塗工方法、塗工機、塗工フィルムの巻き取り方法及びロール巻き塗工フィルム
【課題】ロール巻き取り部で異物を巻込んだとしても局所歪の発生が低減される塗工方法を提供する。
【解決手段】塗液を基材Fmの塗工対象面に塗工する方法であって、基材Fm上の塗工後の塗工膜厚みにおいて、幅方向端部の厚みが、塗工面の平均厚みに対して2μm以上厚くすることを特徴とする工方法。
【解決手段】塗液を基材Fmの塗工対象面に塗工する方法であって、基材Fm上の塗工後の塗工膜厚みにおいて、幅方向端部の厚みが、塗工面の平均厚みに対して2μm以上厚くすることを特徴とする工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工方法、塗工機、塗工フィルムの巻き取り方法及びロール巻き塗工フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
塗工機には、ダイコータ、コンマコータ、グラビアコータ、リップコータ等、目的に合わせて種々の塗工方式のものが用いられている。いずれの方式であっても製品用途により塗工面の高い平坦性が求められる場合があり、この場合液物性をはじめ、液供給方式、塗工方式等の塗工方法の検討が行なわれる。塗工面の平坦性という点については、特に塗工面の端部膜厚ばらつきが指摘され、これを解決するため、ダイコータの口金形状を曲線状にする等の提案がなされている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、塗工品がフィルム製品で、ロールtoロールの製造方法においてはロール巻取りでの異物巻込みによる製品の局所歪が問題となる。
【0004】
ロール巻き塗工フィルム製品の局所歪については、特に光学フィルム関連製品において要求が厳しく、これを解決するため、異物除去方法、巻取り条件の検討やフィルム端部のナール処理の提案がなされている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−864号公報
【特許文献2】特開平9−288329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、完全な異物巻込み防止は困難で、局所歪の発生を防止することは出来なかった。本発明の目的は、ロール巻取り部で異物を巻込んだとしても局所歪の発生が低減される塗工方法及び塗工機、局所歪みの少ない塗工フィルムのロール巻き取り方法及びロール巻き塗工フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、鋭意検討の結果、ロール巻フィルム製品の巻き取られたフィルム同士の間(層間)の隙間が狭いと局所歪が発生しやすいこと、特許文献1に記載のように塗工面平坦化により塗工面端部と中央部との膜厚バラツキが小さくなると、結果として、ロールに巻き取った時に層間の隙間が狭くなって局所歪みが発生しやすくなり、逆に塗工面端部の塗工厚みをその他の部分に比べて厚くすることで、局所歪みが低減できること、そのような塗工を実現するために、溜め部の開口部から塗液吐出部の開口部に向かってテーパ状に狭まる形状を有する塗工機が有効であることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に関する。
【0009】
(1)塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜厚みにおいて、幅方向端部の厚みが、塗工面の平均厚みに対して2μm以上厚くすることを特徴とする塗工方法。
【0010】
(2)塗工膜の平均厚みが10μm以上である上記(1)に記載の塗工方法。
【0011】
(3)塗液の液溜め部及び塗液吐出部を有する塗工機であって、塗液の液溜め部の開口幅が塗液吐出部の開口幅より広く、塗液の液溜め部の開口部から塗液吐出部の開口部に向かってテーパ状に狭まる形状を有することを特徴とする塗工機。
【0012】
(4)塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜10mm広いことを特徴とする上記(3)に記載の塗工機。
【0013】
(5)塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜5mm広いことを特徴とする上記(3)に記載の塗工機。
【0014】
(6)上記(3)〜(5)のいずれかに記載の塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜の平均厚みが10μm以上である塗工方法。
【0015】
(7)塗工フィルムの巻き取り方法であって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間が発生するように、フィルムをロール状に巻き取ることを特徴とする塗工フィルムの巻き取り方法。
【0016】
(8)塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間を有することを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【0017】
(9)塗工膜を有する塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、塗工面の塗工膜の幅方向端部の厚みが、塗工面の塗工膜の平均厚みに対して2μm以上厚いことを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【0018】
(10)ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工機において、前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚くなるように構成されている塗工機。
【0019】
(11)ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工方法において、前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚い塗工をする塗工方法。
【0020】
(12)ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、前記塗工液で形成された塗工膜の厚さが、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部における平均厚さに比べて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部で、2μm以上厚くなっているロール巻き塗工フィルム。
【0021】
(13)ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部では、前記各塗工済みベース部材同士が接触しており、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部では、前記各塗工済みベース部材同士の間隔が、2μm〜10μmになっているロール巻き塗工フィルム。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、ロール巻き取りでの異物巻込みによる局所歪の発生を低減することが可能である。また、局部厚みむらによる巻コブの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の塗工機の塗液の液溜め部と塗液吐出部の構造例を示すスリットダイコータのシムを示す図である。
【図2】本発明の塗工機の塗液の液溜め部と塗液吐出部の構造例を示すスリットダイコータのシムを示す図である。
【図3】実施例及び比較例のシム形状及び塗工面幅方向厚み分布を示す図である。
【図4】塗工機の概略構成を示す図である。
【図5】図4におけるV部の拡大図である。
【図6】図4におけるVI部の拡大図である。
【図7】図4におけるVII部の拡大図である。
【図8】ロール巻き塗工フィルムの各塗工済みベース部材の間に異物を挟み込んだ状態を示す図である。
【図9】ダイの分解斜視図である。
【図10】シムの変形例を示す図である。
【図11】ダイの変形例を示す図である。
【図12】ダイの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の塗工機の実施形態を説明する。
【0025】
たとえば、塗工機として、塗液吐出用スリットを設けたスリットダイコータを用いた場合、塗工機の塗液の液溜め部の開口幅、塗液吐出部の開口幅、及び塗液吐出部の先端部の形状は、スリット間隔を形成するシム(スペーサー)の形状により調整することが可能である。以下、スリットダイコータのシムの形状図を元に、本発明を説明する。
【0026】
図1は、従来の塗工機の塗液の液溜め部と塗液吐出部の平面構造を示す一例として、従来のスリットダイコータのシムを示す図である。図1の斜線部は塗液の液溜め部2であり、塗液は液溜め部2から塗液吐出部3の先端部5に流れ出て、開口部4の対象面に塗布される。
【0027】
図2は、本発明の塗工機11(4参照)の塗液の液溜め部2と塗液吐出部(スリット)3の構造を示す一例として、スリットダイコータ(ダイ)17(ダイ17の分解斜視図である図9参照)のシム1を示す図である。塗液の液溜め部2の開口幅aが塗液吐出部3の開口幅bより広く、すなわち、a>bとなるように、テーパ状の加工がなされている。
【0028】
塗液の液溜め部2の開口幅aと塗液吐出部3の開口幅bとの差(テーパ量)cは、局所歪低減の観点から2〜10mmの範囲であることが好ましく、巻きズレの観点も考慮すると2〜5mmの範囲であることがより好ましい。2mm未満では歪低減の効果が小さく、10mmを超えると幅方向端部の厚みが厚くなりすぎて巻ズレが発生しやすくなる傾向にある。
