説明

壁厚の計算

管腔境界または外側管壁境界の周界に沿った任意の点で管壁厚を自動測定するための方法。この方法はドローネー三角形分割およびマルチレゾルーションタイリングを使用する。ドローネー三角形分割のMaxMin角度特性を使用して、厚さを計算するための最小エネルギー関数を定義する。マルチレゾルーションタイリングを使用して、MaxMin角度補助定理を決定することができる。この三角形分割のMaxMin角度補助定理は、三角形分割の角度に基づいて最小エネルギー関数を定義することを可能にし、安定かつ一貫性のある幾何学計算を提供する。追加の形態学的指標を評価して脈管の形態の総合的な数量化を達成することができる。例えば壁厚に基づいて、管壁の様々な部分の様々なタイプの斑形態を区別する一組の脈管形状記述子を生み出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下でその出願日の利益が主張される先行する2つの同時係属仮出願、2003年3月20日出願の米国特許仮出願第456680号明細書および2003年3月21日出願の米国特許仮出願第456912号明細書に基づく。
【0002】
本発明は一般に脈管の画像化に関し、詳細には脈管の壁厚をその脈管の画像から決定することに関する。
【背景技術】
【0003】
全国健康統計センター(National Center for Health Statistics)によれば、米国における死因の第1位は心臓血管疾患である。頸動脈のアテローム性動脈硬化症は脳卒中の主要な原因の1つである。アテローム性動脈硬化症は動脈硬化症の一形態であり、大および中動脈の壁の最も内側の層にコレステロールおよび脂質を含む粥腫斑(atheromatous plaque)が沈着することを特徴とする。これらの疾患の診断、治療および予防法の改良は、患者の生活の質(quality of life)のかなりの向上およびこれに付随する健康管理コストの低減をもたらすと考えられる。
【0004】
伝統的に、管腔狭窄が生じている程度は、高危険度斑(すなわち脆弱な(vulnerable)斑)の形態学的マーカとして使用されている。管腔狭窄を決定するためには、臨床X線コンピュータ連動断層撮影(CT)、超音波および磁気共鳴(MR)血管造影が使用される。最も頻繁に使用されている異なる2つの狭窄数量化法であるNASCET(North American Symptomatic Carotid Trial)およびECST(European Carotid Surgery Trial)によって明白に示されているとおり、管腔狭窄の決定は統一された方法を欠いている。使用する方法にかかわらず、管腔狭窄は脳卒中に対する患者脆弱性の不完全な指標であることが示されている。症状がある患者では、管腔狭窄の徴候から予測された脳卒中は約4例に1例に過ぎない。無症状の患者では、管腔狭窄の徴候から予測された脳卒中は約10例に1例に過ぎない。患者が脳卒中を発症する危険性を従来の画像化手法を使用してより正確に予測する予測因子を使用することが望ましいことは明白であろう。
【0005】
いくつかの研究は、血栓塞栓症の危険度を決定する際には(狭窄に加えて)斑の形態因子が重要であることを指摘している。具体的には超音波検査の研究では、斑の厚さが、管の狭窄よりも優れた一過性脳虚血発作の予測因子であることが示されている。残念なことに、斑の厚さの超音波測定では結果が13.8%から22.4%変動するので、このような超音波測定の再現性はあまり良くない。斑の形態が重要であることの他の証拠がNASCETの研究者によって文書化されており、これには、潰瘍化した斑では脳卒中の危険度が、同様の狭窄程度の潰瘍化していない斑に比べて高いことが示されている。これらの結果は、管腔の狭窄、壁厚および潰瘍化を含む斑の形態の総合的な定量解析が受攻性の斑をより良好に識別することを示唆している。
【0006】
【非特許文献1】M. David, ”Multiresolution Tiling”, Computer Graphics Form, vol. 13, no. 5, pp. 325−340, 1994
【非特許文献2】S. Ganapathy and T. Dennehy, “A new triangulation method for planar contours”, Computer Graphics, vol. 16, pp. 69−75, 1982
【非特許文献3】Han, C. et al.,”A fast minimal path active contour model”, IEEE Transactions on Image Processing, 10(6), pp. 865−873, 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近の研究では、磁気共鳴画像法(MRI)に、斑の成分を識別し斑の形態を測定する能力があることが示されている。したがって斑のMRIは、1回の検査で斑の形態と組織成分を特徴付け、それによって脆弱な斑の形態と成分の両面を評価する有用な技法となる可能性がある。しかし現在のMRI技法は、斑形態の総合的な定量分析に必要なデータを提供しえない。管腔境界および壁境界の正確なトレーシング、頸動脈の壁厚の合理的な画定、管腔表面の粗さの正確な計算ならびに斑負荷指標の合理的な定義をMRIを使用して得る方法を開発することが望ましいだろう。管腔境界および壁境界をトレースし、管腔表面の粗さを計算するための技法はすでに提案されている。しかし、管腔の画像から管腔の壁厚を推定する一貫した信頼性の高い技法は従来技術においてまだ教示されていない。
【0008】
壁厚の他にも、斑形態を評価するための他の定量的形態パラメータを定義することができる。形態記述(morphological description)は、数値形態記述子(numeric morphological descriptor)を生み出す方法を指し、形態学的表現に続いて実施される。形態記述法は、与えられた形状から形態記述子ベクトル(特徴ベクトルとも呼ぶ)を生み出す。形態記述の目標は、その形態記述子ベクトルを使用して形状を一意的に特徴付けることである。
【0009】
これまでの研究で、頸動脈MR画像による面積および体積の生体内測定の再現性は確立されている。これらの研究は、生体内測定と生体外測定が良く一致していることを指示している。具体的には、2週間以内に独立に実施され、2人の独立した調査者によって調べられた2回のMRスキャンでは、体積測定は4%〜6%の範囲で一致し、断面積測定は5%〜11%の範囲で一致した。さらに、管腔および管壁の面積測定において匹敵する画像品質を有するコントラストが重み付けされた異なる画像(T1、T2および陽子密度)が同様の結果を与えることが確認された。このような結果は、MRIから抽出された形態記述子を、脈管の形状変化を特徴付けに使用できることを指示している。しかしこの従来の技術は有効な特定の形態記述子セットを定義しない。管腔境界、壁境界および壁厚に基づく脈管の形態記述子を提供し、このような記述子を使用して斑形態を評価することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、管壁の厚さを管の画像から決定するための方法を対象とする。この方法はコンピューティング装置を用いて自動的に実現される。この方法では、コンピューティング装置に画像化システムが結合され、この画像化システムが壁厚決定を実行するように構成される。この方法は、管腔境界または管の外壁境界の周界に沿った任意の点で管壁の厚さを自動的に推定する。この方法は、ドローネー(Delaunay)三角形分割とマルチレゾルーションタイリング(Multiresolution tiling)の両方を用いる。すなわち、マルチレゾルーションタイリングを使用してMaxMin角度補助定理を決定する。また、ドローネー三角形分割において定義されるとき、MaxMin角度特性は、最小エネルギー関数を三角形分割の角度に関係づける。したがってMaxMin角度補助定理の決定は、最小エネルギー関数が壁厚を計算することを可能にする。この方法では、単一の境界はそれ自体と重なり合うことができないと仮定される。
【0011】
本発明の第2の態様は、斑形態の評価に使用することができる、部分的に壁厚に基づく一組の脈管形状記述子を対象とする。管腔境界、壁境界および壁厚の関数として32個の脈管形態記述子が定義される。形態記述子には、面積記述子、管腔境界記述子、壁境界記述子、壁厚記述子、複雑管腔−壁記述子および複雑厚さ−壁記述子が含まれる。面積記述子は、管腔面積、壁面積および壁面積と管腔面積との比を定義する。管腔境界記述子、壁境界記述子および壁厚記述子は形状変化を表示し、複雑管腔−壁記述子および複雑厚さ−壁記述子は相対的な変化を表示する。これらの記述子を使用して臨床斑解析を自動化することができる。
【0012】
本発明の上記の態様および付随する利点の多くは、以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照することによってこれらを、理解したときに一層容易に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、管腔の壁厚をその管腔の画像から計算することを対象とする。本発明では、部分的に壁厚に基づく32個の一組の脈管形状記述子を使用して斑の形態を評価することができる。壁厚を計算する方法とこの一組の脈管記述子とを組み合わせて、自動化された臨床斑解析を達成することができる。
【0014】
壁厚を推定するこの方法は、ドローネー三角形分割(Delaunay triangulation)およびマルチレゾルーションタイリング(multiresolution tiling)を使用する。特に好ましい一実施態様では、管腔が血管であり、この方法によって決定された血管の壁厚を、患者が脳卒中の危険にさらされているかどうかを予測する予測因子として使用することができる。
【0015】
ドローネー三角形分割は、コンピュータグラフィックスにおける非構造化メッシュ生成に広く使用されており、多くの応用に適している。本発明は、ドローネー三角形分割の特性の1つであるMaxMin角度特性を利用して、最小エネルギー関数を定義し、次いでこれを使用して壁厚を計算する。ドローネー三角形分割を使用することによって一貫性のある安定した結果を得ることができる。次いでマルチレゾルーションタイリングを使用してMaxMin角度を決定する。
【0016】
MaxMin角度補助定理(MaxMin Angle Lemma)は以下のとおりである。有限集合s⊆Rのすべての三角形分割の中で、ドローネー三角形分割は最小角度を最大にする。この補助定理は、どんな三角形分割においてもその最小の角度が、ドローネー三角形分割の最小の角度を上回ることがないことを意味する。
【0017】
ドローネー三角形分割の基本操作はエッジフリッピング(edge flipping)である。エッジフリップは、古い2つの三角形を新しい2つの三角形に置き換えるが、それらの三角形の最小の角度をそれ以上に小さくすることはない。図1に示すように、エッジフリッピングを使用して角度を変更することができる。図1では、辺abが辺cdにフリップされる。古い角度はα、β、γ+γ、α、β、θ+θであり、エッジフリッピングによって生じた新しい角度はγ、θ、β+β、γ、θ、α+αである。一組の三角形分割s⊆Rにおける最小の角度を最大にすることに基づいて厚さを計算する最小エネルギー関数は以下のように定義される。
【0018】
【数1】

