説明

塗布装置、塗布方法、無端ベルトの製造方法、その方法で得られる無端ベルト、及び電子写真装置

【課題】低コストで大径の無端ベルトを得るための塗布装置及び塗布方法を提供すること。また、これを利用した無端ベルトの製造方法及びそれにより得られる無端ベルトを提供すること。また、得られた無端ベルトを備える電子写真装置を提供することができる。
【解決手段】継ぎ目10Aベルト基体10を支持ロール12により支持・回転させつつ、塗布器14のスリット16から皮膜形成樹脂溶液を押し出し、ベルト基体10の表面に塗膜20を形成させる。そして、ベルト基体10を一周させることにより、ベルト基体10表面全周に塗膜20を形成させる。この載、塗布の開始位置を、ベルト基体10の継ぎ目10A又はその近傍とする。また、これを利用して、無端ベルトを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置、塗布方法、無端ベルトの製造方法、及び、その方法で得られる無端ベルトに関する。該無端ベルトは、電子写真装置における感光体ベルトや転写ベルトに好ましく使用できる。また、この無端ベルトを備えた電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置において、感光体や転写体には、肉厚が薄く変形可能なプラスチック製フィルムからなるベルトが用いられる場合がある。ベルトに継ぎ目があると、出力画像にその跡が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。
【0003】
そのような無端ベルトを作製するには、特許文献1記載のらせん塗布法や、特許文献2記載のフロート塗布法などにより、円筒芯体外面に皮膜形成樹脂溶液を塗布し、樹脂皮膜を形成した後、樹脂皮膜を芯体から取り外す方法がある。
【0004】
しかしながら、周長が大きい、すなわち直径が大きい無端ベルトをこの方法で作製するには、それに対応した大きさの円筒芯体を用意する必要があるため、大きくなるほど不利である。特に、直径が300mm以上である円筒芯体は高価なものとなり、それから得られる無端ベルトのコストも高くなる。
【0005】
一方、継ぎ目を有する無端ベルトでは、継ぎ目を避けて画像形成をしなくてはならないが、周長が長い、すなわち直径が大きい無端ベルトでは、全面積に対して、継ぎ目を含む部分の比率は相対的に小さくなるので、継ぎ目を有する無端ベルトであっても、画像形成をするのは比較的容易である。
【0006】
逆に、継ぎ目を有する無端ベルトの周長が画像の長さより短い場合は、画像内に無端ベルトの継ぎ目が入るので、画像形成用途には適さない。
【0007】
継ぎ目を有する無端ベルトの作製方法としては、フィルムを丸めて接合する方法が一般的であり、接合方法としては、接着剤による接合のほか、強度をより高めるために、特許文献3記載のような超音波溶着法や、特許文献4記載のようなパズルカット接合法もある。しかしながら、これらの接合方法では、接合部分が重ね合わせられたり、接着剤の盛り上がりを生じるために、厚みが増す短所があり、無端ベルトの厚みが増すことは、回転速度のむらの原因になることがあるため、ベルトの駆動上は好ましいことではなかった。
【特許文献1】特開平10−69183号公報
【特許文献2】特開2002−91027号公報
【特許文献3】特開平7−223263号公報
【特許文献4】特開平8−66974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、塗布によって無端ベルトを作製する方法もあり、例えば、円筒芯体を回転させながら、その外面にスリットから皮膜形成樹脂溶液を押し出して塗布し、樹脂皮膜を作製する方法がある。この場合、塗布前後に継ぎ目が生じるが、その部分は溶液の表面張力によって平滑化されるため、厚みの増加は小さい。この方法は塗布が比較的容易であるものの、その径の円筒芯体を用意しなければならない点で不利ではある。
【0009】
そのため、円筒芯体を用意せずとも塗布できる方法も望まれていた。
【0010】
従って、本発明の目的は、低コストで大径の無端ベルトを得るための塗布装置及び塗布方法を提供することである。また、これを利用した無端ベルトの製造方法及びそれにより得られる無端ベルトを提供することである。また、得られた無端ベルトを適用した電子写真装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段により解決される。
即ち、本発明の塗布装置は、継ぎ目を有するベルト基体表面に、塗布溶液をスリットから連続的に押し出して塗布するための塗布装置であり、
前記塗布の開始位置が、前記ベルト基体の継ぎ目又はその近傍であることを特徴としている。
【0012】
