説明

変速機の潤滑構造

【課題】内外同軸配置の二軸間に嵌装されたベアリング部材に適量の潤滑油を供給するとともに、他の潤滑対象部材も一緒に潤滑することのできる効率的で簡素な変速機の潤滑構造を提供する。
【解決手段】入力軸3と、一端に該入力軸3が内挿され他端に結合部が形成され軸心に内部油路56が延設された出力軸5と、該入力軸3と該出力軸5との間に嵌装される軸間ベアリング部材(35)と、該出力軸5とハウジング2との間に嵌装される支持ベアリング部材(58、59)と、該出力軸5に結合する軸部材(トランスファ軸6)と、該出力軸5と該ハウジング2との間及び、該出力軸5と該軸部材(6)との間に形成され、該内部油路56を一部として含み、該軸間ベアリング部材(35)へ達して潤滑油を導く潤滑油路と、該ハウシング2に形成され、該潤滑油路(油路空間71)の中間高さで途中から分岐する分岐油路(分岐溝部81、カウンター軸溝部85)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用変速機の潤滑構造に関し、より詳細には同軸配置された入力軸と出力軸との間に嵌装されるベアリング部材の潤滑構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の軸部材と各軸部材に設けられて噛合する歯車対とを備え、アクチュエータ操作あるいは人手操作により歯車対を選択して所定の変速比を実現する車両用の歯車噛合式変速機がある。この種の変速機では、軸受け部や噛合部の動作を円滑化し、また摩擦熱による温度上昇を低減して、摩耗による機能低下を抑制するために、ハウシング内に潤滑油を封入して循環させる潤滑構造が一般的に採用されている。潤滑油を循環、供給する方法として、掻上げ方式及びオイルレシーバ方式が広く用いられている。掻上げ方式は、歯車の回転による遠心力を利用してハウシング下部に貯留された潤滑油を掻き上げ飛散させることにより、潤滑対象部位に潤滑油を供給する方法である。また、オイルレシーバ方式は、ハウシング内上方に配設された皿状のオイルレシーバで掻き上げられた潤滑油を集め、油路を経由して潤滑対象部材に導く方法である。
【0003】
近年、変速機をコンパクト化するために、入力軸と出力軸とを内外同軸配置とし、外側の軸とハウジングとの間及び二軸の間にベアリング部材を嵌装して、二軸の相対回転を許容する構造が採用されている。この内外同軸配置構造でベアリング部材に潤滑油を安定して供給するために、軸回転数の変化や構造上の制約を考慮した各種発明がなされている。例えば本願出願人が特許文献1に開示した変速機用潤滑装置は、ハウジングと出力軸との間の支持ベアリング部材に供給された潤滑油を、油孔を経由して二軸の間の軸間ベアリング部材に導くために、セパレータや油溜、オイルキャッチャーを備えている。これらの部材は、潤滑油を漏らさないで効率的に誘導するとともに、供給量の時間的変動を吸収して安定させる役割を有している。
【特許文献1】特開2003−185001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の潤滑装置では、潤滑油は軸間ベアリング部材まで誘導されるが、ともすれば過剰に供給されるおそれがあった。ギヤなどハウジング空間に開放した潤滑対象部材では、潤滑油が多すぎるということはないが、軸間ベアリング部材のように閉じた空間内に配設された潤滑対象部材では、過剰な潤滑油が油孔や油路に滞留し、温度上昇によって特性低下の進展する懸念がある。この対策として、潤滑油を排出する排出油路を途中に設けることも考えられるが、逆に供給量不足の懸念が生じる。したがって、軸間ベアリング部材に供給する潤滑油量は、多すぎず少なすぎず、適量であることが好ましい。
【0005】
