説明

外壁パネル取付構造

【課題】 外壁パネル12の不陸調整をきわめて簡単に行うことができ、外壁パネル12を梁2に固定することができる外壁パネル取付構造1を提供する。
【解決手段】 外壁パネル取付構造1は、H型鋼により形成された梁2のフランジ2a間に取り付けられる梁プレート3と、該梁プレート3に固定されるベースプレート5と、該ベースプレート5に逆ネジ部材6により連結される台座7と、前記台座7に回転可能に取付られており、当該台座7との間に外壁パネル12の端部を挟持する外壁パネル支持片8と、を備え、前記逆ネジ部材6は、屋外側から操作することによりベースプレート5と台座7とを接近離反可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅等の建物における外壁パネル取付構造に関し、特に、建物の梁に外壁パネルを取り付ける外壁パネル取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より住宅等の建物の外壁パネルを建物躯体に取付ける方法として、屋内側から外壁パネルを取り付ける方法がある。しかし、取付位置によっては、外壁パネルの屋内側に梁が配置されているので、取付作業を行うことが困難な場合がある。また、外壁リフォームの際などで外壁パネルを取り外す際に、屋内側から外壁パネルを外すには屋内側の仕上材等を剥がす必要があり、作業が困難になる。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示すように、屋外側から外壁パネルを取り付ける外壁パネル取付構造が種々提案されている。これによると、建物の構造躯体に、外壁パネルの端部を固定する押さえ片とこの押さえ片を取付ける基台とを設置した構成が記載されている。押さえ片は屋外側から外壁パネル間の目地を通して操作することで、外壁パネルを着脱自在に固定している。したがって、外壁パネルを屋外側から取り付けることができるとともに、外壁パネルを屋外側から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−111252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外壁パネルを取付ける際には、意匠性の優れたものにするために、外壁パネル同士が面一になるように調整する必要がある。しかし、外壁パネルの調整を行うために一端外壁パネルを取り外してパネル裏面にスペーサを入れる作業を行うことは作業効率が悪い。
【0006】
そこで、本発明は、外壁パネルの不陸調整をきわめて簡単に行うことができ、外壁パネルを梁に固定することができる外壁パネル取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の外壁パネル取付構造は、H型鋼により形成された梁のフランジ間に取り付けられる梁プレートと、該梁プレートに固定されるベースプレートと、該ベースプレートに連結部材により連結される台座と、前記台座に回転可能に取付られており、当該台座との間に外壁パネルの端部を挟持する外壁パネル支持片と、を備え、前記連結部材は、屋外側から操作することにより前記ベースプレートと前記台座とを接近離反可能に取り付けられることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の外壁パネル取付構造は、前記連結部材は、一端部と他端部が左右逆向きにネジ切られ、一端部が前記台座に螺合するとともに他端部が前記ベースプレートに螺合する逆ネジを形成しており、前記一端部の先端に屋外側から外壁パネル間の縦目地を通して操作可能な操作部が設けられることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の外壁パネル取付構造は、前記連結部材は、前記ベースプレートに螺合するとともに、前記台座に空転自在に貫通するボルト及び当該ボルトに外嵌されるナットからなり、前記ボルトの先端が前記ベースプレートに螺合した状態で、前記ボルトのボルト頭及び前記ナットにより前記台座を挟んで固定するとともに、前記ボルト頭には屋外側から外壁パネル間の縦目地を通して操作可能な操作部が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の外壁パネル取付構造によると、ベースプレートと台座とを連結する連結部材を屋外側から操作することにより、ベースプレートと台座とを接近離反させることができ、台座及びこの台座に回転可能に取付けられた外壁パネル支持片によって外壁パネルの端部が挟持されるので、連結部材を操作することにより屋外側から外壁パネルを屋外側又は屋内側に移動させることができる。したがって、極めて簡単に外壁パネルの不陸調整を行うことができる。