本発明の塗布装置では、被塗布基体として、剛性の円筒体ではなく、例えば金属の薄板又は樹脂フィルムを丸めただけの安価でフレキシブルなベルト基体を使用し、当該ベルト基体の表面に塗布溶液を塗布することで、大径の無端ベルトを得るための塗膜を容易に形成することができる。しかも、塗布開始位置を、ベルト基体の継ぎ目又はその近傍とすることで、ベルト基体の継ぎ目による転写で生じる欠陥部と、塗布開始時と終了時との塗膜の継ぎ目で生じる筋状の欠陥部とが、同一位置に重なり、結果、欠陥部を一つのみ有することとなり、十分、実用的となる。また、塗布によって得られる無端ベルトは、継ぎ目の厚みも増すことがない。
【0013】
本発明の塗布装置においては、前記ベルト基体の直径は、300mm以上であることがよい。本発明の塗布装置では、例えば直径が300mm以上という大径の無端ベルトを得るための塗膜形成に適している。
【0014】
一方、本発明の塗布方法は、継ぎ目を有するベルト基体表面に、塗布溶液をスリットから連続的に押し出して塗布する塗布方法であり、
前記塗布の開始位置が、前記ベルト基体の継ぎ目又はその近傍であることを特徴としている。
【0015】
本発明の塗布方法では、上記本発明の塗布装置と同様に、大径の無端ベルトを得るための塗膜を容易に得ることができる。しかも、塗膜から得られる無端ベルトは、上記欠陥部が一つのみ有することとなり、用途に応じては十分、実用的である。
【0016】
本発明の塗布方法においても、前記ベルト基体の直径が、300mm以上であることがよい。本発明の塗布方法では、例えば直径が300mm以上という大径の無端ベルトを得るための塗膜形成に適している。
【0017】
また、本発明の無端ベルトの製造方法は、
上記本発明の塗布方法により、継ぎ目を有するベルト基体に、皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程と、
塗布された皮膜形成樹脂溶液を加熱して、樹脂皮膜を形成する工程と、
前記樹脂皮膜を前記ベルト基体から取り外す工程と、
を有することを特徴としている。
【0018】
本発明の無端ベルトの製造方法では、皮膜形成樹脂溶液の塗布する際、上記本発明の塗布方法を適用することで、大径の無端ベルトを得るための塗膜を容易に得ることができる。しかも、上記欠陥部が一つのみ有する、実用的な無端ベルトを得ることができる。
【0019】
また、本発明の無端ベルトは、上記本発明の無端ベルトの製造方法により得られることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の無端ベルトは、前記ベルト基体の継ぎ目による転写で生じる欠陥部と、塗布開始時と終了時との塗膜の継ぎ目で生じる欠陥部とが、同一位置に重なっている。また、前記無端ベルトが画像形成装置用ベルトであり、且つその周長が画像形成装置による出力画像の長さ以上であることがよい。これにより、欠陥部を一つ有するが、画像形成装置用ベルトとして実用上特に問題となることがなくなる。
【0021】
また、本発明の電子写真装置は、上記本発明の無端ベルトを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低コストで大径の無端ベルトを得るための塗布装置及び塗布方法を提供することができる。また、これを利用した無端ベルトの製造方法及びそれにより得られる無端ベルトを提供するができる。また、得られた無端ベルトを備える電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の無端ベルトの製造方法について、本発明の塗布装置及び塗布方法と共に詳細に説明する。
【0024】
本発明の無端ベルトの製造方法は、ベルト基体に皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程(塗布工程)と、塗布された皮膜形成樹脂溶液を加熱して、樹脂皮膜を形成する工程(皮膜形成工程)と、樹脂皮膜をベルト基体から取り外す工程(取り外し工程)と、を有している。以下、各工程について説明する。
【0025】
(塗布工程)
塗布工程では、継ぎ目を有するベルト基体を準備し、当該ベルト基体の外周面に皮膜形成樹脂溶液を塗布する。具体的には、図1に示す塗布装置を用いて、塗布工程を行う。ここで、図1は、本発明の塗布装置の一例を示す概略構成図である。また、図2は、ベルト基体の継ぎ目の一例を示す拡大図であり、(A)はベルト基体が樹脂フィルムで構成された場合を示し、(B)はベルト基体が金属薄板で構成された場合を示している。
【0026】
図1に示す塗布装置は、被塗布基体として継ぎ目10Aを有するベルト基体10と、ベルト基体10を支持・回転させるための支持ロール12と、当該ベルト基体10の周辺に配置された塗布器14と、を具備してなる。
【0027】
ベルト基体10は、ニッケル、ステンレス、銅等の金属の薄板や、ポリイミド樹脂の如き耐熱性の樹脂フィルムを丸めて、接着や溶接等の方法により接合して作製したものである。その厚さは、材質にもよるが、0.05〜1mm程度が好ましい。この方法であれば、直径は300mm以上の大きなものでも作製は容易である。
【0028】
