塑性変形可能な部材の接合具及び接合構造
【課題】塑性変形可能な部材同士を、塑性変形を利用し、非貫通係止穴の場合には接合後の穴内の空気溜まりをより減らすことができる接合具及び接合構造を提供すること。
【解決手段】塑性変形可能な両部材の各々に面する両端面4Aとこれら両端面4Aと接続された側面4Bとを持って、少なくとも一部が両部材に没入される円柱フランジ(第一係止部)4と、両端面4Aの各々に面して円柱フランジ4と略同心の円形底面(底面)2A及び先端に向かって縮径して形成された円錐面(側面)2Bを持って非貫通係止穴(穴)に挿入される円錐状係止部(第二係止部)2と、両端面4Aと円形底面2Aとの間に配された連結部3と、を備え、連結部3は、塑性変形した両部材の塑性変形部位が円形フランジ4及び円錐状係止部2との間に侵入可能に形成されている。
【解決手段】塑性変形可能な両部材の各々に面する両端面4Aとこれら両端面4Aと接続された側面4Bとを持って、少なくとも一部が両部材に没入される円柱フランジ(第一係止部)4と、両端面4Aの各々に面して円柱フランジ4と略同心の円形底面(底面)2A及び先端に向かって縮径して形成された円錐面(側面)2Bを持って非貫通係止穴(穴)に挿入される円錐状係止部(第二係止部)2と、両端面4Aと円形底面2Aとの間に配された連結部3と、を備え、連結部3は、塑性変形した両部材の塑性変形部位が円形フランジ4及び円錐状係止部2との間に侵入可能に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塑性変形可能な部材の接合具及び該接合具を用いた接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合する必要が有る場合、これら部材同士を接合するには、溶接、接着、カシメ、ネジ、特殊金具がある(例えば、特許文献1〜9参照。)
【0003】
溶接方法は、接合する塑性変形可能な部材と塑性変形可能な部材の位置を出すためと、ずれないように片側に段差をつけてから組合せ、溶接棒を用いて溶接を行う。
【0004】
ネジ方法は、接合する塑性変形可能な部材と塑性変形可能な部材の位置を出すためと、ずれないように片側に段差をつけるか、ピンをたてるかしてから組合せ、片側の塑性変形可能な部材を貫通し、もう片方にタップをたて、ネジを用いて組合せる。
【0005】
特殊金具方法は、接合する塑性変形可能な部材をお互いに貫通した穴をあけ、特許文献3〜9のような特殊金具部材を用いて特許文献1、2のように接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3061893号公報
【特許文献2】実用新案登録第3076508号公報
【特許文献3】意匠登録第1130133号公報
【特許文献4】意匠登録第1130134号公報
【特許文献5】意匠登録第1130135号公報
【特許文献6】意匠登録第1130136号公報
【特許文献7】意匠登録第1130300号公報
【特許文献8】意匠登録第1085089号公報
【特許文献9】意匠登録第1084555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、溶接方法では、組合った塑性変形可能な部材に溶接棒を用いて溶接するために、外観上溶接跡が残る問題がある。その溶接跡を目立たせないために溶接箇所に溝を彫り、そこへ溶接棒が溶け込み目立たせないことを行うが、凹凸が生ずるので、それを除去するために特別な加工技術がさらに必要になる。
【0008】
また、熱を加えるため、軟化してしまい、使用されている金属の特性が変わってしまう問題や、歪みによる変形が出てしまう問題がある。
【0009】
ネジ方法は、塑性変形可能な部材に貫通穴をあけるため表面に凹凸が生ずるので、それを除去するために特別な加工技術がさらに必要になる。
【0010】
また、振動を与えると緩む問題がある。
【0011】
特殊金具方法は、貫通穴を有する塑性変形可能な部材を接合するが、非貫通係止穴の場合に使用すると、非貫通係止穴と特殊金具との間に空気溜まりができ、使用環境(例えば高温環境)での使用時には、空気の膨張により接合箇所の変形などの影響を及ぼす問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、塑性変形可能な部材同士を、塑性変形を利用し、非貫通係止穴の場合には接合後の穴内の空気溜まりをより減らすことができる接合具及びこの接合具で接合される接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る接合具は、塑性変形可能な一方の部材に形成された穴と、前記一方の部材に対向して塑性変形可能な他方の部材に形成された穴の双方に嵌め込まれたときの両部材の塑性変形により、前記両部材を接合する接合具であって、前記両部材の各々に面する両端面とこれら両端面と接続された側面とを持って、少なくとも一部が前記両部材に没入される第一係止部と、前記両端面の各々に面して前記第一係止部と略同心の底面、及び、少なくとも先端側が先端に向かって縮径して形成された側面を持って、前記穴に挿入される第二係止部と、前記両端面と前記底面との間に配された連結部と、を備え、前記連結部は、塑性変形した前記両部材の塑性変形部位が前記第一係止部及び前記第二係止部の間に侵入可能に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明は、各第二係止部を両部材のそれぞれの穴に挿入して両部材を押圧することにより、両部材の穴の開口周縁が第一係止部に当接して押圧されて塑性変形する。そして、この塑性変形部位が第一係止部及び第二係止部との間の隙間に侵入するため、両部材を接合することができる。
【0015】
