説明

塵芥収集車

【課題】 塵芥積込装置を備え脱着自在に荷台に搭載されるコンテナに塵芥の積込を行う塵芥収集車において、コンテナの交換に伴って塵芥積込装置が変更された場合に、塵芥積込装置の種類に応じて圧油の供給量を調整して円滑な塵芥積込作業を実現させる。
【解決手段】 エンジンを制御する車両側電気制御回路61を車両に設け、塵芥積込装置を制御するコンテナ側電気制御回路をコンテナに設け、車両側電気制御回路61とコンテナ側電気制御回路との接続方式に塵芥積込装置の種類に応じて差異を設ける。第1のコンテナ側電気制御回路62Aを車両側電気制御回路61に接続した場合にエンジンを第1の回転数まで増速させるA型用増速装置70と、第2のコンテナ側電気制御回路62Bを車両側電気制御回路61に接続した場合にエンジンを第2の回転数まで増速させるB型用増速装置80と、を車両側電気制御回路61に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関し、特に、車両の荷台に脱着式のコンテナを搭載して塵芥を収集する塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の荷台に脱着式のコンテナを搭載し、このコンテナに設けられた塵芥積込装置や塵芥排出装置を用いて塵芥の積み込みや排出を行う塵芥収集車が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。かかる塵芥収集車の車両の荷台とコンテナとの間には、油圧ホースや信号用ケーブルが配されている。そして、車両に設けられた油圧ポンプから油圧ホースを介してコンテナに圧油を供給するとともに、車両に設けられた制御装置から信号用ケーブルを介してコンテナに制御信号を伝送することにより、塵芥積込装置等を駆動制御している。
【0003】
前記した脱着式のコンテナに設けられた塵芥積込装置等は、油圧モータや油圧シリンダによって駆動されるが、これら油圧モータや油圧シリンダに圧油を供給する油圧ポンプは、PTO装置によって取り出された走行用エンジンの動力の一部により駆動される。この際、エンジンのアイドリング回転では充分な油圧力が得られないため、エンジンの回転を制御するエンジン増速装置を用いてエンジンの回転数を上げることにより、塵芥の積込や排出に必要な油圧力を得るようにしている。
【特許文献1】特開2000−335705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテナの塵芥積込装置等を駆動するための圧油の量は、塵芥積込装置等の種類によって異なるのが一般的である。このため、一の塵芥積込装置(例えば回転板式塵芥積込装置)を有するコンテナを、他の塵芥積込装置(例えば圧縮板式塵芥積込装置)を有するコンテナに交換した場合には、塵芥積込装置の駆動に必要な油量の差に起因して塵芥積込装置の動作速度が低下し、塵芥積込作業に遅れが生じてしまう。
【0005】
本発明の課題は、脱着式のコンテナに設けられた塵芥積込装置を用いて塵芥の積込を行う塵芥収集車において、コンテナの交換に伴って塵芥積込装置の種類が変更された場合に、塵芥積込装置をその種類に応じて適切に駆動制御することにより、円滑な塵芥積込作業を実現させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、塵芥積込装置を有し荷台に着脱自在に搭載されて塵芥を収容するコンテナと、走行用エンジンと、前記走行用エンジンの動力の一部を取り出すPTO装置と、を備え、前記PTO装置によって取り出した前記走行用エンジンの動力の一部を用いて前記塵芥積込装置を駆動して塵芥を積み込む塵芥収集車において、前記荷台に搭載された前記コンテナの前記塵芥積込装置の種類に応じて、前記走行用エンジンの塵芥積込時の回転数を変化させるエンジン回転数調整手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、エンジン回転数調整手段により、荷台に搭載されたコンテナの塵芥積込装置の種類に応じて走行用エンジンの塵芥積込時の回転数を調整することができる。従って、一の塵芥積込装置を有するコンテナを他の塵芥積込装置を有するコンテナに交換して、塵芥積込装置の駆動に必要な油量の差が生じたような場合においても、塵芥積込装置の動作速度の低下を未然に防止することができる。