基板ケースと、この基板ケースの封止判定システム
【課題】 ケース本体の封止が不正に解かれたか否かを確実に監視できる基板ケース、及び、これを用いた封止判定システムを提供する。
【解決手段】 基板ケース1には、封止部20が設けられ、この封止部20内では、ワンウエイネジ7をねじ込むと、ICタグが封止部20を構成する第2封止片22側から第2封止片22に移動し、ワンウエイネジ7が封止部20内で固定されることにより、ICタグは、一方が第1封止片21側、他方が第2封止片22側で固定される。すると、封止部20の一部を切断するなどして基板ケース1を開けると、ICタグが引きちぎられて通信不能となる。そのため、この基板ケース1では、ICタグが通信不能になっているか否かを封止判定システムにより検出することにより、不正に開封されたか否かを容易に把握することができる。
【解決手段】 基板ケース1には、封止部20が設けられ、この封止部20内では、ワンウエイネジ7をねじ込むと、ICタグが封止部20を構成する第2封止片22側から第2封止片22に移動し、ワンウエイネジ7が封止部20内で固定されることにより、ICタグは、一方が第1封止片21側、他方が第2封止片22側で固定される。すると、封止部20の一部を切断するなどして基板ケース1を開けると、ICタグが引きちぎられて通信不能となる。そのため、この基板ケース1では、ICタグが通信不能になっているか否かを封止判定システムにより検出することにより、不正に開封されたか否かを容易に把握することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の制御用の回路基板を収納する基板ケース及び、この基板ケースの封止判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の制御用の回路基板は、不正を防止するため、封止された基板ケース内に収納された状態で遊技機の裏面側に取り付けられるのが一般的である。
この基板ケース200は、図13に示すように、上下2つのケース部材210,220で構成されており、回路基板230は、これらケース部材210,220を合わせたケース本体内240にできる内部空間241内に収納される。
【0003】
また、この基板ケース200を構成する各ケース部材210,220には、これらケース部材210,220が合わされたときに組み合わされて封止部250を構成する封止片251,252がそれぞれ設けられている。
【0004】
ケース本体240の封止は、ケース部材210,220を合わせたときに封止部250を構成する各封止片251,252にネジ260を通し、これら封止片251,252をネジ止めすることによって行われる。
【0005】
また、この基板ケース200は、封止部250の封止が解かれたか否かを判定するため、図13に示すように、封止部250内にICタグ270を備えている(特許文献1)。
これは、この封止部250が切り取られて不正に封止が解かれると、ICタグ270が破損して通信できなくなるので、ICタグ270を通信できるか否かを判定することにより、不正に封止が解かれていないか監視するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−113812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の基板ケース200は、図13に示すように、封止部250を構成する一方の封止片252の側にのみICタグ270が設けられていた。
このため、ICタグ270が設けられていない側の封止片252が、ケース本体240と、ネジ止め部分との間(記号αの部分)の位置で切断されると、ICタグ270が切断されることなくケース本体240の封止を不正に解くことができてしまい、ケース本体240の封止が不正に解かれたか否かを確実に監視することはできないという問題があった。
【0008】
そこで本発明では、上述の問題点を解決し、ケース本体の封止が不正に開けられた否かを確実に監視できる基板ケース、及び、これを用いた封止判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するためになされた発明である請求項1に記載の基板ケースは、第1ケース部材に第2ケース部材を組み合わせることによって、回路基板を収納可能な内部空間内を形成するケース本体と、
前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを組み合わせとき、前記第1ケース部材に設けられた第1封止片と、前記第2ケース部材に設けられた第2封止片とが組み合わされて形成される封止部と、
前記封止部内に配置された通信手段と、
を備え、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とに挿入されると、これら封止片を分離不能に止める封止具を用いて、前記封止部を構成する前記第1封止片と前記第2封止片とを止めることで、前記回路基板を前記ケース本体内に封止する基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
前記第1封止片に一部が固定されており、
前記封止部を前記封止具で止めると、前記第2封止片に他の部分が固定される
ことを特徴とする。
【0010】
この基板ケースは、封止部から分離不能な封止具を用いて、封止部を構成する第1封止片及び第2封止片を止めている。そのため、この基板ケースは、封止具を封止部を取り外してケース本体を開けることができない。
【0011】
また、この封止具を用いて第1封止片と第2封止片とを止めると、通信手段が第1封止片と第2封止片とに固定される。そのため、封止部が封止具で止められた状態でケース本体を開けようとすると、通信手段が切断され、通信手段は外部と通信できなくなる。
【0012】
従って、この基板ケースは、ケース本体が不正に開けられたりすると通信手段が確実に破損して通信不能となるので、ケース本体の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができる。
【0013】
なお、封止具としては、例えばワンウエイネジでもよいが、その他のものでもよい。
次に、請求項2に記載した基板ケースは、
請求項1に記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
長尺状に形成されており、
長手方向の一端が前記第1封止片に固定されており、
前記封止具は、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とを止めるため前記封止部に挿入されると前記通信手段の長手方向の他端を押し、前記封止部を止めると該他端を前記第2封止片に固定することを特徴とする。
【0014】
このようにすると、基板ケースの製造時には、通信手段を第1封止片に固定しておくだけでよく、しかも、基板ケースの封止時には、封止具で封止部を止めれば、通信手段を第2封止片にも固定することができる。
【0015】
従って、本発明の基板ケースを用いれば、従来の基板ケースと同様、製造の段階では、第1封止片の側に通信手段を設けるだけの簡単な構造とすることができる。
しかも、本発明の基板ケースは、ケース本体の封止時には、通信手段が第1封止片にも第2封止片にも固定されるので、ケース本体の封止が不正に開かれたか否かを確実に検出することができる。
【0016】
尚、請求項2に記載した発明の具体例としては、請求項3に記載した発明のように、通信手段の他端に、封止具として用いられるネジの軸部を挿通可能な挿通孔が形成された挿通部を備え、ネジには、軸部の外周から突設され、軸部の軸周りに形成されたフランジ部を備える構成としてもよい。この場合、通信手段の他端は、フランジ部よりも先端側にあるネジの軸部が挿通部に通され、挿通部がフランジ部に押されて第2封止片側に移動し、ネジの軸部の先端が第2封止片に螺入されることによって第2封止片側で止められる。
もちろん、これは一例であり、他の形状としてもよい。
【0017】
次に、請求項4に記載した基板ケースのように、通信手段は、ICタグと、ICタグを収納するICタグ収納具とを備える構造としてもよい。この場合、請求項3で記載したリングは、ICタグ収納具に形成されていればよい。
【0018】
尚、通信手段としてはICタグそのものを用いてもよいことはもちろんである。この場合、長手方向の一端にリングを有するICタグを用いることが好ましい。
次に、請求項5に記載した基板ケースのように、封止具は、封止を確実に行うため、ワンウエイネジを用いることが好ましい。
【0019】
次に、上記基板ケースを用いた封止判定システムについて説明する。
請求項6に記載された封止判定システムは、請求項1〜5のいずれか記載の基板ケースと、前記基板ケースに備えられた前記通信手段と通信可能か判定する通信判定手段と、前記通信判定手段が前記通信手段と通信できない場合、報知する第1報知手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
この封止判定システムでは、基板ケースで封止が解かれると、通信判定手段が基板ケースに備えられた通信手段と通信することができなくなる。そしてこの通信ができなくなると第1報知手段によって報知がなされるので、基板ケースで封止が解かれたことを、店員等がいち早く知ることができる。
【0021】
