説明

塗料組成物及び塗膜形成方法

【課題】耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り外観、耐タレ性等の塗装作業性のいずれにも優れる硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を提供すること。
【解決手段】特定第2級水酸基含有モノマー(a−1)、第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー(a−3)及び少なくとも1種の共重合可能な他の不飽和モノマー(a−4)を共重合して得られるアクリル樹脂であって、モノマー(a−1)の使用量(質量)がモノマー(a−2)の使用量よりも多いアクリル樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)及び特定の非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)を含有することを特徴とする塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業性に優れ、耐擦り傷性、耐酸性及び耐汚染性に優れる塗膜を形成することができる塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体等の被塗物に塗装される塗料には、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り外観等の塗膜性能に優れることが要求されている。
【0003】
従来、上記被塗物用の塗料として、メラミン架橋系塗料が汎用されてきた。メラミン架橋系塗料は、水酸基含有樹脂及び架橋剤であるメラミン樹脂を含有する塗料であり、加熱硬化時の架橋密度が高く、耐擦り傷性、仕上り性等の塗膜性能に優れている。しかし、この塗料には、メラミン架橋結合が酸性雨により加水分解され易く、塗膜の耐酸性が劣るという問題がある。
【0004】
特許文献1には、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有オリゴエステル及びイソシアネートプレポリマーからなる二液型ウレタン架橋系塗料組成物を開示している。この塗料は、ウレタン架橋結合が加水分解され難いため塗膜の耐酸性に優れる。しかし、塗膜の耐擦り傷性は不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−220397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り外観、耐タレ性等の塗装作業性のいずれにも優れる硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、特定のモノマーを構成成分とするアクリル樹脂、ポリイソシアネート化合物及び非水ディスパージョン型アクリル樹脂を含有する塗料組成物により上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の項を提供する:
項1.下記一般式(1)で表わされる不飽和モノマー(a−1)、第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー(a−3)及び少なくとも1種の共重合可能な他の不飽和モノマー(a−4)を共重合して得られるアクリル樹脂であって、不飽和モノマー(a−1)の使用量(質量)がモノマー(a−2)の使用量よりも多いアクリル樹脂(A)、
ポリイソシアネート化合物(B)及び
高分子分散安定剤及び有機溶剤の存在下で、少なくとも1種の不飽和モノマーを分散重合せしめてなる非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)
を含有する塗料組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、mとnの和は1〜3である。]
項2.ポリイソシアネート化合物(B)として、脂肪族ジイソシアネート又はその誘導体を含有する項1に記載の塗料組成物。
【0011】
項3.さらに、分子内に少なくとも2個の不飽和基を含有するモノマー(d−1)及びその他の不飽和モノマー(d−2)をアリル基含有反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られる重合体微粒子(D)を含有する項1又は2に記載の塗料組成物。
【0012】
項4.被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物を塗装する工程を含む、複層塗膜形成方法。
【0013】
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びメタクリレートの総称である。
【発明の効果】
【0014】
特定のモノマーを構成成分とするアクリル樹脂、ポリイソシアネート化合物及び非水ディスパージョン型アクリル樹脂を含有する本発明の塗料組成物によれば、上記アクリル樹脂は上記一般式(1)で表わされる不飽和モノマー(a−1)及び第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)によりもたらされる架橋官能基として、1級水酸基に比して硬化性が緩やかである2級水酸基を有する樹脂であるので、硬化過程における最適な硬化速度が得られることにより、塗面平滑性等の仕上り外観に優れた塗膜を得ることができる。
【0015】
また、不飽和モノマー(a−1)とモノマー(a−2)を併用することにより、耐擦り傷性と耐汚染性のバランスに優れた塗膜を得ることができる。さらに、モノマー(a−3)を用いることにより耐擦り傷性、特に経時での耐擦り傷性の維持性に優れた塗膜を得ることができる。また、アクリル樹脂(A)とポリイソシアネート化合物(B)の反応によるウレタン架橋結合が酸による耐加水分解性に優れることから耐酸性に優れた塗膜を得ることができる。
【0016】
さらに、本発明の塗料組成物は、レオロジーコントロール剤成分として、非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)を含有するものであるので、耐タレ性が良好であり、塗装作業性に優れている。
【0017】
以上、本発明によれば塗装作業性に優れ、仕上り外観、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性のいずれにも優れた硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を得ることができるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある。)及び複層塗膜形成方法について詳細に説明する。
【0019】
本発明の塗料組成物は、アクリル樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)及び非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)を含有することを特徴とする塗料組成物である。
【0020】
アクリル樹脂(A)
本発明の塗料組成物のアクリル樹脂(A)は、上記一般式(1)で表わされる不飽和モノマー(a−1)、第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー(a−3)及び少なくとも1種の共重合可能な他の不飽和モノマー(a−4)を共重合して得られるアクリル樹脂であって、不飽和モノマー(a−1)の使用量(質量)がモノマー(a−2)の使用量よりも多いアクリル樹脂である。
【0021】
不飽和モノマー(a−1)としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることできる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。不飽和モノマー(a−1)のエステル部のアルキル基の炭素数は2〜4であり、第2級水酸基を有している。アルキル基の炭素数が5以上であると塗膜の仕上り外観が低下する場合があり、また、塗料組成物のポットライフが低下する場合がある。また、アルキル基が第1級水酸基を有する場合、塗膜の仕上り外観が低下する傾向にある。これは、第1級水酸基と第2級水酸基との硬化速度の違いによると考えられる。不飽和モノマー(a−1)が有する水酸基が第1級であると、第2級である場合より硬化速度が速いからであると推測されるためである。
【0022】
アクリル樹脂(A)において、不飽和モノマー(a−1)の使用量は、質量基準で、第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)(以下、モノマー(a−2)ともいう)の使用量よりも大きいことが重要である。例えば、不飽和モノマー(a−1)とモノマー(a−2)との使用割合は、質量基準で、10:1〜1.8:1が好ましい。
【0023】
これは、モノマー(a−2)は耐擦り傷性を付与する効果があるが、親水性が高いため、不飽和モノマー(a−1)より多いと耐汚染性が不十分となるためである。また、モノマー(a−2)の使用量が多いと得られる塗膜の架橋間分子量が大きくなるため、それに起因して得られる塗膜の硬度、耐侯性、耐擦り傷性が低下する場合がある。
【0024】
不飽和モノマー(a−1)の使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜35質量%である。不飽和モノマー(a−1)の使用量を上記範囲とすることにより、硬化性、得られる塗膜の硬度及び耐擦り傷性が高い塗料を得ることができるため好ましい。
【0025】
なお、アクリル樹脂(A)中の各モノマーの含有量はNMR、ガスクロマトグラフ等により定量することができる。
【0026】
第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)としては、ポリオキシアルキレングリコールと(メタ)アクリレートとの反応生成物が挙げられる。具体的には、以下の一般式(2)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0027】
【化2】

【0028】
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、p、q、及びrはそれぞれ独立して0〜13(例えば、0〜10)を示し、p、q、及びrの少なくとも1つが1以上を示す。ポリオキシアルキレン構造はブロック共重合体だけでなく、ランダム共重合体も含む。]
上記一般式(2)で表わされるポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートは2級水酸基を有する化合物である。
