説明

増幅回路及び通信機

【課題】入力インピーダンスを一定に維持しつつ、ゲインを変化させることができる増幅回路を提供することを課題とする。
【解決手段】ソース接地型アンプ(101)と、前記ソース接地型アンプの出力端子に接続される出力負荷(102)と、前記ソース接地型アンプの前記出力端子に接続されるバッファ回路(103)と、前記バッファ回路の出力端子及び前記ソース接地型アンプの入力端子間に接続されるフィードバック回路(104)と、前記ソース接地型アンプのゲインに応じて前記フィードバック回路のインピーダンスを制御する制御回路(105)とを有することを特徴とする増幅回路が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路及び通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線受信機のアーキテクチャにおいて入力する信号が微弱であることから、まず信号を増幅するアンプが必要となる。しかし、アンプも電子回路で形成することから雑音の発生は逃れられない。その雑音の電力レベルによって入力してきた信号のレベルが後段で判別不可能なことになると増幅した意味を成さないため、極力雑音を出さない低雑音増幅器(LNA)が求められる。低雑音化とはすなわち入力換算ノイズを小さくすることである。入力換算ノイズを小さくするためにはアンプが持つゲイン(利得)が大きいほど良い。大きなゲインを持つ構成としてはソース接地型アンプが一般的である。
【0003】
しかし、ソース接地型アンプは入力インピーダンスが高い。無線機のアーキテクチャとしては低雑音のほかに、アンテナとのインピーダンスを合わせてアンテナから入射した信号を最大限にアンプに伝達する必要がある(インピーダンスマッチング)。
【0004】
また、一般的に低雑音増幅器には利得を安定して後段の回路(ミキサ)に信号を送る必要があるため可変ゲイン機能が必要になる。
【0005】
図8は低雑音増幅器の構成例を示すブロック図であり、図9はソース接地型アンプを用いた低雑音増幅器の構成例を示す回路図である。電流電圧変換回路801は、カスコード接続された電界効果トランジスタ901及び902からなるソース接地型アンプであり、入力電圧Vinを電流に変換して出力する。出力負荷802は、電流電圧変換回路801により変換された電流を出力電圧Voutに変換する。バッファ803は、電界効果トランジスタ903及び電流源904を有し、出力電圧Voutをフィードバック回路(素子)804を介して、入力電圧Vinの端子にフィードバックする。
【0006】
低雑音増幅器の入力インピーダンスZinは、次式で表わされる。ここで、Zfbは、フィードバック回路804のインピーダンス、gmは電界効果トランジスタ901の相互コンダクタンス、Zoutは出力負荷802のインピーダンスである。
Zin=Zfb/{1+(gm×Zout)} ・・・(1)
【0007】
ここで、gm×Zout>>1の場合には、式(1)は式(2)で表わすことができる。
Zin=Zfb/(gm×Zout) ・・・(2)
【0008】
入力インピーダンスZinは、相互コンダクタンスgm、出力負荷インピーダンスZout及びフィードバック回路804のインピーダンスZfbによって決定される。
【0009】
下記の特許文献1には、ゲート端子に入力された信号を増幅してドレイン端子から出力するソース接地トランジスタと、前記ソース接地トランジスタのドレイン端子に接続された負荷抵抗と、前記負荷抵抗に直列に接続されたインダクタと、前記ソース接地トランジスタのドレイン端子とゲート端子との間に接続された帰還抵抗と、を具備することを特徴とする増幅回路が記載されている。
【0010】
また、下記の特許文献2には、信号増幅を行う第1のトランジスタと、FETからなる第1のアクティブ負荷とで構成されているソース接地増幅回路と、上記第1のトランジスタのドレイン出力信号を入力する第2のトランジスタと第1の電流源とで構成されているソースフォロワ回路と、上記ソースフォロワ回路の出力端子と、上記ソース接地増幅回路の入力端子とを接続する帰還抵抗と、上記ソース接地増幅回路の入力端子と、上記アクティブ負荷を構成するFETのゲート端子とを接続する容量と、上記アクティブ負荷を構成するFETのゲート端子と電源とを接続するインピーダンス素子とを有することを特徴とする増幅回路が記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2004−159195号公報
【特許文献2】特開平9−246880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図8及び図9の回路は、この回路で可変ゲイン機能を付加するためにトランジスタ901の相互コンダクタンスgmを変化させる場合、又は出力負荷802が周波数依存性などを持つ場合、上式(2)の分母が変化するため、入力インピーダンスZinを一定に保つことができない。従って、入力インピーダンスZinがアンテナのインピーダンスとミスマッチを起こし、信号を十分に伝達できなくなる。
【0013】
