説明

塩の製造方法

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、工業的により安価かつ容易な水分量の少ない塩の製造方法を提供することである。
【解決手段】
アニオン成分とカチオン成分からなり水分を含有する塩(A)好ましくはアミジニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩100重量部に対して、炭酸エステル類(B)好ましくはジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも一種を0.01〜100重量部仕込み、加熱処理することを特徴とする水分含量が500ppm以下である塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩の製造方法に関する。さらに詳しくは、特に水分量の少ない塩が要求される、電気2重層キャパシター用電解液、電解コンデンサー用電解液、二次電池用電解液、色素増感太陽電池用電解液、反応用溶媒および触媒等に有用な塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水分量の少ない塩の製造方法としては、アルコール類を添加した後、このアルコール類を蒸留により除去することに伴い水分を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許3249486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記製造方法ではアルコール類が多量に必要であり、しかも水分量を少なくするためには何度も操作を繰り返す必要があるため、工業的には高価であり多量のアルコール類が廃棄物になる等の問題点を有している。本発明が解決しようとする課題は、工業的により安価かつ容易な水分量の少ない塩の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、アニオン成分とカチオン成分からなる塩(A)100重量部に対して炭酸エステル類(B)を0.1〜100重量部加え、加熱処理することを特徴とする水分含量が500ppm以下である塩の製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の方法によれば、工業的により安価かつ容易に水分量の少ない塩の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の製造方法の対象となる塩は、アニオン成分とカチオン成分からなる塩(A)である。
アニオン成分として、無機酸、有機カルボン酸 モノおよびジアルキルリン酸エステル、フェノール類、トリアゾール、有機スルホン酸、フルオロカルボン酸、ホウ素錯体等が挙げられる。
【0007】
カチオン成分としては以下のカチオンがあげられる。
(1)無機カチオン:リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン又は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、又は、鉄イオン、ニッケルイオン、アルミニウムイオン等の遷移金属イオン。
【0008】
(2)有機カチオン:アミジニウムカチオン(イミダゾリニウムカチオン類、イミダゾリウムカチオン類、グアニジウムカチオン類)、テトラアルキルアンモニウムカチオン類、ピリジニウムカチオン類、テトラアルキルホスホニウムカチオン類、ピロリジニウムカチオン類、ピペリジウムカチオン類、ヘキサメチレンイミニウムカチオン類、モルホリニウムカチオン類、ピペラジニウムカチオン類、テトラヒドロピリミジニウムカチオン類、ピコリニウムカチオン類、キノリニウムカチオン類、及びビピリジニウムカチオン類等。主な例として、以下の化合物があげられる。
・ピリジニウムカチオン類
N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−メチル−4−ジメチルアミノピリジニウムカチオン、N−エチル−4−ジメチルアミノピリジニウムカチオンなど。
・テトラアルキルホスホニウムカチオン類
テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、ジメチルジエチルホスホニウムカチオン、メチルトリエチルホスホニウムカチオンなど。
・ピロリジニウムカチオン類
N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N,N−ジエチルピロリジニウムカチオンなど。
・ピペリジウムカチオン類
N、N−ジメチルピペリジウムカチオン、N−エチル−N−メチルピペリジウムカチオン、N、N−ジエチルピペリジウムカチオン、N−n−ブチル−N−メチルピペリジウムカチオン、N−エチル−N−n−ブチルピペリジウムカチオンなど
・ヘキサメチレンイミニウムカチオン類
N,N−ジメチルヘキサメチレンイミニウムカチオン、N−エチル−N−メチルヘキサメチレンイミニウムカチオン、N,N−ジエチルヘキサメチレンイミニウムカチオンなど。
・モルホリニウムカチオン類
N,N−ジメチルモルホリニウムカチオン、N−エチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−エチル−N−ブチルモルホリニウムカチオンなど。
・ピペラジニウムカチオン類
N,N,N’,N’−テトラメチルピペラジニウムカチオン、N−エチル−N,N’,N’−トリメチルピペラジニウムカチオン、N,N’−ジエチル−N,N’−ジメチルピペラジニウムカチオン、N,N,N’−トリエチル−N’−メチルピペラジニウムカチオン、N,N,N’,N’−テトラエチルピペラジニウムカチオンなど。
・テトラヒドロピリミジニウムカチオン類
1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムカチオン、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン、5−エチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムカチオンなど。
・ピコリニウムカチオン類
N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−メチル−4−ジメチルアミノピリジニウムカチオン、N−エチル−4−ジメチルアミノピリジニウムカチオンなど。
・キノリニウムカチオン類
N−メチルキノリニウムイオン、N−エチルキノリニウムイオンなど。
・ビピリジニウムカチオン類
N−メチル−2,2’−ビピリジニウムカチオン、N−エチル−2,2’−ビピリニウムカチオンなど。
【0009】
