説明

基板搬送装置

【課題】部品実装ラインの正常動作中における電力消費を抑制することができる基板搬送装置を提供すること。
【解決手段】制御装置90は、バックアップ装置80のバックアッププレート83を上昇させて基板Pの上面両側縁を第1、第2レール15,16のクランプ部15b,16bに当接させてクランプし、その後に幅変更装置70の幅変更機構72を駆動する幅変更駆動用モータ71の励磁をオフにするようにしている。これにより、第1、第2レール15,16でクランプされた基板Pは、梁の役目を果たすことになり、幅変更駆動用モータ71を励磁オフにしても、機械振動等により第1、第2レール15,16が移動することはなく、基板Pの位置決め状態を維持することができる。よって、部品実装ラインの正常動作中、例えば実装可能状態時における電力消費を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を装着する部品実装ラインにおいて基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を装着する部品実装ラインにおいて、基板搬送エラー等の異常動作が発生した場合、ライン上流側から当該装置に基板が搬入されてこなかったり、当該装置からライン下流側へ基板が搬出できなくなる。このような場合、作業者の復旧作業が完了するまで当該装置は電源オン状態のままのことがあり、電力を無駄に消費することになる。そこで、例えば、特許文献1には、ライン上流側の装置またはライン下流側の装置から当該装置に入力される各種信号情報に基づき、当該装置を省エネモードにして供給電力量を減少させ、または電力遮断モードにする装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−320199号公報(段落0003〜0007、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の発明では、部品実装ラインにおいて異常動作が発生した場合のみ、当該装置の電力消費を抑制することができる。よって、部品実装ラインの正常動作中においては、電力消費は抑制することができない。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、部品実装ラインの正常動作中における電力消費を抑制することができる基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板の搬送方向に延在し該搬送方向と直角方向に相対移動可能に装架された一対の支持部材と、前記一対の支持部材に並設され、搬送される基板の側面を案内するガイド部と前記ガイド部上方に配設したクランプ部とが設けられた一対のレールと、電気モータによって駆動され前記一対の支持部材の間隔を変更する幅変更機構と、前記レールに対して昇降可能に配設されたバックアップ装置と、前記バックアップ装置の上昇によって前記基板のクランプが完了した後に、前記電気モータの励磁をオフにする制御装置と、を備えることである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記一対の支持部材の一方は、固定支持部材であり、他方の支持部材は、可動支持部材であり、前記幅変更機構は、前記電気モータによって回転駆動される送りねじと、前記可動支持部材に固定された送りナットとを備えることである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記バックアップ装置の昇降を検知するセンサを備え、前記制御装置は、前記センサからの信号により前記電気モータの励磁をオフにすることである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、制御装置は、バックアップ装置を上昇させて基板の上面両側縁を一対のレールのクランプ部に当接させてクランプしている。これにより、一対のレールでクランプされた基板は、梁の役目を果たすことになり、その後に幅変更機構を駆動する電気モータの励磁をオフにしても、機械振動等によりレールが移動することはなく、基板の高精度な位置決め状態を維持することができる。よって、部品実装ラインの正常動作中、例えば実装可能状態時における電力消費を抑制することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によると、幅変更機構は、電気モータによって回転駆動される送りねじと、可動支持部材に固定された送りナットとを備えている。これにより、幅変更機構は、簡易な機構により構成できることになる。よって、これら装置構成を採用することで、モータの励磁を切るという電力消費の抑制が可能となる。
