説明

基板処理装置

【課題】シールキャップアームや炉口シャッタアームの撓みを補正して、Oリングを十分潰すことができ、処理室を十分シールするができる閉塞補助機構を備えた基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板を搬入する開口部を有し、搬入した基板に対し処理を行う処理室と、基板が処理室内にあるときに前記処理室の開口部を閉塞する第1の蓋体と、前記第1の蓋体を開閉動作させる第1の開閉機構と、基板が処理室内にないときに前記処理室の開口部を閉塞する第2の蓋体と、前記第2の蓋体を開閉動作させる第2の開閉機構と、前記第1の開閉機構の閉塞力を補助する第1の閉塞補助機構と、前記第2の開閉機構の閉塞力を補助する第2の閉塞補助機構とを備える基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理技術に関し、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造装置である基板処理装置、特に、縦型バッチ式熱処理装置の処理室のシール方法に関するものである。縦型バッチ式熱処理装置においては、半導体集積回路が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウエハ)に対し所望の膜を形成するために、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)などの熱処理を行うものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、縦型バッチ式熱処理装置においては、複数のウエハを保持したボートを円盤状のシールキャップ上に載せて、略円筒形状の処理室の下側にある開口部から処理室内に搬入し、シールキャップにより処理室下側の開口部を閉塞し、処理室を密閉(シール)して、複数のウエハに対して同時に熱処理を行う。熱処理が終了すると、複数のウエハを保持したボートは、処理室下側の開口部から搬出され、その後、処理室下側の開口部は円盤状の炉口シャッタにより閉塞され、処理室は密閉(シール)される。熱処理終了後の処理室開口部を閉塞することにより、処理室内の高温雰囲気が処理室外に放出されることを抑制し、また、処理室内に大気が入ることを抑制する。
【0003】
従来のシール構造について、図6を用いて説明する。図6(a)は、処理室内へボートを搬入した後の、シールキャップによるシール構造を示す垂直断面図である。図6(b)は、熱処理終了後に処理室内からボートを搬出した後の、炉口シャッタによるシール構造を示す垂直断面図である。
図6(a)において、円盤状のシールキャップ219は、コイルばね等のばね63を介して円盤状のシールキャップベース62に取付られ、シールキャップベース62は略直方体形状のシールキャップアーム61に固定されている。シールキャップアーム61は、ボートエレベータ121により上下動可能であり、したがってシールキャップ219も上下動可能となっている。複数のウエハを保持したボート217を、シールキャップ219上に載せて上昇させ、処理室201の下側にある開口部から処理室201内に搬入した後、さらにシールキャップ219を上昇させて、ばね63のばね力を用いて処理室201の下端に押付けることにより、Oリング220を押圧して潰し、処理室201を密閉(シール)する。
このとき、特にウエハサイズが直径450mm等のように大きくなり、該ウエハを保持するボート217の重量が重くなると、シールキャップアーム61が撓み、図6(a)に示すように、シールキャップアーム61と反対側のOリング220の潰しが不十分となり、処理室201が十分シールできない場合がある。
【0004】
また、図6(b)において、円盤状の炉口シャッタ116は、コイルばね等のばね67を介して円盤状の炉口シャッタベース66に取付られ、炉口シャッタベース66は略直方体形状の炉口シャッタアーム65に固定されている。炉口シャッタアーム65は、処理室201の下方まで水平方向に回動した後、上下動可能であり、したがって炉口シャッタ116も上下動可能となっている。図6(b)に示すように、熱処理終了後に処理室201内からボート217を搬出した後に、炉口シャッタ116を処理室201の下方まで水平方向に回動した後、上昇させ、ばね67のばね力を用いて処理室201の下端に押付けることにより、Oリング220を押圧して潰し、処理室201をシールする。この場合も、炉口シャッタアーム65が撓むと、炉口シャッタアーム65と反対側のOリング220の潰しが不十分となり、処理室201が十分シールできない場合がある。
【0005】