また、第二係止部を穴に嵌めこむときに、穴への挿入を容易にするとともに、挿入後に第二係止部の側面と穴の側面との間に形成される空気溜りとなる領域をより好適に削減することができる。
【0016】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記第一係止部の前記側面から径方向に突出する凸部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明は、両部材を押圧して塑性変形した両部材の塑性変形部位が凸部に当接することによって、両部材間に隙間を形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記凸部が、前記側面の周方向に連続して配されていることを特徴とする。
【0019】
この発明は、凸部と接触する両部材の面積を大きくすることができ、より確実に隙間を形成することができる。
【0020】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記第一係止部の前記側面の周方向に溝部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明は、両部材を押圧して塑性変形した両部材の塑性変形部位が溝部に到達すると、さらに溝部に侵入し始めるため、それ以上の両部材の塑性変形をやめることによって、両部材間に隙間を形成することができる。
【0022】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記第一係止部が円筒形状に形成され、前記第二係止部の前記底面が円形とされ、前記側面が円錐面であることを特徴とする。
【0023】
この発明は、各係止部が角形のものよりも加工が容易になるとともに、部材への挿入もより容易に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記連結部が円柱状であることを特徴とする。
【0025】
この発明は、第一係止部及び第二係止部との間の隙間に侵入する塑性変形部位をどの方向からも均等に侵入させることができ、接合をより安定させることができる。
【0026】
また、本発明に係る接合構造は、互いに対向する表面に穴が配されて塑性変形可能な一方の部材及び他方の部材と、前記穴にそれぞれ嵌め込まれたときに前記両部材を塑性変形させて両者を接合する本発明に係る接合具と、を備え、前記穴の側面又は底面の少なくとも一部がすり鉢状に縮径され、前記一方の部材又は前記他方の部材の少なくとも一方に配された前記穴が、非貫通穴であることを特徴とする。
【0027】
この発明は、少なくとも一方の穴が非貫通穴であっても、各第二係止部を両部材のそれぞれの穴に挿入して両部材を押圧することにより形成された塑性変形部位が、第一係止部及び第二係止部との間の隙間に侵入して、両部材を好適に接合することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、塑性変形可能な部材同士を、塑性変形を利用して接合することができ、部材に配された穴が非貫通係止穴の場合には、接合後の穴内の空気溜まりをより減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る接合具の(a)正面図(b)側面図(c)上面図(d)底面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る接合具を、塑性変形可能な一方の部材に形成した非貫通係止穴と、塑性変形可能な他方の部材に形成した非貫通係止穴とに、嵌め込んだ状態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合した接合構造の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る接合具の(a)正面図(b)側面図(c)上面図(d)底面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る接合具を、塑性変形可能な一方の部材に形成した非貫通係止穴と、塑性変形可能な他方の部材に形成した非貫通係止穴とに、嵌め込んだ状態を示す部分断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合した接合構造の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る接合具の(a)正面図(b)側面図(c)上面図(d)底面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る接合具を、塑性変形可能な一方の部材に形成した非貫通係止穴と、塑性変形可能な他方の部材に形成した非貫通係止穴とに、嵌め込んだ状態を示す部分断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合した接合構造の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を複数接合した断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る接合具の(a)〜(e)円錐状係止部の他の形状を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る接合具1は、接合対象である塑性変形可能な接合部材(例えばアルミニウム製)(一方の部材,他方の部材)6,7を接合するためのものである。
【0031】
