説明

基礎杭溶接方法、基礎杭溶接装置、及び基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダー

【課題】基礎杭溶接作業を比較的簡易に行い得る基礎杭溶接方法と、それに用いる基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダーを提供する。
【解決手段】アースオーガー1で地盤Gに穴Hを掘削した後、穴Hに下杭61を挿入し、その下杭61を、ガイドリーダー9に取り付けた基礎杭ホルダー30で支持する。基礎杭ホルダー30は基礎杭チャック装置40を備えた水平回転フレーム33を有し、下杭61と、その上に重ねた上杭62を同時に回転させる。そして固定位置に設置した溶接トーチ52により、下杭61の上端と上杭62の下端を溶接する。基礎杭チャック装置40は、水平回転フレーム33に支持された固定ジョー41と、油圧シリンダー43により固定ジョー41との距離を変える可動ジョー42を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート杭や鋼管杭などの基礎杭の溶接方法及びその溶接作業に用いる基礎杭ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎杭は、工業生産される既製杭にあっては、トレーラーで輸送可能な7mから15mといった長さとするのが普通である。ところがこの程度の長さでは地下の支持層には届かないケースがある。そのような場合には基礎杭を継ぎ足して必要な長さの延伸基礎杭を形成する。
【0003】
コンクリート製の基礎杭の端の部分には鋼鉄製のリングが取り付けてあり、このリング同士を連結して継ぎ足しを行う。連結には溶接継手、無溶接継手、ボルト継手などが用いられる。溶接継手の場合、地盤に掘削した建て込み穴または仮穴の中に下側の基礎杭を玉掛けなどにより保持しておき、その上にクレーンで支持した上側の基礎杭を重ねて溶接する。このような溶接作業の例を特許文献1に見ることができる。
【0004】
基礎杭の溶接継手溶接作業を自動化することについても種々の提案がなされている。その例を特許文献2−4に見ることができる。
【0005】
特許文献2記載の溶接装置は、杭頭溶接部に近接してガイド用環体を設置し、このガイド用環体に自走溶接機を架設し、溶接棒を所定位置に支持しつつ繰り出して電気溶接を行う。
【0006】
特許文献3記載の溶接装置は、杭打機のリーダに開閉可能に支持され、鋼管杭を支持し得る支持アームと、この支持アームにそって鋼管杭の周囲を旋回自在に設けられたトーチ旋回装置と、この旋回装置に等間隔に配置された複数個のトーチとを具備し、トーチからワイヤを繰り出して電気溶接を行う。
【0007】
特許文献4記載の溶接装置は、鋼管類圧入引抜き装置に設けたチャック部で下方の鋼管類と上方の鋼管類を一体的に回転させ、不動位置に設けた溶接装置で下方及び上方の鋼管類を溶接する。
【0008】
また特許文献5には、リーダーの異なる側面を利用して複数種類の地盤加工具を装着した基礎工事機械が記載されている。
【特許文献1】特開2004−278250号公報
【特許文献2】特開平8−281483号公報
【特許文献3】特開平7−1128号公報
【特許文献4】特開2003−313868号公報
【特許文献5】特開平6−306861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の基礎杭溶接装置には次のような問題があった。すなわち特許文献2記載の溶接装置の場合、自走する溶接機に溶接棒や給電ケーブルを追随させるのが大変である。特許文献3記載の溶接装置にも同様の問題がある。特許文献4記載の溶接装置は、溶接機が不動位置にあるため溶接棒や電力を供給する上での問題はないが、鋼管類圧入引抜き装置と一体化されているため、装置が大型で高価なものとなり、作業場所への設置にも多大の労力を要する。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、基礎杭溶接作業を比較的簡易に行い得る基礎杭溶接方法を提供することを目的とする。