説明

基板集合体および基板認識システム

【課題】基板集合体に関する情報を構成するバーコードを形成するための空きスペースが基板集合体上にない場合であっても、基板集合体に関する情報を取得することができるようにすることを目的とする。
【解決手段】複数の個基板7が配列されて成る基板集合体6において、基板集合体6に形成され該基板集合体6に関する情報を構成するバーコードを備え、バーコードは、複数のバーコード素片8a,8b,8c,8dに分割され、複数のバーコード素片8a,8b,8c,8dは、有意な所定のコード配列と異なる状態で、基板集合体6上に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の個基板が配列されて成る基板集合体および基板認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路が形成された基板の生産において、生産に要する時間ならびに工数の削減を図るために、一枚の基板内に複数の個基板を形成した多面取りの集合基板を形成し、個基板を一度に多数個、生産することが一般的となっている。このような場合、生産過程で不具合が生じた個基板に対しては、その後、実装部品を実装しないようにすることが生産コストの低減および生産に要する時間を短縮する上で好ましい。
【0003】
そこで、従来では、図9に示すように、複数の個基板502の集合体である電子回路基板501の外縁部の一箇所に、複数の個基板502それぞれの基板幅や生産品種名、電子部品の実装の可否などの情報を示す生産情報マーク503を形成し、そのマークを電子部品実装装置に設けられたカメラで読み取ることで、個基板502毎の電子部品の実装の可否を判断する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−76699号(段落0035〜0038、図1等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のモジュールの小型化に伴って、基板集合体における個基板の取り数が増加してきており、基板集合体の外縁部には、個基板の数に応じて個基板分割用のV字状の溝やレーザなどを照射してあけた穴が多数形成される。ところで、従来技術のような、生産情報マークをバーコード(例えば、1次元コードや2次元コード)などで表した場合、そのバーコードは、読取装置の分解能に応じた大きさ(面積)で形成する必要がある。しかし、上記したように、基板集合体の外縁部には、個基板分割用のV字状の溝や穴が形成されているため、基板集合体の外縁部に読取り可能な大きさでバーコードを形成することが困難な場合がある。
【0006】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、基板集合体に空きスペースが少ない場合であっても、基板集合体や各個基板に関する情報を取得することができる基板集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の基板集合体は、複数の個基板が配列されて成る基板集合体において、前記基板集合体に形成され該基板集合体に関する情報を構成するバーコードを備え、前記バーコードは、複数のバーコード素片に分割され、前記複数のバーコード素片は、有意な所定のコード配列と異なる状態で、前記基板集合体上に形成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、前記複数のバーコード素片が離間した位置に形成されていてもよい(請求項2)。
【0009】
また、基板認識用の認識マークをさらに備え、前記複数のバーコード素片は、前記認識マークの周囲に形成されていてもよい(請求項3)。
【0010】
また、前記複数のバーコード素片の一部により前記認識マークが形成されていてもよい(請求項4)。
【0011】
また、前記基板集合体の表面には電極が設けられており、前記複数のバーコード素片が、前記電極上に形成されていることが好ましい(請求項5)。
【0012】
そして、基板集合体を認識する基板認識システムは、前記複数のバーコード素片を認識する認識手段と、前記認識手段により認識された前記複数のバーコード素片を前記所定のコード配列になるように並び換え、前記バーコードを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記バーコードを読取る読取手段とを備えていることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、基板集合体は、基板集合体に関する情報を構成するバーコードを備え、バーコードは複数のバーコード素片に分割される。また、複数のバーコード素片は、バーコードを成す有意な所定のコード配列と異なる状態で、基板集合体上に形成される。
【0014】
したがって、基板集合体の空きスペースの大きさや形状に応じてバーコードを分割することで、それらの空きスペースにバーコード素片を形成することができる。すなわち、所定の大きさで形成することが要求されるバーコードを基板集合体上の空きスペースに形成できない場合であっても、バーコードを分割して基板集合体上の空きスペースに形成することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、複数のバーコード素片が離間した位置に形成されているため、例えば、バーコード素片を形成することができない個基板分割用のV字状の溝や穴などを避けてバーコード素片を形成することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、基板集合体は、基板認識用の認識マークをさらに備え、複数のバーコード素片が、その認識マークの周囲に形成されているため、認識マークの周囲に空きスペースがある場合に、そのスペースの大きさや形状に応じてバーコード素片を基板集合体上に形成することができる。