説明

塩化カルボニルの製造方法および製造装置、ならびに、ポリイソシアネートの製造方法および製造装置

【課題】一酸化炭素の供給量に対して、塩素の供給量が、モル比率で常に超えないようにして、ポリイソシアネートのクロル化を防止することのできる、塩化カルボニルの製造方法および製造装置、ならびに、ポリイソシアネートの製造方法および製造装置を提供すること。
【解決手段】塩化カルボニル製造制御部7において、まず、一酸化炭素ガスの供給量を設定して、その設定された供給量で、一酸化炭素ガスを反応部6へ連続的に供給するように、一酸化炭素制御弁9を制御するとともに、一酸化炭素流量計10により検知される一酸化炭素ガスの供給量を常時モニタして、次いで、その常時モニタされる一酸化炭素ガスの供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素に対して一酸化炭素が過剰となる、ある一定のモル比率に対応する所定の比率の供給量となるように、常時設定し、その常時設定された供給量で、塩素ガスを反応部6へ供給するように、塩素制御弁12を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネートの原料となる塩化カルボニルを連続的に製造するための塩化カルボニルの製造方法および製造装置、ならびに、その塩化カルボニルを反応させるポリイソシアネートの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンの原料であるポリイソシアネートは、ポリアミンと塩化カルボニルとを反応させることにより、工業的に製造されている。
【0003】
また、ポリイソシアネートの原料である塩化カルボニルは、一酸化炭素ガスと塩素ガスとを反応器に連続的に供給して、反応器において固体触媒の存在下で一酸化炭素と塩素との気相反応によって、連続的に製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表2005−525986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、一酸化炭素と塩素との反応においては、一酸化炭素1モルに対して塩素1モルが化学量論的に反応して、塩化カルボニル1モルを生成するが、この反応において、塩素が一酸化炭素に対してモル比率で過剰になると、未反応の塩素が残存する。未反応の塩素が残存すると、その後に、塩化カルボニルとポリアミンとの反応によりポリイソシアネートを製造するときに、その未反応(過剰)の塩素によって、ポリイソシアネートの芳香環や炭化水素基がクロル化されるという不具合を生じる。
【0005】
そのため、塩化カルボニルの製造においては、一酸化炭素の供給量に対して、塩素の供給量が、モル比率で超えないようにすることが必須とされる。
【0006】
一方、上記したように、塩化カルボニルは、工業的には、一酸化炭素ガスと塩素ガスとを反応器に連続的に供給するが、一酸化炭素ガスおよび塩素ガスは、それぞれ独立してその供給量が制御されるので、一酸化炭素ガスおよび塩素ガスのいずれか一方の供給量が変動しても、他方の供給量はそれに応じて変動することがなく、そのため、一酸化炭素ガスと塩素ガスとの供給比率が変動して、一酸化炭素に対して塩素がモル比率で過剰となるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、一酸化炭素の供給量に対して、塩素の供給量が、モル比率で常に超えないようにして、ポリイソシアネートのクロル化を防止することのできる、塩化カルボニルの製造方法および製造装置、ならびに、ポリイソシアネートの製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の塩化カルボニルの製造方法は、一酸化炭素と塩素とを第1反応槽に連続的に供給して、塩化カルボニルを連続的に製造するための塩化カルボニルの製造方法において、一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率で、制御することを特徴としている。
【0009】
この方法よれば、一酸化炭素の供給量および塩素の供給量が、それぞれ独立して制御されるのではなく、一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量が制御されるので、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で常に超えないように制御することができる。そのため、未反応の塩素の残存を防止して、ポリイソシアネートのクロル化を防止することができる。
【0010】
本発明の塩化カルボニルの製造方法においては、一酸化炭素の供給量を設定する工程、設定された供給量で一酸化炭素を第1反応槽に供給する工程、供給される一酸化炭素の供給量を実測する工程、実測された一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が実測された一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率の供給量に設定する工程、および、設定された供給量で塩素を供給する工程を備えていることが好適である。
【0011】