【0011】
特に、この外壁パネル取付構造によると、ベースプレートをH型鋼により形成された梁のフランジ間に取り付けられる梁プレートに固定することにより梁のフランジ間のスペースを外壁の不陸調整に利用することができ、外壁パネルと建物の構造躯体との間に十分なスペースが無い場合にも、外壁パネルの不陸調整を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の外壁パネル取付構造によると、連結部材は、一端部と他端部が左右逆向きにネジ切られ、一端部が前記台座に螺合するとともに他端部が前記ベースプレートに螺合する逆ネジを形成しており、前記一端部の先端に屋外側から外壁パネル間の縦目地を通して操作可能な操作部が設けられるので、屋外側から外壁パネル間の縦目地を通してドライバなどの工具を挿し込み連結部材を回転させると、外壁パネルを固定した台座が屋外側又は屋内側に移動させることができ、屋外側から極めて簡単に外壁パネルの不陸調整を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の外壁パネル取付構造によると、台座はボルト頭とナットに挟まれて取付けられており、このボルトをベースプレートに対して締結方向に締めるとボルトがベースプレート内部に挿入されて台座もベースプレートに接近する方向に移動する。またボルトをベースプレートに対して弛緩方向に緩めるとボルトがベースプレート内部から出てくるので台座もベースプレートから離反する方向に移動する。したがって、極めて簡単に外壁パネルの不陸調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】外壁パネル取付構造を側方から見た外観構成断面図。
【図2】ベースプレートの構成を説明する正面図。
【図3】ベースプレートの取付構造を説明するために梁及びベースプレートを上側から見た図。
【図4】連結部材としての逆ネジ部材の構成を説明する図。
【図5】台座及び外壁パネル支持片の構成を説明する正面図。
【図6】図1の外観構成断面図の逆ネジ部材を反時計回りに回転させた状態を説明する図。
【図7】外壁パネルを取り付ける状態を説明するために一方の外壁パネルを取付けた外壁パネル取付構造を屋外側から見た図。
【図8】図7の外壁パネル取付構造が他方の外壁パネルも取付けた状態を説明する図。
【図9】外壁パネルを取付けた状態を説明するために梁の上方から見た図。
【図10】外壁パネルを屋外側に移動させるように不陸調整を行った状態を説明する図。
【図11】別の実施形態の外壁パネル取付構造を説明する外壁パネル取付構造を側方からみた外観構成断面図。
【図12】図11の外壁パネル取付構造において、外壁パネルを屋外側に移動させる状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明における外壁パネル取付構造1について、各図を参照しつつ説明する。外壁パネル取付構造1は、図1に示すように、H型鋼により形成された梁2に外壁パネル12を固定するものであり、例えば梁2のフランジ2a間などに固定される梁プレート3と、この梁プレート3に固定される取付金具4と、この取付金具4を介して梁プレート3に固定されるベースプレート5と、ベースプレート5に一端側が螺合する連結部材としての逆ネジ部材6と、この逆ネジ部材6によりベースプレート5に連結される台座7と、この台座7に回転可能に取付られており、台座7との間に外壁パネル12の端部を挟持する外壁パネル支持片8と、を備えている。
【0016】
