壁パネル及びその製造方法
【課題】リサイクルに最適かつ低コストな壁パネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、両端を内側に折り曲げた折曲部1aを有する一対の表装鋼板1と、凸部2a又は凹部2bと凸部2a又は凹部2bに連設された肩部2cとを有する結合金具2と、表装鋼板1の折曲部1aと結合金具2の肩部2cとを連結する締結具3と、表装鋼板1の間に埋設された断熱材4と、表装鋼板1の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具5と、表装鋼板1と脱落防止金具5との間に挿入される平板金具6と、を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成した。
【解決手段】本発明は、両端を内側に折り曲げた折曲部1aを有する一対の表装鋼板1と、凸部2a又は凹部2bと凸部2a又は凹部2bに連設された肩部2cとを有する結合金具2と、表装鋼板1の折曲部1aと結合金具2の肩部2cとを連結する締結具3と、表装鋼板1の間に埋設された断熱材4と、表装鋼板1の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具5と、表装鋼板1と脱落防止金具5との間に挿入される平板金具6と、を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の居住区等に使用される壁パネル及びその製造方法に関し、特に、接着剤を使用することなく構成したことを特徴とする壁パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の居住区等に使用される壁パネルには、例えば、図13〜図15に示すような壁パネルが使用されている。ここで、図13は平板ジョイント方式の壁パネル、図14はH型ジョイント方式の壁パネル、図15はジョイントレス方式の壁パネルを示している。
【0003】
図13において、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)は平板ジョイント方式の他の従来例、を示している。図13(A)に示す壁パネル131は、両端部が内側に折り曲げられた表装鋼板132と、両端部が内側に折り曲げられるとともに平板ジョイント135を挿入するための凹部133aを形成した表装鋼板133と、表装鋼板132,133の間に充填されたロックウール134とから構成されている。なお、ロックウール134は表装鋼板132,133に接着剤で接合されている。図13(B)に示すように、壁パネル131同士の凹部133aの位置を合わせて、両方の凹部133aに平板ジョイント135を挿入し、壁パネル131同士の端部を突き合わせると、図13(C)に示す状態となる。
【0004】
また、図13(D)に示す壁パネル136は、両端部が内側に折り曲げられた一対の表装鋼板131と、表装鋼板131の両端部に接合された略凹字形状の接合金具137と、表装鋼板131間に充填されたロックウール134とから構成されている。なお、ロックウール134は表装鋼板131及び接合金具137に接着剤で接合されている。かかる壁パネル136では、接合金具137の凹部に平板ジョイント135が挿入され、壁パネル136同士が結合される。図13(D)に示した壁パネル136と同種の壁パネルについては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
図14において、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、を示している。図14(A)に示す壁パネル141は、両端部が内側に折り曲げられるとともにH型ジョイント144を挿入するための凹部142aを形成した一対の表装鋼板142と、表装鋼板142間に充填されたロックウール143とから構成されている。なお、ロックウール143は表装鋼板142に接着剤で接合されている。図14(B)に示すように、壁パネル141同士の凹部142aの位置を合わせて、両方の凹部142aにH型ジョイント144を挿入し、壁パネル141同士の端部を突き合わせると、図14(C)に示す状態となる。
【0006】
図15において、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)はジョイントレス方式の他の従来例、を示している。図15(A)に示す壁パネル151は、一端が内側に階段状に折り曲げられるとともに他端が内側に折り返された一対の表装鋼板152と、表装鋼板152の折り返し部に装着される略コ字形状の金具153と、表装鋼板152及び金具153の間に充填されたロックウール154とから構成されている。かかる表装鋼板152の折り曲げ部及び折り返し部の方向を合わせて組み付けると、図15(A)に示すように、凸部151aと凹部151bが形成される。なお、金具153は表装鋼板152の折り返し部に挟持されており、ロックウール154は表装鋼板152及び金具153に接着剤により接合されている。図15(B)に示すように、壁パネル151同士の凸部151aと凹部151bを対峙させて、一方の凹部151bに他方の凸部151aを挿入し、壁パネル151同士の端部を合わせると、図15(C)に示す状態となる。
【0007】
また、図15(D)に示す壁パネル155は、一端が内側に階段状に折り曲げられるとともに他端が内側に折り返された一対の表装鋼板156と、表装鋼板156間に充填されたロックウール157とから構成されている。図15(A)に示した金具153を、表装鋼板156そのものを加工成形することで代用したものである。なお、ロックウール157は表装鋼板156に接着剤で接合されている。壁パネル156同士の凸部156aと凹部156bを対峙させて、一方の凹部156bに他方の凸部156aを挿入し、壁パネル156同士の端部を合わせて壁パネル156同士を結合する。
【0008】
さらに、ジョイントレス方式の壁パネルには、特許文献2及び3に示すように、両端部に略凸字形状の金具又は略凹字形状の金具を接続したものも開示されている。これらの特許文献に開示された壁パネルは、平板状の表装鋼板の端部又は裏面に略凸字形状又は略凹字形状の金具を固定したものである。
【0009】
上述した従来の壁パネルのような軽量耐火サンドイッチパネルにおいては、パネル間の結合方式には種々のものが採用されるが、パネルそのものの基本的な構成は、ロックウール等の断熱材を2枚の表装鋼板間に挿入した3部材により構成される。そして、これらの3部材を接着力の強い接着剤を用いて相互接着することにより一体化し、パネルとしての強度(撓み強度又は曲げ強度)を保持させているのが一般的である。
【0010】
パネルの撓み強度に対する接着剤の寄与の大きさは、次の二つの断面2次モーメントを比較することにより把握することができる。例えば、図13(A)に記載した従来の壁パネル(壁パネルの厚さ:25mm、壁パネルの幅:600mm、表装鋼板の厚さ:0.6mm)において、接着剤により一体化した壁パネルAの断面2次モーメントと、接着剤で一体化しない場合を想定して算出した壁パネルBの断面2次モーメントとを比較する。
【0011】
接着剤により一体化した壁パネルAの断面2次モーメントは、壁パネルAの荷重時撓み値から逆算して求めることができる。壁パネルAの長手方向(高さ方向)を2100mmのスパンで両端単純支持し、片方の支持端から0.5mの位置に750N/mの荷重を負荷させた場合の中央部の撓みは6mmであった。この荷重時撓み値から断面2次モーメントを逆算すると、5.4437cm4となる。なお、撓み試験の内容は、「海上人命安全条約」のII−2章28−1に記載された規定に基づいている。この規則では、海難等で船舶が傾斜した状態において、乗客及び乗組員の避難を妨げないために、傾斜した通路壁の上を歩行可能ならしめる強度を保持するように定めている。具体的には、通路壁の下端から0.5メートルの位置に750N/mの静荷重を負荷しても耐え得る強さを保持することを義務付けている。
【0012】
接着剤で一体化しない場合を想定した壁パネルBは、断熱材及び表装鋼板の3部材が単純に積層されたものと同一視できるため、その断面2次モーメントは、断熱材単独の断面2次モーメントと、表装鋼板2枚の断面2次モーメントを加算することによって求めることができる。断熱材は複数のブロックに分割されて壁パネル内に配置されており、例えば、100mm幅の断熱材が6本使用している場合を想定する。1本の断熱材を長手方向(高さ方向)を2100mmのスパンで両端単純支持し、片方の支持端から0.5mの位置に約28.4N/mの荷重を負荷させた場合の中央部の撓みは25mmであった。この荷重時撓み値から断面2次モーメントを逆算して6本分を合算すると、(1)0.0035cm4となる。なお、断熱材の負荷荷重は、壁パネルBに750N/mの荷重を負荷させた場合に断熱材に生じ得る荷重を考慮したものである。また、表装鋼板2枚分の断面2次モーメントを計算すると、(2)0.2032cm4となる。したがって、(1)と(2)の値を合算すると、接着剤で一体化しない場合を想定した壁パネルBの断面2次モーメントは、0.2067cm4となる。
【0013】
ここで、接着剤により一体化した壁パネルAの断面2次モーメントと、接着剤で一体化しない場合を想定して算出した壁パネルBの断面2次モーメントとを比較すると、壁パネルAの断面2次モーメントは壁パネルBの約26倍となっている。このことから、壁パネルの撓み強度保持に関して、接着剤が如何に大きな寄与をしているかを理解することができる。
【0014】
しかしながら、接着剤で壁パネルの強度を保持させた結果、断熱材及び表装鋼板の3部材を容易に分離することができず、接着剤を用いた壁パネルは、産業廃棄物として廃却しなければならない。また、接着剤を用いた壁パネルを焼却する場合には、接着剤成分が化学反応して有害物質を発生させる場合もある。したがって、循環型環境社会に向けた環境に優しい壁パネルを実用化していくためには、接着剤を使用せずに壁パネルを構成するとともに、壁パネルとしての耐火性や強度を担保させなければならない。
【0015】
リサイクルを考慮した接着剤を使用しない壁パネルとしては、例えば、特許文献4や特許文献5に記載された壁パネルが既に提案されている。これらの壁パネルは、パネル面を形成する板状のパネル本体の裏面に裏打ち材を固定した壁パネルである。そして、特許文献4に記載された壁パネルでは、パネル本体と裏打ち材の間に裏打ち材を保持する固定部材を使用し、特許文献5に記載された壁パネルでは、パネル本体の弾性変形を利用して裏打ち材を保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭60−35688号公報
【特許文献2】特開平4−353140号公報、図4及び図5
【特許文献3】特開平7−217064号公報、図3
【特許文献4】特開2003−27636号公報
【特許文献5】特開2003−27659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した特許文献4や特許文献5に記載された壁パネルでは、片面のみが意匠面を構成しているため、パネル本体の裏面に裏打ち材を保持する固定部材を配置したり、パネル本体の弾性変形を利用して裏打ち材を保持したりすることができるが、表裏両面が意匠面を構成する壁パネル(例えば、船舶の居住区等に使用される壁パネル)に使用することはできない。
【0018】
また、図13〜15に示した壁パネルのように、一対の表装鋼板を使用して壁パネルを構成した場合、表装鋼板の単価は一般に高いため、壁パネルのコストダウンを図るには、表装鋼板の使用量をできるだけ少なくする必要がある。
【0019】
さらに、接着剤を使用せずに壁パネルを構成するためには、機械的な手段で断熱材及び表装鋼板の3部材を連結しなければならないが、この連結手段が表裏両面に露出しないようにしなければならない。加えて、船舶の居住区等に使用される壁パネルでは、海上人命安全条約により求められる耐火性や強度を担保しなければならない。
【0020】
