説明

基板への電装部品取付構造

【課題】ランドと電装部品との間に半田を均一に分散させ、電装部品の傾きや位置ズレを防止することができる基板への電装部品取付構造を提供すること。
【解決手段】プリント基板1と、このプリント基板1上に形成されたランド10と、このランド10上に取り付けられる端子(導電部)5を有するLEDランプ(電装部品)2と、ランド10と端子5との間に介装される半田Hとを備えた基板への電装部品取付構造であって、半田Hは、複数の領域に分割されて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に形成されたランド上に半田を介して導電部を固定して電装部品を取り付ける電装部品取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線基板上にランドを形成し、このランド上に電装部品のリード端子を半田によって固定する電装部品取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電装部品取付構造では、一つのリード線が、ランド一面に塗布された半田上に配設されている。
【特許文献1】特開2002−33557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の電装部品取付構造では、リード線の一方の端部側に重心がかかっていると、この重心がかかっている一方の端部側に大きな荷重が作用し、その下側に位置する半田が押されてしまうことがあった。
【0005】
そのため、重心が比較的かかってない他方の端部側に向かって溶融した半田が流れてしまい、半田の上面に傾きが生じてしまうという問題が生じていた。
【0006】
また、半田の上面が傾くので、この半田によって固定される電装部品が傾いたり、位置ズレが生じたりする等の不具合が起こることがあった。
【0007】
そこで、この発明は、ランドと電装部品との間に半田を均一に分散させ、電装部品の傾きや位置ズレを防止することができる基板への電装部品取付構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、プリント基板と、このプリント基板上に形成されたランドと、このランド上に取り付けられる導電部を有する電装部品と、前記ランドと前記導電部との間に介装される半田とを備えた基板への電装部品取付構造であって、前記半田は、複数の領域に分割されて設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板への電装部品取付構造において、前記プリント基板は、前記ランドが形成された部分以外をレジストによって被覆され、前記ランドは破断部が設けられて複数に分割されると共に、前記破断部内に前記レジストが設けられ、前記半田はこの分割された複数のランドのそれぞれに対応した位置に設けられていることを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の基板への電装部品取付構造において前記導電部は複数に分割され、前記半田はこの分割された複数の導電部のそれぞれに対応した位置に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、半田が複数の領域に分割されて設けられているので、溶融した半田が大きく流動してしまうことを抑制することができる。
【0012】
これにより、ランドと電装部品との間に均一に半田を分散させ、電装部品の傾きや位置ズレの発生を防止することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、ランドを複数に分割すると共にこの分割されたランド間にレジストを設け、各ランドに対応して半田が設けられているので、半田の塗布領域を確実に分割すると共に、溶融した半田の大きな流動をより確実に抑制することが可能となる。
【0014】
請求項3の発明によれば、導電部を複数に分割し、分割された各導電部に対応して半田が設けられているので、半田の塗布領域を確実に分割すると共に、溶融した半田の大きな流動をより確実に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明に関わる基板への電装部品取付構造を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、プリント基板1の表面1aには、電装部品であるLEDランプ2が取り付けられている。
【0017】
このLEDランプ2は、樹脂製のランプ本体3と、このランプ本体3に取り付けられたLED4と、このLED4から延在された一対の端子(導電部)5(図3参照)とを有している。
【0018】
ランプ本体3は、矩形形状を呈しており、前面3aにLED4が配置される凹所3bが形成されると共に、後面3cの上下部にはそれぞれ延在部3d、3eが設けられている。
【0019】
また、LED4は凹所3bの中心に設けられ、一対の端子5はランプ本体3の内部を通って下方に位置する延在部3eの外側に露出している(図2参照)。この露出した一対の端子5は、図2に示すように、延在部3eの外周面に沿って後方に向かい、それぞれ延在部3eの上面側に至るまで延びている。