尚、通信判定手段は、遊技機や島等に設置されていてもよいし、店員等が持ち運び可能な可搬装置に備えられていても良い。また、第1報知手段は、遊技機や島、ホールコンピュータなどに備えられていても良いし、前述した可搬装置に備えられていても良い。
【0022】
次に、請求項7に記載された封止判定システムは、前記封止部が複数備えられた前記基板ケースで使用される請求項6に記載の封止システムであって、前記各通信手段と通信し、予め定めた複数の第2報知情報のうち前記各通信手段に予め記憶させておいた前記第2報知情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した情報が、予め定めた複数の前記第2報知情報のうちのいずれかでない場合、報知する第2報知手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
この封止判定システムでは、複数の通信手段と通信を行った際、通信手段が不正に取り替えられるなどした場合、受信した情報には予め定めた複数の前記第2報知情報のうちのいずれか(例えば連番情報)でない情報が受信されるので、そのような場合、第2報知手段により報知がなされる。
【0024】
従って、この封止判定システムを用いると、封止部が不正に解かれたことばかりでなく、不正を見抜かれないようにするためにICタグの交換などが行われる不正が行われても、そのような不正についても、店員等がいち早く知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の基板ケースの斜視図である。
【図2】ワンウエイネジの正面図である。
【図3】(a)が第1ケース部材11を図1の矢印Aで示すように上方から見た図であり、(b)が第1ケース部材11を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図であり、(c)が第2ケース部材12を図1の矢印Cで示すように下方から見た図であり、(d)が第2ケース部材12を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図で、(a)〜(d)では、一部を透過図で示している。
【図4】封止部20、及び、ICタグ収納具5の斜視図である。
【図5】(a)基板ケース1の平面図と、(b)(a)図のα-α’断面で切断した封止部20部分の断面図である。
【図6】第2封止片22を斜め下方から見た斜視図である。
【図7】基板ケースの組み立て手順を示した図で、図7については、図1の矢印Bの方向から見た透過側面図で示している。
【図8】基板ケースの組み立て手順を示した図で、図5(a)のα−α’断面図で示している。
【図9】封止部が不正に切断される様子を説明するための説明図である。
【図10】封止判定システムのブロック図である。
【図11】ホールコンピュータ94で実行される封止状態監視処理のフローチャート(S200前)である。
【図12】ホールコンピュータ94で実行される封止状態監視処理のフローチャート(S200後)である。
【図13】従来の基板ケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本願発明が適用された実施形態について説明する。
[1.基板ケースの全体構造]
本実施形態の基板ケースの全体構造について説明する。
【0027】
ここで、図1は、基板ケースの斜視図である。
本実施形態の基板ケース1は、図1に示すように、2つのケース部材11,12を備えており、第1ケース部材11は上面が開口した箱形のケース部材であり、第2ケース部材12は下面が開口した箱形のケース部材である。
【0028】
この第1ケース部材11の上面と、第2ケース部材12の下面とを合わせると、周囲側面に、これらケース部材11,12を合わせることによって生ずる割れ目13を有する直方体状のケース本体10が形成される。そして、このケース本体10内には、回路基板を収納する密閉された内部空間14が形成される。
【0029】
第1ケース部材11の周囲側面のうち、上面の長手方向(以下「左右方向」という)に垂直な各側面には、上面との稜線に沿って並べられ(この並び方向を以下「前後方向」という)、かつ、各側面から垂直に立設された4つの第1封止片21がそれぞれ設けられている。尚、左右方向及び前後方向に垂直な方向を上下方向と呼ぶ。
【0030】
また、第2ケース部材12の周囲側面のうち、下面の長手方向(左右方向)に垂直な各側面にも、下面との稜線に沿って並べられ、かつ、各側面から垂直に立設された4つの第2封止片22がそれぞれ設けられている。
【0031】
本実施形態の基板ケース1は、各ケース部材11、12を重ねたとき、これら各封止片21,22が組み合わされ、左右方向に垂直なケース本体10の各封止面から垂直に立設された封止部20が形成されている。
【0032】
本実施形態の基板ケース1は、第1封止片21及び第2封止片22に後述するワンウエイネジ7を通して各封止部20をネジ止めすることにより、回路基板がケース本体10内に封止される。
[2.ワンウエイネジ]
次に、ワンウエイネジについて説明する。
【0033】
ここで、図2は、ワンウエイネジの正面図である。
本実施形態で用いるワンウエイネジ7は、図2に示すように、軸70の先端の2/5ほどの部分にねじ切り溝71が形成されており、軸70の後端にヘッド72が設けられている。そして、ねじ切り溝71のヘッド72側の端部の軸70の周りには、ヘッド72よりも小径なリング状のフランジ部73を備えている。
【0034】
このワンウエイネジ7は、周知の通りねじ切り溝71が特殊な形状に形成されており、対象物に螺合させると、外すことができないネジである。
[3.ケース本体の詳細な構造]
次に、ケース本体10の構造について説明する。
【0035】
ここで、図3は、(a)が第1ケース部材11を図1の矢印Aで示すように上方から下方を見た図であり、(b)が第1ケース部材11を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図であり、(c)が第2ケース部材12を図1の矢印Cで示すように下方から上方を見た図であり、(d)が第2ケース部材12を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図で、(a)〜(d)では、一部を透過図で示している。
【0036】
図4は、封止部20、及び、ICタグ収納具5の斜視図である。
図5は、(a)基板ケース1の平面図と、(b)(a)図のα-α’断面で切断した封止部20部分の断面図である。
【0037】
図6は、第2封止片22を斜め下方から見た斜視図である。
尚、図3〜図6では、図面の見栄えのため、同一構成の符号について一部省略し、また、説明に不要な符号については一部省略している。
[3−1.第1ケース部材11]
ケース本体10は、上述したように、上下のケース部材11,12で構成されている。
【0038】
このうち、第1ケース部材11は、図3(a)(b)に示すように、上面の開口110の周囲で、第1ケース部材11の厚みによって生じる面111のうち左右方向に沿った面上に、左方向から右方向に向かって鍵の先が延びた鍵状部112を備えている。
【0039】
また、第1ケース部材11は、第2ケース部材12と合わせるときに第2ケース部材12の内部空間内に挿入されて位置あわせを行うため、開口110の左右方向の縁に沿って設けられた帯部113を備えている。
[3−2.第2ケース部材12]
第2ケース部材12は、図3(c)(d)に示すように、下面の開口120の周囲で、第2ケース部材12の厚みによって生じる面のうち左右方向に沿った面121上に、鍵状部112に係合する係合部122が形成されている。
【0040】
本実施形態では、第2ケース部材12を第1ケース部材11に対しやや右方向にずらして合わせ、その状態で第2ケース部材を左方向に移動させると、この係合部122が鍵状部112に係合して、第2ケース部材12が第1ケース部材11から外れない状態となる。
【0041】
また、第2ケース部材12の面121には、鍵状部112を係合部122に係合させるために、鍵状部112を係合部122に係合していない位置から係合する位置に移動させるための空間が必要である。そのため、第2ケース部材12の面121には、鍵状部112を係合部122に係合させるための移動用の係合溝123が各係合部122毎に形成されている。
[3−3.第2封止片22、ICタグ収納具5]
第2ケース部材12が備える第2封止片22は、図3(c)に示すように、第2ケース部材12の内部空間124内まで延設されており、図3(d)に示すように、補強材125で内部空間124内に固定されている。
【0042】
また、第2封止片22は、棒状に形成された柄部221の長手方向の両端のうち外側の先端に、ワンウエイネジ7をねじ込むため、他の部分と異なり軸方向が上下方向に一致する円筒状に形成された円筒部222を備えている。
【0043】
また、第2封止片22は、下面にICタグを収納した後述するICタグ収納具を嵌め込むための溝223が設けられている。
このICタグ収納具5は、図4に示すように、長尺に形成された柄部50の先端に、ワンウエイネジ7の先端部分を通す大きさの孔を有するリング状部51を備えている。そして、柄部50内には、長尺なICタグ52が柄部50の長手方向に沿って備えられている。
【0044】
第2封止片22に形成された溝223は、ICタグ収納具5のリング状部51が、円筒部222と同軸となる位置に配置可能に形成され、柄部50が第2封止片22の柄部221の長手方向に沿って配置されるように形成されている。
【0045】
