外壁材取付金具及び外壁材取付構造
【課題】釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができ、小さな領域が開口部の下側等に残ってしまっても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けて前記領域を無くすことができる外壁材取付金具を提供する。
【解決手段】建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けるために用いられる外壁材取付金具1に関する。前記外壁材取付金具1は、前記外壁材3と係合される係合金具4と、前記壁下地2に固定され、前記係合金具4と係合される固定金具5とからなる。前記係合金具4は、引掛部7と、係止片10と、差込部8とを設けて形成されている。前記固定金具5は、係止部11を設けた固定板17と、ガイド部9とで形成されている。前記係合金具4は、前記係止片10と前記係止部11の係止により前記固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能となっている。
【解決手段】建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けるために用いられる外壁材取付金具1に関する。前記外壁材取付金具1は、前記外壁材3と係合される係合金具4と、前記壁下地2に固定され、前記係合金具4と係合される固定金具5とからなる。前記係合金具4は、引掛部7と、係止片10と、差込部8とを設けて形成されている。前記固定金具5は、係止部11を設けた固定板17と、ガイド部9とで形成されている。前記係合金具4は、前記係止片10と前記係止部11の係止により前記固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁下地に外壁材を取り付けるために用いられる外壁材取付金具及びこの外壁材取付金具を用いて建築物の壁下地に外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの建築物の外壁材3は図23や図24に示すように取り付けられている。具体的には、まず図23に示すように基礎23の上に土台24を設置し、この土台24の上に複数の柱25を所定間隔をあけて立設する。次に各柱25の屋外側に防水紙26を張設した後、この防水紙26を介して各柱25の屋外側に壁下地2(縦胴縁)を設置する。その後、この壁下地2に下から順に外壁材3を左右隣接させて取り付けていくものであるが、このとき各外壁材3は壁下地2に固定された複数の支持金具(図示省略)によって支持されているものである。
【0003】
このような取り付けにあたって、外壁材3は、窓などの開口部55を形成する箇所を避けて取り付けられるが、外壁材3を窓枠などの開口枠37の側端部に近接させて取り付けることができるようにしたサイディング取付金具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして特に特許文献1に記載のサイディング(外壁材3)の上部及び下部にはサイディング取付金具が使用できるようにあらかじめ上サネ及び下サネが設けられている。
【0004】
しかし、開口枠37の下縁の高さと外壁材3の上縁の高さが一致するのは稀であり、通常は図23や図24に示すように両者の高さは一致しない。これは、開口枠37の上縁の高さと外壁材3の下縁の高さについても同様である。そのため、開口枠37の下側又は上側に通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合、既に取り付けた外壁材3の上又は下にさらに外壁材3を取り付けようとすると開口部55の一部を塞いでしまうことになるので、開口枠37の下部又は上部に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。
【0005】
そこで、このような場合には、図25に示すように、外壁材3の上部又は下部の余分な箇所を切り落とし、所望の大きさに形成した外壁材3を釘、ねじ等の固定具38を用いて壁下地2に取り付けることによって、開口枠37の下側又は上側に残った領域を覆い隠すようにしている。この場合、外壁材3を所望の大きさに形成するために上サネ又は下サネを余分な箇所として切り落としてしまっているので、特許文献1に記載されているような従来のサイディング取付金具は使用することができなくなり、上記のように釘、ねじ等の固定具38を使用せざるを得なくなるものである。
【0006】
しかし、図25に示す場合にあっては、釘、ねじ等の固定具38を直接外壁材3に打ち込んだりねじ込んだりしているので、外観が悪くなるおそれがある。なお、図25において、39はスペーサーであって、外壁材3と壁下地2(横胴縁)との間の隙間を確保するためのものであり、また35及び36はそれぞれシーリング及びバックアップ材であって、外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填するためのものである。
【0007】
ところで、複数の外壁材3を下から順に取り付けていくと、やがて軒天井34の下側において通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合、既に取り付けた外壁材3の上にさらに外壁材3を取り付けようとすると軒天井34が邪魔になるので、軒天井34の下側に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。
【0008】
そこで、このような場合には、図26に示すように、外壁材3の上部の余分な箇所を切り落とし、所望の大きさに形成した外壁材3を釘、ねじ等の固定具38を用いて壁下地2に取り付けることによって、軒天井34の下側に残った領域を覆い隠すようにしている。
【0009】
しかし、図26に示す場合にあっても、図25に示す場合と同様に、釘、ねじ等の固定具38を直接外壁材3に打ち込んだりねじ込んだりしているので、外観が悪くなるおそれがある。なお、図26において、39はスペーサーであって、外壁材3と壁下地2との間の隙間を確保するためのものであり、また35及び36はそれぞれシーリング及びバックアップ材であって、外壁材3と軒天井34との間の隙間を充填するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−217972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側や軒天井の下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができる外壁材取付金具及び外壁材取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る外壁材取付金具は、建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けるために用いられる外壁材取付金具1であって、前記外壁材取付金具1は、前記外壁材3と係合される係合金具4と、前記壁下地2に固定され、前記係合金具4と係合される固定金具5とからなり、前記係合金具4は、前記外壁材3の上部又は下部を切断して現れた切断面に引っ掛けて係合するための引掛部7と、前記固定金具5と係合するための係止片10と、前記固定金具5に差し込まれる差込部8とを設けて形成されていると共に、前記固定金具5は、前記係止片10と係合するための複数の係止部11を前記係合金具4の差し込み方向に並べて設けた固定板17と、前記固定板17の両端部18に平面視コ字型で形成されて前記差込部8の両端部16を挿入することにより前記差込部8が差し込まれるのをガイドするガイド部9とで形成されており、前記係合金具4は、前記係止片10と前記係止部11の係止により前記固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能としたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記複数の係止部11は、各係止部11が前記係合金具4の差し込み方向に千鳥状に配列されていると共に、前記係止片10は、差し込み方向と垂直な方向の前記係止部11の位置に対応して二つ以上形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記係合金具4は、先端が前記固定板17に当接することにより前記係合金具4が前記固定板17に向かって揺動するのを防止する揺動防止片22を設けて形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に係る外壁材取付構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具1を用いて建築物の開口部55の下側の壁下地2に外壁材3を取り付けると共に、支え片41及び固定片42を設けて形成された受け金具43を用いて前記開口部55の上側の壁下地2に他の外壁材3を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記開口部55の下側に取り付けられる外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に前記係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、前記固定金具5が前記開口部55の下側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていると共に、前記開口部55の上側に取り付けられる前記他の外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に前記受け金具43の支え片41を引っ掛けることによって、前記他の外壁材3と前記受け金具43とが係合されており、前記受け金具43の固定片42が前記開口部55の上側の壁下地2に固定されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に係る外壁材取付構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて外壁材3を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記外壁材取付金具1を用いて建築物の開口部55の下側の壁下地2に外壁材3を取り付けると共に、前記外壁材取付金具1とは別の他の外壁材取付金具1を用いて前記開口部55の上側の壁下地2に他の外壁材3を取り付けることによって外壁材取付構造を形成しており、前記開口部55の下側に取り付けられる外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に一方の前記外壁材取付金具1の係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、一方の前記外壁材取付金具1の固定金具5が前記開口部55の下側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていると共に、前記開口部55の上側に取り付けられる前記他の外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に他方の前記外壁材取付金具1の係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記他の外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、他方の前記外壁材取付金具1の固定金具5が前記開口部55の上側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に係る外壁材取付構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具1を用いて建築物の軒天井34の下側の壁下地2に外壁材3を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記軒天井34の下側に取り付けられる外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に前記係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、前記固定金具5が前記軒天井34の下側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に係る外壁材取付金具によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側や軒天井の下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。また、係合金具が固定金具に対して差し込み方向にのみ可動可能となっているので、係合金具が固定金具に対して抜ける方向に動いて引掛部と外壁材との係合が外れるのを防ぐことができ、外壁材を強固に支持して取り付けることができるものである。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、係止部が横方向に並ばないことにより固定板に応力が集中するのを防止して固定板の剛性を高めることができると共に、千鳥状に配置された係止部に順次係止片を係止することにより係合金具の差し込み位置を微調整することができ、外壁材の取り付けの作業性を向上させることができるものである。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、揺動防止片で係合金具を支えて係合金具が固定板に向かって揺動するのを防止することにより、係合金具で外壁材を簡単で確実に引っ掛けることができ、外壁材の取り付けの作業性を向上させることができるものである。また、揺動防止片が固定板に当接しているので外壁材取付金具の強度を向上することができ、強度の高い外壁材取付構造を形成することができるものである。
