説明

変圧器型超電導限流器

【課題】低温電気絶縁の問題を回避でき、かつ、限流動作設定条件を自由に調整・制御できると共に、超電導状態から常電導状態に転移して限流動作が行われた後、超電導体を常電導状態から超電導状態に短時間で復帰させることもできる変圧器型超電導限流器を提供することが課題である。
【解決手段】電力系統に接続された線材が巻回されて常電導状態の変圧器1次側と、超電導体線材で構成された複数のワンターン環状線材からなり、一のワンターン環状線材における隣り合う他のワンターン環状線材に対する接続点までの距離が、略同距離となるよう互い違いにミアンダ構造に接続した複数のワンターン環状線材からなる変圧器2次側とからなり、1次側の異常電流による2次側の超電導状態から常電導状態への転移で生じた1次側インピーダンスで、限流動作を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統における事故電流を抑制する変圧器型超電導限流器に係り、特に限流動作を行わせるための超電導体の超電導状態から常電導状態への転位を、制御電流により自由に行えるようにした変圧器型超電導限流器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力の自由化や分散電源の導入は世界的な傾向であり、消費者にとっては競争原理の導入で、電気料金の低価格化が可能となるので歓迎されている。また、電力の自由化でIPP(Independent Power Producer:個人的電源設備)の大容量化が、さらに、今後普及が予想される自立型の地域電力ネットワークでは、内部に風力や太陽光、燃料電池など様々な分散電源が使われるものと予想される。
【0003】
しかしながら反面、こういった自立型の地域電力ネットワークが電力会社の送電網に接続されることで生じる種々の危険性が指摘されている。すなわち現在の送電設備は、何処かに故障が発生しても系統の安定度を保つような制御をおこなってはいるが、こういった新電源設備や分散電源で構成される地域ネットワークの接続が増えると、場合によっては制御領域を越えてしまい、電力系統全体の危険性が増して、万一の事故で系統全体が不安定となって大規模な停電に繋がる可能性がある。
【0004】
例えば図10に示したように、電力会社の発電所20Ga、21Gbにつながる電力系統に、こういったIPP電源24G0、25G1や、内部にIPP電源26G2を有する自立型の地域電力ネットワークがつながれた場合、25G1や26G2に事故が生じると、その電力系統に繋がれた電力消費地A、Bにも影響が及ぶ。
【0005】
電力系統に事故が生じた場合は事故点の電圧は零に近くなり、発電側からその点へ通常より1桁以上大きい短絡電流、或いは地落電流が流れ込む。この電流によって系統機器が損傷を受けないよう、通常は遮断器で事故点を系統から切り離すが、遮断器は中央指令所からの指令を受けて遮断を終了するまでに略0.1秒の時間が必要であり、短時間の間、故障電流が系統に流れてしまうということと、遮断器には定格電流があって定格以上の電流が流れる場合には使用することができない。従って遮断器を使用する場合、事故電流がその容量を超えてしまわないように機器配置をしなければならない。
【0006】
こういった問題を回避するため、遮断器技術を今以上に高信頼、高速にする必要があるが、遮断器が対応できない短時間の間、故障電流を抑制する限流器の存在が極めて重要になっている。すなわち、図10に示した系においても、発電所20Ga、21Gbを接続する系統に遮断機と限流器(FCL)10、10を接続したり、IPP電源25G1や26G2を有する自律分散系27に限流器10、10を介して電力系統につながれていれば、故障の影響が全域に及ぶ事がなくなるわけである。
【0007】
しかしながら限流器は、電力会社自体にとっては設置するメリットが小さい。また、直列機器であるため電圧降下が生じ、大電流を制御するため電力用半導体素子が必要となるがそのために機器が高価となり、逆に安価な非半導体素子式の限流器では限流動作を自由に制御できない、などの問題がある。また、限流器に電力用半導体素子を使う場合、素子が高価なので限流器だけの使用例は殆ど無く、通常は位相や周波数、電圧、電流等、あらゆるパラメータを制御する回路と共に用いられるのが一般的である。仮に限流器回路のみをSCR、IGBT、GTOなどの電力用半導体素子で構成する場合、バイパス抵抗を用いて限流動作時に故障電流がパイパス抵抗を流れるようにして抑制する方法になるが、万が一の事故対策にだけ高価な電力用半導体素子を用いるのでは経済性が全く成立しない。
【0008】
そのため、電力用半導体素子を用いない限流器が注目されていて、例えば最も簡単な半導体素子を使わない限流器として、直列接続した数mH程度の値のリアクトルがある。このリアクトルは限流リアクトルとも呼ばれ、磁気飽和が生じないようにヨークにギャップを設けるのが普通である。しかしながら、限流リアクトルは常に電圧降下を生じるため、その分、電源の電圧を上げる必要がある。