また、ICタグ収納具5は、図5に示すように、第2ケース部材12が第1ケース部材11に合わされたとき、リング状部51が第1封止片21側に移動できるよう、図4に示すように、柄部50の他端側に形成されたボッチ部53を、第2封止片22に形成されたボッチ孔227に嵌め込むことで、柄部50の他端側が第2封止片22に形成された溝内で、回転可能に固定されている。
【0046】
また、第2封止片22の円筒部222は、図5に示すように、ワンウエイネジ7のフランジ部73(図2参照)を挿通可能な挿通孔226が円筒部222と同軸となるように形成されている。
【0047】
そのため、この第2封止片22の挿通孔226にワンウエイネジ7を通すと、フランジ部73ごと挿通孔226を通り、ワンウエイネジ7の先端部が、図6に示すように、ICタグ収納具5のリング状部51の孔を通る。そして、この状態でさらにワンウエイネジ7を押すと、フランジ部73がリング状部51を押すので、ICタグ収納具5を回動させ、リング状部51を第1封止片21側に移動することができる。
[3−4.第1封止片21]
第1ケース部材11が備える第1封止片21は、図3(a)に示すように、第1ケース部材11の内部空間114内まで延設されており、図3(b)に示すように、補強材115で第1ケース部材11内に固定されている。
【0048】
また、第1封止片21は、棒状に形成された柄部211の長手方向の両端のうち外側の先端に、ワンウエイネジ7をねじ込むため、他の部分と異なり軸方向が上下方向に一致する円筒状に形成された円筒部212を備えている。
【0049】
また、第1封止片21は、ワンウエイネジ7に押されてきたICタグ収納具5を第2封止片22内で移動させるための溝213が設けられている。
また、第1封止片21の円筒部212には、ワンウエイネジ7の先端が螺合される螺合孔216が円筒部212に同軸状に形成されている。
【0050】
そのため、ワンウエイネジ7に押されてICタグ収納具5が移動してきても、ICタグ収納具5を第2封止片22内に引き込むことができ、しかも、リング状部51の孔に通されたワンウエイネジ7の先端を螺合孔216に螺合させることで、ICタグ収納具5のリング状部51を第1封止片21内で固定することができる。
[4.組み立て方法]
次に、本実施形態の基板ケース1の組み立て方法について説明する。
【0051】
ここで、図7及び図8は、基板ケースの組み立て手順を示した図で、図7については、図1の矢印Bの方向から見た透過側面図で示しており、図8は、図5(a)のα−α’断面図で示している。尚、図7〜図8では、図面の見栄えのため、同一構成の符号について一部省略し、また、説明に不要な符号については一部省略している。
【0052】
本実施形態の基板ケース1に、遊技機の制御用の回路基板6を収納する場合、第1ケース部材11内に回路基板6を収納し、図7(a)に示すように、第2ケース部材12を第1ケース部材11に対しやや右方向にずらして重ねる。
【0053】
すると、図7(b)に示すように、第2ケース部材12は、鍵状部112が係合溝123内に収納された状態で、第1ケース部材11が第2ケース部材12に重ねられる。
そして、図7(c)に示すように、第2ケース部材12を左方向にずらせば、係合溝123内で鍵状部112が移動して係合部122と係合する。またこのとき、第1封止片21と第2封止片22も、円筒部212,222にワンウエイネジ7を挿入可能に組み合わせられる。
【0054】
次に、図7(d)に示すように、各封止部20の円筒部212、222にワンウエイネジ7を挿入する。すると図8(a)に示すように、ワンウエイネジ7の先端がリング状部51の孔部を通り、ICタグ収納具5のフランジ部73がリング状部51に当たる。そしてさらに、ワンウエイネジ7を挿入すると、フランジ部73がリング状部51を押して第2封止片22から第1封止片21に移動させ、ワンウエイネジ7の先端が円筒部212に螺合されると、第1封止部21内で固定される。
【0055】
すると、第2ケース部材12が第1ケース部材11に対して右方向にずれなくなるので、ケース本体10が封止される。
また、ICタグ収納具5内に収納されたICタグ52は、一端が第1封止片21内で固定され、他端が第2封止片22内で固定されることとなる。
[5.効果]
上述した基板ケース1は、下記のような技術的な特徴がある。
【0056】
基板ケース1は、封止部20がネジ止めされたときに、ICタグ収納具5の一端が第1封止片21に固定され他端が第2封止片22に固定されるので、図9(b)に示すように、ICタグ収納具5を切ってしまった場合はもちろん、図9(a)に示すように、ICタグ収納具5を切らないように封止部20の一部を切断しても、ケース本体10を開ける際にICタグ収納具5の両端が各封止片21,22に引っ張られて、ICタグ収納具5内に収納されたICタグ52がちぎれ、ICタグ52が通信不能になる。
【0057】
従って、この基板ケース1は、ケース本体10の封止が解かれるとICタグ52が確実に破損して通信不能となるので、ケース本体10の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができる。
【0058】
また、上述した基板ケース1は、第2封止片22の側にICタグ収納具5を設置しておけば、ネジ止めのときに、ICタグ収納具5の一端が第1封止片21の側に移動して固定される。
【0059】
従って、本実施形態の基板ケース1を用いれば、従来の基板ケースと同様、封止前は、一方の封止片22の側にのみICタグを設置するだけの簡単な構造とすることができる。
しかも、本実施形態の基板ケース1は、このような簡単な構造にも関わらず、ケース本体10の封止時には、ICタグ収納具5の他端が第2封止片22で固定され、ICタグ収納具5の一端が第1封止片21内で固定されるので、ケース本体10の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができる。
【0060】
ところで通常、遊技機の基板ケース1は、複数回の検査が行われ、そのたびに封止が解かれ、検査後に再び封止が行われる。
しかし、本実施形態の基板ケース1は、封止部20を複数備えているので、複数回検査が行われても、検査後に、ケース本体10の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができるように、複数回封止することができる。
[6.封止判定システム]
次に、上述した基板ケース1を用いて構成される封止判定システムについて説明する。
【0061】
ここで、図10は、封止判定システムのブロック図である。尚、符号1、及び、91〜93に相当する構成については、代表する1つの構成を除いて他の構成については符号を省略している。
[6−1.封止判定システムのブロック図]
パチンコホール内には、図10に示すように、複数の遊技島90が設置されている。
【0062】
各遊技島90には、長手方向に沿った両面に複数の遊技機91が設置されており、各遊技機91の裏面(遊技島90内側の面)には、基板ケース1と、ICタグと無線通信する無線通信装置92が設置されている。
【0063】
また、各遊技島90には、各遊技島90を管理する管理装置93が設置され、管理装置93は、この管理装置93が設置された同じ遊技島90に備えられている遊技機91の基板ケース1及び無線通信装置92と、遊技島90内の通信ケーブルで通信可能に接続されている。
【0064】
本実施形態で用いるICタグ収納具5に収納されたICタグ52は、受動型のICタグなので、無線通信装置92がこのICタグ52と通信するときは、無線通信装置92の側からICタグ52に信号を送ると、この信号の磁界によって発生する起電力によってICタグ52から無線通信装置92に返信用の信号が送られる。このように、管理装置93は、この無線通信装置92を使用して、ICタグ52と通信を行う。
【0065】
次に、パチンコホール内には、遊技島90の他に、パチンコホール全体を統括するホールコンピュータ94が設置されている。
このホールコンピュータ94は、各遊技島90の管理装置93と通信可能に接続されており、この管理装置93を介することで、パチンコホール内のすべての遊技機91に設置された基板ケース1が備えるICタグ52と通信することができる。
【0066】
また、ホールコンピュータ94は、基板ケース1が不正に開けられたときに報知を行う報知装置95を備えている。
[6−2.封止状態監視処理]
次に、封止判定システムで実行される封止状態監視処理について説明する。
【0067】
ここで、図11、12は、ホールコンピュータ94で実行される封止状態監視処理のフローチャートである。
尚、本実施形態では、封止状態監視処理を実行する前に、各遊技機91の基板ケース1に設置される各ICタグ52には、ケース本体10の左側及び右側のそれぞれで、前方側から後方側に向かって1〜4の連番情報が記憶されている。また、各遊技機91毎に設定された主ID情報が各ICタグ52に記憶されている。
【0068】
以下の封止状態監視処理の説明では、ICタグ52に、主ID情報と連番情報が記憶されているものとして説明する。
封止状態監視処理は、ホールコンピュータ94を起動すると、すべての遊技機91について順次実行される。そのため、1台の遊技機91では、他のすべての遊技機91に対して処理が終了するごとに繰り返し実行されるので、所定時間毎にこの処理が実行されることとなる。
【0069】
この封止状態監視処理がある遊技機91に対して開始されると、図11に示すように、管理装置93を介して無線通信装置92からICタグ52に信号が送られ、各ICタグ52から主ID情報と連番情報を受信する処理が実行される(S100)。
