基板搬送機
【課題】簡単な構成にて基板の受け渡しを円滑に実行可能な基板搬送機を提供する。
【解決手段】基板搬送機は、ベース14上に水平方向に移動可能に配置され、一の側で基板Gを受け渡すときに一の側に位置付けられる移動ステージ32と、移動ステージ32上に配置され、基板Gを水平方向に移動可能に支持するための支持領域を有した支持装置Sと、一の側にて基板Gを受け渡すべく、一の側の支持領域の先端を横切って支持領域上の基板Gを水平方向に移動させるための移動装置Tと、ベース14に立設された支柱16と、反対側にて基板Gを受け渡すとともに搬送過程の基板Gを支持装置Sとの間で乗り換えさせるべく、支柱16に水平方向にて移動可能且つ上下方向でみて支持領域を横切って昇降可能に取り付けられたハンドHとを備える。支持領域は、一の側に移動ステージ32からはみ出た延出部を有する。
【解決手段】基板搬送機は、ベース14上に水平方向に移動可能に配置され、一の側で基板Gを受け渡すときに一の側に位置付けられる移動ステージ32と、移動ステージ32上に配置され、基板Gを水平方向に移動可能に支持するための支持領域を有した支持装置Sと、一の側にて基板Gを受け渡すべく、一の側の支持領域の先端を横切って支持領域上の基板Gを水平方向に移動させるための移動装置Tと、ベース14に立設された支柱16と、反対側にて基板Gを受け渡すとともに搬送過程の基板Gを支持装置Sとの間で乗り換えさせるべく、支柱16に水平方向にて移動可能且つ上下方向でみて支持領域を横切って昇降可能に取り付けられたハンドHとを備える。支持領域は、一の側に移動ステージ32からはみ出た延出部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板搬送機に係わり、より詳しくは、液晶テレビ等に使用されるガラス基板の搬送に好適な基板搬送機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶テレビの製造過程では、ガラス基板が種々の工程を経て液晶パネルに加工される。ガラス基板の工程間の移動には、カセットと称される容器が使用され、容器は、複数のガラス基板を上下方向に間隔をあけてそれぞれ水平状態で収容可能である。
基板搬送機は、各工程において、カセットとプロセス装置との間に配置され、カセットからガラス基板を受け取り、受け取ったガラス基板をプロセス装置に引き渡す。そして、プロセス装置でガラス基板の処理が終わると、プロセス装置からガラス基板を受け取り、受け取ったガラス基板を再びカセットに引き渡す(例えば特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1の基板搬送機(基板搬送装置)はハンド、受け渡し用コンベヤ及び中間コンベヤを有する。ハンドは上下方向及び水平方向に移動可能であり、プロセス装置との間でガラス基板の受け渡しを実行する。受け渡し用コンベヤ及び中間コンベヤは、カセットとの間でガラス基板の受け渡し実行し、ガラス基板は、搬送過程でハンド及びコンベヤのうち一方から他方に乗り換える。
【特許文献1】特開2006-335518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板搬送機においては、基板搬送機とカセットとの間隔は一定である。この間隔が広い場合には、受け渡されるガラス基板の撓みによって、基板搬送機とカセットとの間でのコンベヤによるガラス基板の受け渡しが円滑に行われなくなる虞がある。とりわけ、1つの基板搬送機を移動可能に設け、複数のカセットとのガラス基板の受け渡しに使用する場合、基板移送装置と各カセットとの間隔を広く設定することがあり、この虞が強くなる。
【0005】
また、特許文献1の基板搬送機においては、中間コンベヤはハンドと一体に設けられており、構成が複雑である。特に、中間コンベヤが空気浮上装置により構成されている場合、圧縮空気の供給パイプの配管が煩雑になる。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成にて、基板の受け渡しを円滑に実行可能な基板搬送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明によれば、互いに離間した一の側及び反対側のうち一方の側にて受け取った基板を搬送して他方の側にて引渡すための基板搬送機において、ベース上に水平方向に移動可能に配置され、前記一の側で前記基板を受け渡すときに前記一の側に位置付けられる移動ステージと、前記移動ステージ上に配置され、前記基板を前記水平方向に移動可能に支持するための支持領域を有した支持装置と、前記一の側にて前記基板を受け渡すべく、前記一の側の前記支持領域の先端を横切って前記支持領域上の基板を前記水平方向に移動させるための移動装置と、前記ベースに立設された支柱と、前記反対側にて前記基板を受け渡すとともに搬送過程の前記基板を前記支持装置との間で乗り換えさせるべく、前記支柱に前記水平方向にて移動可能且つ上下方向でみて前記支持領域を横切って昇降可能に取り付けられたハンドとを備え、前記支持領域は、前記一の側に前記移動ステージからはみ出た延出部を有することを特徴とする基板搬送機が提供される(請求項1)。
【0007】
好ましくは、前記移動装置は前記支持装置に設けられる(請求項2)。
好ましくは、前記支持装置は、互いに平行に配列され且つそれぞれ前記水平方向に延びる複数のダクトと、前記ダクトの上面に形成された圧縮空気の吹き出し口とを有する(請求項3)。
好ましくは、前記移動装置は、前記支持領域に沿って前記水平方向に延びるメインレールと、前記メインレールにスライド可能に取り付けられたスライドレールとを含む(請求項4)。
【0008】
好ましくは、基板搬送機は互いに上下に離間した2つの前記ハンドを備える(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の基板搬送機によれば、対向する機器(対向機器)と一の側で基板を受け渡すとき、移動ステージが一の側に位置付けられ、これに伴い移動ステージよりもはみ出た支持領域の延出部が対向機器に接近する。このため、対向機器と支持領域との間隔が短縮され、支持領域と対向機器との間で受け渡される基板の撓みが防止される。この結果として、この基板搬送機によれば、対向機器との間での基板の受け渡しが円滑に行われる。