【0029】
塗液吐出部3(シム1)の厚み(図9参照)dは、樹脂供給圧力の観点から、200μm〜1000μmの範囲で設定されることが好ましい。塗液吐出部3の厚みが200μm未満では樹脂供給圧力が高すぎて吐出部3及び液溜め部2が変形しやすくなる傾向にあり、1000μmを超えると逆に圧力が低く、幅方向中央部の厚みが薄くなる傾向にある。
【0030】
本発明の塗工機11に用いられるシム1の材質としては特に限定はないが、樹脂、金属などが好ましく、中でも剛性や精度の点を考慮すると、ステンレス鋼がより好ましく、SUS合金がより好ましい。
【0031】
本発明の塗工機11は、塗工膜厚が10μm以上である場合が好ましく、20μm〜300μmの場合に、より好ましく用いられる。また、本発明の塗工機11は、塗工対象面が凹凸を有する場合にも有効である。
【0032】
ここで、塗工機11等についてさらに説明する。
【0033】
図4は、塗工機11の概略構成を示す図であり、図5は、図4におけるV部の拡大図であり、図6は、図4におけるVI部の拡大図であり、図7は、図4におけるVII部の拡大図である。
【0034】
塗工機11では、ダイ17(17A,17B)に形成されている細長い開口部4(塗液吐出部の先端部5)を、フィルム状(シート状)のベース部材Fmから僅かに離して設置してある。また、塗工機11では、開口部4を、ベース部材Fmの厚さ方向の一方の面に対向させて設置してある。
【0035】
そして、塗工機11は、開口部4から液状もしくは流動体状の塗液(たとえば、粘着層Adやセパレート層Spの塗工膜を形成する塗液)を吐出すると共に、ベース部材Fmの厚さ方向の一方の面(他方の面でもよい。)の面内方向であって開口部4の長手方向に対して交差する方向(たとえば直交する方向;図4に示す矢印の方向)に、ベース部材Fmをダイ17に対して相対的に移動し、ベース部材Fmの厚さ方向の一方の面に、塗液を膜状に塗布するように構成されている。
【0036】
また、塗工機11は、開口部4の幅方向(図4の紙面に直交する方向)の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さ(たとえば、開口部4の幅方向の両端部における塗工膜の最大厚さ)が、開口部4の幅方向の中間部(開口部の幅方向の両端部およびこの近傍以外の部位)における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚くするように(2μm〜10μm;より好ましくは、2μm〜6μm)構成されている。
【0037】
ここで、開口部4の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さについてより詳しく説明する。
【0038】
横軸をベース部材Fmの幅方向(ダイ17の開口部4の幅方向)の位置とし、縦軸を塗工膜の厚さとした図3に示すグラフから理解されるように、塗工膜は、この厚さにより、ベース部材Fmの幅方向において、3つの部位に分けることができる。
【0039】
まず、詳しくは後述する第1の実施例に係る図3(a)のグラフで説明する。図3(a)における、ベース部材Fmの幅方向における一方の端部からこの近傍における1つ目の部位(ベース部材Fmの幅の一方の端部からの距離が0mm〜250mmの部位)では、一方の端部から離れるにしたがって、高周波成分を無視すれば、塗工膜の厚さが次第に薄くなっている。また、ベース部材Fmの幅方向における中間に存在する2つ目の部位(250mm〜1100mm)では、高周波成分を無視すれば、塗工膜の厚さがほぼ一定になっている。さらに、ベース部材Fmの幅方向における他方の端部からこの近傍における3つ目の部位(1100mm〜1350mm)では、他方の端部に近づくにしたがって、高周波成分を無視すれば、塗工膜の厚さが次第に厚くなっている。
【0040】
ここで、図3(a)に示す第1の実施例に係る2つ目の部位における塗工膜の平均厚さは、24.7μm程度であり、この24.7μmを、ダイ17の開口部4の幅方向における中間部での塗工膜の平均厚さとしている。
【0041】
次に、同様にして第2の実施例(図3(b)参照)では、2つ目の部位における塗工膜の平均厚さ25.0μmを、ダイ17の開口部4の幅方向における中間部での塗工膜の平均厚さとしている。
【0042】
次に、同様にして比較例(図3(c)参照)では、2つ目の部位における塗工膜の平均厚さ24.7μmを、ダイの開口部の長手方向における中間部での塗工膜の平均厚さとしている。
【0043】
なお、2つ目の部位であるベース部材Fmの幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さは、上述したように24μm〜25μm程度になっているが、上述したように、20μm〜300μmの範囲内にあればよい。
【0044】
塗工機11は、ダイ17(17A,17B)の他に、たとえば、ベース部材原反設置装置(シート原反設置装置)13と、ガイドローラ15(15A,15B)と、ベース部材巻き取り装置(シート巻き取り装置)21とを備えて構成されている。
【0045】
ベース部材原反設置装置13は、ロール状のベース部材原反Fm1を設置するための装置である。ロール状のベース部材原反Fm1は、所定の幅で長く形成されているシート状のベース部材Fmを、円筒状もしくは円柱状の芯材W1の外周に、シート状のベース部材Fm(塗液が塗布されていないベース部材Fm)の長手方向と芯材W1の周方向とがお互い一致するよにして巻き重ね、円柱状に形成したものである。
【0046】
ガイドローラ15(15A)は、円柱状に形成されており、この外周に、シート状のベース部材Fmを接触させて、ベース部材Fmをガイドしつつ移送(移動)するためのものである。
【0047】
ベース部材巻き取り装置21は、塗液が塗布されたベース部材Fmを、芯材W2により巻き取って、ベース部材原反Fm1と同様な円柱状のロール巻き塗工フィルムFm2にするための装置である。
【0048】
そして、ベース部材原反設置装置13に設置されたベース部材原反Fm1からシート状のベース部材Fmが繰り出され、この繰り出されたベース部材Fmが、回転するガイドローラ15(15A,15B)でガイドされつつ移送(搬送)されベース部材巻き取り装置21で巻き取られるようになっている。すなわち、図4で示すように、ベース部材Fmがこの長手方向(矢印の方向)で移送され、この移送がされるときに、ガイドローラ15(15A,15B)の近傍に設置されているダイ17(17A,17B)によって、塗液の塗布がなされ塗工膜が形成されるようになっている。
【0049】
なお、ベース部材巻き取り装置21は、図示しないモータ等のアクチュエータによって、芯材W2を回転駆動し、塗液が塗布された塗工済みベース部材Fmを巻き取るように構成されている。また、ベース部材原反設置装置13には、芯材W1に回転抵抗を付与するための抵抗付与手段(ブレーキやダンパ)が設けられている。そして、ベース部材原反設置装置13とベース部材巻き取り装置21とに延びているベース部材Fmには、この長手方向で張力がかかるようになっている。
【0050】
また、塗工機11には、たとえば、2つのダイ17A、17Bが設けられており、ダイ17Aから吐出された塗液で、ベース部材Fmに粘着層Adが形成され、次に、ダイ17Bから吐出された塗液で、粘着層Adの上にセパレート層Spが重ねられて形成されるようになっている。すなわち、ベース部材Fmに2層の塗工膜が形成されるようになっている。ダイ17Aには、粘着層Adを形成するための塗液が塗液タンク19Aから供給されるようになっており、ダイ17Bには、セパレート層Spを形成するための塗液が塗液タンク19Bから供給されるようになっている。
【0051】
ベース部材巻き取り装置21により形成されたロール巻き塗工フィルム(ロール状のベース部材)Fm2では、図7で示すように、ベース部材Fm、粘着層Ad、セパレート層Sp・・・のように重なっている。そして、たとえば、ベース部材(ベースPET)Fmの厚さt1が、125μmになっており、粘着層Adの厚さt2が25μmになっており、セパレート層Spの厚さt3が38μmになっている。なお、粘着層Adの厚さt2とセパレート層Spの厚さt3とは、図3で示した2つ目の部位における平均厚さに相当するものである。
【0052】
図4で示した塗工機11では、2層の塗工膜を設けているが、1層の塗工膜を設ける構成であってもよいし、3層以上の複数の塗工膜を設ける構成であってもよい。
【0053】
図3に示す塗工膜の厚さは、たとえば、粘着層Adの厚さとセパレート層Spの厚さとの和である。ここで、上述したようにベース部材Fmの幅方向における両端部の厚さを、中間部の厚さよりも厚くする場合、粘着層Adの厚さのみをベース部材Fmの幅方向で変えてもよいし、セパレート層Spの厚さのみをベース部材Fmの幅方向で変えてもよいし、粘着層Adの厚さとセパレート層Spの厚さとの両方をベース部材Fmの幅方向で変えてもよい。
【0054】
ここで、ダイ17について、図9を参照しつつより詳しく説明する。
【0055】
ダイ17は、第1のリップ23と第2のリップ25とシム1とを備えて構成されている。
【0056】
第1のリップ23は、2つの角が直角である台形を底面とする四角柱状に形成されている。そして、四角柱の各底面を構成している台形における各下底をお互いに結ぶ矩形状の1つの側面の中央部に、凹部27が形成されており、この凹部27が塗液を溜めるための液溜め部(シム1の液溜め部2とつながっている液溜め部)29を構成している。第2のリップ25も第1のリップ23と同様に形成されている。そして、図示しない塗液供給孔を介して、塗液タンク19から液溜め部29内に塗液が供給されるようになっている。
【0057】