【0011】
請求項3に係る発明によると、制御装置は、バックアップ装置の昇降を検知するセンサから信号を受信するようにしている。これにより、制御装置は、基板の上面両側縁が一対のレールのクランプ部に確実に当接されてクランプされた後に、電気モータの励磁をオフにすることができる。よって、基板のクランプ前に電気モータの励磁がオフになることはなく、基板の位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板搬送装置を備えた部品実装装置の概略構造を示す斜視図である。
【図2】図1の基板搬送装置の概略斜視図である。
【図3】図2のA−A線矢視方向に破断した基板搬送装置の主に搬送装置の構造を示す縦断面図である。
【図4】図2のB−B線矢視方向に破断した基板搬送装置の主に搬送装置の固定支持部材等を示す縦断面図である。
【図5】図2のC−C線矢視方向に破断した基板搬送装置の主に搬送装置の可動支持部材等を示す縦断面図である。
【図6】図2のD−D線矢視方向に破断した基板搬送装置の主に幅変更装置の構造を示す縦断面図である。
【図7】図2の基板搬送装置の主にバックアップ装置の構造を示す平面図である。
【図8】図7のバックアップ装置の昇降装置の縦断面図である。
【図9】昇降装置の別例を示す縦断面図である。
【図10】図1の基板搬送装置の動作を制御する制御装置を示すブロック図である。
【図11】図1の基板搬送装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図12】図1の基板搬送装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る基板搬送装置の一実施の形態を備えた部品実装装置について説明する。図1に示すように、部品実装装置1は、基枠3上に設けられて基板P(図3,6参照)を搬送する基板搬送装置10と、この基板搬送装置10の一側に設けられて基板に装着する部品を供給する部品供給装置20と、両装置10,20の上方に配設されて部品供給装置20により供給された部品を採取して基板搬送装置10に支持された基板に装着する部品移載装置30とを備えている。
【0014】
なお、図1においては2台の部品実装装置1を1つの架台2に並べて搭載した状態を示しているが、部品実装ラインにおいては1台の部品実装装置1のみで構成され、もしくは複数台の部品実装装置1が並設されて構成されている場合もある。以下の説明において、2台の部品実装装置1が並ぶ方向、すなわち基板の搬送方向をX軸方向と称し、水平面内においてX軸方向に直角な方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向とに直角な方向をZ軸方向と称する。
【0015】
図1に示すように、基板搬送装置10は、実質的に同一構造である搬送装置11を2列並設したいわゆるダブルコンベアタイプのものである。図2に示すように、この基板搬送装置10は、搬送装置11と、幅変更装置70と、バックアップ装置80と、制御装置90(図10参照)とにより概略構成されている。
【0016】
図2および図3に示すように、搬送装置11は、互いに対向してX軸方向に延在しY軸方向に相対移動可能に基台12上に装架された固定支持部材13および可動支持部材14を備えている。固定支持部材13および可動支持部材14には、一端側すなわち部品供給装置20側の側壁にX軸方向に沿って設置されたレール15(第1レール)と、この第1レール15に対向するレール16(第2レール)とがそれぞれ装架されている。さらに、一端側の側壁にX軸方向に沿って設置されたコンベアベルト17(第1コンベアベルト)と、この第1コンベアベルト17に対向するコンベアベルト18(第2コンベアベルト)とがそれぞれ循環可能に張架されている。
【0017】
すなわち、一対の第1、第2レール15,16は、基板Pを案内可能なように互いに平行かつ水平に並設され、一対の第1、第2コンベアベルト17,18は、基板Pを支持して搬送可能なように第1、第2レール15,16にそれぞれ平行に並設されている。第1、第2レール15,16には、搬送される基板Pの側面を案内する第1、第2ガイド部15a,16aと、第1、第2ガイド部15a,16aの上方内側に基板Pの上面側縁と当接可能に突設し、基板Pをクランプする第1、第2クランプ部15b,16bとがそれぞれ設けられている。