本発明の目的は、入力インピーダンスを一定に維持しつつ、ゲインを変化させることができる増幅回路及び通信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の増幅回路は、ソース接地型アンプと、前記ソース接地型アンプの出力端子に接続される出力負荷と、前記ソース接地型アンプの前記出力端子に接続されるバッファ回路と、前記バッファ回路の出力端子及び前記ソース接地型アンプの入力端子間に接続されるフィードバック回路と、前記ソース接地型アンプのゲインに応じて前記フィードバック回路のインピーダンスを制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
ゲインが変化する場合には、フィードバック回路のインピーダンスを制御することにより、入力インピーダンスを一定に保つことができる。これにより、インピーダンスマッチングをとることができ、入力信号の減衰を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による増幅回路の構成例を示すブロック図である。この増幅回路は、例えば、無線受信機に用いられる高周波用低雑音増幅回路である。アンテナは、入力電圧Vinの端子に接続される。
【0017】
入力電圧Vinの端子は、電流電圧変換回路101の入力端子に接続される。電流電圧変換回路101は、ソース接地型アンプであり、入力端子が入力電圧Vinの端子に接続され、出力端子が出力電圧Voutの端子に接続され、入力電圧Vinを電流に変換して出力する。出力負荷102は、電流電圧変換回路101の出力端子に接続され、電流電圧変換回路101が出力する電流を出力電圧Voutに変換する。バッファ回路103は、電流電圧変換回路101の出力端子に接続される。フィードバック回路(素子)104は、バッファ回路103の出力端子及び電流電圧変換回路101の入力端子間に接続される。
【0018】
電流電圧変換回路101は、内部の相互コンダクタンスgmが可変である。出力負荷102は、内部のインピーダンスZoutが可変である。フィードバック回路104は、内部のインピーダンスZfbが可変である。制御用デコーダ105は、制御信号CTLに応じて、電流電圧変換回路101の相互コンダクタンスgm、出力負荷102のインピーダンスZout及び/又はフィードバック回路104のインピーダンスZfbを制御する。
【0019】
増幅回路の入力インピーダンスZinは、上式(1)で表わされ、上式(2)で近似できる。増幅回路のゲインは、gm×Zoutで表わされる。式(2)が示す通り、出力負荷102のインピーダンスZoutが変化した場合、フィードバック回路104のインピーダンスZfbを出力負荷102のインピーダンスZoutの変化分だけ変更すれば、常に一定した入力インピーダンスZinを得ることができる。増幅回路は、出力負荷102のインピーダンスZoutの変動により、入力インピーダンスZinが変動しないように、フィードバック回路104のインピーダンスZfbを出力負荷102のインピーダンスZoutに合わせて変化させる。
【0020】
同様に、電流電圧変換回路101の相互コンダクタンスgmが変化した場合、フィードバック回路104のインピーダンスZfbを制御すれば、常に一定した入力インピーダンスZinを得ることができる。
【0021】
増幅回路のゲインを考慮すれば、入力インピーダンスZinは常に一定に保つことができる。これにより、入力インピーダンスZinのミスマッチに因る不要な(または意図しない)信号強度の低下を防ぐことができる。インピーダンスマッチングにより、入力信号の反射を防止し、入力信号の強度低下を防止することができる。不要な信号強度の低下は雑音特性にも影響するため、無線受信機における効果は大きい。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態による増幅回路の構成例を示す回路図であり、第1の実施形態の具体的な回路構成例を示す。電流電圧変換回路101は、第1のnチャネル電界効果トランジスタ201及び第2のnチャネル電界効果トランジスタ202を有するソース接地型アンプである。トランジスタ201及び202は、カスケード接続(直列接続)される。トランジスタ201は、相互コンダクタンスgmを有し、ソースが基準電位(接地電位)に接続され、ゲートが入力電圧Vinの端子に接続され、ドレインがトランジスタ202のソースに接続される。トランジスタ202は、ゲートが電源電圧に接続され、ドレインが出力電圧Voutの端子に接続される。
【0023】
バッファ回路103は、nチャネル電界効果トランジスタ203及び電流源204を有する。トランジスタ203は、ソースが電流源204を介して基準電位(接地電位)に接続され、ゲートが出力電圧Voutの端子に接続され、ドレインが電源電圧に接続される。
【0024】
出力負荷102は、出力電圧Voutの端子及び電源電圧間に接続され、複数の抵抗及びスイッチの直列接続回路が並列に接続されている。フィードバック回路104は、トランジスタ203のソース及び入力電圧Vinの端子間に接続され、複数の抵抗及びスイッチの直列接続回路が並列に接続されている。