【0010】
また、この基板搬送機は、支持装置が移動ステージ上にのみ配置されるため、簡単な構成を有する。
請求項2の基板搬送機によれば、移動装置が支持装置に設けられているので、構成が簡単になる。
請求項3の基板搬送機によれば、支持装置が、吹き出し口から吹き出す圧縮空気を利用して基板が非接触にて支持される。ダクトには、圧縮空気を供給するためのエアチューブが接続されるが、ダクトは移動ステージ上にのみ配置されるため、エアチューブの配管が簡単である。
【0011】
請求項4の基板搬送機によれば、移動装置が、メインレール及びサブレールからなり、簡単な構成にて基板を移動させることができる。
請求項5の基板搬送機は、ハンドが2つあっても簡単な構成を有する。一方、ハンドが2つあるため、他の側にて基板を受け渡すときに、一方のハンドで基板を受け取った直後に、他方のハンドに予め載せておいた基板を引き渡すことが可能になる。この結果として、この基板搬送機によれば、基板の搬送時間が大幅に短縮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は一実施形態の基板搬送機が適用された液晶テレビ(液晶パネル)の生産システムの一部を概略的に示す。この生産システムの一部は、クリーンルーム内に設けられ、図中右側に一列に配列された複数のカセットCSと、左側に一列に配列された複数のプロセス装置PMとを備える。基板搬送機は、カセットCSの列とプロセス装置PMの列との間を延びるベースレール10上に走行可能に配置される。
【0013】
より詳しくは、図2乃至図4に示したように、基板搬送機は、ベースレール10上にベーススライダ12を介して配置されたベース14を有する。ベース14は、四角形の平面視形状を有し、ベース14の上面には支柱16が立てられている。
支柱16には昇降スライダ18が取付けられ、昇降スライダ18は、支柱16に対して上下方向に昇降可能である。昇降スライダ18には、2つのクロスメンバ20が取り付けられている。クロスメンバ20は互いに上下に離間し、且つ、ベースレール10と直交する水平方向、換言すれば、対をなすプロセス装置PMとカセットCSとを結ぶ水平方向(搬送方向)にそれぞれ延びている。
【0014】
カセットCS側のクロスメンバ20の端部20aは、搬送方向でみて、ベース14の端部よりも突出している。一方、プロセス装置PM側のクロスメンバ20の端部20bは、ベース14の端部と略同じ位置に位置付けられている。
各クロスメンバ20には連結板22の根元が取り付けられ、連結板22は、クロスメンバ20の一端部20aから他端部20bに亘って搬送方向に移動可能である。連結板22は搬送方向と直交する水平方向、即ちベースレール10の軸線方向に長い。
【0015】
連結板22には、例えば5本の支持棒24の基端部が固定されている。支持棒24は、互いに自身の幅方向に離間して平行であり、それぞれ搬送方向に延びている。すなわち、支持棒24は櫛歯状に配列されている。搬送方向での支持棒24の長さは、クロスメンバ20の長さよりも短いけれども、ベース14の長さより長い。
支持棒24は、連結板22からプロセス装置PMに向けて延びており、連結板22がクロスメンバ20の一端部20a側の昇降位置に位置しているとき、搬送方向でみて、支持棒24の先端部はクロスメンバ20の他端部20bと略同じ位置に位置付けられる。連結板22がクロスメンバ20の他端部20b側の受け渡し位置に位置しているとき、支持棒24は、クロスメンバ20の他端部20b及びベース14の端部から突出し、支持棒24の先端部はプロセス装置PM内に進入する。
【0016】
支持棒24は、互いに協働して1枚のガラス基板Gを下から支持可能であり、昇降スライダ18の昇降及び連結板22の水平移動に伴い、ガラス基板Gを搬送する。このため、支持棒24及び連結板22をまとめてハンドHとも称する。なお、平面図中、ガラス基板Gの外縁を実線で示したが、ガラス基板Gを透過してその下の構成も描かれている。
また、ベース14上には固定台26が配置されている。固定台26は支柱16の前方に位置し、固定台26及びハンドHは支柱16に対して同じ側に位置している。搬送方向でみて、固定台26の天板26aの長さはベース14の長さよりも長く、カセットCS側の天板26aの端部は、ベース14の端部から突出している。ただし、天板26aの突出長は、クロスメンバ20の突出長よりも短い。
【0017】
固定台26の天板26a上には、2本のステージレール28が配置され、これらステージレール28は、天板26aの略全長に亘って搬送方向にそれぞれ延び、ベースレール10の軸線方向に互いに離間している。ステージレール28上には、ステージスライダ30を介して移動ステージ32が配置され、移動ステージ32は搬送方向に移動可能である。
移動ステージ32は四角形の底板34を有し、搬送方向でみて、底板34の長さはベース14の長さよりも短い。プロセス装置PM側の底板34の端部は、移動ステージ32がプロセス装置PM側の乗り換え位置にあるとき、天板26aの端部と略同じ位置に位置付けられる。カセットCS側の底板34の端部は、移動ステージ32が乗り換え位置にあるとき、ステージレール28の中間に位置するが、移動ステージ32の搬送方向での移動に伴い、ベース14の端部を超えて移動する。
【0018】
移動ステージ32の底板34には両端に、所定の間隔を存して例えば6本ずつサポートメンバ36が立てられている。サポートメンバ36は上下方向にそれぞれ延び、支持装置Sを支持する。
支持装置Sは、例えば空気浮上式の支持装置であり、6本のダクト38を有する。ダクト38は、互いに離間して平行であり、搬送方向にそれぞれ延びている。各ダクト38は2本のサポートメンバ36によって支持されており、ダクト38の数は底板34の各端でのサポートメンバ36の数に対応している。ダクト38の横断面形状は中空の長方形であって、各ダクト38の上面は平坦である。これらのダクト38の上面は、水平な基準面に面一に位置付けられている。
【0019】
各ダクト38には、例えばその下面にエアチューブ(図示せず)の先端が接続され、エアチューブの根元はブロワ装置40に接続されている。ブロワ装置40は、ベース14上にフィルタ装置42と並んで配置されている。