これらのカチオン成分の中で、好ましくは下記一般式(1)又は(2)で表されるアミジニウムカチオン、下記一般式(3)で表されるテトラアルキルアンモニウムカチオンからなる群から選ばれる少なくとも一種のカチオンが挙げられる。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

式中、R1は水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及び/又はホルミル基を有していてもよい炭素数1〜20の1価炭化水素基又は水素原子であり、R2、R3、R4及びR5は水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及び/又はホルミル基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基であって、R1、R2、R3、R4及びR5の一部又は全部が結合して環を形成していてもよい。X-は、対アニオンを表す。
【0012】
【化3】

式中R6、R7、R8及びR9は水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及び/又はホルミル基を有していてもよい炭素数1〜20の1価炭化水素基であってR6、R7、R8及びR9の一部又は全部が結合して環を形成していてもよい。Y-は、対アニオンを表す。
【0013】
塩(A)としては無機塩および有機塩が挙げられ、好ましくは一般式(1)又は(2)で表されるアミジニウム塩、一般式(3)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩(A1)である。
【0014】
一般式(1)及び(2)のカチオン成分について説明する。
1、R2、R3、R4及びR5が互いに環を形成していない場合、R1のうち、水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及び/又はホルミル基を有していてもよい炭素数1〜20の1価炭化水素基としては、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。
直鎖脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−デシル、n−オクタデセニル、n−エイコシル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシエチル、アミノメチル、アミノエチル、ニトロメチル、ニトロエチル、シアノメチル、シアノエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ホルミルメチル及びホルミルエチル等が挙げられる。
分岐脂肪族炭化水素基としては、iso−プロピル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−エチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、4−エチルブチル、2−エチルヘキシル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチル−n−オクチル、2−エチル−n−ヘキサデセニル、2−エチル−n−オクタデセニル、2−ヒドロキシ−iso−プロピル及び1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、2−アミノ−iso−プロピル、1−アミノ−2−メチルプロピル、2−ニトロ−iso−プロピル、1−ニトロ−2−メチルプロピル、2−シアノ−iso−プロピル、1−シアノ−2−メチルプロピル、2−カルボキシ−iso−プロピル、1−カルボキシ−2−メチルプロピル、2−メトキシ−iso−プロピル、1−メトキシ−2−メチルプロピル、2−ホルミル−iso−プロピル及び1−ホルミル−2−メチルプロピル等が挙げられる。
環式炭化水素基としては、シクロヘキシル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、1−ヒドロキシヘキシル、2−ヒドロキシヘキシル、3−ヒドロキシヘキシル及び4−ヒドロキシヘキシル、1−メトキシ−ヘキシル、2−メトキシヘキシル、3−メトキシヘキシル、4−メトキシヘキシル、1−ホルミル−ヘキシル、2−ホルミルヘキシル、3−ホルミルヘキシル及び4−ホルミルヘキシル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル、トルイル及びベンジル等が挙げられる。
これらR1のうち、水素原子、直鎖脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、メトキシエチル基、n−ブチル基、フェニル基及びベンジル基、特に好ましくは水素原子、メトキシエチル基及びメチル基、最も好ましくはメチル基である。
【0015】
2、R3、R4及びR5は、水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基もしくはホルミルを有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、環を形成していない場合、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基、環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。
直鎖脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−デシル、アミノメチル、アミノエチル、ニトロメチル、ニトロエチル、シアノメチル、シアノエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ホルミルメチル及びホルミルエチル等が挙げられる。
分岐脂肪族炭化水素基としては、iso−プロピル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−エチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、4−エチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチル−n−オクチル、2−アミノ−iso−プロピル、1−アミノ−2−メチルプロピル、2−ニトロ−iso−プロピル、1−ニトロ−2−メチルプロピル、2−シアノ−iso−プロピル、1−シアノ−2−メチルプロピル、2−カルボキシ−iso−プロピル、1−カルボキシ−2−メチルプロピル、2−メトキシ−iso−プロピル、1−メトキシ−2−メチルプロピル、2−ホルミル−iso−プロピル及び1−ホルミル−2−メチルプロピル等が挙げられる。