そのため、基板集合体に空きスペースが少ない場合であっても、複数のバーコード素片や認識マークを基板集合体上に形成することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、複数のバーコード素片の一部により認識マークが形成されているため、認識マークをバーコード素片により代用することが可能になり、基板集合体に空きスペースが少ない場合であっても、複数のバーコード素片や認識マークを基板集合体上に形成することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、基板集合体の表面には電極が設けられており、複数のバーコード素片がその電極上に形成されているため、電極と基板集合体の素地(例えば、セラミック基板や低温焼成型セラミック基板)との大きな色調差を利用して、容易に認識可能なバーコード素片を形成することができる。
【0019】
また、電極をスクリーン印刷技術により形成する場合は、電極と複数のバーコード素片とを基板集合体上に同時に形成することができるため、基板集合体における製造時間の短縮ならびに製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、基板集合体を認識する認識システムは、複数のバーコード素片を認識する認識手段と、認識手段により認識された複数のバーコード素片を有意な所定のコード配列になるように並び換えられる。バーコードが分割されたバーコード素片それぞれは、単体では基板集合体に関する情報を表すことができないが、分割された複数のバーコード素片が生成手段により有意な所定のコード配列、すなわち、基板集合体に関する情報を構成するバーコードに並び換えられる。そして、生成手段により生成されたバーコードを読取手段により読取ることで、基板集合体に関する情報を取得することができる。
【0021】
そのため、このような基板認識システムを構成することにより、従来、読取装置の分解能に応じた面積で基板集合体上にバーコードを形成しなければ得られなかった基板集合体に関する情報を、基板集合体の空きスペースに各バーコード素片を分離形成した場合であっても、基板集合体に関する情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる基板集合体を認識する基板認識システムのブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる基板集合体の平面図である。
【図3】(a)〜(d)は図2の基板集合体上に形成されるバーコード素片の拡大図であり、(e)は各バーコード素片が並び換えられて形成されたバーコードを示す図である。
【図4】図2の基板集合体上に形成されるバーコード素片の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる基板集合体の平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる基板集合体の平面図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる基板集合体上に形成されるバーコード素片の例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる基板集合体に形成されるバーコード素片の例を示す図である。
【図9】従来の基板集合体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<基板認識システム>
本発明にかかる基板集合体を認識する基板認識システム100について、図1を参照して説明する。図1は、基板認識システム100のブロック図である。
【0024】
基板認識システム100は、読取装置(読取手段)で読取ることができる有意な所定のコード配列を有し、基板集合体や個基板に関する情報を構成するバーコードを複数のバーコード素片に分割して、その分割された各バーコード素片を基板集合体上に、有意な所定のコード配列とは異なる状態で形成したものをバーコード素片毎に認識し、認識した各バーコード素片を、読取装置が読取可能なバーコードに生成し、そのバーコードを読取ることで、基板集合体や個基板に関する情報を取得するシステムである。なお、本基板認識システム100は、以下に説明する各実施形態に共通して適用可能である。
【0025】
基板認識システム100は、バーコード素片を認識するためのカメラ2(例えば、C−MOSカメラやCCDカメラ)と制御装置1を備え、制御装置1は、画像処理などを行なうためのCPUやメモリーなどのマイクロプロセッサ構成を備える。
【0026】
認識手段3は、カメラ2により撮影された画像から、有意な所定のコード配列と異なる状態で基板集合体上に形成された複数のバーコード素片それぞれを個別に認識する。この場合、複数のバーコード素片それぞれを、基板集合体の所定の位置に形成しておき、その所定の位置においてカメラ2で撮影することにより、それぞれのバーコード素片を画像として認識する。
【0027】
生成手段4は、認識手段3により認識された各バーコード素片を読取手段5が読取ることができるバーコードに並び換える。この場合、バーコードをバーコード素片に分割する際、バーコードにおける各バーコード素片それぞれの配置場所を決めておくとともに、それらの配置場所に応じて基板集合体上に形成する各バーコード素片の形成位置を決めておく。そして、認識手段3により認識した各バーコード素片を、その認識した各バーコード素片の基板集合体上の形成位置に基づいて、並び換えることにより、有意な所定のコード配列を有するバーコードを生成する。なお、バーコード生成は、認識手段3により認識された各バーコード素片に関する画像を画像処理することにより行なうことができる。
