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増加された鉄の吸収のための組成物及び投与形態
説明

増加された鉄の吸収のための組成物及び投与形態

鉄及び、脂肪酸のような輸送部分からなる錯体が説明される。錯体は胃腸管、特に下部胃腸管中の高められた吸収を有する。錯体並びに錯体を使用して調製される組成物及び投与形態は10〜24時間にわたる鉄の身体による吸収を提供し、それにより鉄の真の1日1回の投与形態を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄の送達のための組成物及び投与形態に関する。本発明は更に特に、錯体が胃腸管中、そしてより特には結腸中で増加した鉄の吸収を提供する鉄及び輸送部分の錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
元素の鉄及び種々の鉄化合物は、貧血の治療的処置における造血剤として、そして鉄の身体の最少1日推奨許容量を確実に満たすための栄養サプリメントとして従来使用されてきた。鉄は典型的にはそれらに対する最少推奨1日許容量が設立されている他のミネラル及び/又はビタミンと組み合わせて投与される。鉄のサプリメントは概括的に鉄の単一形態、例えば、鉄(II)塩(すなわち2価又は第1鉄を含有する塩)、鉄(III)塩(すなわち3価又は第2鉄を含有する塩)又は鉄(0)粉末(例えば、典型的には気体のペンタカルボニル鉄Fe(CO)を加熱することにより製造されるカルボニル鉄)を包含する。
【0003】
特定の鉄塩は特定の他の塩及び金属の鉄の形態より胃液中でより可溶性であるので、多数の先行技術の鉄の栄養サプリメントは、典型的には硫酸第1鉄のような鉄塩である鉄の急速放出投与形態を含有する。しかし、急速放出投与形態は血中の鉄の過剰に高い最大濃度(Cmax)及び短いTmax又はサプリメントの投与とCmaxの到達の間の時間的ずれ、を引き起こす可能性がある。先行技術の鉄調製物の高いCmaxは不快な、有害な又は致死的ですらある副作用を誘起する可能性がある(非特許文献1参照)。例えば、胸焼け、嘔気、上部G.I.の不快、便秘及び下痢が一般的である。副作用は投与量に関連するように見える。例えば、プラセボで処置された患者13%の発生率に比較して、3等分された1日200mgの鉄の投与量で処置された個体の25%が望ましくない症候を報告し、鉄投与量が400mgに増加されると望ましくない副作用は40%に増加した(非特許文献2参照)。少なくとも一部は副作用のために、患者において貧血は十分に処置されていない。
【0004】
経口鉄治療に伴うもう1つの問題はその限定された生体利用能である。例えば、経口投与される35mgの総1日投与量の40%が吸収され、そして195mgの経口1日投与量の18%のみが吸収される(非特許文献3参照)。投与量増加に伴う吸収の減少は鉄欠乏性貧血を処置することを困難にさせ、吸収を最大にするために毎日数回の少量投与が必要である。
【0005】
化合物及び鉄の塩の吸収は下部G.I.管に比較して、その大きい表面積のために、上部G.I.管でずっと大きい。下部G.I.管又は結腸は上部G.I.管に存在する微絨毛が存在しない。微絨毛の存在は薬剤吸収のための表面積を著しく増加し、そして上部G.I.管は結腸よりも480倍大きい表面積を有する。上部G.I.管及び下部G.I.管の細胞の特徴の相異もまた、下部G.I.管中の分子の低い吸収に寄与する。図1はG.I.管の上皮組織を横断する化合物の輸送の2種の一般的な経路を表わす。10a、10b、10cにより表わされる個々の上皮細胞は小腸及び大腸に沿って細胞バリヤーを形成する。個々の細胞はジャンクション12a、12bのような水路又は密接な(tight)ジャンクションにより分離されている。上皮細胞を横断する輸送は細胞を横断する経路及び傍細胞経路のいずれか又は双方により起る。矢印14により図1に示した輸送の細胞横断経路は受動的拡散又は担体に媒介される輸送により上皮細胞の壁及び本体を横切る化合物の移動を伴う。輸送の傍細胞経路は矢印16により示すように個々の細胞間の緊密なジャンクションをとおる分子の移動を伴う。傍細胞輸送は一部は、それがG.I.管の長さ全体にわたり起るために、特異性が少ないが、ずっと大きい全体的能力を有する。しかし、密接なジャンクションは、密接なジャンクションの有効な「密接性」において近位から遠位への増加する勾配を伴って、G.I.管の長さに沿って異なる。従って、上部G.I.管内の十二指腸は上部G.I.管内の回腸より「漏洩性」であり、それは下部G.I.管中の結腸より「漏洩性」である(非特許文献4参照)。
【0006】
上部G.I.管内の薬剤の典型的な滞留時間は約4〜6時間であるので、低い結腸の吸収を有する薬剤は経口摂取後4〜6時間のみの期間中に身体により吸収される。しばしば、投与された薬剤がその日の間中で比較的一定の濃度で患者の血流中に存在することが医学的に所望される。最少の結腸吸収を示す伝統的な薬剤調製物でこれを達成するためには、患者は1日3〜4回この薬剤を摂取することが必要と思われる。患者に対するこの不都合を伴う実際の経験により、これが最適な処置のプロトコールではないことが示唆される。従って、一日中にわたる長期間の吸収を伴うこのような薬剤の1日1回の投与が達成されることが望ましい。
【0007】
一定の投与処置を提供するために、通常の製薬学的開発により種々の徐放性薬剤システムが示唆されてきた。このようなシステムは投与後の長時間にわたり薬剤のそれらの有効荷重(payload)を放出することにより機能する。しかし、徐放性システムのこれらの通常の形態は最少の結腸の吸収を示す薬剤の場合には有効でない。薬剤は上部G.I.管で吸収されるのみで、上部G.I.管における薬剤の滞留時間が4〜6時間のみであるので、提唱された徐放性投与形態が上部G.I.中で投与形態の滞留期間後にその有効荷重を放出するかも知れないことは、身体が上部G.I.滞留の4〜6時間を過ぎて徐放性薬剤を吸収し続けるであろうことを意味しない。その代わりに、投与形態が下部G.I.管に侵入した後に徐放性投与形態により放出される薬剤は概括的に吸収されず、その代わり身体から排出される。
【0008】
従って、ヒトの鉄欠乏を処置する必要及びとりわけ、与えられた鉄の投与量に対して達成される生体利用能を最大にするために上部及び下部消化管双方中の鉄の吸収を許す鉄投与形態を提供する必要が残る。特に下部G.I.管の鉄吸収を高める手段は減少した副作用を伴う、1日1回の鉄処置システムを許すことにより当該技術分野における重大な進歩を提供すると考えられる。
【非特許文献1】Crosby,Arch.Intern.Med.,138:766−767(1978)
【非特許文献2】Hillman,R.S.,Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapies,第53章、ページ1311、第9版、McGraw Hill,1996
【非特許文献3】Hillman,R.S.,Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapies,第53章、ページ1323、第9版、McGraw Hill,1996
【非特許文献4】Knauf,H.等、Klin.Wochenschr.,60(19):1191−1200(1982)
【発明の開示】
【0009】
従って、1つのアスペクトにおいて、本発明は、鉄及び輸送部分が錯体を形成する場合の、鉄及び輸送部分を含んでなる物質を提供する。
【0010】
1つの態様において、輸送部分はnが4〜16であるCH(C2n)COOHの形態の脂肪酸である。好ましい態様において、脂肪酸はカプリン酸又はラウリン酸である。
【0011】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は本質的に鉄及び輸送部分、並びに製薬学的に許容できるビヒクルからなる錯体を含んでなる組成物を包含し、ここで錯体は下部胃腸管中の硫酸第1鉄の吸収より少なくとも2倍高い、下部胃腸管内の吸収を有する。
【0012】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は前記の組成物を含んでなる投与形態を提供する。
【0013】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は前記の錯体を含んでなる投与形態を提供する。
【0014】
