説明

基地局装置

【課題】下位カードの冗長切替を行った場合に、待機系に移行した不要な通信リソースを効率良く削除し、呼損を防止し正常な通信を行う。
【解決手段】通信リソースの生成・削除を行う、冗長構成をとった下位カード3,4と、下位カード3(4)により生成された通信リソースを記録するメモリ10と、運用系の下位カード3(4)に対して、通信リソースの生成・削除を要求する通信リソース生成・削除部7と、下位カード3,4の冗長切替を行う場合に、待機系の下位カード4に対して、メモリ10に記録されている通信リソースの移行を要求する通信リソース移行部8と、冗長切替過渡期に、運用系の下位カード3で削除された通信リソースを不要通信リソースとして記録し、新たに運用系となった下位カード4が起動完了後に、当該新たに運用系となった下位カード4に対して、不要通信リソースの削除を要求する不要通信リソース削除部9とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動局装置に対する通信リソースの生成・削除を行う、冗長構成をとった下位カードを備えた基地局装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の移動通信システムでは、信頼性確保のために、基地局装置を構成する機能部(移動局装置に対する通信リソースの生成・削除を行う下位カード)を複数設けて、冗長構成(運用系および待機系)をとっている。ここで、現在運用系である下位カードを、下位カード運用系(旧運用系)と称し、現在待機系であり、冗長切替後に運用系となる下位カードを、下位カード待機系(新運用系)と称する。
【0003】
また、基地局装置の通信制御カードは、下位カードを制御し、運用系から待機系への冗長切替に際して引き継がれるリソース使用状態や呼の通信状態などを管理している。この通信制御カードは、通信リソース生成・削除部および通信リソース移行部から構成されている。
通信リソース生成・削除部は、移動局装置からの通信開始・終了要求に応じて、運用系の下位カード(下位カード運用系(旧運用系)または冗長切替後の下位カード待機系(新運用系))に対して、通信リソースの生成・削除を要求する。また、通信リソース移行部は、冗長切替過渡期に、下位カード待機系(新運用系)に対して、通信制御カードで管理している通信リソースの移行を要求する。
【0004】
この冗長切替過渡期に、下位カード運用系(旧運用系)のリソース生成・削除と、下位カード待機系(新運用系)のリソース移行とが並行して実施された場合、タイミングによっては、下位カード運用系(旧運用系)で削除されて不要となった通信リソースが、下位カード待機系(新運用系)に移行されてしまい、残存してしまう可能性がある。すなわち、下位カード運用系(旧運用系)では通信リソースの削除が開始されたが、リソース削除が終了する前に、通信制御カードが、この通信リソースをリソース移行対象として設定してしまう可能性がある。この場合、同通信リソースを使用した通信は、呼損となってしまう。
【0005】
また、運用系から待機系への通信リソースの引き継ぎに関する発明はいくつか存在するが、類似した発明として、共有メモリを用いて効率的に引き継ぎを行う発明が報告されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−268204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、冗長切替過渡期に、下位カード運用系(旧運用系)のリソース生成・削除と、下位カード待機系(新運用系)のリソース移行とが並行して実施された場合、下位カード運用系(旧運用系)では削除されて不要となった通信リソースが、下位カード待機系(新運用系)に移行されてしまい、残存してしまう可能性がある。この場合、同通信リソースを使用した通信は、呼損となってしまうという課題がある。