【0021】
本発明の請求項4に係る外壁材取付構造によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【0022】
本発明の請求項5に係る外壁材取付構造によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【0023】
本発明の請求項6に係る外壁材取付構造によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が軒天井の下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す図であり、(a)係合金具の正面図、(b)係合金具の側面図、(c)固定金具の正面図、(d)固定金具のX−X断面図、(e)固定金具の平面図、(f)外壁材取付金具の正面図を示している。
【図2】同上の一例を示し、(a)係合金具の斜視図、(b)固定金具の斜視図、(c)外壁材取付金具の斜視図、(d)外壁材取付構造の断面図を示している。
【図3】本発明の実施の形態の他の一例を示す図であり、(a)〜(d)は外壁材取付構造の断面図を示している。
【図4】外壁材を取り付ける様子の一例を示した概略断面図である。
【図5】外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図である。
【図6】外壁材を取り付ける際に溝を形成する様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図、(c)〜(f)は断面図である。
【図7】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図8】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図9】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)は概略断面図、(b)(d)は斜視図である。
【図10】受け金具の一例を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図11】受け金具の他の一例を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図12】外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図である。
【図13】外壁材を取り付ける際に溝を形成する様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図、(c)〜(f)は断面図である。
【図14】受け金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図15】本発明の外壁取付構造の実施の形態の一例を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図16】本発明の外壁取付構造の実施の形態の他の一例を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図17】開口部の横側の外壁材取付構造の一例を示した図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図18】開口部の横側の外壁材取付構造の他の一例を示した図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図19】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図20】本発明の外壁取付構造の実施の形態の他の一例を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図21】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図22】本発明の外壁取付構造の実施の形態の他の一例を示す概略断面図である。
【図23】建築物の分解斜視図である。
【図24】建築物の正面図である。
【図25】従来の外壁材取付構造の一例を示す概略断面図である。
【図26】従来の外壁材取付構造の他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1及び図2は本発明に係る外壁材取付金具の一例を示すものであり、これは、建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けるために用いられるものである。そしてこの外壁材取付金具1は、係合金具4と固定金具5とからなる。
【0027】
係合金具4は、外壁材3と係合されるものであって、図1(a)(b)、図2(a)に示すように、矩形板状の差込部8と引掛部7とを設けて形成されており、差込部8と引掛部7とは、差込部8の上端略中央部から突出して設けられ、引掛部7及び差込部8よりも両端間の長さが短くなるように括れて形成された括れ部12で連結されている。
【0028】
引掛部7は、下端が括れ部12の上端と連結すると共に上端が三つの片に分岐する板状の引掛連結片13と、この引掛連結片13の三つの先端のそれぞれから屋外側に向けて水平に設けられた水平片14と、この水平片14のそれぞれの先端から垂下して引掛連結片13と向き合うように設けられた引掛片15と、この引掛片15のそれぞれの先端から屋外側に傾斜して延伸して形成された引掛先端片45とからなり、全体として側面視略コ字状に形成されている。水平片14は、両端に位置する二つの端水平片14bと、中央に位置し、端水平片14bよりも幅の狭い中央水平片14aとからなる。また、引掛片15は、二つの端水平片14bのそれぞれと連結する端引掛片15bと、中央水平片14aと連結する中央引掛片15aとからなり、このうち端引掛片15bは、引掛連結片13と略平行に形成されているのに対し、中央引掛片15aは、引掛連結片13に向かって傾斜して形成されている。そして、中央引掛片15aの先端に配置された中央引掛先端片45aは、端引掛片15bの先端に配置された端先端引掛片45bよりも傾斜が急になるように形成されている。
【0029】
係合金具4の差込部8は、その両端部16が固定金具5に設けられたガイド部9に挿入されることにより固定金具5に差し込まれるものである。差込部8の中央には、固定金具5と係合さるための係止片10が設けられており、図示の例では、係止片10は、差込部8から屋内側かつ上側に斜め方向に突出するように二つ形成され、差し込み方向と垂直な方向に並んで配置されている。この係止片10は、固定板5に設けられた係止部11と係合するように、係合金具4の差し込み方向と垂直な方向における係止部11の位置に対応して設けられるものである。図示の固定金具5の例では、係止部11が差し込み方向に沿って二列に並んで配置しており、この係止部11の位置に対応して二つの係止片10が設けられている。なお、係止片10は、係止部11と係合できるように係止部11の位置に対応して設けられていればよく、係止部11の配置が三列以上である場合は、係止片10は三つ以上にすることもできる。また、幅広の係止片10を一つ設けて、複数列の係止部11と係合するようにしてもよい。
【0030】
図示の例では、さらに差込部8には、差込部8から屋内側かつ上側に斜め方向に突出して形成された揺動防止片22が設けられている。揺動防止片22は、その先端が固定板17に当接するように形成されており、それにより係合金具4が固定板17に向かって揺動するのを防止している。
【0031】
固定金具5は、壁下地2に固定され、係合金具4と係合されるものであって、図1(c)〜(e)、図2(b)に示すように、矩形板状の固定板17の両端部18にそれぞれガイド部9を設けて形成されている。固定板17には、釘、ねじ等の固定具38を挿入して壁下地2に固定するための開孔19が形成されている。また各ガイド部9は、固定板17の両端部18と、この両端部18の両側縁から屋外側に延出された延出片20と、この延出片20の先端から両端部18と向き合うように設けられたガイド片21とからなり、それぞれ平面視コ字型に形成されている。各ガイド部9において固定板17の両端部18とガイド片21との間の間隔は、係合金具4の差込部8の厚みよりも大きくなっており、また各ガイド部9の延出片20間の長さは、係合金具4の差込部8の両側縁間の長さと略同一である。
【0032】
固定板17には、係合金具4と係合するための係止部11が、固定板17を切り起して設けられており、図示の例では、係止部11は、屋外側かつ下側に斜め方向に突出するように形成されている。さらに図示の例では、係止部11は、差し込み方向に沿って二列に並んで配置されると共に、各係止部11は差し込み方向に千鳥状に配列されている。すなわち、一の列の各係止部11と他の列の各係止部11は横方向(差し込み方向と垂直な方向)において重なることなく配置されており、全体として差し込み方向にジグザク状に配列している。より詳しくは、各列の各係止部11は等間隔のピッチでそれぞれ配置されると共に、一の列の各係止部11と他の列の各係止部11とは、差し込み方向に半ピッチ分ずれて配置されている。このように、係止部11が千鳥状に配置されることにより、一の列の係止部11と他の列の係止部11とは横方向に並ぶことがなく、固定板17に応力が集中するのを防止して固定板17の剛性を高めることができるものである。また、係合金具4を固定金具5に差し込んだ際に、半ピッチ分ずれた係止部11に二つの係止片10の一方が順次に交互に係止して係合するので、係合金具4の差し込み位置を微調整することができるものである。なお、係止部11の配置として二列に並んだ例を示したが、これに限らず、係止部11は三列以上に配置されていてもよい。
【0033】
また、固定板17の中央の係合金具4が差し込まれて揺動防止片22が当接される部分にはライン刻印部46が形成されている。ライン刻印部46は、固定板17の表面を粗化して設けられるものであり、図示の例では、固定板17の表面が差し込み方向と垂直な方向で複数の直線状に削られて形成されている。このようにライン刻印部46が形成されることにより、揺動防止片22が当接した際に、この揺動防止片22の先端がライン刻印部46に引っ掛かって揺動防止片22が固定板17上を滑るのを防止することができるので、確実に固定板17を支持して係合金具4の揺動を防止することができるものである。
【0034】
そして、図2の矢印で示すように、固定金具5の上方から係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5の両端部18に設けられたガイド部9に挿入し、係合金具4の係止片10と固定金具5の係止部11とを係合させることによって、図1(f)及び図2(c)に示すように、係合金具4と固定金具5を係合することができる。このとき、係合金具4の係止片10が上向きに突出して形成され、固定金具5の係止部11が下向きに突出して形成されているので、両者が噛み合うことによって、係合金具4は、係止片10と係止部11の係止により固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能となっており、係合金具4が固定金具5に対して抜ける方向に動いて引掛部7と外装材3との係合が外れるのを防ぐことができるものであり、係合金具4と固定金具5との係合が強固になると共に、係合金具4が差し込み方向と逆の方向に動いて不用意に解除されるのを防止して、外壁材3を強固に支持して取り付けることができるものである。
【0035】
図2(d)は、上記の外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付けた構造の一例を示している。図示の例では、係合金具4に設けられた引掛部7の引掛片15は、外壁材3の上部(又は下部)を切断して現れた切断面に形成された溝6に引っ掛けられており、このように溝6に係合金具4が引っ掛けられることにより外壁材3と係合金具4とを強固に係合することができるものである。また、中央引掛片15aが端引掛片15bよりも引掛連結片13に向かって傾斜して形成されると共に、各引掛片15の先端に屋外側に傾斜された引掛先端片45が形成されているので、外壁材3に形成する溝6の厚み方向の位置に誤差が生じたりして溝6と引掛片15とに位置ずれが起った場合でも、中央引掛片15aが溝6の切断面に当接するなどしてこの厚みの誤差を吸収し、確実に引掛片15を溝6に差し込んで引っ掛けて外壁材3を支持することができるものである。なお、図2(d)において56は接着剤を表している。
【0036】
また、係合金具4の引掛部7と差込部8とは、この両者よりも幅の狭い括れ部12により連結されており、それにより、係合金具4を固定金具5に差し込んで外壁材3を取り付けた際に、引掛部7が屋外方向にわずかに屈曲することができ、固定金具5のガイド片21の厚みにより屋内方向に押される力を緩和して外壁材3を精度よく引っ掛けることが可能になるものである。また、揺動防止片22の先端が固定板17に当接して固定板17を支持しているので、係合金具4と固定金具5とが強固に固定されて外壁材取付金具1の強度を向上することができ、強度の高い外壁材取付構造を形成することができるものである。