また、それに用いる基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために本発明は、地盤に基礎杭建て込み穴または仮穴を掘削する工程と、前記建て込み穴または仮穴に挿入した下杭を、アースオーガーのガイドリーダーに取り付けた基礎杭ホルダーで支持する工程と、前記下杭の上端に上杭の下端を重ねる工程と、前記基礎杭ホルダーに設けた基礎杭回転装置で前記下杭と上杭を回転させつつ、固定位置に設置した溶接トーチで下杭上端と上杭下端を溶接する工程と、を順次遂行する基礎杭溶接方法であることを特徴としている。
【0012】
この方法によると、基礎杭建て込み工事に欠くことのできないアースオーガーを利用して基礎杭ホルダーを設置し、建て込み穴または仮穴に挿入した下杭を前記基礎杭ホルダーで支持するものであるから、基礎杭溶接作業の段取りを簡便に行うことができる。そして下杭及びその上に重ねた上杭を基礎杭ホルダーに設けた基礎杭回転装置で回転させつつ、固定位置に設置した溶接トーチで下杭上端と上杭下端を溶接するものであるから、溶接棒や電力の供給が容易である。
【0013】
(2)また本発明は、上記基礎杭溶接方法において、前記基礎杭ホルダーを取り付けるアースオーガーは、前記基礎杭建て込み穴または仮穴の掘削に用いたアースオーガーであることを特徴としている。
【0014】
この方法によると、基礎杭建て込み穴または仮穴の掘削に用いたアースオーガーをそのまま基礎杭溶接作業に用いるから、作業の流れに無駄がない。
【0015】
(3)また本発明は、上記基礎杭溶接方法において、前記基礎杭ホルダーをオーガースクリューホルダーに兼用することを特徴としている。
【0016】
この方法によると、オーガースクリューホルダーとして使用していたものをそのまま基礎杭ホルダーに転用できるから、オーガースクリューホルダーを基礎杭ホルダーに交換する手間が不要となる。
【0017】
(4)また本発明は、アースオーガーのガイドリーダーへの取付装置を備えたベースと、前記ベースに回転可能に取り付けられた水平回転フレームと、前記水平回転フレームを前記ベースに対し相対回転させる動力源と、前記水平回転フレームに設けられた基礎杭チャック装置とを備えた基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダーであることを特徴としている。
【0018】
この構成によると、アースオーガーのガイドリーダーを利用して下杭を支え、且つ下杭を上杭と共に回転させて溶接を行う基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダーを得ることができる。
【0019】
(5)また本発明は、上記構成の基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダーにおいて、前記基礎杭チャック装置は、前記水平回転フレームに支持された固定ジョーと、同じく前記水平回転フレームに支持され、アクチュエーターにより前記固定ジョーとの距離を変える可動ジョーを備え、前記ベースは基礎杭ガイドリングを備え、前記固定ジョーから離れた位置に移動せしめられた前記可動ジョーは、前記基礎杭ガイドリングの内径延長ラインの外側に位置することを特徴としている。
【0020】
この構成によると、可動ジョーを固定ジョーから離しておけば可動ジョーは基礎杭ガイドリング内の基礎杭またはスクリューに接触することがなく、基礎杭またはスクリューが可動ジョーに破壊的な力を与えるといった事態を回避できる。
【0021】
(6)また本発明は、上記構成の基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダーにおいて、前記ベースは溶接トーチ保持部を備えることを特徴としている。
【0022】
