステップS21と同様であるので説明を省略する。
【0070】
図9のステップS23では、図8(c)に示すように、内部加工を行う(内部加工3)。基板Pを裏返しにして、基板Pの裏面Pdに対してレーザ光45を傾斜させて照射する。基板Pの裏面Pdに照射されたレーザ光45は、基板Pの表面Puへ射出される。そして、約45度傾いた第2の材料変質部47bを形成する。このときの内部加工方法は、図9のステップS22と同様であるので説明を省略する。
【0071】
図9のステップS24では、図8(d)に示すように、分割を行う。ここでの分割方法は、基板P(図8(c)参照)の上面側から基板Pに対して応力Fを加える。基板Pの外部から応力Fを加える方法としては、例えば第1の材料変質部47a、第2の材料変質部47bが形成された切断予定ラインに沿って基板Pに曲げや、せん断応力を加えることである。また、基板Pに温度差を与えることによって熱応力を発生させることでもできる。第1の材料変質部47a、第2の材料変質部47bを有する基板Pに対して外部から応力Fを加えると、第1の材料変質部47a、第2の材料変質部47bに沿って基板Pが割れ、分割片Q(この場合、2個)と、分割片Q1(この場合、2個)とを、形成することができる。同時に分割片Qに面Mを形成することができる。
【0072】
以上のような第3実施形態の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(7)基板Pの表面Puに対して略直角に形成された第1の材料変質部47aに接続するように第2の材料変質部47bを斜めに形成することができるから、第1の材料変質部47aおよび第2の材料変質部47bに沿って基板Pを分割すれば、傾斜した面Mを備えた分割片Qを形成することができる。分割片Qが面Mを備えているので、取り扱い時に加わる衝撃力などによって発生しやすいチッピングを抑制することができる。
【0073】
(第4実施形態)
本実施形態では、基体の表面に対して略直角な方向と、斜め方向との両方向からレーザ光を照射して、基体内部に材料変質部を形成し、基体の外部から応力を加えて基体を切断・分割する基体の製造方法について説明する。前述の第1実施形態や、第2実施形態、第3実施形態と異なる点は、基体の厚さの途中までレーザ光を照射して第1の材料変質部を形成し、さらに基体の斜め方向からレーザ光を複数回照射して第2の材料変質部を形成したことである。ここで用いるレーザ加工装置は、第1実施形態で採用したものと同じである。なお、前述の第1実施形態〜第3実施形態と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一記号を付し、説明を省略する。
【0074】
図10は、本実施形態における基板の図であり、図(a)、図(b)は、レーザ光を照射して材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(c)は、分割状態を示す概略斜視図である。図11は、本実施形態における基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャートである。
【0075】
図11のステップS31では、図10(a)に示すように、内部加工を行う(内部加工1)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して略直角に照射され、表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの裏面Pdへ射出される。そして、略直角な方向に第1の材料変質部47aを形成する。そして、同図に示すように、形成された第1の材料変質部47aは、高さH2までであり、その高さH2は、基板Pの厚さH1より低くなっている。つまり、第1の材料変質部47aは、基板Pの厚さの途中まで形成されている。
【0076】
図11のステップS32では、図10(b)に示すように、内部加工を行う(内部加工2)。この内部加工で照射するレーザ光45は、基板Pの表面Puに対して傾斜させて照射され、その照射角度θは、約45度である。表面Puに対して照射されたレーザ光45は、基板Pの裏面Pdへ射出される。そして、表面Puに対して約45度傾いた第2の材料変質部47bを形成する。同図に示すように、第2の材料変質部47bは2箇所形成されており、第1の材料変質部47aに接続するように形成される。なお、このときの内部加工方法は、図11のステップS31と同様であるので説明を省略する。
【0077】
図11のステップS33では、図10(c)に示すように、分割を行う。ここでの分割方法は、基板P(図10(b)参照)の上面側から基板Pに対して応力Fを加える。基板Pの外部から応力Fを加える方法としては、例えば第1の材料変質部47a、第2の材料変質部47bが形成された切断予定ラインに沿って基板Pに曲げや、せん断応力を加えることである。また、基板Pに温度差を与えることによって熱応力を発生させることでもできる。第1の材料変質部47a、第2の材料変質部47bを有する基板Pに対して外部から応力Fを加えると、第1の材料変質部47a、第2の材料変質部47bに沿って基板Pが割れ、分割片Q(この場合、2個)と、分割片Q1(この場合、1個)とを、形成することができる。同時に分割片Qにあらたな面Mを形成することができる。
【0078】
以上のような第4実施形態の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(8)基板Pの厚さ方向において、第1の材料変質部47aを必要最小限の高さH2に抑えることができるから、第1の材料変質部47aを形成するときの時間短縮を実現することができるので、効率的である。
