説明

塗布針洗浄方法、塗布針洗浄装置およびこれを備えたパターン修正装置

【課題】洗浄時間を短縮することができ、十分な洗浄を行なうことのできる塗布針洗浄方法、塗布針洗浄装置およびこれを備えたパターン修正装置を提供する。
【解決手段】塗布針洗浄装置21は、インクが付着した塗布針を洗浄する塗布針洗浄装置であって、塗布針13を浸漬するための洗浄液31と、洗浄液31中に配置可能なブラシ32と、洗浄液31中でブラシ32を振動させるモータ33とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布針洗浄方法、塗布針洗浄装置およびこれを備えたパターン修正装置に関し、より特定的には、カラーフィルタのパターンに発生する欠陥の修正に用いられる塗布針の洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(液晶ディスプレイ)の大型化、高精細化に伴い画素数も増大し、LCDを無欠陥で製造することは困難となり、欠陥の発生確率も増加してきている。このような状況下において歩留まり向上のために、LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を修正する欠陥修正装置が生産ラインに不可欠となってきている。
【0003】
また最近では、LCDでも37〜45インチ程度のものが市販されており、1画素のサイズも小型パネルの60μm×200μm程度から200μm×600μm程度と大きくなってきている。画素サイズが大きくなるに伴い、欠陥サイズも大きくなり、修正サイズも大きくなってきている。このような状況において、従来の小さな修正サイズでは問題とされなかった修正品位でも、大きな修正サイズでは目視で見える領域となるため問題になる場合がでてきている。
【0004】
図9(a)〜(c)は、LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を示す図である。図9(a)〜(c)において、カラーフィルタは、透明基板と、その表面に形成されたブラックマトリクス100と呼ばれる格子状のパターンと、複数組のR(赤色)画素101、G(緑色)画素102、およびB(青色)画素103とを含む。カラーフィルタの製造工程においては、図9(a)に示すように画素やブラックマトリクス100の色が抜けてしまった白欠陥104や、図9(b)に示すように隣の画素と色が混色した部分や、ブラックマトリクス100が画素にはみ出した部分である黒欠陥105や、図9(c)に示すように画素に異物が付着した異物欠陥106などが発生する。
【0005】
白欠陥104を修正する方法としては、白欠陥104が存在する画素と同色のインクを塗布針の先端部に付着させ、針先端の円形平坦面のインク層を白欠陥104に転写し、円形のインク層で白欠陥104を覆う方法がある。また、黒欠陥105や異物欠陥106を修正する方法としては、欠陥部分をレーザカットして矩形の白欠陥104を形成し、矩形の先端平坦面を有する塗布針を用いて矩形の白欠陥104内に矩形のインク層を転写する方法がある。
【0006】
ところで、ブラックマトリクス100、R画素101、G画素102、およびB画素103のうち複数の領域に欠陥が発生した場合、1つの領域(色)の欠陥を修正した後で、塗布針を洗浄して異なる色のインクを塗布針に付着させる必要がある。塗布針の洗浄方法としては、さまざまなものが提案されており、たとえば、洗浄液に針を浸漬した状態で洗浄液に超音波エネルギを与えて洗浄する方法(以下、第1の方法と記す)がある。また、洗浄液に針を浸漬した状態で洗浄液を攪拌して洗浄し、洗浄後塗布針に空気を吹き付ける方法(以下、第2の方法と記す)がある。また、スポンジに針を刺して針の汚れをスポンジに擦りつけて移す方法(以下、第3の方法と記す)がある。第3の方法は第1の方法や第2の方法とともに使用されることもある。
【0007】
なお、特開平9−236933号公報(特許文献1)には上記第2の方法が開示されている。また、特開2004−205912号公報(特許文献2)には洗浄液中に針を浸漬した後で針をエアブローする洗浄方法が開示されている。
【特許文献1】特開平9−236933号公報