【0028】
そして、生成手段4により生成されたバーコードを読取手段5により読取ることで、基板集合体や個基板に関する情報を取得する。
【0029】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態にかかる基板集合体6について、図2〜図4を参照して説明する。なお、図2は第1実施形態にかかる基板集合体6の平面図を示し、図3(a)〜図3(d)は基板集合体上に形成されるバーコード素片の拡大図、図3(e)は、生成手段4により生成されたバーコードを示し、図4はバーコード素片の変形例を示す。なお、図2において、各バーコード素片に配列されるコードパターンは図示省略している。
【0030】
基板集合体6は、図2に示すように、複数の個基板7が格子上に配列されており、この実施形態では、縦に3つ、横に3つの合計9個の個基板7が配列される。そして、外縁部には、バーコード11が分割された複数のバーコード素片8a,8b,8c,8d(以下、バーコード素片を特定しない場合はバーコード素片8という)が形成される。なお、一点鎖線は、個基板毎に分割するための分割ライン10を示しており、分割ライン10には、通常、V字状の溝や複数の穴が形成されており、個基板分割工程において個基板に分割しやすくしている。
【0031】
また、この実施形態にかかる基板集合体6を構成する個基板7は、表面または裏面などに回路電極(図示せず)が形成された絶縁体層が積層された多層基板であり、各絶縁体層は、低温同時焼成セラミック基板(LTCC)やガラスエポキシ樹脂基板、樹脂多層基板などから構成される。また、この個基板7は、例えば、携帯電話用のスイッチモジュール、近距離無線通信(Bluetooth(登録商標))モジュールや無線LAN用のモジュールに使用される。
【0032】
個基板7の製造方法は、複数の個基板7が分割しろ9を介して配列された基板集合体6を個基板7毎に分割することにより製造する。この場合、複数の絶縁体層が分割しろ9を介して配列されて成る絶縁体層の集合体を複数枚用意し、各絶縁体層の集合体それぞれにおいて、複数の絶縁体層それぞれに、レーザ加工などによりビアホールを形成し、形成されたビアホールにAgやCuなどを含む導体ペーストをスクリーン印刷技術などにより充填することでビア導体(図示せず)を形成し、複数の絶縁体の表面または裏面にスクリーン印刷やフォトリソグラフィー技術などにより電極を形成する。また、複数の絶縁体層にビア導体や電極が形成された各絶縁体層の集合体それぞれを積層・圧着して基板集合体6を製造する。なお、LTCC基板の場合は、絶縁体層を積層・圧着して形成した積層体を焼成することにより基板集合体6を製造する。そして、基板集合体6をダイシングなどにより個基板7毎に分割する。
【0033】
各バーコード素片8a,8b,8c,8dそれぞれは、図3(e)に示すバーコード11(2次元コード)が均等に4分割されたものであり、この実施形態では、基板集合体6の外縁部であって、それぞれ分割ライン10の両側に離間した状態で形成される。なお、各バーコード素片8a,8b,8c,8dそれぞれの基板集合体6上の形成位置に応じて、バーコード11における各バーコード素片8a,8b,8c,8dの配置場所が決められている。また、2次元コードのバーコードとしては、QRコード(登録商標)、データマトリックス(データコード)やマキシコード(Maxi Code)などが挙げられる。
【0034】
なお、各バーコード素片8a,8b,8c,8dは、基板集合体6の表面に形成されたCu電極をエッチングしたり、レーザをCu電極に照射してCu電極を除去したりして形成することができる。
【0035】
したがって、上記した実施形態によれば、バーコード11の読取装置が読取ることができるバーコード11が均等に4分割されて形成された各バーコード素片8a,8b,8c,8dが、それぞれ離間した状態、つまり、有意な所定のコード配列と異なる状態で基板集合体6の外縁部に形成されるため、バーコード11全体を基板集合体6の空きスペースに形成できない場合、例えば、空きスペースの間に分割ライン10が通っているような場合であっても、分割ライン10を避けて、バーコード11を構成する各バーコード素片8a,8b,8c,8dを基板集合体6上の空きスペースに形成することができる。
【0036】
そして、基板認識システム100の生成手段4により、各バーコード素片8a,8b,8c,8dが、それぞれの基板集合体6上の形成位置に応じて、バーコード11における所定の配置場所に並び換えられることにより有意な所定のコード配列から成るバーコード11に生成され、読取手段5によりそのバーコード11が読取られる。そのため、基板集合体6に空きスペースが少なく、読取手段5により読取り可能な大きさでバーコード11を形成できない場合であっても、基板集合体6や個基板7に関する情報を取得することができる。
【0037】
また、各バーコード素片8a,8b,8c,8dは、基板集合体6の表面に形成されたCu電極をエッチングしたり、レーザをCu電極に照射してCu電極を除去したりして形成されるため、電極と基板集合体6の素地(例えば、セラミック基板や低温焼成型セラミック基板)との大きな色調差を利用して、容易に認識可能なバーコード素片8a,8b,8c,8dを形成することができる。なお、レーザを照射してバーコード素片8a,8b,8c,8dを形成する場合、バーコード形成場所のCu電極を完全に除去してもよいし、Cu電極の厚み方向の途中まで凹部を形成するようにバーコード素片8a,8b,8c,8dを形成しても構わない。Cu電極を完全に除去すると、基板表面とCu電極との色調差で認識を容易にすることができ、また、Cu電極を完全に除去しない場合でもレーザを照射した部分は黒色に変色するため、バーコード素片8a,8b,8c,8dの認識を容易に行うことができる。