各ダクト38の上面には、全域に亘って複数の吹き出し口44が形成され、これらの吹き出し口44はダクト38の長手方向に配列させられている。ブロワ装置40が作動させられると、フィルタ装置42によって浄化された圧縮空気がエアチューブを通じてダクト38内に供給され、圧縮空気は各吹き出し口44から略上方に向けて吹き出す。この吹き出した圧縮空気により、ガラス基板Gをダクト38上にて非接触で支持可能である。即ち、ダクト38の上面は、ガラス基板Gを非接触にて支持する支持領域として規定される。
【0020】
また移動ステージ32は、ダクト38上のガラス基板Gを搬送方向に移動させるための移動装置(手段)Tを有し、移動装置Tは、2本のメインレール46を有する。メインレール46は、6組のサポートメンバ36のうち両側の2組のサポートメンバ36にブラケットを介してそれぞれ支持され、各メインレール46は搬送方向に延びている。メインレール46の長さは、移動ステージ32の底板34の長さよりも若干長い。カセットCS側のメインレール46の端部は底板34の端部と揃っており、プロセス装置PM側のメインレール46の端部は底板34の端部よりも若干突出している。
【0021】
メインレール46上には、メインレール46よりも短いサブレール48が配置されている。サブレール48は、メインレール46に沿って延び、メインレール46に対して搬送方向に移動可能である。
サブレール48上には、搬送方向に移動可能に吸盤50が取付けられている。吸盤50は、ガラス基板Gの裏面に吸着可能であり、ガラス基板Gに吸着したまま、サブレール48の両端部間を移動可能である。
【0022】
ここで、各ダクト38の長さは、移動ステージ32の底板34の長さよりも長く、搬送方向でみて、プロセス装置PM側のダクト38の端部及び底板34の端部の位置は略揃っている。このため、カセットCS側のダクト38の端部は、底板34の端部を超えてカセットCS側に突出しており、移動ステージ32がカセットCS側に移動するのに伴い、クロスメンバ20の端部を超えて突出可能である。換言すれば、ダクト38の上面によって規定される支持領域は、カセットCS側に移動ステージ32よりもはみ出た延出部を有し、この延出部は、移動ステージ32の移動に伴い、クロスメンバ20の端部を超えて突出可能である。
【0023】
サブレール48の可動範囲については、プロセス装置PM側のサブレール48の端部は、メインレール46の端部を超えて突出することはない。一方、カセットCS側のサブレール48の端部は、サブレール48の移動に伴い、メインレール46の端部を超えて突出可能であり、更には、支持装置Sのダクト38の端部をも超えて突出可能である。
吸盤50の可動範囲は、サブレール48に対してはその略全長に亘っている。このため、吸盤50は、吸盤50自身、サブレール48及び移動ステージ32の移動の組み合わせによって、搬送方向でみて、カセットCS側のダクト38の端部及びサイドメンバ20の端部を超えて突出可能である。
【0024】
以下、上述した基板搬送機の動作(使用方法)について、プロセス装置PMからカセットCSにガラス基板Gを搬送する場合を例に説明する。
基板搬送機は、ベースレール10上を移動させられ、ガラス基板Gを搬送すべきカセットCSとプロセス装置PMとの間に位置付けられる。この後、図5及び図6に示したように、支持装置Sのダクト38よりも上方に位置しているハンドHが、プロセス装置PM側の受け取り位置に移動させられ、これにより、プロセス装置PM内にハンドH、即ち支持棒24が進入する。それから、昇降スライダ18を上昇させることにより、支持棒24上にガラス基板Gが載せられる。つまり、基板搬送機のハンドHがプロセス装置PM内でガラス基板Gを受け取る。
【0025】
ガラス基板Gを受け取った後、ハンドHは、先の図2乃至図4に示したように、カセットCS側の昇降位置に移動する。それから、昇降スライダ18は、図7に示したように、ハンドHの支持棒24が支持装置Sの支持領域よりも下方に位置するまで下降し、支持棒24が支持領域を横切る際、支持棒24上のガラス基板Gが支持領域上に移動する。すなわち、ガラス基板GがハンドHから支持装置Sに乗り換える。
【0026】
なお、乗り換え時、移動ステージ32、サブレール48及び吸盤50は、固定台26、メインレール46及びサブレール48に対し、それぞれ最もプロセス装置PM側の位置(乗り換え位置)にあり、ハンドHの連結板22がダクト38やサブレール48に衝突することはない。また、平面でみて、各支持棒24は、ダクト38同士の隙間又はダクト38とサブレール48との隙間に位置しており、支持棒24は、これらの隙間に上方から進入することで支持領域を横切ることができる。
【0027】
また、乗り換え時には、ダクト38の吹き出し口44からは圧縮空気が吹き出しており、支持装置Sに乗り換えたガラス基板Gは、ダクト38によって非接触にて支持される。一方、吸盤50は、乗り換えたガラス基板Gに対し、そのプロセス装置PM側の端部に下方から吸着する。
ガラス基板Gが支持装置Sに乗り換えた後、図8及び図9に示したように、移動ステージ32は、固定台26上の最もカセットCS側の位置に移動し、支持装置Sのダクト38の端部は、カセットCSの近傍に配置される。なお、移動ステージ32の移動に伴い、ガラス基板Gは、支持領域とともにカセットCS側に移動し、ガラス基板Gの端部もカセットCSの近傍に配置される。
【0028】
この後、図10及び図11に示したように、サブレール48が、メインレール46上における最もカセットCS側の位置に移動する。サブレール48の移動に伴い、ガラス基板Gは、支持領域に対して相対的に移動しながらカセットCS側に移動し、そして、ガラス基板Gの一部が支持領域の端部(先端)を超えてカセットCS内に進入する。
カセットCS内には、ガラス基板Gを受け渡すためのカセット用基板支持装置60が配置され、カセット用基板支持装置60は、カセットCS内に進入したガラス基板Gの一部を支持する。カセット用基板支持装置60は、例えば空気浮上装置によって構成される。
【0029】