【0070】
そして、読み込まれた主ID情報が共通し、連番情報が4連番である場合(S110:YES)、欠損なしとして、欠損なしの表示をホールコンピュータ94で行い(S111)、後述するS200の処理を実行する。
【0071】
一方、3つのICタグ52から主ID情報と連番情報とを受信した場合(S110:NO)、S120の処理を実行する。
このS120では、3つのICタグ52から受信した主ID情報が同一であり、かつ、連番情報が4連番内かを判定する。
【0072】
この判定(S120)で、主ID情報が同一であり、連番情報が4連番内であると判定されると(S120)、一つの封止部20の封止が解かれていることを示す「1封止欠損記録」との表示をホールコンピュータ94で行い(S121)、後述するS200の処理を実行する。
【0073】
一方、2つのICタグ52から主ID情報と連番情報とを受信した場合(S120:NO)、S130の処理を実行する。
このS130では、2つのICタグ52から受信した主ID情報が同一であり、かつ、連番情報が4連番内かを判定する。
【0074】
この判定(S130)で、主ID情報が同一であり、4連番内であると判定されると(S130)、二つの封止部20の封止が解かれていることを示す「2封止欠損記録」との表示をホールコンピュータ94で行い(S131)、後述するS200の処理を実行する。
【0075】
一方、1つのICタグ52から主ID情報と連番情報とを受信した場合(S130:NO)、S140の処理を実行する。
この判定(S140)で、1つの主ID情報を検出し、連番情報が4連番内であると判定されると(S140:YES)、三つの封止部20の封止が解かれていることを示す「3封止欠損記録」との表示をホールコンピュータ94で行い(S141)、後述するS200の処理を実行する。
【0076】
一方、主ID情報と連番情報とが一つも受信できない場合(S140:NO)、「不正又は異常あり」の表示をホールコンピュータ94に対して行うとともに、報知音を報知装置95から出力させる処理(S150)を行って、封止状態監視処理を終了する。
【0077】
次に、S111、S121、S131、S141の処理が実行されると、S200の処理が実行されるので、このS200以下の処理を図12を用いて説明する。
S200では、S100の処理で、受信されることのないIDを受信したか否かを判定する処理が実行される。ICタグ52が不正に交換されるなどした場合、このようなIDを受信する可能性があるからである。
【0078】
この判定で、受信されることのないIDを受信したと判定されたら(S200:YES)、「余分なIDの検出有り」の表示をホールコンピュータ94に対して行い、報知装置95を用いて報知を出力する(S210)。
【0079】
一方、受信されることのないIDは受信していないと判定されたら(S200:NO)、直ちに封止状態監視処理を終了する。
[7.効果]
上述した封止鑑定システムを用いると、以下のような効果がある。
【0080】
この封止判定システムでは、基板ケース1で封止が不正に解かれると、ホールコンピュータ94が基板ケース1に備えられたICタグ52と通信することができなくなる。そしてこの通信ができなくなると「1封止欠損記録」等の報知がなされるので、基板ケース1で封止が不正に解かれたことを、店員等がいち早く知ることができる。
【0081】
また、この封止判定システムを用いると、封止部20が不正に解かれたことばかりでなく、不正を見抜かれないようにするためにICタグの交換などが行われる不正が行われても報知がなされるので(S210)、そのような不正についても、店員等がいち早く知ることができる。
[8.対応関係]
本実施形態のICタグ52を備えるICタグ収納具5は、本発明の通信手段に相当する。
【0082】
本実施形態のS110,S120,S130,S140の処理は、本発明の通信判定手段に相当し、本実施形態のS111,S121,S131,S141の処理は、本発明の第1報知手段に相当する。
【0083】
本実施形態のS100の処理が本発明の受信手段に相当し、S210の処理が本発明の第2報知手段に相当する。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、ICタグ52をICタグ収納具5に収納したが、ICタグそのものを、一端にリング状部を備えた形状に形成してもよい。
【0084】
上記実施形態では、ワンウエイネジ7を用いたが、このワンウエイネジ7に代えて、土台の一方の面から二叉状に2本の足が伸び、その足の先端が鈎状に形成された封止ピンを用いてもよい。この封止ピンを用いれば、第1封止片21及び第2封止片22を連通するように設けた挿通孔内に押し込むだけで、これらを止めることができる。
【0085】
封止部20は、上記実施形態では4個×2組の合計8個を備えているが、5個×2組、あるいは4個×1組など、製品によって、数も組数も変えてもよいことはもちろんである。
【0086】
本実施形態では、ICタグ52を用いたが、本実施形態を実施できるであれば、他のどのような通信具を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ワンウエイネジ7が第2封止片22に挿入されて第1封止片21に螺入されると、これに伴ってICタグ52の先端が移動して、ICタグ52が第1封止片21と第2封止片22に固定される例について説明したが、ワンウエイネジ7の挿入に伴って移動するのではなく、例えば、第1封止片21と第2封止片22とが合わせられると、ICタグ52が第1封止片21と第2封止片22とに固定されるように構成してもよい。
【0087】
本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0088】
1…基板ケース、5…ICタグ収納具、6…回路基板、7…ワンウエイネジ、10…ケース本体、11…第1ケース部材、12…第2ケース部材、13…割れ目、14…内部空間、20…封止部、21…第1封止片、22…第2封止片、50…柄部、51…リング状部、52…ICタグ、53…ボッチ部、70…軸、71…ねじ切り溝、72…ヘッド、73…フランジ部、90…遊技島、91…遊技機、92…無線通信装置、93…管理装置、94…ホールコンピュータ、95…報知装置、110…開口、111…面、112…鍵状部、113…帯部、115…補強材、120…開口、121…面、122…係合部、123…係合溝、125…補強材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の制御用の回路基板を収納する基板ケース及び、この基板ケースの封止判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の制御用の回路基板は、不正を防止するため、封止された基板ケース内に収納された状態で遊技機の裏面側に取り付けられるのが一般的である。
この基板ケース200は、図13に示すように、上下2つのケース部材210,220で構成されており、回路基板230は、これらケース部材210,220を合わせたケース本体内240にできる内部空間241内に収納される。
【0003】
また、この基板ケース200を構成する各ケース部材210,220には、これらケース部材210,220が合わされたときに組み合わされて封止部250を構成する封止片251,252がそれぞれ設けられている。
【0004】
ケース本体240の封止は、ケース部材210,220を合わせたときに封止部250を構成する各封止片251,252にネジ260を通し、これら封止片251,252をネジ止めすることによって行われる。
【0005】
また、この基板ケース200は、封止部250の封止が解かれたか否かを判定するため、図13に示すように、封止部250内にICタグ270を備えている(特許文献1)。
これは、この封止部250が切り取られて不正に封止が解かれると、ICタグ270が破損して通信できなくなるので、ICタグ270を通信できるか否かを判定することにより、不正に封止が解かれていないか監視するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−113812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の基板ケース200は、図13に示すように、封止部250を構成する一方の封止片252の側にのみICタグ270が設けられていた。
このため、ICタグ270が設けられていない側の封止片252が、ケース本体240と、ネジ止め部分との間(記号αの部分)の位置で切断されると、ICタグ270が切断されることなくケース本体240の封止を不正に解くことができてしまい、ケース本体240の封止が不正に解かれたか否かを確実に監視することはできないという問題があった。
【0008】
そこで本発明では、上述の問題点を解決し、ケース本体の封止が不正に開けられた否かを確実に監視できる基板ケース、及び、これを用いた封止判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するためになされた発明である請求項1に記載の基板ケースは、第1ケース部材に第2ケース部材を組み合わせることによって、回路基板を収納可能な内部空間内を形成するケース本体と、
