説明

基板プロセス装置でのエッジ堆積を制御する移動可能リング

【課題】内部に基板支持体が配置されているプロセスチャンバを備える基板プロセス装置。
【解決手段】基板支持体は、加熱ペデスタルの形であり、それ自身とペデスタルの間の隙間を限定する除去可能なパージリングによって周囲を囲まれている。外側でペデスタルのエッジは、パージガスマニホールドで、パージリングとペデスタルの間の空洞の形である。マニホールドの低端は、加熱から膨張しパージリングの低端と接触するというプロセス温度で形成されるメカニカルシールの方法で密閉される。マニホールド上端は、パージリングとペデスタルによって限定される環帯内に対して開いている。マニホールドは、処理中に、パージガスが基板のエッジに対して放出されるように配置され、ガスはパージリングと基板支持体の間に限定される環帯を通して上むきに移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ダイの製造に使用される、基板上へ有益な物質層を堆積させる方法と装置に関する。特に、本発明はこのような堆積プロセスで使用されるウエハヒータペデスタルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にCVDと呼ばれている化学気相成長は、半導体基板の上に薄い物質層を堆積するのに使用される多くのプロセスの中の一つである。CVDプロセスを用いて堆積基板を処理するために、真空チャンバにはその上に基板を受けるように形造られているサセプタを具備している。典型的な従来技術のCVDチャンバ内において、基板は、ロボットブレードによってチャンバ内部に配置され、また内部から取り去られ、処理中はサセプタによって支持される。処理を行うに先立ち、サセプタと基板は250〜650℃の間の温度に加熱される。一度基板が適当な温度に加熱されると、プロセスガスは、基板上部にしばしば位置するガスマニホールドを通して真空チャンバを満たす。プロセスガスは、加熱された基板表面と反応して、その上に薄い物質層を成長させる。ガスが熱反応を生じて物質層を形成すると同時に、揮発性副生成物ガスが形成され、これらの副生成物ガスはチャンバ排出システムを通して真空チャンバの外へと排気される。
【0003】
基板処理の一番の目標は、それぞれの基板から可能な限り多くの有用なダイを得ることである。多くの要因がCVDチャンバ内の基板の処理を左右し、そこで処理されるそれぞれの基板からのダイの最終的な生産に影響を及ぼす。これらの要因は、基板上に成長される材質層の均一性と厚さに影響を及ぼすプロセス変数と、基板に付いてそこの一つ又はそれ以上のダイを汚染する汚染物質とを含んでいる。これらの両要因は、CVDと他のプロセスにおいて、それぞれの基板からのダイの収率を最大にするために制御されなければならない。
【0004】
チャンバ内部の微粒子汚染の原因の一つは、基板エッジで不適当な堆積が生ずることである。エッジ堆積の状況を制御することが難しいため、基板エッジは典型的には面取りされているという事実と、これらのエッジの周りで堆積ガス流が非均一であるという事実とが原因の1部となり、非均一堆積が基板のエッジの周りで起こり得る。このことにより堆積層は、相互間で適切に付着しなくなることがあり、及び/又は、基板に対し適切に付着しなくなることがある。
【0005】
この問題は、典型的な半導体基板の概略部分断面図である図1(a)に例示されている。この例では図示の如く、基板1は、その上に堆積されている3つの連続する層2、3、4を有している。該基板上に中間層2と3(もし必要なら更なる層)を堆積した後、アルミニウム等のメタルを上部層4として該基板上に堆積してもよい。例示のためであり限定するものではない例として、WF6ガスを使用した基板上のタングステンの堆積では、第一層2は典型的にはチタニウムで、第二層3は窒化チタニウムで、第三(上部)層はタングステンである。
【0006】
タングステンは基板のシリコン(又は酸化シリコン)表面に容易に付着しないので、このような三層プロセスがタングステンの堆積の為には一般的である。従って、非常に薄いチタニウムの「プライマー(primer)」層2が堆積され、窒化チタニウムの第二層3が次に来る。タングステンは窒化チタニウム(TiN)に容易に付着する。しかしながら、図1(a)から判るように、タングステン層4は、シリコン基板と直接接触するように、ベベル付けされた基板の外側エッジ5の上の周りを「包んで」いる。
【0007】
周りを包んでしまうことに関しては、タングステンがシリコン基板表面に付着せずに基板のハンドリングの際に容易に欠けて剥げる結果、微粒子の汚染というをもたらすという問題がある。
【0008】
