基板端面自動清掃装置及び配線基板の製造方法
【課題】 基板の端面の清掃作業を効率良く行うことができる基板端面自動清掃装置を提供すること。
【解決手段】 基板端面自動清掃装置5は、基板支持台41、清掃部材20及び駆動手段を備えている。基板支持台41は基板15を支持し、清掃部材20は粘着層を有している。駆動手段は、基板支持台41及び清掃部材20を動かして、基板15の端面16と粘着層とを接触させる。この状態において、基板15の端面16に付着したごみを粘着層に貼り付けて除去することにより、基板15の端面16が清掃される。
【解決手段】 基板端面自動清掃装置5は、基板支持台41、清掃部材20及び駆動手段を備えている。基板支持台41は基板15を支持し、清掃部材20は粘着層を有している。駆動手段は、基板支持台41及び清掃部材20を動かして、基板15の端面16と粘着層とを接触させる。この状態において、基板15の端面16に付着したごみを粘着層に貼り付けて除去することにより、基板15の端面16が清掃される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための基板端面自動清掃装置、及び、基板の端面を清掃する工程を含む配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板の製造プロセスは、基板の表面に絶縁材層を形成する工程を有している。このような工程の具体例としては、基板の表面に感光性のレジストフィルムをラミネートする工程や、基板の表面に感光性または熱硬化性の層間絶縁材フィルムをラミネートする工程などがある。絶縁材層の表層部には、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の保護フィルムがラミネートされる。
【0003】
ところで、絶縁材層の表層部を保護フィルムでカバーする場合、複数枚の基板を隣接させて水平に配置した状態で、それら全ての基板に対して1枚の保護フィルムを貼付する場合がある。従って、絶縁材層の処理を始めるためには、絶縁材層の表面から保護フィルムを剥離する前に、あらかじめ保護フィルムを各基板の大きさに合わせて切断し、各基板を分離しておく必要がある。また、保護フィルムの切断時に生じるごみ(切り屑など)が基板に付着するため、保護フィルムを剥離する前に、あらかじめ基板を清掃しておく必要もある。
【0004】
従来、基板を清掃する方法としては、粘着部を有するローラを備えた清掃器(例えば、特許文献1参照)を作業者が把持し、粘着部を基板に接触させた状態でローラを転動させることにより、基板に付着したごみを除去することなどが提案されている。
【特許文献1】特開2004−121971号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ごみは、保護フィルムの切断部分近傍にある基板の端面に最も付着しやすいため、特許文献1に記載の清掃器を用いて基板の端面を清掃すれば、効果的にごみを除去できると考えられる。
【0006】
しかし、清掃器を用いて長時間に亘って清掃作業を行うと、作業者が疲れることで、作業効率が徐々に低下していく可能性がある。そこで、清掃作業を自動化することが考えられるが、現状では、基板の端面を清掃するための装置は何ら存在していない。また、清掃器を用いて清掃作業を行うと、ごみを除去し切れずに残ってしまう可能性が高い。この場合、作業者が再び清掃器を用いて清掃作業を行う必要が生じるが、このことも作業効率を低下させる要因となっている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の端面の清掃作業を効率良く行うことができる基板端面自動清掃装置を提供することにある。また、別の目的は、基板の端面に付着したごみを高い確率で除去することができるため、配線基板を効率良く高歩留まりで製造することが可能となる配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段としては、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための装置であって、前記基板を支持する基板支持部材と、粘着部を有する清掃部材と、前記基板支持部材及び前記清掃部材のうちの少なくともいずれかを動かして前記基板の端面と前記粘着部とを接触させる駆動手段とを備えることを特徴とする基板端面自動清掃装置がある。
【0009】
従って、この基板端面自動清掃装置では、駆動手段により基板の端面と粘着部とが接触させられて、基板の端面に付着したごみが粘着部に貼り付けられて除去される。よって、基板の端面を清掃することができる。しかも、基板の端面を清掃するにあたって、作業者ではなく駆動手段が基板の端面と粘着部とを接触させるようにしたため、長時間に亘って清掃作業を行ったとしても、作業効率が徐々に低下していくことはない。また、駆動手段によって基板の端面と粘着部とを安定的に接触させることができるため、清掃作業後に基板の端面にごみが残ってしまう可能性が低くなる。ゆえに、残ったごみを除去するために清掃作業を繰り返す必要性が低くなるため、作業効率の低下を防止することができる。
【0010】
前記清掃部材は、粘着部である粘着層を片側表面に有する板状部材などであってもよいが、粘着部である粘着層を外周面に有する清掃用ローラと、その清掃用ローラを転動可能に支持するローラ支持体とを含んで構成されていることが好ましい。このようにした場合、基板の端面と粘着部とを一度接触させておけば、あとは清掃用ローラを転動させるだけで基板の端面を清掃できるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0011】
清掃用ローラとしては、粘着材を塗布したものや、粘着層を有する粘着テープが取り付けられたものなどが挙げられるが、粘着テープをロール状にしたものであることが好ましい。このようにすれば、外周面に露出した粘着層が汚れて粘着力が低下したとしても、粘着テープを剥して汚れていない粘着層を露出させることにより、清掃用ローラの粘着力を常に最良の状態に維持することができる。なお、粘着テープとしては、紙テープ、セロハンテープ、ビニールテープ、アルミテープなどが挙げられる。
【0012】
また、清掃用ローラの回転軸方向の長さは、基板の板厚よりも大きく設定されることが好ましい。このようにすれば、基板の端面に対して粘着部を確実に接触させることができるため、基板の端面に付着したごみを完全に除去しやすくなる。さらに、清掃用ローラは、基板の進行方向に沿って一直線上に複数配置されることが好ましい。この場合、清掃用ローラによって清掃される基板の端面は、基板の進行方向と平行に配置されることがよい。このようにすれば、1つの清掃用ローラによって基板の端面に付着したごみを除去し切れなくても、他の清掃用ローラによってごみを除去することができる。
【0013】
なお、2つの清掃用ローラが基板の進行方向に沿って一直線上に配置される場合、隣接する清掃用ローラ間の中心間距離は、基板の前端(進行方向側端)と後端との間の距離を越えない範囲で、できるだけ大きく設定されることが好ましい。このようにすれば、各清掃用ローラと基板の端面とを接触させた際に、各清掃用ローラの押圧力が基板に分散して加わるため、基板が清掃用ローラに押圧されて進行方向に対して斜めになることを防止できる。
【0014】
なお、清掃用ローラは、ローラ支持体に対して着脱可能に支持されることが好ましい。このようにすれば、例えば、清掃用ローラが汚れて使用不能となった場合であっても、清掃用ローラを交換することで、再び清掃用ローラによって基板の端面を清掃することができる。
【0015】
また、前記清掃用ローラは、前記基板の端面に対して垂直方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されていてもよいが、前記基板の端面に対して斜め方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されていてもよい。このようにすれば、よりごみが付着しやすい部分(樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つの切断部分)に確実に清掃用ローラを接触させることができる。従って、基板の端面に付着したごみをより確実に除去できるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0016】
なお、清掃用ローラが複数ある場合、各清掃用ローラが、基板の端面の上側エッジまたは端面の下側エッジに対して斜め方向から接触するようにローラ支持体に支持されることが好ましい。このようにすれば、基板の端面と粘着部とを接触させた状態で、各清掃用ローラを用いて基板の端面の上側エッジ及び端面の下側エッジを一度で清掃することができるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0017】
なお、この場合、前記基板の端面に対する前記清掃用ローラの傾斜角度θ1は、0°<θ1<30°に設定されることが好ましい。このようにすれば、清掃用ローラが基板の端面のエッジに確実に接触するため、基板の端面のエッジに付着したごみを確実に除去することができる。
【0018】
前記駆動手段は、前記基板を支持した状態の前記基板支持部材を前記基板の面方向に沿って平行移動させる基板支持部材駆動部と、前記基板支持部材駆動部とともに平行移動する前記基板の端面に対して前記清掃用ローラを接触させる方向に、前記ローラ支持体を押圧するローラ支持体駆動部とを含んで構成されていることが好ましい。このようにすれば、ローラ支持体駆動部によって清掃用ローラを基板の端面に接触させた状態で、基板支持部材駆動部によって基板を平行移動させると、清掃用ローラが回転して基板の端面が清掃される。即ち、駆動手段によって自動的に基板の端面が清掃されるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0019】
また、基板端面自動清掃装置は、前記基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記清掃部材による清掃の実施前に切断する切断機構を備えることが好ましい。このようにすれば、基板の端面を清掃する前に、基板の端面から飛び出している余剰部分をあらかじめ切断しておかなくても済むため、作業者への負担がよりいっそう小さくなる。
【0020】
前記切断機構は切断刃を有するとともに、前記基板支持部材の移動方向を基準とした前記切断刃の傾斜角度θ2は10°<θ2<20°に設定されることが好ましい。仮に、切断刃の傾斜角度θ2が10°以下であると、基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくとも1つを完全に切断できない可能性がある。一方、切断刃の傾斜角度θ2が20°以上であると、切断刃が基板に食い込んで基板を傷付けてしまう可能性がある。