ここで、ベルト基体10には、図2(A)に示すように、樹脂フィルムで構成された場合、接着によって凸状の継ぎ目10Aがベルト幅方向に沿って有しており、金属薄板で構成された場合、図2(B)に示すように、溶接によって凸状の継ぎ目10Aがベルト幅方向に沿って有しており、なお、この継ぎ目10Aを平滑化することも有効である。また、樹脂フィルムの場合は特許文献4記載のパズルカット法で接合してもよいが、接合部にはやはり凸状の継ぎ目ができるので、平滑化するのが好ましい。継ぎ目の平滑化には、やすりやサンドペーパーで磨く方法がある。
【0029】
ベルト基体10の表面には、得られる皮膜樹脂が接着しないよう、離型剤を塗布してもよい。また、表面をブラスト等によって粗面化してもよい。
【0030】
塗布器14は、スリット16を有したいわゆるスリットコーターである。その内部には液だまり18を有し、液だまり18に外部から皮膜形成樹脂溶液をポンプ又はエア圧で配管(図示せず)から注入し、スリット16から押し出す。スリット16の隙間は塗布する厚さにより調整する。スリット16の幅(ベルト基体10の幅方向の長さ)は、所望の無端ベルトの幅より長いものとする。
【0031】
支持ロール12は、ベルト径と略同一径の円筒体からなり、円筒体にベルト基体10を嵌めて支持する。そして、回転可能に駆動部材(不図示)と連結されている。なお、ベルト基体10と略同一径の円筒体を用意できない場合でも、図3に示すように、ベルト基体10を複数の支持ロール12により張架・支持させることもできる。
【0032】
図1に示す塗布装置では、ベルト基体10を支持ロール12により支持・回転させつつ、塗布器14のスリット16から皮膜形成樹脂溶液を押し出すと、ベルト基体10の表面に塗膜20が形成され、ベルト基体10を一周させることにより、ベルト基体10表面全周に塗膜20が形成される。
【0033】
ここで、通常、皮膜形成樹脂溶液を塗布器14(スリットコーター)から押し出して、ベルト基体10の表面に一周塗布しても、塗布開始時と終了時の継ぎ目には跡が残るか、平滑化によって見た目の跡はなくても、特性の面、例えば機械的な物性のほか、電気的な特性で欠陥部が生じている。一方、被塗布基体としてのベルト基体10の継ぎ目10Aの表面形状が塗膜に転写されて欠陥部となってしまい、これを防ぐために継ぎ目10Aを平滑化しても、完全に平滑化できるわけではなく、やはり若干は転写されて欠陥部が生じてしまう。
【0034】
そこで、塗布器14のスリット16から皮膜形成樹脂溶液を押し出し始める位置(即ち、塗布開始位置)を、ベルト基体10の継ぎ目10A或いはその近傍とする。すなわち、皮膜形成樹脂溶液の塗布開始時と終了時との継ぎ目(塗膜20の継ぎ目)と、ベルト基体10の継ぎ目10Aを合致させることで、継ぎ目同士が重なり、欠陥部が一つのみとなるのである。なお、ベルト基体10の継ぎ目10Aの近傍とは、当該継ぎ目10Aから周方向に前後50mm程度ずれた領域以内を示す。
【0035】
このように、継ぎ目を有するベルト基体10を使用し、当該ベルト基体の表面に塗布溶液を塗布することで、大径の無端ベルトを得るための塗膜20を容易に得ることができる。しかも、塗布開始位置を、ベルト基体10の継ぎ目10A又はその近傍とすることで、塗膜20から得られる無端ベルトは、ベルト基体の継ぎ目の転写で生じる欠陥部と、塗布開始時と終了時との塗膜の継ぎ目で生じる筋状の欠陥部とが、同一位置に重なり、結果、欠陥部が一つのみとなり、十分、実用的となる。
【0036】
次に、皮膜形成樹脂について説明する。皮膜形成樹脂としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等がある。皮膜形成樹脂溶液の濃度、粘度等は、適宜選択される。塗布には、樹脂材料が熱可塑性樹脂の場合にはその溶液が用いられ、PIのように非熱可塑性樹脂の場合には、その前駆体溶液が用いられる。
【0037】
PI前駆体溶液は、酸二無水物とジアミン成分とを、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン系極性溶剤中で反応させることによって得ることができる。PIの種類は制限されないが、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分とを反応させて得られる芳香族ポリイミドが、皮膜強度の点から好ましい。
【0038】
芳香族テトラカルボン酸の代表例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらのテトラカルボン酸エステル、又は上記各テトラカルボン酸類の混合物等が挙げられる。
【0039】
一方、芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0040】
また、PAI樹脂は、有機酸無水物、例えばトリメリット酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸無水物等と、有機ジアミンを組み合わせて、当モル量で重縮合反応することで得られる。PAI樹脂はアミド基を有するため、イミド化反応が進んでも溶剤に溶解し易いので、反応温度を常温より高くして100%イミド化したものが好ましい。溶剤は前記非プロトン系極性溶剤が好ましい。
【0041】