【0009】
正常動作時には電圧降下が生じない限流器としては、アーク駆動式限流器と超電導限流器がある。アーク駆動式限流器は基本的にはバイパス抵抗を有する遮断器であり、故障電流を遮断器で遮断し、その時に発生するアークを消去しながら、電流をバイパス回路に流して故障電流を抑制する方法である。このアーク駆動方式限流器の場合、小型・軽量化が容易であり、しかも常温動作するので既に小規模のものは実用段階にある。しかし機械的な遮断動作があるために不安が残り、万一、遮断動作が不調でも、大事故に繋がらないような系統に利用されていることが多い。
【0010】
一方の超電導限流器は超電導体の臨界電流特性を利用し、臨界電流値以下の電流であればゼロ抵抗だが、臨界電流値以上の過大電流が流れると超電導体が常電導に転位することで発生した抵抗が故障電流を抑制する方法である。超電導限流器は、冷却系を含めた装置の何処に不調があっても必ず限流動作状態になるセルフセーフ機能を有しており、信頼性が高いので、これまでにも多種多様な超電導限流器が提案されている。その中で代表的なものは、超電導体に直接電流を流して動作させる抵抗転位型限流器と、変圧器の2次側の超電導体を常電導転位させる変圧器型超電導限流器である。
【0011】
抵抗転位型超電導限流器は構造も原理も簡単だが、超電導体に高電圧が掛かるので、低温電気絶縁の問題が常に最重要課題になる。そこで冷却材には密度が均一な液体窒素冷却が使われる。しかし限流動作時には超電導体の発熱で必ず気液混合状態になるため、セラミックスやFRPなどの固体絶縁体で電気絶縁を確保する必要があり、クライオスタット設計が難しい。変圧器型超電導限流器では超電導体に高電圧が掛からないので、低温電気絶縁の問題は回避できる。
【0012】
超電導限流器はセルフセーフ機能を有して信頼性が高いが、限流動作が超電導体の臨界電流値だけで決まるため、これまでの方式では限流動作設定条件を自由に調整・制御できない不便さがある。空心変圧器の場合、1次コイルと2次コイルの磁気結合を調整して限流動作条件を調製する方法も有り得るが、このような調整法では、相互インピーダンスの影響を完全にキャンセルできないから、正常動作時でも常に電圧降下が発生して超電導限流器の良さを失ってしまう。
【0013】
こういった変圧器型超電導限流器については、例えば特許文献1に断熱槽内に1次コイルを固定的に設け、2次コイルを2次コイル吊りフランジおよび2次コイル吊り棒で上下移動可能に構成し、2次コイルを冷媒で冷却した状態で1次コイルに対して軸方向に移動させて、限流器としての動作電流を調整する限流器が示されている。
【0014】
また特許文献2に示された変圧器型限流方法及び限流器では、常電導の変圧器を用いて1次側を高電圧に、2次側を低電圧に設定し、この変圧器の2次側に、大面積の絶縁体基板上に作製した高臨界電流密度と常電導時の高抵抗率を有する、高温超電導酸化物薄膜の限流素子を接続して高電圧電気絶縁は常温の変圧器1次側コイルに、超電導限流素子に2次側の低電圧・大電流の制御作用を分担させる。そして事故により1次側の電流が増大することで2次側電流が増大し、2次側超電導体が超電導から常電導に変化することで、1次側に大きなインピーダンスが発生することを利用して限流動作を行わせ、超電導素子の熱負荷を軽減して高価な大面積超電導薄膜を使った限流素子の使用量をできるだけ減らして、高電圧対応可能な低価格の限流器を実現できるとしている。
【0015】
また本願出願人は、限流器そのものの構造ではないが特許文献3において、例えば酸化物高温超電導体の臨界電流を大きくするため、超電導限流器の冷却に、液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒を用いることを提案している。
【0016】
さらに特許文献4には、超電導材料の相転移によるインピーダンス変化を利用した誘導型の限流器と、所定電圧以下の電圧が印加されたときは比較的高抵抗を示し、前記所定電圧を超えると急激に抵抗値が低下する特性を持つ、例えばバリスタなどの非線形抵抗素子と抵抗との直列回路とを備え、誘導型の限流器と直列回路とが並列接続された故障電流限流器が提案されている。
【0017】
【特許文献1】特開平11−089085号公報
【特許文献2】特開2002−262450号公報
【特許文献3】特開2006−052921号公報
【特許文献4】特開2006−295994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献1に示された限流器は、2次コイルを冷媒で冷却した状態で1次コイルに対して軸方向に移動させる機構が必要であり、限流器としての動作電流を調整することは可能であるが、構成がそれだけ複雑になるし、正常動作時の電圧降下もゼロにできなくなる。また特許文献2に示された限流器も、限流動作点を自由に設定・調整することが難しく、また、超電導薄膜に流れる2次側電流は常電導転移直後に小さい値に限流されて焼損することはないが、常電導から超電導に戻すのにはある程度の時間が必要である。
