説明

基地局、及び保護サブフレーム使用状況通知方法

【課題】第1の基地局で保護サブフレーム群が設定され、保護サブフレーム群を示すパターン情報が、第2の基地局に通知される通信システムにおいて、第2の基地局が、第2の基地局での保護サブフレーム群の使用状況を示す適切な値を算出する。
【解決手段】第2の基地局として使用される基地局において、受信品質測定用無線サブフレーム群をユーザ装置に通知する手段と、受信品質測定結果と、保護サブフレーム群とに基づいて、ユーザ装置への通信リソース割り当てを行う手段と、全体の保護サブフレームの数に対する、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知されたユーザ装置に割り当てられた保護サブフレームの数の割合を算出する手段と、前記算出された割合を保護サブフレーム使用状況として第1の基地局に通知する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに係り、特に、ヘテロジニアスネットワークにおいて、ある基地局から他の基地局へABS(Almost Blank Subframe)ステータスを通知する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)で検討が進められているLTE (Long-Term Evolution)-Advancedでは、局所的に集中する高密度トラフィックを効率的に収容するために、ピコセルなどの様々な形態のセルを用いたヘテロジニアスネットワーク(Heterogeneous Network)と呼ばれる無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)構成が提案されている。
【0003】
ヘテロジニアスネットワークにおいては、マクロ基地局(Macro eNB)により提供される広範囲なマクロセルにオーバーレイして小範囲のピコセルを提供するために、ピコ基地局(Pico-eNB)がマクロ基地局と混在して設置される。
【0004】
また、ヘテロジニアスネットワークにおいては、ユーザ装置(UE)が積極的にピコ基地局にハンドオーバするようパラメータを設定し、ユーザ装置に対してシグナリングを行うことにより、ピコ基地局のセル半径を実質的に大きくするCRE(Cell Range Expansion)技術が提案されている。
【0005】
しかし、CREを導入した場合、特にピコセルのセル境界に位置するユーザ装置は、マクロ基地局から強い干渉を受けることになる。このようなセル間干渉を低減するためのセル間干渉制御(eICIC: enhanced Inter-Cell Interference Coordination)技術として、キャリアアグリゲーションを用いた周波数領域のセル間干渉制御技術や、時間領域(サブフレーム単位)でのセル間干渉制御技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TSG-RAN3 Meeting #70, R3-103776, November 15-19, 2010
【非特許文献2】3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #72, R2-106943, November 15-19, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した時間領域でのセル間干渉制御技術では、マクロ基地局においてAlmost Blank Subframe (ABS)と呼ばれるデータを送信しないサブフレーム群(ABSパターンにより示される)が設定され、ABSパターンがマクロ基地局配下のピコ基地局に通知される。ピコ基地局では、ABSパターンを考慮して、配下のユーザ装置に対するリソース割り当て(スケジューリング)を行う。ここでのスケジューリングでは、例えば、ピコ基地局は、特にマクロ基地局からの干渉の強いユーザ装置に対して優先的にABSを割り当てるように制御を行う。なお、マクロ基地局とピコ基地局は同期しているものとする。また、ABSは、ピコセルにおいて保護された(protected)リソースに相当するので、ABSのことを保護サブフレームとも称する。
【0008】
ここで、どれだけのABSがユーザ装置に割り当てられているかを示す情報を、ABSステータス(ABS status)として、ピコ基地局がマクロ基地局に通知することにより、例えば、マクロ基地局は、ABSステータスに応じてABSの割り当てを増加させたり減少させたりする制御を行うことができ、これにより、マクロ基地局及びピコ基地局での全体としての通信効率を向上させることができる。
【0009】