有機ジアミンとしては、ビス[4―{3―(4―アミノフェノキシ)ベンゾイル}フェニル]エーテル、4・4′―ビス(3―アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4―(3―アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2・2′―ビス[4―(3―アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3・3′―ジアミノベンゾフェノン、P―フェニレンジアミン、4・4′―ジアミノジフェニル、4・4′―ジアミノジフェニルメタン、4・4′−ジアミノジフェニルエーテル等のいずれか1種、又は複数から選ばれる。
【0042】
ここで、無端ベルトに導電性が必要な場合には、皮膜形成樹脂の中に導電性物質を分散させる。導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In23複合酸化物等の導電性金属酸化物、等が挙げられる。
【0043】
なお、皮膜形成樹脂溶液を塗布する時、ベルト基体10への塗布速度(回転時の周速)は0.2〜2m/min程度が好ましく、より好ましくは0.4〜1.5m/minである。
【0044】
(皮膜形成工程)
皮膜形成工程では、塗布工程により塗膜を形成した後、塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱や硬化させることにより、樹脂皮膜を形成することができる。この乾燥により、皮膜形成樹脂溶液塗布後の溶剤を蒸発させる。
【0045】
乾燥時は、非プロトン系極性溶剤の蒸発が遅いので、乾燥時に塗膜が下方に垂れやすいことがある。その場合には、ベルト基体を回転させながら乾燥させてもよい。
【0046】
また、乾燥条件は、樹脂の種類や溶剤種によって適宜温度及び時間等を設定して行われる。PAI樹脂の場合には、200〜300℃に加熱して、残留溶剤をほぼ除去するのが好ましい。PI前駆体の場合には、溶剤が完全に蒸発すると、皮膜に割れが生じやすくなることがあるので、ある程度(例えば、当初の5質量%〜40質量%程度)の溶剤は残留させておくのが好ましく、50〜150℃程度の温度で適宜時間が設定される。
【0047】
また、反応を伴う樹脂によっては、さらに加熱する。例えば、PI樹脂の場合、イミド化のために、乾燥後に250〜450℃(好ましくは、300〜400℃)に加熱され、これによりPI前駆体はPI樹脂となる。無端ベルトの好ましい膜厚は30〜150μm程度である。
【0048】
(取り外し工程)
取り外し工程では、樹脂皮膜をベルト基体から抜き取り、必要に必要に応じて、端部にスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等が施される。このようにして無端ベルト22が得られる。得られた無端ベルト22は、図4に示すように、ベルト基体の継ぎ目によって生じる欠陥部と、塗膜の継ぎ目によって生じる欠陥部とが重なりあって、結果、ベルト幅方向に沿って生じる筋状の欠陥部24を一本有している。
【0049】
得られた無端ベルトを転写ベルトとして使用する場合の抵抗値は、体積抵抗率で105〜1013Ωcm、表面抵抗率で108〜1012Ω/□程度であるのが好ましい。
【0050】
また、得られた無端ベルトを感光体ベルトとして使用する場合、無端ベルト(半導電性ベルト)の上に感光層を形成してもよいが、より好ましくは、表面に金属層を設けて電極にするのがよい。この場合、無端ベルトは絶縁性でもよい。無端ベルト表面に金属層を設ける方法として、蒸着やスパッタリングでもよいが、金属の超微粒子を塗布する方法もある。
【0051】
ここで、無端ベルト表面に金属層を形成する方法について説明する。皮膜形成樹脂溶液の乾燥皮膜は、金属層の密着性を向上させるために、金属層形成前に、予め、皮膜を溶解させる溶剤で、膨潤又は表面のみの溶解処理をしたり、ブラスト等で機械的に粗面化してもよい。また、皮膜の表面を、酸/アルカリ、酸化剤/還元剤等の水溶液で化学処理してもよい。
【0052】
金属の超微粒子とは、粒径が1nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下の大きさの金属粒子を指す。金属をこのような微細の大きさにすると融点が低下する。これは、粒径が小さくなるに従って、表面エネルギーが飛躍的に増大し、相互に結合(焼結)しようとするためである。好ましく用いられる金属として、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、等がある。超微粒子の形状は、球状、又は球に類した楕円体状が好ましい。
【0053】
融点は粒径によって上下するが、分散媒への分散濃度、分散剤の種類や濃度、等によっても変化する。金属融解層の作製に好ましい融点は、100〜300℃である。
【0054】