下記の特許文献1には、炉口シャッタが処理室下端の開口部を閉塞する際に、該閉塞力を補助するための閉塞補助装置が開示されている。特許文献1の閉塞補助装置においては、炉口シャッタを支えるシャッタ保持アームの先端部下側に、水平方向に突出自在なシリンダを設け、該シリンダを、筐体側に固定設置されたシリンダ受けブロックに係合させて、閉塞補助を行うようにしている。したがって、シリンダとシリンダ受けブロックとの摩擦によるパーティクルの発生が問題となる恐れがある。また、閉塞補助装置が炉口シャッタに設けられているため、炉口シャッタが重くなってしまうという課題がある。また、閉塞補助装置が処理室の近くにあるため、高温に晒されるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−73746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術において、基板が処理室内にあるとき及び基板が処理室内にないときに、例えばシールキャップや炉口シャッタのような蓋体と処理室開口端との間に設けられるOリングを十分潰すことができず、その結果、処理室を十分シールすることができないという課題を解決し、基板が処理室内にあるとき及び基板が処理室内にないときに、処理室を十分シールすることができるシールサポート(閉塞補助)機構を備えた基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための、本発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
基板を搬入する開口部を有し、搬入した基板に対し処理を行う処理室と、
基板が処理室内にあるときに前記処理室の開口部を閉塞する第1の蓋体と、
前記第1の蓋体を開閉動作させる第1の開閉機構と、
基板が処理室内にないときに前記処理室の開口部を閉塞する第2の蓋体と、
前記第2の蓋体を開閉動作させる第2の開閉機構と、
前記第1の開閉機構及び前記第2の開閉機構の閉塞力を補助する閉塞補助機構とを備える基板処理装置。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、基板が処理室内にあるとき、及び基板が処理室内にないときにおいて、処理室を十分に密閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る縦型バッチ式熱処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る縦型バッチ式熱処理装置の処理炉の垂直断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るシールキャップによるシール時の動作説明図である。
【図4】本発明の実施例に係る炉口シャッタによるシール時の動作説明図である。
【図5】本発明の実施例に係る閉塞補助機構の動作説明図である。
【図6】従来技術に係るシールキャップ及び炉口シャッタによるシール時の動作説明図である。
【図7】本発明の実施例に係る筐体内の空気の流れを示す図である。
【図8】本発明の実施例に係るシールサポートアームから、冷却ガスを出す場合の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施の形態において、基板処理装置は、一例として、ICの製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下、本発明の1実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例に係る縦型バッチ式熱処理装置を示す斜視図である。図2は、本発明の実施例に係る縦型バッチ式熱処理装置の処理炉の垂直断面図である。
[基板処理装置の概略]
まず、図1、図2を参照して、本実施形態に係る基板処理装置10を概略的に説明する。図1に示すように、基板処理装置10の筐体101内部の前面側には、カセットステージ105が設けられている。カセットステージ105は、図示しない外部搬送装置との間で、基板収納容器としてのカセット100の授受を行う。カセットステージ105の後方には、カセット搬送機115が設けられている。カセット搬送機115の後方には、カセット100を保管するためのカセット棚109が設けられる。また、カセットステージ105の上方には、カセット100を保管するための予備カセット棚110が設けられている。予備カセット棚110の上方には、クリーンユニット118が設けられている。クリーンユニット118は、クリーンエアを筐体101の内部を流通させる。
【0012】