この方法によれば、一酸化炭素の供給量を設定し、その設定された供給量で一酸化炭素を第1反応槽に供給した後、供給される一酸化炭素の供給量を実測する。また、実測された一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が実測された一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率の供給量に設定し、その設定された供給量で塩素を供給する。そのため、塩素の供給量を、供給される一酸化炭素の実測値より低くすることができ、未反応の塩素の残存を確実に防止することもできる。
【0012】
また、本発明の塩化カルボニルの製造方法では、製造された塩化カルボニルに残存する一酸化炭素の濃度をモニタすることが好適である。
【0013】
この方法によれば、製造された塩化カルボニルに残存する一酸化炭素の濃度をモニタする。そのため、残存する一酸化炭素の濃度が所定濃度に以下になった場合には、一酸化炭素の供給量を増やせば、塩化カルボニルに未反応の塩素が残存することを確実に防止することができる。また、塩素および一酸化炭素の供給、あるいは、塩素の供給を停止すれば、塩素が混入した塩化カルボニルの生成および供給を確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明の塩化カルボニルの製造方法では、赤外分光光度計または近赤外分光光度計によりモニタすることが好適である。
【0015】
この方法によれば、赤外分光光度計または近赤外分光光度計によりモニタするので、塩化カルボニルに残存する一酸化炭素を、精度よく、かつ、高い安定性で、モニタすることができる。
【0016】
また、本発明のポリイソシアネートの製造方法は、上記した塩化カルボニルの製造方法により得られた塩化カルボニルと、ポリアミンとを反応させることを特徴としている。
【0017】
この方法によれば、上記した塩化カルボニルの製造方法により得られた塩化カルボニルにおいて、未反応の塩素の残存が防止されているので、この塩化カルボニルとポリアミンとを反応させることにより、ポリイソシアネートのクロル化の防止を図ることができる。
【0018】
また、本発明の塩化カルボニルの製造装置は、一酸化炭素を供給する一酸化炭素供給手段と、塩素を供給する塩素供給手段と、一酸化炭素および塩素が供給される第1反応槽と、一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率で制御する供給量制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0019】
この装置によれば、一酸化炭素供給手段における一酸化炭素の供給量、および、塩素供給手段における塩素の供給量が、それぞれ独立して制御されるのではなく、供給量制御手段によって、一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量が制御されるので、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で常に超えないように制御することができる。そのため、未反応の塩素の残存を防止して、ポリイソシアネートのクロル化を防止することができる。
【0020】
本発明の塩化カルボニルの製造装置においては、前記一酸化炭素供給手段は、一酸化炭素を第1反応槽へ供給するための第1供給ラインと、前記第1供給ラインに介在される第1供給弁と、前記第1供給ラインに介在される第1流量検知計とを備え、前記塩素供給手段は、塩素を第1反応槽へ供給するための第2供給ラインと、前記第2供給ラインに介在される第2供給弁とを備え、前記供給量制御手段は、一酸化炭素の供給量を設定する第1設定ステップ、第1設定ステップで設定された供給量で、一酸化炭素を第1反応槽へ供給するように、前記第1供給弁を制御する第1供給ステップ、第1流量検知計により検知される一酸化炭素の供給量をモニタする第1モニタステップ、第1モニタステップでモニタされる一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量がモニタされる一酸化炭素の供給量よりもモル比率で超えない所定の比率の供給量に設定する第2設定ステップ、および、第2設定ステップで設定された供給量で、塩素を第1反応槽へ供給するように、前記第2供給弁を制御する第2供給ステップを備えていることが好適である。
【0021】
この装置によれば、供給量制御手段により、第1設定ステップにおいて、一酸化炭素の供給量が設定され、第1供給ステップにおいて、第1供給弁を制御して、第1設定ステップで設定された供給量で、一酸化炭素が第1反応槽へ供給され、第1モニタステップにおいて、第1流量検知計により検知される一酸化炭素の供給量をモニタする。また、第2設定ステップにおいて、第1モニタステップでモニタされる一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量がモニタされる一酸化炭素の供給量よりもモル比率で超えない所定の比率の供給量に設定した後、第2供給ステップにおいて、第2供給弁を制御して、第2設定ステップで設定された供給量で、塩素が第1反応槽へ供給される。そのため、塩素の供給量を、供給される一酸化炭素の実測値より低くすることができ、未反応の塩素の残存を確実に防止することができる。
【0022】
また、本発明の塩化カルボニルの製造装置では、製造された塩化カルボニルに残存する一酸化炭素の濃度をモニタする分析装置を備えていることが好適である。
【0023】