前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを組み合わせとき、前記第1ケース部材に設けられた第1封止片と、前記第2ケース部材に設けられた第2封止片とが組み合わされて形成される封止部と、
前記封止部内に配置された通信手段と、
を備え、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とに挿入されると、これら封止片を分離不能に止める封止具を用いて、前記封止部を構成する前記第1封止片と前記第2封止片とを止めることで、前記回路基板を前記ケース本体内に封止する基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
前記第1封止片に一部が固定されており、
前記封止部を前記封止具で止めると、前記第2封止片に他の部分が固定される
ことを特徴とする。
【0010】
この基板ケースは、封止部から分離不能な封止具を用いて、封止部を構成する第1封止片及び第2封止片を止めている。そのため、この基板ケースは、封止具を封止部を取り外してケース本体を開けることができない。
【0011】
また、この封止具を用いて第1封止片と第2封止片とを止めると、通信手段が第1封止片と第2封止片とに固定される。そのため、封止部が封止具で止められた状態でケース本体を開けようとすると、通信手段が切断され、通信手段は外部と通信できなくなる。
【0012】
従って、この基板ケースは、ケース本体が不正に開けられたりすると通信手段が確実に破損して通信不能となるので、ケース本体の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができる。
【0013】
なお、封止具としては、例えばワンウエイネジでもよいが、その他のものでもよい。
次に、請求項2に記載した基板ケースは、
請求項1に記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
長尺状に形成されており、
長手方向の一端が前記第1封止片に固定されており、
前記封止具は、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とを止めるため前記封止部に挿入されると前記通信手段の長手方向の他端を押し、前記封止部を止めると該他端を前記第2封止片に固定することを特徴とする。
【0014】
このようにすると、基板ケースの製造時には、通信手段を第1封止片に固定しておくだけでよく、しかも、基板ケースの封止時には、封止具で封止部を止めれば、通信手段を第2封止片にも固定することができる。
【0015】
従って、本発明の基板ケースを用いれば、従来の基板ケースと同様、製造の段階では、第1封止片の側に通信手段を設けるだけの簡単な構造とすることができる。
しかも、本発明の基板ケースは、ケース本体の封止時には、通信手段が第1封止片にも第2封止片にも固定されるので、ケース本体の封止が不正に開かれたか否かを確実に検出することができる。
【0016】
尚、請求項2に記載した発明の具体例としては、請求項3に記載した発明のように、通信手段の他端に、封止具として用いられるネジの軸部を挿通可能な挿通孔が形成された挿通部を備え、ネジには、軸部の外周から突設され、軸部の軸周りに形成されたフランジ部を備える構成としてもよい。この場合、通信手段の他端は、フランジ部よりも先端側にあるネジの軸部が挿通部に通され、挿通部がフランジ部に押されて第2封止片側に移動し、ネジの軸部の先端が第2封止片に螺入されることによって第2封止片側で止められる。
もちろん、これは一例であり、他の形状としてもよい。
【0017】
次に、請求項4に記載した基板ケースのように、通信手段は、ICタグと、ICタグを収納するICタグ収納具とを備える構造としてもよい。この場合、請求項3で記載したリングは、ICタグ収納具に形成されていればよい。
【0018】
尚、通信手段としてはICタグそのものを用いてもよいことはもちろんである。この場合、長手方向の一端にリングを有するICタグを用いることが好ましい。
次に、請求項5に記載した基板ケースのように、封止具は、封止を確実に行うため、ワンウエイネジを用いることが好ましい。
【0019】
次に、上記基板ケースを用いた封止判定システムについて説明する。
請求項6に記載された封止判定システムは、請求項1〜5のいずれか記載の基板ケースと、前記基板ケースに備えられた前記通信手段と通信可能か判定する通信判定手段と、前記通信判定手段が前記通信手段と通信できない場合、報知する第1報知手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
この封止判定システムでは、基板ケースで封止が解かれると、通信判定手段が基板ケースに備えられた通信手段と通信することができなくなる。そしてこの通信ができなくなると第1報知手段によって報知がなされるので、基板ケースで封止が解かれたことを、店員等がいち早く知ることができる。
【0021】
尚、通信判定手段は、遊技機や島等に設置されていてもよいし、店員等が持ち運び可能な可搬装置に備えられていても良い。また、第1報知手段は、遊技機や島、ホールコンピュータなどに備えられていても良いし、前述した可搬装置に備えられていても良い。
【0022】
次に、請求項7に記載された封止判定システムは、前記封止部が複数備えられた前記基板ケースで使用される請求項6に記載の封止システムであって、前記各通信手段と通信し、予め定めた複数の第2報知情報のうち前記各通信手段に予め記憶させておいた前記第2報知情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した情報が、予め定めた複数の前記第2報知情報のうちのいずれかでない場合、報知する第2報知手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
この封止判定システムでは、複数の通信手段と通信を行った際、通信手段が不正に取り替えられるなどした場合、受信した情報には予め定めた複数の前記第2報知情報のうちのいずれか(例えば連番情報)でない情報が受信されるので、そのような場合、第2報知手段により報知がなされる。
【0024】
従って、この封止判定システムを用いると、封止部が不正に解かれたことばかりでなく、不正を見抜かれないようにするためにICタグの交換などが行われる不正が行われても、そのような不正についても、店員等がいち早く知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の基板ケースの斜視図である。
【図2】ワンウエイネジの正面図である。
【図3】(a)が第1ケース部材11を図1の矢印Aで示すように上方から見た図であり、(b)が第1ケース部材11を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図であり、(c)が第2ケース部材12を図1の矢印Cで示すように下方から見た図であり、(d)が第2ケース部材12を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図で、(a)〜(d)では、一部を透過図で示している。
【図4】封止部20、及び、ICタグ収納具5の斜視図である。
【図5】(a)基板ケース1の平面図と、(b)(a)図のα-α’断面で切断した封止部20部分の断面図である。
【図6】第2封止片22を斜め下方から見た斜視図である。
【図7】基板ケースの組み立て手順を示した図で、図7については、図1の矢印Bの方向から見た透過側面図で示している。
【図8】基板ケースの組み立て手順を示した図で、図5(a)のα−α’断面図で示している。
【図9】封止部が不正に切断される様子を説明するための説明図である。
【図10】封止判定システムのブロック図である。
【図11】ホールコンピュータ94で実行される封止状態監視処理のフローチャート(S200前)である。
【図12】ホールコンピュータ94で実行される封止状態監視処理のフローチャート(S200後)である。
【図13】従来の基板ケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本願発明が適用された実施形態について説明する。
[1.基板ケースの全体構造]
本実施形態の基板ケースの全体構造について説明する。
【0027】
ここで、図1は、基板ケースの斜視図である。
本実施形態の基板ケース1は、図1に示すように、2つのケース部材11,12を備えており、第1ケース部材11は上面が開口した箱形のケース部材であり、第2ケース部材12は下面が開口した箱形のケース部材である。
【0028】
この第1ケース部材11の上面と、第2ケース部材12の下面とを合わせると、周囲側面に、これらケース部材11,12を合わせることによって生ずる割れ目13を有する直方体状のケース本体10が形成される。そして、このケース本体10内には、回路基板を収納する密閉された内部空間14が形成される。
【0029】
第1ケース部材11の周囲側面のうち、上面の長手方向(以下「左右方向」という)に垂直な各側面には、上面との稜線に沿って並べられ(この並び方向を以下「前後方向」という)、かつ、各側面から垂直に立設された4つの第1封止片21がそれぞれ設けられている。尚、左右方向及び前後方向に垂直な方向を上下方向と呼ぶ。
【0030】
また、第2ケース部材12の周囲側面のうち、下面の長手方向(左右方向)に垂直な各側面にも、下面との稜線に沿って並べられ、かつ、各側面から垂直に立設された4つの第2封止片22がそれぞれ設けられている。