筐体101の後部上方には、略円筒形状の処理炉(処理炉)202が設けられている。処理炉202の下方には、ボートエレベータ121が設けられている。ボートエレベータ121は、ウエハ200を搭載したボート217を、処理炉202の内と外の間で昇降させる。ボート217は、ウエハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持具である。ボートエレベータ121には、処理炉202の下端を塞ぐための蓋体としての略円盤状のシールキャップ219が取り付けられている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持する。
ボートエレベータ121とカセット棚109との間には、ウエハ200を搬送するウエハ移載機112が設けられている。ボートエレベータ121の横には、処理炉202の下端を気密に閉塞するための蓋体としての略円盤状の炉口シャッタ116が設けられている。炉口シャッタ116は、ボート217が処理炉202の外にあるときに、処理炉202の下端を閉塞することができる。炉口シャッタ116とボートエレベータ121の近くには、シールキャップ219と炉口シャッタ116が処理炉202の下端を閉塞するときに、該閉塞動作を補助するシールサポートアーム41が設けられている。シールサポートアーム41は、サポートアーム旋回昇降機構42(図3参照)により、水平方向の旋回動作や上下動作が可能である。
【0013】
ウエハ200が装填されたカセット100は、図示しない外部搬送装置からカセットステージ105に搬入される。さらに、カセット100は、カセット搬送機115により、カセットステージ105からカセット棚109または予備カセット棚110に搬送される。カセット棚109には、ウエハ移載機112の搬送対象となるカセット100が収納される移載棚123がある。ボート217に対してウエハ200が移載されるカセット100は、カセット搬送機115により移載棚123に移載される。カセット100が移載棚123に移載されると、ウエハ移載機112により、移載棚123から降下状態のボート217に、ウエハ200を移載する。
【0014】
ボート217に所定枚数のウエハ200が移載されると、ボートエレベータ121により、ボート217が処理炉202内に挿入され、シールキャップ219により、処理炉202が気密に閉塞される。このとき、シールキャップ219に対して閉塞力を補助するシールサポートアーム41が、サポートアーム旋回昇降機構42(図3参照)により、処理炉202の直下へ旋回して移動した後、上昇して、シールキャップ219を下方から押圧し、処理炉202の閉塞動作を補助する。気密に閉塞された処理炉202内では、ウエハ200が加熱されると共に、処理ガスが処理炉202内に供給され、ウエハ200に加熱等の処理がなされる。
ウエハ200の処理が完了すると、上記した動作の逆の手順により、ボート217が処理炉202内から搬出される。ウエハ200は、ウエハ移載機112により、ボート217から移載棚123のカセット100に移載され、カセット100は、カセット搬送機115により、移載棚123からカセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により、筐体101の外部に搬出される。
ボート217が降下状態において、炉口シャッタ116は、処理炉202の下端を気密に閉塞し、外気が処理炉202内に巻き込まれるのを防止する。このとき、炉口シャッタ116に対して閉塞力を補助するシールサポートアーム41が、サポートアーム旋回昇降機構42(図3参照)により、処理炉202の直下へ旋回して移動した後、上昇して、炉口シャッタ116を下方から押圧し、処理炉202の閉塞動作を補助する。
【0015】
[処理炉]
図1、図2に示されているように、本実施形態に係る基板処理装置10は、処理炉202を備えており、処理炉202は、略円筒形状の石英製の反応管203を備えている。反応管203は、基板(本例ではウエハ200)を収容し、加熱処理する反応容器である。反応管203は、加熱部(本例では抵抗ヒータ207)の内側に設けられている。反応管203は、その下端開口をシールキャップ219により、気密部材(本例ではOリング220)を介して気密に閉塞される。
ヒータ207、反応管203およびシールキャップ219により、処理炉202が形成されている。また、反応管203、及びシールキャップ219により、基板処理室201が形成されている。シールキャップ219の上には、基板保持部材(ボート217)が、石英キャップ218を介して立設されている。石英キャップ218は、ボート217を保持する保持体である。ボート217は、処理炉202内に、処理炉202の下端開口から挿入される。ボート217には、バッチ処理される複数のウエハ200が、それぞれ水平姿勢で管軸方向(垂直方向)に多段に積載される。ヒータ207は、処理炉202に挿入されたウエハ200を、所定の温度に加熱する。
【0016】
[ガス供給系]