この接合具1は、円形フランジ(第一係止部)4と、円錐状係止部(第二係止部)2と、円柱状の連結部3と、を備えている。これらは、例えば、ステンレス製や、塑性変形可能な接合部材6,7より硬度の有るアルミニウム製、セラミックス製等からなる。各材質はすべて同一であっても異なっていても構わない。
【0032】
円形フランジ4には、図2及び図3に示すように、両部材6,7の表面6A,7Aにすり鉢状に形成された非貫通係止穴(穴)8,9のそれぞれに嵌め込まれたときに両部材6,7の各々に面する両端面4Aと、これら両端面4Aと接続された側面4Bと、が配されている。
【0033】
円錐状係止部2には、両端面4Aの各々に面し円形フランジ4と略同心の円形底面2Aと、円錐面(側面)2Bと、が配されている。ここで、非貫通係止穴8,9はドリルを使用してあけられており、ドリルの性質上、非貫通係止穴8、9の先端面が円錐状となっている。この円錐面2Bも、先端に向かって非貫通係止穴8、9の先端面と略同一に縮径して形成されている。
【0034】
連結部3は、円錐状係止部2と円形フランジ4の両端面4Aとの間に配され、両部材6,7の塑性変形により形成された塑性変形部位が円錐状係止部2の底面2Aと円形フランジ4の両端面4Aとの間に侵入可能に円柱状に形成されている。
【0035】
次に、本発明の実施形態による接合具1で接合する方法及びその接合構造について、図2及び図3を参照しながら接合具1の作用とともに説明する。
【0036】
図2に示すように、円錐状係止部2が没入可能な大きさ、かつ、円錐状係止部2の円錐面2Bの頂部から円形フランジ4の端面4Aまでの長さよりも深く、すり鉢状に縮径した底面を有する非貫通係止穴8,9が表面6A,7Aに配された塑性変形可能な接合部材6,7に対して、接合具1の円錐状係止部2を非貫通係止穴8、9に嵌め込み、塑性変形可能な部材7の下方向11を固定し、塑性変形可能な部材6を上方向10から下方向11へ圧力を加えると、接合具1の円形フランジ4の両端面4Aが塑性変更可能な部材6、7の表面6A,7Aにそれぞれ当接して、当接した部材6、7部分に塑性変形が生じる。
【0037】
この塑性変形により、塑性変形可能な部材6、7の、円形フランジ4によって押しのけられた部分が接合具1の連結部3に向かって塑性流動し、その結果、図3に示すように、円錐状係止部2の円錐面2Bが非貫通係止穴8,9の底面に密着するとともに、表面6A,7Aが互いに当接して、塑性変形部位Aによって2つの塑性変更可能な部材6、7が接合された接合構造15が出来上がる。
【0038】
この接合具1及び接合構造15によれば、両部材6,7を確実に接合することができる。この際、連結部3が円柱状なので、円形フランジ4及び円錐状係止部2との間の隙間に侵入する両部材6,7の塑性変形部位Aをどの方向からも均等に侵入させることができ、接合をより安定させることができる。
【0039】
また、ドリルを使用して非貫通係止穴8,9をあけると、ドリルの性質上、非貫通係止穴8、9の先端面が円錐状になるため、円形底面2Aを持った円錐状係止部2が密着しやすくなり、空気溜まりをより減らすことができる。
【0040】
なお、部材6、7の表面6A,7Aが互いに当接せずに不図示の隙間を形成するように、非貫通係止穴8,9の深さや、円錐状係止部2の円錐面2Bの頂部から円形フランジ4の端面4Aまでの長さを調節して接合しても構わない。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について図4から図6を参照しながら説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
【0042】
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、図4に示すように、本実施形態に係る接合具25の円形フランジ26の側面26Bから径方向に凸部27が突出して形成されているとした点である。この凸部27は、同一高さ、同一幅にて側面26Bの周方向に連続して配されている。
【0043】
次に、接合部材6,7を接合具25(例えば接合具1と同様にステンレス製や塑性変形可能な接合部材6,7より硬度の有るアルミニウム製、セラミックス製等)で接合する方法及びその構造について、図5及び図6を参照しながら接合具25の作用とともに説明する。
【0044】
図5に示すように、接合具25の円錐状係止部2を塑性変形可能な部材6、7の非貫通係止穴8、9に嵌め込み、塑性変形可能な部材7の下方向11を固定し、塑性変形可能な部材6を上方向10から下方向11へ圧力を加えると、円形フランジ26の両端面26Aが塑性変更可能な部材6、7の表面6A,7Aに当接して、当接した部材6、7部分に塑性変形が生じる。
【0045】
この塑性変形により、塑性変形可能な部材6、7の、円形フランジ26によって押しのけられた部分が接合具25の連結部3に向かって塑性流動する。そして、表面6A,7Aが凸部27にそれぞれ当接することによって塑性変形を終了する。こうして、図6に示すように、塑性変形部位Aによって2つの塑性変更可能な部材6、7が接合され、かつ、部材6,7間に凸部27の幅方向長さ分の隙間S1が形成された接合構造28が出来上がる。
【0046】
この接合具25及び接合構造28によれば、両部材6,7間に隙間S1を形成した状態で両部材6,7を接合することができる。特に、凸部27が、円形フランジ26の側面26Bの周方向に連続して配されているので、凸部27と接触する両部材6,7の面積を大きくすることができ、より確実かつ一定幅で隙間S1を形成することができる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態について図7から図9を参照しながら説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
