説明

塩酸4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを製造する方法

本発明は、ロピニロールとして一般的に公知である、4−[2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(I)を製造するための新規な方法および新規な中間体を開示する。さらに、本発明は、心血管障害またはパーキンソン病の処置方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本願は、2004年1月20日付出願されたインド国特許願第60/MUM/2003による優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ロピニロールとして一般的に公知である、4−[2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを製造するための新規な方法および新規な中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
ロピニロールは、心血管治療に役立つとして米国特許第4,452,808号明細書に、またパーキンソン病の処置に役立つ薬剤として米国特許第4,824,860号明細書に記載されている。ロピニロールHClおよびその誘導体を製造する方法は、以前から記載されている。米国特許第4,452,808号明細書は、4−アミノアルキル−7−ヒドロキシ−2(3H)−インドロンまたは2−メチル−3−ニトロベンゼン酢酸のいずれかから出発する、異なる二工程による4−アミノアルキル−2(3H)−インドロンの製造を記載している。特に、欧州特許出願公開第0300614号公報(EP 0300614)および国際公開第91/16306号公報(WO 91/16306)に記載された、塩化アセチルおよび塩化鉄(III)の存在下でのニトロスチレン中間体の還元的環化を含むような方法は、特に関連性がある。本発明は、ロピニロールを製造するための新規な経路および新規な中間体を開示する。本発明は、所望の部分へと導く6工程で構成される。
【0004】
米国特許、すなわち米国特許第4,452,808号、第5,336,781号、第4,997,954号および第4,314,944号明細書(それぞれ、US 4,452,808、US 5,336,781、US 4,997,954およびUS 4,314,944)は、ロピニロールと呼ばれる分子を扱っている。本発明のためには、米国特許第4,452,808号および第4,314,944号明細書(US 4,452,808およびUS 4,314,944)は、より関連性がある。主として処置の方法という観点からロピニロールを扱う特許は、僅かでしかなく、そのため、本発明には直接関連しない。
【0005】
国際公開第91/16306号公報(WO 91/16306)および欧州特許出願公開第0300614号公報(EP 0300614)は、還元的環化という観点から関連性があり、以下、適切な個所で扱う。
【0006】
ロピニロールHClおよびその誘導体を製造する方法は、以前から記載されている。米国特許第4,452,808号明細書は、4−アミノアルキル−7−ヒドロキシ−2(3H)−インドロンまたは2−メチル−3−ニトロベンゼン酢酸のいずれかから出発する、異なる二工程による4−アミノアルキル−2(3H)−インドロンの製造を記載している。スキーム1に示すとおり、7−ヒドロキシル中間体(i)を、初めに、そのテトラゾロ誘導体(ii)に変換し、次いで水素化して、ロピニロールを得る。7−ヒドロキシル中間体(i)の製造は、p−メトキシフェネチルアミンから出発する一連の工程を追うことによって、米国特許第4,314,944号明細書に記載されている。米国特許第4,452,808号明細書に記載された第二の方法は、2−メチル−3−ニトロベンゼン酢酸から出発する一連の工程を追うことによって、ロピニロールの製造を許す。
【0007】
【化14】

【0008】
特に、欧州特許出願公開第0300614号公報および国際公開第91/16306号公報に記載された、塩化アセチルおよび塩化鉄(III)の存在下でのニトロスチレン中間体の還元的環化を含むこれらの方法は、本発明に関係する限りで、関連性がある。
【0009】
スキーム2は、欧州特許出願公開第0300614号公報に開示された経路を示す。欧州特許出願公開第0300614号公報は、ジ−n−プロピルアミン(iv)による4−[2−(ブロモエチル)]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(iii)の縮合によるロピニロールの製造を記載している。中間体(iii)は、2−(2−ブロモエチル)ベンズアルデヒドから出発する一連の工程を追うことによって製造される。主な欠点は、スキーム2に示されるように、HBrの損失による、脱離生成物の形成の可能性である。そのような反応は、所望の生成物の純度に影響しかねず、収率の様子に影響しかねない。
【0010】
【化15】