図2に示すように、本実施例においては、処理室201へは複数種類、ここでは1種類の処理ガスが供給される。処理ガス供給管232には、上流側から順に、処理ガス供給源240と、流量制御装置として用いられるマスフローコントローラ241と、開閉装置として用いられるバルブ243とが設けられている。処理ガス供給源240からの原料ガスとしての処理ガスが、マスフローコントローラ241、及びバルブ243、ノズル233を介し、処理室201内に供給される。
【0017】
[ボート]
反応管203内の中央部には、複数枚のウエハ200を多段に同一間隔で載置するボート217が設けられており、このボート217はボートエレベータ121(図1参照)により反応管203に出入りできるようになっている。また処理の均一性を向上する為にボート217を回転するための回転装置(回転手段)であるボート回転機構267が設けてあり、このボート回転機構267によって石英キャップ218に保持されたボート217を回転するようになっている。
【0018】
[排気部]
基板処理室201には、基板処理室201内のガスを排気するガス排気管231の一端が接続されている。ガス排気管231の他端は、真空ポンプ246(排気装置)にAPC(Auto Pressure Controller)バルブ255を介して接続されている。基板処理室201内は、真空ポンプ246によって排気される。
なお、APCバルブ255は、弁の開閉により基板処理室201の排気および排気停止を行なうことができる開閉弁であり、かつまた、弁開度の調節により圧力を調整することができる圧力調整弁である。
【0019】
[制御部]
コントローラ280(制御部)は、マスフローコントローラ241、バルブ243、APCバルブ255、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ121等、基板処理装置10の各構成部に電気的に接続されている。
コントローラ280は、マスフローコントローラ241の流量調整、バルブ243の開閉動作、APCバルブ255の開閉および圧力調整動作、ヒータ207の温度調節、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ121の昇降動作制御等、基板処理装置10の各構成部の制御を行う。
以上のように構成された基板処理装置10において、ボート217に積載したウエハ200に、半導体デバイスの製造工程の一つである、熱処理がなされる。
【0020】
[シールキャップによる処理炉の閉塞動作]
次に、シールキャップ219による処理炉202の閉塞動作について、図3を用いて詳しく説明する。図3は、本発明の実施例に係るシールキャップ219によるシール時の動作を説明する垂直断面図である。図3において、略直方体形状のシールキャップアーム61は、水平方向に延在し、略円盤形状のシールキャップ219を動かすための可動部材であり、その一端はボートエレベータ121に上下動可能に取り付けられ、他端はシールキャップベース62に固定して取り付けられている。シールキャップベース62とシールキャップ219は、複数のばね63により結合されている。ばね63は、上下方向に伸縮可能なコイルばね等により構成される。処理室201の下端部には、断面が円形のOリング220が設けられている。シールサポートアーム41は、その一端がサポートアーム旋回昇降機構42に取付られており、旋回、昇降可能となっている。
本実施例では、シールキャップ219、ばね63、シールキャップベース62により、第1の蓋体が構成され、ボートエレベータ121、シールキャップアーム61により、第1の開閉機構が構成され、シールキャップアーム61により第1の可動部材が構成され、シールサポートアーム41、サポートアーム旋回昇降機構42により、第1の閉塞補助機構が構成され、ボートエレベータ121により第1の上下動機構(昇降機構)が構成される。シールサポートアーム41は、略前記第1の蓋体の高さまで上昇して、前記第1の蓋体に上昇方向の力を与える押圧部である。サポートアーム旋回昇降機構42は、上昇動作により前記第1の開閉機構の閉塞力を補助するものであり、また、水平方向の旋回動作を行う。
【0021】
処理室201内をシールキャップ219により閉塞するときの動作は次のとおりである。ボートエレベータ121によってシールキャップアーム61を上昇させることにより、シールキャップベース62が上昇し、ばね63を介してシールキャップ219を上昇させ、シールキャップ219により処理室201の下端部が閉塞される。さらに、シールキャップアーム61を上昇させるとともに、シールサポートアーム41をサポートアーム旋回昇降機構42によって、シールキャップ219の直下(補助動作位置)へ水平方向に旋回させた後、上昇させて、ばね63のばね力により、シールキャップ219を処理室201の下端部に押圧する。これにより、図3(b)に示すように、Oリング220が全周に亘って変形して潰れ、処理室201内を気密にシール(密閉)することができる。