なお、ここでは、説明の便宜のために、第1のリップ23における四角柱の高さ方向を第1のリップ23(第2のリップ25;シム1;ダイ17)の幅方向とし、第1のリップ23のおける四角柱の底面の台形における上底や下底の延伸方向を第1のリップ23(第2のリップ25;シム1;ダイ17)の縦方向とし、上記幅方向と上記縦方向とに直交する方向を第1のリップ23(第2のリップ25;シム1;ダイ17)の厚さ方向とする。
【0058】
シム1は、幅方向の寸法が各リップ23,25の幅方向の寸法とほぼ等しく縦方向の寸法が各リップ23,25の縦方向の寸法(下底の長さ)とほぼ等しい矩形な平板状の素材に、切り欠き31を設けた形状に形成されている。
【0059】
切り欠き31は、第1の部位33と、第2の部位35とを備えて構成されている。第1の部位33は、矩形状に形成されており、素材(シム1)の幅方向および縦方向の中間部で、素材の厚さ方向に貫通して設けられている。第2の部位35は、等脚台形状に形成されており、素材の幅方向では、この中間部で、素材の縦方向では、この一端部側で、素材の厚さ方向に貫通して設けられている。
【0060】
なお、素材の幅方向では、素材の中心と切り欠き31の各部位33,35の中心とがお互いに一致している。また、第2の部位35は、下底のところで第1の部位33につながっており、上底が、素材の外縁のところに位置している。また、上底の寸法bは、下底の寸法aよりも小さく、下底の寸法aは、第1の部位の幅方向における寸法eよりも小さくなっている。これにより、塗液の液溜め部2の開口部から塗液吐出部の開口部4に向かって、塗液吐出部(スリット)3がテーパ状に形成されていることになる。
【0061】
第1の部位33の幅寸法は、各リップ23,25の凹部27の幅寸法とほぼ等しくなっており、第1の部位33の縦寸法は、各リップ23,25の凹部27の縦寸法とほぼ等しくなっている。これにより、塗液の液溜め部2,29の開口幅aが塗液吐出部3の開口部4の幅bより広くなっている。
【0062】
そして、シム1の厚さ方向の一方の面と、第1のリップ23の凹部27が形成されている面とがお互いに面接触し、シム1の厚さ方向の他方の面と、第2のリップ25の凹部27が形成されている面とがお互いに面接触するようにして、各リップ23,25でシム1を挟み込むことによりダイ17が形成されるようになっている。
【0063】
これにより、液溜め部2,29の供給された塗液が、スリット3を通って吐出されるときに、スリット3の開口部4の幅方向の両端部での塗液の流速が速くなり、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さが厚くなる。
【0064】
なお、ダイ17が形成された状態で、ダイ17をこの厚さ方向から見ると、各リップ23,25とシム1とがお互いに重なっており、各リップ23,25の凹部27とシム1の切り欠き31の第1の部位33とがお互いに重なっている。
【0065】
そして、ダイ17におけるシム1の切り欠き31の第2の部位35が塗液吐出部(スリット)3を形成している。シム1の切り欠き31の第2の部位35の上底の部位が、塗液吐出部3の先端部5を形成している。
【0066】
なお、前述したように、図9(図2)に示す寸法aが、図9(図2)に示す寸法bよりも、2〜10mm大きくなっている。より好ましくは、図9(図2)に示す寸法aが、図9(図2)に示す寸法bよりも、2〜5mm大きくなっている。
【0067】
ところで、塗工機11では、ダイ17のシム1に形成された切り欠き31の第2の部位35の形状を等脚台形状にして、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くしているが、切り欠き31の第2の部位35の形状を適宜変更してもよい。たとえば、図10(シム1の変形例を示す図)で示すように、切り欠き31の第1の部位33からの距離xが増加するにしたがって、スリット3の幅寸法yが次第に小さくなるように、第2の部位35を形成すると共に、距離xが増加するにしたがって、幅寸法yが小さくなる割合が次第に減少するようにしてもよい。
【0068】
さらに、ダイ17の形態を、図11〜図12で示すように、適宜変更して、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くするようにしてもよい。この場合、上述したダイ17を、各リップ23,25とシム1とで構成することなく、たとえば、シムを削除してリップに適宜の凹部を設け、スリットを形成するようにしてもよい。なお、スリットの幅寸法は、一定になっているものとする。
【0069】
図11は、変形例に係るダイを示す図であり、ダイ17を図5の矢印A5や図9の矢印A9の方向から見たときの図である。
【0070】
図11では、開口部4の幅方向(図11の左右方向)における両端部で、開口部4の厚さ寸法(図11の上下方向における寸法)が、大きくなっている。さらに、図11(a)では、開口部4の幅方向における両端部が三角形状に形成されており、開口部4の厚さ寸法が、端部に近づくにしたがって、次第に大きくなっている。一方、図11(b)では、開口部4の幅方向における両端部が矩形状に形成されており、開口部4の厚さ寸法が、端部とこの近傍において一定の値でだけ大きくなっている。
【0071】
図11で示したように開口部4を形成したことにより、開口部4の両端部での塗液の吐出量が増え、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さが厚くなる。
【0072】
図12も、図1の場合と同様な変形例に係るダイを示す図である。
【0073】
図12では、開口部4の厚さが一定になっているが、液溜め部2,29内における塗液の圧力を、開口部4の幅方向(図12の左右方向)で変えて、ベース部材Fmに設けられる塗工膜の厚さを変えている。たとえば、開口部4の幅方向の両端部側における液溜め部2,29内の塗液の圧力を、開口部4の幅方向の中間部における液溜め部2,29内の塗液の圧力よりも高くして、開口部4の幅方向の両端部側における塗液の吐出量(吐出速度)を増やし、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くしている。
【0074】
なお、図12(a)では、液溜め部2,29内に塗液を供給する各塗液供給孔37,39の内径を変えている。すなわち、中央部に設けられている塗液供給孔37の内径よりも、両端部に設けられている各塗液供給孔39の内径を大きくしている。
【0075】
図12(b)では、塗液供給孔37を中央に設け、液溜め部2,29の断面積(液溜め部2,29の幅方向;図12(b)の左右方向に直交する平面による液溜め部2,29の断面の面積)が、両端部に近づくにしたがって、次第に小さくしてある。
【0076】
なお、図3(a)、(b)や図9図10で示す形態、図11で示す形態、図12で示す形態を適宜組み合わせて、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くしてもよい。
【0077】
ここで、塗工機11における塗工膜の形成動作について説明する。
【0078】
塗工機11では、ベース部材Fmを図4で示す矢印のように移送し、ベース部材Fmに、各ダイ17A,17Bにより塗液を膜状に塗布する。
【0079】
より詳しく説明すると、ローラ15Aのところに設けられているダイ17Aから吐出した塗液で粘着層Adを形成し、ローラ15Bのところに設けられているダイ17Bから吐出した塗液でセパレート層Spを形成する。なお、ダイ17Aとダイ17Bとの間で、ダイ17Aで形成された粘着層Adが、たとえば、乾燥しているかもしくは半乾燥するものとする。また、ダイ17Bとベース材巻き取り装置21の間で、ダイ17Bで形成されたセパレート層Spが、たとえば、乾燥しているかもしくは半乾燥するものとする。
【0080】
そして、ベース材巻き取り装置21で、ロール巻き塗工フィルム(ロール状のシート)Fm2を形成する。
【0081】
ロール巻き塗工フィルムFm2では、塗工液で形成された塗工膜の厚さが、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部における平均厚さに比べて、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の両端部で、2μm〜10μm厚くなっている。
【0082】
換言すれば、ロール巻き塗工フィルムFm2が、このベース部材Fmの長手方向で所定の張力をもって芯材W2に巻き付けられていると共に、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の両端部では、重なって層状に巻き付けられている各塗工済みベース部材同士が接触しており、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部では、図7(ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部におけるロール巻き塗工フィルムFm2の形態を示す図)で示すように、層状に巻き付けられている各塗工済みベース部材同士の間隔Dsが、2μm〜10μmになっている。
【0083】
塗工機11によれば、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部で、各塗工済みベース部材同士の間隔Dsが、2μm〜10μmになっているので、ロール巻き取りでの異物巻込みによる局所歪の発生を低減することが可能である。また、局部厚みむらによる巻コブの発生を防止することができる。
【0084】
すなわち、塗工膜の厚さが一定であると、ベース部材巻き取り装置21で塗工済みベース部材を巻いてロール巻き塗工フィルムFm2を形成するときに塗工済みベース部材の間に微小な異物を挟んでしまうと、図8に示すように、寸法h1(たとえば、平均6μm程度;標準偏差2μm程度)の盛り上がり部位が形成されてしまう。そして、この盛り上がりによって局所歪が形成されてしまう。