それゆえ、理想的なエッジ断面は図1(b)に図示されているものであり、即ち、三層が全て基板のエッジに関して同じ位置及び近傍、好ましくは斜面の上方の位置及び近傍で終わり、メタル層4が基板エッジの一番反対側にある。
【0009】
望まないエッジ堆積のこの問題の一つの解答として、基板の狭い外縁円周の領域の上に位置しその領域をマスクするシャドーリングを具備させて堆積を防止することがある。しかしながら、基板の利用可能な領域を小さくするため、基板毎の最大収率が減少するといった欠点を持つ。また、基板の上面全体が堆積されなければならないという状況で、シャドーリングを使用することは不適当である。また、ウエハが歪んでいる事と、揮発性の堆積ガスがなおシャドーリングのへりの下に移動して基板のエッジと裏面上への望まれない物質を堆積させる傾向があるという事実とにより、シャドーリングは期待するほどの好結果をもたらさない。
【0010】
材質層の堆積の均一性に影響を及ぼす他の要因は、ウエハの加熱の均一性である。ウエハの均一加熱の一つの方法は、加熱ペデスタルを、ウエハの支持と加熱の両方の為に使用することである。この装置の例は先に言及した同一出願の米国出願番号08/200,862に記述されている。この装置において、ウエハは、チャンバ内部の垂直脚上に装着されている加熱ペデスタルの平坦な支持表面に支持されている。ペデスタルは電気的加熱コイルによって内部から加熱され、この高熱の支持ペデスタルによってウエハが加熱される。改良されたウエハの加熱の均一性を供給するために、この装置は、このウエハの下側とペデスタルの平坦支持表面との間の界面で「真空」引きがなされる真空チャックを具備する。結果として生じる、ウエハを横切る圧力差は、ペデスタル上にウエハを引き寄せ、その結果、ウエハの加熱の均一性が改善される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このウエハの裏面の真空引きの結果、ウエハのエッジ回りでウエハとペデスタルの間の界面にプロセスガスが引っ張られる可能性がある。これは、シャドーリングがウエハの上方に位置する場合に、望ましくないエッジ及び裏面での堆積という結果となり得る。前述の如く、この望ましくない堆積は、粒子汚染の発生を引き起こすことがある。よって、改良した加熱の均一性は、望まれないエッジと裏面堆積の増加の可能性を伴う。
【0012】
従って、CVD及び/又は他の基板処理操作中に半導体基板のエッジで又はその周りで材質の堆積を制御する為の方法と、装置の必要性が存在する。
【0013】
さらに、プロセスによっては、チャンバ内の部品からの堆積物のクリーニングを行うことは困難である。例えば、アルミニウムの堆積では、個々の部品に物理的洗浄又は化学的浸浴を行うことによりクリーニングを行う必要がある。
【0014】
このような堆積物は、ウエハにすぐ隣り合った面や、適当に加熱された面上で起こりやすい。
【0015】
従って、このような面上の堆積の量を低減し、且つ比較的簡単にクリーニングすることができるようにする必要性がある。
【0016】
更に、成長装置内で必然的におこる堆積とチャンバ内の高温によって誘発される応力とのため、このような装置が簡単にクリーニング可能で実用向きである必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は、簡潔に述べるならば、基板支持部が内部に配置されるプロセスチャンバを備える基板処理装置を提供するものである。加熱ペデスタルの形態である基板支持部は、基板を受容するための寸法を有する表面を有し、それ自身とペデスタルとの間に環帯を画する着脱可能なパージリングによって、その外周が包囲される。
【0018】
ペデスタルの外側のエッジでは、パージガスマニホールドがパージリングとペデスタルの間のキャビティとして形成される。プロセス温度でペデスタルが膨張して形成されるメカニカルシールによって、マニホールドの下端は、加熱からシールされ、パージリングの下エッジと接触するようになる。マニホールドの高い方の端は、パージリングとペデスタルによって画成される環帯の中へと開いている。マニホールドの配置は、プロセス中に、パージガスがマニホールド内に流入されペデスタルの面上に受容された基板のエッジにむかって放出されるように、されている。このガスは、パージリングと基板支持部の間を定義する環帯を通して上部に移動する。結果としてプロセスガスは基板の最先端部分と接触することから防げられる。これは、基板のエッジ周辺と低い方の表面上の望まれない堆積を減少させる。
【0019】
パージリングは、好ましくは316Lステンレススチールなどのニッケル−クロム−鉄合金製である。パージリングは、三つのセラミックピンによって支持されており、かかる3つのセラミックピンは、ペデスタル上に載っている。その結果、パージリングは加熱ペデスタルと接触せずに支持されていており、ペデスタルからパージリングまでの熱移動が低減される。従って、パージリングは低い温度で操作され、リング上の堆積を減少する。