環式炭化水素基としては、シクロヘキシル、1−メチル−ヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、1−アミノ−ヘキシル、2−アミノヘキシル、3−アミノヘキシル、4−アミノヘキシル、1−シアノ−ヘキシル、2−シアノヘキシル、3−シアノヘキシル、4−シアノヘキシル、1−カルボキシ−ヘキシル、2−カルボキシヘキシル、3−カルボキシヘキシル、4−カルボキシヘキシル、1−メトキシ−ヘキシル、2−メトキシヘキシル、3−メトキシヘキシル、4−メトキシヘキシル、1−ホルミル−ヘキシル、2−ホルミルヘキシル、3−ホルミルヘキシル及び4−ホルミルヘキシル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル、トルイル及びベンジル等が挙げられる。
これらのうち、直鎖脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、メトキシエチル基及びエチル基、特に好ましくはメチル基及びエチル基である。
【0016】
1、R2、R3、R4及びR5の一部又は全部が互いに結合して環を形成する場合、R1、R2、R3、R4及びR5の一部又は全部が結合して形成される環としては、イミダゾリン環、イミダゾール環、ピリミジン環及びテトラヒドロピリミジン環等が含まれる。これらのうち、イミダゾリン環及びイミダゾール環がより好ましく、さらに好ましくはイミダゾール環である。
【0017】
一般式(1)又は(2)で表されるアミジン塩に含まれるカチオン成分、すなわち、塩(A1)を構成するアミジニウムカチオンとしては、次のカチオン等が含まれる。
(i)イミダゾリニウムカチオン
1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、1,1−ジメチル−2−ヘプチルイミダゾリニウム、1,1−ジメチル−2−(−2’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,1−ジメチル−2−(−3’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,1−ジメチル−2−(−4’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,1−ジメチル−2−ドデシルイミダゾリニウム、1,1−ジメチルイミダゾリニウム、1,1,2−トリメチルイミダゾリニウム、1,1,2,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,1,2,5−テトラメチルイミダゾリニウム、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロイミダゾリニウム及び1,1,2,4,5−ペンタメチルイミダゾリニウム等。
【0018】
(ii)イミダゾリウムカチオン
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,1−ジメチル−2−ヘプチルイミダゾリウム、1,1−ジメチル−2−(−2’ヘプチル)イミダゾリウム、1,1−ジメチル−2−(−3’ヘプチル)イミダゾリウム、1,1−ジメチル−2−(−4’ヘプチル)イミダゾリウム、1,1−ジメチル−2−ドデシルイミダゾリウム、1,1−ジメチルイミダゾリウム、1,1,2−トリメチルイミダゾリウム、1,1,2,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,1,2,5−テトラメチルイミダゾリウム、2,3-ジヒドロ-1Hピロロイミダゾリウム及び1,1,2,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム等。
【0019】
(iii)ピリミジニウムカチオン
1,3−ジメチルピリミジニウム、1−エチル−3−メチルピリミジニウム、1,3−ジエチルピリミジニウム、1,2,3−トリメチルピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチルピリミジニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルピリミジニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルピリミジニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルピリミジニウム、1,2,3,4,5−ヘキサメチルイミダゾリウム等。
【0020】
(iv)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウム、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム及び5−エチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウム等。
【0021】
これらのうち、(ii)イミダゾリウムカチオンが好ましく、さらに好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、4−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、3−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、3−エチル−1,5−ジメチルイミダゾリウム、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、特に好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、最も好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムである
【0022】
一般式(3)のカチオン成分について説明する。
6〜R9には水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及び/又はホルミル基を有していてもよい炭素数1〜20の1価炭化水素基としては、直鎖脂肪族炭化水素基、分岐脂肪族炭化水素基脂、環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等が含まれる。
直鎖脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−デシル、n−オクタデセニル、n−エイコシル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシエチル、アミノメチル、アミノエチル、ニトロメチル、ニトロエチル、シアノメチル、シアノエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ホルミルメチル及びホルミルエチル等が挙げられる。