この結果、円滑な塵芥積込作業を実現させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塵芥収集車において、前記エンジン回転数調整手段は、前記走行用エンジンの回転数を増減させるためのエンジン制御レバーと、前記荷台に搭載されたコンテナの塵芥積込装置の種類に対応した操作量だけ前記エンジン制御レバーを操作するレバー操作手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の塵芥収集車において、前記レバー操作手段は、第1の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に、前記エンジン制御レバーを第1の操作量だけ操作する第1操作手段と、第2の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に、前記エンジン制御レバーを第2の操作量だけ操作する第2操作手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、第1の塵芥積込装置を有するコンテナが荷台に搭載された場合に、第1操作手段でエンジン制御レバーを第1の操作量だけ操作することができる一方、第2の塵芥積込装置を有するコンテナが荷台に搭載された場合に、第2操作手段でエンジン制御レバーを第2の操作量だけ操作することができる。従って、2種類の塵芥積込装置(第1及び第2の塵芥積込装置)の各々に対応させて、走行用エンジンの回転数を2段階に調整することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の塵芥収集車において、前記第1操作手段は、第1の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に回動する第1回動レバーと、前記第1回動レバーと前記エンジン制御レバーとを連結する第1連結手段と、を有し、前記第1回動レバーの回動により前記エンジン制御レバーを第1の操作量だけ操作し、前記第2操作手段は、第2の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に回動する第2回動レバーと、前記第2回動レバーと前記エンジン制御レバーとを連結する第2連結手段と、を有し、前記第2回動レバーの回動により前記エンジン制御レバーを第2の操作量だけ操作することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の塵芥収集車において、前記第2連結手段は、前記第1回動レバーと前記第2回動レバーとを連結する回動レバー連結手段と、前記第1連結手段と、から構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の塵芥収集車において、前記エンジン制御レバーは、前記第1操作手段の前記第1連結手段が取り付けられる第1部分と、前記第2操作手段の前記第2連結手段が取り付けられる第2部分と、を有する二股構造とされてなることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、エンジン制御レバーは、第1操作手段の第1連結手段が取り付けられる第1部分と、第2操作手段の第2連結手段が取り付けられる第2部分と、を有する二股構造とされている。従って、第1回動レバーの回動量と、第2回動レバーの回動量と、を独立させてエンジン制御レバーに伝達することができるので、回転数の調整を確実に行うことができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項3から6の何れか一項に記載の塵芥収集車において、前記第1操作手段と前記第2操作手段とが別々に駆動されることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明によれば、第1操作手段と第2操作手段とが別々に駆動されるので、エンジン制御レバーの誤操作を未然に防止することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか一項に記載の塵芥収集車において、前記エンジン回転数調整手段は、前記荷台に搭載されたコンテナの塵芥排出装置の種類に応じて前記走行用エンジンの回転数を調整することを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、エンジン回転数調整手段により、荷台に搭載されたコンテナの塵芥排出装置の種類に応じて走行用エンジンの回転数を調整することができる。従って、一の塵芥排出装置を有するコンテナを他の塵芥排出装置を有するコンテナに交換して、塵芥排出装置の駆動に必要な油量の差が生じたような場合においても、塵芥排出装置の動作速度の低下を未然に防止することができる。この結果、円滑な塵芥排出作業を実現させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エンジン回転数調整手段により、荷台に搭載されたコンテナの塵芥積込装置の種類に応じて走行用エンジンの回転数を調整することができるので、コンテナを交換した場合においても、塵芥積込装置の動作速度の低下を未然に防止することができ、円滑な塵芥積込作業を実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて詳細に説明する。