梁プレート3は、梁2の屋外側のフランジ2aの内側面又は外側面、及び梁2のウェブ2bの屋外側面に例えば溶接により固定された金属板状の部材であり、この梁プレート3の屋外側の端部に取付金具4が溶接により固定されている。なお、梁2と梁プレート3との固定は、溶接に限定されるものではなく例えば、ボルト及びナットのような他の固定手段で固定するものであってもよい。また梁プレート3と取付金具4との固定は、溶接に限定されず、ボルト止、バネ鋼による嵌合などの方法であってもよい。この梁プレート3及び取付金具4の中央には、孔が開いており逆ネジ部材6の先端が挿入可能に形成されている。なお、本実施形態においては、梁プレート3の固定箇所はフランジ2aの内側面とウェブ2bの屋外側面に固定されているが、例えばL字状の梁プレート3をフランジ2aの外側面に固定するものや梁2のウェブ2bにのみ固定するものなどいずれの箇所に取付けるものであってもよい。
【0017】
ベースプレート5は、図2及び図3に示すように、両側部に設けられた貫通孔5bにより取付金具4にボルト固定された矩形金属板であって、その中央には右ネジの調整孔5aが貫通している。連結部材としての逆ネジ部材6は、図4に示すように、中央の薄い鍔6aを挟んで一方側に右ネジ6bが形成され、他方側に左ネジ6cが形成されたネジであり、一方側はベースプレート5の調整孔5aに螺合する形状である。逆ネジ部材6の他方側の端部には図示しないがドライバなどの工具でこの逆ネジ部材6を回転することができるようにプラス又はマイナスのドライバ溝が形成されている。なお、ドライバ溝でなくてもよく、例えばレンチ等の工具で回転させることが可能な6角又は8角の穴又は突起であっても良い。
【0018】
台座7は、図1及び図5に示すように、上下にそれぞれ外壁パネル支持片8が取付けられた平板状であって、その中央には逆ネジ部材6の他端側と螺合する左ネジの台座7側ネジ孔7aが設けられている。外壁パネル支持片8は、台座7に貫通する軸部9と、一端が軸部9に回転可能に取り付けられる支持片本体10と、支持片本体10の回転を規制するように軸部9に外挿されるバネ11とにより形成されている。
【0019】
以上のように構成される外壁パネル取付構造1の逆ネジ部材6を反時計回りに回転させると、図6に示すように、逆ネジ部材6のベースプレート5と螺合する部分は右ネジ6bであるので、逆ネジ部材6はベースプレート5から屋外側に突き出す方向に移動する。そして、逆ネジ部材6の台座7と螺合する部分は左ネジ6cであるので、逆ネジ部材6が反時計回りに回転することで台座7が逆ネジ部材6に対して屋外方向に移動する。したがって、台座7はベースプレート5から離反する方向に移動する。一方、逆ネジ部材6を時計回りに回転させると、逆ネジ部材6のベースプレート5と螺合する部分は締まる方向に移動し、台座7は逆ネジ部材6に対して屋内方向に移動するので、台座7はベースプレート5に接近する方向に移動する。
【0020】
この外壁パネル取付構造1を用いて外壁パネル12を取り付けるときには、図7に示すように、一方の外壁パネル12の端部を外壁パネル取付構造1の屋外側に保持して、上側の外壁パネル支持片8を回転させて、この外壁パネル12の端部に形成された固定枠13に固定する。そして、図8及び図9に示すように、他方の外壁パネル12の端部を一方の外壁パネル12の端部とやや間隙を開けて外壁パネル取付構造1の屋外側に保持して、下側の外壁パネル支持片8を回転させて、他方の外壁パネル12の端部に形成された固定枠13に固定する。以上のようにして外壁パネル取付構造1のほぼ中央に縦目地の間隙を開けて、外壁パネル12は外壁パネル取付構造1に固定される。
【0021】
外壁パネル12の不陸を調整する際には、外壁パネル12間の縦目地からドライバ又はレンチ等の工具を、逆ネジ部材6の屋外側端部に形成された図示しないドライバ溝等に挿し込んで、この逆ネジ部材6を回転させる。このとき外壁パネル12を屋外側に移動させたい時には、逆ネジ部材6を反時計回りに回転させ、外壁パネル12を屋内側に移動させたい時には、逆ネジ部材6を時計回りに回転させる。これにより図9及び図10に示すように、外壁パネル12は梁2に対して屋外方向又は屋内方向に移動することができ、外壁パネル12の不陸を屋外側から極めて簡単に調整することができる。
【0022】
なお、本実施形態においては逆ネジ部材6のベースプレート5と螺合する側を右ネジ6bとし、台座7と螺合する側を左ネジ6cとしているが、ベースプレート5と螺合する側を左ネジとし、台座7と螺合する側を右ネジとしてもよい。この場合、逆ネジ部材6を時計回りに回転させることで、外壁パネル12を梁2から離反する方向に移動させることができ、逆ネジ部材6を反時計回りに回転させることで外壁パネル12を梁2に接近する方向に移動させることができ、外壁パネル12の不陸調整を行うことができる。