【0019】
上式で、θは三角形iの最小の角度であり、Nは、s⊆R中の三角形分割の数である。したがって、このエネルギー関数を最小にすることによって(すなわち上式0を使用することによって)厚さを計算することができる。
【0020】
本発明の重要な態様は、タイリング最適化を使用して三角形分割における最小の角を決定することである。以下に図2A〜2Eに関してタイリング最適化を説明する。タイリング最適化は、相対的に低い解像度レベルから始めて新しい頂点および辺を挿入することを含む。図2Eを参照すると、相対的に低い解像度レベルの三角形abcに頂点dが挿入されて、四辺形abcdが生じている。挿入された辺bdは四辺形abcdを三角形abdおよびdbcに分割している。図2Eでは、新しい頂点が円によって指示されており、挿入された辺が破線によって指示されている。三角形abdとdbcのほうが三角形abcよりも管腔の曲線に一致しており、したがって頂点dおよび辺bdを挿入すると解像度が増大することに留意されたい。
【0021】
次に線abが「疑わしい(suspect)」辺であると仮定する。線abは2つの三角形abcおよびabdに属する。これらの2つの三角形の和(union)は凸形の四角形abcdである。したがってabとcdをフリップすることができる。形式上これは、この三角形分割から線ab、三角形abcおよび三角形abdが除去され、新しい線cd、新しい三角形acdおよび新しい三角形bcdがこの三角形分割に加えられることを意味する(図1はこのようなフリッピング操作を示している)。エッジフリッピングの結果は概略的に、前面と後面が重ね合せられた四面体に似ている。このようなエッジフリッピングは、任意の三角形分割をドローネー三角形分割に変換する基本操作である。本発明では、不変量を保持するためにスタックが使用され、その結果、ある辺が局所的にドローネーでない限り、その辺はスタックにとどまる。最初に、すべての「疑わしい」辺がスタック上にプッシュされ、それぞれの辺に対して以下の操作が実施される。
【0022】
【表1】

【0023】
マルチレゾルーション解析によってこのタイリング問題を最適化することができる。第1のステップは、マルチレゾルーション解析を使用することによってこの問題のサイズを小さくして、元の輪郭の低解像度近似を見つけるステップである。次いで、新しく追加された頂点に辺を挿入し、最小エネルギー関数の制御の下でのローカルエッジフリッピングによってタイリングを改良することによって、この低解像度タイリングに詳細を追加する。マルチレゾルーションタイリングに含まれる特定のステップは以下のとおりである。
【0024】
1.非特許文献1に開示されているウェーブレット解析(wavelet analysis)に基づいて、それぞれの輪郭を低解像度の一組の輪郭に分解する。図2Aは輪郭202および輪郭204を概略的に示している。脈管の文脈では輪郭202が管腔の境界に対応し輪郭204が外壁の境界に対応する。図2Bは、個々の点206からなる低解像度の点の集合に分解された輪郭202および輪郭204を概略的に示している。
2.非特許文献2に記載されている「グリーディ(greedy)」法を使用して、この低解像度輪郭のタイリングを計算する。図2Cは、低解像度の点の集合内の点206の三角形分割を概略的に示している。
3.横断したすべての辺を「疑わしい」辺として標識し、それらをスタックに入れる。辺abおよびbcは両方の輪郭上の点を結合しており(図2C参照)、したがって横断した辺である。
4.最小エネルギー関数の制御下で局所的な辺をフリップすることによってタイリングを最適化する。
5.両方の輪郭上の相対的に低い解像度レベルのタイリングの三角形の辺に新しい頂点を挿入して、以前の三角形が四辺形になるようにする。図2Dは、頂点dなどの追加の頂点の挿入を概略的に示している。三角形abcは四辺形abcdになっている。
6.挿入された頂点からもう一方の輪郭上の四辺形の頂点にむけて辺を引き、この四辺形を図2E(辺bd参照)に示すように2つの三角形に分割する。
7.横断した古い辺をそれぞれ「疑わしい」辺として標識し、それらをスタックに入れる。
8.最小エネルギー関数の制御下で局所的な辺をフリップすることによってタイリングを最適化する。
9.原画像の解像度(または所望の解像度)に達するまでステップ5〜9を繰り返す。
【0025】
この厚さ推定の出来具合を確認するために2種類の実験を設計した。第1の実験では頸動脈ファントム(phantom)MR画像(画像サイズ=256×256、画素サイズ=10.32mm、スライス厚=2.0mm、スライス数=6)の厚さを推定した。第2の実験ではこの厚さ推定を、ある患者の頸動脈MR画像(画像サイズ=256×256、画素サイズ=10.25mm、スライス厚=2.0mm、スライス数=30)に適用した。ファントムMR画像は、この厚さ推定法の一貫性(consistency)を試験するために使用した。患者の頸動脈MR画像は、この厚さが異なる脈管形態型を容易に特徴付けることができることを示すために使用した。
【0026】
図3は、頸動脈ファントムMR画像の壁厚を推定した第1の実験で得られた結果の視覚的表現である。図3の部分a1〜a6は輪郭を抽出した後の原画像に対応し、部分b1〜b6は推定された厚さに対応する。部分b1〜b6の明るい線は最大厚さおよび最小厚さを指示している。表1は、図3のファントム画像上で推定された厚さから計算されたいくつかの形態学的指標をまとめたものである。この形態学的指標には、厚さの平均、厚さの標準偏差、最小厚さ、最大厚さ、最小厚さと最大厚さとの比(最小/最大)、および厚さの標準偏差と厚さの平均との比(偏差/平均)が含まれる。頸動脈ファントムの総動脈の短い区間では形態はあまり変化しないはずなので、平均厚さ、最小厚さおよび最大厚さの標準偏差は非常に小さくなるはずである。表1には、平均厚さの標準偏差と平均値との比、最小厚さの標準偏差と平均値との比、および最大厚さの標準偏差と平均値との比がそれぞれ0.55%、1.54%および0.85%であることが示されている。これらの結果は、本発明の厚さ測定法が安定でかつ一貫した方法であることを指示している。
【0027】
【表2】