また、変速機は多数の部材が入り組んで構成されており、閉じた空間内に配設された複数個の潤滑対象部材に対し個別に油路を設けていては、潤滑構造が複雑化しがちである。したがって、複数個の潤滑対象部材を、油路で直列あるいは並列に接続し、潤滑油を導くようにした潤滑構造が効率的でありかつ簡素で好ましい。例えば、支持ベアリング部材と軸間ベアリング部材に加え、他の第3の潤滑対象部材をも、一緒に潤滑できるような潤滑構造とすることが好ましい。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、内外同軸配置の二軸間に嵌装されたベアリング部材に適量の潤滑油を供給するとともに、他の潤滑対象部材も一緒に潤滑することのできる効率的で簡素な変速機の潤滑構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の変速機の潤滑構造は、回転動力が入力される入力軸と、一端に該入力軸の軸端部が同軸に内挿され、他端の内周に該回転動力を出力する結合部が形成されるとともに、軸心に内部油路が延設された出力軸と、該入力軸と該出力軸との間に嵌装されて該二軸の相対回転を許容する軸間ベアリング部材と、該出力軸とハウジングとの間に嵌装されて該出力軸を回動自在に支持する支持ベアリング部材と、該ハウジングに回動自在に支持され、軸端部が該出力軸の結合部に内挿されて結合する軸部材と、該出力軸と該ハウジングとの間及び、該出力軸と該軸部材との間に形成され、該内部油路を一部として含み、該軸間ベアリング部材へ達して潤滑油を導く潤滑油路と、該ハウシングに形成され、該潤滑油路の中間高さで途中から分岐する分岐油路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
入力軸及び出力軸は、回転動力が入力及び出力される部材である。そして、入力軸の軸端部を内側に、出力軸の一端を外側にして、同軸に配置することができる。さらに、この二軸と平行するように、カウンター軸を設けることができる。そして、入力軸からカウンター軸を経由して出力軸へ回転動力を伝達するように、変速比の異なる複数の歯車対を適宜設けることができる。したがって、入力軸と出力軸とは、異なる回転数となり、相対回転する。
【0009】
この相対回転を可能とするために、入力軸の軸端部と出力軸の一端との間に軸間ベアリング部材を嵌装することができる。また、出力軸の回動を自在とするために、出力軸とハウジングとの間に支持ベアリング部材を嵌装することができる。さらに、出力軸の他端の内周には、軸部材を結合するための結合部、例えばスプライン結合溝を形成することができる。また、出力軸の軸心は中空として、一端側の軸間ベアリング部材から他端側の結合部にまで達する内部油路を形成することができる。
【0010】
軸部材は、出力軸の回転動力が伝達される部材であり、例えば、変速機に連結して用いられるトランスファ装置のトランスファ軸が相当する。軸部材は、ハウジングにより回動自在に支持されるとともに、出力軸の結合部に内挿されて結合できるように、例えば軸端部の外周にスプライン結合溝を形成することができる。
【0011】
潤滑油路は、軸間ベアリング部材へ潤滑油を導く油路である。潤滑油路は、出力軸とハウジングとの間及び、出力軸と軸部材との間に形成され、例えば、部材間の薄い円筒状の空間で形成することができる。潤滑油路は、さらに出力軸の内部油路を経由して、軸間ベアリング部材へ達するように構成することができる。分岐油路は、潤滑油路中を軸間ベアリング部材へ向かう潤滑油を、途中で分流させるための油路である。分岐油路はハウシングに設けることができ、潤滑油路の中間高さで分岐するように形成することができる。
【0012】
次に、上述のように構成された本発明の変速機の潤滑構造の作用について説明する。潤滑油は、例えばオイルレシーバなどの供給源から、出力軸とハウジングとの間に供給され、潤滑油路に導かれて軸間ベアリング部材に達し、潤滑が行われる。ここで、変速機始動直後の時点では潤滑油路に潤滑油はないが、時間の経過とともに潤滑油が供給され、一部は貯留されて、潤滑は良好に行われる。さらに、時間が経過すると潤滑油路内に貯留される潤滑油の油面は、分岐油路のある中間高さに達する。すると、潤滑油は、分岐油路から流出し、軸間ベアリング部材の潤滑には関与しなくなる。したがって、潤滑油路内の油面は適正に保たれて、軸間ベアリング部材に適正量の潤滑油が供給され、過剰な潤滑油の滞留によって温度上昇による特性低下を引き起こすおそれは生じない。
【0013】
なお、分岐する中間高さが低すぎる場合には、分岐油路からの流出分が増加して軸間ベアリング部材を十分に潤滑できなくなるおそれがあり、高すぎる場合には潤滑油の滞留を防止できないおそれがある。好ましい中間高さは、変速機の構成に依存して考慮すべき設計事項である。
