説明

基板処理方法及びプログラムを記憶する記憶媒体

【課題】 ウエハを連続して搬送して処理する際に,スループットを低下させることなく,ウエハの搬送の無駄を防止する。
【解決手段】処理前の表面プロファイルを測定したときに先ず第1回目のフィードフォワード計算を実行し,その結果得られた処理パラメータの値が許容範囲内となる処理室の判定を行う。そして,許容範囲内となる処理室にのみウエハの搬送を実行し,その処理室の手前までウエハを搬送し,その処理室での直前の処理に基づくフィードバック計算の結果を反映した第2回目のフィードフォワード計算を実行し,その結果算出された処理パラメータ処理によってウエハの処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体ウエハ等の被処理基板の表面にエッチング処理などの所定の処理を施す基板処理方法及びプログラムを記憶する記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では半導体集積回路におけるデザインルールの微細化がますます進み,半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」とも称する。)の表面に形成される回路パターンの寸法等もより高い精度が要求されるようになっている。特に,複数のウエハを連続して処理を行う場合,例えば処理室内の状態が徐々に変化し,表面に形成される回路パターンの寸法も微妙に変動するため,より高い精度で目標の処理結果を得るためには,処理パラメータの値を微調整する必要が生じる場合がある。
【0003】
このような処理結果の変動を修正するものとしては,例えば処理前にウエハ上に形成された目的素子の寸法を測定して目的の形状を得るための処理パラメータの値を計算するフィードフォワード計算を行うとともに,処理後に目的素子の寸法を測定してその結果をフィードバックするフィードバック計算を行うものがある(例えば特許文献1,2参照)。このようなフィードフォワード計算では,フィードバック計算による結果を反映することによって,その後のウエハの処理では,フィードバック計算によって調整された処理パラメータの値で処理を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−143982号公報
【特許文献2】特開2002−208544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,ウエハの処理を実行する処理室と,ウエハの表面に形成される目標素子の寸法等を測定する測定室との間でウエハを搬送しながらウエハの処理を連続して行う場合には,スループット向上の観点から処理室でのウエハの処理が終了する前でも,次のウエハの測定処理を行って処理室へ向けて搬送することが好ましい。
【0006】
しかしながら,従来のフィードフォワード計算では,フィードバック計算による結果を反映するので,処理室でのウエハの処理を実行している間に処理室へ向けてウエハの搬送が次々と実行されると,そのウエハの搬送とフィードフォワード計算のタイミングによっては,直前のフィードバック計算の結果が反映されない状態でフィードフォワード計算が実行されてしまう場合がある。
【0007】
例えば処理室での第1のウエハの処理を実行している間に,次の第2のウエハを測定室に搬送して目的素子の寸法を測定し,そのタイミングでフィードフォワード計算を行うようにすると,直前の第1のウエハの処理に基づくフィードバック計算を反映しないでフィードフォワード計算が実行されてしまう。これでは,フィードフォワード計算による精度が低下してしまう。
【0008】
この場合,例えば処理室での直前の第1のウエハの処理に基づくフィードバック計算が終了してから次の第2のウエハを測定室に搬送してフィードフォワード計算を実行すればよいとも考えられるが,このように1枚のウエハの処理後の測定が終了するごとに次のウエハを搬送して処理前の測定を行っていたのでは,スループットが著しく低下してしまう。
【0009】
一方,フィードフォワード計算をできるだけ遅いタイミング,例えば処理室の手前(例えばロードロック室)までウエハを搬送し,そのタイミングでフィードフォワード計算を実行するようにした場合,そのフィードフォワード計算の時点で処理パラメータの値(例えばエッチング時間)が許容範囲を超えることがわかるとその処理室でのエッチング処理ができないため,ウエハの搬送処理が無駄になってしまうという問題があった。
【0010】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,被処理基板を連続して搬送して処理する際に,スループットを低下させることなく,被処理基板の搬送の無駄を防止でき,フィードフォワード計算によって算出される処理パラメータの調整精度を向上させることができる基板処理方法及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定工程と,前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出する第1計算工程と,算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定工程と,前記判定工程で前記許容範囲内であると判定した場合に,前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始してから前記処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,前記処理室で直前に処理された被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算工程と,前記処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理工程と,を有することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0012】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理を実行するためのプログラムを記憶する記憶媒体であって,コンピュータに,前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定ステップと,前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出する第1計算ステップと,算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定ステップと,前記判定ステップで前記許容範囲内であると判定した場合に,前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始してから前記処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,前記処理室で直前に処理された被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算ステップと,前記処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算ステップで算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理ステップと,を有するプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0013】
このような本発明によれば,第1回目の処理パラメータの計算(第1計算)によってその処理パラメータの値が許容範囲か否かを判断することにより,処理室への被処理基板の搬送を実行すべきか否かの当たりをつけた上で,その処理室への被処理基板の搬送を行うので,従来のように処理室に搬送してから処理パラメータの値が許容範囲を超えていて処理を行うことができないという事態を防止することができる。これにより,被処理基板の搬送処理の無駄を防止できる。また,第2回目の処理パラメータの計算(第2計算)では,処理室での直前の処理に基づく調整値を反映した処理パラメータの値を求めることができるので,処理パラメータの調整精度を向上させることができる。また,第1回目のフィードフォワード計算(第1計算)で算出される処理パラメータは実際に被処理基板の処理を実行するために計算するものではないため,処理前の表面プロファイルの測定については直前の被処理基板の処理を実行している間に行うことができるので,スループットを低下することなく,基板搬送処理を実行できる。
【0014】
さらに,上記処理室での処理が終了後は,前記被処理基板を前記測定室に搬入し,処理後の表面プロファイルを測定する処理後測定工程と,前記処理後の表面プロファイルの測定値から処理パラメータの値を調整するための調整値を算出する調整値算出工程とを行う。これにより,次の被処理基板の処理においては,最新の調整値を反映した処理パラメータの値を求めることができるので,処理パラメータの調整精度を向上させることができる。