【0028】
図4および図5に、ある1人の患者の頸動脈MR画像の壁厚を推定した第2の実験で得られた結果を示す。例えば画像a14は総頸動脈の分岐を示している。図4は輪郭を抽出した後の原画像を含み、図5は推定された厚さを指示しており、明るい線は最大厚さおよび最小厚さに対応する。
【0029】
表2は、図5の患者画像に基づいて推定された厚さから計算されたいくつかの形態学的指標をまとめたものであり、これには、厚さの平均、厚さの標準偏差、最小厚さ、最大厚さ、最小厚さと最大厚さとの比(最小/最大)、および厚さの標準偏差と厚さの平均との比(偏差/平均)が含まれる。
【0030】
【表3】

【0031】
表2は、異なる壁形状を形態学的指標に基づいて異なるカテゴリに容易に分類できることを示している。例えば、図5に示した部分を異なるカテゴリに分類する指標として最小/最大を使用し、最小/最大のしきい値を0.3に設定した場合、画像a1〜a9は第1のグループ、画像a10〜a26は第2のグループ、画像a27〜a30は第3のグループに分類される。
【0032】
先に述べたとおり、本発明はさらに、管腔境界、壁境界および壁厚の測定値に基づいて定義される32個の脈管形態記述子を含む。境界トレーシングのための技法は当技術分野で知られている(非特許文献3参照。この文献の開示および図は参照によって本明細書に明確に組み込まれる)。ドローネー三角形分割およびマルチレゾルーションタイリングの使用に基づく壁厚の決定は先に詳細に論じた。形態記述は、面積記述子(area descriptor)、単純記述子(simple descriptor)および複雑性記述子(complexity descriptor)を含む。
【0033】
面積記述子は、管腔面積、壁面積ならびにそれらの相対位置および比を示す。単純記述子は、管腔境界記述子、壁境界記述子および壁厚記述子を含む。複雑性記述子は、複雑管腔−壁記述子および複雑厚さ−壁記述子を含む。単純記述子は形状の変化を表示し、複雑性記述子は、管腔境界、外壁境界および壁厚間の相対的な変化を表示する。これらの記述子の再現性を、健康な人および病気の人の頸動脈から得たMR画像について試験した。
【0034】
最初に形態記述子の公式化について論じ、次いで脈管形態解析用の記述子の具体的な定義について論じる。最後に、本発明を支持する経験的データについて論じる。
【0035】
図6は、壁厚値とともに形態記述子を定義するために使用される外壁境界104および管腔境界102を概略的に示している。次いで最大半径108および最小半径106を後に詳述するように計算することができる。
【0036】
本発明の形態記述子の公式化に関して、輪郭はN個の頂点を有し、辺は、[(x,y),(x,y),...,(x,y)]の順序でこれらの頂点を接続し、最後の頂点は最初の頂点に接続されると仮定する。輪郭の面積(Area)は下式で定義される。
【0037】
【数2】

【0038】
上式で、
【0039】
【数3】

【0040】
は(i+1) mod Nであり、p、pは長方形画素の辺のサイズである。
【0041】
輪郭の半径は、重心(centroid)から輪郭上の1点までの距離として定義される。輪郭の重心(Centroid)は下式で定義される。
【0042】
【数4】

【0043】
輪郭の半径(Radius)iは下式で定義される。
Radius(i)=sqrt((x−Centroid(x))×p+(y−Centroid(y))×p) (3)
【0044】
輪郭の最小半径(MinRadii)および最大半径(MaxRadii)は下式で定義される。
【0045】
【数5】

【0046】
上式で、δは、図6に示す最小半径位置lminおよび最大半径位置lmaxの近傍100である。
【0047】
【数6】

【0048】
輪郭の半径の平均(MeanRadii)および標準偏差(SDRadii)は下式で定義される。
【0049】
【数7】

【0050】
同様にM個の壁厚(Thickness)を評価していると仮定する。すべての壁厚の最小(MinThick)、すべての壁厚の最大(MaxThick)、すべての壁厚の平均(MeanThick)およびすべての壁厚の標準偏差(SDThick)は下式で定義される。
【0051】
【数8】