【0019】
さらに特許文献3に示された装置は、酸化物高温超電導体の臨界電流を大きくするための超電導限流器の冷却方法に関するもので、限流器の構造に関するものではなく、特許文献4に示された限流器は誘導型の限流器と非線形抵抗素子を組み合わせたもので、限流器そのものの構造に関しての開示はない。
【0020】
そのため本発明においては、簡単、安価な構成で低温電気絶縁の問題を回避でき、かつ、限流動作設定条件を自由に調整・制御できると共に、超電導状態から常電導状態に転移して限流動作が行われた後、超電導体を、常電導状態から超電導状態に短時間で復帰させることもできる変圧器型超電導限流器を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するため本発明になる変圧器型超電導限流器は、
電力系統に接続された電力用導線で巻回された変圧器1次側と、超電導体線材が巻回された、超電導環境に置かれた変圧器2次側とからなり、前記1次側の異常電流による2次側超電導体線材の超電導状態から常電導状態への転移で生じた1次側インピーダンスで限流動作を行う、変圧器型超電導限流器において、
前記変圧器2次側の超電導体線材はワンターン環状線材とされて互い違いにミアンダ構造に複数巻回され、一のワンターン環状線材に隣接する他のワンターン環状線材との接続点から次のワンターン環状線材に対する接続点までの左右の距離が、略同距離となるようにされていることを特徴とする。
【0022】
このように、変圧器2次側の超電導体線材としてワンターン環状線材を用いたことで、変圧器2次回路の環状電流に対してはそれぞれのワンターン環状線材が並列動作し、変圧器動作には影響を与えずに限流動作をおこなわせることができる。
【0023】
また、前記変圧器型超電導限流器は、前記電力系統の異常を検知して2次側超電導体を常電導状態に転移させる制御電流回路が、前記ミアンダ構造とした複数のワンターン環状線材に直列に接続されていることで、2次側超電導体に制御電流を流すとそれぞれのワンターン環状線材には制御電流が、入力点から他のワンターン環状線材への接続点まで左右略同距離を流れることになるから、変圧器2次回路の環状電流に対して影響を与えることなく、すなわち変圧器動作には影響を与えず、2次側超電導体を常電導状態に転移させることができ、それにより、限流動作点を自由に制御できる変圧器型超電導限流器とすることができる。
【0024】
そして、前記制御電流回路は前記電力系統の異常を検知する異常電流検出器と、パルス電流供給源と、前記異常電流検出器による前記電力系統の異常電流検出結果によりONし、前記パルス電流供給源からのパルス電流を前記超電導体ワンターン環状線材に送るスイッチ回路とで構成したり、前記制御電流回路は前記電力系統の異常を検知する異常電流検出器と、高周波電流源と、前記異常電流検出器による前記電力系統の異常電流検出結果によりONし、前記高周波電流源からの高周波電流を前記超電導体ワンターン環状線材に送るスイッチ回路することで、非常に簡単な回路で2次側超電導体を常電導状態に転移させることができる。
【0025】
さらに、前記2次側超電導体線材は、液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒により超電導状態とすることで、例えば固体・液体・気体が共存するスラッシュ窒素、或いはスラッシュ・アルゴン、スラッシュ・ネオン、スラッシュ・水素などを用いると、例えばスラッシュ窒素では温度が約63kと液体窒素の77kに比べて低温となり、超電導体の臨界電流が液体窒素に比べて50%ほど増加する。超電導体に交流を流すと、あたかも有限な抵抗が存在するかのように超電導体にはヒステリシス損失が発生するが、流す電流が同じならばスラッシュ窒素冷却運転では交流損失を40%程度軽減できる。
【0026】
そして、前記超電導体は、酸化物高温超電導体であり、前記超電導体は、YBaCuまたはBiSrCuであることが本発明の好適な実施形態である。
【発明の効果】
【0027】
以上記載のごとく本発明になる変圧器型超電導限流器は、変圧器2次側の超電導体線材をワンターン環状線材としたことで、変圧器2次回路の環状電流に対してはそれぞれのワンターン環状線材が並列動作し、変圧器動作には影響を与えずに限流動作をおこなわせることができる。また、複数のワンターン環状線材をミアンダ構造として制御電流回路を接続し、変圧器2次側の超電導体線材を常電導状態に転移させる限流動作点を制御電流により自由に制御できるようにしたから、変圧器動作には影響を与えずに任意に2次側超電導体を常電導状態に転移させることができ、限流動作設定条件を自由に調整・制御できる。
【0028】