【0015】
なお,表面プロファイルは例えば前記被処理基板上に形成される目的素子の微小寸法であり,処理パラメータは例えば前記被処理基板の処理時間である。
【0016】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定工程と,前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する前記処理パラメータの値を算出する第1計算工程と,前記各処理室ごとに算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定工程と,前記判定工程で前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室で処理された直前の被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算工程と,当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理工程と,を有することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0017】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理を実行するプログラムを記憶する記憶媒体であって,コンピュータに,前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定ステップと,前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する前記処理パラメータの値を算出する第1計算ステップと,前記各処理室ごとに算出された処理パラメータの値がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定ステップと,前記判定ステップで前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室で処理された直前の被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算ステップと,当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算ステップで算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理ステップと,を有することを特徴とするプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0018】
このような本発明によれば,第1回目の処理パラメータの計算(第1計算)によって各処理室ごとに処理パラメータの値を算出し,各処理パラメータの値が許容範囲内か否かを各処理室ごとに判定することにより,各処理室への被処理基板の搬送前にその搬送処理を実行すべきか否かの当たりをつけることができ,許容範囲内と判定した処理室にのみ被処理基板を搬送することができるので,被処理基板の搬送処理の無駄を防止できる。また,第2回目の処理パラメータの計算(第2計算)では,これから被処理基板を処理しようとする処理室での直前の処理に基づく調整値を反映した処理パラメータの値を求めることができるので,処理パラメータの調整精度を向上させることができる。
【0019】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定工程と,前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する前記処理パラメータの値を算出する第1計算工程と,前記各処理室ごとに算出された処理パラメータの値がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する第1判定工程と,前記第1判定工程で前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室で処理された直前の被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算工程と,前記第2計算工程で算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する第2判定工程と,前記第2判定工程で前記許容範囲内であると判定した場合は,当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出された処理パラメータに基づいて処理を行い,前記第2判定工程で前記許容範囲を超えると判定した場合は,前記第1判定工程で前記許容範囲内にあると判定した他の処理室に搬送して前記第2計算工程により処理パラメータの値を算出し直して前記被処理基板の処理を実行する処理工程と,を有することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0020】
このような本発明によれば,第2算出工程で改めて処理パラメータの値を算出したときにおいても,第2判定工程でその処理パラメータの値が前記許容範囲内か否かを判定し,許容範囲内を超える場合には,第1判定で処理パラメータの値が許容範囲内となる他の処理室にのみ被処理基板を搬送するので,搬送処理の無駄を防止することができる。
【0021】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,被処理基板に対してエッチング処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の目標素子の寸法を測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,前記測定室において前記被処理基板の処理前の目標素子の寸法を測定する処理前測定工程と,前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の目標素子の寸法の測定値から目標寸法を達成するエッチング時間を算出する第1計算工程と,前記各処理室ごとに算出されたエッチング時間がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定工程と,前記判定工程で前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室でエッチング処理された直前の被処理基板から得られた処理後の目標素子の寸法の測定値に基づく調整値と前記処理前の目標素子の寸法の測定値とから目標寸法を達成するエッチング時間を算出し直す第2計算工程と,当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出したエッチング時間によりエッチング処理を実行する処理工程と,を有することを特徴とする基板処理方法が提供される。このように,本発明は処理パラメータとして算出したエッチング時間により被処理基板に対してエッチング処理を行う場合に適用できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば,被処理基板を連続して搬送して処理する際に,スループットを低下させることなく,被処理基板の搬送の無駄を防止でき,フィードフォワード計算によって算出される処理パラメータの調整精度を向上させることができる基板処理装置及びプログラムを記憶した記憶媒体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(基板処理装置の構成例)
先ず,本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例について図面を参照しながら説明する。ここでは,搬送室に少なくとも1以上の真空処理ユニットが接続された基板処理装置を例に挙げて説明する。図1は本実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図である。
【0025】
基板処理装置100は,被処理基板例えば半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」ともいう。)Wに対して成膜処理,エッチング処理等の各種の処理を行う1つ又は2つ以上の真空処理ユニット110と,この真空処理ユニット110に対してウエハWを搬出入させる搬送ユニット120とを備える。搬送ユニット120は,ウエハWを搬送する際に共用される搬送室200を有している。
【0026】
図1では,例えば2つの真空処理ユニット110A,110Bを搬送ユニット120の側面に配設したものを示す。各真空処理ユニット110A,110Bは,それぞれ処理室140A,140Bと,これらのそれぞれに連設され,真空引き可能に構成されたロードロック室150A,150Bを有している。各真空処理ユニット110A,110Bは,各処理室140A,140B内でウエハWに対して同種の処理例えばエッチング処理を行うようになっている。