【0052】
上式で、δは、最小厚さ位置lminおよび最大厚さ位置lmaxの近傍であり、下式で定義される。
【0053】
【数9】

【0054】
次に、本発明の面積記述子、単純記述子および複雑性記述子の具体的な定義を示す。面積記述子には、管腔面積(LumenArea)、外壁境界面積(OuterArea)、壁面積(WallArea)および管腔面積と外壁境界面積との比(LORatio)が含まれる。管腔面積および外壁境界面積は式(1)から計算される。壁面積および管腔面積と外壁境界面積との比は下式から計算される。
WallArea=OuterArea−LumenArea (16)
LORatio=(LumenArea/OuterArea)×100% (17)
【0055】
LumenArea、OuterAreaおよびWallAreaは動脈の物理的な面積を指定し、LORatioは、LumenAreaをOuterAreaの割合として指示する。これらの面積記述子は、図7A〜7Dに概略的に示すように管に沿った狭窄および変動を表す。図7Aでは管腔面積および壁面積が変化しているが、形状は変化していない。
【0056】
単純記述子は1次元の寸法距離、例えば管腔半径、外壁境界半径および壁厚のうちの1つに基づく。単純記述子は管腔境界記述子、外壁境界記述子および壁厚記述子を含む。単純記述子の各グループは、1つの特徴パラメータの平均、最小、最大、最小と最大との比、最小と平均との比、平均と最大との比および標準偏差と平均との比を含む。平均記述子、最小記述子および最大記述子は、物理的な半径サイズまたは厚さサイズを表示し、比記述子は、平均記述子、最小記述子および最大記述子間の関係を示す。管腔境界記述子、壁境界記述子および壁厚記述子は形状の変化を指示する。
【0057】
図7Bは、外壁境界変化のない管腔境界形状の変化を概略的に示している。図7Cは、管腔面積変化のない外壁境界形状の変化を概略的に示している。図7Dは、管腔境界の変化および外壁境界の変化を概略的に示している。したがってこれらの記述子が管の形態に関する詳細を提供することは明白である。
【0058】
管腔境界半径の平均(MeanLRadii)、管腔境界半径の最小(MinLRadii)および管腔境界半径の最大(MaxLRadii)はそれぞれ式(4)、(5)および(8)から計算される。管腔境界半径の最小と管腔境界半径の最大との比(LMMDev)、管腔境界半径の最小と管腔境界半径の平均との比(LMinDev)、管腔境界半径の平均と管腔境界半径の最大との比(LMaxDev)および管腔境界半径の標準偏差と管腔境界半径の平均との比(LMeanDev)は下式から計算される。
LMMDev=(1.0−MinLRadii/MaxLRadii)×100% (18)
LMinDev=(1.0−MinLRadii/MeanLRadii)×100% (19)
LMaxDev=(1.0−MeanLRadii/MaxLRadii)×100% (20)
LMeanDev=(SDLRadii/MeanLRadii)×100% (21)
【0059】
外壁境界半径の平均(MeanWRadii)、外壁境界半径の最小(MinWRadii)および外壁境界半径の最大(MaxWRadii)はそれぞれ式(4)、(5)および(8)を使用して計算される。外壁境界半径の最小と外壁境界半径の最大との比(WMMDev)、外壁境界半径の最小と外壁境界半径の平均との比(WMinDev)、外壁境界半径の平均と外壁境界半径の最大との比(WMaxDev)および外壁境界半径の標準偏差と外壁境界半径の平均との比(WMeanDev)は以下のように計算される。
WMMDev=(1.0−MinWRadii/MaxWRadii)×100% (22)
WMinDev=(1.0−MinWRadii/MeanWRadii)×100% (23)
WMaxDev=(1.0−MeanWRadii/MaxWRadii)×100% (24)
WMeanDev=(SDWRadii/MeanWRadii)×100% (25)
【0060】
すべての壁厚の平均(MeanThick)、すべての壁厚の最小(MinThick)およびすべての壁厚の最大(MaxThick)はそれぞれ式(10)、(11)および(12)を使用して計算される。すべての壁厚の最小とすべての壁厚の最大との比(TMMDev)、すべての壁厚の最小とすべての壁厚の平均との比(TMinDev)、すべての壁厚の平均とすべての壁厚の最大との比(TMaxDev)およびすべての壁厚の標準偏差とすべての壁厚の平均との比(TMeanDev)は以下のように計算される。
TMMDev=(1.0−MinThick/MaxThick)×100% (26)
TMinDev=(1.0−MinThick/MeanThick)×100% (27)
TMaxDev=(1.0−MeanThick/MaxThick)×100% (28)
TMeanDev=(SDThick/MeanThick)×100% (29)
【0061】
複雑性記述子は、2次元の寸法距離間の関係、すなわち管腔半径と外側境界半径の関係または壁厚と外側境界半径の関係を特徴付ける。複雑性記述子は、管腔境界形状と外壁境界形状との間および壁厚形状と壁境界形状との間の相対的な変化を示す、管腔−壁記述子および厚さ−壁記述子を含む。先に述べたとおり、図7A〜&Dはこのような変化を概略的に示している。
【0062】
複雑さ管腔−壁記述子には、管腔半径の最小とすべての壁半径の平均との比(MinLW)、管腔半径の最大とすべての壁半径の平均との比(MaxLW)、管腔半径の平均とすべての壁半径の平均との比(MeanLW)および管腔の重心と外壁境界の重心との間の距離とすべての壁半径の平均との比(EccentricityW)が含まれる。EccentricityWは、管腔境界と外壁境界との間の偏心距離の壁半径の平均に対する相対的な変化のレベルを表示する。MinLW、MaxLW、MeanLWおよびEccentricityWは以下のように決定される。
MinLW=(MinLRadii/MeanWRadii)×100% (30)
MaxLW=(MaxLRadii/MeanWRadii)×100% (31)
MeanLW=(MeanLRadii/MeanWRadii)×100% (32)
EccentricityW=(Dist/MeanWRadii)×100% (33)
上式で
Dist=sqrt((x−x×p+(y−y×p) (34)、(x,y)、(x,y)はそれぞれ管腔重心および外壁境界重心、p、pは画素サイズである。
【0063】
複雑厚さ−壁記述子は、すべての壁厚の最小とすべての壁半径の平均との比(MinTW)、すべての壁厚の最大とすべての壁半径の平均との比(MaxTW)およびすべての壁厚の平均とすべての壁半径の平均との比(MeanTW)を含み、これらは以下のように計算される。
MinTW=(MinThick/MeanWRadii)×100% (35)
MaxTW=(MaxThick/MeanWRadii)×100% (36)
MeanTW=(MeanThick/MeanWRadii)×100% (37)
【0064】
以上に記載した形態記述子の再現性を評価するため、これらの形態記述子を頸動脈画像から得られたデータに適用する2種類の実験を設計した。第1の実験では、1人の志願者が異なる3つの施設(ワシントン大学メディカルセンター(University of Washington Medical Center)、ユタ大学メディカルセンター(University of Utah Medical Center)およびメイヨークリニック(Mayo Clinic))を訪れ、それぞれの施設でその志願者の頸動脈を、フローサプレストファストスピンシーケンス(flow suppressed fast spin sequence)を用いてスキャンした。それぞれの施設は異なる画像化ソフトウェアを使用し、それぞれの施設で使用されたスキャナは同一であり、それぞれの施設で同じ画像化パラメータを使用した(画像サイズ=512×512/画素サイズ=0.32mm/スライス厚=2.0mm/スライス数=9)。それぞれの施設で得られた画像データは1人の専門家が調べた。第2の実験では、異なる2つの施設(ワシントン大学メディカルセンターおよび退役軍人ピュージェット湾ヘルスケアシステム(Veteran's Affairs Puget Sound Health Care System))にいる合わせて15人のそれぞれの患者に対して、2週間以内に独立した2回のMRスキャンを実施した。同じ患者に対する2回のMRスキャンは同じ施設で実施した。いずれの施設でも同じ画像化パラメータを使用した(画像サイズ=512×512画素/画素サイズ=0.25mm/スライス厚=2.0mm/スライス数=10)。これらの15人の患者の年齢は42才から69才であった。すべてのプロトコルおよび同意書の書式は、それぞれの施設の調査委員会の承認を受けた。いずれの患者も、複式超音波検査によって決定された少なくとも片側の頸動脈の狭窄が50%超、80%未満であった。15人の患者の2回のスキャンによって解析用に30の頸動脈画像が得られるはずであったが、(スキャン中の患者の動きによって引き起こされた)位置の不整合および不良な画像品質の結果、解析に使用可能な有効な頸動脈画像は24画像だけであった。2名の放射線科医が独立に、それぞれの患者の管腔境界および外壁境界を、半自動スネークアルゴリズム(semi−automatic Snake algorithm)を使用してトレースした。このようにして得た管腔境界および外壁境界ならびに先に述べたようにして(すなわちドローネー三角形分割とマルチレゾルーションタイリングの組合せを使用して)得た壁厚を使用して、先に述べた32個のそれぞれの形態記述子の値を自動的に計算した。頸動脈の物理的な位置を一致させるための基準点として頸動脈の分岐を使用し、結果の再現性を判定できるようにした。
【0065】
形態記述子の再現性はプール相対標準偏差(pooled relative standard deviation:PRSD)を使用して評価した。1つのサンプルのPRSDは以下のように計算される。
【0066】
【数10】