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、表裏両面を意匠面として使用することができ、表装鋼板の使用量が少なく、接着剤を使用することなく必要な耐火性や強度を担保することができ、リサイクルに最適かつ低コストな壁パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と、凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と、前記表装鋼板の折曲部と前記結合金具の肩部とを連結する締結具と、前記表装鋼板の間に埋設された断熱材と、前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具と、を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成したことを特徴とする壁パネルが提供される。
【0022】
前記表装鋼板の横幅は、撓み強度指数が2.0以上又は300mm以下であることが好ましい。また、前記結合金具の厚さは、前記表装鋼板の厚さよりも厚く構成されていることが好ましい。また、前記結合金具は、前記凹部又は前記凸部と前記肩部のパネル厚さ方向の割合が略均等であることが好ましい。また、前記締結具は、左側の接続位置と右側の接続位置が段違いにずれていることが好ましい。また、前記表装鋼板の折曲部には、前記締結具を装着する装着孔と、対峙する壁パネルの締結具の頭部を収納する収納孔と、が形成されていることが好ましい。また、前記脱落防止金具は、前記表装鋼板の間に挿入される挿入部と、前記表装鋼板の外側に配置される押さえ部と、を有することが好ましい。さらに、前記挿入部と前記表装鋼板との間には、前記結合金具と厚さを揃えるための平板金具が挿入されることが好ましい。
【0023】
また、本発明によれば、両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具とを形成する加工工程と、一方の前記表装鋼板に前記結合金具を締結具で連結する第一連結工程と、この表装鋼板上に断熱材を敷き詰める埋設工程と、他方の前記表装鋼板を被せて締結具で連結する第二連結工程と、前記脱落防止金具を上端及び下端に接続する接続工程と、を備えることを特徴とする壁パネルの製造方法が提供される。前記接続工程は、前記脱落防止金具を上端及び下端に挿し込んで接続する工程であってもよいし、前記接続工程前に、前記表装鋼板と前記結合金具の厚さを揃えるための平板金具を挿入する調節工程を有していてもよい。
【発明の効果】
【0024】
上述した本発明の壁パネル及びその製造方法によれば、表装鋼板の両端を単に折り曲げただけであるので、表装鋼板の素材の使用量が少なく、かつ加工が容易であり、表装鋼板の単価が高い素材の場合であってもコストダウンを図ることができる。また、結合金具の凸部と凹部を嵌合させて壁パネル同士を結合する構造を採用したことにより、壁パネル同士の結合に際しジョイントを使用する必要がなく、コストダウンを図ることができるとともに搬送及び組付が容易となる。また、表装鋼板の折曲部と結合金具の肩部で連結した構造を採用したことにより、接着剤を使用せずに表装鋼板と結合金具を連結することができるとともに、締結具が表装鋼板の表裏両面に露出することがなく、見栄えをよくすることができる。さらに、脱落防止金具を設けたことにより、断熱材の脱落を防止することができる。したがって、接着剤を使用することなく、壁パネルを構成することができる。
【0025】
また、従来の壁パネルよりも横幅を短く設定したり、結合金具の厚さを表装鋼板よりも厚くしたり、結合金具の凹凸部と肩部を略均等の割合で構成したりすることにより、パネルの強度を担保することができる。
【0026】
また、締結具の接続位置を段違いにすることにより、壁パネル同士を結合したときに、締結具の頭部同士が接触することがなく、壁パネル間の隙間を小さくすることができる。さらに、壁パネル同士を結合したときに、対峙する締結具の頭部を収納するようにしたことにより、より壁パネル間の隙間を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施形態を示す壁パネルの斜視図である。
【図2】図1におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図である。
【図3】図1におけるC矢視図及びD矢視部を示し、(A)はC矢視図、(B)はD矢視図である。
【図4】表装鋼板の折曲部の変形例を示す側面図であり、(A)は図1におけるC矢視図に相当し、(B)は図1におけるD矢視図に相当する。
【図5】図1に示した脱落防止金具を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。
【図6】脱落防止金具の変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、(C)は第三変形例、(D)は第四変形例、(E)は第五変形例である。
【図7】本発明の第二実施形態を示す壁パネルの斜視図である。
【図8】図6におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図である。
【図9】図6に示した脱落防止金具を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。
【図10】第一実施形態の壁パネルの製造方法を示す図であり、(A)は第一連結工程、(B)は埋設工程、(C)は第二連結工程、(D)は調節工程、(E)は接続工程を示している。
【図11】パネル幅と撓み強度の関係を示す図であり、(A)は従来の壁パネルの計測データ、(B)は本発明の壁パネルの計測データ、(C)はパネル幅と撓み強度指数の関係を示している。
【図12】防音試験結果を示す図である。
【図13】平板ジョイント方式の壁パネルを示し、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)は平板ジョイント方式の他の従来例、を示している。
【図14】H型ジョイント方式の壁パネルを示し、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、を示している。
【図15】ジョイントレス方式の壁パネルを示し、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)はジョイントレス方式の他の従来例、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図1〜図12を用いて説明する。ここで、図1は本発明の第一実施形態を示す壁パネルの斜視図であり、図2は図1におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図であり、図3は図1におけるC矢視図及びD矢視部を示し、(A)はC矢視図、(B)はD矢視図である。
【0029】
図1〜図3に示すように、本発明の壁パネルは、両端を内側に折り曲げた折曲部1aを有する一対の表装鋼板1,1と、凸部2a又は凹部2bと凸部2a又は凹部2bに連設された肩部2c,2cとを有する結合金具2と、表装鋼板1の折曲部1aと結合金具2の肩部2cとを連結する締結具3と、表装鋼板1,1の間に埋設された断熱材4と、表装鋼板1,1の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具5と、表装鋼板1と脱落防止金具5との間に挿入される平板金具6と、を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成したことを特徴とする。なお、図1では、断熱材4の図を省略してある。
【0030】
本発明の壁パネルは、ある壁パネルの凸部2aと他の壁パネルの凹部2bを嵌合することにより壁パネル同士を結合するようになっている。すなわち、本発明の壁パネルは、ジョイントレス方式の壁パネルに属する。かかるジョイントレス方式を採用したことにより、壁部材と別部材のジョイントが不要となり、コストダウンを図ることができるとともに搬送及び組付が容易となる。
【0031】
前記表装鋼板1には、例えば、0.7mmの板厚のものが使用される。一般に、船舶の居住区に用いる壁パネルの場合には、0.6mmの板厚のものが使用されているが、本発明では表装鋼板1そのものの強度を向上させるために、従来よりも厚い表装鋼板1を使用することが好ましい。壁パネルの横幅方向の強度は表装鋼板1の板厚の3乗に比例するため、例えば、0.7mmの板厚の表装鋼板1を使用した場合、従来の表装鋼板と比較して、(0.7/0.6)3、すなわち、約1.6倍だけ強度を向上させることができる。また、図2(A)及び(B)に示すように、表装鋼板1は両端に折曲部1aを有する。この折曲部1aの幅は、結合金具2との連結に必要な幅であればよく、例えば、4〜10mm程度であれば十分であり、好ましくは5〜7mmの範囲に設定される。したがって、表装鋼板1の製作にあたり、単価の高い素材の使用量を少なく抑えることができる。また、折曲部1aは、表装鋼板1の両端部を略90°に折り曲げているだけであるため、加工が容易であり、表装鋼板1の露出部の平面性に与える影響も少ない。また、図1に示すように、表装鋼板1の折曲部1aには、締結具3を装着するための装着孔1bが形成されている。
【0032】
また、図4に示すように、表装鋼板1の折曲部1aに対峙する壁パネルの締結具3の頭部を収納する収納孔1cを形成するようにしてもよい。図4は、表装鋼板の折曲部の変形例を示す側面図であり、(A)は図1におけるC矢視図に相当し、(B)は図1におけるD矢視図に相当する。図4(A)及び(B)に示すように、締結具3を装着する装着孔1bと収納孔1cとは、各々交互に形成されている。そして、図4(A)に示したC矢視図側の締結具3と図4(B)に示したD矢視図側の収納孔1cが対応する位置に配置されており、壁パネル同士を嵌合したときに、締結具3の頭部が収納孔1cに収納されるようになっている。また、図4(B)に示したD矢視図側の締結具3と図4(C)に示したC矢視図側の収納孔1cが対応する位置に配置されており、壁パネル同士を嵌合したときに、締結具3の頭部が収納孔1cに収納されるようになっている。かかる収納孔1cを形成することにより、締結具3の頭部が対峙する表装鋼板1の折曲部1aに接触して生ずる隙間を最小限まで小さくすることがき、パネル継目の美観を保つことができる。
【0033】
ここで、表装鋼板1の横幅W(=パネル幅)は、撓み強度指数が2.0以上又は300mm以下であることが好ましい。一般に、船舶の居住区に用いる壁パネルの場合には、600mmのパネル幅のものが使用されているが、本発明では壁パネルの強度を保持させるために、従来よりも狭い横幅Wの表装鋼板1を使用することが好ましい。ここで、図11は、パネル幅と撓み強度の関係を示す図であり、(A)は従来の壁パネルの計測データ、(B)は本発明の壁パネルの計測データ、(C)はパネル幅と撓み強度指数の関係を示している。なお、従来の壁パネルと本発明の壁パネルとして、後述する耐火試験に用いたものと同じ壁パネルを使用した。図11(A)及び(B)において、撓み強度指数は、図示した負荷を国際開示機関(以下、「IMO」という。)の規則で指定されているように荷重をパネル幅に比例させて負荷し直し、図示した撓みを修正した値を算出し、それをパネル幅600mmとの比率に換算したものである。したがって、撓み強度指数が1に近いほど従来の壁パネル(業界標準幅の如くなっている600mm幅の壁パネル)と略同じ強度であることを示し、撓み強度指数が大きくなるほど強度が向上していることがわかる。
【0034】
図11(C)において、従来の壁パネルを一点鎖線、本発明の壁パネルを実線で表示している。本図に示すように、従来の壁パネルでは、パネル幅が変化しても撓み強度指数の変化は少ない。これは、接着剤を使用して各構成部材を一体化しているためであると考えられる。一方、本発明の壁パネルでは、パネル幅(W)が400mm以下になると徐々に撓み強度指数が上昇し、パネル幅300mmでは2.2、パネル幅200mmでは4.0、パネル幅100mmに至っては10.0と急激に上昇している。このことは、本発明の壁パネルでは、パネル幅が短い方が強度的に有利であることを示している。しかし、パネル幅を短くし過ぎるとパネル枚数が増えてしまい却ってコストが高くなってしまうことになる。したがって、本発明の壁パネルでは、必要な強度やコスト等を比較考量したうえで最終的なパネル幅(=表装鋼板1の横幅W)が設定される。そして、その基準の1つとして、図11(C)の内容から、撓み強度指数が2.0以上であること又はパネル幅が300mm以下であることが導かれる。