【0029】
上記一般式(2)で表わされるポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートのうち、好ましくはqが1以上のポリオキシプロピレン部を持つものである。具体的には日本油脂製「ブレンマー」が挙げられる。ブレンマーとしては以下のものを挙げることができる(なお、括弧内は一般式(2)との対応を示す)。
【0030】
ブレンマーPP−1000(R=メチル基、p=0、q=4〜6、r=0の化合物)、ブレンマーPP−500(R=メチル基、p=0、q=9、r=0の化合物)、ブレンマーPP−800(R=メチル基、p=0、q=13、r=0の化合物)、ブレンマーAP−150(R=水素原子、p=0、q=3、r=0の化合物)、ブレンマーAP−400(R=水素原子、p=0、q=6、r=0の化合物)、ブレンマーAP−550(R=水素原子、p=0、q=9、r=0の化合物)、ブレンマー50PEP−300(R=メチル基、p=3.5、q=2.5、r=0の化合物)、ブレンマー70PEP−350(R=メチル基、p=5、q=2、r=0の化合物)、ブレンマー55PET−400(R=メチル基、p=5、q=0、r=2の化合物)、ブレンマー30PET−800(R=メチル基、p=6、q=0、r=10の化合物)、ブレンマー55PET−800(R=メチル基、p=10、q=0、r=5の化合物)、ブレンマー30PPT−800(R=メチル基、p=0、q=4、r=8の化合物)、ブレンマー50PPT−800(R=メチル基、p=0、q=7、r=6の化合物)、ブレンマー70PPT−800(R=メチル基、p=0、q=10、r=3の化合物)、ブレンマー10PPB−500B(R=メチル基、p=0、q=1、r=6の化合物)、ブレンマー10APB−500B(R=水素原子、p=0、q=1、r=6の化合物)。
【0031】
これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。本発明においては、塗料組成物の硬化速度を適切に制御して得られる塗膜の仕上り外観を良好なものとする観点から、モノマー(a−2)が第2級水酸基を有することが重要である。
【0032】
モノマー(a−2)の使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは5〜25質量%である。モノマー(a−2)の使用量を上記範囲とすることにより、硬化性、得られる塗膜の耐汚染性及び耐擦り傷性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0033】
さらにアクリル樹脂(A)はイソボルニル(メタ)アクリレートモノマー(a−3)(以下、モノマー(a−3)ともいう)を共重合成分とすることにより、初期の耐擦り傷性が良好となり、また、特に耐侯性試験後の耐擦り傷性の低下を抑制することができる。モノマー(a−3)の使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、好ましくは10〜50質量%である。モノマー(a−3)の使用量を上記範囲とすることにより、得られる塗膜の硬度及び耐汚染性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0034】
少なくとも1種の共重合可能な他の不飽和モノマー(a−4)としては、具体的には、以下の(1)〜(9)に列挙する不飽和モノマーを挙げることができる。
【0035】
(1)第1級水酸基含有(メタ)アクリレート:アクリル酸又はメタクリル酸と2価アルコールとのモノエステル化物のうち、1級水酸基を有する化合物で、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0036】
第1級水酸基含有(メタ)アクリレートを使用する場合、得られる塗膜の仕上り外観の観点から、第1級水酸基含有(メタ)アクリレートの使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、15質量%未満であるのが好ましい。
【0037】
(2)酸基含有不飽和モノマー:1分子中に1個以上の酸基と1個の不飽和結合とを有する化合物で、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等の如きカルボキシル基含有不飽和モノマー;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等の如きスルホン酸基含有不飽和モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和モノマー等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。酸基含有不飽和モノマーは(A)成分が(B)成分と架橋反応する時の内部触媒としても作用することができるものであり、その使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、0〜5質量%、特に0.1〜3質量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0038】
(3)アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのエステル化物:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシルメタアクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等。
【0039】
また、上記のうち、分岐構造を有する炭素原子数8以上の炭化水素基を有する不飽和モノマー(a−4−3−1)を塗膜の耐擦り傷性を向上させる観点から好適に使用することができる。不飽和モノマー(a−4−3−1)を構成成分とすることにより、得られるアクリル樹脂(A)のTg及び極性が低下することから、柔軟性付与による塗膜の耐擦り傷性の向上及び表面の平滑化による仕上り性の向上効果を得ることができる。また、分岐構造を有していることから、直鎖状の炭素原子数8以上の炭化水素基を有する不飽和モノマーを構成成分とする場合にくらべて塗膜のTgの低下を抑えることができるため、耐酸性の向上の観点からも有利である。
【0040】
分岐構造を有する炭素原子数8以上の炭化水素基を有する不飽和モノマーの具体例としては、上記したもののうち、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名)を挙げることができる。
【0041】
不飽和モノマー(a−4−3−1)を使用する場合、その使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、3〜50質量%、特に、10〜40質量%の範囲内であるのが好ましい。
【0042】
(4)アルコキシシリル基含有不飽和モノマー:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等。これらのうち好ましいアルコキシシラン基含有不飽和モノマーとして、ビニルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0043】
アルコキシシリル基含有不飽和モノマーを構成成分とすることにより、水酸基とイソシアネート基との架橋結合に加え、アルコキシシリル基同士の縮合反応及びアルコキシシリル基と水酸基の反応による架橋結合を生成することができる。それにより、得られる塗膜の架橋密度が向上することから、耐酸性、耐汚染性の向上の効果を得ることができる。
【0044】
アルコキシシリル基含有不飽和モノマーを使用する場合、その使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、3〜50質量%、特に、5〜35質量%の範囲内であるのが好ましい。
【0045】
(5)芳香族系不飽和モノマー:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
【0046】
芳香族系不飽和モノマーを構成成分とすることにより、得られる樹脂のTgが上昇し、また、高屈折率で疎水性の塗膜を得ることができることから、塗膜の光沢向上による仕上り性の向上、耐水性及び耐酸性の向上という効果を得ることができる。
【0047】
芳香族系不飽和モノマーを使用する場合、その使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、3〜50質量%、特に、5〜40質量%の範囲内であるのが好ましい。
【0048】
(6)グリシジル基含有不飽和モノマー:1分子中にグリシジル基と不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物で、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等。
【0049】
(7)窒素含有不飽和モノマー:例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等。
【0050】
(8)その他のビニル化合物:例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、バーサティック酸ビニルエステルであるベオバ9、ベオバ10(ジャパンエポキシレジン)等。
【0051】
(9)不飽和結合含有ニトリル系化合物:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0052】
上記(1)〜(9)の不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0053】
不飽和モノマー(a−4)の使用量はモノマー(a−1)〜(a−4)の総量に対し、5〜50質量%であるのが好ましい。
【0054】
本発明において、アクリル樹脂(A)は、モノマー(a−1)〜(a−4)を溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の既知の重合法により共重合することにより製造することができる。例えば、溶液重合法によりアクリル樹脂(A)を製造する場合には、有機溶剤及び重合開始剤の存在下に上記モノマーを共重合させる。
【0055】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール1000(コスモ石油社製、商品名、高沸点石油系溶剤)等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート等を挙げることができる。