また、特許文献1に開示されるような共有メモリを用いた構成においても、冗長切替過渡期には不要通信リソースが残存してしまう可能性があるという課題がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、下位カードの冗長切替を行った場合に、下位カード待機系(新運用系)に移行してしまった不要通信リソースをソフトウェア的に効率良く削除することが可能となり、同通信リソースを使用した場合に呼損とならず正常な通信を可能とする基地局装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る基地局装置は、通信リソースの生成・削除を行う、冗長構成をとった下位カードと、下位カードにより生成された通信リソースを記録するメモリと、運用系の下位カードに対して、通信リソースの生成・削除を要求する通信リソース生成・削除部と、下位カードの冗長切替を行う場合に、待機系の下位カードに対して、メモリに記録されている通信リソースの移行を要求する通信リソース移行部と、冗長切替過渡期に、運用系の下位カードで削除された通信リソースを不要通信リソースとして記録し、新たに運用系となった下位カードが起動完了後に、当該新たに運用系となった下位カードに対して、不要通信リソースの削除を要求する不要通信リソース削除部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、下位カードの冗長切替を行った場合に、下位カード待機系(新運用系)に移行してしまった不要通信リソースをソフトウェア的に効率良く削除することが可能となり、同通信リソースを使用した場合に呼損とならず正常な通信を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る基地局装置の動作を示すシーケンス図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る基地局装置の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る移動通信システムの構成を示す図である。
移動通信システムは、図1に示すように、基地局装置1と、基地局装置1を介して他の装置との間で通信を行う移動局装置2から構成されている。
基地局装置1は、下位カード3,4、通信制御カード5および監視制御カード6から構成されている。
【0013】
下位カード3,4は、移動局装置2からのデータ導通を制御するものであり、通信制御カード5からの要求に応じて、移動局装置2に対する通信リソースの生成・削除を行うものである。この下位カード3,4は、信頼性確保のために、冗長構成(運用系および待機系)をとっている。ここで、現在運用系である下位カードを、下位カード運用系(旧運用系)3と称し、現在待機系であり、冗長切替後に運用系となる下位カードを、下位カード待機系(新運用系)4と称する。
【0014】
通信制御カード5は、下位カード3,4を制御するものであり、運用系から待機系への冗長切替を行う際に引き継がれるリソース使用状態や呼の通信状態などを管理するものである。この通信制御カード5は、通信リソース生成・削除部7、通信リソース移行部8、不要通信リソース削除部9およびメモリ10から構成されている。
【0015】
通信リソース生成・削除部7は、運用系の下位カード(下位カード運用系(旧運用系)3または冗長切替後の下位カード待機系(新運用系)4)に対して、通信リソースの生成・削除を要求するものである。ここで、通信リソース生成・削除部7は、移動局装置2からの通信開始・終了要求に応じて、この移動局装置2に対する通信リソースの生成・削除を要求する。また、通信リソース生成・削除部7は、運用系の下位カード3(4)からの、通信リソースの生成・削除の成功を示す応答に応じて、メモリ10に対して、この通信リソースの記録・削除を行う。
【0016】
通信リソース移行部8は、冗長切替過渡期に、下位カード待機系(新運用系)4に対して、メモリ10に記録されている通信リソースの移行を要求するものである。ここで、通信リソース移行部8は、監視制御カード6からの要求に応じて、まず、メモリ10に記録されている通信リソースの中から移行対象の通信リソースを選択する。なお、移行対象の通信リソースを選択する際には、リソース生成が完了しており、かつ通信中の通信リソースを選択する。そして、通信リソース移行部8は、下位カード待機系(新運用系)4に対して、選択した通信リソースの移行を要求する。また、通信リソース移行部8は、下位カード待機系(新運用系)4からの、通信リソースの移行の成功を示す応答に応じて、リソース移行が完了したことを示す情報を、メモリ10内の該当する通信リソースに対応付けて、順次、記録する。
【0017】
不要通信リソース削除部9は、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4に対して、下位カード待機系(新運用系)4に残存する不要な通信リソースの削除を要求するものである。この不要通信リソース削除部9は、まず、通信リソース移行部8による移行対象の通信リソースの選択から、リソース移行が完了し新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4が起動完了するまでの間に、下位カード運用系(旧運用系)3により削除された通信リソースを不要通信リソースとしてメモリ10に順次、記録する。そして、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4が起動完了した後、メモリ10から不要通信リソースを抽出して、下位カード待機系(新運用系)4に対して、この不要通信リソースの削除を要求する。