【0035】
前記結合金具2は、凸部2aを有するものと、凹部2bを有するものの2種類が存在し、図1又は図2に示すように、表装鋼板1の一端に凸部2aを有する結合金具2を連結し、他端に凹部2bを有する結合金具2を連結するのが一般的である。これらの結合金具2は単価の安い鉄板で製作することができるが、従来の結合金具のように表層鋼板と同一厚さとせずに、表装鋼板1よりも2〜3倍程度厚い鉄板で構成することが好ましい。例えば、表装鋼板1の板厚が0.7mmの場合に、1.6〜2.3mm程度の板厚のものを使用するとよい。このように、結合金具2の板厚を、表装鋼板1よりも厚く構成することにより、壁パネルの強度を向上させることができる。なお、凸部2a及び凹部2bは断面コ字形状に限定されるものではなく、断面U字形状であってもよいし、断面無下底台形形状(下底のない台形形状)であってもよいし、断面V字形状であってもよい。
【0036】
結合金具2の肩部2cは、図2(A)及び(B)に示すように、断面L字形状に形成されており、脚部2dを有する。この場合、肩部2cの一面は表装鋼板1の折曲部1aに接触し、脚部2dの一面は表装鋼板1の裏面に接触することとなり、壁パネルの製造時において表装鋼板1の位置決めがし易い。また、脚部2dの長さLを長くすることにより、壁パネルの横幅W方向の強度を向上させることができる。例えば、脚部2dの長さLは、壁パネルの横幅Wに対して約5〜10%程度、好ましくは8%前後の長さに設定するとよい。なお、表装鋼板1の厚さや横幅Wを調節することによって十分な強度が達成できている場合には、脚部2dを省略して、凸部2a又は凹部2bに肩部2cのみを連設した結合金具2を使用してもよい。
【0037】
図2(A)に示す凸部2aの幅Th及び肩部2cの幅Tsは、Th/Ts=1程度にすることが好ましい。言い換えれば、凸部2aと肩部2c,2cのパネル厚さ方向の割合(肩部2c:凸部2a:肩部2c)が略均等の割合(概ね1:1:1)となるように設計することが好ましい。ここで、Th/Ts=1程度とは、結合金具2のパネル厚さ方向を3等分できない場合に、微調整する場合を含む趣旨である。例えば、表装鋼板1の厚さが0.7mmでパネル厚さTが25mmの壁パネルの場合には、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)に設定することが好ましく、パネル厚さTが50mmの壁パネルの場合には、(凸部2aのTh,肩部2cのTs)=(16.2mm,16.2mm)又は(16mm,16.3mm)に設定することが好ましい。また、パネル厚さTが25mmの壁パネルの場合に、凸部2aの幅Thを8mmとすれば十分な強度を保持することができると考えられるため、パネル厚さTが50mmの壁パネルの場合において、(凸部2aのTh,肩部2cのTs)=(8mm,20.3mm)と設定するようにしてもよい。さらに、パネル厚さTが50mmの壁パネルの場合において、強度を向上させるために、(凸部2aのTh,肩部2cのTs)=(24mm,12.3mm)と設定するようにしてもよい。なお、凹部2bの幅は、嵌合される凸部2aの幅Thによって定められる。
【0038】
ここで、表装鋼板1の板厚が0.7mm、パネル厚さTが25mmの壁パネルにおいて、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)に設定した場合の強度について検討する。図13(D)に示した従来の壁パネルにおいて、表装鋼板及び結合金具の板厚を0.6mm、(凹部の幅,肩部の幅)=(3.2mm,10.3mm)とした場合の断熱材を含めない断面2次モーメントを計算すると、(a)0.4041cm4となる。一方、表装鋼板1及び結合金具2の板厚を0.7mm、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)とした場合の断熱材を含めない断面2次モーメントを計算すると、凸部2aを有する結合金具2の断面2次モーメントが0.5205cm4、凹部2bを有する結合金具2の断面2次モーメントが0.5405cm4と求まるため、これらを合計すると、(b)1.061cm4となる。さらに、表装鋼板1の板厚を0.7mm、結合金具2の板厚を1.6mm、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)とした場合の断熱材を含めない断面2次モーメントを計算すると、凸部2aを有する結合金具2の断面2次モーメントが1.0596cm4、凹部2bを有する結合金具2の断面2次モーメントが1.1492cm4と求まるため、これらを合計すると、(c)2.2088cm4となる。ここで、(b)の断面2次モーメントと(a)の断面2次モーメントを比較すると約2.6倍となっており、これは主として結合構造にジョイントレス方式を採用したことによる効果である。また、(c)の断面2次モーメントと(b)の断面2次モーメントを比較すると約2.1倍となっており、これは主として結合金具2の板厚を表装鋼板1よりも厚くした効果である。最終的に、本発明の壁パネルでは、(c)の断面2次モーメントと(a)の断面2次モーメントを比較すると約5.5倍となっており、結合部の強度を格段に向上させることができる。
【0039】
次に、凸部2a又は凹部2bと肩部2c,2cのパネル厚さ方向の割合(肩部2c:凸部2a(又は凹部2b):肩部2c)の相違による強度について検討する。結合金具2の凸部2aと凹部2bの嵌合部の強度を評価するには、嵌合部で塑性変形が発生する強度を比較すればよい。塑性変形はその形状の最も弱い部分で発生するため、凸部2aを形成する突出部及び凹部2bを形成する2つの突出部における断面2次モーメントの大小を評価すればよい。ここで、比較対象として、板厚1.6mmの結合金具2において、凸部2a又は凹部2bと肩部2c,2cのパネル厚さ方向の割合(肩部2c:凸部2a(又は凹部2b):肩部2c)が、(d)4:2:4、(e)1:1:1のものを選出した。これらの凸部2aの断面2次モーメントは、(d)0.0055、(e)0.0356であり、凹部2bの断面2次モーメントは、(d)0.1046、(e)0.0684であった。これらの結果のうち強度が弱い断面2次モーメントが小さい値の方を選ぶと、(d)0.0055、(e)0.0356となる。したがって、(e)の結合金具2は、(d)の結合金具2と比較して、約6.5倍の強度を有する。
【0040】
前記締結具3は、表装鋼板1と結合金具2を連結することができるとともに、廃却時に取り外し可能なものが採用される。具体的には、ネジ、ビス、ボルト等のように工具を使用して取り付け及び取り外しできるものが使用される。締結具3の頭部は、連結する壁パネルの端面(表装鋼板1の折曲部1a)と接触するため、平坦に形成されている方がよい(例えば、皿ビス等)。
【0041】
前記断熱材4は、壁パネルの用途に応じて種々の素材のものが採用されるが、例えば、船舶の居住区に用いる壁パネルのように、耐火性や耐熱性が要求される場合には、ロックウールが採用される。図2(B)に示すように、断熱材4は表装鋼板1及び結合金具2の内部空間を充填するように埋設される。断熱材4は、例えば、壁パネルの幅方向や高さ方向に複数に分割された棒形状のブロック体により構成されている。また、結合金具2の内部まで断熱材4で充填するようにしてもよい。なお、断熱材4として、160Kg/m3程度の密度のものを使用することが好ましい。
【0042】
前記脱落防止金具5は、表装鋼板1,1の間に配置した断熱材4が上下の隙間から脱落しないようにするための金具である。ここで、図5は、図1に示した脱落防止金具5を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。脱落防止金具5は、図5(A)に示すように、幅wが壁パネルの横幅Wと同じ幅を有する長方形の鉄板の両端部を部分的に切り欠き、図5(B)に示すように、挿入部5aと押さえ部5bを形成するように折り曲げたものである。切欠部41は、鉄板の長手方向の両端部に形成される切り欠きであり、少なくとも結合金具2の凹凸形状を考慮して切り欠かれる。また、凹部2bを有する結合金具2側には、さらに切欠部42が形成される。この切欠部42は、脱落防止金具5が凹部2bを塞がないように切り欠かれる。図5(B)に示すように、略U字状の折曲部5cを形成することにより、凸形状の挿入部5aを形成することができるとともに、板バネ効果を有する押さえ部5bを形成することができる。挿入部5aの幅tは、壁パネルの厚さから表装鋼板1(2枚分)と結合金具2又は平板金具6(2枚分)の厚さを引いた値よりも小さくする必要がある。また、押さえ部5bの高さhは、壁パネルを据え付けるレールや固着枠の高さを超えない範囲に設定される。かかる構成の脱落防止金具5によれば、挿入するだけで脱落防止金具5を壁パネルの上端及び下端に接続することができ、壁パネルの見栄えを損なうことなく、断熱材4の脱落を防止することができる。また、壁パネルの廃却時においても脱落防止金具5を容易に取り外すことができ、分別やリサイクルに供することができる。さらに、脱落防止金具5は、壁パネルの横幅方向の強度を補強する部材としての効果も奏する。
【0043】
図6は、脱落防止金具5の変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、(C)は第三変形例、(D)は第四変形例、(E)は第五変形例である。図6(A)に示す第一変形例は、図4(A)に示した切欠部42を切欠部41の形成範囲まで拡張した切欠部61を形成したものである。図6(B)に示した第二変形例は、図6(A)に示した切欠部41及び切欠部61の切り欠き位置に合わせて押さえ部5bの幅wを短く形成したものである。図6(C)に示した第三変形例は、挿入部5aの幅tを表装鋼板1,1間の幅と略同じ幅に形成したものである。かかる第三変形例では、結合金具2と表装鋼板1の段差部が生じない範囲に挿し込む必要があるため、脱落防止金具5の幅wも結合金具2を避けた長さに設定される。図6(D)に示した第四変形例は、断面コ字形状に形成した脱落防止金具5を表装鋼板1の外側から嵌め込んで締結具62で締結したものである。締結具62には、取り付け及び取り外し可能なネジ、ビス、ボルト等が採用される。この場合、表装鋼板1の外側から接続されるため、高さhは壁パネルを据え付けるレールや固着枠の高さを超えない範囲に設定される。また、図示しないが、断面コ字状の開放端側の間隔を狭くして脱落防止金具5の弾性力により保持して締結具62を省略するようにしてもよい。図6(E)に示した第五変形例は、断面コ字形状に形成した脱落防止金具5を表装鋼板1の内側に嵌め込んで締結具62で締結したものである。締結具62には、取り付け及び取り外し可能なネジ、ビス、ボルト等が採用される。この場合、表装鋼板1の表面に脱落防止金具5が露出しないため、高さhに制限はなく、強度面を考慮して任意に高さhを設定することができる。また、図示しないが、断面コ字状の開放端側の間隔を広くして脱落防止金具5の弾性力により保持して締結具62を省略するようにしてもよい。
【0044】
前記平板金具6は、結合金具2の脚部2dと表装鋼板1の段差を埋めるための補助金具である。本発明の第一実施形態では、図2(A)に示すように、脱落防止金具5の挿入部5aを結合金具2の間にも挿し込むようにしているために、脱落防止金具5の挿入部5aと表装鋼板1の内面との間に結合金具2の厚さ分だけの隙間が生ずる。この隙間を結合金具2の厚さと同じ厚さの平板状の平板金具6で埋めることにより、脱落防止金具5の係止力を向上させている。また、平板金具6を挿入することにより、壁パネルの横幅(W)方向の強度を補強することもできる。もちろん、脱落防止金具5の係止力や壁パネルの強度が十分な場合は、平板金具6を省略してもよい。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。ここで、図7は本発明の第ニ実施形態を示す壁パネルの斜視図であり、図8は図7におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図である。なお、図1等に示した第一実施形態の壁パネルと同じ構成部品については同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0046】