【0048】
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、図7に示すように、本実施形態に係る接合具30の円形フランジ31の側面31Bに周方向に溝部32が形成されているとした点である。この溝部32は、同一幅、同一深さに形成されている。
【0049】
次に、接合部材6,7を接合具30(例えば接合具1と同様にステンレス製や塑性変形可能な接合部材6,7より硬度の有るアルミニウム製、セラミックス製等)で接合する方法及びその構造について、図8及び図9を参照しながら接合具30の作用とともに説明する。
【0050】
図8に示すように、接合具30の円錐状係止部2を塑性変形可能な部材6、7の非貫通係止穴8、9に嵌め込み、塑性変形可能な部材7の下方向11を固定し、塑性変形可能な部材6を上方向10から下方向11へ圧力を加えると、円形フランジ31の両端面31Aが塑性変更可能な部材6、7の表面6A,7Aに当接して、当接した部材6、7部分に塑性変形が生じる。
【0051】
この塑性変形により、塑性変形可能な部材6、7の、円形フランジ31によって押しのけられた部分が接合具30の連結部3に向かって塑性流動する。さらに押圧することによって、図9に示すように、溝部32内にも塑性流動し始める。ここで押圧を中止することによって、塑性変形部位Aにより2つの塑性変更可能な部材6、7が接合され、かつ、部材6,7間に隙間S2が形成された接合構造33が出来上がる。
【0052】
この接合具30及び接合構造33によれば、両部材6,7を押圧して塑性変形した両部材6,7間に隙間S2を形成して接合することができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図10に示すように、接合具1にて接合する塑性変形可能な部材6,7間と、接合具13にて接合する部材7,12間に、熱伝導性ジェルのような可撓性部材や、アルミニウムのような可展性部材をはさむことを妨げない。
【0054】
また、本発明の接合具1,13,25,30の連結部3と円形フランジ4,26,31の側面4B,26B,31Bとの少なくとも一部に、例えばローレットのような溝を入れる事を妨げない。
【0055】
さらに、円形底面2Aを持った円錐状係止部2は、図11に示すように、(a)円錐状の側面と底面の境が底面基準に鋭角形状の円錐状係止部20、(b)円錐状の側面と底面の境が丸形状の円錐状係止部21、(c)円錐状の側面と底面の境の底面側の角に2つの角が有る形状の円錐状係止部22、(d)円錐状の側面と底面の境の底面側の角が丸形状の円錐状係止部23、(e)円錐状の側面と底面の境の底面に向かって勾配形状の円錐状係止部24、であることを妨げない。
【0056】
また、円錐状係止部2の円錐面2Bの先端は尖っている必要はなく、丸みを帯びていたり、平面状にカットされていたりしても構わない。また、円錐状に限らず、角錐状でも構わない。
【0057】
また、凸部27は、円形フランジ26の周方向に連続して配されているが、断続的に配されていても構わない。
【0058】
また、円形フランジ4,26,31は円柱状に形成されているが、多角柱形状でも構わない。
【0059】
また、両部材6,7に配された非貫通係止穴8,9の一方の穴が貫通していても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1,13,25,30 接合具
2,20,21,22,23,24 円錐状係止部(第二係止部)
2A 円形底面(底面)
2B 円錐面(側面)
3 連結部
4,26,31 円形フランジ(第一係止部)
4A,26A,31A 両端面
4B,26B,31B 側面
6,12 接合部材(一方の部材)
7 接合部材(他方の部材)
6A,7A 表面
8,9 非貫通係止穴(穴)
15,28,33 接合構造
【技術分野】
【0001】
本発明は、塑性変形可能な部材の接合具及び該接合具を用いた接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合する必要が有る場合、これら部材同士を接合するには、溶接、接着、カシメ、ネジ、特殊金具がある(例えば、特許文献1〜9参照。)
【0003】
溶接方法は、接合する塑性変形可能な部材と塑性変形可能な部材の位置を出すためと、ずれないように片側に段差をつけてから組合せ、溶接棒を用いて溶接を行う。
【0004】
ネジ方法は、接合する塑性変形可能な部材と塑性変形可能な部材の位置を出すためと、ずれないように片側に段差をつけるか、ピンをたてるかしてから組合せ、片側の塑性変形可能な部材を貫通し、もう片方にタップをたて、ネジを用いて組合せる。
【0005】
特殊金具方法は、接合する塑性変形可能な部材をお互いに貫通した穴をあけ、特許文献3〜9のような特殊金具部材を用いて特許文献1、2のように接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3061893号公報
【特許文献2】実用新案登録第3076508号公報
【特許文献3】意匠登録第1130133号公報
【特許文献4】意匠登録第1130134号公報
【特許文献5】意匠登録第1130135号公報
【特許文献6】意匠登録第1130136号公報
【特許文献7】意匠登録第1130300号公報
【特許文献8】意匠登録第1085089号公報
【特許文献9】意匠登録第1084555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、溶接方法では、組合った塑性変形可能な部材に溶接棒を用いて溶接するために、外観上溶接跡が残る問題がある。その溶接跡を目立たせないために溶接箇所に溝を彫り、そこへ溶接棒が溶け込み目立たせないことを行うが、凹凸が生ずるので、それを除去するために特別な加工技術がさらに必要になる。