【0038】
(変形例)
次に、第1実施形態におけるバーコード素片8a,8b,8c,8dの変形例について、図4を参照して説明する。なお、図4(a)〜図4(d)は、バーコード11を複数のバーコード素片8に分割する場合の分割形態の一例を示し、説明を簡単にするために、それぞれの図において、バーコード素片8に配列されるコードパターンは図示省略している。
【0039】
バーコード11を、例えば、図4(a)に示すように、L字状のバーコード素片8eと正方形のバーコード素片8fとに2分割したり、図4(b)に示すように、凹状のバーコード素片8gと矩形状のバーコード素片8hとに2分割したり、図4(c)に示すように、十字状のバーコード素片8iと四隅の矩形状のバーコード素片8jとに5分割したり、図4(d)に示すように、凸状のバーコード素片8kと二つの矩形状のバーコード素片8mとに3分割したりして、それぞれのバーコード素片を基板集合体6上に離間した状態で形成してもかまわない。この場合であっても、各バーコード素片のバーコード11における配置場所と、各バーコード素片の基板集合体6における形成位置とを対応付けしておけば、各バーコード素片8を生成手段4によりバーコード11に生成することができる。
【0040】
このようにバーコード11の分割形態を選択することにより、基板集合体6の空きスペースの形状や大きさに応じて、バーコード素片8を基板集合体6上に形成することができる。なお、各バーコード素片8は、それぞれが一つの情報を有した状態で形成されても構わない。例えば、3つのバーコード素片8に分割された場合、第1のバーコード素片8が100の位の値、第2のバーコード素片8が10の位の値、第3のバーコード素片8が1の位の値を示すように設定し、各バーコード素片8を有意な所定のコード配列と異なる状態で配置しておくことにより、各バーコード素片8をそれぞれ読取り、それらを有意な状態に組み合わせることで有意な3桁の数値情報として認識することができる。
【0041】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態にかかる基板集合体6aについて、図5を参照して説明する。なお、図5は基板集合体6aの平面図を示す。なお、図5において、各バーコード素片8a1,8a2,8b,8c,8dに配列されるコードパターンは図示省略している。
【0042】
第2実施形態にかかる基板集合体6aが、図2に示した第1実施形態にかかる基板集合体6と異なるところは、図5に示すように、バーコード素片8aが凹状のバーコード素片8a1と矩形状のバーコード素片8a2とに2分割されている点と、基板集合体6aの外縁部に基板認識用の認識マーク12が形成されている点と、凹状のバーコード素片8a1が認識マーク12の周囲に形成されている点である。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略している。また、認識マーク12は、基板集合体6aが多層基板である場合に、各絶縁体層の位置合わせを行なうための認識マークや基板集合体6aにおけるアライメントマークなどが挙げられる。
【0043】
このように構成することにより、認識マーク12の周囲に空きスペースがある場合に、そのスペースの大きさや形状に応じてバーコード素片8a1,8a2を基板集合体6上に形成することができる。そのため、基板集合体6aに空きスペースが少ない場合であっても、認識マーク12とともに複数のバーコード素片8a1,8a2,8b,8c,8dを基板集合体6a上に形成することができる。
【0044】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態にかかる基板集合体について、図6を参照して説明する。なお、図6は基板集合体6bの平面図を示す。なお、図6において、各バーコード素片8a,8b,8c,8dに配列されるコードパターンは図示省略している。
【0045】
第3実施形態にかかる基板集合体6bが、図2に示した第1実施形態にかかる基板集合体6と異なるところは、図6に示すように、各バーコード素片8a,8b,8c,8dがそれぞれ隣接した状態で形成されることによりL字状をなしている点である。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略している。
【0046】
このように構成することにより、基板集合体6bの四隅に空きスペースがある場合に、そのスペースを有効に活用することができる。また、各バーコード素片8a,8b,8c,8dが隣接形成されていた場合であっても、各バーコード素片8a,8b,8c,8dそれぞれの形成領域毎に認識手段3により認識することで、各バーコード素片8a,8b,8c,8dからバーコード11を生成手段4により生成することができる。なお、第1、第2実施形態においても、基板集合体6,6aの空きスペースの形状や大きさに応じて、各バーコード素片8a,8b,8c,8dの一部または全部を隣接して形成してもかまわない。
【0047】
<第4実施形態>
本発明の第1〜第3実施形態におけるバーコード11に、図7(c)に示すような1次元コード11aを用いてもよい。この場合、例えば、1次元コード11aを図7(a)および図7(b)に示すようなバーコード素片8n,8pに2分割した上で、基板集合体6,6a,6b上にそれらのバーコード素片8n,8pを形成する。
【0048】