【0023】
また、外壁パネル取付構造1は上述の実施形態に限られるものではなく、例えば、図11に示すように、連結部材の構成を逆ネジ部材6に代えて、ベースプレート5に螺合するとともに、台座7に空転自在に貫通する不陸調整ボルト14及びこの不陸調整ボルト14に外嵌される固定ナット15から構成されるものとしてもよい。この場合、不陸調整ボルト14の先端がベースプレート5に螺合した状態で、不陸調整ボルト14のボルト頭16及び固定ナット15により台座7を挟んで固定し、ボルト頭16に例えば図示しないがドライバによって操作可能なマイナスやプラス等のドライバ溝、又はレンチによって操作可能な6角又は8角の穴又は突起が設けられる。
【0024】
このように構成すると、不陸調整ボルト14を緩める方向に回転させると、不陸調整ボルト14の先端がベースプレート5から突き出す方向に移動する。そして、不陸調整ボルト14は台座7に対して空転するとともに、ボルト頭16と固定ナット15とで台座7を挟んでいるので、台座7は不陸調整ボルト14に対して屋外方向又は屋内方向に移動することは無い。したがって、不陸調整ボルト14が屋外側に移動した分だけ台座7も屋外側に移動することになる。したがって、外壁パネル支持片8に固定されている外壁パネル12もまた、屋外側に移動することになる。一方、不陸調整ボルト14を締める方向に回転させると、不陸調整ボルト14の先端がベースプレート5内に挿入される方向に移動する。そして、台座7及び外壁パネル支持片8によって台座7に固定されている外壁パネル12もまた、屋内側に移動することになる。したがって、このような構成を用いたとしてもきわめて簡単に外壁パネル12の不陸を調整することができる。
【0025】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る外壁パネル取付構造1は、例えば住宅などにおいて、外壁パネル12の不陸調整が必要な外壁パネル12を梁2に固定する外壁パネル取付構造1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 外壁パネル取付構造
2 梁
2a フランジ
3 梁プレート
5 ベースプレート
6 逆ネジ部材(連結部材)
7 台座
8 外壁パネル支持片
12 外壁パネル
14 不陸調整ボルト(ボルト)
15 固定ナット(ナット)
16 ボルト頭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H型鋼により形成された梁に取り付けられる梁プレートと、
該梁プレートに固定されるベースプレートと、
該ベースプレートに連結部材により連結される台座と、
前記台座に回転可能に取付られており、当該台座との間に外壁パネルの端部を挟持する外壁パネル支持片と、を備え、
前記連結部材は、屋外側から操作することにより前記ベースプレートと前記台座とを接近離反可能に取り付けられることを特徴とする外壁パネル取付構造。
【請求項2】
前記連結部材は、一端部と他端部が左右逆向きにネジ切られ、一端部が前記台座に螺合するとともに他端部が前記ベースプレートに螺合する逆ネジを形成しており、
前記一端部の先端に屋外側から外壁パネル間の縦目地を通して操作可能な操作部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル取付構造。
【請求項3】
前記連結部材は、前記ベースプレートに螺合するとともに、前記台座に空転自在に貫通するボルト及び当該ボルトに外嵌されるナットからなり、
前記ボルトの先端が前記ベースプレートに螺合した状態で、前記ボルトのボルト頭及び前記ナットにより前記台座を挟んで固定するとともに、前記ボルト頭には屋外側から外壁パネル間の縦目地を通して操作可能な操作部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−209640(P2010−209640A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59419(P2009−59419)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】