説明

外壁出隅部の目地構造

【課題】意匠性を高めることができる外壁出隅部の目地構造を提供する。
【解決手段】外壁出隅部の目地構造に関する。所定角度をなして一対の固定片の各側縁同士を結合し、この結合部から一対のガイド片を突設させて接合部材が形成される。隙間を空けて前記所定角度と等しい角度をなして設置された複数の外壁材の後面側に前記接合部材の各固定片が配置されている。この接合部材の一対のガイド片が前記隙間を通って各外壁材の前面から突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物における外壁出隅部の目地構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出隅構造としては、例えば、二つの側片がその側端縁同士で接合された形状を有する断面L字状の出隅部材を建物の下地材の出隅部分に沿って敷設すると共にこの出隅部材に隣接して壁材を建物の下地材に沿って敷設したものなどが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、このような従来の外壁出隅部にあっては、装飾的な効果が不十分であり、意匠性が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2006−124951号公報
【特許文献2】特開2007−120047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、意匠性を高めることができる外壁出隅部の目地構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る外壁出隅部の目地構造は、所定角度をなして一対の固定片の各側縁同士を結合し、この結合部から一対のガイド片を突設させて接合部材が形成され、隙間を空けて前記所定角度と等しい角度をなして設置された複数の外壁材の後面側に前記接合部材の各固定片が配置されていると共に、この接合部材の一対のガイド片が前記隙間を通って各外壁材の前面から突出していることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1において、ガイド片と外壁材との間に形成された間隙にシーリング材が充填されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、一対のガイド片がなす角度と等しい角度をなして一対の連結片の各側縁同士を結合すると共に各連結片の先端部に係合部を設けて連結具が形成され、前記係合部に係合する係合突起を各ガイド片の先端部に設け、複数の接合部材がガイド片が連続するように配置され、連結片の係合部とガイド片の係合突起とを係合させて、隣り合う接合部材間の継ぎ目を覆うように連結具が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2において、ガイド片の先端部の外壁材側に傾斜面が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に係る外壁出隅部の目地構造によれば、外壁材から突出しているガイド片によって目地部分に外観上のアクセントをつけることができ、意匠性を高めることができるものである。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、水密性を高めることができるものである。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、隣り合う接合部材間の継ぎ目を目立たないようにすることができるものである。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、ガイド片と外壁材との間隙にシーリング材を容易に充填することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本発明に係る外壁出隅部の目地構造の一例を示すものである。この例では複数の柱12(図1では他の柱12は図示省略)を離間して立設し、各柱12の屋外側に合板等で形成された下地材13を取り付けた後、この下地材13の表面に透湿防水シート14を張設する。さらに外壁の出隅部に位置する柱12の屋外側の隣り合う各面には下地材13及び透湿防水シート14を介して厚み12mm程度の受け板(木胴縁)15がビス等で取り付けられている。
【0015】
そしてこの受け板15にはアルミニウム等の金属で形成された接合部材3が留め付けビス16で取り付けられている。ここで、接合部材3は、図2(b)(c)及び図3に示すように、所定角度(出隅部の角度であり、通常は90°)をなして一対の長尺状の固定片1,1の各側縁同士を結合し、この結合部から一対の長尺状のガイド片2,2を固定片1の長手方向と平行となるように突設させて断面略十字状に形成されている。一対のガイド片2,2がなす角度は通常90°であるが、この角度に限定されるものではない。また接合部材3のガイド片2,2は、外壁材4の厚み(16mm程度)よりも長くなるように一対の固定片1,1の結合部から突設されている。さらに各固定片1においてガイド片2側の面には結合部から側縁に向かって等間隔、例えば5mm間隔で深さ0.5mm程度の溝17が複数本形成されている。そして受け板15に接合部材3を取り付ける際には、この溝17内に留め付けビス16の先端を入れるようにすれば、留め付けビス16が各固定片1上を滑らないようにすることができ、取付け作業をスムーズに行うことができるものである。
【0016】
次に図1のように外壁材4を取り付けるための留め金具18を透湿防水シート14を介して下地材13に固着具19で固定する。ここで、留め金具18としては、例えば、図4(a)に示すように、固定片21の片面に上向き保持片45及び下向き保持片46を設けて形成されたものを用いることができる。そしてこの留め金具18を用いて外壁材4を上下に取り付けるにあたっては、まず図4(b)のように外壁材4の上端部に設けられた係止突部62に留め金具18の下向き保持片46を係止させつつ、固定片21に設けられた固着孔41に固着具19を通し、この固着具19を下地材13にねじ込んだり打ち付けたりすることによって、留め金具18を透湿防水シート14を介して下地材13に固定する。このようにして下の外壁材4を設置した後、別の外壁材4の下端部に設けられた溝部61に留め金具18の上向き保持片45を係止させるものであり、この一連の作業を必要に応じて繰り返すことによって、外壁材4を上下に取り付けることができる。
【0017】
そして複数の外壁材4,4を隙間を空けて所定角度(接合部材3の一対の固定片1,1がなす角度と等しく、通常は90°)をなして設置するものであるが、このとき各外壁材4の端縁を接合部材3の各固定片1に形成されている溝17の位置に合わせて、外壁材4を留め金具18に取り付けるものである。このように、固定片1に溝17が形成されていることによって、外壁の出隅部に設置される外壁材4,4の位置合わせを容易に行うことができるものである。しかも各固定片1には溝17が複数本形成されているので、隣り合って外壁の出隅部を構成する外壁材4,4間の隙間を任意に変更することができるものである。