【0085】
一方、塗工機11で形成されたロール巻き塗工フィルムFm2では、幅方向の中間部で、2μm〜10μmの隙間があいているので、微小な異物を挟んでしまった場合であっても、盛り上がり部位が形成されにくく、局所歪が形成されにくくなる。
【0086】
本発明に係るロール巻き塗工フィルムは、ほぼ一定の厚さのフィルムとして使用に供するために、使用に際しては、両端部の厚い部分を切断して、中間部のみを供することができる。このようなフィルムは、光学フィルム、ディスプレイ前面向けの電磁波シールドフィルム用のベースフィルムなどに有用である。
【実施例】
【0087】
以下、溶剤系の塗液を用いて25μmの塗布厚みにて塗工した場合について説明するが、樹脂物性、厚みに関してこれに限定されるものではない。
【0088】
塗工に用いる樹脂(塗液)は、供給タンクからポンプを用いて塗液の液溜め部に定量供給される。この場合、タンクを直接Airにて加圧するいわゆる圧空送液供給しても良い。上記ポンプ又はAir圧空により塗布厚み25μmに調整して塗液の液量を調整する。
【0089】
その後、塗液は液溜め部から塗液吐出部の先端開口部に流れ出て、基材(対象面)に塗布される。塗液吐出部の厚みdが700μmのシムをスペーサーとして、溶剤系樹脂(粘度1500cps/25℃)を塗工した。この時の塗工圧力はポンプ回転数を調整して0.2MPaとした。その後、溶剤乾燥後カバーフィルムをラミネートし、ロール状に巻き取って、ロール巻フィルムを得た。
【0090】
実施例1
図2のc(テーパ量)=3mmの形状を有するシムを用いて、スリットダイコータにより、上記方法により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材上に25μm厚みの塗工面(塗工膜)を得た。
【0091】
実施例2
図2のc(テーパ量)=6mmの形状を有するシムを用いた以外は実施例1と同様にして、25μm厚みの塗工面(塗工膜)を得た。
【0092】
比較例1
図1の形状を有するシムを用いた以外は実施例1と同様にして、25μm厚みの塗工面(塗工膜)を得た。
【0093】
実施例1,2で得られたロール巻フィルムは、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間を有しているのに対して、比較例1で得られたロール巻きフィルムでは1μm程度の隙間しかないことを確認した。
【0094】
次に、実施例1、実施例2及び比較例1で得た塗工面(塗工膜)の膜厚分布と歪み不良率を以下の通り測定した。
【0095】
(塗工面の膜厚分布の測定方法)
非接触式薄膜測定装置(フィルメトリクス社製、F20)により幅方向の膜厚分布を測定した。測定は塗工樹脂のみの厚みを測定した。
【0096】
(歪み不良率の測定方法)
歪不良率は全数外観目視検査結果から算出した。検査箇所は1箇所1mとし、1m毎に目視検査して、歪が観察された検査箇所(1m)を不良箇所と見なし、不良箇所数/検査箇所数×100(%)を歪不良率とした。
【0097】
測定結果を表1に、塗工面幅方向厚み分布とシム形状を図3に示す。
【表1】
【0098】
実施例1では端部厚み(平均厚みとの差から算出した盛上り量)が2.3μm厚く、歪不良率は0.4%であった。実施例2では端部厚みが5.0μm厚く、不良率は0.3%であったが、わずかに巻ズレが発生してしまった。
【0099】
これに対して、比較例1では、表1に示すとおり、端部厚みが1.0μm厚く、歪不良率は3.3%であった。
【0100】
ところで、上述したものを、塗工フィルム巻き取り方法として把握してもよい。
【0101】
すなわち、シート状のベース部材の厚さ方向の一方の面の塗工液を膜状に塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材(塗工済みフィルム)を、たとえば、塗工液を乾燥もしくは半乾燥させて巻くことにより巻き塗工フィルムを形成する塗工フィルム巻き取り方法であって、前記塗工液で形成された膜の厚さが、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部における平均厚さに比べて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部で、2μm〜10μm厚くなっている塗工フィルム巻き取り方法として把握してもよい。
【0102】
また、シート状のベース部材の厚さ方向の一方の面の塗工液を膜状に塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材(塗工済みフィルム)を、たとえば、塗工液を乾燥もしくは半乾燥させて巻くことにより巻き塗工フィルム(ロール状のシート)を形成する塗工フィルム巻き取り方法であって、前記塗工済みベース部材が、この長手方向で所定の張力をもって芯材に巻き付けられると共に、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部では、重なって層状に巻き付けられている前記各塗工済みベース部材同士が接触し、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部では、層状に巻き付けられている前記各塗工済みベース部材同士の間隔が、2μm〜10μmになる塗工フィルム巻き取り方法として把握してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 シム
2 塗液の液溜め部
3 塗液吐出部
4 塗液吐出部の開口部
5 塗液吐出部の先端部
11 塗工機
17(17A,17B) ダイ
a 塗液の液溜め部の開口幅
b 塗液吐出部の開口幅
c テーパ量(aとbの差)
d 厚み
Fm フィルム
Ad 粘着層(塗工膜)
Sp セパレート層(塗工膜)
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工方法、塗工機、塗工フィルムの巻き取り方法及びロール巻き塗工フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
塗工機には、ダイコータ、コンマコータ、グラビアコータ、リップコータ等、目的に合わせて種々の塗工方式のものが用いられている。いずれの方式であっても製品用途により塗工面の高い平坦性が求められる場合があり、この場合液物性をはじめ、液供給方式、塗工方式等の塗工方法の検討が行なわれる。塗工面の平坦性という点については、特に塗工面の端部膜厚ばらつきが指摘され、これを解決するため、ダイコータの口金形状を曲線状にする等の提案がなされている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、塗工品がフィルム製品で、ロールtoロールの製造方法においてはロール巻取りでの異物巻込みによる製品の局所歪が問題となる。
【0004】
ロール巻き塗工フィルム製品の局所歪については、特に光学フィルム関連製品において要求が厳しく、これを解決するため、異物除去方法、巻取り条件の検討やフィルム端部のナール処理の提案がなされている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−864号公報
【特許文献2】特開平9−288329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、完全な異物巻込み防止は困難で、局所歪の発生を防止することは出来なかった。本発明の目的は、ロール巻取り部で異物を巻込んだとしても局所歪の発生が低減される塗工方法及び塗工機、局所歪みの少ない塗工フィルムのロール巻き取り方法及びロール巻き塗工フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、鋭意検討の結果、ロール巻フィルム製品の巻き取られたフィルム同士の間(層間)の隙間が狭いと局所歪が発生しやすいこと、特許文献1に記載のように塗工面平坦化により塗工面端部と中央部との膜厚バラツキが小さくなると、結果として、ロールに巻き取った時に層間の隙間が狭くなって局所歪みが発生しやすくなり、逆に塗工面端部の塗工厚みをその他の部分に比べて厚くすることで、局所歪みが低減できること、そのような塗工を実現するために、溜め部の開口部から塗液吐出部の開口部に向かってテーパ状に狭まる形状を有する塗工機が有効であることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に関する。
【0009】
(1)塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜厚みにおいて、幅方向端部の厚みが、塗工面の平均厚みに対して2μm以上厚くすることを特徴とする塗工方法。
【0010】
(2)塗工膜の平均厚みが10μm以上である上記(1)に記載の塗工方法。
【0011】
(3)塗液の液溜め部及び塗液吐出部を有する塗工機であって、塗液の液溜め部の開口幅が塗液吐出部の開口幅より広く、塗液の液溜め部の開口部から塗液吐出部の開口部に向かってテーパ状に狭まる形状を有することを特徴とする塗工機。
【0012】
(4)塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜10mm広いことを特徴とする上記(3)に記載の塗工機。
【0013】
(5)塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜5mm広いことを特徴とする上記(3)に記載の塗工機。
【0014】
(6)上記(3)〜(5)のいずれかに記載の塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜の平均厚みが10μm以上である塗工方法。
【0015】