【0027】
例えば各処理室140A,140Bはそれぞれ,その内部に配置したウエハの載置台142A,142Bを兼ねる電極に高周波電力を印加するとともに,処理室140A,140B内に処理ガスを供給してプラズマ化してウエハ表面にプラズマエッチング処理を施すプラズマ処理装置として構成される。なお,処理室の構成はこれに限られるものではない。また,図1に示すように処理室を備える真空処理ユニットを2つ設けた場合について説明したが,これに限定されるものではなく,処理室を備える真空処理ユニットを3つ以上設けてもよい。
【0028】
上記搬送ユニット120の搬送室200は,例えばNガス等の不活性ガスや清浄空気が循環される断面略矩形状の箱体により構成されている。搬送室200における断面略矩形状の長辺を構成する一側面には,複数のカセット台132A〜132Cが並設されている。これらカセット台132A〜132Cは,カセット容器134A〜134Cを載置する被処理基板待機ポートとして機能する。図1では,例えば各カセット台132A〜132Cに3台のカセット容器134A〜134Cをそれぞれ1つずつ載置することができる例を挙げているが,カセット台とカセット容器の数はこれに限られず,例えば1台又は2台であってもよく,また4台以上設けてもよい。
【0029】
各カセット容器134A〜134Cには,例えば最大25枚のウエハWを等ピッチで多段に載置して収容できるようになっており,内部は例えばNガス雰囲気で満たされた密閉構造となっている。そして,搬送室200はその内部へゲートバルブ136A〜136Cを介してウエハWを搬出入可能に構成されている。
【0030】
搬送室200内には,ウエハWをその長手方向(図1に示す矢印方向)に沿って搬送する共通搬送機構(大気側搬送機構)160が設けられている。この共通搬送機構160は,例えば基台162上に固定され,この基台162は搬送室200内の中心部を長さ方向に沿って設けられた図示しない案内レール上を例えばリニアモータ駆動機構によりスライド移動可能に構成されている。共通搬送機構160は例えば図1に示すような2つのピックを備えるダブルアーム機構であってもよく,また1つのピックを備えるシングルアーム機構であってもよい。
【0031】
搬送室における断面略矩形状の長辺を構成する他側面には,上記2つのロードロック室150A,150Bの基端が,開閉可能に構成されたゲートバルブ(大気側ゲートバルブ)152A,152Bをそれぞれ介して連結されている。各ロードロック室150A,150Bの先端は,開閉可能に構成されたゲートバルブ(真空側ゲートバルブ)144A,144Bを介してそれぞれ上記処理室140A,140Bに連結されている。
【0032】
各ロードロック室150A,150B内には,それぞれウエハWを一時的に載置して待機させる一対のバッファ用載置台154A,156A及び154B,156Bが設けられる。ここで搬送室側のバッファ用載置台154A,154Bを第1バッファ用載置台とし,反対側のバッファ用載置台156A,156Bを第2バッファ用載置台とする。そして,両バッファ用載置台154A,156A間及び154B,156B間には,屈伸,旋回及び昇降可能になされた多関節アームよりなる個別搬送機構(真空側搬送機構)170A,170Bが設けられている。
【0033】
これら個別搬送機構170A,170Bの先端にはピック172A,172Bが設けられ,このピック172A,172Bを用いて第1,第2の両バッファ用載置台154A,156A及び154B,156B間でウエハWの受け渡し移載を行い得るようになっている。なお,ロードロック室150A,150Bから処理室140A,140B内へのウエハの搬出入は,それぞれ上記個別搬送機構170A,170Bを用いて行われる。
【0034】
搬送室200の一端部,すなわち断面略矩形状の短辺を構成する一方の側面には,ウエハWの位置決め装置としてのオリエンタ(プリアライメントステージ)137が設けられている。オリエンタ137は,例えば内部に回転載置台138とウエハWの周縁部を光学的に検出する光学センサ139とを備え,ウエハWのオリエンテーションフラットやノッチ等を検出して位置合せを行う。
【0035】
搬送室200の他端部,すなわち断面略矩形状の短辺を構成する他方の側面には,ウエハの表面プロファイルを測定するための測定室300が設けられている。例えば図3に示すようにウエハ表面に形成される被エッチング材料Eを所定のマスクパターンMによってマスクしてトリムエッチングする場合には,被エッチング材料Eにより構成される目標素子の幅の微小寸法(CD(Critical Dimension)値)をウエハの表面プロファイルとして測定する。ウエハの表面プロファイルとしては,CD値などの目的素子の微小寸法の他,例えば被エッチング材料の膜厚,エッチング形状,エッチングレート,これらの均一性などが挙げられる。
【0036】
測定室300は,例えばスキャトロメトリ法やオプティカルデジタルプロフィロメトリ法などのエリプソメトリ法によってウエハの表面プロファイルを測定する。具体的には例えば,測定室300内にウエハを載置する載置台を設け,この載置台上のウエハに光を照射する光源と,その反射光を受光する受光部と,その反射光から表面プロファイルを測定する測定部とを備える。
【0037】
上記各処理室140A,140B,測定室300,オリエンタ137,各搬送機構160,170など各部は,制御部400からの制御信号に基づいて制御される。制御部400は,所定のプログラムに基づいて各部を制御することによって,ウエハの処理を実行するようになっている。
【0038】
(制御部の構成例)
次に,制御部400の構成例について図面を参照しながら説明する。図2は,制御部400の構成例を示すブロック図である。図2に示すように制御部400は,制御部本体を構成するCPU(中央処理装置)410,CPU410が各部の制御処理,データ処理などを実行するために使用するROM(リード・オンリ・メモリ)やRAM(ランダム・アクセス・メモリ)などのメモリ420,操作画面や選択画面などを表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示手段430,オペレータによる種々のデータの入出力などを行うための操作パネルなどから構成される入出力手段440,例えばアラームのような警報器等で構成される報知手段450,CPU410が基板処理装置100の各部を制御するための各種コントローラ460を備える。
【0039】
さらに,制御部400は,CPU410が実行する各種のプログラムが記憶されるプログラム記憶手段470,CPU410が実行する制御処理,データ処理などを行うためのデータを記憶するデータ記憶手段480などを備える。なお,プログラム記憶手段470,データ記憶手段480は,例えばメモリやハードディスクなどで構成される。CPU410は必要に応じてこれらプログラム記憶手段470,データ記憶手段480から必要なプログラムやデータを読み出して制御処理やデータ処理を実行する。
【0040】
上記CPU410は,メモリ420,表示手段430,入出力手段440,報知手段450,各種コントローラ460,プログラム記憶手段470,データ記憶手段480とそれぞれ制御バス,システムバス,データバス等のバスラインにより電気的に接続されている。
【0041】
各種コントローラ460には,測定室300,共通搬送機構160,個別搬送機構170A,170B,オリエンタ137のコントローラの他,各処理室140A,140Bの各部の制御を行うコントローラも含まれる。なお,各処理室140A,140Bの各部の制御は,各処理室140A,140Bごとに制御部を設けて制御するようにしてもよい。この場合には上記制御部400は,各処理室140A,140Bの制御部と接続し,データや信号のやり取りを行いながら基板処理装置100を制御する。
【0042】
プログラム記憶手段470には,例えば共通搬送機構160,個別搬送機構170A,170Bなどを制御してウエハの搬送を行うためのウエハ搬送プログラム,測定室300において各部を制御し,ウエハの表面プロファイルの測定を行うための測定プログラム,各処理室140A,140Bにおいて例えばデータテーブル484に記憶された処理パラメータ(処理条件)に従って各部を制御し,ウエハに対してエッチング処理など所定の処理を実行するためのウエハ処理プログラムが記憶される。その他,フィードフォワード計算,フィードバック計算,処理パラメータの判定処理などの必要な計算や処理を行うためのプログラムが記憶される。なお,制御部400は,これら各プログラムを必要に応じて読み出して,基板処理装置100の各部を制御することによって,後述するウエハの処理(例えば図9A〜図9Cの処理)などを実行する。
【0043】