【0031】
本実施形態の基板ケース1は、各ケース部材11、12を重ねたとき、これら各封止片21,22が組み合わされ、左右方向に垂直なケース本体10の各封止面から垂直に立設された封止部20が形成されている。
【0032】
本実施形態の基板ケース1は、第1封止片21及び第2封止片22に後述するワンウエイネジ7を通して各封止部20をネジ止めすることにより、回路基板がケース本体10内に封止される。
[2.ワンウエイネジ]
次に、ワンウエイネジについて説明する。
【0033】
ここで、図2は、ワンウエイネジの正面図である。
本実施形態で用いるワンウエイネジ7は、図2に示すように、軸70の先端の2/5ほどの部分にねじ切り溝71が形成されており、軸70の後端にヘッド72が設けられている。そして、ねじ切り溝71のヘッド72側の端部の軸70の周りには、ヘッド72よりも小径なリング状のフランジ部73を備えている。
【0034】
このワンウエイネジ7は、周知の通りねじ切り溝71が特殊な形状に形成されており、対象物に螺合させると、外すことができないネジである。
[3.ケース本体の詳細な構造]
次に、ケース本体10の構造について説明する。
【0035】
ここで、図3は、(a)が第1ケース部材11を図1の矢印Aで示すように上方から下方を見た図であり、(b)が第1ケース部材11を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図であり、(c)が第2ケース部材12を図1の矢印Cで示すように下方から上方を見た図であり、(d)が第2ケース部材12を図1の矢印Bで示すように前方から後方に向かう方向に見た図で、(a)〜(d)では、一部を透過図で示している。
【0036】
図4は、封止部20、及び、ICタグ収納具5の斜視図である。
図5は、(a)基板ケース1の平面図と、(b)(a)図のα-α’断面で切断した封止部20部分の断面図である。
【0037】
図6は、第2封止片22を斜め下方から見た斜視図である。
尚、図3〜図6では、図面の見栄えのため、同一構成の符号について一部省略し、また、説明に不要な符号については一部省略している。
[3−1.第1ケース部材11]
ケース本体10は、上述したように、上下のケース部材11,12で構成されている。
【0038】
このうち、第1ケース部材11は、図3(a)(b)に示すように、上面の開口110の周囲で、第1ケース部材11の厚みによって生じる面111のうち左右方向に沿った面上に、左方向から右方向に向かって鍵の先が延びた鍵状部112を備えている。
【0039】
また、第1ケース部材11は、第2ケース部材12と合わせるときに第2ケース部材12の内部空間内に挿入されて位置あわせを行うため、開口110の左右方向の縁に沿って設けられた帯部113を備えている。
[3−2.第2ケース部材12]
第2ケース部材12は、図3(c)(d)に示すように、下面の開口120の周囲で、第2ケース部材12の厚みによって生じる面のうち左右方向に沿った面121上に、鍵状部112に係合する係合部122が形成されている。
【0040】
本実施形態では、第2ケース部材12を第1ケース部材11に対しやや右方向にずらして合わせ、その状態で第2ケース部材を左方向に移動させると、この係合部122が鍵状部112に係合して、第2ケース部材12が第1ケース部材11から外れない状態となる。
【0041】
また、第2ケース部材12の面121には、鍵状部112を係合部122に係合させるために、鍵状部112を係合部122に係合していない位置から係合する位置に移動させるための空間が必要である。そのため、第2ケース部材12の面121には、鍵状部112を係合部122に係合させるための移動用の係合溝123が各係合部122毎に形成されている。
[3−3.第2封止片22、ICタグ収納具5]
第2ケース部材12が備える第2封止片22は、図3(c)に示すように、第2ケース部材12の内部空間124内まで延設されており、図3(d)に示すように、補強材125で内部空間124内に固定されている。
【0042】
また、第2封止片22は、棒状に形成された柄部221の長手方向の両端のうち外側の先端に、ワンウエイネジ7をねじ込むため、他の部分と異なり軸方向が上下方向に一致する円筒状に形成された円筒部222を備えている。
【0043】
また、第2封止片22は、下面にICタグを収納した後述するICタグ収納具を嵌め込むための溝223が設けられている。
このICタグ収納具5は、図4に示すように、長尺に形成された柄部50の先端に、ワンウエイネジ7の先端部分を通す大きさの孔を有するリング状部51を備えている。そして、柄部50内には、長尺なICタグ52が柄部50の長手方向に沿って備えられている。
【0044】
第2封止片22に形成された溝223は、ICタグ収納具5のリング状部51が、円筒部222と同軸となる位置に配置可能に形成され、柄部50が第2封止片22の柄部221の長手方向に沿って配置されるように形成されている。
【0045】
また、ICタグ収納具5は、図5に示すように、第2ケース部材12が第1ケース部材11に合わされたとき、リング状部51が第1封止片21側に移動できるよう、図4に示すように、柄部50の他端側に形成されたボッチ部53を、第2封止片22に形成されたボッチ孔227に嵌め込むことで、柄部50の他端側が第2封止片22に形成された溝内で、回転可能に固定されている。
【0046】
また、第2封止片22の円筒部222は、図5に示すように、ワンウエイネジ7のフランジ部73(図2参照)を挿通可能な挿通孔226が円筒部222と同軸となるように形成されている。
【0047】
そのため、この第2封止片22の挿通孔226にワンウエイネジ7を通すと、フランジ部73ごと挿通孔226を通り、ワンウエイネジ7の先端部が、図6に示すように、ICタグ収納具5のリング状部51の孔を通る。そして、この状態でさらにワンウエイネジ7を押すと、フランジ部73がリング状部51を押すので、ICタグ収納具5を回動させ、リング状部51を第1封止片21側に移動することができる。
[3−4.第1封止片21]
第1ケース部材11が備える第1封止片21は、図3(a)に示すように、第1ケース部材11の内部空間114内まで延設されており、図3(b)に示すように、補強材115で第1ケース部材11内に固定されている。
【0048】
また、第1封止片21は、棒状に形成された柄部211の長手方向の両端のうち外側の先端に、ワンウエイネジ7をねじ込むため、他の部分と異なり軸方向が上下方向に一致する円筒状に形成された円筒部212を備えている。
【0049】
また、第1封止片21は、ワンウエイネジ7に押されてきたICタグ収納具5を第2封止片22内で移動させるための溝213が設けられている。
また、第1封止片21の円筒部212には、ワンウエイネジ7の先端が螺合される螺合孔216が円筒部212に同軸状に形成されている。
【0050】
そのため、ワンウエイネジ7に押されてICタグ収納具5が移動してきても、ICタグ収納具5を第2封止片22内に引き込むことができ、しかも、リング状部51の孔に通されたワンウエイネジ7の先端を螺合孔216に螺合させることで、ICタグ収納具5のリング状部51を第1封止片21内で固定することができる。
[4.組み立て方法]
次に、本実施形態の基板ケース1の組み立て方法について説明する。
【0051】
ここで、図7及び図8は、基板ケースの組み立て手順を示した図で、図7については、図1の矢印Bの方向から見た透過側面図で示しており、図8は、図5(a)のα−α’断面図で示している。尚、図7〜図8では、図面の見栄えのため、同一構成の符号について一部省略し、また、説明に不要な符号については一部省略している。
【0052】
本実施形態の基板ケース1に、遊技機の制御用の回路基板6を収納する場合、第1ケース部材11内に回路基板6を収納し、図7(a)に示すように、第2ケース部材12を第1ケース部材11に対しやや右方向にずらして重ねる。
【0053】
すると、図7(b)に示すように、第2ケース部材12は、鍵状部112が係合溝123内に収納された状態で、第1ケース部材11が第2ケース部材12に重ねられる。
そして、図7(c)に示すように、第2ケース部材12を左方向にずらせば、係合溝123内で鍵状部112が移動して係合部122と係合する。またこのとき、第1封止片21と第2封止片22も、円筒部212,222にワンウエイネジ7を挿入可能に組み合わせられる。
【0054】
次に、図7(d)に示すように、各封止部20の円筒部212、222にワンウエイネジ7を挿入する。すると図8(a)に示すように、ワンウエイネジ7の先端がリング状部51の孔部を通り、ICタグ収納具5のフランジ部73がリング状部51に当たる。そしてさらに、ワンウエイネジ7を挿入すると、フランジ部73がリング状部51を押して第2封止片22から第1封止片21に移動させ、ワンウエイネジ7の先端が円筒部212に螺合されると、第1封止部21内で固定される。
【0055】
すると、第2ケース部材12が第1ケース部材11に対して右方向にずれなくなるので、ケース本体10が封止される。
また、ICタグ収納具5内に収納されたICタグ52は、一端が第1封止片21内で固定され、他端が第2封止片22内で固定されることとなる。
[5.効果]
上述した基板ケース1は、下記のような技術的な特徴がある。
【0056】