【0011】
国際公開第91/16306号公報に記載された方法は、最終生成物のロピニロールを得るための、イソクロマンから出発する数多くの工程、すなわち合計8の工程を含む、ロピニロールを製造する改良方法である。それは、式(V)の新規中間体とのジ−n−プロピルアミンの縮合を実施する経路を開示している。中間体(V)は、イソクロマンから出発する一連の工程によって製造される。この方法は、7以上の工程を含み、そのため更により長いものである。
【0012】
【化16】

【0013】
発明の要約
本方法は、2−(2’−ブロモエチル)ベンズアルデヒドと、フタルイミドカリウムのようなイミドのアルカリ金属塩とを縮合させて、フタルイミド誘導体を与える反応を含む。円滑な反応のために、適切な溶媒を用いる。フタルイミド誘導体は、改変されたヘンリー反応によってニトロスチレン誘導体に変換する。これは、クロロ−オキシインドール誘導体を得るロイヤー反応を実施するためになされる。このクロロ−オキシインドール誘導体の脱塩素処理によって、フタルイミドオキシインドール生成物が得られる。オキシインドールからのフタルイミド部分の除去は、アミノエチルオキシインドールの形成へと導く。アミノエチルオキシインドールの還元的アルキル化または直接アルキル化で構成される、N−アルキル化反応によって、ロピニロールが得られる。
【0014】
更に、治療有効量の4−[2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを含む医薬組成物も開示される。
【0015】
パーキンソン病または心血管障害を処置する方法であって、本方法によって製造された4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩を含む物質のプロダクト・バイ・プロセス組成物(ここで、この4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩は、本方法によって製造される)の治療有効量を患者に投与することを含む方法も、本発明の一部として認識される。
【0016】
発明の詳細な説明
ガブリエル合成は、当技術に周知であり、ハロゲン化アルキルをフタルイミドカリウムで処理して、中間体のN−アルキルフタルイミドを形成させ、次いで脱保護によって第一級アルキルアミンを得ることからなる。
【0017】
【化17】

【0018】
本発明では、ガブリエル合成を用いて、エチル側鎖の2位にアミノ基を導入する。本発明に開示された方法は、商業的に入手可能な2−(2’−ブロモエチル)ベンズアルデヒドからの、6合成工程でのロピニロールの製造を記載し、経済的である。
【0019】
本発明の新規な方法は、スキーム3に示したように描くことができる。
【0020】
【化18】

【0021】
スキーム3の工程Aは、2−(2’−ハロエチル)ベンズアルデヒドと、フタルイミドカリウムまたはマレイミドカリウムなどのイミドのアルカリ金属塩との間の縮合反応であって、溶媒を用いて、好ましくは双極性非プロトン性または低級脂肪族アルコールまたは芳香族炭化水素または低級脂肪族ケトンの群からの溶媒中で、0〜150℃にわたる温度にて、1〜12時間実施した後、水による希釈、次いで濾過または溶媒の蒸発によって、生成物を固体として直接単離する。この反応は、好ましくは、2−(2’−ブロモエチル)ベンズアルデヒド(II、X=Br)とフタルイミドカリウムとの間で、双極性非プロトン性溶媒、より好ましくはDMF中で、30〜60℃にわたる温度にて、5〜12時間実施した後、水中で反応体をクエンチし、次いで濾過することによって単離する。
【0022】
双極性非プロトン性溶媒は、当業者がそうであると認めるような溶媒を意味すると解される。非限定的な例は、DMSO、DMF、アセトンである。
【0023】
低級脂肪族アルコールは、分枝鎖アルコールも包含する、4個または4個未満の数の炭素原子で構成される分子式を有するアルコールを意味すると解される。非限定的な例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコールである。芳香族炭化水素は、不飽和の特性、および閉環構造を有するものを意味すると解される。非限定的な例は、ベンゼン、トルエン、キシレンである。低級脂肪族ケトンは、炭素原子の総数が3〜6であるケトンを意味すると解される。非限定的な例は、アセトン、エチルメチルケトンである。
【0024】
本方法によって製造される化合物(III)は、好ましくは化合物(VIII)である:
【0025】
【化19】