【0022】
図3(a)は、シールキャップ219をシールキャップアーム61のみにより、処理室201の下端部に押圧したときの状態を示す。シールキャップ219上に載置されるウエハやボートの重量により、シールキャップアーム61が撓み、シールキャップ219が傾いている。その結果、Oリング220が全周に亘って十分潰されておらず、処理室201内を十分に気密にシールできていない。図3(a)では、シールキャップアーム61側のOリング220は潰されているが、シールキャップアーム61と反対側のOリング220は潰されていない。
図3(b)は、シールキャップ219をシールキャップアーム61とシールサポートアーム41の両者により、処理室201の下端部に押圧したときの状態を示す。シールサポートアーム41により、シールキャップアーム61の撓みが補正され、シールキャップ219が水平を保っている。その結果、Oリング220が全周に亘って十分潰されて、処理室201内を十分に気密にシールすることができる。
【0023】
[炉口シャッタによる処理炉の閉塞動作]
次に、炉口シャッタ116による処理炉202の閉塞動作について、図4を用いて詳しく説明する。図4は、本発明の実施例に係る炉口シャッタ116によるシール時の動作を説明する垂直断面図である。図4において、略直方体形状の炉口シャッタアーム65は、水平方向に延在し、略円盤形状の炉口シャッタ116を動かすための可動部材であり、その一端は炉口シャッタ旋回昇降機構68に上下動可能に取り付けられ、他端は炉口シャッタベース66に固定して取り付けられている。炉口シャッタベース66と炉口シャッタ116は、複数のばね67により結合されている。ばね67は、上下方向に伸縮可能なコイルばね等により構成される。処理室201の下端部には、断面が円形のOリング220が設けられている。シールサポートアーム41は、その一端がサポートアーム旋回昇降機構42に取付られており、旋回、昇降可能となっている。
本実施例では、炉口シャッタ116、ばね67、炉口シャッタベース66により、第2の蓋体が構成され、炉口シャッタ旋回昇降機構68、炉口シャッタアーム65により、第2の開閉機構が構成され、炉口シャッタアーム65により第2の可動部材が構成され、シールサポートアーム41、サポートアーム旋回昇降機構42により、第2の閉塞補助機構が構成され、炉口シャッタ旋回昇降機構68により第2の上下動機構(昇降機構)が構成される。シールサポートアーム41は、略前記第2の蓋体の高さまで上昇して、前記第2の蓋体に上昇方向の力を与える押圧部である。サポートアーム旋回昇降機構42は、上昇動作により前記第2の開閉機構の閉塞力を補助するものであり、また、水平方向の旋回動作を行う。
このように本実施例では、第1の閉塞補助機構と第2の閉塞補助機構は同一の機構を共用している。
【0024】
処理室201内を炉口シャッタ116により閉塞するときの動作は次のとおりである。炉口シャッタ旋回昇降機構68によって、炉口シャッタアーム65を処理室201の直下まで水平に旋回させ上昇させる。これにより、炉口シャッタベース66が上昇し、ばね67を介して炉口シャッタ116を上昇させ、炉口シャッタ116により処理室201の下端部が閉塞される。さらに、炉口シャッタアーム65を上昇させるとともに、シールサポートアーム41をサポートアーム旋回昇降機構42によって炉口シャッタ116の直下へ旋回させた後、上昇させて、ばね67のばね力により、炉口シャッタ116を処理室201の下端部に押圧する。これにより、図4(b)に示すように、Oリング220が全周に亘って変形して潰れ、処理室201内を気密にシール(密閉)することができる。
【0025】
図4(a)は、炉口シャッタ116を炉口シャッタアーム65のみにより、処理室201の下端部に押圧したときの状態を示す。処理室201内の圧力等により、炉口シャッタアーム65が撓み、炉口シャッタ116が傾いている。その結果、Oリング220が全周に亘って十分潰されておらず、処理室201内を十分に気密にシールできていない。図4(a)では、炉口シャッタアーム65側のOリング220は潰されているが、炉口シャッタアーム65と反対側のOリング220は潰されていない。
図4(b)は、炉口シャッタ116を炉口シャッタアーム65とシールサポートアーム41の両者により、処理室201の下端部に押圧したときの状態を示す。シールサポートアーム41により、炉口シャッタアーム65の撓みが補正され、炉口シャッタ116が水平を保っている。その結果、Oリング220が全周に亘って十分潰されて、処理室201内を十分に気密にシールすることができる。なお、図4(b)のように、シールサポートアーム41が、炉口シャッタアーム65に対して上方向の力を加えてもよいし、あるいは、シールサポートアーム41が、直接、炉口シャッタベース66に対して上方向の力を加えてもよい。
【0026】