それから、図12及び図13に示したように、吸盤50が、サブレール48上における最もカセットCS側の位置に移動する。吸盤50の移動に伴い、ガラス基板Gは、更に支持領域に対して相対的に移動しながらカセットCS側に移動し、最終的には、ガラス基板G全体がカセットCS内に進入してカセット用基板支持装置60によって支持される。この後、カセットCSを僅かに上昇させることで、吸盤50がガラス基板Gから脱離し、カセットCSにガラス基板Gが引き渡される。
【0030】
ここまでが、プロセス装置PMからカセットCSにガラス基板Gを搬送する場合の説明である。カセットCS内に収容されたガラス基板Gを受け取って搬送し、プロセス装置PMに引き渡す場合には、上記手順を逆方向に辿ればよい。
上述した基板搬送機によれば、カセットCSとの間でガラス基板Gを受け渡すとき、移動ステージ32がカセットCS側に位置付けられ、これに伴い移動ステージ32よりもはみ出た支持領域の延出部がカセットCSに接近する。このため、カセットCSと支持領域との間隔が短縮され、支持領域とカセットCSとの間で受け渡されるガラス基板Gの撓みが防止される。この結果として、この基板搬送機によれば、カセットCSとの間でのガラス基板Gの受け渡しが円滑に行われる。
【0031】
また、上述した基板搬送機では、支持装置Sが移動ステージ32上にのみ配置されており、この結果として、この基板搬送機は簡単な構成を有する。特に、この基板搬送機では、ダクト38に圧縮空気を供給するためのエアチューブの配管が簡単である。
本発明は上述の一実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、一実施形態では、支持装置Sは、空気浮上装置であったけれども、超音波によりガラス基板Gを非接触に支持する超音波浮上装置であってもよい。あるいは、支持装置Sは、複数のローラからなるローラ列であってもよい。ローラ列はガラス基板Gの裏面に接触することでガラス基板Gを支持し、複数のローラによって支持領域が規定される。この場合、ローラを回転駆動可能にし、ローラ列に移動装置Tを兼ねさせてもよい。
【0032】
一実施形態では、基板搬送機は、互いに上下に離間した2つのハンドHを有していたけれども、ハンドHは1つのみであってもよい。
ただし、2つのハンドHを有していれば、一方のハンドHでプロセス装置PMからガラス基板Gを受け取った直後に、他方のハンドHに予め載せておいたガラス基板Gをプロセス装置PMに引き渡すこともできる。すなわち、ガラス基板Gをプロセス装置PMで処理している間に、次に処理すべきガラス基板GをカセットCSから受け取り、ハンドHに載せておくことができる。これにより、ガラス基板Gの搬送時間が削減され、液晶テレビの生産性が向上する。
【0033】
なお、2つのハンドHを有していても、支持装置Sが移動ステージ32上のみに配置されているので、エアチューブ等の構成が複雑になることはない。
最後に、本発明の基板搬送機は、プラズマテレビ等の生産システムにも適用可能であり、ガラス基板G以外の基板にも適用可能であるのは勿論である。即ち、基板搬送機が相互に基板を受け渡す対向機器は、プロセス装置やカセットに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】液晶パネルの生産システムの一部を概略的に示す図である。
【図2】図1のシステムに適用された一実施形態の基板搬送機をプロセス装置側からみた側面図である。
【図3】図2の基板搬送機を上方からみた平面図である。
【図4】図2のIV-IV線にて一部を切り欠いて示す正面図である。
【図5】図2の基板搬送機がプロセス装置との間でガラス基板を受け渡すときの状態を上方からみた平面図である。
【図6】図5の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【図7】図2の基板搬送機において、ガラス基板がハンドから支持装置に乗り換えた直後の状態をベースレールに沿う方向でみた正面図である。
【図8】図2の基板搬送機において、移動ステージがカセット側に移動した状態を上方からみた平面図である。
【図9】図8の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【図10】図2の基板搬送機において、サブレールがカセット側に移動した状態を上方からみた平面図である。
【図11】図10の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【図12】図2の基板搬送機がカセットとの間でガラス基板を受け渡すときの状態を上方からみた平面図である。
【図13】図12の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
G ガラス基板
H ハンド
S 支持装置
T 移動装置
14 ベース
16 支柱
32 移動ステージ
【技術分野】
【0001】
本発明は基板搬送機に係わり、より詳しくは、液晶テレビ等に使用されるガラス基板の搬送に好適な基板搬送機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶テレビの製造過程では、ガラス基板が種々の工程を経て液晶パネルに加工される。ガラス基板の工程間の移動には、カセットと称される容器が使用され、容器は、複数のガラス基板を上下方向に間隔をあけてそれぞれ水平状態で収容可能である。
基板搬送機は、各工程において、カセットとプロセス装置との間に配置され、カセットからガラス基板を受け取り、受け取ったガラス基板をプロセス装置に引き渡す。そして、プロセス装置でガラス基板の処理が終わると、プロセス装置からガラス基板を受け取り、受け取ったガラス基板を再びカセットに引き渡す(例えば特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1の基板搬送機(基板搬送装置)はハンド、受け渡し用コンベヤ及び中間コンベヤを有する。ハンドは上下方向及び水平方向に移動可能であり、プロセス装置との間でガラス基板の受け渡しを実行する。受け渡し用コンベヤ及び中間コンベヤは、カセットとの間でガラス基板の受け渡し実行し、ガラス基板は、搬送過程でハンド及びコンベヤのうち一方から他方に乗り換える。