【0025】
図3は、本実施形態による増幅回路の目標ゲイン、出力負荷102のインピーダンスZout及びフィードバック回路104のインピーダンスZfbを示す図である。目標ゲインは、gm×Zoutである。
【0026】
スイッチ制御回路(制御用デコーダ)105は、ゲイン選択のための制御信号CTLに応じて、出力負荷102内のスイッチ及びフィードバック回路104内のスイッチのオン/オフを制御する。出力負荷102は、内部のスイッチのオン数に応じて、インピーダンスZoutが抵抗R1、R2、R3、R4又はR5に変化する。同様に、フィードバック回路104は、内部のスイッチのオン数に応じて、インピーダンスZfbが抵抗Rfb1、Rfb2、Rfb3、Rfb4又はRfb5に変化する。
【0027】
ゲイン制御信号CTLがaの場合、目標ゲインはgm×R1、出力負荷102のインピーダンスZoutは抵抗R1、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb1に制御される。抵抗Rfb1はgm×Zin×R1に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0028】
ゲイン制御信号CTLがbの場合、目標ゲインはgm×R2、出力負荷102のインピーダンスZoutは抵抗R2、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb2に制御される。抵抗Rfb2はgm×Zin×R2に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0029】
ゲイン制御信号CTLがcの場合、目標ゲインはgm×R3、出力負荷102のインピーダンスZoutは抵抗R3、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb3に制御される。抵抗Rfb3はgm×Zin×R3に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0030】
ゲイン制御信号CTLがdの場合、目標ゲインはgm×R4、出力負荷102のインピーダンスZoutは抵抗R4、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb4に制御される。抵抗Rfb4はgm×Zin×R4に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0031】
ゲイン制御信号CTLがeの場合、目標ゲインはgm×R5、出力負荷102のインピーダンスZoutは抵抗R5、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb5に制御される。抵抗Rfb5はgm×Zin×R5に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の増幅回路は、ゲイン可変機能を有する。インピーダンスZout及びZfbの素子をLSIで実装が比較的容易な可変抵抗で構成する。ソース接地アンプのトランジスタ201の相互コンダクタンスをgmとする。可変抵抗素子は、抵抗素子に直列にスイッチ(トランジスタ)を組み合わせたものを並列に接続しておく。そして、各スイッチ(トランジスタ)のゲートバイアスは、スイッチ制御回路105に接続する。
【0033】
この増幅回路のゲインは、gm×Zoutで表わされ、インピーダンス(抵抗)Zoutを可変させて、ゲインを制御する。このとき、スイッチ制御回路105は、式(2)を基に図3のような関連性を持たせる。このように、出力負荷102のインピーダンス(抵抗)Zoutとフィードバック回路104のインピーダンス(抵抗)Zfbで関連性を持たせることで、入力インピーダンスZinを常に一定に保つことができる。これにより、ゲインを変更した場合にも、入力インピーダンスVinを一定に保ち、入力信号の強度減衰を防止することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態による増幅回路の構成例を示す回路図であり、第1の実施形態の具体的な回路構成例を示す。本実施形態(図4)は、第2の実施形態(図2)に対して、出力負荷102のみが異なる。その他の点については、本実施形態は、第2の実施形態と同じである。以下、本実施形態が第2の実施形態と異なる点を説明する。
【0035】
出力負荷102は、出力電圧Voutの端子及び電源電圧間に接続され、複数の容量及びスイッチの直列接続回路が並列に接続された回路と、インダクタL及び抵抗rの直列接続回路とを有する。
【0036】
図5は、本実施形態による増幅回路の目標ゲイン、出力負荷102のインピーダンスZout及びフィードバック回路104のインピーダンスZfbを示す図である。目標ゲインは、gm×Zoutである。
【0037】