(7)塗工フィルムの巻き取り方法であって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間が発生するように、フィルムをロール状に巻き取ることを特徴とする塗工フィルムの巻き取り方法。
【0016】
(8)塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間を有することを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【0017】
(9)塗工膜を有する塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、塗工面の塗工膜の幅方向端部の厚みが、塗工面の塗工膜の平均厚みに対して2μm以上厚いことを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【0018】
(10)ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工機において、前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚くなるように構成されている塗工機。
【0019】
(11)ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工方法において、前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚い塗工をする塗工方法。
【0020】
(12)ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、前記塗工液で形成された塗工膜の厚さが、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部における平均厚さに比べて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部で、2μm以上厚くなっているロール巻き塗工フィルム。
【0021】
(13)ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部では、前記各塗工済みベース部材同士が接触しており、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部では、前記各塗工済みベース部材同士の間隔が、2μm〜10μmになっているロール巻き塗工フィルム。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、ロール巻き取りでの異物巻込みによる局所歪の発生を低減することが可能である。また、局部厚みむらによる巻コブの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の塗工機の塗液の液溜め部と塗液吐出部の構造例を示すスリットダイコータのシムを示す図である。
【図2】本発明の塗工機の塗液の液溜め部と塗液吐出部の構造例を示すスリットダイコータのシムを示す図である。
【図3】実施例及び比較例のシム形状及び塗工面幅方向厚み分布を示す図である。
【図4】塗工機の概略構成を示す図である。
【図5】図4におけるV部の拡大図である。
【図6】図4におけるVI部の拡大図である。
【図7】図4におけるVII部の拡大図である。
【図8】ロール巻き塗工フィルムの各塗工済みベース部材の間に異物を挟み込んだ状態を示す図である。
【図9】ダイの分解斜視図である。
【図10】シムの変形例を示す図である。
【図11】ダイの変形例を示す図である。
【図12】ダイの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の塗工機の実施形態を説明する。
【0025】
たとえば、塗工機として、塗液吐出用スリットを設けたスリットダイコータを用いた場合、塗工機の塗液の液溜め部の開口幅、塗液吐出部の開口幅、及び塗液吐出部の先端部の形状は、スリット間隔を形成するシム(スペーサー)の形状により調整することが可能である。以下、スリットダイコータのシムの形状図を元に、本発明を説明する。
【0026】
図1は、従来の塗工機の塗液の液溜め部と塗液吐出部の平面構造を示す一例として、従来のスリットダイコータのシムを示す図である。図1の斜線部は塗液の液溜め部2であり、塗液は液溜め部2から塗液吐出部3の先端部5に流れ出て、開口部4の対象面に塗布される。
【0027】
図2は、本発明の塗工機11(4参照)の塗液の液溜め部2と塗液吐出部(スリット)3の構造を示す一例として、スリットダイコータ(ダイ)17(ダイ17の分解斜視図である図9参照)のシム1を示す図である。塗液の液溜め部2の開口幅aが塗液吐出部3の開口幅bより広く、すなわち、a>bとなるように、テーパ状の加工がなされている。
【0028】
塗液の液溜め部2の開口幅aと塗液吐出部3の開口幅bとの差(テーパ量)cは、局所歪低減の観点から2〜10mmの範囲であることが好ましく、巻きズレの観点も考慮すると2〜5mmの範囲であることがより好ましい。2mm未満では歪低減の効果が小さく、10mmを超えると幅方向端部の厚みが厚くなりすぎて巻ズレが発生しやすくなる傾向にある。
【0029】
塗液吐出部3(シム1)の厚み(図9参照)dは、樹脂供給圧力の観点から、200μm〜1000μmの範囲で設定されることが好ましい。塗液吐出部3の厚みが200μm未満では樹脂供給圧力が高すぎて吐出部3及び液溜め部2が変形しやすくなる傾向にあり、1000μmを超えると逆に圧力が低く、幅方向中央部の厚みが薄くなる傾向にある。
【0030】
本発明の塗工機11に用いられるシム1の材質としては特に限定はないが、樹脂、金属などが好ましく、中でも剛性や精度の点を考慮すると、ステンレス鋼がより好ましく、SUS合金がより好ましい。
【0031】
本発明の塗工機11は、塗工膜厚が10μm以上である場合が好ましく、20μm〜300μmの場合に、より好ましく用いられる。また、本発明の塗工機11は、塗工対象面が凹凸を有する場合にも有効である。
【0032】
ここで、塗工機11等についてさらに説明する。
【0033】
図4は、塗工機11の概略構成を示す図であり、図5は、図4におけるV部の拡大図であり、図6は、図4におけるVI部の拡大図であり、図7は、図4におけるVII部の拡大図である。
【0034】
塗工機11では、ダイ17(17A,17B)に形成されている細長い開口部4(塗液吐出部の先端部5)を、フィルム状(シート状)のベース部材Fmから僅かに離して設置してある。また、塗工機11では、開口部4を、ベース部材Fmの厚さ方向の一方の面に対向させて設置してある。
【0035】
そして、塗工機11は、開口部4から液状もしくは流動体状の塗液(たとえば、粘着層Adやセパレート層Spの塗工膜を形成する塗液)を吐出すると共に、ベース部材Fmの厚さ方向の一方の面(他方の面でもよい。)の面内方向であって開口部4の長手方向に対して交差する方向(たとえば直交する方向;図4に示す矢印の方向)に、ベース部材Fmをダイ17に対して相対的に移動し、ベース部材Fmの厚さ方向の一方の面に、塗液を膜状に塗布するように構成されている。
【0036】
また、塗工機11は、開口部4の幅方向(図4の紙面に直交する方向)の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さ(たとえば、開口部4の幅方向の両端部における塗工膜の最大厚さ)が、開口部4の幅方向の中間部(開口部の幅方向の両端部およびこの近傍以外の部位)における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚くするように(2μm〜10μm;より好ましくは、2μm〜6μm)構成されている。
【0037】
ここで、開口部4の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さについてより詳しく説明する。
【0038】
横軸をベース部材Fmの幅方向(ダイ17の開口部4の幅方向)の位置とし、縦軸を塗工膜の厚さとした図3に示すグラフから理解されるように、塗工膜は、この厚さにより、ベース部材Fmの幅方向において、3つの部位に分けることができる。
【0039】
まず、詳しくは後述する第1の実施例に係る図3(a)のグラフで説明する。図3(a)における、ベース部材Fmの幅方向における一方の端部からこの近傍における1つ目の部位(ベース部材Fmの幅の一方の端部からの距離が0mm〜250mmの部位)では、一方の端部から離れるにしたがって、高周波成分を無視すれば、塗工膜の厚さが次第に薄くなっている。また、ベース部材Fmの幅方向における中間に存在する2つ目の部位(250mm〜1100mm)では、高周波成分を無視すれば、塗工膜の厚さがほぼ一定になっている。さらに、ベース部材Fmの幅方向における他方の端部からこの近傍における3つ目の部位(1100mm〜1350mm)では、他方の端部に近づくにしたがって、高周波成分を無視すれば、塗工膜の厚さが次第に厚くなっている。
【0040】
ここで、図3(a)に示す第1の実施例に係る2つ目の部位における塗工膜の平均厚さは、24.7μm程度であり、この24.7μmを、ダイ17の開口部4の幅方向における中間部での塗工膜の平均厚さとしている。
【0041】
次に、同様にして第2の実施例(図3(b)参照)では、2つ目の部位における塗工膜の平均厚さ25.0μmを、ダイ17の開口部4の幅方向における中間部での塗工膜の平均厚さとしている。
【0042】
次に、同様にして比較例(図3(c)参照)では、2つ目の部位における塗工膜の平均厚さ24.7μmを、ダイの開口部の長手方向における中間部での塗工膜の平均厚さとしている。
【0043】