[閉塞補助機構の動作説明]
次に、閉塞補助機構の動作について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施例に係る閉塞補助機構の動作説明図である。図5において、上半分のA部は本装置10を上側からみた平面図、下半分のB部は横側からみた図である。図5は簡略化した図であり、シールキャップ219、シールキャップベース62、炉口シャッタベース66等は省略している。
図5(a)は、ボートUP時、すなわちボート217を処理室201内に搬入する前の状態を示す。ボートUP時において、シールサポートアーム41及び炉口シャッタ116は、それぞれ待機位置にある。
図5(b)は、シールキャップ219によるシール時、すなわちボート217を処理室201内に搬入した後の状態を示す。このとき、シールサポートアーム41がシール位置、つまりシールキャップ219の位置まで旋回した後、上昇することにより、シールキャップ219を、シールキャップアーム61とともに支え、処理室201の下端部に押圧している。このように、シールサポートアーム41が、シールキャップ219のボートエレベータ121と反対側の位置を押し上げるようにすると、より、全周に亘って均等にOリング220を潰し、十分なシールをすることが可能となる。
図5(c)は、ボートDOWN時、すなわちボート217を処理室201内から搬出した後、炉口シャッタ116が閉じられる前の状態を示す。このとき、ボートDOWN開始前に、シールサポートアーム41が旋回して待機位置に戻っている。
【0027】
図5(d)は、シャッタ閉時、すなわちボート217を処理室201内から搬出し、炉口シャッタ116が閉じられた後、シールサポートアーム41によりシールが補助される前の状態を示す。このとき、ボートDOWN完了後に炉口シャッタ116が旋回し、Oリング220を介して、処理室201をシールする。しかし、炉口シャッタアーム65だけで炉口シャッタ116を支えているので、炉口シャッタアーム65が撓み、十分なシールができない。
図5(e)は、シャッタシール時、すなわち炉口シャッタ116が閉じられ、シールサポートアーム41によりシールが補助された後の状態を示す。このとき、シールサポートアーム41がシール位置、つまり炉口シャッタ116の位置まで水平に旋回した後、上昇することにより、炉口シャッタ116を、炉口シャッタアーム65とともに支え、処理室201の下端部に押圧している。このように、シールサポートアーム41が、炉口シャッタ116の炉口シャッタ旋回昇降機構68と反対側の位置を押し上げるようにすると、より、全周に亘って均等にOリング220を潰し、十分なシールをすることが可能となる。
【0028】
このように、本実施例では、炉口シャッタ116によるシール時と、シールキャップ219によるシール時に、同一の閉塞補助機構であるシールサポートアーム41を用いて、シールを行っているが、別々の閉塞補助機構を用いることもできる。また、シールサポートアーム41の旋回上昇機構42と、炉口シャッタの旋回上昇機構68を共通の構造としてもよく、このようにすると、両機構の使用部品を共通化することができる。また、本実施例では、閉塞補助機構を、炉口シャッタ116のように旋回と昇降が可能となるよう構成したが、ボートエレベータ121のように旋回せず昇降のみが可能となるよう構成することもできる。
【0029】
図7は、本発明の実施例に係る筐体内の空気の流れを示す図である。図7において、矢印は、空気の流れを示す。図7に示すように、本実施例においては、筐体内の空気を筐体外に排気する排気口72と73が、筐体の背面部隅に設けられる。そして、クリーンエアを筐体内に供給するクリーンユニット71と、一方の排気口72との間であって、クリーンユニット71と排気口72を結ぶ直線上に、シールサポートアーム41が配置される。また、クリーンユニット71と、他方の排気口73との間であって、クリーンユニット71と排気口73を結ぶ直線上に、炉口シャッタ116が配置される。そして、クリーンユニット71とシールサポートアーム41を結ぶ直線と、クリーンユニット71と炉口シャッタ116を結ぶ直線との間に、クリーンユニット71とボート217を結ぶ直線が位置するように、ボート217が配置されている。したがって、基板を搭載しているボート217の風上に、パーティクルを発生させる恐れのある機構部である、シールサポートアーム41、又は炉口シャッタ116が位置することがない。
【0030】