【0067】
上式で、
【0068】
【数11】

【0069】
または
【0070】
【数12】

【0071】
上式で、xp,j,iは形態記述子、i=1,2,...,nはサンプルのインデックス、j=1,2,...,mは頸動脈のスライスのインデックス、p=1,2,...,lは患者の頸動脈のインデックスである。3施設実験ではi=1,2,3、j=1,2,...,9、p=1である。この実験ではi=1,2、j=1,2,...,10、p=1,2,...,24である。式(39a)は物理的な次元を有する記述子、例えばLumenArea、OuterAreaに対して使用される。式(39b)は無次元の記述子、例えばLORatio、LMMRadiiに対して使用される。式(39b)は、この標準偏差を、比の可能な範囲の最大値である1.0の割合として表現する。
【0072】
図8Aおよび8Bは、1人の患者の頸動脈を3つの異なる施設で画像化し、これらの画像を同じ専門家が調べた第1の実験で得られた画像の視覚的表現である。図8Aおよび8Bは、患者の左頸動脈の分岐の付近の3枚のスライスの壁厚を示している。図8Aおよび8Bの画像M−a1、M−a2およびM−a3はメイヨークリニックで得られたものであり、図8Aおよび8Bの画像U−a1、U−a2およびU−a3はユタ大学メディカルセンターで得られたものであり、図8Aおよび8Bの画像W−a1、W−a2およびW−a3はワシントン大学メディカルセンターで得られたものである。図8Aではそれぞれの画像が抽出された輪郭を含み、図8Bではそれぞれの画像が最大厚さおよび最小厚さを含む。表3に、患者の左頸動脈の形態記述子のプール相対PRSDを示す。これらの記述子中、最大のPRSDは7%に満たない。この施設間調査の結果は、これらの形態記述子を使用して、異なる施設から得られたMR画像を評価することができることを示唆している。
【0073】
【表4】

【0074】
図9Aおよび9Bは、15人の患者の頸動脈を2週間のうちに2回、同じ施設で画像化し、これらの画像を異なる専門家が調べた第1の実験で得られた画像の視覚的表現である。図9Aおよび9Bにはすべての画像は示されておらず、この実験の選択された画像だけが示されている。図9Aではそれぞれの画像が抽出された輪郭を含み、図9Bではそれぞれの画像が最大壁厚および最小壁厚の指示を含む。表4に15人の患者のPRSDを示す。これらの記述子中、最大のPRSDは12%に満たない。表3および4では、外壁境界をトレースする際のより大きな困難のため、壁面積など外壁測定を含む記述子は精密さに欠ける(比較的に大きなPRSDを示す)傾向がある。LORatio(管腔面積/外壁面積)などの比は、その絶対値が一般に小さく、したがってPRSDが小さいため、より精密な(比較的に小さなPRSDを指示する)傾向がある。表3および4の結果は、本発明の形態記述子を使用して、脈管の斑形態の進行および退行を患者のMR画像に基づいて監視できることを示唆している。
【0075】
【表5】