データ記憶手段480には,例えば後述するフィードフォワード計算及びフィードバック計算,ウエハの処理などに使用するデータが記憶される。具体的には図2に示すようにデータ記憶手段480には,表面プロファイルのデータテーブル482,処理パラメータのデータテーブル484,計算用データのデータテーブル486,判定用データのデータテーブル488などが設けられる。
【0044】
表面プロファイルのデータテーブル482には,例えば図3に示すように測定室300で測定された処理前後の表面プロファイルが各ウエハごとに記憶される。処理パラメータのデータテーブル484には,例えば図4に示すように各処理室140A,140Bごとにウエハ処理を実行するためのパラメータ値が記憶される。なお,処理前の表面プロファイルは,フィードフォワード計算における処理パラメータの自動計算に使用され,処理後の表面プロファイルは,フィードバック計算における処理パラメータの値を調整するための調整値の自動計算に使用される。
【0045】
処理パラメータは,例えば図4に示すようにエッチング時間,処理室内圧力,処理室内に供給する処理ガスの流量,電極に印加する高周波電力などが挙げられる。フィードフォワード計算で処理パラメータの値を自動計算する場合には,これら複数の処理パラメータのうちのすべてを算出して更新するようにしてもよく,いずれか1つ又は2つ以上の組合せを算出して更新し,他のパラメータは更新しないようにしてもよい。例えばエッチング時間だけを自動的に算出して更新するようにしてもよい。
【0046】
計算用データのデータテーブル486には,例えば図5に示すようにフィードフォワード計算に使用するエッチング量を算出するための計算式,処理パラメータの値を算出するための計算式,フィードバック計算で使用する調整値を算出するための計算式などの各種の計算を行うための計算式が記憶される。また,フィードバック計算で算出された調整値などが記憶される。
【0047】
判定用データのデータテーブル488には,例えば図6に示すようにフィードフォワード計算で算出された処理パラメータの値が所定の調整許容範囲内か否かの判定のために必要なデータ,判定結果などが記憶される。具体的には各処理室140A,140Bごとに設定される処理パラメータの値(例えばエッチング時間)の調整許容範囲のデータ,各処理室140A,140Bごとの判定結果などが記憶される。判定結果としては,後述するウエハの表面プロファイルの測定直後に実行される第1判定の判定結果,ウエハの処理直前に実行される第2判定の判定結果がある。これらの判定結果としては,例えばフィードフォワード計算で得られた処理パラメータの値が所定の調整許容範囲内の場合には判定結果OK,調整許容範囲を超える場合には判定結果NGを記憶する。
【0048】
なお,上述した各データテーブル482,484,486,488などに記憶されるデータは,オペレータによる操作パネルなどの入出力手段440の操作によって,設定や編集などを自由に行うことができるようになっている。
【0049】
(処理室で実行されるウエハの処理)
次に,各処理室140A,140Bで実行されるウエハ処理について説明する。なお,上述したように本実施形態では各処理室140A,140Bにおいてそれぞれ同様の処理が行われる。ここでのウエハ処理としては,例えば図7に示すようにウエハ表面に形成される被エッチング材料Eを所定のマスクパターンMによってマスクしてトリムエッチングする場合を例に挙げる。
【0050】
このようなエッチング処理を同じ処理パラメータの値を用いて連続して行った場合,エッチング量は,すべてのウエハについて一定になるはずである。ところが,実際のエッチング処理で得られるエッチング量は,エッチング処理を繰り返すことによって主として処理室内の状態が徐々に変化することに起因して経時的に変化する傾向がある。また,例えば部品交換や処理室内のクリーニングなどのメンテナンスが実行されるとその前後で処理室内の状態が改善されることに起因してシフト的に変化する傾向がある。
【0051】
例えば図8に示すようにウエハの処理を連続して実行すると,エッチング量は徐々に減少する傾向にある。そして,定期的にメンテナンスが行われることによってそのメンテナンス前後でシフト的に変化する傾向がある。
【0052】
しかも,複数の処理室を備える場合には,各処理室のもつ特性の相違(例えばエッチングレートの相違など),ウエハ処理の開始や終了のタイミングの相違などにより,エッチング量の変化は各処理室ごとに異なる傾向がある。例えば図8にそれぞれ処理室140A,140Bのエッチング量の変化の傾向を示す。図8に各処理室140A,140Bについてのエッチング処理を実行可能な許容範囲WA,WBをそれぞれ点線で示すと,例えば時間tpでは,処理室140Aについては許容範囲WA内となるのでエッチング処理を実行可能であるのに対して,処理室140Bについては許容範囲WBを超えるのでエッチング処理を実行不可能であることがわかる。
【0053】
そこで,本実施形態では,ウエハの連続処理を行う場合に常に所望の処理結果を達成するため,上述したようなエッチング量の経時的変化やシフト的変化による影響を自動的に修正するフィードフォワード計算及びフィードバック計算を行うようになっている。
【0054】
(フィードフォワード計算)
ここで,先ずエッチング処理前に行うフィードフォワード計算について説明する。フィードフォワード計算では,エッチング処理前に被エッチング材料Eにより構成される目標素子の幅の微小寸法(CD値)Dbefを測定しておき,その処理前のCD値Dbefから,処理結果としての目標素子の幅の目標寸法(目標CD値)Dtagを達成するための処理パラメータの値を自動的に計算する。ここでの処理パラメータは,処理室の各部を制御するための処理条件を構成するパラメータであり,例えばエッチング時間,処理ガスの流量,電極に印加する高周波電力,処理室内圧力などが挙げられる。
【0055】
このようなフィードフォワード計算による具体的な計算例を以下に説明する。先ず処理前に測定されたCD値Dbefと目標CD値Dtagに基づいてエッチング量を求める。具体的には例えば下記数式(1)を用いて算出する。
【0056】
D=Dbef−Dtag+ΔD・・・(1)
【0057】
上記数式におけるΔDは,後述するフィードバック計算で得られるエッチング量の調整値ΔDである。この調整値ΔDはフィードバック計算の結果をフィードフォワード計算に反映させるために加算するものである。これにより,エッチング量が経時的に変化する場合であっても,調整値ΔDによって処理パラメータの値(例えばエッチング時間)が調整されるため,常に所望のエッチング量を得ることができるので,常に目標CD値を達成することができる。
【0058】
こうして得られるエッチング量Dからエッチング時間tを求める。具体的には例えばエッチング量とエッチング時間との相関関係を用いてエッチング量Dに対応するエッチング時間tを求める。なお,エッチング量とエッチング時間との相関関係は,予め実験等によって求めた計算式(関数)であってもよく,また複数のエッチング量とそれらに対応するエッチング時間との相関データであってもよい。このとき,トリムエッチングでは,図7に示すように被エッチング材料Eにより構成される素子の両側面が同時にエッチングされるので,ここでのエッチング量(トリミング量)はエッチング速度の2倍になることを考慮してエッチング量やエッチング時間を求める。こうして得られるエッチング時間によりウエハのエッチング処理が行われる。
【0059】
また,例えばフィードフォワード計算によって算出されたエッチング時間が,予め設定された調整許容範囲内にあるか否かを判定することにより,その処理室で処理を実行できるか否か(その処理室に搬送すべきか否か)を判定することができる。すなわち,フィードフォワード計算によって算出されるエッチング時間は,フィードバック計算による調整値ΔDを反映したものであるため,調整値ΔDが大きいと予め設定された調整許容範囲を超えてしまってエッチング処理ができない場合があるからである。また,調整値ΔDが大きいため,エッチング時間の変動があまりに大きくなる場合には,何らかの異常が発生しているものと考えられるからである。
【0060】
従って,エッチング時間が調整許容範囲内である場合には判定結果OKとしてエッチング処理を実行し,エッチング時間が調整許容範囲を超える場合には判定結果NGとしてエッチング処理を実行しないようにする。
【0061】
(フィードバック計算)
次に,エッチング処理後に行うフィードバック計算について説明する。フィードバック計算では,エッチング処理後に被エッチング材料Eの目標素子のCD値Daftを測定して,そのCD値Daftと目標CD値Dtagとの差からエッチング量の調整値ΔDを自動的に計算する。具体的には例えば下記数式(2)を用いて算出する。
【0062】
ΔD=Daft−Dtag・・・(2)
【0063】