【0056】
これらの有機溶剤は、1種で又は2種以上を併用して使用することができるが、アクリル樹脂(A)の溶解性の点から高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用することが好ましい。
【0057】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のそれ自体既知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0058】
また、必要に応じて2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用することができる。
【0059】
アクリル樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは100〜200mgKOH/g、さらに好ましくは120〜180mgKOH/gの範囲内である。上記範囲の水酸基価を有するアクリル樹脂(A)を用いることによって、得られる塗膜の硬度、耐擦り傷性、耐水性及び耐衝撃性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0060】
アクリル樹脂(A)の酸価は好ましくは1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは2〜20mgKOH/gの範囲内である。上記範囲の酸価を有するアクリル樹脂(A)を用いることによって、得られる塗膜の硬度、耐擦り傷性及び仕上り外観が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0061】
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは2000〜40000、さらに好ましくは4000〜20000の範囲内である。上記範囲の重量平均分子量を有するアクリル樹脂(A)を用いることによって、得られる塗膜の硬度、耐酸性、耐侯性 及び仕上り外観(平滑性)が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0062】
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。数平均分子量も上記と同様の条件で測定を行なった値である。
【0063】
アクリル樹脂(A)のガラス転移温度は好ましくは−40℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜60℃の範囲内である。上記範囲のガラス転移温度を有するアクリル樹脂(A)を用いることによって、得られる塗膜の硬度及び塗面平滑性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0064】
アクリル樹脂(A)は単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0065】
ポリイソシアネート化合物(B)
本発明の塗料組成物のポリイソシアネート化合物(B)は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
【0066】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0067】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0068】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0069】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
【0070】
また、ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビュウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
【0071】
これらポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。また、これらポリイソシアネート化合物のうち、耐擦り傷性、耐候性等の観点から、脂肪族ジイソシアネート及びこれらの誘導体を好適に使用することができる。
【0072】
また、ポリイソシアネート化合物として、上記した1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物であるブロック化ポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
【0073】
ブロック剤は、遊離のイソシアネート基を封鎖するものであり、例えば、100℃以上、好ましくは130℃以上に加熱することにより、イソシアネート基が再生し、水酸基と容易に反応することができる。かかるブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール化合物;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム化合物;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル化合物;ベンジルアルコール;グリコール酸;グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル等のグリコール酸エステル;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル;メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系化合物;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン化合物;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド化合物;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド化合物;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等のアミン化合物;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール化合物;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系化合物;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン化合物;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系等のブロック剤を挙げることができる。
【0074】
ブロック化を行なう(ブロック剤を反応させる)にあたっては、必要に応じて溶剤を添加して行なうことができる。ブロック化反応に用いる溶剤としてはイソシアネート基に対して反応性でないものが良く、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、酢酸エチルのようなエステル系溶剤、N−メチルピロリドン(NMP)等のような溶剤を挙げることができる。
【0075】
ポリイソシアネート化合物(B)は、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0076】
本発明の塗料組成物において、得られる塗膜の硬化性、耐擦り傷性等の観点から、アクリル樹脂(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は好ましくは0.5〜2.0、さらに好ましくは0.8〜1.5の範囲内である。
【0077】
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂(A)とポリイソシアネート化合物(B)との比率は、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対して、固形分として、アクリル樹脂(A)が40〜85質量%、好ましくは45〜80質量%、ポリイソシアネート化合物(B)が15〜60質量%、好ましくは20〜55質量%の範囲内であるのが適している。
【0078】
非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)
本発明の塗料組成物の非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)は、高分子分散安定剤及び有機溶剤の存在下で少なくとも1種の不飽和モノマーを分散重合せしめてなるアクリル樹脂である。
【0079】
(C)成分の製造において用いる高分子分散安定剤は、一般に長鎖不飽和モノマーに必要に応じて他の不飽和モノマーを共重合してなる重合体である。
【0080】
当該重合体において使用される長鎖不飽和モノマーは、塗膜に要求される性能に応じて適宜選択できるが、共重合性、有機溶剤に対する溶解性等の観点から好ましく使用できる長鎖不飽和モノマーとして以下のものを例示することができる。
【0081】
例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数4〜18のアルキル又はシクロアルキルエステル;メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アルコールの(メタ)アクリル酸とのエステル;グリシジル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとカプリン酸、ラウリン酸、リノール酸、オレイン酸等のモノカルボン酸化合物との付加物;(メタ)アクリル酸と「カージユラE10」等のモノエポキシ化合物との付加物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のビニル芳香族化合物;イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の(メタ)アクリル酸以外のα,β−不飽和カルボン酸とブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数4〜18のモノアルコールとのモノ又はジエステル化合物;「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、「ビスコート3F」、「ビスコート3FM」(何れも大阪有機化学(株)製、商品名、側鎖にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物)、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチレン等のフッ素原子含有化合物等を挙げることができる。