【0037】
なおこのように、通常、係合金具4の係止片10と固定金具5の係止部11とは、一旦差し込まれた係合金具4の差込部8を引き抜いて係合を解除することができないように形成されているが、外壁材3を取り替える場合には、適宜の治具を用いて係合を解除することができるようになっている。
【0038】
ところで、図示の例の係合金具4と固定金具5は、金属板を加工して得ることができるものである。すなわち、金属板に適宜、切取加工、穴あけ加工、折り曲げ加工等の加工を施すことにより、係合金具4と固定金具5とを形成することができ、溶接等の加工や複雑な加工を要することなく、容易な加工で簡単に外壁材取付金具1を作製することができるものである。
【0039】
図3(a)〜(d)は、本発明に係る外壁材取付金具の他の一例を示すものであり、この外壁材取付金具1も、係合金具4と固定金具5とからなる。なお、各固定金具5は図1(c)〜(e)に示すものと同じである。
【0040】
図3(a)に示す係合金具4では、引掛部7の水平片14の長さが外壁材3の厚みと略同一に形成され、引掛部7の引掛片15は、外壁材3の屋外側の面に引っ掛けられる。この場合には、外壁材3の切断面に溝6を形成する作業を省略することができる。図3(b)に示す係合金具4では、引掛部7の引掛片15が先端に向かって幅が狭くなる台形状に鋭利に形成されており、引掛片15は、外壁材3の上部(又は下部)を切断して現れた切断面に突き刺して引っ掛けられる。この場合には、外壁材3の切断面に溝6を形成する作業を省略することができる。図3(c)に示す係合金具4では、引掛部7は、引掛連結片13と、この引掛連結片13の先端から差込部8の側に傾斜させて屋外側に設けられた傾斜片44とからなり、断面略V字状に形成されている。そして引掛部7の傾斜片44は、外壁材3の上部(又は下部)を屋外側に下り傾斜(又は上り傾斜)するように切断して現れた切断面に引っ掛けられるものである。この場合には、外壁材3の切断面に溝6を形成する作業を省略することができると共に、外壁材3の厚みについて特に制限を受けることがない。図3(d)に示す係合金具4では、引掛部7の水平片14の長さが、外壁材3の上部(又は下部)を段差状に切断して現れた引掛突部40の厚みと略同一に形成され、引掛片15は、この引掛突部40の切断面に引っ掛けられる。
【0041】
このように図3(a)〜(d)のような外壁材取付金具においても外壁材3と係合金具4とを強固に係合することができるものである。
【0042】
そして、上記のように形成された外壁材取付金具1を用いて建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けることによって、図15や図16に示すような外壁材取付構造を形成することができる。なお、以下では、図1に示す外壁材取付金具1を用いる場合について説明するが、図3に示す外壁材取付金具1を用いる場合もそれぞれ略同様にすることができる。また開口部55が窓である場合を説明するが、窓以外の開口部55にも同様にして外壁材3を取り付けることができる。
【0043】
まず図23に示すように基礎23の上に土台24を設置し、この土台24の上に複数の柱25を所定間隔をあけて立設する。次に各柱25の屋外側に防水紙26を張設した後、この防水紙26を介して各柱25の屋外側に壁下地2(縦胴縁)を設置する。その後、この壁下地2に下から順に外壁材3を左右隣接させて取り付けていくものである。
【0044】
このとき各外壁材3は、図4に示すように、壁下地2に固定された複数の支持金具27によって支持されているものである。支持金具27は、押さえ片28と支持片29とを設けて形成されており、押さえ片28によって、外壁材3の上部に設けられた被押さえ部30を押さえて、支持金具27より下に位置する外壁材3を固定することができると共に、支持片29によって、外壁材3の下部に設けられた被支持部31を支持して、支持金具27より上に位置する外壁材3を固定することができるものである。なお、各外壁材3において、被押さえ部30の屋外側には切欠部32が形成され、被支持部31の屋外側には突起部33が形成されており、下に位置する外壁材3の切欠部32に、上に位置する外壁材3の突起部33が嵌まり込むことによって、屋外から支持金具27の押さえ片28及び支持片29が見えないようになっている。
【0045】
そして、上記のようにして複数の外壁材3を下から順に取り付けていくと、図4に示すように、やがて窓などの開口部55の下側において通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合、既に取り付けた外壁材3の上側にさらに外壁材3を取り付けようとすると窓枠などの開口枠37が邪魔になるので、開口枠37の下側に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。そこで、このような場合には、図1の外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付けるものである。
【0046】
以下、まず開口部55の下側についての外壁材3の取り付けについて説明する。外壁材3を取り付けるにあたっては、まず外壁材3を加工する。
【0047】
図5に示すように、まず、外壁材3の上部の余分な箇所を切り落とし、外壁材3を所望の形状(図示のものでは凹型)に形成する。なお図5(a)は、壁下地2(縦胴縁)を一つまたぐ幅の開口部55の場合、(b)は、壁下地2(縦胴縁)を三つまたいだ幅広の開口部55の場合を示している。また、図5の矢印は、外壁材3を取り付ける方向を示している。
【0048】
次に、図6(a)(b)に示すように外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6(上溝6a)を形成する。このとき、溝6は外壁材3の壁下地2に重ねられる部分(図5のAで示される部分)に設けられる。この溝6は、適宜の加工工具を用いて施工現場において容易に形成することができるものである。なお、溝6は、外壁材3の切断面の全長にわたって形成してもよいし、図示のように外壁材取付金具1を取り付ける所定箇所のみに形成してもよい。また、溝6の形状は正面視断面略矩形状であってもよく、図示のように正面視断面略半円状であってもよい。
【0049】
外壁材3としては、図6(c)のような中空孔60が内部に複数設けられた外壁材3aや、図6(e)のような中実の外壁材3bを用いることができ、それぞれ切断して切断面を形成した後、図6(d)(f)に示すように溝6を形成することができる。ここで、中空孔60が内部に複数設けられた外壁材3aを用いた場合には、例えば、図6(d)に示すように中空孔60の屋内側の側面を基準として溝6を形成することができる。なお、図6(d)に示す破線は溝6の深さの目安を示している。
【0050】
上記のように加工された外壁材3を取り付けるにあたっては、図7(a)(b)に示すように、まず係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5のガイド部9に上方から差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合する。ただし、この段階では係合金具4の差込部8は固定金具5に完全には差し込まないようにしておく。なぜなら、後で係合金具4に外壁材3を係合しやすくするためである。そして釘、ねじ等の固定具38を用いて図7(c)(d)に示すように固定金具5を壁下地2に固定する。あるいは、先に固定金具5を壁下地2に固定した後、この固定金具5と係合金具4とを係合するようにしてもよい。なお、図7〜9では、取り付けの様子が確認できるように、開口枠37や外壁材3を切断して示すと共に、外壁材3に隠れた外壁材取付金具1を適宜破線により示している。図において、53は防水テープである。
【0051】
次に図7(e)(f)に示すように、ガイド部9のガイド片21の屋外側の面に接着剤56を塗布する。そして、図8(a)(b)に示すように、外壁材3を持ち上げつつ(図の矢印)、外壁材3の切断面に形成した溝6に係合金具4の引掛部7の引掛片15を引っ掛けることによって、この外壁材3と係合金具4とを係合する。
【0052】
次に、図8(c)(d)に示すように、まず外壁材3を押し下げる(図の矢印)。このとき外壁材3の下部は、図4に示すように、通常の外壁材3の取り付けと同様に、外壁材3の被支持部31を支持金具27の支持片29で支持する構造になっている。その後、図8(e)(f)に示すように、係合金具4を押し下げて引掛部7の引掛片15を溝6にしっかりと差し込んで外壁材3を固定すると共に、係合金具4の差込部8を固定金具5に上方から完全に差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合させる(図の矢印)。あるいは、外壁材3と係合金具4を両方同時に押し下げて、外壁材3の被支持部31を支持金具27の上に載せると共に、係合金具4の引掛部7の引掛片15を溝6にしっかりと差し込んで外壁材3を固定するようにしてもよい。
【0053】
このとき、千鳥状に配置された係止部11によって、係合金具4の差し込み位置を微調整することができるので、簡単に強固に係合金具4を外壁材3に係合させることができ、外壁材3の取り付けの作業性が向上するものである。また、揺動防止片22によって、係合金具4の引掛部7が屋内側に揺動するのを防止しているので、係合金具4の引掛片15を簡単に確実に外壁材3の溝6に差し込むことができ、外壁材3の取り付けの作業性を向上させることができるものである。また、取り付けられた係合金具4の揺動防止片22は固定板17に当接しているので、外壁材取付金具1の屋内外方向の強度を向上することができ、強度の高い外壁構造を形成することができるものである。
【0054】
そして最後に、図9(a)(b)に示すようにバックアップ材36を取り付けた後、図9(c)(d)に示すようにシーリング35を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填すると、外壁材取付構造が形成され、開口枠37の下側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0055】
なお、上記の取り付け方法では、係合金具4を固定金具5にあらかじめ少し差し込んでから外壁材3を配設し、その後、係合金具4を完全に差し込んで固定する方法を説明したが、外壁材3の取り付け方法はこれに限られない。例えば、係合金具4と固定金具5とが分離している状態で、係合金具4の引掛片15を外壁材3の溝6に引っ掛けた後、この外壁材3を開口部55の下側に配置して、その後、外壁材3の被支持部31を支持金具27の上に載せると共に、係合金具4を固定金具5に差し込むようにして外壁材3を取り付けてもよい。
【0056】
次に、開口部55の上側についての外壁材3の取り付けについて説明する。
【0057】
図10は、開口部55の上側の外壁材3の取り付けに用いられる受け金具43の一例を示している。この受け金具43は、支え部61及び固定部62が連結片63により連結されて形成されている。固定部61は、開口枠37の上側の壁下地2に固定される固定片42と、この固定片42の下端から屋外側に下り傾斜させて設けられた下り傾斜片49と、この下り傾斜片49の下端から垂下して設けられ、外壁材3の背面に当接される背面当接片50とからなる。固定片42には、釘、ねじ等の固定具38を挿入して開口枠37の上側の壁下地2に固定するための固定孔52が形成されている。また、連結片63は、この背面当接片50の下端から背面当接片50の両端間の長さよりも狭い幅で下側に突出して設けられている。
【0058】
支え部62は、外壁材取付金具1の係合金具4の引掛部7と略同様の形状で形成されている。すなわち、支え部62は、連結片63の下端から下側に連結片63よりも幅広で延出し、先端が三つに分岐する支え背面片64と、この支え背面片64の先端のそれぞれと連結して水平に設けられ、外壁材3の底面に当接される底面当接片51と、この底面当接片51のそれぞれの先端から上向きに突出して設けられた支え片41と、この支え片41のそれぞれの先端から屋外側に向けて傾斜して延出する支え先端片65とを備えて形成されている。底面当接片51は、両端に位置する二つの端底面当接片51bと、中央に位置し、端底面当接片51bよりも幅の狭い中央底面当接片51aとからなる。また、支え片41は、二つの端底面当接片51bのそれぞれと連結する端支え片41bと、中央底面当接片51aと連結する中央支え片41aとからなり、このうち端支え片41bは、支え背面片64と略平行に形成されているのに対し、中央支え片41aは、支え背面片64に向かって傾斜して形成されている。そして、中央支え片41aの先端に配置された中央支え先端片65aは、端支え片41bの先端に配置された端支え先端片65bよりも傾斜が急になるように形成されている。
【0059】
図11は、開口部55の上側の外壁材3の取り付けに用いられる受け金具43の他の一例を示している。この受け金具43は概略上記のものと同じであるが、底面当接片51、支え片41及び支え先端片65がそれぞれ二つで形成されている点で図10のものとは異なっている。以下、図10の受け金具43を用いて説明するが、図11の場合も同様である。
【0060】
そして、開口部55の上側に外壁材3を取り付けるにあたっては、開口部55の下側の場合と同様、図12及び図13に示すように、まず必要に応じて外壁材3の下部の余分な箇所を切り落とし、外壁材3を所望の形状に形成する。次に外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6(下溝6b)を形成する。
【0061】