調整値ΔDは最初は0とし,また処理室内のクリーニングや部品交換などのメンテナンスを行った場合には再び0にリセットする。メンテナンスにより処理室内の状態が改善するため,その直後は処理パラメータの値を調整する必要がないからである。これにより,上述したようなエッチング量のシフト的な変化に対応でき,メンテナンス前後についても常に目標CD値を達成することができる。なお,フィードバック計算によって算出する調整値は,エッチング量の調整値ΔDとした場合を例に挙げて説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,処理パラメータ(例えばエッチング時間)の調整値として算出してもよい。
【0064】
なお,上述したフィードフォワード計算で用いるエッチング量を求めるためのエッチング量算出式(例えば上記(1)式)やエッチング時間を求めるためのエッチング時間算出式,フィードバック計算で用いる調整値算出式(例えば上記(2)式)などの各計算式は,例えば図5に示す計算用データのデータテーブル486に予め記憶しておく。これらの計算式は,オペレータによる入出力手段440の操作によって設定,編集などを行うことができる。また,これらの計算式は上述したものに限られるものではなく,他の計算式を用いてもよい。
【0065】
ところで,ウエハを連続して搬送して処理する場合に,スループット向上の観点からは,処理室でのウエハの処理が終了してから次のウエハの処理を開始するまでの時間が短い方がよい。しかしながら,上述したようなフィードフォワード計算では,フィードバック計算による結果を反映するので,処理室でのウエハの処理を実行している間にウエハの搬送が次々と実行されると,そのウエハの搬送とフィードフォワード計算のタイミングによっては,直前のフィードバック計算の結果が反映されない状態でフィードフォワード計算が実行されてしまう場合がある。
【0066】
例えば処理室での第1のウエハの処理を実行している間に,次の第2のウエハを測定室に搬送してCD値を測定し,そのタイミングでフィードフォワード計算を行うようにすると,直前の第1のウエハの処理に基づくフィードバック計算を反映しないでフィードフォワード計算が実行されてしまう。
【0067】
この場合,例えば処理室での直前の第1のウエハの処理に基づくフィードバック計算が終了してから次の第2のウエハを測定室に搬送してフィードフォワード計算を実行すればよいとも考えられるが,このように1枚のウエハの処理後の測定が終了するごとに次のウエハを搬送して処理前の測定を行っていたのでは,スループットが著しく低下してしまう。
【0068】
一方,フィードフォワード計算をできるだけ遅いタイミング,例えば処理室の手前(例えばロードロック室)までウエハを搬送し,そのタイミングでフィードフォワード計算を実行するようにした場合,そのフィードフォワード計算の時点で処理パラメータの値(例えばエッチング時間)が許容範囲を超えることがわかるとその処理室でのエッチング処理ができないため,ウエハの搬送処理が無駄になってしまうという問題がある。
【0069】
また,同様のエッチング処理を行う複数の処理室を備える基板処理装置では,スループット向上の観点から,先に処理が終了した処理室に次のウエハを搬送してエッチング処理を行うことが行われるので,上記と同様にウエハの搬送処理が無駄になる問題がある。例えば先に処理が終了した処理室の手前まで搬送したタイミングでフィードフォワード計算を実行して処理パラメータの値(例えばエッチング時間)が許容範囲を超えることがわかると,その処理室でのエッチング処理ができないので,他の処理室の手前まで搬送され,その処理室についてのフィードフォワード計算が実行される。そのときのフィードフォワード計算でも処理パラメータの値(例えばエッチング時間)が許容範囲を超えることがわかると,その処理室でのエッチング処理もできない。こうして最終的にウエハの処理を実行できなかった場合には,ウエハ搬送処理の無駄が非常に大きい。
【0070】
そこで,本実施形態においては,処理前の表面プロファイルを測定したときに先ず第1回目のフィードフォワード計算を実行し,その結果得られた処理パラメータの値が許容範囲内となる処理室の判定を行う。そして,処理パラメータの値が許容範囲内となる処理室にのみウエハの搬送を実行し,その処理室の手前までウエハを搬送し,その処理室での直前の処理に基づくフィードバック計算が終了した後に第2回目のフィードフォワード計算を再度実行し直すようにする。
【0071】
このように,第1回目のフィードフォワード計算によってその処理室へのウエハの搬送を実行すべきか否かの当たりをつけた上で,その処理室への搬送処理を行うので,従来のように処理室に搬送してから処理パラメータの値が許容範囲を超えていて処理を行うことができないという事態を防止することができる。これにより,ウエハ搬送処理の無駄を防止できる。
【0072】
さらに,第2回目のフィードフォワード計算では,処理室での直前の処理に基づくフィードバック計算を反映したフィードフォワード計算を実行することができるので,フィードフォワード計算で算出される処理パラメータの調整精度を向上させることができる。また,第1回目のフィードフォワード計算によって算出される処理パラメータは実際のウエハの処理を行うために計算するものではないため,処理前のCD値Dbefを測定については直前のウエハの処理を実行している間に行うことができる。これにより,スループットを低下することなく,ウエハの搬送処理を実行できる。
【0073】
(ウエハ処理の具体例)
次に,このようなウエハ搬送を考慮したフィードフォワード計算を伴うウエハ処理の具体例を図面を参照しながら説明する。図9A〜図9Cは,本実施形態にかかるウエハ処理の具体例を示すフローチャートである。図9Aではウエハの処理が実行可能か否かを判定する実行可否判定のための第1回目のフィードフォワード計算が行われ,図9Bではその後にウエハ処理を実行するための第2回目のフィードフォワード計算が行われる。また,図9Cではウエハ処理終了後のフィードバック計算が行われる。
【0074】
先ず,各処理室140A,140Bでのウエハの処理を実行可能か否かを判定する実行可否判定を行う。例えば図9Aに示すように,先ずステップS110にてカセット容器からウエハを取り出して測定室300に搬入させる。具体的には図10に示すように例えばカセット容器134Aから共通搬送機構160によりウエハWを取り出して,オリエンタ137に搬入して位置決めする。位置決めが終了すると,共通搬送機構160によりオリエンタ137からウエハWを搬出して測定室300へ搬入する。
【0075】
次いで,ステップS120にて測定室300においてそのウエハの処理前の表面プロファイル(例えば目標素子のCD値)を測定して表面プロファイルのデータテーブル482に記憶する(処理前測定工程)。
【0076】
次に,ステップS130にて各処理室140A,140Bについて第1回目のフィードフォワード計算を行い(第1計算工程),その結果に基づいてステップS140にて各処理室140A,140Bにおけるウエハ処理の実行可否判定を行う(第1判定工程)。この第1判定では,例えば第1回目のフィードフォワード計算で算出される処理パラメータの値が調整許容範囲内か否かを判断する。そして,調整許容範囲内である処理室は第1判定結果OKとし,調整許容範囲を超える処理室は第1判定結果NGとして,ステップS150にてその判定結果を各処理室140A,140Bごとに判定用データのデータテーブル488に記憶する。
【0077】
これらステップS130〜ステップS150までの一連の処理について,より具体的に説明する。ステップS130における第1回のフィードフォワード計算では,表面プロファイルのデータテーブル482から処理前の表面プロファイルの実測値を読み出し,その実測値から目標値を達成するための処理パラメータの値を自動的に計算する。例えば上述のように表面プロファイルとしてCD値を測定し,処理パラメータとしてエッチング時間を算出する場合には,先ず処理前に測定されたCD値Dbefと目標CD値Dtagに基づいてエッチング量Dを求め,そのエッチング量Dを達成するエッチング時間を算出する。
【0078】
なお,各処理室140A,140Bごとに第1回目のフィードフォワード計算及び第1判定を行うのは以下の理由による。フィードフォワード計算においてエッチング量Dを求める際には,例えば上記(1)式に示すようにフィードバック計算による調整値ΔDを加えてフィードバック計算の結果を反映させる。この調整値ΔDは各処理室140A,140Bの特性や処理のタイミングによって変わるため,各処理室140A,140Bごとに算出されて計算用データのデータテーブル486に記憶される。従って,各処理室140A,140Bごとに調整値ΔDが異なる場合には,調整値ΔDを反映して算出されるエッチング量Dも異なる。このため,ステップS130における第1回目のフィードフォワード計算では各処理室140A,140Bごとに処理パラメータの値を算出し,ステップS140における第1判定では各処理室140A,140Bごとに処理パラメータの値が調整許容範囲内か否かを判定する。
【0079】