【0082】
高分子分散安定剤の重合に必要に応じて用いられる、長鎖不飽和モノマー以外の不飽和モノマーとしては、上記に列挙したような長鎖不飽和モノマー以外の不飽和モノマーであれば、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜3のアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸等の炭素数2〜3のモノカルボン酸化合物との付加物;イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の(メタ)アクリル酸以外のα,β−不飽和カルボン酸とメチルアルコール、プロピルアルコール等の炭素数1〜3のモノアルコールとのモノ又はジエステル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有不飽和化合物;酢酸ビニルのようなビニルエステル化合物;エチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のα−オレフィン系化合物等を挙げることができる。長鎖不飽和モノマー以外の不飽和モノマーには、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のように、上記に列挙した不飽和モノマーを水酸基等で置換したものも含まれる。
【0083】
上記高分子分散安定剤を製造するための重合は、通常、ラジカル重合開始剤を用いて行なうことができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、これらの重合開始剤は一般に重合に供されるモノマー100質量部当り0.2〜10質量部程度、好ましくは0.5〜5質量部の範囲内で使用できる。重合時の反応温度は、通常60〜160℃程度であり、重合時の反応時間は、通常1〜15時間程度である。
【0084】
上記分散安定剤として用いる共重合体の分子量は、通常、重量平均分子量で5000〜100000程度、好ましくは5000〜50000程度の範囲内である。上記範囲の分子量を有する共重合体を分散安定剤として用いることによって、分散粒子の安定化により、凝集及び沈降が抑制され、かつ粘度が高すぎず扱いやすい塗料を得ることができるため、好ましい。
【0085】
高分子分散安定剤は、単独又は2種以上を併用して使用することができる。さらに、必要に応じて他の分散安定剤、例えばブチルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂等を併用することも可能である。
【0086】
(C)成分の製造においては、上記高分子分散安定剤の存在下に有機溶剤中で少なくとも1種の不飽和モノマーを重合して、該有機溶剤に不溶性の重合体粒子の非水分散液を調製する。
【0087】
上記重合に使用される有機溶剤としては、該重合により生成する重合体粒子は実質的に溶解しないが、上記高分子分散安定剤及び該不飽和モノマーに対しては良溶媒となる有機溶剤が包含される。かかる有機溶剤の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール系溶剤;セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、2−エチルヘキシルアセテート等のエステル系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0088】
上記有機溶剤としては、特に、脂肪族炭化水素を主体とし、これに適宜芳香族炭化水素、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等を組合せたものを好適に使用することができる。
【0089】
上記重合に供される不飽和モノマーとしては、重合性に優れ、かつ高分子分散安定剤のモノマー成分として用いたモノマーの有する炭素数よりも炭素数の小さい不飽和モノマーを使用するのが、分散重合体粒子として形成されやすい点から好適である。
【0090】
このような不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル又はシクロアルキルエステル;メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アルコールの(メタ)アクリル酸とのエステル;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、p−t−ブチル安息香酸等の炭素数2〜18のモノカルボン酸化合物との付加物;(メタ)アクリル酸と「カ−ジユラE10」等のモノエポキシ化合物との付加物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のビニル芳香族化合物;イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の(メタ)アクリル酸以外のα,β−不飽和カルボン酸とメチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数1〜18のモノアルコールとのモノ又はジエステル化合物;「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、「ビスコート3F」、「ビスコート3FM」(何れも大阪有機化学(株)製、商品名、側鎖にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物)、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチレン等のフッ素原子含有化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有不飽和化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、「ベオバ(VEOVA)」(シェル(株)製)のようなビニルエステル化合物;n−ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;1,6−ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のポリビニル化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のα−オレフィン系化合物等を挙げることができる。
【0091】
重合体粒子を形成するモノマー成分は、前記の通り、高分子分散安定剤のモノマー成分の炭素数よりも炭素数が小さいものを使用することによって粒子成分を安定に形成することができるが、この観点から、炭素数8以下、好ましくは4以下の(メタ)アクリル酸エステル化合物、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリロニトリル等を好適に使用することができる。これらの不飽和モノマーは、単独で又は二種以上を併用して使用することができる。
【0092】
上記不飽和モノマーの重合は、通常ラジカル重合開始剤を用いて行なわれる。使用可能なラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、これら重合開始剤は一般に重合に供されるモノマー100質量部当り0.2〜10質量部程度、好ましくは0.5〜5質量部の範囲内で使用できる。
【0093】
上記重合の際に存在させる高分子分散安定剤と不飽和モノマーとの使用割合は、通常、高分子分散安定剤100質量部に対して不飽和モノマーを3〜240質量部程度、好ましくは5〜82質量部程度である。更に、有機溶剤中における高分子分散安定剤と不飽和モノマーとの合計濃度は、通常、30〜70質量%程度、好ましくは30〜60質量%程度である。
【0094】
重合は、それ自体既知の方法で行なうことができ、重合時の反応温度は通常60〜160℃程度、重合時の反応時間は通常1〜15時間程度である。
【0095】
上記のようにして重合反応を行なうことにより、液相が有機溶剤に高分子分散安定剤が溶解したものであり、固相が不飽和モノマーが重合した重合体粒子である非水ディスパージョン型アクリル樹脂の安定な非水分散液を得ることができる。重合体粒子の平均粒子径は、通常約0.1〜1.0μmの範囲である。重合体粒子の平均粒子径を上記範囲とすることによって、非水分散液の粘度が高くなりすぎず、かつ塗料の貯蔵中の重合体粒子の膨潤又は凝集を抑制することができるため、好ましい。
【0096】
(C)成分の製造においては、非水分散液中の高分子分散安定剤と重合体粒子とを結合させることによって、非水分散液の貯蔵安定性及び機械的特性を向上させることができる。なお、結合させた場合にも外観上の分散状態に変化はほとんど無く、重合体粒子の平均粒子径も変化はほとんどない。
【0097】
高分子分散安定剤と重合体粒子とを結合させる方法としては、例えば、予め高分子分散安定剤を製造する段階において、水酸基、酸基、酸無水基、エポキシ基、メチロール基、イソシアネート基、アミド基、アミノ基等の官能基を有するモノマー成分を一部共重合させておき、更に重合体粒子を形成するモノマー成分として上記官能基と反応する水酸基、酸基、酸無水基、エポキシ基、メチロール基、イソシアネート基、アミド基、アミノ基等の官能基を有するモノマーを用いることによって行なうことができる。これらの組合せとしては、例えばイソシアネート基と水酸基、イソシアネート基とメチロール基、エポキシ基と酸(無水)基、エポキシ基とアミノ基、イソシアネート基とアミド基、酸(無水)基と水酸基等を挙げることができる。
【0098】
このような官能基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のカルボン酸アミド化合物;p−スチレンスルホンアミド、N−メチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド等のスルホン酸アミド基含有化合物;(メタ)アクリル酸−t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとリン酸又はリン酸エステル化合物との縮合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する化合物のグリシジル基にリン酸又はリン酸エステル化合物を付加させたもの等のリン酸基含有化合物;2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物;m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はトリレンジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの等モル付加物、イソシアノエチルメタクリレート等のイソシアネート基含有化合物等を挙げることができる。