【0018】
監視制御カード6は、下位カード3,4および通信制御カード5を監視制御するものであり、通信制御カード5に対して、下位カード運用系(旧運用系)3から下位カード待機系(新運用系)4への冗長切替指示を行うものである。
【0019】
次に、上記のように構成された基地局装置1の動作について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1に係る基地局装置1の動作を示すシーケンス図である。なお以下では、下位カードとして、N+1系、0/1系カード冗長構成を実現する下位カード3,4を用い、下位カード運用系(旧運用系)3から下位カード待機系(新運用系)4に冗長切替を行う場合について示す。
【0020】
基地局装置1の動作では、図2に示すように、まず、基地局装置1は、移動局装置2により通信が開始されたタイミングで、通信リソースの生成を行う(ステップST21)。このステップST21では、まず、通信リソース生成・削除部7は、移動局装置2により通信が開始されたタイミングで、下位カード運用系(旧運用系)3に対して、この移動局装置2に対する通信リソースの生成要求(通信リソース生成要求11)を行う。次に、下位カード運用系(旧運用系)3は、通信リソース生成要求11に応じて、この移動局装置2に対する通信リソースを生成する。ここで、下位カード運用系(旧運用系)3は、リソース生成に成功した場合には、その旨を示す通信リソース生成応答12を通信リソース生成・削除部7に送信する。次に、通信リソース生成・削除部7は、通信リソース生成応答12に応じて、この通信リソースをメモリ10に記録する。
【0021】
また、基地局装置1は、移動局装置2により通信が終了されたタイミングで、通信リソースの削除を行う(ステップST22)。このステップST22では、まず、通信リソース生成・削除部7は、移動局装置2により通信が終了されたタイミングで、下位カード運用系(旧運用系)3に対して、この移動局装置2に対する通信リソースの削除要求(通信リソース削除要求13)を行う。次に、下位カード運用系(旧運用系)3は、通信リソース削除要求13に応じて、この移動局装置2に対する通信リソースを削除する。ここで、下位カード運用系(旧運用系)3は、リソース削除に成功した場合には、その旨を示す通信リソース削除応答14を通信リソース生成・削除部7に送信する。次に、通信リソース生成・削除部7は、通信リソース削除応答14に応じて、この通信リソースをメモリ10から削除する。
【0022】
一方、基地局装置1は、下位カード3,4の冗長切替を開始する(ステップST23)。このステップST23では、監視制御カード6は、通信制御カード5に対して、下位カード3,4の冗長切替を指示する。これにより、下位カード3,4および通信制御カード5は冗長切替を開始する。
【0023】
まず、基地局装置1は、移行対象リソースを選択する(ステップST24)。このステップST24では、通信リソース移行部8は、監視制御カード6からの通信リソース移行要求15に応じて、メモリ10に記録されている通信リソースの中から移行対象の通信リソースを選択する。
【0024】
次いで、基地局装置1は、選択した通信リソースを移行する(ステップST25)このステップST25では、まず、通信リソース移行部8は、下位カード待機系(新運用系)4に対して、選択した通信リソースの移行要求(通信リソース移行要求16)を行う。次に、下位カード待機系(新運用系)4は、通信リソース移行要求16に応じて、選択された通信リソースを移行する。ここで、下位カード待機系(新運用系)4は、リソース移行に成功した場合には、その旨を示す通信リソース移行応答17を通信リソース移行部8に送信する。次に、通信リソース移行部8は、通信リソース移行応答17に応じて、リソース移行が完了したことを示す情報を、メモリ10に記録されている該当する通信リソースに対応付けて、順次、記録する。
【0025】