【特許文献1】特開2006-335518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板搬送機においては、基板搬送機とカセットとの間隔は一定である。この間隔が広い場合には、受け渡されるガラス基板の撓みによって、基板搬送機とカセットとの間でのコンベヤによるガラス基板の受け渡しが円滑に行われなくなる虞がある。とりわけ、1つの基板搬送機を移動可能に設け、複数のカセットとのガラス基板の受け渡しに使用する場合、基板移送装置と各カセットとの間隔を広く設定することがあり、この虞が強くなる。
【0005】
また、特許文献1の基板搬送機においては、中間コンベヤはハンドと一体に設けられており、構成が複雑である。特に、中間コンベヤが空気浮上装置により構成されている場合、圧縮空気の供給パイプの配管が煩雑になる。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成にて、基板の受け渡しを円滑に実行可能な基板搬送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明によれば、互いに離間した一の側及び反対側のうち一方の側にて受け取った基板を搬送して他方の側にて引渡すための基板搬送機において、ベース上に水平方向に移動可能に配置され、前記一の側で前記基板を受け渡すときに前記一の側に位置付けられる移動ステージと、前記移動ステージ上に配置され、前記基板を前記水平方向に移動可能に支持するための支持領域を有した支持装置と、前記一の側にて前記基板を受け渡すべく、前記一の側の前記支持領域の先端を横切って前記支持領域上の基板を前記水平方向に移動させるための移動装置と、前記ベースに立設された支柱と、前記反対側にて前記基板を受け渡すとともに搬送過程の前記基板を前記支持装置との間で乗り換えさせるべく、前記支柱に前記水平方向にて移動可能且つ上下方向でみて前記支持領域を横切って昇降可能に取り付けられたハンドとを備え、前記支持領域は、前記一の側に前記移動ステージからはみ出た延出部を有することを特徴とする基板搬送機が提供される(請求項1)。
【0007】
好ましくは、前記移動装置は前記支持装置に設けられる(請求項2)。
好ましくは、前記支持装置は、互いに平行に配列され且つそれぞれ前記水平方向に延びる複数のダクトと、前記ダクトの上面に形成された圧縮空気の吹き出し口とを有する(請求項3)。
好ましくは、前記移動装置は、前記支持領域に沿って前記水平方向に延びるメインレールと、前記メインレールにスライド可能に取り付けられたスライドレールとを含む(請求項4)。
【0008】
好ましくは、基板搬送機は互いに上下に離間した2つの前記ハンドを備える(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の基板搬送機によれば、対向する機器(対向機器)と一の側で基板を受け渡すとき、移動ステージが一の側に位置付けられ、これに伴い移動ステージよりもはみ出た支持領域の延出部が対向機器に接近する。このため、対向機器と支持領域との間隔が短縮され、支持領域と対向機器との間で受け渡される基板の撓みが防止される。この結果として、この基板搬送機によれば、対向機器との間での基板の受け渡しが円滑に行われる。
【0010】
また、この基板搬送機は、支持装置が移動ステージ上にのみ配置されるため、簡単な構成を有する。
請求項2の基板搬送機によれば、移動装置が支持装置に設けられているので、構成が簡単になる。
請求項3の基板搬送機によれば、支持装置が、吹き出し口から吹き出す圧縮空気を利用して基板が非接触にて支持される。ダクトには、圧縮空気を供給するためのエアチューブが接続されるが、ダクトは移動ステージ上にのみ配置されるため、エアチューブの配管が簡単である。
【0011】
請求項4の基板搬送機によれば、移動装置が、メインレール及びサブレールからなり、簡単な構成にて基板を移動させることができる。
請求項5の基板搬送機は、ハンドが2つあっても簡単な構成を有する。一方、ハンドが2つあるため、他の側にて基板を受け渡すときに、一方のハンドで基板を受け取った直後に、他方のハンドに予め載せておいた基板を引き渡すことが可能になる。この結果として、この基板搬送機によれば、基板の搬送時間が大幅に短縮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は一実施形態の基板搬送機が適用された液晶テレビ(液晶パネル)の生産システムの一部を概略的に示す。この生産システムの一部は、クリーンルーム内に設けられ、図中右側に一列に配列された複数のカセットCSと、左側に一列に配列された複数のプロセス装置PMとを備える。基板搬送機は、カセットCSの列とプロセス装置PMの列との間を延びるベースレール10上に走行可能に配置される。
【0013】
より詳しくは、図2乃至図4に示したように、基板搬送機は、ベースレール10上にベーススライダ12を介して配置されたベース14を有する。ベース14は、四角形の平面視形状を有し、ベース14の上面には支柱16が立てられている。
支柱16には昇降スライダ18が取付けられ、昇降スライダ18は、支柱16に対して上下方向に昇降可能である。昇降スライダ18には、2つのクロスメンバ20が取り付けられている。クロスメンバ20は互いに上下に離間し、且つ、ベースレール10と直交する水平方向、換言すれば、対をなすプロセス装置PMとカセットCSとを結ぶ水平方向(搬送方向)にそれぞれ延びている。
【0014】
カセットCS側のクロスメンバ20の端部20aは、搬送方向でみて、ベース14の端部よりも突出している。一方、プロセス装置PM側のクロスメンバ20の端部20bは、ベース14の端部と略同じ位置に位置付けられている。
各クロスメンバ20には連結板22の根元が取り付けられ、連結板22は、クロスメンバ20の一端部20aから他端部20bに亘って搬送方向に移動可能である。連結板22は搬送方向と直交する水平方向、即ちベースレール10の軸線方向に長い。
【0015】
連結板22には、例えば5本の支持棒24の基端部が固定されている。支持棒24は、互いに自身の幅方向に離間して平行であり、それぞれ搬送方向に延びている。すなわち、支持棒24は櫛歯状に配列されている。搬送方向での支持棒24の長さは、クロスメンバ20の長さよりも短いけれども、ベース14の長さより長い。