この構成によると、溶接トーチの取付場所を簡便に確保し、溶接箇所の位置取りも正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、アースオーガーを利用して下杭と上杭の溶接作業を行うことができる。回転させるのは下杭及び上杭の方であり、溶接トーチは固定位置にあるので、溶接棒や電力の供給に頭を悩ます必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態を図1−5に示す。図1は地盤掘削用のセッティングにしたアースオーガーの側面図、図2は基礎杭溶接用のセッティングにしたアースオーガーの側面図、図3は基礎杭ホルダーの平面図、図4は基礎杭ホルダーの正面図、図5は基礎杭ホルダーの側面図である。
【0025】
アースオーガー1はキャタピラー(またはクローラー)3を移動手段とする台車2を有する。台車2は旋回台4を介して作業プラットホーム5を支持する。作業プラットホーム5はエンジン、発電機、油圧ポンプといった動力源を内蔵し、またオペレーターが乗り込んで操作を行うキャビン6を備えている。作業プラットホーム5の後部には、キャタピラー3よりも広い正面幅で地盤Gに接地し、オーガー1の安定性を高めるアウトリガー7が設けられている。作業プラットホーム5の前端からはブラケット8が突出し、その先端にガイドリーダー9が立設される。ガイドリーダー9の上寄りの部分と作業プラットホーム5の後部を伸縮可能なステイ10が連結する。ステイ10は左右一対設けられており、左右の伸縮調整でガイドリーダー9を鉛直に維持する。
【0026】
図3に見られるように、ガイドリーダー9は断面円形のパイプで構成されるものであり、側面円周上の90°隔たった位置に、断面円形のパイプ2本ずつによって構成されるガイドレール11、12を支持している。ガイドレール11、12はガイドリーダー9のほぼ全長にわたり鉛直に延びる。ガイドレール11、12をそれぞれ正面から見た場合、ガイドレール11の方がガイドレール12よりも左右の幅が広い。ガイドリーダー9は鉛直軸まわりに回動可能であり、向きを変えてガイドレール11側とガイドレール12側を使い分ける。
【0027】
ガイドレール11はオーガースクリュー13の回転駆動装置14を支持する。ガイドレール11を外側から抱きかかえるアーム15が回転駆動装置14のガイドレール11への取付装置を構成する。回転駆動装置14はアーム15によって鉛直方向にスライド可能に、且つ水平面内で回転しないようにガイドリーダー9に連結される。回転駆動装置14の重量は、ガイドリーダー9の上端から繰り出され、回転駆動装置13の上面の動滑車16に巻き掛けられる懸垂ケーブル17で支えられる。懸垂ケーブル17の繰り出し量を多くすれば回転駆動装置14は下降し、懸垂ケーブル17の繰り出し量を少なくすれば回転駆動装置14は上昇する。
【0028】
オーガースクリュー13は回転駆動装置14と共に昇降する。ガイドレール11の中間部にはオーガースクリュー13の中間部を案内するガイド18が取り付けられ、ガイドレール11の下部にはオーガースクリュー13の下部を位置決めするオーガースクリューホルダー19が取り付けられている。オーガースクリューホルダー19はパイプ状の部材であり、オーガースクリュー12の螺旋を2巻き以上、所定の隙間を存して受け入れる軸線方向長さ及び内径を備える。ガイド18もオーガースクリューホルダー19もガイドレール11を外側から抱きかかえるアームを有し、ボルト等の固定手段でガイドレール11の任意の高さに固定される。
【0029】
ガイドレール12の側にはホイスト20が設けられる。ホイスト20は、物品懸垂用のフック21と、スイベル22を介してフック21に連結した動滑車23と、ガイドリーダー9の上端から繰り出されて動滑車23に巻き掛けられる懸垂ケーブル24からなる。懸垂ケーブル24の繰り出し量を多くすればフック21は下降し、懸垂ケーブル24の繰り出し量を少なくすればフック21は上昇する。
【0030】
ガイドレール12の下部には基礎杭ホルダー30が取り付けられる。以下、基礎杭ホルダー30の構造を図3以下の図を参照しつつ説明する。
【0031】
基礎杭ホルダー30は次の構成要素を備える。すなわちベース31、ベース31の上に配置される旋回ベアリング32、及び旋回ベアリング32の上に配置される水平回転フレーム33である。ベース31と水平回転フレーム33は形鋼や鋼板を曲げたり溶接したりして構成されるものであり、強度を持たせるため、断面形状はコ字状(図5参照)とされ、そのコ字状断面の適所に垂直な腹板34が配されている。