しかし、ピコ基地局がABSステータスとして、どのような値を算出するかは具体的に定められていない。ABSステータスとして、どの程度の保護サブフレーム(ABS)が、強い干渉を受けるユーザ装置に対して有効に使用されているかを示す適切な値がマクロ基地局に通知されなければ、その後のABSパターンの決定を適切に行うことができなくなるので、ABSステータスとして適切な値を算出し、通知することが求められている。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、マクロ基地局等の第1の基地局で保護サブフレーム群が設定され、保護サブフレーム群を示すパターン情報が、ピコ基地局等の第2の基地局に通知される通信システムにおいて、第2の基地局が、第2の基地局での保護サブフレーム群の使用状況を示す適切な値を算出し、第1の基地局に通知する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態において、第1の基地局と第2の基地局を備え、当該第1の基地局で保護サブフレーム群が設定され、保護サブフレーム群を示すパターン情報が、前記第1の基地局から前記第2の基地局に通知される移動通信システムにおいて、前記第2の基地局として使用される基地局が提供される。
【0012】
当該基地局は、保護サブフレーム群の一部であり、ユーザ装置において受信品質測定に使用する無線サブフレーム群を当該ユーザ装置に通知する測定指示手段と、ユーザ装置から受信する受信品質測定結果と、前記第1の基地局から受信するパターン情報に示される保護サブフレーム群とに基づいて、ユーザ装置への通信リソース割り当てを行うスケジューリング手段と、所定の時間区間において、全体の保護サブフレームの数に対する、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知されたユーザ装置に通信用に割り当てられた保護サブフレームの数の割合を算出する保護サブフレーム使用状況算出手段と、前記保護サブフレーム使用状況算出手段により算出された割合を保護サブフレーム使用状況として前記第1の基地局に通知する保護サブフレーム使用状況通知手段とを備えて構成することができる。
【0013】
上記基地局において、前記測定指示手段は、強い干渉を受けていることを示す受信品質測定結果の送信元のユーザ装置に対して、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知するように構成することができる。
【0014】
また、本発明の一実施形態によれば、第1の基地局と第2の基地局を備える移動通信システムにおける保護サブフレーム使用状況通知方法が提供される。
【0015】
当該保護サブフレーム使用状況通知方法は、前記第1の基地局が、保護サブフレーム群を示すパターン情報を前記第2の基地局に通知するステップと、前記第2の基地局が、保護サブフレーム群の一部であり、ユーザ装置において受信品質測定に使用する無線サブフレーム群を当該ユーザ装置に通知する測定指示ステップと、前記第2の基地局が、ユーザ装置から受信する受信品質測定結果と、前記第1の基地局から受信するパターン情報に示される保護サブフレーム群とに基づいて、ユーザ装置への通信リソース割り当てを行うスケジューリングステップと、所定の時間区間において、全体の保護サブフレームの数に対する、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知されたユーザ装置に通信用に割り当てられた保護サブフレームの数の割合を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出された割合を保護サブフレーム使用状況として前記第1の基地局に通知するステップとを備えて構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マクロ基地局等の第1の基地局で保護サブフレーム群が設定され、保護サブフレーム群を示すパターン情報が、ピコ基地局等の第2の基地局に通知される通信システムにおいて、第2の基地局が、第2の基地局での保護サブフレーム群の使用状況を示す適切な値を算出し、第1の基地局に通知する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成図である。
【図2】マクロ基地局1の機能構成図である。
【図3】ピコ基地局2の機能構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図5】ABSパターンの例を説明するための図である。
【図6】CRE適用対象情報格納部24に格納される情報の例を説明するための図である。
【図7】リソース割り当て情報格納部23に格納される情報の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る通信システムは、マクロセル(Macro-cell)を形成するマクロ基地局(Macro eNB)1と、ピコセル(Pico-cell)を形成するピコ基地局(Pico eNB)2とを含み、ヘテロジニアスネットワークを構成している。また、図1には、ピコセルに属しているユーザ装置(UE)の一例として、CRE(Cell Range Expansion)を適用したユーザ装置3と、CREを適用しないユーザ装置4が示されている。