【0018】
固定支持部材13は、図2、図3および図4に示すように、第1レール15および第1コンベアベルト17を取付けた第1取付フレーム41およびこの第1取付フレーム41を基台12に支持した一対の第1左右支持フレーム42,43を備えている。第1取付フレーム41は、左右方向(図2における左右方向)に細長い板材を垂直に配設したものであり、第1取付フレーム41の上端には、第1レール15が取付けられている。第1取付フレーム41側壁の左右端部には、第1コンベアベルト17が張架される一対の搬送プーリ44,45が回転可能に支承されている。第1取付フレーム41側壁の両搬送プーリ44,45間には、第1コンベアベルト17の下面に当接して支持する第1支持板46が取付けられている。
【0019】
第1取付フレーム41の左右端部には、断面L字状に形成した細長い第1左右支持フレーム42,43の各上端部がそれぞれ取付けられている。第1左支持フレーム42の側壁には、後述する搬送用スプライン軸47に係合して回転される第1駆動プーリ48が回転可能に支承されている。第1取付フレーム41および第1左右支持フレーム42,43の各側壁には、4つのテンションプーリ49が回転可能に支承されている。そして、第1駆動プーリ48、搬送プーリ44,45および各テンションプーリ49には、第1コンベアベルト17が張架されている。また、第1左右支持フレーム42,43の各下端は、基台12の所定位置(基準位置)にねじ止め固定されている。これにより、固定支持部材13は、基台12上の基準位置に位置決め固定され、この結果、第1レール15および第1コンベアベルト17が基準位置に位置決め固定される。
【0020】
可動支持部材14は、図2、図3および図5に示すように、固定支持部材13と略同様に構成されたものであり、第2レール16および第2コンベアベルト18を取付けた第2取付フレーム51およびこの第2取付フレーム51を基台12に支承した一対の第2左右支持フレーム52,53を備えている。第2取付フレーム51は、左右方向(図2における左右方向)に細長い板材を垂直に配設したものであり、第2取付フレーム51の上端には、第2レール16が取付けられている。第2取付フレーム51側壁の左右端部には、第2コンベアベルト18が張架される一対の搬送プーリ54,55が回転可能に支承されている。第2取付フレーム51側壁の両搬送プーリ54,55間には、第2コンベアベルト18の下面に当接して支持する第2支持板56が取付けられている。
【0021】
第2取付フレーム51の左右端部には、断面L字状に形成した細長い第2左右支持フレーム52,53の各上端部がそれぞれ取付けられている。第2左支持フレーム52の側壁には、搬送用スプライン軸47に係合して回転される第2駆動プーリ58が回転可能に支承されている。第2取付フレーム51および第2左右支持フレーム52,53の各側壁にも、4つのテンションプーリ59が回転可能に支承されている。そして、第2駆動プーリ58、搬送プーリ54,55および各テンションプーリ59には、第2コンベアベルト18が張架されている。
【0022】
また、固定支持部材13と異なる構成として、第2左右支持フレーム52,53の各下端は、Y軸方向に延在して基台12上に配設した一対の支持部材用レール73,73に沿って移動可能な一対の支持部材スライダ74,74にねじ止め固定されている。これにより、可動支持部材14は、Y軸方向、すなわち第2レール16の長手方向と直交する方向に位置調整可能に取付けられ、この結果、第2レール16および第2コンベアベルト18が所定の位置に調整されて位置決め固定される。
【0023】
上述した搬送用スプライン軸47は、図3に示すように、固定支持部材13の第1左支持フレーム42とモータ支持フレーム61とに軸回りに回転可能に軸架されている。この搬送用スプライン軸47は、搬送駆動用モータ65の駆動により回転可能に搬送駆動用モータ65と連結されている。すなわち、搬送用スプライン軸47の他端には、伝達プーリ62が同軸的に取付け固定されている。搬送駆動用モータ65の出力軸には、駆動プーリ63が同軸的に取付け固定されている。そして、伝達プーリ62および駆動プーリ63には、ベルト64が張架されている。
【0024】
図2および図6に示すように、幅変更装置70は、電気モータとして幅変更駆動用モータ71と、幅変更機構72と、一対の支持部材用レール73,73と、支持部材スライダ74,74とにより概略構成されている。幅変更駆動用モータ71は、モータ支持フレーム61の右背面側(図2における右背面側)に取付けられている。幅変更機構72は、互いに平行かつ水平に並設された一対の送りねじ75,75と、各送りねじ75,75に螺合可能な一対の送りナット76,76とを備えている。