基板ケース1は、封止部20がネジ止めされたときに、ICタグ収納具5の一端が第1封止片21に固定され他端が第2封止片22に固定されるので、図9(b)に示すように、ICタグ収納具5を切ってしまった場合はもちろん、図9(a)に示すように、ICタグ収納具5を切らないように封止部20の一部を切断しても、ケース本体10を開ける際にICタグ収納具5の両端が各封止片21,22に引っ張られて、ICタグ収納具5内に収納されたICタグ52がちぎれ、ICタグ52が通信不能になる。
【0057】
従って、この基板ケース1は、ケース本体10の封止が解かれるとICタグ52が確実に破損して通信不能となるので、ケース本体10の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができる。
【0058】
また、上述した基板ケース1は、第2封止片22の側にICタグ収納具5を設置しておけば、ネジ止めのときに、ICタグ収納具5の一端が第1封止片21の側に移動して固定される。
【0059】
従って、本実施形態の基板ケース1を用いれば、従来の基板ケースと同様、封止前は、一方の封止片22の側にのみICタグを設置するだけの簡単な構造とすることができる。
しかも、本実施形態の基板ケース1は、このような簡単な構造にも関わらず、ケース本体10の封止時には、ICタグ収納具5の他端が第2封止片22で固定され、ICタグ収納具5の一端が第1封止片21内で固定されるので、ケース本体10の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができる。
【0060】
ところで通常、遊技機の基板ケース1は、複数回の検査が行われ、そのたびに封止が解かれ、検査後に再び封止が行われる。
しかし、本実施形態の基板ケース1は、封止部20を複数備えているので、複数回検査が行われても、検査後に、ケース本体10の封止が不正に解かれたか否かを確実に検出することができるように、複数回封止することができる。
[6.封止判定システム]
次に、上述した基板ケース1を用いて構成される封止判定システムについて説明する。
【0061】
ここで、図10は、封止判定システムのブロック図である。尚、符号1、及び、91〜93に相当する構成については、代表する1つの構成を除いて他の構成については符号を省略している。
[6−1.封止判定システムのブロック図]
パチンコホール内には、図10に示すように、複数の遊技島90が設置されている。
【0062】
各遊技島90には、長手方向に沿った両面に複数の遊技機91が設置されており、各遊技機91の裏面(遊技島90内側の面)には、基板ケース1と、ICタグと無線通信する無線通信装置92が設置されている。
【0063】
また、各遊技島90には、各遊技島90を管理する管理装置93が設置され、管理装置93は、この管理装置93が設置された同じ遊技島90に備えられている遊技機91の基板ケース1及び無線通信装置92と、遊技島90内の通信ケーブルで通信可能に接続されている。
【0064】
本実施形態で用いるICタグ収納具5に収納されたICタグ52は、受動型のICタグなので、無線通信装置92がこのICタグ52と通信するときは、無線通信装置92の側からICタグ52に信号を送ると、この信号の磁界によって発生する起電力によってICタグ52から無線通信装置92に返信用の信号が送られる。このように、管理装置93は、この無線通信装置92を使用して、ICタグ52と通信を行う。
【0065】
次に、パチンコホール内には、遊技島90の他に、パチンコホール全体を統括するホールコンピュータ94が設置されている。
このホールコンピュータ94は、各遊技島90の管理装置93と通信可能に接続されており、この管理装置93を介することで、パチンコホール内のすべての遊技機91に設置された基板ケース1が備えるICタグ52と通信することができる。
【0066】
また、ホールコンピュータ94は、基板ケース1が不正に開けられたときに報知を行う報知装置95を備えている。
[6−2.封止状態監視処理]
次に、封止判定システムで実行される封止状態監視処理について説明する。
【0067】
ここで、図11、12は、ホールコンピュータ94で実行される封止状態監視処理のフローチャートである。
尚、本実施形態では、封止状態監視処理を実行する前に、各遊技機91の基板ケース1に設置される各ICタグ52には、ケース本体10の左側及び右側のそれぞれで、前方側から後方側に向かって1〜4の連番情報が記憶されている。また、各遊技機91毎に設定された主ID情報が各ICタグ52に記憶されている。
【0068】
以下の封止状態監視処理の説明では、ICタグ52に、主ID情報と連番情報が記憶されているものとして説明する。
封止状態監視処理は、ホールコンピュータ94を起動すると、すべての遊技機91について順次実行される。そのため、1台の遊技機91では、他のすべての遊技機91に対して処理が終了するごとに繰り返し実行されるので、所定時間毎にこの処理が実行されることとなる。
【0069】
この封止状態監視処理がある遊技機91に対して開始されると、図11に示すように、管理装置93を介して無線通信装置92からICタグ52に信号が送られ、各ICタグ52から主ID情報と連番情報を受信する処理が実行される(S100)。
【0070】
そして、読み込まれた主ID情報が共通し、連番情報が4連番である場合(S110:YES)、欠損なしとして、欠損なしの表示をホールコンピュータ94で行い(S111)、後述するS200の処理を実行する。
【0071】
一方、3つのICタグ52から主ID情報と連番情報とを受信した場合(S110:NO)、S120の処理を実行する。
このS120では、3つのICタグ52から受信した主ID情報が同一であり、かつ、連番情報が4連番内かを判定する。
【0072】
この判定(S120)で、主ID情報が同一であり、連番情報が4連番内であると判定されると(S120)、一つの封止部20の封止が解かれていることを示す「1封止欠損記録」との表示をホールコンピュータ94で行い(S121)、後述するS200の処理を実行する。
【0073】
一方、2つのICタグ52から主ID情報と連番情報とを受信した場合(S120:NO)、S130の処理を実行する。
このS130では、2つのICタグ52から受信した主ID情報が同一であり、かつ、連番情報が4連番内かを判定する。
【0074】
この判定(S130)で、主ID情報が同一であり、4連番内であると判定されると(S130)、二つの封止部20の封止が解かれていることを示す「2封止欠損記録」との表示をホールコンピュータ94で行い(S131)、後述するS200の処理を実行する。
【0075】
一方、1つのICタグ52から主ID情報と連番情報とを受信した場合(S130:NO)、S140の処理を実行する。
この判定(S140)で、1つの主ID情報を検出し、連番情報が4連番内であると判定されると(S140:YES)、三つの封止部20の封止が解かれていることを示す「3封止欠損記録」との表示をホールコンピュータ94で行い(S141)、後述するS200の処理を実行する。
【0076】
一方、主ID情報と連番情報とが一つも受信できない場合(S140:NO)、「不正又は異常あり」の表示をホールコンピュータ94に対して行うとともに、報知音を報知装置95から出力させる処理(S150)を行って、封止状態監視処理を終了する。
【0077】
次に、S111、S121、S131、S141の処理が実行されると、S200の処理が実行されるので、このS200以下の処理を図12を用いて説明する。
S200では、S100の処理で、受信されることのないIDを受信したか否かを判定する処理が実行される。ICタグ52が不正に交換されるなどした場合、このようなIDを受信する可能性があるからである。
【0078】
この判定で、受信されることのないIDを受信したと判定されたら(S200:YES)、「余分なIDの検出有り」の表示をホールコンピュータ94に対して行い、報知装置95を用いて報知を出力する(S210)。
【0079】
一方、受信されることのないIDは受信していないと判定されたら(S200:NO)、直ちに封止状態監視処理を終了する。
[7.効果]
上述した封止鑑定システムを用いると、以下のような効果がある。
【0080】
この封止判定システムでは、基板ケース1で封止が不正に解かれると、ホールコンピュータ94が基板ケース1に備えられたICタグ52と通信することができなくなる。そしてこの通信ができなくなると「1封止欠損記録」等の報知がなされるので、基板ケース1で封止が不正に解かれたことを、店員等がいち早く知ることができる。
【0081】
また、この封止判定システムを用いると、封止部20が不正に解かれたことばかりでなく、不正を見抜かれないようにするためにICタグの交換などが行われる不正が行われても報知がなされるので(S210)、そのような不正についても、店員等がいち早く知ることができる。
[8.対応関係]
本実施形態のICタグ52を備えるICタグ収納具5は、本発明の通信手段に相当する。
【0082】
本実施形態のS110,S120,S130,S140の処理は、本発明の通信判定手段に相当し、本実施形態のS111,S121,S131,S141の処理は、本発明の第1報知手段に相当する。
【0083】
本実施形態のS100の処理が本発明の受信手段に相当し、S210の処理が本発明の第2報知手段に相当する。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、ICタグ52をICタグ収納具5に収納したが、ICタグそのものを、一端にリング状部を備えた形状に形成してもよい。
【0084】