【0026】
工程Bは、改変されたヘンリー反応である。これらの改変は、段階の最後に最終生成物が達成されるよう、特定の目的に適合させようとするものである。それは、等モル濃度のニトロメタン、酢酸、n−ブチルアミン、および1〜2モル濃度過剰なオルトギ酸トリメチルを、低級脂肪族アルコール、好ましくはメタノール中の(III)の懸濁液に順次仕込む工程、30〜80℃の温度範囲で15〜30時間、反応が完了するまで撹拌する工程を含む。反応の完了は、慣用のTLCの手法によって判定することができる。生成物(IV)は、濾過によって単離する。
【0027】
本方法によって製造される化合物(IV)は、好ましくは化合物(IX)である:
【0028】
【化20】

【0029】
工程Cは、(IV)の還元的環化であって、塩化バレリル、塩化アセチル、塩化ピバリルなどの低級脂肪酸塩化物、好ましくは塩化バレリルを、0〜5℃のジクロロメタン中のニトロスチレン(IV)および3〜5モル当量の塩化第二鉄の撹拌溶液に仕込む工程、ならびに−10〜30℃、好ましくは0〜10℃の範囲内の反応を、反応が完了するまで撹拌する工程を含む。反応は、混合物を水に加えることによってクエンチし、生成物(V)を、濾過によって単離する。
【0030】
本方法によって製造される化合物(V)は、好ましくは化合物(X)である:
【0031】
【化21】

【0032】
工程Dは、脱塩素処理工程であって、ラネーニッケル、担持されたパラジウムまたは白金などの水素化触媒、好ましくはパラジウム担持炭;5〜10モル過剰の次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン水和物、ギ酸塩のような水素供与体、好ましくは次亜リン酸ナトリウムの水溶液を、酢酸エチル中の(V)の溶液に順次仕込む工程、および反応が完了するまで約2〜4時間還流にて撹拌する工程を含む。この懸濁液を濾過し、ケーキを熱酢酸中で抽出し、触媒を濾去し、酢酸の濾液を水中でクエンチする。生成物(VI)は、濾過によって単離する。
【0033】
工程Dは、もう一つの方法でも実施することができる。この代替経路は、ラネーニッケル、または担持白金もしくはパラジウムなどの還元触媒の存在下、あるいは大気圧から10kgにわたる、好ましくは5kgの水素圧下で、室温から100℃、好ましくは60℃の温度にて、DMF中の(V)の溶液を水素化する工程、ならびに触媒の濾過およびDMFの蒸発によって生成物(VI)を単離する工程で構成される。
【0034】
本方法Dによって製造される化合物(VI)は、好ましくは(XI)である:
【0035】
【化22】