1つの態様において、投与形態は浸透性投与形態である。投与形態は(i)押して操作する層;(ii)鉄−輸送部分の錯体を含んでなる薬剤層;(iii)押して操作する層及び薬剤層の周囲に提供された半透性の壁;並びに(iv)出口、からなることができる。あるいはまた、投与形態は(i)鉄−輸送部分の錯体、浸透活性剤及び浸透性ポリマーを含んでなる浸透性調製物の周囲に提供された半透性の壁並びに(ii)出口、からなることができる。
【0015】
1つの態様において、投与形態は20〜400mgの間の総合の鉄の1日投与量を提供する。
【0016】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は鉄を含んでなる投与形態における改良物を提供する。改良物は鉄及び輸送部分からなる錯体を包含する投与形態を含んでなる。
【0017】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は前記の組成物又は投与形態を投与する工程を含んでなる、被験者の鉄欠乏を処置するための方法を包含する。1つの態様において、組成物又は投与形態は経口投与される。
【0018】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は鉄−輸送部分の錯体を調製する方法を提供する。方法は鉄を提供す工程;輸送部分を提供する工程;水の誘電定数より小さい誘電定数を有する溶媒の存在下で鉄及び輸送部分を合わせる工程(combining);(それにより合わせる工程が鉄及び輸送部分の間の錯体の形成をもたらす):を包含する。
【0019】
1つの態様において、鉄及び輸送部分は水の誘電定数より少なくとも2倍小さい誘電定数を有する溶媒中で合わされる。代表的溶媒には、メタノール、エタノール、アセトン、ベンゼン、メチレンクロリド及び四塩化炭素が包含される。
【0020】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は本質的に鉄及び輸送部分からなる錯体を提供する工程及び錯体を患者に提供する工程を含んでなる、鉄の胃腸管吸収を改善する方法を提供する。
【0021】
1つの態様において、改善された吸収は下部胃腸管中の改善された吸収を含んでなる。
【0022】
もう1つの態様において、改善された吸収は上部胃腸管中の改善された吸収を含んでなる。
【0023】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は、鉄及び輸送部分を含んでなる物質を包含し、そこで該物質が(i)鉄を提供する工程;(ii)輸送部分を提供する工程;(iii)水の誘電定数より小さい誘電定数を有する溶媒の存在下で鉄及び輸送部分を合わせる(ここで合わせる工程が鉄及び輸送部分間の錯体を形成する)工程を含んでなる工程により調製される。
【0024】
本発明のこれらのアスペクト並びに他のアスペクト、特徴物及び利点は本発明及びそのアスペクトの以下の詳細な開示から更に明白になるであろう。
【0025】
以下の図面は実測に対して描かれず、本発明の種々の態様を具体的に示すために提示されている。
【0026】
本発明は本明細書に提供される以下の定義、図面及び代表的説明を参照することによりもっともよく理解される。
【0027】
I.定義
「組成物」により、場合により更なる有効な製薬学的成分と組み合わせてそして/又は場合により製薬学的に許容できる担体、賦形剤、懸濁剤、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、希釈剤、潤滑剤、安定剤、抗酸化剤、浸透剤、着色剤、可塑化剤等のような不活性成分と組み合わせた1又は複数の鉄−輸送部分の錯体を意味する。
【0028】
「錯体」により、緊密な−イオン対結合により結合された薬剤部分及び輸送部分を含んでなる物質を意味する。薬剤−部分−輸送部分の錯体は以下の関係:
【0029】
【数1】

【0030】
[式中、D、分配係数(distribution coefficient)(見かけの分配係数(partition coefficient))は設定されたpH(典型的には約pH=5.0〜約pH=7.0)そして摂氏25度における水(脱イオン水)中の同一物質(species)に対するオクタノール中の薬剤部分及び輸送部分のすべての物質の平衡濃度の比率である。LogD(錯体)は本発明の説に従って調製された薬剤部分及び輸送部分の錯体に対して決定される。LogD(緩いイオン対)は脱イオン水中の薬剤部分及び輸送部分の物理的混合物に対して決定される。例えば、推定される錯体(摂氏25度の脱イオン水中)のオクタノール/水のみかけの分配係数(D=Cオクタノール/C)を決定し、そして摂氏25度の脱イオン水中の輸送部分と薬剤部分の1:1(モル/モル)の物理的混合物に比較することができる。推定の錯体(D)に対するLogDと、決定される1:1(モル/モル)の物理的混合物、D‖Tに対するLogD間の差が0.15以上である場合は、推定の錯体は本発明に従う錯体であることが確証される。好ましい態様において、ΔLogD≧0.20であり、そしてより好ましくは、ΔLogD≧0.25であり、より好ましくは更に、ΔLogD≧0.35である]
を特徴とする、オクタノール/水分配動態の相異により薬剤部分及び輸送部分の緩いイオン対から区別することができる。
【0031】
「投与形態」により、治療を必要とする患者に対する投与に適した媒質、担体、ビヒクル又は装置中の製薬学的組成物を意味する。
【0032】
「薬剤」又は「薬剤部分」により、薬剤、化合物又は物質あるいは被験者に投与される時に幾らかの薬理学的効果を提供するような薬剤、化合物又は物質の残基(residue)を意味する。錯体形成に使用のためには、薬剤は酸性、塩基性又は双イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は双イオン性残余構造要素を含んでなる。
【0033】
「脂肪酸」により、炭化水素鎖が飽和されている(x=2n、例えば、パルミチン酸、C1531COOH)又は不飽和(x=2n−2、例えば、オレイン酸、CH16
30COOH)のいずれかである一般式CH(C)COOHの有機酸の群のいずれかを意味する。
【0034】
「腸」又は「胃腸(G.I.)管」は、小腸(十二指腸、空腸及び回腸)並びに大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸及び直腸)からなる、胃の下方開口部から肛門まで延伸する消化管の部分を意味する。
【0035】
用語「鉄」はあらゆるその酸化的状態のそして任意の塩と組み合わせた鉄(Fe)を意図される。「第1鉄(ferrous)」は+2電荷をもつ鉄を表わす(当該技術分野でFe2+、Fe++、鉄(II)とも表わす)。「第2鉄(ferric)」は+3電荷をもつ鉄を表わす(当該技術分野ではFe3+、Fe+++,鉄(III)とも表わす)。代表的第1鉄塩及び第2鉄塩にはそれらに限定はされないが、硫酸第1鉄及び第2鉄、フマル酸第1鉄及び第2鉄、コハク酸第1鉄及び第2鉄、グルコン酸第1鉄及び第2鉄、等が包含される。
【0036】
「緩いイオン対」により、生理学的pH及び水性環境において、緩いイオン対の環境内に存在する可能性がある他の緩く対を形成した又は遊離イオンと容易に互換性であるイオン対を意味する。緩いイオン対はアイソトープ標識及びNMR又は質量分析法を使用して、生理学的pH及び水性環境において、もう1つのイオンと、緩いイオン対の1員の互換性に注目することにより実験的に見いだすことができる。緩いイオン対はまた、逆相HPLCを使用して生理学的pH及び水性環境中でイオン対の分離に注目することにより実験的に見いだすことができる。緩いイオン対はまた、「物理的混合物」とも呼ばれ、媒質中でイオン対を一緒に物理的に混合することにより形成される。
【0037】
「下部胃腸管」又は「下部G.I.管」により、大腸を意味する。
【0038】
「患者」により、治療的介入の必要な動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。
【0039】
「緊密なイオン対」により、生理学的pH及び水性環境において緊密なイオン対の環境中に存在する可能性がある他の緩い対のイオン又は遊離イオンとは容易には互換性でないイオンの対を意味する。緊密なイオン対はアイソトープ標識及びNMR又は質量分析法を使用して、生理学的pH及び水性環境においてもう1つのイオンと、緊密なイオン対の1員の互換性の不在に注目することにより実験的に見いだすことができる。緊密なイオン対はまた、逆相HPLCを使用して生理学的pH及び水性環境中でイオン対の分離の欠乏に注目することにより実験的に見いだすことができる。