【0076】
記述子の説明
1.LumenArea:管腔の面積
2.OuterArea:外壁境界の面積
3.WallArea:管腔境界と外壁境界との間の壁の面積
4.LORatio:管腔面積と外壁境界面積との比
5.MeanLRadii:管腔境界半径の平均
6.MinLRadii:管腔境界半径の最小
7.MaxLRadii:管腔境界半径の最大
8.LMMDev:管腔境界半径の最小と管腔境界半径の最大との比
9.LMinDev:管腔境界半径の最小と管腔境界半径の平均との比
10.LMaxDev:管腔境界半径の平均と管腔境界半径の最大との比
11.LMeanDev:管腔境界半径の標準偏差と管腔境界半径の平均との比
12.MeanWRadii:外壁境界半径の平均
13.MinWRadii:外壁境界半径の最小
14.MaxWRadii:外壁境界半径の最大
15.WMMDev:外壁境界半径の最小と外壁境界半径の最大との比
16.WMinDev:外壁境界半径の最小と外壁境界半径の平均との比
17.WMaxDev:外壁境界半径の平均と外壁境界半径の最大との比
18.WMeanDev:外壁境界半径の標準偏差と外壁境界半径の平均との比
19.MeanThick:すべての壁厚の平均
20.MinThick:すべての壁厚の最小
21.MaxThick:すべての壁厚の最大
22.TMMDev:すべての壁厚の最小とすべての壁厚の最大との比
23.TMinDev:すべての壁厚の最小とすべての壁厚の平均との比
24.TMaxDev:すべての壁厚の平均とすべての壁厚の最大との比
25.TMeanDev:すべての壁厚の標準偏差とすべての壁厚の平均との比
26.MinLW:管腔半径の最小とすべての壁半径の平均との比
27.MaxLW:管腔半径の最大とすべての壁半径の平均との比
28.MeanLW:管腔半径の平均とすべての壁半径の平均との比
29.EccentricityW:管腔の重心と外壁境界の重心との間の距離とすべての壁半径の平均との比
30.MinTW:すべての壁厚の最小とすべての壁半径の平均との比
31.MaxTW:すべての壁厚の最大とすべての壁半径の平均との比
32.MeanTW:すべての壁厚の平均とすべての壁半径の平均との比
先に論じた一組の脈管形態記述子を使用して、脈管の形態を解析することができる。先に定義したすべての記述子の使用が好ましいが、先に定義した32個の記述子よりも少ない数の記述子を使用して斑形態を解析することができるので、本発明は、先に定義したすべての記述子の使用に限定されないことを理解されたい。少なくとも2つの記述子を使用することが好ましい。これらの記述子は管腔境界、外壁境界および壁厚に基づいて定義される。管腔境界および外壁境界(すなわち図8Aおよび9Aの抽出された輪郭)を画定するために従来技術の技法が使用される。壁厚は、ドローネー三角形分割およびマルチレゾルーションタイリングを使用し先に論じたとおりに計算される。この一組の脈管形態記述子は管腔境界、外壁境界および壁厚の値を使用して計算される。これらの記述子は、管腔、外壁および壁厚の形態学的サイズならびにそれらの相対的な関係を定量化する。経験的な試験によれば、これらの記述子中の最大のPRSDは7%に満たない。これらの記述子は高い再現性を示すが、外壁測定を含む記述子は最も大きな変動を示す。
【0077】
好ましい一実施態様では、壁厚計算およびこの一組の脈管形態記述子が、コンピューティング装置を使用して自動的に生成される。このようなコンピューティング装置は、画像を集めるために使用される画像化システムに含めることができ、またはおそらくは以前に別々に集められ記憶された画像を処理することができる。このコンピューティング装置を、最小壁厚および最大壁厚が(明るい線で)視覚的に表示された図8Bおよび9Bの例のように結果を視覚的に提供するように構成することができる。このコンピューティング装置を、壁厚に関する数値データならびに表3および4に示した例に提供されたPRSDデータを提供するように構成することもできる。このコンピューティング装置を、この一組の脈管形態記述子を臨床斑解析に対して使用して、斑の形態に基づいて危険因子を定量的に予測する結果を生み出すようにさらに構成することができる。
【0078】
本発明を実装するためのシステム
図10および関連する以下の議論は、本発明を実施するのに適した適当なコンピューティング環境の短い概説を提供することを意図したものである。先に指摘したとおり、壁厚を推定する方法および形態記述子を使用して、斑形態の解析を自動化することができる。したがって本発明の一態様は、管腔画像データ(特に脈管構造に対応する画像データ)を生成し、このような画像データを評価するための自動化されたシステムである。この処理を、パーソナルコンピュータまたは他のコンピューティング装置上に実装することができる。本発明を、ラップトップおよび他のポータブルコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ネットワークコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ならびにプロセッサおよびメモリを含み任意選択でディスプレイを含む他のタイプのコンピューティング装置を含む他のコンピューティング装置を用いて実施することができることを当業者は理解されたい。
【0079】
図10のシステムは、コンピュータ32によって制御された概ね従来型の画像化装置30(好ましくはMRIシステム)を含む。コンピュータ32は、概ね従来型のパーソナルコンピュータ(PC)とし、または画像化装置30を制御することを特に目的とする専用コントローラとすることができる。具体的には示されていないが、画像化装置30がMRIシステムを使用して実装されるとき、画像化装置30は、永久磁場を生み出すための磁石と、磁場の空間変動を生み出すための複数の傾斜磁場コイルと、MRI分野の技術者には周知の方法で複数のRFコイルとの間でRF信号を送受信するRFトランシーバ/レシーバシステムとを含む。MRI装置または本発明とともに使用する可能性がある他の周知の画像化装置の詳細を本明細書に具体的に示しまたは論じる必要はない。
【0080】
コンピュータ32は、スライスの画像をオペレータに表示するのに使用されるディスプレイ34に結合される。コンピュータ32にはプロセッサ36が含まれる。プロセッサ36には、メモリ38(リードオンリーメモリ(ROM)とランダムアクセスメモリ(RAM)の両方を有する)と、データ、デジタル信号およびソフトウェアプログラムを記憶するための記憶装置40(例えばハードドライブまたは他の不揮発性データ記憶装置)と、インターフェース44と、コンパクトディスク(CD)ドライブ46とがバス42によって結合されている。CDドライブ46は、本発明ならびにコンピュータ32によって実行される可能性がある他のソフトウェアモジュールおよびプログラムを実現するための機械命令が記憶されたCD48を読むことができる。これらの機械命令は、本発明のステップを実行するためにプロセッサ36によって実行される前にメモリ38にロードされる。
【0081】
画像化装置30の動作は、メモリ38に記憶された機械命令をプロセッサ36が実行したときにコンピュータ32によって制御される。これらの機械命令によって、プロセッサは、先に論じた壁厚推定プロセスおよび先に詳細に論じた32個のそれぞれの形態記述子の計算を実現する。先に定義した形態記述子を計算するためには管腔境界および外壁境界データが必要なため、コンピュータ32は、必要な管腔境界および外壁境界データを得るための従来の輪郭マッピングを容易にするように構成されることが好ましい。得られたデータは任意選択で、選択したスライスをディスプレイ34上に表示できるよう記憶装置40上に記憶され、または直接に表示される。
【0082】
画像化装置30に関して、このような画像化装置からデータを集め、次いで、コンピュータ32による後の解析のためにデジタル形式で記憶することができることを理解されたい。このデジタルデータは後に、ネットワーク接続またはデジタルメモリ媒体を経由してコンピュータ32のRAMにロードすることができる。したがって、画像化装置30をコンピュータ32に機能可能に結合する必要はないが、データの解析をリアルタイムで実施することができるので、そのように構成することが特に好ましいと思われる。
【0083】
本発明を実施する好ましい形態に関して本発明を説明したが、前記請求項の範囲に含まれる多くの変更をこれらの好ましい形態に加えることができることを当業者は理解されたい。したがって、本発明の範囲は以上の説明によって限定されるものではなく、本発明の範囲はその全体が請求項を参照することによって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】管腔壁の厚さをその管腔の画像から決定するため本発明においてドローネー三角形分割とともに使用されるエッジフリッピングを概略的に示す図である。
【図2A】本発明で使用されるマルチレゾルーションタイリングを概略的に示す図である。
【図2B】本発明で使用されるマルチレゾルーションタイリングを概略的に示す図である。
【図2C】本発明で使用されるマルチレゾルーションタイリングを概略的に示す図である。
【図2D】本発明で使用されるマルチレゾルーションタイリングを概略的に示す図である。
【図2E】本発明で使用されるマルチレゾルーションタイリングを概略的に示す図である。
【図3】頸動脈ファントムMR画像に適用された本発明に基づく壁厚推定の視覚的表現である。
【図4】例示的な患者頸動脈MR画像である。
【図5】図4の患者頸動脈MR画像に適用された本発明に基づく壁厚推定の視覚的表現である。
【図6】斑の形態を評価するために使用される本発明の第2の態様に基づく複数の形態記述子を定義するため壁厚値とともに使用される外壁境界および管腔境界を概略的に示す図である。
【図7A】管腔面積および壁面積は変化しているが管腔の形状は変化していない管腔の狭窄を概略的に示す図である。
【図7B】管腔境界の形状は変化しているが外壁境界の形状は変化してない管腔の狭窄を概略的に示す図である。
【図7C】管腔境界の形状は変化していないが外壁境界の形状は変化している管腔を概略的に示す図である。
【図7D】管腔境界および外壁境界が変化した管腔の狭窄を概略的に示す図である。
【図8A】3つの異なる施設で得られた患者の頸動脈の例示的な画像であって、抽出された輪郭を示す画像である。
【図8B】3つの異なる施設で得られた患者の頸動脈の例示的な画像であって、最小および最大壁厚を示す画像である。
【図9A】抽出された輪郭を示す異なる患者の頸動脈の例示的な画像である。
【図9B】最小および最大壁厚を示す異なる患者の頸動脈の例示的な画像である。
【図10】本発明を実装するのに適したコンピュータシステムのブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
30 画像化装置
32 コンピュータ
34 ディスプレイ
36 プロセッサ
38 メモリ(ROMおよびRAM)
40 データ
42 バス
44 インターフェース
46 CDドライブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔の壁の厚さを前記管腔の画像から推定するための方法であって、
(a)前記管腔の画像において内側の輪郭および外側の輪郭を識別するステップと、
(b)低解像度三角形分割機能を実行して前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に三角形を画定するステップと、