【0036】
工程Eは、脱保護工程であって、(VI)のアルコール溶液、好ましくはメタノール溶液を、1〜4モル当量のヒドラジン水和物とともに、沈澱が完了するまで、30〜60℃で撹拌する工程を含む。得られた懸濁液を、1〜10モル過剰な、塩酸、水性酸、臭化水素酸、酢酸のような酸、好ましくは酢酸で処理し、物体を30〜80℃で0.5〜2時間消化する。反応体を、濾過し、濾液の溶媒を蒸発させ、残渣を、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチルのような溶媒中でスラリー化する。生成物(VII)は、濾過によって、酸付加塩として単離する。
【0037】
工程E、すなわち脱保護は、アルコール溶液、好ましくはメタノール溶液を、2〜2.5モル当量のアルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、好ましくは水酸化ナトリウムの存在下で、反応が完了するまで還流させる工程で構成することもできる。溶媒を蒸発させ、生成物を、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタンのような適切な溶媒、好ましくは酢酸エチル中に抽出する。
【0038】
工程F、すなわちN−アルキル化反応は、還元的アルキル化または直接アルキル化、好ましくは還元的アルキル化を含む。還元的アルキル化は、4−(2−アミノエチル)−2(3H)−インドロン(VII)またはその酸付加塩と、アルコールまたは酢酸もしくは酢酸エチル、好ましくはメタノール中のピロピオンアルデヒドとの、水素化物還元剤または触媒による還元のいずれか、好ましくは接触水素化を用いた反応によって生成されたシッフ塩基の還元を含む。接触水素化は、ラネーニッケル、支持体を伴うかまたは伴わない貴金属触媒、好ましくは支持体を伴う貴金属触媒、最も好ましくは「活性炭」に担持されたパラジウムのような触媒を用いて、大気圧から約690kPa(100psi)にわたる水素圧下、室温から100℃にわたる温度にて、反応が完了するまで、5〜10時間実施する。次いで、触媒を濾過し、溶媒を蒸発させ、残渣を低級脂肪族アルコール、好ましくはイソプロピルアルコールとともに摩砕して、(I)を得る。
【0039】
直接アルキル化は、ハロゲン化アルキル(この場合は、ハロゲン化プロピル)またはスルホン酸アルキルエステル、好ましくは臭化プロピル;アルカリ金属水酸化物もしくは炭酸塩もしくは重炭酸塩またはトリアルキルアミンもしくはピリジンなどの塩基、好ましくはアルカリ金属炭酸塩、最も好ましくは炭酸ナトリウムを、水、双極性非プロトン性溶媒、低級脂肪族アルコール、ケトン、芳香族炭化水素、エステルまたはエーテルなどの適切な溶媒、好ましくは双極性非プロトン性溶媒、最も好ましくはDMF中の(VII)またはその酸付加塩の溶液に順次仕込む工程、0〜100℃の範囲内の温度で、反応が完了するまで、約2〜24時間撹拌する工程を含む。反応は、混合物を水に加えることによってクエンチし、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出し、場合により、抽出物を無機酸または有機酸、好ましくは塩酸で処理することによって、その酸付加塩に変換する。
【実施例1】
【0040】
2−(2’−フタルイミドエチル)ベンズアルデヒド(VIII)の製造
DMSO(2.5L)中のフタルイミドカリウム(1.3kg、7mol)の110度の撹拌懸濁液に、2−(2’−ブロモエチル)ベンズアルデヒド(1kg、4.69mol)を滴下漏斗を通じて0.5時間にわたって加えた。次いで、反応混合物を、110℃で2.5時間撹拌し、室温まで冷却してから、水(7.5L)中で0.5時間にわたって加えた。クリーム色の固体を吸引濾過し、中性になるまで水洗し、70℃で一晩乾燥した。これによって、標記化合物1.07kg(81.6%)を黄白色の固体の形態で得た。
【0041】
【表1】

【実施例2】
【0042】
2−(2’−フタルイミドエチル)β−ニトロスチレン(IX)の製造
メタノール(9.0L)中の2−(2’−フタルイミドエチル)ベンズアルデヒド(900g、3.22mol)の撹拌懸濁液に、ニトロメタン(521ml、9.65mol)、酢酸(349ml、6.1mol)、n−ブチルアミン(486ml、4.72mol)およびオルトギ酸トリメチル(499ml、3mol)を室温で加えた。次いで、反応混合物を、30〜40℃で30時間撹拌した。帯緑色の固体を、吸引濾過し、氷冷メタノール(700ml)で洗浄し、50℃で8時間乾燥した。これによって、標記化合物649g(62.5%)をクリーム色の固体の形態で得た。
【0043】
【表2】

【実施例3】
【0044】
4−(2’−フタルイミドエチル)−3−クロロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(X)の製造
ジクロロメタン(500.0ml)中の2−(2’−フタルイミドエチル)β−ニトロスチレン(25g、0.0776mol)の撹拌溶液に、塩化第二鉄(62.5g、0.385mol)を室温で加えた。反応体を3℃に冷却し、塩化バレリル(25ml、0.206mol)を仕込んだ。次いで、反応混合物を、2〜5℃で24時間撹拌してから、氷冷水(750ml)に加えた。急冷した反応混合物を、5℃で1時間撹拌してから、濾過した。黄色の固体を吸引にて単離し、冷水(2L)で洗浄し、50℃で14時間乾燥した。これによって、標記化合物14g(53%)をクリーム色の固体の形態で得た。
【0045】
【表3】