「輸送部分」により、輸送部分が非錯体形成薬剤に比較すると上皮組織を横切る薬剤の輸送を改善するために働く、薬剤と錯体を形成することができる化合物又はそれを形成した化合物の残基、を意味する。輸送部分は疎水性部分及び酸性、塩基性又は双イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は双イオン性残基構造要素を含んでなる。好ましい態様において、疎水性部分は炭化水素鎖を含んでなる。1つの態様において、塩基性構造要素又は塩基性残基構造要素のpKaは約7.0より大きく、好ましくは、約8.0より大きい。
【0040】
「製薬学的組成物」により、治療を必要とする患者に対する投与に適した組成物を意味する。
【0041】
「構造的要素」により、(i)より大きい分子の一部であり、(ii)優れた化学的官能性を有する化学基を意味する。例えば、化合物上の酸性基又は塩基性基は構造的要素である。
【0042】
「物質」により、特定の特徴を有する化学的実在物を意味する。
【0043】
「残余構造的要素」により、もう1つの化合物、化学基、イオン、原子等との相互作用又は反応により修飾される構造的要素を意味する。例えば、カルボキシルの構造的要素(COOH)はナトリウムと相互反応して、ナトリウム−カルボキシレート塩を形成し、ここでCOO−が残基構造的要素である。
【0044】
「上部胃腸管」又は「上部G.I.管」により、胃及び小腸を包含する胃腸管の部分を意味する。
【0045】
II.鉄の錯体形成及び特徴付け
前記のように、鉄欠乏はヒトにおける栄養性貧血の一般的な原因である。鉄はミエログロビン、ヘム酵素及び金属フラビン蛋白酵素の必須成分である。鉄欠乏は酸素の送達に対する貧血の効果と関係なく筋肉の代謝に影響を与えることができる(Hillman,R.S.,Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapies,第53章、ページ1311、第9版、McGraw Hill,1996)。鉄の低い吸収及び鉄の増加する投与量からもたらされる副作用が患者に優しい方法で鉄欠乏を処置することを困難にさせる。
【0046】
従って、1つのアスペクトにおいて、本発明は、2種の物質が下部G.I.管内の化合物の増加した吸収を許す方法で一緒に錯体形成された、鉄及び輸送部分からなる化合物を提供する。化合物は鉄の1日1回投与のための組成物及び投与形態の調製を許す。鉄−輸送部分の錯体は図2Aに示した概括的合成反応のスキームに従って調製される。簡単に言えば、図に示した概括的第1鉄塩Fe+2−2のような鉄塩の形態の鉄が図中でTと表わされた輸送部分と合わされる。代表的輸送部分は前記に挙げられ、脂肪酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、フマル酸及びサリチル酸が包含される。以下に考察されるように、2種の物質を水より小さい誘電定数を有する有機溶媒の存在下で接触させて、物質が表示Fe(T)−により図2A中に表わされるような緊密なイオン対により結合されている鉄−輸送部分の錯体を形成する。錯体中の物質は共有結合されない;非共有結合により提供される利点は以下に考察される。
【0047】
図2Bは鉄−輸送部分の錯体の形成に対する、より特定の合成反応のスキームを表わす。このスキームにおいて、輸送部分Tはカルボキシル基(COO)を有する物質として表わされている。カルボキシル−含有輸送部分、T−COOは水より小さい誘電定数を有する有機溶媒中で混合されて、Fe+[(T−COO)]−と図中で表わされる緊密なイオン対により結合された鉄及び輸送部分の錯体を形成する。
【0048】
実施例1は代表的な鉄−輸送部分の錯体、ラウリン酸第1鉄の調製を説明する。簡単に言えば、そして図2Cに示されるように、ラウリン酸ナトリウムのような輸送部分の有機溶媒中溶液を調製する。有機溶媒中の、硫酸第1鉄のような鉄−含有溶液を調製する。鉄含有溶液を輸送部分含有溶液に添加して、錯体中の物質が非共有結合の緊密なイオン対結合により結合された、第1鉄−ラウリン酸塩の錯体を形成する。
【0049】
実施例1において、代表的輸送部分としてラウリン酸を使用して錯体を調製した。ラウリン酸は単に代表例であり、そして方法は脂肪酸以外の物質及び任意の炭素鎖長の脂肪酸にも等しく適用することができることは理解されるであろう。とりわけ、本発明は、脂肪酸が4〜20個の炭素原子、より好ましくは6〜18個の炭素原子そして更により好ましくは8〜18個の炭素原子を有する、種々の脂肪酸又は脂肪酸の塩との鉄の錯体形成を想定する。脂肪酸又はそれらの塩は飽和でも不飽和でもよい。錯体の調製における使用に想定される代表的飽和脂肪酸にはブタンサン(酪酸、4C);ペンタン酸(バレリン酸、5
C);ヘキサン酸(カプロン酸、6C);オクタン酸(カプリル酸、8C);ノナン酸(ペラルゴン酸,9C);デカン酸(カプリン酸、10C);ドデカン酸(ラウリン酸,12C);テトラデカン酸(ミリスチン酸,14C);ヘキサデカン酸(パルミチン酸、16C);ヘプタデカン酸(マルガリン酸、17C)及びオクタデカン酸(ステアリン酸,18C)が包含され、ここで組織名の次の括弧内に、慣用名及び脂肪酸中の炭素原子数が続く。不飽和脂肪酸にはすべて18個の炭素原子を有するオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸が包含される。リノール酸及びリノレン酸は多不飽和である。
【0050】
硫酸アルキル又は硫酸アルキルの塩との鉄の錯体形成も想定され、そこで硫酸アルキルは飽和でも不飽和でもよい。代表的硫酸アルキル又はそれらの塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム等)は4〜20個の炭素原子、より好ましくは6〜18そして更により好ましくは8〜18個の炭素原子を有する。ベンゼンスルホン酸、安息香酸、フマル酸及びサリチル酸又はこれらの酸の塩との鉄の錯体形成もまた、想定される。
【0051】
実施例1を続けて参照すると、第1鉄−ラウリン酸塩からなる錯体をメタノールから調製する。メタノールは単に代表的な溶媒であり、脂肪酸が可溶性である他の溶媒は適切である。例えば、脂肪酸はクロロホルム、ベンゼン、シクロヘキサン、エタノール(95%)、酢酸及びアセトン中に可溶性である。カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のこれらの溶媒中の溶解度(g/L)を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
1つの態様において、錯体の形成に使用される溶媒は水より小さい誘電定数、そして好ましくは、水の誘電定数より少なくとも2倍小さい、より好ましくは水の定数より少なくとも3倍小さい誘電定数を有する溶媒である。誘電定数は溶媒の極性の指標であり、代表的溶媒の誘電定数は表2に示される。
【0054】
【表2】

【0055】
溶媒の水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール及び酢酸は電気的陰性原子、典型的には酸素に結合された水素原子を有する極性のプロトン性溶媒である。溶媒のアセトン、酸素エチル、メチルエチルケトン及びアセトニトリルは双極性の非プロトン性溶媒であり、そして1つの態様において、鉄基剤の錯体を形成する際の使用に好ましい。双極性非プロトン性溶媒はOH結合を含有しないが典型的には炭素と、酸素又は窒素のいずれかの間の多重結合のお陰で大きな結合双極を有する。大部分の双極性の非プロトン性溶媒はC−O二重結合を含有する。表2に記載された双極性非プロトン性溶媒は水より少なくとも2倍小さい誘電定数を有する。
【0056】
機序の特定の理解により限定されることを望まないが、発明者は以下のように考える。緩いイオン対が極性溶媒環境内に入れられると、極性の溶媒の分子がイオン結合により占居された空間中に自身を挿入し、それにより結合されたイオンを分離させると推定される。遊離イオンに静電気的に結合された極性の溶媒分子を含んでなる溶媒和の殻が遊離イオンの周囲に形成されるかも知れない。次にこの溶媒和の殻が、遊離イオンがもう1つの遊離イオンと緩いイオン対のイオン結合以外のどんな結合をも形成することを妨げる。極性溶媒中に多数のタイプの対イオンが存在する状況において、任意の与えられる緩いイオン対は対イオンの競合に比較的感受性であるかも知れない。
【0057】