(c)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形を追加するステップと、
(d)画定された前記三角形および追加された前記三角形の辺を最小エネルギー関数により解析して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する三角形の辺を識別するステップと、
(e)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別された三角形の辺を比較して、前記管腔の最小壁厚および最大壁厚にそれぞれ対応する最小幅および最大幅を識別するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別された追加の三角形の辺が比較されて前記最小幅および前記最大幅が識別されるように、所望の解像度が得られるまでステップ(c)および(d)を繰り返すステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低解像度三角形分割機能を実行するステップは、
(a)ウェーブレット解析を使用して前記内側輪郭を低解像度の一組の内側輪郭に分解するステップと、
(b)ウェーブレット解析を使用して前記外側輪郭を低解像度の一組の外側輪郭に分解するステップと、
(c)前記一組の低解像度内側輪郭および前記一組の低解像度外側輪郭について、グリーディ三角形分割を使用してタイリングを計算するステップと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記三角形の前記辺を前記最小エネルギー関数により解析するステップは、ドローネー三角形分割のMaxMin角度特性を使用して前記最小エネルギー関数を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記三角形の辺を前記最小エネルギー関数により解析するステップは、前記三角形の前記辺にエッジフリッピング操作を実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形を追加するステップは、
(a)前記内側輪郭上および前記外側輪郭上にそれぞれ追加の頂点を挿入して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に画定された三角形が四辺形に変換されるようにするステップと、
(b)前記内側輪郭と前記外側輪郭のうちの一方の輪郭上の挿入されたそれぞれの頂点から前記内側輪郭と前記外側輪郭のうちの他方の輪郭上の対応する四辺形頂点に至る辺を引き、それによってそれぞれの四辺形を一対の三角形に変換するステップと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)〜(e)は少なくとも部分的に、コンピューティング装置によって自動的に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記内側カウンタ、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して、前記管腔の複数の形態記述子を計算するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記内側カウンタ、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して複数の形態記述子を計算するステップは、複数の面積記述子を計算するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の面積記述子を計算するステップは以下のうちの少なくとも2つを計算するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
(a)前記管腔の面積
(b)前記管腔の外壁境界面積
(c)前記管腔の壁面積
(d)前記管腔の前記面積と前記外壁境界面積との比
【請求項11】
前記内側カウンタ、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して複数の形態記述子を計算するステップは、前記管腔に対して決定された1つの寸法距離にそれぞれ基づく複数の単純記述子を計算するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
複数の単純記述子を計算するステップは以下のうちの少なくとも2つを計算するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
(a)管腔境界半径の平均
(b)前記管腔境界半径の最小
(c)前記管腔境界半径の最大
(d)前記管腔境界半径の前記最小と前記管腔境界半径の前記最大との比
(e)前記管腔境界半径の前記最小と前記管腔境界半径の前記平均との比
(f)前記管腔境界半径の前記平均と前記管腔境界半径の前記最大との比
(g)前記管腔境界半径の標準偏差と前記管腔境界半径の前記平均との比
【請求項13】
複数の単純記述子を計算するステップは以下のうちの少なくとも2つを計算するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
(a)外壁境界半径の平均
(b)前記外壁境界半径の最小
(c)前記外壁境界半径の最大
(d)前記外壁境界半径の前記最小と前記外壁境界半径の前記最大との比
(e)前記外壁境界半径の前記最小と前記外壁境界半径のアウターの前記平均との比
(f)前記外壁境界半径の前記平均と前記外壁境界半径の前記最大との比
(g)前記外壁境界半径の標準偏差と前記外壁境界半径の前記平均との比
【請求項14】
複数の単純記述子を計算するステップは以下のうちの少なくとも2つを計算するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
(a)決定された前記管腔のすべての壁厚の平均
(b)前記最小壁厚と前記最大壁厚との比
(c)前記最小壁厚とすべての壁厚の前記平均との比
(d)すべての壁厚の前記平均と前記最大壁厚との比
(e)すべての壁厚の標準偏差とすべての壁厚の前記平均との比
【請求項15】
前記内側カウンタ、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して前記複数の形態記述子を計算するステップは、前記管腔に対して決定された2つの異なる寸法距離にそれぞれ基づく複数の複雑性記述子を計算するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項16】
複数の複雑性記述子を計算するステップは以下のうちの少なくとも2つを計算するステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
(a)前記管腔の管腔半径の最小と壁半径の平均との比
(b)管腔半径の最大と前記壁半径の前記平均との比
(c)前記管腔半径の平均と前記壁半径の前記平均との比
(d)前記管腔の重心と前記外壁境界の重心との間の距離と前記壁半径の前記平均との比
【請求項17】
複数の複雑性記述子を計算するステップは以下のうちの少なくとも2つを計算するステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
(a)前記最小壁厚と壁半径の平均との比
(b)前記最大壁厚と前記壁半径の前記平均との比
(c)すべての壁厚の前記平均と前記壁半径の前記平均との比
【請求項18】
前記内側カウンタ、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して、前記管腔の複数の形態記述子を計算するステップは、
(a)複数の面積記述子と、
(b)前記管腔に対して決定された1つの寸法距離にそれぞれ基づく複数の単純記述子と、
(c)前記管腔に対して決定された2つの異なる寸法距離にそれぞれ基づく複数の複雑性記述子と
を計算するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項19】
それぞれの形態記述子はコンピューティング装置によって自動的に計算されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記管腔は患者の血管であり、前記複数の形態記述子を解析して、前記患者が脳卒中を発症する危険があるかどうか評価するステップをさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載のステップを実施するための機械実行可能命令が記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項22】
管腔の壁の厚さを推定するための方法であって、
(a)前記管腔の内側の輪郭および外側の輪郭を識別するステップと、
(b)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間にマルチレゾルーションタイリングを使用して複数の辺を生成するステップと、
(c)ドローネー三角形分割最小エネルギー関数を使用して前記複数の辺を解析して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する辺を識別するステップと、
(d)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別された辺を比較して最小幅および最大幅を識別するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記内側輪郭、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して、前記管腔の複数の形態記述子を計算するステップをさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記内側カウンタ、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して複数の形態記述子を計算するステップは、
(a)複数の面積記述子と、
(b)前記管腔に対して決定された1つの寸法距離にそれぞれ基づく複数の単純記述子と、
(c)前記管腔に対して決定された2つの異なる寸法距離にそれぞれ基づく複数の複雑性記述子と
を計算するステップを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項22に記載のステップを実施するための機械実行可能命令が記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項26】
管腔の壁の厚さを推定するための方法であって、
(a)管腔の内側の輪郭および外側の輪郭を識別するステップと、
(b)前記内側輪郭および外側輪郭をそれぞれ、前記内側輪郭の一組の低解像度の離散的な点および前記外側輪郭の一組の低解像度の離散的な点に分解するステップと、
(c)三角形分割機能を使用して、それぞれの一組の低解像度の前記離散的な点間に三角形を画定するステップと、
(d)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形を追加するステップと、
(e)画定された前記三角形および追加された前記三角形の辺を解析して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する三角形の辺を識別するステップと、