上記実施形態では、ワンウエイネジ7を用いたが、このワンウエイネジ7に代えて、土台の一方の面から二叉状に2本の足が伸び、その足の先端が鈎状に形成された封止ピンを用いてもよい。この封止ピンを用いれば、第1封止片21及び第2封止片22を連通するように設けた挿通孔内に押し込むだけで、これらを止めることができる。
【0085】
封止部20は、上記実施形態では4個×2組の合計8個を備えているが、5個×2組、あるいは4個×1組など、製品によって、数も組数も変えてもよいことはもちろんである。
【0086】
本実施形態では、ICタグ52を用いたが、本実施形態を実施できるであれば、他のどのような通信具を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ワンウエイネジ7が第2封止片22に挿入されて第1封止片21に螺入されると、これに伴ってICタグ52の先端が移動して、ICタグ52が第1封止片21と第2封止片22に固定される例について説明したが、ワンウエイネジ7の挿入に伴って移動するのではなく、例えば、第1封止片21と第2封止片22とが合わせられると、ICタグ52が第1封止片21と第2封止片22とに固定されるように構成してもよい。
【0087】
本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0088】
1…基板ケース、5…ICタグ収納具、6…回路基板、7…ワンウエイネジ、10…ケース本体、11…第1ケース部材、12…第2ケース部材、13…割れ目、14…内部空間、20…封止部、21…第1封止片、22…第2封止片、50…柄部、51…リング状部、52…ICタグ、53…ボッチ部、70…軸、71…ねじ切り溝、72…ヘッド、73…フランジ部、90…遊技島、91…遊技機、92…無線通信装置、93…管理装置、94…ホールコンピュータ、95…報知装置、110…開口、111…面、112…鍵状部、113…帯部、115…補強材、120…開口、121…面、122…係合部、123…係合溝、125…補強材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケース部材に第2ケース部材を組み合わせることによって、回路基板を収納可能な内部空間内を形成するケース本体と、
前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを組み合わせたとき、前記第1ケース部材に設けられた第1封止片と、前記第2ケース部材に設けられた第2封止片とが組み合わされて形成される封止部と、
前記封止部内に配置された通信手段と、
を備え、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とに挿入されると、これら封止片を止めると共に前記封止部から分離不能な封止具を用いて、前記封止部を構成する前記第1封止片と前記第2封止片とを止めることで、前記回路基板を前記ケース本体内に封止する基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
前記第1封止片に一部が固定されており、
前記封止部を前記封止具で止めると、前記第2封止片に他の部分が固定される
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
長尺状に形成されており、
長手方向の一端が前記第1封止片に固定されており、
前記封止具は、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とを止めるため前記封止部に挿入されると前記通信手段の長手方向の他端を押し、前記封止部を止めると該他端を前記第2封止片に固定する
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段の他端には、
前記封止具として用いられるネジの軸部を挿通可能な挿通孔が形成された挿通部が備えられ、
前記ネジは、
前記軸部の外周から突設され、前記軸部の軸周りに形成されたフランジ部を備え、
前記通信手段の他端は、
前記フランジ部よりも先端側にある前記ネジの軸部が前記挿通部に通され、前記挿通部が前記フランジ部に押されて前記第2封止片側に移動し、前記ネジの軸部の先端が前記第2封止片に螺入されることによって前記第2封止片側で止められる
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段は、ICタグと、前記ICタグを収納するICタグ収納具とを備えることを特徴とする基板ケース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の基板ケースにおいて、
前記封止具は、ワンウェイネジであることを特徴とする基板ケース。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の基板ケースと、
前記基板ケースに備えられた前記通信手段と通信可能か判定する通信判定手段と、
前記通信判定手段が前記通信手段と通信できない場合、報知する第1報知手段と
を備えることを特徴とする封止判定システム。
【請求項7】
前記封止部が複数備えられた前記基板ケースで使用される請求項6に記載の封止システムであって、
前記各通信手段と通信し、予め定めた複数の第2報知情報のうち前記各通信手段に予め記憶させておいた前記第2報知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した情報が、予め定めた複数の前記第2報知情報のうちのいずれかでない場合、報知する第2報知手段と
を備えることを特徴とする封止判定システム。
【請求項1】
第1ケース部材に第2ケース部材を組み合わせることによって、回路基板を収納可能な内部空間内を形成するケース本体と、
前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを組み合わせたとき、前記第1ケース部材に設けられた第1封止片と、前記第2ケース部材に設けられた第2封止片とが組み合わされて形成される封止部と、
前記封止部内に配置された通信手段と、
を備え、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とに挿入されると、これら封止片を止めると共に前記封止部から分離不能な封止具を用いて、前記封止部を構成する前記第1封止片と前記第2封止片とを止めることで、前記回路基板を前記ケース本体内に封止する基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
前記第1封止片に一部が固定されており、
前記封止部を前記封止具で止めると、前記第2封止片に他の部分が固定される
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段は、
長尺状に形成されており、
長手方向の一端が前記第1封止片に固定されており、
前記封止具は、
組み合わされた前記第1封止片と前記第2封止片とを止めるため前記封止部に挿入されると前記通信手段の長手方向の他端を押し、前記封止部を止めると該他端を前記第2封止片に固定する
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段の他端には、
前記封止具として用いられるネジの軸部を挿通可能な挿通孔が形成された挿通部が備えられ、
前記ネジは、
前記軸部の外周から突設され、前記軸部の軸周りに形成されたフランジ部を備え、
前記通信手段の他端は、
前記フランジ部よりも先端側にある前記ネジの軸部が前記挿通部に通され、前記挿通部が前記フランジ部に押されて前記第2封止片側に移動し、前記ネジの軸部の先端が前記第2封止片に螺入されることによって前記第2封止片側で止められる
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の基板ケースにおいて、
前記通信手段は、ICタグと、前記ICタグを収納するICタグ収納具とを備えることを特徴とする基板ケース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の基板ケースにおいて、
前記封止具は、ワンウェイネジであることを特徴とする基板ケース。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の基板ケースと、
前記基板ケースに備えられた前記通信手段と通信可能か判定する通信判定手段と、
前記通信判定手段が前記通信手段と通信できない場合、報知する第1報知手段と
を備えることを特徴とする封止判定システム。
【請求項7】
前記封止部が複数備えられた前記基板ケースで使用される請求項6に記載の封止システムであって、
前記各通信手段と通信し、予め定めた複数の第2報知情報のうち前記各通信手段に予め記憶させておいた前記第2報知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した情報が、予め定めた複数の前記第2報知情報のうちのいずれかでない場合、報知する第2報知手段と
を備えることを特徴とする封止判定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−94244(P2013−94244A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237263(P2011−237263)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]