【特許文献2】特開2004−205912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の洗浄方法にはそれぞれ以下のような問題があった、第1の方法および第2の方法では洗浄効率が悪く、塗布するインクの粘度が高い場合などは洗浄時間が長くなるという問題があった。第3の方法では針の根元にインクやゴミが溜まりやすく、洗浄が不十分であるという問題があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、洗浄時間を短縮することができ、十分な洗浄を行なうことのできる塗布針洗浄方法、塗布針洗浄装置およびこれを備えたパターン修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の塗布針洗浄方法は、付着物が付着した塗布針を洗浄する塗布針洗浄方法であって、塗布針を洗浄液に浸漬する工程と、洗浄液中において櫛状部材を振動させる振動工程とを備えている。
【0011】
本発明の塗布針洗浄装置は、付着物が付着した塗布針を洗浄する塗布針洗浄装置であって、塗布針を浸漬するための洗浄液と、洗浄液中に配置可能な櫛状部材と、洗浄液中で櫛状部材を振動させる駆動部材とを備えている。
【0012】
本発明の塗布針洗浄方法および塗布針洗浄装置によれば、櫛状部材を振動させることによって洗浄液中にランダムな方向の水流が発生し、この水流によって塗布針が洗浄される。これにより、洗浄効率が向上し、洗浄時間を短縮することができる。また、塗布針の根元に付着物が溜まることがなく、十分な洗浄を行なうことができる。
【0013】
本発明の塗布針洗浄方法において好ましくは、櫛状部材を100Hz以上100kHz未満の周波数で振動させる。これにより、洗浄液に超音波エネルギを与えて洗浄する場合に比べて低い周波数で洗浄が行なわれるので、洗浄液の発熱を抑えることができる。また、超音波を発生させるための圧電素子などを用いずに洗浄を行なうことができる。
【0014】
本発明の塗布針洗浄方法において好ましくは、塗布針の長手方向に対して垂直な方向に櫛状部材を振動させる。これにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0015】
本発明の塗布針洗浄方法において好ましくは、振動工程において櫛状部材を塗布針に接触させる。これにより、塗布針に付着した付着物を櫛状部材によって擦り落とすことができ、洗浄効率を一層向上することができる。
【0016】
本発明の塗布針洗浄装置において好ましくは、櫛状部材はブラシである。これにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0017】
本発明の塗布針洗浄装置において好ましくは、駆動部材はモータである。これにより、圧電素子などを用いずに櫛状部材を振動させることができるので、簡易な構成とすることができる。
【0018】
本発明の塗布針洗浄装置において好ましくは、洗浄液中へ櫛状部材を移動させるための移動部材がさらに備えられている。これにより、櫛状部材を適切な位置に配置して洗浄を行なうことができるので、振動による洗浄液の飛散を抑制することができ、また洗浄効率を一層向上することができる。
【0019】
本発明のパターン修正装置は、パターンの欠陥を修正するためのパターン修正装置であって、欠陥を修正するための修正液と、塗布針と、塗布針に修正液を付着させて欠陥に塗布するための塗布針駆動装置と、上記の塗布針洗浄装置とを備えている。
【0020】
本発明のパターン修正装置によれば、洗浄時間を短縮することができ、十分な洗浄を行なうことができる。その結果、パターンの修正の精度および効率が向上する。
【0021】
なお、本発明の櫛状部材としては、多数の棒状の部材が台に配置されたものであればよく、たとえば獣毛や繊維などを木や合成樹脂などの台に植えつけた形態のブラシでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の塗布針洗浄方法、塗布針洗浄装置およびこれを備えたパターン修正装置によれば、洗浄時間を短縮することができ、十分な洗浄を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるパターン修正装置の構成を示す斜視図である。図1を参照して、パターン修正装置1は、パターンの欠陥を修正するためのパターン修正装置であって、基板の表面を観察する観察光学系2と、観察された画像を映し出すモニタ3と、観察光学系2を介してレーザ光を照射し不要部をカットするカット用レーザ部4と、欠陥修正用のインクを欠陥に塗布するためのインク塗布機構5と、欠陥を加熱してインクを乾燥させるための基板加熱部6と、欠陥を認識する画像処理部7と、装置全体を制御するホストコンピュータ8と、装置機構部の動作を制御する制御用コンピュータ9とを備えている。さらにその他に、欠陥を持つ基板をXY方向(水平方向)に移動させるXYステージ10と、XYステージ10上で基板を保持するチャック部11と、観察光学系2やインク塗布機構5をZ方向(垂直方向)に移動させるZステージ12とを備えている。