この装置によれば、分析装置によって、製造された塩化カルボニルに残存する一酸化炭素の濃度をモニタできる。そのため、分析装置が、残存する一酸化炭素の濃度が所定濃度に以下になったことをモニタした場合には、一酸化炭素の供給量を増やせば、塩化カルボニルに未反応の塩素が残存することを確実に防止することができる。あるいは、塩素および一酸化炭素の供給、または、塩素の供給を停止すれば、塩素が混入した塩化カルボニルの生成を確実に防止することができる。
【0024】
また、本発明の塩化カルボニルの製造装置では、前記分析装置が、赤外分光光度計または近赤外分光光度計であることが好適である。
【0025】
この装置では、分析装置が赤外分光光度計または近赤外分光光度計であるので、塩化カルボニルに残存する一酸化炭素を、精度よく、かつ、高い安定性で、モニタすることができる。
【0026】
また、本発明のポリイソシアネートの製造装置は、上記した塩化カルボニルの製造装置と、前記塩化カルボニルの製造装置から供給される塩化カルボニルとポリアミンとを反応させる第2反応槽とを備えていることを特徴としている。
【0027】
この装置によれば、上記した塩化カルボニルの製造装置では、製造されたポリイソシアネートにおいて、未反応の塩素の残存が防止されている。そのため、この塩化カルボニルとポリアミンとを、第2反応槽で反応させることにより、ポリイソシアネートのクロル化の防止を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の塩化カルボニルの製造方法および製造装置によれば、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で常に超えないように制御することができる。そのため、未反応の塩素の残存を防止して、ポリイソシアネートのクロル化を防止することができる。
【0029】
また、本発明のポリイソシアネートの製造方法および製造装置によれば、製造された塩化カルボニルにおいて、未反応の塩素の残存が防止されている。そのため、この塩化カルボニルとポリアミンとを反応させることにより、ポリイソシアネートのクロル化の防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明のポリイソシアネートの製造方法の一実施形態に用いられる、本発明のポリイソシアネートの製造装置の一実施形態であるポリイソシアネート連続製造装置を示す概略構成図である。
【0031】
図1において、このポリイソシアネート連続製造装置1は、本発明の塩化カルボニルの製造方法の一実施形態に用いられる、本発明の塩化カルボニルの製造装置の一実施形態である塩化カルボニル製造部2と、ポリイソシアネートを製造するポリイソシアネート製造部3とを備えている。
【0032】
塩化カルボニル製造部2は、一酸化炭素供給手段としての一酸化炭素供給部4と、塩素供給手段としての塩素供給部5と、反応部6と、各部を制御するための供給量制御手段としての塩化カルボニル製造制御部(CPU)7とを備えている。
【0033】
一酸化炭素供給部4は、第1供給ラインとしての一酸化炭素供給ライン8と、一酸化炭素供給ライン8に介在される第1供給弁としての一酸化炭素制御弁9と、一酸化炭素供給ライン8に介在される第1流量検知計としての一酸化炭素流量計10とを備えている。
【0034】
一酸化炭素供給ライン8は、一酸化炭素ガスを反応部6へ供給するために配管されており、その下流側端部には、後述する混合ライン16が接続されている。また、一酸化炭素供給ライン8の上流側端部には、一酸化炭素ガスが貯蔵される一酸化炭素ガス貯蔵タンク(図示せず)が接続されている。
【0035】
一酸化炭素制御弁9は、一酸化炭素供給ライン8の途中に介在されるように設けられている。この一酸化炭素制御弁9には、塩化カルボニル製造制御部7が接続されており、塩化カルボニル製造制御部7から制御信号が入力される。
【0036】
一酸化炭素流量計10は、一酸化炭素供給ライン8の途中であって、一酸化炭素制御弁9よりも上流側において介在されている。この一酸化炭素流量計10は、塩化カルボニル製造制御部7が接続されており、塩化カルボニル製造制御部7に検知信号を入力する。
【0037】
塩素供給部5は、第2供給ラインとしての塩素供給ライン11と、塩素供給ライン11に介在される第2供給弁としての塩素制御弁12と、塩素供給ライン11に介在される第2流量検知計としての塩素流量計13とを備えている。
【0038】
塩素供給ライン11は、塩素ガスを反応部6へ供給するために配管されており、すなわち、その下流側端部には、混合ライン16が接続されている。また、塩素供給ライン11の上流側端部には、塩素ガスが貯蔵される塩素ガス貯蔵タンク(図示せず)が接続されている。
【0039】
塩素制御弁12は、塩素供給ライン11の途中に介在されるように設けられている。この塩素制御弁12には、塩化カルボニル製造制御部7が接続されており、塩化カルボニル製造制御部7から制御信号が入力される。
【0040】
塩素流量計13は、塩素供給ライン11の途中であって、塩素制御弁12よりも上流側において介在されている。この塩素流量計13は、塩化カルボニル製造制御部7が接続されており、塩化カルボニル製造制御部7に検知信号を入力する。
【0041】
反応部6は、混合ライン16、第1反応槽としての固定床式反応器15、および、分析装置としての一酸化炭素濃度検知センサ18を備えている。
【0042】