そして、図14(a)(b)に示すように、釘、ねじ等の固定具38を用いて受け金具43の固定片42を壁下地2に固定する。その後、図14(c)(d)に示すように、背面当接片50の表面に接着剤56を塗布した後、外壁材3の切断面に形成した溝6に受け金具43の支え片41を引っ掛けることによって(図示の矢印)、この外壁材3と受け金具43とを係合する。そして最後に図14(e)(f)に示すようにシーリング35及びバックアップ材36を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填する。このようにして、開口枠37の上側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0062】
上記したような方法により、開口部55の上側及び下側に外壁材3を取り付けることにより図15又は図16のような外壁材取付構造を形成することができる。図15は、バックアップ材36として断面略矩形状のものを用いた例を示し、図16は、バックアップ材36として断面略円形状のものを用いた例を示している。バックアップ材36としては、弾性体で形成されたようなものを適宜用いることができる。なお、図16では、壁下地2が横胴縁となっている。
【0063】
なお、図17及び図18は、開口部55の横側の外壁材取付構造の一例をそれぞれ示している。各図では上側に配設される外壁材3を省略している。開口部55の横側については、上記の支持金具27と略同様の構成の支持金具27を用い、図4と略同様の方法にて、外壁材3を上下に取り付けることができる。開口枠37と外壁材3との間は、ハット型ジョイナー67とシーリング35で充填される。図17は、通常の幅の壁下地2(縦胴縁)を用いた例、図18は幅広の壁下地2(縦胴縁)を用いた例を示している。
【0064】
上記のように本発明によれば、釘、ねじ等の固定具38を直接外壁材3に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材3を壁下地2に取り付けることができると共に、複数の外壁材3を隣接させて壁下地2に取り付けていく場合に、通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が開口部55の上側・下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材3を壁下地2に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【0065】
本発明の外壁材取付金具1は、上下を逆にして開口部55の上側の取り付けにも用いることができる。
【0066】
図20は、外壁材取付金具1が開口部55の下側の取り付けに用いられると共に開口部55の上側の取り付けに用いられて形成された外壁材取付構造の一例である。開口部55の下側の取り付けについては、図5〜9で示す上記の例と同様にして行うことができる。以下、開口部55の上側の外壁材3の取り付けについて説明する。
【0067】
開口部55の上側に外壁材3を取り付けるにあたっては、上記の例と同様、図12及び図13に示すように、まず必要に応じて外壁材3の下部の余分な箇所を切り落とし、外壁材3を所望の形状に形成する。次に外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6(下溝6b)を形成する。
【0068】
外壁材3を取り付けるにあたっては、図19(a)(b)に示すように、係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5のガイド部9に下方から差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合する。そして釘、ねじ等の固定具38を用いて固定金具5を壁下地2に固定する。あるいは、先に固定金具5を壁下地2に固定した後、この固定金具5と係合金具4とを係合するようにしてもよい。このとき、千鳥状に配置された係止部11によって、係合金具4の差し込み位置を微調整することができるので、簡単に強固に係合金具4を外壁材3に係合させることができ、外壁材3の取り付けの作業性が向上するものである。
【0069】
次に図19(c)(d)に示すように、ガイド部9のガイド片21の屋外側の面に接着剤56を塗布し、外壁材3の切断面に形成した溝6に係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、この外壁材3と係合金具4とを係合する。ここで、係合金具4は固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能となっており、差し込み方向と反対の方向には動かないので、係合金具4が外壁材3の重みで滑動するなどして係合が外れることがなく、確実に外壁材3を支持できるものである。
【0070】
そして最後に図19(e)(f)に示すようにシーリング35及びバックアップ材36を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填する。このようにして、開口枠37の上側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0071】
上記したような方法により、開口部55の上側及び下側に外壁材3を取り付けることにより図20のような外壁材取付構造を形成することができる。
【0072】
また、本発明の外壁材取付金具1は、軒天井34の下側の取り付けにも用いることができる。
【0073】
図22は、外壁材取付金具1が軒天井34の下側の取り付けに用いられて形成された外壁材取付構造の一例である。この外壁材取付構造も、上記の例と同様にして外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付けて形成することができる。以下、軒天井34の下側の取り付けについて説明する。
【0074】
建築物に複数の外壁材3を下から順に取り付けていくと、図4の場合と略同様に、軒天井34の下側において通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合も、軒天井34の下側に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。そこで、このような場合には、図1の外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付ける。
【0075】
外壁材3を取り付けるにあたっては、図6の例と同様に、まず外壁材3を加工する。すなわち、まず、外壁材3の上部の余分な箇所を切り落とし、次に、図6(a)(b)に示すように外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6(上溝6a)を形成する。
【0076】
そして、上記のように加工された外壁材3を取り付けるにあたっては、図21(a)(b)に示すように、まず係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5のガイド部9に上方から差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合し、さらに釘、ねじ等の固定具38を用いて固定金具5を壁下地2に固定する。ただし、この段階では係合金具4の差込部8は固定金具5に完全には差し込まないようにしておく。なお、図21(b)(d)(f)では、取り付けの様子が確認できるように、軒天井34を省略すると共に外壁材3を切断して示している。
【0077】
次に図21(c)(d)に示すように、ガイド部9のガイド片21の屋外側の面に接着剤56を塗布し、外壁材3を持ち上げつつ外壁材3の切断面に形成した溝6に係合金具4の引掛部7を引っ掛けた後、外壁材3と係合金具4とを順に押し下げる。このとき、引掛部7を溝6にしっかりと差し込んで外壁材3を固定すると共に、係合金具4の差込部8を固定金具5に上方から完全に差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合させる(図の矢印)。なお、外壁材3の下部は、図4に示すように、通常の外壁材3の取り付けと同様に、外壁材3の被支持部31を支持金具27の支持片29で支持する構造になっている。
【0078】
そして最後に、図21(e)(f)に示すようにバックアップ材36とシーリング35を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填すると、外壁材取付構造が形成され、軒天井34の下側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0079】
上記したような方法により、軒天井34の下側に外壁材3を取り付けることにより図22のような外壁材取付構造を形成することができる。
【0080】
このように本発明の外壁材取付金具1によれば、簡単に強固に外壁材3を壁下地2に取り付けることができるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 外壁材取付金具
2 壁下地
3 外壁材
4 係合金具
5 固定金具
6 溝
7 引掛部
8 差込部
9 ガイド部
10 係止片
11 係止部
16 差込部の端部
17 固定板
18 固定板の端部
22 揺動防止片
41 支え片
42 固定片
43 受け金具
55 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁下地に外壁材を取り付けるために用いられる外壁材取付金具及びこの外壁材取付金具を用いて建築物の壁下地に外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの建築物の外壁材3は図23や図24に示すように取り付けられている。具体的には、まず図23に示すように基礎23の上に土台24を設置し、この土台24の上に複数の柱25を所定間隔をあけて立設する。次に各柱25の屋外側に防水紙26を張設した後、この防水紙26を介して各柱25の屋外側に壁下地2(縦胴縁)を設置する。その後、この壁下地2に下から順に外壁材3を左右隣接させて取り付けていくものであるが、このとき各外壁材3は壁下地2に固定された複数の支持金具(図示省略)によって支持されているものである。
【0003】
このような取り付けにあたって、外壁材3は、窓などの開口部55を形成する箇所を避けて取り付けられるが、外壁材3を窓枠などの開口枠37の側端部に近接させて取り付けることができるようにしたサイディング取付金具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして特に特許文献1に記載のサイディング(外壁材3)の上部及び下部にはサイディング取付金具が使用できるようにあらかじめ上サネ及び下サネが設けられている。
【0004】
しかし、開口枠37の下縁の高さと外壁材3の上縁の高さが一致するのは稀であり、通常は図23や図24に示すように両者の高さは一致しない。これは、開口枠37の上縁の高さと外壁材3の下縁の高さについても同様である。そのため、開口枠37の下側又は上側に通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合、既に取り付けた外壁材3の上又は下にさらに外壁材3を取り付けようとすると開口部55の一部を塞いでしまうことになるので、開口枠37の下部又は上部に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。
【0005】
そこで、このような場合には、図25に示すように、外壁材3の上部又は下部の余分な箇所を切り落とし、所望の大きさに形成した外壁材3を釘、ねじ等の固定具38を用いて壁下地2に取り付けることによって、開口枠37の下側又は上側に残った領域を覆い隠すようにしている。この場合、外壁材3を所望の大きさに形成するために上サネ又は下サネを余分な箇所として切り落としてしまっているので、特許文献1に記載されているような従来のサイディング取付金具は使用することができなくなり、上記のように釘、ねじ等の固定具38を使用せざるを得なくなるものである。
【0006】
しかし、図25に示す場合にあっては、釘、ねじ等の固定具38を直接外壁材3に打ち込んだりねじ込んだりしているので、外観が悪くなるおそれがある。なお、図25において、39はスペーサーであって、外壁材3と壁下地2(横胴縁)との間の隙間を確保するためのものであり、また35及び36はそれぞれシーリング及びバックアップ材であって、外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填するためのものである。
【0007】
ところで、複数の外壁材3を下から順に取り付けていくと、やがて軒天井34の下側において通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合、既に取り付けた外壁材3の上にさらに外壁材3を取り付けようとすると軒天井34が邪魔になるので、軒天井34の下側に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。
【0008】
そこで、このような場合には、図26に示すように、外壁材3の上部の余分な箇所を切り落とし、所望の大きさに形成した外壁材3を釘、ねじ等の固定具38を用いて壁下地2に取り付けることによって、軒天井34の下側に残った領域を覆い隠すようにしている。
【0009】