分岐脂肪族炭化水素基としては、iso−プロピル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−エチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、4−エチルブチル、2−エチルヘキシル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチル−n−オクチル、2−エチル−n−ヘキサデセニル、2−エチル−n−オクタデセニル、2−ヒドロキシ−iso−プロピル及び1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、2−アミノ−iso−プロピル、1−アミノ−2−メチルプロピル、2−ニトロ−iso−プロピル、1−ニトロ−2−メチルプロピル、2−シアノ−iso−プロピル、1−シアノ−2−メチルプロピル、2−カルボキシ−iso−プロピル、1−カルボキシ−2−メチルプロピル、2−メトキシ−iso−プロピル、1−メトキシ−2−メチルプロピル、2−ホルミル−iso−プロピル及び1−ホルミル−2−メチルプロピル等が挙げられる。
環式炭化水素基としては、シクロヘキシル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、1−ヒドロキシヘキシル、2−ヒドロキシヘキシル、3−ヒドロキシヘキシル及び4−ヒドロキシヘキシル、1−メトキシ−ヘキシル、2−メトキシヘキシル、3−メトキシヘキシル、4−メトキシヘキシル、1−ホルミル−ヘキシル、2−ホルミルヘキシル、3−ホルミルヘキシル及び4−ホルミルヘキシル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル、トルイル及びベンジル等が挙げられる。
6、R7、R8及びR9は水素原子、直鎖脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、メトキシエチル基、n−ブチル基、フェニル基及びベンジル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基及びメトキシエチル基である。
【0023】
一般式(3)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩に含まれるカチオン成分、すなわち、塩(A1)を構成するテトラアルキルアンモニウムカチオンとしては、次のカチオン等が含まれる。
テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、エチルジメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルジメチルイソプロピルアンモニウム、ジエチルメチル−n−プロピルアンモニウム、ジエチルメチルイソプロピルアンモニウム、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、ジメチルジイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−プロピルアンモニウム、n−ブチルトリメチルアンモニウム、イソブチルトリメチルアンモニウム、t−ブチルトリメチルアンモニウム、トリエチルイソプロピルアンモニウム、エチルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、エチルメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、エチルメチルジイソプロピルアンモニウム、n−ブチルエチルジメチルアンモニウム、イソブチルエチルジメチルアンモニウム、t−ブチルエチルジメチルアンモニウム、ジエチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、ジエチルジイソプロピルアンモニウム、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、メチルジ−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、メチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、n−ブチルトリエチルアンモニウム、イソブチルトリエチルアンモニウム、t−ブチルトリエチルアンモニウム、ジ−n−ブチルジメチルアンモニウム、ジイソブチルジメチルアンモニウム、ジ−t−ブチルジメチルアンモニウム、n−ブチルイソブチルジメチルアンモニウム、n−ブチル−t−ブチルジメチルアンモニウム、イソブチル−t−ブチルジメチルアンモニウム、ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム、エチルジメチルメトキシエチルアンモニウム、(1−ヒドロキシヘキシル)トリメチルアンモニウム、(1−ヒドロキシヘキシル)トリエチルアンモニウム、(1−ヒドロキシヘキシル)ジメチルエチルアンモニウム、(1−ヒドロキシヘキシル)メチルジエチルアンモニウム、(1−メトキシヘキシル)トリメチルアンモニウム、(1−メトキシヘキシル)トリエチルアンモニウム、(1−メトキシヘキシル)ジメチルエチルアンモニウム、(1−メトキシヘキシル)メチルジエチルアンモニウム、(1−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)トリメチルアンモニウム、(1−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)トリエチルアンモニウム、(1−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)ジメチルエチルアンモニウム、(1−ヒドロキシ−3−メチルペンチル)メチルジエチルアンモニウム、(1−メトキシ−3−メチルペンチル)トリメチルアンモニウム、(1−メトキシ−3−メチルペンチル)トリエチルアンモニウム、(1−メトキシ−3−メチルペンチル)ジメチルエチルアンモニウム、(1−メトキシ−3−メチルペンチル)メチルジエチルアンモニウム等が挙げられる。
【0024】
上記塩(A)のアニオン成分としての無機酸、有機カルボン酸 モノおよびジアルキルリン酸エステル、フェノール類、トリアゾール、有機スルホン酸、フルオロカルボン酸、ホウ素錯体等の中で、上記の式(1)、式(2)及び式(3)のアニオン成分が好ましい。これらについて説明する。