【0032】
ベース31は、ガイドレール12への取付装置として、ガイドレール12を外側から抱きかかえるアーム35を有し、ボルト等の固定手段でガイドレール12の任意の高さに水平に固定される。この仕組みはガイド18やオーガースクリューホルダー19と同様である。
【0033】
ベース31はブラケット36の上に基礎杭ガイドリング37を置き、両者をボルト締めや溶接で固定したものである。ブラケット36は、基礎杭ガイドリング37と同一内径の半円部と、半円の両端に設けられた平行延長部を備え、全体の平面形状がU字形あるいは馬蹄形となっている。ブラケット36は断面コ字形の梁を2本上下に重ねた形のフレーム38に固定される。フレーム38のブラケット取付面と反対側の面からアーム35が突き出す。
【0034】
旋回ベアリング32はローラーベアリングまたはボールベアリングであり、内輪32aは基礎杭ガイドリング37にボルト38で固定され、外輪32bは水平回転フレーム33にボルト39で固定される。これにより、水平回転フレーム33のベース31に対する相対回転が可能となる。水平回転フレーム33の内径は基礎杭ガイドリング37の内径より大きい。旋回ベアリング32の内輪32aの内径も基礎杭ガイドリング37の内径より大きい。
【0035】
水平回転フレーム33には基礎杭チャック装置40が設けられる。基礎杭チャック装置40は水平回転フレーム33の内面に90°間隔で4個のジョーを備える。4個のジョーのうち2個は、ボルト等で水平回転フレーム33に固定される固定ジョー41である。残り2個のジョーは、アクチュエーターにより固定ジョー41との距離を変える可動ジョー42である。本実施形態では油圧シリンダー43がアクチュエーターを構成する。可動ジョー42は、固定ジョー41から最も離れた位置に移動せしめられたとき、基礎杭ガイドリング37の内径を上方に延長した内径延長ラインの外側に位置する。
【0036】
水平回転フレーム33には、それを鉛直軸まわりに回転させる動力源が設けられる。本実施形態では油圧モーター45が動力源となる。油圧モーター45はベース31の基礎杭ガイドリング37の側面から水平に突出するブラケット46に軸線を鉛直にする形で取り付けられており、出力軸に小歯車47を固定している。小歯車47は旋回ベアリング32の外輪32bに形成された大歯車48にかみ合う。大歯車48は、外輪32bに歯形を直接刻んでもよく、別部品を外輪32bに固定して形成してもよい。
【0037】
油圧モーター45を駆動すると旋回ベアリング32の外輪32bが回転し、外輪32bに固定された水平回転フレーム33も回転し、水平回転フレーム33に支持された基礎杭チャック装置40も回転する。これらの構成要素が基礎杭回転装置を構成する。
【0038】
ベース31は溶接トーチ保持部50を備える。溶接トーチ保持部50は図4に示すように正面形状がコ字形のステイ51を有する。ステイ51の一端は基礎杭ガイドリング37の側面に固定される。ステイ51の他端(上端)は、基礎杭チャック装置40に保持される基礎杭の側面に、厳密に言うと下杭61の上に重ねられる上杭62(図4ではこれらの杭を仮想線で表示する)の側面に対峙する。なお下杭61も上杭62も同一種類のコンクリート既製杭(長さは違うことがあり得る)であって、下に位置することとなったものを下杭、上に位置することとなったものを上杭と呼称する。下杭61も上杭62も両端に溶接用の鋼鉄リングを有する。
【0039】
ステイ51の上端には溶接トーチ52が上方から吊り下げられる形で支持される。溶接トーチ52は、市販の自動溶接機の一部分をなすものであり、図示しない自動溶接機本体が、溶接ワイヤの自動繰り出しと、溶接電流の供給を行う。
【0040】