一方、基地局装置1は、移動局装置2により通信が終了したタイミングで、通信リソースの削除を行う(ステップST26)。すなわち、基地局装置1は、下位カード待機系(新運用系)4へのリソース移行中であっても、下位カード待機系(新運用系)4を新たな運用系として認識するまでは、移動局装置2により通信が終了したタイミングで、下位カード運用系(旧運用系)3に対して、通信リソースの削除を要求する。
このステップST26では、まず、通信リソース生成・削除部7は、移動局装置2により通信が終了したタイミングで、下位カード運用系(旧運用系)3に対して、この移動局装置2に対する通信リソースの削除要求(通信リソース削除要求18)を行う。次に、下位カード運用系(旧運用系)3は、通信リソース削除要求18に応じて、この移動局装置2に対する通信リソースを削除する。ここで、下位カード運用系(旧運用系)3は、リソース削除に成功した場合には、その旨を示す通信リソース削除応答19を通信リソース生成・削除部7に送信する。次に、通信リソース生成・削除部7は、通信リソース削除応答19に応じて、この通信リソースを不要通信リソースとしてメモリ10に記録する。
【0026】
次いで、基地局装置1は、リソース移行が完了した後、下位カード待機系(新運用系)4を新たな運用系として認識する(ステップST27)。このステップST27では、まず、通信リソース移行部8は、移行対象の通信リソースの移行が全て完了した後、その旨を示す通信リソース移行応答20を監視制御カード6に送信する。次に、監視制御カード6は、通信リソース移行応答20に応じて、冗長切替完了要求21を通信制御カード5に送信する。次に、通信制御カード5は、冗長切替完了要求21に応じて、下位カード待機系(新運用系)4を新たな運用系として認識する。
【0027】
次いで、基地局装置1は、不要通信リソースを抽出する(ステップST28)。このステップST28では、不要通信リソース削除部9は、メモリ10に記録されている不要通信リソースを抽出する。
【0028】
次いで、基地局装置1は、不要通信リソースを削除する(ステップST29)。このステップST29では、まず、不要通信リソース削除部9は、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4に対して、抽出した不要通信リソースの削除要求(通信リソース削除要求22)を行う。次に、下位カード待機系(新運用系)4は、通信リソース削除要求22に応じて、不要通信リソースに該当する通信リソースを削除する。ここで、下位カード待機系(新運用系)4は、リソース削除に成功した場合には、その旨を示す通信リソース削除応答23を不要通信リソース削除部9に送信する。次に、不要通信リソース削除部9は、通信リソース削除応答23に応じて、この通信リソースをメモリ10から順次、削除する。
これにより、下位カード3,4の冗長切替過渡期に下位カード運用系(旧運用系)3で削除した不要な通信リソースを、下位カード待機系(新運用系)4から削除することができる。
【0029】
次いで、基地局装置1は、冗長切替を完了する(ステップST30)。このステップST30では、通信制御カード5は、不要通信リソース削除部9により抽出した不要通信リソース全てに対してリソース削除が完了した後、監視制御カード6に対して、冗長切替完了応答24を送信する。以上の処理にて下位カード3,4の冗長切替を完了する。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、下位カード3,4の冗長切替過渡期に、下位カード運用系(旧運用系)3で削除した通信リソースを不要通信リソースとしてリストアップし、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4が起動完了した後に、下位カード待機系(新運用系)4に残存する不要通信リソースを削除するように構成したので、下位カード待機系(新運用系)4に移行してしまった不要通信リソースをソフトウェア的に効率良く削除することが可能となり、同通信リソースを使用した場合に呼損とならず正常な通信を可能とすることができる。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態2に係る移動通信システムの構成は、図1に示す実施の形態1に係る移動通信システムの構成と同様であるため、以下図1を参照しながら説明を行う。
なお、通信リソース生成・削除部7は、下位カード運用系(旧運用系)3に対して通信リソース削除要求を行った後、所定時間内に、下位カード運用系(旧運用系)3からリソース削除の成功を示す応答がなかった場合に、応答タイムアウトを検出する。通信リソース生成・削除部7は、応答タイムアウトを検出した場合には、その旨を監視制御カード6および不要通信リソース削除部9に通知する。なお、応答タイムアウトを検出した場合には、該当する通信リソースをメモリ10から削除しない。