また、超微粒子以外に、粒径が0.1μm以上10μm以下の微粒子を併用しても良い。該微粒子は、融点は低くはないものの、超微粒子が溶解して焼結する際、同時に該微粒子も焼結されるため、増量剤として用いることができ、材料コストを低減させるために有効である。超微粒子と微粒子の混合割合は任意であるが、超微粒子は微粒子の5質量%以上必要である。超微粒子と微粒子は、同一金属でも異種金属でも良いが、異種金属の場合は、相互に融着しやすいのが好ましい。
【0055】
超微粒子の表面は、樹脂や添加剤で被覆されていてもよい。かかる樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、等が挙げられる。また、かかる添加剤としては、アミン化合物、シリコーン化合物、カップリング剤、有機酸、等が挙げられる。
【0056】
金属の超微粒子は、分散媒に分散されて塗布される。分散媒としては、水や、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素化合物、等の有機溶剤が挙げられ、複数種を混合しても良い。分散や分散安定性のために、界面活性剤や増粘剤を用いてもよい。
【0057】
また、少量のバインダー樹脂を用いても良い。バインダー樹脂は、金属の超微粒子が融解する際、分離するか分解して、金属層中に残存しにくいものが好ましく、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、等が挙げられる。
【0058】
金属の超微粒子分散液の固形分濃度は、10〜60質量%が好ましく、より好ましくは、12〜55質量%である。金属の超微粒子分散液の粘度は、1〜1000mPa・sが好ましく、2〜900mPa・s以下がより好ましい。金属の超微粒子を塗布して形成される金属融解層の厚さは、0.01〜10μm以下が好ましく、より好ましくは、0.05〜6μmである。
【0059】
塗布方法は任意であり、前記と同じスリット塗布のほか、膜厚が薄いのでスプレー塗布や、グラビアコート、ロールコート、インクジェット塗布法も採用できる。その塗布時に生じる継ぎ目は、無端ベルトの継ぎ目と一致させておくべきである。
【0060】
塗布後、融点以上の温度で加熱することにより、超微粒子が焼結して金属融解層が形成される。焼結した金属層の溶解温度は金属本来の融点になり、前記温度では溶解しなくなる。焼結の際、金属超微粒子の焼結とPI前駆体層のイミド化を同時に行うと、両者の密着性が強固になる。すなわち、イミド化の際に、PI前駆体層表面に形成された金属層を構成する金属の一部がPI前駆体層に入り込み、金属を取りこんだ状態でPI前駆体が反応を起こすため、金属層とPI樹脂層との密着性が高くなると考えられる。
【0061】
加熱時、金属融解層を構成する金属が、例えば銅やニッケルのように、酸化又は変質しやすい場合には、窒素やアルゴン等の不活性気体中で加熱することが好ましい。
【0062】
そして、感光体ベルトは、無端ベルト表面に形成した金属層上に感光層を設けたものであり、金属層を接地電極とする。金属層の端部には、導通のための電極を付加してもよい。感光層としては、特に限定されるものではないが、例えば有機物を感光物質としたOPC感光層を用いることができる。
【0063】
OPC感光層は、単層型や、機能分離した電荷発生層及び電荷輸送層とからなる積層型のいずれも用いることができる。また、感光層と基体との間に必要に応じて下引き層を設けることができる。さらに、感光層の上にはこの感光層を保護するための保護層を設けてもよい。これらの各層には公知の構成を用いることができる。
【0064】
下引き層は、例えば、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂等、及びこれらの共重合体、又は、硬化性金属有機化合物(例えばジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等)を、単独又は2種以上混合して塗布形成した層である。下引き層を形成するには、下引き層用の塗布液に本発明の無端ベルトを浸漬塗布し、50℃〜150℃で5〜20分間乾燥する。下引き層の厚さは、0.1μm〜5μmが好ましい。
【0065】
電荷発生層(CGL)は、例えば、電荷発生剤(例えばフタロシアニン、ペリレン、ビスアゾ顔料等)を、バインダー樹脂(例えばポリビニルブチラール等)に分散して、塗布形成される。
【0066】
CGLの形成は、CGL用分散液を調製し、これを上記下引き層上に塗布し、20℃〜150℃で5〜20分間乾燥して形成する。CGLの厚さは、0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。
【0067】
電荷移動層(CTL)は、電荷輸送剤(例えばヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物、トリフェニルアミン化合物等)を、バインダー樹脂(例えばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル等)と混合して、塗布形成される。
【0068】