この効果は溶媒の誘電係数として表わされる極性が増加すると更に顕著である。クーロンの法則に基づくと、誘電係数(e)の溶媒中で距離(r)だけ分離された電荷(q1)及び(q2)をもつ2個のイオン間の力は:
【0058】
【数2】

【0059】
[ここでεは空間の誘電率の定数である]:である。方程式は溶液中の緩いイオン対の安定性に対する誘電定数(ε)の重要性を示す。高い誘電定数(ε=80)を有する水溶液中では、水分子がイオン結合を攻撃して相対する帯電イオンを分離すると、静電気の引き付け力が著しく減少する。
【0060】
従って、高い誘電定数の溶媒分子は一旦イオン結合の付近に存在すると、その結合を攻撃して、最終的にそれを破壊するであろう。次に未結合イオンは自由に溶媒中を動き回る。これらの特性が緩いイオン対を規定する。
【0061】
緊密なイオン対は緩いイオン対と異なって形成され、その結果、緩いイオン対と異なる特性を有する。緊密なイオン対は2個のイオン間の結合空間中の極性溶媒分子数を減少することにより形成される。これはイオンを堅く一緒に移動させ、そして緩いイオン対結合より著しく強力な結合をもたらすが、しかしまだイオン結合と考えられる。本明細書でより詳細に開示されたように、緊密なイオン対は、イオン間への極性溶媒の捕捉を減少するために水より極性の弱い溶媒を使用して得られる。
【0062】
緩いイオン対及び緊密なイオン対の更なる考察はD.Quintanar−Guerrero等、Pharm.Res.,14(2):119−127(1997)を参照されたい。
【0063】
緩いイオン対及び緊密なイオン対間の相異はまた、クロマトグラフィー法を使用しても認めことができる。逆相クロマトグラフィーを使用して、緩いイオン対は、緊密なイオン対を分離しないであろう条件下で容易に分離することができる。
【0064】
本発明に従う結合はまた、相互に対するカチオン及びアニオンの強度を選択することにより、更に強力にすることができる。例えば、溶媒が水である場合に、カチオン(塩基)及びアニオン(酸)を相互に更に強力に引き合うように選択することができる。より弱い結合が望まれる時は、より弱い引力を選択することができる。
【0065】
生物学的膜の部分は、このような膜を横切る分子の輸送を理解する目的のために脂質の2層として第一次近似物に模型化にすることができる。脂質の2層の部分を横切る輸送(能動的輸送物等に相反するものとして)は望ましくない分割(portioning)のためにイオンに対して好ましくない。種々の研究者がこのようなイオンの荷電の中和が膜横断輸送を促進することができることを提唱した。
【0066】
「イオン対」理論において、電荷を「埋封」させ、そして生成されるイオン対を脂質の2層中でより移動し易くさせるためにイオン性薬剤の部分が輸送部分の対イオンと対にさせる。このアプローチは、特に腸上皮を横切る経口投与された薬剤の吸収を高めることに関してかなりの注目及び研究をもたらした。
【0067】
イオン対の形成は多大の関心及び研究をもたらしたが、それは必ずしも多大の成功をもたらしたわけではなかった。例えば、2種の抗ウイルス化合物のイオン対は細胞間輸送に対するイオン対の効果により増加した吸収をもたらさず、むしろ単層の保全性に対する効果により増加した吸収をもたらすことが見いだされた(J.Van Gelder等、I
nt.J. of Pharmaceutics,186:127−136(1999)。著者は、インビボシステム中に認められる他のイオンによる競合が対イオンの有益な効果を取り除く可能性があるので、イオン対の形成は帯電親水性化合物の上皮内輸送を高めるための戦略として非常に有効ではないかも知れないと結論した。他の著者は、イオン対による吸収実験は必ずしも明確な機序を指摘しなかったことに注目した(D.Quintanar−guerrero等、Pharm.Res.14(2):119−127(1997)。
【0068】
発明者は予期しなかったことには、これらのイオン対吸収実験に伴う問題が、それらが緊密なイオン対でなく緩いイオン対を使用して実施した点であることを発見した。実際、当該技術分野で開示された多数のイオン対の吸収実験は緩いイオン対と緊密なイオン対間を明白に区別さえしていない。当業者は、緩いイオン対はイオン対を製造する開示された方法を実際に復習し、そしてこのような開示された製造方法が緊密なイオン対ではなく、緩いイオン対に関するものであることに注目することにより開示されていることを見分けなければならない。緩いイオン対は対イオン競合及び、緩いイオン対を結合するイオン結合の溶媒により仲介される(例えば、水により仲介される)分解に比較的感受性である。従って、イオン対の薬剤部分が腸上皮細胞膜壁に到達する時に、それは緩いイオン対中で輸送部分と結合しているか又は結合していないかもしれない。膜の壁の近位に存在するイオン対の機会はイオンを一緒に保持しているイオン結合ではなく、2個の個々のイオンの局所的濃度に、より左右されるかも知れない。2個の部分が腸上皮細胞膜の壁に近付いた時に結合されている2個の部分が存在しない場合、非錯体形成薬剤部分の吸収速度は非錯体形成輸送部分により影響を受けないと考えられる。従って、緩いイオン対は薬剤部分単独の投与に比較すると吸収に対してごく限定された影響を有すると考えられる。
【0069】
それに対し、本発明の錯体は水のような極性溶媒の存在下でより安定な結合を有する。従って、本発明者は、錯体を形成することにより、薬剤部分及び輸送部分が、それらの部分が膜の壁の近位にある時にイオン対として結合される可能性が多いであろうと判断した。この結合は部分の電荷が埋封されて、生成されるイオン対に細胞膜中を移動し易くさせる機会を増加すると考えられる。
【0070】
1つの態様において、錯体は薬剤部分と輸送部分間の緊密なイオン対結合を含んでなる。本明細書で考察されたように、緊密なイオン対結合は緩いイオン対結合より安定であり、従って、部分が膜の壁の近位にある時に薬剤部分と輸送部分がイオン対として結合される可能性を増加する。この結合は部分の電荷が埋封されて、緊密なイオン対結合の錯体に細胞膜中をより移動し易くさせる機会を増加すると考えられる。
【0071】
錯体は下部G.I.管だけでなく、概括的に細胞間輸送を全体的に改善することを意図されるので、本発明の錯体は下部G.I.管のみでなく、G.I.管全体の非錯体形成薬剤部分に対する吸収を改善することができることに注目しなければならない。例えば、薬剤部分が主として上部G.I.中に見いだされる能動的輸送物質に対する基質である場合は、薬剤部分から形成される錯体はまたその輸送物質の基質であることができる。従って、総輸送量は、本発明により提供される改善された細胞透過輸送に加えて、輸送物質により実施される輸送流量の総計であることができる。1つの態様において、本発明の錯体は上部G.I.管、下部G.I.管及び上部G.I.管と下部G.I.管双方における改善した吸収を提供する。
【0072】
鉄−輸送部分の錯体の下部G.I.管の吸収及び生体利用能は実施例2に記載の方法に従って決定される。簡単に言えば、錯体が結腸の結紮区間中に直接挿管投与される「結腸結紮モデル」として一般に知られる動物モデルを使用する。錯体の吸収は挿管後の時間の関数として動物から採取される血液サンプルから評価される。血中ヘマトクリットレベル
の上昇は吸収の指標である。第1鉄−ラウリン酸塩の錯体、第1鉄−カプリン酸塩の錯体、第1鉄−オレイン酸塩の錯体及び第1鉄−パルミチン酸塩の錯体の、挿管投与下のヘマトクリットレベルの変化に対する、硫酸第1鉄の挿管投与下のヘマトクリットレベルの変化の比較は、鉄が鉄−輸送部分の錯体の形態で提供される時に、少なくとも2倍、好ましくは4倍、より好ましくは8倍増加した吸収を示す。
【0073】
III.代表的投与形態及び使用方法
前記の錯体はG.I.管、そしてとりわけ下部G.I.管中の増加した吸収速度を提供する。次に、錯体及びその増加した結腸吸収を使用する投与形態及び処置方法が説明される。以下に説明される投与形態は単に例示的であることが認められるであろう。
【0074】
多様な投与形態が鉄−輸送部分の錯体を含む使用に適する。錯体により達成される増加した結腸吸収のために、少なくとも約15時間、より好ましくは少なくとも18時間、そして更により好ましくは少なくとも約20時間の治療効果を達成するために1日1回の投与を許す投与形態が提供される。投与形態は鉄の所望される投与量を送達する任意のデザインに従って形成し、そして調製することができる。典型的には、投与形態は経口投与可能で、通常の錠剤又はカプセルとしてのサイズ及び形態を有する。経口投与可能な投与形態は種々の異なるアプローチの1つに従って製造することができる。例えば、投与形態は、レザボア装置又はマトリックス装置のような拡散システムとして、カプセル封入溶解システム(例えば、「小型時間ピル」及びビーズを包含する)及びマトリックス溶解システムのような溶解システム並びにRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,pp/1682−1685(1990)中に記載のような拡散/溶解システムとイオン−交換樹脂システムの組み合わせ物、として製造することができる。