【0024】
図2は、本発明の一実施の形態におけるインク塗布機構の構成を示す一部省略した斜視図である。図2を参照して、インク塗布機構5は、インク塗布用の塗布針13と、複数のインクタンク20a〜20dと、塗布針洗浄装置21と、回転テーブル22と、位置決め用アクチュエータ25と、インデックス板27と、インデックス用モータ28と、センサ29aおよび29bとを有している。位置決め用アクチュエータ25は塗布針13を垂直方向に駆動させる機構である。位置決め用アクチュエータ25はインク塗布機構5の側部に設けられており、駆動軸24および保持部材23を有している。駆動軸24は位置決め用アクチュエータ25から下方に延在しており、保持部材23は駆動軸24の先端に設けられている。塗布針13は駆動軸24の先端部に配置されており、保持部材23によって固定されている。
【0025】
回転テーブル22はインク塗布機構5の下部に設けられており、扇形を有している。回転テーブル22上には、複数のインクタンク20a〜20dおよび塗布針洗浄装置21が扇形の円周方向に沿って配置されている。複数のインクタンク20a〜20dの各々には、それぞれRGBおよび黒の各色のインクやインクの固着を防ぐための溶剤が注入されている。なお、回転テーブル22には、インク塗布時に塗布針13を通過させるための切欠部22aが形成されている。
【0026】
回転テーブル22の中心には回転軸26が立設されている。回転軸26の上部には、回転テーブル22の回転軸26を回転させるためのインデックス用モータ28と、回転軸26とともに回転するインデックス板27と、インデックス板27を介して回転テーブル22の回転位置を検出するためのインデックス用センサ29aと、インデックス板27を介して回転テーブル22の回転位置が原点に復帰したことを検出するための原点復帰用センサ29bとが配置されている。
【0027】
なお、複数のインクタンク20a〜20dにはインクが注入されており、これらのインクはパターンの欠陥を修正するための修正液として用いられる。回転テーブル22、位置決め用アクチュエータ25、回転軸26、およびインデックス用モータ28は、塗布針13にインクを付着させて欠陥に塗布するための針駆動装置として機能する。
【0028】
図3は、本発明の一実施の形態における塗布針洗浄装置の構成を示す断面図である。図3を参照して、塗布針洗浄装置21は、付着物が付着した塗布針13(図2)を洗浄するための洗浄装置であって、容器30と、洗浄液31と、櫛状部材としてのブラシ32と、駆動部材としてのモータ33と、移動部材としてのヒンジ36とを備えている。容器30は上部に開口を有しており、回転テーブル22上に配置されている。容器30内には洗浄液31が貯留されている。ブラシ32は容器30上に配置されており、ヒンジ36を軸として回転可能とされている。ブラシ32にはモータ33が機械的に接続されている。なお、塗布針洗浄装置21は、容器30の開口の上部に配置され、飛散した洗浄液31を吸引するためのバキューム35(図2)をさらに備えていてもよい。
【0029】
続いて、本実施の形態におけるパターン修正装置の動作について説明する。図1〜図3を参照して、始めに、欠陥を持つカラーフィルタをXYステージ10上に配置し、チャック部11によって固定する。次に、Zステージ12で観察光学系2の位置を微調節し、観察光学系2で撮影されたカラーフィルタの表面をモニタ3で観察する。そして、画像処理部7で処理された画像に欠陥が見つかったら、その欠陥が塗布針13の真下に位置するようにXYステージ10を移動する。
【0030】