【0079】
次に、本発明に係る表示装置としての液晶パネルについて説明する。
【0080】
図12は、本実施形態における液晶パネルの構造を示す概略図であり、図(a)は、概略平面図であり、図(b)は、図(a)のA−A線に沿って切断した概略断面図である。
【0081】
図12(a)および(b)に示すように、液晶パネル10は、TFT3を有するTFT基板1と、対向電極6を有する対向基板2と、シール材4によって接着されたTFT基板1と、対向基板2との隙間に充填された液晶5とを備えている。
【0082】
TFT基板1には、厚さ約1.2mmの石英基板が用いられており、その表面には画素
を構成する画素電極(図示省略)と、複数のトランジスタ素子(図示省略)で構成されて
いるTFT3とが形成されている。TFT3を構成する個々のトランジスタ素子の3端子
のうちの一つは画素電極に接続されており、残りの二つは、画素電極を囲んで互いに絶縁
状態で格子状に配置されたデータ線(図示省略)と走査線(図示省略)とに接続されてい
る。データ線および走査線は、配線パターン11を介して端子部1aにおいて駆動回路部9に接続されている。駆動回路部9の入力側配線パターン12は、端子部1aに配列形成された実装端子13に接続されている。なお、TFT基板1には本実施形態により形成された面M(材料変質部47)を有している。
【0083】
対向基板2は、対向基板本体2a、マイクロレンズ15およびカバーガラス16により構成されている。対向基板本体2aには、厚さ約1.1mmの石英基板が用いられており、TFT基板1の画素電極に対向する部分にはマイクロレンズ面2bが形成されている。マイクロレンズ15は、対向基板本体2aのマイクロレンズ面2bに合性樹脂を充填することにより形成したものである。カバーガラス16には、厚さ約50μmの石英基板が用いられており、マイクロレンズ15を形成している合性樹脂により、対向基板本体2aに接着されている。なお、対向基板2には本実施形態により形成された面M(材料変質部47)を有している。
【0084】
マイクロレンズ15は、液晶パネル10の開口率を向上させる働きをしており、画素電
極とは一対一で対応している。カバーガラス16は、対向基板本体2aの全域を覆うこと
により、マイクロレンズ15を保護している。
【0085】
対向基板2には、共通電極としての対向電極6が設けられている。対向電極6は、対向
基板2の四隅に設けられた上下導通部14を介してTFT基板1側に設けられた配線パタ
ーン(図示省略)と導通しており、当該配線パターンも端子部1aに設けられた実装端子
13に接続されている。液晶5に面するTFT基板1の表面および対向基板2の表面には、それぞれ配向膜7、8が形成されている。
【0086】
液晶パネル10は、外部駆動回路(図示省略)と電気的に繋がる中継基板(図示省略)
が実装端子13に接続される。そして、外部駆動回路からの入力信号が駆動回路部9に入
力されることにより、TFT3が画素電極ごとにスイッチングされ、画素電極と対向電極
6との間に駆動電圧が印加されて表示が行われる。
【0087】
TFT基板1が、本発明の切断・分割方法で製造されており、あらたな面Mを有しているので、チッピングを抑制することが可能なTFT基板1を製造できる。また、TFT基板1と、対向基板2とで構成される多層構造基板17が、本発明の切断・分割方法で製造されており、あらたな面Mを有しているので、チッピングを抑制することが可能な多層構造基板17を製造できる。そして、表示装置としての液晶パネル10が、前述の多層構造基板17を備えているので、チッピングを抑制することが可能な表示装置としての液晶パネル10を提供できる。
【0088】
次に、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。
【0089】
図13は、電気光学装置としての液晶表示装置の分解斜視図である。
【0090】
図13に示すように、液晶表示装置500は、多層回路基板30を備えている。そして、液晶表示装置500は、カラー表示用の液晶パネル10と、液晶パネル10に接続される多層回路基板30と、多層回路基板30に実装される液晶駆動用IC300などで構成されている。なお必要に応じて、バックライト等の照明装置や、その他の付帯機器が、液晶パネル10に付設される。なお、液晶表示装置500は、COF(Chip・On・Film)構造である。
【0091】
液晶パネル10は、シール材4によって接着された一対のTFT基板1および対向基板2を有し、これらのTFT基板1と、対向基板2との、間に形成される間隙(セルギャップ)に液晶5(図12(b)参照)が封入され、封入された液晶5(図12(b)参照)は、TFT基板1と、対向基板2とに、よって挟持される。これらのTFT基板1と、対向基板2とは、一般には透光性材料、例えば石英、ガラス、合成樹脂等によって形成される。TFT基板1および対向基板2の外側表面には偏光板56が貼り付けられている。
【0092】
また、TFT基板1の内側表面には画素電極66が形成され、対向基板2の内側表面には対向電極6が形成される。これらの画素電極66、対向電極6は、例えばITO((Indium・Tin・Oxide):インジウムスズ酸化物)等の透光性材料によって形成される。TFT基板1は対向基板2に対して張り出した張り出し部を有し、この張り出し部に複数の実装端子13が形成されている。これらの実装端子13は、TFT基板1上に画素電極66を形成するときに画素電極66と同時に形成される。従って、これらの実装端子13は、例えばITOによって形成される。これらの実装端子13には、画素電極66から一体に延びるもの、および導電材(図示省略)を介して対向電極6に接続されるものが含まれる。