-はPF6-、BF4-、AsF6-、F-、Cl-、PCl6-、BCl4-、AsCl6-、SbCl6-、TaCl6-、NbCl6-、PBr6-、BBr6-、AsBr6-、AlBr4-、TaBr6-、NbBr6-、PCl6-、SbF6-、AlF4-、ClO4-、AlCl4-、TaF6-、NbF6-、SiF6-、CN-、F(HF)n-、N(RfSO32-、C(RfSO33-、RfSO3-、RfCO2-(Rfは炭素数1〜12のフルオロアルキル基)、(当該式中、nは1以上4以下の数値を表す)が好ましく、さらに好ましくは、電気化学的安定性の観点等から、PF6-、BF4-又はN(RfSO32-で表される対アニオン、特に好ましくはPF6-又はBF4-で表される対アニオン、最も好ましくはBF4-で表される対アニオンである。 N(RfSO32-、C(RfSO33-、RfSO3-又はRfCO2-で表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1〜12のフルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びノナフルオロブチルなどが挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル及びヘプタフルオロプロピルが好ましく、さらに好ましくはトリフルオロメチル及びペンタフルオロエチル、特に好ましくはトリフルオロメチルである。Y-はX-と同様である。
【0025】
塩(A)として好ましいものを例示すると、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジエチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、4−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、3−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、3−エチル−1,5−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、エチルジメチルメトキシエチルアンモニウムテトラフルオロボレート等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらの電解質のうち、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが特に好ましい。
【0026】
本発明の塩の製造方法は塩を主成分とし水分が含まれる塩(A)において、塩100重量部に対して炭酸エステル類(B)を0.1〜100重量部を加え、加熱処理し、水分を除去する工程である。加熱処理後、炭酸エステル類および反応生成物を必要により蒸発除去してもよい。
【0027】
本発明で使用される炭酸エステル類(B)としては1価のアルコール類の炭酸エステル(B1)および2価のアルコール類の炭酸エステル(B2)が挙げられる。
・1価のアルコールの炭酸エステル:ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、n−プロピルメチルカーボネート、n−プロピルエチルカーボネート、ジn−プロピルカーボネート、i−プロピルメチルカーボネート、i−プロピルエチルカーボネート、ジi−プロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等及び2種以上の混合物。
・2価のアルコール類の炭酸エステル:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等及び2種以上の混合物。
好ましくは1価のアルコールの炭酸エステル、特に好ましくはジメチルカーボネート及び/又はジメチルカーボネート及び/又はジエチルカーボネートである。炭酸エステル類(B)の沸点は好ましくは300℃以下であり、さらに好ましくは、200℃以下である。
【0028】
上記塩(A)に炭酸エステル類(B)を仕込む時、塩(A)100重量部に対して(B)は0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、特に好ましくは1〜30重量部である。0.01重量部未満では水分を除去する効率が悪く、また100重量部を超えると仕込んだ(B)に対して水分除去の効率が悪くなる。
処理温度は好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜180℃であり、特に好ましくは90〜140℃である。
(B)および反応物を蒸発除去する場合、絶対圧力は、(B)の種類によるが、好ましくは0kPa〜101kPa、さらに好ましくは0kPa〜50kPaであり、処理時間は通常1〜50時間、好ましくは2〜30時間であるが、要求される水分量によりさらに延長してもよい。
【0029】
本発明の製造方法により得られた水分が500ppm以下の塩(A)を塩(C)と呼ぶものとする。
塩(C)に求められる水分含量は、電気2重層キャパシター用電解液、電解コンデンサー用電解液、二次電池用電解液、色素増感太陽電池用電解液、反応用溶媒および触媒等において通常500ppm以下が求められる。特に電気二重層コンデンサ用電解液又は二次電池用電解液では、耐電圧の低下、長期信頼性の低下の観点から好ましくは300ppm以下、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下が求められる。塩(C)中のアルコール類の残存量は好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。
【0030】
本発明の製造方法により得られる塩(C)を用いる非水電解液の製造方法としては、得られた塩(C)を有機溶媒に溶解させる方法、塩(A)を有機溶媒に溶解させた後、本発明の製造方法により水分を除去する方法が挙げられる。有機溶媒の具体例としては以下のものが挙げられる。これらのうち2種類以上を併用することも可能である。
【0031】
・エーテル類:鎖状エーテル[炭素数2〜6(ジエチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなど);炭素数7〜12(ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなど)]、環状エーテル[炭素数2〜4(テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなど);炭素数5〜18(4−ブチルジオキソラン、クラウンエーテルなど)]。
・アミド類:N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド、N−メチルピロリドンなど。