次いで、回転テーブル22を回転させて、インクタンク20a〜20dのうち欠陥に塗布すべきインクが貯えられたインクタンクを塗布針13の真下に位置させ、位置決め用アクチュエータ25によって塗布針13を下降および上昇させる。これよって塗布針13の先端部にインクを付着させる。次に、回転テーブル22を回転させて切欠部22aを塗布針13の下方に位置させ、Zステージ12および位置決め用アクチュエータ25によって塗布針13を下降させて塗布針13の先端を欠陥に接触させる。これによってインクを欠陥に塗布する。その後、Zステージ12および位置決め用アクチュエータ25によって塗布針13を元の位置まで上昇させ、基板加熱部6でカラーフィルタを加熱してインクを乾燥させる。
【0031】
塗布終了後、回転テーブル22を回転させて塗布針洗浄装置21を塗布針13の下方に位置させ、塗布針洗浄装置21を用いて塗布針13を洗浄する。図3を参照して、ヒンジ36によってブラシ32を回転させ、図4に示すように、ブラシ32を洗浄液31中に移動する。このとき、ブラシ32を根元まで完全に洗浄液31中に浸漬すると洗浄液が霧状に飛散したりする場合があるので、ブラシ32の先端部分のみ洗浄液31中に浸漬することが好ましい。また、ブラシ32の振動の振動数や振幅を調節することにより洗浄液の飛散を抑制してもよい。
【0032】
続いて、図1、図2および図5を参照して、位置決め用アクチュエータ25によって塗布針13を下降させ、塗布針13の先端部を洗浄液31に浸漬する。このとき、XYステージ10、位置決め用アクチュエータ25およびヒンジ36を用いて、塗布針13とブラシ32との距離と、塗布針13に対するブラシ32の角度とが調節される。ブラシ32は図6に示すように塗布針13と接触する位置に調節されるのが好ましいが、塗布針13の剛性が非常に小さい場合には、塗布針13と非接触の状態で近接する位置に調節されてもよい。塗布針13とブラシ32とを接触させる場合、ブラシ32の根元付近に塗布針13を配置すると塗布針13に大きな力が加わるおそれがあるので、ブラシ32の先端付近に塗布針13を配置する。また、ブラシ32は塗布針13の長手方向から角度α(0°<α<90°)だけ傾斜するように角度が調節される。
【0033】
なお、ブラシ32を洗浄液31に浸漬した後で塗布針13を洗浄液31に浸漬する代わりに、塗布針13を洗浄液31に浸漬した後でブラシ32を洗浄液31に浸漬してもよい。
【0034】
次に、図1、図2および図5を参照して、ブラシ32を洗浄液31中に配置した状態で、モータ33により振動させる。これによって洗浄液31にランダムな方向の水流が発生し、この水流で塗布針13の先端に付着した余分なインク13aが除去される。また、ブラシ32が塗布針13に接触している場合には、塗布針13の先端に付着した余分なインク13aがブラシ32によって擦り落とされる。
【0035】
ここで、ブラシ32の振動方向は、たとえば塗布針13の長手方向に対して垂直な方向(図5中紙面に垂直な方向、図6中矢印A1で示される方向)とされる。ブラシ32の振動周波数は、たとえば100Hz以上100kHz未満とされる。また、ブラシ32(直径、長さ、および材質)、塗布針13とブラシ32との位置関係、およびブラシ32の振幅は、塗布針13が変形しないように塗布針13の剛性に合わせて選定される。また、ブラシ32は耐溶剤性を有していることが好ましい。
【0036】
洗浄終了後、位置決め用アクチュエータ25によって塗布針13を元の位置まで上昇させ、欠陥の修正を終了する。
【0037】
本実施の形態における塗布針洗浄方法は、インクが付着した塗布針13を洗浄する塗布針洗浄方法であって、塗布針13を洗浄液31に浸漬する工程と、洗浄液31中においてブラシ32を振動させる振動工程とを備えている。
【0038】
本実施の形態における塗布針洗浄装置21は、インクが付着した塗布針13を洗浄する塗布針洗浄装置であって、塗布針13を浸漬するための洗浄液31と、洗浄液31中に配置可能なブラシ32と、洗浄液31中でブラシ32を振動させるモータ33とを備えている。
【0039】
本実施の形態における塗布針洗浄方法および塗布針洗浄装置21によれば、ブラシ32を振動させることによって洗浄液31中にランダムな方向の水流が発生し、この水流によって塗布針13が洗浄される。これにより、洗浄効率が向上し、洗浄時間を短縮することができる。また、塗布針13の根元にインクが溜まることがなく、十分な洗浄を行なうことができる。
【0040】
ここで特許文献1においては、洗浄液が回転ペラで円状に攪拌されているが、このように円状に攪拌された場合には、洗浄液の流れが一方向になる。これに対して本実施の形態では、ブラシ32を振動させるので洗浄液31中にランダムな方向の水流が発生するので、特許文献1の場合よりも効率よく塗布針を洗浄することができる。