【0025】
各送りねじ75,75は、固定支持部材13の第1左右支持フレーム42,43とモータ支持フレーム61とに回転可能に軸架されている。各送りナット76,76は、可動支持部材14の第2左右支持フレーム52,53に嵌装されている。第1右支持フレーム43側の送りねじ75のモータ支持フレーム61側の端部には、幅変更プーリ77aが同軸的に取付け固定されている。幅変更駆動用モータ71の出力軸には、駆動プーリ78が同軸的に取付け固定されている。そして、幅変更プーリ77aおよび駆動プーリ78には、ベルト79aが張架されている。さらに、各送りねじ75,75のモータ支持フレーム61側の端部には、伝達プーリ77b,77bが同軸的に取付け固定されている。伝達プーリ77b,77bには、ベルト79bが張架されている。
【0026】
図2および図7に示すように、バックアップ装置80は、昇降駆動用モータ81と、4つの昇降装置82と、バックアッププレート83とにより概略構成されている。昇降駆動用モータ81は、出力軸がZ軸上方向を向くようにして、基台12上におけるモータ支持プレート61側の略中央に取付けられている。各昇降装置82は、昇降軸821がZ軸上方向を向くようにして、基台12上における固定支持部材13と一対の送りねじ75,75と可動支持部材14とに囲まれた範囲内の四隅にそれぞれ取付けられている。
【0027】
昇降駆動用モータ81の出力軸には、駆動プーリ84が同軸的に取付け固定され、各昇降装置82の昇降軸821には、昇降プーリ85が同軸的に取付け固定されている。そして、駆動プーリ84,昇降プーリ85および基台12上に回転可能に支承されたテンションプーリ86には、ベルト87が張架されている。バックアッププレート83は、各昇降装置82の昇降軸821上に載置可能な矩形板状に形成されている。このバックアッププレート83上には、基板Pを下方から支持する複数本のバックアップピン(図示省略)が所定間隔で配置される。なお、基板がフレキシブル基板の場合には、バックアップピンの代わりにフレキシブル基板を面で支持可能な第2バックアッププレート(図示省略)が、バックアッププレート83上に載置される。
【0028】
図8に示すように、昇降装置82は、昇降軸821と、送りナット822と、ナット支持部823と、ラジアルベアリング824と、軸支持部825とにより概略構成されている。昇降軸821には、一端側(図示上端側)におねじ部821aが設けられ、他端側(図示下端側)に回り止めとなる二面取り部821bが設けられている。昇降軸821の一端面には、バックアッププレート83に穿設されている位置決め凹部83aに嵌入可能な位置決め凸部821cが突設されている。送りナット822には、昇降軸821のおねじ部821aと螺合可能なめねじ部822aが設けられている。送りナット822の外周部には、ラジアルベアリング824の内周部が嵌合されている。ナット支持部823の内周部823aには、ラジアルベアリング824の外周部が嵌合されている。軸支持部825は、ナット支持部823の下部にねじ止め固定されている。軸支持部825の中央には、昇降軸821の二面取り部821bが嵌入される穴部825aが穿設されている。
【0029】
図10に示すように、制御装置90は、マイクロコンピュータ91を有しており、マイクロコンピュータ91は、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM及びROM(いずれも図示省略)を備えている。このマイクロコンピュータ91には、表示装置92、通信装置93、記憶装置94、搬送制御部95、幅変更制御部96、昇降制御部97、搬送センサ98及び昇降センサ99が接続されている。表示装置92は、基板情報や基板搬送状態情報、警告等を表示する。通信装置93は、LAN(図示省略)を介してホストコンピュータ(図示省略)に接続されて信号を送受信する。記憶装置94は、ホストコンピュータから送信された基板情報等を記憶する。
【0030】