【0099】
また、高分子分散安定剤と重合体粒子とを結合させる別の方法として、重合性二重結合を有する高分子分散安定剤の存在下で不飽和モノマーを重合させることによって行なうことができる。
【0100】
高分子分散安定剤への重合性二重結合の導入は、例えば、該樹脂の共重合成分としてカルボン酸、リン酸、スルホン酸等の酸基含有モノマーを用い、この酸基にグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和モノマーを反応せしめることによって行なうことができる。また、逆にグリシジル基を高分子分散安定剤に含有させておいてこれに酸基含有不飽和モノマーを反応せしめることによっても行なうことができる。これらの反応は、既知の条件に従い行なうことができる。
【0101】
また、高分子分散安定剤と重合体粒子とを結合させる更に別の方法として、高分子分散安定剤と重合体粒子とにお互いに反応しない官能基を導入した非水分散液を製造した後、このものに両者を結合させる結合剤を反応させることによっても行なうことができる。
【0102】
具体的には、例えば水酸基含有高分子分散安定剤及び有機溶剤の存在下で水酸基含有不飽和モノマーを単独で又は他の不飽和モノマーとの混合物として重合し、両者に水酸基を含有する非水分散液を製造した後、ポリイソシアネート化合物等を配合して常温で数時間〜数日間、60〜100℃程度で1〜5時間程度反応させることにより行なうことができる。
【0103】
ポリイソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであればよく、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート又はそれらの水素化物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸(トール油脂肪酸の二量化物)ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0104】
また、上記の他、酸基を含有する高分子分散安定剤及び重合体粒子とポリエポキシドとの組合せ、エポキシ基を含有する高分子分散安定剤及び重合体粒子とポリカルボン酸との組合せ、エポキシ基又はイソシアネート基を含有する高分子分散安定剤及び重合体粒子とポリサルファイド化合物との組合せ等でも行なうことができる。
【0105】
ポリエポキシドとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル系樹脂等;ポリカルボン酸としては、例えばアジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、イソフタル酸等;ポリサルファイドとしてはペンタメチレンジサルファイド、ヘキサメチレンジサルファイド、ポリ(エチレンジサルファイド)等が挙げられる。
【0106】
以上のようにして、高分子分散安定剤と重合体粒子とを化学的に結合させることができるが、この際に各種官能基及び/又は重合性二重結合を高分子分散安定剤及び/又は重合性粒子に導入する量は、該分散安定剤及び/又は粒子の一分子中に平均して少なくとも0.1個となる量であれば十分である。
【0107】
このようにして得られる非水分散液は、高分子分散安定剤と重合体粒子とが化学的に結合していることから貯蔵安定性に優れ、しかも形成された塗膜は化学的、機械的に優れた性質を示すことができる。
【0108】
本発明の塗料組成物において、非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)の量は、得られる塗料組成物の塗装作業性(耐タレ性)及び得られる塗膜の塗面平滑性等の仕上り外観の観点から、アクリル樹脂(A)及びポリイソシアネート化合物(B)の固形分総量に対して、固形分として、1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%の範囲内であるのが適している。
【0109】
その他の成分
本塗料は、アクリル樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)及び非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)を必須成分とする塗料組成物であって、通常、有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて、上記アクリル樹脂(A)以外の樹脂、上記非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)以外のレオロジーコントロール剤成分、硬化触媒、顔料、顔料分散剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤等通常、塗料の分野で用いられる塗料用添加剤を含有することができる。
【0110】
上記アクリル樹脂(A)以外の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂等を使用することができる。好ましいものとして、例えば、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0111】
水酸基含有ポリエステル樹脂は、常法により、例えば、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応によって製造することができる。該多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物等が挙げられ、また、該多価アルコ−ルは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール化合物、及びトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分、並びに、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
【0112】
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等のα−オレフィンエポキシド、カージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物等を酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入しても良い。
【0113】
ポリエステル樹脂へカルボキシル基を導入する場合、例えば、水酸基含有ポリエステルに酸無水物を付加し、ハーフエステル化することにより導入することもできる。
【0114】
水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は好ましくは100〜200mgKOH/g、さらに好ましくは120〜180mgKOH/gの範囲内である。上記範囲の水酸基価を有する水酸基含有ポリエステル樹脂を用いることによって、得られる塗膜の耐擦り傷性及び耐水性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0115】
水酸基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量は好ましくは2000〜40000、さらに好ましくは4000〜20000の範囲内である。上記範囲の重量平均分子量を有する水酸基含有ポリエステル樹脂を用いることによって、得られる塗膜の耐酸性等の塗膜性能及び塗面平滑性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0116】
水酸基含有ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0117】
ポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3価以上のアルコール等を挙げることができる。高分子量のものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール等を挙げることができる。
【0118】
ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0119】
ポリエステルポリオールとしては前記の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2塩基酸との重縮合物、ポリカプロラクトン等のラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
【0120】
また、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ポリオールも使用することができる。
【0121】
上記のポリオールと反応させるポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
【0122】
水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は好ましくは100〜200mgKOH/g、さらに好ましくは120〜180mgKOH/gの範囲内である。上記範囲の水酸基価を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を用いることによって、得られる塗膜の耐擦り傷性及び耐水性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0123】
水酸基含有ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は好ましくは2000〜40000、さらに好ましくは4000〜20000の範囲内である。上記範囲の重量平均分子量を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を用いることによって、得られる塗膜の耐酸性等の塗膜性能及び塗面平滑性が高い塗料を得ることができるため、好ましい。
【0124】
上記アクリル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂は、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0125】