さらに、変圧器2次側の超電導体線材の冷却に、液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒を用いるようにしたことで、限流動作が行われた後に常電導状態から超電導状態に復帰させることも短時間で行うことができ、かつ、簡単、安価な構成で低温電気絶縁の問題をも回避した変圧器型超電導限流器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明になる変圧器型超電導限流器10の基本構成を示す図、図2は変圧器型超電導限流器10における、磁気ヨーク19に巻回したワンターン環状線材(以下、ワンターンコイルと略称する)13の概念を説明するための図で、(A)は各ワンターンコイル13における電流の流れを説明する便宜上、各ワンターンコイル13をずらして上面から見た図、(B)は同じく電流の流れを説明するためワンターンコイルを斜めから見た図、図3は変圧器型超電導限流器10における、超電導体ワンターンコイル13を常伝導状態に転移させる制御電流回路16の例のブロック図であり、(A)は高周波電流回路で構成した場合、(B)はコンデンサ放電方式で構成した場合である。
【0031】
図中、10は本発明になる変圧器型超電導限流器、11は磁気ヨーク19に巻回された2次側ワンターンコイル13を超電導状態におくため、例えばスラッシュ窒素、スラッシュ・アルゴン、スラッシュ・ネオン、スラッシュ・水素などの液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒12を用いて冷却するクライオスタット、14は変圧器1次側に接続される電力系統、16は本発明になる変圧器型超電導限流器10における2次側ワンターンコイル13を常電導状態に強制転移させるための制御電流回路、17、18はその制御電流の配線である。
【0032】
本発明になる変圧器型超電導限流器は、変圧器を構成する磁気ヨーク19における1次側巻線コイル15に電力系統14が接続され、2次側(低電圧側)には図2に示したように、例えばYBaCu超電導体のテープ線材(Y系超電導テープ線材)や、BiSrCaCuのテープ線材(Bi系超電導テープ線材)等の高温超電導体、あるいは薄膜高温超電導体で作られた複数のワンターンコイル13、13、13、……13等が巻回されて、制御電流回路16が直列に接続されている。
【0033】
変圧器2次側(低電圧側)の複数のワンターンコイル13、13、13、……13は、各ワンターンコイル13をずらして上面から見た図2(A)、及びワンターンコイル13を斜めから見た図2(B)からわかるように、例えばワンターンコイル13における制御電流回路16への接続点17と隣り合うワンターンコイル13への配線13a、この配線13aと次のワンターンコイル13への配線13b、……がそれぞれ互い違いに略180度ずれた位置、すなわち接続点17から接続点13aまでの左右の距離、配線13aと配線13bまでの左右の距離、……がそれぞれ略等距離となるようにしてミアンダ構造に接続されている。
【0034】
そのため、制御電流回路16から配線17でワンターンコイル13に送り込まれた電流は、ワンターンコイル13の入力端17から左右両側に分かれて配線13aに向け、矢印30で示した経路で流れて次のワンターンコイル13でも、同じく左右両側に分かれて配線13bに向けて矢印30で示した経路で……、という具合に、それぞれのワンターンコイル13、13、13、……13を左右半周ずつ流れ、配線18から制御電流回路16に戻るようになっている。
【0035】
そのため、このワンターンコイル13、13、13、……13は変圧器の2次巻線としては、図2(B)に31で示した1次側の電流により誘起される環状電流に対し、それぞれのワンターンコイル13、13、13、……13が並列動作するために変圧器動作には影響を与えず、ワンターンコイル13を構成する超電導体を、制御電流回路16から送られる小さな制御電流で超電導状態から常電導状態へ転移させることができる。
【0036】
いま、変圧器型超電導限流器10における磁気ヨーク19で構成される変圧器を理想変圧器とし、1次側巻線コイル15の1次側自己インダクタンスをL、導体抵抗をr、2次側ワンターンコイル13の2次側自己インダクタンスをL、ワンターンコイル13の常電導時における抵抗をRx、L、Lの相互インダクタンスをM、磁気結合係数をk、1次、2次側の電流をそれぞれI、I、1次側電源電圧をE、電源周波数をωとすると、次の(1)式が成立する。
【数1】

【0037】
ここでdI/dt=jωIと置き換えて上記(1)式を解くと、1次側のインピーダンスZは下記(2)式で求めることができる。
【数2】

仮に1次と2次の磁気結合が100%(k=1)であれば、この(2)式はさらに簡単に下記(3)式となる。
【数3】

【0038】
ここで2次側が超電導状態であれば、Rx=0なのでZ=rとなる。一般的にrは充分小さいので無視するとZ≒0となり、1次側に電圧降下は生じない。しかし、2次側の超電導ワンターンコイル超電導状態から常導電状態に転移し、Rx≠0となると(3)式のインピーダンスが出現し、1次側にΔV=Z・Iの電圧降下が生じて故障電流を抑制する。