図7及び図8に示すように、本発明の第ニ実施形態を示す壁パネルは、両端の結合金具2が両方とも凹部2bを有する結合金具2を使用している。かかる第二実施形態の壁パネルは、例えば、複数の壁パネルを据え付けたときの末端に配置される壁パネルや、両側から壁パネルを据え付けたときの中央部に配置される壁パネルに使用される。このように、両端に凹部2bを有する結合金具2を接続した場合には、脱落防止金具5の形状を変更する必要がある。ここで、図9は、図7に示した脱落防止金具5を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。図9(A)に示すように、第二実施形態の脱落防止金具5では、凹部2bを塞がないように、両端に切欠部42が形成されている。かかる脱落防止金具5を使用することにより、図8(A)に示すように、挿入部5aが凹部2bを塞ぐことなく脱落防止金具5を表装鋼板1,1の間に挿し込むことができる。その他の構成については、基本的に第一実施形態と同様である。
【0047】
次に、図1に示した第一実施形態の壁パネルの製造方法について説明する。ここで、図10は、第一実施形態の壁パネルの製造方法を示す図であり、(A)は第一連結工程、(B)は埋設工程、(C)は第二連結工程、(D)は調節工程、(E)は接続工程を示している。
【0048】
本発明の壁パネルの製造方法は、両端を内側に折り曲げた折曲部1aを有する一対の表装鋼板1,1、凸部2a及び凹部2bと凸部2a及び凹部2bに連設された肩部2c,2cとを有する結合金具2、表装鋼板1の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具5及び表装鋼板1と結合金具2の厚さを揃えるための平板金具6を形成する加工工程を有する。表装鋼板1、結合金具2、脱落防止金具5及び平板金具6は、いずれも薄い鋼板により構成されるため、手作業やプレス機等で容易に加工することができる。
【0049】
図10(A)に示す第一連結工程は、一方の表装鋼板1に結合金具2を締結具3で連結する工程である。ここでは、凸部2aを有する結合金具2と、凹部2bを有する結合金具2を両端に連結する場合を図示している。具体的には、表装鋼板1の内側を上にした状態で、各結合金具2の肩部2cを表装鋼板1の折曲部1aに沿うように配置して、外側(折曲部1a側)から締結具3を締め付けて表装鋼板1と各結合金具2を連結する。
【0050】
図10(B)に示す埋設工程は、第一連結工程後の表装鋼板1上に断熱材4を敷き詰める工程である。断熱材4は、予め所定の形状のブロック体に形成しておいてもよいし、その場で形状を整えながら敷き詰めるようにしてもよい。
【0051】
図10(C)に示す第二連結工程は、埋設工程後の結合体上に他方の表装鋼板1を被せて締結具3で連結する工程である。具体的には、表装鋼板1の内側を下にした状態で、各結合金具2の肩部2cに折曲部1aを沿うように配置して、外側(折曲部1a側)から締結具3を締め付けて表装鋼板1と各結合金具2を連結する。
【0052】
図10(D)に示す調節工程は、表装鋼板1,1と結合金具2の厚さを揃えるための平板金具6を挿入する工程である。かかる平板金具6を挿入することにより、結合金具2と表装鋼板1の段差をなくすことができる。なお、図6(C)〜(E)に示した第三〜第五変形例の脱落防止金具5を使用する場合には、平板金具6は不要であるため、この調節工程を省略することができる。
【0053】
図10(E)に示す接続工程は、脱落防止金具5を上端及び下端に挿し込んで接続する工程である。具体的には、図5に示した脱落防止金具5の挿入部5aを平板金具6,6の間に挿入し、押さえ部5bを表装鋼板1の外側に配置させて脱落防止金具5を接続する。また、図6(D)又は(E)に示した第四又は第五変形例の脱落防止金具5を使用する場合には、脱落防止金具5を挿し込んだ後、締結具62で脱落防止金具5を固定する。
【0054】
上述した本発明の壁パネルの製造方法によれば、接着剤を使用することなく壁パネルを構成することができる。また、脱落防止金具5を接続したことにより、搬送時や据付時等における断熱材4の脱落を防止することができる。さらに、表装鋼板1と結合金具2の連結に取り外し可能な締結具3を使用したことにより、壁パネルの製造のみならず、壁パネルの廃却時においても容易に壁パネルを分解することができ、分別やリサイクルに効果的である。
【0055】
ここで、本発明の壁パネルの効果について説明する。本発明の壁パネルのサイズを、厚さT×横幅W×高さH=25mm×300mm×2465mmとし、表装鋼板1の厚さを0.7mmとし、結合金具2の厚さを2.3mmとし、断熱材4の密度を160Kg/m3とした。かかる構成の壁パネル7枚を連設し、両端に横幅が150mmの壁パネルを接続して総幅2400mmの仕切り壁を形成した。そして、IMOのA.754(18)(November22,1993)「A級、B級及びF級仕切りの耐火試験の勧告」及びIMO海上安全委員会決議61(67)「火災試験方法の適用に関する国際コード」Annex1−Part3の試験方法に従って耐火試験を実施した結果、本発明の壁パネルは、社団法人日本船舶協会製品安全評価センターにより「B−0級仕切り壁」としての要求基準を満たしていると判定された。
【0056】
次に、上述した耐火試験と同様の壁パネル3枚を連設して強度試験を行った。試験架台に連設したパネルを載置して、2100mmスパンで単純支持した後、支持端から500mmの位置を中心として左右各175mm(全幅で350mm)の範囲の等分布荷重で880N/mの荷重を架けた。1974年の海上における人命の安全のための国際条約(以下、「SOLAS条約」という。)の規定によれば、この条件でパネルの最大撓みが5mm以下であればよいところ、本発明の壁パネルの最大撓みは5.0mmであり、SOLAS条約の規定を満足していることが確認できた。また、試験後の壁パネルの塑性変形も生じていなかった。
【0057】
続いて、上述した耐火試験と同様の壁パネルを用いて防音試験を行った。試験方法は、ISO(140−3)及びJIS(A1416)に従った。ここで、図12は、防音試験結果を示す図であり、●は図13(D)に示した従来の壁パネル(25mm厚)、○は本発明の壁パネルの測定結果を示している。また、一点鎖線の折れ線は従来の壁パネルの測定結果に対応する基準曲線、二点鎖線の折れ線は本発明の壁パネルの測定結果に対応する基準曲線を示している。また、測定結果の評価方法には重みづけ法を使用している。重みづけ法とは、測定によって得られた結果を基準曲線により評価する方法であり、各周波数における測定値をプロットして結んだ曲線に対して、基準曲線を1dBステップで上下させ、基準曲線を下回る値の総和が規定の値(1/3オクターブバンド測定の場合=32dB)を上回らない範囲で、できるだけ大きくなるところまで移動させ、そのときの500Hzにおける値で表現したものである。この方法で評価された値は、「重みつき音響透過損失(Rw)」として表現される。
【0058】
図12に示すように、従来の壁パネルにおける重みつき音響透過損失(Rw)は32dBであるのに対し、本発明の壁パネルにおける重みつき音響透過損失(Rw)は38dBであった。一般に、音響透過損失を向上させるには壁パネルの重量を増加させるのが最も有効な手段であり、例えば、音響透過損失を約5dB向上させるには壁パネルの重量を約2倍にしなければならない。しかしながら、かかる手段は現実的ではなく、5dBの音響透過損失向上がどれほど困難であるかが理解される。一方で、本発明の壁パネルでは、重みつき音響透過損失(Rw)を6dBも向上させるという極めて優秀な結果を示した。かかる優秀な遮音性能の最大の要因は、壁パネルの製造時に接着剤を使用していないことにあると推測される。従来の壁パネルは接着剤を使用して各構成部材を一体化してしまうため、壁パネルは1個体としての固有振動数を持つことになる。従来の壁パネルは、図12に示すように、約4000Hzに固有振動数による音響透過損失の落ち込みが現れている。この固有振動数による音響透過損失の落ち込みが250Hz〜4000Hzにおいても音響透過損失性能が上がらない要因となっている。
【0059】
しかしながら、本発明の壁パネルでは接着剤を使用して構成部材を一体化していないことにより、各構成部材は各々の固有振動数を有するが、パネル全体としての固有振動数を持たない。もちろん、各構成部材の固有振動数は各々異なる値である。したがって、ある構成部材の騒音伝播上の弱点周波数(=固有振動数)は、他の構成部材はその周波数を透過させないため、パネル全体としては騒音伝播上の弱点周波数(=固有振動数)を持たないこととなる。これは、図12に示すように、特定の周波数における音響透過損失の落ち込みが現れていないことからも容易に理解することができる。その結果、250Hz〜4000Hzの範囲における音響透過損失性能が、従来の壁パネルと比較して著しく向上している。加えて、本発明の壁パネルにおける遮音性能には、凹凸の結合金具2を使用して壁パネル同士の隙間が極力少なくなるように嵌合させる構造としたことも寄与しているものと推測される。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 表装鋼板
1a 折曲部
1b 装着孔
1c 収納孔
2 結合金具
2a 凸部
2b 凹部
2c 肩部
2d 脚部
3,62 締結具
4 断熱材
5 脱落防止金具
5a 挿入部
5b 押さえ部
5c 折曲部
6 平板金具
41,42,61 切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の居住区等に使用される壁パネル及びその製造方法に関し、特に、接着剤を使用することなく構成したことを特徴とする壁パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の居住区等に使用される壁パネルには、例えば、図13〜図15に示すような壁パネルが使用されている。ここで、図13は平板ジョイント方式の壁パネル、図14はH型ジョイント方式の壁パネル、図15はジョイントレス方式の壁パネルを示している。
【0003】
図13において、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)は平板ジョイント方式の他の従来例、を示している。図13(A)に示す壁パネル131は、両端部が内側に折り曲げられた表装鋼板132と、両端部が内側に折り曲げられるとともに平板ジョイント135を挿入するための凹部133aを形成した表装鋼板133と、表装鋼板132,133の間に充填されたロックウール134とから構成されている。なお、ロックウール134は表装鋼板132,133に接着剤で接合されている。図13(B)に示すように、壁パネル131同士の凹部133aの位置を合わせて、両方の凹部133aに平板ジョイント135を挿入し、壁パネル131同士の端部を突き合わせると、図13(C)に示す状態となる。
【0004】
また、図13(D)に示す壁パネル136は、両端部が内側に折り曲げられた一対の表装鋼板131と、表装鋼板131の両端部に接合された略凹字形状の接合金具137と、表装鋼板131間に充填されたロックウール134とから構成されている。なお、ロックウール134は表装鋼板131及び接合金具137に接着剤で接合されている。かかる壁パネル136では、接合金具137の凹部に平板ジョイント135が挿入され、壁パネル136同士が結合される。図13(D)に示した壁パネル136と同種の壁パネルについては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
図14において、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、を示している。図14(A)に示す壁パネル141は、両端部が内側に折り曲げられるとともにH型ジョイント144を挿入するための凹部142aを形成した一対の表装鋼板142と、表装鋼板142間に充填されたロックウール143とから構成されている。なお、ロックウール143は表装鋼板142に接着剤で接合されている。図14(B)に示すように、壁パネル141同士の凹部142aの位置を合わせて、両方の凹部142aにH型ジョイント144を挿入し、壁パネル141同士の端部を突き合わせると、図14(C)に示す状態となる。
【0006】