なお、2つ目の部位であるベース部材Fmの幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さは、上述したように24μm〜25μm程度になっているが、上述したように、20μm〜300μmの範囲内にあればよい。
【0044】
塗工機11は、ダイ17(17A,17B)の他に、たとえば、ベース部材原反設置装置(シート原反設置装置)13と、ガイドローラ15(15A,15B)と、ベース部材巻き取り装置(シート巻き取り装置)21とを備えて構成されている。
【0045】
ベース部材原反設置装置13は、ロール状のベース部材原反Fm1を設置するための装置である。ロール状のベース部材原反Fm1は、所定の幅で長く形成されているシート状のベース部材Fmを、円筒状もしくは円柱状の芯材W1の外周に、シート状のベース部材Fm(塗液が塗布されていないベース部材Fm)の長手方向と芯材W1の周方向とがお互い一致するよにして巻き重ね、円柱状に形成したものである。
【0046】
ガイドローラ15(15A)は、円柱状に形成されており、この外周に、シート状のベース部材Fmを接触させて、ベース部材Fmをガイドしつつ移送(移動)するためのものである。
【0047】
ベース部材巻き取り装置21は、塗液が塗布されたベース部材Fmを、芯材W2により巻き取って、ベース部材原反Fm1と同様な円柱状のロール巻き塗工フィルムFm2にするための装置である。
【0048】
そして、ベース部材原反設置装置13に設置されたベース部材原反Fm1からシート状のベース部材Fmが繰り出され、この繰り出されたベース部材Fmが、回転するガイドローラ15(15A,15B)でガイドされつつ移送(搬送)されベース部材巻き取り装置21で巻き取られるようになっている。すなわち、図4で示すように、ベース部材Fmがこの長手方向(矢印の方向)で移送され、この移送がされるときに、ガイドローラ15(15A,15B)の近傍に設置されているダイ17(17A,17B)によって、塗液の塗布がなされ塗工膜が形成されるようになっている。
【0049】
なお、ベース部材巻き取り装置21は、図示しないモータ等のアクチュエータによって、芯材W2を回転駆動し、塗液が塗布された塗工済みベース部材Fmを巻き取るように構成されている。また、ベース部材原反設置装置13には、芯材W1に回転抵抗を付与するための抵抗付与手段(ブレーキやダンパ)が設けられている。そして、ベース部材原反設置装置13とベース部材巻き取り装置21とに延びているベース部材Fmには、この長手方向で張力がかかるようになっている。
【0050】
また、塗工機11には、たとえば、2つのダイ17A、17Bが設けられており、ダイ17Aから吐出された塗液で、ベース部材Fmに粘着層Adが形成され、次に、ダイ17Bから吐出された塗液で、粘着層Adの上にセパレート層Spが重ねられて形成されるようになっている。すなわち、ベース部材Fmに2層の塗工膜が形成されるようになっている。ダイ17Aには、粘着層Adを形成するための塗液が塗液タンク19Aから供給されるようになっており、ダイ17Bには、セパレート層Spを形成するための塗液が塗液タンク19Bから供給されるようになっている。
【0051】
ベース部材巻き取り装置21により形成されたロール巻き塗工フィルム(ロール状のベース部材)Fm2では、図7で示すように、ベース部材Fm、粘着層Ad、セパレート層Sp・・・のように重なっている。そして、たとえば、ベース部材(ベースPET)Fmの厚さt1が、125μmになっており、粘着層Adの厚さt2が25μmになっており、セパレート層Spの厚さt3が38μmになっている。なお、粘着層Adの厚さt2とセパレート層Spの厚さt3とは、図3で示した2つ目の部位における平均厚さに相当するものである。
【0052】
図4で示した塗工機11では、2層の塗工膜を設けているが、1層の塗工膜を設ける構成であってもよいし、3層以上の複数の塗工膜を設ける構成であってもよい。
【0053】
図3に示す塗工膜の厚さは、たとえば、粘着層Adの厚さとセパレート層Spの厚さとの和である。ここで、上述したようにベース部材Fmの幅方向における両端部の厚さを、中間部の厚さよりも厚くする場合、粘着層Adの厚さのみをベース部材Fmの幅方向で変えてもよいし、セパレート層Spの厚さのみをベース部材Fmの幅方向で変えてもよいし、粘着層Adの厚さとセパレート層Spの厚さとの両方をベース部材Fmの幅方向で変えてもよい。
【0054】
ここで、ダイ17について、図9を参照しつつより詳しく説明する。
【0055】
ダイ17は、第1のリップ23と第2のリップ25とシム1とを備えて構成されている。
【0056】
第1のリップ23は、2つの角が直角である台形を底面とする四角柱状に形成されている。そして、四角柱の各底面を構成している台形における各下底をお互いに結ぶ矩形状の1つの側面の中央部に、凹部27が形成されており、この凹部27が塗液を溜めるための液溜め部(シム1の液溜め部2とつながっている液溜め部)29を構成している。第2のリップ25も第1のリップ23と同様に形成されている。そして、図示しない塗液供給孔を介して、塗液タンク19から液溜め部29内に塗液が供給されるようになっている。
【0057】
なお、ここでは、説明の便宜のために、第1のリップ23における四角柱の高さ方向を第1のリップ23(第2のリップ25;シム1;ダイ17)の幅方向とし、第1のリップ23のおける四角柱の底面の台形における上底や下底の延伸方向を第1のリップ23(第2のリップ25;シム1;ダイ17)の縦方向とし、上記幅方向と上記縦方向とに直交する方向を第1のリップ23(第2のリップ25;シム1;ダイ17)の厚さ方向とする。
【0058】
シム1は、幅方向の寸法が各リップ23,25の幅方向の寸法とほぼ等しく縦方向の寸法が各リップ23,25の縦方向の寸法(下底の長さ)とほぼ等しい矩形な平板状の素材に、切り欠き31を設けた形状に形成されている。
【0059】
切り欠き31は、第1の部位33と、第2の部位35とを備えて構成されている。第1の部位33は、矩形状に形成されており、素材(シム1)の幅方向および縦方向の中間部で、素材の厚さ方向に貫通して設けられている。第2の部位35は、等脚台形状に形成されており、素材の幅方向では、この中間部で、素材の縦方向では、この一端部側で、素材の厚さ方向に貫通して設けられている。
【0060】
なお、素材の幅方向では、素材の中心と切り欠き31の各部位33,35の中心とがお互いに一致している。また、第2の部位35は、下底のところで第1の部位33につながっており、上底が、素材の外縁のところに位置している。また、上底の寸法bは、下底の寸法aよりも小さく、下底の寸法aは、第1の部位の幅方向における寸法eよりも小さくなっている。これにより、塗液の液溜め部2の開口部から塗液吐出部の開口部4に向かって、塗液吐出部(スリット)3がテーパ状に形成されていることになる。
【0061】
第1の部位33の幅寸法は、各リップ23,25の凹部27の幅寸法とほぼ等しくなっており、第1の部位33の縦寸法は、各リップ23,25の凹部27の縦寸法とほぼ等しくなっている。これにより、塗液の液溜め部2,29の開口幅aが塗液吐出部3の開口部4の幅bより広くなっている。
【0062】
そして、シム1の厚さ方向の一方の面と、第1のリップ23の凹部27が形成されている面とがお互いに面接触し、シム1の厚さ方向の他方の面と、第2のリップ25の凹部27が形成されている面とがお互いに面接触するようにして、各リップ23,25でシム1を挟み込むことによりダイ17が形成されるようになっている。
【0063】
これにより、液溜め部2,29の供給された塗液が、スリット3を通って吐出されるときに、スリット3の開口部4の幅方向の両端部での塗液の流速が速くなり、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さが厚くなる。
【0064】
なお、ダイ17が形成された状態で、ダイ17をこの厚さ方向から見ると、各リップ23,25とシム1とがお互いに重なっており、各リップ23,25の凹部27とシム1の切り欠き31の第1の部位33とがお互いに重なっている。
【0065】
そして、ダイ17におけるシム1の切り欠き31の第2の部位35が塗液吐出部(スリット)3を形成している。シム1の切り欠き31の第2の部位35の上底の部位が、塗液吐出部3の先端部5を形成している。
【0066】
なお、前述したように、図9(図2)に示す寸法aが、図9(図2)に示す寸法bよりも、2〜10mm大きくなっている。より好ましくは、図9(図2)に示す寸法aが、図9(図2)に示す寸法bよりも、2〜5mm大きくなっている。
【0067】
ところで、塗工機11では、ダイ17のシム1に形成された切り欠き31の第2の部位35の形状を等脚台形状にして、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くしているが、切り欠き31の第2の部位35の形状を適宜変更してもよい。たとえば、図10(シム1の変形例を示す図)で示すように、切り欠き31の第1の部位33からの距離xが増加するにしたがって、スリット3の幅寸法yが次第に小さくなるように、第2の部位35を形成すると共に、距離xが増加するにしたがって、幅寸法yが小さくなる割合が次第に減少するようにしてもよい。
【0068】
さらに、ダイ17の形態を、図11〜図12で示すように、適宜変更して、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くするようにしてもよい。この場合、上述したダイ17を、各リップ23,25とシム1とで構成することなく、たとえば、シムを削除してリップに適宜の凹部を設け、スリットを形成するようにしてもよい。なお、スリットの幅寸法は、一定になっているものとする。
【0069】
図11は、変形例に係るダイを示す図であり、ダイ17を図5の矢印A5や図9の矢印A9の方向から見たときの図である。
【0070】