【0020】
本実施の形態の通信システムは、LTE/LTE-Advancedの方式に基づく通信システムであるとするが、本発明はこの例に限定されず、ABS等の保護リソース(protected resources)が設定され、基地局間でその使用状況の送受信を行う他の通信システムに適用されてもよい。ユーザ装置(UE)は、具体的には、携帯電話機、情報端末、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ等であるが、これらに限定されない。
【0021】
<通信システムの概要>
本実施の形態に係る通信システムでは、各基地局が、ユーザ装置(UE)に対して、1つ以上のリソースブロック(RB: Resource Block)を割り当てることで、下りリンク及び上りリンクの通信が行われる。システムを構成する複数のリソースブロックを多数のユーザ装置で共有する。また、本実施の形態に係る通信システムでは、時間領域において例えば10サブフレーム(例えば1サブフレームは1ms)からなる無線フレームが構成されている。1リソースブロックは、例えば、1サブフレームの半分である1スロットと、周波数領域での所定数のサブキャリアから構成される。
【0022】
下りリンクにおけるシンボルは、OFDM方式により生成されたシンボルである。上りリンクにおけるシンボルは、SC−FDMA方式(又はSpread−DFT)方式により生成されたシンボルである。基地局は、例えば、1msのサブフレーム毎に、複数のユーザ装置の内どのユーザ装置にリソースを割り当てるかを決定する。無線リソースの割り当てを決定する処理はスケジューリングと呼ばれる。
【0023】
なお、本実施の形態では、特に、ユーザ装置が受けるマクロ基地局1からの干渉を考慮するため、スケジューリングにおいて通信用に割り当てるリソースは下り方向を対象とする。
【0024】
下りリンクにおけるスケジューリングに関し、各ユーザ装置は、基地局から送信される信号(レファレンス信号等)の受信品質を測定(measurement)し、測定結果(measurement report)を制御信号(例えばPUCCH)を用いて基地局に通知し、基地局は、各ユーザ装置から受信した測定結果を用いて、例えば、特定のリソース(サブフレームを含むリソース)を特定のユーザ装置に割り当てる制御を行う。リソースが割り当てられたユーザ装置には、どのリソースが割り当てられたかがシグナリングにて通知される。
【0025】
また、本実施の形態の通信システムは、時間領域でのセル間干渉制御機能を有する。すなわち、マクロ基地局1がサブフレーム毎にABS(データを送信しない無送信区間、保護サブフレーム)を設定し、どのサブフレームを保護サブフレーム(ABS)として設定したかを示す情報をABSパターンとしてピコ基地局2に通知する。
【0026】
ピコ基地局2では、マクロ基地局1から通知されたABSパターンに基づいて、ユーザ装置に対するリソースの割り当てを行う。
【0027】
また、本実施の形態では、CRE(Cell range Expansion)が適用される。すなわち、ピコ基地局2は、マクロ基地局1等からの強い干渉を受けて受信品質の良くないユーザ装置を、ユーザ装置から受信する測定結果から把握し、そのユーザ装置に対して特定のリソース(restricted measurement resources)で測定(measurement)を行うことをRRCシグナリングで指示する。これにより、ピコセルのセル境界に存在して、マクロ基地局からの強い干渉を受けるユーザ装置に対して、マクロ基地局からの干渉を抑えたリソースで測定を行うことを可能とし、当該ユーザ装置にリソースを割り当てることができる。このような指示を受けるユーザ装置をCREを適用しているユーザ装置と呼ぶことにする。また、特定のリソース(restricted measurement resources)とは、例えば、ABSパターンで示された保護サブフレーム群の中の1つ又は複数のサブフレーム(ABSのサブセット)である。なお、本実施の形態では、マクロ基地局1とピコ基地局2は同期しているので、ピコ基地局2は、マクロ基地局1が保護サブフレーム(ABS)として設定したサブフレームと重なるピコ基地局2のサブフレームを特定できる。本実施の形態では、マクロ基地局1が保護サブフレーム(ABS)として設定したサブフレームと重なるピコ基地局2のサブフレームも保護サブフレーム(ABS)と称している。
【0028】