しかし、図26に示す場合にあっても、図25に示す場合と同様に、釘、ねじ等の固定具38を直接外壁材3に打ち込んだりねじ込んだりしているので、外観が悪くなるおそれがある。なお、図26において、39はスペーサーであって、外壁材3と壁下地2との間の隙間を確保するためのものであり、また35及び36はそれぞれシーリング及びバックアップ材であって、外壁材3と軒天井34との間の隙間を充填するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−217972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側や軒天井の下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができる外壁材取付金具及び外壁材取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る外壁材取付金具は、建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けるために用いられる外壁材取付金具1であって、前記外壁材取付金具1は、前記外壁材3と係合される係合金具4と、前記壁下地2に固定され、前記係合金具4と係合される固定金具5とからなり、前記係合金具4は、前記外壁材3の上部又は下部を切断して現れた切断面に引っ掛けて係合するための引掛部7と、前記固定金具5と係合するための係止片10と、前記固定金具5に差し込まれる差込部8とを設けて形成されていると共に、前記固定金具5は、前記係止片10と係合するための複数の係止部11を前記係合金具4の差し込み方向に並べて設けた固定板17と、前記固定板17の両端部18に平面視コ字型で形成されて前記差込部8の両端部16を挿入することにより前記差込部8が差し込まれるのをガイドするガイド部9とで形成されており、前記係合金具4は、前記係止片10と前記係止部11の係止により前記固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能としたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記複数の係止部11は、各係止部11が前記係合金具4の差し込み方向に千鳥状に配列されていると共に、前記係止片10は、差し込み方向と垂直な方向の前記係止部11の位置に対応して二つ以上形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記係合金具4は、先端が前記固定板17に当接することにより前記係合金具4が前記固定板17に向かって揺動するのを防止する揺動防止片22を設けて形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に係る外壁材取付構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具1を用いて建築物の開口部55の下側の壁下地2に外壁材3を取り付けると共に、支え片41及び固定片42を設けて形成された受け金具43を用いて前記開口部55の上側の壁下地2に他の外壁材3を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記開口部55の下側に取り付けられる外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に前記係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、前記固定金具5が前記開口部55の下側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていると共に、前記開口部55の上側に取り付けられる前記他の外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に前記受け金具43の支え片41を引っ掛けることによって、前記他の外壁材3と前記受け金具43とが係合されており、前記受け金具43の固定片42が前記開口部55の上側の壁下地2に固定されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に係る外壁材取付構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて外壁材3を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記外壁材取付金具1を用いて建築物の開口部55の下側の壁下地2に外壁材3を取り付けると共に、前記外壁材取付金具1とは別の他の外壁材取付金具1を用いて前記開口部55の上側の壁下地2に他の外壁材3を取り付けることによって外壁材取付構造を形成しており、前記開口部55の下側に取り付けられる外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に一方の前記外壁材取付金具1の係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、一方の前記外壁材取付金具1の固定金具5が前記開口部55の下側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていると共に、前記開口部55の上側に取り付けられる前記他の外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に他方の前記外壁材取付金具1の係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記他の外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、他方の前記外壁材取付金具1の固定金具5が前記開口部55の上側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に係る外壁材取付構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具1を用いて建築物の軒天井34の下側の壁下地2に外壁材3を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記軒天井34の下側に取り付けられる外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6が形成され、前記溝6に前記係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、前記外壁材3と前記係合金具4とが係合されており、前記固定金具5が前記軒天井34の下側の壁下地2に固定され、前記係合金具4の差込部8を前記固定金具5に差し込んで前記係止片10と前記係止部11とを係合することによって、前記係合金具4と前記固定金具5とが係合されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に係る外壁材取付金具によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側や軒天井の下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。また、係合金具が固定金具に対して差し込み方向にのみ可動可能となっているので、係合金具が固定金具に対して抜ける方向に動いて引掛部と外壁材との係合が外れるのを防ぐことができ、外壁材を強固に支持して取り付けることができるものである。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、係止部が横方向に並ばないことにより固定板に応力が集中するのを防止して固定板の剛性を高めることができると共に、千鳥状に配置された係止部に順次係止片を係止することにより係合金具の差し込み位置を微調整することができ、外壁材の取り付けの作業性を向上させることができるものである。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、揺動防止片で係合金具を支えて係合金具が固定板に向かって揺動するのを防止することにより、係合金具で外壁材を簡単で確実に引っ掛けることができ、外壁材の取り付けの作業性を向上させることができるものである。また、揺動防止片が固定板に当接しているので外壁材取付金具の強度を向上することができ、強度の高い外壁材取付構造を形成することができるものである。
【0021】
本発明の請求項4に係る外壁材取付構造によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【0022】
本発明の請求項5に係る外壁材取付構造によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が開口部の上側・下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【0023】
本発明の請求項6に係る外壁材取付構造によれば、釘、ねじ等の固定具を直接外壁材に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材を壁下地に取り付けることができると共に、複数の外壁材を隣接させて壁下地に取り付けていく場合に、通常の外壁材の大きさよりも小さな領域が軒天井の下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材を壁下地に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す図であり、(a)係合金具の正面図、(b)係合金具の側面図、(c)固定金具の正面図、(d)固定金具のX−X断面図、(e)固定金具の平面図、(f)外壁材取付金具の正面図を示している。
【図2】同上の一例を示し、(a)係合金具の斜視図、(b)固定金具の斜視図、(c)外壁材取付金具の斜視図、(d)外壁材取付構造の断面図を示している。
【図3】本発明の実施の形態の他の一例を示す図であり、(a)〜(d)は外壁材取付構造の断面図を示している。
【図4】外壁材を取り付ける様子の一例を示した概略断面図である。
【図5】外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図である。
【図6】外壁材を取り付ける際に溝を形成する様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図、(c)〜(f)は断面図である。
【図7】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図8】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図9】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)は概略断面図、(b)(d)は斜視図である。
【図10】受け金具の一例を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図11】受け金具の他の一例を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図12】外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図である。
【図13】外壁材を取り付ける際に溝を形成する様子の一例を示した図であり、(a)(b)は斜視図、(c)〜(f)は断面図である。
【図14】受け金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図15】本発明の外壁取付構造の実施の形態の一例を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図16】本発明の外壁取付構造の実施の形態の他の一例を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図17】開口部の横側の外壁材取付構造の一例を示した図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図18】開口部の横側の外壁材取付構造の他の一例を示した図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図19】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図20】本発明の外壁取付構造の実施の形態の他の一例を示す図であり、(a)は概略断面図、(b)は斜視図である。
【図21】外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付ける様子の一例を示した図であり、(a)(c)(e)は概略断面図、(b)(d)(f)は斜視図である。
【図22】本発明の外壁取付構造の実施の形態の他の一例を示す概略断面図である。
【図23】建築物の分解斜視図である。
【図24】建築物の正面図である。
【図25】従来の外壁材取付構造の一例を示す概略断面図である。
【図26】従来の外壁材取付構造の他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1及び図2は本発明に係る外壁材取付金具の一例を示すものであり、これは、建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けるために用いられるものである。そしてこの外壁材取付金具1は、係合金具4と固定金具5とからなる。
【0027】