【0018】
出隅部において各外壁材4と接合部材3のガイド片2との間にはそれぞれ等間隔の10mm程度の間隙が形成されるが、この間隙にはまず発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン又は各種樹脂等で形成されたバックアップ材20を奥に挿入して詰め込み、次に間隙内面にプライマーを塗布した後、シーリング材5を充填するようにしてある。このように、シーリング材5とは接着しないバックアップ材20を用いることによって三面接着を防止すると共に、水密性を高め、屋外から水等が屋内に浸入するのを防止することができるものである。
【0019】
ここで、接合部材3のガイド片2は、外壁材4の厚みよりも長くなるように一対の固定片1,1の結合部から突設されているので、プライマーの塗布作業やシーリング材5の充填作業に使用する用具がガイド片2の先端部の角に引っ掛かるなどして、これらの作業をスムーズに行うことができなくなる場合がある。そこでこのような場合には、図2(c)のように各ガイド片2の先端部の外壁材4側に傾斜面11を形成しておけばよい。この傾斜面11によって各種用具が引っ掛かるようなことがなくなり、ガイド片2と外壁材4との間隙にプライマーを容易に塗布することができると共に、シーリング材5を容易に充填することができ、施工性を向上させることができるものである。
【0020】
上記のようにして外壁出隅部の目地構造が形成されており、図1のように接合部材3の一対の固定片1はそれぞれ外壁材4,4の後面側(屋内側)に配置されているが、この接合部材3の一対のガイド片2,2は、所定角度をなして隣り合う外壁材4,4間の隙間を通ってこれらの外壁材4,4の前面から突出している。そしてこのように突出している一対のガイド片2,2が屋外から見えることとなり、これらのガイド片2,2によって目地部分に外観上のアクセントをつけることができ、従来の外壁出隅部に比べて、意匠性を高めることができるものである。
【0021】
ところで、出隅部において通常外壁材4は複数用いて上下に設置していくので、接合部材3の長さが上下方向において足りなくなる場合がある。この場合、図3のように固定片1,1及びガイド片2,2がそれぞれ連続するようにして複数の接合部材3,3を上下に並べて配置するものであるが、このとき上下に隣り合う接合部材3,3間の継ぎ目が目立ってしまうおそれがある。そこでこのような場合には、図2(a)及び図3(b)に示すようなアルミニウム等の金属で形成された連結具9を用いるようにすればよい。なお、図3では接合部材3及び連結具9以外のものについては図示省略している。連結具9は、一対の連結片6,6の各側縁同士を結合すると共に各連結片6の先端部に係合部8を設けて略V字又はL字状に形成されている。ここで、連結具9の一対の連結片6,6は、接合部材3の一対のガイド片がなす角度と等しい角度(通常は90°)をなしている。また連結具9の各連結片7の幅は接合部材3のガイド片2の幅と略等しい。また連結具9の各係合部8は、各連結片7の先端部を他の連結片7と反対側に折り曲げることによって爪状に形成されている。一方、接合部材3の各ガイド片2の先端部には連結具9の各連結片7の係合部8に係合する係合突起10が設けられている。この接合部材3の各係合突起10は、各ガイド片2の先端部を他のガイド片2と反対側(固定片1側)に膨出させることによって形成されている。そして、図3(a)(b)のように固定片1,1及びガイド片2,2がそれぞれ連続するようにして複数の接合部材3,3を上下に並べて配置した後、上下に隣り合う接合部材3,3間の継ぎ目に跨る位置において、連結具9の一対の連結片6,6が形成する出隅部を接合部材3の一対のガイド片2,2が形成する入隅部に合致させ、連結具9の連結片7の係合部8と接合部材3のガイド片2の係合突起10とを係合させて、上下に隣り合う接合部材3,3間の継ぎ目を覆うようにして、連結具9を取り付けるものである。このように、上下に隣り合う接合部材3,3間の継ぎ目が連結具9で覆い隠されることによって、この継ぎ目を目立たないようにすることができるものであり、また上下に隣り合う接合部材3,3の位置がずれるのを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る外壁出隅部の目地構造の一例を示す断面図である。
【図2】(a)は連結具の一例を示す断面図、(b)は接合部材の一例を示す断面図、(c)は接合部材の他の一例を示す断面図である。
【図3】連結具を取り付ける工程を示すものであり、(a)〜(c)は斜視図である。
【図4】(a)は留め金具の一例を示す斜視図、(b)は図1のイ−イ線断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 固定片
2 ガイド片
3 接合部材
4 外壁材
5 シーリング材
6 連結片
8 係合部
9 連結具
10 係合突起
11 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度をなして一対の固定片の各側縁同士を結合し、この結合部から一対のガイド片を突設させて接合部材が形成され、隙間を空けて前記所定角度と等しい角度をなして設置された複数の外壁材の後面側に前記接合部材の各固定片が配置されていると共に、この接合部材の一対のガイド片が前記隙間を通って各外壁材の前面から突出していることを特徴とする外壁出隅部の目地構造。
【請求項2】
ガイド片と外壁材との間に形成された間隙にシーリング材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁出隅部の目地構造。
【請求項3】
一対のガイド片がなす角度と等しい角度をなして一対の連結片の各側縁同士を結合すると共に各連結片の先端部に係合部を設けて連結具が形成され、前記係合部に係合する係合突起を各ガイド片の先端部に設け、複数の接合部材がガイド片が連続するように配置され、連結片の係合部とガイド片の係合突起とを係合させて、隣り合う接合部材間の継ぎ目を覆うように連結具が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁出隅部の目地構造。
【請求項4】
ガイド片の先端部の外壁材側に傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁出隅部の目地構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161956(P2009−161956A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341053(P2007−341053)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】