上記非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)以外のレオロジーコントロール剤成分としては、下記の重合体微粒子(D)、超微粒硫酸バリウム、シリカ系微粉末、ベントナイト系流動調整剤、ポリアミド系流動調整剤、モノ1級アミンとジイソシアネートとの反応生成物等のポリウレア系流動調整剤等を使用することができる。
【0126】
上記のうち、重合体微粒子(D)、ポリウレア系流動調整剤、ベントナイト系流動調整剤、超微粒硫酸バリウムが好ましく、特に、重合体微粒子(D)、ポリウレア系流動調整剤がより好ましい。
【0127】
重合体微粒子(D)は、分子内に少なくとも2個の不飽和基を含有するモノマー(d−1)及びその他の不飽和モノマー(d−2)をアリル基含有反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られる重合体微粒子である。このような重合体微粒子は例えば、特開平3−66770号公報にも掲載されている。
【0128】
分子内に少なくとも2個の不飽和基を含有するモノマー(d−1)としては、例えば、多価アルコールの不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸の不飽和アルコールエステル、2個以上の不飽和基で置換された芳香族化合物等を挙げることができる。
【0129】
具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールアリロキシジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。これらのモノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0130】
その他の不飽和モノマー(d−2)は、微粒子重合体を構成する残りの成分であり、前記アクリル樹脂(A)で例示したモノマー(a−1)〜(a−4)を同様に使用することができる。また、ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物も使用することができる。これらのモノマーは単独で又は2種以上併用して使用することができる。
【0131】
共重合に際してのモノマー(d−1)及び(d−2)の使用割合は厳密に制限されるものではなく、重合体微粒子に望まれる物性等に応じて変えることができる。一般には、モノマー(d−1)及び(d−2)の合計量を基準にして、モノマー(d−1)が、1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは1〜40質量%、モノマー(d−2)が、40〜99質量%、好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは60〜99質量%の範囲内とすることができる。
【0132】
モノマー(d−1)及び(d−2)の共重合は、アリル基を含有する反応性乳化剤の存在下、重合開始剤を用いてそれ自体既知の乳化重合により行なうことができる。
【0133】
アリル基含有反応性乳化剤としては、アリル基を含有する反応性乳化剤であれば、アニオン性、カチオン性、非イオン性のいずれの反応性乳化剤も使用することができるが、特にアニオン性のアリル基含有反応性乳化剤を好適に使用することができる。
【0134】
アニオン性のアリル基含有反応性乳化剤としては、例えば、アリル基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩を挙げることができる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を基本構造とするアニオン性乳化剤で、その疎水基の一部としてラジカル重合性のアリル基を導入した化合物等を挙げることができる。
【0135】
上記乳化剤の市販品としては、例えば、アクアロンKH−10(第一工業製薬社製)、ラテムルS−180A(花王社製)、SR−1025(旭電化工業社製)等を挙げることができる。
【0136】
反応性乳化剤の量は、モノマー(d−1)及び(d−2)の総量に対して、0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲内であるのが適している。
【0137】
また、必要に応じて、上記反応性乳化剤以外のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤等を乳化剤として併用することができる。具体的にはアニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン化合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルベダイン等が挙げられる。
【0138】
上記必要に応じて併用される乳化剤の濃度は、モノマー(d−1)及び(d−2)の総量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の範囲内であるのが適している。
【0139】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化アンモニウム等に代表される過酸化物、これら過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤とが組み合わされたいわゆるレドックス系開始剤、4,4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらのうち、アゾ化合物、特に水溶性アゾアミド化合物を好適に使用することができる。水溶性アゾアミド化合物は既知(特開昭61−218618号公報、特開昭61−63643号公報参照)であり、市販品の具体例として、VAシリーズ(商品名、和光純薬工業(株)社製)のものを挙げることができる。
【0140】
重合開始剤の量はモノマー(d−1)及び(d−2)の総量に対して、通常、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲内である。
【0141】
乳化重合反応中における全不飽和モノマーの濃度は、通常、0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%の範囲内である。
【0142】
乳化重合の際の反応温度は、使用する重合開始剤により異なるが、通常60〜90℃、反応時間は通常5〜10時間とすることができる。
【0143】
重合体微粒子(D)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、0〜70mgKOH/g、好ましくは0〜60mgKOH/g、さらに好ましくは0〜50mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することができる。また、重合体微粒子(D)は、水分散性等の観点から、0〜90mgKOH/g、好ましくは0〜70mgKOH/g、さらに好ましくは0〜50mgKOH/gの範囲内の酸価を有することができる。さらに、重合体微粒子(D)は、10〜500nm、好ましくは20〜250nm、さらに好ましくは30〜150nmの範囲内の平均粒子径を有することができる。本明細書において、平均粒子径の測定は、COULTER N4型サブミクロン粒子分析装置(日科機(株)社製)を用いて行った。
【0144】
重合体微粒子(D)は必要に応じて塩基性化合物で中和することができる。中和に用いる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−又はジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;N,N−ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミン等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0145】
中和に用いる塩基性化合物の使用量は重合体微粒子(D)中の酸基に対して0.1〜1.0当量、特に0.2〜0.8当量であるのが適している。
【0146】
重合体微粒子(D)は水中に微粒子が分散しているエマルションとして得られるが、溶剤系塗料で使用するに際しては、必要に応じて分散媒である水を有機溶剤に置換することにより溶剤系塗料としての使用に供することができる。
【0147】
重合体微粒子(D)を使用する場合、重合体微粒子(D)の量は、得られる塗料組成物の塗装作業性(耐タレ性)及び得られる塗膜の塗面平滑性等の仕上り外観の観点から、アクリル樹脂(A)及びポリイソシアネート化合物(B)の固形分総量に対して、固形分として、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%の範囲内であるのが適している。
【0148】
上記硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒、第三級アミン等を挙げることができる。
【0149】
硬化触媒として上記したこれらの化合物は単独で又は2種以上を併用して使用することができる。硬化触媒の量はその種類により異なるが、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対し、好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜4質量%程度である。
【0150】
顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等の着色顔料;タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイト等の体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末等のメタリック顔料等を挙げることができる。
【0151】
上記したこれらの顔料は単独で又は2種以上を併用して使用することができる。顔料の含有量はその種類により異なるが、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対し、好ましくは0〜200質量%、さらに好ましくは1〜100質量%程度である。
【0152】
また、着色顔料の含有量はその種類により異なるが、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対し、好ましくは0〜150質量%、さらに好ましくは1〜100質量%程度である。
【0153】