【0008】
また、熱を加えるため、軟化してしまい、使用されている金属の特性が変わってしまう問題や、歪みによる変形が出てしまう問題がある。
【0009】
ネジ方法は、塑性変形可能な部材に貫通穴をあけるため表面に凹凸が生ずるので、それを除去するために特別な加工技術がさらに必要になる。
【0010】
また、振動を与えると緩む問題がある。
【0011】
特殊金具方法は、貫通穴を有する塑性変形可能な部材を接合するが、非貫通係止穴の場合に使用すると、非貫通係止穴と特殊金具との間に空気溜まりができ、使用環境(例えば高温環境)での使用時には、空気の膨張により接合箇所の変形などの影響を及ぼす問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、塑性変形可能な部材同士を、塑性変形を利用し、非貫通係止穴の場合には接合後の穴内の空気溜まりをより減らすことができる接合具及びこの接合具で接合される接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る接合具は、塑性変形可能な一方の部材に形成された穴と、前記一方の部材に対向して塑性変形可能な他方の部材に形成された穴の双方に嵌め込まれたときの両部材の塑性変形により、前記両部材を接合する接合具であって、前記両部材の各々に面する両端面とこれら両端面と接続された側面とを持って、少なくとも一部が前記両部材に没入される第一係止部と、前記両端面の各々に面して前記第一係止部と略同心の底面、及び、少なくとも先端側が先端に向かって縮径して形成された側面を持って、前記穴に挿入される第二係止部と、前記両端面と前記底面との間に配された連結部と、を備え、前記連結部は、塑性変形した前記両部材の塑性変形部位が前記第一係止部及び前記第二係止部の間に侵入可能に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明は、各第二係止部を両部材のそれぞれの穴に挿入して両部材を押圧することにより、両部材の穴の開口周縁が第一係止部に当接して押圧されて塑性変形する。そして、この塑性変形部位が第一係止部及び第二係止部との間の隙間に侵入するため、両部材を接合することができる。
【0015】
また、第二係止部を穴に嵌めこむときに、穴への挿入を容易にするとともに、挿入後に第二係止部の側面と穴の側面との間に形成される空気溜りとなる領域をより好適に削減することができる。
【0016】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記第一係止部の前記側面から径方向に突出する凸部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明は、両部材を押圧して塑性変形した両部材の塑性変形部位が凸部に当接することによって、両部材間に隙間を形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記凸部が、前記側面の周方向に連続して配されていることを特徴とする。
【0019】
この発明は、凸部と接触する両部材の面積を大きくすることができ、より確実に隙間を形成することができる。
【0020】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記第一係止部の前記側面の周方向に溝部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明は、両部材を押圧して塑性変形した両部材の塑性変形部位が溝部に到達すると、さらに溝部に侵入し始めるため、それ以上の両部材の塑性変形をやめることによって、両部材間に隙間を形成することができる。
【0022】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記第一係止部が円筒形状に形成され、前記第二係止部の前記底面が円形とされ、前記側面が円錐面であることを特徴とする。
【0023】
この発明は、各係止部が角形のものよりも加工が容易になるとともに、部材への挿入もより容易に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る接合具は、前記接合具であって、前記連結部が円柱状であることを特徴とする。
【0025】
この発明は、第一係止部及び第二係止部との間の隙間に侵入する塑性変形部位をどの方向からも均等に侵入させることができ、接合をより安定させることができる。
【0026】
また、本発明に係る接合構造は、互いに対向する表面に穴が配されて塑性変形可能な一方の部材及び他方の部材と、前記穴にそれぞれ嵌め込まれたときに前記両部材を塑性変形させて両者を接合する本発明に係る接合具と、を備え、前記穴の側面又は底面の少なくとも一部がすり鉢状に縮径され、前記一方の部材又は前記他方の部材の少なくとも一方に配された前記穴が、非貫通穴であることを特徴とする。
【0027】