図15において、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)はジョイントレス方式の他の従来例、を示している。図15(A)に示す壁パネル151は、一端が内側に階段状に折り曲げられるとともに他端が内側に折り返された一対の表装鋼板152と、表装鋼板152の折り返し部に装着される略コ字形状の金具153と、表装鋼板152及び金具153の間に充填されたロックウール154とから構成されている。かかる表装鋼板152の折り曲げ部及び折り返し部の方向を合わせて組み付けると、図15(A)に示すように、凸部151aと凹部151bが形成される。なお、金具153は表装鋼板152の折り返し部に挟持されており、ロックウール154は表装鋼板152及び金具153に接着剤により接合されている。図15(B)に示すように、壁パネル151同士の凸部151aと凹部151bを対峙させて、一方の凹部151bに他方の凸部151aを挿入し、壁パネル151同士の端部を合わせると、図15(C)に示す状態となる。
【0007】
また、図15(D)に示す壁パネル155は、一端が内側に階段状に折り曲げられるとともに他端が内側に折り返された一対の表装鋼板156と、表装鋼板156間に充填されたロックウール157とから構成されている。図15(A)に示した金具153を、表装鋼板156そのものを加工成形することで代用したものである。なお、ロックウール157は表装鋼板156に接着剤で接合されている。壁パネル156同士の凸部156aと凹部156bを対峙させて、一方の凹部156bに他方の凸部156aを挿入し、壁パネル156同士の端部を合わせて壁パネル156同士を結合する。
【0008】
さらに、ジョイントレス方式の壁パネルには、特許文献2及び3に示すように、両端部に略凸字形状の金具又は略凹字形状の金具を接続したものも開示されている。これらの特許文献に開示された壁パネルは、平板状の表装鋼板の端部又は裏面に略凸字形状又は略凹字形状の金具を固定したものである。
【0009】
上述した従来の壁パネルのような軽量耐火サンドイッチパネルにおいては、パネル間の結合方式には種々のものが採用されるが、パネルそのものの基本的な構成は、ロックウール等の断熱材を2枚の表装鋼板間に挿入した3部材により構成される。そして、これらの3部材を接着力の強い接着剤を用いて相互接着することにより一体化し、パネルとしての強度(撓み強度又は曲げ強度)を保持させているのが一般的である。
【0010】
パネルの撓み強度に対する接着剤の寄与の大きさは、次の二つの断面2次モーメントを比較することにより把握することができる。例えば、図13(A)に記載した従来の壁パネル(壁パネルの厚さ:25mm、壁パネルの幅:600mm、表装鋼板の厚さ:0.6mm)において、接着剤により一体化した壁パネルAの断面2次モーメントと、接着剤で一体化しない場合を想定して算出した壁パネルBの断面2次モーメントとを比較する。
【0011】
接着剤により一体化した壁パネルAの断面2次モーメントは、壁パネルAの荷重時撓み値から逆算して求めることができる。壁パネルAの長手方向(高さ方向)を2100mmのスパンで両端単純支持し、片方の支持端から0.5mの位置に750N/mの荷重を負荷させた場合の中央部の撓みは6mmであった。この荷重時撓み値から断面2次モーメントを逆算すると、5.4437cm4となる。なお、撓み試験の内容は、「海上人命安全条約」のII−2章28−1に記載された規定に基づいている。この規則では、海難等で船舶が傾斜した状態において、乗客及び乗組員の避難を妨げないために、傾斜した通路壁の上を歩行可能ならしめる強度を保持するように定めている。具体的には、通路壁の下端から0.5メートルの位置に750N/mの静荷重を負荷しても耐え得る強さを保持することを義務付けている。
【0012】
接着剤で一体化しない場合を想定した壁パネルBは、断熱材及び表装鋼板の3部材が単純に積層されたものと同一視できるため、その断面2次モーメントは、断熱材単独の断面2次モーメントと、表装鋼板2枚の断面2次モーメントを加算することによって求めることができる。断熱材は複数のブロックに分割されて壁パネル内に配置されており、例えば、100mm幅の断熱材が6本使用している場合を想定する。1本の断熱材を長手方向(高さ方向)を2100mmのスパンで両端単純支持し、片方の支持端から0.5mの位置に約28.4N/mの荷重を負荷させた場合の中央部の撓みは25mmであった。この荷重時撓み値から断面2次モーメントを逆算して6本分を合算すると、(1)0.0035cm4となる。なお、断熱材の負荷荷重は、壁パネルBに750N/mの荷重を負荷させた場合に断熱材に生じ得る荷重を考慮したものである。また、表装鋼板2枚分の断面2次モーメントを計算すると、(2)0.2032cm4となる。したがって、(1)と(2)の値を合算すると、接着剤で一体化しない場合を想定した壁パネルBの断面2次モーメントは、0.2067cm4となる。
【0013】
ここで、接着剤により一体化した壁パネルAの断面2次モーメントと、接着剤で一体化しない場合を想定して算出した壁パネルBの断面2次モーメントとを比較すると、壁パネルAの断面2次モーメントは壁パネルBの約26倍となっている。このことから、壁パネルの撓み強度保持に関して、接着剤が如何に大きな寄与をしているかを理解することができる。
【0014】
しかしながら、接着剤で壁パネルの強度を保持させた結果、断熱材及び表装鋼板の3部材を容易に分離することができず、接着剤を用いた壁パネルは、産業廃棄物として廃却しなければならない。また、接着剤を用いた壁パネルを焼却する場合には、接着剤成分が化学反応して有害物質を発生させる場合もある。したがって、循環型環境社会に向けた環境に優しい壁パネルを実用化していくためには、接着剤を使用せずに壁パネルを構成するとともに、壁パネルとしての耐火性や強度を担保させなければならない。
【0015】
リサイクルを考慮した接着剤を使用しない壁パネルとしては、例えば、特許文献4や特許文献5に記載された壁パネルが既に提案されている。これらの壁パネルは、パネル面を形成する板状のパネル本体の裏面に裏打ち材を固定した壁パネルである。そして、特許文献4に記載された壁パネルでは、パネル本体と裏打ち材の間に裏打ち材を保持する固定部材を使用し、特許文献5に記載された壁パネルでは、パネル本体の弾性変形を利用して裏打ち材を保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭60−35688号公報
【特許文献2】特開平4−353140号公報、図4及び図5
【特許文献3】特開平7−217064号公報、図3
【特許文献4】特開2003−27636号公報
【特許文献5】特開2003−27659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した特許文献4や特許文献5に記載された壁パネルでは、片面のみが意匠面を構成しているため、パネル本体の裏面に裏打ち材を保持する固定部材を配置したり、パネル本体の弾性変形を利用して裏打ち材を保持したりすることができるが、表裏両面が意匠面を構成する壁パネル(例えば、船舶の居住区等に使用される壁パネル)に使用することはできない。
【0018】
また、図13〜15に示した壁パネルのように、一対の表装鋼板を使用して壁パネルを構成した場合、表装鋼板の単価は一般に高いため、壁パネルのコストダウンを図るには、表装鋼板の使用量をできるだけ少なくする必要がある。
【0019】
さらに、接着剤を使用せずに壁パネルを構成するためには、機械的な手段で断熱材及び表装鋼板の3部材を連結しなければならないが、この連結手段が表裏両面に露出しないようにしなければならない。加えて、船舶の居住区等に使用される壁パネルでは、海上人命安全条約により求められる耐火性や強度を担保しなければならない。
【0020】
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、表裏両面を意匠面として使用することができ、表装鋼板の使用量が少なく、接着剤を使用することなく必要な耐火性や強度を担保することができ、リサイクルに最適かつ低コストな壁パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と、凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と、前記表装鋼板の折曲部と前記結合金具の肩部とを連結する締結具と、前記表装鋼板の間に埋設された断熱材と、前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具と、を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成したことを特徴とする壁パネルが提供される。
【0022】
前記表装鋼板の横幅は、撓み強度指数が2.0以上又は300mm以下であることが好ましい。また、前記結合金具の厚さは、前記表装鋼板の厚さよりも厚く構成されていることが好ましい。また、前記結合金具は、前記凹部又は前記凸部と前記肩部のパネル厚さ方向の割合が略均等であることが好ましい。また、前記締結具は、左側の接続位置と右側の接続位置が段違いにずれていることが好ましい。また、前記表装鋼板の折曲部には、前記締結具を装着する装着孔と、対峙する壁パネルの締結具の頭部を収納する収納孔と、が形成されていることが好ましい。また、前記脱落防止金具は、前記表装鋼板の間に挿入される挿入部と、前記表装鋼板の外側に配置される押さえ部と、を有することが好ましい。さらに、前記挿入部と前記表装鋼板との間には、前記結合金具と厚さを揃えるための平板金具が挿入されることが好ましい。
【0023】
また、本発明によれば、両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具とを形成する加工工程と、一方の前記表装鋼板に前記結合金具を締結具で連結する第一連結工程と、この表装鋼板上に断熱材を敷き詰める埋設工程と、他方の前記表装鋼板を被せて締結具で連結する第二連結工程と、前記脱落防止金具を上端及び下端に接続する接続工程と、を備えることを特徴とする壁パネルの製造方法が提供される。前記接続工程は、前記脱落防止金具を上端及び下端に挿し込んで接続する工程であってもよいし、前記接続工程前に、前記表装鋼板と前記結合金具の厚さを揃えるための平板金具を挿入する調節工程を有していてもよい。
【発明の効果】
【0024】
上述した本発明の壁パネル及びその製造方法によれば、表装鋼板の両端を単に折り曲げただけであるので、表装鋼板の素材の使用量が少なく、かつ加工が容易であり、表装鋼板の単価が高い素材の場合であってもコストダウンを図ることができる。また、結合金具の凸部と凹部を嵌合させて壁パネル同士を結合する構造を採用したことにより、壁パネル同士の結合に際しジョイントを使用する必要がなく、コストダウンを図ることができるとともに搬送及び組付が容易となる。また、表装鋼板の折曲部と結合金具の肩部で連結した構造を採用したことにより、接着剤を使用せずに表装鋼板と結合金具を連結することができるとともに、締結具が表装鋼板の表裏両面に露出することがなく、見栄えをよくすることができる。さらに、脱落防止金具を設けたことにより、断熱材の脱落を防止することができる。したがって、接着剤を使用することなく、壁パネルを構成することができる。
【0025】
また、従来の壁パネルよりも横幅を短く設定したり、結合金具の厚さを表装鋼板よりも厚くしたり、結合金具の凹凸部と肩部を略均等の割合で構成したりすることにより、パネルの強度を担保することができる。
【0026】
また、締結具の接続位置を段違いにすることにより、壁パネル同士を結合したときに、締結具の頭部同士が接触することがなく、壁パネル間の隙間を小さくすることができる。さらに、壁パネル同士を結合したときに、対峙する締結具の頭部を収納するようにしたことにより、より壁パネル間の隙間を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施形態を示す壁パネルの斜視図である。
【図2】図1におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図である。
【図3】図1におけるC矢視図及びD矢視部を示し、(A)はC矢視図、(B)はD矢視図である。
【図4】表装鋼板の折曲部の変形例を示す側面図であり、(A)は図1におけるC矢視図に相当し、(B)は図1におけるD矢視図に相当する。