混合ライン16は、一酸化炭素供給ライン8の一酸化炭素ガスおよび塩素供給ライン11の塩素ガスを固定床式反応器15に供給するために配管されている。すなわち、混合ライン16の上流側端部は、一酸化炭素供給ライン8の下流側端部および塩素供給ライン11の下流側端部と接続されている。また、混合ライン16の下流側端部は、固定床式反応器15と接続されている。なお、混合ライン16には、必要により、図示しない混合ミキサを設けることもできる。混合ミキサは、一酸化炭素および塩素を予め混合(予混合)するものであって、例えば、スタティックミキサなどが用いられる。
【0043】
固定床式反応器15は、混合ライン16を介して、一酸化炭素供給ライン8および塩素供給ライン11と接続されている。この固定床式反応器15は、密閉円筒型の多管式反応器であって、その内部には、固体触媒としての活性炭や、シリカ、アルミナなどが充填されている反応管が、互いに間隔を隔てて、上下方向に沿って複数配置されている。なお、この固定床式反応器15には、図示しないがジャケットが設けられている。また、固定床式反応器15は、多段で構成されることもできる。なお、固定床式反応器15を複数設けて、一酸化炭素および塩素を複数の反応器へそれぞれ供給することもできる。
【0044】
また、この固定床式反応器15は、塩化カルボニル供給ライン17を介して、ポリイソシアネート製造部3の後述する第2反応槽としての反応槽19に接続されている。
【0045】
一酸化炭素濃度検知センサ18は、塩化カルボニル供給ライン17の途中であって、固定床式反応器15の下流側近傍に介在されている。この一酸化炭素濃度検知センサ18には、特に制限されないが、一酸化炭素濃度を連続的に検知可能な分析装置、例えば、ガスクロマトグラフ(GC)、赤外分光光度計(IR)、近赤外分光光度計(NIR)、紫外分光光度計(UV)が用いられている。とりわけ、連続分析の場合は、好ましくは、赤外分光光度計、近赤外分光光度計や紫外分光光度計が用いられる。さらに好ましくは、分析精度および分析値の安定性の観点から、赤外分光光度計または近赤外分光光度計が用いられる。一酸化炭素濃度検知センサ18では、固定床式反応器15から流出する生成ガス(つまり、固定床式反応器15において、一酸化炭素と塩素との反応後の混合ガス)中の、一酸化炭素濃度が常時検知(モニタ)されている。また、一酸化炭素濃度検知センサ18は、塩化カルボニル製造制御部7が接続されており、塩化カルボニル製造制御部7に検知信号を入力する。
【0046】
塩化カルボニル製造制御部7は、上記したように、一酸化炭素制御弁9、一酸化炭素流量計10、塩素制御弁12、塩素流量計13および一酸化炭素濃度検知センサ18にそれぞれ接続されている。
【0047】
塩化カルボニル製造制御部7では、一酸化炭素流量計10から入力される検知信号に基づいて、一酸化炭素制御弁9に制御信号を送信して、一酸化炭素制御弁9をフィードバック制御(PID制御)している。また、塩素流量計13から入力される検知信号に基づいて、塩素制御弁12に制御信号を送信して、塩素制御弁12をフィードバック制御(PID制御)している。また、後述するように、一酸化炭素濃度検知センサ18により検知される濃度をモニタして、一酸化炭素濃度が、第1警告濃度以下になると、中央制御部22に警告信号を入力して、塩素の供給量を減じるように操作する。さらに、一酸化炭素濃度が、第1警告濃度より低い第2警告濃度以下になると、中央制御部22にシャットダウン信号を入力して、一酸化炭素および塩素の供給、あるいは、塩素の供給を停止するように操作する。
【0048】
ポリイソシアネート製造部3は、反応槽19や、その他、図示しないが、その後の後処理工程に用いられる脱溶媒塔や精製塔などを備えている。
【0049】
反応槽19は、塩化カルボニル製造部2で製造された塩化カルボニルと、供給されるポリアミンとを反応させる反応槽であって、例えば、攪拌式、ポンプ循環ループ式、塔式などの、単槽または多段槽として構成される。多段槽として構成される場合には、図1に示す反応槽19は、第1段目の反応器となり、次工程には、図示しない第2段目の反応器が接続される。
【0050】
また、この反応槽19には、ポリアミン溶液が供給される原料供給ライン20が接続されている。
【0051】
原料供給ライン20から供給されるポリアミン溶液は、ポリアミンを有機溶媒(反応溶媒)で溶解することによって調製されている。
【0052】
ポリアミンは、ポリウレタンの製造に用いられるポリイソシアネートに対応するポリアミンであって、特に制限されず、例えば、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(MDI)に対応するポリメチレンポリフェニレンポリアミン(MDA)、トリレンジイソシアネート(TDI)に対応するトリレンジアミン(TDA)などの芳香族ジアミン、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)に対応するキシリレンジアミン(XDA)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)に対応するテトラメチルキシリレンジアミン(TMXDA)などの芳香脂肪族ジアミン、例えば、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)に対応するビス(アミノメチル)ノルボルナン(NBDA)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