CTLの形成は、CTL用の塗布液を上記CGL上に塗布し、50℃〜150℃で10〜60分間乾燥して形成する。CTLの厚さは、10μm以上50μm以下とすることが好ましい。
【0069】
上記各層の形成は、環状塗布法や他の公知の方法で行ってよい。各層形成の際、特開2003−337434号開示のように、芯体上の無端ベルトを取り外さない状態で無端ベルト上に各層を塗布し、全てができた後に芯体から取り外すのがよい。
【0070】
次に、無端ベルトを備えた画像形成装置について説明する。まず、無端ベルトを感光体ベルトとして適用した場合について説明する。図5は、本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
【0071】
図5に示す電子写真装置は、カラー画像形成装置であり、感光体ベルト100を備えている。感光体ベルト100は、少なくとも2本の駆動ロール110及びバックアップロール120に張架されている。
【0072】
また、感光体ベルト100周辺には、帯電器131、露光器132、現像器133が一体的に収納されたプロセスユニット130が配置され、バックアップロール120と対向して転写ロール140も配置されている。図5に示す電子写真装置には、プロセスユニット130が黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色ごとに4つ配置されているが、モノクロの場合には、プロセスユニット130は1個でよい。
【0073】
ここで、帯電器131は接触型又は非接触型が用いられ、接触型には帯電ロールや帯電ブラシ、非接触型にはコロトロン、スコロトロン、近接型帯電ロール等がある。露光器132は、小型化のためにLEDアレイが好ましい。現像器133には一成分型と二成分型があるが、いずれでもよい。
【0074】
図5に示す電子写真装置では、感光体ベルト100が帯電器131で帯電され、露光器132で画像露光され、現像器133でトナー現像される。そして、各色の現像後、トナーは転写ロール140にて用紙150に転写され、定着器160にて用紙に定着される。定着器160は、いずれか、又は両方がロールかベルトである一対の回転体からなっている。
【0075】
なお、図示しないが、トナーが転写された後の感光体ベルト100には、クリーニング器により残留トナーをクリーニングしたり、除電器により感光体ベルト100上の残留電位を除電してもよい。
【0076】
次に、無端ベルトを中間転写ベルトとして適用した場合について説明する。図6は、本発明の電子写真装置の他の一例を示す概略構成図である。
【0077】
図6に示す電子写真装置は、タンデム型カラー画像形成装置であり、転写ベルト200が備えられている。転写ベルト200は、少なくとも2本の、駆動ロール210及びバックアップロール220により張架されている。
【0078】
また、転写ベルト200周辺には、感光体ドラム231、帯電器232、露光器233、現像器234が一体的に収納されたプロセスユニット230が配置され、感光体ドラム231と対向するように1次転写ロール240、バックアップロール220と対向して2次転写ロール241も配置されている。プロセスユニット230内では、感光体ドラム231の周辺に帯電器232、露光器233、現像器234が配置されている。図6に示す電子写真装置には、プロセスユニット230が黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色ごとに4つ配置されているが、モノクロの場合には、プロセスユニット230は1個でよい。
【0079】
図6の電子写真装置では、感光体ドラム231に対して、帯電器232で帯電、露光器233で画像露光、現像器234でトナー現像を施すことで、感光体ドラム231に画像が形成される。現像後、トナーは1次転写ロール240にて転写ベルト200に転写され、続いて2次転写ロール241により用紙250に転写され、定着器260にて用紙250に定着される。
【0080】
なお、図示しないが、トナーが転写された後の感光体ドラム231は、クリーニング器により残留トナーをクリーニングしたり、除電器により感光体ベルト100上の残留電位を除電してもよい。
【0081】
以上、説明した電子写真装置の感光体ベルト、転写ベルトに無端ベルトを適用する際、欠陥部の部分に画像形成するのは好ましくない。そこで、無端ベルトの欠陥部の位置を検出し、そこを外すようにして画像形成を行うことが必要である。その場合、無端ベルトの周長は、出力画像の長さ、具体的には用紙の長さ以上であればよく、無端ベルトの欠陥部を外して画像形成を行うよう制御すればよい。無端ベルトの周長を出力画像の長さ以上(このましくは出力画像長さの2倍や4倍)にすれば、無端ベルトの欠陥部を外す時間的なむだは少ない。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0083】
(実施例1)
皮膜形成樹脂溶液として、ポリイミド前駆体溶液(商品名:UワニスS、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度約5Pa・s、溶剤はN−メチルピロリドン)を用意した。