【0032】
また、不要通信リソース削除部9は、通信リソース生成・削除部7により応答タイムアウトが検出された場合に、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4が起動完了した後に、この下位カード待機系(新運用系)4に対して、応答タイムアウトが検出された通信リソースの削除を要求する。
【0033】
次に、上記のように構成された基地局装置1において、下位カード運用系(旧運用系)3に障害が発生した場合での動作について説明する。
図3はこの発明の実施の形態2に係る基地局装置1の動作を示すシーケンス図である。なお以下では、下位カードとして、N+1系、0/1系カード冗長構成を実現する下位カード3,4を用い、下位カード運用系(旧運用系)3から下位カード待機系(新運用系)4に冗長切替を行う場合について示す。
【0034】
基地局装置1の動作では、図3に示すように、まず、基地局装置1は、移動局装置2により通信が開始されたタイミングで、通信リソースの生成を行う(ステップST31)。このステップST31では、まず、通信リソース生成・削除部7は、移動局装置2により通信が開始されたタイミングで、下位カード運用系(旧運用系)3に対して、この移動局装置2に対する通信リソースの生成要求(通信リソース生成要求25)を行う。次に、下位カード運用系(旧運用系)3は、通信リソース生成要求25に応じて、この移動局装置2に対する通信リソースを生成する。ここで、下位カード運用系(旧運用系)3は、リソース生成に成功した場合には、その旨を示す通信リソース生成応答26を通信リソース生成・削除部7に送信する。次に、通信リソース生成・削除部7は、通信リソース生成応答26に応じて、この通信リソースをメモリ10に記録する。
【0035】
また、基地局装置1は、移動局装置2により通信が終了されたタイミングで、通信リソースの削除を行う(ステップST32)。このステップST32では、まず、通信リソース生成・削除部7は、移動局装置2により通信が終了されたタイミングで、下位カード運用系(旧運用系)3に対して、この移動局装置2に対する通信リソースの削除要求(通信リソース削除要求27)を行う。
しかしながら、下位カード運用系(旧運用系)3に障害が発生した場合には、通信リソース削除要求27が到達しない。そのため、下位カード運用系(旧運用系)3ではリソース削除を実施することはできず、通信リソース生成・削除部7は、通信リソース削除応答を受けることなく応答タイムアウトを検出する(ステップST33)。通信リソース生成・削除部7は、応答タイムアウトを検出した旨を監視制御カード6および不要通信リソース削除部9に通知する。
【0036】
次いで、基地局装置1は、下位カード運用系(旧運用系)3の障害発生を契機に、下位カード3,4の冗長切替を開始する(ステップST34)。このステップST34では、監視制御カード6は、下位カード運用系(旧運用系)3の障害発生を契機に、通信制御カード5に対して、下位カード3,4の冗長切替を指示する。これにより、下位カード3,4および通信制御カード5は冗長切替を開始する。
【0037】
まず、基地局装置1は、移行対象リソースを選択する(ステップST35)。このステップST35では、通信リソース移行部8は、監視制御カード6からの通信リソース移行要求28に応じて、メモリ10に記録されている通信リソースの中から移行対象の通信リソースを選択する。
【0038】
次いで、基地局装置1は、選択した通信リソースを移行する(ステップST36)このステップST36では、まず、通信リソース移行部8は、下位カード待機系(新運用系)4に対して、選択した通信リソースの移行要求(通信リソース移行要求29)を行う。次に、下位カード待機系(新運用系)4は、通信リソース移行要求29に応じて、選択された通信リソースを移行する。ここで、下位カード待機系(新運用系)4は、リソース移行に成功した場合には、その旨を示す通信リソース移行応答30を通信リソース移行部8に送信する。次に、通信リソース移行部8は、通信リソース移行応答30に応じて、リソース移行が完了したことを示す情報を、メモリ10に記録されている該当する通信リソースに対応付けて、順次、記録する。
【0039】