【図5】図1に示した脱落防止金具を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。
【図6】脱落防止金具の変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、(C)は第三変形例、(D)は第四変形例、(E)は第五変形例である。
【図7】本発明の第二実施形態を示す壁パネルの斜視図である。
【図8】図6におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図である。
【図9】図6に示した脱落防止金具を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。
【図10】第一実施形態の壁パネルの製造方法を示す図であり、(A)は第一連結工程、(B)は埋設工程、(C)は第二連結工程、(D)は調節工程、(E)は接続工程を示している。
【図11】パネル幅と撓み強度の関係を示す図であり、(A)は従来の壁パネルの計測データ、(B)は本発明の壁パネルの計測データ、(C)はパネル幅と撓み強度指数の関係を示している。
【図12】防音試験結果を示す図である。
【図13】平板ジョイント方式の壁パネルを示し、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)は平板ジョイント方式の他の従来例、を示している。
【図14】H型ジョイント方式の壁パネルを示し、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、を示している。
【図15】ジョイントレス方式の壁パネルを示し、(A)は壁パネルの水平断面図、(B)は壁パネル同士を結合する前の状態、(C)は壁パネル同士を結合した状態、(D)はジョイントレス方式の他の従来例、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図1〜図12を用いて説明する。ここで、図1は本発明の第一実施形態を示す壁パネルの斜視図であり、図2は図1におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図であり、図3は図1におけるC矢視図及びD矢視部を示し、(A)はC矢視図、(B)はD矢視図である。
【0029】
図1〜図3に示すように、本発明の壁パネルは、両端を内側に折り曲げた折曲部1aを有する一対の表装鋼板1,1と、凸部2a又は凹部2bと凸部2a又は凹部2bに連設された肩部2c,2cとを有する結合金具2と、表装鋼板1の折曲部1aと結合金具2の肩部2cとを連結する締結具3と、表装鋼板1,1の間に埋設された断熱材4と、表装鋼板1,1の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具5と、表装鋼板1と脱落防止金具5との間に挿入される平板金具6と、を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成したことを特徴とする。なお、図1では、断熱材4の図を省略してある。
【0030】
本発明の壁パネルは、ある壁パネルの凸部2aと他の壁パネルの凹部2bを嵌合することにより壁パネル同士を結合するようになっている。すなわち、本発明の壁パネルは、ジョイントレス方式の壁パネルに属する。かかるジョイントレス方式を採用したことにより、壁部材と別部材のジョイントが不要となり、コストダウンを図ることができるとともに搬送及び組付が容易となる。
【0031】
前記表装鋼板1には、例えば、0.7mmの板厚のものが使用される。一般に、船舶の居住区に用いる壁パネルの場合には、0.6mmの板厚のものが使用されているが、本発明では表装鋼板1そのものの強度を向上させるために、従来よりも厚い表装鋼板1を使用することが好ましい。壁パネルの横幅方向の強度は表装鋼板1の板厚の3乗に比例するため、例えば、0.7mmの板厚の表装鋼板1を使用した場合、従来の表装鋼板と比較して、(0.7/0.6)3、すなわち、約1.6倍だけ強度を向上させることができる。また、図2(A)及び(B)に示すように、表装鋼板1は両端に折曲部1aを有する。この折曲部1aの幅は、結合金具2との連結に必要な幅であればよく、例えば、4〜10mm程度であれば十分であり、好ましくは5〜7mmの範囲に設定される。したがって、表装鋼板1の製作にあたり、単価の高い素材の使用量を少なく抑えることができる。また、折曲部1aは、表装鋼板1の両端部を略90°に折り曲げているだけであるため、加工が容易であり、表装鋼板1の露出部の平面性に与える影響も少ない。また、図1に示すように、表装鋼板1の折曲部1aには、締結具3を装着するための装着孔1bが形成されている。
【0032】
また、図4に示すように、表装鋼板1の折曲部1aに対峙する壁パネルの締結具3の頭部を収納する収納孔1cを形成するようにしてもよい。図4は、表装鋼板の折曲部の変形例を示す側面図であり、(A)は図1におけるC矢視図に相当し、(B)は図1におけるD矢視図に相当する。図4(A)及び(B)に示すように、締結具3を装着する装着孔1bと収納孔1cとは、各々交互に形成されている。そして、図4(A)に示したC矢視図側の締結具3と図4(B)に示したD矢視図側の収納孔1cが対応する位置に配置されており、壁パネル同士を嵌合したときに、締結具3の頭部が収納孔1cに収納されるようになっている。また、図4(B)に示したD矢視図側の締結具3と図4(C)に示したC矢視図側の収納孔1cが対応する位置に配置されており、壁パネル同士を嵌合したときに、締結具3の頭部が収納孔1cに収納されるようになっている。かかる収納孔1cを形成することにより、締結具3の頭部が対峙する表装鋼板1の折曲部1aに接触して生ずる隙間を最小限まで小さくすることがき、パネル継目の美観を保つことができる。
【0033】
ここで、表装鋼板1の横幅W(=パネル幅)は、撓み強度指数が2.0以上又は300mm以下であることが好ましい。一般に、船舶の居住区に用いる壁パネルの場合には、600mmのパネル幅のものが使用されているが、本発明では壁パネルの強度を保持させるために、従来よりも狭い横幅Wの表装鋼板1を使用することが好ましい。ここで、図11は、パネル幅と撓み強度の関係を示す図であり、(A)は従来の壁パネルの計測データ、(B)は本発明の壁パネルの計測データ、(C)はパネル幅と撓み強度指数の関係を示している。なお、従来の壁パネルと本発明の壁パネルとして、後述する耐火試験に用いたものと同じ壁パネルを使用した。図11(A)及び(B)において、撓み強度指数は、図示した負荷を国際開示機関(以下、「IMO」という。)の規則で指定されているように荷重をパネル幅に比例させて負荷し直し、図示した撓みを修正した値を算出し、それをパネル幅600mmとの比率に換算したものである。したがって、撓み強度指数が1に近いほど従来の壁パネル(業界標準幅の如くなっている600mm幅の壁パネル)と略同じ強度であることを示し、撓み強度指数が大きくなるほど強度が向上していることがわかる。
【0034】
図11(C)において、従来の壁パネルを一点鎖線、本発明の壁パネルを実線で表示している。本図に示すように、従来の壁パネルでは、パネル幅が変化しても撓み強度指数の変化は少ない。これは、接着剤を使用して各構成部材を一体化しているためであると考えられる。一方、本発明の壁パネルでは、パネル幅(W)が400mm以下になると徐々に撓み強度指数が上昇し、パネル幅300mmでは2.2、パネル幅200mmでは4.0、パネル幅100mmに至っては10.0と急激に上昇している。このことは、本発明の壁パネルでは、パネル幅が短い方が強度的に有利であることを示している。しかし、パネル幅を短くし過ぎるとパネル枚数が増えてしまい却ってコストが高くなってしまうことになる。したがって、本発明の壁パネルでは、必要な強度やコスト等を比較考量したうえで最終的なパネル幅(=表装鋼板1の横幅W)が設定される。そして、その基準の1つとして、図11(C)の内容から、撓み強度指数が2.0以上であること又はパネル幅が300mm以下であることが導かれる。
【0035】
前記結合金具2は、凸部2aを有するものと、凹部2bを有するものの2種類が存在し、図1又は図2に示すように、表装鋼板1の一端に凸部2aを有する結合金具2を連結し、他端に凹部2bを有する結合金具2を連結するのが一般的である。これらの結合金具2は単価の安い鉄板で製作することができるが、従来の結合金具のように表層鋼板と同一厚さとせずに、表装鋼板1よりも2〜3倍程度厚い鉄板で構成することが好ましい。例えば、表装鋼板1の板厚が0.7mmの場合に、1.6〜2.3mm程度の板厚のものを使用するとよい。このように、結合金具2の板厚を、表装鋼板1よりも厚く構成することにより、壁パネルの強度を向上させることができる。なお、凸部2a及び凹部2bは断面コ字形状に限定されるものではなく、断面U字形状であってもよいし、断面無下底台形形状(下底のない台形形状)であってもよいし、断面V字形状であってもよい。
【0036】
結合金具2の肩部2cは、図2(A)及び(B)に示すように、断面L字形状に形成されており、脚部2dを有する。この場合、肩部2cの一面は表装鋼板1の折曲部1aに接触し、脚部2dの一面は表装鋼板1の裏面に接触することとなり、壁パネルの製造時において表装鋼板1の位置決めがし易い。また、脚部2dの長さLを長くすることにより、壁パネルの横幅W方向の強度を向上させることができる。例えば、脚部2dの長さLは、壁パネルの横幅Wに対して約5〜10%程度、好ましくは8%前後の長さに設定するとよい。なお、表装鋼板1の厚さや横幅Wを調節することによって十分な強度が達成できている場合には、脚部2dを省略して、凸部2a又は凹部2bに肩部2cのみを連設した結合金具2を使用してもよい。
【0037】
図2(A)に示す凸部2aの幅Th及び肩部2cの幅Tsは、Th/Ts=1程度にすることが好ましい。言い換えれば、凸部2aと肩部2c,2cのパネル厚さ方向の割合(肩部2c:凸部2a:肩部2c)が略均等の割合(概ね1:1:1)となるように設計することが好ましい。ここで、Th/Ts=1程度とは、結合金具2のパネル厚さ方向を3等分できない場合に、微調整する場合を含む趣旨である。例えば、表装鋼板1の厚さが0.7mmでパネル厚さTが25mmの壁パネルの場合には、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)に設定することが好ましく、パネル厚さTが50mmの壁パネルの場合には、(凸部2aのTh,肩部2cのTs)=(16.2mm,16.2mm)又は(16mm,16.3mm)に設定することが好ましい。また、パネル厚さTが25mmの壁パネルの場合に、凸部2aの幅Thを8mmとすれば十分な強度を保持することができると考えられるため、パネル厚さTが50mmの壁パネルの場合において、(凸部2aのTh,肩部2cのTs)=(8mm,20.3mm)と設定するようにしてもよい。さらに、パネル厚さTが50mmの壁パネルの場合において、強度を向上させるために、(凸部2aのTh,肩部2cのTs)=(24mm,12.3mm)と設定するようにしてもよい。なお、凹部2bの幅は、嵌合される凸部2aの幅Thによって定められる。
【0038】
ここで、表装鋼板1の板厚が0.7mm、パネル厚さTが25mmの壁パネルにおいて、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)に設定した場合の強度について検討する。図13(D)に示した従来の壁パネルにおいて、表装鋼板及び結合金具の板厚を0.6mm、(凹部の幅,肩部の幅)=(3.2mm,10.3mm)とした場合の断熱材を含めない断面2次モーメントを計算すると、(a)0.4041cm4となる。一方、表装鋼板1及び結合金具2の板厚を0.7mm、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)とした場合の断熱材を含めない断面2次モーメントを計算すると、凸部2aを有する結合金具2の断面2次モーメントが0.5205cm4、凹部2bを有する結合金具2の断面2次モーメントが0.5405cm4と求まるため、これらを合計すると、(b)1.061cm4となる。さらに、表装鋼板1の板厚を0.7mm、結合金具2の板厚を1.6mm、(凸部2aの幅Th,肩部2cの幅Ts)=(8mm,7.8mm)とした場合の断熱材を含めない断面2次モーメントを計算すると、凸部2aを有する結合金具2の断面2次モーメントが1.0596cm4、凹部2bを有する結合金具2の断面2次モーメントが1.1492cm4と求まるため、これらを合計すると、(c)2.2088cm4となる。ここで、(b)の断面2次モーメントと(a)の断面2次モーメントを比較すると約2.6倍となっており、これは主として結合構造にジョイントレス方式を採用したことによる効果である。また、(c)の断面2次モーメントと(b)の断面2次モーメントを比較すると約2.1倍となっており、これは主として結合金具2の板厚を表装鋼板1よりも厚くした効果である。最終的に、本発明の壁パネルでは、(c)の断面2次モーメントと(a)の断面2次モーメントを比較すると約5.5倍となっており、結合部の強度を格段に向上させることができる。