)に対応する3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDA)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)に対応する4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(H12MDA)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)に対応するビス(アミノメチル)シクロヘキサン(HXDA)などの脂環族ジアミン、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に対応するヘキサメチレンジアミン(HDA)などの脂肪族ジアミン、および、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)に対応するポリメチレンポリフェニルポリアミンなどから、適宜選択される。
【0053】
このポリイソシアネート連続製造装置1は、特に、芳香族ジアミンから、芳香族ジイソシアネートを製造するのに適している。
【0054】
有機溶媒は、ポリアミンおよびポリイソシアネートを溶解し、かつこれらに対して不活性であれば、特に制限されず、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、例えば、クロロトルエン、クロロベンゼン(モノクロロベンゼン)、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、例えば、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル類、例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。好ましくは、モノクロロベンゼンあるいはジクロロベンゼンが挙げられる。
【0055】
また、ポリアミン溶液は、ポリアミンの5〜50重量%、より好ましくは、5〜30重量%の有機溶媒の溶液として調製される。
【0056】
また、ポリイソシアネート製造部3の反応槽19を含む各部は、ポリイソシアネート製造制御部(CPU)21によって制御されている。
【0057】
そして、このポリイソシアネート連続製造装置1において、塩化カルボニル製造制御部7やポリイソシアネート製造制御部21は、それぞれ独立して、塩化カルボニル製造部2やポリイソシアネート製造部3における制御を実施しているが、これら塩化カルボニル製造制御部7やポリイソシアネート製造制御部21は、制御バス23に接続されており、制御バス23を介して相互に情報を出入力できるようにされており、さらに、この制御バス23に、中央制御部22が接続されている。そして、塩化カルボニル製造制御部7やポリイソシアネート製造制御部21は、制御バス23を介して中央制御部22によって制御されており、これによって、このポリイソシアネート連続製造装置1において、分散制御システムが構築されている。
【0058】
分散制御システムにおいては、上記した塩化カルボニル製造制御部7の制御による塩化カルボニル製造部2での塩化カルボニルの連続的な製造工程と、上記したポリイソシアネート製造制御部21の制御によるポリイソシアネート製造部3でのポリイソシアネートの連続的な製造工程とが、中央制御部22の制御により同時並行して実施され、これによって、ポリイソシアネート連続製造装置1での全体的なポリイソシアネートの連続的な製造工程が、中央制御部22によって集中的に管理されている。
【0059】
そして、このポリイソシアネート連続製造装置1では、中央制御部22により、塩化カルボニル製造制御部7およびポリイソシアネート製造制御部21が制御されることにより、まず、塩化カルボニル製造部2において、一酸化炭素ガスと塩素ガスとを反応させて塩化カルボニルを連続的に製造し、次いで、ポリイソシアネート製造部3において、製造された塩化カルボニルとポリアミンとを反応させてポリイソシアネートを連続的に製造している。
【0060】
より具体的には、ポリイソシアネートは、定常運転において、次のように製造される。すなわち、まず、塩化カルボニル製造部2において、塩化カルボニル製造制御部7による一酸化炭素制御弁9および塩素制御弁12によって、一酸化炭素ガスおよび塩素ガスを、一酸化炭素供給ライン8および塩素供給ライン11から、混合ライン16に供給する。そして、混合ライン16において、これら一酸化炭素ガスおよび塩素ガスが混合された後、次いで、その混合ガスが、混合ライン16から固定床式反応器15に供給される。
【0061】
一酸化炭素ガスおよび塩素ガスの供給量は、例えば、その後のポリイソシアネートの製造工程に必要な塩化カルボニルの量が適宜調節され、一酸化炭素ガスと塩素ガスとの供給比は、一酸化炭素/塩素のモル比率として、1以上、好ましくは、1.01〜1.20である。一酸化炭素/塩素のモル比率が、1未満になると、未反応の塩素が残存して、ポリイソシアネートの製造時に、その未反応(過剰)の塩素によって、ポリイソシアネートの芳香環や炭化水素基がクロル化される。また、一酸化炭素/塩素のモル比率が大きくなり過ぎる、つまり、一酸化炭素ガスを塩素ガスに比べて大過剰に供給すると、一酸化炭素ガスのロスが多くなるため、経済性が低下する場合がある。
【0062】