【0021】
なお、以下の各実施の形態に係る塵芥収集車は、図1に示すように、その荷台10に塵芥収集用のコンテナ100を脱着自在に搭載し、このコンテナ100に内蔵された塵芥積込装置を用いてコンテナ100内に塵芥を積み込むものである。塵芥収集車にコンテナ100を搭載した場合には、図2に示した油圧カプラ110で車両側の油圧ホースとコンテナ100の油圧ホースとを接続するとともに、図3及び図4に示したコネクタ120で車両側の電気制御回路とコンテナ100側の電気制御回路とを電気的に接続する。コンテナ100の種類としては、回転板式塵芥積込装置を有するコンテナ(以下「A型コンテナ」という)や、圧縮板式塵芥積込装置を有するコンテナ(以下「B型コンテナ」という)が挙げられる。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る塵芥収集車の構成について説明する。
【0023】
本実施の形態に係る塵芥収集車は、図1〜図4に示すように、車両に設けられた荷台10、走行用の動力を発生させる(図示されていない)走行用エンジン、走行用エンジンの回転数を増減させるためのエンジン制御レバー20、走行用エンジンの動力の一部を取り出すPTO装置30、PTO装置30により取り出された動力により駆動される油圧ポンプ40、油圧ポンプ40から供給される圧油により駆動されて油圧機器を駆動制御する車両側油圧制御回路51及びコンテナ側油圧制御回路52、各油圧制御回路の動作を制御する車両側電気制御回路61及びコンテナ側電気制御回路62A、62B、荷台10に搭載されるコンテナ100の塵芥積込装置の種類に応じて走行用エンジンの回転数を2段階に増加させるA型用増速装置70及びB型用増速装置80、等を備えて構成されている。
【0024】
荷台10には、図1に示すように、枠状の荷役フレーム11が固定されており、この荷役フレーム11の上にコンテナ100が脱着自在に搭載される。荷役フレーム11には、搭載されたコンテナ100を後方に移動させて地上に降ろしたり、荷役フレーム11の後端を支点としてコンテナ100をダンプ(傾動)させたりするコンテナ移動装置が設けられている。コンテナ移動装置は、図1に示すように、荷役フレーム11の後端に連結されたダンプアーム12、リフトアーム13、リフトアーム13を上下に往復回動させるリフトシリンダ14、スイングアーム15、スイングアーム15をリフトアーム13に対して往復回動させるスイングシリンダ16等を備えて構成されている。
【0025】
走行用エンジンは、所定の燃料(ガソリンや軽油)で駆動するものである。走行用エンジンで発生した動力は、図示されていないクラッチ、トランスミッション及びディファレンシャルギア等を介して、駆動用のタイヤに伝達されることとなる。図4に示したエンジン制御レバー20を操作することにより、走行用エンジンの回転数を増減させることができる。
【0026】
PTO装置30は、図示されていないトランスミッションに接続されており、走行用エンジンの動力の一部を取り出し、取り出した動力で図2に示すように油圧ポンプ40を駆動する。油圧ポンプ40は、図2に示すように、PTO装置30からの動力で駆動されることにより、車両側油圧制御回路51及びコンテナ側油圧制御回路52に圧油を供給する。
【0027】
車両側油圧制御回路51は車両(車体)に設けられており、図2に示すように油圧ポンプ40から供給される圧油で駆動されることにより、荷台10に設けられたコンテナ移動装置等を駆動する。コンテナ側油圧制御回路52はコンテナ100に設けられており、図2に示すように油圧ポンプ40から供給される圧油で駆動されることにより、コンテナ100の塵芥積込装置を駆動する油圧機器(油圧モータや油圧シリンダ)を駆動する。車両側油圧制御回路51とコンテナ側油圧制御回路52とは、図2に示すように、油圧ホース及び油圧カプラ110を介して接続されている。
【0028】
車両側電気制御回路61は車両(車体)に設けられており、図3に示すように、バッテリ63から供給される電力で駆動されることにより、車両側油圧制御回路51の動作を制御する。車両側電気制御回路61で車両側油圧制御回路51の動作を制御することにより、荷台10に設けられたコンテナ移動装置の動作が制御される。コンテナ側電気制御回路62A、62Bはコンテナ100に設けられており、図3に示すように、バッテリ63から供給される電力で駆動されることにより、コンテナ側油圧制御回路52の動作を制御する。コンテナ側電気制御回路62A、62Bでコンテナ側油圧制御回路52の動作を制御することにより、コンテナ100の塵芥積込装置を駆動する油圧機器(油圧モータや油圧シリンダ)の動作が制御されることとなる。