この発明は、少なくとも一方の穴が非貫通穴であっても、各第二係止部を両部材のそれぞれの穴に挿入して両部材を押圧することにより形成された塑性変形部位が、第一係止部及び第二係止部との間の隙間に侵入して、両部材を好適に接合することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、塑性変形可能な部材同士を、塑性変形を利用して接合することができ、部材に配された穴が非貫通係止穴の場合には、接合後の穴内の空気溜まりをより減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る接合具の(a)正面図(b)側面図(c)上面図(d)底面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る接合具を、塑性変形可能な一方の部材に形成した非貫通係止穴と、塑性変形可能な他方の部材に形成した非貫通係止穴とに、嵌め込んだ状態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合した接合構造の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る接合具の(a)正面図(b)側面図(c)上面図(d)底面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る接合具を、塑性変形可能な一方の部材に形成した非貫通係止穴と、塑性変形可能な他方の部材に形成した非貫通係止穴とに、嵌め込んだ状態を示す部分断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合した接合構造の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る接合具の(a)正面図(b)側面図(c)上面図(d)底面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る接合具を、塑性変形可能な一方の部材に形成した非貫通係止穴と、塑性変形可能な他方の部材に形成した非貫通係止穴とに、嵌め込んだ状態を示す部分断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を接合した接合構造の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る接合具を用いて、塑性変形可能な一方の部材と塑性変形可能な他方の部材を複数接合した断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る接合具の(a)〜(e)円錐状係止部の他の形状を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る接合具1は、接合対象である塑性変形可能な接合部材(例えばアルミニウム製)(一方の部材,他方の部材)6,7を接合するためのものである。
【0031】
この接合具1は、円形フランジ(第一係止部)4と、円錐状係止部(第二係止部)2と、円柱状の連結部3と、を備えている。これらは、例えば、ステンレス製や、塑性変形可能な接合部材6,7より硬度の有るアルミニウム製、セラミックス製等からなる。各材質はすべて同一であっても異なっていても構わない。
【0032】
円形フランジ4には、図2及び図3に示すように、両部材6,7の表面6A,7Aにすり鉢状に形成された非貫通係止穴(穴)8,9のそれぞれに嵌め込まれたときに両部材6,7の各々に面する両端面4Aと、これら両端面4Aと接続された側面4Bと、が配されている。
【0033】
円錐状係止部2には、両端面4Aの各々に面し円形フランジ4と略同心の円形底面2Aと、円錐面(側面)2Bと、が配されている。ここで、非貫通係止穴8,9はドリルを使用してあけられており、ドリルの性質上、非貫通係止穴8、9の先端面が円錐状となっている。この円錐面2Bも、先端に向かって非貫通係止穴8、9の先端面と略同一に縮径して形成されている。
【0034】
連結部3は、円錐状係止部2と円形フランジ4の両端面4Aとの間に配され、両部材6,7の塑性変形により形成された塑性変形部位が円錐状係止部2の底面2Aと円形フランジ4の両端面4Aとの間に侵入可能に円柱状に形成されている。
【0035】
次に、本発明の実施形態による接合具1で接合する方法及びその接合構造について、図2及び図3を参照しながら接合具1の作用とともに説明する。
【0036】
図2に示すように、円錐状係止部2が没入可能な大きさ、かつ、円錐状係止部2の円錐面2Bの頂部から円形フランジ4の端面4Aまでの長さよりも深く、すり鉢状に縮径した底面を有する非貫通係止穴8,9が表面6A,7Aに配された塑性変形可能な接合部材6,7に対して、接合具1の円錐状係止部2を非貫通係止穴8、9に嵌め込み、塑性変形可能な部材7の下方向11を固定し、塑性変形可能な部材6を上方向10から下方向11へ圧力を加えると、接合具1の円形フランジ4の両端面4Aが塑性変更可能な部材6、7の表面6A,7Aにそれぞれ当接して、当接した部材6、7部分に塑性変形が生じる。
【0037】
この塑性変形により、塑性変形可能な部材6、7の、円形フランジ4によって押しのけられた部分が接合具1の連結部3に向かって塑性流動し、その結果、図3に示すように、円錐状係止部2の円錐面2Bが非貫通係止穴8,9の底面に密着するとともに、表面6A,7Aが互いに当接して、塑性変形部位Aによって2つの塑性変更可能な部材6、7が接合された接合構造15が出来上がる。
【0038】
この接合具1及び接合構造15によれば、両部材6,7を確実に接合することができる。この際、連結部3が円柱状なので、円形フランジ4及び円錐状係止部2との間の隙間に侵入する両部材6,7の塑性変形部位Aをどの方向からも均等に侵入させることができ、接合をより安定させることができる。
【0039】
また、ドリルを使用して非貫通係止穴8,9をあけると、ドリルの性質上、非貫通係止穴8、9の先端面が円錐状になるため、円形底面2Aを持った円錐状係止部2が密着しやすくなり、空気溜まりをより減らすことができる。
【0040】
なお、部材6、7の表面6A,7Aが互いに当接せずに不図示の隙間を形成するように、非貫通係止穴8,9の深さや、円錐状係止部2の円錐面2Bの頂部から円形フランジ4の端面4Aまでの長さを調節して接合しても構わない。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について図4から図6を参照しながら説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