このように,第1判定によって得られる判定結果は,各処理室140A,140Bごとに異なるので,例えば第1判定を行うタイミングによっては,処理室140A,140Bの一方が第1判定結果OKで,他方が第1判定結果NGとなる場合,処理室140A,140Bの両方が第1判定結果OKとなる場合,処理室140A,140Bの両方が第1判定結果NGとなる場合が考えられる。
【0080】
このような本実施形態におけるウエハ処理では,第1回目のフィードフォワード計算は,例えば図10に示すように測定室300においてウエハWtの処理前の表面プロファイルの測定が終了直後のタイミングで行われる。これにより,各処理室140A,140BへウエハWtを搬送する前に各処理室140A,140Bで当該ウエハWtの処理の実行可否を判定することができるので,ウエハWtの搬送の無駄を防止できる。
【0081】
このように,第1回目のフィードフォワード計算は,各処理室140A,140BへウエハWtを搬送する前の比較的早い段階で行われるため,図10に示すように各処理室140A,140Bで先に搬送されたウエハWa,Wbの処理が実行されている間に行われることもある。このため,第1回目のフィードフォワード計算において用いられる調整値ΔDには直前のウエハの処理に基づくフィードバック計算が反映されていない場合(すなわち調整値ΔDの更新が間に合わない場合)もある。
【0082】
従って,本実施形態では,実際にウエハの処理を行うための処理パラメータの値(例えばエッチング時間)は,搬送する処理室が決まってからその処理室の手前において後述する第2回目のフィードフォワード計算によって改めて計算する。これにより,その処理室で直前の処理に基づくフィードバック計算が終了してから第2回目のフィードフォワード計算を行うことができるので,その最新のフィードバック計算を反映したエッチング処理時間を算出することができる。
【0083】
こうして第1判定が終了すると,ステップS160にてウエハをカセット容器に戻す。具体的には図10に示すように,測定室300から共通搬送機構160によりウエハWtを取り出して搬送し,元のカセット容器134Aに戻す。
【0084】
この状態で,図9Bに示すステップS210にて第1判定結果がOKの処理室において処理が終了するまで当該ウエハWtの搬送を待機する。すなわち,いずれかの処理室140A,140Bの処理が終了するまで待機し,いずれかの処理室の処理が終了すると,その処理室の第1判定結果がOKか否かを判定用データのデータテーブル488の判定結果に基づいて判断する。そして,その処理室の第1判定結果がNGであればその処理室へのウエハの搬送を行うことなく,待機を続行する。
【0085】
これに対して,その処理室の第1判定結果がOKであればステップS220にてウエハを当該処理室の手前まで搬送する。これによれば,第1判定結果がOKとなる処理室のみにウエハが搬送されるので,先に処理が終了した処理室でも第1判定結果がNGとなる処理室にはウエハが搬送されない。これにより,ウエハを搬送してから判定結果がNGとなることを防止できるので,ウエハ搬送の無駄を防止できる。
【0086】
ここで,例えばウエハWtをカセット容器134Aから処理室140Aの手前まで搬送する際の動作について具体的に説明する。図11に示すようにウエハWtを再びカセット容器134Aから共通搬送機構160により取り出して,オリエンタ137に搬入して位置決めする。位置決めが終了すると,共通搬送機構160によりオリエンタ137からウエハWtを搬出して,ゲートバルブ152Aが開放されると,ロードロック室150Aのバッファ用載置台154Aに載置する。そして,ロードロック室150Aにおいて,個別搬送機構170Aによってバッファ用載置台154AのウエハWtを処理室140Aの手前のバッファ用載置台156Aに移載する。こうして,ロードロック室150AへのウエハWtの搬入が終了すると,ゲートバルブ152Aが閉塞される。
【0087】
なお,処理室140Aでの直前の処理が終了した処理済みウエハWaとの交換でウエハWtを処理室140Aに搬入する場合には,共通搬送機構160の一方のピックによりオリエンタ137からウエハWtを搬出して,いったん真空処理ユニット110Aのロードロック室150Aの直前まで搬送する。
【0088】
このとき,個別搬送機構170Aによって処理済みのウエハWaが処理室140Aから搬出されてバッファ用載置台154Aまで移載され,ロードロック室150A内が圧力調整されてゲートバルブ152Aが開放されると,共通搬送機構160の他方のピックにより処理済みのウエハWaを搬出するとともに,一方のピックでウエハWtをロードロック室150A内に搬入し,バッファ用載置台154Aに載置する。こうして,ロードロック室150AへのウエハWtの搬入が終了すると,ゲートバルブ152Aが閉塞される。
【0089】
一方,ウエハWaは,共通搬送機構160によって測定室300へ搬入され,測定室300においてそのウエハWaの処理後の表面プロファイル(例えば目標素子のCD値)が測定され,フィードバック計算が行われる。フィードバック計算では例えばウエハWaの処理後のCD値に基づくエッチング量の調整値ΔDが算出され,その調整値ΔDは上書きされ更新される。こうして処理室140Aでの直前のウエハWaの処理に基づくフィードバック計算は終了する。
【0090】
次に,ステップS230にて当該処理室での直前の処理に基づくフィードバック計算終了待ちとなる。フィードバック計算が終了すると,ステップS240にて当該処理室について第2回目のフィードフォワード計算を実行し,その処理室で実際にウエハ処理を実行するための処理パラメータの値を求める(第2計算工程)。そして,ステップS250にてその結果に基づいて当該処理室におけるウエハ処理の実行可否判定を行う(第2判定工程)。この第2判定では,例えば第2回目のフィードフォワード計算で算出される処理パラメータの値が調整許容範囲内か否かを判断する。そして,調整許容範囲内である処理室は第2判定結果OKとし,調整許容範囲を超える処理室は第2判定結果NGとする。
【0091】
第2回のフィードフォワード計算では,表面プロファイルのデータテーブル482から既に測定された処理前の表面プロファイルの実測値を読み出し,この実測値から目標値を達成するための処理パラメータの値を自動的に計算する。例えば上述のように表面プロファイルとしてCD値を測定し,処理パラメータとしてエッチング時間を算出する場合には,先ず処理前に測定されたCD値Dbefと目標CD値Dtagに基づいてエッチング量Dを求め,そのエッチング量Dを達成するエッチング時間を算出する。
【0092】
第2回のフィードフォワード計算では,上記(1)式に示すフィードバック計算による調整値ΔDは,当該処理室(これから処理を実行しようとする処理室)についてのものを用いて,実際のウエハ処理に使用するための処理パラメータの値を算出する。なお,第2回のフィードフォワード計算で用いられる調整値ΔDは,その処理室での直前に処理されたウエハのフィードバック計算によって更新された最新のものである。
【0093】
ステップS260にて第2判定結果がNGの場合には,ステップS262にて判定用データのデータテーブル488から第1判定結果がOKの処理室が他にあるか否かを判断する。ステップS262にて第1判定結果がOKの処理室が他にあった場合にはステップS210の処理に戻り,他の処理室についてステップS210以降の処理を行う。これにより,例えば処理室140Aの第2判定結果がNGであっても,処理室140Bの第1判定結果がOKの場合には,ウエハを処理室140Bに搬送して処理を行うことができる。
【0094】
ステップS262にて第1判定結果がOKの処理室が他にない場合には,ステップS264にてエラー処理を行う。エラー処理としては例えばそのウエハが異常である旨を表示手段430に表示させたり,報知手段450によって報知したりする。
【0095】
これに対して,ステップS260にて第2判定結果がOKの場合には,ステップS270にてウエハを当該処理室に搬入し,ステップS280にてウエハの処理を行う(処理工程)。具体的には,処理室140Aでの準備が整ってゲートバルブ144Aが開放されると,図11に示すようにロードロック室150A内のウエハWtを個別搬送機構170Aにより処理室140Aに搬入する。処理室140AへのウエハWtの搬入が終了すると,ゲートバルブ144Aが閉塞される。そして,処理室140Aにおいては,第2フィードフォワード計算によって算出された処理パラメータに基づいてウエハWtに対するエッチング処理を実行する。
【0096】
その後,ステップS290にてウエハの処理が終了したか否かを判断し,ウエハの処理が終了したと判断した場合は図9CのステップS310以降のフィードバック計算を行う。すなわち,ステップS310にてウエハを当該処理室から取り出して測定室300まで搬送し,測定室300に搬入する。具体的には例えば図12に示すように処理室140AでのウエハWtの処理が終了して,ゲートバルブ144Aが開放されると,個別搬送機構170AによりウエハWtをロードロック室150Aへ搬出する。