【0014】
前記潤滑油路は前記支持ベアリング部材を経由し、前記分岐油路は潤滑を必要とする他部材へ連通して潤滑油を導く、ことが好ましい。
【0015】
供給源から供給された潤滑油が、まず支持ベアリング部材を経由して潤滑を行い、次に軸間ベアリング部材を潤滑するように構成することができる。また、分岐油路は、潤滑油をハウジング空間に排出するのでなく、他の潤滑対象部材に導くように構成することができる。この態様によれば、潤滑油を一度循環供給するだけで二つの部材を潤滑できるとともに、利用されずに排出される潤滑油がなくなるため、効率的で簡素な潤滑構造を実現することができる。
【0016】
前記潤滑油路は、前記出力軸の内周あるいは前記軸部材の外周に形成された軸方向の油溝を一部として含む、ことが好ましい。
【0017】
潤滑油路のうち出力軸と軸部材との間には結合部が存在して、潤滑油を導く構造となっていない。したがって、例えばスプライン溝などの結合部の結合形状とは別に、軸方向の油溝を形成して潤滑油を導くことが好ましい。油溝は、出力軸の内周あるいは軸部材の外周のいずれにも形成することができ、その断面積及び数量は、所要とされる潤滑油量に応じて適宜とすることができる。
【0018】
前記ハウシングは本体部材とカバー部材とからなり、前記分岐油路は該カバー部材に形成される、ことが好ましい。
【0019】
分岐油路をハウジングに形成することができるが、切削などの加工が必要となる。このとき、ハウジングの本体部材でなく、例えば出力軸の他端を覆うカバー部材に分岐油路を形成することができる。この態様によれば、設計上の変更範囲を限定できるとともに、加工の作業も容易であり、生産性が良好である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の歯車変速機によれば、二軸間に嵌装された軸間ベアリング部材に潤滑油を導く潤滑油路の中間高さで途中から分岐する分岐油路を設けたので、適正量の潤滑油が貯留されて供給されるとともに、過剰な潤滑油の滞留による特性低下が生じない。
【0021】
また、潤滑油を一度循環供給するだけで支持ベアリング部材や他の潤滑対象部材も一緒に潤滑することができ、効率的で簡素な潤滑構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を、図1及び図2を参考にして説明する。図1は、本発明の実施例の潤滑構造を説明する変速機の側面断面図である。実施例の潤滑構造1は、ハウシング2と、入力軸3、カウンター軸4、出力軸5、トランスファ軸6、を主要部材として構成されている。ハウシング2内には適当量の潤滑油が封入され、図略のオイルレシーバなどの部材により循環使用されるようになっている。
【0023】
入力軸3は、一部を図示した複数個の駆動歯車31を備え、図1の左方向で回転動力が入力されるとともに、軸支持されている。入力軸3の右側の軸端部32は、出力軸5の左側の一端51の内側に挿入されている。カウンター軸4は、入力軸3の下側に対向して、平行に設けられている。カウンター軸4は、一部を図示した複数個の従動歯車41を備えている。これらの従動歯車41は、それぞれ駆動歯車31と対に噛合して、所定の変速比を実現する歯車対を構成している。また、カウンター軸4は、図中右側に出力駆動歯車42を備え、右側の軸端部43は軸受け部44によってハウシング2に軸支持されている。回転動力を伝達する歯車対の選択は、入力軸3に設けられたシンクロメッシュ機構33によって行われ、シンクロメッシュ機構33は、ハウジング2上方の操作機構34によって操作されるように構成されている。なお、カウンター軸4に設けられた歯車41、42がハウジング2下部に貯留された潤滑油を掻き上げるように構成されている。
【0024】
出力軸5は、中空の略筒状の部材で形成され、図中左側の一端51の内周には入力軸3の軸端部32が内挿されている。出力軸5の一端51の外周には出力従動歯車52が設けられ、出力従動歯車52はカウンター軸4の出力駆動歯車42に常時噛合している。出力軸5の他端53の内周には、スプライン結合溝54が軸方向に形成されている。また、スプライン結合溝54と平行して、干渉しないように油溝55が形成されている。さらに、軸心の中空部分は内部油路56とされ、出力軸5内の左側の一端51から油溝55を経て他端53まで連通した構造となっている。