【0029】
車両側電気制御回路61とコンテナ側電気制御回路62A、62Bとは、図3に示すように、コネクタ120を介して接続されている。荷台10に回転板式塵芥積込装置を有するコンテナ100(A型コンテナ)が搭載された場合には、図3(a)に示すように、A型用のコンテナ側電気制御回路62Aがコネクタ120を介して車両側電気制御回路61に接続される。一方、荷台10に圧縮板式塵芥積込装置を有するコンテナ100(B型コンテナ)が搭載された場合には、図3(b)に示すように、B型用のコンテナ側電気制御回路62Bがコネクタ120を介して車両側電気制御回路61に接続される。
【0030】
本実施の形態においては、A型用のコンテナ側電気制御回路62Aと、B型用のコンテナ側電気制御回路62Bと、において、車両側電気制御回路61との接続方式に差異を設けている。そして、車両側電気制御回路61にA型用のコンテナ側電気制御回路62Aが接続された場合には、車両側電気制御回路61に接続されたA型用増速装置70が励磁され、車両側電気制御回路61にB型用のコンテナ側電気制御回路62Bが接続された場合には、車両側電気制御回路61に接続されたB型用増速装置80が励磁されるようになっている。
【0031】
なお、A型用増速装置70を励磁するための励磁信号は、車両側電気制御回路61又はA型用のコンテナ側電気制御回路62Aによって生成されてA型用増速装置70に伝送される。また、B型用増速装置80を励磁するための励磁信号は、車両側電気制御回路61又はB型用のコンテナ側電気制御回路62Bによって生成されてB型用増速装置80に伝送される。
【0032】
A型用増速装置70は、エンジン制御レバー20を第1の操作量だけ操作するものであり、本発明における第1操作手段である。A型用増速装置70は、図3(a)及び図4に示すように、車両側電気制御回路61にA型用のコンテナ側電気制御回路62Aが接続された場合に励磁されて所定の回動軸71を中心に回動する第1回動レバー72と、第1回動レバー72とエンジン制御レバー20とを連結する長尺ケーブル73と、から構成されている。
【0033】
長尺ケーブル73は、本発明における第1連結手段であり、図4(a)に示すように、その一方の端部がエンジン制御レバー20にピン結合され、その他方の端部が第1回動レバー72の端部にピン結合されている。図3(a)に示すように車両側電気制御回路61にA型用のコンテナ側電気制御回路62Aが接続されると、図4(b)に示すように第1回動レバー72が回動軸71を中心に所定角度(θA°)回動するため、長尺ケーブル73を介してエンジン制御レバー20が第1の操作量だけ操作されることとなる。
【0034】
B型用増速装置80は、エンジン制御レバー20を第2の操作量だけ操作するものであり、本発明における第2操作手段である。B型用増速装置80は、図3(b)及び図4に示すように、車両側電気制御回路61にB型用のコンテナ側電気制御回路62Bが接続された場合に励磁されて所定の回動軸81を中心に回動する第2回動レバー82と、第2回動レバー82と第1回動レバー72とを連結する短尺ケーブル83と、長尺ケーブル73と、から構成されている。
【0035】
短尺ケーブル83は、本発明における回動レバー連結手段であり、長尺ケーブル73とともに本発明における第2連結手段を構成する。短尺ケーブル83は、図4(a)に示すように、その一方の端部が長尺ケーブル73のエンジン制御レバー20と反対側の端部にピン結合され、その他方の端部が第2回動レバー82の端部にピン結合されている。図3(b)に示すように車両側電気制御回路61にB型用のコンテナ側電気制御回路62Bが接続されると、図4(c)に示すように第2回動レバー82が回動軸81を中心に所定角度(θB°)回動するため、短尺ケーブル83及び長尺ケーブル73を介してエンジン制御レバー20が第2の操作量だけ操作されることとなる。
【0036】
A型用増速装置70及びB型用増速装置80は、荷台10に搭載されたコンテナの塵芥積込装置の種類に対応した操作量だけエンジン制御レバー20を操作するものであり、本発明におけるレバー操作手段を構成する。また、A型用増速装置70及びB型用増速装置80と、エンジン制御レバー20と、によって本発明におけるエンジン回転数調整手段が構成される。
【0037】