また、1次元コード11aは、1次元(1方向)にしか情報を記録していないため、例えば、図7(d)〜図7(f)に示すように、図7(a)に示すバーコード素片8nの一部を変形させても、同様の情報を得ることができる。したがって、図7(d)〜図7(f)に示すようなバーコード素片8n1,8n2,8n3を基板集合体6,6a,6b上に形成することにより、基板集合体6,6a,6b上に特徴部が形成されるため、その部分を、例えば、アライメントマークのような認識マークに使用することができる。このように、バーコード素片8n1,8n2,8n3の一部をアライメントマークなどに使用することで、アライメントマークの形成スペースが不要になる。
【0049】
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0050】
例えば、基板集合体6,6a,6bおよび個基板7に低温同時焼成セラミック基板(LTCC)を使用する場合は、スクリーン印刷技術を用いて、基板集合体6,6a,6b(または個基板7)の表面に、回路電極と各バーコード素片8とを同時に印刷するとよい。このようにすることで、基板集合体6,6a,6b(または個基板7)の製造時間の短縮および製造コストの低減を図ることができる。なお、図8は、スクリーン印刷技術により、基板集合体(LTCC基板)の表面に形成されたバーコード素片8の一例であり、黒塗りの部分は基板集合体の表面、白塗りの部分は電極およびバーコード素片8を表している。
【0051】
また、上記した各実施形態では、基板集合体6,6a,6bに多層基板を使用したが、単層基板であってもかまわない。
【0052】
また、バーコード素片8の形成位置は、上記した各実施形態における形成位置に限られず、基板集合体6,6a,6bの空きスペースの場所に応じて、適宜、形成位置を変更してもかまわない。
【0053】
また、バーコード11の分割形態は、上記した各実施形態および変形例に限られず、基板集合体6,6a,6bの空きスペースの形状や大きさに応じて、適宜、変更してもかまわない。また、分割数についても、適宜、増減するとよい。この場合、バーコード11における各バーコード素片8の配置場所と基板集合体6,6a,6bにおける各バーコード素片8の形成位置とを対応付けしておけば、各バーコード素片8から生成手段4によりバーコード11に生成することができる。
【0054】
また、第1および第2実施形態では、各バーコード素片8a,8a1,8a2,8b,8c,8dを分割ライン10の両側に形成したが、例えば、基板集合体6,6aの外縁部に認識マークが形成されている場合には、その認識マークの両側に各バーコード素片8a,8a1,8a2,8b,8c,8dを形成してもかまわない。
【0055】
また、上記した各実施形態では、各バーコード素片8を基板集合体6,6a,6bの外縁部に形成したが、個基板7に空きスペースがある場合には、個基板7に各バーコード素片8を形成してもかまわない。
【符号の説明】
【0056】
1 制御装置
2 カメラ
3 認識手段
4 生成手段
5 読取手段
6,6a,6b 基板集合体
7 個基板
8,8a,8a1,8a2,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h,8i,8j,8k,8m,8n,8n1,8n2,8n3,8p バーコード素片
11 バーコード
12 認識マーク
13 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個基板が配列されて成る基板集合体において、
前記基板集合体に形成され該基板集合体に関する情報を構成するバーコードを備え、
前記バーコードは、複数のバーコード素片に分割され、
前記複数のバーコード素片は、有意な所定のコード配列と異なる状態で、前記基板集合体上に形成されている
ことを特徴とする基板集合体。
【請求項2】
前記複数のバーコード素片が離間した位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板集合体。
【請求項3】
基板認識用の認識マークをさらに備え、
前記複数のバーコード素片は、前記認識マークの周囲に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板集合体。
【請求項4】
前記複数のバーコード素片の一部により前記認識マークが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の基板集合体。
【請求項5】
前記基板集合体の表面には電極が設けられており、
前記複数のバーコード素片が、前記電極上に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板集合体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板集合体を認識する基板認識システムにおいて、
前記複数のバーコード素片を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された前記複数のバーコード素片を前記所定のコード配列になるように並び換え、前記バーコードを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記バーコードを読取る読取手段と
を備えることを特徴とする基板認識システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−102033(P2013−102033A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244398(P2011−244398)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】