【0039】
次に、凸部2a又は凹部2bと肩部2c,2cのパネル厚さ方向の割合(肩部2c:凸部2a(又は凹部2b):肩部2c)の相違による強度について検討する。結合金具2の凸部2aと凹部2bの嵌合部の強度を評価するには、嵌合部で塑性変形が発生する強度を比較すればよい。塑性変形はその形状の最も弱い部分で発生するため、凸部2aを形成する突出部及び凹部2bを形成する2つの突出部における断面2次モーメントの大小を評価すればよい。ここで、比較対象として、板厚1.6mmの結合金具2において、凸部2a又は凹部2bと肩部2c,2cのパネル厚さ方向の割合(肩部2c:凸部2a(又は凹部2b):肩部2c)が、(d)4:2:4、(e)1:1:1のものを選出した。これらの凸部2aの断面2次モーメントは、(d)0.0055、(e)0.0356であり、凹部2bの断面2次モーメントは、(d)0.1046、(e)0.0684であった。これらの結果のうち強度が弱い断面2次モーメントが小さい値の方を選ぶと、(d)0.0055、(e)0.0356となる。したがって、(e)の結合金具2は、(d)の結合金具2と比較して、約6.5倍の強度を有する。
【0040】
前記締結具3は、表装鋼板1と結合金具2を連結することができるとともに、廃却時に取り外し可能なものが採用される。具体的には、ネジ、ビス、ボルト等のように工具を使用して取り付け及び取り外しできるものが使用される。締結具3の頭部は、連結する壁パネルの端面(表装鋼板1の折曲部1a)と接触するため、平坦に形成されている方がよい(例えば、皿ビス等)。
【0041】
前記断熱材4は、壁パネルの用途に応じて種々の素材のものが採用されるが、例えば、船舶の居住区に用いる壁パネルのように、耐火性や耐熱性が要求される場合には、ロックウールが採用される。図2(B)に示すように、断熱材4は表装鋼板1及び結合金具2の内部空間を充填するように埋設される。断熱材4は、例えば、壁パネルの幅方向や高さ方向に複数に分割された棒形状のブロック体により構成されている。また、結合金具2の内部まで断熱材4で充填するようにしてもよい。なお、断熱材4として、160Kg/m3程度の密度のものを使用することが好ましい。
【0042】
前記脱落防止金具5は、表装鋼板1,1の間に配置した断熱材4が上下の隙間から脱落しないようにするための金具である。ここで、図5は、図1に示した脱落防止金具5を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。脱落防止金具5は、図5(A)に示すように、幅wが壁パネルの横幅Wと同じ幅を有する長方形の鉄板の両端部を部分的に切り欠き、図5(B)に示すように、挿入部5aと押さえ部5bを形成するように折り曲げたものである。切欠部41は、鉄板の長手方向の両端部に形成される切り欠きであり、少なくとも結合金具2の凹凸形状を考慮して切り欠かれる。また、凹部2bを有する結合金具2側には、さらに切欠部42が形成される。この切欠部42は、脱落防止金具5が凹部2bを塞がないように切り欠かれる。図5(B)に示すように、略U字状の折曲部5cを形成することにより、凸形状の挿入部5aを形成することができるとともに、板バネ効果を有する押さえ部5bを形成することができる。挿入部5aの幅tは、壁パネルの厚さから表装鋼板1(2枚分)と結合金具2又は平板金具6(2枚分)の厚さを引いた値よりも小さくする必要がある。また、押さえ部5bの高さhは、壁パネルを据え付けるレールや固着枠の高さを超えない範囲に設定される。かかる構成の脱落防止金具5によれば、挿入するだけで脱落防止金具5を壁パネルの上端及び下端に接続することができ、壁パネルの見栄えを損なうことなく、断熱材4の脱落を防止することができる。また、壁パネルの廃却時においても脱落防止金具5を容易に取り外すことができ、分別やリサイクルに供することができる。さらに、脱落防止金具5は、壁パネルの横幅方向の強度を補強する部材としての効果も奏する。
【0043】
図6は、脱落防止金具5の変形例を示す図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、(C)は第三変形例、(D)は第四変形例、(E)は第五変形例である。図6(A)に示す第一変形例は、図4(A)に示した切欠部42を切欠部41の形成範囲まで拡張した切欠部61を形成したものである。図6(B)に示した第二変形例は、図6(A)に示した切欠部41及び切欠部61の切り欠き位置に合わせて押さえ部5bの幅wを短く形成したものである。図6(C)に示した第三変形例は、挿入部5aの幅tを表装鋼板1,1間の幅と略同じ幅に形成したものである。かかる第三変形例では、結合金具2と表装鋼板1の段差部が生じない範囲に挿し込む必要があるため、脱落防止金具5の幅wも結合金具2を避けた長さに設定される。図6(D)に示した第四変形例は、断面コ字形状に形成した脱落防止金具5を表装鋼板1の外側から嵌め込んで締結具62で締結したものである。締結具62には、取り付け及び取り外し可能なネジ、ビス、ボルト等が採用される。この場合、表装鋼板1の外側から接続されるため、高さhは壁パネルを据え付けるレールや固着枠の高さを超えない範囲に設定される。また、図示しないが、断面コ字状の開放端側の間隔を狭くして脱落防止金具5の弾性力により保持して締結具62を省略するようにしてもよい。図6(E)に示した第五変形例は、断面コ字形状に形成した脱落防止金具5を表装鋼板1の内側に嵌め込んで締結具62で締結したものである。締結具62には、取り付け及び取り外し可能なネジ、ビス、ボルト等が採用される。この場合、表装鋼板1の表面に脱落防止金具5が露出しないため、高さhに制限はなく、強度面を考慮して任意に高さhを設定することができる。また、図示しないが、断面コ字状の開放端側の間隔を広くして脱落防止金具5の弾性力により保持して締結具62を省略するようにしてもよい。
【0044】
前記平板金具6は、結合金具2の脚部2dと表装鋼板1の段差を埋めるための補助金具である。本発明の第一実施形態では、図2(A)に示すように、脱落防止金具5の挿入部5aを結合金具2の間にも挿し込むようにしているために、脱落防止金具5の挿入部5aと表装鋼板1の内面との間に結合金具2の厚さ分だけの隙間が生ずる。この隙間を結合金具2の厚さと同じ厚さの平板状の平板金具6で埋めることにより、脱落防止金具5の係止力を向上させている。また、平板金具6を挿入することにより、壁パネルの横幅(W)方向の強度を補強することもできる。もちろん、脱落防止金具5の係止力や壁パネルの強度が十分な場合は、平板金具6を省略してもよい。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。ここで、図7は本発明の第ニ実施形態を示す壁パネルの斜視図であり、図8は図7におけるA矢視図及びB−B断面図を示し、(A)はA矢視図、(B)はB−B断面図である。なお、図1等に示した第一実施形態の壁パネルと同じ構成部品については同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0046】
図7及び図8に示すように、本発明の第ニ実施形態を示す壁パネルは、両端の結合金具2が両方とも凹部2bを有する結合金具2を使用している。かかる第二実施形態の壁パネルは、例えば、複数の壁パネルを据え付けたときの末端に配置される壁パネルや、両側から壁パネルを据え付けたときの中央部に配置される壁パネルに使用される。このように、両端に凹部2bを有する結合金具2を接続した場合には、脱落防止金具5の形状を変更する必要がある。ここで、図9は、図7に示した脱落防止金具5を示す図であり、(A)は平面展開図、(B)は側面図である。図9(A)に示すように、第二実施形態の脱落防止金具5では、凹部2bを塞がないように、両端に切欠部42が形成されている。かかる脱落防止金具5を使用することにより、図8(A)に示すように、挿入部5aが凹部2bを塞ぐことなく脱落防止金具5を表装鋼板1,1の間に挿し込むことができる。その他の構成については、基本的に第一実施形態と同様である。
【0047】
次に、図1に示した第一実施形態の壁パネルの製造方法について説明する。ここで、図10は、第一実施形態の壁パネルの製造方法を示す図であり、(A)は第一連結工程、(B)は埋設工程、(C)は第二連結工程、(D)は調節工程、(E)は接続工程を示している。
【0048】
本発明の壁パネルの製造方法は、両端を内側に折り曲げた折曲部1aを有する一対の表装鋼板1,1、凸部2a及び凹部2bと凸部2a及び凹部2bに連設された肩部2c,2cとを有する結合金具2、表装鋼板1の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具5及び表装鋼板1と結合金具2の厚さを揃えるための平板金具6を形成する加工工程を有する。表装鋼板1、結合金具2、脱落防止金具5及び平板金具6は、いずれも薄い鋼板により構成されるため、手作業やプレス機等で容易に加工することができる。
【0049】
図10(A)に示す第一連結工程は、一方の表装鋼板1に結合金具2を締結具3で連結する工程である。ここでは、凸部2aを有する結合金具2と、凹部2bを有する結合金具2を両端に連結する場合を図示している。具体的には、表装鋼板1の内側を上にした状態で、各結合金具2の肩部2cを表装鋼板1の折曲部1aに沿うように配置して、外側(折曲部1a側)から締結具3を締め付けて表装鋼板1と各結合金具2を連結する。
【0050】
図10(B)に示す埋設工程は、第一連結工程後の表装鋼板1上に断熱材4を敷き詰める工程である。断熱材4は、予め所定の形状のブロック体に形成しておいてもよいし、その場で形状を整えながら敷き詰めるようにしてもよい。
【0051】
図10(C)に示す第二連結工程は、埋設工程後の結合体上に他方の表装鋼板1を被せて締結具3で連結する工程である。具体的には、表装鋼板1の内側を下にした状態で、各結合金具2の肩部2cに折曲部1aを沿うように配置して、外側(折曲部1a側)から締結具3を締め付けて表装鋼板1と各結合金具2を連結する。
【0052】
図10(D)に示す調節工程は、表装鋼板1,1と結合金具2の厚さを揃えるための平板金具6を挿入する工程である。かかる平板金具6を挿入することにより、結合金具2と表装鋼板1の段差をなくすことができる。なお、図6(C)〜(E)に示した第三〜第五変形例の脱落防止金具5を使用する場合には、平板金具6は不要であるため、この調節工程を省略することができる。
【0053】
図10(E)に示す接続工程は、脱落防止金具5を上端及び下端に挿し込んで接続する工程である。具体的には、図5に示した脱落防止金具5の挿入部5aを平板金具6,6の間に挿入し、押さえ部5bを表装鋼板1の外側に配置させて脱落防止金具5を接続する。また、図6(D)又は(E)に示した第四又は第五変形例の脱落防止金具5を使用する場合には、脱落防止金具5を挿し込んだ後、締結具62で脱落防止金具5を固定する。
【0054】
上述した本発明の壁パネルの製造方法によれば、接着剤を使用することなく壁パネルを構成することができる。また、脱落防止金具5を接続したことにより、搬送時や据付時等における断熱材4の脱落を防止することができる。さらに、表装鋼板1と結合金具2の連結に取り外し可能な締結具3を使用したことにより、壁パネルの製造のみならず、壁パネルの廃却時においても容易に壁パネルを分解することができ、分別やリサイクルに効果的である。
【0055】