保護サブフレームで受信品質測定を行うユーザ装置(CREを適用しているユーザ装置)から測定結果を受信するピコ基地局2は、当該ユーザ装置に対して、下りのリソースとして保護サブフレームを優先的に割り当てる制御を行うことができる。保護サブフレームには、CREを適用しているユーザ装置のみでなく、CREを適用されていないユーザ装置も割り当ててよい。
【0029】
このようなスケジューリングを行ったピコ基地局2は、保護サブフレームの使用状況をABSステータスとしてマクロ基地局1に通知し、マクロ基地局1は、受信したABSステータスに基づいて、ABSパターンを更新する。ここでの処理は、後の動作説明の部分でより詳細に説明する。
【0030】
<マクロ基地局及びピコ基地局の機能構成>
次に、マクロ基地局1及びピコ基地局2の機能構成例を説明する。以下で説明する機能構成例は、本発明に係る機能を主に示すものであり、マクロ基地局1及びピコ基地局2のそれぞれにおいて、説明する機能以外に、LTE/LTE-Advancedの方式に準拠した基地局の動作を実現するために必要な機能が備えられていることはいうまでもない。
【0031】
図2に、マクロ基地局1の機能構成図を示す。図2に示すように、マクロ基地局1は、ABSパターン設定部11、ABSパターン格納部12、ABSパターン送信部13、ABSステータス受信部14を備える。
【0032】
ABSパターン設定部11は、ピコ基地局2からABSステータス受信部14を介して受信するABS(保護サブフレーム)使用状況の値であるABSステータスに基づいて、ABSパターンを決定し、決定したABSパターンをABSパターン格納部12に格納する機能部である。ABSパターン格納部12に格納されたABSパターンは、ピコ基地局2への通知、及びマクロ基地局1に属するユーザ装置に対するスケジューリング等に用いられる。
【0033】
ABSパターン送信部13は、ABSパターン格納部12からABSパターンを読み出し、当該ABSパターンを、例えばロード情報(Load Information)に含めて、ピコ基地局2に通知する機能部である。
【0034】
ABSステータス受信部14は、ABSステータス要求を、例えばリソースステータスリクエスト(Resource Status Request)に含めてピコ基地局2に送信し、当該要求に応じてピコ基地局2から返されたABSステータスを受信し、それをABSパターン設定部11に渡す機能部である。ピコ基地局2から返されるABSステータスは、例えばリソースステータスアップデート(Resource Status Update)もしくはリソースステータスレスポンス(Resource Status Response)に含められている。
【0035】
図3に、ピコ基地局2の機能構成図を示す。図3に示すように、ピコ基地局2は、測定指示部21、スケジューリング部22、リソース割り当て情報格納部23、CRE適用対象情報格納部24、ABSステータス算出部25、ABSパターン受信部26、ABSパターン格納部27、ABSステータス送信部28を備える。
【0036】
測定指示部21は、受信品質測定を行うことを指示する測定指示信号をユーザ装置に送信する機能部である。当該測定指示信号は、例えば、RRCシグナリング信号(RRC connection reconfiguration message等)として送信される。本実施の形態に係る測定指示信号には、特定のユーザ装置に対して、そのユーザ装置が品質測定を行うための特定のリソースの情報(restricted measurement resources)を含めることができる。
【0037】
スケジューリング部22は、各ユーザ装置から返される測定結果(ユーザ装置の識別情報が含まれる)に基づき、特定のユーザ装置に、特定のデータ通信用リソースを割り当て、割り当てたリソースを当該ユーザ装置に通知し、どのユーザ装置にどのリソース(例えば、どのサブフレーム)が割り当てられているかを示す割り当て情報をリソース割り当て情報格納部23に格納する機能を有する。
【0038】
また、スケジューリング部22は、ユーザ装置から受信した測定結果が、例えば、マクロ基地局等から受ける干渉量が所定値より大きいことを示す測定結果である場合に、当該測定結果の送信元のユーザ装置を、品質測定のリソースを制限するユーザ装置(=CRE適用対象のユーザ装置)であると決定し、当該ユーザ装置の識別情報をCRE適用対象格納部24に格納する機能を有する。干渉量が所定値より大きいことを示す測定結果を送信するユーザ装置は、例えば、ピコセルのセル境界に存在するユーザ装置である。
【0039】
この場合、測定指示部21は、CRE適用対象情報格納部24に格納された識別情報に対応するユーザ装置に対して、特定のリソース(例えば、スケジューリング部22から通知される保護サブフレーム群の中の1つ又は複数のサブフレーム)を品質測定に使用することを指示する指示信号を通知し、通知を受けたユーザ装置は、通知されたリソースに係る受信品質を測定する。また、スケジューリング部22は、CRE適用対象情報格納部24に格納された識別情報に対応するユーザ装置に対して、保護サブフレームを優先的に割り当てる制御を行う。
