説明

基板搬送装置および基板搬送方法

【課題】基板のサイズに関わらず安定した搬送を実現する基板搬送装置を提供する。
【解決手段】基板1に所定の加工を施すための加工領域が設けられた搬送路3と、搬送路3に搬入された基板1を上流から下流に向けて搬送する搬送コンベア4と、基板搬送方向に移動可能な移動体5と、移動体5に設けられて基板1を加工領域より上流側となる位置s2で検知する第1センサ9と、移動体5の第1センサ9から基板搬送方向に所定の距離をおいた位置に設けられて搬送中の基板1に接触して停止させるストッパ11と、第1センサ9が基板1を検知すると基板搬送速度より低い速度で移動体5の移動を開始させるとともに基板1がストッパ11に接触した後に停止するように移動体5の移動を制御する制御手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の加工を施す加工領域に基板を搬送する基板搬送装置および基板搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板にスクリーン印刷等の加工を施す場合、搬送コンベアによって加工前の基板を所定の場所、すなわち基板に所定の加工を施す加工領域に正確かつ迅速に搬送することが課題となっている。このような課題を解決するため、加工領域において所定の加工が施された基板と新たに加工領域に搬送される加工前の基板との間にストッパを備えた移動体を配し、搬送コンベアによって搬送される加工前の基板に対して移動体を同方向に移動させ、搬送中にストッパに接触させることで加工前の基板を加工領域に強制的に停止させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−234610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで基板にはサイズの異なる様々な種類のものが存在し、何れの種類のものであっても加工領域に正確に搬送しなければならない。しかし、従来の技術では、加工前の基板とストッパとの間隔が移動体を配する段階で決定されるため、事前に基板の搬送方向における長さを考慮した位置に移動体を配さなければ基板の種類によってこの間隔にばらつきが生じることになる。このばらつきによって加工前の基板がストッパに接触するまでの時間に差が生じてしまい、結果として接触してから加工領域に停止するまでの時間とその間に移動する距離にばらつきが生じることにとなっていた。移動体は基板の搬送速度より低い速度で移動しているため、ストッパに接触後に加工前の基板が移動する距離が長くなれば搬送コンベアと基板の間で空滑りが生じる時間が長くなるので基板側と搬送コンベア側の双方に摩耗が進展するという問題がある。また、比較的低速な移動体の移動速度で加工前の基板が移動する距離が長くなることでスループットが悪化するという問題もあった。
【0004】
そこで本発明は、基板のサイズに関わらず安定した搬送を実現する基板搬送装置および基板搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の基板搬送装置は、基板に所定の加工を施すための加工領域が設けられた搬送路と、搬送路に搬入された基板を上流から下流に向けて搬送する搬送コンベアと、基板搬送方向に移動可能な移動体と、移動体に設けられて基板を加工領域より上流側で検知するセンサと、移動体のセンサから基板搬送方向に所定の距離をおいた位置に設けられて搬送中の基板に接触して停止させるストッパと、センサが基板を検知すると基板搬送速度より低い速度で移動体の移動を開始させるとともに基板がストッパに接触した後に停止するように移動体の移動を制御する制御手段を備えた。
【0006】
請求項2に記載の基板搬送方法は、基板に所定の加工を施すための加工領域が設けられた搬送路に搬入された基板を搬送する工程と、基板がストッパから所定の距離まで到達した時点でストッパを基板搬送速度より低い速度で移動させる工程と、基板がストッパに接触した後にストッパを停止させる工程を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板の種類、特に搬送方向における長さに関係なく何れの基板も同じ
タイミングでストッパに接触し、ストッパに接触してから停止するまでの時間とその間に移動する距離には基板の種類による差が生じることがないので、安定した基板の搬送を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態の基板搬送装置の構成を図1および図2に示す。基板搬送装置は、基板1に所定の加工を施すための加工領域2が経路途中に設けられた搬送路3と、搬送路3に搬入された基板1を上流から下流に向けて(矢印a方向に)加工領域2を経由して搬送する搬送コンベア4と、基板1の上方で基板搬送方向に移動可能な移動体5と、搬送路3の最上流で加工前の基板1を検知する入口センサ6と、搬送路3の最下流で加工済の基板1を検知する出口センサ7と、基板搬送装置の動作制御を司る制御装置8で構成される。
【0009】
移動体5は、基板搬送方向(矢印a)における上流側に第1センサ9、下流側に第2センサ10とストッパ11を備える。第1センサ9は、搬送路3を搬送される基板1がストッパ11から上流側に所定の距離をおいた位置に到達したことを検知する。第2センサ10は、基板1がストッパ11に接触していることを検知する。ストッパ11は、第1センサ9から下流側に所定の距離をおいた位置で移動体5の下方に延出した柱状体であり、搬送中の基板1の先端に接触して強制的に停止させる。移動体5は、直交ロボット12によって水平移動可能であり、基板搬送方向に移動するだけでなく、搬送路3の内側と外側の間で移動でき、内側にあるときにストッパ11によって基板1を加工領域2に停止させ、加工領域2において基板1に所定の加工を施すときには外側に退避する。ストッパ11は昇降手段となるシリンダ機構13によって移動体5の下方で上昇もしくは下降し、下降時のストッパ11に搬送中の基板1の先端が接触する。
【0010】
クランパ14は加工領域2において基板1を両側方から挟持し、加工中の基板1が変位しないように一時的に固定する。
【0011】