搬送制御部95は、搬送駆動用モータ65が接続され、搬送駆動用モータ65の励磁オン・オフを制御する。幅変更制御部96は、幅変更駆動用モータ71が接続され、幅変更駆動用モータ71の励磁オン・オフを制御する。昇降制御部97は、昇降駆動用モータ81が接続され、昇降駆動用モータ81の励磁オン・オフを制御する。搬送センサ98は、例えば、受発光素子および受光素子でなるセンサであり、搬入用として固定支持部材13の第1右支持フレーム43および可動支持部材14の第2左支持フレーム52に、また、搬出用として固定支持部材13の第1左支持フレーム42および可動支持部材14の第2右支持フレーム53に取付けられている(図2参照)。昇降センサ99も、例えば、受発光素子および受光素子でなるセンサであり、可動支持部材14の第2左右支持フレーム52,53に取付けられている(図2参照)。
【0031】
図1に示すように、部品供給装置20は、基枠3上に複数のフィーダ21を並設して構成したカセットタイプのものである。フィーダ21は、基枠3に離脱可能に取付けた本体22と、本体22の後部に着脱可能に装着した供給リール23と、本体22の先端に設けた部品供給部24とを備えている。供給リール23には、部品が所定ピッチで封入されたキャリアテープが巻回保持される。この部品供給装置20においては、スプロケット(図示省略)により供給リール23からキャリアテープが所定ピッチで引き出され、封入状態を解除された部品が部品供給部24に順次送り込まれるようになっている。
【0032】
図1に示すように、部品移載装置30は、基枠3上部に装架されて基板搬送装置10および部品供給装置20の上方に配設されたXYロボットタイプのものである。部品移載装置30は、Y軸サーボモータ31YによりY軸方向に移動されるY軸スライダ32Yと、X軸サーボモータ31XによりX軸方向に移動されるX軸スライダ32Xとを備えている。このX軸スライダ32Xは、Y軸スライダ32YにX軸方向に移動可能に案内されている。X軸スライダ32Xには、部品を基板Pに装着する部品装着ヘッド34が取付けられている。
【0033】
部品装着ヘッド34には、ヘッド本体35から下方に突出して設けられたノズルホルダー部361と、該ノズルホルダー部361の下端部に設けられて部品を吸着保持する部品吸着ノズル362と、ヘッド本体35から下方に突出して設けられて基板位置を認識するため基板Pを撮像する基板撮像カメラ37とが取り付けられている。部品吸着ノズル362は、部品装着ヘッド34にサーボモータ(図示省略)によりZ軸方向に昇降可能に且つZ軸周りで回転可能に支承されたノズルホルダー部361の下端部に取り付けられている。そして、部品吸着ノズル362は、ノズル先端で部品を吸引可能なように真空ポンプ(図示省略)に接続されている。また、部品吸着ノズル362に吸着保持された部品を撮像する部品撮像カメラ38が、基板搬送装置10と部品供給装置20の間に設けられている。
【0034】
この部品移載装置30においては、部品装着ヘッド34はY軸スライダ32Y及びX軸スライダ32Xにより待機状態のときは図1に示すように基枠3の後方に移動されているが、部品を基板Pに装着する際には基枠3の前方に移動される。そして、部品吸着ノズル362に部品が吸着保持され、吸着保持された部品の保持位置が部品撮像カメラ38により認識され、部品に特に問題が無い場合は基板搬送装置10により搬送された基板Pに部品が装着されるようになっている。
【0035】
次に、部品搬送装置10の動作について図11のタイムチャートを参照して説明する。制御装置90は、ホストコンピュータから送信された基板情報に基づいて、幅変更駆動用モータ71を励磁オンにして各送りねじ75,75をそれぞれ軸回りに回転させ(時点t1)、可動支持部材14の支持部材スライダ74,74を支持部材用レール71,71に沿って移動させ、第1コンベアベルト17と第2コンベアベルト18との間隔を基板Pに合った間隔に変更する。このとき、第1、第2コンベアベルト17,18の間隔を一定に保つため、幅変更駆動用モータ71は励磁オン状態を維持する。
【0036】
制御装置90は、搬送駆動用モータ65を励磁オンにして搬送用スプライン軸47を軸回りに回転させ(時点t2)、第1、第2駆動プーリ48,58を同期回転させて第1、第2コンベアベルト17,18を同期駆動させる。これにより、第1、第2コンベアベルト17,18に支持された基板Pは、第1、第2レール15,16の第1、第2ガイド部15a,16aにより案内されつつ第1、第2コンベアベルト17,18によりX軸方向に搬入される。そして、搬入側の搬送センサ98からの基板Pの先端の検知信号を入力したら(時点t3)、例えば、搬送駆動用モータ65を所定のパルス数回転させてバックアッププレート83の上方の所定の実装位置に位置決めする。このとき、基板Pの位置決め状態を保つため、搬送駆動用モータ65は励磁オン状態を維持する。
【0037】