支持棒24は、連結板22からプロセス装置PMに向けて延びており、連結板22がクロスメンバ20の一端部20a側の昇降位置に位置しているとき、搬送方向でみて、支持棒24の先端部はクロスメンバ20の他端部20bと略同じ位置に位置付けられる。連結板22がクロスメンバ20の他端部20b側の受け渡し位置に位置しているとき、支持棒24は、クロスメンバ20の他端部20b及びベース14の端部から突出し、支持棒24の先端部はプロセス装置PM内に進入する。
【0016】
支持棒24は、互いに協働して1枚のガラス基板Gを下から支持可能であり、昇降スライダ18の昇降及び連結板22の水平移動に伴い、ガラス基板Gを搬送する。このため、支持棒24及び連結板22をまとめてハンドHとも称する。なお、平面図中、ガラス基板Gの外縁を実線で示したが、ガラス基板Gを透過してその下の構成も描かれている。
また、ベース14上には固定台26が配置されている。固定台26は支柱16の前方に位置し、固定台26及びハンドHは支柱16に対して同じ側に位置している。搬送方向でみて、固定台26の天板26aの長さはベース14の長さよりも長く、カセットCS側の天板26aの端部は、ベース14の端部から突出している。ただし、天板26aの突出長は、クロスメンバ20の突出長よりも短い。
【0017】
固定台26の天板26a上には、2本のステージレール28が配置され、これらステージレール28は、天板26aの略全長に亘って搬送方向にそれぞれ延び、ベースレール10の軸線方向に互いに離間している。ステージレール28上には、ステージスライダ30を介して移動ステージ32が配置され、移動ステージ32は搬送方向に移動可能である。
移動ステージ32は四角形の底板34を有し、搬送方向でみて、底板34の長さはベース14の長さよりも短い。プロセス装置PM側の底板34の端部は、移動ステージ32がプロセス装置PM側の乗り換え位置にあるとき、天板26aの端部と略同じ位置に位置付けられる。カセットCS側の底板34の端部は、移動ステージ32が乗り換え位置にあるとき、ステージレール28の中間に位置するが、移動ステージ32の搬送方向での移動に伴い、ベース14の端部を超えて移動する。
【0018】
移動ステージ32の底板34には両端に、所定の間隔を存して例えば6本ずつサポートメンバ36が立てられている。サポートメンバ36は上下方向にそれぞれ延び、支持装置Sを支持する。
支持装置Sは、例えば空気浮上式の支持装置であり、6本のダクト38を有する。ダクト38は、互いに離間して平行であり、搬送方向にそれぞれ延びている。各ダクト38は2本のサポートメンバ36によって支持されており、ダクト38の数は底板34の各端でのサポートメンバ36の数に対応している。ダクト38の横断面形状は中空の長方形であって、各ダクト38の上面は平坦である。これらのダクト38の上面は、水平な基準面に面一に位置付けられている。
【0019】
各ダクト38には、例えばその下面にエアチューブ(図示せず)の先端が接続され、エアチューブの根元はブロワ装置40に接続されている。ブロワ装置40は、ベース14上にフィルタ装置42と並んで配置されている。
各ダクト38の上面には、全域に亘って複数の吹き出し口44が形成され、これらの吹き出し口44はダクト38の長手方向に配列させられている。ブロワ装置40が作動させられると、フィルタ装置42によって浄化された圧縮空気がエアチューブを通じてダクト38内に供給され、圧縮空気は各吹き出し口44から略上方に向けて吹き出す。この吹き出した圧縮空気により、ガラス基板Gをダクト38上にて非接触で支持可能である。即ち、ダクト38の上面は、ガラス基板Gを非接触にて支持する支持領域として規定される。
【0020】
また移動ステージ32は、ダクト38上のガラス基板Gを搬送方向に移動させるための移動装置(手段)Tを有し、移動装置Tは、2本のメインレール46を有する。メインレール46は、6組のサポートメンバ36のうち両側の2組のサポートメンバ36にブラケットを介してそれぞれ支持され、各メインレール46は搬送方向に延びている。メインレール46の長さは、移動ステージ32の底板34の長さよりも若干長い。カセットCS側のメインレール46の端部は底板34の端部と揃っており、プロセス装置PM側のメインレール46の端部は底板34の端部よりも若干突出している。
【0021】
メインレール46上には、メインレール46よりも短いサブレール48が配置されている。サブレール48は、メインレール46に沿って延び、メインレール46に対して搬送方向に移動可能である。
サブレール48上には、搬送方向に移動可能に吸盤50が取付けられている。吸盤50は、ガラス基板Gの裏面に吸着可能であり、ガラス基板Gに吸着したまま、サブレール48の両端部間を移動可能である。
【0022】
ここで、各ダクト38の長さは、移動ステージ32の底板34の長さよりも長く、搬送方向でみて、プロセス装置PM側のダクト38の端部及び底板34の端部の位置は略揃っている。このため、カセットCS側のダクト38の端部は、底板34の端部を超えてカセットCS側に突出しており、移動ステージ32がカセットCS側に移動するのに伴い、クロスメンバ20の端部を超えて突出可能である。換言すれば、ダクト38の上面によって規定される支持領域は、カセットCS側に移動ステージ32よりもはみ出た延出部を有し、この延出部は、移動ステージ32の移動に伴い、クロスメンバ20の端部を超えて突出可能である。
【0023】
サブレール48の可動範囲については、プロセス装置PM側のサブレール48の端部は、メインレール46の端部を超えて突出することはない。一方、カセットCS側のサブレール48の端部は、サブレール48の移動に伴い、メインレール46の端部を超えて突出可能であり、更には、支持装置Sのダクト38の端部をも超えて突出可能である。
吸盤50の可動範囲は、サブレール48に対してはその略全長に亘っている。このため、吸盤50は、吸盤50自身、サブレール48及び移動ステージ32の移動の組み合わせによって、搬送方向でみて、カセットCS側のダクト38の端部及びサイドメンバ20の端部を超えて突出可能である。
【0024】
以下、上述した基板搬送機の動作(使用方法)について、プロセス装置PMからカセットCSにガラス基板Gを搬送する場合を例に説明する。