また、固定床式反応器15では、反応管内の温度を100〜600℃に調節する。なお、反応温度が600℃を超えると、四塩化炭素の副生や触媒の燃焼によるロスが多くなるので、反応管内の温度を600℃以下で制御することが好適である。また、固定床式反応器15内の圧力は、触媒や反応温度にも依るが、例えば、0.01〜1.0MPaに設定されている。
【0063】
そして、一酸化炭素ガスおよび塩素ガスは、固定床式反応器15に供給されると、複数の反応管内へ並行して流入し、反応管内において固体触媒と接触することにより、気相反応して、塩化カルボニルが生成される。そして、生成された塩化カルボニルは、未反応の一酸化炭素ガスとともに、生成ガスとして、塩化カルボニル供給ライン17に排出され、その塩化カルボニル供給ライン17を介して、塩化カルボニルを、ガス状、液状、または、有機溶媒に吸収させた溶液状で、反応槽19に供給させる。
【0064】
次いで、ポリイソシアネート製造部3においては、ポリイソシアネート製造制御部21によって、反応槽19を制御して、塩化カルボニルとポリアミンとの反応により、ポリイソシアネートを生成させる。
【0065】
反応槽19には、塩化カルボニル供給ライン17から塩化カルボニルが供給されるとともに、原料供給ライン20からポリアミン溶液が供給される。塩化カルボニルとポリアミン溶液との供給比は、塩化カルボニル/ポリアミンのモル比率として、1〜60である。また、反応槽19は、ポリイソシアネート製造制御部21の制御により、例えば、0〜250℃、0〜5MPa−ゲージに設定されている。
【0066】
これによって、反応槽19では、塩化カルボニルとポリアミンとが反応して、ポリイソシアネートが生成する。なお、ポリイソシアネートの生成とともに塩化水素ガスが副生する。
【0067】
そして、生成されたポリイソシアネートおよび塩化水素ガスを含む反応溶媒は、反応液として、反応槽19から排出される。排出された反応液は、次工程で脱ガスされた後、脱溶媒、タールカットなどの後処理を経て、精製され、ポリイソシアネートが製品として取り出される。
【0068】
このような塩化カルボニルおよびポリイソシアネートの製造において、固定床式反応器15から塩化カルボニル供給ライン17に排出された生成ガスは、塩化カルボニル供給ライン17の途中に設けられている一酸化炭素濃度検知センサ18によって、その生成ガス中の一酸化炭素濃度が、常時検知されており、その検知信号を、塩化カルボニル製造制御部7に常時入力している。
【0069】
塩化カルボニル製造制御部7では、検知信号を常時モニタしており、生成ガス中の一酸化炭素濃度が、例えば、第1警告濃度以下、具体的には、1%以下になった場合には、中央制御部22に警告信号を入力し、さらに、例えば、第2警告濃度以下、具体的には、0.5%以下になった場合には、中央制御部22にシャットダウン信号を入力する。
【0070】
中央制御部22では、警告信号が入力されると、塩化カルボニル製造制御部7において、塩素ガスの量を所定値まで減じたり、または、操作パネル(図示せず)において、警告ランプを点灯させたり、あるいは、警告ブザーを鳴らすことにより、オペレータに対して、塩素ガスの供給量を減じるように注意を喚起する。これにより、未反応の塩素ガスが残存することを確実に防止することができる。さらに、シャットダウン信号が入力されると、固定床式反応器15において未反応の塩素が残存するおそれがあるので、ポリイソシアネート連続製造装置1を、インターロックにより、各原料(一酸化炭素、塩素、ポリイソシアネート)の供給停止、あるいは、塩素の供給停止などのシャットダウン操作する。これにより、塩素が混入した塩化カルボニルの生成および供給を確実に防止することができる。
【0071】
そして、このポリイソシアネート連続製造装置1の塩化カルボニル製造部2では、塩化カルボニル製造制御部7において、まず、一酸化炭素ガスの供給量を設定して(第1設定ステップ)、その設定された供給量で、一酸化炭素ガスを反応部6へ連続的に供給するように、一酸化炭素制御弁9を制御するとともに(第1供給ステップ)、一酸化炭素流量計10により検知される一酸化炭素ガスの供給量を常時モニタして(第1モニタステップ)、次いで、その常時モニタされる一酸化炭素ガスの供給量に基づいて、塩素の供給量を、上記したモル比率の範囲のうちの、ある一定のモル比率に対応する所定の比率の供給量となるように、常時設定し(第2設定ステップ)、その常時設定される供給量で、塩素ガスを反応部6へ供給するように、塩素制御弁12を制御(第2供給ステップ)している。
【0072】
このように制御すれば、一酸化炭素ガスの供給量および塩素ガスの供給量が、それぞれ独立して制御されるのではなく、常時実測(モニタ)される一酸化炭素ガスの供給量に基づいて、塩素ガスの供給量が常時設定されるので、一酸化炭素ガスおよび塩素ガスのモル比率を、常時一定の比率に維持することができる。その結果、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で常に超えないように制御することができる。そのため、未反応の塩素の残存を防止して、ポリイソシアネートのクロル化を防止することができる。
【0073】
とりわけ、このポリイソシアネート連続製造装置1は、その運転の開始時には、ポリイソシアネートの製造量を徐々にロードアップするが、このようなロードアップ時には、塩化カルボニルの製造量を徐々に増加させることから、一酸化炭素ガスの供給量および塩素ガスの供給量を、上記した一定のモル比率で維持しながら、それらの供給量を徐々に増加させる必要がある。