【0084】
ベルト基体として、幅400mm、厚さ0.5mmのステンレス(SUS304)板を丸めて両端を溶接により接合し、外径366mmの円筒体を作製した。その継ぎ目には溶接による盛り上がりがあったが、厚さ0.8mm程度まで削って磨いて、突起をなくした。このようにして作製したベルト基体は、ステンレス円筒からなる円筒芯体よりも、非常に安価に製造することができる。
【0085】
次いで、表面にシリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学工業社製)を塗布した。
【0086】
また、幅2mm、長さ24mmのスリットを設けたスリット塗布器を用意した。塗布器内でスリットの先には内径15mmの液だまりがあり、ここに外部のポンプから皮膜形成樹脂溶液を送り込む。塗布幅は380mmになるよう設定した。
【0087】
次に、ベルト基体を外径365mmの支持ロールに嵌め、周速1.5rpmでゆっくり回転させた。ベルト基体の継ぎ目が塗布器のスリットの真下を通過した際に、スリットから溶液の吐出を開始した。ベルト基体が一回転し、再び継ぎ目が塗布器のスリットの真下に来た時にスリットから溶液の吐出を停止し、塗布を終了した。その際、塗膜の前後に切れ目がないようにした。
【0088】
その後、ベルト基体を支持ロールから取り外し、その長手方向を水平にして10rpmで回転しながら、100℃で30分間乾燥し、PI前駆体層を形成した。その間に塗膜前後の継ぎ目は自然にある程度は平滑化された。次いで、250℃で30分、350℃で30分間加熱し、PI樹脂を反応させた。
【0089】
ベルト基体が室温に冷えた後、PI樹脂皮膜を抜き取り、厚さ75μmのPI樹脂無端ベルトを得た。該無端ベルトには塗布時の塗膜の継ぎ目からなる欠陥部が見られるが、ベルト基体の継ぎ目の転写による欠陥部と重なっているので、その欠陥部は一本だけである。また、その部分の厚みは70〜80μmであり、皮膜を重ねた場合のように2倍になるようなことはなかった。
【0090】
(比較例1)
実施例1において、塗布する際に、塗膜の継ぎ目をベルト基体の継ぎ目と合わせなかった場合、得られた無端ベルトには、これらに起因する欠陥部として、ベルト基体の継ぎ目が転写された欠陥部と、塗布時の塗膜の継ぎ目による欠陥部との二本あり、無効な部分が多い弊害があった。
【0091】
(実施例2)
ベルト基体として、幅400mm、厚さ0.1mmのステンレス(SUS304)板を丸めて両端を溶接により接合し、外径366mmの円筒体を作製した。その継ぎ目には溶接による盛り上がりがあったが、厚さ0.8mm程度まで削って磨いて、突起をなくした。次いで、表面にシリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学工業社製)を塗布した。
【0092】
次に、ベルト基体を外径100mmの2本の支持ロールに張架し、周速1.5rpmでゆっくり回転させた。スリット塗布器は実施例1と同じである。
【0093】
皮膜形成樹脂溶液として、ポリイミド前駆体溶液(商品名:UワニスA、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度約5Pa・s、溶剤はN−メチルピロリドン)を用意した。このPI前駆体溶液に、固形分に対して23質量%のカーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を添加して、対抗衝突型分散機にて分散した。その溶液を用いて、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
【0094】
得られたベルトは、100Vにおける体積抵抗率は約1010Ωcm、表面抵抗率は約1011Ω/□の半導電性を有していた。
【0095】
この無端ベルトを340mm幅に切断し、転写ベルトとして、図6に示す電子写真装置に装着した。そして、画像を形成したところ、転写ベルトは周長が約1150mmあるので、長さ約420mmのA3用紙なら2面分、長さ約210mmのA4用紙なら5面分の画像形成を行うことができ、転写ベルト(無端ベルト)の欠陥部の位置に検出マークを設けて、そこが非画像形成部になるように制御することにより、転写ベルトを有効に使用することができた。
【0096】
(比較例2)
実施例2において、比較例1と同様にして継ぎ目を合わせずに作製した無端ベルトを転写ベルトとした場合、欠陥部が二本あるので、これを非画像形成部にするための制御は困難である。欠陥部が画像内に入った場合、ベルト基体の継ぎ目の転写による欠陥部ではフトーンの模様になり、塗布時の塗膜の継ぎ目による欠陥部では、その前後で濃度むらが発生する不具合を生じた。
【0097】
(実施例3)
実施例1において、乾燥後のPI前駆体層の表面に、銀の超微粒子(粒径5〜10nmの球状粒子、融点200℃)の分散液(大阪セメント(株)製、固形分濃度40質量%、粘度
3mPa・s)をグラビア塗布方法で一周塗布した。その際の継ぎ目は、PI前駆体層の継ぎ目に合わせた。