【0097】
次いで,ゲートバルブ144Aが閉塞すると,搬送室200へのウエハWtの搬出動作を行う。すなわち,大気圧状態にある搬送室200と真空圧状態にあるロードロック室150A内との圧力差をなくすために,ロードロック室150A内の大気圧復帰を行う。ゲートバルブ152Aが開放すると,共通搬送機構160によりウエハWtをロードロック室150Aから搬送室200へ搬出し,ゲートバルブ152Aは閉塞する。その後,共通搬送機構160によりウエハWtを測定室300まで搬送し,測定室300の載置台上に搬入する。
【0098】
次いで,ステップS320にて測定室300においてそのウエハの処理後の表面プロファイル(例えば目標素子のCD値)を測定して表面プロファイルのデータテーブル482に記憶する。
【0099】
次に,ステップS330にて当該処理室についてのフィードバック計算を行う。例えば表面プロファイルのデータテーブル482から処理後の表面プロファイルの実測値を読み出し,その実測値と目標値との差から調整値を計算する。例えば上述のように表面プロファイルとしてCD値を測定する場合には,先ず処理後に測定されたCD値Daftと目標CD値Dtagとの差に基づいてエッチング量の調整値ΔDを求め,計算用データのデータテーブル486における当該処理室についての調整値ΔDを上書きして更新する。
【0100】
処理後の表面プロファイルの測定が終了すると,ステップS340にてそのウエハをカセット容器に戻す。具体的には例えば共通搬送機構160によりウエハWtを測定室300から取り出して搬送し,カセット容器134Aに戻す。こうして一連のウエハの処理を終了する。
【0101】
このような本実施形態にかかるウエハの処理では,各処理室140A,140Bにウエハを搬送する前に第1回目のフィードフォワード計算(第1計算)で各処理室140A,140Bごとに処理パラメータの値を算出し,許容範囲内か否かを各処理室140A,140Bごとに判断することにより,各処理室140A,140Bにウエハを搬送する前にその搬送処理を実行すべきか否かの当たりをつけることができる。そして,許容範囲内と判定した処理室にのみウエハを搬送することができるので,ウエハの搬送の無駄を防止できる。
【0102】
なお,本実施形態では,本発明を2つの処理室140A,140Bを備える基板処理装置100に適用した場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,1つの処理室のみを備える基板処理装置に適用してもよい。また,3つ以上の処理室を備える基板処理装置100に適用してもよい。処理室が多いほど搬送の無駄を防止する効果は大きい。
【0103】
また,上記実施形態により詳述した本発明については,複数の機器から構成されるシステムに適用しても,1つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウエハのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体をシステムあるいは装置に供給し,そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することによっても,本発明が達成され得る。
【0104】
この場合,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり,そのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体等の媒体としては,例えば,フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD+RW,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどが挙げられる。また,媒体に対してプログラムを,ネットワークを介してダウンロードして提供することも可能である。
【0105】
なお,コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより,上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく,そのプログラムの指示に基づき,コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0106】
さらに,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムが,コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後,そのプログラムの指示に基づき,その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0107】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0108】
例えば,上記実施形態では,例えば処理ユニットを処理室にロードロック室を接続して構成し,搬送ユニットに複数の処理ユニットを並列に接続した所謂タンデム型の基板処理装置を例に挙げて説明したが,これに限られず,例えば処理ユニットを共通搬送室の周りに複数の処理室を接続して構成した所謂クラスタツール型の基板処理装置にも本発明を適用できる。この場合においても,上記実施形態の場合と同様に搬送ユニットに測定室を接続する。このように,測定室と処理室を備える様々なタイプの基板処理装置に本発明を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は,基板処理方法及びプログラムを記憶する記憶媒体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2】図1に示す制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す表面プロファイルのデータテーブルの例を示す図である。
【図4】図2に示す処理パラメータのデータテーブルの例を示す図である。
【図5】図2に示す計算用データのデータテーブルの例を示す図である。
【図6】図2に示す判定用データのデータテーブルの例を示す図である。
【図7】本実施形態にかかるウエハの表面に形成される目的素子の例を示す模式図である。
【図8】本実施形態にかかる各処理室のエッチング量と時間(ウエハの処理枚数)との関係を示す図である。
【図9A】本実施形態にかかるウエハ処理の具体例を示すフローチャートである。
【図9B】図9Aに続くウエハ処理の具体例を示すフローチャートである。
【図9C】図9Bに続くウエハ処理の具体例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態にかかるウエハ処理におけるウエハの流れと第1回目のフィードフォワード計算のタイミングを説明するための図である。
【図11】本実施形態にかかるウエハ処理におけるウエハの流れと第2回目のフィードフォワード計算のタイミングを説明するための図である。
【図12】本実施形態にかかるウエハ処理におけるウエハの流れとフィードバック算のタイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0111】
100 基板処理装置
110A,110B 真空処理ユニット
120 搬送ユニット
132A〜132C カセット台
134A〜134C カセット容器
136A〜136C ゲートバルブ
137 オリエンタ
138 回転載置台
139 光学センサ
140A,140B 処理室
142A,142B 載置台
144A,144B ゲートバルブ
150A,150B ロードロック室
152A,152B ゲートバルブ
154A,154B バッファ用載置台
156A,156B バッファ用載置台
160 共通搬送機構
162 基台
170A,170B 個別搬送機構
172A,172B ピック
200 搬送室
300 測定室
400 制御部
410 CPU
420 メモリ
430 表示手段
440 入出力手段
450 報知手段
460 各種コントローラ
470 プログラム記憶手段
480 データ記憶手段
482 表面プロファイルのデータテーブル
484 処理パラメータのデータテーブル
486 計算用データのデータテーブル
488 判定用データのデータテーブル
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,
前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定工程と,
前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出する第1計算工程と,
算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定工程と,