【0020】
パージリングは、基板支持体に対して基板を調心するウエハガイドを自身の上に有していてもよい。また、パージリングがセラミック位置決め/支持ピンによってペデスタル上に支持されてもよく、このことがリングへの熱移動を更に低減する。
【0021】
パージリングはまた、リングがペデスタル上に配置されるとき基板受容ポケットが形成されるように、盛り上がった上エッジを持つ。ウエハがポケットの中に配置されるとき、その処理される表面は、パージリングの表面に又はその下にあるだろう。この場合、パージリングの盛り上がった部分は、プロセスガスの直接の流れからウエハのエッジを遮蔽する。
【0022】
また、ペデスタルの受容面は自身に形成された真空ポートを更に有していてもよく、その結果、ポケットフロアとその上に受容された基板の下側との間の界面に真空を引くことが可能となり、それによって基板がペデスタル上に引き寄せられて処理が改善される。
【0023】
また、ペデスタルの受容面は、自身に形成された基板受容ポケットを有してもよく、このポケット内に配置されたウエハの表面がペデスタルの係る面の表面に又はその下になるようになっている。
【0024】
ペデスタルが支持体を加熱するためのヒーターを有していることが好ましく、これにより、その上に支持される基板が伝導によって加熱される。
【0025】
本発明は、メタルCVDプロセスを用いて半導体ウエハを処理するウエハプロセスチャンバに特定の用途が見出されるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明の主要な利点は、基板のエッジ及び裏側の堆積の発生が低減されるということである。このことは、基板に不適切に付着した望まれないエッジ/下側堆積に源を発する粒子汚染を低減する。
【0027】
本発明の他の利点は、基板上により均一な堆積物質層を形成しつつ、同時に、処理中の粒子発生の率を減少させることにある。処理中に基板に触れるシャドーリングを排除することによって、シャドーリングにより造り出されるマスクされた基板エッジが排除されるため、基板からのダイの全収率が増加する。
【0028】
本発明のまた別の利点は、ウエットクリーニング又はメカニカルクリーニングのためにパージリングを容易に除去できるということである。
【0029】
本発明のこれらの利点と更なる詳細は、以下に続く詳細な説明により添付の図と併せて、いわゆる当業者により明白になるであろう。
【発明の効果】
【0030】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、チャンバ内の部品面上の堆積の量を低減し、且つ簡単にクリーニングを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)と(b)は、基板エッジにおけるメタル層の非理想的な堆積と理想的な堆積を示した半導体基板の部分的な断面図である。
【図2】本発明の加熱用ペデスタルの平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】図2の4−4線に沿った、ペデスタルとパージリングの上の部分の部分拡大図である。
【図5】ウエハガイドの詳細を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(緒言)
半導体基板ウエハの下面及びエッジへの物質の堆積を低減する為に、図2及び3に例示されるヒータペデスタルは、ペデスタル16の支持面22上にウエハが受容される際にウエハ(図示されず)の外縁に近接して配置される、周囲を囲むパージガスリング24の形態であるエッジ保護具を有している。一旦ウエハがペデスタル16上に配置され処理が始まると、パージガスの連続流れがパージガスマニホールド26に供給され、パージギャップ80を通って基板のエッジ全体の周囲に流れる。このパージ流れは、基板のエッジ上で又はエッジのすぐ近傍の基板下面で堆積がほとんど又は全く生じない、という効果を有している。その結果としての物質堆積層の形状は、図1(b)に例示されている物に類似するであろう。
【0033】
(詳細説明)
図2に例示されているように、ペデスタル16はその上部に半導体ウエハ23(図2には示されていない)を支持することができる上部支持面22を有している。この面22は、そこに形成されている複数の同心状円形溝40を持つ。これらの同心状溝40は、典型的には、幅0.21mm(0.08inches)、深さ0.38mm(0.015inchs)、間隔2.97mm(0.117inches)である。これらは、放射線状に方向づけられた流路(channel)によって相互接合されている。それぞれの放射状の流路42の長さのほぼ中間で、複数の(総数24個の)真空ポート44がペデスタルの本体内に形成されている。