次に、シールサポートアーム41から、冷却ガスを出す場合の変形例を、図8を用いて説明する。図8は、本発明の実施例に係るシールサポートアーム41から、冷却ガスを出す場合の変形例の説明図である。図8(a)と図8(b)は、ボートDOWN開始時、すなわちボート217を処理室201内から搬出し始めるときの状態である。図8(a)は、本装置10を上側からみた平面図であり、図8(b)は、横側からみた図である。図8(c)は、ボートDOWN中、すなわちボート217を処理室201内から搬出する途中の状態である。図8(d)は、この変形例で使用されるシールサポートアーム41を上方から見た平面図である。なお、図8は簡略化した図であり、シールキャップ219、シールキャップベース62、炉口シャッタベース66等は省略している。
【0031】
図8(d)に示すように、この変形例で使用されるシールサポートアーム41は、ボートDOWN時において、ボート217と干渉することがない形状にしており、この場合は、円弧状部分であるシールサポート部44が、全円周の約1/4となる円弧状になるようにしている。また、シールサポート部44の円弧状部分の一端が、棒状部45の先端に設けられ、シールサポート部44は炉口シャッタ116側に偏在して設けられている。このような形状により、シールサポートアーム41は、ボートDOWN時において、ボート217と干渉することがない。
シールサポートアーム41内には、冷却ガスである例えば窒素ガスを運ぶ流通路が設けられており、該流通路は、MFCやバルブを介して窒素ガス供給源に接続されている。シールサポート部44には、窒素ガスを噴出すガス噴出口が複数設けられており、該ガス噴出口からボート217に向けて、図8(a)の矢印に示すように、窒素ガスが噴出される。
【0032】
ボートDOWN時においては、まず、図5(b)に示すシール状態から、シールサポートアーム41が待機位置に旋回し、ボートDOWNを開始する。ボートDOWN開始後、図8(b)に示すように、シールキャップ219の位置がシールサポートアーム41よりも下の位置まで下がると、図8(a)に示すように、シールサポートアーム41がシール位置に旋回し、シールサポート部44のガス噴出口から、窒素ガスを噴出し、ボート217に搭載した基板を冷却する。図8(c)に示すように、ボートDOWN中も、シールサポート部44のガス噴出口から、窒素ガスを噴出す。
ボートDOWN終了後は、シールサポートアーム41は、図5(c)に示す待機位置に旋回し、炉口シャッタ116が旋回して炉口を閉じると、再度、図5(e)に示すシール位置に旋回し、シールサポートを行う。
【0033】
以上説明した実施例では、特許文献1の閉塞補助装置のような、摩擦によるパーティクルの発生の恐れや、炉口シャッタが重くなるという問題や、閉塞補助装置が高温に晒されるという問題が軽減される。
【0034】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
また、前記実施例においては、縦型バッチ式熱処理装置を用いて説明したが、本発明は、横型装置等にも適用することができる。
また、前記実施例においては、ウエハに熱処理が施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0035】
本明細書には、次の発明が含まれる。すなわち、第1の発明は、
基板を搬入する開口部を有し、搬入した基板に対し処理を行う処理室と、
基板が処理室内にあるときに前記処理室の開口部を閉塞する第1の蓋体と、
前記第1の蓋体を開閉動作させる第1の開閉機構と、
基板が処理室内にないときに前記処理室の開口部を閉塞する第2の蓋体と、
前記第2の蓋体を開閉動作させる第2の開閉機構と、
前記第1の開閉機構の閉塞力を補助する第1の閉塞補助機構と、
前記第2の開閉機構の閉塞力を補助する第2の閉塞補助機構とを備える基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、基板が処理室内にあるとき、及び基板が処理室内にないときにおいて、処理室を十分に密閉することができる。
【0036】
第2の発明は、前記第1の発明において、
前記第1の閉塞補助機構と第2の閉塞補助機構が同一の閉塞補助機構である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、第1の閉塞補助機構と第2の閉塞補助機構を共用することができるので、基板処理装置をより小型化することができ、よりコストを低減できる。
【0037】
第3の発明は、前記第2の発明において、
前記閉塞補助機構が水平方向の旋回動作と垂直方向の進退動作を行う基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、閉塞補助機構を製作することが容易となる。
【0038】
第4の発明は、前記第3の発明において、
前記閉塞補助機構は、待機位置と補助動作位置との間で旋回動作するものであり、処理室を閉塞する場合は、待機位置から補助動作位置に旋回動作した後、上昇動作により閉塞補助を行い、処理室の閉塞を解除する場合は、下降動作した後、旋回動作により待機位置に戻る基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、閉塞補助機構を製作することが容易となる。