続いて基礎杭の溶接工程を説明する。まず、図1のようにキャビン6から見てオーガースクリュー13がガイドリーダー9の向こう側になるようにし、その向きでガイドリーダー9をブラケット8に固定する。これが地盤掘削用のセッティングになる。オーガースクリュー13の先端を地盤Gの所定箇所に合わせ、回転駆動装置14でオーガースクリュー13を回転させつつ回転駆動装置14を下げて行き、地盤Gを掘削する。この時掘削するのは基礎杭の建て込みを行う建て込み穴であってもよく、溶接作業後は埋めてしまう仮穴であってもよい。
【0041】
図2のように地盤Gに穴Hを掘削したら、回転駆動装置14を引き上げてオーガースクリュー13を穴Hから抜き、ガイドリーダー9の向きを90°変え、基礎杭ホルダー30を穴Hに整列させる。こうしておいて、下杭61を玉掛けし、ホイスト20で吊り上げる。玉掛けには天秤70とワイヤーロープ71を用いる。
【0042】
下杭61の下端を基礎杭ホルダー30に通してホイスト20を下げ、下杭61を穴Hに挿入する。下杭61の上端の鋼鉄リングの高さが溶接トーチ52の高さに大体一致したところでホイスト20の下降を止め、基礎杭チャック装置40で下杭61をつかむ。すなわち油圧シリンダー43で可動ジョー42を押し出し、固定ジョー41と可動ジョー42により下杭61を挟みつける。
【0043】
基礎杭チャック装置40で下杭61を支持したら、下杭61の玉掛けを外す。そして今度は上杭62に玉掛けして上杭62を吊り上げ、下杭61の上端に上杭62の下端を重ねる。図2に示すのが丁度この状態である。
【0044】
溶接ライン(下杭61の上端の鋼鉄リングと、上杭62の下端の鋼鉄リングの合わせ目)に溶接ワイヤの先端高さが一致するように、また溶接ワイヤの先端から溶接箇所までの距離が所定値になるように、溶接トーチ52の取付位置を調節する。調節を完了したら油圧モーター45を駆動し、また自動溶接機をONにし、溶接作業を開始する。
【0045】
油圧モーター45は水平回転フレーム33を所定速度で回転させる。基礎杭チャック装置40で支持された下杭61と、その上に載置された上杭62も回転する。固定位置にある溶接トーチ52はその前を通過する溶接ラインに沿って溶接を行う。
【0046】
溶接ラインの全周にわたり下杭61と上杭62の溶接をなし終えたら次の作業に移る。穴Hが仮穴の場合は、下杭61と上杭62を継ぎ足した延伸基礎杭を穴Hから引き抜き、別の場所に掘削した建て込み穴に運んで建て込みを行う。穴Hが建て込み穴の場合は延伸基礎杭をそのまま建て込む。あるいは、延伸基礎杭にさらに別の基礎杭を溶接し、所望の長さの延伸基礎杭が得られたところで建て込みを行う。
【0047】
これまでの説明では、基礎杭ホルダー30に下杭61を支持させる作業と、基礎杭ホルダー30に支持された下杭61の上に上杭62を重ねる作業を、基礎杭ホルダー30を取り付けたアースオーガー1自身の備える装置(ホイスト20)で行うものとしたが、これらの作業の一方または両方をクレーン等の相伴機を用いて行うこととしてもよい。延伸基礎杭を仮穴から抜いて建て込み穴に移す作業についても同じである。
【0048】
穴Hが建て込み穴であれば、ガイドレール12に建て込みユニットを取り付け、この建て込みユニットで延伸基礎杭の建て込みを行うことができる。この場合、建て込みユニットが延伸基礎杭の頭部をつかむまで、基礎杭ホルダー30で延伸基礎杭を支持しておくことができる。
【0049】
基礎杭ホルダー30をオーガースクリューホルダーに兼用してもよい。そうすれば、ガイドリーダー9に2種類のホルダーを取り付けずに済む。この場合は、アーム35の間隔をガイドレール11の左右幅に合わせることになる。
【0050】
基礎杭ホルダー30に下杭61またはオーガースクリュー13を通すときは、可動ジョー42は固定ジョー41から最も離れた位置に退避させておく。こうしておけば、可動ジョー42は基礎杭ガイドリング37の内径延長ラインの外側に位置することになり、基礎杭ガイドリング37内の下杭61またはオーガースクリュー13とは接触しなくなる。そのため、下杭61またはオーガースクリュー13が可動ジョー42に破壊的な力を与えるといった事態を回避できる。可動ジョー42のようにアクチュエーターに連結されている訳ではない固定ジョー41については、下杭61またはオーガースクリュー13との接触をそれほど気に掛ける必要はない。