【0021】
また、前記切断機構は、前記切断刃による切断の際に、余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを引っ張る引張手段を有することが好ましい。このようにすれば、切断刃が樹脂絶縁層、レジスト層、保護フィルム層に切れ込みを入れやすくなるため、確実に切断を行うことができる。
【0022】
さらに、前記基板と前記切断刃との相対的な上下位置関係を調整するための上下位置調整手段を有することが好ましい。具体的には、前記基板支持部材を上下動させて前記基板の上下位置を調整するための上下位置調整手段を有していてもよいし、前記切断機構が、前記切断刃の上下位置を調整するための上下位置調整手段を有していてもよい。このようにした場合、切断作業を続けるにあたって、定期的に上下位置調整手段を用いて基板の上下位置または切断刃の上下位置を調整するようにすれば、切断刃の特定部分のみの磨耗を防止することができる。ゆえに、切断刃の長寿命化にもつながる。
【0023】
上記課題を解決するための別の手段としては、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、粘着部を有する清掃部材を前記基板の端面に接触させることにより、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0024】
また、上記課題を解決するためのさらに別の手段としては、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置を用いて、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0025】
以下、配線基板の製造方法について説明する。
【0026】
まず、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程を実施する。
【0027】
かかる樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂絶縁層を形成する樹脂材料の好適例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0028】
前記レジスト層としては、フォトレジスト層、ソルダーレジスト層、めっきレジスト層、エッチングレジスト層などを挙げることができる。
【0029】
前記保護フィルム層を構成する好適な材料としては、可撓性を有する樹脂や紙などを挙げることができる。これらの材料は、樹脂絶縁層やレジスト層へのダメージが少ないこと、安価であること、薄く形成しても丈夫なことなどを考慮して適宜選択される。なお、樹脂や紙などは、再利用しやすいという点で好ましい。保護フィルム層に使用される樹脂材料の具体例としては、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)などがある。
【0030】
また、前記基板とは、樹脂材料、セラミック材料、金属材料などを主体として構成された基板のことを意味する。樹脂材料を主体として構成された基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。また、セラミック材料を主体として構成された基板の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料からなる基板などがある。さらに、金属材料を主体として構成された基板の具体例としては、例えば、銅基板や銅合金基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の金属の合金からなる基板などがあるが、これらに限ることはない。
【0031】
層形成工程後、切断工程を実施する。具体的には、基板を配置し、層形成工程によって形成された樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の端面にて切断する。これにより、基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが除去される。
【0032】
切断工程後、粘着部を有する清掃部材を基板の端面に接触させることにより、基板の端面を清掃する端面清掃工程を実施する。なお、端面清掃工程は、作業者によってではなく、前記基板端面自動清掃装置によって実施されることが好ましい。このようにすれば、長時間に亘って清掃作業を行ったとしても、作業効率が徐々に低下していくことはない。
【0033】
そして、このような製造方法によれば、基板の端面に付着したごみを高い確率で除去することができるため、上記の配線基板を効率良く高歩留まりで製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を配線基板製造用の基板端面自動清掃装置に具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0035】
図1には、本実施形態のフィルムラミネーションライン1が全体的に示されている。このフィルムラミネーションライン1は、図1の右側から左側に向かって順に、基板搬入装置2、ラミネータ3、フィルム切断装置4、基板端面自動清掃装置5、エアブロー装置6、フィルム剥離装置7及び基板搬出装置8を備えている。基板搬入装置2は、搬入された基板15を基板清掃ローラ9によって清掃した後、その基板15をラミネータ3に搬送する。ラミネータ3は、基板端部同士に隙間を設けた状態で基板15を複数枚隣接させ、それら全ての基板15を覆いうる大きさの保護フィルム層12をラミネートした後、それらの基板15をフィルム切断装置4に搬送する。フィルム切断装置4は、保護フィルム層12を各基板15の大きさに合わせて切断して各基板15を分離し、それらの基板15を基板端面自動清掃装置5に搬送する。基板端面自動清掃装置5は、基板15の端面16を清掃する作業を行った後、その基板15をエアブロー装置6に搬送する。エアブロー装置6は、基板15に付着しているごみをエアによって吹き飛ばす作業を行った後、その基板15をフィルム剥離装置7に搬送する。フィルム剥離装置7は、保護フィルム層12を剥離する作業を行った後、その基板15を基板搬出装置8に搬送する。基板搬出装置8は、フィルム剥離装置7において剥離作業が終了した基板15をフィルムラミネーションライン1から搬出する。なお、このフィルムラミネーションライン1は、基板15上にビルドアップ層を形成してビルドアップ多層樹脂配線基板(配線基板)を製造するときに用いられるものである。なお、ビルドアップ層とは、層間絶縁層と導体層とを交互に積層してなるものである。
【0036】
図1〜図8には、基板端面自動清掃装置5による作業対象となる基板15が示されている。この基板15は、ビルドアップ多層樹脂配線基板におけるコア基板であって、例えば基材の両面に導体層を有するものが使用される。図5に示されるように、基板15の上面全体には層間絶縁材14(樹脂絶縁層)が貼付されている。この層間絶縁材14は、例えば感光性エポキシ樹脂からなっている。さらに、この層間絶縁材14の表層部は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の保護フィルム層12によって保護されている。
【0037】
図2,図3に示されるように、基板端面自動清掃装置5は、コンベア支持柱31によって支持される基板搬送用コンベア33を備えている。基板搬送用コンベア33は、前記フィルム切断装置4から搬送されてきた基板15を前記エアブロー装置6側に搬送するようになっている。基板搬送用コンベア33には、複数の基板搬送ローラ32が所定間隔を隔てて回転可能に配設されている。各基板搬送ローラ32上には基板15が載置可能になっている。また、各基板搬送ローラ32は、基板15の搬送方向に沿って一直線上に配置されるとともに、回転軸が基板15の搬送方向に直交するように配置されている。隣り合う基板搬送ローラ32の間隔は、基板15の搬送方向の寸法よりも短く設定されている。そして、各基板搬送ローラ32は、基板移動用モータ(図示略)によって回転駆動されることにより、基板15を搬送するようになっている。
【0038】
また、図2,図3に示されるように、基板端面自動清掃装置5は、基板搬送用コンベア33に直交する基板清掃用ライン60を備えている。基板清掃用ライン60には、多点位置決め制御が可能なアクチュエータの一種である電動の単軸スライダ61(基板支持部材駆動部)が設けられている。なお、単軸スライダ61を用いる代わりに、単軸ロボットなどの多点位置決め制御が可能なアクチュエータを用いてもよい。単軸スライダ61は、基板清掃用ライン60の長さ方向(図2における矢印A1方向)に沿って延びており、その内部に図示しないピストンを備えている。ピストンにはスライダ63が連結され、そのスライダ63には垂直方向に伸縮するエアシリンダ44が設けられている。エアシリンダ44のロッド先端には、基板搬送用コンベア33によって搬送されてきた基板15を下方から支持するための基板支持台41(基板支持部材)が取り付けられている。よって、単軸スライダ61は、基板15を支持した状態の基板支持台41を基板15の面方向、即ち、基板清掃用ライン60の長さ方向に沿って平行移動させるようになっている。また、基板支持台41は、エアシリンダ44の伸縮によって上下動可能となっている。エアシリンダ44は、基板搬送用コンベア33上にある基板15を基板清掃用ライン60側に受け渡す際に、基板支持台41を上方に移動させて基板15を支持させるようになっている。また、エアシリンダ44は、基板清掃用ライン60上にある基板15を基板搬送用コンベア33側に受け渡す際に、基板支持台41を下方に移動させるようになっている。なお、エアシリンダ44を用いる代わりに、ステッピングモータでボールネジを駆動して自動的に基板支持台41を上下動させるようにしてもよい。このようにすれば、上下方向における多点位置制御が可能になるため好ましい。
【0039】
図2〜図5,図7に示されるように、基板搬送用コンベア33と基板清掃用ライン60との接続部分近傍には、一対の切断機構51が設けられている。各切断機構51は、基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。各切断機構51は切断刃支持部56を有しており、切断刃支持部56には切断刃52が取り付けられている。両切断刃52の先端は、基板搬送用コンベア33側に向けられている。なお、本実施形態において、前記基板支持台41の移動方向、即ち、基板15の進行方向を基準とした切断刃52の傾斜角度θ2は、約15°に設定されている(図4参照)。また、両切断刃52の先端同士の距離は、基板15の一対の端面16(基板15の進行方向と平行な一対の面)間の距離とほぼ等しくなっている。よって、基板支持台41が移動すると、切断刃52は、基板15の端面16から飛び出している余剰の保護フィルム層12を切断することができる(図4,図7参照)。また、切断刃52により保護フィルム層12を切断する作業は、清掃部材20による清掃の実施直前に行われる。なお、切断刃52が取り付けられた切断刃支持部56を、エアシリンダ(図示略)のロッド先端に取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、ロッドを突出させて切断刃52を基板15側に移動させることにより、切断刃52を確実に基板15の端面16に接触させることができる。さらに、この場合、切断刃支持部56とエアシリンダとの間にバネ(図示略)を設け、エアシリンダから基板15に加わる推力をバネの弾性変形によって吸収するようにしてもよい。このようにすれば、基板15の端面16に多少凹凸があったとしても、切断刃52を端面16に常時接触させることができる。