【0075】
鉄−輸送部分の錯体とともに使用のために適した投与形態の特定の例は浸透性投与形態である。浸透性投与形態は概括的に、少なくとも一部は、流体の自由な拡散を許すが、薬剤あるいは1又は複数の浸透剤が存在する場合はそれらの拡散は許さない半透性の壁により形成されたコンパートメント中に流体を吸収するための駆動力を形成するために浸透圧を利用する。浸透システムに対する利点は、それらの操作がpH依存性であり、従って、投与形態が胃腸管を通過して、著しく異なるpH値を有する異なる微細環境に遭遇する時でも、長時間にわたり浸透的に決定された速度で継続することである。このような投与形態の復習はSantus and Baker,“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature,”Journal of Controlled Release,35:1−21(1995)に認められる。浸透性投与形態はまた、それぞれそれらの全体が本明細書中に取り込まれている、以下の米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,995,631号、第4,008,719号、第4,111,202号、第4,160,020号、第4,327,725号、第4,519,801号、第4,578,075号、第4,681,583号、第5,019,397号及び第5,156,850号明細書に詳細に記載されている。
【0076】
当該技術分野で基本的浸透圧ポンプ投与形態と呼ばれる代表的投与形態が図3に示される。断面図に示した投与形態20はまた、基本的浸透圧ポンプとも呼ばれ、内部コンパートメント24を囲み、封入する半透性の壁22からなる。内部コンパートメントは、選択された賦形剤と混合された鉄−輸送部分の錯体28を含んでなる、本明細書で薬剤層26と呼ばれる単一成分層を含有する。賦形剤は、外部環境から壁22をとおして流体を引き付け、そして流体の吸収時に送達可能な鉄−輸送部分の錯体調製物を形成するための浸透作用の勾配を提供するようになっている。賦形剤は本明細書で薬剤担体30とも呼ばれる適当な懸濁剤、結合剤32、潤滑剤34及び、オスマジェント36とも呼ばれる浸透性活
性物質を包含することができる。これらの各成分の代表的物質は以下に提供される。
【0077】
浸透性投与形態の半透性の壁22は水及び生物学的流体のような外部流体の通過には透過性であるが、内部コンパートメント内の成分の通過には実質的に不透過性である。壁を形成するために有用な物質は投与形態の寿命期間中、生物学的流体中で本質的に非腐食性で、実質的に不溶性である。半透性の壁を形成するための代表的ポリマーには、セルロースエステル、セルロースエーテル及びセルロースエステル−エーテルのようなホモポリマー及びコポリマーが包含される。壁の流体透過性を調整するために流量調整物質を壁形成物質と混合することができる。例えば、水のような流体に対する透過性を著しく増加させる物質はしばしば、本質的に親水性であり、他方、水に対して著しい透過性減少をもたらすものは本質的に疎水性である。代表的流量調整物質には、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステル等が包含される。
【0078】
操作中、浸透性活性剤の存在により壁22を横切る浸透圧勾配が壁をとおして胃液を吸収させ、薬剤層を膨潤させ、そして内部コンパートメント内に送達可能な鉄−輸送部分の錯体調製物(例えば、溶液、懸濁液、スラーリ又は他の流動性組成物)の形成をもたらす。送達可能な鉄−輸送部分の錯体調製物は、流体が内部コンパートメント内に侵入し続けるので、出口38から放出される。薬剤調製物が投与形態から放出される時ですら、流体は内部コンパートメント内中に吸引され続け、それにより連続的放出を駆動する。この方法において、鉄−輸送部分は長期間にわたり、持続的で連続的な方法で放出される。
【0079】
図3に示したような投与形態の調製は実施例3に記載される。
【0080】
図4はもう1つの代表的浸透性投与形態のスキーム図である。このタイプの投与形態は本明細書に引用により取り込まれている、米国特許第第4,612,008号、第5,082,668号及び第5,091,190号明細書に詳細に記載されている。簡単に言えば、断面図で示した投与形態40は内部コンパートメント44を区画する半透性の壁42を有する。内部コンパートメント44は薬剤層46及び押して操作する層48を有する2層圧縮コアを含有する。以下に説明されるように、押して操作する層48は、使用中に押して操作する層が膨張する時に薬剤層を形成している物質が出口50のような1又は複数の出口を介して投与形態から追い出されるように投与形態内に配置されている追い出し組成物である。押して操作する層は図4に示したような薬剤層と接触している層状配列で配置することができるか又は、押して操作する層と薬剤層を分離する1又は複数の介入層をもつことができる。
【0081】
薬剤層46は図3を参照して前記の考察されたような選択される賦形剤と混合された鉄−輸送部分の錯体を含んでなる。代表的投与形態は第1鉄−ラウリン酸塩の錯体、担体としてのポリ(エチレンオキシド)、浸透活性剤としての塩化ナトリウム、結合剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウムからなる薬剤層をもつことができる。
【0082】
押して操作する層48は、当該技術分野で浸透性ポリマーと呼ばれる、水性又は生物学的流体を吸収して膨潤する、1又は複数のポリマーのような浸透性活性な1又は複数の成分を含んでなる。浸透性ポリマーは水及び水性の生物学的流体と相互反応し、高度に膨潤又は膨張する、典型的には2〜50倍の容量増加を示す、膨張性の親水性ポリマーである。浸透性ポリマーは架橋されてもされなくてもよく、そして好ましい態様においては、浸透性ポリマーは少なくとも軽度に架橋されて、使用中に投与形態を容易に脱出するには大きすぎ、絡まっているポリマーの網目を形成する。浸透性ポリマーとして使用することができるポリマーの例は浸透性投与形態を詳細に説明する前記の参考文献中に提供される。
典型的な浸透性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)のようなポリ(アルキレンオキシド)及び、アルカリがナトリウム、カリウム又はリチウムである場合のポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)である。結合剤、潤滑剤、抗酸化剤及び着色剤のような更なる賦形剤もまた押して操作する層中に包含することができる。使用中、流体が半透性の壁を横切って吸収される時に1又は複数の浸透性ポリマーが膨張して、薬剤層を押して、1又は複数の出口をとおって投与形態から薬剤の放出をもたらす。
【0083】
押して操作する層はまた典型的には、ポリ−n−ビニルアミド、ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ−n−ビニルカプロラクトン、ポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン等のようなセルロース又はビニルポリマーである、結合剤と呼ばれる成分を包含することができる。押して操作する層はまた、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤及び成分の酸化を妨げる抗酸化剤が包含されることができる。代表的抗酸化剤にはそれらに限定はされないが、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2及び3第三級ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物及びブチル化ヒドロキシトルエンが包含される。
【0084】