・カルボン酸エステル類:酢酸メチル、プロピオン酸メチルなど。
・ラクトン類:γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなど。
・ニトリル類:アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、アクリロニトリルなど。
・炭酸エステル類:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど。
・スルホキシド類:ジメチルスルホキシド、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなど。
・ニトロ化合物:ニトロメタン、ニトロエタンなど。
・複素環式溶媒:N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリジノンなど。
・ケトン類:アセトン、2,5ヘキサンジオン、シクロヘキサンなど。
・リン酸エステル類:トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリプロピルリン酸など。
これらのうち好ましいのは炭酸エステル類およびスルホキシド類であり、特に好ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、スルホランである。
電解液中に占める電解質塩の濃度は、電解液の電気伝導度、内部抵抗の観点から好ましくは0.1モル/リットル以上、さらに好ましくは0.5モル/リットル以上、低温時の塩析出の観点から好ましくは4モル/リットル以下、さらに好ましくは3モル/リットル以下である。電解液中の含水量は電気化学的安定性の観点から300ppm以下が好ましく、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下である。
【0032】
実施例 次に本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例の中で、部は重量部を示す。
下記実施例において、水分及びカーボネート類(B)の残存量は以下の方法で測定した。
<水分>
塩の水分量はカールフィッシャー水分測定装置により測定した。水分測定装置:平沼産業株式会社製、AQ−7。塩を露点−50℃以下雰囲気下で2ml注射器に採取し、水分測定装置に注入し、注入量と電量滴定量から水分測定値を算出した。
<カーボネート類(B)の残存量>
カーボネート類(B)の残存量はガスクロマトグラフィーにより測定した。ガスクロマトグラフィーの条件は次に示す条件で行った。カラム:DB−WAX(ジーエルサイエンス社製)、キャリアーガス:ヘリウム、カラム温度:50℃〜230℃(昇温速度10℃/分)、注入口温度:230℃、検出器温度:230℃、検出器:FID、サンプル注入量:1マイクロリットル。カーボネート類の残存量は、濃度既知のカーボネート類をあらかじめガスクロマトグラフィーによって測定し、検量線作成後、定法に従い定量した。
【0033】
実施例1
ガラス製オートクレーブに純度99.4%、水分6000ppmの1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを100部仕込んだ。撹拌下、ジメチルカーボネートを15部仕込み、温度125℃の条件で処理を3時間行った。ジメチルカーボネートを含有する1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(C−1)を114部得た。(C−1)の水分は35ppmであった。
【0034】
実施例2
実施例1で得られた(C−1)から温度125℃、圧力3kPa、1時間で残存するジメチルカーボネートを除去して、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(C−2)を99.5部得た。(C−2)の水分量は40ppmであり、ジメチルカーボネートの残存量は100ppmであった。
【0035】
実施例3
ガラス製オートクレーブに純度99.8%、水分2000ppmの1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを100部仕込んだ。撹拌下、ジメチルカーボネートを5部仕込み、温度110℃の条件で6時間処理を行った。処理物から温度120℃、圧力2kPa、1時間で残存するジメチルカーボネートを除去して、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(C−3)を99.8部得た。(C−3)の水分量は80ppmであり、ジメチルカーボネートの残存量は150ppmであった。
【0036】
実施例4
ガラス製オートクレーブに純度99.2%、水分8000ppmの1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェートを100部仕込んだ。撹拌下、ジメチルカーボネートを20部仕込み、温度100℃の条件で10時間処理を行った。処理物から温度100℃、圧力2kPa、1時間で残存するジメチルカーボネートを除去して、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(C−4)を99.2部得た。(C−4)の水分量は50ppmであり、ジメチルカーボネートの残存量は310ppmであった。
【0037】
実施例5
ガラス製オートクレーブに純度99.5%、水分5000ppmの1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネートを100部仕込んだ。撹拌下、エチルメチルカーボネートを15部仕込み、温度130℃の条件で4時間処理を行った。処理物から温度130℃、圧力3kPa、1時間で残存するエチルメチルカーボネートを除去して、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネートを99.5部を得た。(C−5)の水分量は30ppmであり、エチルメチルカーボネートの残存量は120ppmであった。
【0038】
実施例6
ガラス製オートクレーブに純度99.4%、水分6000ppmの1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを50部、純度99.4%、水分6000ppmのトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを50部仕込んだ。撹拌下、ジエチルカーボネートを20部仕込み、温度125℃の条件で7時間処理を行った。処理物から温度125℃、圧力2kPa、1時間で残存するジエチルカーボネートを除去して、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート及び、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(C−6)を99.4部得た。(C−6)の水分量は70ppmであり、ジエチルカーボネートの残存量は220ppmであった。