制御装置90は、昇降駆動用モータ81を励磁オンにして各昇降装置82の昇降プーリ84を回転させ(時点t4)、昇降軸821を上方に突出させてバックアッププレート83を上昇させる。これにより、実装位置に位置決めされた基板Pは、バックアッププレート83上に配置されたバックアップピンにより第1、第2コンベアベルト17,18から押し上げられ、第1、第2レール15,16の第1、第2クランプ部15b,16bとの間でクランプされ位置決め固定される。
【0038】
制御装置90は、昇降センサ99からの基板Pの検知信号を入力したら、幅変更駆動用モータ71を励磁オフにする(時点t5)。このとき、両サイドの第1、第2レール15,16でクランプした基板Pが梁の役目を果たすことになるので、幅変更駆動用モータ71を励磁オフにしても、機械振動等により第1、第2レール15,16が移動することはなく、基板Pの位置決め状態を維持することができる。そして、部品実装ラインの正常動作中における電力消費を抑制することができる。さらに、同様の理由から搬送駆動用モータ65を励磁オフにすることができる(図では搬送駆動用モータ65も励磁オフにしている)。よって、部品実装ラインの正常動作中における電力消費をさらに抑制することができる。なお、基板Pのクランプ状態を保つため、昇降駆動用モータ81は励磁オン状態を維持する。
【0039】
基板Pへの部品の装着が完了すると、制御装置90は、第1、第2コンベアベルト17,18の間隔を一定に保つため、幅変更駆動用モータ71を励磁オンにする(時点t6)。同時に、搬送駆動用モータ65を励磁オンにする(時点t6)。そして、昇降駆動用モータ81を先ほどとは逆方向に回転させて各昇降装置82の昇降プーリ84を先ほどとは逆方向に回転させ(時点t7)、昇降軸821を下方に引っ込めてバックアッププレート83を下降させる。これにより、クランプされていた基板Pは、第1、第2レール15,16の第1、第2クランプ部15b,16bから離間し、第1、第2コンベアベルト17,18上に載置される。基板Pが第1、第2コンベアベルト17,18上に載置された後、搬送用スプライン軸47を軸回りに回転させ、第1、第2駆動プーリ48,58を同期回転させて第1、第2コンベアベルト17,18を同期駆動させる。
【0040】
これにより、部品装着が完了した基板Pは、第1、第2レール15,16の第1、第2ガイド部15a,16aにより案内されつつ第1、第2コンベアベルト17,18によりX軸方向に搬出され、次の部品未装着の基板Pが搬入される。以降、同種の基板Pの部品装着が完了するまで時点t3からt7の処理が繰り返される。上述の実施形態では、昇降センサ99によりバックアップ装置80のバックアッププレート83の昇降検知する構成としたが、図12に示すように、昇降駆動用モータ81のトルク変動によりバックアッププレート83の昇降を検知する構成としてもよい。これにより、昇降センサ99が不要となるので、装置コストを低減することができる。
【0041】
以上のように、本実施形態の基板搬送装置10によれば、制御装置90は、バックアップ装置80のバックアッププレート83を上昇させて基板Pの上面両側縁を第1、第2レール15,16のクランプ部15b,16bに当接させてクランプし、その後に幅変更装置70の幅変更機構72を駆動する幅変更駆動用モータ71の励磁をオフにするようにしている。これにより、第1、第2レール15,16でクランプされた基板Pは、梁の役目を果たすことになり、幅変更駆動用モータ71を励磁オフにしても、機械振動等により第1、第2レール15,16が移動することはなく、基板Pの位置決め状態を維持することができる。よって、部品実装ラインの正常動作中、例えば実装可能状態時における電力消費を抑制することができる。
【0042】
また、幅変更機構72は、幅変更駆動用モータ71によって回転駆動される送りねじ75,75と、可動支持部材14に固定された送りナット76,76とを備えている。これにより、幅変更機構72は、簡易な機構により構成できることになる。よって、これら装置構成を採用することで、幅変更駆動用モータ71の励磁を切るという電力消費の抑制が可能となる。
【0043】
また、制御装置90は、バックアップ装置80のバックアッププレート83の昇降を検知する昇降センサ99からの信号により幅変更駆動用モータ71の励磁をオフにするようにしている。これにより、制御装置90は、基板Pの上面両側縁が第1、第2レール15,16のクランプ部15b,16bに確実に当接されてクランプされた後に、幅変更駆動用モータ71の励磁をオフにすることができる。よって、基板Pのクランプ前に幅変更駆動用モータ71の励磁がオフになることはなく、基板Pの位置ずれを防止することができる。