【0025】
パイロットベアリング35は、軸間ベアリング部材に相当するものであり、入力軸3の軸端部32と、出力軸5の一端51との間に嵌装されている。パイロットベアリング35は、ころ軸受けからなり、入力軸3と出力軸5との相対回転を自在としている。また一対のテーパードローラーベアリング58、59は、支持ベアリング部材に相当するものであり、出力軸5の軸長方向の略中央部57の外周と、ハウシング2との間に嵌装されている。テーパードローラーベアリング58、59は、ナット581により図中右側から押圧されて取り付けられ、出力軸5を回動自在に保持している。
【0026】
トランスファ軸6は、軸部材に相当するものであり、軸受け部61によってトランスファハウジング21に回動自在に支持されている。トランスファ軸6の左側の一端部62は、外周にスプライン結合溝63が形成され、出力軸5の他端53に内挿されている。そして、トランスファ軸6のスプライン結合溝63は、出力軸5のスプライン結合溝54に嵌合して結合し、回転動力が伝達されるようになっている。
【0027】
また、ハウジング2とトランスファハウジング21との間には、略環状のカバー部材22が配設され、2つのハウジング2、21の間を封止している。
【0028】
次に、上述の部材中の空間を利用して形成されている潤滑油路について説明する。潤滑油の供給源である図略のオイルレシーバからテーパードローラーベアリング58、59までは図略の油路が形成されている。そして、テーパードローラーベアリング58、59の隙間は、出力軸5とハウジング2とにより形成される油路空間71に連通している。図1を参考にして詳細に説明すると、油路空間71は、出力軸5の他端53と、ナット581と、ハウジング2と、カバー部材22と、トランスファカバー21の左端とで囲まれた、軸対称形状の空間である。油路空間71は、出力軸5とトランスファ軸6との間の油溝55の右側に連通し、油溝55の左側は出力軸5の内部油路56に連通している。さらに、内部油路56は、左側のパイロットベアリング35へ達している。このように、オイルレシーバからテーパードローラーベアリング58、59、油路空間71、油溝55、内部油路56を経由してパイロットベアリング35へ達する閉じた経路が潤滑油路である。潤滑油路は閉じており、流れる潤滑油によって、テーパードローラーベアリング58、59とパイロットベアリング35とが潤滑される。
【0029】
分岐油路は、カウンター軸4の軸受け部44に潤滑油を導く油路であり、カバー部材22に形成された分岐溝部81と、ハウシング2に形成されたカウンター軸溝部85と、で形成されている。図2はカバー部材22の形状を説明する図であり、(1)は図1の左方向からみた正面図、(2)は正面図のA−A矢視図を示している。図示されるようにカバー部材22は略環状であり、その辺縁の中間高さが切り欠かれて分岐口82が形成されている。そしてさらに、分岐口82から連続して辺縁外周が下方まで切削されて分岐溝部81(図中にハッチングで表示)が形成されている。ここで、カバー部材22は、図1に示されるようにハウジング2と一体に用いられるので、分岐口82は油路空間71に対して紙面奥側の中間高さで開き、分岐溝部81は下方に向かう閉じた経路となる。一方、カウンター軸溝部85はハウシング2に形成され、カウンター軸溝部85の上端851は分岐溝部81に連通し、下端852はカウンター軸4の軸受け部44に向かって開いている。
【0030】
なお、図2に示されるように、辺縁に向かった後に滑らかな曲線で順次方向を変えて最終的に軸心方向に向かう形状のガイド部材25は、潤滑油を導くものである。すなわち、出力軸5に付勢されて油路空間71内を共回りする潤滑油を、軸心方向に誘導して油溝55に導くものである。
【0031】