浸透活性剤もまた浸透性投与形態の薬剤層及び/又は押して操作する層中に取り込むことができる。浸透活性剤の存在は半透性の壁を横切る浸透作用の勾配を設立する。代表的浸透活性剤には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等のような塩及びラフィノース、蔗糖、ブドウ糖、乳糖のような糖及び炭水化物が包含される。
【0085】
図4を続けて参照すると、投与形態は場合により用量に従って投与形態を色彩識別するためにあるいは鉄又はもう1つミネラル、ビタミン又は薬剤の即時放出を提供するための上塗り被膜(図示されていない)を包含することができる。
【0086】
使用中、水は壁を横切って押して操作する層及び薬剤層中に流動する。押して操作する層は流体を吸収し、膨潤を開始し、その結果薬剤層44を押して、層中の物質を出口をとおって胃腸管中に押し出させる。押して操作する層48は流体を吸収し、膨潤し続け、それにより投与形態が胃腸管中にある期間中ずっと、薬剤層から薬剤を連続的に追い出すようになっている。このようにして、該投与形態は15〜20時間の間中又はG.I.管中の投与形態の通過の実質的に全期間中、胃腸管に鉄−輸送部分の錯体の連続的供給を提供する。鉄−輸送部分の錯体は上部及び下部G.I.管双方中で容易に吸収されるので、該投与形態の投与はG.I.管中の投与形態の移動の15〜20時間にわたり、血流中への鉄の送達を提供する。
【0087】
もう1つの代表的投与形態は図5に示される。浸透性投与形態60は硫酸第1鉄のような鉄の塩の第1層64、鉄−輸送部分の錯体の第2の層66及び押して操作する層と呼ばれる第3層68からなる3層のコア62を有する。このタイプの投与形態は米国特許第5,545,413号、第5,858,407号、第6,368,626号及び第5,236,689号明細書に詳細に記載されており、それぞれが引用により本明細書に取り入れられている。実施例4に示されるように、3層の投与形態は85.0重量%の硫酸第1鉄、100,000分子量のポリエチレンオキシド10.0重量%、約35,000〜40,000の分子量を有するポリビニルピロリドン4.5重量%及びステアリン酸マグネシウム0.5重量%の第1層を有するように調製される。第2層は93.0重量%の第1鉄錯体(実施例1に記載のように調製された)、5.0重量%の5,000,000分子量のポリエチレンオキシド、約35,000〜40,000の分子量を有する1.0重量%のポリビニルピロリドン及び1.0重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。
【0088】
押して操作する層は63.67重量%のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第2鉄、5.00重量%のヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。半透性の壁は39.8%のアセチル含量を含む80.0重量%の酢酸セルロース及び20.0%のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマーからなる。
【0089】
図3〜5に示した投与形態の溶解速度は実施例5に示した方法に従って決定される。投与形態、例えば、1層投与形態(例えば、図3)に応じて、鉄−輸送部分の錯体の放出は水性環境と接触後に開始する。図5に示した投与形態において、出口に隣接する薬剤層中に存在する硫酸第1鉄の放出は最初に放出される。水性環境との接触の約8時間後に、第1鉄−ラウリン酸塩の錯体の放出が起り、そして更に8時間中、実質的に一定の速度で継続する。この投与形態は、移動の最初の8時間にほぼ対応して、上部G.I.管中を移動する間、硫酸第1鉄を放出するようになっていることが認められるであろう。第1鉄−ラウリン酸塩の錯体は、投与形態が摂取後約8時間を超える時間にほぼ対応して下部G.I.管中を移動するときに放出される。このデザインは錯体により提供される増加した結腸吸収を利用している。
【0090】
図6A〜6Cは当該技術分野で知られ、そして本明細書に引用により特に取り入れられている米国特許第5,534,263号、第5,667,804号及び第6,020,000号明細書に記載されているもう1つの代表的投与形態を表わす。簡単に言えば、図6Aにおいて胃腸管中への摂取の前の投与形態80の断面図が示される。該投与形態は鉄−輸送部分の錯体を含んでなる円筒形のマトリックス82からなる。マトリックス82の末端82、86は好ましくは、摂取の容易性を確保するために丸く凸面の形状をもつ。バンド88、90及び92は円筒形マトリックスの周囲を同心的に囲み、水性環境中に比較的不溶性の物質から形成される。適した物質は上記の特許及び以下の実施例6に示される。
【0091】
投与形態80の摂取後、図6Bに表わすようなバンド88、90、92間のマトリックス82の領域が腐蝕を開始する。マトリックスの腐蝕はG.I.管の流体状環境中への鉄−輸送部分の錯体の放出を開始する。投与形態がG.I.管中を移動し続けるので、図6Cに示されるようにマトリックスは腐蝕し続ける。ここでマトリックスの腐蝕は投与形態が3片、94、96、98に分解する程度に進行した。腐蝕は各片のマトリックス部分が完全に腐蝕するまで継続するであろう。その後バンド94、96、98がG.I.管から押し出されるであろう。
【0092】
図3〜6に記載の投与形態は単に、G.I.管への鉄−輸送部分の錯体の送達をするようになっており、そしてその達成が可能な多様な投与形態の例である。製薬学的技術分野の当業者は適当と思われる他の投与形態を認めることができる。
【0093】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は、錯体が鉄と輸送部分間の緊密なイオン対結合を特徴としてもつ場合の、鉄と輸送部分の錯体を含有する組成物又は投与形態を投与することにより患者の鉄欠乏を処置する方法を提供する。錯体及び製薬学的に許容できるビヒクルを含んでなる組成物が患者に、典型的には経口投与により投与される。
【0094】
投与される投与量は概括的に、投与形態及び所望の結果を考慮に入れて、患者の年齢、体重及び状態に従って調整される。概して、鉄−輸送部分の錯体の投与形態及び組成物はPhysician’s Desk Reference中に示されるような鉄治療に推奨される量で投与される。錯体により提供される高まった吸収のために、投与量は硫酸第1鉄(FEOSOL)、フマル酸第1鉄(FEOSTAT)及びグルコン酸第1鉄(FEROGON)による経口治療に対する典型的推奨量より低いであろう。これらの通常の経口治療を使用する鉄欠乏の処置の平均用量は1日約2〜3mg/kgの鉄又は約200mg/日である。妊婦におけるような鉄欠乏の予防のためには、15〜30mg/日の用量
が推奨される。錯体の形態の鉄の投与は、改善された吸収のために少なくとも半分、好ましくは少なくとも2倍、必要量を減少させるであろう。1つの態様において、鉄が鉄−輸送部分の錯体の形態で提供される、2〜20mgの間の1日の鉄用量を提供する投与形態が提供される。
【0095】
以上のことから、本発明の種々の目的及び特徴物がいかに満足されるかを認めることができる。鉄及び輸送部分が非共有の緊密なイオン対結合により結合された場合の、鉄及び輸送部分からなる錯体は、経口投与される硫酸第1鉄に認められるものに比較して鉄の高められた結腸吸収を提供する。錯体は新規の工程から調製され、そこで鉄は溶媒中に溶解された脂肪酸のような輸送部分と接触され、ここで溶媒は水より極性が低く、より低い極性は例えば、より小さい誘電定数により証明される。鉄の輸送部分−溶媒混合物との接触が鉄及び輸送部分間の錯体の形成をもたらし、そこで2種の物質はイオン結合でなく、共有結合でなくて、緊密なイオン対結合である結合により結合される。
【0096】
鉄の改善されたG.I.管吸収は輸送部分及び鉄の錯体の使用により提供される。投与形態は上部G.I.管中の吸収のために鉄−輸送部分の錯体の上部G.I.管中の放出及び、下部G.I.管での改善された吸収のために下部G.I.管中の鉄−輸送部分の錯体の放出を可能にする。これらの投与形態は10〜24時間、あるいはまた12〜20時間の期間中、鉄の身体による吸収を提供し、それにより鉄の真の1日1回投与形態を可能にする。
【0097】
IV.実施例
以下の実施例は本明細書に記載される本発明を更に具体的に示し、本発明の範囲を限定することは全く意図されない。
【実施例1】
【0098】
鉄−脂肪酸の錯体の調製
以下の工程を第1鉄−脂肪酸の錯体を形成するために実施する。反応は図2Cに示される。
1.FeSO・7HOの9.15グラムをビーカー中でメタノール300mLに溶解した。