【0041】
また、ブラシ32を100Hz以上100kHz未満の周波数で振動させることにより、洗浄液31に超音波エネルギを与えて洗浄する場合に比べて低い周波数で洗浄を行なうことができるので、洗浄液31の発熱を抑えることができる。また、超音波を発生させるための圧電素子などを用いずに洗浄を行なうことができる。
【0042】
また、塗布針13の長手方向に対して垂直な方向に櫛状部材を振動させることにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0043】
また、ブラシ32の駆動部材としてモータ33を用いることにより、圧電素子などを用いずに櫛状部材を振動させることができるので、簡易な装置構成とすることができる。
【0044】
また、洗浄液31中へブラシ32を移動させるためのヒンジ36がさらに備えられているので、ブラシ32を適切な位置に配置して洗浄を行なうことができる。その結果、振動による洗浄液31の飛散を抑制することができ、また洗浄効率を一層向上することができる。
【0045】
本実施の形態におけるパターン修正装置1は、パターンの欠陥を修正するためのパターン修正装置であって、欠陥を修正するためのインク13aと、塗布針13と、塗布針13にインク13aを付着させて欠陥に塗布するための回転テーブル22、位置決め用アクチュエータ25、回転軸26、およびインデックス用モータ28と、塗布針洗浄装置21とを備えている。これにより、洗浄時間を短縮することができ、十分な洗浄を行なうことができる。その結果、パターンの修正の精度および効率が向上する。
【0046】
なお、本実施の形態では、塗布針13の付着物がインクである場合について示したが、本発明は付着物がインク以外である場合にも適用可能である。また、ヒンジ36を用いてブラシ32を洗浄液31中へ移動させる場合について示したが、洗浄液中へ櫛状部材を移動させるための移動部材であればヒンジ以外のものでもよい。
【0047】
また、本実施の形態ではブラシ32が塗布針13の長手方向から角度α(0°<α<90°)だけ傾斜するように角度が調節される場合について示したが、たとえば図7に示すように、ブラシ32と塗布針13とを同軸で配置し(角度α=180°)、たとえば塗布針13の長手方向に対して垂直な方向(図中矢印A2で示す方向)にブラシ32を振動させても上記の構成と同様の効果を得ることができる。この場合には、ブラシ32が洗浄液31中に常に浸漬された構成となる。
【0048】
さらに、本実施の形態では櫛状部材としてブラシ32が用いられる場合について示したが、本発明ではブラシ32に代わって、図8に示すように櫛37が用いられてもよい。図8を参照して、櫛37は、塗布針13から距離dだけ離れた位置に配置された状態で、塗布針13の長手方向に対して垂直な方向(図中矢印A3で示す方向)に振動される。櫛37はたとえば金属よりなっている。このような構成であっても上記の構成と同様の効果を得ることができる。
【実施例1】
【0049】
図3に示す塗布針洗浄装置を用いて、塗布針の先端に付着したインク(ペースト)を洗浄した。塗布針13としては、材質がタングステンであり、本体部の直径が0.7mmであり、先端部のテーパ角度が10度であり、先端部の直径50μmであるものを使用した。ブラシ32としては、毛の材質がテフロン(登録商標)であり、1本の毛の直径が100μmであり、毛の長さが20mmであり、直径3mmの植毛領域が3箇所あるものを使用した。ブラシ32の振動の振幅を0.5mmとし、周波数を約8000Hzとし、振動方向を塗布針13の長手方向に対し垂直な方向とした。塗布針13をブラシ32の先端から約5mmに配置してブラシ32を振動させた。この条件により、塗布針13の先端部から2mm程度の位置に付着している、約50mPa・sの粘度のペーストを洗浄した。その結果、約10秒間の洗浄でペーストが塗布針13から完全に除去された。
【0050】