【0040】
ABSパターン受信部26は、マクロ基地局1からロード情報(Load Information)に含められたABSパターンを受信し、それをABSパターン格納部27に格納する機能を有する。
【0041】
ABSステータス算出部25は、マクロ基地局1からABSステータス要求(リソースステータスリクエストに含まれる)を受信したことに応じて、保護サブフレームの使用状況の値を算出する機能部であり、本実施の形態では、ある測定区間における全体の保護サブフレーム数に対する、CRE適用対象となっているユーザ装置(強い干渉を受けているユーザ装置)に割り当てられた保護サブフレーム数の割合をABSステータスとして算出する。
【0042】
ABSステータス送信部28は、ABSステータス算出部25により算出されたABSステータスの値(リソースステータスアップデートもしくはリソースステータスレスポンスに含められる)をマクロ基地局1に送信する機能を有する。
【0043】
上述したマクロ基地局1の機能及びピコ基地局2の機能はそれぞれ、ハードウェア回路で実現してもよいし、CPUとメモリ等を備えたコンピュータに、本実施の形態で説明する機能に対応するプログラムを実行させることにより実現してもよい。
【0044】
(システムの動作)
次に、上記の機能構成を有するマクロ基地局1及びピコ基地局2からなる移動通信システムの動作例を、図4のシーケンス図の手順に沿って説明する。なお、図4に示し、以下で説明する処理の順番は、説明の便宜上のものであり、この順番に限定されるわけではない。
【0045】
まず、マクロ基地局1において、ABSパターン送信部13が、ABSパターン格納部12からABSパターンを読み出し、当該ABSパターンを、ロード情報(Load Information)に含めて、ピコ基地局2に通知する(ステップ1)。このABSパターンは、例えば、サブフレーム毎にそれがブランク(保護サブフレーム)かどうかを示すビット値(1or0)からなるビットマップパターンとして構成することができる。
【0046】
ABSパターンを受信したピコ基地局2のABSパターン受信部26は、受信したABSパターンをABSパターン格納部27に格納する。
【0047】
ピコ基地局2においては、測定指示に応じて各ユーザ装置から受信した測定結果を用いて、スケジューリング部22が、スケジューリング動作を行っている(ステップ2)。前述したように、スケジューリング部22は、ユーザ装置から受信した測定結果が、マクロ基地局等から受ける干渉量が所定値より大きいことを示す測定結果である場合に、当該測定結果の送信元のユーザ装置を、品質測定のリソースを制限するユーザ装置(=CRE適用対象のユーザ装置)であると決定し、当該ユーザ装置の識別情報をCRE適用対象情報格納部24に格納する(ステップ3)。
【0048】
そして、測定指示部21は、CRE適用対象情報格納部24に格納された識別情報に対応するユーザ装置に対して、特定のリソース(restricted measurement resources, 例えば、スケジューリング部22から通知される保護サブフレーム群の中の1つ又は複数のサブフレーム)を品質測定に使用することを指示する指示信号(制限測定リソース通知信号)を通知する(ステップ4)。ここでの品質測定は、例えば、RRM(Radio Resource Management)、RLM(Radio Link Monitoring)、もしくはCSI measurements用の品質測定である。そして、このような制限測定リソース通知信号を受けたユーザ装置によりなされた測定結果、その他のユーザ装置によりなされた測定結果、及び保護サブフレーム群等の情報に基づくスケジューリングが行われ、リソース割り当て情報格納部23に、どのユーザ装置にどのリソース(例えば、どのサブフレーム)が割り当てられているかを示す割り当て情報が格納されるとともに、格納された情報は、時間の経過に伴って、割り当てに応じて順次更新される。また、CRE適用対象情報格納部24には、CRE適用対象となっているユーザ装置の識別情報が格納され、格納された情報は、時間の経過に伴って、CRE適用対象の決定に応じて順次更新される。なお、CRE適用対象情報格納部24に格納されたCRE適用対象情報は、例えば、対象のユーザ装置に対するリソース割り当てが終了した場合(通信が終了した場合等)等に削除される。
【0049】
ここで、ABSパターン格納部27には、例えば、図5に示すように、サブフレーム#0〜#9の10個のサブフレームのうちのサブフレーム#2、#3、#5、#7、#8が保護サブフレーム(ABS)として設定されていることを示すABSパターンが格納されている。
【0050】