スイッチ制御回路(制御用デコーダ)105は、ゲイン及び周波数選択のための制御信号CTLに応じて、出力負荷102内のスイッチ及びフィードバック回路104内のスイッチのオン/オフを制御する。出力負荷102は、内部のスイッチのオン数に応じて、インピーダンスZoutが変化する。出力負荷102内の容量成分は、制御信号CTLに応じて、容量値C1、C2、C3、C4又はC5に変化する。同様に、フィードバック回路104は、内部のスイッチのオン数に応じて、インピーダンスZfbが変化する。
【0038】
ゲイン制御信号CTLがaの場合、目標ゲインはgm×L/(r×C1)、出力負荷102のインピーダンスZoutはL/(r×C1)、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb1に制御される。抵抗Rfb1はgm×Zin×L/(r×C1)に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0039】
ゲイン制御信号CTLがbの場合、目標ゲインはgm×L/(r×C2)、出力負荷102のインピーダンスZoutはL/(r×C2)、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb2に制御される。抵抗Rfb2はgm×Zin×L/(r×C2)に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0040】
ゲイン制御信号CTLがcの場合、目標ゲインはgm×L/(r×C3)、出力負荷102のインピーダンスZoutはL/(r×C3)、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb3に制御される。抵抗Rfb3はgm×Zin×L/(r×C3)に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0041】
ゲイン制御信号CTLがdの場合、目標ゲインはgm×L/(r×C4)、出力負荷102のインピーダンスZoutはL/(r×C4)、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb4に制御される。抵抗Rfb4はgm×Zin×L/(r×C4)に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0042】
ゲイン制御信号CTLがeの場合、目標ゲインはgm×L/(r×C5)、出力負荷102のインピーダンスZoutはL/(r×C5)、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb5に制御される。抵抗Rfb5はgm×Zin×L/(r×C5)に設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0043】
本実施形態は、選択信号CTLにより、出力負荷102のLC共振回路の容量値を可変にし、バンドパスフィルタ(BPF)の周波数帯域を可変にさせて広帯域化させることができる。この場合、出力負荷102は、周波数依存性を持つ。可変容量は、第2の実施形態の可変抵抗と同様に、容量にスイッチを組み合わせたものを並列に接続したものを使用する。この回路構成においても、式(2)を基に図5のような関連性を持たせると、どの制御信号CTLを選択しても、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。これにより、ゲイン及びバンドパスフィルタの周波数帯域を変更した場合にも、入力インピーダンスVinを一定に保ち、入力信号の強度減衰を防止することができる。
【0044】
なお、出力負荷102の抵抗値又は容量値を可変にする代わりに、インダクタンスを可変にしてもよい。その場合には、上記と同様に、インダクタ及びスイッチの直列接続回路を並列に接続すればよい。
【0045】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態による増幅回路の構成例を示す回路図であり、第1の実施形態の具体的な回路構成例を示す。本実施形態(図6)は、第2の実施形態(図2)に対して、電流電圧変換回路101及び出力負荷102のみが異なる。その他の点については、本実施形態は、第2の実施形態と同じである。以下、本実施形態が第2の実施形態と異なる点を説明する。
【0046】
出力負荷102は、出力電圧Voutの端子及び電源電圧間に接続された固定のインピーダンス(抵抗)Zoutを有する。電流電圧変換回路101は、図2の電流電圧変換回路101が複数組み並列に接続されている。第1のnチャネル電界効果トランジスタ201及び第2のnチャネル電界効果トランジスタ202は、出力電圧Voutの端子及び基準電位(接地電位)間にカスケード接続(直列接続)される。トランジスタ202のゲート及び電源電圧間にスイッチが接続される。トランジスタ201,202及びスイッチの組みは、複数並列に接続される。
【0047】
図7は、本実施形態による増幅回路の目標ゲイン、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101の相互コンダクタンスgm及びフィードバック回路104のインピーダンスZfbを示す図である。目標ゲインは、gm×Zoutである。