【0039】
また、本発明になる変圧器型超電導限流器10は、2次側ワンターンコイル13を超電導状態にするためのクライオスタット11の冷却に、液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒12、例えばスラッシュ窒素、或いはスラッシュ・アルゴン、スラッシュ・ネオン、スラッシュ・水素などを用いる。このうち通常の液体窒素は77kであるが、このように液体分と固体分とが混在したスラッシュ窒素では3重点状態の63kの液体であり、例えば横軸にエントロピー、縦軸に温度(単位:k)を示した図4のように、固体領域の点aから液体領域の点bまでの融解熱と、蒸発点hと液化点hとの(h−h)の過冷却エンタルピー量、更にTΔSの蒸発潜熱の全てが使えるので、大きな冷却能力を有している。
【0040】
変圧器型超電導限流器10では、2次側の超電導体に常に交流電流が流れるが、超電導体に交流を流すと、あたかも有限な抵抗が存在するかのように超電導体にはヒステリシス損失が発生する。このヒステリシス損失は交流損失とも呼ばれ、δを超電導体の厚み、Iを最大電流値、交流損失をPac、臨界電流値をJc、周波数をfとすると、交流損失をPacは下記(4)式で表すことができる。
【数4】

【0041】
この(4)式から、交流損失Pacは周波数fと最大電流Iの3乗に比例し、臨界電流値Jcに反比例することがわかるが、上記したようにスラッシュ窒素は63kと液体窒素の77kに比べて低温なので、横軸に臨界電流密度(単位:A/cm)、縦軸に温度(単位:k)を取り、例えばYBaCu薄膜高温超電導体の臨界電流を示した図5に示すように、臨界電流密度が50%ほど増加し、これは電流Iが同じならば、スラッシュ窒素冷却運転で交流損失を40%程度軽減できることを意味する。
【0042】
しかし逆に、スラッシュ冷媒12を用いて超電導体状態を常伝導状態に転移するための臨界電流値が大きくなると、限流動作を開始するためにそれだけ大きな故障電流が必要となる。そのため本発明の変圧器型超電導限流器10では、故障電流を検出してこの検出信号から超電導ワンターンコイル13を常電導状態に転位させ、限流動作を開始させる制御電流回路16を用いて限流器の動作設定条件を自由に調整できるようにした。
【0043】
その回路例が図3であり、(A)はこの制御電流回路16を高周波電流回路で構成した場合、(B)はコンデンサ放電方式で構成した場合である。まず図3(A)において、13は図1、図2に示した2次側ワンターンコイル、14は電力系統からの電流、40は高周波電源、41は例えばサイリスタなどのスイッチングデバイス、42は電力系統の過電流検出器、43は高周波トランス、44はコンデンサ、LH1、LH2は高周波トランス43の1次側、2次側のインピーダンスであり、2次側超電導ワンターンコイル13は、その抵抗をRとしたとき、高周波トランス43における2次側のインピーダンスLH2とCを高周波電源40の周波数に共振させるように設定する。
【0044】
今、電力系統からの電流14が異常電流となり、それを電力系統の過電流検出器42が検出するとスイッチングデバイス41がONとなり、高周波電源40からの高周波が高周波トランス43を介してコンデンサ44、本発明の変圧器型超電導限流器10におけるミアンダ構造に直列接続された2次側ワンターンコイル13に印加される。
【0045】
すると前記(4)式に示したように、高周波電源40からの高周波の周波数fと最大電流Iの3乗に比例し、臨界電流値Jcに反比例した交流損失Pacが発生し、その熱によってワンターンコイル13は瞬時に常伝導状態に転移し、1次側に前記(3)式によるインピーダンスZが出現してΔV=Z・Iの電圧降下が生じ、故障電流が抑制される。
【0046】
一方、図3(B)のコンデンサ放電方式は、45がDC電源、46が充電抵抗、47がコンデンサ、48が例えばサイリスタなどのスイッチングデバイス、49は電力系統14の過電流検出器、50は電流制限抵抗であり、DC電源45の電圧をE、コンデンサ47の容量をC、蓄えられた電荷をQ、電流制限抵抗50の抵抗値をRとすると、ワンターンコイル13に流れる電流i(t)は、Q=C×Eなので下記(5)式になる。
i(t)=(E/R)exp(−t/CR) …………………(5)
そのため、超電導ワンターンコイル13に流れる臨界電流をIとしたとき、(E/R)>2Iとなるように電流制限抵抗50Rを設定すると、超電導ワンターンコイル13は超電導状態から常伝導状態となる。
【0047】
いま、電力系統からの電流14が異常電流となってそれを電力系統の過電流検出器49が検出すると、スイッチングデバイス48がONとなってコンデンサ47から電流制限抵抗50を通り、本発明の変圧器型超電導限流器10におけるミアンダ構造に直列接続された2次側ワンターンコイル13に印加される。このとき、電流制限抵抗50Rが上記のように設定されていると、超電導ワンターンコイル13は超電導状態から常伝導状態となり、1次側に前記(3)式によるインピーダンスZが出現してΔV=Z・Iの電圧降下が生じ、故障電流が抑制される。