また、CRE適用対象情報格納部24には、ある時点で、例えば、図6に示すように、ユーザ2、ユーザ5、ユーザ8が、CRE適用対象のユーザ装置の識別情報として記録されている。また、リソース割り当て情報格納部23には、ある時点で、例えば、図7に示すように、ユーザ2に、(時間領域のリソースとして)サブフレーム2が下りデータ通信リソースとして割り当てられていることを示す情報が格納されている。
【0051】
このような動作が行われている中で、マクロ基地局1のABSステータス受信部14は、ABSステータス要求を、リソースステータスリクエスト(Resource Status Request)に含めてピコ基地局2に送信する(ステップ5)。
【0052】
ABSステータス要求を受けたピコ基地局2のABSステータス算出部25は、ABSステータスの算出を行う(ステップ6)。前述したとおり、本実施の形態では、ABSステータス算出部25は、所定の測定時間区間における全体の保護サブフレーム数(ABS数)に対する、CRE適用対象となっているユーザ装置に割り当てられた保護サブフレーム数の割合をABSステータスとして算出する。
【0053】
より具体的には、ABSステータス算出部25は、所定の測定時間区間において、ABSパターン格納部27と、リソース割り当て情報格納部23と、CRE適用対象情報格納部24とを参照することにより、リソース割り当て状況を観測し、測定時間区間における全体の保護サブフレーム数のうち、CRE適用対象となっているユーザ装置に割り当てられた保護サブフレーム数の割合をABSステータスとして算出する。
【0054】
例えば、図5に示したように、10サブフレーム中の5サブフレームが保護サブフレーム(ABS)として設定されている場合において、40サブフレームの時間区間を観測した場合に、20の保護サブフレームのうち、15の保護サブフレームがCRE適用対象のユーザ装置に割り当てられ、5サブフレームがその他のユーザ装置に割り当てられていた場合において、ABSステータス算出部25は、15/20×100=75をABSステータスとして算出する。なお、ここでは、ABSステータスを0〜100の値にして送信することとしているので100を乗じているが、これは一例に過ぎない。
【0055】
上記の測定を所定の測定時間区間毎に複数回行い、得られた結果の平均値をABSステータスとして決定することとしてもよい。
【0056】
その後、ABSステータス送信部28は、ABSステータス算出部25により算出されたABSステータスの値を、リソースステータスアップデート(Resource Status Update)もしくはリソースステータスレスポンス(Resource Status Response)に含めてマクロ基地局1に送信する(ステップ7)。
【0057】
マクロ基地局1では、ABSステータス受信部14がABSステータスを受信し、ABSステータスをABSパターン設定部11に渡す。ABSパターン設定部11は、ABSステータスに基づいて、ABSパターンを更新し、更新したABSパターンをABSパターン格納部12に格納する(ステップ8)。ここでは、例えば、ABSステータスの値が予め定めた閾値より小さくなり、なおかつ、別の予め定めた閾値より大きくなるように、保護サブフレーム(ABS)として設定するサブフレーム数を定め、ABSパターンとして設定する。また、マクロ基地局1が、複数のピコ基地局からABSステータスを受信する場合、受信した複数のABSステータスの中の最大値が予め定めた閾値より小さくなり、なおかつ、別の予め定めた閾値より大きくなるように、保護サブフレームとして設定するサブフレーム数を定め、ABSパターンとして設定することとしてもよい。更新されたABSパターンは、ステップ1においてピコ基地局2に通知されることになる。なお、ABSステータスの要求/算出/応答処理は、所定の周期で行うようにすることができる。また、ABSパターンの通知も所定の周期で行うようにすることができる。
【0058】
(実施の形態の効果について)
上記のように、本実施の形態に係る技術によれば、ピコ基地局2は、マクロ基地局1等から強い干渉を受けているユーザ装置をCRE適用対象のユーザ装置と定め、マクロ基地局1から通知されたABSパターンで示される保護サブフレーム数のうち、CRE適用対象のユーザ装置に割り当てられる保護サブフレーム数の割合をABSステータスとして算出し、マクロ基地局1に通知することとした。
【0059】
このような構成により、マクロ基地局1では、強い干渉を受けているユーザ装置が、どのくらい保護サブフレーム(ABS)で保護されているかを適切に把握できる。すなわち、保護サブフレーム(ABS)がどのくらい有効に使用されているかを把握することができる。その結果、その後のABSパターンの設定を適切に行うことが可能となり、結果として、通信システム全体の通信効率を向上させることが可能となる。例えば、強い干渉を受けているユーザ装置に対して使用されている保護サブフレームの割合が低ければ、保護サブフレーム数を少なくするようにABSパターンを決定し、強い干渉を受けているユーザ装置に対して使用されている保護サブフレームの割合が高ければ、保護サブフレーム数を大きくするようABSパターンを決定することができる。