【0044】
なお、上述の実施の形態では、バックアップ装置80は、昇降駆動用モータ81により回転される送りナット822と、送りナット822の回転によりZ軸方向に移動可能な昇降軸821とを備えた昇降装置82により構成したが、例えば、図9に示すように、エアシリンダ88を利用した昇降装置100により構成してもよい。このエアシリンダ88は、シリンダ88aの内周部に嵌入されているピストン88bよりも下方に圧縮コイルばね89が配置され、シリンダ88aの周壁上部に圧縮空気を出入するポート88cが穿設されている。そして、ピストン88bから上方に延びるロッド88dの一端面には、バックアッププレート83に穿設されている位置決め凹部83aに嵌入可能な位置決め凸部88eが突設されている。
【0045】
基板Pをクランプしないときは、圧縮空気がポート88cからシリンダ88aの内周部に入れられ、ピストン88bにより圧縮コイルばね89が圧縮される。これにより、バックアッププレート83を下降させることができる。一方、基板Pをクランプするときは、シリンダ88aの内周部の圧縮空気をポート88cから抜き、圧縮コイルばね89の復元力によりピストン88bを押し上げる。これにより、バックアッププレート83を上昇させることができる。
【0046】
よって、基板Pを第1、第2レール15,16のクランプ部15b,16bに当接させてクランプするときは、圧縮空気を供給するポンプの駆動をオフにすることができるので、部品実装ラインの正常動作中における電力消費を抑制することができる。また、このエアシリンダ88を利用した昇降装置100を備えたバックアップ装置80によれば、昇降駆動用モータ81、プーリ84,85,86およびベルト87は不要となるので、装置コストを低減することができる。
【0047】
また、本実施形態の基板搬送装置10は、部品実装装置1に適用する場合を説明したが、基板P上に半田を印刷する印刷装置や印刷した半田を検査する検査装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…部品実装装置、10…基板搬送装置、11…搬送装置、13…固定支持部材、14…可動支持部材、15…第1レール、16…第2レール、15a…第1ガイド部、16a…第2ガイド部、15b…第1クランプ部、16b…第2クランプ部、17…第1コンベアベルト、18…第2コンベアベルト、20…部品供給装置、30…部品移載装置、65…搬送駆動用モータ、70…幅変更装置、71…幅変更駆動用モータ、72…幅変更機構、75…送りねじ、76…送りナット、80…バックアップ装置、81…昇降駆動用モータ、90…制御装置、98…搬送センサ、99…昇降センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送方向に延在し該搬送方向と直角方向に相対移動可能に装架された一対の支持部材と、
前記一対の支持部材に並設され、搬送される基板の側面を案内するガイド部と前記ガイド部上方に配設したクランプ部とが設けられた一対のレールと、
電気モータによって駆動され前記一対の支持部材の間隔を変更する幅変更機構と、
前記レールに対して昇降可能に配設されたバックアップ装置と、
前記バックアップ装置の上昇によって前記基板のクランプが完了した後に、前記電気モータの励磁をオフにする制御装置と、を備えた基板搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記一対の支持部材の一方は、固定支持部材であり、
他方の支持部材は、可動支持部材であり、
前記幅変更機構は、前記電気モータによって回転駆動される送りねじと、前記可動支持部材に固定された送りナットとを備える基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記バックアップ装置の昇降を検知するセンサを備え、
前記制御装置は、前記センサからの信号により前記電気モータの励磁をオフにする基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−16584(P2013−16584A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147342(P2011−147342)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】