【0048】
次に、本発明になる変圧器型超電導限流器10を、66kV、100Aの限流器に適用した場合の具体例構成イメージにつき、図6乃至図8を用いて説明する。図6は、本発明の変圧器型超電導限流器10を、66kV、100Aの限流器に適用した場合の具体例構成イメージ図であり、図7は図6に示した本発明になる変圧器型超電導限流器10を用いた試験回路例、図8は本発明になる変圧器型超電導限流器10の動作シミュレーション結果の波形を示した図で、(A)は実線が限流器ありの場合、破線が限流器なしの場合、(B)は制御電流回路16を用いた限流動作シミューレーションで、実線が限流器ありの場合、破線が限流器なしの場合、図9はBiSrCaCuのテープ線材の交流損失を示したグラフである。
【0049】
まず図6において60は磁気ヨーク、61は1次側高電圧コイル、62は空隙、63は図1に13で示した2次側ワンターンコイルを冷却するためのクライオスタット、64は降圧ブッシングであり、磁気ヨーク60の小直径を例えば60として示したように0.8mとし、高さを4.8m、1次側と2次側の中心間隔を3.6mとする。
【0050】
前記したように電圧階級を基幹系の66kV、電流を100Aとし、限流器10用の変圧器に磁気ヨーク60を使って鉄損や励磁電流が十分小さく理想変圧器を実現できると仮定すると、限流器10として動作させるために変圧器1次側に高圧線導体でN=400ターンのコイルを巻き、2次側の超電導のワンターンコイル13として、市販の4mm幅のYBaCuテープ線材(以後、Y系テープ線材と略称する)を使う。
【0051】
磁性体である磁気ヨーク60の非透磁率μsを1000とし、最大飽和磁束値を1.5Tとすると、1次側インダクタンスLは1.97(H)、2次側インダクタンスLは12.3(μH)、100%の磁気結合は非現実的なので95%とすると、相互インダクタンスMは46.8(mH)となる。変圧器2次側の巻き数Nはワンターンであるから1であり、1次側の電流をI(上記の場合100A×21/2(A))とし、2次側超電導ワンターンコイル13の冷却にスラッシュ冷媒の1つであるスラッシュ窒素を用いるとすると、変圧器の基本特性N=Nから、変圧器2次側の電流Iは下記(6)式で表される。
≒6×10(A) ………………(6)
【0052】
そのワンターンコイル13に流れる臨界電流Iが80(A)とすると、このI値と(6)式とから、変圧器型超電導限流器10として機能させるには、
6×10/80=750(本)
のY系テープ線材が必要になり、2次側巻線の全幅はテープ線材幅が4mmなので750×0.004=3.0(m)となる。このようなY系テープ線材を納めるクライオスタットの高さは、図6に具体的に数値を示したように3.2mとなり、ヨーク60の小直径は前記したように0.8mであるから、クライオスタットの断熱材厚みを考慮してワンターンコイルの直径は0.85m、1周長が2.67mで750本なので全長約2000mのY系テープ線材が必要となる。
【0053】
図7は図6に示した変圧器型超電導限流器10を用いた限流器試験回路例であり、図中、70は電力系統の過電流検出器、71は負荷抵抗(一例として700Ω)、72は限流器10に限流動作を行わせるためのスイッチングデバイス、73は負荷抵抗(一例として100Ω)、74は電流計(CT)である。
【0054】
この図7に示した試験回路において、通常は72で示したスイッチングデバイスが開いているため、66kVの入力電圧は限流器10、電流計(CT)74から71、73で示した負荷抵抗(700+100Ω)を通る。この状態で時刻t=0.5secにおいて、スイッチングデバイス72を閉じて電流が負荷抵抗71(700Ω)を通らないようにして、負荷抵抗が73の100Ωのみに変化した時のシミュレーション結果を示したのが図8(A)である。
【0055】
この図8(A)において横軸は時間(単位:sec)、縦軸は電流(単位:A)、実線は限流器10がある場合、破線は限流器がない場合であり、時刻t=0.5secまではピークが約116Aだった電流が、限流器無し(破線)では0.5secから1000Aを超す故障電流が流れるところ、限流器10がある場合(実線)はそれを400A程度に抑制している。この図8(A)に示した例は大きな事故を想定した場合であり、このような大電流事故では、制御系の動作には無関係に、変圧器型超電導限流器として動作している。
【0056】
また、図8(B)は、同じく時刻t=0.5secで負荷抵抗が800Ωから600Ωに変化した場合のシミュレーション結果であり、この場合、2次側電流が超電導体の臨界電流値を超さないので変圧器型限流器としては動作せず、時刻t=0.6secで電力系統の過電流検出器70が、制御電流を2次側超電導体に送って強制的に常電導状態に転移させて限流動作させた場合である。