基板搬送機は、ベースレール10上を移動させられ、ガラス基板Gを搬送すべきカセットCSとプロセス装置PMとの間に位置付けられる。この後、図5及び図6に示したように、支持装置Sのダクト38よりも上方に位置しているハンドHが、プロセス装置PM側の受け取り位置に移動させられ、これにより、プロセス装置PM内にハンドH、即ち支持棒24が進入する。それから、昇降スライダ18を上昇させることにより、支持棒24上にガラス基板Gが載せられる。つまり、基板搬送機のハンドHがプロセス装置PM内でガラス基板Gを受け取る。
【0025】
ガラス基板Gを受け取った後、ハンドHは、先の図2乃至図4に示したように、カセットCS側の昇降位置に移動する。それから、昇降スライダ18は、図7に示したように、ハンドHの支持棒24が支持装置Sの支持領域よりも下方に位置するまで下降し、支持棒24が支持領域を横切る際、支持棒24上のガラス基板Gが支持領域上に移動する。すなわち、ガラス基板GがハンドHから支持装置Sに乗り換える。
【0026】
なお、乗り換え時、移動ステージ32、サブレール48及び吸盤50は、固定台26、メインレール46及びサブレール48に対し、それぞれ最もプロセス装置PM側の位置(乗り換え位置)にあり、ハンドHの連結板22がダクト38やサブレール48に衝突することはない。また、平面でみて、各支持棒24は、ダクト38同士の隙間又はダクト38とサブレール48との隙間に位置しており、支持棒24は、これらの隙間に上方から進入することで支持領域を横切ることができる。
【0027】
また、乗り換え時には、ダクト38の吹き出し口44からは圧縮空気が吹き出しており、支持装置Sに乗り換えたガラス基板Gは、ダクト38によって非接触にて支持される。一方、吸盤50は、乗り換えたガラス基板Gに対し、そのプロセス装置PM側の端部に下方から吸着する。
ガラス基板Gが支持装置Sに乗り換えた後、図8及び図9に示したように、移動ステージ32は、固定台26上の最もカセットCS側の位置に移動し、支持装置Sのダクト38の端部は、カセットCSの近傍に配置される。なお、移動ステージ32の移動に伴い、ガラス基板Gは、支持領域とともにカセットCS側に移動し、ガラス基板Gの端部もカセットCSの近傍に配置される。
【0028】
この後、図10及び図11に示したように、サブレール48が、メインレール46上における最もカセットCS側の位置に移動する。サブレール48の移動に伴い、ガラス基板Gは、支持領域に対して相対的に移動しながらカセットCS側に移動し、そして、ガラス基板Gの一部が支持領域の端部(先端)を超えてカセットCS内に進入する。
カセットCS内には、ガラス基板Gを受け渡すためのカセット用基板支持装置60が配置され、カセット用基板支持装置60は、カセットCS内に進入したガラス基板Gの一部を支持する。カセット用基板支持装置60は、例えば空気浮上装置によって構成される。
【0029】
それから、図12及び図13に示したように、吸盤50が、サブレール48上における最もカセットCS側の位置に移動する。吸盤50の移動に伴い、ガラス基板Gは、更に支持領域に対して相対的に移動しながらカセットCS側に移動し、最終的には、ガラス基板G全体がカセットCS内に進入してカセット用基板支持装置60によって支持される。この後、カセットCSを僅かに上昇させることで、吸盤50がガラス基板Gから脱離し、カセットCSにガラス基板Gが引き渡される。
【0030】
ここまでが、プロセス装置PMからカセットCSにガラス基板Gを搬送する場合の説明である。カセットCS内に収容されたガラス基板Gを受け取って搬送し、プロセス装置PMに引き渡す場合には、上記手順を逆方向に辿ればよい。
上述した基板搬送機によれば、カセットCSとの間でガラス基板Gを受け渡すとき、移動ステージ32がカセットCS側に位置付けられ、これに伴い移動ステージ32よりもはみ出た支持領域の延出部がカセットCSに接近する。このため、カセットCSと支持領域との間隔が短縮され、支持領域とカセットCSとの間で受け渡されるガラス基板Gの撓みが防止される。この結果として、この基板搬送機によれば、カセットCSとの間でのガラス基板Gの受け渡しが円滑に行われる。
【0031】
また、上述した基板搬送機では、支持装置Sが移動ステージ32上にのみ配置されており、この結果として、この基板搬送機は簡単な構成を有する。特に、この基板搬送機では、ダクト38に圧縮空気を供給するためのエアチューブの配管が簡単である。
本発明は上述の一実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、一実施形態では、支持装置Sは、空気浮上装置であったけれども、超音波によりガラス基板Gを非接触に支持する超音波浮上装置であってもよい。あるいは、支持装置Sは、複数のローラからなるローラ列であってもよい。ローラ列はガラス基板Gの裏面に接触することでガラス基板Gを支持し、複数のローラによって支持領域が規定される。この場合、ローラを回転駆動可能にし、ローラ列に移動装置Tを兼ねさせてもよい。
【0032】
一実施形態では、基板搬送機は、互いに上下に離間した2つのハンドHを有していたけれども、ハンドHは1つのみであってもよい。
ただし、2つのハンドHを有していれば、一方のハンドHでプロセス装置PMからガラス基板Gを受け取った直後に、他方のハンドHに予め載せておいたガラス基板Gをプロセス装置PMに引き渡すこともできる。すなわち、ガラス基板Gをプロセス装置PMで処理している間に、次に処理すべきガラス基板GをカセットCSから受け取り、ハンドHに載せておくことができる。これにより、ガラス基板Gの搬送時間が削減され、液晶テレビの生産性が向上する。
【0033】
なお、2つのハンドHを有していても、支持装置Sが移動ステージ32上のみに配置されているので、エアチューブ等の構成が複雑になることはない。
最後に、本発明の基板搬送機は、プラズマテレビ等の生産システムにも適用可能であり、ガラス基板G以外の基板にも適用可能であるのは勿論である。即ち、基板搬送機が相互に基板を受け渡す対向機器は、プロセス装置やカセットに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】液晶パネルの生産システムの一部を概略的に示す図である。