【実施例4】
【0046】
4−(2’−フタルイミドエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(XI)の製造
4−(2’−フタルイミドエチル)−3−クロロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(47g、0.138mol)および10%Pd/C(50重量%の水を含有、8g)を、酢酸エチル(940ml)中で撹拌し、還流まで加熱した。この混合物に、水(168ml)中の次亜リン酸ナトリウム(47g、0.443mol)の水溶液を20分にわたって加えた。反応混合物を、更に90分間加熱してから、室温に冷却した。反応混合物を、ワットマン濾紙越しに濾過し、ケーキを酢酸(425ml)に加えた。酢酸懸濁液を、110℃で1時間加熱してから、セライト層越しに熱間濾過した。木炭層を、熱酢酸(100ml)で洗浄した。濾液を、室温に冷却してから、氷冷水(5L)に加えた。急冷した物体を10℃で15分間撹拌した。形成された黄色の固体を、吸引にて回収し、中性になるまで洗浄し、70℃で14時間乾燥した。これによって、標記化合物36g(85%)を黄色の固体として得た。
【0047】
【表4】

【実施例5】
【0048】
4−(2’−フタルイミドエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(XI)の製造
10L入り圧力反応器に、乾燥Pd/C(30g)、4−(2’−フタルイミドエチル)−3−クロロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(300g、0.882mol)、トリエチルアミン(133g、0.952mol)、およびジメチルホルムアミド(6L)を仕込んだ。反応混合物を、30〜50℃および約483〜約518kPa(70〜75psi)で2時間水素化した。触媒を50℃で濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に水(1.5L)を加え、スラリーを30℃で30分間撹拌した。固体を、吸引濾過し、水洗し、オーブン内で60〜70℃で乾燥して、標記化合物(225g、83.3%)を黄色の固体として得た。
【実施例6】
【0049】
塩酸4−(2’−アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(VII)の製造
メタノール(800ml)中の4−(2’−フタルイミドエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(35g、0.114mol)の撹拌懸濁液に、メタノール(75ml)中のヒドラジン水和物(18ml、0.369mol)の溶液を加えた。反応混合物を、40℃に暖め、40〜42℃に17時間保った。次いで、酢酸(87ml)を仕込んでから、60℃に加熱した。反応混合物を、60℃に更に30分間撹拌してから、0℃に冷却した。沈澱を濾過し、ケーキをメタノール(100ml)で洗浄した。濾液を濃縮乾固し、残渣に、イソプロピルアルコール(250ml)および酢酸エチル(150ml)を加えた。固体懸濁物を、0〜5℃で更に2時間撹拌した。帯褐色固体を、吸引濾過し、酢酸エチル(100ml)で洗浄し、60℃で5時間乾燥した。これによって、生成物の材料18g(70%)を褐色固体として得た。固体を、HClエタノール溶液(100ml)とともに5〜10℃で2時間撹拌し、吸引濾過し、冷(5℃)エタノールで洗浄した。淡帯褐色の黄色の固体を単離し、次いでオーブン内で60℃で乾燥した。これによって、標記化合物(12g)を得た(75%)。
【0050】
【表5】