【0042】
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、図4に示すように、本実施形態に係る接合具25の円形フランジ26の側面26Bから径方向に凸部27が突出して形成されているとした点である。この凸部27は、同一高さ、同一幅にて側面26Bの周方向に連続して配されている。
【0043】
次に、接合部材6,7を接合具25(例えば接合具1と同様にステンレス製や塑性変形可能な接合部材6,7より硬度の有るアルミニウム製、セラミックス製等)で接合する方法及びその構造について、図5及び図6を参照しながら接合具25の作用とともに説明する。
【0044】
図5に示すように、接合具25の円錐状係止部2を塑性変形可能な部材6、7の非貫通係止穴8、9に嵌め込み、塑性変形可能な部材7の下方向11を固定し、塑性変形可能な部材6を上方向10から下方向11へ圧力を加えると、円形フランジ26の両端面26Aが塑性変更可能な部材6、7の表面6A,7Aに当接して、当接した部材6、7部分に塑性変形が生じる。
【0045】
この塑性変形により、塑性変形可能な部材6、7の、円形フランジ26によって押しのけられた部分が接合具25の連結部3に向かって塑性流動する。そして、表面6A,7Aが凸部27にそれぞれ当接することによって塑性変形を終了する。こうして、図6に示すように、塑性変形部位Aによって2つの塑性変更可能な部材6、7が接合され、かつ、部材6,7間に凸部27の幅方向長さ分の隙間S1が形成された接合構造28が出来上がる。
【0046】
この接合具25及び接合構造28によれば、両部材6,7間に隙間S1を形成した状態で両部材6,7を接合することができる。特に、凸部27が、円形フランジ26の側面26Bの周方向に連続して配されているので、凸部27と接触する両部材6,7の面積を大きくすることができ、より確実かつ一定幅で隙間S1を形成することができる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態について図7から図9を参照しながら説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
【0048】
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、図7に示すように、本実施形態に係る接合具30の円形フランジ31の側面31Bに周方向に溝部32が形成されているとした点である。この溝部32は、同一幅、同一深さに形成されている。
【0049】
次に、接合部材6,7を接合具30(例えば接合具1と同様にステンレス製や塑性変形可能な接合部材6,7より硬度の有るアルミニウム製、セラミックス製等)で接合する方法及びその構造について、図8及び図9を参照しながら接合具30の作用とともに説明する。
【0050】
図8に示すように、接合具30の円錐状係止部2を塑性変形可能な部材6、7の非貫通係止穴8、9に嵌め込み、塑性変形可能な部材7の下方向11を固定し、塑性変形可能な部材6を上方向10から下方向11へ圧力を加えると、円形フランジ31の両端面31Aが塑性変更可能な部材6、7の表面6A,7Aに当接して、当接した部材6、7部分に塑性変形が生じる。
【0051】
この塑性変形により、塑性変形可能な部材6、7の、円形フランジ31によって押しのけられた部分が接合具30の連結部3に向かって塑性流動する。さらに押圧することによって、図9に示すように、溝部32内にも塑性流動し始める。ここで押圧を中止することによって、塑性変形部位Aにより2つの塑性変更可能な部材6、7が接合され、かつ、部材6,7間に隙間S2が形成された接合構造33が出来上がる。
【0052】
この接合具30及び接合構造33によれば、両部材6,7を押圧して塑性変形した両部材6,7間に隙間S2を形成して接合することができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図10に示すように、接合具1にて接合する塑性変形可能な部材6,7間と、接合具13にて接合する部材7,12間に、熱伝導性ジェルのような可撓性部材や、アルミニウムのような可展性部材をはさむことを妨げない。
【0054】
また、本発明の接合具1,13,25,30の連結部3と円形フランジ4,26,31の側面4B,26B,31Bとの少なくとも一部に、例えばローレットのような溝を入れる事を妨げない。
【0055】
さらに、円形底面2Aを持った円錐状係止部2は、図11に示すように、(a)円錐状の側面と底面の境が底面基準に鋭角形状の円錐状係止部20、(b)円錐状の側面と底面の境が丸形状の円錐状係止部21、(c)円錐状の側面と底面の境の底面側の角に2つの角が有る形状の円錐状係止部22、(d)円錐状の側面と底面の境の底面側の角が丸形状の円錐状係止部23、(e)円錐状の側面と底面の境の底面に向かって勾配形状の円錐状係止部24、であることを妨げない。
【0056】
また、円錐状係止部2の円錐面2Bの先端は尖っている必要はなく、丸みを帯びていたり、平面状にカットされていたりしても構わない。また、円錐状に限らず、角錐状でも構わない。
【0057】
また、凸部27は、円形フランジ26の周方向に連続して配されているが、断続的に配されていても構わない。
【0058】
また、円形フランジ4,26,31は円柱状に形成されているが、多角柱形状でも構わない。
【0059】