次に、本実施の形態に係る塵芥収集車の荷台10に2種類のコンテナ100(A型コンテナ及びB型コンテナ)を搭載した場合における制御動作について説明する。
【0038】
<A型コンテナを搭載した場合における制御動作>
まず、塵芥収集車の荷台10に、回転板式塵芥積込装置を有するコンテナ100(A型コンテナ)を搭載した場合における制御動作について説明する。塵芥収集車の荷台10にコンテナ100(A型コンテナ)を搭載して、図3(a)に示すように車両側電気制御回路61とA型用のコンテナ側電気制御回路62Aとをコネクタ120で接続すると、A型用増速装置70が励磁されて、図4(b)に示すように第1回動レバー72が回動軸71を中心に時計回りにθA°回動する。このような第1回動レバー72の回動により、長尺ケーブル73が図4(b)の紙面右側へ引っ張られ、長尺ケーブル73にピン結合されたエンジン制御レバー20が時計回りに第1の回動角度だけ回動する。すなわち、塵芥収集車にコンテナ100(A型コンテナ)が搭載されると、A型用増速装置70が自動的に励磁されて、エンジン制御レバー20が第1の操作量(第1の回動角度)だけ自動的に操作されることとなる。
【0039】
<B型コンテナを搭載した場合における制御動作>
次に、塵芥収集車の荷台10に圧縮板式塵芥積込装置を有するコンテナ100(B型コンテナ)を搭載した場合における制御動作について説明する。塵芥収集車にコンテナ100(B型コンテナ)を搭載して、図3(b)に示すように車両側電気制御回路61とB型用のコンテナ側電気制御回路62とをコネクタ120で接続すると、B型用増速装置80が励磁されて、図4(c)に示すように第2回動レバー82が回動軸81を中心に時計回りにθB°回動する。このような第2回動レバー82の回動により、短尺ケーブル83及び長尺ケーブル73が図4(c)の紙面右側へ引っ張られ、長尺ケーブル73にピン結合されたエンジン制御レバー20が時計回りに第2の回動角度だけ回動する。すなわち、塵芥収集車にコンテナ100(B型コンテナ)が搭載されると、B型用増速装置80が自動的に励磁されて、エンジン制御レバー20が第2の操作量(第2の回動角度)だけ自動的に操作されることとなる。
【0040】
以上説明した実施の形態に係る塵芥収集車においては、エンジン回転数調整手段(A型用増速装置70、B型用増速装置80及びエンジン制御レバー20)により、荷台10に搭載されたコンテナ100の塵芥積込装置の種類に応じて走行用エンジンの回転数を調整することができる。すなわち、回転板式の塵芥積込装置を有するコンテナ100(A型コンテナ)が荷台10に搭載された場合に、A型用増速装置70でエンジン制御レバー20を第1の操作量だけ操作することができる一方、圧縮板式の塵芥積込装置を有するコンテナ100(B型コンテナ)が荷台10に搭載された場合に、B型用増速装置80でエンジン制御レバー20を第2の操作量だけ操作することができ、2種類の塵芥積込装置の各々に対応させて、走行用エンジンの回転数を2段階に調整させることができる。
【0041】
従って、回転板式塵芥積込装置を有するコンテナ100(A型コンテナ)を、圧縮板式塵芥積込装置を有するコンテナ100(B型コンテナ)に交換して、塵芥積込装置の駆動に必要な油量の差が生じたような場合においても、塵芥積込装置の動作速度の低下を未然に防止することができる。この結果、円滑な塵芥積込作業を実現させることができる。
【0042】
また、以上説明した実施の形態に係る塵芥収集車においては、一のコンテナ100(A型コンテナ)が荷台10に搭載された場合に、車両側電気制御回路61にA型用のコンテナ側電気制御回路62Aが接続されてA型用増速装置70が励磁される一方、他のコンテナ100(B型コンテナ)が荷台10に搭載された場合に、車両側電気制御回路61にB型用のコンテナ側電気制御回路62Bが接続されてB型用増速装置80が励磁される。すなわち、A型用増速装置70とB型用増速装置80とが別々に駆動されるので、エンジン制御レバー20の誤操作を未然に防止することができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る塵芥収集車の構成について、図5を用いて説明する。本実施の形態に係る塵芥収集車は、第1の実施の形態に係る塵芥収集車のエンジン回転数調整手段の構成を変更したものであり、その他の構成については塵芥収集車の構成と実質的に同一である。このため、変更した構成についてのみ説明することとし、第1の実施の形態と重複する構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付すこととする。
【0044】