【実施例7】
【0051】
塩酸4−[2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル]−1,3−ジヒドロ−2−インドール−2−オン(I)の製造
メタノール(200ml)中の塩酸4−(2’−アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(5g、0.0235mol)、プロピオンアルデヒド(5ml、0.0687mol)、および10%Pd/C(水で50%湿潤)1gの混合物を、5kg/cm2の水素圧下、室温で24時間水素化した。混合物を、セライト層越しに濾過し、この層をメタノール(20ml)で洗浄した。濾液を、濃縮乾固し、5〜10℃のエタノール(40ml)中でスラリー化した。クリーム色の固体を、吸引にて回収し、エタノール(20ml)で洗浄し、乾燥した。収率:黄白色固体として2.86g(41%)。純度:90%。
【実施例8】
【0052】
水(25ml)中の塩酸4−[2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル]−1,3−ジヒドロ−2−インドール−2−オン(I)(2.86g、0.084mol)の清澄な撹拌溶液に、0〜5℃の水酸化ナトリウム溶液(水2.5ml中2.5g)を30分間にわたって加え、温度を25〜35℃に上げ、MDCで抽出した(2x25ml)。このMDC抽出物に、無水酢酸(0.625ml、0.006mol)を25〜35℃の温度で滴加し、同じ温度で3時間保った。MDC層を、2x12.5mlの重炭酸ナトリウム溶液、次いで12.5mlの水で洗浄した。MDC層を、減圧下のロータリーエバポレーターにて45〜50℃で、溶媒の完全な除去まで蒸発させた。得られた残渣に、イソプロピルアルコール12.5mlを加え、25〜35℃で10〜15分間撹拌して、清澄溶液を得た。反応混合物を、更に5〜10℃まで冷却し、この冷溶液に、塩酸エタノール溶液9mlを滴加して、標記化合物の塩酸塩の沈澱を得て、更に乾燥した。収率:帯青黄白色の固体として2.12g(85%)。純度:95%。MS−m/z=261。
【0053】
【表6】

【0054】
慣用の方法によって製造された、4−[2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩の治療有効量を含有する医薬組成物も、本発明の範囲として考慮される。
【0055】
パーキンソン病または心血管障害を処置する方法であって、4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩を含む物質のプロダクト・バイ・プロセス組成物の治療有効量を患者に投与する工程を含む方法[ここで、該4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩は、本方法によって製造される]も、本発明の範囲として考慮される。
【0056】
クレームを包含する本明細書中、語句「医薬組成物」は、それぞれパーキンソン病または心血管障害に適する少なくとも1種類の医薬組成物を意味する(または1種類以上のそれを包含し得る)ことに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
【化1】


で示される化合物、およびその酸付加塩、特に塩酸塩を製造する方法であって、
(A)式(II):
【化2】


[式中、Xは離脱基である]
で示される化合物を、溶媒中でイミドのいずれのアルカリ金属塩とも縮合させて、式(III):
【化3】


で示される化合物を形成する工程;
(B)(III)を、RCOOH、R1NH2およびHC(OR23の存在下、極性溶媒中でニトロメタンで処理して、式(IV):
【化4】


[式中、Rは、C1〜C4アルキル、好ましくはメチルであり、R1は、C1〜C4アルキル、好ましくはブチルであり、R2は、C1〜C4アルキル、好ましくはメチルである]
で示される化合物を形成する工程;
(C)(IV)を、ジクロロメタン中でFeCl3およびR3COClで処理して、式(V):
【化5】


[式中、R3は、C1〜C4アルキル、好ましくはブチルである]
で示される化合物を形成する工程;
(D)化合物(V)を、還元触媒の存在下、酢酸エチル中で水素供与体で処理して、式(VI):
【化6】


で示される化合物を形成する工程;
(E)化合物(VI)を、ヒドラジン水和物またはアルカリ金属水酸化物、次いで塩酸などのハロ酸水溶液で処理して、式(VII):
【化7】


で示される化合物を形成する工程;
(F)化合物(VII)を、還元性条件下、還元触媒の存在下、低級脂肪族アルコールなどの溶媒中でプロピオンアルデヒドで処理して、式(I):
【化8】