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、カラーフィルタのパターンに発生する欠陥部の修正に用いられる塗布針の洗浄技術として適している。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態におけるパターン修正装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるインク塗布機構の構成を示す一部省略した斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態における塗布針洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態における塗布針洗浄装置において、ブラシを洗浄液中に移動した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における塗布針洗浄装置において、塗布針の先端部を洗浄液に浸漬した状態を示す断面図である。
【図6】ブラシが塗布針と接触する位置に調節された状態を示す平面拡大図である。
【図7】本発明の一実施の形態における塗布針洗浄装置の他の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態における塗布針洗浄装置のさらに他の構成を示す平面拡大図である。
【図9】カラーフィルタに発生する欠陥を示す図である。(a)は白欠陥を示す図であり、(b)は黒欠陥を示す図であり、(c)は異物欠陥を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 パターン修正装置、2 観察光学系、3 モニタ、4 カット用レーザ部、5 インク塗布機構、6 基板加熱部、7 画像処理部、8 ホストコンピュータ、9 制御用コンピュータ、10 XYステージ、11 チャック部、12 Zステージ、13 塗布針、13a インク、20a〜20d インクタンク、21 塗布針洗浄装置、22 回転テーブル、22a 切欠部、23 保持部材、24 駆動軸、25 位置決め用アクチュエータ、26 回転軸、27 インデックス板、28 インデックス用モータ、29a インデックス用センサ、29b 原点復帰用センサ、30 容器、31 洗浄液、32 ブラシ、33 モータ、35 バキューム、36 ヒンジ、37 櫛、101 R画素、102 G画素、103 B画素、104 白欠陥、105 黒欠陥、106 異物欠陥。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着物が付着した塗布針を洗浄する塗布針洗浄方法であって、
前記塗布針を洗浄液に浸漬する工程と、
前記洗浄液中において櫛状部材を振動させる振動工程とを備える、塗布針洗浄方法。
【請求項2】
前記櫛状部材を100Hz以上100kHz未満の周波数で振動させることを特徴とする、請求項1に記載の塗布針洗浄方法。
【請求項3】
前記塗布針の長手方向に対して垂直な方向に前記櫛状部材を振動させることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布針洗浄方法。
【請求項4】
前記振動工程において前記櫛状部材を前記塗布針に接触させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の塗布針洗浄方法。
【請求項5】
付着物が付着した塗布針を洗浄する塗布針洗浄装置であって、
前記塗布針を浸漬するための洗浄液と、
前記洗浄液中に配置可能な櫛状部材と、
前記洗浄液中で前記櫛状部材を振動させる駆動部材とを備える、塗布針洗浄装置。
【請求項6】
前記櫛状部材はブラシであることを特徴とする、請求項5に記載の塗布針洗浄装置。
【請求項7】
前記駆動部材はモータであることを特徴とする、請求項5または6に記載の塗布針洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄液中へ前記櫛状部材を移動させるための移動部材をさらに備える、請求項5〜7のいずれかに記載の塗布針洗浄装置。
【請求項9】
パターンの欠陥を修正するためのパターン修正装置であって、
前記欠陥を修正するための修正液と、
前記塗布針と、
前記塗布針に前記修正液を付着させて前記欠陥に塗布するための塗布針駆動装置と、
請求項5〜8のいずれかに記載の塗布針洗浄装置とを備える、パターン修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−73638(P2008−73638A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257348(P2006−257348)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】