係合金具4は、外壁材3と係合されるものであって、図1(a)(b)、図2(a)に示すように、矩形板状の差込部8と引掛部7とを設けて形成されており、差込部8と引掛部7とは、差込部8の上端略中央部から突出して設けられ、引掛部7及び差込部8よりも両端間の長さが短くなるように括れて形成された括れ部12で連結されている。
【0028】
引掛部7は、下端が括れ部12の上端と連結すると共に上端が三つの片に分岐する板状の引掛連結片13と、この引掛連結片13の三つの先端のそれぞれから屋外側に向けて水平に設けられた水平片14と、この水平片14のそれぞれの先端から垂下して引掛連結片13と向き合うように設けられた引掛片15と、この引掛片15のそれぞれの先端から屋外側に傾斜して延伸して形成された引掛先端片45とからなり、全体として側面視略コ字状に形成されている。水平片14は、両端に位置する二つの端水平片14bと、中央に位置し、端水平片14bよりも幅の狭い中央水平片14aとからなる。また、引掛片15は、二つの端水平片14bのそれぞれと連結する端引掛片15bと、中央水平片14aと連結する中央引掛片15aとからなり、このうち端引掛片15bは、引掛連結片13と略平行に形成されているのに対し、中央引掛片15aは、引掛連結片13に向かって傾斜して形成されている。そして、中央引掛片15aの先端に配置された中央引掛先端片45aは、端引掛片15bの先端に配置された端先端引掛片45bよりも傾斜が急になるように形成されている。
【0029】
係合金具4の差込部8は、その両端部16が固定金具5に設けられたガイド部9に挿入されることにより固定金具5に差し込まれるものである。差込部8の中央には、固定金具5と係合さるための係止片10が設けられており、図示の例では、係止片10は、差込部8から屋内側かつ上側に斜め方向に突出するように二つ形成され、差し込み方向と垂直な方向に並んで配置されている。この係止片10は、固定板5に設けられた係止部11と係合するように、係合金具4の差し込み方向と垂直な方向における係止部11の位置に対応して設けられるものである。図示の固定金具5の例では、係止部11が差し込み方向に沿って二列に並んで配置しており、この係止部11の位置に対応して二つの係止片10が設けられている。なお、係止片10は、係止部11と係合できるように係止部11の位置に対応して設けられていればよく、係止部11の配置が三列以上である場合は、係止片10は三つ以上にすることもできる。また、幅広の係止片10を一つ設けて、複数列の係止部11と係合するようにしてもよい。
【0030】
図示の例では、さらに差込部8には、差込部8から屋内側かつ上側に斜め方向に突出して形成された揺動防止片22が設けられている。揺動防止片22は、その先端が固定板17に当接するように形成されており、それにより係合金具4が固定板17に向かって揺動するのを防止している。
【0031】
固定金具5は、壁下地2に固定され、係合金具4と係合されるものであって、図1(c)〜(e)、図2(b)に示すように、矩形板状の固定板17の両端部18にそれぞれガイド部9を設けて形成されている。固定板17には、釘、ねじ等の固定具38を挿入して壁下地2に固定するための開孔19が形成されている。また各ガイド部9は、固定板17の両端部18と、この両端部18の両側縁から屋外側に延出された延出片20と、この延出片20の先端から両端部18と向き合うように設けられたガイド片21とからなり、それぞれ平面視コ字型に形成されている。各ガイド部9において固定板17の両端部18とガイド片21との間の間隔は、係合金具4の差込部8の厚みよりも大きくなっており、また各ガイド部9の延出片20間の長さは、係合金具4の差込部8の両側縁間の長さと略同一である。
【0032】
固定板17には、係合金具4と係合するための係止部11が、固定板17を切り起して設けられており、図示の例では、係止部11は、屋外側かつ下側に斜め方向に突出するように形成されている。さらに図示の例では、係止部11は、差し込み方向に沿って二列に並んで配置されると共に、各係止部11は差し込み方向に千鳥状に配列されている。すなわち、一の列の各係止部11と他の列の各係止部11は横方向(差し込み方向と垂直な方向)において重なることなく配置されており、全体として差し込み方向にジグザク状に配列している。より詳しくは、各列の各係止部11は等間隔のピッチでそれぞれ配置されると共に、一の列の各係止部11と他の列の各係止部11とは、差し込み方向に半ピッチ分ずれて配置されている。このように、係止部11が千鳥状に配置されることにより、一の列の係止部11と他の列の係止部11とは横方向に並ぶことがなく、固定板17に応力が集中するのを防止して固定板17の剛性を高めることができるものである。また、係合金具4を固定金具5に差し込んだ際に、半ピッチ分ずれた係止部11に二つの係止片10の一方が順次に交互に係止して係合するので、係合金具4の差し込み位置を微調整することができるものである。なお、係止部11の配置として二列に並んだ例を示したが、これに限らず、係止部11は三列以上に配置されていてもよい。
【0033】
また、固定板17の中央の係合金具4が差し込まれて揺動防止片22が当接される部分にはライン刻印部46が形成されている。ライン刻印部46は、固定板17の表面を粗化して設けられるものであり、図示の例では、固定板17の表面が差し込み方向と垂直な方向で複数の直線状に削られて形成されている。このようにライン刻印部46が形成されることにより、揺動防止片22が当接した際に、この揺動防止片22の先端がライン刻印部46に引っ掛かって揺動防止片22が固定板17上を滑るのを防止することができるので、確実に固定板17を支持して係合金具4の揺動を防止することができるものである。
【0034】
そして、図2の矢印で示すように、固定金具5の上方から係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5の両端部18に設けられたガイド部9に挿入し、係合金具4の係止片10と固定金具5の係止部11とを係合させることによって、図1(f)及び図2(c)に示すように、係合金具4と固定金具5を係合することができる。このとき、係合金具4の係止片10が上向きに突出して形成され、固定金具5の係止部11が下向きに突出して形成されているので、両者が噛み合うことによって、係合金具4は、係止片10と係止部11の係止により固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能となっており、係合金具4が固定金具5に対して抜ける方向に動いて引掛部7と外装材3との係合が外れるのを防ぐことができるものであり、係合金具4と固定金具5との係合が強固になると共に、係合金具4が差し込み方向と逆の方向に動いて不用意に解除されるのを防止して、外壁材3を強固に支持して取り付けることができるものである。
【0035】
図2(d)は、上記の外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付けた構造の一例を示している。図示の例では、係合金具4に設けられた引掛部7の引掛片15は、外壁材3の上部(又は下部)を切断して現れた切断面に形成された溝6に引っ掛けられており、このように溝6に係合金具4が引っ掛けられることにより外壁材3と係合金具4とを強固に係合することができるものである。また、中央引掛片15aが端引掛片15bよりも引掛連結片13に向かって傾斜して形成されると共に、各引掛片15の先端に屋外側に傾斜された引掛先端片45が形成されているので、外壁材3に形成する溝6の厚み方向の位置に誤差が生じたりして溝6と引掛片15とに位置ずれが起った場合でも、中央引掛片15aが溝6の切断面に当接するなどしてこの厚みの誤差を吸収し、確実に引掛片15を溝6に差し込んで引っ掛けて外壁材3を支持することができるものである。なお、図2(d)において56は接着剤を表している。
【0036】
また、係合金具4の引掛部7と差込部8とは、この両者よりも幅の狭い括れ部12により連結されており、それにより、係合金具4を固定金具5に差し込んで外壁材3を取り付けた際に、引掛部7が屋外方向にわずかに屈曲することができ、固定金具5のガイド片21の厚みにより屋内方向に押される力を緩和して外壁材3を精度よく引っ掛けることが可能になるものである。また、揺動防止片22の先端が固定板17に当接して固定板17を支持しているので、係合金具4と固定金具5とが強固に固定されて外壁材取付金具1の強度を向上することができ、強度の高い外壁材取付構造を形成することができるものである。
【0037】
なおこのように、通常、係合金具4の係止片10と固定金具5の係止部11とは、一旦差し込まれた係合金具4の差込部8を引き抜いて係合を解除することができないように形成されているが、外壁材3を取り替える場合には、適宜の治具を用いて係合を解除することができるようになっている。
【0038】
ところで、図示の例の係合金具4と固定金具5は、金属板を加工して得ることができるものである。すなわち、金属板に適宜、切取加工、穴あけ加工、折り曲げ加工等の加工を施すことにより、係合金具4と固定金具5とを形成することができ、溶接等の加工や複雑な加工を要することなく、容易な加工で簡単に外壁材取付金具1を作製することができるものである。
【0039】
図3(a)〜(d)は、本発明に係る外壁材取付金具の他の一例を示すものであり、この外壁材取付金具1も、係合金具4と固定金具5とからなる。なお、各固定金具5は図1(c)〜(e)に示すものと同じである。
【0040】
図3(a)に示す係合金具4では、引掛部7の水平片14の長さが外壁材3の厚みと略同一に形成され、引掛部7の引掛片15は、外壁材3の屋外側の面に引っ掛けられる。この場合には、外壁材3の切断面に溝6を形成する作業を省略することができる。図3(b)に示す係合金具4では、引掛部7の引掛片15が先端に向かって幅が狭くなる台形状に鋭利に形成されており、引掛片15は、外壁材3の上部(又は下部)を切断して現れた切断面に突き刺して引っ掛けられる。この場合には、外壁材3の切断面に溝6を形成する作業を省略することができる。図3(c)に示す係合金具4では、引掛部7は、引掛連結片13と、この引掛連結片13の先端から差込部8の側に傾斜させて屋外側に設けられた傾斜片44とからなり、断面略V字状に形成されている。そして引掛部7の傾斜片44は、外壁材3の上部(又は下部)を屋外側に下り傾斜(又は上り傾斜)するように切断して現れた切断面に引っ掛けられるものである。この場合には、外壁材3の切断面に溝6を形成する作業を省略することができると共に、外壁材3の厚みについて特に制限を受けることがない。図3(d)に示す係合金具4では、引掛部7の水平片14の長さが、外壁材3の上部(又は下部)を段差状に切断して現れた引掛突部40の厚みと略同一に形成され、引掛片15は、この引掛突部40の切断面に引っ掛けられる。
【0041】
このように図3(a)〜(d)のような外壁材取付金具においても外壁材3と係合金具4とを強固に係合することができるものである。
【0042】
そして、上記のように形成された外壁材取付金具1を用いて建築物の壁下地2に外壁材3を取り付けることによって、図15や図16に示すような外壁材取付構造を形成することができる。なお、以下では、図1に示す外壁材取付金具1を用いる場合について説明するが、図3に示す外壁材取付金具1を用いる場合もそれぞれ略同様にすることができる。また開口部55が窓である場合を説明するが、窓以外の開口部55にも同様にして外壁材3を取り付けることができる。
【0043】
まず図23に示すように基礎23の上に土台24を設置し、この土台24の上に複数の柱25を所定間隔をあけて立設する。次に各柱25の屋外側に防水紙26を張設した後、この防水紙26を介して各柱25の屋外側に壁下地2(縦胴縁)を設置する。その後、この壁下地2に下から順に外壁材3を左右隣接させて取り付けていくものである。
【0044】
このとき各外壁材3は、図4に示すように、壁下地2に固定された複数の支持金具27によって支持されているものである。支持金具27は、押さえ片28と支持片29とを設けて形成されており、押さえ片28によって、外壁材3の上部に設けられた被押さえ部30を押さえて、支持金具27より下に位置する外壁材3を固定することができると共に、支持片29によって、外壁材3の下部に設けられた被支持部31を支持して、支持金具27より上に位置する外壁材3を固定することができるものである。なお、各外壁材3において、被押さえ部30の屋外側には切欠部32が形成され、被支持部31の屋外側には突起部33が形成されており、下に位置する外壁材3の切欠部32に、上に位置する外壁材3の突起部33が嵌まり込むことによって、屋外から支持金具27の押さえ片28及び支持片29が見えないようになっている。
【0045】
そして、上記のようにして複数の外壁材3を下から順に取り付けていくと、図4に示すように、やがて窓などの開口部55の下側において通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合、既に取り付けた外壁材3の上側にさらに外壁材3を取り付けようとすると窓枠などの開口枠37が邪魔になるので、開口枠37の下側に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。そこで、このような場合には、図1の外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付けるものである。
【0046】
以下、まず開口部55の下側についての外壁材3の取り付けについて説明する。外壁材3を取り付けるにあたっては、まず外壁材3を加工する。
【0047】