【0040】
図3,図5に示されるように、切断機構51は、上下位置調整手段55を有している。上下位置調整手段55は、上下方向に延びる上下位置調整レール57と、ネジなどの固定部材(図示略)とによって構成されている。上下位置調整レール57には、切断刃支持部56が手動で上下動可能に設けられている。また、ネジは、切断刃支持部56に設けられており、ネジを締め付けてネジの先端を上下位置調整レール57に押し付けることにより、切断刃支持部56を固定するようになっている。よって、これら上下位置調整レール57及びネジにより、切断刃52の上下位置を調整することができる。なお、上下位置調整手段55は、モータでボールネジを駆動して自動的に切断刃支持部56を上下動させるものなどであってもよい。
【0041】
図4,図5,図7に示されるように、切断機構51は、一対の引張手段53を備えている。両引張手段53は、前記基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。引張手段53は、一対の把持板58と、把持用アクチュエータ(図示略)と、保護フィルム引張用エアシリンダ54(図4参照)とを備えている。把持用アクチュエータは、一対の把持板58を開閉駆動させることにより、切断前の保護フィルム層12の余剰部分を表面側及び裏面側から挟持させるようになっている。また、保護フィルム層12の余剰部分が一対の把持板58によって把持された状態で保護フィルム引張用エアシリンダ54を駆動することにより、保護フィルム層12が面方向に引っ張られ、所定のテンションが加えられるようになっている。
【0042】
図2,図3,図6〜図8に示されるように、基板清掃用ライン60には、一対の清掃部材20が設けられている。両清掃部材20は、前記基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。清掃部材20には、2個の清掃用ローラ21が基板支持台41の移動方向に沿って配置されている。各清掃用ローラ21は、鉛直方向に延びるローラ支持軸23(ローラ支持体)によって転動可能に支持されるとともに、ローラ支持軸23に対して着脱可能に支持されている。ローラ支持軸23は、基板支持台41によって支持される基板15の端面16と平行になるように配置されている。よって、各清掃用ローラ21は、基板15の端面16に対して垂直方向から接触し、基板15の移動に伴って回転するようになっている(図8参照)。本実施形態では、基板15の一方の端面16に対して2個の清掃用ローラ21が接触するようになっている。なお、各清掃用ローラ21は、外周面に粘着層22(粘着部)を有している。本実施形態の清掃用ローラ21は、粘着層22を有する粘着テープをロール状にしたものである。
【0043】
図2に示されるように、清掃部材20には、エアシリンダ71(ローラ支持体駆動部)が設けられている。また、清掃部材20は、基板清掃用ライン60の長さ方向と直交する方向(図2における矢印A2方向)に沿って延びる一対のリニアガイド24を備えている。清掃部材20は、エアシリンダ71が駆動されると、リニアガイド24の延出方向(矢印A2方向)に沿って移動するようになっている。よって、エアシリンダ71は、前記単軸スライダ61とともに平行移動する基板15の端面16に対して清掃用ローラ21を接触させる方向(矢印A2方向)に、清掃部材20を移動させるようになっている。これにより、各清掃用ローラ21を基板15の端面16に押し付けることができる。なお、このエアシリンダ71と単軸スライダ61とにより、前記基板支持台41及び清掃部材20のうちの少なくともいずれかを動かして基板15の端面16と粘着層22とを接触させる駆動手段が構成される。
【0044】
次に、上記の基板端面自動清掃装置5を用いたビルドアップ多層樹脂配線基板の製造方法について説明する。
【0045】
まず、銅張積層板に対してドリル機を用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通する貫通孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、銅張積層板に対してYAGレーザまたは炭酸ガスレーザを用いてレーザ孔あけ加工を行うことで、貫通孔を形成してもよい。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでめっきスルーホールを形成する。さらに、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って第1層めの導体層を例えばサブトラクティブ法によってパターニングする。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離することにより、両面板である基板15を得る。なお、基板15を、セミアディティブ法によって形成してもよい。具体的には、無電解銅めっきの後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層をエッチングで除去する。その結果、両面板である基板15を得る。
【0046】
次に、層形成工程を実施する。具体的には、基板15の主面にフィルム状の層間絶縁材14を貼付した後、ラミネータ3を使用して貼付工程を実施し、保護フィルム層12を層間絶縁材14が貼付された基板15の主面にラミネートしておく。具体的には、まず、複数枚の基板15を隣接させて水平に配置した状態で、全基板15の主面を覆いうる大きさの保護フィルム層12をラミネータ3でラミネートする。そして、ラミネートされた保護フィルム層12を、フィルム切断装置4を用いて各基板15の大きさに合わせて切断する。
【0047】
その後、保護フィルム層12で保護された層間絶縁材14を有する基板15を基板端面自動清掃装置5に搬送し、切断工程を実施する。切断工程において、具体的には、まず、エアシリンダ44を駆動して基板支持台41を上方に移動させることにより、基板搬送用コンベア33上にある基板15を、基板支持台41によって支持させる。次に、保護フィルム層12を引張手段53にて面方向(水平方向)に引っ張った状態で、基板支持台41を切断刃52側に移動させることにより、層形成工程によって形成された保護フィルム層12を基板15の端面16にて切断する(図4,図7参照)。これにより、基板15の端面16から飛び出している余剰の保護フィルム層12が除去される。
【0048】
切断工程後、基板15の端面16を清掃する端面清掃工程を実施する。具体的には、基板支持台41をさらに清掃部材20側に移動させるとともに、清掃部材20を移動させて、基板15の端面16に各清掃用ローラ21を押し付けるようにする。この状態において、単軸スライダ61を駆動して基板支持台41を平行移動させると、各清掃用ローラ21が追従して回転することに伴い、基板15の端面16に付着したごみが粘着層22に貼り付けられて除去される(図8参照)。なお、基板15の端面16に各清掃用ローラ21が押し付けられた状態で、基板支持台41を往復させるようにしてもよい。このようにすれば、基板15の端面16に付着したごみをより確実に除去できる。
【0049】
端面清掃工程後、基板支持台41を前記基板搬送用コンベア33側に移動させ、エアシリンダ44を駆動して基板支持台41を下方に移動させることにより、基板支持台41上にある基板15を基板搬送用コンベア33上に載置させる。そして、基板搬送用コンベア33の各基板搬送ローラ32を回転駆動して、基板15を搬出する。
【0050】
さらに、搬出された基板15の層間絶縁材14に対して露光を行った後、基板15をフィルム剥離装置7に搬送する。そして、保護フィルム層12を剥離する剥離工程を実施する。その結果、基板15から保護フィルム層12が完全に剥離され、後にビルドアップ多層樹脂配線基板の層間絶縁層となるべき層間絶縁材14が基板15上に残るようになる。また、保護フィルム層12が剥離された基板15は、基板搬出装置8によって搬出される。
【0051】
そして、搬出された基板15の層間絶縁材14に対して現像を行うことにより、ビア導体が形成されるべき位置に盲孔(ビア)を有する層間絶縁層を形成する。次に、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)に従って無電解銅めっきを行い、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施すことにより、前記盲孔の内部にビア導体を形成するとともに、層間絶縁層上に銅めっき層を形成する。さらに、レジストを溶解除去して、不要な無電解銅めっき層のエッチングを行うことにより、層間絶縁層上に第2層めの導体層を形成する(導体層形成工程)。
【0052】
その後、前記貼付工程〜導体層形成工程を繰り返すことにより、層間絶縁層と導体層とが交互に積層されていく。これにより、ビルドアップ層が構成され、所望のビルドアップ多層樹脂配線基板が完成する。
【0053】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0054】
(1)本実施形態の基板端面自動清掃装置5では、基板15の端面16と粘着層22とが接触させられて、端面16に付着したごみが粘着層22に貼り付けられて除去される。よって、基板15の端面16を清掃することができる。しかも、基板15の端面16を清掃するにあたって、作業者ではなく単軸スライダ61及びエアシリンダ71の駆動によって基板15の端面16と粘着層22とを接触させるようにしている。このため、長時間に亘って清掃作業を行ったとしても、作業効率が徐々に低下していくことはない。また、エアシリンダ71の駆動によって各清掃用ローラ21が基板15の端面16に押し付けられるため、基板15の端面16と粘着層22とを安定的に接触させることができる。よって、清掃作業後に基板15の端面16にごみが残ってしまう可能性が低くなる。ゆえに、残ったごみを除去するために清掃作業を繰り返す必要性が低くなるため、作業効率の低下を防止することができる。
【0055】