【0034】
また、図2はペデスタル16の本体を貫通するアパーチャ30を例示する。これらのアパーチャ30は、処理後にウエハを除去できるようにウエハを持ち上げてペデスタル16の上面22を操作される、ウエハリフトフィンガ(示されていない)を受容する。このウエハの除去は、スリット弁を通して選択的に開かれるポートを通してチャンバに入る従来のプロセス装置ロボットアーム(示されていない)によって達成される。同様のロボットは、また、処理のための位置にウエハを配置する為に使用される。リフトフィンガは、従来技術においてよく知られているリフティング機構の動作によって垂直に移動可能である。
【0035】
図3で、加熱ペデスタル16は、垂直ストーク(vertical stalk)18によって支持されている本体61を含むように示されている。図2の真空ポートは、8つの穴45によって、ペデスタル本体61の下側に入るように形成されている円形マニホールド溝46と連結している。この溝46は、又ストーク18内に配置されている真空コンジット50と連結している。コンジット50は、ペデスタル16の本体61内部の少なくとも一つの略水平なコンジット(示されていない)によって、溝46と連結している。ストーク18内には、真空コンジット50に加えて、パージガスコンジット51と、ペデスタルの温度を計測する為の熱電対(示されていない)を含むハウジングと、ペデスタル16の本体61内部に位置する加熱エレメントにパワーを供給する為のコンジット56とがある。
【0036】
着脱可能なパージリング24は、支持表面22に外接し、ペデスタル16の周辺で間隔をおいて置かれている三つのセラミック支持ピン60上に支えられている。この位置で、図4に詳しく示されているように、パージリング24の角度の付けられた内表面25は、ペデスタルの角度の付けられた外表面27と共に環帯80を形成する。環帯80は、ウエハ23とリング24の間で画成されるパージギャップ内にパージガスを導く。ギャップ83は、エッジ上とウエハの下側への堆積を防止するパージガスの効果的な流れを許容するように寸法が決められている。本発明の一実施例において、パージギャップ83は、装置が操作温度であるとき、0.023inchs(0.58mm)から0.030inchs(0.76mm)である。この環帯80と、パージギャップ83の形状は、基板の約周辺全体に比較的に一定のパージガスの補給を供給する。環帯80は、パージガスマニホールド26により、ペデスタル16の本体61の外側エッジ全体を囲むキャビティの形態で与えられる。
【0037】
更に図4に示されているように、パージリング24の内表面28は、ペデスタル16の周囲面23と共に、パージガスマニホールド26を形成する。ガスマニホールド26は、環帯80を通してパージギャップ83と連結している。室温で、それはその低いほう端で開き、ギャップがそのパージリング24のシーリングエッジ84とペデスタル16の周囲表面23の間の界面に存在する。以下の述べるが、処理中に、パージリングのシーリングエッジ84とペデスタルの本体61の周囲表面の間のこのギャップは閉る。ガスマニホールド26には、ペデスタル16の本体61内に形成される8つのパージガス排出口86によって、パージガスが供給される。これらのパージガス排出口86は、パージガスコンジット51(図3に示す)によってパージガス供給源57と連結している。
【0038】
パージリング24は界面82でギャップが存在する時、室温で(いかなる締め具をゆるめずに)自由に着脱可能であるので、堆積物を除去するためのウエットクリーニング/又はメカニカルクリーニングが容易である。以下に記載する方法で、この同じパージリング24は、高温での処理中に界面82において緊密なメカニカルシールを形成する。
【0039】
粗雑なミスアライメントがあればパージギャップ83から流れ出すガスを遮断する位置にウエハエッジの一部分が配置されてしまうため、受容面22上にウエハを適正に配置することは重要である。適正なウエハ位置決めを助成するために、そして図5に極めて詳細に示されているように、パージリング24は、その内円周でその上部表面32に突出部を、ウエハガイド81という形態で有している。これらのウエハガイド81は、角度の付けられたウエハ23の外側エッジを捉らえる内表面85を持ち、ペデスタル16の表面22上にそれが受入れられたときそれをアライメントするのに役立つ。ウエハのミスアライメントがあれば、ウエハガイドの1つ以上がウエハのエッジと係合する結果を生じる。ウエハピンが機能して、ウエハの外周をパージリング24に対して調心することにより、ウエハのエッジ全体の周囲にパージギャップ83が画成される。従って、ウエハガイド81を用いることにより、ロボットブレードによるウエハの位置決めが僅かに不適正であっても許されることになる。本発明の実施例では、パージリングの上表面32上に等間隔で置かれているそのようなウエハガイド81が6つあり、ガイド81とウエハ23の外側エッジの間に約0.012(0.305mm)から0.013inches(0.330mm)までの許容量を提供するように配置される。