【0093】
一方、多層回路基板30の表面には、配線パターン39a、39bが形成されている。すなわち、多層回路基板30の一方の短辺から中央に向かって入力用配線パターン39aが形成され、他方の短辺から中央に向かって出力用配線パターン39bが形成されている。これらの入力用配線パターン39aおよび出力用配線パターン39bの中央側の端部には、電極パッド(図示省略)が形成されている。
【0094】
多層回路基板30の表面には、液晶駆動用IC300が実装されている。具体的には、多層回路基板30の表面に形成された複数の電極パッド(図示省略)に対して、液晶駆動用IC300の能動面に形成された複数のバンプ電極が、ACF(Anisotropic・Conductive・Film:異方性導電膜)160を介して接続されている。このACF160は、熱可塑性または熱硬化性の接着用樹脂の中に、多数の導電性粒子を分散させることによって形成されている。このように、多層回路基板30の表面に液晶駆動用IC300を実装することにより、いわゆるCOF構造が実現されている。
【0095】
そして、液晶駆動用IC300を備えた多層回路基板30が、液晶パネル10のTFT基板1に接続されている。具体的には、多層回路基板30の出力用配線パターン39bが、ACF140を介して、TFT基板1の実装端子13と電気的に接続されている。なお、多層回路基板30は可撓性を有するので、自在に折り畳むことによって省スペース化を実現しうるようになっている。
【0096】
上記のように構成された液晶表示装置500では、多層回路基板30の入力用配線パターン39aを介して、液晶駆動用IC300に信号が入力される。すると、液晶駆動用IC300から、多層回路基板30の出力用配線パターン39bを介して、液晶パネル10に駆動信号が出力される。これにより、液晶パネル10において画像表示が行われるようになっている。
【0097】
液晶表示装置500は、チッピングを抑制することが可能な表示装置としての液晶パネル10を備えているので、歩留まりを向上させることが可能で、よりコストの安価な電気光学装置としての液晶表示装置500を提供することができる。
【0098】
次に、本発明に係る電気光学装置としての液晶表示装置を搭載した電子機器について説明する。
【0099】
図14は、電子機器としての携帯電話の斜視図である。
【0100】
図14に示すように、本実施形態の電子機器としての携帯電話2000は、上述した液晶表示装置500を表示手段として搭載している。携帯電話2000は、表示部2001を備えている。このように本発明に係る電子機器としての携帯電話2000は、生産効率の良好な電気光学装置としての液晶表示装置500を備えることができるので、生産効率の良好な電子機器としての携帯電話2000を提供できる。また、電子機器としては、携帯電話2000にこだわることはなく、例えばプリンタ、腕時計、NOTE―PC、PDA、電子ペーパ、と呼ばれる携帯型情報機器、携帯端末機器、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、モニタ直視型のデジタルビデオレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機等々の画像表示手段として好適に用いることができる。このようにすれば、電気光学装置としての液晶表示装置500の用途は広がり、いろいろな電子機器を提供できる。
【0101】
以上、好ましい実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含み、本発明の目的を達成できる範囲で、他のいずれの具体的な構造および形状に設定できる。
【0102】
(変形例)
前述の第1実施形態で、照射するレーザ光45の照射角度θを約45度に設定して基板Pの表面Puに対して照射したが、これに限らない。例えば照射角度θを約45度より小さく設定してもよいし、大きく設定してもよい。このようにしても基板Pの角部(この場合、表面Puと側面Psとの角部、および裏面Pdと側面Psとの角部)に面Mを形成することができるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】レーザ光による改質層としての材料変質部の形成方法を説明するための説明図。
【図2】第1実施形態におけるレーザ加工装置の概略図。
【図3】レーザ加工装置の制御系のブロック図。
【図4】基板の図であり、図(a)は、レーザ光を照射して材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(b)は、分割片を示す図であり、図(c)は、レーザ光を照射して材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(d)は、分割状態を示す概略斜視図。
【図5】基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャート。
【図6】第2実施形態における基板の図であり、図(a)〜図(c)は、レーザ光を照射して複数の材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(d)は、分割状態を示す概略斜視図。