次に、上述の実施例の構成における動作、作用を説明する。変速機が始動されると、入力軸3に入力された回転動力は、入力軸3の駆動歯車31、カウンター軸4の従動歯車41、カウンター軸4の出力駆動歯車42、出力軸5の出力従動歯車52、出力軸5のスプライン結合溝54、トランスファ軸6のスプライン結合溝63、の順に伝達される。このとき、ハウジング2下部の潤滑油は、カウンター軸4の歯車41、42によって掻き上げられ、オイルレシーバに蓄積される。蓄積された潤滑油は、油路を経由してテーパードローラーベアリング58、59に導かれ、これらを潤滑する。次に、潤滑油は油路空間71に入り、回転する出力軸5に付勢されて回転しながら油溝55を通過する。さらに、内部油路56を経由してパイロットベアリング35へ達した潤滑油は、これを潤滑し、ハウジング2下部に戻る。また、回転する潤滑油の一部は分岐口82から分流し、分岐溝部81及びカウンター軸溝部85を経由して、カウンター軸4の軸受け部44に導かれ、これを潤滑する。
【0032】
変速機の運転が継続されると、油路空間71内には潤滑油が徐々に貯留されて、油面が上昇する。そして、油面が分岐口82に達すると、余剰の潤滑油は分流し、カウンター軸4の軸受け部44を潤滑するようになる。仮に、油路空間71の底部Xに分岐口82を設けると、潤滑油は油路空間71に殆ど貯留されず、パイロットベアリング35への供給油量が不足し、カウンター軸4の軸受け部44への供給油量が過剰となって、アンバランスが生じる。
【0033】
結局、実施例の潤滑構造1では、テーパードローラーベアリング58、59、パイロットベアリング35、カウンター軸4の軸受け部44、の3部材を一緒に潤滑することができる。また、パイロットベアリング35の手前側に設けられた油路空間71内の油量は分岐口82の開いた中間高さ以下に適正に保たれ、過剰な潤滑油の滞留は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例の潤滑構造を説明する変速機の側面断面図である。
【図2】図1の実施例において、カバー部材の形状を説明する図であり、(1)は図1の左方向からみた正面図、(2)は正面図のA−A矢視図を示している。
【符号の説明】
【0035】
1:変速機の潤滑構造
2:ハウシング 21:トランスファハウジング 22:カバー部材
3:入力軸 31:駆動歯車 35:パイロットベアリング
4:カウンター軸 41:従動歯車 42:出力駆動歯車
44:軸受け部
5:出力軸 52:出力従動歯車 55:油溝 56:内部油路
58、59:テーパードローラーベアリング
6:トランスファ軸
71:油路空間(潤滑油路の一部)
81:分岐溝部 82:分岐口 85:カウンター軸溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力が入力される入力軸と、
一端に該入力軸の軸端部が同軸に内挿され、他端の内周に該回転動力を出力する結合部が形成されるとともに、軸心に内部油路が延設された出力軸と、
該入力軸と該出力軸との間に嵌装されて該二軸の相対回転を許容する軸間ベアリング部材と、
該出力軸とハウジングとの間に嵌装されて該出力軸を回動自在に支持する支持ベアリング部材と、
該ハウジングに回動自在に支持され、軸端部が該出力軸の結合部に内挿されて結合する軸部材と、
該出力軸と該ハウジングとの間及び、該出力軸と該軸部材との間に形成され、該内部油路を一部として含み、該軸間ベアリング部材へ達して潤滑油を導く潤滑油路と、
該ハウシングに形成され、該潤滑油路の中間高さで途中から分岐する分岐油路と、
を備えることを特徴とする変速機の潤滑構造。
【請求項2】
前記潤滑油路は前記支持ベアリング部材を経由し、前記分岐油路は潤滑を必要とする他部材へ連通して潤滑油を導く、請求項1に記載の変速機の潤滑構造。
【請求項3】
前記潤滑油路は、前記出力軸の内周あるいは前記軸部材の外周に形成された軸方向の油溝を一部として含む、請求項1または2のいずれかに記載の変速機の潤滑構造。
【請求項4】
前記ハウシングは本体部材とカバー部材とからなり、前記分岐油路は該カバー部材に形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の変速機の潤滑構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−115992(P2008−115992A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301598(P2006−301598)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】