【図2】図1のシステムに適用された一実施形態の基板搬送機をプロセス装置側からみた側面図である。
【図3】図2の基板搬送機を上方からみた平面図である。
【図4】図2のIV-IV線にて一部を切り欠いて示す正面図である。
【図5】図2の基板搬送機がプロセス装置との間でガラス基板を受け渡すときの状態を上方からみた平面図である。
【図6】図5の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【図7】図2の基板搬送機において、ガラス基板がハンドから支持装置に乗り換えた直後の状態をベースレールに沿う方向でみた正面図である。
【図8】図2の基板搬送機において、移動ステージがカセット側に移動した状態を上方からみた平面図である。
【図9】図8の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【図10】図2の基板搬送機において、サブレールがカセット側に移動した状態を上方からみた平面図である。
【図11】図10の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【図12】図2の基板搬送機がカセットとの間でガラス基板を受け渡すときの状態を上方からみた平面図である。
【図13】図12の状態の基板搬送機を一部を切り欠いて示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
G ガラス基板
H ハンド
S 支持装置
T 移動装置
14 ベース
16 支柱
32 移動ステージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間した一の側及び反対側のうち一方の側にて受け取った基板を搬送して他方の側にて引渡すための基板搬送機において、
ベース上に水平方向に移動可能に配置され、前記一の側で前記基板を受け渡すときに前記一の側に位置付けられる移動ステージと、
前記移動ステージ上に配置され、前記基板を前記水平方向に移動可能に支持するための支持領域を有した支持装置と、
前記一の側にて前記基板を受け渡すべく、前記一の側の前記支持領域の先端を横切って前記支持領域上の基板を前記水平方向に移動させるための移動装置と、
前記ベースに立設された支柱と、
前記反対側にて前記基板を受け渡すとともに搬送過程の前記基板を前記支持装置との間で乗り換えさせるべく、前記支柱に前記水平方向にて移動可能且つ上下方向でみて前記支持領域を横切って昇降可能に取り付けられたハンドと
を備え、
前記支持領域は、前記一の側に前記移動ステージからはみ出た延出部を有する
ことを特徴とする基板搬送機。
【請求項2】
前記移動装置が前記支持装置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送機。
【請求項3】
前記支持装置は、
互いに平行に配列され且つそれぞれ前記水平方向に延びる複数のダクトと、
前記ダクトの上面に形成された圧縮空気の吹き出し口と
を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板搬送機。
【請求項4】
前記移動装置は、
前記支持領域に沿って前記水平方向に延びるメインレールと、
前記メインレールにスライド可能に取り付けられたスライドレールと
を含む
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の基板搬送機。
【請求項5】
互いに上下に離間した2つの前記ハンドを備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の基板搬送機。
【請求項1】
互いに離間した一の側及び反対側のうち一方の側にて受け取った基板を搬送して他方の側にて引渡すための基板搬送機において、
ベース上に水平方向に移動可能に配置され、前記一の側で前記基板を受け渡すときに前記一の側に位置付けられる移動ステージと、
前記移動ステージ上に配置され、前記基板を前記水平方向に移動可能に支持するための支持領域を有した支持装置と、
前記一の側にて前記基板を受け渡すべく、前記一の側の前記支持領域の先端を横切って前記支持領域上の基板を前記水平方向に移動させるための移動装置と、
前記ベースに立設された支柱と、
前記反対側にて前記基板を受け渡すとともに搬送過程の前記基板を前記支持装置との間で乗り換えさせるべく、前記支柱に前記水平方向にて移動可能且つ上下方向でみて前記支持領域を横切って昇降可能に取り付けられたハンドと
を備え、
前記支持領域は、前記一の側に前記移動ステージからはみ出た延出部を有する
ことを特徴とする基板搬送機。
【請求項2】
前記移動装置が前記支持装置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送機。
【請求項3】
前記支持装置は、
互いに平行に配列され且つそれぞれ前記水平方向に延びる複数のダクトと、
前記ダクトの上面に形成された圧縮空気の吹き出し口と
を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板搬送機。
【請求項4】
前記移動装置は、
前記支持領域に沿って前記水平方向に延びるメインレールと、
前記メインレールにスライド可能に取り付けられたスライドレールと
を含む
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の基板搬送機。
【請求項5】
互いに上下に離間した2つの前記ハンドを備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の基板搬送機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−205160(P2008−205160A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39052(P2007−39052)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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