(2)本実施形態では、清掃用ローラ21が基板15の両方の端面16に2個ずつ接触するようになっている。このため、両清掃部材20間に基板15を一度通過させるだけで、両方の端面16の清掃作業を完了させることができる。従って、清掃作業を短時間で完了させることができるため、作業効率が向上する。
【0056】
(3)本実施形態では、切断機構51が基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。このため、両切断機構51間に基板15を一度通過させるだけで、両方の端面16において余剰の保護フィルム層12を除去することができる。よって、両方の端面16の清掃作業を同時に開始させることができるため、作業効率が向上する。
【0057】
(4)本実施形態では、引張手段53が基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。このため、保護フィルム層12の余剰部分を切断する際に、保護フィルム層12は、基板15の進行方向の両側から引っ張られるようになる。よって、保護フィルム層12が引張手段53によって引っ張られた際に、基板15が進行方向に対して斜めになることを防止できる。
【0058】
(5)本実施形態の清掃用ローラ21は、粘着層22を有する粘着テープをロール状にしたものである。このため、外周面に露出した粘着層22が汚れて粘着力が低下したとしても、粘着テープを剥して汚れていない粘着層22を露出させることにより、清掃用ローラ21の粘着力を常に最良の状態に維持することができる。しかし、粘着テープが剥されていって、清掃用ローラ21の外径が小さくなると、粘着層22が基板15の端面16に接触しにくくなってくる。そこで、本実施形態では、エアシリンダ71を駆動することにより、清掃部材20を移動させて清掃用ローラ21を基板15の端面16に押し付けるようにしている。これにより、粘着層22と端面16との接触状態が一定に維持されるため、清掃作業を行ったにもかかわらず、基板15の端面16にごみが残ってしまう可能性を低くすることができる。
【0059】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、各清掃用ローラ21は、基板15の端面16に対して垂直方向から接触するようにローラ支持軸23に支持されていた。
【0061】
しかし、各清掃用ローラ21は、基板15の端面16に対して斜め方向から接触するようにローラ支持軸23に支持されていてもよい。具体的には、基板15の端面16に対する清掃用ローラ21の傾斜角度θ1を、例えば約15°に設定してもよい(図9参照)。このようにすれば、端面16のエッジに確実に清掃用ローラ21を接触させることができる。従って、基板15の端面16のエッジに付着したごみをより確実に除去できるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0062】
なお、この場合、各清掃用ローラ21は、端面16の上側エッジ及び端面16の下側エッジに対して斜め方向から接触するようにローラ支持軸23に支持されることが好ましい(図9,図10参照)。このようにすれば、両清掃部材20間に基板15を一度通過させるだけで、端面16の上側エッジ及び下側エッジの両方の清掃作業を完了させることができる。従って、清掃作業を短時間で完了させることができるため、作業効率が向上する。
【0063】
・上記実施形態の切断機構51は、基板15の端面16から飛び出している余剰の保護フィルム層12を切断するのに用いられていた。しかし、切断機構51は、端面16から飛び出している余剰の層間絶縁材14などの樹脂絶縁層を切断するのに用いられていてもよい。また、基板15にソルダーレジスト層やめっきレジスト層などのレジスト層が貼付されている場合、切断機構51を、端面16から飛び出している余剰のレジスト層を切断するのに用いてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、切断機構51を上下動させるようになっていたが、基板支持台41を上下動させるようになっていてもよい。例えば、切断刃52及び切断刃支持部56を上下動不能に固定にし、エアシリンダ44を用いて基板支持台41を上下動させる代わりに、ステッピングモータでボールネジを駆動して自動的に基板支持台41を上下動させることにより、切断刃52のどの位置に基板15の端面16を接触させるかを制御するようにしてもよい。このようにすれば、基板15を載せた基板支持台41の上下位置をより細かく制御することができる。しかも、多点位置決め制御が可能な単軸スライダ61を用いることで、保護フィルム層12を切断する際の基板15の高さの制御と、端面16を清掃する際の基板15の高さの制御とを個別に行うことができる。よって、切断刃52及び清掃用ローラ21を構成する粘着テープの上下幅をそれぞれ有効に用いることができるため、消耗部材(切断刃52及び粘着テープ)の使用量を減らすことができる。
【0065】
・上記実施形態では、基板端面自動清掃装置5を、ビルドアップ多層樹脂配線基板の層間絶縁層を形成する際に用いたが、ビルドアップ多層樹脂配線基板以外の配線基板の絶縁層を形成する際に用いてもよい。
【0066】
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0067】
(1)樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための装置であって、前記基板を支持する基板支持部材と、粘着部である粘着層を外周面に有する清掃用ローラと、複数の清掃用ローラを転動可能に支持するローラ支持体と、前記基板支持部材及び前記ローラ支持体のうちの少なくともいずれかを動かして前記基板の端面と前記粘着部とを接触させる駆動手段とを備え、前記各清掃用ローラは、前記端面の上側エッジまたは前記端面の下側エッジに対して斜め方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されることを特徴とする基板端面自動清掃装置。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態のフィルムラミネーションラインを示す概略図。
【図2】本実施形態の基板端面自動清掃装置を示す上面図。
【図3】本実施形態の基板端面自動清掃装置を示す正面図。
【図4】余剰の保護フィルムを切断する動作を行う際の状態を示す要部概略図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】基板の端面を清掃する際の状態を示す要部概略図。
【図7】余剰の保護フィルムを切断する動作を行う際の状態を示す概略斜視図。
【図8】基板の端面を清掃する際の状態を示す概略斜視図。
【図9】他の実施形態における基板の端面を清掃する際の状態を示す要部概略図。
【図10】他の実施形態における基板の端面を清掃する際の状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0069】
5…基板端面自動清掃装置
12…保護フィルム層
14…樹脂絶縁層としての層間絶縁材
15…基板
16…端面
20…清掃部材
21…清掃用ローラ
22…粘着部である粘着層
23…ローラ支持体としてのローラ支持軸
41…基板支持部材としての基板支持台
51…切断機構
52…切断刃
53…引張手段
55…上下位置調整手段
61…基板支持部材駆動部としての単軸スライダ
71…ローラ支持体駆動部としてのエアシリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための基板端面自動清掃装置、及び、基板の端面を清掃する工程を含む配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板の製造プロセスは、基板の表面に絶縁材層を形成する工程を有している。このような工程の具体例としては、基板の表面に感光性のレジストフィルムをラミネートする工程や、基板の表面に感光性または熱硬化性の層間絶縁材フィルムをラミネートする工程などがある。絶縁材層の表層部には、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の保護フィルムがラミネートされる。
【0003】
ところで、絶縁材層の表層部を保護フィルムでカバーする場合、複数枚の基板を隣接させて水平に配置した状態で、それら全ての基板に対して1枚の保護フィルムを貼付する場合がある。従って、絶縁材層の処理を始めるためには、絶縁材層の表面から保護フィルムを剥離する前に、あらかじめ保護フィルムを各基板の大きさに合わせて切断し、各基板を分離しておく必要がある。また、保護フィルムの切断時に生じるごみ(切り屑など)が基板に付着するため、保護フィルムを剥離する前に、あらかじめ基板を清掃しておく必要もある。
【0004】
従来、基板を清掃する方法としては、粘着部を有するローラを備えた清掃器(例えば、特許文献1参照)を作業者が把持し、粘着部を基板に接触させた状態でローラを転動させることにより、基板に付着したごみを除去することなどが提案されている。
【特許文献1】特開2004−121971号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ごみは、保護フィルムの切断部分近傍にある基板の端面に最も付着しやすいため、特許文献1に記載の清掃器を用いて基板の端面を清掃すれば、効果的にごみを除去できると考えられる。
【0006】
しかし、清掃器を用いて長時間に亘って清掃作業を行うと、作業者が疲れることで、作業効率が徐々に低下していく可能性がある。そこで、清掃作業を自動化することが考えられるが、現状では、基板の端面を清掃するための装置は何ら存在していない。また、清掃器を用いて清掃作業を行うと、ごみを除去し切れずに残ってしまう可能性が高い。この場合、作業者が再び清掃器を用いて清掃作業を行う必要が生じるが、このことも作業効率を低下させる要因となっている。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の端面の清掃作業を効率良く行うことができる基板端面自動清掃装置を提供することにある。また、別の目的は、基板の端面に付着したごみを高い確率で除去することができるため、配線基板を効率良く高歩留まりで製造することが可能となる配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段としては、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための装置であって、前記基板を支持する基板支持部材と、粘着部を有する清掃部材と、前記基板支持部材及び前記清掃部材のうちの少なくともいずれかを動かして前記基板の端面と前記粘着部とを接触させる駆動手段とを備えることを特徴とする基板端面自動清掃装置がある。
【0009】