【0057】
この図8(B)も(A)の場合と同様、横軸は時間(単位:sec)、縦軸は電流(単位:A)、実線は限流器10がある場合、破線は限流器がない場合であり、時刻t=0.5secまではピークが約116Aだった電流が、限流器無し(破線)では0.5secから150Aを超す故障電流が流れるところ、過電流検出器70が制御電流を2次側超電導体に送り、強制的に常電導状態に転移させて限流動作させたことで約120A程度に抑制している。なお、実際の限流器では、0.1秒の時間遅れは発生しないが、この図8(B)では分かり易くするため時間遅れを設定してある。
【0058】
このように、本発明になる変圧器型超電導限流器では、限流動作点を自由に設定・調整が可能であり、これまでの超電導限流器が抱える設定調整問題を完全に解決できる事になる。
【0059】
なお、前記したように限流器は、もともと遮断器が動作するまでの数サイクルの故障電流を抑制する電力機器であるが、動作時に発熱があるため再起動には冷却時間が必要である。特に、超電導体に高電圧を掛ける抵抗転位型限流器では、数サイクルの限流動作で超電導体は常温まで温度上昇し、万が一、遮断器が動作しない最悪の場合には超電導体は焼損する。温度上昇を抑えるため熱容量の大きな金属ブロックに熱を逃がす方法も考えられるが、電気絶縁上の問題から難しい。
【0060】
一方、本発明のような変圧器型超電導限流器は、例えば前記図6の構成の場合、4mm幅のテープ線材の抵抗が0.75Ωであるとして750本並列なので、全体抵抗はRn=1mΩとなる。冷却系には前記したように循環するスラッシュ窒素冷却システムを想定し、液体窒素の核沸騰現象から予測して、控えめに、β=1.0(W/cm・k)と仮定する。これより、超電導テープ線材の全表面積はS=2.67×3.=8(m)なので、熱伝達係数は、α=S×β=80000(W/k)となる。
【0061】
常電導転移時の発熱量は、Q=Rn×I=Rn×(Nなので、図8(A)の場合はQ=0.001×(400×100)=1.6×10(W)[電流のピーク値を使っているので、実際の発熱はこれより小さい]となる。T→∞の温度上昇はΔT=Q/αなので、図8(B)の場合、ΔT=20(k)となる。スラッシュ窒素温度が63kなので、限流動作してもテープ線材は83k程度の温度上昇に収まり、臨界温度以下である。つまり限流器10は、過大電流の原因が除去されると瞬時に再起動することができる。
【0062】
また、図8(A)のような重故障の場合、I=360Aなので、T→∞でΔT=260(k)となり、常温まで上昇するが焼損する事は無い。つまり遮断器が動作しない最悪の場合であっても、再冷却すれば限流器は再起動できる事になる。一般的に変圧器型の限流器は、抵抗転位型限流器に比べて動作時の温度上昇が小さいが、その理由は同じ限流特性を実現する上で、変圧器型限流器が多くの超電導テープ線材量を必要とするためであり、その結果、冷却表面積が増大して温度上昇が小さくなる。
【0063】
最後に前記図6に示した、高電圧66kV、100A級の変圧器型超電導限流器を実際に作製した場合に必要な冷凍機のパワーについて検討する。前記図6に示した変圧器型超電導限流器の場合、熱負荷は外部(常温)からの熱侵入、超電導体の交流損失、電気絶縁材料からの誘電体損失等になる。前記図6に示した変圧器型超電導限流器の場合、超電導体は低電圧動作なので誘電体損失を無視出来る。
【0064】
超電導体の交流損失に関しては、臨界電流密度が大きいY系線材を使う場合、Bi線材より小さいと考えられるが、仮にBi線材と同程度とすると、横軸に電流、縦軸に交流損失を取って1cm幅のBiテープ線材の交流損失特性を示した図9のグラフから、電流80Aであれば〜10−3(W/m)程度となる。また、テープ線材の総延長は2000m強なので、図6に示した提案変圧器型超電導限流器の交流損失は数W程度となる。
【0065】
一方、外部からの熱侵入に関しては、図6に示した変圧器型超電導限流器にはケーブルやマグネットのようなパワーリードが無いので、クライオスタットからの熱侵入のみとなるから、図6に示したクライオスタットが真空断熱構造であるとして、表面はマイラー・シートで遮熱されているとすると、マイラー・シートの熱輻射率を0.01とした場合、全表面積が約20mなので約50Wとなり、熱負荷の殆どは輻射による熱侵入になる。さらに、例えばスラッシュ窒素冷凍機のCOPを仮に0.05と仮定すると、1kWの動力となり、実際の電力系統は3相交流なので、3個の限流器が必要であるから冷凍機の総合所要動力は3kW程度になる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、簡単、安価な構成で限流動作設定条件を自由に調整・制御できる変圧器型超電導限流器を提供でき、自立型の地域電力ネットワークなどの限流器として用いることで、万一の事故で系統全体が不安定となって大規模な停電に繋がる、といったことを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明になる変圧器型超電導限流器10の基本構成を示す図である。