2.ラウリン酸ナトリウム(ラウリン酸ナトリウム)14.64グラムを第2のビーカー中でメタノール300mL中に溶解した。
3.工程1の溶液を工程2の溶液に滴下した。混合物を室温で1〜5時間撹拌するとNaSOの沈殿物を生成した。溶液を1晩撹拌した。
4.工程3からの沈殿物を#42Whatman濾紙を使用して真空濾過により濾去し、濾液を漏斗中に回収した。沈殿物をメタノールで3回洗浄し;濾液を漏斗中に回収した。5.工程4の濾液を結晶皿に入れ、溶媒を蒸発させるためにフード中に置いた。ベージュ色の沈殿物が形成した。沈殿物を真空フィルター上に置き、残留溶媒を真空濾過により濾去した。フィルターのケークを結晶化皿に入れ、真空オーブンに1晩入れて乾燥した。
【0099】
沈殿物の融点は38〜38℃の間であると測定された。
【実施例2】
【0100】
鉄−輸送部分の錯体のインビボの生体利用能
鉄−輸送部分の錯体の下部G.I.管吸収及び生体利用能を「結腸内結紮モデル」として一般に知られる動物モデルを使用して評価する。飢餓麻酔0.3〜0.5kgのSprague−Dawley雄ラットの外科的準備は以下のように進行する。近位結腸のセグメントを隔離し、便物質を結腸から洗い流す。カテーテルを内腔内に入れ、試験調製物の送達のために皮膚上に出しながら、セグメントの両端を結紮する。結腸内容物を洗い流し
、結腸を動物の腹部に返却する。実験の設定に応じて、臨床的状態の実際の結腸の環境を更に正確にシミュレートするために、セグメントを20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4の1mL/kgで充填した後に、試験調製物を添加する。
【0101】
ラットは外科的準備後そして各鉄−輸送部分の錯体に暴露する前に約1時間、安定化(equilibrate)させる。結腸内ボーラスとして試験化合物を投与し、鉄(Fe+2/ラットとして)10mgで送達する。血液サンプルを頸静脈カテーテルから0、15、30、60、90、120、180及び240分に得て、血液鉄濃度を分析する。4時間の試験期間の最後にラットを過剰量のペントパルビタールで安楽死させる。各ラットからの結腸セグメントを摘出し、対腸間膜境界に沿って縦に切開する。各セグメントを刺激及び注目されるあらゆる異常を顕微鏡で観察する。摘出結腸をグラフ用紙上に置いて大体の結腸表面積を測定する。
【0102】
以上の方法を使用して第1鉄硫酸塩並びに第1鉄−ラウリン酸塩の錯体、第1鉄−カプリン酸塩の錯体、第1鉄−オレイン酸塩の錯体及び第1鉄−パルミチン酸塩の錯体の吸収を評価する。
【実施例3】
【0103】
鉄−輸送部分の錯体を含んでなる投与形態の調製
図3に示した装置を以下のように準備する。鉄−輸送部分の錯体92.25重量パーセント、カルボキシポリメチレンカリウム5重量%、約5,000,000の分子量を有するポリエチレンオキシド2重量%及び二酸化ケイ素0.5重量%を含んでなるコンパートメント形成組成物を一緒に混合する。次に混合物は40メッシュのステンレス鋼のスクリーンをとおされ、次にV−ブレンダー中で30分間ブレンドされると均一なブレンドを生成する。次に0.25%のステアリン酸マグネシウムが80メッシュのステンレス鋼のスクリーンをとおされ、更に5〜8分間ブレンドされる。次に均一に乾燥したブレンド粉末をホッパー中に置き、コンパートメント形成プレスに供給し、知された量のブレンドを経口使用のためにデザインされた5/8インチ(1.6cm)楕円形に圧縮する。次に楕円形の前コンパートメント物を39.8%のアセチル含量を有する91%酢酸セルロース及び9%のポリエチレングリコール3350を含んでなる壁形成組成物でAccela−Cota(R)壁形成コート装置中でコートする。コート後、壁をコートされた薬剤コンパートメントをコート装置から取り出し、壁形成過程中に使用された残留有機溶媒を除去するために乾燥オーブンに移す。次に約12時間乾燥するためにコートされた装置を50℃の強制空気オーブンに移す。次にレーザーを使用して装置の壁に経路を形成する。
【実施例4】
【0104】
鉄−輸送部分の錯体を含んでなる投与形態の調製
図5に示したような硫酸第1鉄の層及び第1鉄−ラウリン酸塩の錯体の層を含んでなる投与形態を以下のように調製する。
【0105】
硫酸第1鉄10グラム、100,000の分子量のポリエチレンオキシド1.18g及び約38,000の分子量を有するポリビニルピロリドン0.53gを通常のブレンダー中で20分間乾燥ブレンドして均一なブレンドを生成する。次にミキサーを連続的にブレンドしながら変性無水アルコール4mLを3成分乾燥ブレンドに緩徐に添加する。混合を更に5〜8分継続する。ブレンドした湿った組成物を16メッシュスクリーンにとおし、室温で1晩乾燥する。次に乾燥顆粒を16メッシュスクリーンにとおし、ステアリン酸マグネシウム0.06gを添加し、すべての成分を5分間乾燥ブレンドする。新鮮な顆粒は投与形態の最初の投与層としての調製物に対して準備ができている。
【0106】
投与形態中に第1鉄−ラウリン酸塩の錯体を含有する層を以下のように調製する。第1
に、実施例1に記載のように調製された第1鉄−ラウリン酸塩の錯体9.30グラム、5,000,000の分子量のポリエチレンオキシド0.50g、約38,000の分子量を有するポリビニルピロリドン0.10gを通常のブレンダー中で20分間乾燥ブレンドして均一なブレンドを生成する。次に5分間連続的に混合しながら変性無水エタノールをブレンドに緩徐に添加する。ブレンドした湿った組成物を16メッシュスクリーンにとおし、室温で1晩乾燥する。次に乾燥した顆粒を16メッシュスクリーンにとおし、ステアリン酸マグネシウム0.10gを添加し、すべての乾燥成分を5分間乾燥ブレンドする。
【0107】
浸透性ポリマーのヒドロゲル組成物からなる押して操作する層は以下のように調製される。第1に、7,000,000の分子量を含んでなる製薬学的に許容できるポリエチレンオキシド58.67g、Carbopol(R)974Pを5g、塩化ナトリウム30g及び酸化第2鉄1gを40メッシュスクリーンに別々にとおした。ふるった成分を9,200の分子量をもつヒドロキシプロピルメチルセルロース5gと混合して、均一なブレンドを生成した。次に、5分間連続的に混合しながら変性無水アルコール50mLをブレンドに緩徐に添加した。次にブチル化ヒドロキシトルエン0.080gを添加し、更にブレンドした。新鮮に調製された顆粒を20メッシュスクリーンにとおし、室温(外気温)で20時間乾燥させた。乾燥成分を20メッシュスクリーンにとおし、ステアリン酸マグネシウム0.25gを添加し、すべての成分を5分間ブレンドした。
【0108】
3層の投与形態を以下のように調製する。第1に、硫酸第1鉄組成物118mgをパンチ及びダイセットに添加して、軽く詰め、次に第1鉄−ラウリン酸塩組成物598mgを第2層としてダイセットに添加して、再度軽く詰める。次にヒドロゲル組成物358mgを添加し3層を1.0トン(1000kg)の圧縮力下で9/32インチ(0.714cm)の直径のパンチダイセット中に圧縮して、緊密な(intimate)3層コア(錠剤)を形成する。
【0109】
39.8%のアセチル含量を含む酢酸セルロース80.0重量%及び7680〜9510の分子量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマー20.0%を含んでなる半透性の壁形成組成物を、80:20重量/重量組成物に、アセトン中の成分を溶解して、5.0%固溶体を形成することにより調製する。壁形成組成物を3層のコア上にそしてその周囲に噴霧すると60〜80mgの厚さの半透性の壁を提供する。
【0110】
次に40mil(1.02mm)の出口開口部を半透性の壁をもつ3層錠中にレーザーで穴を開けて、第1鉄−硫酸塩層の送達装置の外部との接触を提供する。該投与形態をあらゆる残留溶媒及び水を除去するために乾燥する。
【実施例5】
【0111】
鉄−輸送部分の錯体を含有する投与形態のインビトロの溶解
実施例3及び4に記載されたように調製された投与形態のインビトロの溶解速度を37℃の定温水浴中のUSPタイプVIIの浴インデクサーに固定された金属コイルサンプルホールダーに投与形態を入れることにより測定する。各試験期間中、人工胃液(AGF)をシミュレートする媒質中に放出された鉄の量を定量するために、放出媒質のアリコートをクロマトグラフィーシステム中に注入する。
【実施例6】
【0112】
鉄−輸送部分の錯体を含んでなる投与形態の調製