【図7】基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャート。
【図8】第3実施形態における基板の図であり、図(a)〜図(c)は、レーザ光を照射して複数の材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(d)は、分割状態を示す概略斜視図。
【図9】基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャート。
【図10】第4実施形態における基板の図であり、図(a)、図(b)は、レーザ光を照射して材料変質部を形成する形成過程を示す図であり、図(c)は、分割状態を示す概略斜視図。
【図11】基板を切断・分割して分割片を形成する製造手順を説明するためのフローチャート。
【図12】表示装置としての液晶パネルの構造を示す概略図であり、図(a)は、概略平面図であり、図(b)は、図(a)のA−A線に沿って切断した概略断面図。
【図13】電気光学装置としての液晶表示装置の分解斜視図。
【図14】電子機器としての携帯電話の斜視図。
【符号の説明】
【0104】
1…TFT基板、10…表示装置としての液晶パネル、17…多層構造基板、45…レーザ光、46…集光素子としてのレンズ、47…改質層としての材料変質部、47a…第1の材料変質部、47b…第2の材料変質部、100…レーザ加工装置、101…レーザ光源、102…反射板としてのダイクロイックミラー、107…ステージ、112…撮像装置、120…制御部としてのメインコンピュータ、121…レーザ制御部、122…レンズ制御部、123…ステージ制御部、500…電気光学装置としての液晶表示装置、2000…電子機器としての携帯電話、F…応力、H1…基板の厚さ、H2…第1の材料変質部の高さ、M(M1、M2、M3)…面、P…基体としての基板、Pu…表面、Pd…裏面、Ps…側面、Q(Q1)…分割片、θ(θ1、θ2、θ3)…照射角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を基体に照射させて分割片を形成する基体の製造方法であって、
前記基体の表面に対して前記レーザ光を斜めに照射させて、材料変質部を形成する材料変質部形成工程と、
前記基体に応力を加えて、分割片を形成する工程と、を備え、
前記基体に傾斜した面を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基体の製造方法において、
前記材料変質部形成工程では、
前記基体の表面と、前記基体の側面とを通過するように前記レーザ光を斜めに照射させて、前記材料変質部を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基体の製造方法において
前記材料変質部形成工程では、
前記レーザ光の照射角度を変えて前記レーザ光を複数回照射させて、複数の前記材料変質部を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の基体の製造方法において、
前記基体が、前記レーザ光に対して透過性を有する材料で構成されており、
前記材料変質部形成工程では、
前記基体に前記レーザ光を集光素子で集光して照射させて、前記材料変質部を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の基体の製造方法において、
前記材料変質部形成工程では、
前記レーザ光が、チタンサファイヤレーザ、またはYAGレーザのうちのいずれかであり、
前記チタンサファイヤレーザ、または前記YAGレーザの基本波を照射させて、前記材料変質部を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項6】
レーザ光を基体に照射させて分割片を形成する基体の製造方法であって、
前記基体の表面から裏面に向けて略垂直に前記レーザ光を照射させて、第1の材料変質部を形成する工程と、
前記第1の材料変質部に接続するように前記基体の表面に対して斜めに前記レーザ光を照射させて、第2の材料変質部を形成する工程と、
前記基体に応力を加えて、分割片を形成する工程と、を備え、
前記分割片に傾斜した面を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の基体の製造方法において、
前記分割片を形成する工程では、
前記基体に曲げ応力または引っ張り応力のうち、いずれか一方の応力を加えて、前記分割片を形成することを特徴とする基体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の基体の製造方法で形成されていることを特徴とするTFT基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の基体の製造方法で形成されていることを特徴とする多層構造基板の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の基体の製造方法で形成されていることを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−18547(P2008−18547A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190085(P2006−190085)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】