本実施の形態においては、二股構造を有するエンジン制御レバー20Aを採用するとともに、A型用増速装置70Aの第1回動レバー72と、B型用増速装置80Aの第2回動レバー82と、を並列に配置している。本実施の形態におけるエンジン制御レバー20Aは、図5に示すように、A型用増速装置70Aの第1回動レバー72に第1長尺ケーブル73Aを介して連結される第1部分21と、B型用増速装置80の第2回動レバー82に第2長尺ケーブル83Aを介して連結される第2部分22と、を有している。
【0045】
第1長尺ケーブル73Aは、本発明における第1連結手段であり、図5(a)に示すように、その一方の端部がエンジン制御レバー20Aの第1部分21にピン結合され、その他方の端部が第1回動レバー72の端部にピン結合されている。車両側電気制御回路61にA型用のコンテナ側電気制御回路62Aが接続されると、図5(a)に示すように第1回動レバー72が回動軸71を中心に所定角度(θA°)回動して、第1長尺ケーブル73Aを介してエンジン制御レバー20Aが第1の操作量だけ操作されることとなる。
【0046】
第2長尺ケーブル83Aは、本発明における第2連結手段であり、図5(b)に示すように、その一方の端部がエンジン制御レバー20Aの第2部分22にピン結合され、その他方の端部が第2回動レバー82の端部にピン結合されている。車両側電気制御回路61にB型用のコンテナ側電気制御回路62Bが接続されると、図5(b)に示すように第2回動レバー82が回動軸81を中心に所定角度(θB°)回動して、第2長尺ケーブル83Aを介してエンジン制御レバー20Aが第2の操作量だけ操作されることとなる。
【0047】
以上説明した実施の形態に係る塵芥収集車においては、エンジン制御レバー20Aが、A型用増速装置70Aの第1回動レバー72に第1長尺ケーブル73Aを介して連結される第1部分21と、B型用増速装置80Aの第2回動レバー82に第2長尺ケーブル83Aを介して連結される第2部分22と、を有する二股構造とされている。従って、A型用増速装置70Aによるエンジン制御レバー20Aの操作と、B型用増速装置80Aによるエンジン制御レバー20Aの操作と、を確実に行うことができる。
【0048】
なお、以上の各実施の形態においては、エンジン回転数調整手段として、2種類の塵芥積込装置の各々に対応させて走行用エンジンの回転数を2段階で増加させるような構成(A型用増速装置、B型用増速装置及びエンジン制御レバー)を採用した例を示したが、3種類以上の塵芥積込装置の各々に対応させて走行用エンジンの回転数を3段階以上で増加させるような構成を採用することもできる。
【0049】
また、以上の各実施の形態においては、エンジン回転数調整手段を、エンジン制御レバーと、これを特定の操作量だけ自動的に操作するレバー操作手段(A型用増速装置及びB型用増速装置)と、から構成した例を示したが、エンジン回転数調整手段の構成は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、走行用エンジンの回転数を2段階以上で増加させるための複数のエンジン制御用スイッチを設け、荷台に搭載されたコンテナの塵芥積込装置の種類に応じてエンジン制御用スイッチを選択操作して走行用エンジンの回転数を調整するようなスイッチ操作手段を設けてもよい。
【0050】
また、以上の各実施の形態においては、コンテナ内に塵芥の積み込みを行う「塵芥積込装置」の種類が変更された場合に、「塵芥積込装置」の種類に応じて走行用エンジンの回転数を調整する手段(エンジン回転数調整手段)を設けた例を示したが、コンテナ内の塵芥の排出を行う「塵芥排出装置」の種類が変更された場合に、「塵芥排出装置」の種類に応じて走行用エンジンの回転数を調整する手段をさらに設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塵芥収集車の側面図である。
【図2】図1に示した塵芥収集車の油圧制御回路等を説明するための説明図である。
【図3】(a)は、図1に示した塵芥収集車にA型コンテナを搭載した場合における電気制御回路の接続状態を説明するための説明図であり、(b)は、図1に示した塵芥収集車にB型コンテナを搭載した場合における電気制御回路の接続状態を説明するための説明図である。
【図4】図1に示した塵芥収集車のエンジン回転数調整手段を説明するためのものであり、(a)は非作動状態を示す説明図、(b)はA型用増速装置のみが作動した状態を示す説明図、(c)はB型用増速装置のみが作動した状態を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る塵芥収集車のエンジン回転数調整手段を説明するためのものであり、(a)はA型用増速装置のみが作動した状態を示す説明図、(b)はB型用増速装置のみが作動した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10 荷台