【0020】
そして、このLEDランプ2は、ランプ本体3の重量が延在部3d、3eの重量よりも大きくなっており、前後方向において中央よりも前側に重心が位置している。
【0021】
一方、プリント基板1は、エポキシ樹脂やベークライト等によって形成された絶縁性を有する板材である。
【0022】
そして、このプリント基板1の表面1aには、LEDランプ2の端子5が取り付けられるランド10が、端子5に対応して一対形成されている。また、これらのランド10が形成された部分以外のプリント基板1の表面1aには、プリント基板1を保護するレジスト11が設けられている。
【0023】
各ランド10は、図3に示すように、それぞれ平面視矩形状を呈しており、銅箔によって形成されている。なお、ランド10とプリント基板1との間には図示しない接着層が設けられ、この接着層によってランド10が接着固定されている。
【0024】
そして、各ランド10は、それぞれ長手方向中間部に破断部12が設けられ、この破断部12によってLEDランプ2の前側が固定される前部10aと、LEDランプ2の後側が固定される後部10bとに分割されている。
【0025】
なお、各ランド10は、前部10aの面積の方が後部10bの面積よりも大きくなるように分割されている。
【0026】
レジスト11は、絶縁性を有する被覆材であり、プリント基板1に不要な半田Hが付着しないように保護するためのものである。
【0027】
また、このレジスト11はランド10とほぼ同等の厚みを有し、図1に示すように、ランド10の周囲及び破断部12に一体に設けられている。
【0028】
さらに、ランド10とLEDランプ2の端子5との間には、図2に示すように半田Hが介装されている。
【0029】
この半田Hは、分割されたランド10の前部10a及び後部10bのそれぞれに対応して設けられ、破断部12によって分割されている。これにより、半田Hは、ランド10の前部10aに対応した領域と、ランド10の後部10bに対応した領域とに分割されている。
【0030】
次に、この発明の基板への電装部品取付構造の作用について説明する。
【0031】
プリント基板1にLEDランプ2を取り付けるには、まず、プリント基板1を成形する。
【0032】
このプリント基板1の成形は、まずあらかじめ表面1aの全面に銅箔が張り付けられたプリント基板1に、マスクパターンを焼き付ける。
【0033】
そして、エッチングによってマスクパターンで覆われた部分以外の銅箔を溶解させ、その後、マスクパターンを除去する。これにより、所定の形状の一対のランド10が形成される。
【0034】
なお、このとき各ランド10には破断部12が設けられ、この破断部12を境にそれぞれのランド10は前部10aと後部10bとに分割されている。
【0035】
そして、ランド10が形成された部分以外のプリント基板1の表面1aにレジスト11を塗布し、プリント基板1の表面1aを保護する。このレジスト11は破断部12にも一体に塗布される。このように、プリント基板1が成形される。
【0036】
次に、成形されたプリント基板1に形成されたランド10の上面にペースト状の半田(クリーム半田)Hを塗布する。ここで、ランド10は、破断部12によって前部10aと後部10bとに分割されているので、このランド10上に塗布された半田Hは、ランド10の前部10aに対応した領域と、ランド10の後部10bに対応した領域とに分割される。
【0037】
なお、破断部12にはレジスト11が設けられているので、この破断部12に半田Hが塗布されることが防止され、ランド10の前部10aに対応した領域と、ランド10の後部10bに対応した領域とに分割された半田Hが一体になることはない。
【0038】
そして、ランド10の前部10aにLEDランプ2の前側を対向させ、後部10bにLEDランプ2の後側を対向させた状態で、このLEDランプ2をランド10上にマウントする。このとき、端子5がランド10の内側に位置するように位置決めされる。
【0039】
最後に、半田Hを溶融させてランド10に端子5を固定し、プリント基板1にLEDランプ2をとりつける。
【0040】
ここで、このLEDランプ2は、前後方向において中央よりも前側に重心が位置しているため、ランド10の前部10aに後部10bよりも大きい力が加わることとなる。
【0041】
このとき、半田Hは、ランド10の前部10aに対応した領域と、ランド10の後部10bに対応した領域とに分割されているため、ランド10の前部10aにより大きな力が加わっても、溶融した半田Hがランド10の前部10aに対応した領域から後部10bに対応した領域に向かって流動することはない。
【0042】
このように、溶融した半田Hの大きな流動を抑制することができるので、ランド10とLEDランプ2の端子5との間に均一に半田Hを分散させることができ、LEDランプ2が傾いたり、位置ズレを生じたりすることを防止できる。
【0043】
また、ランド10を破断部12によって前部10aと後部10bとに分割すると共に、この破断部12にレジスト11を設け、分割された各ランド10の前部10a、後部10bに対応して半田Hが設けられている。
【0044】