図11では、開口部4の幅方向(図11の左右方向)における両端部で、開口部4の厚さ寸法(図11の上下方向における寸法)が、大きくなっている。さらに、図11(a)では、開口部4の幅方向における両端部が三角形状に形成されており、開口部4の厚さ寸法が、端部に近づくにしたがって、次第に大きくなっている。一方、図11(b)では、開口部4の幅方向における両端部が矩形状に形成されており、開口部4の厚さ寸法が、端部とこの近傍において一定の値でだけ大きくなっている。
【0071】
図11で示したように開口部4を形成したことにより、開口部4の両端部での塗液の吐出量が増え、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さが厚くなる。
【0072】
図12も、図1の場合と同様な変形例に係るダイを示す図である。
【0073】
図12では、開口部4の厚さが一定になっているが、液溜め部2,29内における塗液の圧力を、開口部4の幅方向(図12の左右方向)で変えて、ベース部材Fmに設けられる塗工膜の厚さを変えている。たとえば、開口部4の幅方向の両端部側における液溜め部2,29内の塗液の圧力を、開口部4の幅方向の中間部における液溜め部2,29内の塗液の圧力よりも高くして、開口部4の幅方向の両端部側における塗液の吐出量(吐出速度)を増やし、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くしている。
【0074】
なお、図12(a)では、液溜め部2,29内に塗液を供給する各塗液供給孔37,39の内径を変えている。すなわち、中央部に設けられている塗液供給孔37の内径よりも、両端部に設けられている各塗液供給孔39の内径を大きくしている。
【0075】
図12(b)では、塗液供給孔37を中央に設け、液溜め部2,29の断面積(液溜め部2,29の幅方向;図12(b)の左右方向に直交する平面による液溜め部2,29の断面の面積)が、両端部に近づくにしたがって、次第に小さくしてある。
【0076】
なお、図3(a)、(b)や図9図10で示す形態、図11で示す形態、図12で示す形態を適宜組み合わせて、ベース部材Fmの幅方向の両端部における塗工膜の厚さを厚くしてもよい。
【0077】
ここで、塗工機11における塗工膜の形成動作について説明する。
【0078】
塗工機11では、ベース部材Fmを図4で示す矢印のように移送し、ベース部材Fmに、各ダイ17A,17Bにより塗液を膜状に塗布する。
【0079】
より詳しく説明すると、ローラ15Aのところに設けられているダイ17Aから吐出した塗液で粘着層Adを形成し、ローラ15Bのところに設けられているダイ17Bから吐出した塗液でセパレート層Spを形成する。なお、ダイ17Aとダイ17Bとの間で、ダイ17Aで形成された粘着層Adが、たとえば、乾燥しているかもしくは半乾燥するものとする。また、ダイ17Bとベース材巻き取り装置21の間で、ダイ17Bで形成されたセパレート層Spが、たとえば、乾燥しているかもしくは半乾燥するものとする。
【0080】
そして、ベース材巻き取り装置21で、ロール巻き塗工フィルム(ロール状のシート)Fm2を形成する。
【0081】
ロール巻き塗工フィルムFm2では、塗工液で形成された塗工膜の厚さが、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部における平均厚さに比べて、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の両端部で、2μm〜10μm厚くなっている。
【0082】
換言すれば、ロール巻き塗工フィルムFm2が、このベース部材Fmの長手方向で所定の張力をもって芯材W2に巻き付けられていると共に、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の両端部では、重なって層状に巻き付けられている各塗工済みベース部材同士が接触しており、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部では、図7(ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部におけるロール巻き塗工フィルムFm2の形態を示す図)で示すように、層状に巻き付けられている各塗工済みベース部材同士の間隔Dsが、2μm〜10μmになっている。
【0083】
塗工機11によれば、ロール巻き塗工フィルムFm2の幅方向の中間部で、各塗工済みベース部材同士の間隔Dsが、2μm〜10μmになっているので、ロール巻き取りでの異物巻込みによる局所歪の発生を低減することが可能である。また、局部厚みむらによる巻コブの発生を防止することができる。
【0084】
すなわち、塗工膜の厚さが一定であると、ベース部材巻き取り装置21で塗工済みベース部材を巻いてロール巻き塗工フィルムFm2を形成するときに塗工済みベース部材の間に微小な異物を挟んでしまうと、図8に示すように、寸法h1(たとえば、平均6μm程度;標準偏差2μm程度)の盛り上がり部位が形成されてしまう。そして、この盛り上がりによって局所歪が形成されてしまう。
【0085】
一方、塗工機11で形成されたロール巻き塗工フィルムFm2では、幅方向の中間部で、2μm〜10μmの隙間があいているので、微小な異物を挟んでしまった場合であっても、盛り上がり部位が形成されにくく、局所歪が形成されにくくなる。
【0086】
本発明に係るロール巻き塗工フィルムは、ほぼ一定の厚さのフィルムとして使用に供するために、使用に際しては、両端部の厚い部分を切断して、中間部のみを供することができる。このようなフィルムは、光学フィルム、ディスプレイ前面向けの電磁波シールドフィルム用のベースフィルムなどに有用である。
【実施例】
【0087】
以下、溶剤系の塗液を用いて25μmの塗布厚みにて塗工した場合について説明するが、樹脂物性、厚みに関してこれに限定されるものではない。
【0088】
塗工に用いる樹脂(塗液)は、供給タンクからポンプを用いて塗液の液溜め部に定量供給される。この場合、タンクを直接Airにて加圧するいわゆる圧空送液供給しても良い。上記ポンプ又はAir圧空により塗布厚み25μmに調整して塗液の液量を調整する。
【0089】
その後、塗液は液溜め部から塗液吐出部の先端開口部に流れ出て、基材(対象面)に塗布される。塗液吐出部の厚みdが700μmのシムをスペーサーとして、溶剤系樹脂(粘度1500cps/25℃)を塗工した。この時の塗工圧力はポンプ回転数を調整して0.2MPaとした。その後、溶剤乾燥後カバーフィルムをラミネートし、ロール状に巻き取って、ロール巻フィルムを得た。
【0090】
実施例1
図2のc(テーパ量)=3mmの形状を有するシムを用いて、スリットダイコータにより、上記方法により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材上に25μm厚みの塗工面(塗工膜)を得た。
【0091】
実施例2
図2のc(テーパ量)=6mmの形状を有するシムを用いた以外は実施例1と同様にして、25μm厚みの塗工面(塗工膜)を得た。
【0092】
比較例1
図1の形状を有するシムを用いた以外は実施例1と同様にして、25μm厚みの塗工面(塗工膜)を得た。
【0093】
実施例1,2で得られたロール巻フィルムは、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間を有しているのに対して、比較例1で得られたロール巻きフィルムでは1μm程度の隙間しかないことを確認した。
【0094】
次に、実施例1、実施例2及び比較例1で得た塗工面(塗工膜)の膜厚分布と歪み不良率を以下の通り測定した。
【0095】
(塗工面の膜厚分布の測定方法)
非接触式薄膜測定装置(フィルメトリクス社製、F20)により幅方向の膜厚分布を測定した。測定は塗工樹脂のみの厚みを測定した。
【0096】
(歪み不良率の測定方法)
歪不良率は全数外観目視検査結果から算出した。検査箇所は1箇所1mとし、1m毎に目視検査して、歪が観察された検査箇所(1m)を不良箇所と見なし、不良箇所数/検査箇所数×100(%)を歪不良率とした。
【0097】
測定結果を表1に、塗工面幅方向厚み分布とシム形状を図3に示す。
【表1】
【0098】
実施例1では端部厚み(平均厚みとの差から算出した盛上り量)が2.3μm厚く、歪不良率は0.4%であった。実施例2では端部厚みが5.0μm厚く、不良率は0.3%であったが、わずかに巻ズレが発生してしまった。
【0099】
これに対して、比較例1では、表1に示すとおり、端部厚みが1.0μm厚く、歪不良率は3.3%であった。
【0100】
ところで、上述したものを、塗工フィルム巻き取り方法として把握してもよい。
【0101】
すなわち、シート状のベース部材の厚さ方向の一方の面の塗工液を膜状に塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材(塗工済みフィルム)を、たとえば、塗工液を乾燥もしくは半乾燥させて巻くことにより巻き塗工フィルムを形成する塗工フィルム巻き取り方法であって、前記塗工液で形成された膜の厚さが、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部における平均厚さに比べて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部で、2μm〜10μm厚くなっている塗工フィルム巻き取り方法として把握してもよい。
【0102】