図6A〜6Cに示した投与形態を以下のように調製する。第1鉄−ラウリン酸塩の錯体の持続的放出のための単位用量を以下のように調製する。第1鉄−ラウリン酸塩の錯体の形態の鉄の所望用量を40ワイヤ/インチを有する分粒スクリーンにとおす。8重量%のヒドロキシプロピル含量、22重量%のメトキシ含量及び27,800グラム/モルの数
平均分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース20グラムを100ワイア/インチをもつ分粒スクリーンにとおす。分粒された粉末を5分間回転混合する。湿った固まりが形成されるまで撹拌しながら無水エタノールを混合物に添加する。湿った固まりを20ワイア/インチをもつ分粒スクリーンにとおす。生成される湿った顆粒を1晩空気乾燥し、次に再度20メッシュのふるいにとおす。打錠潤滑剤のステアリン酸マグネシウム2グラムを80ワイア/インチをもつ分粒スクリーンにとおす。分粒されたステアリン酸マグネシウムを乾燥した顆粒にブレンドすると最終的顆粒を形成する。
【0113】
最終的顆粒905mgのポーションを0.281インチ(0.71cm)の内径を有するダイキャビティに入れる。該ポーションを1トンの圧力ヘッド下で深い凹型パンチで圧縮して縦型のカプセル型錠剤を形成する。
【0114】
カプセルをTait Capsealer Machine(Tait Design
and Machine Co.,Manheim,Pa)に供給し、そこで3個のバンドが各カプセル上に印刷される。バンドを形成している物質はエチルセルロール分散物50重量%(Surelease(R),Colorcon,West Point,Pa)及びエチルアクリレートメチルメタクリレート(Eudragit(R)NE 30D,RohmPharma,Weiterstadt,ドイツ)50重量%の混合物である。バンドは水性分散液として適用され、過剰の水は暖かい空気流中で追いやられる。バンドの直径は2ミリメートルである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】上皮細胞をとおる分子の輸送のための細胞横断経路及び傍細胞経路を表わす胃腸管の上皮細胞の図である。
【図2A】鉄−輸送部分の錯体の調製のための概略の合成反応のスキームを示す。
【図2B】輸送部分がカルボキシル基を包含する場合の鉄−輸送部分の錯体の調製のための概略の合成反応のスキームである。
【図2C】鉄−脂肪酸の錯体の調製のための合成反応のスキームを示す。
【図3】断面図で示した代表的浸透性投与形態を表わす。
【図4】鉄の1日1回の投与のためのもう1つの代表的浸透性投与形態を表わし、該投与形態は外部被膜中に錯体又は鉄の、場合による充填投与量を伴う鉄−脂肪酸の錯体を含んでなる。
【図5】被膜による鉄の、場合による充填投与を伴う、鉄及び鉄−脂肪酸の錯体の双方を含んでなる1日1回の鉄の投与形態の1つの態様を表わす。
【図6A−6C】被験者に投与の前の、マトリックス中に鉄−脂肪酸の錯体を含んでなる(図6A)、胃腸管中への摂取後の作用中の(in operation)(図6B)そしてマトリックスの十分な腐蝕が装置のバンドによる結合部位の分離を引き起こした後の(図6C)投与物の1つの態様を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄及び輸送部分を含んでなる物質であって、鉄及び輸送部分が錯体を形成する、物質。
【請求項2】
輸送部分が、nが2〜16であるCH(C2n)COOHの形態の脂肪酸である請求項1の化合物。
【請求項3】
脂肪酸がカプリン酸又はラウリン酸である請求項2の化合物。
【請求項4】
鉄及び輸送部分から本質的になる錯体並びに
製薬学的に許容できるビヒクルを含んでなり、そこで
錯体が硫酸第1鉄より少なくとも2倍高い、下部胃腸管中の吸収を有する、
組成物。
【請求項5】
輸送部分が、nが2〜16である場合のCH(C2n)COOHの形態の脂肪酸である請求項4の組成物。
【請求項6】
脂肪酸がカプリン酸又はラウリン酸である請求項5の組成物。
【請求項7】
請求項4の組成物を含んでなる投与形態。
【請求項8】
請求項1の錯体を含んでなる投与形態。
【請求項9】
投与形態が浸透性投与形態である請求項8の投与形態。
【請求項10】
(i)押して操作する層;(ii)鉄−輸送部分の錯体を含んでなる薬剤層;(iii)押して操作する層及び薬剤層の周囲に提供された半透性の壁;並びに(iv)出口
からなる請求項9の投与形態。
【請求項11】
(i)鉄−輸送部分の錯体、浸透活性剤(osmagent)及び浸透性ポリマーを含んでなる浸透性調製物の周囲に提供された半透性の壁;並びに(ii)出口からなる請求項9の投与形態。
【請求項12】
投与形態が20〜400mgの間の総合の鉄の1日投与量を提供する請求項9の投与形態。
【請求項13】
投与形態が20〜400mgの間の総合の鉄の1日投与量を提供する請求項1の投与形態。
【請求項14】
鉄を含んでなる投与形態における改善であって、鉄及び輸送部分からなる錯体を含んでなる投与形態を含んでなる、改善。
【請求項15】
輸送部分が、nが2〜16であるCH(C2n)COOHの形態の脂肪酸である請求項14の改善された投与形態。
【請求項16】
脂肪酸がカプリン酸又はラウリン酸である請求項15の改善された投与形態。
【請求項17】
請求項4の組成物を投与すること:を含んでなる、被験者の鉄欠乏を処置する方法。
【請求項18】
投与が経口投与による請求項17の方法。
【請求項19】
鉄を提供する工程;
輸送部分を提供する工程;
水より小さい誘電定数を有する溶媒の存在下で鉄及び輸送部分を合わせる工程;
を含んでなり、それにより
合わせる工程が鉄及び輸送部分の間の錯体の形成をもたらす、
鉄−輸送部分の錯体を調製する方法。
【請求項20】
合わせる工程が水の誘電定数より少なくとも2倍小さい(at least two fold lower)誘電定数を有する溶媒中で接触させる工程を含んでなる請求項19の方法。
【請求項21】
溶媒がメタノール、エタノール、アセトン、ベンゼン、メチレンクロリド及び四塩化炭素からなる群から選択される請求項20の方法。
【請求項22】
鉄及び輸送部分を含んでなる錯体を提供する工程及び患者に錯体を投与する工程を含んでなる鉄のG.I.吸収を改善する方法。
【請求項23】
改善された吸収が下部胃腸管中の改善された吸収を含んでなる請求項22の方法。
【請求項24】
改善された吸収が上部胃腸管中の改善された吸収を含んでなる請求項22の方法。
【請求項25】
提供する工程が鉄及び、nが4〜16であるCH(C2n)COOHの形態を有する脂肪酸輸送部分の錯体を提供する工程を包含する請求項22の方法。
【請求項26】
脂肪酸がカプリン酸又はラウリン酸である請求項25の方法。
【請求項27】
投与する工程が錯体を経口投与する工程を含んでなる請求項22の方法。
【請求項28】
経口投与が浸透性投与形態の錯体を経口投与することにより達成される請求項27の方法。
【請求項29】
(i)押して操作する層;(ii)鉄−脂肪酸の錯体を含んでなる薬剤層;(iii)押して操作する層及び薬剤層の周囲に提供された半透性の壁;並びに(iv)出口、
からなる請求項28の方法。
【請求項30】
(i)鉄−脂肪酸の錯体、浸透活性剤及び浸透性ポリマーを含んでなる浸透性調製物の周囲に提供された半透性の壁並びに(ii)出口からなる請求項28の方法。
【請求項31】
投与形態が20〜400mgの間の総1日投与量を提供する請求項27の方法。
【請求項32】
鉄及び輸送部分を含んでなり、(i)鉄を提供する工程;(ii)輸送部分を提供する工程;(iii)水の誘電定数より小さい誘電定数を有する溶媒の存在下で鉄及び輸送部分を合わせる(ここで合わせる工程が鉄及び輸送部分間の錯体を形成する)工程により調製される、物質。
【請求項33】
輸送部分が、nが4〜16であるCH(C2n)COOHの形態の脂肪酸である請求項32に記載の物質。
【請求項34】
脂肪酸がカプリン酸又はラウリン酸である請求項33の物質。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2007−509976(P2007−509976A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538326(P2006−538326)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036043
【国際公開番号】WO2005/041928
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】