次いで、基地局装置1は、リソース移行が全て完了した後、下位カード待機系(新運用系)4を新たな運用系として認識する(ステップST37)。このステップST37では、まず、通信リソース移行部8は、移行対象の通信リソースの移行が完了した後、その旨を示す通信リソース移行応答31を監視制御カード6に送信する。次に、監視制御カード6は、通信リソース移行応答31に応じて、冗長切替完了要求32を通信制御カード5に送信する。次に、通信制御カード5は、冗長切替完了要求32に応じて、下位カード待機系(新運用系)4を新たな運用系として認識する。
【0040】
次いで、基地局装置1は、要求リトライを実施する(ステップST38)。このステップST38では、まず、不要通信リソース削除部9は、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4に対して、応答タイムアウトが検出された通信リソースの削除要求(通信リソース削除要求33)を行う。次に、下位カード待機系(新運用系)4は、通信リソース削除要求33に応じて、該当する通信リソースを削除する。ここで、下位カード待機系(新運用系)4は、リソース削除に成功した場合には、その旨を示す通信リソース削除応答34を不要通信リソース削除部9に送信する。次に、不要通信リソース削除部9は、通信リソース削除応答34に応じて、この通信リソースをメモリ10から順次、削除する。
これにより、下位カード運用系(旧運用系)3の障害発生により、下位カード運用系(旧運用系)3で削除することができなかった不要な通信リソースを、下位カード待機系(新運用系)4から削除することができる。
【0041】
次いで、基地局装置1は、冗長切替を完了する(ステップST39)。このステップST39では、通信制御カード5は、応答タイムアウトを検出した通信リソース全てに対してリソース削除が完了した後、監視制御カード6に対して、冗長切替完了応答35を送信する。以上の処理にて下位カードの冗長切替を完了する。
【0042】
以上のように、この実施の形態2によれば、下位カード運用系(旧運用系)3に障害が発生し、リソース削除が実施できなかった場合にも、新たに運用系となった下位カード待機系(新運用系)4が起動完了した後に、この通信リソースを下位カード待機系(新運用系)4から削除するように構成したので、下位カード待機系(新運用系)4に移行してしまった不要通信リソースをソフトウェア的に効率良く削除することが可能となり、同通信リソースを使用した場合に呼損とならず正常な通信を可能とすることができる。
【0043】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 基地局装置、2 移動局装置、3 下位カード運用系(旧運用系)、4 下位カード待機系(新運用系)、5 通信制御カード、6 監視制御カード、7 通信リソース生成・削除部、8 通信リソース移行部、9 不要通信リソース削除部、10 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信リソースの生成・削除を行う、冗長構成をとった下位カードと、
前記下位カードにより生成された通信リソースを記録するメモリと、
運用系の前記下位カードに対して、通信リソースの生成・削除を要求する通信リソース生成・削除部と、
前記下位カードの冗長切替を行う場合に、待機系の前記下位カードに対して、前記メモリに記録されている通信リソースの移行を要求する通信リソース移行部と、
冗長切替過渡期に、運用系の前記下位カードで削除された通信リソースを不要通信リソースとして記録し、新たに運用系となった前記下位カードが起動完了後に、当該新たに運用系となった下位カードに対して、前記不要通信リソースの削除を要求する不要通信リソース削除部と
を備えた基地局装置。
【請求項2】
前記通信リソース生成・削除部は、通信リソース削除要求後、所定時間内に、運用系の前記下位カードから当該通信リソースの削除の成功を示す応答が無い場合に応答タイムアウトを検出し、
前記不要通信リソース削除部は、前記通信リソース生成・削除部により応答タイムアウトが検出された場合に、新たに運用系となった前記下位カードが起動完了後に、当該新たに運用系となった下位カードに対して、前記応答タイムアウトが検出された通信リソースの削除を要求する
ことを特徴とする請求項1記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−90147(P2012−90147A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236267(P2010−236267)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】