【0048】
スイッチ制御回路(制御用デコーダ)105は、ゲイン選択のための制御信号CTLに応じて、電流電圧変換回路101内のスイッチ及びフィードバック回路104内のスイッチのオン/オフを制御する。電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101は、内部のスイッチのオン数に応じて、相互コンダクタンスgmがgm1、gm2、gm3、gm4又はgm5に変化する。同様に、フィードバック回路104は、内部のスイッチのオン数に応じて、インピーダンスZfbが変化する。
【0049】
ゲイン制御信号CTLがaの場合、目標ゲインはgm1×Zout、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101の相互コンダクタンスgmはgm1、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb1に制御される。抵抗Rfb1はgm1×Zin×Zoutに設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0050】
ゲイン制御信号CTLがbの場合、目標ゲインはgm2×Zout、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101の相互コンダクタンスgmはgm2、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb2に制御される。抵抗Rfb2はgm2×Zin×Zoutに設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0051】
ゲイン制御信号CTLがcの場合、目標ゲインはgm3×Zout、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101の相互コンダクタンスgmはgm3、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb3に制御される。抵抗Rfb3はgm3×Zin×Zoutに設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0052】
ゲイン制御信号CTLがdの場合、目標ゲインはgm4×Zout、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101の相互コンダクタンスgmはgm4、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb4に制御される。抵抗Rfb4はgm4×Zin×Zoutに設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0053】
ゲイン制御信号CTLがeの場合、目標ゲインはgm5×Zout、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)101の相互コンダクタンスgmはgm5、フィードバック回路104のインピーダンスZfbは抵抗Rfb5に制御される。抵抗Rfb5はgm5×Zin×Zoutに設定することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。
【0054】
この回路構成においても、式(2)を基に図7のような関連性を持たせると、どの制御信号CTLを選択しても、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。これにより、制御信号CTLによりゲインを変更した場合にも、入力インピーダンスVinを一定に保ち、入力信号の強度減衰を防止することができる。
【0055】
以上のように、第1〜第4の実施形態によれば、スイッチ制御回路105は、ソース接地型アンプ101のゲインに応じてフィードバック回路104のインピーダンスZfbを制御する。第2及び第3の実施形態では、スイッチ制御回路105は、出力負荷102のインピーダンス(例えば抵抗値又は容量値)Zoutを制御すると共に、フィードバック回路104のインピーダンス(例えば抵抗値)Zfbを制御する。第4の実施形態では、スイッチ制御回路105は、ソース接地型アンプ101の相互コンダクタンスgmを制御すると共に、フィードバック回路104のインピーダンス(例えば抵抗値)Zfbを制御する。
【0056】
ゲインが変化する場合には、フィードバック回路104のインピーダンスZfbを制御することにより、入力インピーダンスZinを一定に保つことができる。これにより、インピーダンスマッチングをとることができ、入力信号の減衰を防止することができる。
【0057】
なお、アンテナより受信された微弱電波に対して、以上に説明した実施形態の増幅回路を利用して増幅し、その増幅出力を復調することで、入力信号の減衰を防止した通信機を実現できる。
【0058】
その場合、通信機は、アンテナと、上記の増幅回路と、復調回路とを有する。上記の増幅回路は、アンテナから入力される信号を増幅する。復調回路は、増幅回路にて増幅された信号を復調する。