従って、この基板端面自動清掃装置では、駆動手段により基板の端面と粘着部とが接触させられて、基板の端面に付着したごみが粘着部に貼り付けられて除去される。よって、基板の端面を清掃することができる。しかも、基板の端面を清掃するにあたって、作業者ではなく駆動手段が基板の端面と粘着部とを接触させるようにしたため、長時間に亘って清掃作業を行ったとしても、作業効率が徐々に低下していくことはない。また、駆動手段によって基板の端面と粘着部とを安定的に接触させることができるため、清掃作業後に基板の端面にごみが残ってしまう可能性が低くなる。ゆえに、残ったごみを除去するために清掃作業を繰り返す必要性が低くなるため、作業効率の低下を防止することができる。
【0010】
前記清掃部材は、粘着部である粘着層を片側表面に有する板状部材などであってもよいが、粘着部である粘着層を外周面に有する清掃用ローラと、その清掃用ローラを転動可能に支持するローラ支持体とを含んで構成されていることが好ましい。このようにした場合、基板の端面と粘着部とを一度接触させておけば、あとは清掃用ローラを転動させるだけで基板の端面を清掃できるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0011】
清掃用ローラとしては、粘着材を塗布したものや、粘着層を有する粘着テープが取り付けられたものなどが挙げられるが、粘着テープをロール状にしたものであることが好ましい。このようにすれば、外周面に露出した粘着層が汚れて粘着力が低下したとしても、粘着テープを剥して汚れていない粘着層を露出させることにより、清掃用ローラの粘着力を常に最良の状態に維持することができる。なお、粘着テープとしては、紙テープ、セロハンテープ、ビニールテープ、アルミテープなどが挙げられる。
【0012】
また、清掃用ローラの回転軸方向の長さは、基板の板厚よりも大きく設定されることが好ましい。このようにすれば、基板の端面に対して粘着部を確実に接触させることができるため、基板の端面に付着したごみを完全に除去しやすくなる。さらに、清掃用ローラは、基板の進行方向に沿って一直線上に複数配置されることが好ましい。この場合、清掃用ローラによって清掃される基板の端面は、基板の進行方向と平行に配置されることがよい。このようにすれば、1つの清掃用ローラによって基板の端面に付着したごみを除去し切れなくても、他の清掃用ローラによってごみを除去することができる。
【0013】
なお、2つの清掃用ローラが基板の進行方向に沿って一直線上に配置される場合、隣接する清掃用ローラ間の中心間距離は、基板の前端(進行方向側端)と後端との間の距離を越えない範囲で、できるだけ大きく設定されることが好ましい。このようにすれば、各清掃用ローラと基板の端面とを接触させた際に、各清掃用ローラの押圧力が基板に分散して加わるため、基板が清掃用ローラに押圧されて進行方向に対して斜めになることを防止できる。
【0014】
なお、清掃用ローラは、ローラ支持体に対して着脱可能に支持されることが好ましい。このようにすれば、例えば、清掃用ローラが汚れて使用不能となった場合であっても、清掃用ローラを交換することで、再び清掃用ローラによって基板の端面を清掃することができる。
【0015】
また、前記清掃用ローラは、前記基板の端面に対して垂直方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されていてもよいが、前記基板の端面に対して斜め方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されていてもよい。このようにすれば、よりごみが付着しやすい部分(樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つの切断部分)に確実に清掃用ローラを接触させることができる。従って、基板の端面に付着したごみをより確実に除去できるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0016】
なお、清掃用ローラが複数ある場合、各清掃用ローラが、基板の端面の上側エッジまたは端面の下側エッジに対して斜め方向から接触するようにローラ支持体に支持されることが好ましい。このようにすれば、基板の端面と粘着部とを接触させた状態で、各清掃用ローラを用いて基板の端面の上側エッジ及び端面の下側エッジを一度で清掃することができるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0017】
なお、この場合、前記基板の端面に対する前記清掃用ローラの傾斜角度θ1は、0°<θ1<30°に設定されることが好ましい。このようにすれば、清掃用ローラが基板の端面のエッジに確実に接触するため、基板の端面のエッジに付着したごみを確実に除去することができる。
【0018】
前記駆動手段は、前記基板を支持した状態の前記基板支持部材を前記基板の面方向に沿って平行移動させる基板支持部材駆動部と、前記基板支持部材駆動部とともに平行移動する前記基板の端面に対して前記清掃用ローラを接触させる方向に、前記ローラ支持体を押圧するローラ支持体駆動部とを含んで構成されていることが好ましい。このようにすれば、ローラ支持体駆動部によって清掃用ローラを基板の端面に接触させた状態で、基板支持部材駆動部によって基板を平行移動させると、清掃用ローラが回転して基板の端面が清掃される。即ち、駆動手段によって自動的に基板の端面が清掃されるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0019】
また、基板端面自動清掃装置は、前記基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記清掃部材による清掃の実施前に切断する切断機構を備えることが好ましい。このようにすれば、基板の端面を清掃する前に、基板の端面から飛び出している余剰部分をあらかじめ切断しておかなくても済むため、作業者への負担がよりいっそう小さくなる。
【0020】
前記切断機構は切断刃を有するとともに、前記基板支持部材の移動方向を基準とした前記切断刃の傾斜角度θ2は10°<θ2<20°に設定されることが好ましい。仮に、切断刃の傾斜角度θ2が10°以下であると、基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくとも1つを完全に切断できない可能性がある。一方、切断刃の傾斜角度θ2が20°以上であると、切断刃が基板に食い込んで基板を傷付けてしまう可能性がある。
【0021】
また、前記切断機構は、前記切断刃による切断の際に、余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを引っ張る引張手段を有することが好ましい。このようにすれば、切断刃が樹脂絶縁層、レジスト層、保護フィルム層に切れ込みを入れやすくなるため、確実に切断を行うことができる。
【0022】
さらに、前記基板と前記切断刃との相対的な上下位置関係を調整するための上下位置調整手段を有することが好ましい。具体的には、前記基板支持部材を上下動させて前記基板の上下位置を調整するための上下位置調整手段を有していてもよいし、前記切断機構が、前記切断刃の上下位置を調整するための上下位置調整手段を有していてもよい。このようにした場合、切断作業を続けるにあたって、定期的に上下位置調整手段を用いて基板の上下位置または切断刃の上下位置を調整するようにすれば、切断刃の特定部分のみの磨耗を防止することができる。ゆえに、切断刃の長寿命化にもつながる。
【0023】
上記課題を解決するための別の手段としては、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、粘着部を有する清掃部材を前記基板の端面に接触させることにより、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0024】
また、上記課題を解決するためのさらに別の手段としては、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置を用いて、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0025】
以下、配線基板の製造方法について説明する。
【0026】
まず、樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程を実施する。
【0027】
かかる樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂絶縁層を形成する樹脂材料の好適例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0028】
前記レジスト層としては、フォトレジスト層、ソルダーレジスト層、めっきレジスト層、エッチングレジスト層などを挙げることができる。
【0029】
前記保護フィルム層を構成する好適な材料としては、可撓性を有する樹脂や紙などを挙げることができる。これらの材料は、樹脂絶縁層やレジスト層へのダメージが少ないこと、安価であること、薄く形成しても丈夫なことなどを考慮して適宜選択される。なお、樹脂や紙などは、再利用しやすいという点で好ましい。保護フィルム層に使用される樹脂材料の具体例としては、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)などがある。
【0030】
また、前記基板とは、樹脂材料、セラミック材料、金属材料などを主体として構成された基板のことを意味する。樹脂材料を主体として構成された基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。また、セラミック材料を主体として構成された基板の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料からなる基板などがある。さらに、金属材料を主体として構成された基板の具体例としては、例えば、銅基板や銅合金基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の金属の合金からなる基板などがあるが、これらに限ることはない。
【0031】
層形成工程後、切断工程を実施する。具体的には、基板を配置し、層形成工程によって形成された樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の端面にて切断する。これにより、基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが除去される。
【0032】
切断工程後、粘着部を有する清掃部材を基板の端面に接触させることにより、基板の端面を清掃する端面清掃工程を実施する。なお、端面清掃工程は、作業者によってではなく、前記基板端面自動清掃装置によって実施されることが好ましい。このようにすれば、長時間に亘って清掃作業を行ったとしても、作業効率が徐々に低下していくことはない。
【0033】