(f)前記三角形の辺を比較して最小幅および最大幅を識別するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形を追加するステップは、
(a)前記内側輪郭上および前記外側輪郭上にそれぞれ追加の点を挿入して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に画定された三角形が四辺形に変換されるようにするステップと、
(b)挿入されたそれぞれの点から他方の輪郭上の対応する四辺形頂点に至る辺を引き、それによってそれぞれの四辺形を一対の三角形に変換するステップと
を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
三角形の辺を解析するステップは、ドローネー三角形分割のMaxMin角度特性を使用して最小エネルギー関数を決定するステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別された追加の三角形の辺が比較されて前記最小幅および前記最大幅が識別されるように、所望の解像度が得られるまでステップ(e)および(f)を繰り返すステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記内側輪郭、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して、前記管腔の複数の形態記述子を計算するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
請求項26に記載のステップを実施するための機械実行可能命令が記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項32】
管腔の壁の厚さを推定するための方法であって、
(a)前記管腔の内側の輪郭および外側の輪郭を識別するステップと、
(b)前記内側輪郭および前記外側輪郭を低解像度の輪郭の組に分解して、一対の低解像度の輪郭の組を生成するステップと、
(c)タイリングを計算して、低解像度のそれぞれの輪郭の組に対して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に延びる横断した少なくとも1本の辺をそれぞれが含む三角形を生成するステップと、
(d)横断したそれぞれの辺を疑わしい辺として標識するステップと、
(e)最小エネルギー関数を使用してそれぞれの三角形をその横断した辺に対してエッジフリッピングして、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する横断した辺を識別するステップと、
(f)それぞれの前記一対の低解像度の輪郭の組によって画定された三角形が四辺形に変換されるように、低解像度の輪郭の組にそれぞれ新しい頂点を挿入するステップと、
(g)前記一対の低解像度の一方の輪郭の組に挿入されたそれぞれの頂点から前記対の低解像度の他方の輪郭の組の対応する四辺形頂点に至る辺を引いて、それぞれの四辺形を一対の三角形に変換するステップと、
(h)横断したそれぞれの辺を疑わしい辺として標識するステップと、
(i)前記最小エネルギー関数を使用してそれぞれの三角形をその横断した辺に対してエッジフリッピングして、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する横断した辺を識別するステップと、
(j)所望の解像度が得られるまでステップ(f)〜(i)を繰り返すステップと、
(k)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別された横断した辺を比較して最小幅および最大幅を識別するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項33】
前記内側輪郭、前記外側輪郭、前記最小幅および前記最大幅を使用して、前記管腔の複数の形態記述子を計算するステップをさらに備えることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項32に記載のステップを実施するための機械実行可能命令が記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項35】
管腔を解析して、壁厚を含む前記管腔の寸法を決定するためのシステムであって、
(a)患者の体内の管腔の画像を生成する画像化装置と、
(b)前記画像化装置を制御するために前記画像化装置に結合されたコンピューティング装置と
を備え、前記コンピューティング装置は、
(i)機械命令が記憶されたメモリと、
(ii)前記メモリに結合されたプロセッサと
を含み、
前記プロセッサは前記機械命令を実行して、複数の操作を実行するように前記画像化装置を制御し、前記複数の操作は、
(1)前記管腔の内側の輪郭および外側の輪郭を識別すること、
(2)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間にマルチレゾルーションタイリングを使用して複数の辺を生成すること、
(3)ドローネー三角形分割最小エネルギー関数を使用して前記複数の辺を解析して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する辺を識別すること、および
(4)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別され辺を比較して、前記管腔の最小壁厚および最大壁厚にそれぞれ対応する前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の最小幅および最大幅を識別すること
を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項36】
前記プロセッサに結合されたディスプレイをさらに備え、前記機械命令によって前記プロセッサはさらに、前記管腔の選択されたスライスの離散的な画像を表示することを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記機械命令によって前記プロセッサは、前記管腔の複数の形態記述子をさらに計算し、前記形態記述子は、
(a)複数の面積記述子と、
(b)前記管腔に対して決定された1つの寸法距離にそれぞれ基づく複数の単純記述子と、
(c)前記管腔に関連する2つの異なる寸法距離にそれぞれ基づく複数の複雑性記述子と
を含むことを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
管腔を解析して、壁厚を含む前記管腔の寸法を決定するためのシステムであって、
(a)管腔の画像を処理するように構成されたコンピュータ
を備え、前記コンピュータは、
(i)機械命令が記憶されたメモリと、
(ii)管腔の画像を表示するように構成されたディスプレイと、
(ii)前記メモリおよび前記ディスプレイに結合されたプロセッサと
を含み、
前記プロセッサは、前記機械命令を実行して複数の操作を実行し、前記複数の操作は、
(1)前記管腔の画像において内側の輪郭および外側の輪郭を識別すること、
(2)低解像度三角形分割機能を実行して前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に三角形を画定すること、
(3)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形を追加すること、
(4)画定された前記三角形および追加された前記三角形の辺を最小エネルギー関数により解析して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応する三角形の辺を識別すること、および
(5)前記内側輪郭と前記外側輪郭との間の幅に対応すると識別された三角形の辺を比較して、前記管腔の最小壁厚および最大壁厚にそれぞれ対応する最小幅および最大幅を識別すること
を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項39】
前記機械命令によって前記プロセッサは、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形を、所定の解像度が得られるまでさらに繰返し追加することを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記機械命令によって前記プロセッサは、以下の操作を実現することによって前記低解像度三角形分割機能をさらに実行することを特徴とする請求項38に記載のシステム。
(a)ウェーブレット解析を使用して前記内側輪郭を低解像度の一組の内側輪郭に分解し、ウェーブレット解析を使用して前記外側輪郭を低解像度の一組の外側輪郭に分解する操作
(b)前記一組の低解像度内側輪郭および前記一組の低解像度外側輪郭について、グリーディ三角形分割を使用してタイリングを計算する操作
【請求項41】
前記機械命令によって前記プロセッサは、ドローネー三角形分割のMaxMin角度特性を使用して前記三角形の前記辺をさらに解析して、前記最小エネルギー関数を決定することを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記機械命令によって前記プロセッサは、三角形の辺を、前記三角形の前記辺上でエッジフリッピング操作を実行することによってさらに解析することを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記機械命令によって前記プロセッサは、以下の操作を実現することによって前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に追加の三角形をさらに追加することを特徴とする請求項38に記載のシステム。
(a)前記内側輪郭上および前記外側輪郭上にそれぞれ頂点を挿入して、前記内側輪郭と前記外側輪郭との間に画定された三角形が四辺形に変換されるようにする操作、および
(b)前記内側輪郭と前記外側輪郭のうちの一方の輪郭上の挿入されたそれぞれの頂点から前記内側輪郭と前記外側輪郭のうちの他方の輪郭上の対応する四辺形頂点に至る辺を引き、それによってそれぞれの四辺形を一対の三角形に変換する操作
【請求項44】
前記機械命令によって前記プロセッサは、さらに前記管腔の複数の形態記述子を計算し、前記形態記述子は、
(a)複数の面積記述子と、
(b)前記管腔に対して決定された1つの寸法距離にそれぞれ基づく複数の単純記述子と、
(c)前記管腔に対して決定された2つの異なる寸法距離にそれぞれ基づく複数の複雑性記述子と
を含むことを特徴とする請求項38に記載のシステム。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−524096(P2006−524096A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507367(P2006−507367)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008443
【国際公開番号】WO2004/086296
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】