【0074】
そのような場合に、一酸化炭素ガスの供給量と塩素ガスの供給量とを、それぞれ独立して制御すると、それらの供給量を、正確に一定のモル比率で維持することが、非常に困難となる。
【0075】
そのため、ポリイソシアネート連続製造装置1の塩化カルボニル製造部2では、ロードアップ時および定常運転時には、上記したように、常時実測(モニタ)される一酸化炭素ガスの供給量に基づいて、塩素ガスの供給量を常時設定することにより、一酸化炭素ガスおよび塩素ガスのモル比率を、常時一定の比率に維持するようにしている。
【0076】
次に、図2に示すフロー図を参照して、ロードアップ時の、塩化カルボニル製造制御部7による一酸化炭素ガスおよび塩素ガスの供給量の制御について、詳述する。なお、図2のフロー図に示す制御プログラムは、塩化カルボニル製造制御部7において、ROMなどに格納され、ロードアップにおいて実施される。また、以下の説明では、一酸化炭素をCO、塩素をClと省略する。
【0077】
図2において、この処理は、ロードアップの開始とともに開始され、まず、初期のCO供給量が初期設定される(S21)。初期設定されるCO供給量は、例えば、月間生産量により自動運転システムにより自動的に入力されるか、あるいは、オペレータが直接入力する。初期設定されるCO供給量は、例えば、100〜1000Nm/hr(1atm、0℃における単位時間あたりの供給量、以下同じ。)の範囲から選択される。次いで、CO制御弁9を、初期設定されるCO供給量に対応する開度で開放して(S22)、CO供給ライン8から反応部6へCOを供給する。
【0078】
次いで、CO流量計10により検知されるCO供給量をモニタして(S23)、設定されたCO供給量から、モニタにより実測されたCO供給量を差し引いて偏差を算出し(S24)、その偏差に基づいて、実測されたCO供給量が設定されたCO供給量となるように、CO制御弁9をフィードバック制御する(S25)。
【0079】
その後、モニタにより実測されたCO供給量に基づいて、Cl供給量が算出される(S26)。この算出は、例えば、下記式(1)による。
【0080】
[Cl供給量]=[実測CO供給量]×[1/比率r]
なお、比率rは、CO/Clのモル比率に換算して、1以上、好ましくは、1.01〜1.20となる範囲から選択される一定のモル比率に対応するCl供給量となるように設定される。より具体的には、例えば、1.01〜1.10の範囲から選択される。
【0081】
次いで、上記により算出されたCl供給量が設定された後(S27)、Cl制御弁12を、設定されたCl供給量に対応する開度で開放して(S28)、Cl供給ライン11から反応部6へClを供給する。
【0082】
その後、Cl流量計13により検知されるCl供給量をモニタして(S29)、設定されたCl供給量から、モニタにより実測されたCl供給量を差し引いて偏差を算出し(S30)、その偏差に基づいて、実測されたCl供給量が設定されたCl供給量となるように、Cl制御弁12をフィードバック制御する(S31)。
【0083】
その後、CO濃度検知センサ18に検知されるCO濃度が、第1警告濃度以下になると、中央制御部22に警告信号を入力して、Clの供給量を減じるように操作し、さらに、CO濃度が、第2警告濃度以下になると、中央制御部22にシャットダウン信号を入力して、COおよびClの供給、あるいは、Clの供給を停止するように操作する。
【0084】
このCOの供給量のロードアップでは、所定のロードアップ量を設定して(S21参照)、CO制御弁9を、COの供給量のロードアップ量に対応する開度に調節して(S22参照)、ロードアップにおいて設定されたCO供給量から、モニタにより実測されたCO供給量を差し引いて偏差を算出し(S24参照)、その偏差に基づいて、実測されたCO供給量が設定されたCO供給量となるように、CO制御弁9をフィードバック制御する(S25)。すなわち、ロードアップがなされる毎に、S21〜S25の操作が繰り返される。
【0085】
なお、COの供給量のロードアップ量は、初期設定されたCO供給量から定常運転時のCO供給量に至るまでのCO供給量を所定割合毎に分割して、複数の値として予め決定しておくことができ、例えば、初期設定されたCO供給量が、100〜1000Nm/hrの範囲から選択され、定常運転時のCO供給量が、500〜5000Nm/hrの範囲から選択される場合には、COの供給量のロードアップ量は、これらの間において、2〜50分割することにより、予め決定することもできる。このように分割してロードアップすると、ClがCOに対して過剰とならずにロードアップを安定的に実施することができる。
【0086】
そして、COの供給量のロードアップ後に、上記したS26〜S32までの各ステップの処理が再び実施される。なお、S28は、Cl制御弁12を、設定されたClの供給量に対応する開度に調節する。
【0087】
一方、CO濃度検知センサ18に検知されるCO濃度が変化しない場合(S32:NO)、すなわち、定常運転に到達した場合には、リターンされ、次に、定常運転の塩化カルボニル製造制御部7によるCOガスおよびClガスの供給量の制御が開始される。
【0088】
定常運転の制御では、S23〜S32までの各ステップの処理が実施される。
【0089】