そして、このような製造方法によれば、基板の端面に付着したごみを高い確率で除去することができるため、上記の配線基板を効率良く高歩留まりで製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を配線基板製造用の基板端面自動清掃装置に具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。
【0035】
図1には、本実施形態のフィルムラミネーションライン1が全体的に示されている。このフィルムラミネーションライン1は、図1の右側から左側に向かって順に、基板搬入装置2、ラミネータ3、フィルム切断装置4、基板端面自動清掃装置5、エアブロー装置6、フィルム剥離装置7及び基板搬出装置8を備えている。基板搬入装置2は、搬入された基板15を基板清掃ローラ9によって清掃した後、その基板15をラミネータ3に搬送する。ラミネータ3は、基板端部同士に隙間を設けた状態で基板15を複数枚隣接させ、それら全ての基板15を覆いうる大きさの保護フィルム層12をラミネートした後、それらの基板15をフィルム切断装置4に搬送する。フィルム切断装置4は、保護フィルム層12を各基板15の大きさに合わせて切断して各基板15を分離し、それらの基板15を基板端面自動清掃装置5に搬送する。基板端面自動清掃装置5は、基板15の端面16を清掃する作業を行った後、その基板15をエアブロー装置6に搬送する。エアブロー装置6は、基板15に付着しているごみをエアによって吹き飛ばす作業を行った後、その基板15をフィルム剥離装置7に搬送する。フィルム剥離装置7は、保護フィルム層12を剥離する作業を行った後、その基板15を基板搬出装置8に搬送する。基板搬出装置8は、フィルム剥離装置7において剥離作業が終了した基板15をフィルムラミネーションライン1から搬出する。なお、このフィルムラミネーションライン1は、基板15上にビルドアップ層を形成してビルドアップ多層樹脂配線基板(配線基板)を製造するときに用いられるものである。なお、ビルドアップ層とは、層間絶縁層と導体層とを交互に積層してなるものである。
【0036】
図1〜図8には、基板端面自動清掃装置5による作業対象となる基板15が示されている。この基板15は、ビルドアップ多層樹脂配線基板におけるコア基板であって、例えば基材の両面に導体層を有するものが使用される。図5に示されるように、基板15の上面全体には層間絶縁材14(樹脂絶縁層)が貼付されている。この層間絶縁材14は、例えば感光性エポキシ樹脂からなっている。さらに、この層間絶縁材14の表層部は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の保護フィルム層12によって保護されている。
【0037】
図2,図3に示されるように、基板端面自動清掃装置5は、コンベア支持柱31によって支持される基板搬送用コンベア33を備えている。基板搬送用コンベア33は、前記フィルム切断装置4から搬送されてきた基板15を前記エアブロー装置6側に搬送するようになっている。基板搬送用コンベア33には、複数の基板搬送ローラ32が所定間隔を隔てて回転可能に配設されている。各基板搬送ローラ32上には基板15が載置可能になっている。また、各基板搬送ローラ32は、基板15の搬送方向に沿って一直線上に配置されるとともに、回転軸が基板15の搬送方向に直交するように配置されている。隣り合う基板搬送ローラ32の間隔は、基板15の搬送方向の寸法よりも短く設定されている。そして、各基板搬送ローラ32は、基板移動用モータ(図示略)によって回転駆動されることにより、基板15を搬送するようになっている。
【0038】
また、図2,図3に示されるように、基板端面自動清掃装置5は、基板搬送用コンベア33に直交する基板清掃用ライン60を備えている。基板清掃用ライン60には、多点位置決め制御が可能なアクチュエータの一種である電動の単軸スライダ61(基板支持部材駆動部)が設けられている。なお、単軸スライダ61を用いる代わりに、単軸ロボットなどの多点位置決め制御が可能なアクチュエータを用いてもよい。単軸スライダ61は、基板清掃用ライン60の長さ方向(図2における矢印A1方向)に沿って延びており、その内部に図示しないピストンを備えている。ピストンにはスライダ63が連結され、そのスライダ63には垂直方向に伸縮するエアシリンダ44が設けられている。エアシリンダ44のロッド先端には、基板搬送用コンベア33によって搬送されてきた基板15を下方から支持するための基板支持台41(基板支持部材)が取り付けられている。よって、単軸スライダ61は、基板15を支持した状態の基板支持台41を基板15の面方向、即ち、基板清掃用ライン60の長さ方向に沿って平行移動させるようになっている。また、基板支持台41は、エアシリンダ44の伸縮によって上下動可能となっている。エアシリンダ44は、基板搬送用コンベア33上にある基板15を基板清掃用ライン60側に受け渡す際に、基板支持台41を上方に移動させて基板15を支持させるようになっている。また、エアシリンダ44は、基板清掃用ライン60上にある基板15を基板搬送用コンベア33側に受け渡す際に、基板支持台41を下方に移動させるようになっている。なお、エアシリンダ44を用いる代わりに、ステッピングモータでボールネジを駆動して自動的に基板支持台41を上下動させるようにしてもよい。このようにすれば、上下方向における多点位置制御が可能になるため好ましい。
【0039】
図2〜図5,図7に示されるように、基板搬送用コンベア33と基板清掃用ライン60との接続部分近傍には、一対の切断機構51が設けられている。各切断機構51は、基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。各切断機構51は切断刃支持部56を有しており、切断刃支持部56には切断刃52が取り付けられている。両切断刃52の先端は、基板搬送用コンベア33側に向けられている。なお、本実施形態において、前記基板支持台41の移動方向、即ち、基板15の進行方向を基準とした切断刃52の傾斜角度θ2は、約15°に設定されている(図4参照)。また、両切断刃52の先端同士の距離は、基板15の一対の端面16(基板15の進行方向と平行な一対の面)間の距離とほぼ等しくなっている。よって、基板支持台41が移動すると、切断刃52は、基板15の端面16から飛び出している余剰の保護フィルム層12を切断することができる(図4,図7参照)。また、切断刃52により保護フィルム層12を切断する作業は、清掃部材20による清掃の実施直前に行われる。なお、切断刃52が取り付けられた切断刃支持部56を、エアシリンダ(図示略)のロッド先端に取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、ロッドを突出させて切断刃52を基板15側に移動させることにより、切断刃52を確実に基板15の端面16に接触させることができる。さらに、この場合、切断刃支持部56とエアシリンダとの間にバネ(図示略)を設け、エアシリンダから基板15に加わる推力をバネの弾性変形によって吸収するようにしてもよい。このようにすれば、基板15の端面16に多少凹凸があったとしても、切断刃52を端面16に常時接触させることができる。
【0040】
図3,図5に示されるように、切断機構51は、上下位置調整手段55を有している。上下位置調整手段55は、上下方向に延びる上下位置調整レール57と、ネジなどの固定部材(図示略)とによって構成されている。上下位置調整レール57には、切断刃支持部56が手動で上下動可能に設けられている。また、ネジは、切断刃支持部56に設けられており、ネジを締め付けてネジの先端を上下位置調整レール57に押し付けることにより、切断刃支持部56を固定するようになっている。よって、これら上下位置調整レール57及びネジにより、切断刃52の上下位置を調整することができる。なお、上下位置調整手段55は、モータでボールネジを駆動して自動的に切断刃支持部56を上下動させるものなどであってもよい。
【0041】
図4,図5,図7に示されるように、切断機構51は、一対の引張手段53を備えている。両引張手段53は、前記基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。引張手段53は、一対の把持板58と、把持用アクチュエータ(図示略)と、保護フィルム引張用エアシリンダ54(図4参照)とを備えている。把持用アクチュエータは、一対の把持板58を開閉駆動させることにより、切断前の保護フィルム層12の余剰部分を表面側及び裏面側から挟持させるようになっている。また、保護フィルム層12の余剰部分が一対の把持板58によって把持された状態で保護フィルム引張用エアシリンダ54を駆動することにより、保護フィルム層12が面方向に引っ張られ、所定のテンションが加えられるようになっている。
【0042】
図2,図3,図6〜図8に示されるように、基板清掃用ライン60には、一対の清掃部材20が設けられている。両清掃部材20は、前記基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。清掃部材20には、2個の清掃用ローラ21が基板支持台41の移動方向に沿って配置されている。各清掃用ローラ21は、鉛直方向に延びるローラ支持軸23(ローラ支持体)によって転動可能に支持されるとともに、ローラ支持軸23に対して着脱可能に支持されている。ローラ支持軸23は、基板支持台41によって支持される基板15の端面16と平行になるように配置されている。よって、各清掃用ローラ21は、基板15の端面16に対して垂直方向から接触し、基板15の移動に伴って回転するようになっている(図8参照)。本実施形態では、基板15の一方の端面16に対して2個の清掃用ローラ21が接触するようになっている。なお、各清掃用ローラ21は、外周面に粘着層22(粘着部)を有している。本実施形態の清掃用ローラ21は、粘着層22を有する粘着テープをロール状にしたものである。
【0043】
図2に示されるように、清掃部材20には、エアシリンダ71(ローラ支持体駆動部)が設けられている。また、清掃部材20は、基板清掃用ライン60の長さ方向と直交する方向(図2における矢印A2方向)に沿って延びる一対のリニアガイド24を備えている。清掃部材20は、エアシリンダ71が駆動されると、リニアガイド24の延出方向(矢印A2方向)に沿って移動するようになっている。よって、エアシリンダ71は、前記単軸スライダ61とともに平行移動する基板15の端面16に対して清掃用ローラ21を接触させる方向(矢印A2方向)に、清掃部材20を移動させるようになっている。これにより、各清掃用ローラ21を基板15の端面16に押し付けることができる。なお、このエアシリンダ71と単軸スライダ61とにより、前記基板支持台41及び清掃部材20のうちの少なくともいずれかを動かして基板15の端面16と粘着層22とを接触させる駆動手段が構成される。
【0044】