前記判定工程で前記許容範囲内であると判定した場合に,前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始してから前記処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,前記処理室で直前に処理された被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算工程と,
前記処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理工程と,
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
さらに,前記処理室での処理が終了した前記被処理基板を前記測定室に搬入し,処理後の表面プロファイルを測定する処理後測定工程と,
前記処理後の表面プロファイルの測定値から処理パラメータの値を調整するための調整値を算出する調整値算出工程と,
を有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記表面プロファイルは,前記被処理基板上に形成される目的素子の寸法であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記処理パラメータは,前記被処理基板の処理時間であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,
前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定工程と,
前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する前記処理パラメータの値を算出する第1計算工程と,
前記各処理室ごとに算出された処理パラメータの値がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定工程と,
前記判定工程で前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室で処理された直前の被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算工程と,
当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理工程と,
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,
前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定工程と,
前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する前記処理パラメータの値を算出する第1計算工程と,
前記各処理室ごとに算出された処理パラメータの値がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する第1判定工程と,
前記第1判定工程で前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室で処理された直前の被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算工程と,
前記第2計算工程で算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する第2判定工程と,
前記第2判定工程で前記許容範囲内であると判定した場合は,当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出された処理パラメータに基づいて処理を行い,前記第2判定工程で前記許容範囲を超えると判定した場合は,前記第1判定工程で前記許容範囲内にあると判定した他の処理室に搬送して前記第2計算工程により処理パラメータの値を算出し直して前記被処理基板の処理を実行する処理工程と,
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
被処理基板に対してエッチング処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の目標素子の寸法を測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理方法であって,
前記測定室において前記被処理基板の処理前の目標素子の寸法を測定する処理前測定工程と,
前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の目標素子の寸法の測定値から目標寸法を達成するエッチング時間を算出する第1計算工程と,
前記各処理室ごとに算出されたエッチング時間がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定工程と,
前記判定工程で前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室でエッチング処理された直前の被処理基板から得られた処理後の目標素子の寸法の測定値に基づく調整値と前記処理前の目標素子の寸法の測定値とから目標寸法を達成するエッチング時間を算出し直す第2計算工程と,
当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算工程で算出したエッチング時間によりエッチング処理を実行する処理工程と,
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理を実行するためのプログラムを記憶する記憶媒体であって,
コンピュータに,
前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定ステップと,
前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出する第1計算ステップと,
算出された処理パラメータの値が予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定ステップと,
前記判定ステップで前記許容範囲内であると判定した場合に,前記処理室に向けて前記被処理基板の搬送を開始してから前記処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,前記処理室で直前に処理された被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算ステップと,
前記処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算ステップで算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理ステップと,
を有するプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項9】
被処理基板に対して所定の処理パラメータに基づいて処理を実行する複数の処理室と,前記被処理基板の処理前後の表面プロファイルを測定する測定室とを備える基板処理装置の基板処理を実行するプログラムを記憶する記憶媒体であって,
コンピュータに,
前記測定室において前記被処理基板の処理前の表面プロファイルを測定する処理前測定ステップと,
前記処理室のうちのいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始する前に,前記各処理室ごとに前記処理前の表面プロファイルの測定値から目標の表面プロファイルを達成する前記処理パラメータの値を算出する第1計算ステップと,
前記各処理室ごとに算出された処理パラメータの値がそれぞれ予め設定された許容範囲内か否かを判定する判定ステップと,
前記判定ステップで前記許容範囲内であると判定した処理室がある場合に,それらの処理室のいずれかに向けて前記被処理基板の搬送を開始してから当該処理室へ前記被処理基板を搬入するまでの間に,当該処理室で処理された直前の被処理基板から得られた処理後の表面プロファイルの測定値に基づく調整値と前記処理前の表面プロファイルの測定値とから目標の表面プロファイルを達成する処理パラメータの値を算出し直す第2計算ステップと,
当該処理室に前記被処理基板を搬入して前記第2計算ステップで算出した処理パラメータの値に基づいて処理を実行する処理ステップと,
を有することを特徴とするプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−91816(P2008−91816A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273793(P2006−273793)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】