【0098】
次いで、実施例1と同じく加熱し、PI樹脂のイミド化と、銀の層の融解を同時に行った。銀の層の体積抵抗率は約10μΩcmであり、導電性を有していた。また、各層は同時加熱で作製したので、密着性は良好であった。
【0099】
一方、ポリビニルブチラール樹脂(BM1、積水化学社製)1部をシクロヘキサノン19部に溶解し、これにクロロガリウムフタロシアニン3部を加えてサンドミルで分散して分散液を作り、さらにアセトン20部を加えた。この分散液を塗布液とし、前記金属層上にグラビア塗布方法で一周塗布し、膜厚0.12μmのCGLを形成した。
【0100】
続いて、電荷輸送剤であるN,N’−ジフェニル −N,N’−(m−トリル)ベンジジン40部と重量平均分子量が6万のポリカーボネートZ樹脂(ユーピロンZ600、三菱ガス化学社製)60部をテトラヒドロフラン200部に溶解した。この塗布液をCGL上にグラビア塗布方法で一周塗布し、135℃で40分間の乾燥をして、厚さ20μmのCTLを形成した。その後、ベルト基体から皮膜を抜き取って、柔軟性ベルト状感光体を得た。
【0101】
作製した感光体ベルトについて、セロハンテープによるゴバン目剥離試験により感光層の密着性を調査したところ、金属層の密着性が優れていたため、感光層全体としても密着性が優れていることがわかった。
【0102】
この感光体ベルトを340mm幅に切断し、図5に示す電子写真装置に装着した。そして、画像を形成したところ、実施例2と同様に、感光体ベルト(無端ベルト)の欠陥部に画像形成しないように制御することにより、無端ベルトを有効に使うことができた。
【0103】

これら実施例から、継ぎ目を有するベルト基体を用いて樹脂無端ベルトを作製しても、欠陥部は一本だけであり、画像形成においてむだを少なくした無端ベルトであることがわかる。また、得られた無端ベルトは、欠陥部の厚みが増すことはなく、転写ベルトや感光体ベルトに好ましく適用されることもわかる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の塗布装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】ベルト基体の継ぎ目の一例を示す拡大図であり、(A)はベルト基体が樹脂フィルムで構成された場合を示し、(B)はベルト基体が金属薄板で構成された場合を示している。
【図3】本発明の塗布装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の塗布装置を用いて、得られた無端ベルトを示す斜視図である。
【図5】本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の電子写真装置の他の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0105】
10 ベルト基体
12 支持ロール
14 塗布器
16 スリット
18 液だまり
20 塗膜
22 無端ベルト
24 欠陥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継ぎ目を有するベルト基体表面に、塗布溶液をスリットから連続的に押し出して塗布するための塗布装置であって、
前記塗布の開始位置が、前記ベルト基体の継ぎ目又はその近傍であることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
継ぎ目を有するベルト基体表面に、塗布溶液をスリットから連続的に押し出して塗布する塗布方法であって、
前記塗布の開始位置が、前記ベルト基体の継ぎ目又はその近傍であることを特徴とする塗布方法。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布方法により、継ぎ目を有するベルト基体に、皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程と、
塗布された皮膜形成樹脂溶液を加熱して、樹脂皮膜を形成する工程と、
前記樹脂皮膜を前記ベルト基体から取り外す工程と、
を有することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の無端ベルトの製造方法により得られる、ことを特徴とする無端ベルト。
【請求項5】
前記ベルト基体の継ぎ目による転写で生じる欠陥部と、塗布開始時と終了時との塗膜の継ぎ目で生じる欠陥部と、同一位置に重なっていることを特徴とする請求項4に記載の無端ベルト。
【請求項6】
請求項4〜5のいずれか1項に記載の無端ベルトを備えることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−255616(P2006−255616A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78144(P2005−78144)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】