図5に示すように、まず、外壁材3の上部の余分な箇所を切り落とし、外壁材3を所望の形状(図示のものでは凹型)に形成する。なお図5(a)は、壁下地2(縦胴縁)を一つまたぐ幅の開口部55の場合、(b)は、壁下地2(縦胴縁)を三つまたいだ幅広の開口部55の場合を示している。また、図5の矢印は、外壁材3を取り付ける方向を示している。
【0048】
次に、図6(a)(b)に示すように外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6(上溝6a)を形成する。このとき、溝6は外壁材3の壁下地2に重ねられる部分(図5のAで示される部分)に設けられる。この溝6は、適宜の加工工具を用いて施工現場において容易に形成することができるものである。なお、溝6は、外壁材3の切断面の全長にわたって形成してもよいし、図示のように外壁材取付金具1を取り付ける所定箇所のみに形成してもよい。また、溝6の形状は正面視断面略矩形状であってもよく、図示のように正面視断面略半円状であってもよい。
【0049】
外壁材3としては、図6(c)のような中空孔60が内部に複数設けられた外壁材3aや、図6(e)のような中実の外壁材3bを用いることができ、それぞれ切断して切断面を形成した後、図6(d)(f)に示すように溝6を形成することができる。ここで、中空孔60が内部に複数設けられた外壁材3aを用いた場合には、例えば、図6(d)に示すように中空孔60の屋内側の側面を基準として溝6を形成することができる。なお、図6(d)に示す破線は溝6の深さの目安を示している。
【0050】
上記のように加工された外壁材3を取り付けるにあたっては、図7(a)(b)に示すように、まず係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5のガイド部9に上方から差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合する。ただし、この段階では係合金具4の差込部8は固定金具5に完全には差し込まないようにしておく。なぜなら、後で係合金具4に外壁材3を係合しやすくするためである。そして釘、ねじ等の固定具38を用いて図7(c)(d)に示すように固定金具5を壁下地2に固定する。あるいは、先に固定金具5を壁下地2に固定した後、この固定金具5と係合金具4とを係合するようにしてもよい。なお、図7〜9では、取り付けの様子が確認できるように、開口枠37や外壁材3を切断して示すと共に、外壁材3に隠れた外壁材取付金具1を適宜破線により示している。図において、53は防水テープである。
【0051】
次に図7(e)(f)に示すように、ガイド部9のガイド片21の屋外側の面に接着剤56を塗布する。そして、図8(a)(b)に示すように、外壁材3を持ち上げつつ(図の矢印)、外壁材3の切断面に形成した溝6に係合金具4の引掛部7の引掛片15を引っ掛けることによって、この外壁材3と係合金具4とを係合する。
【0052】
次に、図8(c)(d)に示すように、まず外壁材3を押し下げる(図の矢印)。このとき外壁材3の下部は、図4に示すように、通常の外壁材3の取り付けと同様に、外壁材3の被支持部31を支持金具27の支持片29で支持する構造になっている。その後、図8(e)(f)に示すように、係合金具4を押し下げて引掛部7の引掛片15を溝6にしっかりと差し込んで外壁材3を固定すると共に、係合金具4の差込部8を固定金具5に上方から完全に差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合させる(図の矢印)。あるいは、外壁材3と係合金具4を両方同時に押し下げて、外壁材3の被支持部31を支持金具27の上に載せると共に、係合金具4の引掛部7の引掛片15を溝6にしっかりと差し込んで外壁材3を固定するようにしてもよい。
【0053】
このとき、千鳥状に配置された係止部11によって、係合金具4の差し込み位置を微調整することができるので、簡単に強固に係合金具4を外壁材3に係合させることができ、外壁材3の取り付けの作業性が向上するものである。また、揺動防止片22によって、係合金具4の引掛部7が屋内側に揺動するのを防止しているので、係合金具4の引掛片15を簡単に確実に外壁材3の溝6に差し込むことができ、外壁材3の取り付けの作業性を向上させることができるものである。また、取り付けられた係合金具4の揺動防止片22は固定板17に当接しているので、外壁材取付金具1の屋内外方向の強度を向上することができ、強度の高い外壁構造を形成することができるものである。
【0054】
そして最後に、図9(a)(b)に示すようにバックアップ材36を取り付けた後、図9(c)(d)に示すようにシーリング35を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填すると、外壁材取付構造が形成され、開口枠37の下側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0055】
なお、上記の取り付け方法では、係合金具4を固定金具5にあらかじめ少し差し込んでから外壁材3を配設し、その後、係合金具4を完全に差し込んで固定する方法を説明したが、外壁材3の取り付け方法はこれに限られない。例えば、係合金具4と固定金具5とが分離している状態で、係合金具4の引掛片15を外壁材3の溝6に引っ掛けた後、この外壁材3を開口部55の下側に配置して、その後、外壁材3の被支持部31を支持金具27の上に載せると共に、係合金具4を固定金具5に差し込むようにして外壁材3を取り付けてもよい。
【0056】
次に、開口部55の上側についての外壁材3の取り付けについて説明する。
【0057】
図10は、開口部55の上側の外壁材3の取り付けに用いられる受け金具43の一例を示している。この受け金具43は、支え部61及び固定部62が連結片63により連結されて形成されている。固定部61は、開口枠37の上側の壁下地2に固定される固定片42と、この固定片42の下端から屋外側に下り傾斜させて設けられた下り傾斜片49と、この下り傾斜片49の下端から垂下して設けられ、外壁材3の背面に当接される背面当接片50とからなる。固定片42には、釘、ねじ等の固定具38を挿入して開口枠37の上側の壁下地2に固定するための固定孔52が形成されている。また、連結片63は、この背面当接片50の下端から背面当接片50の両端間の長さよりも狭い幅で下側に突出して設けられている。
【0058】
支え部62は、外壁材取付金具1の係合金具4の引掛部7と略同様の形状で形成されている。すなわち、支え部62は、連結片63の下端から下側に連結片63よりも幅広で延出し、先端が三つに分岐する支え背面片64と、この支え背面片64の先端のそれぞれと連結して水平に設けられ、外壁材3の底面に当接される底面当接片51と、この底面当接片51のそれぞれの先端から上向きに突出して設けられた支え片41と、この支え片41のそれぞれの先端から屋外側に向けて傾斜して延出する支え先端片65とを備えて形成されている。底面当接片51は、両端に位置する二つの端底面当接片51bと、中央に位置し、端底面当接片51bよりも幅の狭い中央底面当接片51aとからなる。また、支え片41は、二つの端底面当接片51bのそれぞれと連結する端支え片41bと、中央底面当接片51aと連結する中央支え片41aとからなり、このうち端支え片41bは、支え背面片64と略平行に形成されているのに対し、中央支え片41aは、支え背面片64に向かって傾斜して形成されている。そして、中央支え片41aの先端に配置された中央支え先端片65aは、端支え片41bの先端に配置された端支え先端片65bよりも傾斜が急になるように形成されている。
【0059】
図11は、開口部55の上側の外壁材3の取り付けに用いられる受け金具43の他の一例を示している。この受け金具43は概略上記のものと同じであるが、底面当接片51、支え片41及び支え先端片65がそれぞれ二つで形成されている点で図10のものとは異なっている。以下、図10の受け金具43を用いて説明するが、図11の場合も同様である。
【0060】
そして、開口部55の上側に外壁材3を取り付けるにあたっては、開口部55の下側の場合と同様、図12及び図13に示すように、まず必要に応じて外壁材3の下部の余分な箇所を切り落とし、外壁材3を所望の形状に形成する。次に外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6(下溝6b)を形成する。
【0061】
そして、図14(a)(b)に示すように、釘、ねじ等の固定具38を用いて受け金具43の固定片42を壁下地2に固定する。その後、図14(c)(d)に示すように、背面当接片50の表面に接着剤56を塗布した後、外壁材3の切断面に形成した溝6に受け金具43の支え片41を引っ掛けることによって(図示の矢印)、この外壁材3と受け金具43とを係合する。そして最後に図14(e)(f)に示すようにシーリング35及びバックアップ材36を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填する。このようにして、開口枠37の上側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0062】
上記したような方法により、開口部55の上側及び下側に外壁材3を取り付けることにより図15又は図16のような外壁材取付構造を形成することができる。図15は、バックアップ材36として断面略矩形状のものを用いた例を示し、図16は、バックアップ材36として断面略円形状のものを用いた例を示している。バックアップ材36としては、弾性体で形成されたようなものを適宜用いることができる。なお、図16では、壁下地2が横胴縁となっている。
【0063】
なお、図17及び図18は、開口部55の横側の外壁材取付構造の一例をそれぞれ示している。各図では上側に配設される外壁材3を省略している。開口部55の横側については、上記の支持金具27と略同様の構成の支持金具27を用い、図4と略同様の方法にて、外壁材3を上下に取り付けることができる。開口枠37と外壁材3との間は、ハット型ジョイナー67とシーリング35で充填される。図17は、通常の幅の壁下地2(縦胴縁)を用いた例、図18は幅広の壁下地2(縦胴縁)を用いた例を示している。
【0064】
上記のように本発明によれば、釘、ねじ等の固定具38を直接外壁材3に打ち込んだりねじ込んだりすることなく外壁材3を壁下地2に取り付けることができると共に、複数の外壁材3を隣接させて壁下地2に取り付けていく場合に、通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が開口部55の上側・下側に残ってしまったとしても、所望の大きさに切断した外壁材3を壁下地2に取り付けることによって前記領域を覆い隠して無くすことができるものである。
【0065】
本発明の外壁材取付金具1は、上下を逆にして開口部55の上側の取り付けにも用いることができる。
【0066】
図20は、外壁材取付金具1が開口部55の下側の取り付けに用いられると共に開口部55の上側の取り付けに用いられて形成された外壁材取付構造の一例である。開口部55の下側の取り付けについては、図5〜9で示す上記の例と同様にして行うことができる。以下、開口部55の上側の外壁材3の取り付けについて説明する。
【0067】
開口部55の上側に外壁材3を取り付けるにあたっては、上記の例と同様、図12及び図13に示すように、まず必要に応じて外壁材3の下部の余分な箇所を切り落とし、外壁材3を所望の形状に形成する。次に外壁材3の下部を切断して現れた切断面に溝6(下溝6b)を形成する。
【0068】
外壁材3を取り付けるにあたっては、図19(a)(b)に示すように、係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5のガイド部9に下方から差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合する。そして釘、ねじ等の固定具38を用いて固定金具5を壁下地2に固定する。あるいは、先に固定金具5を壁下地2に固定した後、この固定金具5と係合金具4とを係合するようにしてもよい。このとき、千鳥状に配置された係止部11によって、係合金具4の差し込み位置を微調整することができるので、簡単に強固に係合金具4を外壁材3に係合させることができ、外壁材3の取り付けの作業性が向上するものである。
【0069】
次に図19(c)(d)に示すように、ガイド部9のガイド片21の屋外側の面に接着剤56を塗布し、外壁材3の切断面に形成した溝6に係合金具4の引掛部7を引っ掛けることによって、この外壁材3と係合金具4とを係合する。ここで、係合金具4は固定金具5に対して差し込み方向にのみ可動可能となっており、差し込み方向と反対の方向には動かないので、係合金具4が外壁材3の重みで滑動するなどして係合が外れることがなく、確実に外壁材3を支持できるものである。
【0070】
そして最後に図19(e)(f)に示すようにシーリング35及びバックアップ材36を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填する。このようにして、開口枠37の上側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0071】
上記したような方法により、開口部55の上側及び下側に外壁材3を取り付けることにより図20のような外壁材取付構造を形成することができる。
【0072】
また、本発明の外壁材取付金具1は、軒天井34の下側の取り付けにも用いることができる。
【0073】
図22は、外壁材取付金具1が軒天井34の下側の取り付けに用いられて形成された外壁材取付構造の一例である。この外壁材取付構造も、上記の例と同様にして外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付けて形成することができる。以下、軒天井34の下側の取り付けについて説明する。