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸化合物系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0154】
また、紫外線吸収剤としては、経時での耐擦り傷性の維持性の観点から、水酸基を含有する化合物を好適に使用することができる。
【0155】
紫外線吸収剤の塗料組成物中の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対し、0〜10質量%、特に0.2〜7質量%、さらに特に0.5〜5質量%の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
【0156】
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
【0157】
光安定剤の塗料組成物中の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の固形分総量に対し、0〜10質量%、特に0.2〜7質量%、さらに特に0.5〜5質量%の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
【0158】
本発明の塗料組成物は(B)成分であるポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がブロック化されていないものである場合には、通常、貯蔵安定性の観点から、アクリル樹脂(A)及び非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)と、ポリイソシアネート化合物(B)とが分離した2液型塗料であり、使用直前に両者を混合して使用することが好適である。
【0159】
塗料組成物の塗装方法
本塗料を適用する被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体であるのが好ましい。また、これら車体を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等であってもよい。
【0160】
また、被塗物としては、上記車体、金属基材等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
【0161】
本塗料の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加してもよい。このうちエアスプレー塗装が特に好ましい。本塗料の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度となる量とするのが好ましい。
【0162】
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装する場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップNo.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0163】
被塗物に本塗料を塗装してなるウエット塗膜の硬化は、通常、加熱することにより行われ、加熱は公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。加熱温度は、60〜180℃、好ましくは90〜150℃の範囲内にあることが適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが15〜30分間の範囲内であるのが好適である。
【0164】
本塗料は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性及び仕上り外観のいずれにも優れる硬化塗膜を得ることができることから、上塗クリヤコート塗料、上塗エナメル塗料等として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
【0165】
複層塗膜形成方法
上塗クリヤコート塗料として、本塗料が塗装される複層塗膜形成方法として、被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法を挙げることができる。
【0166】
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行なった後、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、ベースコート塗膜とクリヤコート塗膜を一緒に硬化させる2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法を挙げることができる。
【0167】
また、3コート2ベーク方式又は3コート1ベーク方式の上塗り塗装におけるトップクリヤコート塗料としても好適に使用することができる。
【0168】
上記で用いられるベースコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂系等の基体樹脂にアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を基体樹脂が含有する反応性官能基と適宜組合せてなる塗料を使用することができる。
【0169】
また、ベースコート塗料としては、環境問題、省資源等の観点から、有機溶剤の使用量の少ないハイソリッド型のものが望ましく、更に水性塗料又は粉体塗料を用いることもできる。
【0170】
複層塗膜形成方法において、クリヤコートを2層以上塗装する場合、本塗料以外に、クリヤコート塗料として、従来から公知の通常の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
【実施例】
【0171】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとし、また、塗膜の膜厚はいずれも硬化塗膜に基づくものである。
【0172】
アクリル樹脂(A)の製造
製造例1〜9
撹拌装置、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにエトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記表1に示すモノマーと重合開始剤からなる組成配合の滴下モノマー混合物を4時間かけて滴下した。155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の各アクリル樹脂(A−1)〜(A−9)を得た。得られた各アクリル樹脂(A)の質量固形分濃度(%)及び樹脂性状値を下記表1に示す。
【0173】
表1におけるガラス転移温度(Tg(℃))は、下記式によって算出した。
【0174】
1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・・・
Tg(℃)=Tg(K)−273
各式中、W1、W2、・・は共重合に使用されたそれぞれのモノマーのモノマー総量に対する質量分率、T1、T2、・・はそれぞれのモノマーのホモポリマ−のTg(K)を表わす。なお、T1、T2、は、Polymer Handbook(4th Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)、また、Polymer Handbookに記載がないものについては、Journal of Applied Polymer Science. Applied Polymer Symposium ,45 ,289−316(1990)による値である。
【0175】
なお、アクリル樹脂(A−6)〜(A−9)は比較例用の樹脂である。
【0176】
【表1】

【0177】
非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)の製造
製造例10
撹拌装置、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにヘプタン93部及び下記55%高分子分散安定剤溶液(注1)98部を仕込み加熱還流させ、下記のモノマー及び重合開始剤の混合物を3時間かけて滴下し、更に2時間熟成することにより、非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C−1)を得た。
(モノマー及び重合開始剤の混合物)
スチレン15部、メチルメタクリレート40部、アクリロニトリル30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 1.5部の混合物。
【0178】
得られた非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C−1)は、質量固形分濃度53%、ガードナー粘度B、平均粒子径(電子顕微鏡による測定)0.2〜0.3μm の乳白色の安定な低粘度重合体の分散液であった。室温で3ヶ月静置しても沈殿物及び粗大粒子の発生は見られなかった。
【0179】
(高分子分散安定剤溶液(注1)の合成)
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに酢酸イソブチル40部及びトルエン40部を仕込み、加熱還流させ、下記のモノマー及び重合開始剤の混合物を3時間かけて滴下し、滴下後2時間熟成を行なうことにより高分子分散安定剤溶液を得た。
(モノマー及び重合開始剤の混合物)
スチレン10部、イソブチルメタクリレート49部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11部及びアゾビスイソブチロニトリル 2部の混合物。
【0180】
得られた高分子分散安定剤溶液は、質量固形分濃度55%、ガードナー粘度G、重量平均分子量16000であった。
【0181】
重合体微粒子(D)の製造
製造例11
攪拌装置、温度計、冷却管及びマントルヒーターを備えた4つ口フラスコに、脱イオン水355部及びラテムルS−120A(スルホコハク酸系アリル基含有アニオン性反応性乳化剤、花王社製、固形分50%)4部を仕込み、攪拌しながら90℃まで昇温させた。これに、VA−086(水溶性アゾアミド重合開始剤、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、和光純薬工業社製)1.25部を脱イオン水50部に溶解させた水溶液のうちの20%分を加えた。15分後にモノマー混合物(スチレン48部、メチルメタクリレート22部、n−ブチルアクリレート22部及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート8部の混合物)の5%分を加えた。ついで、30分間攪拌した後、残りのモノマー混合物及び残りの重合開始剤水溶液の滴下を開始した。モノマー混合物の滴下は3時間で、重合開始剤水溶液の滴下は3.5時間かけてそれぞれ行い、その間重合温度は90℃に保持した。重合開始剤水溶液の滴下終了後も90℃で30分間熟成を行なった後室温に冷却し、200メッシュのナイロンクロスでろ過することにより、質量固形分濃度20%の重合体微粒子(D−1)の水分散液を得た。