20 エンジン制御レバー(エンジン回転数調整手段の一部)
20A エンジン制御レバー(エンジン回転数調整手段の一部)
21 第1部分
22 第2部分
30 PTO装置
70 A型用増速装置(第1操作手段、レバー操作手段の一部、エンジン回転数調整手段の一部)
70A A型用増速装置(第1操作手段、レバー操作手段の一部、エンジン回転数調整手段の一部)
72 第1回動レバー
73 長尺ケーブル(第1連結手段、第2連結手段の一部)
73A 第1長尺ケーブル(第1連結手段)
80 B型用増速装置(第2操作手段、レバー操作手段の一部、エンジン回転数調整手段の一部)
80A B型用増速装置(第2操作手段、レバー操作手段の一部、エンジン回転数調整手段の一部)
82 第2回動レバー
83 短尺ケーブル(回動レバー連結手段、第2連結手段の一部)
83A 第2長尺ケーブル(第2連結手段)
100 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥積込装置を有し荷台に着脱自在に搭載されて塵芥を収容するコンテナと、走行用エンジンと、前記走行用エンジンの動力の一部を取り出すPTO装置と、を備え、前記PTO装置によって取り出した前記走行用エンジンの動力の一部を用いて前記塵芥積込装置を駆動して塵芥を積み込む塵芥収集車において、
前記荷台に搭載された前記コンテナの前記塵芥積込装置の種類に応じて、前記走行用エンジンの塵芥積込時の回転数を変化させるエンジン回転数調整手段を備えることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記エンジン回転数調整手段は、
前記走行用エンジンの回転数を増減させるためのエンジン制御レバーと、
前記荷台に搭載されたコンテナの塵芥積込装置の種類に対応した操作量だけ前記エンジン制御レバーを操作するレバー操作手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記レバー操作手段は、
第1の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に、前記エンジン制御レバーを第1の操作量だけ操作する第1操作手段と、
第2の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に、前記エンジン制御レバーを第2の操作量だけ操作する第2操作手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記第1操作手段は、
第1の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に回動する第1回動レバーと、
前記第1回動レバーと前記エンジン制御レバーとを連結する第1連結手段と、
を有し、前記第1回動レバーの回動により前記エンジン制御レバーを第1の操作量だけ操作し、
前記第2操作手段は、
第2の塵芥積込装置を有するコンテナが前記荷台に搭載された場合に回動する第2回動レバーと、
前記第2回動レバーと前記エンジン制御レバーとを連結する第2連結手段と、
を有し、前記第2回動レバーの回動により前記エンジン制御レバーを第2の操作量だけ操作することを特徴とする請求項3に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記第2連結手段は、
前記第1回動レバーと前記第2回動レバーとを連結する回動レバー連結手段と、
前記第1連結手段と、
から構成されることを特徴とする請求項4に記載の塵芥収集車。
【請求項6】
前記エンジン制御レバーは、
前記第1操作手段の前記第1連結手段が取り付けられる第1部分と、
前記第2操作手段の前記第2連結手段が取り付けられる第2部分と、
を有する二股構造とされてなることを特徴とする請求項4に記載の塵芥収集車。
【請求項7】
前記第1操作手段と前記第2操作手段とが別々に駆動されることを特徴とする請求項3から6の何れか一項に記載の塵芥収集車。
【請求項8】
前記エンジン回転数調整手段は、
前記荷台に搭載されたコンテナの塵芥排出装置の種類に応じて前記走行用エンジンの回転数を調整することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−9643(P2006−9643A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186242(P2004−186242)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】