の化合物を形成する工程;
(G)(I)をその塩酸塩に変換する工程;
(H)(I)の塩酸塩を精製する工程
を含む方法。
【請求項2】
Xがハロ、最も好ましくはブロモである、請求項1A記載の方法。
【請求項3】
用いられる溶媒が、双極性非プロトン性もしくは低級脂肪族アルコールもしくは芳香族炭化水素もしくは脂肪族ケトンまたはそれらの混合物である、請求項1A記載の方法。
【請求項4】
用いられる溶媒がジメチルスルホキシドである、請求項1A記載の方法。
【請求項5】
用いられる溶媒がジメチルホルムアミドである、請求項1A記載の方法。
【請求項6】
用いられる溶媒がアセトンである、請求項1A記載の方法。
【請求項7】
溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびアセトンの混合物である、請求項1A記載の方法。
【請求項8】
溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールである、請求項1A記載の方法。
【請求項9】
場合により用いられる溶媒がトルエンまたはベンゼンである、請求項1A記載の方法。
【請求項10】
場合により用いられる溶媒がアセトンまたはエチルメチルケトンである、請求項1A記載の方法。
【請求項11】
溶媒が低級脂肪族アルコールから選ばれる、請求項1B記載の方法。
【請求項12】
溶媒がメタノールもしくはエタノールまたはそれらの混合物から選ばれる、請求項1Bおよび11記載の方法。
【請求項13】
選ばれる溶媒が、クロロホルムもしくは四塩化炭素もしくはジクロロメタンまたはそれらの混合物である、請求項1C記載の方法。
【請求項14】
水素供与体が、水素、または次亜リン酸ナトリウム、またはギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウムもしくはギ酸のようなギ酸塩、またはヒドラジン一水和物のいずれかである、請求項1D記載の方法。
【請求項15】
触媒が5〜20%パラジウム担持炭である、請求項1D記載の方法。
【請求項16】
パラジウム担持炭についてのより好ましい百分率が10%である、請求項1Dおよび15記載の方法。
【請求項17】
還元触媒がジメチルホルムアミドである、請求項1D記載の方法。
【請求項18】
触媒が5〜20%パラジウム担持炭である、請求項1D記載の方法。
【請求項19】
パラジウム担持炭についてのより好ましい百分率が10%である、請求項1Dおよび18記載の方法。
【請求項20】
用いられる溶媒がメタノールである、請求項1F記載の方法。
【請求項21】
用いられる溶媒がエタノールである、請求項1F記載の方法。
【請求項22】
触媒が5〜20%パラジウム担持炭である、請求項1F記載の方法。
【請求項23】
パラジウム担持炭についてのより好ましい百分率が10%である、請求項1Fおよび22記載の方法。
【請求項24】
還元性条件が0〜10kg/cm2の範囲内の圧力下の水素を含む、請求項1F記載の方法。
【請求項25】
より好ましい水素圧条件が4〜6kg/cm2である、請求項1F記載の方法。
【請求項26】
用いられるイミドのアルカリ金属塩がフタルイミドカリウムである、請求項1A記載の方法。
【請求項27】
化合物(VIII):
【化9】


を製造するための、請求項1〜26に記載の方法、および化合物(VIII)。
【請求項28】
化合物(IX):
【化10】


を製造するための、請求項1〜26に記載の方法、および化合物(IX)。
【請求項29】
化合物(X):
【化11】


を製造するための、請求項1〜26に記載の方法、および化合物(X)。
【請求項30】
化合物(XI):
【化12】


を製造するための、請求項1〜26に記載の方法、および化合物(XI)。
【請求項31】
構造式(I):
【化13】


で示される化合物、およびその酸付加塩、特に塩酸塩を製造する方法であって、下記の実施例1〜8を参照して本明細書に実質的に記載されている方法。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法によって製造された4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩の治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項33】
パーキンソン病または心血管障害を処置する方法であって、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法によって製造された4−(2−ジプロピルアミノエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンまたはその塩を含む物質のプロダクト・バイ・プロセス組成物の治療有効量を患者に投与する工程を含む方法。
【請求項34】
パーキンソン病または心血管障害を処置する方法であって、請求項32記載の医薬組成物を用いる方法。

【公表番号】特表2007−518793(P2007−518793A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550494(P2006−550494)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000214
【国際公開番号】WO2005/067922
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506249303)ユーエスブイ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】USV LIMITED
【Fターム(参考)】