【図2】本発明になる変圧器型超電導限流器10における、磁気ヨーク19に巻回したワンターンコイル13の概念を説明するための図で、(A)は各ワンターンコイル13における電流の流れを説明する便宜上、各ワンターンコイル13をずらして上面から見た図、(B)は同じく電流の流れを説明するためワンターンコイルを斜めから見た図である。
【図3】本発明になる変圧器型超電導限流器10における、超電導体ワンターンコイル13を常伝導状態に転移させる制御電流回路16の例のブロック図であり、(A)は高周波電流回路で構成した場合、(B)はコンデンサ放電方式で構成した場合である。
【図4】固液混合流体であるスラッシュ窒素の冷却能力を示したグラフである。
【図5】YBaCu薄膜超電導体の臨界電流の温度依存性を示したグラフである。
【図6】本発明の変圧器型超電導限流器を、66kV、100Aの限流器に適用した場合の具体例構成イメージ図である。
【図7】図6に示した本発明になる変圧器型超電導限流器を用いた試験回路例である。
【図8】本発明になる変圧器型超電導限流器10の動作シミュレーション結果は系を示した図で、(A)は実線が限流器ありの場合、破線が限流器なしの場合、(B)は制御電流回路16による限流動作シミューレーションで、実線が限流器ありの場合、破線が限流器なしの場合である。
【図9】BiSrCaCuのテープ線材の交流損失を示したグラフである。
【図10】電力系統における、本発明の変圧器型超電導限流器を用いる位置を示すイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 変圧器型超電導限流器
11 クライオスタット
12 スラッシュ窒素
13 2次側ワンターンコイル
14 電力系統へ
15 変圧器1次側巻線コイル
16 制御電流回路
17、18 制御電流配線
19 磁気ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続された電力用導線で巻回された変圧器1次側と、超電導体線材が巻回された、超電導環境に置かれた変圧器2次側とからなり、前記1次側の異常電流による2次側超電導体線材の超電導状態から常電導状態への転移で生じた1次側インピーダンスで限流動作を行う、変圧器型超電導限流器において、
前記変圧器2次側の超電導体線材はワンターン環状線材とされて互い違いにミアンダ構造に複数巻回され、一のワンターン環状線材に隣接する他のワンターン環状線材との接続点から次のワンターン環状線材に対する接続点までの左右の距離が、略同距離となるようにされていることを特徴とする変圧器型超電導限流器。
【請求項2】
前記変圧器型超電導限流器は、前記電力系統の異常を検知して2次側超電導体を常電導状態に転移させる制御電流回路が、前記ミアンダ構造とした複数のワンターン環状線材に直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載した変圧器型超電導限流器。
【請求項3】
前記制御電流回路は前記電力系統の異常を検知する異常電流検出器と、パルス電流供給源と、前記異常電流検出器による前記電力系統の異常電流検出結果によりONし、前記パルス電流供給源からのパルス電流を前記超電導体ワンターン環状線材に送るスイッチ回路とからなることを特徴とする請求項2に記載した変圧器型超電導限流器。
【請求項4】
前記制御電流回路は前記電力系統の異常を検知する異常電流検出器と、高周波電流源と、前記異常電流検出器による前記電力系統の異常電流検出結果によりONし、前記高周波電流源からの高周波電流を前記超電導体ワンターン環状線材に送るスイッチ回路とからなることを特徴とする請求項2に記載した変圧器型超電導限流器。
【請求項5】
前記2次側超電導体線材は、液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒により超電導状態とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した変圧器型超電導限流器。
【請求項6】
前記超電導体は、酸化物高温超電導体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した変圧器型超電導限流器。
【請求項7】
前記超電導体は、YBaCuまたはBiSrCuであることを特徴とする請求項6に記載した変圧器型超電導限流器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−100612(P2009−100612A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271989(P2007−271989)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】