【0039】
実施例7
ガラス製オートクレーブに純度99.7%、水分3000ppmのエチルジメチルメトキシエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを100部仕込んだ。撹拌下、ジメチルカーボネートを10部仕込み、温度110℃の条件で5時間処理を行った。処理物から温度110℃、圧力2kPa、1時間で残存するジメチルカーボネートを除去して、エチルジメチルメトキシエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(C−7)を99.7部得た。(C−7)の水分量は40ppmであり、ジメチルカーボネートの残存量は200ppmであった。
【0040】
実施例8
ガラス製オートクレーブに純度99.4%、水分6000ppmの1,2,3−トリメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを100部、スルホランを200部仕込んだ。撹拌下、ジメチルカーボネートを10部仕込み、温度100℃の条件で8時間処理を行った。処理物から温度100℃、圧力2kPa、1時間で残存するジメチルカーボネートを除去して、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートのスルホラン溶液(C−7)を299.4部得た。(C−7)の水分量は40ppmであり、ジメチルカーボネートの残存量は210ppmであった。
【0041】
比較例1
ガラス製オートクレーブに純度:99.5%、水分5000ppmの1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート100部、メタノールを100部仕込んだ。撹拌下、温度125℃まで昇温し、徐々に減圧しながら、温度125℃、圧力2kPa、1時間でメタノールを完全に除去して塩を99.5部を得た。塩の水分量は500ppmであり、メタノールの残存量は70ppmであった。
【0042】
比較例2
ガラス製オートクレーブに純度:99.6%、水分4000ppmの1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート100部、メタノールを100部仕込んだ。撹拌下、温度120℃まで昇温し、徐々に減圧しながら、温度110℃、圧力2kPa、1時間でメタノールを完全に除去して塩を99.6部を得た。塩の水分量は600ppmであり、メタノールの残存量は100ppmであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の製造方法によれば、水分量の少ない塩を工業的に安価に製造することができる。水分量の少ない塩が要求される、電気2重層キャパシター用電解液、電解コンデンサー用電解液、二次電池用電解液、色素増感太陽電池用電解液、反応用溶媒および触媒等に特に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン成分とカチオン成分からなり水分を含有する塩(A)100重量部に対して炭酸エステル類(B)を0.1〜100重量部加え、加熱処理することにより水分を除去することを特徴とする水分含量が500ppm以下である塩の製造方法。
【請求項2】
さらに炭酸エステル類(B)を加熱蒸留して除去する請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
炭酸エステル類(B)がジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の製造方法。、
【請求項4】
加熱処理の温度が50〜200℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
塩(A)が、一般式(1)で表されるアミジニウム塩、一般式(2)で表されるアミジニウム塩および一般式(3)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【化1】

【化2】

[式中、R1は水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及びホルミル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有していてもよい炭素数1〜20の1価炭化水素基又は水素原子であり、R2、R3、R4及びR5は水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及びホルミル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有していてもよい炭素数1〜10の1価炭化水素基であって、R1、R2、R3、R4及びR5の一部又は全部が結合して環を形成していてもよい。X-は、対アニオンを表す。]
【化3】

[式中R6、R7、R8及びR9は水酸基,アミノ基,ニトロ基,シアノ基,カルボキシル基,エーテル結合を有する基及びホルミル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有していてもよい炭素数1〜20の1価炭化水素基であってR6、R7、R8及びR9の一部又は全部が結合して環を形成していてもよい。Y-は、対アニオンを表す。]
【請求項6】
塩(A)が四フッ化ホウ酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、四フッ化アルミニウム酸、六フッ化ヒ酸、六フッ化アンチモン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸、パーフルオロアルカンカルボン酸、パーフルオロアルカンスルホニルイミド、パーフルオロアルカンスルホニルメチドからなる群から選ばれる少なくとも1種の酸の塩である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法で得られる塩を用いた非水電解液の製造方法。

【公開番号】特開2007−302618(P2007−302618A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133476(P2006−133476)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】