次に、上記の基板端面自動清掃装置5を用いたビルドアップ多層樹脂配線基板の製造方法について説明する。
【0045】
まず、銅張積層板に対してドリル機を用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通する貫通孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、銅張積層板に対してYAGレーザまたは炭酸ガスレーザを用いてレーザ孔あけ加工を行うことで、貫通孔を形成してもよい。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでめっきスルーホールを形成する。さらに、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って第1層めの導体層を例えばサブトラクティブ法によってパターニングする。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離することにより、両面板である基板15を得る。なお、基板15を、セミアディティブ法によって形成してもよい。具体的には、無電解銅めっきの後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層をエッチングで除去する。その結果、両面板である基板15を得る。
【0046】
次に、層形成工程を実施する。具体的には、基板15の主面にフィルム状の層間絶縁材14を貼付した後、ラミネータ3を使用して貼付工程を実施し、保護フィルム層12を層間絶縁材14が貼付された基板15の主面にラミネートしておく。具体的には、まず、複数枚の基板15を隣接させて水平に配置した状態で、全基板15の主面を覆いうる大きさの保護フィルム層12をラミネータ3でラミネートする。そして、ラミネートされた保護フィルム層12を、フィルム切断装置4を用いて各基板15の大きさに合わせて切断する。
【0047】
その後、保護フィルム層12で保護された層間絶縁材14を有する基板15を基板端面自動清掃装置5に搬送し、切断工程を実施する。切断工程において、具体的には、まず、エアシリンダ44を駆動して基板支持台41を上方に移動させることにより、基板搬送用コンベア33上にある基板15を、基板支持台41によって支持させる。次に、保護フィルム層12を引張手段53にて面方向(水平方向)に引っ張った状態で、基板支持台41を切断刃52側に移動させることにより、層形成工程によって形成された保護フィルム層12を基板15の端面16にて切断する(図4,図7参照)。これにより、基板15の端面16から飛び出している余剰の保護フィルム層12が除去される。
【0048】
切断工程後、基板15の端面16を清掃する端面清掃工程を実施する。具体的には、基板支持台41をさらに清掃部材20側に移動させるとともに、清掃部材20を移動させて、基板15の端面16に各清掃用ローラ21を押し付けるようにする。この状態において、単軸スライダ61を駆動して基板支持台41を平行移動させると、各清掃用ローラ21が追従して回転することに伴い、基板15の端面16に付着したごみが粘着層22に貼り付けられて除去される(図8参照)。なお、基板15の端面16に各清掃用ローラ21が押し付けられた状態で、基板支持台41を往復させるようにしてもよい。このようにすれば、基板15の端面16に付着したごみをより確実に除去できる。
【0049】
端面清掃工程後、基板支持台41を前記基板搬送用コンベア33側に移動させ、エアシリンダ44を駆動して基板支持台41を下方に移動させることにより、基板支持台41上にある基板15を基板搬送用コンベア33上に載置させる。そして、基板搬送用コンベア33の各基板搬送ローラ32を回転駆動して、基板15を搬出する。
【0050】
さらに、搬出された基板15の層間絶縁材14に対して露光を行った後、基板15をフィルム剥離装置7に搬送する。そして、保護フィルム層12を剥離する剥離工程を実施する。その結果、基板15から保護フィルム層12が完全に剥離され、後にビルドアップ多層樹脂配線基板の層間絶縁層となるべき層間絶縁材14が基板15上に残るようになる。また、保護フィルム層12が剥離された基板15は、基板搬出装置8によって搬出される。
【0051】
そして、搬出された基板15の層間絶縁材14に対して現像を行うことにより、ビア導体が形成されるべき位置に盲孔(ビア)を有する層間絶縁層を形成する。次に、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)に従って無電解銅めっきを行い、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施すことにより、前記盲孔の内部にビア導体を形成するとともに、層間絶縁層上に銅めっき層を形成する。さらに、レジストを溶解除去して、不要な無電解銅めっき層のエッチングを行うことにより、層間絶縁層上に第2層めの導体層を形成する(導体層形成工程)。
【0052】
その後、前記貼付工程〜導体層形成工程を繰り返すことにより、層間絶縁層と導体層とが交互に積層されていく。これにより、ビルドアップ層が構成され、所望のビルドアップ多層樹脂配線基板が完成する。
【0053】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0054】
(1)本実施形態の基板端面自動清掃装置5では、基板15の端面16と粘着層22とが接触させられて、端面16に付着したごみが粘着層22に貼り付けられて除去される。よって、基板15の端面16を清掃することができる。しかも、基板15の端面16を清掃するにあたって、作業者ではなく単軸スライダ61及びエアシリンダ71の駆動によって基板15の端面16と粘着層22とを接触させるようにしている。このため、長時間に亘って清掃作業を行ったとしても、作業効率が徐々に低下していくことはない。また、エアシリンダ71の駆動によって各清掃用ローラ21が基板15の端面16に押し付けられるため、基板15の端面16と粘着層22とを安定的に接触させることができる。よって、清掃作業後に基板15の端面16にごみが残ってしまう可能性が低くなる。ゆえに、残ったごみを除去するために清掃作業を繰り返す必要性が低くなるため、作業効率の低下を防止することができる。
【0055】
(2)本実施形態では、清掃用ローラ21が基板15の両方の端面16に2個ずつ接触するようになっている。このため、両清掃部材20間に基板15を一度通過させるだけで、両方の端面16の清掃作業を完了させることができる。従って、清掃作業を短時間で完了させることができるため、作業効率が向上する。
【0056】
(3)本実施形態では、切断機構51が基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。このため、両切断機構51間に基板15を一度通過させるだけで、両方の端面16において余剰の保護フィルム層12を除去することができる。よって、両方の端面16の清掃作業を同時に開始させることができるため、作業効率が向上する。
【0057】
(4)本実施形態では、引張手段53が基板清掃用ライン60を介して互いに対峙するように配置されている。このため、保護フィルム層12の余剰部分を切断する際に、保護フィルム層12は、基板15の進行方向の両側から引っ張られるようになる。よって、保護フィルム層12が引張手段53によって引っ張られた際に、基板15が進行方向に対して斜めになることを防止できる。
【0058】
(5)本実施形態の清掃用ローラ21は、粘着層22を有する粘着テープをロール状にしたものである。このため、外周面に露出した粘着層22が汚れて粘着力が低下したとしても、粘着テープを剥して汚れていない粘着層22を露出させることにより、清掃用ローラ21の粘着力を常に最良の状態に維持することができる。しかし、粘着テープが剥されていって、清掃用ローラ21の外径が小さくなると、粘着層22が基板15の端面16に接触しにくくなってくる。そこで、本実施形態では、エアシリンダ71を駆動することにより、清掃部材20を移動させて清掃用ローラ21を基板15の端面16に押し付けるようにしている。これにより、粘着層22と端面16との接触状態が一定に維持されるため、清掃作業を行ったにもかかわらず、基板15の端面16にごみが残ってしまう可能性を低くすることができる。
【0059】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、各清掃用ローラ21は、基板15の端面16に対して垂直方向から接触するようにローラ支持軸23に支持されていた。
【0061】
しかし、各清掃用ローラ21は、基板15の端面16に対して斜め方向から接触するようにローラ支持軸23に支持されていてもよい。具体的には、基板15の端面16に対する清掃用ローラ21の傾斜角度θ1を、例えば約15°に設定してもよい(図9参照)。このようにすれば、端面16のエッジに確実に清掃用ローラ21を接触させることができる。従って、基板15の端面16のエッジに付着したごみをより確実に除去できるため、清掃作業をより効率良く行うことができる。
【0062】
なお、この場合、各清掃用ローラ21は、端面16の上側エッジ及び端面16の下側エッジに対して斜め方向から接触するようにローラ支持軸23に支持されることが好ましい(図9,図10参照)。このようにすれば、両清掃部材20間に基板15を一度通過させるだけで、端面16の上側エッジ及び下側エッジの両方の清掃作業を完了させることができる。従って、清掃作業を短時間で完了させることができるため、作業効率が向上する。
【0063】
・上記実施形態の切断機構51は、基板15の端面16から飛び出している余剰の保護フィルム層12を切断するのに用いられていた。しかし、切断機構51は、端面16から飛び出している余剰の層間絶縁材14などの樹脂絶縁層を切断するのに用いられていてもよい。また、基板15にソルダーレジスト層やめっきレジスト層などのレジスト層が貼付されている場合、切断機構51を、端面16から飛び出している余剰のレジスト層を切断するのに用いてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、切断機構51を上下動させるようになっていたが、基板支持台41を上下動させるようになっていてもよい。例えば、切断刃52及び切断刃支持部56を上下動不能に固定にし、エアシリンダ44を用いて基板支持台41を上下動させる代わりに、ステッピングモータでボールネジを駆動して自動的に基板支持台41を上下動させることにより、切断刃52のどの位置に基板15の端面16を接触させるかを制御するようにしてもよい。このようにすれば、基板15を載せた基板支持台41の上下位置をより細かく制御することができる。しかも、多点位置決め制御が可能な単軸スライダ61を用いることで、保護フィルム層12を切断する際の基板15の高さの制御と、端面16を清掃する際の基板15の高さの制御とを個別に行うことができる。よって、切断刃52及び清掃用ローラ21を構成する粘着テープの上下幅をそれぞれ有効に用いることができるため、消耗部材(切断刃52及び粘着テープ)の使用量を減らすことができる。