また、シート状のベース部材の厚さ方向の一方の面の塗工液を膜状に塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材(塗工済みフィルム)を、たとえば、塗工液を乾燥もしくは半乾燥させて巻くことにより巻き塗工フィルム(ロール状のシート)を形成する塗工フィルム巻き取り方法であって、前記塗工済みベース部材が、この長手方向で所定の張力をもって芯材に巻き付けられると共に、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部では、重なって層状に巻き付けられている前記各塗工済みベース部材同士が接触し、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部では、層状に巻き付けられている前記各塗工済みベース部材同士の間隔が、2μm〜10μmになる塗工フィルム巻き取り方法として把握してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 シム
2 塗液の液溜め部
3 塗液吐出部
4 塗液吐出部の開口部
5 塗液吐出部の先端部
11 塗工機
17(17A,17B) ダイ
a 塗液の液溜め部の開口幅
b 塗液吐出部の開口幅
c テーパ量(aとbの差)
d 厚み
Fm フィルム
Ad 粘着層(塗工膜)
Sp セパレート層(塗工膜)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜厚みにおいて、幅方向端部の厚みが、塗工面の平均厚みに対して2μm以上厚くすることを特徴とする塗工方法。
【請求項2】
塗工膜の平均厚みが10μm以上である請求項1に記載の塗工方法。
【請求項3】
塗液の液溜め部及び塗液吐出部を有する塗工機であって、塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より広く、塗液の液溜め部の開口部から塗液吐出部の開口部に向かってテーパ状に狭まる形状を有することを特徴とする塗工機。
【請求項4】
塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜10mm広いことを特徴とする請求項3に記載の塗工機。
【請求項5】
塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜5mm広いことを特徴とする請求項3に記載の塗工機。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜の平均厚みが10μm以上である塗工方法。
【請求項7】
塗工フィルムの巻き取り方法であって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間が発生するように、塗工フィルムをロール状に巻き取ることを特徴とする塗工フィルムの巻き取り方法。
【請求項8】
塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間を有することを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項9】
塗工膜を有する塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、塗工面の塗工膜の幅方向端部の厚みが、塗工面の塗工膜の平均厚みに対して2μm以上厚いことを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項10】
ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工機において、
前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚くなるように構成されていることを特徴とする塗工機。
【請求項11】
ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工方法において、
前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚い塗工をすることを特徴とする塗工方法。
【請求項12】
ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、
前記塗工液で形成された塗工膜の厚さが、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部における平均厚さに比べて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部で、2μm以上厚くなっていることを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項13】
ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、
前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部では、前記各塗工済みベース部材同士が接触しており、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部では、前記各塗工済みベース部材同士の間隔が、2μm〜10μmになっていることを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項1】
塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜厚みにおいて、幅方向端部の厚みが、塗工面の平均厚みに対して2μm以上厚くすることを特徴とする塗工方法。
【請求項2】
塗工膜の平均厚みが10μm以上である請求項1に記載の塗工方法。
【請求項3】
塗液の液溜め部及び塗液吐出部を有する塗工機であって、塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より広く、塗液の液溜め部の開口部から塗液吐出部の開口部に向かってテーパ状に狭まる形状を有することを特徴とする塗工機。
【請求項4】
塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜10mm広いことを特徴とする請求項3に記載の塗工機。
【請求項5】
塗液の液溜め部の開口幅(a)が塗液吐出部(3)の開口幅(b)より、2〜5mm広いことを特徴とする請求項3に記載の塗工機。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の塗工機を用いて塗液を基材の塗工対象面に塗工する方法であって、基材上の塗工後の塗工膜の平均厚みが10μm以上である塗工方法。
【請求項7】
塗工フィルムの巻き取り方法であって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間が発生するように、塗工フィルムをロール状に巻き取ることを特徴とする塗工フィルムの巻き取り方法。
【請求項8】
塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、巻き取られたフィルムの層間に、幅方向中央部において2μm以上の隙間を有することを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項9】
塗工膜を有する塗工フィルムをロール状に巻き取ったフィルムであって、塗工面の塗工膜の幅方向端部の厚みが、塗工面の塗工膜の平均厚みに対して2μm以上厚いことを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項10】
ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工機において、
前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚くなるように構成されていることを特徴とする塗工機。
【請求項11】
ダイに形成されている細長い開口部から塗液を吐出すると共に、ベース部材を前記ダイに対して相対的に移動し、前記ベース部材に、前記塗液を塗布する塗工方法において、
前記開口部の幅方向の両端部もしくはこの近傍における塗工膜の厚さが、前記開口部の幅方向の中間部における塗工膜の平均厚さに比べて、2μm以上厚い塗工をすることを特徴とする塗工方法。
【請求項12】
ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、
前記塗工液で形成された塗工膜の厚さが、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部における平均厚さに比べて、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部で、2μm以上厚くなっていることを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【請求項13】
ベース部材に塗工液を塗布し、この塗液が塗布されたベース部材である塗工済みベース部材を巻くことにより形成されたロール巻き塗工フィルムにおいて、
前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の両端部では、前記各塗工済みベース部材同士が接触しており、前記ロール巻き塗工フィルムの幅方向の中間部では、前記各塗工済みベース部材同士の間隔が、2μm〜10μmになっていることを特徴とするロール巻き塗工フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−51953(P2010−51953A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158698(P2009−158698)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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