【0059】
本発明の通信機は、微弱電波を受信する、いわゆる移動体通信の基地局、移動局の通信系回路や、無線LAN回路の通信系回路等に利用できるが、特に振幅方向に情報が付加されている地上ディジタル放送等の通信機での利用に特に威力を発揮する。
【0060】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態による増幅回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による増幅回路の構成例を示す回路図である。
【図3】第2の実施形態による増幅回路の目標ゲイン、出力負荷のインピーダンス及びフィードバック回路のインピーダンスを示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態による増幅回路の構成例を示す回路図である。
【図5】第3の実施形態による増幅回路の目標ゲイン、出力負荷のインピーダンス及びフィードバック回路のインピーダンスを示す図である。
【図6】本発明の第4の実施形態による増幅回路の構成例を示す回路図である。
【図7】第4の実施形態による増幅回路の目標ゲイン、電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)の相互コンダクタンス及びフィードバック回路のインピーダンスを示す図である。
【図8】低雑音増幅器の構成例を示すブロック図である。
【図9】ソース接地型アンプを用いた低雑音増幅器の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0062】
101 電流電圧変換回路(ソース接地型アンプ)
102 出力負荷
103 バッファ回路
104 フィードバック回路
105 制御用デコーダ(スイッチ制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース接地型アンプと、
前記ソース接地型アンプの出力端子に接続される出力負荷と、
前記ソース接地型アンプの前記出力端子に接続されるバッファ回路と、
前記バッファ回路の出力端子及び前記ソース接地型アンプの入力端子間に接続されるフィードバック回路と、
前記ソース接地型アンプのゲインに応じて前記フィードバック回路のインピーダンスを制御する制御回路と
を有することを特徴とする増幅回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記ソース接地型アンプの相互コンダクタンス又は前記出力負荷のインピーダンスを制御すると共に、前記フィードバック回路のインピーダンスを制御することを特徴とする請求項1記載の増幅回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記フィードバック回路の抵抗値を制御することを特徴とする請求項2記載の増幅回路。
【請求項4】
前記制御回路は、前記出力負荷の抵抗値を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記出力負荷の容量値を制御することを特徴とする請求項2記載の増幅回路。
【請求項6】
前記制御回路は、前記出力負荷の容量値を制御すると共に、前記フィードバック回路の抵抗値を制御することを特徴とする請求項2記載の増幅回路。
【請求項7】
前記ソース接地型アンプは、カスケード接続された第1及び第2の電界効果トランジスタと、前記第2の電界効果トランジスタのゲートに接続されるスイッチとを有することを特徴とする請求項2記載の増幅回路。
【請求項8】
前記制御回路は、前記フィードバック回路の抵抗値を制御することを特徴とする請求項7記載の増幅回路。
【請求項9】
アンテナと、
ソース接地型アンプと、前記ソース接地型アンプの出力端子に接続される出力負荷と、前記ソース接地型アンプの前記出力端子に接続されるバッファ回路と、前記バッファ回路の出力端子及び前記ソース接地型アンプの入力端子間に接続されるフィードバック回路と、前記ソース接地型アンプのゲインに応じて前記フィードバック回路のインピーダンスを制御する制御回路とを有し、前記アンテナから入力される信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路にて増幅された信号を復調する復調回路と
を有することを特徴とする通信機。
【請求項10】
前記制御回路は、前記ソース接地型アンプの相互コンダクタンス又は前記出力負荷のインピーダンスを制御すると共に、前記フィードバック回路のインピーダンスを制御することを特徴とする請求項9記載の通信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−65511(P2009−65511A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232605(P2007−232605)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】