【0051】
以上本発明の実施形態につき説明したが、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明はコンクリート杭や鋼管杭などの基礎杭を継ぎ足す溶接作業を行う際に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】地盤掘削用のセッティングにしたアースオーガーの側面図
【図2】基礎杭溶接用のセッティングにしたアースオーガーの側面図
【図3】基礎杭ホルダーの平面図
【図4】基礎杭ホルダーの正面図
【図5】基礎杭ホルダーの側面図
【符号の説明】
【0054】
1 アースオーガー
9 ガイドリーダー
11、12 ガイドレール
13 オーガースクリュー
19 オーガースクリューホルダー
30 基礎杭ホルダー
32 旋回ベアリング
33 水平回転フレーム
35 アーム
37 基礎杭ガイドリング
40 基礎杭チャック装置
41 固定ジョー
42 可動ジョー
43 油圧シリンダー
45 油圧モーター
47 小歯車
48 大歯車
50 溶接トーチ保持部
52 溶接トーチ
61 下杭
62 上杭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に基礎杭建て込み穴または仮穴を掘削する工程と、
前記建て込み穴または仮穴に挿入した下杭を、アースオーガーのガイドリーダーに取り付けた基礎杭ホルダーで支持する工程と、
前記下杭の上端に上杭の下端を重ねる工程と、
前記基礎杭ホルダーに設けた基礎杭回転装置で前記下杭と上杭を回転させつつ、固定位置に設置した溶接トーチで下杭上端と上杭下端を溶接する工程と、
を順次遂行することを特徴とする基礎杭溶接方法。
【請求項2】
前記基礎杭ホルダーを取り付けるアースオーガーは、前記基礎杭建て込み穴または仮穴の掘削に用いたアースオーガーであることを特徴とする請求項1に記載の基礎杭溶接方法。
【請求項3】
前記基礎杭ホルダーをオーガースクリューホルダーに兼用することを特徴とする請求項2に記載の基礎杭溶接方法。
【請求項4】
アースオーガーのガイドリーダーへの取付装置を備えたベースと、前記ベースに回転可能に取り付けられた水平回転フレームと、前記水平回転フレームを前記ベースに対し相対回転させる動力源と、前記水平回転フレームに設けられた基礎杭チャック装置とを備えることを特徴とする基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダー。
【請求項5】
前記基礎杭チャック装置は、前記水平回転フレームに支持された固定ジョーと、同じく前記水平回転フレームに支持され、アクチュエーターにより前記固定ジョーとの距離を変える可動ジョーを備え、前記ベースは基礎杭ガイドリングを備え、前記固定ジョーから離れた位置に移動せしめられた前記可動ジョーは、前記基礎杭ガイドリングの内径延長ラインの外側に位置することを特徴とする請求項4に記載の基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダー。
【請求項6】
前記ベースは溶接トーチ保持部を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の基礎杭溶接作業用基礎杭ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−1999(P2009−1999A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162239(P2007−162239)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【特許番号】特許第4073474号(P4073474)
【特許公報発行日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(505404471)美和産業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】