また、両部材6,7に配された非貫通係止穴8,9の一方の穴が貫通していても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1,13,25,30 接合具
2,20,21,22,23,24 円錐状係止部(第二係止部)
2A 円形底面(底面)
2B 円錐面(側面)
3 連結部
4,26,31 円形フランジ(第一係止部)
4A,26A,31A 両端面
4B,26B,31B 側面
6,12 接合部材(一方の部材)
7 接合部材(他方の部材)
6A,7A 表面
8,9 非貫通係止穴(穴)
15,28,33 接合構造
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塑性変形可能な一方の部材に形成された穴と、前記一方の部材に対向して塑性変形可能な他方の部材に形成された穴と、の双方に嵌め込まれたときの両部材の塑性変形により、前記両部材を接合する接合具であって、
前記両部材の各々に面する両端面とこれら両端面と接続された側面とを持って、少なくとも一部が前記両部材に没入される第一係止部と、
前記両端面の各々に面して前記第一係止部と略同心の底面、及び、少なくとも先端側が先端に向かって縮径して形成された側面を持って、前記穴に挿入される第二係止部と、
前記両端面と前記底面との間に配された連結部と、
を備え、
前記連結部は、塑性変形した前記両部材の塑性変形部位が前記第一係止部及び前記第二係止部の間に侵入可能に形成されていることを特徴とする接合具。
【請求項2】
前記第一係止部の前記側面から径方向に突出する凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
【請求項3】
前記凸部が、前記側面の周方向に連続して配されていることを特徴とする請求項2に記載の接合具。
【請求項4】
前記第一係止部の前記側面の周方向に溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
【請求項5】
前記第一係止部が円柱状に形成され、
前記第二係止部の前記底面が円形とされ、前記側面が円錐面であることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の接合具。
【請求項6】
前記連結部が円柱状であることを特徴とする請求項5に記載の接合具。
【請求項7】
互いに対向する表面に穴が配されて塑性変形可能な一方の部材及び他方の部材と、
前記穴にそれぞれ嵌め込まれたときに前記両部材を塑性変形させて両者を接合する請求項1から6の何れか一つに記載の接合具と、
を備え、
前記穴の側面又は底面の少なくとも一部がすり鉢状に縮径され、
前記一方の部材又は前記他方の部材の少なくとも一方に配された前記穴が、非貫通穴であることを特徴とする接合構造。
【請求項1】
塑性変形可能な一方の部材に形成された穴と、前記一方の部材に対向して塑性変形可能な他方の部材に形成された穴と、の双方に嵌め込まれたときの両部材の塑性変形により、前記両部材を接合する接合具であって、
前記両部材の各々に面する両端面とこれら両端面と接続された側面とを持って、少なくとも一部が前記両部材に没入される第一係止部と、
前記両端面の各々に面して前記第一係止部と略同心の底面、及び、少なくとも先端側が先端に向かって縮径して形成された側面を持って、前記穴に挿入される第二係止部と、
前記両端面と前記底面との間に配された連結部と、
を備え、
前記連結部は、塑性変形した前記両部材の塑性変形部位が前記第一係止部及び前記第二係止部の間に侵入可能に形成されていることを特徴とする接合具。
【請求項2】
前記第一係止部の前記側面から径方向に突出する凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
【請求項3】
前記凸部が、前記側面の周方向に連続して配されていることを特徴とする請求項2に記載の接合具。
【請求項4】
前記第一係止部の前記側面の周方向に溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
【請求項5】
前記第一係止部が円柱状に形成され、
前記第二係止部の前記底面が円形とされ、前記側面が円錐面であることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の接合具。
【請求項6】
前記連結部が円柱状であることを特徴とする請求項5に記載の接合具。
【請求項7】
互いに対向する表面に穴が配されて塑性変形可能な一方の部材及び他方の部材と、
前記穴にそれぞれ嵌め込まれたときに前記両部材を塑性変形させて両者を接合する請求項1から6の何れか一つに記載の接合具と、
を備え、
前記穴の側面又は底面の少なくとも一部がすり鉢状に縮径され、
前記一方の部材又は前記他方の部材の少なくとも一方に配された前記穴が、非貫通穴であることを特徴とする接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−184842(P2012−184842A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28300(P2012−28300)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(393030718)イー・ディー・エル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(393030718)イー・ディー・エル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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