そして、シャットダウン処理においては、塩化カルボニル製造制御部7では、塩化カルボニルの製造量を徐々に減少させなくてもよく、そのため、まず、Clガスの供給を停止した後、次いで、COガスの供給を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のポリイソシアネートの製造方法の一実施形態に用いられる、本発明のポリイソシアネートの製造装置の一実施形態であるポリイソシアネート連続製造装置を示す概略構成図である。
【図2】ロードアップ時の塩化カルボニル製造制御部による一酸化炭素ガスおよび塩素ガスの供給量の制御のフロー図である。
【符号の説明】
【0091】
1 ポリイソシアネート連続製造装置
2 塩化カルボニル製造部
4 一酸化炭素供給部
5 塩素供給部
7 塩化カルボニル製造制御部
8 一酸化炭素供給ライン
9 一酸化炭素制御弁
10 一酸化炭素流量計
11 塩素供給ライン
12 塩素制御弁
13 塩素流量計
15 固定床式反応器
18 一酸化炭素濃度検知センサ
19 反応槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素と塩素とを第1反応槽に連続的に供給して、塩化カルボニルを連続的に製造するための塩化カルボニルの製造方法において、
一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率で、制御することを特徴とする、塩化カルボニルの製造方法。
【請求項2】
一酸化炭素の供給量を設定する工程、
設定された供給量で一酸化炭素を第1反応槽に供給する工程、
供給される一酸化炭素の供給量を実測する工程、
実測された一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が実測された一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率の供給量に設定する工程、および、
設定された供給量で塩素を供給する工程
を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の塩化カルボニルの製造方法。
【請求項3】
製造された塩化カルボニルに残存する一酸化炭素の濃度をモニタすることを特徴とする、請求項1または2に記載の塩化カルボニルの製造方法。
【請求項4】
赤外分光光度計または近赤外分光光度計によりモニタすることを特徴とする、請求項3に記載の塩化カルボニルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の塩化カルボニルの製造方法により得られた塩化カルボニルと、ポリアミンとを反応させることを特徴とする、ポリイソシアネートの製造方法。
【請求項6】
一酸化炭素を供給する一酸化炭素供給手段と、
塩素を供給する塩素供給手段と、
一酸化炭素および塩素が供給される第1反応槽と、
一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量が一酸化炭素の供給量をモル比率で超えない所定の比率で制御する供給量制御手段と
を備えていることを特徴とする、塩化カルボニルの製造装置。
【請求項7】
前記一酸化炭素供給手段は、一酸化炭素を第1反応槽へ供給するための第1供給ラインと、前記第1供給ラインに介在される第1供給弁と、前記第1供給ラインに介在される第1流量検知計とを備え、
前記塩素供給手段は、塩素を第1反応槽へ供給するための第2供給ラインと、前記第2供給ラインに介在される第2供給弁とを備え、
前記供給量制御手段は、
一酸化炭素の供給量を設定する第1設定ステップ、
第1設定ステップで設定された供給量で、一酸化炭素を第1反応槽へ供給するように、前記第1供給弁を制御する第1供給ステップ、
第1流量検知計により検知される一酸化炭素の供給量をモニタする第1モニタステップ、
第1モニタステップでモニタされる一酸化炭素の供給量に基づいて、塩素の供給量を、塩素の供給量がモニタされる一酸化炭素の供給量よりもモル比率で超えない所定の比率の供給量に設定する第2設定ステップ、および、
第2設定ステップで設定された供給量で、塩素を第1反応槽へ供給するように、前記第2供給弁を制御する第2供給ステップ
を備えていることを特徴とする、請求項6に記載の塩化カルボニルの製造装置。
【請求項8】
製造された塩化カルボニルに残存する一酸化炭素の濃度をモニタする分析装置を備えていることを特徴とする、請求項6または7に記載の塩化カルボニルの製造装置。
【請求項9】
前記分析装置が、赤外分光光度計または近赤外分光光度計であることを特徴とする、請求項8に記載の塩化カルボニルの製造装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の塩化カルボニルの製造装置と、
前記塩化カルボニルの製造装置から供給される塩化カルボニルとポリアミンとを反応させる第2反応槽と
を備えていることを特徴とする、ポリイソシアネートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−132474(P2010−132474A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307717(P2008−307717)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(501140544)三井化学ポリウレタン株式会社 (115)
【Fターム(参考)】