【0060】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 マクロ基地局
2 ピコ基地局
3、4 ユーザ装置
11 ABSパターン設定部
12 ABSパターン格納部
13 ABSパターン送信部
14 ABSステータス受信部
21 測定指示部
22 スケジューリング部
23 リソース割り当て情報格納部
24 CRE適用対象情報格納部
25 ABSステータス算出部
26 ABSパターン受信部
27 ABSパターン格納部
28 ABSステータス送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局と第2の基地局を備え、当該第1の基地局で保護サブフレーム群が設定され、保護サブフレーム群を示すパターン情報が、前記第1の基地局から前記第2の基地局に通知される移動通信システムにおいて、前記第2の基地局として使用される基地局であって、
保護サブフレーム群の一部であり、ユーザ装置において受信品質測定に使用する無線サブフレーム群を当該ユーザ装置に通知する測定指示手段と、
ユーザ装置から受信する受信品質測定結果と、前記第1の基地局から受信するパターン情報に示される保護サブフレーム群とに基づいて、ユーザ装置への通信リソース割り当てを行うスケジューリング手段と、
所定の時間区間において、全体の保護サブフレームの数に対する、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知されたユーザ装置に通信用に割り当てられた保護サブフレームの数の割合を算出する保護サブフレーム使用状況算出手段と、
前記保護サブフレーム使用状況算出手段により算出された割合を保護サブフレーム使用状況として前記第1の基地局に通知する保護サブフレーム使用状況通知手段と
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記測定指示手段は、強い干渉を受けていることを示す受信品質測定結果の送信元のユーザ装置に対して、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記第1の基地局は、マクロセルを形成するマクロ基地局であり、前記第2の基地局は、前記マクロセルにオーバーレイするピコセルを形成するピコ基地局である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
第1の基地局と第2の基地局を備える移動通信システムにおける保護サブフレーム使用状況通知方法であって、
前記第1の基地局が、保護サブフレーム群を示すパターン情報を前記第2の基地局に通知するステップと、
前記第2の基地局が、保護サブフレーム群の一部であり、ユーザ装置において受信品質測定に使用する無線サブフレーム群を当該ユーザ装置に通知する測定指示ステップと、
前記第2の基地局が、ユーザ装置から受信する受信品質測定結果と、前記第1の基地局から受信するパターン情報に示される保護サブフレーム群とに基づいて、ユーザ装置への通信リソース割り当てを行うスケジューリングステップと、
所定の時間区間において、全体の保護サブフレームの数に対する、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知されたユーザ装置に通信用に割り当てられた保護サブフレームの数の割合を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された割合を保護サブフレーム使用状況として前記第1の基地局に通知するステップと
を備えることを特徴とする保護サブフレーム使用状況通知方法。
【請求項5】
前記測定指示ステップにおいて、前記第2の基地局は、強い干渉を受けていることを示す受信品質測定結果の送信元のユーザ装置に対して、前記受信品質測定用無線サブフレーム群を通知する
ことを特徴とする請求項4に記載の保護サブフレーム使用状況通知方法。
【請求項6】
前記第1の基地局は、マクロセルを形成するマクロ基地局であり、前記第2の基地局は、前記マクロセルにオーバーレイするピコセルを形成するピコ基地局である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の保護サブフレーム使用状況通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129793(P2012−129793A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279384(P2010−279384)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】