ここで、本発明の壁パネルの効果について説明する。本発明の壁パネルのサイズを、厚さT×横幅W×高さH=25mm×300mm×2465mmとし、表装鋼板1の厚さを0.7mmとし、結合金具2の厚さを2.3mmとし、断熱材4の密度を160Kg/m3とした。かかる構成の壁パネル7枚を連設し、両端に横幅が150mmの壁パネルを接続して総幅2400mmの仕切り壁を形成した。そして、IMOのA.754(18)(November22,1993)「A級、B級及びF級仕切りの耐火試験の勧告」及びIMO海上安全委員会決議61(67)「火災試験方法の適用に関する国際コード」Annex1−Part3の試験方法に従って耐火試験を実施した結果、本発明の壁パネルは、社団法人日本船舶協会製品安全評価センターにより「B−0級仕切り壁」としての要求基準を満たしていると判定された。
【0056】
次に、上述した耐火試験と同様の壁パネル3枚を連設して強度試験を行った。試験架台に連設したパネルを載置して、2100mmスパンで単純支持した後、支持端から500mmの位置を中心として左右各175mm(全幅で350mm)の範囲の等分布荷重で880N/mの荷重を架けた。1974年の海上における人命の安全のための国際条約(以下、「SOLAS条約」という。)の規定によれば、この条件でパネルの最大撓みが5mm以下であればよいところ、本発明の壁パネルの最大撓みは5.0mmであり、SOLAS条約の規定を満足していることが確認できた。また、試験後の壁パネルの塑性変形も生じていなかった。
【0057】
続いて、上述した耐火試験と同様の壁パネルを用いて防音試験を行った。試験方法は、ISO(140−3)及びJIS(A1416)に従った。ここで、図12は、防音試験結果を示す図であり、●は図13(D)に示した従来の壁パネル(25mm厚)、○は本発明の壁パネルの測定結果を示している。また、一点鎖線の折れ線は従来の壁パネルの測定結果に対応する基準曲線、二点鎖線の折れ線は本発明の壁パネルの測定結果に対応する基準曲線を示している。また、測定結果の評価方法には重みづけ法を使用している。重みづけ法とは、測定によって得られた結果を基準曲線により評価する方法であり、各周波数における測定値をプロットして結んだ曲線に対して、基準曲線を1dBステップで上下させ、基準曲線を下回る値の総和が規定の値(1/3オクターブバンド測定の場合=32dB)を上回らない範囲で、できるだけ大きくなるところまで移動させ、そのときの500Hzにおける値で表現したものである。この方法で評価された値は、「重みつき音響透過損失(Rw)」として表現される。
【0058】
図12に示すように、従来の壁パネルにおける重みつき音響透過損失(Rw)は32dBであるのに対し、本発明の壁パネルにおける重みつき音響透過損失(Rw)は38dBであった。一般に、音響透過損失を向上させるには壁パネルの重量を増加させるのが最も有効な手段であり、例えば、音響透過損失を約5dB向上させるには壁パネルの重量を約2倍にしなければならない。しかしながら、かかる手段は現実的ではなく、5dBの音響透過損失向上がどれほど困難であるかが理解される。一方で、本発明の壁パネルでは、重みつき音響透過損失(Rw)を6dBも向上させるという極めて優秀な結果を示した。かかる優秀な遮音性能の最大の要因は、壁パネルの製造時に接着剤を使用していないことにあると推測される。従来の壁パネルは接着剤を使用して各構成部材を一体化してしまうため、壁パネルは1個体としての固有振動数を持つことになる。従来の壁パネルは、図12に示すように、約4000Hzに固有振動数による音響透過損失の落ち込みが現れている。この固有振動数による音響透過損失の落ち込みが250Hz〜4000Hzにおいても音響透過損失性能が上がらない要因となっている。
【0059】
しかしながら、本発明の壁パネルでは接着剤を使用して構成部材を一体化していないことにより、各構成部材は各々の固有振動数を有するが、パネル全体としての固有振動数を持たない。もちろん、各構成部材の固有振動数は各々異なる値である。したがって、ある構成部材の騒音伝播上の弱点周波数(=固有振動数)は、他の構成部材はその周波数を透過させないため、パネル全体としては騒音伝播上の弱点周波数(=固有振動数)を持たないこととなる。これは、図12に示すように、特定の周波数における音響透過損失の落ち込みが現れていないことからも容易に理解することができる。その結果、250Hz〜4000Hzの範囲における音響透過損失性能が、従来の壁パネルと比較して著しく向上している。加えて、本発明の壁パネルにおける遮音性能には、凹凸の結合金具2を使用して壁パネル同士の隙間が極力少なくなるように嵌合させる構造としたことも寄与しているものと推測される。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 表装鋼板
1a 折曲部
1b 装着孔
1c 収納孔
2 結合金具
2a 凸部
2b 凹部
2c 肩部
2d 脚部
3,62 締結具
4 断熱材
5 脱落防止金具
5a 挿入部
5b 押さえ部
5c 折曲部
6 平板金具
41,42,61 切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と、
凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と、
前記表装鋼板の折曲部と前記結合金具の肩部とを連結する締結具と、
前記表装鋼板の間に埋設された断熱材と、
前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具と、
を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成したことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
前記表装鋼板の横幅は、撓み強度指数が2.0以上又は300mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項3】
前記結合金具の厚さは、前記表装鋼板の厚さよりも厚く構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項4】
前記結合金具は、前記凹部又は前記凸部と前記肩部のパネル厚さ方向の割合が略均等である、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項5】
前記締結具は、左側の接続位置と右側の接続位置が段違いにずれている、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項6】
前記表装鋼板の折曲部には、前記締結具を装着する装着孔と、対峙する壁パネルの締結具の頭部を収納する収納孔と、が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項7】
前記脱落防止金具は、前記表装鋼板の間に挿入される挿入部と、前記表装鋼板の外側に配置される押さえ部と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項8】
前記挿入部と前記表装鋼板との間には、前記結合金具と厚さを揃えるための平板金具が挿入される、ことを特徴とする請求項7に記載の壁パネル。
【請求項9】
両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具とを形成する加工工程と、
一方の前記表装鋼板に前記結合金具を締結具で連結する第一連結工程と、
この表装鋼板上に断熱材を敷き詰める埋設工程と、
他方の前記表装鋼板を被せて締結具で連結する第二連結工程と、
前記脱落防止金具を上端及び下端に接続する接続工程と、
を備えることを特徴とする壁パネルの製造方法。
【請求項10】
前記接続工程は、前記脱落防止金具を上端及び下端に挿し込んで接続する工程である、ことを特徴とする請求項9に記載の壁パネルの製造方法。
【請求項11】
前記接続工程前に、前記表装鋼板と前記結合金具の厚さを揃えるための平板金具を挿入する調節工程を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の壁パネルの製造方法。
【請求項1】
両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と、
凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と、
前記表装鋼板の折曲部と前記結合金具の肩部とを連結する締結具と、
前記表装鋼板の間に埋設された断熱材と、
前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具と、
を有し、接着剤を用いずに各部材を一体に構成したことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
前記表装鋼板の横幅は、撓み強度指数が2.0以上又は300mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項3】
前記結合金具の厚さは、前記表装鋼板の厚さよりも厚く構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項4】
前記結合金具は、前記凹部又は前記凸部と前記肩部のパネル厚さ方向の割合が略均等である、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項5】
前記締結具は、左側の接続位置と右側の接続位置が段違いにずれている、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項6】
前記表装鋼板の折曲部には、前記締結具を装着する装着孔と、対峙する壁パネルの締結具の頭部を収納する収納孔と、が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項7】
前記脱落防止金具は、前記表装鋼板の間に挿入される挿入部と、前記表装鋼板の外側に配置される押さえ部と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
【請求項8】
前記挿入部と前記表装鋼板との間には、前記結合金具と厚さを揃えるための平板金具が挿入される、ことを特徴とする請求項7に記載の壁パネル。
【請求項9】
両端を内側に折り曲げた折曲部を有する一対の表装鋼板と凸部又は凹部と該凸部又は該凹部に連設された肩部とを有する結合金具と前記表装鋼板の上端部及び下端部に挿し込まれる脱落防止金具とを形成する加工工程と、
一方の前記表装鋼板に前記結合金具を締結具で連結する第一連結工程と、
この表装鋼板上に断熱材を敷き詰める埋設工程と、
他方の前記表装鋼板を被せて締結具で連結する第二連結工程と、
前記脱落防止金具を上端及び下端に接続する接続工程と、
を備えることを特徴とする壁パネルの製造方法。
【請求項10】
前記接続工程は、前記脱落防止金具を上端及び下端に挿し込んで接続する工程である、ことを特徴とする請求項9に記載の壁パネルの製造方法。
【請求項11】
前記接続工程前に、前記表装鋼板と前記結合金具の厚さを揃えるための平板金具を挿入する調節工程を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の壁パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−196419(P2010−196419A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44933(P2009−44933)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(591118041)財団法人シップ・アンド・オーシャン財団 (21)
【出願人】(508111257)株式会社アイ・イー・エム (2)
【出願人】(506418840)シンコウ・エスビーエー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(591118041)財団法人シップ・アンド・オーシャン財団 (21)
【出願人】(508111257)株式会社アイ・イー・エム (2)
【出願人】(506418840)シンコウ・エスビーエー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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