【0040】
好ましい実施例では、パージリング24はステンレススチール316Lのようなニッケル−クロム−鉄合金製であるが、本体61の材質である材料よりも低い熱膨張率を有する材料製でもよい。この理由は以下で明らかになる。また、パージリング24を上に載せている支持ピン60が、ペデスタル16からパージリング24への熱移動を最小にするように設計されることも好ましい。このことにより、パージリング24がより低い温度で操作することが可能になり、従って、この上への堆積量を減少させる。パージリング24上への堆積が減少することにより、クリーニングやその他のメンテナンスの為の中断時間と中断時間との間隔が著しく長くなる。従って、パージリング24への熱移動を低減するためには、支持ピン64は、接触領域を最小にするためにドーム形状が与えられ、また、非常に低い熱伝導率を有するアルミナなどのセラミックで作られる。
【0041】
更に、パージリング24は薄い壁の部分29を有しており、ここは断面の面積が減少するため、シールエッジ84からパージリングの他の部分への熱移動、特に上面32への熱移動を減少させる。
【0042】
これらの図には、円形のウエハへの使用に適する具体例を例示しているが、パージギャップ80は、基板の円周にならうべきであることに注意すべきである。従って、もし非円形の基板(形成された「ウエハフラット」を有するウエハなどの)が処理される場合、ギャップが不規則な外周にならうように形成されるべきである。さらに、ここに説明した具体例は平面なウエハ支持面を備えているが、本発明は、基板支持のための深いポケットを有するサセプタなどの異なった形状を持つ基板支持体を用いてもよい。加えて、パージリングはそれ自身、ウエハの外周を完全に包囲してウエハが配置されるポケットを形成するような構成が与えられてもよい。
【0043】
処理の間、ロボットブレードは、ウエハリフトフィンガーの上に、適当な大きさの半導体ウエハを配置し、これらリフトフィンガは次いでウエハを、ペデスタル16の上面22まで下げる。ウエハが下げられるときは、ウエハのいかなるミスアライメントも、それを正しい位置に軽く押し動かすウエハガイド81によって修正されるだろう。半導体ウエハはこの様にして上面22上に支えられる。パージリング24の内円周上のウエハガイド81がウエハに関して約0.080(2.032mm)inchesの許容量を与えるように配置されているので、この位置において、ウエハのエッジはパージギャップ80に非常に接近する。
【0044】
典型的なメタル堆積プロセスは、二つの個々のステップを持つ。約30秒続く第一のステップの間、このチャンバ内の圧力は約0.6kPa(4.5Torr)に下げられ、メタル堆積ガスがチャンバに導入される。ニュークリエーション(nucleation)ステップとして知られているこのステップは、ウエハ上に堆積される非常に薄いメタル層という結果となる。この薄い層はその上にさらにメタルの層が堆積されるベース層として作用する。
【0045】
第2のステップの間(継続は60秒より短く、この間にほとんどのメタルが堆積される)、ウエハとペデスタル16の上面22との界面に「真空」が引かれる。これは、コンジット50と溝46によって真空ポート44を通して約2.7kPa(20Torr)に真空を吸引することにより達成される。この真空の吸引の結果、全ての同心溝40で約2.7kPaの圧力になる。処理中のチャンバの内部の圧力は、およそ10.7から12kPa(80から90Torr)であるので、圧力差がウエハ中に存在する。これはウエハがペデスタル16の上部表面22に対して吸引される結果を引き起こす。この堅い接触の利点は、ペデスタルからの熱がより均一にペデスタルからウエハに伝えられるということである。このことはウエハの均一加熱をもたらし、それゆえ改良されたウエハ表面上のメタル堆積をもたらす。
【0046】
ペデスタル16は、今度は、ペデスタル16の本体内部に装着されている電気的可動加熱コイルによって抵抗加熱される。コイル54には、脚部18の本体内部に位置する堅いステンレススチール接続ステム56に沿って電力が供給される。ただ一つのコイルのみがこの図中に示されているが、一つ以上のコイル又は、同時に納められているが別々に印加されている多数の加熱要素でさえ使用されることが可能である。
【0047】