そのため、半田Hの塗布領域を容易且つ確実に分離することができ、溶融した半田Hの流動をさらに確実に防止することができる。
【0045】
さらに、上述のランド10では、前部10aの面積の方が後部10bの面積よりも大きくなっているので、前部10aに加わった力によって溶融した半田Hが押されても、この半田Hがはみ出すことを防止できる。
【0046】
そして、ランド10の後部10b側では、この後部10bに対応した領域に設けられた半田Hの表面張力により、LEDランプ2にこの後部10bに向う力が作用する。そのため、LEDランプ2が後方に引っ張られ、ランド10の前部10aにLEDランプ2の全重量が加わることがなくなり、さらに半田Hのはみ出しを確実に防止することができる。
【0047】
すなわち、電装部品であるLEDランプ2の重心が作用する側(この場合前部10a)の半田Hを塗布する領域面積を大きくし、重心が作用しない側(この場合後部10b)の半田Hを塗布する領域面積を小さくする。
【0048】
これにより、LEDランプ2の重み(重心)により重心が作用する側の半田Hが押されても、この押された半田Hの塗布領域からのはみ出しが防止されると共に、重心が作用しない側の半田Hの表面張力によりLEDランプ2の重心位置がずれて、さらに重心が作用する側の半田Hのはみ出しを防止することができる。
【0049】
そして、電装部品の重心の位置に応じて分割される半田Hの割合を適宜調節することで、さらに均一に半田Hを分散させることができる。
【0050】
以上、この発明にかかる実施の形態の一つを図面により詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限らない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等はこの発明に含まれる。
【0051】
上述の実施の形態では、半田Hが塗布されるランド10を破断部12によって分割することにより、半田Hの塗布領域を分割しているが、図4に示すように、LEDランプ2の端子5´を分割し、この分割された端子5´の各々に対応して半田Hを設けることにより、この半田Hの塗布領域を分割してもよい。
【0052】
この場合、端子5´を、LEDランプ2の前側に位置する前部5aとLEDランプ2の後側に位置する後部5bとに分割する。そして、この前部5aと後部5bとにそれぞれ半田Hを塗布してから、ランド10上にLEDランプ2をマウントして半田Hを溶融して半田付けする。
【0053】
これにより、半田Hの塗布領域が分割された端子5´によって確実に分割され、溶融した半田Hの大きな流動をより確実に抑制することができる。
【0054】
また、上述の実施の形態では、半田HをLEDランプ2の前後方向に沿って二分割しているが、これに限らず、3箇所以上に分割してもよいし、LEDランプ2の左右方向に沿って分割してもよい。
【0055】
さらに、電装部品はLEDランプ2に限らず、例えばトランジスタやコンデンサ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明に係る基板への電装部品取付構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す基板への電装部品取付構造を示す断面図である。
【図3】図1に示す基板への電装部品取付構造を示す平面図である。
【図4】この発明に係る基板への電装部品取付構造の別実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 プリント基板
2 LEDランプ(電装部品)
5 端子(導電部)
10 ランド
H 半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、このプリント基板上に形成されたランドと、このランド上に取り付けられる導電部を有する電装部品と、前記ランドと前記導電部との間に介装される半田とを備えた基板への電装部品取付構造であって、
前記半田は、複数の領域に分割されて設けられていることを特徴とする基板への電装部品取付構造。
【請求項2】
前記プリント基板は、前記ランドが形成された部分以外をレジストによって被覆され、
前記ランドは破断部が設けられて複数に分割されると共に、この破断部内に前記レジストが設けられ、前記半田はこの分割された複数のランドのそれぞれに対応した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板への電装部品取付構造。
【請求項3】
前記導電部は複数に分割され、前記半田はこの分割された複数の導電部のそれぞれに対応した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板への電装部品取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−311438(P2007−311438A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137171(P2006−137171)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】