【0039】
第5の発明は、前記第1の発明において、
前記第1の蓋体を開閉動作させる第1の開閉機構は、水平方向に延在する第1の可動部材を有し、該第1の可動部材の一端を前記第1の蓋体に取り付け、該第1の可動部材の他端を第1の上下動機構に取り付けるよう構成され、
前記第2の蓋体を開閉動作させる第2の開閉機構は、水平方向に延在する第2の可動部材を有し、該第2の可動部材の一端を前記第2の蓋体に取り付け、該第2の可動部材の他端を第2の上下動機構に取り付けるよう構成されている基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、第1の可動部材と第2の可動部材に生ずる撓みを、それぞれ第1の閉塞補助機構と第2の閉塞補助機構により補正することができる。
【0040】
第6の発明は、前記第2の発明において、
前記閉塞補助機構が上下動機構を備え、該上下動機構の上昇動作により、前記第1の開閉機構及び前記第2の開閉機構の閉塞力を補助する閉塞補助機構である基板処理装置。
【0041】
第7の発明は、前記第2の発明において、
前記閉塞補助機構が、前記第1の蓋体及び前記第2の蓋体に上昇方向の力を与える押圧部を備え、該押圧部が、略前記第1の蓋体の高さ、あるいは略前記第2の蓋体の高さまで上昇して、略前記第1の蓋体、あるいは略前記第2の蓋体に上昇方向の力を与える押圧部である基板処理装置。
【0042】
第8の発明は、前記第2の発明において、
前記閉塞補助機構が、前記第1の蓋体及び前記第2の蓋体を、下方から押し上げる閉塞補助機構である基板処理装置。
【0043】
第9の発明は、前記第6の発明において、
前記閉塞補助機構が、水平方向に旋回する水平旋回機構を備える閉塞補助機構である基板処理装置。
【符号の説明】
【0044】
10…基板処理装置、41…シールサポートアーム、42…サポートアーム旋回昇降機構、44…シールサポート部、45…棒状部、61…シールキャップアーム、62…シールキャップベース、63…ばね、65…炉口シャッタアーム、66…炉口シャッタベース、67…ばね、68…炉口シャッタ旋回昇降機構、71…クリーンユニット、72…排気口、73…排気口、116…炉口シャッタ、121…ボートエレベータ、200…ウエハ、201…基板処理室、202…処理炉、203…反応管、207…ヒータ、217…ボート、218…石英キャップ、219…シールキャップ、220…Oリング、231…ガス排気管、232…処理ガス供給管、233…ノズル、240…処理ガス供給源、241…マスフローコントローラ、243…開閉バルブ、246…真空ポンプ、255…APCバルブ、267…ボート回転機構、280…コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬入する開口部を有し、搬入した基板に対し処理を行う処理室と、
基板が処理室内にあるときに前記処理室の開口部を閉塞する第1の蓋体と、
前記第1の蓋体を開閉動作させる第1の開閉機構と、
基板が処理室内にないときに前記処理室の開口部を閉塞する第2の蓋体と、
前記第2の蓋体を開閉動作させる第2の開閉機構と、
前記第1の開閉機構及び前記第2の開閉機構の閉塞力を補助する閉塞補助機構とを備える基板処理装置。
【請求項2】
前記閉塞補助機構が上下動機構を備え、該上下動機構の上昇動作により、前記第1の開閉機構及び前記第2の開閉機構の閉塞力を補助する閉塞補助機構である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記閉塞補助機構が、前記第1の蓋体及び前記第2の蓋体に上昇方向の力を与える押圧部を備え、該押圧部が、略前記第1の蓋体の高さ、あるいは略前記第2の蓋体の高さまで上昇して、略前記第1の蓋体、あるいは略前記第2の蓋体に上昇方向の力を与える押圧部である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記閉塞補助機構が、前記第1の蓋体及び前記第2の蓋体を、下方から押し上げる閉塞補助機構である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記閉塞補助機構が、水平方向に旋回する水平旋回機構を備える閉塞補助機構である、請求項2に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−176262(P2011−176262A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142886(P2010−142886)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】