図2において、制御装置8は、演算処理部20と記憶部21と入力部22を備える。演算処理部20は基板搬送装置の各部と電気信号の授受を行って基板搬送動作全体の制御を司る制御手段である。また、基板加工の前後工程として配された装置との間で基板要求信号の授受を行い、基板搬送装置とその前後工程装置との間における基板搬送のタイミングを調整する。記憶部21には、搬送コンベア4による基板搬送速度が4段階で記憶されており、入力部22によって任意の基板搬送速度が選択可能である。また、移動体5の移動速度が記憶されており、基板搬送速度と同じく4段階でそれぞれ基板搬送速度より低い速度で設定されている。また、移動体5の搬送路3の内側にあるときの待機位置と、待機位置から基板搬送方向に移動した後の停止位置が記憶されている。
【0012】
基板搬送装置における基板搬送方法を工程順に図3および図4に示す。所定の加工が施された加工済の基板1aを加工領域2から下流に向けて搬送し、出口センサ7による検知位置より上流側で一時停止させる(図3(a))。基板1aの搬送先となる後工程装置から発信された基板要求信号を受信すると、基板1aの搬出動作を再開するとともに移動体5を入口センサ6の近傍であって入口センサ6による検知位置s1より下流側となる待機位置に移動させる(図3(b))。移動体5が待機位置に到達するとともに基板1aを出口センサ7が検知すると、加工前の基板1の搬送元となる前工程装置に対して基板要求信号を発信する。前工程装置から搬送路3に搬入された基板1を入口センサ6が検知すると、待機位置で待機する移動体5のストッパ11を下降させる(図3(c))。
【0013】
搬送路3に搬入された基板1がストッパ11から上流側に所定の距離おいた位置となる移動体移動開始位置s2に到達すると、第1センサ9が基板1を検知し、移動体5が基板
搬送速度より低い速度で移動を開始する(図4(a))。移動体5は基板1の上流側を基板搬送速度より低い速度で移動しているため、基板1は移動体5に徐々に接近し、最終的に接触位置s3にて移動体5のストッパ11に接触する(図4(b))。接触後の基板1はストッパ11に接触した状態で移動体5の移動速度まで減速して搬送され、基板停止位置s4まで到達した時点で移動体5とともに停止する(図4(c))。接触位置s3と基板停止位置s4の距離が短いほど基板1が減速するタイミングが遅くなり、基板停止位置s4に到達するまでの時間が短縮されるので、接触位置s3が基板停止位置s4に近接した位置となるように基板搬送速度と移動体5の移動速度の相対的速度を予め設定する。
【0014】
基板1が基板停止位置s4に到達した後も搬送コンベア4を記憶部21に記憶された4段階の速度のうち最低の速度で微小時間駆動し、基板1をストッパ11に押し付ける動作を行う。移動体5が停止したときに基板1とストッパ11の間に隙間が生じ、基板1の先端が基板停止位置s4に到達していない場合であっても、この押し付け動作によって正確な位置に補正される。なお、基板1とストッパ11の間の隙間が大きすぎる場合には、搬送コンベア4を微小時間駆動しただけでは基板1の先端が基板停止位置s4まで到達しないことがあるので、搬送コンベア4を微小時間駆動しても第2センサ10が基板1を検知しない場合は、検知するまで搬送コンベア4の駆動を継続する。
【0015】
このようにして基板1の加工領域2への搬入が完了すると、ストッパ11を上昇させ、移動体5を基板1の上方から基板搬送路2の外側に退避させる。これにより基板1の上方に基板加工用の各種装置を配するための空間が形成される。なお、移動体5が、基板1を撮像するためのカメラや、印刷ヘッド、実装ヘッド等の基板加工用ヘッドと一体である場合は、ストッパ11を上昇させ、基板1と接触しないように退避させるだけでよい。
【0016】
本実施の形態の基板搬送装置および基板搬送方法では、ストッパ11を備えた移動体5が、基板1の先端がストッパ11から上流側に所定の距離まで到達した時点で移動を開始するように制御され、基板1と移動体5の相対速度は予め設定されているので、基板1の種類、特に搬送方向の長さに関係なく何れの基板1も同じタイミングでストッパ11に接触することになる。これにより、ストッパ11に接触してから停止するまでの時間とその間に移動する距離には基板1の種類による差が生じることがないので、種類に関わらず安定した基板の搬送を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によれば、種類に関わらず安定した基板の搬送を実現することができるという利点を有し、多種多様な基板に加工を施す分野において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の基板搬送装置を示す平面図
【図2】本発明の実施の形態の基板搬送装置の制御系を示す構成図
【図3】本発明の実施の形態の基板搬送方法を示す工程図
【図4】本発明の実施の形態の基板搬送方法を示す工程図
【符号の説明】
【0019】
1 基板
2 加工領域
3 搬送路
4 搬送コンベア
5 移動体
8 制御装置
9 第1センサ
11 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の加工を施すための加工領域が設けられた搬送路と、搬送路に搬入された基板を上流から下流に向けて搬送する搬送コンベアと、基板搬送方向に移動可能な移動体と、移動体に設けられて基板を加工領域より上流側で検知するセンサと、移動体のセンサから基板搬送方向に所定の距離をおいた位置に設けられて搬送中の基板に接触して停止させるストッパと、センサが基板を検知すると基板搬送速度より低い速度で移動体の移動を開始させるとともに基板がストッパに接触した後に停止するように移動体の移動を制御する制御手段を備えた基板搬送装置。
【請求項2】
基板に所定の加工を施すための加工領域が設けられた搬送路に搬入された基板を搬送する工程と、基板がストッパから所定の距離まで到達した時点でストッパを基板搬送速度より低い速度で移動させる工程と、基板がストッパに接触した後にストッパを停止させる工程を含む基板搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−303025(P2008−303025A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151402(P2007−151402)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】