ペデスタル16が加熱されるとき、典型的にアルミニウム製の本体61は、増加した温度によって膨張する。より低い線膨張の温度係数を持つステンレススチール製で、より低い温度でのパージリング24は、あまり膨張しない。ペデスタルの周囲表面23はこのようにパージリング24のシーリングエッジと接触し、パージリングとペデスタルの間の界面82でメカニカルシールをつくる。このときガスマニホールド26は、パージギャップ80とパージガス排出口86のみと連通している。
【0048】
第二堆積ステップの間、典型的にはアルゴンである不活性パージガスは、パージガス供給源57からおよそ207kPa(30p.s.i)でおよそ毎秒2リットルの流量で供給され、質量流量調整器などの流量調整装置を通して流れる。調整装置は、パージガスの圧力を約25%〜33%降下させるという結果をもたらす。ガスがパージガス排出口86を通して、パージガスマニホールド26に向かってそしてその中に移動するにつれて、更にガスの圧力降下が生じる。しかしなお、ガスマニホールド26内でパージガスの圧力は、プロセスガスがパージギャップ80を介してこのマニホールド内への移動することを実質的に防止するに十分に大きい。このマニホールド26からパージガスはパージギャップ80を通して流れ出す。パージガスが一旦流出すれば、自身の標準排出口を通して排出がされることになるプロセスチャンバに流入する。供給がある場合は、パージガスは第一堆積ステップの間単位時間当たり約250ml(250scc)で供給される。
【0049】
このパージガスの供給は、ウエハの下側のエッジと外側部分のメタル堆積を実質的に減少又は排除するという特別な利益効果を持つ。堆積ガスはパージガスの流れによってウエハのエッジの近傍から移動されると考えられている。この事が生じるのは、パージガスがパージギャップ80を通して絶え間なく高い質量流量で流出するためであり、ウエハエッジの近傍に堆積気体の拡散を効果的に防止する。
【0050】
本発明は特定の(メタルCVDプロセスで使用される装置の)実施例に関して上部で述べられたが、その代替例や変更例は疑いなく当業者によって明らかになることが予想される。加えて、本発明は熱CVDチャンバ内で使用される為に記述されたが、ここでの構成要素はプラズマ堆積と他の基板プロセス操作に使用することに等しく適する。それゆえ、前述の請求項は、本発明の忠実な、意図と範囲に含まれるような代替え例と変更例を全て包含しているとして、説明されているということが意味されている。
【符号の説明】
【0051】
1…基板、2,3,4…層、16…ペデスタル、18…ストーク、22…面、23…半導体ウエハ、24…パージガスリング、25…内面、26…マニホールド、27…外面、30…アパーチャー、40…グルーブ、42…チャンネル、44…真空ポート、45…穴、46…溝、50…真空コンジット、51…パージガスコンジット、54…コイル、56…ステム、57…ガスサプライ、61…本体、80…ギャップ、82…界面、83…パージギャップ、84…シールエッジ、86…排出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に材料の層を堆積する堆積チャンバであって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に配されており、基板を支持する表面を有するペデスタルと、
パージリングと、
前記パージリングが前記ペデスタルと接触しないように前記ペデスタルの表面の上で前記パージリングを支える複数のピンと、を備え、
各ピンは、上端がドーム形状にされている堆積チャンバ。
【請求項2】
基板上に材料の層を堆積する堆積チャンバであって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に配されており、基板を支持する表面を有するアルミニウムのペデスタルと、
パージリングと、
前記パージリングが前記ペデスタルと接触しないように前記ペデスタルの表面の上で前記パージリングを支える複数のピンと、を備え、
前記複数のピンのそれぞれがセラミック製である堆積チャンバ。
【請求項3】
前記セラミックはアルミナである、請求項2記載の堆積チャンバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251243(P2012−251243A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167349(P2012−167349)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2008−256594(P2008−256594)の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】