【0182】
さらに、該水分散液をステンレスバット上で60℃で電気熱風式乾燥機中で乾燥し、水を除去して固形物とした後、60℃に加温したエチレングリコールモノメチルエーテル中に再度分散して、質量固形分濃度20%の重合体微粒子(D−1)の分散液を得た。
【0183】
塗料組成物の製造
実施例1〜8及び比較例1〜5
上記製造例で得られたアクリル樹脂(A)、非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)、重合体微粒子(D)及び後記表2に記載の原材料を用いて、後記表2に示す配合にてディスパーを用いて攪拌して混合することにより、塗料化を行い各塗料組成物No.1〜13を得た。なお、表2に示す塗料組成物の配合は各成分の固形分質量比である。表2における(*1)〜(*5)は、それぞれ下記の意味を有する。
(*1)N3300:スミジュールN3300、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、固形分100%、NCO含有率21.8%。
(*2)ポリウレア系流動調整剤:ベンジルアミン2モルとヘキサメチレンジイソシアネート1モルとの反応生成物であるジウレア化合物。
(*3)紫外線吸収剤:トリアジン系紫外線吸収剤。
(*4)光安定剤:ヒンダードアミン系光安定剤。
(*5)レベリング剤:シロキサン系レベリング剤。
【0184】
上記実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた各塗料組成物No.1〜13は、酢酸ブチルを添加してフォードカップ#No.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整した。
【0185】
試験板の作成
実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた上記各塗料組成物No.1〜13の粘度調整したものを使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
【0186】
(被塗物の作成)
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にアミラックTP−67−P(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料、ダークグレー塗色)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させることにより被塗物を得た。
【0187】
(試験板の作成)
上記被塗物中塗り塗膜上に水性ベースコートWBC713T#202(関西ペイント社製、アクリル・メラミン樹脂系自動車用上塗ベースコート塗料、黒塗色)を膜厚15μmとなるように塗装し、80℃で10分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上に上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で7分間放置してから、140℃で20分間加熱してこの両塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。得られた各試験板を常温で7日間放置してから下記塗膜性能試験を行なった。
【0188】
性能試験
耐擦り傷性:ルーフにニチバン社製耐水テープにて試験板を貼りつけた自動車を、20℃の条件下、洗車機で15回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦り傷性が良好であることを表わす。洗車機は、ヤスイ産業社製「PO20 FWRC」を用いた。
【0189】
耐酸性:40%硫酸を各試験板の塗膜上に0.4cc滴下し、60℃に加熱したホットプレート上で15分間加熱した後、試験板を水洗した。硫酸滴下箇所のエッチング深さ(μm)を表面粗度計(東京精密社製、表面粗さ形状測定機 『サーフコム570A』)を用いて、カットオフ0.8mm(走査速度0.3mm/sec、倍率5000倍)の条件で測定することにより耐酸性の評価を行なった。エッチング深さが小さいほど耐酸性が良好であることを表わす。
【0190】
仕上り性:BYK Gardner社製のWave Scan(商品名)により測定した。Wave Scanにより測定したShort Waveの値(SW値)により評価を行なった。Short Wave値は、0.3〜1.2mm程度の波長の表面粗度の振幅の指標であり、塗面の微少肌の具合を評価することができる。測定値が小さいほど仕上り性(塗面平滑性)が良好であることを示す。一般にSW値が10以下であれば仕上り性は良好である。
【0191】
耐汚染性:各試験塗板をサンシャインウエザオメーター(スガ試験機社製、促進耐侯性試験機)中で600時間試験後、各試験塗板に、泥土、カーボンブラック、鉱油及びクレーの混合物からなる汚染物質をネルに付着させて各試験塗板の塗面に軽くこすりつけた。
【0192】
これを20℃で75%RHの恒温恒湿室中に24時間放置後、塗面を流水で洗浄し、塗膜の汚染度を塗板の明度差(ΔL)により下記の基準により評価した。ΔL値が小さいほど耐汚染性は良好である。ΔLは以下の式で求めた。
【0193】
ΔL=(耐汚染性試験前のL値)−(耐汚染性試験後のL値)
L値はCR−200(ミノルタカメラ社製の色差計)を用いて測定した。
【0194】
A:ΔL<1、B:1≦ΔL<2、C:2≦ΔL。
【0195】
なお、耐汚染性の試験においては、上記被塗物の作成において、中塗り塗料として、白塗色のアミラックTP−67−Pを使用したものを被塗物とし、該被塗物中塗り塗膜上に上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱して硬化させることにより得られた試験板を使用し、同様にそれぞれの試験板を常温で7日間放置してから耐汚染性の試験を行なった。
【0196】
タレ限界膜厚:11cm×45cmの大きさとした被塗物の長尺側の端部から3cmの部分に、直径5mmのポンチ孔を、2cm間隔で21個一列状に設けたものを使用し、該被塗物中塗り塗膜上に水性ベースコート塗料WBC713T#202を膜厚15μmとなるように塗装し、80℃で10分間プレヒートを行なった。
【0197】
次いで該未硬化塗面に上記粘調後の各塗料組成物をミニベル型回転式霧化静電塗装機を用い、吐出量200cc、回転数40,000rpm、シェ−ピングエア圧1kg/cm、ガン距離30cm、ブース温湿度25℃/75%で、長尺方向にほぼ30μm〜60μmの膜厚が得られるように膜厚勾配をつけて塗装し、該塗装板をほぼ垂直に立てて、塗装後7分間経過後、140℃で30分間加熱してこの両塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
【0198】
得られた各試験板のポンチ孔下端部から2mmの塗膜のタレが観察される位置を調べ、該位置の膜厚(タレ限界膜厚(μm))を測定することにより、耐タレ性の評価を行なった。タレ限界膜厚が大きいほど耐タレ性は良好であることを示す。タレ限界膜厚が45μm以上であれば、耐タレ性は良好である。
【0199】
総合評価:本発明が属する車体等の塗装においては、耐擦り傷性、耐酸性、仕上り性、耐汚染性、及び耐タレ性がいずれも高いことが要求される。従って、以下の基準に従い、各塗料の総合評価を行った:
A:耐擦り傷性(光沢保持率(%))が90(%)以上であり、耐酸性(エッチング深さ)が0.4μm以下であり、仕上がり性(SW値)が10以下であり、耐汚染性がAであり、かつタレ限界膜厚が45μm以上である;
B:耐擦り傷性(光沢保持率(%))が90(%)以上であり、耐酸性(エッチング深さ)が0.4μm以下であり、仕上がり性(SW値)が10以下であり、耐汚染性がBであり、かつタレ限界膜厚が45μm以上である;
C:耐擦り傷性(光沢保持率(%))が90(%)未満であるか、耐酸性(エッチング深さ)が0.4μmより大きいか、仕上がり性(SW値)が10より大きいか、耐汚染性がCであるか、又はタレ限界膜厚が45μm未満である。
【0200】
上記性能試験結果を併せて表2に示す。
【0201】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされる不飽和モノマー(a−1)、第2級水酸基含有ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノマー(a−2)、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー(a−3)及び少なくとも1種の共重合可能な他の不飽和モノマー(a−4)を共重合して得られるアクリル樹脂であって、不飽和モノマー(a−1)の使用量(質量)がモノマー(a−2)の使用量よりも多いアクリル樹脂(A)、
ポリイソシアネート化合物(B)及び
高分子分散安定剤及び有機溶剤の存在下で、少なくとも1種の不飽和モノマーを分散重合せしめてなる非水ディスパージョン型アクリル樹脂(C)
を含有する塗料組成物。
【化1】

[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、mとnの和は1〜3である。]
【請求項2】
ポリイソシアネート化合物(B)として、脂肪族ジイソシアネート又はその誘導体を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
さらに、分子内に少なくとも2個の不飽和基を含有するモノマー(d−1)及びその他の不飽和モノマー(d−2)をアリル基含有反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られる重合体微粒子(D)を含有する請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物を塗装する工程を含む、複層塗膜形成方法。

【公開番号】特開2011−68864(P2011−68864A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174687(P2010−174687)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】