【0074】
建築物に複数の外壁材3を下から順に取り付けていくと、図4の場合と略同様に、軒天井34の下側において通常の外壁材3の大きさよりも小さな領域が残ってしまう場合がある。この場合も、軒天井34の下側に残った領域は通常の外壁材3のままでは覆い隠すことができない。そこで、このような場合には、図1の外壁材取付金具1を用いて外壁材3を取り付ける。
【0075】
外壁材3を取り付けるにあたっては、図6の例と同様に、まず外壁材3を加工する。すなわち、まず、外壁材3の上部の余分な箇所を切り落とし、次に、図6(a)(b)に示すように外壁材3の上部を切断して現れた切断面に溝6(上溝6a)を形成する。
【0076】
そして、上記のように加工された外壁材3を取り付けるにあたっては、図21(a)(b)に示すように、まず係合金具4の差込部8の両端部16を固定金具5のガイド部9に上方から差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合し、さらに釘、ねじ等の固定具38を用いて固定金具5を壁下地2に固定する。ただし、この段階では係合金具4の差込部8は固定金具5に完全には差し込まないようにしておく。なお、図21(b)(d)(f)では、取り付けの様子が確認できるように、軒天井34を省略すると共に外壁材3を切断して示している。
【0077】
次に図21(c)(d)に示すように、ガイド部9のガイド片21の屋外側の面に接着剤56を塗布し、外壁材3を持ち上げつつ外壁材3の切断面に形成した溝6に係合金具4の引掛部7を引っ掛けた後、外壁材3と係合金具4とを順に押し下げる。このとき、引掛部7を溝6にしっかりと差し込んで外壁材3を固定すると共に、係合金具4の差込部8を固定金具5に上方から完全に差し込んで係合金具4と固定金具5とを係合させる(図の矢印)。なお、外壁材3の下部は、図4に示すように、通常の外壁材3の取り付けと同様に、外壁材3の被支持部31を支持金具27の支持片29で支持する構造になっている。
【0078】
そして最後に、図21(e)(f)に示すようにバックアップ材36とシーリング35を用いて外壁材3と開口枠37との間の隙間を充填すると、外壁材取付構造が形成され、軒天井34の下側に残った領域を完全に覆い隠すことができるものである。
【0079】
上記したような方法により、軒天井34の下側に外壁材3を取り付けることにより図22のような外壁材取付構造を形成することができる。
【0080】
このように本発明の外壁材取付金具1によれば、簡単に強固に外壁材3を壁下地2に取り付けることができるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 外壁材取付金具
2 壁下地
3 外壁材
4 係合金具
5 固定金具
6 溝
7 引掛部
8 差込部
9 ガイド部
10 係止片
11 係止部
16 差込部の端部
17 固定板
18 固定板の端部
22 揺動防止片
41 支え片
42 固定片
43 受け金具
55 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁下地に外壁材を取り付けるために用いられる外壁材取付金具であって、前記外壁材取付金具は、前記外壁材と係合される係合金具と、前記壁下地に固定され、前記係合金具と係合される固定金具とからなり、前記係合金具は、前記外壁材の上部又は下部を切断して現れた切断面に引っ掛けて係合するための引掛部と、前記固定金具と係合するための係止片と、前記固定金具に差し込まれる差込部とを設けて形成されていると共に、前記固定金具は、前記係止片と係合するための複数の係止部を前記係合金具の差し込み方向に並べて設けた固定板と、前記固定板の両端部に平面視コ字型で形成されて前記差込部の両端部を挿入することにより前記差込部が差し込まれるのをガイドするガイド部とで形成されており、前記係合金具は、前記係止片と前記係止部の係止により前記固定金具に対して差し込み方向にのみ可動可能としたことを特徴とする外壁材取付金具。
【請求項2】
前記複数の係止部は、各係止部が前記係合金具の差し込み方向に千鳥状に配列されていると共に、前記係止片は、差し込み方向と垂直な方向の前記係止部の位置に対応して二つ以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材取付金具。
【請求項3】
前記係合金具は、先端が前記固定板に当接することにより前記係合金具が前記固定板に向かって揺動するのを防止する揺動防止片を設けて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁材取付金具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて建築物の開口部の下側の壁下地に外壁材を取り付けると共に、支え片及び固定片を設けて形成された受け金具を用いて前記開口部の上側の壁下地に他の外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記開口部の下側に取り付けられる外壁材の上部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に前記係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記外壁材と前記係合金具とが係合されており、前記固定金具が前記開口部の下側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていると共に、前記開口部の上側に取り付けられる前記他の外壁材の下部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に前記受け金具の支え片を引っ掛けることによって、前記他の外壁材と前記受け金具とが係合されており、前記受け金具の固定片が前記開口部の上側の壁下地に固定されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記外壁材取付金具を用いて建築物の開口部の下側の壁下地に外壁材を取り付けると共に、前記外壁材取付金具とは別の他の外壁材取付金具を用いて前記開口部の上側の壁下地に他の外壁材を取り付けることによって外壁材取付構造を形成しており、前記開口部の下側に取り付けられる外壁材の上部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に一方の前記外壁材取付金具の係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記外壁材と前記係合金具とが係合されており、一方の前記外壁材取付金具の固定金具が前記開口部の下側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていると共に、前記開口部の上側に取り付けられる前記他の外壁材の下部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に他方の前記外壁材取付金具の係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記他の外壁材と前記係合金具とが係合されており、他方の前記外壁材取付金具の固定金具が前記開口部の上側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて建築物の軒天井の下側の壁下地に外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記軒天井の下側に取り付けられる外壁材の上部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に前記係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記外壁材と前記係合金具とが係合されており、前記固定金具が前記軒天井の下側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【請求項1】
建築物の壁下地に外壁材を取り付けるために用いられる外壁材取付金具であって、前記外壁材取付金具は、前記外壁材と係合される係合金具と、前記壁下地に固定され、前記係合金具と係合される固定金具とからなり、前記係合金具は、前記外壁材の上部又は下部を切断して現れた切断面に引っ掛けて係合するための引掛部と、前記固定金具と係合するための係止片と、前記固定金具に差し込まれる差込部とを設けて形成されていると共に、前記固定金具は、前記係止片と係合するための複数の係止部を前記係合金具の差し込み方向に並べて設けた固定板と、前記固定板の両端部に平面視コ字型で形成されて前記差込部の両端部を挿入することにより前記差込部が差し込まれるのをガイドするガイド部とで形成されており、前記係合金具は、前記係止片と前記係止部の係止により前記固定金具に対して差し込み方向にのみ可動可能としたことを特徴とする外壁材取付金具。
【請求項2】
前記複数の係止部は、各係止部が前記係合金具の差し込み方向に千鳥状に配列されていると共に、前記係止片は、差し込み方向と垂直な方向の前記係止部の位置に対応して二つ以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材取付金具。
【請求項3】
前記係合金具は、先端が前記固定板に当接することにより前記係合金具が前記固定板に向かって揺動するのを防止する揺動防止片を設けて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁材取付金具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて建築物の開口部の下側の壁下地に外壁材を取り付けると共に、支え片及び固定片を設けて形成された受け金具を用いて前記開口部の上側の壁下地に他の外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記開口部の下側に取り付けられる外壁材の上部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に前記係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記外壁材と前記係合金具とが係合されており、前記固定金具が前記開口部の下側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていると共に、前記開口部の上側に取り付けられる前記他の外壁材の下部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に前記受け金具の支え片を引っ掛けることによって、前記他の外壁材と前記受け金具とが係合されており、前記受け金具の固定片が前記開口部の上側の壁下地に固定されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記外壁材取付金具を用いて建築物の開口部の下側の壁下地に外壁材を取り付けると共に、前記外壁材取付金具とは別の他の外壁材取付金具を用いて前記開口部の上側の壁下地に他の外壁材を取り付けることによって外壁材取付構造を形成しており、前記開口部の下側に取り付けられる外壁材の上部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に一方の前記外壁材取付金具の係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記外壁材と前記係合金具とが係合されており、一方の前記外壁材取付金具の固定金具が前記開口部の下側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていると共に、前記開口部の上側に取り付けられる前記他の外壁材の下部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に他方の前記外壁材取付金具の係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記他の外壁材と前記係合金具とが係合されており、他方の前記外壁材取付金具の固定金具が前記開口部の上側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁材取付金具を用いて建築物の軒天井の下側の壁下地に外壁材を取り付けることによって形成された外壁材取付構造であって、前記軒天井の下側に取り付けられる外壁材の上部を切断して現れた切断面に溝が形成され、前記溝に前記係合金具の引掛部を引っ掛けることによって、前記外壁材と前記係合金具とが係合されており、前記固定金具が前記軒天井の下側の壁下地に固定され、前記係合金具の差込部を前記固定金具に差し込んで前記係止片と前記係止部とを係合することによって、前記係合金具と前記固定金具とが係合されていることを特徴とする外壁材取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−222791(P2010−222791A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68443(P2009−68443)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】
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