【0065】
・上記実施形態では、基板端面自動清掃装置5を、ビルドアップ多層樹脂配線基板の層間絶縁層を形成する際に用いたが、ビルドアップ多層樹脂配線基板以外の配線基板の絶縁層を形成する際に用いてもよい。
【0066】
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0067】
(1)樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための装置であって、前記基板を支持する基板支持部材と、粘着部である粘着層を外周面に有する清掃用ローラと、複数の清掃用ローラを転動可能に支持するローラ支持体と、前記基板支持部材及び前記ローラ支持体のうちの少なくともいずれかを動かして前記基板の端面と前記粘着部とを接触させる駆動手段とを備え、前記各清掃用ローラは、前記端面の上側エッジまたは前記端面の下側エッジに対して斜め方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されることを特徴とする基板端面自動清掃装置。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態のフィルムラミネーションラインを示す概略図。
【図2】本実施形態の基板端面自動清掃装置を示す上面図。
【図3】本実施形態の基板端面自動清掃装置を示す正面図。
【図4】余剰の保護フィルムを切断する動作を行う際の状態を示す要部概略図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】基板の端面を清掃する際の状態を示す要部概略図。
【図7】余剰の保護フィルムを切断する動作を行う際の状態を示す概略斜視図。
【図8】基板の端面を清掃する際の状態を示す概略斜視図。
【図9】他の実施形態における基板の端面を清掃する際の状態を示す要部概略図。
【図10】他の実施形態における基板の端面を清掃する際の状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0069】
5…基板端面自動清掃装置
12…保護フィルム層
14…樹脂絶縁層としての層間絶縁材
15…基板
16…端面
20…清掃部材
21…清掃用ローラ
22…粘着部である粘着層
23…ローラ支持体としてのローラ支持軸
41…基板支持部材としての基板支持台
51…切断機構
52…切断刃
53…引張手段
55…上下位置調整手段
61…基板支持部材駆動部としての単軸スライダ
71…ローラ支持体駆動部としてのエアシリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための装置であって、
前記基板を支持する基板支持部材と、
粘着部を有する清掃部材と、
前記基板支持部材及び前記清掃部材のうちの少なくともいずれかを動かして前記基板の端面と前記粘着部とを接触させる駆動手段と
を備えることを特徴とする基板端面自動清掃装置。
【請求項2】
前記清掃部材は、粘着部である粘着層を外周面に有する清掃用ローラと、その清掃用ローラを転動可能に支持するローラ支持体とを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項3】
前記清掃用ローラは、前記基板の端面に対して斜め方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されることを特徴とする請求項2に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項4】
前記基板の端面に対する前記清掃用ローラの傾斜角度θ1は、0°<θ1<30°に設定されることを特徴とする請求項3に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
前記基板を支持した状態の前記基板支持部材を前記基板の面方向に沿って平行移動させる基板支持部材駆動部と、
前記基板支持部材駆動部とともに平行移動する前記基板の端面に対して前記清掃用ローラを接触させる方向に、前記ローラ支持体を押圧するローラ支持体駆動部と
を含んで構成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項6】
前記基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記清掃部材による清掃の実施前に切断する切断機構を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項7】
前記切断機構は切断刃を有するとともに、前記基板支持部材の移動方向を基準とした前記切断刃の傾斜角度θ2は10°<θ2<20°に設定されることを特徴とする請求項6に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項8】
前記切断機構は、前記切断刃による切断の際に、余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを引っ張る引張手段を有することを特徴とする請求項6または7に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項9】
前記基板と前記切断刃との相対的な上下位置関係を調整するための上下位置調整手段を有することを特徴とする請求項7または8に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項10】
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、
粘着部を有する清掃部材を前記基板の端面に接触させることにより、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程と
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項11】
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置を用いて、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程と
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項1】
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つが貼付された基板の端面を清掃するための装置であって、
前記基板を支持する基板支持部材と、
粘着部を有する清掃部材と、
前記基板支持部材及び前記清掃部材のうちの少なくともいずれかを動かして前記基板の端面と前記粘着部とを接触させる駆動手段と
を備えることを特徴とする基板端面自動清掃装置。
【請求項2】
前記清掃部材は、粘着部である粘着層を外周面に有する清掃用ローラと、その清掃用ローラを転動可能に支持するローラ支持体とを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項3】
前記清掃用ローラは、前記基板の端面に対して斜め方向から接触するように前記ローラ支持体に支持されることを特徴とする請求項2に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項4】
前記基板の端面に対する前記清掃用ローラの傾斜角度θ1は、0°<θ1<30°に設定されることを特徴とする請求項3に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
前記基板を支持した状態の前記基板支持部材を前記基板の面方向に沿って平行移動させる基板支持部材駆動部と、
前記基板支持部材駆動部とともに平行移動する前記基板の端面に対して前記清掃用ローラを接触させる方向に、前記ローラ支持体を押圧するローラ支持体駆動部と
を含んで構成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項6】
前記基板の端面から飛び出している余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記清掃部材による清掃の実施前に切断する切断機構を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項7】
前記切断機構は切断刃を有するとともに、前記基板支持部材の移動方向を基準とした前記切断刃の傾斜角度θ2は10°<θ2<20°に設定されることを特徴とする請求項6に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項8】
前記切断機構は、前記切断刃による切断の際に、余剰の樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを引っ張る引張手段を有することを特徴とする請求項6または7に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項9】
前記基板と前記切断刃との相対的な上下位置関係を調整するための上下位置調整手段を有することを特徴とする請求項7または8に記載の基板端面自動清掃装置。
【請求項10】
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、
粘着部を有する清掃部材を前記基板の端面に接触させることにより、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程と
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項11】
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを基板の表面に形成する層形成工程と、
樹脂絶縁層、レジスト層及び保護フィルム層のうちの少なくともいずれか1つを前記基板の端面にて切断する切断工程と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板端面自動清掃装置を用いて、前記基板の端面を清掃する端面清掃工程と
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−165072(P2006−165072A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350484(P2004−350484)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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